JP3053966B2 - 方向性結合器フィルタ - Google Patents
方向性結合器フィルタInfo
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光通信、光交換、光情
報処理、光記録などに用いられて入射した光の中の特定
の波長の光を選択する光フィルタ、特に、複数導波路層
間で導波モード変換を行わせるグレーティング付き方向
性結合器フィルタに関する。
報処理、光記録などに用いられて入射した光の中の特定
の波長の光を選択する光フィルタ、特に、複数導波路層
間で導波モード変換を行わせるグレーティング付き方向
性結合器フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、光集積回路をベースとして、波長
分割多重システムを利用した光通信や光情報処理が、活
発に研究されている。上記システムを実現する上で、重
要なデバイスの一つに波長フィルタが挙げられる。特
に、光集積回路を意識した場合、方向性結合器フィルタ
のように、導波路から構成され、さらに、異なる素子を
接続できる素子は極めて魅力的である。ただし、方向性
結合器フィルタは、入力ポートと出力ポートが同方向に
存在するために使いづらい逆方向結合型を除くと、一般
的に、波長選択性に乏しく、したがって、高密度波長多
重に不向きとされてきた。
分割多重システムを利用した光通信や光情報処理が、活
発に研究されている。上記システムを実現する上で、重
要なデバイスの一つに波長フィルタが挙げられる。特
に、光集積回路を意識した場合、方向性結合器フィルタ
のように、導波路から構成され、さらに、異なる素子を
接続できる素子は極めて魅力的である。ただし、方向性
結合器フィルタは、入力ポートと出力ポートが同方向に
存在するために使いづらい逆方向結合型を除くと、一般
的に、波長選択性に乏しく、したがって、高密度波長多
重に不向きとされてきた。
【0003】しかし、最近、特開平2−239209号
明細書に見られるような半導体積層導波路を利用したグ
レーティング順方向結合フィルタが、その鋭い波長選択
性から注目されている。また、チャネル間のクロストー
クを劣化させる要因となる透過サイドローブに関して
も、特願平1−314841号明細書で提案されている
2つの導波路近辺に形成されたグレーティングのデュー
ティ比ないし結合係数をテーパ状に分布させる手法によ
り、その抑圧が実現可能となっている。これは、フィル
タの透過レスポンスが、結合係数のフーリエ変換に比例
する原理による。
明細書に見られるような半導体積層導波路を利用したグ
レーティング順方向結合フィルタが、その鋭い波長選択
性から注目されている。また、チャネル間のクロストー
クを劣化させる要因となる透過サイドローブに関して
も、特願平1−314841号明細書で提案されている
2つの導波路近辺に形成されたグレーティングのデュー
ティ比ないし結合係数をテーパ状に分布させる手法によ
り、その抑圧が実現可能となっている。これは、フィル
タの透過レスポンスが、結合係数のフーリエ変換に比例
する原理による。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の方法で
は、結合係数のテーパ化を行うテーパ関数が正の関数に
限られていて、テーパ関数の種類に制限があった。よっ
て、いまだ充分効果的には透過サイドローブ抑圧が図れ
ず、また、チャネル間隔やクロストーク抑圧比の仕様に
充分広く応じることができなかった。
は、結合係数のテーパ化を行うテーパ関数が正の関数に
限られていて、テーパ関数の種類に制限があった。よっ
て、いまだ充分効果的には透過サイドローブ抑圧が図れ
ず、また、チャネル間隔やクロストーク抑圧比の仕様に
充分広く応じることができなかった。
【0005】従って、本発明の目的は、結合係数に分布
をつけるグレーティングのテーパ関数の適用自由度を広
げることができる構造を有するグレーティング付き方向
性結合器フィルタを提供することにある。
をつけるグレーティングのテーパ関数の適用自由度を広
げることができる構造を有するグレーティング付き方向
性結合器フィルタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明においては、グレ
ーティングの位相を複数導波路間の結合領域の途中でシ
