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JP2983224B2 - 哺乳動物の14―β―ga1レクチン類 - Google Patents

哺乳動物の14―β―ga1レクチン類

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JP2983224B2
JP2983224B2 JP1096192A JP9619289A JP2983224B2 JP 2983224 B2 JP2983224 B2 JP 2983224B2 JP 1096192 A JP1096192 A JP 1096192A JP 9619289 A JP9619289 A JP 9619289A JP 2983224 B2 JP2983224 B2 JP 2983224B2
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mammalian
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INSAITO PHARM Inc
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明,糖結合タンパク類を細胞の分化および免疫性
の調節物質として使用することに関する。特に,本発
明,ラクトースまたは界面活性剤で抽出可能な分子量約
12〜18kDaの哺乳動物レクチン類(好ましくは,グリコ
シル化部位を含む)と,ヒトのHL−60細胞および胎盤組
織に由来する特異な14kDaレクチンと,約17〜20kDaの分
子量範囲を有するこの特異なレクチンのグリコシル化形
とに関する。これらはすべて,組換え技術により,生産
し,診断および治療に使用することができる。
(従来の技術) レクチン類は,様々なタイプの糖類と特異的に結合す
るタンパクとして定義される。初期の頃には,コンカナ
バリンAやリシン凝集素のように植物から単離されたレ
クチン類に関心が寄せられた。これらレクチン類は,対
象となる数多くのタンパク類がグリコシル化された状態
にあるので,タンパクの精製法に有用であることが認め
られた。しかしながら,最近では,ある種のβ−D−ガ
ラクトシド含有成分と特異的に結合し,広範囲の哺乳動
物,無脊椎動物,鳥類,さらには微生物源においても見
い出されている,ラクトースで抽出可能なレクチン類に
興味が集中している。この種のレクチン類はすべて,12
〜18kDa程度のサブユニットを含むと思われる。簡単な
診断試験により,容易に分類し得るトリプシン処理した
ウサギ赤血球を凝集させるそれらの能力は,ある種のβ
−D−ガラクトース含有成分により,特異的に阻害され
る。従って,レクチン自体はトリプシン処理したウサギ
赤血球を凝集させるが,その凝集反応は,例えばラクト
ース,チオガラクトシド,およびある種のβ−D−ガラ
クトース含有成分により,阻害され得る。他の一般的な
特性には,凝集を行なう際に金属イオンを必要としない
こと,およびチオールのような還元剤の存在が必要であ
ることが含まれる。
Gitt,M.A.ら(Proc Natl Acad Sci USA(1986)83:76
03〜7607)は,ヒト肺レクチンに特異的な抗血清を用い
てヒト肝癌cDNAライブラリーをスクリーニングすること
により,2つのcDNAクローンを得た。これらのcDNAは,他
の数多くの研究者が様々な組織において発見したものと
類似するタンパクをコードしていた。例えば,特許公開
公報昭60−184020において,Kasai,K.らは,約14kDaのヒ
ト胎盤レクチンについて述べている;このレクチンの配
列は,同研究グループにより,ヒナ組織から分離された
ものに多少類似していることが示された(Ohyama,Y.
ら,Biochem Biophys Commun(1986)134:51〜56)。ヒ
ナに由来するレクチンは,細胞性粘菌Dicytostelium di
scoideumの増殖段階において認められるレクチンである
ジスコイジンIと構造が類似していることが明らかにな
った。
Caron,M.ら,(Biochem Biophys Acta(1987)925:29
0〜296)は,ラットおよびウシの脳組織に由来する類似
レクチンの精製および特徴付けについて述べている。de
Cabutti,N.E.F.ら(FEBSLetters(1987)223:330〜33
4)は,両生類の卵巣に由来する類似レクチンについて
述べている。類似の「電気レクチン(electrolecti
n)」をウナギから単離することは,すでにLevi,G.ら
J.Biol Chem(1981)256:5735〜5740)により述べら
れている。さらに他の類似14kDaレクチンが,Raz.A.ら
Experimental Cell Research(1987)173:109〜116)
により,様々なマウス線維肉腫細胞系から誘導されたcD
NAをクローニングおよび発現することによって生産され
た。ラット肺14kDaレクチンおよびそれをコードするcDN
Aは,Clerch,L.B.ら(Biochemistry(1988)27:692〜69
9)により述べられた。Joubert,R.ら(Develop Brain R
es(1987)36:146〜150)は,脳細胞を凝集させ得る,
ラットの脳由来のレクチンを単離することについて述べ
ている。Ray,A.ら(Cancer Research(1981)41:3642〜
3647)は,様々な哺乳動物種の新生細胞に由来する様々
なレクチンについて述べている。
レクチン(ヒナ,ウナギ,ヒト胎盤,ヒト肺などに由
来するものを包含する)と,2種の肝癌由来のレクチンと
の間の相同性に関する比較が,Paroutaud,P.ら(Proc Na
tl Acad Sci USA(1987)84:6345〜6348)により行われ
た(これらのレクチンはすべて上で引用した文献に記載
されている)。これらのタンパクの特性のアミノ酸位置
(23位,32位,35位,37位,43位,45位,70位,71位,76位,90
位,91位,102位,103位,105位,109〜111位を包含する)
は,比較したすべての種において完全に保持されている
ようである。この系列のうち,ただ1つのレクチン(す
なわち,ニワトリから得られたレクチン)だけが,「N
結合グリコシル化部位」を含むが,この部位は糖類に結
合していない。当該技術分野においてこれまでに特徴付
けられたこの種のいずれの哺乳動物レクチンも,N結合グ
リコシル化部位を有していない。
可溶性レクチンには,様々な分子量および/または糖
特異性を持った数多くの変種が存在すると思われる。Sp
arrow,C.P.ら(J.Biol Chem(1987)252:7383〜7390)
は,ヒト肺に由来する3種の可溶性レクチン(それぞ
れ,14kDa,22kDa,および29kDaの分子量を有するレクチ
ン)について述べている。これらはすべて,β−D−ガ
ラクトシドに特異的である。14kDaのレクチン類の糖特
異性は大体類似しているが,分子量がより大きい種は異
なる特異性を持つ傾向がある。他の種も,1つより多くの
可溶性のβ−D−ガラクトシド結合レクチンを含むこと
が知られている[例えば,マウス(Roff,C.F.ら,J.Bio
l Chem(1983)258:10637−10663);ラット(Cerra,R.
F.ら,J.Biol Chem(1985)260:10474−10477),およ
びニワトリ(Beyer,E.C.ら,J.Biol Chem(1980)255:4
236−4239)]。β−D−ガラクトシドに特異的な種々
の可溶性レクチンにおいては,受容体特異性がかなり異
なっており,約14kDaのレクチン群は,Sparrow,ら(前
出)により述べられた22kDaおよび29kDaの代表的なレク
チン類とは別個のものであると思われる。
本発明の好ましいレクチン類は,ヒト前骨髄細胞性白
血病細胞系HL−60またはヒト胎盤組織から単離される。
他の研究者らにより,HL−60細胞からレクチンが単離さ
れているが,それらのレクチンはこの種のレクチンには
相当しない。Paietta,E.ら(Cancer Research(1988)4
8:280−287)は,分岐状オリゴ糖構造の末端にあるN−
アセチルノイラミン酸およびガラクトースを認識する膜
結合(可溶性ではない)レクチンについて推定的に述べ
ている。その活性はカルシウムには依存しない。見かけ
の分子量は17kDaである。従って,特異性および可溶性
に関する点では,本発明のレクチンタンパクとは著しく
異なる。
(発明の要旨) 免疫系を調節し,他の形態の細胞間伝達を媒介するレ
クチン類の活性は,実際上極めて鋭敏であり,宿主環境
に極めて厳密に同調するので,広範囲のこのような調節
物質が治療および診断の用途に使用できることが重要で
ある。上で述べたように,β−D−ガラクトースが結合
した約14kDaの可溶性レクチン類の数多くのメンバーが
当該技術分野において知られている。しかしながら,こ
れらのレクチン類は互いに類似する特性を有している
が,治療あるいは診断に用いる場合には交換可能ではな
い。さらに,これらのレクチン類がグリコシル化され得
る場合,グリコシル化のレベルおよび性質は,その分子
の特異性(例えば,循環半減期,インビボでの代謝,可
溶性,安定性,あるいは比活性)を変化させるように処
理されると考えられる。本発明は,このような処理を行
なうことができるレクチン類と,このレクチン類の特定
