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JP3104599B2 - Fm−cwレーダ装置 - Google Patents

Fm−cwレーダ装置

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JP3104599B2
JP3104599B2 JP07306279A JP30627995A JP3104599B2 JP 3104599 B2 JP3104599 B2 JP 3104599B2 JP 07306279 A JP07306279 A JP 07306279A JP 30627995 A JP30627995 A JP 30627995A JP 3104599 B2 JP3104599 B2 JP 3104599B2
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spectrum
frequency
peak
radar
transmission wave
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幸則 山田
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Toyota Motor Corp
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Publication date
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Priority to DE69611278T priority patent/DE69611278T2/de
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Priority to US08/741,206 priority patent/US5734344A/en
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FM−CWレーダ
装置に係り、特に、車両前方に存在する複数の対象物を
精度良く検出する装置として好適なFM−CWレーダ装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、FM−CWレーダ装置を用い
て車載用レーダ装置を実現する技術が提案されている。
例えば、特開平7−49377号によれば、対象物の検
出機構としてFM−CWレーダ装置を用いたステア型車
載用レーダ装置が開示されている。上記のレーダ装置
は、車両の走行状態等から自車線上を走行する先行車の
位置を推定し、その角度にFM−CWレーダ装置のレー
ダアンテナをステアする機能を備えている。かかる構成
によれば、カーブの走行中に先行車をロストする可能性
を下げることができるため、車載用レーダ装置におい
て、高い対象物認識精度を得ることができる。
【0003】FM−CWレーダ装置においては、レーダ
アンテナから検出領域に向けて所定の変化率で周波数の
増減される送信波が送信される。検出領域内に対象物が
存在すると、対象物とレーダアンテナとの距離に応じた
伝搬時間τの後に、反射波が対象物に到達して反射波が
生成される。生成された反射波は、対象物とレーダアン
テナとの距離に応じた伝搬時間τの後にレーダアンテナ
に到達する。
【0004】FM−CWレーダ装置では、上記の如くレ
ーダアンテナに到達する反射波と、その時点での送信波
とをミキシングすることにより、反射波と送信波の周波
数偏差を変動周波数とし、反射波の強度に応じた振幅を
有するビート信号が生成される。上記の如く生成された
ビート信号に、公知のFFT処理を施して周波数解析を
行うと、ビート信号に含まれている各周波数成分のスペ
クトル強度を得ることができる。FM−CWレーダ装置
は、反射波が上昇する過程で得られたビート信号につい
てのスペクトル解析結果(以下、上り区間スペクトルと
称す)と、反射波が下降する過程で得られたビート信号
についてのスペクトル解析結果(以下、下り区間スペク
トルと称す)とを用いて、対象物までの距離、及びFM
−CWレーダ装置に対する対象物の相対速度を演算す
る。
【0005】FM−CWレーダ装置の検出領域内に複数
の対象物が存在する場合、それぞれの対象物に対して反
射波が生成される。このように複数の反射波が生成され
ると、ビート信号のスペクトル解析結果中に、複数のス
ペクトルピークが形成される。この場合、複数の対象物
を正確に検出するためには、上り区間スペクトルに含ま
れる複数のスペクトルピークと、下り区間スペクトルに
含まれる複数のスペクトルピークとを適正に組み合わせ
ることが必要となる。
【0006】上記従来の車載用レーダ装置は、上り区間
スペクトルおよび下り区間スペクトルに複数のスペクト
ルピークが存在する場合に、周波数順にスペクトルピ
ークをペアリングする周波数ペアリングの手法、およ
び、スペクトルピークの形状の相関演算を行い、相関
の高いもの同士をペアリングする相関ペアリングの手法
の双方を用いて、適正なペアリングの実現を図ってい
る。
【0007】検出領域内に存在する複数の対象物に大き
な相対速度差がない場合は、上り区間スペクトル中に
も、下り区間スペクトル中にも、相対距離の小さい対象
物のピークスペクトルは低周波側に、相対距離の大きな
対象物のピークスペクトルは高周波側に表れる。従っ
て、かかる状況下では、上記の手法により正確なペア
リングを行うことができる。
【0008】一方、検出領域内に存在する複数の対象物
に大きな相対速度差が存在する場合は、上り区間スペク
トル中と、下り区間スペクトル中とに、同一の対象物に
ついてのスペクトルピークが異なる順序で表れる場合が
ある。この場合、上記の手法では、正確なペアリング
を行うことはできない。しかしながら、上り区間スペク
トル中に表れるスペクトルピークと、下り区間スペクト
ル中に表れるスペクトルピークとは、それらが同一の対
象物に起因するものである場合には形状において高い相