フトすることにより、異なる位相関係を導入し、透過サ
イドローブ抑圧用のテーパ関数の種類を広げている。結
合係数を一部負とできることにより(この原理について
は後述する)、例えば、変換レスポンスがフィルタとし
て理想的な方形波となるシンク関数(sin(x)/
x)などを、テーパ関数として適用することが可能とな
る。
ーティングの位相を複数導波路間の結合領域の途中でシ
フトすることにより、異なる位相関係を導入し、透過サ
イドローブ抑圧用のテーパ関数の種類を広げている。結
合係数を一部負とできることにより(この原理について
は後述する)、例えば、変換レスポンスがフィルタとし
て理想的な方形波となるシンク関数(sin(x)/
x)などを、テーパ関数として適用することが可能とな
る。
【0007】図1は、本発明による方向性結合器フィル
タの動作原理を示している。素子は、2層の非対称(厚
さ、組成などが異なる)な導波路1、2からなり、これ
らの導波路1、2の層厚は垂直方向の横モードが2つ
(図1では、偶モードと奇モードの光電界強度分布が示
される)成立するように設定されている。下の導波路1
から入力された光は、下部導波路1に中心強度を有する
奇モードとして伝搬し、相互作用領域において、グレー
ティング3で決められる位相整合波長で、上の導波路2
に偶モードとして結合される。位相整合波長から離れた
波長は、下の導波路1に残りそのまま伝搬する。ここ
で、位相整合波長λは、以下の一次のブラッグ条件を満
足する。 βe(λ)−βo(λ)=2π/Λ (1) ここで、βe、βoは、それぞれ偶モード、奇モードの伝
搬定数を表わしている。Λは、グレーティング3の周期
である。
タの動作原理を示している。素子は、2層の非対称(厚
さ、組成などが異なる)な導波路1、2からなり、これ
らの導波路1、2の層厚は垂直方向の横モードが2つ
(図1では、偶モードと奇モードの光電界強度分布が示
される)成立するように設定されている。下の導波路1
から入力された光は、下部導波路1に中心強度を有する
奇モードとして伝搬し、相互作用領域において、グレー
ティング3で決められる位相整合波長で、上の導波路2
に偶モードとして結合される。位相整合波長から離れた
波長は、下の導波路1に残りそのまま伝搬する。ここ
で、位相整合波長λは、以下の一次のブラッグ条件を満
足する。 βe(λ)−βo(λ)=2π/Λ (1) ここで、βe、βoは、それぞれ偶モード、奇モードの伝
搬定数を表わしている。Λは、グレーティング3の周期
である。
【0008】本素子において、成立する偶モードおよび
奇モードの電界をそれぞれEe、Eoであらわす。2層
1、2間の強い非対称性のため、導波モードの電界は、
導波路が独立に存在する場合の各導波路を導波するモー
ドの電界と酷似している。そこで、モードの結合は、グ
レーティング3の回折に依存していると考えてよい。両
モード間の結合係数κは、以下の式で表わされる。 κ(z)=(ωε0/8)∫0 gEeΔn g 2Eodx (2) gはグレーティングの深さである。ωは光の角周波数、
ε0は真空の誘電率、xはグレーティング3の深さ方向
の座標、zは導波光の進行方向の座標である。
奇モードの電界をそれぞれEe、Eoであらわす。2層
1、2間の強い非対称性のため、導波モードの電界は、
導波路が独立に存在する場合の各導波路を導波するモー
ドの電界と酷似している。そこで、モードの結合は、グ
レーティング3の回折に依存していると考えてよい。両
モード間の結合係数κは、以下の式で表わされる。 κ(z)=(ωε0/8)∫0 gEeΔn g 2Eodx (2) gはグレーティングの深さである。ωは光の角周波数、
ε0は真空の誘電率、xはグレーティング3の深さ方向
の座標、zは導波光の進行方向の座標である。
【0009】ここで、Δn g 2は、グレーティング3に
よる屈折率の摂動であり、グレーティング3を矩形と考
え、グレーティング3を構成する上部導波路層2の屈折
率をn2、クラッド層5の屈折率をn1として、以下のよ
うに表わされる。 −(n 2 2−n 1 2)/πsin(πw/Λ):グレーティング層内 Δn g 2={ (3) 0 :上記以外。
よる屈折率の摂動であり、グレーティング3を矩形と考
え、グレーティング3を構成する上部導波路層2の屈折
率をn2、クラッド層5の屈折率をn1として、以下のよ
うに表わされる。 −(n 2 2−n 1 2)/πsin(πw/Λ):グレーティング層内 Δn g 2={ (3) 0 :上記以外。
