JP3079175B2 - 圧電素子及びそれを用いたハイドロフォン - Google Patents
圧電素子及びそれを用いたハイドロフォンInfo
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Description
圧電体をある中心軸のまわりに螺旋形状に捲回し、円筒
様構造とした圧電素子、ならびに該圧電素子を用いた、
特にえい航型ソーナーとしての適用性に優れた可撓性を
有するハイドロフォンに関する。
航型ソーナーが知られている(特開昭55−76962
号、同57−60992号、特開平2−278178号
各公報等)。これは、主として船舶の発する機関音、ス
クリュー音、キャビテーション音等を受信すべく、ハイ
ドロフォン受波器を所定の間隔で直線状に多数配置して
発信音波の周波数帯域に適合したハイドロフォンリニア
アレイとなし、各受波器の出力位相を整相処理して目標
とする船舶を探知せんとするものであり、通常はこのハ
イドロフォンリニアアレイを電線を配置したロープ等を
介して、船舶によりえい航する形態を採る。
られる音波検出素子としては、中空円筒状に成形された
セラミック圧電素子、例えばPZT圧電素子が用いられ
ていた。
波の送波器とした場合、音波が周波数によらず半径方向
に等方的に、即ち等しい音圧で放射されるものであり、
他方、受波器としては素子を長さ方向の中心軸の周りに
回転しても受信感度が不変のものである。換言すれば、
半径方向の送受波感度に指向性のないという特徴があ
る。
ウム磁気等の電歪素子が、大きな変位を得るために円筒
状の形態で利用されていた。また、米国特許第2497
108号明細書には、セラミック圧電体の中空円筒から
切り出して螺旋状に形成したバイモルフを利用した継電
器が開示されている。
ック圧電素子は、音波の送受波器としては音波の周波数
によらず等方的感度特性が達成され、また電歪素子にお
いては大きな変位が得られるといった利点を有してはい
るが、以下のような問題点を包含する。 (1)剛性がある反面、衝撃に弱く、取り扱いが面倒で
ある。例えば、柔軟性に乏しいため、長尺な素子におい
ては保管が容易ではない。 (2)大口径及び長尺なものの製作が容易ではない。 (3)前記ハイドロフォンリニアアレイのように、受波
器を直線状に多数配置した構造においては、接合部があ
るため曲げ、強度等の機械的特性や比重が不均一であ
り、例えば、えい航ロープを介して伝達されるえい航体
の動揺による衝撃や水流による曲げ応力等により破損し
易く、特性が低下することもある。
−プとともに巻出しあるいは巻上げるに際しての操作性
が著しく悪いという問題点もある。
子の問題点、特にセラミックの剛性に起因する問題点
を、柔軟性に優るポリマー圧電素子により解決すること
も考えられる。しかしながら、ポリマー圧電体は、その
上に電極を形成することの困難さのため繋ぎ目のない円
筒形状の圧電素子とすることは容易でなく、また、ポリ
マー圧電体といえども円筒形状では柔軟性はそれ程向上
しない。一方、セラミックス製の中空円筒から切り出さ
れた従来の螺旋素子は、特に大口径及び長尺なものの製
作が容易ではないことに加えて、衝撃に弱く脆弱である
という欠点を有し、柔軟性においてもポリマー圧電体に
比べ数段劣るものである。
セラミック圧電素子の問題点について改善した圧電素
子、ならびにそれを用いた可撓性を有するハイドロフォ
ンを提供することを目的とする。
ば、可撓性の帯状圧電素子を螺旋状に捲回し、概ね円筒
に近い形状とすることにより、感度の等方性を保持しつ
つ、上述した中空円筒形状のセラミック圧電素子の問題
点に対する著しい改善が得られることが見出された。
設けた可撓性の帯状ポリマー圧電体をある中心軸のまわ
りに螺旋形状に捲回し、前記表面電極層を前記中心軸の