メンバーであるレクチンを提供するものである。これら
はすべて治療用および診断用の手段のレパートリーを拡
大する。本発明はまた,このレパートリーに包含される
これらの新しい特定メンバーを生産するための組換え用
材料および方法を提供する。
ある局面では,本発明は,β−D−ガラクトシドが結
合した14kDaの哺乳動物レクチン(14−β−galレクチ
ン)を目的とする。該14−β−galレクチンは,好まし
くは少なくとも1つのグリコシル化部位を有する。他の
局面では,本発明は,第1図Aにアミノ酸2〜135とし
て示されたアミノ酸配列から実質的になる14−β−gal
哺乳動物レクチンを目的とする。1位のアミノ酸である
メチオニンは,このタンパクが哺乳動物細胞において組
換え技術により生産される場合には通常除去され,細菌
細胞において組換え技術により生産される場合には除去
されることがある。また,このメチオニンは,自然界で
は存在せず,活性にとって必須ではない。他の局面で
は,本発明は,HL−60および胎盤に由来する分子量14kDa
のレクチン類ならびに分子量が17〜20kDaの範囲にある
それらのグリコシル化形を目的とする。
他の局面では,本発明は,N結合グリコシル化を行ない
得る14−β−gal哺乳動物レクチン類をコードするDNA配
列と,特に第1図のタンパク,あるいは他のHL−60また
はヒト胎盤由来のレクチン類をコードするDNA配列とを
目的とする。これらのDNA配列は,単離および精製され
た形であるか,および/または組換え発現に適した異種
制御配列に連結されている。他の局面では,本発明は,
これらのDNA配列により形質転換される宿主細胞,およ
び所望のレクチンタンパクを生産するための方法を目的
とする。また,本発明のレクチンと特異的に反応する抗
体も目的としている。
さらに他の局面では,本発明は哺乳動物の疾患(例え
ば,自己免疫疾患,重症筋無力症,および多発性硬化
症)を治療するのに適した薬剤組成物およびそれを用い
た治療方法を目的としている。
哺乳動物の疾患を治療するのに適した本発明の薬剤組
成物は,少なくとも1つのグリコシル化部位を有する哺
乳動物14−β−galレクチンを,薬学的に許容される賦
形剤と混合された形で含有する。
(発明の構成) A.定義 一般に,タンパクは,様々な実質的に等価な形(酸性
塩および塩基性塩の形,側鎖の官能基が修飾された形,
脂質および膜に結合した形,ならびに所望のレクチンを
コードするDNAを発現する細胞の翻訳後のプロセッシン
グにより形成される他の修飾形を包含する)で存在し得
ることが知られてる。以下で説明するタンパクは,すべ
てこれらの様々な形のものを含む。
ここで使用されるように,「HL−60レクチン」は,以
下で説明するレクチン類を表わす。HL−60レクチンは,H
L−60細胞に由来するレクチンならびにヒト胎盤組織に
由来するレクチンを包含する。ある実施態様は,グリコ
シル化部位を与える少なくとも1つのトリペプチド配列
(Asn−X−ThrあるいはAsn−X−Ser)を含む,2〜135
の番号を付した第1図Aのアミノ酸から実質的になる。
HL−60細胞および胎盤組織による自然の産生において
も,HL−60レクチンのN末端メチオニンは切断され,残
りのタンパクがアセチル化され得ると考えられている。
タンパクを産生する細胞によっては,様々な形の翻訳後
プロセッシングが予想され,プロセッシングを受けたタ
ンパクは,もちろん本発明の範囲内に含まれる。
特に,タンパク配列が知られている類似の哺乳動物レ
クチンとは異なり,HL−60レクチンは,好ましくは96位
を先頭とするグリコシル化部位Asn−Leu−Thrを含むこ
とに留意しなければならない。天然物質は明らかに,少
なくとも部分的には,この部位がグリコシル化されてい
ない;しかしながら,他の組換え宿主において適切に産
生された場合には,この部位はグリコシル化され得る。
従って,グリコシル化形は,そのグリコシル化が活性を
損なわない限り,本発明に包含される。
さらにまた,第1図Aに示すような,「HL−60レクチ
ン」の実施態様は,他の既知の同種動物レクチンよりも
多くのシステイン残基(6)を含む。本発明はそれに限
定されるものではなく,活性が保持される限り,どのよ
うな数のシステイン残基を持つもの,あるいは全くシス
テイン残基を持たないものも包含することに留意しなけ
ればならない。
「HL−60レクチン」はさらに,第1図Aの2〜135位
のアミノ酸を含むペプチド,あるいはその天然に存在す
る変異体または対立変異体を包含する。生物により産生
されるタンパクが,検討される形において必ずしも安定
なままではないこと,またそれらをコードする遺伝子が
自然の変異および変化を受けやすいことは,広く理解さ
れている。従って,これらは本発明に包含される。
HL−60レクチンが,HL−60細胞あるいは胎盤組織の天
然環境で産生される場合に,それ自体で分泌されるのか
どうか,あるいはHL−60レクチンが細胞の細胞質または
核の可溶性またはタンパク結合の細胞質タンパクである
のかどうかは,現在のところ不明である。HL−60レクチ
ンは,既知のシグナル配列を組換え技術を用いて付加す
ることにより,確実に分泌するように生産され得る。培
地からのタンパクの回収は,もちろん細胞溶解を必要と
する回収よりも簡単である。
ここでは,HL−60細胞および胎盤組織が14kDaβ−gal
結合レクチンを産生することが示されている。
上に述べた「HL−60」レクチンは,好ましくは少なく
とも1つのグリコシル化部位を有する14−β−gal哺乳
動物レクチン類の代表例である。ここで使用されるよう
に,「少なくとも1つのグリコシル化部位を含む14−β
−gal哺乳動物レクチン」という文言は,グリコシル化
部位を与える少なくとも1つのトリペプチド配列(Asn
−X−ThrあるいはAsn−X−Ser)を含む第1図のHL−6
0レクチンにより例示されるレクチン群の特性を持った
ペプチド類を表わす。しかしながら,上で述べたよう
に,本発明はグリコシル化部位を有さない14−β−gal
哺乳動物レクチンを包含する。
少なくとも1つのグリコシル化部位を含む14−β−ga
l哺乳動物レクチン類に包含されるためには,以下に挙
げる生物学的特性を示すペプチドでなければならない:
グリコシル化されていない場合の分子量が約14kDaであ
り,実際に測定した場合の分子量が約12〜18kDaである
こと。このレクチンは,特定のβ−D−ガラクトシド含
有成分(すなわち,ラクトース)を結合することができ
なければならない。また,標準的なレクチン分析におい
て,トリプシン処理したウサギ赤血球の血球凝集を特異
的に生じさせなければならない。ただし,この凝集は,
ラクトースやチオガラクトシドのようなβ−D−ガラク
トシド結合を含む特定成分により阻害される。血球凝集
を生じさせる能力には,例えばチオール基およびトリプ
トファン残基を還元された形で保持し得る還元剤の存在
が必要である。しかし,その活性は,金属イオンには依
存しない。典型的には,この活性を有する本発明のペプ
チドは,少なくとも1つのグリコシル化部位が存在する
ということをさらに条件として,上で述べた動物レクチ
ンに対して広範囲にわたる相同性を示す。
上記のレクチン類は,第1図AのHL−60レクチン類と
少なくとも40%,好ましくは75%,そして最も好ましく
は90%以上の相同性を有する。グリコシル化部位の好ま
しい配置は,第1図Aのレクチンの場合のように,96〜9
9位の残基あるいは,多くとも4個のアミノ酸だけ上流
から3個のアミノ酸だけ下流(すなわち,92〜101残基
(両端を含む)までの間)の範囲内である。他の好まし
い配置には,動物レクチン類のいずれかにおいて,保存
されない領域にAsn,X(任意のアミノ酸),およびSer/T
hr残基を有する配置が包含される。
特に好ましい実施態様は,上で述べた既知の哺乳動物
レクチンと少なくとも95%の相同性を持つが,天然の形
とは異なり,少なくとも1つのグリコシル化部位が配列
に含まれるペプチドである。これらの好ましい実施態様
においては,また,グリコシル化部位の好ましい位置
は,96〜99位あるいは少なくとも92〜101位の間(両端を
含む)である。グリコシル化部位を含む14−β−galレ
クチンの最も好ましい実施態様は,第1図AのHL−60レ
クチン(HL−60細胞源あるいは胎盤組織源に基づくも
の,ならびに天然に存在するその変異体および対立変異
体)である。
B.HL−60レクチンをコードするcDNAの単離 a.HL−60細胞からの単離 HL−60細胞,ATCC CCL240をDMSOの存在下で40時間培養
した。次に,これらの細胞を溶解し,標準的な方法を用
いてmRNAを単離し,そしてHuynh,T.V.ら(DNA Cloning
I,D.M.Glover編集,R.L.Press(1985)p.49−78)の方法
に従って,λ−GT10でcDNAライブラリーを構築した。こ
のライブラリーを以下に示す2組の14量体プローブで調
べた: および これらのプローブは,既知のレクチン配列,特にC末端
近くの保存領域の配列に基づいて設計された。これらの
プローブは,アミノ酸配列Glu−Phe−Lys−Phe−Pro(H
L−60レクチンの106〜110位に存在する)およびAsp−Ph
e−Lys−Ile−Lys(HL−60レクチンの126〜130位に存在
する)をコードする。これらのプローブは,T4ポリヌク
レオチドキナーゼおよび〔γ−32P〕ATPを使用して,末
端を32Pで標識した。
