JP3050755B2 - 網 戸 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、建物の玄関、窓などに
取付け、その開口面と平行な方向に蛇腹状の防虫網（以
下、単に網という）を伸縮して開閉される網戸に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】網を使用しない時には、網を開口面の左
右いずれか一方側に短縮して、開口面全体を開放するこ
とができるようにした伸縮網戸が提案されている。この
場合、網を伸縮させるためには、図８に示すように、網
１０６の一方の縦縁部を開口枠１００の上枠１０１及び
下枠１０２に沿って移動される可動縦枠１０５に固定
し、網１０６の他方の縦縁部を開口枠１００の一方の縦
枠１０４側に固定して、その可動縦枠１０５を開口枠１
００の開口面と平行に移動させる構造としている。

【０００３】ところで、図１０において網１０６を円滑
に開放又は閉鎖するには、上記可動縦枠１０５が、その
任意の高さにおいて力を加えても、常に鉛直状態で円滑
に移動することが必要である。また、このような伸縮網
戸においては、可動縦枠の位置のいかんに関わりなく、
すなわち、網の伸縮長のいかんによらず、網が風や人畜
によって撓むことがないように、これを保持する必要が
ある。このため、従来の網戸では、網１０６の各プリー
ツに貫通した紐１０７を可動縦枠１０５に設けたコロ１
０８を介して上枠１０１及び下枠１０２端部まで導き、
固定して、可動縦枠１０５がどの位置にあっても紐１０
７の長さが一定不変に保たれるように構成してある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
網戸のメンテナンスを行う場合には、開口枠１００から
可動縦枠１０５、網１０６、及び紐１０７を取外す必要
がある。しかしながら、従来の網戸では、コロ１０８が
開口枠１００及び可動縦枠１０５の内部に配設されてお
り、かつ、紐１０７が開口枠１００、可動縦枠１０５、
及び網１０６を挿通して配置されるなど、開口枠１０
０、可動縦枠１０５、網１０６、及び紐１０７の相互の
連結構造又は支持構造が複雑となっていた。したがっ
て、開口枠１００に対して、可動縦枠１０５、網１０
６、及び紐１０７を取付けたり、取外したりする操作が
面倒なため、網戸の開口枠に対する取付け及びメンテナ
ンスがやりずらかった。本発明は、上記の点に鑑みてな
されたものであり、開口枠に対する取付け及びメンテナ
ンスが容易にできるようにした伸縮網戸を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明の網戸は、上記目
的を達成するため、折畳み伸縮可能な網の一方の縦縁部
を上、下端部が開口枠の上、下枠に沿って移動される可
動縦枠に固定し、その網の他方の縦縁部を前記開口枠の
一方の縦枠に固定して、前記可動縦枠と前記縦枠の間に
前記網を開口枠の開口面と平行に伸縮自在に保持してな
る網戸において、前記開口枠の上枠に、その長手方向に
延長するレールと、同レールに嵌合してその長手方向に
滑動するスライダとからなるスライドレールの前記レー
ルを取付けて、前記可動縦枠の上端部を、前記スライド
レールのスライダに連結金具を介して着脱自在に取付
け、前記開口枠の下枠に、その長手方向に延長する案内
部材を設けて、その案内部材にその長手方向に移動可能
に係合した係合片を前記可動縦枠の下端部に着脱自在に
接続し、前記開口枠の一方の縦枠に一端を着脱自在に固
定した前記紐を前記網に水平方向に貫通して、その紐の
他端を前記可動縦枠内に回転自在に設けられた巻取軸に
結合し、前記巻取軸は、前記可動縦枠の移動に応じて正
転又は逆転されることにより、前記紐を巻取り又は巻戻
すものであり、前記網の他方の縦縁部を前記開口枠の一
方の縦枠に着脱自在に固定してあることを特徴としてい
る。

【０００６】また、本発明の網戸は、紐の一端部が、前
記紐に常時緊張方向の付勢を与える緊張手段に結合して
あり、前記緊張手段が、前記開口枠の一方の縦枠に着脱
自在に取付けられたケースと、前記ケースに収容されて
一端が固定され、自由端が前記紐の他端部に結合された
付勢部材とを有することを特徴としている。また、本発
明の網戸は、緊張手段が、ケースの入口近傍に紐の移動
方向をほぼ直角方向に変換するためのコロを枢着し、前
記紐の一端を前記コロを経由して、垂直方向に伸縮する
付勢部材の自由端に結合してなっていることを特徴とし
ている。