延長方向とほぼ平行に配設した、自立した螺旋形状構造
を有する圧電素子を提供するものである。
を互いの分極方向が逆となるように中央電極層を間に挟
んで積層して得られる帯状圧電素子を、螺旋状に巻回し
配置した自立した螺旋形状構造とし、前記帯状圧電素子
の両表面に形成された表面電極と前記中央電極層との間
に生ずる電気出力を取出可能とした構造を有するハイド
ロフォンを提供するものである。ここでポリマー圧電体
ないし圧電素子に関して、「自立した螺旋形状構造」と
は、後述する実施例から明らかなように、製品圧電素子
ないしはハイドロフォン中において、帯状ポリマー圧電
体ないしは圧電素子の内側に、螺旋の巻付支持体が存在
せずに維持される螺旋形状構造、を意味する。
電素子の捲回しにより、概ね円筒に近い形状に構成さ
れ、そのため、良好な等方的感度特性を有することに加
えて、上述中空円筒形状のセラミック圧電素子について
主要な問題点であった可撓性および耐衝撃性の不足に対
し、著しい改善が得られる。
おいて出力に結び付く変形は面方向の伸縮(二軸)、厚
み変化(一軸)ならびに体積圧縮/膨張変化がある。こ
のうち、えい航型ソーナー等に加えられる機械的応力に
より発生し、雑音のもととなるのは面方向の伸縮変形で
あり、本発明のハイドロフォンにおいては、このような
面方向の伸縮による雑音は、一対のポリマー圧電体を互
いの分極方向が逆となるように中央電極層を介して積層
して得られる帯状圧電素子の使用により、有効に相殺さ
れ、実質的に有害な雑音とならない。他方、このような
帯状圧電素子を螺旋状に巻回し配置した円筒様の構造と
することにより、全体としての可撓性を損なわず、被測
定対象からの音波の音圧は、ポリマー圧電体の厚み方向
の変形或いは体積的圧縮/膨張変化として有効に検出さ
れる。
ォンを、その好ましい態様について図面を参照しつつ、
更に詳細に説明する。
ドロフォン)として構成された本発明の一実施態様にか
かる螺旋状圧電素子の一部切欠き正面図であり、図2は
図1の切欠面II−IIに沿って取った圧電素子の厚さ
方向断面である。
電素子を構成する帯状圧電素子10は、可撓性を有する
帯状圧電体1の両面に表面電極2aおよび2bを形成し
てなる。本発明にかかる螺旋状圧電素子は、この帯状圧
電素子10を、ある中心軸Oの周りに螺旋状に捲回した
形状を有する。そして表面電極2a、2bからは、半田
7付けにより、それぞれリード線8a、8bが接続さ
れ、音波の受信の際にはこれら表面電極間に生ずる電気
出力が螺旋状圧電素子の右端に設けられた端子AB間で
取出せるように、また音波の発信等の際には端子A、B
から圧電体1に電圧を印加できるように構成されてい
る。
ッチ(p)は、圧電素子に要求される特性によって適宜
選択されるが、一般に幅2〜50mm程度、好ましくは
5〜20mmであり、1<p/d≦3の範囲とすること
が好ましい。幅が2mm未満では螺旋捲回時に切断が発
生し易く、また50mmを超えると螺旋形状に賦形する
ことが困難になる。また、p/d≦1では、帯状圧電素
子10が部分的に重なったり、あるいは表面電極2a相
互あるいは2a−2b間での接触により電気的ノイズが
生じかねない。他方p/d>3であると素子の面積効率
が低下する。螺旋状圧電素子を構成する螺旋の巻き数
は、前記の等方的感度特性が確保されるように、1以
上、特に3以上とすることが好ましい。
電素子全体として良好な可撓性を与え、あるいは長尺の
螺旋状圧電素子を形成するために、本発明の可撓性圧電
体1はポリマー圧電体により構成する。このようなポリ
マー圧電体1は、表面電極2a、2bを有する帯状体と
した後、巻き回しにより図1に示すような螺旋形状に容
易に賦形することができる。
ポリマー圧電材料から任意に構成されるが、フッ化ビニ