【0010】図2は、グレーティング3のデューティ比
(グレーティング歯幅/周期:w/Λ)を変化させた時
の結合係数κの変化を表わしている。グレーティング3
のデューティ比を変化させると、式(3)から、Δn g
2が変化し結合係数κを変える。この場合、さらには、
上の導波路2の実効的厚さも変えるため、電界分布形
状、伝搬定数も共に変化する。そのため、位相整合の条
件が変動し、位相整合波長がシフトする。そこで、デュ
ーティ比の変化に合わせて、周期Λを制御して、結合領
域に渡って位相整合波長を一定に保つ操作を行なう必要
がある。図2中の周期Λのカーブは、そのためのもので
ある。本素子においては、上記のようにデューティ比を
操作することにより、結合係数κの制御が図れる。
(グレーティング歯幅/周期:w/Λ)を変化させた時
の結合係数κの変化を表わしている。グレーティング3
のデューティ比を変化させると、式(3)から、Δn g
2が変化し結合係数κを変える。この場合、さらには、
上の導波路2の実効的厚さも変えるため、電界分布形
状、伝搬定数も共に変化する。そのため、位相整合の条
件が変動し、位相整合波長がシフトする。そこで、デュ
ーティ比の変化に合わせて、周期Λを制御して、結合領
域に渡って位相整合波長を一定に保つ操作を行なう必要
がある。図2中の周期Λのカーブは、そのためのもので
ある。本素子においては、上記のようにデューティ比を
操作することにより、結合係数κの制御が図れる。
【0011】次に、結合係数κが負値化できることを説
明する。結合係数の分布を行なうために、結合領域(長
さ;L)を図3のようにN個の領域(各領域の長さをl
1,l2,・・・,lN-1,lNとする)に分割し、各領域
の中では、パラメータは一定と仮定する。各領域のパラ
メータをF−マトリクスで表わすと入力端での電界Ee
(0),Eo(0)と出力端での電界Ee(L),E
o(L)は、以下のようになる。ただし、|を縦に並べ
たもの及び[]は行列であることを表す。 |Ee(0)| |Ee(L)| | |=〔F〕| | (4) |Eo(0)| |Eo(L)| 〔F〕は、結合領域を通しての特性を表しており、各領
域のFマトリクスをFkとすれば、 〔F〕=Π k=1 NFk (5)となる。
明する。結合係数の分布を行なうために、結合領域(長
さ;L)を図3のようにN個の領域(各領域の長さをl
1,l2,・・・,lN-1,lNとする)に分割し、各領域
の中では、パラメータは一定と仮定する。各領域のパラ
メータをF−マトリクスで表わすと入力端での電界Ee
(0),Eo(0)と出力端での電界Ee(L),E
o(L)は、以下のようになる。ただし、|を縦に並べ
たもの及び[]は行列であることを表す。 |Ee(0)| |Ee(L)| | |=〔F〕| | (4) |Eo(0)| |Eo(L)| 〔F〕は、結合領域を通しての特性を表しており、各領
域のFマトリクスをFkとすれば、 〔F〕=Π k=1 NFk (5)となる。
【0012】F−マトリクスの各要素は、以下のようで
ある。 F11=[cosh(γL)+iΔβLsinh(γL)/γL)]exp(iβB L), F12=−κLsinh(γL)exp[−i(βBL+φ)]/(γL), F21=−κLsinh(γL)exp[i(βBL+φ)]/(γL), (6) F22=[cosh(γL)−iΔβLsinh(γL)/γL)]exp(−iβB L). ここで、Δβ,γは、以下のようである。 Δβ=β−βB, (7) γ2=κ2−(Δβ)2, (8)。
ある。 F11=[cosh(γL)+iΔβLsinh(γL)/γL)]exp(iβB L), F12=−κLsinh(γL)exp[−i(βBL+φ)]/(γL), F21=−κLsinh(γL)exp[i(βBL+φ)]/(γL), (6) F22=[cosh(γL)−iΔβLsinh(γL)/γL)]exp(−iβB L). ここで、Δβ,γは、以下のようである。 Δβ=β−βB, (7) γ2=κ2−(Δβ)2, (8)。
【0013】ここで、βは伝搬波長の伝搬定数、βBは
位相整合波長での伝搬定数をそれぞれ表わす。φはグレ
ーティング3の位相を表わしている。φが0の場合は、
グレーティング3の位相が連続的に形成されている場合
であり、πの場合は、図4に示すように、境界において