【０００７】さらに、縦枠の屋内側部分に他の縦枠方向
に開口するように収納溝を設け、その収納溝に前記緊張
手段のケースを収納して取付けたことを特徴としてい
る。

【０００８】

【作用】上記の構成により、網戸を構成する可動縦枠、
紐及び網は、一体に結合したまま開口枠から取外し可能
に取付けられている。また、紐は可動縦枠内の巻取軸に
巻取られるので、可動縦枠、紐及び網をバラバラにする
必要なしに開口枠に対して取付け及び取外しが可能であ
るため、網戸の取付け及びメンテナンスが容易となる。

【０００９】緊張手段が、開口枠の一方の縦枠に着脱自
在に取付けられたケースと、前記ケースに収容されて一
端が固定され、自由端が紐の一端部に結合された付勢部
材とを有するユニットに構成した場合は、紐の一端部が
網から抜けることを防止でき、また、紐の端部を開口枠
の縦枠から容易に取り外すことができる。

【００１０】緊張手段が、ケースの入口近傍に紐の移動
方向をほぼ直角方向に変換するためのコロを枢着し、紐
の一端をコロを経由して、垂直方向に沿って配置された
付勢部材の他端に結合して構成されている場合は、緊張
手段の長手方向を開口枠の長手方向に沿って配置できる
ので、緊張手段の設置スペースを節約でき、縦枠に対す
る取付け、取外しも容易である。

【００１１】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。図１は、本発明実施例の網戸を取付けた玄関の
屋内側から見た正面図、図２は図１のＸ−Ｘ線に沿った
縦断面図、図３は網戸を閉めた状態の横断面図、図４
は、同じく網戸を開けた状態の横断面図、図５はバネユ
ニットの構成を示す縦断面図、図６はバネユニットの変
形例を示す縦断面図、図７は可動縦枠の開口枠に対する
連結構造を示す要部の分解斜視図、図８は主としてスラ
イドレールを示す側面図である。

【００１２】図１において、Ａは玄関又は窓において躯
体に固定される開口枠であり、上枠１、下枠２、及び左
右の縦枠３，４を、通常の方法により矩形に連結されて
いる。図１では、扉が省略されている。図２〜４に示す
ように、開口枠Ａの見込み幅中央よりも屋外側部分に、
既知の扉Ｂが、ヒンジ５によりそのヒンジを中心として
屋外側に回転して開閉自在に取付けられている。

【００１３】上枠１の見込み幅中央に設けられた戸当り
壁６よりも屋内側部分に、上枠１の長手方向に連続して
下方に開口する溝７が形成してある。この溝７は、これ
に網戸Ｃの一構成部材である可動縦枠ＭＪの上端部が移
動可能に嵌合し得る。また、下枠２の見込み幅中央に設
けられた戸当り壁８よりも屋内側部分に、下枠２の長手
方向に連続して屋外方向に開口する案内溝（案内部材）
９が形成してある。案内部材は、下枠に一体に成形する
ことに代えて、別体に成形された部材を、下枠２に結合
しても良い。

【００１４】縦枠３，４の見込み幅中央に設けられた戸
当り壁１０，１２よりも屋内側に、互いに他の縦枠方向
に開口する収容部１１，１３が形成してあり、一方の縦
枠（網戸閉鎖時に可動縦枠ＭＪと近接する縦枠、図１，
３，４においては左の縦枠３）の収容部１１の開口は、
遮蔽部材１４により遮蔽されている。

【００１５】この遮蔽部材１４は、図８に詳細に示すよ
うに、帯板１４ａの背面に一対の係合突縁１４ｂを一体
に成形してなり、帯板１４ａの表面中央に長手方向に連
続するように形成された溝１４ｃに、後述される可動縦
枠のＭＪの遮蔽部材に取付けられた磁性板３０に対応す
る位置において、マグネットＭＧが押入係止により固定
してあり、そのマグネット以外の部分には、図示しない
モヘアなどの軟質部材Ｓが嵌合して固定されている。遮
蔽部材１４は、図８に示すように、係合突縁１４ｂを縦
枠３の収容部１１の開口面に形成された一対の溝１１ａ
の間に押入係合により固定される。