リデン(VDF)の単独または共重合体等からなるVD
F系圧電体、あるいは比較的高い耐熱性を有するシアン
化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体等が好適に用いられ
る。これらポリマー圧電体材料は、溶融押出等により製
膜後、必要に応じて一軸延伸あるいは軟化温度以下での
熱処理、軟化温度以下での電界印加による分極処理に付
される。なお、ポリマー圧電体1は、一般にフィルム又
はシートの形態をとることができ、その厚みは20〜2
000μm程度、特に100〜1000μmの範囲で選
択されることが好ましい。ポリマー圧電体の厚みが20
μm以下では十分な受波感度が得られず、逆に2000
μm以上ではフィルムの可撓性が損なわれ、更に分極に
高電圧が必要となるため縁面放電が発生し分極が極めて
困難となる。
体の可撓性を損なうことなく、圧電体1表面に、銀、
銅、アルミニウム、亜鉛等の導電材料の蒸着、溶射、メ
ッキ(特に無電解メッキ)、金属箔の接着貼り付け等に
より0.02μm〜200 μmの厚さ範囲に形成する
ことができる。中でもポリマー圧電体との組合せにおい
て、良好な可撓性を維持しつつ良好な半田付性と優れた
送受波感度を与えるためには、対向電極2a、2bは、
厚さが10〜100μm、特に20〜50μmの溶射電
極層として形成することが好ましい。
の表面には、絶縁被覆を施すのが好ましい。この絶縁被
覆は、図2に対応して図3に示すように、電極2a、2
bを選択的に覆う絶縁被覆層5a、5bとして形成する
こともできるが、より好ましくは、図1に示すように螺
旋状圧電素子全体を絶縁体11中に埋め込んで中実(ま
たは中空)の円筒状に形成して、素子の堅牢性および取
扱い性を併せて向上するのがよい。かかる絶縁被覆体5
a、5bあるいは11は、プラスチック、セラミック、
エラストマー等から使用状況に応じて選択できる。中で
も絶縁体11に関しては、堅牢性に加えて、螺旋状圧電
素子全体としての可撓性を維持するために、ウレタンゴ
ム、シリコーンゴム、ブチルゴム等のエラストマーを用
いることが好ましい。
状に限らず、感度に方向性が生じない範囲で他の形状で
あっても良く、例えば、埋設被覆体を楕円柱(筒)状と
なし、曲げ応力に方向性を与えることも可能である。ま
た、埋設被覆体の中心部には、電線類以外に、必要に応
じてプリアンプなどの電気部品や強度部材、充填材とい
ったものを埋設したり、空洞を形成してそれらを配設す
ることもできる。
1の全面にわたって設ける必要はない。例えば、図1に
対応して図4に示すように、帯状圧電体1の長さ方向に
沿って表面電極2a(および2b−図示省略)を離間し
て設け中間の空白部においては、圧電体1を露出させた
構造とすることもできる。その結果、機能的には、表面
電極2a(2b)の存在する領域ごとに、螺旋状の二つ
の圧電素子10aおよび10bが形成されたことにな
る。これら素子10a、10bのうち、10aの表裏面
電極2a、2bは、それぞれ半田7により接続されたリ
ード線81a、81bを介して端子A1、B1に接続さ
れ、両電極間に生ずる電気的出力が端子A1−B1間で
取り出される。他方、素子10bの表裏面電極2a、2
bは、それぞれ半田付されたリード線82a、82bを
介して端子A2、B2に接続され、素子10bに生ずる
出子は端子A2−B2間で取り出される。リード線8
1、82は、図示のように螺旋状圧電素子の中心軸に近
い部分(螺旋の内側)に通すことが好ましい。このよう
な構成のハイドロフォンは、2つに限らず、より多数の
ユニット素子が機能的には独立していて構造的には直線
的に連結されたハイドロフォンリニアアレイとなり、広
い周波数帯域の音波に対する適合性が確保される。ま
