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JP3009577B2 - ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの製造方法

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JP3009577B2
JP3009577B2 JP5306637A JP30663793A JP3009577B2 JP 3009577 B2 JP3009577 B2 JP 3009577B2 JP 5306637 A JP5306637 A JP 5306637A JP 30663793 A JP30663793 A JP 30663793A JP 3009577 B2 JP3009577 B2 JP 3009577B2
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polyethylene
naphthalenedicarboxylate
polypropylene
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一徳 田中
寛志 徳田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリエチレン−2,6−
ナフタレートフィルムの製造法に関し、さらに詳しくは
ポリプロピレンフィルムの少くとも片面に極薄ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルム
が積層されている易剥離性積層フィルムから、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレートフィルムを剥離することに
よるポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムの製
造法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンデンサーは、絶縁フィルムと金属薄
膜とを重ね合せて巻回する方法、金属を絶縁フィルムの
表面に蒸着する方法等で製造され、この絶縁フィルムと
して、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、
二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの有機重合体フィ
ルムが使用されている。
【0003】近年、電気機器の小型軽量化にともなっ
て、コンデンサーもますます小型化されてきており、そ
の為それに使用される絶縁フィルムもさらに薄いものが
要求されてきている。
【0004】現在実用化されているフィルムの厚みは、
ポリエチレンテレフタレートフィルムで1.5μm程度
である。
【0005】しかしながら、コンデンサの容量増加のた
めにフィルム厚みをこれらより薄くした場合、フィルム
の製造工程での破断が頻発し、製品をとることが非常に
困難になっている。さらに、薄いフィルムでは腰が軟ら
かいために取扱いが難しく、蒸着の工程ではフィルムに
しわが生じ易く、このしわによって蒸着工程の冷却ドラ
ム上でのフィルムと冷却ドラムとの密着不良を起こし、
フィルムの熱負けが発生する。従来は、縦方向の張力を
高くすることによってフィルムのしわを防いでいるが、
フィルムが薄くなることによって伸び易くなり、蒸着、
スリットを経たフィルムの端面はわかめ状となってしま
う。
【0006】これらの問題点を解消する目的で種々の提
案がなされている。例えばフィルム製造工程での極薄ポ
リエチレンテレフタレートフィルムの破断を解消する目
的で、あらかじめ異種のフィルムと積層して厚いフィル
ム状となし、これを延伸処理してから極薄ポリエチレン
テレフタレートフィルムを剥離する方法が提案されてい
る。例えば、特開昭58−5226号公報には、ポリオ
レフィンとポリエチレンテレフタレートとを共押し出し
して積層シートとし、これを延伸した後、ポリエチレン
テレフタレートフィルムを剥離することで極薄フィルム
を作る方法が示されている。このように、異種ポリマー
同士を積層し、製膜後に剥離することで極薄フィルムを
造るといった方法はほかにも数多くあり、例えば特開昭
60−163419、58−132520、58−13
6417、57−176125、52−37982号公
報などに同様の手法が提案されている。
【0007】しかしながら、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムでは、前に述べたように、剥離後のフィルム
の腰の強さ、熱負けといった問題があり、蒸着の工程で
生じる問題の本質的な改善にはならない。
【0008】そこで、フィルムが薄くなることによって
生じる本質的な問題、すなわち取扱いの困難さ、蒸着時
の熱負けに対する改善策として、高弾性率を有する二軸
延伸ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ートフィルムを絶縁フィルムとして用いる方法が、例え
ば特開昭63−140512号公報によって提案されて
いる。
【0009】しかしながら、近年の電気、電子回路の小
型化の要求は留まるところがなく、コンデンサー用フィ
ルムの薄膜化がより一層望まれており、特開昭63−1
40512号公報で提案された二軸延伸ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムであっ
ても、前に述べたような問題がクローズアップされてき
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した欠点を改善したフィルム、すなわち極薄フィルムの
生産性を向上させ、さらにコンデンサー製造工程におけ
る熱負けなどの欠陥発生のないコンデンサー用フィルム