37℃で2〜4時間プレハイブリダイズした2組のニト
ロセルロースフィルターを用いて,LP59をハイブリダイ
ズさせることにより,ファージコロニーをスクリーニン
グした。ハイブリダイゼーション用の緩衝液は,6×SSC,
20mMリン酸緩衝液(pH7),2×デンハート溶液,0.1%SD
S,2mM EDTA,および100μg/ml酵母RNAを含有していた。
次いで,これらのフィルターを,室温にて,4×SSC中で
洗浄した。
約106のファージコロニーから,LP59にハイブリダイズ
する17個の陽性クローンを検出した;これらのうち9個
は,LP60プローブともハイブリダイズした。これらの9
個のクローン全部が,「短い」断片および「長い」断片
を与える内部E coR I部位を含んでいた。両方のプロー
ブとハイブリダイズするクローンのうちの3個につい
て,ジデオキシ法により配列決定を行ったところ,オー
プンリーディングフレームの5′側延長部分および3′
側延長部分においてのみ異なる同一のDNA配列が得られ
た。
これらのクローンの1つについて決定された507bpの
配列を第1図Aに示す。14,744ダルトンの理論的分子量
を有する135アミノ酸のタンパクをコードする405塩基対
(クローン11)のオープンリーディングフレームを示
す。N末端メチオニンを含めずに計算した場合には,こ
のタンパクは14,613の理論的分子量を有する。このタン
パクは,ラット肺レクチンのような他の動物の14−β−
galレクチンと相同である。他の既知の動物レクチンタ
ンパクの配列に対する相同性は,40%(マウス肝癌)か
ら96%(ヒト肺ペプチド)の範囲である。
b.ヒト胎盤組織からの単離 λ−GT10におけるヒト胎盤ポリ(A+)RNAからヒト胎
盤cDNAライブラリーを構築した。この構築は,第1のcD
NA鎖合成を開始させるために,オリゴDTではなく,3′側
非翻訳領域(HL−60cDNAクローン11のヌクレオチド486
〜502)に相補的な合成プライマー(3′−TCCGTCGACGG
AGACGA−5′)を用いて,Tarantino,A.L.ら(Biochemis
try(1985)24:4665−4671)が述べているように行っ
た。レクチンをコードする配列の大部分を含むが3′側
非翻訳プライマー配列を全く含まない,HL−60の標識化3
11bP断片(クローン2)(第1図B)を用いて,このラ
イブラリーをスクリーニングした。HL−60ライブラリー
のスクリーニングについて述べたようにして,このプロ
ーブを用いて,4つの陽性クローンを単離した。
グリコシル化部位Asn−Leu−Thrが第1図AのHL−60
レクチンの96〜98位に存在することは,推定アミノ酸配
列から明らかである。これはグリコシル化部位を含む最
初の既知哺乳動物レクチンであり,その存在は,β−D
−ガラクトシド化合物に結合する能力を損なわずに,レ
クチンの糖結合能力,可溶性,循環半減期,インビボで
の代謝,安定性,あるいは比活性を潜在的に変化させる
可能性を提供する。
さらに,第1図Aに示すDNA配列,ならびに上で述べ
た他の哺乳動物レクチンに対するcDNA配列の有用性は,
グリコシル化部位が天然では全く存在しない場合でもグ
リコシル化部位を与えうるように遺伝子を操作する可能
性を提供する。従って,本発明の好ましい実施態様であ
るレクチン類を調製するためのあるアプローチにおいて
は,92〜101位の間のトリペプチド配列を,部位特異的変
異誘発法により,グリコシル化部位に変換することがで
きる。この位置にグリコシル化部位を与えることは,こ
のペプチドの14−β−galレクチン活性を損なわないと
予想される。
他のアプローチでは,回収されたHL−60および胎盤cD
NAを,他の起源に由来する14−β−galレクチン配列と
の相同性をより高め,同時にグリコシル化部位をコード
する配列を保持するように操作することができる。
C.ゲノムDNAおよびcDNAの特性 HL−60細胞およびヒト胎盤組織から単離されたヒトゲ
ノムDNAのサザンブロット分析は,第2図に見られるよ
うに,BamH I,Hind III,またはEcoR Iで消化した後に,HL
−60cDNAクローン2(第1図B)の445bp Sma I/Nco I
断片をプローブとして行った。HInd IIIで消化したDNA
(レーン1,胎盤由来;レーン2,HL−60由来)あるいはBa
mH Iで消化したDNA(レーン3,胎盤由来;レーン4,HL−6
0由来)については,約7.5あるいは15kbpの1つのハイ
ブリダイゼーションバンドが存在した;EcoR Iによる消
化(レーン5,胎盤由来;レーン6,HL−60由来)は,内部
EcoR I部位と一致する5.1kbpおよび3.2kbpの2つのハイ
ブリダイゼーションバンドを与えた。
HL−60細胞(レーン1,5,および6),正常ヒト胎盤
(レーン3),ヒトSK肝癌細胞(ATCC CCL24601)(レ
ーン4),ヒト赤白血病性白血病KG−1A細胞(ATCC HTB
52)(レーン7),およびヒト繊毛癌JEG−3細胞(ATC
C HTB36)(レーン2)に由来するmRNA調製物に対し
て,クローン2の311bp EcoR I cDNA断片(第1図B)
をプローブとして得られたノーザンブロット(第2図
B)は,検討したすべての細胞に対して類似の長さある
いは同一の長さを有するmRNAメッセージを与える約700
個のヌクレオチドからなる1つのハイブリダイゼーショ
ンバンドの存在を示した。
D.本発明のレクチン類と反応性のある抗体 本発明のレクチン類は,従来の方法により,これらの
レクチン類と反応性があり,かつこれらのレクチン類に
特異的な抗血清を調製するために使用できる。HL−60レ
クチン類に「特異的な」抗体とは,このレクチンと,あ
るいはその遺伝子の天然に存在する変異体および対立変
異体によりコードされるタンパクと免疫反応性がある
が,他のレクチン類とは免疫反応性がない抗体を意味す
る。第1図AのHL−60レクチンと,他の14−β−galレ
クチン類とには広範囲にわたる相同性が存在するため
に,HL−60レクチンに対して生じた抗体は,実際には,
このレクチンに対して必らずしも特異的なわけではな
い。しかしながら,HL−60レクチンに対するモノクロー
ナル抗体を生産することにより,特異的抗体を生成させ
ることができる。さらに,種々のグリコシル化形に対し
て特異的な抗体も調製することができる。
同様に,非グリコシル化形および特にグリコシル化形
の,少なくとも1つのグリコシル化部位を含むか,ある
いは含まない,本発明の14−β−galレクチンのいずれ
かの特定メンバーに対して特異的な抗体を調製すること
ができる。
つまり,本発明の範囲内の抗体は,本発明のレクチン
の1つまたはそれ以上のメンバーと反応性であるが,当
該技術分野において現在知られているレクチン類と交差
反応性ではないモノクローナル抗体系である。同様に,
本発明のレクチン類のいずれかにより生じた抗血清は,
既知のレクチン類と交差反応性の抗体をいくらか含む場
合でも,これらの抗血清はこれらのレクチン類に特異的
であるので,本発明の範囲内に含まれる。
E.HL−60レクチンの組換え生産 第1図Aのアミノ酸配列をコードするcDNAまたはその
合成もしくは半合成変異体,あるいは14kDa HL−60をコ
ードするcDNAは,各種の系でHL−60レクチンを組換え生
産するのに利用することができる。他の14−β−galレ
クチン類(例えば,少なくとも1つのグリコシル化部位
を有するもの)をコードするのに適したDNAも,組換え
技術により発現させ得る。イントロンのない適切な配列
を連結して発現を調節する配列を制御し,得られた発現
系を適切な宿主にトランスフェクトし,そして形質転換
もしくはハランスフェクトされた宿主を,DNAを発現させ
るのに好ましい条件下で培養することにより,レクチン
をコードするDNAを起動させる。HL−60レクチンと胎盤
レクチンとをコードするゲノムDNA,ならびにその天然に
存在する変異体および対立変異体は,上記のcDNAをプロ
ーブとして用いて,HL−60もしくは胎盤のゲノムから回
収することができる。このゲノムDNAは,イントロンを
プロセッシングし得る真核生物系にも使用できる。レク
チンをコードする配列を,ATGが先行する発現系に連結し
て,成熟タンパクとしてレクチンを得ることができる。
あるいは,目的とする宿主内で作動可能なことが知られ
ているシグナル配列(例えば,細菌中のペニシリナーゼ
もしくはアルカリホスファターゼ系,酵母内のα−因子
系,もしくは哺乳類細胞中の各種ホルモンのシグナル配
列)を使用して,レクチンDNAを有する読取り領域内に
シグナルをコードするDNAを挿入するように発現系を構
築することにより,分泌を起こさせることができる。ま
た,レクチンは,所望により,コーディング配列を,追
加のコーディング配列を有する読取り枠に連結すること
により,融合タンパクとして生産することも可能であ
る。
適正な制御系を有する各種の宿主系は,従来,当該技
術分野ではよく知られている。例えば,原核生物宿主
中,エセリヒア・コリ(E.coli)が好ましいが,バシラ
ス(Bacillus),シュードモナス(Pseudomonas),ま
たは他の細菌株のような他の種も使用できる。適切な制
御系には,β−ラクタマーゼおよびラクトース(lac)
のプロモーター系〔チャンら(Chang et al.Nature(19
77),198:1056〕;トリプトファン(trp)プロモータ
ー系〔ゴデルら(Geoddel et al.)Nucleic Acids Res.