【００１６】他方の縦枠（網戸開放時に可動縦枠ＭＪに
近接する縦枠、図１，３，４においては右の縦枠４）の
収容部１３には、蛇腹状の折畳み可能な網３７を水平方
向に貫通して支持する紐３８に対して常時緊張方向の付
勢力を与える緊張手段を構成するバネユニット１５が固
定されている。このバネユニット１５は、図５に示すよ
うに、ケース１５ａと、そのケース内に一端を固定され
た付勢部材としてのコルイバネ１５ｂと、コイルバネ１
５ｂの他端に結合された紐３８を半回される、ケース１
５ａに枢着されたコロ１５ｃと、縦枠４の収容部１３に
対してねじ止めするための孔１５ｄが開設された取付部
１５ｅとから構成されている。したがって、バネユニッ
ト１５は、開口枠Ａに対して容易に着脱し得るように取
付けられている。

【００１７】コロ１５ｃは、付勢方向がほぼ垂直方向と
なるように配置されたコイルバネ１５ｂに紐３８を結合
するために、紐３８の移動方向をほぼ直角方向（水平方
向及び垂直方向）に変換するためのものである。バネユ
ニット１５を上記構成とすることにより、バネユニット
１５の長手方向を垂直方向、すなわち縦枠４の長手方向
とを一致させて配置することができるので、バネユニッ
ト１５を縦枠４に設置する際に縦枠の空間を有効利用で
きる利点がある。

【００１８】また、縦枠４の背面側にバネユニット収納
部１３を設けない場合には、スライドレールのスライダ
１８が移動安定性を確保するために所要の長さを備えた
場合に、可動縦枠ＭＪを網戸開放方向の終端部、すなわ
ち、縦枠４間で移動した場合には、スライダの先端部が
先に縦枠に当接して停止されるため、そのスライダに連
結された可動縦枠が縦枠４に当接するまで移動できない
ことがあり得る。しかし、縦枠４の背面側にバネユニッ
ト収納部１３を設けたので、スライダ１８はそのバネユ
ニット収納部１３の上端部まで移動できるため、可動縦
枠が縦枠４に当接するまで移動することができ、開口面
の開放量を最大限にすることができる利点がある。

【００１９】なお、縦枠４内において水平方向に十分な
スペースを確保できる場合には、図６に示すように、上
記バネユニット１５からコロ１５ｃを省略するととも
に、コイルバネ１５ｂを水平方向に配置したバネユニッ
ト１５Ａを構成することも可能である。この場合には、
バネユニット１５Ａの長手方向が水平方向となる。

【００２０】前記上枠１の戸当り壁６の屋内側面の上下
端部に、互いに対向して開口する嵌合溝６ａ，６ｂが形
成してあり、それらの嵌合溝にスライドレール１６が取
付けてある。スライドレール１６は、図７及び図８に示
すように、上下両端部に凹状の小球転動面１７ａ，１７
ｂを有し、かつ、開口枠の上枠１の長手方向に延長する
レール１７と、上下両端部に前記レールの小球転動面に
対向する凹状の小球転動面１８ａ，１８ｂを有する短尺
のスライダ１８と、前記両レール部材の小球転動面を転
動する複数個の鋼球などの小球１９ａ，１９ｂを各レー
ル部材の長手方向に離間して回転自在に保持するリテー
ナ２０とからなっている。

【００２１】スライドレール１６は、予め上枠１に取付
けてあり、開口枠Ａの組立て及び建物に対する取付け後
に、そのスライドレール１６のスライダ１８に連結金具
２１を介して網戸Ｃの可動縦枠ＭＪの上端部を連結する
ことにより、可動縦枠ＭＪの上端部を吊持している。

【００２２】スライダ１８は、所要の長さを持ってリテ
ーナ２０に嵌合しているので、可動縦枠ＭＪは、開口面
と平行な方向にも、また、開口面に直角な方向にも横振
れすることなく、すなわち、完全な鉛直状態を維持しな
がら、上枠１の長手方向に非常に軽快に移動することが
できる。

