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JP3000369B2 - 酸素吸収錯体の再生方法及び酸素吸収錯体溶液を用いた酸素の分離方法 - Google Patents

酸素吸収錯体の再生方法及び酸素吸収錯体溶液を用いた酸素の分離方法

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JP3000369B2
JP3000369B2 JP1121933A JP12193389A JP3000369B2 JP 3000369 B2 JP3000369 B2 JP 3000369B2 JP 1121933 A JP1121933 A JP 1121933A JP 12193389 A JP12193389 A JP 12193389A JP 3000369 B2 JP3000369 B2 JP 3000369B2
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oxygen
complex
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temperature
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宏 岡本
由章 杉森
大輔 田原
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日本酸素株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は酸素吸収錯体の再生方法及び酸素吸収錯体溶
液を用いた酸素の分離方法に関し、詳しくは、酸素吸収
錯体の溶液を利用して空気から酸素を分離するにあた
り、劣化した錯体を元の状態に再生し、酸素の分離能力
を回復させる方法に関する。
〔従来の技術〕
工業的規模で空気中の酸素を分離製造する方法として
は、一般に深冷法と吸着剤を用いた圧力変動法(PSA)
が多く用いられている。前者は空気を液化し、多段の精
留工程を経て窒素と酸素とを分離する方法であり、高純
度の酸素又は窒素を製造できるが、多量のエネルギーを
必要とする欠点がある。
また後者は、ゼオライト又はカーボンモレキュラーシ
ーブス等の吸着剤を用いて、該吸着剤に窒素又は酸素を
選択的に吸着させることにより、酸素又は窒素を分離す
る方法である。この方法は、運転操作が簡便という利点
を有しているが、装置が大きいことと、酸素を製造する
場合には、最大酸素濃度が95%にすぎないという欠点を
有している。
これらの欠点を克服するため、酸素とのみ可逆的に反
応する錯体を利用する方法がいくつか提案されている。
例えば、特開昭59−20296号公報に記載されている方
法は、5℃以下の低温で錯体溶液と空気とを接触させ
て、空気中の酸素を錯体溶液に吸収させ、次いで、25℃
以上の高温で酸素を錯体溶液から放出させ、これを製品
酸素として採取するもので、錯体溶液は再び5℃以下の
低温に冷却して酸素を吸収させる。以下、同じ工程を繰
り返して酸素を連続的に発生させる(温度変動式吸収
法)。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記錯体溶液を利用する酸素分離法で
は、この錯体溶液が劣化するという欠点があり、従来最
も寿命が長いとされているものでも100日程度にすぎな
かった。しかも錯体溶液は高価であるから、錯体溶液を
利用する方法は、前記深冷法とPSA法を凌駕することが
できなった。
そこで本発明は、錯体溶液を利用した温度変動式吸収
法又は圧力変動式吸収法において、劣化した錯体溶液を
再賦活し、錯体溶液の寿命を実質的に半永久化すること
ができる酸素吸収錯体の再生方法及び酸素吸収錯体溶液
を用いた酸素の分離方法を提供することを目的としてい
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明の酸素吸収錯体の