(1980),:4057〕;およびλ−由来PLプロモーター
とN−遺伝子リボソーム結合部位系〔シマタケら(Shim
atake et al.),Nature(1981),292:128〕のような
細菌タンパクに関連するプロモーターが包含される。こ
のリストには,原核生物において最も一般的に用いられ
ているプロモーターが与えられているが,必ずしも全部
を含んでいるわけではない。
同様に,酵素系では,3−ホスホグリセリン酸キナーゼ
のプロモーター〔ヒッツマンら(Hitzeman et al.),
J.Biol.Chem.(1980),255:2073〕;エノラーゼ遺伝子
プロモーター〔ハランド,M.J.ら(Holland,M.J.,et a
l.),J.Biol.Chem.(1981),256:1385〕またはYEp13
から得たleu2遺伝子〔ブローチ,J.ら(Broach,J.,et a
l.),Gene(1978),:121〕を包含する各種のベクタ
ーおよびプロモーターが知らている。
高等生物の細胞での発現に対し,このような細胞で作
動するプロモーターには,SV40プロモーター〔フィアー
ズら(Fiers et al.),Nature(1978),273:113〕も
しくはアデノウイルス,ウシ乳頭腫ウイルス,ラウス肉
腫ウイルスなどに由来するプロモーターのようなウイル
スプロモーターが挙げられる。また,メチロチオネイン
IまたはメタロチオネインIIのプロモーターのような調
節可能なプロモーターも有用である。例えば,B.スリン
ジエンシス(B.thuringiensis)の結晶タンパク遺伝子
に関連するレトロ調節を行う制御配列も利用できる。昆
虫細胞および植物細胞中で組換えタンパクを産生する系
も,現在利用できるが,植物細胞系は現在のところ余り
便利ではない。しかし,植物細胞系が不便なのは,現在
の技術水準が原因であり,この宿主細胞系と,本発明の
タンパクをコードする遺伝子とは,本来不適合なもので
はない。
適当なコーディング配列は,作動可能な構造で,目的
とする宿主にトランスフェクトするために適切なベクタ
ー中の制御配列に連結される。ベクターとしては,目的
とする宿主と形質転換の方法とによるが,プラスミド,
ウイルス粒子,またはファージが,通常含まれる。本願
で用いられる「形質転換」という用語は,宿主細胞によ
って引き起こされるあらゆる形態の異種DNAの取込みを
包含する。例えば,ウイルス感染,形質導入,接合,ま
たはおそらく最も一般的なものであるが,トランスフェ
クティング剤(宿主に依存して,例えば塩化カルシウ
ム,もしくはDEAE/デキストラン)を用いてトランスフ
ェクトすることによるインビトロでの取り込みの誘発が
包含される。
次いで,形質転換された細胞を,所望のDNAを含有す
る細胞についてスクリーニングし,成功裏に形質転換さ
れた細胞を,コーディング配列を発現させる条件で培養
する。次に,産生されたレクチンを,培地(生成物が分
泌される場合)または溶解された細胞(生成物が細胞内
タンパクの場合)から精製される。
いずれの場合も,レクチンは,ラクトース溶液もしく
は他の溶液(緩衝液,トリトンX−100)で抽出し,次
いでクロマトグラフィーに付すという標準的な方法で精
製される。便利なクロマトグラフィーには,ラクトース
・セファロースゲル(lactose Sepharose gel)による
クロマトグラフィーがある。この方法では,抽出物をゲ
ルに添加し,ゲルを洗浄し,次いで,100mMのラクトース
を含有する平衡緩衝液を,一度にもしくは徐々に加える
ことによって溶離を行う。活性画分中に核タンパクが存
在していることは,ラクトースを除去した後,画分がト
リプシン処理したウサギ赤血球を凝集させることができ
るかどうかにより,容易に検出できる。なお,この赤血
球凝集性は,数ミリモルの濃度のラクトースもしくはチ
オジガラクトシドで阻害される。
用途 本発明によるレクチンは,治療および診断の用途に有
用である。レビー,ジィら(Levy,G.et al.),Eur J.I
mmunol(1983)13:500〜507)により述べられた電気レ
クチンと類似の方法で,本発明のグリコシル化部位を有
する14−β−gal哺乳動物レクチンは,重症筋無力症の
ような自己免疫疾患の治療に使用することができる。こ
れらのレクチンにより治療する必要がある他の自己免疫
疾患には,リウマチ様関節炎,全身性エリテマトーデ
ス,若年型糖尿病,および多発性硬化病が包含される。
これらのタンパクは,免疫系の調節物質であるから,
一般に移植片対宿主病の予防および移植組織に対する拒
絶反応の阻害にも有用である。さらに,これらタンパク
に対して免疫活性を有する調製された抗体は,腫瘍の診
断に有用である。その理由は,細胞表面におけるこれら
レクチンの濃度が,転移性癌と相関関係があるからであ
る。また,薬剤をレクチンに結合させると,薬剤を適切
な標的に向わせるのに有用であるので,本発明のレクチ
ンは,薬剤投与法の応用に有用である。本発明のレクチ
ンは,同様にある種の細胞毒性分子に結合させて,ター
ゲッティング剤として使用することができる。
治療用途に用いる場合,該タンパクは,当該技術分野
で公知の製剤法(例えば,Remington′s Pharmaceutical
Sciences,最新版,Mack Publishing Co.,ペンシルバニ
ア州,フィラデルフィアに記載)を用いてその投与法に
適した様式で製剤される。典型的な注射用処方物として
は,ハンクス液もしくはリンガー溶液のような注射用の
生理学的緩衝液との混合物;リポソーム類または他の薬
剤投与に適した乳化剤によりカプセル化したものなどが
包含される。
本発明のレクチンの投与量および投与方法は,症状,
患者,および治療する疾患の重さにより決定される。好
ましい投与量は,約0.004mg/kg/日〜約2mg/kg/日であ
る。好ましい投与法は,静脈投与,皮下投与,および経
口投与が含まれる。
次に実施例によってこの発明を説明するがこの発明を
限定するもではない。
実施例1 細胞内タンパクを与える,哺乳類細胞内でのHL−60レク
チンcDNAの発現 上記のλgt10ライブラリー由来のLP59/LP60雑種形成
クローンに挿入物を,細菌クローニングベクターに連結
することによって,プラスミドpHL11を構築した。従っ
て,pHL11は,全コード配列と,5′および3′の非翻訳領
域とを有する。
この遺伝子を,発現ベクタープラスミドp171に,2つの
セグメントで結合させた。プラスミド171は,ネズミのD
HFRと,SV40プロモーターと,Hind IIIおよびBamH I制限
部位を含むポリリンカーで分離されたポリアデニル化部
位と,を含む発現系を有する。
HL−60レクチン配列の5′部分は,pHL11をE.coR IとS
ma Iとで消化し,得られた断片をEcoR I/Sma Iで消化し
たpUC13に連結し,E.coli内で複製することによってク
ローン化され,pL1が得られる。その下流部分の増幅は次
のようにして行われる。つまり,pHL11をNco Iで消化
し,クレノーで平滑末端とし,EcoR Iで消化し,140bp Ec
oR I/平滑末端断片を単離し,この断片をE.coR I/Sma I
で消化したpUC13に連結し,次いでE.coli内で増幅する
ことによってpL2が得られる。
上流部の断片は,Hind IIIとEcoR Iとで消化し,370bp
の断片を単離することによって,pHL1から単離され,下
流のEcoR I/BamH I150bp断片はpHL2から単離される。単
離された断片を,BamH I/Hind IIIで切断した発現ベクタ
ーp171に連結し,得られた連結混合物をE.coliに形質転
換し,満足すべき形質転換体を選択する。SV40プロモー
ターの制御下にあるHL−60レクチン遺伝子とポリアデニ
シル化部位とを有するプラスミド(pSV/HL−60)が単離
された。次いで単離されたベクターを,DHFRを欠いたチ
ャイニーズハムスター卵巣(CHO)を細胞系を形質転換
するのに用い,次にグリシン,ヒポキサンチンおよびチ
ミジンを欠いたF12培地中で増殖しうる満足すべきコロ
ニーを単離し,選択培地中で増殖させた。
選択した細胞を,次に,F12培地で1ml当り2×106の細
胞数で48時間培養し,採集した。得られた細胞を溶解
し,ウサギ赤血球凝集を検出法を用いて,得られた溶解
物がHL−60レクチンを含有していることを確認した。
実施例2 哺乳類細胞内でのHL−60レクチンcDHAの分泌タンパク産
生の発現 Cla I制限部位を,開始コドンを保持し,下流のコー
ド配列を維持する第1図のアミノ酸1のコドンのすぐ上
流に導入した。この上流の配列を,Cla I/EcoR Iによる
消化によって取り出し,310bp/Ca I/EoR I断片として単
離した。この断片を,上記のpHL2から単離されかつ下流
の断片を有する150bp EcoR I/BamH I断片とともに,Cla/
BamH Iで消化した発現ベクターに連結した。この発現ベ
クターは,SV40プロモーターの制御下にある疎水性分泌
タンパクシグナル配列と,該シグナルの3′末端におけ
るCla I部位とを有する。この発現ベクターはまた,ネ
ズミDHFRの発現系を有する。
得られた連結混合物を,上記のように,DHFRを欠いたC
HO細胞に形質転換し,実施例1と同様にして培養した。
F12(gHT−)培地中で48時間培養後,培養を採集し,ELI
SA法を用いてHL−60のレクチン産生を検定した。
実施例3 HL−60レクチンのHL−60細胞からの単離 天然のHL−60レクチンを,HL−60細胞溶解物から次の
ようにして単離した。ラクトースまたはトリトンX−10
0溶液で処理することによって,溶解物中の該タンパク
を可溶化し,得られた可溶化レクチンを,ラクトース・
セファロースカラム又はアシアロフェチュイン・セファ
ロースカラムによるアフィニティー法によって精製し
た。
ラクトース・セファロースのグラジエント溶離によっ
て得たタンパク含有画分は,SDS−PAGEに付したところ,1
4kDaと17kDaとの位置にピークを示し(第3図のレーン
4),これらのピークは適当なレクチン活性を示す。ア
シアロフェチュインセファロースカラム由来のタンパク
含有ピークは,14kDaのレクチンを含有し(レーン2),
そして30kDaの位置に小量のレクチンを含有している。
同様の処理を受けたヒト胎盤から単離されたレクチン
は,アフィニティカラムにかかわらず(レーン1,アシア
ロフェチュイン;レーン3,ラクトース),14kDa主ピーク