た、これら連結素子は一体成形されているので、曲げ、
強度等の機械的特性や比重が均一であるという特徴を有
し、また機能的には複数でも、構造取扱上は、一つの素
子と同等に取扱える利点がある。この連結素子は、各圧
電素子が機能的には独立しているので、異なる周波数で
送受信することができると共に、一方を送信器、他方を
受信器として用いることもできる。
ついて説明する。
態様の一部切欠き正面図であり、図6は図5の切欠面V
I−VIに沿って取った圧電素子の厚さ方向模式断面図
である。これら図面において、図1〜図4に示したもの
と類似の部位は、同様な符号で示す。
フォンを構成する帯状圧電素子50は、一対の帯状ポリ
マー圧電体1aおよび1bを、それぞれの分極方向pが
互いに逆となるように配置し、接着剤層4a、4bを介
して中央電極層3に貼付してなる。また、これらポリマ
ー圧電体1a、1bは、その中央電極層3との逆側の面
に、それぞれ表面電極2a、2bを有する。
状圧電素子50を、図5に示すようにある中心軸Oのま
わりに螺旋状に巻回し配置し、その両面の表面電極2a
および2bからの出力(出力端子A、C)を短絡させ、
中央電極層3からの出力(出力端子B)との間での電圧
出力を検出手段5により取出可能とした構成を有する。
音を防止し、音波の良好な検出特性ならびに全体として
の優れた可撓性を確保するためには、帯状圧電素子は、
中心に位置する中央電極層3を中立軸として応力変形が
上下対称となる層構成とされ、例示すれば、中央電極層
3を帯状圧電素子全体の剛性を支配するような金属箔電
極となし、可撓性のある蒸着電極または特に金属溶射電
極で表面電極2aおよび2bを形成することが好まし
い。
は、前述したようにポリマー圧電体1a、1bおよび表
面電極2a、2bと比較して剛性の大な、例えば、銅、
アルミニウム、錫、亜鉛、金、銀、白金等の厚さが6〜
200μm程度、特に20〜120μmの金属箔により
形成することが好ましい。しかし、前述したように中央
電極層3が中立点となり、上下のポリマー圧電体が曲げ
応力に対して対称に変形されるような層構成が好ましく
採用されるが、その限りにおいて、中央電極層3として
上記の金属箔以外のものも用いられる。
させた導電性の接着剤により形成することもできるが、
より接着強度の優れるエポキシ系樹脂、ウレタン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ブタジエン系樹脂、アクリル
系樹脂等の接着剤により5〜40μm程度の層とした時
にも、出力特性は良好に維持される。
2a、2bは、銀、銅、アルミニウム、亜鉛等からなる
厚さが10〜100μm、好ましくは20〜50μmの
溶射電極あるいは0.02〜0.1μm程度の蒸着電極
となし、良好な可撓性を維持することが好ましい。この
構成により、中央電極層3として比較的剛性の高い金属
箔電極を用いた場合にも、帯状圧電素子50全体として
は良好な可撓性が維持され、図5に示すような螺旋状巻
回し構造が可能となる。そして、図5に示す螺旋状巻回
し構造と相まって、全体として良好な可撓性を有する円
筒様形状の圧電素子50が得られる。この素子は、半径
方向に関して可撓性に有意な差はなく、ソーナーの展開
や収納時の操作性に優れたものとなる。
圧電体を用いる場合にも、表面電極2a、2bは、長尺
な帯状圧電素子50の全面にわたって設けられる必要は
なく、図4の例で説明したように圧電素子50の長さ方
向に所定の間隔の電極空白部をもって不連続に形成する
こともできる。かかる帯状圧電素子50を螺旋形状に巻
回して形成されたハイドロフォンは、機能的に図5に示
す素子のユニットが多数直線的に連結されたハイドロフ
ォンリニアアレイとなり、従来のハイドロフォンアレイ
に比べ、一体成形されているので曲げ、伸度、強度等の