グレーティング3が半波長シフトしたことに相当する。
すなわち、結合係数κを含むF12,F21は、exp(−
iπ)=−1となるため、見かけ上、結合係数κの記号
が正負逆転する。このように、境界において、位相φを
πシフトすることにより、結合係数κの分布に負の領域
が形成可能となる。
位相整合波長での伝搬定数をそれぞれ表わす。φはグレ
ーティング3の位相を表わしている。φが0の場合は、
グレーティング3の位相が連続的に形成されている場合
であり、πの場合は、図4に示すように、境界において
グレーティング3が半波長シフトしたことに相当する。
すなわち、結合係数κを含むF12,F21は、exp(−
iπ)=−1となるため、見かけ上、結合係数κの記号
が正負逆転する。このように、境界において、位相φを
πシフトすることにより、結合係数κの分布に負の領域
が形成可能となる。
【0014】
【実施例1】以下、実施例を説明する。特願平1−31
4841号明細書に示す様に、結合係数κに関して幾つ
かのテーパ関数が検討されている。そこで、そのテーパ
関数と、フーリエ変換スペクトルが方形波となるシンク
関数Sinc(απz/L)を組み合わせてみる。αは
定数である。以下にその組み合わされたテーパ関数を列
挙する。zは、光の伝搬方向を示している。
4841号明細書に示す様に、結合係数κに関して幾つ
かのテーパ関数が検討されている。そこで、そのテーパ
関数と、フーリエ変換スペクトルが方形波となるシンク
関数Sinc(απz/L)を組み合わせてみる。αは
定数である。以下にその組み合わされたテーパ関数を列
挙する。zは、光の伝搬方向を示している。
【0015】シンク・ハミング関数: f(z)=Sinc(3πz/L)[1+0.852cos(2πz/L)] (9) シンク・レイズドコサイン関数: f(z)=Sinc(3πz/L)[1+cos(2πz/L)] (10) シンク・ブラックマン関数: f(z)=Sinc(3πz/L)[1+1.19cos(2πz/L)+0.19cos (4πz/L)] (11) シンク・カイザー関数: f(z)=Sinc(3πz/L)[γ/sinh(γ)]I0 {γ[1−(2z/L)2]1/2 (12)。
【0016】ここでI0は、0次の第一種の変形された
ベッセル関数、γはシェーピングパラメータでここでは
10としている。上記のテーパ関数は、結合長Lで正規
化され、以下のように表わされる。 ∫ -L/2 2/Lf(z)dz=l (13) 以上より、結合係数κは以下のように表わされる。 κ(z)=κ0f(z)/L (14)。
ベッセル関数、γはシェーピングパラメータでここでは
10としている。上記のテーパ関数は、結合長Lで正規
化され、以下のように表わされる。 ∫ -L/2 2/Lf(z)dz=l (13) 以上より、結合係数κは以下のように表わされる。 κ(z)=κ0f(z)/L (14)。
【0017】k0は、結合係数κを相互作用領域にわた
って積分した値である。図5(b)は、シンク・ハミン
グ関数でテーパ化した結合係数κの分布を表わしてい
る。この分布を得るために、デューティ比と周期の変化
を図2から求める。図5(a)は、シンク・ハミング関
数分布を実現するためのグレーティング3のデューティ
比と周期の分布を表わしている。図中の点線は、位相シ
フトした境界であり、斜線部が負の結合係数κの領域で
ある。その結果、図5(b)のようなシンク・ハミング
関数に沿った結合強さκの分布が得られる。位相シフト
した境界で囲まれた領域は、結合係数κが負となる。
って積分した値である。図5(b)は、シンク・ハミン
グ関数でテーパ化した結合係数κの分布を表わしてい
る。この分布を得るために、デューティ比と周期の変化
を図2から求める。図5(a)は、シンク・ハミング関
数分布を実現するためのグレーティング3のデューティ
比と周期の分布を表わしている。図中の点線は、位相シ
フトした境界であり、斜線部が負の結合係数κの領域で
ある。その結果、図5(b)のようなシンク・ハミング
関数に沿った結合強さκの分布が得られる。位相シフト
した境界で囲まれた領域は、結合係数κが負となる。
【0018】図6から図9に上記(9)から(12)の
各関数によりテーパを付けたときの透過スペクトルを示
す(片側のみ示す)。構造は図1に示すものである。図
6乃至図9において、点線は、シンク関数と組み合わせ
ない場合で、実線は組み合わせた場合である。いずれ