【００２３】連結金具２１は、その上端部をスライダ１
８にねじ２２ａにより予め固定されており、また、下端
部を可動縦枠ＭＪの屋外面にねじ２２ｂで固定されてい
るので、可動縦枠ＭＪを上枠１に対して容易に着脱する
ことができる。

【００２４】また、可動縦枠ＭＪの下端部には、図７の
下部に示すように、少なくとも一部の断面形状が可動縦
枠ＭＪと等しいプラスチック製の下部部材２３が、その
上面に形成された一対の係合突起２４を可動縦枠ＭＪの
下端部に押入して一体的に結合してある。そして、その
下部部材２３の屋内側面に係合片２５がねじ２２ｃによ
り固定されている。この係合片２５は、開口枠Ａの組立
て時に、予め、下枠２の案内溝９に係合部２５ａを嵌合
した状態で備えてあり、可動縦枠ＭＪを開口枠Ａに取付
ける際に、その係合片２５を下部部材２３にねじ止めさ
れる。

【００２５】こうして、可動縦枠ＭＪは、その上端部が
前記スライドレール１６により横揺れすることなく上枠
１の長手方向に移動可能であり、下端部は係合片２５を
介して、横揺れすることなく、下枠２の長手方向に移動
可能である。すなわち、可動縦枠は、その任意の高さに
おいて開閉方向の力を加えられても、常に鉛直状態を維
持して図１において左右方向へ移動する。

【００２６】可動縦枠ＭＪは、図３及び図４に示すよう
に、横断面形状が概略Ｈ字形に形成され、中央のウェブ
２６に関して一方の縦枠３側に開口する巻取軸収納溝２
７を有し、また、前記ウェブ２６に関して巻取軸収納溝
２７と反対側に開口する網収納溝２８を有している。そ
して、巻取軸収納溝２７の開口面は、この可動縦枠に嵌
合して固定された遮蔽部材２９により遮蔽されている。

【００２７】遮蔽部材２９は、図９に示すように、前記
ウェブ２６とほぼ等しい幅を有する帯板２９ａの表裏に
互いに反対方向に屈曲された一対の凸条２９ｂ，２９ｃ
を一体に備えており、図９に示すように、裏面の一対の
凸条２９ｃを、巻取軸収納溝２７を形成する一対の縦壁
の先端部間に嵌合することにより固定されている。そし
て、表面の一対の凸条２９ｂの間には、複数箇所の所定
の高さにおいて磁性板３０が固定されている。

【００２８】前記巻取軸収納溝２７の内部には、その上
端部から下端部まで連続する巻取軸３１が回転自在に保
持されている。上端部は、可動縦枠の上端部内側に備え
た軸受３２により、また、下端部は、下部部材２３の上
面に突設した支軸３３により回転自在に支持されてい
る。また、巻取軸３１は、その上端部が可動縦枠の上端
部よりも若干上方に突出され、その突出された部分にピ
ニオン３４が固定されていて、そのピニオン３４が上枠
１の溝７を形成する屋内側垂下壁７ａの内面に取付け
た、上枠１の長手方向に延長するラック３５と噛み合わ
されている。従って、可動縦枠ＭＪが開口枠Ａの開口面
と平行な方向に移動されると、巻取軸３１が巻取方向又
は巻戻方向に回転されるようになっている。

【００２９】可動縦枠ＭＪの前記網収納溝２８の底部、
すなわち、巻取軸３１側には、一例として一対の嵌合溝
３６を形成してあり、それらの嵌合溝に折畳み可能なよ
うに蛇腹状に形成された網３７の一方縦縁を厚肉に形成
してなる固定部３７ａを嵌脱自在に取付けることができ
るようになっている。可動縦枠ＭＪの網収納溝２８内に
は、折り畳んで短縮された網の各プリーツ３７ｃを収納
することができる。

【００３０】一方、網３７の他方端縁を厚肉に形成して
なる固定部３７ｂは、開口枠Ａの他の縦枠４の収容部１
３の開口面に対向して開口するように形成してある溝１
３ａに嵌脱自在に取付けることができるようになってい
る。