と,30kDaにおける小量のピークを示し17kDaの種類は全
く存在しなかった。
アフィニティクロマトグラフィに続いて,アセトニト
リル/水−TFA溶媒系を使うC4HPLCカラムを用いて,HL−
60レクチンを均質に精製した。第4図Aおよび第4図B
は,アセトニトリル/TFAを用いた濃度勾配溶出の結果;
および画分のSDS−PAGE分析を示す。14kDaレクチンは,S
DS−PAGEの結果でわかるように,画分2に現れている。
14kDaおよび17kDaのタンパクが,赤血球凝集活性に関
与しているということが,ラクトース−セファロースア
フィニティークロマトグラフィーで溶離したHL−60タン
パクの画分をHPLCで分析することによって決定された。
14kDaのレクチンが,17kDaのタンパクから分離されたと
はいっても,17kDa型を含有する画分は,かなりの量の14
kDaレクチンを含有していた。第4図Bでわかるように,
14kDaのタンパクは,赤血球凝集活性ピークに対応す
る。さらに,精製14kDaの胎盤レクチンに対して生じた
ウサギ抗血清を用いて,14kDaおよび17kDaのタンパクを
ウェスタンブロット分析した結果,14kDaのタンパクには
交差免疫反応性が認められたが17kDaのレクチンには認
められなかった(第5図参照)。
17kDaのタンパクが,14kDaタンパクのグリコシル化さ
れたものである可能性について,両タンパクをN−グリ
カナーゼ(N−glycanase)(Genzyme)で処理して試験
した。このN−グリカナーゼは,糖タンパク由来のN−
アスパラギン結合オリゴ糖を加水分解する。精製レクチ
ン試料(2μg)を,10μlの0.5%SDS−0.1M 2−メ
ルカプトエタノールに溶解し,0.15単位のN−グリカナ
ーゼで処理した。第5図に示すように,この酵素は,オ
ロソムコイドおよびフェチュイン両糖タンパクが脱グリ
コシル化される条件下では,いずれのHL−60タンパクに
も全く効力がなかった。レーン1は,N−グリカナーゼを
含み;レーン2はヒトオロソムコイドを含み;レーン3
はオロソムコイドとN−グリカナーゼとを含み;レーン
4はウシフェチュインを含み;レーン5はウシフェチュ
インとN−グリカナーゼとを含み;レーン6はラクトー
ス・セファロースで精製されたHL−60レクチンを含み;
レーン7はHL−60レクチンとN−グリカナーゼを含む。
14kDaはレクチンについて観察された分子量は,予想さ
れた分子量にほとんど一致する,14,613ダルトンである
から,14kDaのレクチンはグリコシル化されていないよう
である。
精製した14kDaおよび17kDaのHL−60のタンパクを,SDS
−PAGE分析に付した後,アミノ酸配列を決定した。アミ
ノ末端および14kDaレクチンをブロックするには,レク
チンを臭化シアンで処理して,分子内のメチオニンの位
置でレクチンを切断する必要がある。その断片のアミノ
酸配列は,121位におけるメチオニンの開裂で得た,14kDa
胎盤レクチンの14残基C末端断片の配列と同一であっ
た。17kDa HL−60タンパクもまた,N末端でブロックされ
ており,臭化シアン処理で得た断,14kDa HL−60タンパ
クとは無関係の独特のアミノ酸配列となった。さらにこ
の断片は,スイスタンパクデータバンク(Swiss Protei
n Data Bank)の他のいずれのタンパクとも有意な相同
性を示さなかった。
従って,17kDaのタンパクは,N−グリカナーゼによって
影響されず,赤血球凝集活性に関与しておらず,14kDa胎
盤レクチンに対して特異的なポリクローナル抗体とは反
応せず(後述の第6図参照),そのアミノ酸配列は,14k
Daの配列とは大きく異なる。
実施例4 レクチンのヒト胎盤組織からの単離 新鮮なまたは凍結したヒト胎盤を,3倍容量(mg/g)の
ホモジナイジング緩衝液中で均質化し,得られたホモジ
ネートを10,000×gで15分間遠心分離した。次いで,得
られたペレットを2倍容量のホモジナイジング緩衝液
(もとの組織の重量に対して)と,0.1Mβ−ラクトース
との混合物中で,4℃で1時間撹拌して懸濁させ,10,000
×gで1時間遠心分離した。得られた上澄み液に固体の
硫酸アンモニウムを,50%飽和度まで添加し,得られた
溶液を4℃で3時間インキュベートした。次に,得られ
た溶液を30,000×gで15分間遠心分離し,ペレットを廃
棄し,得られた上澄み液に固体の硫酸アンモニウムを添
加して飽和させた。次に,得られた溶液を4℃で16時間
インキュベートし,30,000×gで1時間遠心分離し,得
られたペレットを,1/10倍容量(もとの組織の重量に対
して)の10mMトリス−1mM EDTA,pH7.5に溶解し,ホモジ
ナイジング緩衝液に対して透析した。得られたレクチン
を,ラクトース・セファロースカラムもしくはアシアロ
フェチュインカラムによるアフィニティクロマトグラフ
ィによって精製した。
実施例5 HL−60レクチンcDNAのE.coli細胞中での発現E.coli内で
用いる発現ベクターを,イソプロピルチオガラクトシド
(IPTG)誘発性trp−lac(tac)プロモーターを含有す
るベクターpKK223−3(ファルマシア社)を用いて構築
した。レクチンcDNAを,コード配列の5′末端で変異さ
せて,レクチンATGコドンに接してCla I制限部位を導入
した。この処理は,バイオーラド ムタジーンM13キッ
ト(Bio−Rad Muta−Gene M13 Kit)を用い,オリゴヌ
クレオチドダイレクティド変異誘発法により行なった。
用いた合成オリゴヌクレオチドは下記の配列を有する。
クローン11の変異誘発したレクチンcDNAの421bp Cla
I/Nco I断片(第1図B)を平滑末端とし,T4DNAリガー
ゼを用いて,ベクター中の平滑末端としたEcoR I部位に
連結した。E.coli JM101を標準法で形質転換し,得られ
たクローンを,レクチンcDNAプローブと雑種形成させる
ことによって試験した。クローンの構造を制限部位分析
法で確認した。雑種形成法で試験して陽性のクローンを
選択して,大量に増殖させた。
レクチンのcDNAを発現させるために,500mlのLB培地
に,E.coli JM101形質転換体の一夜培養物2.5mlを接種し
た。90分後,細胞に1mMのIPTGを添加することによって
誘発し,37℃にて6.0時間増殖させた。次いで細胞を採集
し,20mMトリス−HCl,pH7.4,2mM EDTA,150mM NaCl,4mM2
−メルカプトエタノールおよび1mM PMSFの混合物25mlで
洗浄した。次に,得られた細胞を,5分間の音波処理を2
回行って溶解し,得られた細胞溶解物を,10分間,25,000
×gの遠心分離にかけて透明にした。
得られたレクチン含有上澄み液を,ビニルスルホンで
活性化したセファロースに結合させたβ−ラクトースの
カラムを用い,0.1M β−ラクトース含有ホモジナイジ
ング緩衝液で溶離するアフィニティークロマトグラフィ
ーで精製した。得られた全画分を,標準法を用いてSDS
−PAGE法,免疫ブロッティング法および赤血球凝縮活性
法で分析した。N末端アミノ酸配列分析法によってN末
端がアラニンであることがわかり,これは,細菌がイニ
シャルメチオニンを分解することによって,タンパクを
プロセッシングすることを示す。N−末端アラニンは,
例えばアセチル化することによって修飾することができ
ることもまた,明らかである。
精製E.coliのレクチンをウェスタンブロット分析に付
したところ,このレクチンが胎盤レクチンおよびHL−60
レクチンと同じ電気泳動度および免疫反応性を有するこ
とが分かった。第6図は,いくつかの14kDaレクチンのS
DS−PAGE分析およびウェスタンブロット分析の結果を示
す。パネルAでは,各レクチンを,電気泳動法に付し,
コマシー・ブルーR−250で染色した;パネルBでは,
各レクチンは,PVDF膜に移して,抗胎盤レクチン抗体お
よびHRPを結合したヤギ抗ウサギIgGで処理して可視化し
た。
両ポリルの各レーンは次のとおりである:レーンA1,J
M101 E.coli溶解物50μg;レーンA2,HL−60レクチン発現
プラスミドを含有するE.coli由来の溶解物50μg;レーン
A3,胎盤レクチン,5μg;レーンA4,HL−60レクチン5μg;
レクチンA5,E.coli由来レクチン5μg;レーンB1,JM101
溶解物10μg;レーンB2,HL−60レクチン発現プラスミド
を含有するE.coli由来の溶解物10μg;レーンB3,胎盤レ
クチン0.2μg;レーンB4,HL−60レクチン0.2μg;レクチ
ンB5,E.coli由来レクチン0.2μg。さらに,赤血球凝縮
検定法に付したE.coli由来のレクチンは,HL−60レクチ
ンおよび胎盤レクチンと類似の活性を示した。
E.coli由来のレクチン,HL−60レクチン,および胎盤
レクチンの分析により,E.coliで発現されたレクチン
が,胎盤レクチンおよびHL−60レクチンとほぼ同じ比活
性を有することが分かった(第12図,後記)。上記のこ
とは,組換え体レクチンが,生物学的に活性であり,HL
−60細胞および胎盤のような天然の起源から単離された
レクチンと類似のものであることを示している。
実施例6 細胞内もしくは分泌されたタンパクを与える,CHO細胞内
でのHL−60レクチン遺伝子の発現 CHO細胞は,レクチンcDNAを含むベクター(cDNAベク
ター),もしくはレクチンcDNAおよび作動可能に結合し
た分泌シグナルを含むベクター(分泌ベクター)でトラ
ンスフェクトされた。第7図は,免疫沈降反応し,代謝
的に標識されたレクチンのSDS−PAGE分析の結果を示し
ている。このレクチンは,後述のようにトランスフェク
トし,ならびに処理されたCHO細胞によって生成する。
レーン2は,P−18(cDNAベクター)形質転換細胞の上清
と免疫血清とを含み;レーン3は,P−18の上清と正常な
ウサギの血清(NRS)とを含み;レーン4は,PS−2(レ
クチン分泌べクター)の上清と,免疫血清と,N−グリカ
ナーゼとを含み;レーン5は,PS−2の上清と免疫血清
とを含み;レーン6は,PS−2の上清とNRSとを含み;レ
ーン7は,PS−2の抽出物と免疫血清とを含み;レーン
8は,PS−2の抽出物とNRSとを含み;レーン9は,PS−
2の抽出物と,免疫血清と,N−グリカナーゼとを含み;
レーン10は,P−18の抽出物とNRCとを含み;そしてレー
ン11は,P−18の抽出物と免疫血清とを含む。