再生方法は、相対的に低い温度での酸素の吸収と、相対
的に高い温度での酸素の放出とを一量化反応で行うサリ
チルアルデヒド系シッフベース酸素吸収錯体を非プロト
ン系溶媒中に含む溶液において、前記酸素吸収錯体が劣
化した際に、前記溶液を前記一量化反応での酸素の放出
温度よりも高い温度である50〜170℃に加熱して前記劣
化した酸素吸収錯体を再生することを特徴とし、また、
加熱時に前記溶液に接する気相の酸素分圧を下げること
を特徴としている。
さらに、本発明の酸素吸収錯体溶液を用いた酸素の分
離方法は、相対的に低い温度での酸素の吸収と、相対的
に高い温度での酸素の放出とを一量化反応で行うサリチ
ルアルデヒド系シッフベース酸素吸収錯体を非プロトン
系溶媒中にする方法において、前記溶液の全量又は一部
を前記一量化反応での酸素の放出温度よりも高い温度で
ある50〜170℃に加熱して劣化した酸素吸収錯体を再生
することを特徴としている。
本発明の対象となる酸素吸収錯体としては、一般式 (式中、R1,R2,R3はそれぞれ水素,アルコキシ基,アル
キル基又はフェニル基を示し、R4は水素又はメチル基、
R5,R6,R7,R8はそれぞれ水素,アルキル基又はフェニル
基、Mは鉄,コバルト又はニッケルを示す。) で表わされるサリチルアルデヒド系シッフベース錯体を
挙げることができる。
この錯体は4配位構造であるが、通常6配位構造で安
定な錯体となるものである。
即ち、これらの錯体の第5番目の配位座に軸配位子が
配位すると、第6番目の配位座の酸素配位能力が高めら
れ、ここに酸素が配位して酸素を吸収する。
上記軸配位子としては、塩基性の窒素原子を含むもの
が使用でき、例えばイミダゾール系,ピリジン系,アル
キルアミン系のもの等を用いることができる。
上記イミダゾール系の軸配位子としては、イミダゾー
ル、1−メチルイミダゾール、1,1′−ドデカメチレン
ジイミダゾール、3−メチル−1,1′−ドデシルジイミ
ダゾリウムアイオダイド、4−(イミダゾール−1−イ
ル)フェノール、ラウリルイミダゾール、1−ベンゾイ
ルイミダゾール等を挙げることができる。
また、ピリジン系の軸配位子としては、ピリジン、4
−ジメチルアミノピリジン、3−ピリジンプロパノー
ル、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、3−ブチル
ピリジン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン等を挙げる
ことができる。
さらに、アルキルアミン系の軸配位子としては、n−
ブチルアミン、イソ−ブチルアミン、ネオペンチルアミ
ン等を挙げることができる。
一方、上記錯体を溶解する溶媒としては、非プロトン
系の溶媒で前記錯体と軸配位子を溶解できるものであれ
ば極性(親水性),非極性(疎水性)溶媒の種類を問わ
ないが、後に述べる理由により沸点及び引火点の高いも
のが望ましい。これらの例としては、1−メチル−2−
ピロリジノン、N,N′−ジメチルホルムアミド、プロピ
レンカーボネイト、ジメチルスルホキシド、N,N′−ジ
メチルアセトアミド、スルホラン、オルト−ジクロロベ
ンゼン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
前記錯体と軸配位子と溶媒とから成る錯体溶液は、通
常5℃以下の温度で酸素を吸収し、常温以上の温度で、
吸収していた酸素を放出する。これは温度変動式吸収法
による酸素製造の原理である。
また、温度を例えば0℃に保ち、錯体溶液と接触して
いる気相の酸素分圧を高くすると酸素を吸収し、真空排
気装置等で気相の酸素分圧を下げると吸収していた酸素
が放出される。これは圧力変動式吸収法による酸素製造
の原理である。
このように、錯体溶液中の錯体は、温度又は圧力を変
えると、下記式(1)のように一量化反応で可逆的に酸
素を吸放出する。
BLM+O2BLM−O2………(1) (式中、Lは前記錯体、Bは軸配位子、Mは中心金属、