関を示し、一方、それらが同一の対象物に起因するもの
でない場合には形状において高い相関を示さない。この
ため、上記の手法でペアリングが行われた後、ペアリ
ングされたスペクトルピークの相関度を求めることで、
適正なペアリングが行われたか否かを判断することが可
能である。また、相関が低いと判別された場合に、上記
の手法により再度ペアリングを行えば、正確なペアリ
ングを行うことが可能である。
【0009】このため、上記従来の車載用レーダ装置に
よれば、FM−CWレーダ装置の照射範囲内に複数の対
象物が存在する場合に、それら複数の対象物を、高い精
度で認識することができる。また、上記従来の車載用レ
ーダ装置は、上述の如く、車両の旋回中をも含めて、F
M−CWレーダ装置により正確に自車線上を照射するこ
とができる。従って、上記従来の車載用レーダ装置によ
れば、自車線上に存在する複数の対象物を、精度良く検
出し得るという効果を得ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、車両前方を
広く監視するためには、車載用レーダ装置を走査型レー
ダ装置とすることが有効である。対象物の検出機構にF
M−CWレーダ装置を用いた走査型レーダ装置によれ
ば、比較的広い検出領域内に存在する複数の対象物のそ
れぞれについて、対象物までの距離および対象物の相対
速度が検出し得ると共に、自車両に対して対象物の存在
する方向を検出することが可能である。
【0011】自車両に対する対象物の存在方向を精度良
く検出するためには、所定の走査角毎に上り区間スペク
トルおよび下り区間スペクトルを演算し、走査角毎に対
象物の検出処理を行うことが必要である。このため、か
かる機能を実現するためには、すなわち、車載用レーダ
装置を走査型レーダ装置とする利益を十分に得るために
は、検出領域を複数の領域に区分して、個々の区分につ
いてスペクトル解析を行い、それぞれの区分に対して演
算される上り区間スペクトルおよび下り区間スペクトル
に含まれるスペクトルピークを適切にペアリングするこ
とが必要である。
【0012】上記の演算処理は、全ての区分について演
算されるスペクトル解析結果に対して上述した及び
の手法によるペアリング処理を施すことにより、行うこ
とができる。しかしながら、かかる演算処理を行うとす
れば、車載用レーダ装置の演算負荷が過大となり、コス
ト上、若しくは応答性上の不利益が生ずる。この意味
で、上記従来の装置の演算手法は、FM−CWレーダ装
置を用いた走査型レーダ装置においては、必ずしも最適
な演算手法ではなかった。
【0013】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、上り区間スペクトルに含まれるスペクトルピー
クと、下り区間スペクトルに含まれるスペクトルピーク
とのペアリングを、走査角のデータを用いて簡易に行う
ことにより上記の課題を解決するFM−CWレーダ装置
を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1
に記載する如く、送信波の周波数を所定の変化率で変調
する周波数変調機構と、送信波に対する反射波と送信波
とに基づいてビート信号を生成するビート信号生成機構
と、ビート信号に含まれる各周波数成分のスペクトル強
度を検出するスペクトル解析機構とを備え、前記送信波
の周波数が上昇する過程で得られるビート信号について
のスペクトル解析結果と、前記送信波の周波数が下降す
る過程で得られるビート信号についてのスペクトル解析
結果とを組み合わせて、前記送信波を反射する対象物ま
での距離、および該対象物の相対速度を検出するFM−
CWレーダにおいて、前記送信波に、所定の検出領域を
走査させる走査手段と、前記送信波の走査角方向におけ
る複数の所定走査領域のうち少なくとも一の所定走査領
域について前記スペクトル解析機構により得られるスペ
クトル解析結果にピークスペクトルが複数含まれている
状況下において、該一の所定走査領域に隣接する所定走
査領域について前記スペクトル解析結果に含まれるピー
クスペクトルが単一である場合、前記一の所定走査領域
についての前記送信波の周波数が上昇する過程で得られ
るスペクトル解析結果に含まれるピークスペクトルと、
前記送信波の周波数が下降する過程で得られるスペクト
ル解析結果に含まれるピークスペクトルとを、前記隣接
する所定走査領域での組み合わせに基づいてペアリング
するスペクトルペアリング手段と、備えるFM−CW
ーダ装置により達成される。また、上記の目的は、請求
項2に記載する如く、請求項1記載のFM−CWレーダ
装置において、前記スペクトルペアリング手段は、更
に、少なくとも一の所定走査領域について前記スペクト
ル解析機構により得られるスペクトル解析結果にピーク
スペクトルが複数含まれている状況下において、該一の
所定走査領域に隣接する所定走査領域について前記スペ
クトル解析結果に含まれるピークスペクトルが既にペア
リングされている場合には、前記一の所定走査領域につ
いての前記送信波の周波数が上昇する過程で得られるス
ペクトル解析結果に含まれるピークスペクトルと、 前記
送信波の周波数が下降する過程で得られるスペクトル解
析結果に含まれるピークスペクトルとを、前記隣接する
所定走査領域での組み合わせに基づいてペアリングする
ことを特徴とするFM−CWレーダ装置により達成され
る。
【0015】本発明において、送信波は、走査手段によ
り決定される走査角方向に照射される。送信波の照射方
向に対象物が存在すると、対象物までの距離および対象
物の相対速度の反映されたビート信号が生成される。送
信波の周波数が上昇する過程で得られるビート信号が周
波数解析されると、上り区間スペクトルが得られる。ま
た、送信波の周波数が下降する過程で得られるビート信
号が周波数解析されると、下り区間スペクトルが得られ
る。上り区間スペクトルに含まれるスペクトルピーク
と、下り区間スペクトルに含まれるスペクトルピークと
には、それらのスペクトルピークの起因となった対象物
までの距離、およびその対象物の相対速度が反映されて