数種のレクチン(18〜20kDa型および14kDa型のレクチ
ン)は免疫沈降反応した。レーン5に見られるように,
大きな型のレクチンは,分泌シグナルと作動可能にして
結合したcDNAによりトランスフェクトされた細胞によっ
てのみ分泌される。しかし,そのレクチンは,細胞溶解
産物中では見い出されない(レーン7)。大きな型のレ
クチンは,N−グリカナーゼで処理すると,14kDa型に変化
する(レーン4)。
免疫沈降反応し,代謝的にラベルされたレクチン(こ
のレクチンは,いくつかの他の細胞系の溶解産物から得
られた)のSDS−PAGE分析を第8図に示す。レーン3お
よび4はそれぞれNRSおよび免疫血清で処理したヒトの
包皮繊維芽細胞の溶解産物から得られたレクチンを含
む。レーン5および6は,それぞれNRSおよび免疫血清
で処理された,トランスフェクトされたCHO細胞の溶解
産物から得られたレクチンを含む。レーン7および8
は,それぞれNRSおよび免疫血清で処理したHL−60細胞
の溶解産物から得られたレクチンを含む。レーン9およ
び10は,それぞれNRSおよび免疫血清で処理したU937細
胞の溶解産物から得られたレクチンを含む。レーン11お
よび12は,それぞれNRSおよび免疫血清で処理したKGla
細胞溶解産物から得られたレクチンを含む。レーン13お
よび14は,それぞれNRSおよび免疫血清で処理したPBL細
胞の溶解産物から得られたレクチンを含む。細胞溶解産
物中には,レクチンの14kDa型のみが存在し,このこと
は,第7図に示される結果と一致する。上清の免疫沈降
反応において,いくつかの分泌されたレクチンが示され
ていない。
第9図には,免疫沈降反応し代謝的にラベルされたレ
クチン(レクチンcDNAは,分泌シグナルと作動可能に結
合したレクチンcDNAでトランスフェクトされたCHO細胞
によって分泌される)のSDS−PAGE分析が示されてい
る。レーン1および2は,それぞれPS−2(レクチン分
泌ベクター)上清およびNRS;およびPS−2および血清を
含む。レーン3および4は,それぞれPS−2上清,200ng
/mlのレクチン,および免疫血清;およびPS−2上清,20
0ng/μmのレクチンおよびNRSを含む。レーン2および
3は,14kDaおよび18kDa型の分泌を示す。
分泌シグナルと作動可能に結合したレクチンcDNAによ
りトランスフェクトされたCHO細胞によって分泌された
レクチンを,N−グリカナーゼで処理し,SDS−PAGEにかけ
た。その結果を第10図に示す。レーン1,2,5および6は,
PS−2(レクチン分泌ベクター)の上清と免疫血清とを
含む。レーン3および4は,N−グリカナーゼで処理され
た,PS−2の上清を含む。レーン3と4において,18〜20
kDaレクチンが存在しないということは,18〜20kDaレク
チンが14kDaレクチンのグリコシル化された形のもので
あることを示す。
分泌シグナルに作動可能に結合したレクチンcDNAによ
りトランスフェクトされたCHO細胞により分泌されたレ
クチンを,ラクトース・セファロースカラムで精製し,
そしてその溶質画分をSDS−PAGEにかけた。第11図に示
されるように,大型レクチンおよび小型レクチンのいず
れもがラクトースと結合し,そして,次の実施例に示さ
れるように,凝集分析において活性を有する。
実施例7 レクチンのβ−ガラクシド結合活性に関する分析 14kDaレクチンの生物的活性を,トリプシンで処理し
たウサギの赤血球の凝集反応によって確かめた。上記14
kDaレクチンは,HL−60細胞,胎盤の組織,そして,分泌
シグナルと作動可能に結合したレクチンcDNAでトランス
フェクトされたE.coli細胞から得られた。第12図に示さ
れるように,一番上の列は,コンカナバリンAのコント
ロールであり,凝集のエンドポイントは1.5μg/mlであ
る。その下の6列は,3種の精製された14kDaのレクチン
を種々の濃度の完全糖(completing sugar)とともにイ
ンキュベートした結果を示す。上記完全糖は,14kDa胎盤
レクチンの強力なインヒビターとして知られているβ−
ラクトースおよびチオジガラクトシドである。チオジガ
ラクトシドは,0.31mMを越える濃度のときに赤血球の凝
集反応を阻害し,そしてβ−ラクトースは,1.25mMを越
える濃度のときに赤血球の凝集反応を阻害した。
実施例8 2種の異なるマウスの系統を用いてのタンパクおよび多
糖類に対する初期体液免疫反応におけるHL−60レクチン
の影響 A.シビレエイ(Torpedo Marmorata),破傷風毒素,お
よび莢膜多糖類から得られるアセチルコリンレセプター
によるマウスの免疫 シビレエイ(ray Torpedo Marmorata)の電気器官か
ら得られたアセチルコリンレセプターを,ナジャ ナジ
ャ シアメンシス(Naja naja siamensis)の神経毒を
用いたアフィニティクロマトグラフィーによって精製し
た。破傷風毒素は,スウェーデン国立微生物研究所から
入手し,該毒素は,ホルマリンで処理された破傷風毒素
(通常,ワクチンとして使われている)でなる。肺炎連
鎖球菌の23種の異なる血清型から抽出した莢膜多糖類抽
出物の混合物は,マーク シャープ ドーム(Merck Sh
arpe Dome)Inc.から入手した。BALB/cおよびC56BL/6マ
ウスの若い成体の雌(生後2〜4ヶ月)を使用した。マ
ウスに,完全フロイントアジュバント中に10μgの精製
されたアセチルコリンレセプター,または破傷風毒素,
または肺炎双球菌の多糖類のいずれかを含み,かつHL−
60レクチンを含むかまたは含まない混合物を注射した。
これらの予備実験で注射するレクチン量はマウス1匹あ
たり0.1から25μgの間であった。血液を3日後,1週間
後,2週間後,3週間後および4週間後に採取した。アセチ
ルコリンレセプターを注射されたマウスにおいて,実験
的自己免疫重症筋無力症を発現させるために,マウス
を,神経筋の機能障害の微行について毎日観察した。10
日後には,このマウクは,くりかえして物をつかむこ
と,泳ぐこと,および逆さにぶらさがる運動が強いられ
た。なお,これらの運動は,熱ランプで35℃にて5分間
あたためた後,繰り返して行われた。これらの観察の結
果を表1に示す。表1から,高投与量でテストされた両
系統のマウスにおいて,組み換え型のHL−60レクチン
は,神経筋の機能障害を遅延されるのに明らかに有益な
効果をもたらすことがわかる。
観察した後,動物を殺し,皮膚をはぎ,そして,内臓
を摘出し,そして,コリン作動性のレセプターの抽出物
を動物の胴体全体から調製した。
B アセチルコリンレセプターで免疫したマウス中のフ
リーレセプター量の測定 本実施例A項で調製したのと同様の方法で調製された
レセプター抽出物の既知の部分を定量のために該レセプ
ターをラベルする目的で,37℃で1時間,10倍過剰量の
125I−α−ブンガロトキシンとともにインキュベートし
た。その混合物をセファクリルG200でゲルろ過し,遊離
の,ならびに結合した毒素を分離した。マウスの胴体中
に存在するレセプターの量を同時に投与された組み換え
HL−60レクチンの量とともに表2に示す。これらのデー
タにより,約15〜25μgの投与量において,組み換えHL
−60レクチンが,注射されたアセチルコリンレセプター
の生体内での影響を妨げることが示される。
C.シビレエイ(Torpeo)およびマウスのレセプターに対
するレセプター結合免疫グロブリンGおよびMの測定 これらの測定は,レセプター抽出物を10倍過剰量の標
識ブンガロトキシンとともに一晩,4℃にインキュベート
し,沈澱を分離し,洗浄し,そして放射能を計数するこ
とにより行なわれた。表2の結果により,レクチン処理
されたマウスにおいては,約15〜25μgの投与量が,免
疫グロブリン(Ig)と結合した筋肉アセチルコリンレセ
プターの量を減少させるのに効果があることが示され
る。
D. アセチルコリンレセプター,破傷風毒素および肺炎
球菌多糖類を用いて免疫されたマウスのB細胞レパート
リー 1.免疫されたBALB/cマウスからのモノクローナル抗体の
初期クローンの調製 3匹のBALB/c雌マウス(7〜8週)のそれぞれに,完
全フロイントアジュバント中5μgのレセプター抗原,
破傷風毒素もしくは肺炎球菌多糖類を腹腔内注射し,そ
して2週間後に,0.15Mリン酸ナトリウム緩衝液,pH7.4中
の同量の抗原を静脈注射した。同じ株の3匹のマウス
に,これらの抗原と15μgのHL−60レクチンとを組み合
わせて免疫した。動物を,ブースター注射4日後に殺
し,脾臓細胞(108細胞)を非分泌型Bリンパ細胞腫細
胞系SP2−OAg14(2×107細胞)と融合させた。細胞混
合物を,2×105細胞/ウェルの割合で,6×96コスター(C
ostar)トレーのウェル内に,マウスの腹膜マクロファ
ージのフィーダー層(5×105細胞/ウェル)とともに
分配した。培養の3日目からHAT(ヒポキサチン−アミ
ノプテリン−チミジン)培地を加えた。
10〜14日後に,上澄みを分析し,免疫化に使用した各
抗原に結合している否かを調べた。前述の通り,BLISAを
使用した。
表3の結果から,抗体とともにレクチンを与えた場合
には,投与したタンパク抗原に対する特異的な抗体を産
生するB細胞レパートリーが初期免疫後に減少すること
がわかる。
表3 HL−60レクチン(15μg)とともに,もしくはHL−60レ
クチンなしで抗原(シビレエイレセプター,破傷風毒素
および肺炎球菌多糖類)を注射したBALB/cマウス由来の
ハイブリドーマクローンの数(各抗原について初期クロ
ーン180) 抗原+レクチン 抗原のみ シビレエイレセプター 54 129 破傷風毒素 79 161 肺炎球菌多糖類 111 143 実施例9 初期免疫応答に対するHL−60レクチンの影響 A.シビレエイアセチルコリンレセプターに対する抗体の
決定 実施例8,A項と同様にして調製した精製レセプター5
μg/mlを含有する溶液100μでマイクロタイターのウ
ェルを一晩コートし,血清(1/25に希釈)を用いて,37
℃で3時間インキュベートした。洗浄後,アルカリフォ
スファターゼ接合ヤギ抗マウスの免疫グロブリンを用い
て,37℃で3時間プレートをインキュベートした。次
に,プレートをよく洗浄し,p−フェニルリン酸エタノー
ルアミン緩衝液を用いて37℃で1時間インキュベートし
た。3M NaOH25μを添加して反応を停止させ,そし
て,ラベルした抗体の結合をELISAマイクロリーダーを
用いて405nmで測定した。50匹を越える数のマウス由来