を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のかかる目的は、
本発明によれば、複屈折が0.008以下で、厚みが5
〜30μmのポリプロピレンフィルムの少くとも片面
に、縦、横方向のヤング率がともに600kg/mm2
以上で、厚みが0.2〜2μmのポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートフィルムが積層されて
いる易剥離性積層フィルムから、ポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを剥離するこ
とを特徴とするポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートフィルムの製造方法によって達成され
る。
【0012】本発明におけるポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレートは、その繰り返し単位が実
質的にエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
ト単位から構成されているものであればよく、共重合さ
れないポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートのみならず、繰り返し単位の数の10%以下、好
ましくは5%以下が他の成分で代替されているようなエ
チレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合
体、ならびにポリマー混合物を含むものである。
【0013】一般にポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートはナフタリン−2,6−ジカルボン
酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコー
ルまたはそのエステル形成性誘導体とを触媒の存在下で
反応させることによって製造されるが、前記のポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート共重合体
や混合物では、このポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートの重合完結前に適当な1種または2
種以上の第3成分(変性剤)を添加し、共重合または混
合することで製造することができる。
【0014】好適な第3成分としては、2価のエステル
形成官能基を有する化合物、例えばシュウ酸、アジピン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ
ン−2,7−ジカルボン酸、コハク酸、ジフェニルエー
テルジカルボン酸などのジカルボン酸またはその低級ア
ルキルエステル、P−オキシ安息香酸、P−オキシエト
キシ安息香酸の如きオキシカルボン酸またはその低級ア
ルキルエステル、あるいはプロピレングリコール、テト
ラメチレングリコールの如き2価アルコール類などの化
合物が挙げられる。
【0015】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキ
レングリコール等の一官能性化合物によってポリマー末
端の水酸基及び/またはカルボキシル基を封鎖したもの
であってもよく、また例えばグリセリン、ペンタエリス
リトールの如き三官能、四官能性のエステル形成性化合
物で実質的に線状の重合体が得られる範囲内で変性され
たものでも良い。
【0016】一方、本発明におけるポリプロピレンは、
その繰り返し単位が実質的にプロピレン単位から構成さ
れているものであればよく、共重合されていないポリプ
ロピレンのみならず、繰り返し単位の数の10%以下、
好ましくは5%以下が他の成分、例えばエチレン、ブテ
ン等で代替されているような共重合体、ならびにポリマ
ー混合物を含むものである。
【0017】本発明においては、積層フィルムがポリプ
ロピレンフィルムの少くとも片面にポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを積層した
構造をとるが、該ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートフィルムは2軸方向(縦方向及び横方
向)に配向した、厚さが0.2〜2μm、好ましくは
0.2〜1μmのフィルムである。このフィルム厚さが
0.2μmより薄い場合剥離工程での破断が頻発し実用
的でなく、他方2μmより厚い場合フィルム単体でも取
り扱うことができるため、本発明のような積層体にする
必要はない。
【0018】さらにポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートフィルムは縦及び横方向のヤング率
が各々600kg/mm2 以上であることが必要であ
る。縦方向のヤング率が600kg/mm2 より低い場
合、コンデンサーの小型化、軽量化に伴ってフィルムが
薄くなると腰が弱くなる(剛性の低下)ことから、蒸着
時にしわが生じたり、またしわを防止する目的でフィル
ム張力を高くするとフィルムが延びたりする。そして、
蒸着、スリット後のフィルム端面がわかめ状に変形(伸
張、収縮)して平坦でなくなり、このためメタリコン溶
射金属が内部まで浸入し、コンデンサー端子間の絶縁抵
抗を低下させることとなり、好ましくない。
【0019】また、横方向のヤング率が600kg/m
2 より低い場合、横方向のスティフネス(腰)が弱
く、縦方向に小じわが発生し、蒸着工程で冷却ドラムと
の接触不良による熱負けを起こし、そしてヒートプレス
時、この熱負け部に空隙を生じ、これにより実効誘電率
が低下し、ばらつきも大きくなり、好ましくない。
【0020】縦及び横方向のヤング率が各々600kg
/mm2 以上のポリエチレンテレフタレートフィルムの
製造には、縦及び横方向の延伸倍率を高める必要がある
が、このような製造方法ではフィルム厚みが薄くなるに