O2は酸素を表わす。) しかしながら、酸素の吸収と放出を繰り返すと、錯体
溶液の酸素吸収能力は徐々に低下し、最終的には酸素吸
収能力がなくなる。この酸素吸収能力が低下する速さ、
即ち錯体溶液の劣化速度は、使用した錯体、軸配位子お
よび溶媒の各種類によって異なる。錯体溶液の初期酸素
吸収能力が半減するまでの時間を寿命とすると、寿命の
短いものは数秒、長いものでも数ヵ月である。
酸素結合の平衡乗数Ko2は下記の式(2)で表わさ
れ、一般にこのKo2の大きい錯体溶液は、劣化速度が速
いことが知られている。
(式中L,B,M,O2は前記と同じ) 上記錯体溶液の劣化原因としては、二量化反応,4座配
位子における水素引抜反応,軸配位子の酸化,中心金属
の酸化など種々のものが考えられているが、本発明者
は、各種実験の結果、主たる劣化原因は、次の式(3)
に示される二量化反応であることを知見した。
BLM−O2+MLB→ BLM−O2−MLB………(3) (式中L,B,M,O2は前記と同じ) 例えば、中心金属がコバルトの場合、一量体の時は常
磁性(xp>0)であるが、二量体の時は反磁性(xd<0,
|xp/xD|≒102)であることがFloriani(Journal of Che
mical Society(A),946(1969))等によって示され
ている。
即ち、酸素を吸収した錯体溶液の帯磁率は、時間の経
過と共に低下し、最終的にx≒0となり、上記式(3)
の反応が進行したことを示す。
これに対し、酸素を吸収した錯体溶液に、0℃と70℃
の間で定期的に温度変動を与えると、開始初期には劣化
が進行して帯磁率が低下するが、それ以後は劣化度合が
約50%で一定となり、劣化の進行が止まることが観察さ
れた。この結果から、錯体溶液に温度変動を与えた場
合、加熱工程において、劣化生成物である二量化物の一
部が一量体に再生されているものと思われる。
即ち、下記式(4)に示すように、劣化して式右側の
如き二量化物となった錯体が加熱により式左側に示す初
期の構造に再生されているものと思われる。
(式中L,B,M,O2は前記と同じ、△は加熱を表わす。) そこで、本発明者は、上記事実を酸素吸収能力の測定
により確認する実験を行ったところ、例えば、錯体溶液
は、酸素を吸収させた後、0℃で4日間放置すると、酸
素吸収能力は事実上なくなるが、0℃と50℃の間で温度
変動を与え、酸素を吸放出させた場合、初期数十サイク
ルでは酸素吸放出量が急速に低下し、その後は一定とな
り、劣化の進行が止まることを確認した。この結果は、
前述の帯磁率測定結果と良く一致している。
さらに、これらの結果は、錯体の種類,軸配位子の種
類及び溶媒の種類を変えた場合でも、同じような現象を
観測することができた。即ち、この加熱による錯体の再
生現象は、特定の錯体溶液に固有のものではなく、一般
的なものであることが判明した。
上記式(4)の平衡反応が一般的に成り立つとする
と、加熱温度が高くし、発生する酸素を系内から除去す
れば平衡点が式(4)の左側に移動し、式右側の二量化
物が一量体に再生させる割合が更に大きくなるものと予
想される。特に、加熱温度が100℃の場合は大気下、即
ち酸素分圧が約160Torrあっても式(4)の平衡点は充
分左に移動することが判明した。
このようなことから、錯体溶液中の劣化生成物である
二量化物を100℃程度の加熱操作で一量体に戻して再生
することが可能であることを確認した。さらに、このよ
うな再生方法を適用することにより、温度変動式吸収法
又は圧力変動式吸収法で、空気中の酸素を分離採取する
場合、酸素吸放出の1サイクル毎に、又は一定のサイク
ル数毎に、錯体溶液の全量又は一部を適度な温度に加熱
すれば、酸素吸収能力の低下した錯体溶液を活性な一量
体に再生することができ、長期に亙って酸素分離能力を
維持させることが可能となる。
また、上記加熱再生工程において、加熱温度を170℃
より高くすると、錯体又は軸配位子又は溶媒が分解する
おそれがあり、また、分解しない場合でも、分子量の小