機械的特性や比重が均一であるという特徴を有する。そ
して、そのため例えば引張衝撃に対する耐久性に優れた
ものとなる。
4の実施例についても同様に、上記したような帯状圧電
素子50を、上記中心軸Oを与える電気絶縁性の支持体
例えばゴム弾性体の棒又は筒に螺旋形状に巻回し、その
外表面に絶縁被覆を施した構成とすることも考えられ
る。しかし、帯状圧電素子にかかる応力の残留を防止
し、測定感度を向上するためには、例えば一旦、剛性あ
るいは弾性の棒状体の回りに帯状圧電素子を巻回して螺
旋状に賦形した後、該棒状体を取り除き、螺旋状に賦形
した帯状圧電素子50を、ウレタンゴム、シリコンゴ
ム、ブチルゴム等からなるエラストマー被覆体11中に
埋め込んだ形態、すなわち、帯状圧電素子は、巻付支持
体なしに螺旋形状を保持する、自立した螺旋形状構造、
とされる。かくして、全体としての良好な可撓性と、良
好な受波感度を有する図5に示すような円筒棒状のハイ
ドロフォンが得られる。
ることが好ましいが、他の形状であっても良く、例え
ば、被覆体11を楕円柱状となし、曲げ応力に方向性を
与えることも可能である。また、被覆体11の中心部に
は信号線、給電線などの電線並びに深度計、方位計など
の電気部品や強度部材、充填材といったものを埋設した
り、空洞を形成してそれらを配設することもできる。
mm程度、好ましくは5〜20mmであり、これを例え
ば間隔1〜20mm(好ましくは間隔/巾≦1)、巻き
数1以上、巻き径8〜50mmとして巻き回すことによ
り、所望の長さを有するハイドロフォンが得られる。
ォン素子を、所望の波長域の音波に適合するように変化
させた間隔で、順次接続することにより、えい航型ソー
ナーとしての使用に適したハイドロフォンアレイが得ら
れる。
層の場合を例示してきたが、この圧電体1は、より多数
の圧電体を積層した構造とすることもでき、この際、各
圧電体層間には中間電極層を介在させてもよい。
素子を、その好ましい一実施態様であるえい航型ソーナ
ーの受波器について主として説明してきた。しかしなが
ら、本発明の特に帯状圧電素子10を用いた螺旋状圧電
素子は、これに限らずパイプ等の円筒状被検査体に対す
る超音波探傷器や超音波厚み計の探触子として、あるい
は、超音波洗浄器のプローブ等の発振(信)素子として
も用いることができる。この際には、図1、図4あるい
は図5で示したリード線(信号線)8a、8b、8c、
81a、81b、82a、82b等は、給電線として用
いられることになる。
触子として本発明の螺旋状圧電素子を用いる場合には、
被検査体と該圧電素子との間の音響学的接触を良好に保
つために、素子の周囲を可撓性のチューブまたはバルー
ンで密封し、その内部に液体を吸排する手段を設けるこ
とが好ましい。
ンを製造した。
ルオロエチレン(TrFE)のモル比75/25の共重
合体(数平均分子量=1.75×105 、呉羽化学工業
(株)製)を、ダイス温度265℃でシート押出し、1
25℃で13時間の熱処理後、75MV/mの電界下、
123℃での保持時間5分、昇降時間を含めて全1時間
の分極処理を行ない、厚さ500μmのポリマー圧電体
フィルムを得、更にその両面を粒度#60のアルミナ系
研磨剤でサンドブラストにより粗面化後、電気溶線式溶
射機(加藤メタリコン(株)製、DK式金属溶射機E
型)を用いエアー圧力5kg/cm2 、電圧15Vの条
件で溶射を行ない厚さ各約40μmの亜鉛溶射電極2
a、2bを形成した。
を有する圧電素子から、約10mm巾でマシン方向(M
D)スリットして帯状圧電素子10を得た。
真ちゅう棒に巻き付け、テープで巻いて固定後、70
℃、1時間の熱処理後室温まで徐冷して、帯状圧電素子
への螺旋形くせ付けを行ない、真ちゅう棒を取り外し