従って製膜時の破断が頻発し、生産性が極度に低下す
る。
【0021】しかるに、ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートフィルムでは、ポリエチレンテ
レフタレートフィルムと同一の延伸倍率であっても高い
ヤング率が得られる、という利点を有する。例えば、縦
延伸倍率を3.6倍とし、横延伸倍率を3.9倍とした
場合ポリエチレンテレフタレートフィルムでは縦、横方
向のヤング率は各々530kg/mm2 程度であるのに
対し、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシ
レートフィルムでは600kg/mm2 以上のヤング率
が容易に得られる。さらに、ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレートは延伸製膜性に優れ、ポリ
エチレンテレフタレートに較べ高倍率延伸が可能であ
り、高強力化フィルムが得やすい、という利点を有す
る。
【0022】2軸延伸方法としては、例えば未延伸フィ
ルムを縦方向に延伸した後横方向に延伸する、いわゆる
縦−横逐次延伸法、縦、横方向に同時に延伸する同時2
軸延伸法、通常の2軸延伸フィルムを再度縦方向あるい
は横方向に、さらには縦、横方向同時に延伸する再延伸
法等があるが、本発明における延伸法としてはこれらの
いずれの方法であっても良い。
【0023】一方、前記ポリプロピレンフィルムは、厚
さが5〜30μm、複屈折が0〜0.008、好ましく
は0〜0.005の範囲にあることが必要である。複屈
折が上記範囲を越えると、ポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレートフィルムとポリプロピレンフ
ィルムを剥離する際にポリプロピレンフィルムが切れた
り裂けたりし易くなるので好ましくない。
【0024】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートフィルムとポリプロピレンフィルムの間の
付着力(密着強度)は0.1〜2.0g/cmであるこ
とが好ましく、さらには0.1〜1.5g/cm、特に
0.1〜0.8g/cmの範囲にあることが好ましい。
この付着力がこれより低いと、製膜時の搬送中に剥離を
生じ、その部分が折れたり、破れたりするので、好まし
くない。他方付着力がこれより高いと、ポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムとポリ
プロピレンフィルムを剥離する工程で切れたり、破れた
りするので、好ましくない。ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレートフィルムとポリプロピレン
フィルムの付着力を上記範囲にする方法としては、ポリ
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィ
ルム及び/またはポリプロピレンフィルム中に0.00
1〜1重量%、好ましくは0.005〜0.5重量%の
非粒子系滑剤を添加含有させる方法が好ましい。
【0025】この非粒子系滑剤は、常温で液体あるいは
固体であっても、融点あるいは軟化点が200℃以下の
物質で、フィルムに滑性を付与するものを意味する。な
お、これらの物質の2種類以上がフィルム中に含有され
ている場合は、それらの合計量が上記含有量範囲にあれ
ばよい。
【0026】この非粒子系滑剤の具体例としては、以下
のものが挙げられる。 A.脂肪族炭化水素 流動パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、天然
パラフィン、合成パラフィン、ポリエチレンワックス、
ポリプロピレンワックスなど。
【0027】B.高級脂肪酸またはその金属塩 ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ヒドロキシス
テアリン酸、硬化油、モンタン酸ナトリウムなど。
【0028】C.脂肪族アミド ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミ
ド、リシノール酸アミド、ベヘンアミド、メチレンビス
ステアラミドなど。
【0029】D.脂肪酸エステル n−ブチルステアレート、メチルヒドロキシステアレー
ト、ミリシルセロチネート、高アルコール脂肪酸エステ
ル、エステル系ワックスなど。
【0030】E.脂肪酸ケトン ケトンワックスなど。
【0031】F.脂肪アルコール ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、ミリスチ
ルアルコール、セチルアルコールなど。
【0032】G.脂肪酸と多価アルコールの部分エステ
ル グリセリン脂肪酸エステル、ヒドロキシステアリン酸ト
リグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステルなど。
【0033】H.非イオン系界面活性剤 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルア
ミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど。
【0034】I.シリコン油 直鎖状メチルシリコン油、メチルフェニルシリコン油、
変成シリコン油など。
【0035】J.フッ素系界面活性剤 フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカ
ルボン酸、モノパーフルオロアルキルエチルリン酸エス
テル、パーフルオロアルキルスルホン酸塩など。
【0036】なお、平均粒径0.001μmから5.0
μmの微粒子、特に無機粒子、例えば乾式シリカ、湿式
シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウム、リン酸カルシウ
ム、カオリン、カオリナイト、クレイ、タルク、酸化チ