さい軸配位子や溶媒は、蒸気圧が高いから、加熱時に蒸
発散逸して、錯体溶液の組成が変化することがある。一
方加熱温度が50℃未満の場合には、前記式(4)の平衡
点を充分左に移動させることができず、効果的な再生が
できない。従って、加熱温度は50℃から170℃の間とす
ることが好ましく、より好ましくは100℃前後の温度で
ある。
また、軸配位子や溶媒は、その蒸発逸散を防ぐため
に、沸点の高いものを選択することが好ましい。更に、
加熱操作を行なうと前記二量化物の一量体への分解に伴
い酸素が発生するから、錯体溶液に接する気相酸素分圧
が高くなる。従って、着火・爆発の危険を防ぐため、引
火点の高い軸配位子や溶媒を用いることが好ましい。さ
らに、錯体溶液の種類によっては、100℃前後に加熱し
た時、発生酸素量が多くて、錯体溶液に接する気相酸素
分圧が高くなり、式(4)の左向きの反応が進行しなく
なる場合がある。このような場合は、真空排気装置等を
用いて気相酸素分圧を低下せしめることにより、二量化
物の再生操作を有効に行なうことができる。
尚、前記錯体,軸配位子,溶媒は例として挙げたもの
で本発明の範囲がこれらに限定されるものではない。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明
する。
実施例1 常法によって合成した(N,N′−ビス(4−メトキシ
サリチリデン)−1,2−ジアミノ−2−メチルプロパナ
ト)コバルト(II)[Co(4−MeOSal)Dmen] と、3−メチル−1,1′−ドデシルジイミダゾリウムア
イオダイド[Im(CH212ImMe+I-とをN,N−ジメチルホルムアミド[DMFd7]に溶解させ、
錯体濃度0.1M,軸配位子1.5当量の錯体溶液1mlを調製し
た。
次に、この錯体溶液を0℃の温度として酸素ガスを15
分間バブリングし、充分酸素を吸収させた後、帯磁率測
定用のサンプル管に移し、錯体溶液の上部気相を空気に
置換して密閉した。尚、錯体溶液の帯磁率xは、核磁気
共鳴装置を利用したエバンス法で測定した。
その結果、第1図の線Aに示すように、錯体溶液調整
直後の帯磁率x0を基準にして、x/x0により錯体溶液の劣
化度合を測定したところ、この錯体溶液を0℃で保存し
た場合は、6日間経過するとx/x0<0.1となった。
この錯体溶液をサンプル管に入れたままの状態、即
ち、酸素分圧が約160Torrの大気圧条件下で、100℃の温
度に1時間加熱した。放冷後、0℃で帯磁率を測定する
とx/x0=0.80まで回復していた。これを第1図に点Bで
示す。
実施例2 実施例1と同じ錯体溶液を調製し、0℃と70℃の温度
幅で、周期的に温度変動する断熱槽(周期は3時間/サ
イクル)に保存し、実施例1と同様の方法で帯磁率を測
定した。尚、帯磁率の測定温度は、断熱槽から錯体溶液
を取出す時の温度とは無関係に、0℃とした。その結
果、第1図の線Cに示すように、初期2日間はx/x0が低
下するが、それ以後はx/x0=0.5前後で一定となり、こ
れ以上の錯体溶液の劣化は認められなかった。
この錯体溶液をサンプル管に入れたままの状態で、実
施例1と同様に加熱処理した後、0℃で帯磁率を測定す
るとx/x0=0.91まで回復していた。これを第1図に点D
で示す。
実施例3 実施例1と同じ錯体溶液20mlを、全容積37mlのセルに
入れ、気相を真空排気した後、0℃の温度で既知量の酸
素ガスを導入し、酸素ガスの圧力変化を測定することに
より、酸素結合の平衡常数Ko2を求めた。その結果、錯
体溶液調製直後のKo2は0.18cmHg-1であったが、この錯
体溶液を4日間0℃に保った後、再びKo2を測定する
と、1×10-3cmHg-1であり、実質的に酸素吸収能力を失
っていた。
この酸素吸収能力を失った錯体溶液を別の容器に取出
し、アルゴンガスをバブリングしながら、100℃で1時
間加熱した。放冷後0℃で酸素結合の平衡常数Ko2を測
定したところ、0.03cm3Hg-1であり、酸素吸収能力が回