いる。上り区間スペクトルおよび下り区間スペクトルに
複数のスペクトルピークが含まれている場合は、スペク
トルピークを適切に組み合わせることにより、複数の対
象物について、対象物までの距離および対象物の相対速
度を検出することが可能となる。請求項1記載の発明に
おいて、上り区間スペクトルおよび下り区間スペクトル
は、所定走査領域毎に演算される。スペクトルペアリン
グ手段は、一の所定走査領域についてスペクトルピーク
が複数存在する状況下において、その領域に隣接する所
定走査領域についてスペクトルピークが単一である場
合、上記一の所定走査領域について上り区間スペクトル
中のスペクトルピークと、下り区間スペクトル中のスペ
クトルピークとを、上記隣接する所定走査領域での組み
合わせに基づいてペアリングする。スペクトルピークが
単一である場合は、上り区間スペクトルのスペクトルピ
ークと下り区間スペクトルのスペクトルピークとは唯一
にペアリングされる。この場合、この所定走査領域に隣
接し、スペクトルピークが複数存在する所定走査領域に
ついては、両走査領域に重複するスペクトルピークが確
定し、残存するスペクトルピークの数が減少する。この
ため、すべてのスペクトルピークのペアリングが容易と
なる。また、請求項2記載の発明において、スペクトル
ペアリング手段は、更に、一の所定走査領域についてス
ペクトルピークが複数存在する状況下において、その領
域に隣接する所定走査領域についてスペクトルピークが
既にペアリングされている場合には、上記一の所定走査
領域について上り区間スペクトル中のスペクト ルピーク
と、下り区間スペクトル中のスペクトルピークとを、上
記隣接する所定走査領域での組み合わせに基づいてペア
リングする。この場合も、この所定走査領域に隣接し、
スペクトルピークが複数存在する所定走査領域について
は、両走査領域に重複するスペクトルピークが確定し、
残存するスペクトルピークの数が減少する。このため、
すべてのスペクトルピークのペアリングが容易となる。
【0016】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施例である
車載用走査レーダ装置のシステム構成図を示す。本実施
例の装置は、レーダ用電子制御ユニット10(以下、レ
ーダ用ECUと称す)、および、環境認識車速制御電子
制御ユニット12(以下、環境認識ECUと称す)によ
り制御される。
【0017】レーダ用ECU10には、レーダアンテナ
14および走査コントローラ16が接続されている。レ
ーダアンテナ14は、FM−CW(Frequency Modulati
on-Continuous Wave) レーダの構成要素であり、例えば
車両のフロントグリル付近に、鉛直方向に延びる回転軸
14aを中心として回動することができるように配設さ
れている。レーダアンテナ14は、指向性を有するアン
テナであり、所定の照射範囲内で信号の送受信を行う。
【0018】レーダアンテナ14には、走査機構18が
連結されている。走査機構18は、レーダアンテナ14
を揺動させる装置であり、走査コントローラ16により
フィードバック制御されている。走査コントローラ16
には、レーダ用ECU10より走査角信号が供給されて
いる。走査コンントローラ16は、レーダアンテナ14
の走査角が、レーダ用ECU10からの指令角θS に一
致するように、走査機構18をフィードバック制御す
る。レーダ用ECU10は、車両前方の所定の検出領域
が、レーダアンテナ14により所定速度で走査されるよ
うに、走査角の指令角θS を所定周期で増減させる。
【0019】レーダ用ECU10は、レーダアンテナ1
4から供給される信号に適当な処理を施すことにより、
車両前方の検出領域内に存在する対象物を検出し、その
検出結果を環境認識ECU12に供給する。環境認識E
CU12には、警報器20、ブレーキ22、およびスロ
ットル24が接続されている。環境認識ECU12は、
車両前方に対象物が近接している場合に、予め設定され
た論理に従って警報機20、ブレーキ22、またはスロ
ットル24を駆動して、車両乗員の注意を喚起すると共
に車両の減速を図る。
【0020】図2は、レーダ用ECU10を機能的に表
したブロック構成図を示す。レーダ用ECU10は、マ
イクロコンピュータを主体として構成される装置であ
る。レーダ用ECU10を機能的に表すと、図2に示す
如く、走査角制御部26、レーダ信号処理部28、およ
び対象物認識部30に分けて表すことができる。走査角
制御部26は、上述した走査コントローラ16に対して
走査角信号を供給するブロックである。走査角信号に含
まれる走査角指令値θS は、レーダ信号処理部28の制
御タイミングと同期して変化される。
【0021】レーダ信号処理部28は、レーダアンテナ
14と共にFM−CWレーダを構成する。レーダアンテ
ナ14の走査角方向に対象物が存在する場合、レーダ信
号処理部28には、その対象物に関する信号が供給され
る。レーダ信号処理部28は、かかる信号が供給された
場合に、対象物と自車との車間距離および相対速度の反
映されたスペクトル解析結果を生成し、その結果を走査
角と対応付けて対象物認識部30に供給する。尚、レー
ダ信号処理部28の構成については、後に図3を参照し
て詳説する。
【0022】対象物認識部30は、レーダ信号処理部2
8から供給されるスペクトル解析結果に基づいて、走査
各毎に対象物に関するデータを演算し、その演算結果か
ら、車両前方に設定された検出領域内に存在する対象物
の位置、対象物までの距離、および、対象物の相対速度
を演算する。本実施例のシステムは、対象物認識部30
が、レーダ信号処理部28から供給されるスペクトル解
析結果を、後述の手法により処理する点に特徴を有して
いる。
【0023】図3は、上述したレーダ信号処理部28を
機能的に表したブロック構成図を示す。上述したレーダ
アンテナ14は、図3に示す如く、送信アンテナ14b
および受信アンテナ14cとして機能する。レーダ信号
処理部28が備える搬送波発生回路32、周波数変調回
路34、変調電圧発生回路36、および方向性結合器3
8は、FM−CWレーダの送信側回路を構成する。