も、シンク関数と組み合わせない場合と比べて、透過サ
イドローブのさらなる抑圧が図れ、かつ、方形波へ近づ
いている。
各関数によりテーパを付けたときの透過スペクトルを示
す(片側のみ示す)。構造は図1に示すものである。図
6乃至図9において、点線は、シンク関数と組み合わせ
ない場合で、実線は組み合わせた場合である。いずれ
も、シンク関数と組み合わせない場合と比べて、透過サ
イドローブのさらなる抑圧が図れ、かつ、方形波へ近づ
いている。
【0019】
【実施例2】本発明による方向性結合器フィルタをGa
As系半導体を用いて作製した例について、図1に沿っ
て説明する。GaAs基板上に、MBE(分子線エピタ
キシー)法により、下から順にAlGaAsクラッド層
6、GaAs(井戸)/AlGaAs(バリア)−多重
量子井戸(MQW)からなる下部導波路1、AlGaA
sクラッド層5、GaAs/AlGaAs−MQWから
なる上部導波路2、AlGaAsグレーティング層7を
成膜する。次いで、フォトマスク露光、反応性イオンビ
ームエッチング(RIBE)により、グレーティング3
を形成した後、CBE(ケミカルビームエピタキシー)
またはLPE(リキッドフェイズエピタキシー)法によ
りAlGaAsクラッド層8を成膜する。ここで用いる
フォトマスクは、コンピュータ制御による電子ビーム露
光により作製されたもので、所望の周期やデューティ比
のグレーティング3を容易に形成できる。
As系半導体を用いて作製した例について、図1に沿っ
て説明する。GaAs基板上に、MBE(分子線エピタ
キシー)法により、下から順にAlGaAsクラッド層
6、GaAs(井戸)/AlGaAs(バリア)−多重
量子井戸(MQW)からなる下部導波路1、AlGaA
sクラッド層5、GaAs/AlGaAs−MQWから
なる上部導波路2、AlGaAsグレーティング層7を
成膜する。次いで、フォトマスク露光、反応性イオンビ
ームエッチング(RIBE)により、グレーティング3
を形成した後、CBE(ケミカルビームエピタキシー)
またはLPE(リキッドフェイズエピタキシー)法によ
りAlGaAsクラッド層8を成膜する。ここで用いる
フォトマスクは、コンピュータ制御による電子ビーム露
光により作製されたもので、所望の周期やデューティ比
のグレーティング3を容易に形成できる。
【0020】本実施例では、シンク・ガウシアン関数f
(z)=Sinc(πz/L)exp[−(2πz/
L)2]による結合係数κのテーパを用いた。下部導波
路1から波長可変光源の光を入力したときの、上部導波
路2からの透過スペクトルを図10に示す。透過サイド
ローブが十分に抑圧されている様子が分かる。
(z)=Sinc(πz/L)exp[−(2πz/
L)2]による結合係数κのテーパを用いた。下部導波
路1から波長可変光源の光を入力したときの、上部導波
路2からの透過スペクトルを図10に示す。透過サイド
ローブが十分に抑圧されている様子が分かる。
【0021】
【実施例3】本発明による方向性結合器フィルタを光検
出器と集積化した例を図11に示す。集積化した素子
は、フィルタ領域11と検出器領域12からなり、検出
器領域12においては、上部導波路25の上層にi−G
aAsからなる光吸収層28が形成されている。i−G
aAs層28の下位層は全て、n型で構成されており、
上位層はp型で形成されている。従って、検出器領域1
2において、p−i−nフォトディテクタが構成され
る。
出器と集積化した例を図11に示す。集積化した素子
は、フィルタ領域11と検出器領域12からなり、検出
器領域12においては、上部導波路25の上層にi−G
aAsからなる光吸収層28が形成されている。i−G
aAs層28の下位層は全て、n型で構成されており、
上位層はp型で形成されている。従って、検出器領域1
2において、p−i−nフォトディテクタが構成され
る。
【0022】作成は、一回目の成長で検出器領域12を
全て成長し、フィルタ領域11のみ、上部導波路25が
露出するまでエッチングを行ない、位相シフト領域を有
するグレーティング26形成後、高抵抗のAlGaAs
クラッド層27を再成長する。この一回目の成長は、基
板21上に、順に、クラッド層22、下部導波路層2
3、クラッド層24、上部導波路層25、光吸収層2
8、クラッド層29、コンタクト層30を積層して行
う。図11において、31はコンタクト層30上のp型