復していた。
実施例4 実施例1と同じ錯体と4−ジメチルアミノピリジン
[DMAP]とを1−メチル−2−ピロリジン[NMP]に溶
解させ、錯体濃度0.1M、軸配位子1.5当量の錯体溶液9ml
を調製した。
この錯体溶液を容積20cm3のガラス製セルに入れ、2
時間周期で0℃で50℃の間で温度変動を与えることがで
きる温度可変浴槽にセットするとともに、上記セルの上
部を圧力素子を取り付けてある容器(16cm3)と接続し
た。
セルを冷却すると容器中の酸素が吸収され、容器圧力
が減少し、セルを加熱すると錯体溶液から酸素が放出さ
れ、容器圧力が上昇する。この圧力変化を基にして錯体
溶液の酸素吸放出量を算出した。
最初の酸素吸放出量をQ0とし、2回目以降の吸放出量
をQ(c)とおき、Q(c)/Q0により錯体溶液の劣化
度合を測定した。ここでcはサイクル数を表わす。その
結果、第2図に示すように、初期数十サイクルでは急速
に劣化するが、60サイクル目以降は、Q(c)/Q0が0.5
5前後で一定となった。
この錯体溶液が200回の酸素吸放出を繰り返した後、
この錯体溶液を別の容器に取出し、アルゴンガスをバブ
リングしながら、1時間100℃で加熱した。放冷後、再
び0℃と50℃の間で酸素吸放出を行なうと、初期酸素吸
放出量Q0に近い値となった(これを第2図にAで示
す)。その後は開始初期と同様に数十サイクルの間は急
速に劣化が進行したが、それ以後はQ(c)/Q0=0.55
前後で一定となった。
さらに、この錯体溶液が合計で370回の酸素吸放出を
繰り返した後、再び別の容器に取出し、大気下、即ち、
酸素分圧が約160Torrの条件下で、1時間100℃に加熱し
た。放冷後、再び0℃と50℃の間で酸素吸放出を行なう
と初期酸素吸放出量Q0に近い値を示した(これを第2図
にBで示す)。その後の酸素吸放出量の変化は前と同様
であった。
この錯体溶液が合計で800回の酸素吸放出を繰り返し
た後、前記同様の加熱操作を行なったが、同様の結果を
得ることができた(これを第2図にCで示す)。
実施例5 錯体として、(N,N′−ビス(4−メトキシサリチル
デン)−2,3−ジアミノ−2,3−ジメチルブタナト)コバ
ルト(II)[Co(4−MeOSal)Tmen] と、軸配位子として4−ジメチルアミノピリジン[DMA
P]と、溶媒として1−メチル−2−ピロリジノン[NM
P]を用いて錯体濃度0.1M、軸配位子5.0当量の錯体溶液
9mlを調製した。
この錯体溶液を用いて、−20℃と+25℃の間で温度変
動を与えた以外は実施例4と同様に操作したところ、同
様の結果を得ることができた。
実施例6 実施例5において、軸配位子を3−メチル−1,1′−
ドデシルイミダゾリウムアイオダイド[Im(CH212ImM
e+I-]を代えた以外は同様に操作したところ、同様の結
果を得ることができた。
実施例7 錯体として、(N,N′−ビス(3−ターシャリーブチ
ルサリチリデン)−2,3−ジアミノ−2,3−ジメチルブタ
ナト)コバルト(II)[Co(3−tBuSal)Tmen] 軸配位子として4−ジメチルアミノピリジン[DMAP]、
溶媒として1−メチル−2−ピロリジノン[NMP]を用
いて錯体濃度0.1M、軸配位子10.0当量の錯体溶液9mlを
調製した。
この錯体溶液を用いて、実施例5と同様に操作したと
ころ、実施例4と同様の結果を得ることができた。
実施例8 実施例7において、溶媒をオルト−ジクロロベンゼン
[o−DCB]に代え、軸配位子を1.5当量とした以外は同
様に操作したところ、実施例4と同様の結果を得ること
ができた。
実施例9 錯体として(N,N′−ビス(3,5−ジターシャリーブチ
ルサリチリデン)−2,3−ジアミノブタナト)コバルト
(II)[Co3,5−DtBuSalBn−Meso] 軸配位子として4−ジメチルアミノピリジン[DMAP]、
溶媒として1−メチル−2−ピロリジノン[NMP]を用
いて錯体濃度0.1M、軸配位子1.5当量の錯体溶液9mlを調
製した。この錯体溶液を用いて、実施例4と同様に操作