【００３１】巻取軸３１には、その高さ方向に間隔を持
った位置において環状の凹部３１ａが形成してあり、そ
の凹部において巻取軸を貫通させた小孔にプラスチック
ロープ又はワイヤロープなどの紐３８の一端を貫通し、
その先端に抜け止め具を接続するなどして、紐３６の一
端部が巻取軸３１に結合してある。巻取軸３１の凹部３
１ａは、紐の巻取時の紐を案内し、かつ、最大巻取径を
可及的に小さくするためである。しかし、紐の巻取部に
はスプールを固着してもよい。

【００３２】前記各紐３８は、網３７の固定部３７ａ、
固定部３７ｂ及びその間の各プリーツ３７ｃに形成して
ある小孔に水平方向に貫通され、その紐の他端部は、縦
枠４の収容部１３に取付けてあるバネユニット１５のバ
ネ１５ｂの自由端部に結合してある。紐３８は、その一
端が巻取軸３１に巻き取られており、他端がバネユニッ
ト１５に結合されている。したがって、紐３８は、バネ
ユニット１５のコイルスプリング１５ｂによる付勢力が
常時緊張方向に対して作用することによって緊張状態に
維持された状態で網３７を保持している。

【００３３】次に、上記構成の網戸の開閉動作について
説明する。可動縦枠ＭＪは、その上端部がスライドレー
ル１６により上枠１に吊持され、移動されるから、開口
枠Ａの開口面と平行な方向にも、また、開口面と直角な
方向にも、振れることが有効に防止される。また、可動
縦枠ＭＪの下端部は、係合片２５により同様に開口枠の
開口面と平行な方向及び直角な方向に振れることが防止
される。従って、可動縦枠ＭＪは、その任意の高さにお
いて開閉力を与えられた場合にも、常に鉛直状態を維持
して円滑に開口面と平行な方向に移動する。

【００３４】可動縦枠ＭＪを図１において左に移動する
時は、図３に示すように、網３７が伸長されて網戸が閉
鎖される。遮閉部材２９が縦枠３の遮閉部材１４に接近
すると、磁性板３０がマグネットＭＧに吸着されるた
め、閉鎖状態に固定される。また、可動縦枠ＭＪを右に
移動する時は、図４に示すように、網３７が短縮されて
網戸が開放される。従って、扉Ｂを開放して、玄関を自
由に通行することができる。

【００３５】そして、可動縦枠ＭＪの移動と共に、ピニ
オン３４とラック３５の作用により、巻取軸３１が回転
される。図３において、可動縦枠ＭＪを右に移動する時
は、その移動量に応じて巻取軸３１が巻取方向に回転さ
れて紐３８を巻き取る。従って、可動縦枠ＭＪがどこに
存在しても、紐３８は常に緊張状態を維持し、網の弛み
を防止する。これに対して、図４において可動縦枠ＭＪ
を左に移動するときは、同様にその移動量に応じて巻取
軸３１が逆回転されてその巻取軸から紐３８が巻き戻さ
れる。そして、紐の他端部はバネ１５ｂに結合されてい
るので、可動縦枠ＭＪの移動量と巻取軸３１の回転量と
の間に若干の差があっても、紐は常に所要の緊張状態を
保持して、網の弛みを防止する。さらに、可動縦枠ＭＪ
は、スライドレール１６により完全に鉛直状態を保って
円滑に移動されるから、ピニオン３４とラック３５の噛
合い状態が崩れることが無いので、可動縦枠ＭＪの移動
に応じて巻取軸３１が確実に回転されるため、一部の紐
のみが弛むことがない。

【００３６】また、可動縦枠ＭＪの下端部を下枠２の長
手方向に移動自在に案内する係合片２５は、上述したよ
うに、巻取軸３１の下端部を支持するために使用した下
部部材２３に着脱自在に取付けるだけでなく、可動縦枠
ＭＪの下端部に直接着脱自在に取付けてもよい。また、
係合片２５の係合部２５ａはコロで構成されても良い。
さらに、下枠２の案内部材は溝９に限らない。係合片２
５を下枠の長手方向に案内する任意の形状のもので良
い。

【００３７】開口枠の開口面の網により遮蔽される面積
が種々異なる場合は、幅の異なる網が使用され、従っ
て、短縮状態の幅（左右両端の端縁間距離）も異なるの
で、採用される網の幅に応じて、網収納溝３３の深さが
異なる可動縦枠が用いられる。