タン、アルミナ、ジルコニア、水酸化アルミニウムなど
を、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレ
ート及び/またはポリプロピレンフィルム中に0.01
重量%から0.5重量%含有せしめておくと、非粒子系
滑剤の効果を相乗的に高めうる場合が多い。
【0037】本発明において積層フィルムは、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートとポリオ
レフィン樹脂とを共押出しして未延伸積層フィルムと
し、これを2軸方向に延伸し、次いでポリオレフィン樹
脂の融点より高くポリエチレンナフタレートの融点より
も低い温度で熱処理した後に室温まで冷却することで製
造する。その際、未延伸積層フィルムへの各フィルム層
の厚さは二軸延伸処理後の厚さが前記した厚さとなるよ
うにし、また延伸、熱処理は前記したヤング率、複屈折
等の物性が得られる条件で行うとよい。
【0038】金属化フィルムコンデンサーは、巻回
法:2軸配向ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートフィルムに亜鉛等の金属を蒸着した後、巻
回した後蒸着部の端面にメタリコンを施して電極をもう
ける方法、積層法:2軸配向ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレートフィルム表面に金属薄膜
層を形成し、その表面に誘導体層をコーティングした後
巻回し、条切断後メタリコンを施す方法等で製造され
る。本発明のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレートフィルムは上記コンデンサーの製造に用い
ることができる。また、本発明における積層フィルムの
ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート
フィルム上に金属薄膜を蒸着などによって形成した後、
基材のポリプロピレンフィルムから剥離しながら巻回す
ることによっても、コンデンサー用の素子巻を安定に作
ることができる。
【0039】なお、ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートフィルムは、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムに較べて、オリゴマーの発生量がきわめ
て少なく、蒸着時の冷却ドラムを汚すことが少ないこ
と、作業性が高められることなどの利点があり、金属化
フィルムコンデンサーの製造においてポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを誘電
層ベースとすることの優位性が際立っている。
【0040】本発明における積層フィルムは0.2〜
2.0μm、好ましくは0.2〜1.0μmの厚さを有
し、かつ縦、横方向のヤング率がそれぞれ600kg/
mm2以上とした2軸配向ポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレートフィルムとポリプロピレンフ
ィルムとが0.1〜1.5g/cmの付着力で密着せし
められた構造としたことにより、以下のような優れた効
果を奏する。
【0041】(1)ヤング率が600kg/mm2 以上
のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トフィルムを使用することによって、コンデンサー製造
工程の特に蒸着行程における破断、熱負けなどの特性が
改善され、コンデンサーの生産性を向上させることがで
きる。
【0042】(2)積層状態で蒸着を実施することもで
き、極めて薄いポリエチレン−2,6−ナフタレンジカ
ルボキシレートフィルムが切断、熱負けなどの問題がな
く、連続的に得られるので小型でかつ容量の大きなフィ
ルムコンデンサーを得ることができる。
【0043】(3)スリット、蒸着、コーティングなど
の工程をポリプロピレンフィルムをつけたままの状態で
行うことができるので作業性が向上する。
【0044】(4)蒸着ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートフィルムをポリプロピレンフィ
ルムから剥離するとき、しわの発生や、フィルムの破断
が少ないので作業性が向上する。
【0045】(5)ポリエチレン−2,6−ナフタレン
ジカルボキシレートフィルムを剥離した後のポリプロピ
レンフィルムは、再度これを粉砕して元の原料に混合す
ることで再使用ができるので経済的である。
【0046】(6)極薄ポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートフィルムを絶縁フィルムとして
使用することで、電気特性の優れた金属化フィルムコン
デンサーを得ることができる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明す
る。本発明における種々の物性値ならびに特性は、以下
の如くして測定されたものであり、かつ定義される。
【0048】(1)フィルム厚み 極薄フィルムの厚みは、ハロゲン、メタルハライド等を
光源とした可視光波長発光ランプを用いた透過光型光干
渉厚み測定器を用いて、隣り合った干渉縞間隔から次式
によって算出する。
【0049】
【数1】
【0050】ここで、式中のdは厚み(nm)、λ1、
λ2は干渉縞のピーク波長(nm)を表し、λ1>λ2
であり、そしてnはフィルムの縦方向及び横方向の屈折
率の平均値である。
【0051】上記方法を適用できない厚み範囲(厚物)
のフィルムは電子マイクロによりその厚みを測定する。
【0052】(2)ヤング率 積層したフィルムを剥離した後、フィルムを試料幅10
mm、長さ150mmに切り出し、チャック間100m
m、引っ張り速度10mm/min、チャート速度50
0mm/minの条件でインストロンタイプの万能引張