電極、32は基板21裏面上のn型電極である。
全て成長し、フィルタ領域11のみ、上部導波路25が
露出するまでエッチングを行ない、位相シフト領域を有
するグレーティング26形成後、高抵抗のAlGaAs
クラッド層27を再成長する。この一回目の成長は、基
板21上に、順に、クラッド層22、下部導波路層2
3、クラッド層24、上部導波路層25、光吸収層2
8、クラッド層29、コンタクト層30を積層して行
う。図11において、31はコンタクト層30上のp型
電極、32は基板21裏面上のn型電極である。
【0023】フィルタ領域11の下部導波路23より入
力された光は、所望の波長において、上部導波路25に
結合移行し、検出器領域12の吸収層28に強く結合す
る。他の波長の光は、下部導波路23を伝搬し、検出器
領域12においても、その電界強度分布が吸収層28に
殆ど及んでいない為に、ほとんど吸収されず下部導波路
23を引き続き進む。後段に、グレーティング周期の異
なる図11と同構造の本素子を設けることにより、同時
に複数の波長を検出することも可能である。検出器領域
12においては、必要に応じて、バイアスを印加して周
波数応答の向上を図ることも無論可能である。
力された光は、所望の波長において、上部導波路25に
結合移行し、検出器領域12の吸収層28に強く結合す
る。他の波長の光は、下部導波路23を伝搬し、検出器
領域12においても、その電界強度分布が吸収層28に
殆ど及んでいない為に、ほとんど吸収されず下部導波路
23を引き続き進む。後段に、グレーティング周期の異
なる図11と同構造の本素子を設けることにより、同時
に複数の波長を検出することも可能である。検出器領域
12においては、必要に応じて、バイアスを印加して周
波数応答の向上を図ることも無論可能である。
【0024】
【実施例4】本方向性結合器フィルタを、光増幅器もし
くはアクティブな光フィルタから生じる自然放出光のカ
ットフィルタとして用いることも可能である。本素子に
よれば、半導体からなる光増幅器やアクティブ光フィル
タと同一基板上で集積することも容易で、有効なノイズ
カットフィルタとなる。
くはアクティブな光フィルタから生じる自然放出光のカ
ットフィルタとして用いることも可能である。本素子に
よれば、半導体からなる光増幅器やアクティブ光フィル
タと同一基板上で集積することも容易で、有効なノイズ
カットフィルタとなる。
【0025】図12はその例である。図11と同一機能
部には同一の番号を付してある。中央部の光増幅器13
の活性層38はフィルタ領域11の上部導波路25と一
致している。前段のフィルタ領域11で、使用増幅帯域
の波長のみが下部導波路23から上部導波路25へ移行
され、閾値より若干小さい電流が注入されている光増幅
器13で増幅を受け、後段のフィルタ領域11で、再び
下部導波路23へ戻り出力される。したがって、他の光
増幅器で発生した雑音光を、本素子の光増幅器13に入
る事前にカットすることが出来、さらに、自ら発生した
雑音光を出力光として漏らすことがなくなる。以上の動
作は、半導体光増幅器を多段接続したときに極めて有効
となる。
部には同一の番号を付してある。中央部の光増幅器13
の活性層38はフィルタ領域11の上部導波路25と一
致している。前段のフィルタ領域11で、使用増幅帯域
の波長のみが下部導波路23から上部導波路25へ移行
され、閾値より若干小さい電流が注入されている光増幅
器13で増幅を受け、後段のフィルタ領域11で、再び
下部導波路23へ戻り出力される。したがって、他の光
増幅器で発生した雑音光を、本素子の光増幅器13に入
る事前にカットすることが出来、さらに、自ら発生した
雑音光を出力光として漏らすことがなくなる。以上の動
作は、半導体光増幅器を多段接続したときに極めて有効
となる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、複数導波路間で導波モ
ードの結合を生じさせるグレーティングの位相シフトに
より、複数導波路間の結合係数の負値化が可能であるた
め、結合係数に分布をつけるテーパ関数の適用自由度を
拡げることができる。そのため、効果的な透過サイドロ
ーブ抑圧が図れ、さらに、フィルタ透過スペクトルをよ
り理想的な方形波に近付けることも可能となる。
ードの結合を生じさせるグレーティングの位相シフトに
より、複数導波路間の結合係数の負値化が可能であるた