したところ、同様の結果を得ることができた。
実施例10 錯体として(N,N′−ビス(サリチリデン)−1,2−ジ
アミノプロパナト)コバルト(II)[CoSalPn] 軸配位子としてラウリルイミダゾール[Im(C
H212]、溶媒として1−メチル−2−ピロリジノン
[NMP]を用いて錯体濃度0.3M、軸配位子5.0当量の錯体
溶液9mlを調製した。この錯体溶液を用いて、実施例5
と同様に操作したところ、同様の結果を得ることができ
た。
次表に上記各実施例に用いた錯体溶液をまとめて示
す。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明の酸素吸収錯体の再生方
法によれば、劣化した錯体溶液を簡便容易な操作により
再生することが可能であり、この方法を利用して錯体溶
液を用いた酸素分離方法の錯体溶液を再生することによ
り、長期に亘って錯体溶液を使用することも可能とな
り、酸素分離におけるコストを大幅に低減することがで
きる。
また、二量化反応を防止するために、錯体が互いに接
近できないように錯体に立体障害基を付与する試みがな
されているが、この方法では、二量化反応を完全に防止
することは難しい上、錯体の合成コストが極めて高くな
り、工業的に実用性に乏しい。従って、本発明の再生操
作を利用すれば、簡単な構造の錯体でも実質的に半永久
的な寿命で使用することができる。特に、例として挙げ
た錯体溶液は常温常圧近傍で酸素を吸放出できるから、
従来より低エネルギーで酸素を分離することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1及び実施例2における帯磁率の変化を
示す図、第2図は実施例4における酸素吸放出量の変化
を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−296703(JP,A) 特開 平1−9802(JP,A) 特開 昭61−174286(JP,A) 特開 昭53−123392(JP,A) 特開 昭51−122690(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01D 53/14 - 53/18

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】相対的に低い温度での酸素の吸収と、相対
    的に高い温度での酸素の放出とを一量化反応で行うサリ
    チルアルデヒド系シッフベース酸素吸収錯体を非プロト
    ン系溶媒中に含む溶液において、前記酸素吸収錯体が劣
    化した際に、前記溶液を前記一量化反応での酸素の放出
    温度よりも高い温度である50〜170℃に加熱して前記劣
    化した酸素吸収錯体を再生することを特徴とする酸素吸
    収錯体の再生方法。
  2. 【請求項2】加熱時に前記溶液に接する気相の酸素分圧
    を下げることを特徴とする請求項1記載の酸素吸収錯体
    の再生方法。
  3. 【請求項3】相対的に低い温度での酸素の吸収と、相対
    的に高い温度での酸素の放出とを一量化反応で行うサリ
    チルアルデヒド系シッフベース酸素吸収錯体を非プロト
    ン系溶媒中に含む溶液を用いて温度変動式吸収法又は圧
    力変動式吸収法により、酸素を分離する方法において、
    前記溶液の全量又は一部を前記一量化反応での酸素の放
    出温度よりも高い温度である50〜170℃に加熱して劣化
    した酸素吸収錯体を再生することを特徴とする酸素吸収
    錯体溶液を用いた酸素の分離方法。
JP1121933A 1989-05-16 1989-05-16 酸素吸収錯体の再生方法及び酸素吸収錯体溶液を用いた酸素の分離方法 Expired - Lifetime JP3000369B2 (ja)

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