試験装置にてサンプルを引っ張る。そして得られた加重
−伸び曲線の立ち上がり部の接線よりヤング率を算出す
る。
【0053】(3)付着力(密着強度) 積層フィルムをヤング率測定時のサンプルと同一の大き
さに切り出し、表層のポリエチレン−2,6−ナフタレ
ンジカルボキシレートフィルムを剥離角180度で連続
的に2m/minの速度で剥離するときのかかる張力を
測定する。この張力T(g)がそのまま付着力T(g/
cm)となる。
【0054】(4)融点 DSCを用いて20℃/minの昇温速度で昇温し、融
解に伴う吸熱ピークの頂上部に相当する温度を融点とす
る(試料:10mg)。
【0055】(5)静電容量(C),誘電正接(tan
δ) JIS C 5102の測定法による。
【0056】[実施例1] 以下2種類の原料(ペレット)を準備した。 (1)平均粒径0.12μmのカタロイド0.3重量%
を含有する極限粘度数0.60のポリエチレン−2,6
−ナフタレンジカルボキシレート。 (2)グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノステ
アレート)を0.2重量%含有した融点160℃のポリ
プロピレン。
【0057】ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカル
ボキシレート原料は、170℃で6時間乾燥を行い押出
機に供給し、300℃で溶融押出した。一方ポリプロピ
レン原料は、100℃で2時間乾燥した後、別の押出機
に供給し、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
キシレートと同様300℃で溶融押出した。各々の溶融
体をダイ内部で層状に合流し、ポリエチレン−2,6−
ナフタレンジカルボキシレート/ポリプロピレン/ポリ
エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートの3
層積層構造とした後、口金から吐出させ、50℃に保た
れた冷却ドラムに巻き付けることで冷却固化して3層積
層シートとした。両外層のポリエチレン−2,6−ナフ
タレンジカルボキシレートは20μm、内層のポリプロ
ピレンは150μmであった。
【0058】この積層シートを130℃までロールに接
触させることで加熱した後長手方向(縦方向)に3.6
倍延伸し、直ちに60℃まで冷却した。続いて横方向に
テンター式横延伸装置を用いて140℃で3.9倍延伸
し、続いて210℃で熱処理を施した後室温まで冷却
し、巻取った。製膜の工程は安定し、フィルムの厚み斑
も小さく、均一な3層積層フィルムが得られた。
【0059】得られた積層フィルムの厚みは、外側のポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフ
ィルムが1.4μm、内層のポリプロピレンが11μm
であり、内層のポリプロピレンの複屈折は0.0002
であった。また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートフィルムの縦、横方向のヤング率はそ
れぞれ660、650kg/mm2 であった。また、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフ
ィルムとポリプロピレンフィルムの付着力は0.6g/
cmであった。
【0060】この積層フィルムからポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの剥離を実
施したところ何の問題もなく剥離できた。
【0061】また,この積層フィルムを真空蒸着機によ
り、幅20mm、厚さ約400Aのアルミニウム蒸着膜
をポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
トフィルム表面に形成した後、スリットしながらポリプ
ロピレンフィルムを剥離した。アルミニウム端面が交互
に外側になるように巻回し、メタリコンを施してコンデ
ンサー素子を作製した。得られたコンデンサのtanδ
は0.0037で良好な特性を示した。
【0062】[実施例2] ポリプロピレン中のグリセリンモノステアレートを多価
アルコール脂肪酸エステル0.2重量%に変更し、さら
に冷却固化して得られたポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートフィルムの厚みを10μmとし
た以外は、実施例1と全く同様にして3層積層フィルム
を得た。製膜の工程は安定し、フィルムの厚み斑も小さ
く、均一な3層積層フィルムが得られた。
【0063】得られた積層フィルムの厚みは、外側のポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフ
ィルムが0.7μm、内層のポリプロピレンが11μm
であり、内層のポリプロピレンの複屈折は0.0002
であった。また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートフィルムの縦、横方向のヤング率はそ
れぞれ650、650kg/mm2 であった。また、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフ
ィルムとポリプロピレンフィルムの付着力は0.7g/
cmであった。
【0064】この積層フィルムからポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの剥離を実
施したところ何の問題もなく剥離できた。
【0065】実施例1と同様にコンデンサ素子を作製し
たところ、得られたコンデンサのtanδは0.004
0で良好な特性を示した。
【0066】[実施例3] ポリプロピレン中のグリセリンモノステアレートを多価
アルコール脂肪酸エステル0.5重量%に変更し、さら
に冷却固化して得られたポリエチレン−2,6−ナフタ
レンジカルボキシレートフィルムの厚みを4μmとした