め、結合係数に分布をつけるテーパ関数の適用自由度を
拡げることができる。そのため、効果的な透過サイドロ
ーブ抑圧が図れ、さらに、フィルタ透過スペクトルをよ
り理想的な方形波に近付けることも可能となる。
【0027】また、本発明による方向性結合器フィルタ
は、結合係数の設計が容易で、チャネル(導波路)間隔
やクロストーク抑圧比の仕様に広く応じることができ
る。さらには、光検出器、光増幅器等、他の素子との集
積化においても、極めて好適であり、現在及び今後の光
情報伝送システム、光通信システム、光LAN、光コン
ピューティング、光記録、光交換などに広く応用するこ
とが可能である。
は、結合係数の設計が容易で、チャネル(導波路)間隔
やクロストーク抑圧比の仕様に広く応じることができ
る。さらには、光検出器、光増幅器等、他の素子との集
積化においても、極めて好適であり、現在及び今後の光
情報伝送システム、光通信システム、光LAN、光コン
ピューティング、光記録、光交換などに広く応用するこ
とが可能である。
【図1】本発明による方向性結合器フィルタの動作原理
を説明する図。
を説明する図。
【図2】グレーティングのデューティ比、周期と結合係
数の関係を表す図。
数の関係を表す図。
【図3】本発明による方向性結合器フィルタの解析方法
を説明する図。
を説明する図。
【図4】本発明による方向性結合器フィルタ内でのグレ
ーティングの位相シフトの原理について説明する図。
ーティングの位相シフトの原理について説明する図。
【図5】グレーティングのデューティ比および周期の分
布と、それによる結合の強さの分布を説明する図。
布と、それによる結合の強さの分布を説明する図。
【図6】シンク・ハミング関数で結合係数をテーパ化し
たときの透過レスポンスを表す図。
たときの透過レスポンスを表す図。
【図7】シンク・レイズドコサイン関数で結合係数をテ
ーパ化したときの透過レスポンスを表す図。
ーパ化したときの透過レスポンスを表す図。
【図8】シンク・ブラックマン関数で結合係数をテーパ
化したときの透過レスポンスを表す図。
化したときの透過レスポンスを表す図。
【図9】シンク・カイザー関数で結合係数をテーパ化し
たときの透過レスポンスを表す図。
たときの透過レスポンスを表す図。
【図10】シンク・ガウシアン関数で結合係数をテーパ
化したときの透過レスポンスを表す図。
化したときの透過レスポンスを表す図。
【図11】本発明による方向性結合器フィルタと光検出
器を集積化した実施例を説明する図。
器を集積化した実施例を説明する図。
【図12】本発明による方向性結合器フィルタと光増幅
器を集積化した実施例を説明する図。
器を集積化した実施例を説明する図。
1,23 下部導波路 2,25 上部導波路 3,26 グレーティング 5,6,8,22,24,29 クラッド層 7 グレーティング層 11 フィルタ領域 12 検出噐領域 13 光増幅器 21 基板 27 高抵抗クラッド層 28 光吸収層 30 コンタクト層 31,32 電極 38 活性層
Claims (9)
- 【請求項1】 グレーティングを用いて波長選択を行な
う方向性結合器フィルタに於いて、グレーティングのデ
ューティ比が結合領域にわたって、テーパ状に変化して
いて、且つ、グレーティングの位相が途中少なくとも1
か所でシフトしていることを特徴とする方向性結合器フ
ィルタ。 - 【請求項2】 グレーティングのデューティ比の変化に
合わせて、周期自体も変化していることを特徴とする請
求項1記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項3】 積層された半導体の導波路からなること
を特徴とする請求項1記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項4】 光検出器と集積化されたことを特徴とす
る請求項1記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項5】 光増幅器と集積化されたことを特徴とす
る請求項1記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項6】 下部導波路とクラッド層と上部導波路か
らなり、下部及び上部導波路及びその周辺領域のいずれ
かにグレーティングが形成されていることを特徴とする