【００３８】上記の実施例のように、可動縦枠ＭＪに対
してスライドレール１６及び係合片２５をねじ止めなど
により着脱自在に連結する構造とした場合は、スライド
レール１６及び係合片２５は常に同一のものを使用し
て、網収納溝の深さが異なるどの可動縦枠をも、同じ要
領で取付けることができる利点がある。

【００３９】次に、上記網戸のメンテナンスにあたっ
て、可動縦枠ＭＪ、紐３７、及び網３８を開口枠Ａから
取り外す操作について説明する。まず、図４に示すよう
に、網戸Ｃを閉鎖状態、すなわち網３７を可動縦枠ＭＪ
の網収納溝３３に収納した状態にする。この状態では、
前述したように紐３８は、巻取軸３１に巻取られてい
る。図５又は図６に示すように、複数のバネユニット１
５を縦枠４に結合しているねじ１５ｄを取外す。次い
で、図４に示すように、網３７の厚肉に形成してなる固
定部３７ｂを開口枠Ａの縦枠４の溝１３ａから取外す。
次に、図７に示すように、可動縦枠ＭＪの下部を係合片
２５に結合しているねじ２２ｃを取外す。さらに、図７
に示すように、可動縦枠ＭＪの上部を連結金具２１に結
合しているねじ２２ｃ取外す。これにより、開口枠Ａの
ラック３５と可動縦枠ＭＪ側のピニオン３４との噛合を
解除して両者を分離できる。このように、きわめて簡単
な操作によって、紐３７及び網３８は可動縦枠ＭＪに巻
取られ、及び収納された状態で、すなわち可動縦枠Ｍ
Ｊ、紐３７、及び網３８は、一体的に結合された状態の
ままで開口枠Ａから取外すことができる。このため、取
扱いが容易で、作業が行いやすい。

【００４０】なお、この状態では、紐３７の端部にバネ
ユニット１５が結合したままの状態であるため、網３８
を貫通して保持する紐３７が網３８の貫通孔から不用意
に抜け落ちることを防止できる。したがって、後に行う
メンテナンス作業の能率を向上させることができる利点
がある。また、網３８から紐３７を引き抜く場合には、
上記バネユニット１５から紐３７の一端部の結合を解く
か、巻取軸３１から紐３７の他端部の結合を解くかすれ
ばよく、この操作もきわめて容易なものである。また、
メンテナンスの終了した可動縦枠ＭＪ、紐３７、及び網
３８を開口枠Ａに取付ける操作は、概ね上記操作と逆の
手順で行えばよく、上述の取り外し操作と同様にきわめ
て容易である。

【００４１】さらに、上記の実施例は、玄関に適用した
場合のものであるが、本発明は、窓にも同様に適用する
ことができ、同一の作用効果を発揮する。

【００４２】なお、バネユニット１５の縦枠４に対する
固定方法は、本実施例で示したねじによる固定の他、縦
枠４にケース１５ａを嵌脱自在に保持し得る嵌合部を設
けてもよい。また、バネユニット１５のコイルばね１５
ｂと紐３８とは、周知のフック状の結合金具等によって
着脱自在に結合してもよい。この場合には、バネユニッ
ト１５を着脱する必要がない。さらに、緊張手段とし
て、バネユニット１５の代わりに、水平方向に張設され
たコイルスプリングを用い、その一端を縦枠４に固定す
るとともに、他端を紐３８に周知の結合金具等によって
着脱自在に結合してもよい。

【００４３】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の網戸によ
れば、可動縦枠、紐及び網が一体的に結合されたまま開
口枠に対して取外し可能に取付けられており、かつ、紐
は可動縦枠内の巻取軸に巻き取られるので、可動縦枠、
紐及び網の取付け並びに取外し操作が簡単となるため、
網戸の開口枠に対する取付け及びメンテナンスが容易と
なる。

【００４４】また、紐の他端部が、開口枠に着脱自在に
設けられた緊張手段に結合されている場合は、紐の他端
部を縦枠に対して容易に固定することができ、また、網
戸を開口枠から取外す場合に、紐の他端部が網から抜け
ることが防止されるので、メンテナンス作業を円滑に行
うことができる。