の正常マウス血清プールを負のコントロールとする。遮
断限界(cut−off limit)は正常血清プールで得られた
累積値の平均値+4SDであった。結果を,放射性免疫分
析によって得られた結果と比較し,正常固体群(50匹を
越えるマウス)からの累積結果の平均値+4SDを差し引
いた後,血清1で沈澱するトキシンレセプターのモル
数で表わした。
B.マウスアセチルコリンレセプターに対する抗体 抗体は抗原として部分的に精製した正常マウスの骨格
筋レセプターと125I−α−ブンガロトキシンとの複合体
を用いて決定された。結果は,正常個体群(50匹を越え
るマウス)からの累積結果の平均値+4SDを差し引いた
後,血清1で沈澱するトキシンレセプターのモル数で
表わした。
C.破傷風毒素および莢膜多糖類に対する抗体 抗体は,酵素結合免疫分析法(ELISA)で決定した。
抗原の5μg/mlを含有する溶液100μでマイクロタイ
ターのウェルを一晩コートし,血清(1/200に希釈)を
用いて37℃で3時間インキュベートした。洗浄後,アル
カリフォスファターゼ接合ヤギ抗マウスの免疫グロブリ
ンを用いて37℃で3時間プレートをインキュベートし
た。次に,プレートをよく洗浄し,p−フェニルリン酸エ
タノールアミン緩衝液を用いて37℃で1時間インキュベ
ートした。3M NaOH25μlを添加して反応を停止せさ,
そして,ラベルした抗体を結合をELISAマイクロリーダ
ーを用いて405nmで測定した。50匹を越える数のマウス
由来の正常マウス血清プールを負のコントロールとす
る。遮断限界は(cut−cff limit)は正常血清プールで
得られた累積値の平均値+4SDであった。値は正常血清
プールの平均値+4SDを差し引いた後のミリ吸光度単位
で表した。
BALB/cマウス群は,破傷風毒素,肺炎球菌多糖類,シ
ビレエイレセプターおよびマウスレセプターで免疫され
た。この時,HL−60レクチンを添加せずに,あるいは抗
原に加えて種々の量のHL−60レクチンを添加して免疫を
行った。
3日後に血液を採取し,再び1,2,3および4週間後に
採取して,抗体量を決定した。この結果を第13図A,第13
図B,第13図Cおよび第13図Dに示す。第13図A,第13図C
および第13図Dに示すように,T型依存抗原に対する初期
免疫反応はレクチンを高濃度に投与した場合,有意に低
くなる。同様の結果は,T型非依存抗原である肺炎球菌多
糖類では観測されなかった(第13図B)。
実施例10 実験的自己免疫脳脊髄炎に対するHL−60レクチンの影
響,多発硬化症に対する動物モデル ラットに組み変え型HL−60レクチンを静脈注射した場
合の結果を表4および表5に示す。レクチンの静脈投与
は0日目に開始し,4日目および6日目に追加レクチンの
処理を行った。このことにより,疾患の発生にわずかな
遅延を生じた。疾患はレクチン処理をしなかった場合に
比べて軽症で,疾患期間が短く,ならびに体重の減少も
少なかった。
表5より,免疫される3日前からレクチンを投与し,7
日目まで毎日注射することによって,病気の発生は完全
に防止されたことがわかる。
実施例11 選択されたリンパ球の表現型におけるレクチン処理ラッ
トのインビボでの影響 表6Aはレクチン処理したラット由来のラットリンパ
節,サプレッサーT細胞〔モノクローナル抗体0X8(Ser
otec−Bioproducts,インディアナポリス,インディアナ
州)と反応する〕の数が28%増加することを示してい
る。
表6Bは,脾臓サプレッサーT細胞の数が32%増加し,
そして,ヘルパーT細胞(W3/25抗体反応性,Serotec−B
ioproducts,)および全T細胞(W3/13抗体反応性,Serot
ec−Bioproducts,)の数がそれぞれ19%および24%減少
することを示している。
実施例12 表7の結果は組み換えヒトレクチンが特異的にヒトの
マクロファージと反応することを示している。ヒトの血
液細胞をHL−60レクチンで前処理し,その後特異的な抗
体(螢光標識化)で螢光を発するようにした場合に,CD3
+,CD4+,NK(L−A)またはHLA−DR細胞マーカー(Be
cton−Dickenson)については,有意な変化が認められ
なかった。しかし,M1およびM3マクロファージでのレク
チン処理の効果は重要であり,陽性の細胞の割合がM1お
よびM3で,それぞれ33%および26%減少していることか
ら,M1およびM3抗体で認識されるエピトープとレクチン
との相互作用が示唆される。
(発明の要約) 他の既知の動物レクチン類とは異なるアミノ酸配列を
有するヒトHL−60レクチンが開示されている。このヒト
HL−60レクチンは,ラクトースまたは界面活性剤で抽出
可能であり,かつβ−D−ガラクトシドに特異的な哺乳
動物レクチン類の1種である(少なくとも1つのグリコ
シル化部位を有する14−β−galレクチン)。さらに,
哺乳動物の14−β−galレクチン類(特に,HL−60レクチ
ン)を種々の宿主で生産するための組み換え方法および
その材料,そして得られたレクチン類の利用方法につい
ても記載されている。ひとHL−60レクチンはHL−60細胞
や胎盤組織中に存在する。
【図面の簡単な説明】
第1図AはヒトHL−60レクチンおよび胎盤レクチンの両
方に対するcDNA配列および推定アミノ酸配列を示す図で
ある。図中,配列の上側に付記された数字は対応するヌ
クレオチドに関するものであり,枠で囲まれた部分は開
始コドンおよび終止コドンを示す。また,星印はN結合
によるグリコシル化が可能な部位を示す。 第1図Bは2つのHL−60cDNAクローンに対する制限酵素
切断地図を示す図である。図中,コード領域は白抜きの
枠部分で示されており,用いた配列決定の方針も併せて
示されている。 第2図Aは,HL−60cDNAをプローブとして用いた,HL−60
細胞およびヒト胎盤細胞に由来のDNAに対するサザンブ
ロッド分析結果を示す図である。この図は,14kDaのレク
チンに対する1つの遺伝子の存在を示している。 第2図Bは,HL−60cDNAをプローブとして用いたノーザ
ンブロット分析の結果を示す図である。この図は,様々
な細胞系に含まれ,レクチンをコードすると推定される
mRNAのメッセージが,同じ長さであり,かつ相同性を有
することを示している。 第3図は精製されたレクチン調製物に対するSDS−PAGE
分析結果を示す図である。 第4図Aは,HL−60レクチンのHPLC精製における溶出画
分のSDS−PAGE分析結果を示す図である。 第4図Bは,各画分の凝集活性と,214nmにおける吸光度
とを重複させて示した図である。 第5図は,N−グリカナーゼで処理されたHL−60レクチン
に対する銀染色SDS−PAGE分析の結果を示す図である。 第6図AおよびBは,レクチンcDNAでトランスフェクト
されたE.coli細胞に由来するレクチンを含む,様々な14
kDaのレクチンに対するSDS−PAGE分析およびウェスタン
ブロット分析の結果を示す図である。 第7図は,HL−60レクチンcDNAでトランスフェクトされ
るか,あるいはHL−60レクチンcDNAおよび作動可能なよ
うに連結された分泌シグナルでトランスフェクトされた
CHO細胞により産生される,免疫沈降反応を起こし,代
謝的に標識されたHL−60/胎盤レクチンに対するSDS−PA
GE分析結果を示す図である。 第8図は,数種の細胞系に由来する,免疫沈降反応を起
こし,代謝的に標識されたレクチンに対するSDS−PAGE
分析結果を示す図である。 第9図は,分泌シグナルに作動可能なように連結された
HL−60レクチンcDNAでトランスフェクトされたCHO細胞
により分泌される,免疫沈降反応を起こしたレクチンに
対するSDS−PAGE分析結果を示す図である。 第10図は,分泌シグナルに作動可能なように連結された
HL−60レクチンcDNAでトランスフェクトされ,かつN−
グリカナーゼで処理されたCHO細胞により分泌される,
免疫沈降反応を起こしたレクチンに対するSDS−PAGE分
析結果を示す図である。 第11図は,分泌シグナルに作動可能なように連結された
HL−60レクチンcDNAでトランスフェクトされたCHO細胞
により分泌されるレクチンのラクトース・セファロース
精製における溶出画分のSDS−PAGE分析結果を示す図で
ある。 第12図は,レクチンcDNAと,作動可能なように連結され
た分泌シグナルとを有するベクターでトランスフェクト
された,ヒト胎盤,HL−60細胞,およびE.coli細胞に由
来する精製されたレクチンの血球凝集に関する生物学的
分析結果と,糖類による凝集阻害とを示す図である。 第13図Aは,破傷風トキソイドに対する一次免疫反応に
及ぼすHL−60レクチンの影響を示すグラフである。 第13図Bは,肺炎球菌多糖体に対する一次免疫反応に及
ぼすHL−60レクチンの影響を示すグラフである。 第13図Cは,Torpedo受容体に対する一次免疫反応に及ぼ
すHL−60レクチンの影響を示すグラフである。 第13図Dは,Torpedo受容体で免疫された動物におけるマ
ウス受容体に対する一次免疫反応に及ぼすHL−60レクチ
ンの影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12N 15/09 ZNA A61K 37/00 (72)発明者 ピエール―オリビエ クロー フランス国 ペー.オー.セ. 78610 ルペレ,オファルジ,リュー ドュ ペレ ペー.オー.セ. 9 (56)参考文献 特開 平1−110698(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 15/00 - 15/90 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) GeneSeq EPAT(QUESTEL)

Claims (35)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】哺乳動物の14−β−galレクチンであっ
    て、6×SSC、20mMリン酸緩衝液(pH7)、2×デンハー
    ト液、0.1%SDS、2mM EDTA、および100μg/ml酵母RNAを
    含む溶液中で、以下から選択される少なくとも1つのプ
    ローブ: (a)3′−CT(T/C)AA(A/G)TT(T/C)AA(A/G)GG
    −5′、 (b)3′−CT(A/G)AA(A/G)TT(T/C)TA(A/G)TT