請求項1記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項7】 光検出器がp−i−n構造を有すること
を特徴とする請求項5記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項8】 光増幅器が半導体レーザ構造を有するこ
とを特徴とする請求項5記載の方向性結合器フィルタ。 - 【請求項9】 グレーティングのデューティ比が、シン
ク・ハミング関数、シンク・レイズドコサイン関数、シ
ンク・ブラックマン関数、シンク・カイザー関数、シン
ク・ガウシアン関数のいずれかに従ってテーパ状に変化
していることを特徴とする請求項1記載の方向性結合器
フィルタ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16542392A JP3053966B2 (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | 方向性結合器フィルタ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16542392A JP3053966B2 (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | 方向性結合器フィルタ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05333223A JPH05333223A (ja) | 1993-12-17 |
JP3053966B2 true JP3053966B2 (ja) | 2000-06-19 |
Family
ID=15812146
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16542392A Expired - Fee Related JP3053966B2 (ja) | 1992-06-01 | 1992-06-01 | 方向性結合器フィルタ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3053966B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101496950B1 (ko) * | 2013-10-30 | 2015-03-02 | 김인배 | 업소용 국솥 |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6381380B1 (en) * | 1998-06-24 | 2002-04-30 | The Trustees Of Princeton University | Twin waveguide based design for photonic integrated circuits |
JP3887738B2 (ja) * | 1998-11-04 | 2007-02-28 | 富士通株式会社 | 半導体光集積回路装置及びその製造方法 |
GB2370473B (en) * | 2000-12-21 | 2004-04-07 | Marconi Caswell Ltd | Improvements in or relating to optical communication |
JP5173394B2 (ja) * | 2007-12-21 | 2013-04-03 | パナソニック株式会社 | 光デバイス |
CN108604774A (zh) | 2016-02-12 | 2018-09-28 | 古河电气工业株式会社 | 半导体激光元件、衍射光栅结构以及衍射光栅 |
-
1992
- 1992-06-01 JP JP16542392A patent/JP3053966B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101496950B1 (ko) * | 2013-10-30 | 2015-03-02 | 김인배 | 업소용 국솥 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05333223A (ja) | 1993-12-17 |
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