【００４５】緊張手段に、紐の移動方向をほぼ直角方向
に変換するためのコロを枢着し、紐が、水平方向に網を
貫通して保持するとともに、コロを経由して、垂直方向
に沿って配置された付勢部材の他端に結合されている場
合には、緊張手段の長手方向を開口枠の長手方向に沿っ
て配置できるので、緊張手段の設置スペースを節約でき
る。

【００４６】さらに、縦枠の屋内側部分に他の縦枠方向
に開口するように収納溝を設け、その収納溝に前記緊張
手段のケースを収納して取付けた場合は、緊張手段が室
内側に露顕されないので、伸縮網戸を取付けた開口部の
体裁が低下することが防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の網戸の一実施例を示す正面図であり、
網戸を取付けた玄関の屋内側から見た状態を示してい
る。

【図２】図１のＸ−Ｘ線に沿った縦断面図である。

【図３】網戸を閉めた状態の横断面図である。

【図４】網戸を開けた状態の横断面図である。

【図５】バネユニットの構成を示す縦断面図である。

【図６】バネユニットの構成の変形例を示す縦断面図で
ある。

【図７】可動縦枠の開口枠に対する連結構造を示す要部
の分解斜視図である。

【図８】主としてスライドレールを示す側面図である。

【図９】開口枠の一方の縦枠及び可動縦枠の分解した状
態の横断面図である。

【図１０】従来の伸縮網戸の一例を示す正面図である。

【符号の説明】

Ａ 開口枠 １ 上枠 ２ 下枠 ３，４ 縦枠 ９ 案内部材 Ｃ 網戸 ＭＪ 可動縦枠 １５ バネユニット（緊張手段） １５ａ ケース １５ｂ コイルバネ（付勢部材） １５ｃ コロ １６ スライドレール ２５ 係合片 ３１ 巻取軸 ３７ 網 ３７ａ，３７ｂ 縦縁部 ３８ 紐

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】折畳み伸縮可能な網の一方の縦縁部を上、
   下端部が開口枠の上、下枠に沿って移動される可動縦枠
   に固定し、前記網の他方の縦縁部を前記開口枠の一方の
   縦枠に固定し、前記可動縦枠と前記縦枠の間に前記網を
   前記開口枠の開口面と平行に伸縮自在に保持してなる網
   戸において、 前記開口枠の上枠に、その長手方向に延長するレール
   と、そのレールに嵌合してその長手方向に滑動するスラ
   イダとを有するスライドレールの前記レールを設けて、
   前記可動縦枠の上端部を、前記スライドレールのスライ
   ダに連結金具を介して着脱自在に取付け、 前記開口枠の下枠に、その長手方向に延長する案内部材
   を設けて、その案内部材にその長手方向に移動可能に係
   合した係合片を前記可動縦枠の下端部に着脱自在に接続
   し、 前記開口枠の一方の縦枠に一端を着脱自在に固定した複
   数本の紐を前記網に水平方向に貫通して、その紐の他端
   を前記可動縦枠内に回転自在に設けられた巻取軸に結合
   し、 前記巻取軸は、前記可動縦枠の移動に応じて正転又は逆
   転されることにより、前記紐を巻取り又は巻き戻すもの
   であり、 前記網の他方の縦縁部を前記開口枠の一方の縦枠に着脱
   自在に固定してあること、 を特徴とする網戸。
2. 【請求項２】請求項１記載の網戸において、紐の一端部
   は、前記紐に常時緊張方向の付勢を与える緊張手段に結
   合してあり、 前記緊張手段は、前記開口枠の一方の縦枠に着脱自在に
   取付けられたケースと、前記ケースに収容されて一端が
   固定され、自由端前記が紐の一端部に結合された付勢部
   材とを有することを特徴とする網戸。
3. 【請求項３】請求項２記載の網戸において、緊張手段
   は、ケースの入口近傍に紐の移動方向をほぼ直角方向に
   変換するためのコロを枢着し、前記紐の一端を前記コロ
   を経由して、垂直方向に伸縮する付勢部材の自由端に結
   合してなっていることを特徴とする網戸。
4. 【請求項４】請求項２又は３記載の網戸において、縦枠
   の屋内側部分に他の縦枠方向に開口するように収納溝を
   設け、その収納溝に緊張手段のケースを収納して取付け
   たことを特徴とする網戸。