た。このくせ付け工程で用いられる真ちゅう棒は、次の
賦形工程で用いられる真ちゅう棒よりも直径の小さいも
のが好ましく用いられる。
のスクリュー翼をピッチ15mmで螺旋に取付けた賦形
工具を用意し、該工具に上記のくせ付けした螺旋状圧電
素子を一定の間隔(約5mm)となるように直ちに巻き
付け、室温に10分以上放置して型付けを行なった。か
くして、長さ120mmの賦形された螺旋状圧電素子を
得、それから上記賦形工具を素子の半分程を残して抜き
出し、直径20mmのテフロン製モールド枠中に、治具
を用いて軸合わせして挿入後、十分に脱気したポリウレ
タン樹脂(日本ゼオン(株)製「TYPE3318/2
023/DOA=50/40/10」(重量比))をモ
ールド枠の半分程まで流し込み、60℃で6時間の加熱
硬化後、治具、モールド枠及び賦形工具を取り外した。
そして、螺旋状圧電素子の一端部に端子A、Bに連なる
リード線8a、8bを半田7により接合し、再びモール
ド枠に戻して残りの未被覆部分に上記ポリウレタン樹脂
を注型し、同様に硬化させることにより、図1に示すよ
うに螺旋状に巻回し賦形された帯状圧電素子10が絶縁
被覆体11中に埋め込まれた形態のハイドロフォン(長
さ約135mm)が得られた。
ついて受波器としての性能を試験するために、前記のス
リットされた帯状圧電素子とそれを螺旋形状に賦形しウ
レタンエラストマーに埋込んだハイドロフォンの静水圧
圧電ひずみ定数dh を測定し、両者を比較した。
の圧電素子においては、賦形後においても賦形前の受波
感度が維持されることが判る。ここで、静水圧圧電ひず
み定数dh は、以下の方法で求めた。
漬し、容器に窒素ガス源から圧力P(ニュートン(N)
/m2 )を加えながら試料の電荷量Q(クーロン
(C))を測定する。そして、ゲージ圧2Kg/cm2
近辺での圧力上昇dPに対する電荷の増加量dQを得、
下式で計算した。
である。
ことができ、曲率半径8cm程度で屈曲を数回繰り返し
た後に、再測定を行ったところ、dh 定数に変化はなか
った。このように本発明の圧電素子は柔軟性に優れてい
ることが判る。
ンを製造した。
μmのポリマー圧電体フィルムを得、更にその一面を粗
面化した。
箔の両面に、ポリエステル系接着剤(東洋紡(株)製
「バイロン30SS」と日本ポリウレタン(株)製「コ
ロネートL」との99:1(重量比)混合物)を厚さ1
0μmで塗布後、前記で得られたポリマー圧電体フィル
ムから切り出した一対の圧電体フィルムを、それらの分
極特性が互いに逆向きとなるように貼付し、50℃、2
0kg/cm2 の条件で接着剤を硬化させて、図6の表
面電極2a、2bを除く1a/4a/3/4b/1bの
積層体を得た。
♯60のアルミナ系研磨材でサンドブラストにより粗面
化後、電気溶線式溶射機(加藤メタリコン(株)製、D
K式金属溶射機E型)を用いエアー圧力5kg/c
m2 、電圧15Vの条件で溶射を行ない厚さ約40μm
の亜鉛溶射電極2a、2bを形成した。
を有する圧電素子から、約10mm巾でマシン方向(M
D)にスリットして帯状圧電素子50を得た。
と同様のくせ付けおよび型付けをして、長さ120mm
の賦形された螺旋状圧電素子50を得、その後、更に実
施例1と同様にポリウレタン中に埋込成形して、図5に
示すように螺旋状に巻回し賦形された帯状圧電素子50
がウレタンエラストマー被覆体11中に埋め込まれた形
態のハイドロフォン(長さ約135mm)が得られた。
電極取り出し部(図5の右端)を手でもって振り子状に
振った時の端子A−B間および端子AC−B間(図6に
示すようにAC間を短絡)における出力をディジタルオ
シロスコープ(DL−2240型、横河電気(株))に
より測定した。出力波形のオシログラフチャートを、そ
れぞれ図7(端子A−B間)および図8(端AC−B