    −5′、 (c)3′−TCCGTCGACGGAGACGA−5′、または (d)HL−60細胞ATCC CCL240由来のcDNAをEcoR I消化
    することにより得られる311bpのフラグメント、ここで
    該cDNAは、該溶液中で、該プローブ(a)および(b)
    とハイブリダイズする:とハイブリダイズするDNA配列
    によりコードされるタンパク質を含み、 ここで、該DNA配列が、ストリンジェントな条件下で以
    下のヌクレオチド配列とハイブリダイズし: そして 該タンパク質が、複数のシステインを有するが、以下の
    アミノ酸配列: を有しない、レクチン。
  2. 【請求項2】少なくとも1つのグリコシル化部位を有す
    る、請求項1に記載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  3. 【請求項3】前記グリコシル化部位が92位〜101位の範
    囲内にある、請求項2に記載の哺乳動物14−β−galレ
    クチン。
  4. 【請求項4】前記グリコシル化部位で糖に結合してい
    る、請求項2に記載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  5. 【請求項5】約17kDaと20kDaとの間の分子量を有する、
    請求項4に記載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  6. 【請求項6】組換え技術により製造される、請求項2に
    記載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  7. 【請求項7】分子量14kDaのヒトHL−60レクチンであ
    る、請求項2に記載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  8. 【請求項8】胎盤組織から産生される、請求項7に記載
    の哺乳動物14−β−galレクチン。
  9. 【請求項9】HL−60細胞から産生される、請求項7に記
    載の哺乳動物14−β−galレクチン。
  10. 【請求項10】組換え技術によって製造される、請求項
    7に記載のHL−60レクチン。
  11. 【請求項11】N末端アミノ酸が、メチオニン、アラニ
    ン、またはアセチル化アラニンであるアミノ酸配列を有
    する、請求項10に記載のHL−60レクチン。
  12. 【請求項12】哺乳動物14−β−galレクチンをコード
    する、単離された純粋な形態の組換えDNA配列であっ
    て、 6×SSC、20mMリン酸緩衝液(pH7)、2×デンハート
    液、0.1%SDS、2mM EDTA、および100μg/ml酵母RNAを含
    む溶液中で、以下から選択される少なくとも1つのプロ
    ーブ: (a)3′−CT(T/C)AA(A/G)TT(T/C)AA(A/G)GG
    −5′、 (b)3′−CT(A/G)AA(A/G)TT(T/C)TA(A/G)TT
    −5′、 (c)3′−TCCGTCGACGGAGACGA−5′、または (d)HL−60細胞ATCC CCL240由来のcDNAをEcoR I消化
    することにより得られる311bpのフラグメント、ここで
    該cDNAは、該溶液中で、該プローブ(a)および(b)
    とハイブリダイズする:とハイブリダイズし、 そしてストリンジェントな条件下で以下のヌクレオチド
    配列とハイブリダイズする、DNA配列:
  13. 【請求項13】少なくとも1つのグリコシル化部位をコ
    ードする、請求項12に記載の組換えDNA配列。
  14. 【請求項14】哺乳動物14−β−galレクチンをコード
    し、かつ適切な宿主細胞中でその発現を起こさせ得る制
    御配列に作動可能に連結されるDNA配列を含む発現系で
    あって、 該DNA配列が、6×SSC、20mMリン酸緩衝液(pH7)、2
    ×デンハート液、0.1%SDS、2mM EDTA、および100μg/m
    l酵母RNAを含む溶液中で、以下から選択される少なくと
    も1つのプローブ: (a)3′−CT(T/C)AA(A/G)TT(T/C)AA(A/G)GG
    −5′、 (b)3′−CT(A/G)AA(A/G)TT(T/C)TA(A/G)TT
    −5′、 (c)3′−TCCGTCGACGGAGACGA−5′、または (d)HL−60細胞ATCC CCL240由来のcDNAをEcoR I消化
    することにより得られる311bpのフラグメント、ここで
    該cDNAは、該溶液中で、該プローブ(a)および(b)
    とハイブリダイズする:とハイブリダイズし、 そしてストンジェントな条件下で以下のヌクレオチド配
    列とハイブリダイズする、発現系:
  15. 【請求項15】前記DNA配列が、少なくとも1つのグリ
    コシル化部位をコードする、請求項14に記載の発現系。
  16. 【請求項16】前記宿主細胞がE.coli細胞である、請求
    項14に記載の発現系。
  17. 【請求項17】前記宿主細胞がCHO細胞である、請求項1
    4に記載の発現系。
  18. 【請求項18】前記宿主細胞がE.coli細胞である、請求
    項15に記載の発現系。
  19. 【請求項19】前記宿主細胞がCHO細胞である、請求項1
    5に記載の発現系。
  20. 【請求項20】哺乳動物14−β−galレクチンをコード
    するDNA配列でトランスフェクトされた細胞であって、 該DNA配列が、6×SSC、20mMリン酸緩衝液(pH7)、2
    ×デンハート液、0.1%SDS、2mM EDTA、および100μg/m
    l酵母RNAを含む溶液中で、以下から選択される少なくと
    も1つのプローブ: (a)3′−CT(T/C)AA(A/G)TT(T/C)AA(A/G)GG
    −5′、 (b)3′−CT(A/G)AA(A/G)TT(T/C)TA(A/G)TT
    −5′、 (c)3′−TCCGTCGACGGAGACGA−5′、または (d)HL−60細胞ATCC CCL240由来のcDNAをEcoR I消化
    することにより得られる311bpのフラグメント、ここで
    該cDNAは、該溶液中で、該プローブ(a)および(b)
    とハイブリダイズする:とハイブリダイズし、 そしてストンジェントな条件下で以下のヌクレオチド配
    列とハイブリダイズする、細胞:
  21. 【請求項21】前記DNA配列が、少なくとも1つのグリ
    コシル化部位をコードする、請求項20に記載の細胞。
  22. 【請求項22】請求項14に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  23. 【請求項23】請求項15に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  24. 【請求項24】請求項16に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  25. 【請求項25】請求項17に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  26. 【請求項26】請求項18に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  27. 【請求項27】請求項19に記載の発現系でトランスフェ
    クトされた細胞。
  28. 【請求項28】少なくとも1つのグリコシル化部位を有
    する組換え14−β−galレクチンを製造する方法であっ
    て、 請求項22に記載の細胞を培地中にて14−β−galレクチ
    ンの産生に適した条件下で培養する工程、および 該培地から14−β−galレクチンを回収する工程と、を
    包含し、 ここで、組換え14−β−galレクチンは、複数のシステ
    インを有するタンパク質を含むが、以下のアミノ酸配
    列: を有しない、方法。
  29. 【請求項29】哺乳動物の自己免疫疾患を治療するのに
    適した薬剤組成物であって、 薬学的に許容される賦形剤と混合された哺乳動物14−β
    −galレクチンを含み、該哺乳動物14−β−galレクチン
    が、 6×SSC、20mMリン酸緩衝液(pH7)、2×デンハート
    液、0.1%SDS、2mM EDTA、および100μg/ml酵母RNAを含
    む溶液中で、以下から選択される少なくとも1つのプロ
    ーブ: (a)3′−CT(T/C)AA(A/G)TT(T/C)AA(A/G)GG
    −5′、 (b)3′−CT(A/G)AA(A/G)TT(T/C)TA(A/G)TT
    −5′、 (c)3′−TCCGTCGACGGAGACGA−5′、または (d)HL−60細胞ATCC CCL240由来のcDNAをEcoR I消化
    することにより得られる311bpのフラグメント、ここで
    該cDNAは、該溶液中で、該プローブ(a)および(b)
    とハイブリダイズする:とハイブリダイズするDNA配列
    によりコードされるタンパク質を含み、 ここで、該DNA配列が、ストリンジェントな条件下で以
    下のヌクレオチド配列とハイブリダイズし: そして 該タンパク質が、複数のシステインを有するが、以下の
    アミン酸配列: を有しない、組成物。
  30. 【請求項30】前記哺乳動物14−β−galレクチンが少
    なくとも1つのグリコシル化部位を有する、請求項29に
    記載の薬剤組成物。
  31. 【請求項31】前記哺乳動物14−β−galレクチンが、
    細胞毒性分子に結合している、請求項29に記載の薬剤組
    成物。
  32. 【請求項32】前記自己免疫疾患が重症筋無力症であ
    る、請求項29に記載の薬剤組成物。
  33. 【請求項33】前記自己免疫疾患が重症筋無力症であ
    る、請求項30に記載の薬剤組成物。
  34. 【請求項34】前記自己免疫疾患が多発性硬化症であ
    る、請求項29に記載の薬剤組成物。
  35. 【請求項35】前記自己免疫疾患が多発性硬化症であ
    る、請求項30に記載の薬剤組成物。
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