以外は、実施例1と全く同様にして3層の積層フィルム
を得た。製膜の工程は安定し、フィルムの厚み斑も小さ
く、均一な3層積層フィルムが得られた。
【0067】得られた積層フィルムの厚みは、外側のポ
リエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートフ
ィルムが0.3μm、内層のポリプロピレンが11μm
であり、内層のポリプロピレンの複屈折は0.0002
であった。また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジ
カルボキシレートフィルムとポリプロピレンフィルムの
付着力は0.5g/cmであった。
【0068】この積層フィルムからポリエチレン−2,
6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムの剥離を実
施したところ剥離中に極薄フィルムのカールが起こった
が、他には問題もなく剥離できた。
【0069】[比較例1] 以下2種類の原料(ペレット)を準備した。 (1)平均粒子径0.12μmのカタロイド0.3重量
%を含有する極限粘度数、0.60のポリエチレンテレ
フタレート。 (2)グリセリン脂肪酸エステル(グリセリンモノステ
アレート)を0.2重量%含有した融点160℃のポリ
プロピレン。
【0070】ポリエチレンテレフタレート原料は、17
0℃で3時間乾燥を行い押出機に供給し、280℃で溶
融押出した。一方ポリプロピレン原料は100℃で2時
間乾燥した後別の押出機に供給し、ポリエチレンテレフ
タレートと同様280℃で溶融押出した。各々の溶融体
をダイ内部で層状に合流し、ポリエチレンテレフタレー
ト/ポリプロピレン/ポリエチレンテレフタレートの3
層積層構造とした後、口金から吐出させ、25℃に保た
れた冷却ドラムに巻き付けることで冷却固化して3層積
層シートとした。両外側のポリエチレンテレフタレート
は10μm、内層のポリプロピレンは150μmであっ
た。
【0071】このシートを90℃までロールに接触させ
ることで加熱した後長手方向に3.6倍延伸し、直ちに
25℃まで冷却した。続いて横方向にテンター式横延伸
装置を用いて100℃で3.9倍延伸し、続いて210
℃で熱処理を施した後室温まで冷却し巻取った。製膜は
工程内での破断が多発するため非常に不安定で、さらに
延伸時の厚み斑が大きかった。
【0072】得られた積層フィルムの厚みは、外側のポ
リエチレンテレフタレートフィルムが0.7μm、内層
のポリプロピレンが11μmであり、内層のポリプロピ
レンの複屈折は0.0002であった。また、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムの縦、横方向のヤング率は
それぞれ520、530kg/mm2 であった。また、
ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリプロピレン
フィルムの付着力は0.8g/cmであった。
【0073】この積層フィルムからポリエチレンテレフ
タレートフィルムの剥離を実施したところ腰が弱いため
カールが大きく発生し、それが原因となって破断が起こ
った。
【0074】
【発明の効果】本発明は、ポリエステルフィルムとポリ
オレフィンフィルムの積層フィルムにおいて、ポリエス
テルフィルムとしてに特定な強度以上のポリエチレン−
2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムを用
い、ポリオレフィンフィルムにポリプロピレンフィルム
を用いたこととしたため、延伸工程中での破断頻度が減
少し、極薄フィルムの生産性が向上し、さらにコンデン
サ製造工程での熱負けなどの欠陥発生のないポリエステ
ルフィルムを供給できるようになった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−163419(JP,A) 特開 昭63−140512(JP,A) 特開 昭62−136013(JP,A) 特開 平4−255208(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 H01G 4/24 C08J 5/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複屈折が0.008以下で、厚みが5〜
    30μmのポリプロピレンフィルムの少くとも片面に、
    縦、横方向のヤング率がともに600kg/mm2 以上
    で、厚みが0.2〜2μmのポリエチレン−2,6−ナ
    フタレンジカルボキシレートフィルムが積層されている
    易剥離性積層フィルムから、ポリエチレン−2,6−ナ
    フタレンジカルボキシレートフィルムを剥離することを
    特徴とするポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボ
    キシレートフィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレンフィルムとポリエチレン
    −2,6−ナフタレンジカルボキシレートフィルムとの
    密着強度が0.1〜1.5g/cmである請求項1記載
    のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレー
    トフィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 ポリプロピレンフィルム中に非粒子系滑
    剤が0.001〜1重量%含有されている請求項1又は
    2記載のポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキ
    シレートフィルムの製造方法。
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