【0024】搬送波発生回路32は、所定周波数の搬送
波を発生し、その搬送波信号を周波数変調回路34に供
給する。一方、変調電圧発生回路36は、振幅が三角形
状に変化する三角波を発生し、その三角波を周波数変調
回路34に供給する。周波数変調回路34は、変調電圧
発生回路36から供給される三角波を変調信号として、
搬送波発生回路32から供給される搬送波を周波数変調
する。
【0025】図4(A)中に実線で示す波形は、周波数
変調回路34の出力端子に表れる信号の周波数の変化状
態を示す。上述した周波数変調が行われる結果、周波数
変調回路34の出力端子には、図4(A)中に実線で示
す如く、時間経過に伴って所定の変動幅Δf、変調周波
数fm(=1/T;Tは変調電圧発生回路36から発せ
られる三角波の変動周期)で三角波状に変調された変調
波信号が表れる。周波数変調回路34の出力端子に表れ
る変調波信号は、方向性結合器38を介して送信アンテ
ナ14bに供給されると共に後述するミキサ40に供給
される。
【0026】上述の如く送信アンテナ14bに供給され
た変調波信号は、送信アンテナ14bの走査角方向へ送
信される。かかる走査角方向に対象物が存在すると、送
信信号が対象物により反射され、受信アンテナ14cに
よりその反射波が受信される。受信アンテナ14cに
は、ミキサ40が接続されている。レーダ信号処理部2
8は、FM−CWレーダの受信回路として、ミキサ4
0、増幅回路42、フィルタ44、及び高速フーリエ変
換処理回路46(以下、FFT信号処理回路と称す)を
備えている。受信アンテナ14cに受信された信号は、
かかる受信回路により処理されて対象物と車両との車間
距離および相対速度を表すデータに変換される。
【0027】図4(A)中に破線及び一点鎖線で示す波
形は、それぞれ受信アンテナ14cからミキサ40に供
給される反射信号の周波数の変化状態を示す。ミキサ4
0では、かかる反射信号と方向性結合器38から供給さ
れる送信信号とがミキシングされることにより、両者の
周波数差を変動周波数とするビート信号が生成される。
【0028】図4(B)は、かかるビート信号の周波数
の変化状態を示す。以下、図4(B)に示す如く、送信
信号の周波数が上昇する区間で生成されるビート信号の
周波数を上り周波数fupと、送信信号の周波数が下降す
る区間で生成されるビート信号の周波数を下り周波数f
downと称す。
【0029】ミキサ40で生成されるビート信号は、増
幅回路42で増幅された後、フィルタ44に供給され
る。フィルタ44は、増幅回路42から供給されたビー
ト信号を、上昇区間のビート信号と下降区間のビート信
号とに分離する。分離されたビート信号は、共にFFT
信号処理回路46に供給される。FFT信号処理回路4
6は、各区間のビート信号についてFFT処理を施し、
上り周波数fupについてのパワースペクトル(以下、上
り区間スペクトルと称す)、及び下り周波数fdownにつ
いてのパワースペクトル(以下、下り区間スペクトルと
称す)を算出する。
【0030】図5(A)は、レーダアンテナ14の走査
角方向に2つの対象物が存在する場合にFFT信号処理
回路46で演算された上り区間スペクトルを示す。ま
た、図5(B)は、同様の環境下でFFT信号処理回路
46に算出された下り区間スペクトルを示す。
【0031】レーダアンテナ14の走査角方向に複数の
対象物が存在する場合、受信アンテナ14cには対象物
それぞれについての反射波が受信される。この場合、ミ
キサ40では、複数の受信信号のそれぞれについてビー
ト信号が形成される。その結果、FFT信号処理回路4
6では、複数のピークを有するパワースペクトルが検出
される。
【0032】ところで、車両と対象物との間に相対速度
がないとすると、送信アンテナ14bから送信される送
信波と、受信アンテナ14cに到達する反射波との間に
は、対象物と車両との間を信号が伝搬するのに要する時
間に応じた位相差が生ずる。この場合、反射波の周波数
にドップラシフトが重畳されないため、反射波の周波数
変動を表す波形は、図4(A)中に一点鎖線で示す如
く、送信信号の波形を単に時間的に平行移動しただけの
波形となる。従って、上り周波数fupと下り周波数fdo
wnとは、図4(B)中に一点鎖線で示すように共に等し
い値となる。この際、fupおよびfdownは、共に対象物
と車両との車間距離に対応した値となる。
【0033】一方、車両と対象物との間に相対速度Vr
が存在する場合、反射波の周波数には相対速度Vrに応
じたドップラシフトが重畳される。このため、例えば対
象物と車両とが接近する傾向にある場合は、反射波の周
波数が全体的に高周波側へシフトする。その結果、反射
波の周波数を表す波形は、図4(A)中に破線で示す如
く、距離に応じて時間的に平行移動した波形(図中、一
点指鎖線で示す波形)を更に高周波側へ平行移動した波
形となる。
【0034】反射波の周波数が上記の如く高周波側へシ
フトされると、相対速度Vrが“0”である場合に比べ
てfupは小さく、またfdownは大きく変更される。この
際、次式に示す如く、fupとfdownとの平均値を演算す
れば、fupに重畳するドップラシフト成分と、fdownに
重畳するドップラシフト成分とが互いに相殺し合い、対
象物と車両との車間距離に対応する特性値を得ることが
できる。
【0035】 fr =(fup+fdown)/2 ・・・(1) また、fupとfdownとの偏差は、fupに重畳するドップ
ラシフト成分とfdownに重畳するドップラシフト成分と
の和に相当する。従って、次式に示す如く、両者の偏差
の1/2の値を求めると、その値は、車両と対象物との
相対速度に起因するドップラシフト成分に対応する特性
値となる。
【0036】 fd =(fdown−fup)/2 ・・・(2) 本実施例において、周波数変調回路34が発生する変調
波信号の中心周波数がf0 、変調周波数がfm、変調幅
がΔf、かつ、送信信号の伝搬速度が高速cである場合
に、距離Lだけ離間した位置に相対速度Vrを有する対
象物が存在するとすれば、次式に示す関係が成立する。