間)に示す。図で縦軸は出力(20mV/div.)、
横軸は時間(0.5sec/div.)である。
本発明の構造に従う端子AC−B間出力(図8)におい
ては、ハイドロフォンの伸縮による変形ノイズが効果的
に相殺されていることがわかる。
と、それを螺旋形状に賦形しウレタンエラストマーに埋
込したハイドロフォンの静水圧圧電ひずみ定数dh を実
施例1と同様にして測定し、両者を比較した。測定結果
を下表2に示す。表から、実施例1と同様に、賦形後に
おいても賦形前の受波感度が維持されている。
半径10cmに固定して同様な測定を行ったところ、d
h 定数に変化はなかった。
性の帯状圧電体を螺旋状に捲回した構造とすることによ
り、円筒状圧電素子に比べて著しく改善された柔軟性な
らびに耐衝撃性を有し、音波の送受信素子として好適な
圧電素子が提供される。
り合わせ構造を有する帯状圧電素子と、該帯状圧電素子
の螺旋状巻回し構造の採用により、全体としての可撓性
を維持しつつ、機械的応力の印加による雑音発生を防止
し且つ受波感度の良好なハイドロフォンが提供される。
ロフォンの概ね正面から見た一部切欠き斜視図。
圧電素子の厚さ方向模式断面図。
子の厚さ方向模式断面図。
素子構造を有するハイドロフォンの概ね正面から見た斜
視図。
面から見た一部切欠き斜視図。
電素子の厚さ方向模式断面図。
ー圧電素子を使用したハイドロフォンにおける機械的変
形によるノイズ発生状況を示すオッシログラフチャー
ト。
マー圧電素子を使用したハイドロフォンにおける機械的
変形によるノイズ発生状況を示すオッシログラフチャー
ト。
リード線、 10、10a、10b、50:螺旋状に巻き回した帯状
圧電素子、 11:被覆体、 O:中心軸、 A、B、A1、B1、A2、B2:端子。
Claims (7)
- 【請求項1】 表面に電極層を対向して設けた帯状のポ
リマー圧電体をある中心軸のまわりに螺旋形状に捲回
し、前記表面電極層を前記中心軸の延長方向とほぼ平行
に配設した、自立した螺旋形状構造を有する圧電素子。 - 【請求項2】 前記表面電極層がポリマー圧電体の延長
方向において離間して複数対設けられた請求項1に記載
の圧電素子。 - 【請求項3】 前記ポリマー圧電体が、共通の中央電極
層を間に挟んで積層された一対のポリマー圧電体である
請求項1または2に記載の圧電素子。 - 【請求項4】 前記表面電極層の外表面を絶縁被覆して
なる請求項1〜3のいずれかに記載の圧電素子。 - 【請求項5】 前記自立した螺旋形状構造の圧電素子を
エラストマー被覆体中に埋め込み、全体として可撓性円
筒棒状とした請求項1〜3のいずれかに記載の圧電素
子。 - 【請求項6】 一対の帯状ポリマー圧電体を互いの分極
方向が逆となるように共通の中央電極層を間に挟んで積
層して得られる帯状圧電素子を、螺旋状に巻回し配置し
た自立した螺旋形状構造とし、前記帯状圧電素子の両表
面に形成された表面電極と前記中央電極層との間に生ず
る電気出力を取出可能とした構造を有する可撓性に優れ
たハイドロフォン。 - 【請求項7】 前記螺旋状に巻回し配置した、自立した
螺旋形状構造の帯状圧電素子をエラストマー被覆体中に
埋め込み、全体として円筒棒状とした請求項6に記載の
ハイドロフォン。
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JP04198932A JP3079175B2 (ja) | 1992-07-03 | 1992-07-03 | 圧電素子及びそれを用いたハイドロフォン |
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-
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