【0037】 fr =4fm・Δf・L/c ・・・(3) fd =2Vr・f0 /c ・・・(4) 従って、FFT信号処理回路46において、上り周波数
fupを表すスペクトルピークと下り周波数fdownを表す
スペクトルピークとが得られた場合、それらを上記
(1)式および(2)式に代入してfr およびfd を求
め、更に、その演算値を上記(3)式及び(4)式に代
入すれば、レーダアンテナ14の走査角方向に存在する
対象物に関する車間距離Lと相対速度Vrとを求めるこ
とができる。
【0038】上述の如く、図5(A)及び図5(B)
は、レーダアンテナ14の走査角方向に2つの対象物が
存在する場合のスペクトル解析結果である。より具体的
には、図5(A)において周波数FMU1の位置に表れる
スペクトル、および図5(B)において周波数FMd1
位置に表れるスペクトルは、走査角方向に存在する一の
対象物に起因して表れたピークである。また、図5
(A)において周波数FMU2の位置に表れるスペクト
ル、および図5(B)において周波数FMd2の位置に表
れるスペクトルは、走査角方向に存在する他の対象物に
起因して表れたピークである。
【0039】図5に示す如きスペクトル解析結果が得ら
れた場合は、FMU1とFMd1とを組み合わせて上記
(1)〜(4)式を用いた演算を行うことにより、一の
対象物に関する車間距離L及び相対速度Vrを求めるこ
とができると共に、FMU2とFM d2とを組み合わせて同
様の演算を行うことにより、他の対象物に関する車間距
離L及び相対速度Vrを求めることができる。このよう
に、本実施例のシステムにおいては、一組のスペクトル
解析結果から、複数の対象物に関するデータを得ること
ができる。
【0040】上述の如く、レーダアンテナ14は、走査
機構18により走査される。図6は、本実施例のシステ
ムを搭載する車両48において、レーダアンテナ14の
走査領域として設定されている領域を示す。図6に示す
如く、本実施例においては、車両48の前後方向の軸線
に対して左右に10°ずつの広がりを有する領域がレー
ダアンテナ14によって走査される領域、すなわち、対
象物の検出領域とされている。尚、以下の説明において
は、車両48の軸線に対して左側の領域を走査角θS
負の領域、車両48の軸線に対して右側の領域を走査角
θS が正の領域とする。
【0041】図7は、レーダアンテナ14の走査角θS
と、送信信号の周波数fとの関係を示す。上述の如く、
本実施例のシステムにおいては、レーダ信号処理部28
の処理と同期してレーダアンテナ14の走査角θS が制
御される。より具体的には、レーダアンテナ14は、図
7に示す如く送信信号の周波数fが1周期分変化する間
に、走査角θS が0.5°変化するように制御される。
また、本実施例において、レーダアンテナ14は、約1
00msec毎に−10°〜+10°の領域が走査されるよ
うに制御される。
【0042】本実施例のシステムによれば、上り区間ス
ペクトルと下り区間スペクトルとが1組検出されること
により、対象物に関するデータを演算することができ
る。上記の如く、送信信号の周波数fが1周期分変化す
る間に走査角θS が0.5°変化するとすれば、走査角
θS が0.5°変化する毎に一組の上り区間スペクトル
と下り区間スペクトルとを得ることができる。従って、
本実施例のシステムによれば、レーダアンテナ14が
0.5°走査される毎に、対象物に関するデータを演算
することができる。
【0043】つまり、本実施例のシステムにおいては、
車両48前方の検出領域が0.5°毎に40の検出領域
に区分されており、レーダアンテナ14が走査角θS
10°〜+10°の領域を走査する間に、すなわち、約
100msecの間に、上記図5(A),(B)に示すスペ
クトル解析結果を40組得ることができる。上述したレ
ーダ信号処理部28は、レーダアンテナ14が走査され
るに伴って、これら40組のスペクトル解析結果を、レ
ーダセンサ20の走査角θS と対応付けた状態で対象物
認識部30へ供給する。
【0044】図8は、本実施例のシステムを搭載する車
両の前方に対象物50および52が存在する状態を示
す。対象物50は、ガードレールのポールの如き固定物
であり、対象物52は道路上を走行中の先行車である。
上述の如く、本実施例のシステムにおいては、レーダア
ンテナ14が0.5°走査される毎に一組のスペクトル
解析結果が得られる。また、レーダアンテナ14は、所
定の広がりをもって送受信波を送受する。このため、レ
ーダアンテナ14が0.5°走査されることにより確保
される検出領域は、0.5°の範囲にレーダアンテナ1
4が送受する送受信波の広がりを加えた範囲となる。図
8中に実線で示す境界線は、検出領域を0.5°毎に区
分する境界線(以下、領域区分線と称す)を示す。ま
た、図8中に破線で示す境界線は、レーダアンテナ14
の走査方向が領域区分線に重なる場合のレーダアンテナ
14の送受信波の広がり範囲を示す。
【0045】レーダアンテナ14の走査方向が、図8中
に最も左側に表される領域区分線に重なる状態から、そ
の領域区分線の右側に隣接する領域区分線に重なる状態
まで変化すると、図8中にで示す範囲が走査されたこ
ととなる。同様に、以後、レーダアンテナ14の走査方
向が0.5°変化する毎に、順次図8中にで示す領
域、で示す領域、で示す領域が走査される。これら
の領域〜は、隣接する領域と重なる部分を有してい
る。従って、各領域の境界部近傍に位置する対象物は、
2つの領域において対象物として検出されることにな
る。
【0046】図8に示す状況において、対象物50は、
領域と領域との重複領域に存在する。また、対象物
52は、領域と領域との重複領域に存在する。従っ
て、対象物50は、領域および領域において、ま
た、対象物52は、領域およびにおいて、それぞれ
検出されることになる。
【0047】図9(A)および図9(B)は、それぞれ
領域に対する上り区間スペクトルおよび下り区間スペ
クトルを表す。これらのスペクトル解析結果中には、対
象物50に起因するピークスペクトルSu50,Sd50
表れる。対象物50は、道路上に固定された物体である
ため、本実施例のシステムを搭載する車両と対象物50
との間には大きな相対速度が存在する。このため、上り
区間スペクトル中にピークスペクトルSu50が表れる位
置と、下り区間スペクトル中にピークスペクトルSd50
が表れる位置とは比較的離間されている。
【0048】図10(A)および図10(B)は、それ
ぞれ領域に対する上り区間スペクトルおよび下り区間
スペクトルを表す。これらのスペクトル解析結果中に
は、対象物50に起因するピークスペクトルSu50,S
50に加え、対象物52に起因するピークスペクトルS
52,Sd52が表れる。対象物52は、道路上を走行し
ているため、本実施例のシステムを搭載する車両と対象
物52との間にさほど大きな相対速度は存在しない。こ
のため、上り区間スペクトル中にピークスペクトルSu
52が表れる位置と、下り区間スペクトル中にピークスペ
クトルSd52が表れる位置とは比較的近接されている。
【0049】図11(A)および図11(B)は、それ
ぞれ領域に対する上り区間スペクトルおよび下り区間
スペクトルを表す。これらのスペクトル解析結果中に
は、対象物52に起因するピークスペクトルSu50,S
50のみが表れる。また、図12(A)および図12
(B)は、それぞれ領域に対する上り区間スペクトル
および下り区間スペクトルを表す。領域には、対象物
が存在しないため、これらのスペクトル解析結果中には
ピークスペクトルは表れない。
【0050】上記図9(A)および図9(B)、また
は、上記図11(A)および図11(B)に示す如く、
上り区間スペクトルおよび下り区間スペクトルに、それ
ぞれピークスペクトルがひとつずつ表れる場合は、単純
にそれらのスペクトルピークを組み合わせて上記(1)
〜(4)式に基づく演算を行うことで、対象物に関する
データを正確に求めることができる。
【0051】しかしながら、上記図10(A)および図
10(B)に示す如く、上り区間スペクトルおよび下り
区間スペクトルに、それぞれ複数のスペクトルピークが
存在する場合は、スペクトルピークのペアリングを行う
ことが必要である。上述した対象物50および52のよ
うに、同時に検出される複数の対象物に大きな相対速度
差が存在する場合、それらの対象物に起因するピークス
ペクトルが上り区間スペクトル中に表れる順序と下り区
間スペクトル中に表れる順序とが反転する場合がある。
従って、複数のピークスペクトルを単に周波数順にペア
リングすることによっては、正確な組み合わせが得られ
ない場合がある。
【0052】本実施例は、特定の走査領域中で複数のピ
ークスペクトルが検出された場合に、走査角θS の要素
を考慮してピークスペクトルのペアリングを行うことに
より、かかるペアリングを容易かつ正確に行い得る点に
特徴を有している。以下、図13及び図14を参照し
て、本実施例において実行されるペアリングの手法につ
いて説明する。
【0053】図13および図14は、上記の機能を実現
すべくレーダ用ECU10が実行する制御ルーチンの一
例のフローチャートを示す。図13および図14に示す
ルーチンは、レーダアンテナ14の走査が開始される毎
に、約100msec毎に起動されるルーチンである。
【0054】図13および図14に示すルーチンが起動
されると、先ずステップ100において、カウンタiが
インクリメントされる。カウンタiはレーダアンテナ1
4により走査される領域の番号を表すカウンタであり、
イニシャル処理により“0”がセットされている。従っ
て、本ルーチンが起動された直後は、ステップ100に
おいてiが“1”とされる。
【0055】ステップ102では、領域iについてのデ
ータ入力が終了したか、すなわち、領域iの走査が終了
したか否かが判別される。未だデータ入力が終了してい
ないと判別された場合は、データ入力が終了したと判別
されるまで、繰り返しステップ102の判別が行われ
る。データ入力が終了したと判別されると、ステップ1
04において、上り区間スペクトルおよび下り区間スペ
クトルを得るための信号処理が実行される。
【0056】上記ステップ104の処理が終了すると、
次に、ステップ106において、スペクトル解析結果中
に含まれるピークスペクトルの数が“1”より大きいか
否かが判別される。ピーク数が“1”より大きくない、
すなわち、ピーク数が“1”であると判別された場合
は、上り区間スペクトルに含まれるピークスペクトル
と、下り区間スペクトルに含まれるピークスペクトルと
を単純に組み合わせることで、正確なペアリングが得ら
れる。このため、上記の判別がなされた場合は、以後、
ステップ108および110がジャンプされ、ステップ
112の処理が実行される。
【0057】上記ステップ106において、ピーク数が
“1”より大きいと判別された場合は、ステップ108
において、上り区間スペクトルに含まれるピークスペク
トルと、下り区間スペクトルに含まれるピークスペクト
ルとが周波数順にペアリングされる。次に、ステップ1
10において、ペアリングされたピークスペクトルの相
関度が所定のしきい値αTH以上か否かが判別される。ピ
ークスペクトルの相関度は、ピークスペクトルの形状等
に基づいて演算される。ペアリングされたピークスペク
トルが、共に同一の対象物に起因するものである場合
は、高い相関度が得られる。この場合、上記ステップ1
10の条件は成立する。一方、ペアリングされたピーク
スペクトルが、異なる対象物に起因するものである場合
は、低い相関度が演算される。この場合、上記ステップ
110の条件は不成立となる。
【0058】上記ステップ110の条件が成立すると判
別された場合は、複数のピークスペクトルが適切にペア
リングされたと判断され、次に、ステップ112におい
て、ペアリングされたピークスペクトルに基づいて対象
物に関するデータ、すなわち、対象物と自車両との車間
距離L、および、自車両に対する対象物の相対速度Vr
が演算され、それらの演算値が走査領域の番号iと共に
記憶される。
【0059】これに対して、上記ステップ110の条件
が不成立であると判別された場合は、複数のピークスペ
クトルが適切にペアリングされていないと判断され、ス
テップ114において、スペクトル情報が保持される。
本実施例においては、走査領域の番号i、ピークスペク
トルのレベル、および、ピークスペクトルが検出される
位置(周波数)が、スペクトル情報として保持される。
【0060】上記の処理が終了すると、次にステップ1
16において、カウンタiが所定値nに到達しているか
否かが判別される。所定値nは、最終走査領域に付され
る番号である。i≧nが不成立である場合は、全ての走
査領域についてのデータ収集が未だ終了していないと判
断される。この場合、i≧nなる条件が成立すると判別
されるまで、繰り返し上記ステップ100〜114の処
理が実行される。一方、i≧nが成立すると判別された
場合は、全ての走査領域についてのデータ収集が終了し
たと判断される。この場合、ステップ118においてカ
ウンタiが“0”にリセットされた後、図14に示すス
テップ120以降の処理が実行される。
【0061】ステップ120では、上記ステップ114
でスペクトル情報の保持された領域、すなわち、ピーク
スペクトルの組み合わせが確定されていない領域(以
下、不確定領域と称す)のうち、一の領域の番号が変数
jに代入される。尚、一の領域は、例えば不確定領域の
うち最も番号の小さい領域若しくは最も番号の大きな領
域、または自車両の前方に相当する領域等に決定され
る。
【0062】ステップ122では、変数kに“j−1”
が代入される。次に、ステップ124では、領域kのピ
ークスペクトルの組み合わせが確定されているか否かが
判別される。領域kも不確定領域である場合は、上記条
件が不成立であると判別される。この場合、以後、ステ
ップ126においてkがjに比して小さいか否かが判別
され、その判別結果に応じてステップ128またはステ
ップ130の処理が実行される。上述の如く、変数kは
当初j−1に設定される。kがj−1であれば上記ステ
ップ126の条件が成立する。この場合、以後、ステッ
プ128においてkがデクリメントされた後、上記ステ
ップ124の処理が再度実行される。この場合、領域k
が確定領域であると判別されるまで、順次、より番号の
小さな領域について確定領域か否かの判別が実行され
る。また、後述の如く、変数kは特定の状況下でj+1
に設定される場合がある。かかる場合には上記ステップ
126の条件が不成立であると判別され、ステップ13
0でkがインクリメントされた後、上記ステップ124
の処理が再度実行される。この場合、領域kが確定領域
であると判別されるまで、順次、より番号の大きな領域
について確定領域か否かの判別が実行される。
【0063】上記ステップ124において、領域kが確
定領域であると判別された場合は、ステップ132にお
いて、k領域、すなわち、確定領域に含まれるピークス
ペクトルがk領域に隣接する不確定領域に存在するか否
かが判別される。両者に重複するピークスペクトル(以
下、重複ピークと称す)が存在すれば、すでに確定され
ているピークスペクトルの組み合わせに基づいて、不確
定領域のピークスペクトルを容易かつ正確にペアリング
することができる。一方、両者に重複がない場合は、か
かる手法によるペアリグはできない。この場合、ステッ
プ134において、変数kにj+1が代入され、以後、
領域jに比して大きな番号を有する確定領域の検索が開
始される。
【0064】上記ステップ132において、不確定領域
に重複ピークが存在すると判別された場合は、ステップ
136において、不確定領域のスペクトル解析結果中の
重複ピークをペアリングする処理が実行される。重複ピ
ークがペアリングされると、不確定領域のスペクトル解
析結果中に残存するピーク数が減少し、ペアリングが容
易となる。以後、ステップ138で、周波数ペアリング
の手法、および、相関ペアリングの手法により、不確定
領域のスペクトル解析結果中に残存するピークスペクト
ルがペアリングされる。
【0065】上記の処理が終了すると、次に、ステップ
140において、全ての領域についてピークスペクトル
が確定されたか否かが判別される。その結果、未だ不確
定領域が存在すると判別される場合は、上記ステップ1
20以降の処理が再度実行される。一方、既に全ての領
域のピークスペクトルが確定していると判別される場合
は、今回のルーチンが終了される。
【0066】上述の処理によれば、周波数ペアリングの
手法によっては適正なピークスペクトルの組み合わせが
得られない場合に、その領域に隣接する他の領域のスペ
クトル解析結果に基づいて、不確定領域のスペクトル解
析結果中に含まれるピークスペクトルの一部を正確にペ
アリングすることができる。かかるペアリングにより不
確定領域中に含まれる不確定ピークの数が減少すると、
全てのピークスペクトルが不確定ピークである場合に比
して、残存するピークスペクトルを容易にペアリングす
ることが可能となる。従って、本実施例のシステムによ
れば、複数のスペクトル解析結果に含まれる多数のピー
クスペクトルを、容易かつ確実にペアリングすることが
可能である。この点、本実施例のシステムは、コスト
上、および応答性上の不利益を伴うことなく、広い検出
領域において正確に対象物を検出する機能を実現し得る
という効果を有している。
【0067】尚、上記の実施例においては、レーダ用E
CU10のレーダ信号処理部28のうち、搬送波発生回
路32、周波数変調回路34及び変調電圧発生回路36
が前記した周波数変調機構に、ミキサ40及び増幅回路
42が前記したビート信号発生機構に、フィルタ44及
びFFT信号処理回路46が前記したスペクトル解析機
構、また、走査コントローラ16、走査機構18及びレ
ーダ用ECU10の走査角制御部26が前記した走査手
段に、それぞれ相当する。更に、上記の実施例において
は、レーダ用ECU10が上記ステップ120〜136
の処理を実行することにより、前記したスペクトルペア
リング手段が実現される。
【0068】
【発明の効果】上述の如く、本発明によれば、走査角毎
に上り区間スペクトルおよび下り区間スペクトルが演算
され、走査角毎に対象物に関するデータが求められる。
従って、送信波の照射範囲に比して広い検出領域内に存
在する複数の対象物の位置を正確に検出することができ
る。また、本発明によれば、スペクトルピークをペアリ
ングする際に、走査角データが用いられる。このため、
走査角データが用いられない場合に比して、容易にスペ
クトルピークをペアリングすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるFM−CWレーダ装置
のシステム構成図である。
【図2】図1に示すFM−CWレーダ装置に用いられる
レーダ用ECUのブロック構成図である。
【図3】図2に示すレーダ用ECUの構成要素であるレ
ーダ信号処理部のブロック構成図である。
【図4】図4(A)はレーダアンテナにより送受信され
る信号の周波数の変化を表す波形である。図4(B)は
レーダ用ECUにおいて検出されるピート信号の波形で
ある。
【図5】図5(A)は上り周波数を表すスペクトルデー
タである。図5(B)は下り周波数を表すスペクトルデ
ータである。
【図6】図1に示すFM−CWレーダ装置の検出範囲を
示す図である。
【図7】図1に示すFM−CWレーダ装置の走査角度と
送信波の周波数との関係を表す波形である。
【図8】車両の前方に存在する対象物と図1に示すFM
−CWレーダ装置の走査領域とを表す図である。
【図9】図9(A)は図8中に示す領域に対して得ら
れる上り区間スペクトルの一例である。図9(B)は図
8中に示す領域に対して得られる下り区間スペクトル
の一例である。
【図10】図10(A)は図8中に示す領域に対して
得られる上り区間スペクトルの一例である。図10
(B)は図8中に示す領域に対して得られる下り区間
スペクトルの一例である。
【図11】図11(A)は図8中に示す領域に対して
得られる上り区間スペクトルの一例である。図11
(B)は図8中に示す領域に対して得られる下り区間
スペクトルの一例である。
【図12】図12(A)は図8中に示す領域に対して
得られる上り区間スペクトルの一例である。図12
(B)は図8中に示す領域に対して得られる下り区間
スペクトルの一例である。
【図13】図1に示すFM−CWレーダ装置が備えるレ
ーダ用ECUにおいて実行される制御ルーチンの一例の
フローチャート(その1)である。
【図14】図1に示すFM−CWレーダ装置が備えるレ
ーダ用ECUにおいて実行される制御ルーチンの一例の
フローチャート(その2)である。
【符号の説明】
10 レーダ用電子制御ユニット(レーダ用ECU) 12 環境認識車速制御電子制御ユニット(環境認識車
速制御ECU) 14 レーダアンテナ 16 走査コントローラ 18 走査機構 26 走査角制御部 28 レーダ信号処理部 30 対象物認識部 48 車両 50,52 対象物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−5252(JP,A) 特開 平6−242230(JP,A) 特開 平5−142337(JP,A) 特開 平7−318635(JP,A) 特開 平8−75848(JP,A) 特開 平8−211144(JP,A) 特開 平9−145833(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 7/00 - 7/42 G01S 13/00 - 13/96

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信波の周波数を所定の変化率で変調す
    る周波数変調機構と、送信波に対する反射波と送信波と
    に基づいてビート信号を生成するビート信号生成機構
    と、ビート信号に含まれる各周波数成分のスペクトル強
    度を検出するスペクトル解析機構とを備え、前記送信波
    の周波数が上昇する過程で得られるビート信号について
    のスペクトル解析結果と、前記送信波の周波数が下降す
    る過程で得られるビート信号についてのスペクトル解析
    結果とを組み合わせて、前記送信波を反射する対象物ま
    での距離、および該対象物の相対速度を検出するFM−
    CWレーダにおいて、 前記送信波に、所定の検出領域を走査させる走査手段
    と、前記送信波の走査角方向における複数の所定走査領域の
    うち少なくとも一の所定走査領域について前記スペクト
    ル解析機構により得られるスペクトル解析結果にピーク
    スペクトルが複数含まれている状況下において、該一の
    所定走査領域に隣接する所定走査領域について前記スペ
    クトル解析結果に含まれるピークスペクトルが単一であ
    る場合、前記一の所定走査領域についての 前記送信波の
    周波数が上昇する過程で得られるスペクトル解析結果に
    含まれるピークスペクトルと、前記送信波の周波数が下
    降する過程で得られるスペクトル解析結果に含まれるピ
    ークスペクトルとを、前記隣接する所定走査領域での組
    み合わせに基づいてペアリングするスペクトルペアリン
    グ手段と、 を備えることを特徴とするFM−CWレーダ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のFM−CWレーダ装置に
    おいて、 前記スペクトルペアリング手段は、更に、少なくとも一
    の所定走査領域について前記スペクトル解析機構により
    得られるスペクトル解析結果にピークスペクトルが複数
    含まれている状況下において、該一の所定走査領域に隣
    接する所定走査領域について前記スペクトル解析結果に
    含まれるピークスペクトルが既にペアリングされている
    場合には、前記一の所定走査領域についての前記送信波
    の周波数が上昇する過程で得られるスペクトル解析結果
    に含まれるピークスペクトルと、前記送信波の周波数が
    下降する過程で得られるスペクトル解析結果に含まれる
    ピークスペクトルとを、前記隣接する所定走査領域での
    組み合わせに基づいてペア リングすることを特徴とする
    FM−CWレーダ装置。
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