JP2982172B2 - 高力アルミニウム合金材の熱処理方法 - Google Patents
高力アルミニウム合金材の熱処理方法Info
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- C22F—CHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
- C22F1/00—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
- C22F1/04—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon
- C22F1/053—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of aluminium or alloys based thereon of alloys with zinc as the next major constituent
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、Al−Zn−Mg−Cu系アルミニウム合金材の
熱処理方法、特に、高強度および耐食性を同時に具備せ
しめる熱処理方法に関するものである。
熱処理方法、特に、高強度および耐食性を同時に具備せ
しめる熱処理方法に関するものである。
[従来の技術] 航空機の構造用材料等の、軽量性および高強度が要求
される構造部には、Al合金が多く用いられている。中で
も、JISに記載された7050,7075合金に代表されるAl−Zn
−Mg−Cu系の7000系Al合金は多量に使用されている。こ
れら7000系合金においては、溶体化処理と、それに引き
続き施される時効処理によって微細な析出物を形成させ
ることにより、高強度を得ている。
される構造部には、Al合金が多く用いられている。中で
も、JISに記載された7050,7075合金に代表されるAl−Zn
−Mg−Cu系の7000系Al合金は多量に使用されている。こ
れら7000系合金においては、溶体化処理と、それに引き
続き施される時効処理によって微細な析出物を形成させ
ることにより、高強度を得ている。
Al合金材の時効処理においては、一般に100℃〜200℃
の温度範囲内の1種または2種の温度に数時間から数十
時間、恒温保持を行なう。例えば、JIS−W−1103に記
載された7075合金T6処理の推奨時効条件は、(116〜127
℃)×24時間であり、前記7075合金T73処理の場合は、
(102〜113℃)×(6〜8時間)+(157〜168℃)×
(24〜30時間)の2段時効処理である。ここで、時効温
度は、推奨条件の範囲内で一定温度をとることが必要で
ある。
の温度範囲内の1種または2種の温度に数時間から数十
時間、恒温保持を行なう。例えば、JIS−W−1103に記
載された7075合金T6処理の推奨時効条件は、(116〜127
℃)×24時間であり、前記7075合金T73処理の場合は、
(102〜113℃)×(6〜8時間)+(157〜168℃)×
(24〜30時間)の2段時効処理である。ここで、時効温
度は、推奨条件の範囲内で一定温度をとることが必要で
ある。
このように、Al合金材の時効処理では、一定温度で長
時間の保持を行なうことにより、所定の材料特性を得て
いる。
時間の保持を行なうことにより、所定の材料特性を得て
いる。
7000系合金においては、前述した溶体化処理と時効処
理によって微細な析出物を形成させることにより高強度
化を図っているが、析出物の寸法、形態、分布の状態
は、時効処理条件によって大きく変化するため、強度を
はじめとする合金の特性は、時効条件の影響を受ける。
例えば、7075合金T6処理材では、引張強度58kgf/mm2程
度の高強度が得られるが、応力腐食割れ感受性は高くな
る。逆に前記7075合金T73処理材では、引張強度は51kgf
/mm2まで低下するが、応力腐食割れ感受性は低くなる。
前記7075合金鍛造材の場合、応力腐食割れを起こさない
限界応力(ST方向)は、T6処理材では6kgf/mm2、T73処
理材では31kgf/mm2と大きく異なる。応力腐食が問題と
なる場合には、強度を犠牲にして、耐食性を高めている
のが現状である。このように、7000系合金では、強度お
よび耐食性を兼ね備えることは困難である。この原因
は、時効処理条件によって決定される析出物の状態にあ
る。120℃程度の比較的低温で時効処理を行なう場合に
は、5nm以下の非常に微細な析出が形成され、強度は高
い。これに対して、170℃程度の比較的高温域で時効処
理を行なうT73処理の場合には、析出物は10〜20nm程度
にまで成長し、強度は低下する。しかし、応力腐食割れ
感受性等の耐食性に対しては、好適な析出状態となる。
理によって微細な析出物を形成させることにより高強度
化を図っているが、析出物の寸法、形態、分布の状態
は、時効処理条件によって大きく変化するため、強度を
はじめとする合金の特性は、時効条件の影響を受ける。
例えば、7075合金T6処理材では、引張強度58kgf/mm2程
度の高強度が得られるが、応力腐食割れ感受性は高くな
る。逆に前記7075合金T73処理材では、引張強度は51kgf
/mm2まで低下するが、応力腐食割れ感受性は低くなる。
前記7075合金鍛造材の場合、応力腐食割れを起こさない
限界応力(ST方向)は、T6処理材では6kgf/mm2、T73処
理材では31kgf/mm2と大きく異なる。応力腐食が問題と
なる場合には、強度を犠牲にして、耐食性を高めている
のが現状である。このように、7000系合金では、強度お
よび耐食性を兼ね備えることは困難である。この原因
は、時効処理条件によって決定される析出物の状態にあ
る。120℃程度の比較的低温で時効処理を行なう場合に
は、5nm以下の非常に微細な析出が形成され、強度は高
い。これに対して、170℃程度の比較的高温域で時効処
理を行なうT73処理の場合には、析出物は10〜20nm程度
にまで成長し、強度は低下する。しかし、応力腐食割れ
感受性等の耐食性に対しては、好適な析出状態となる。
このように、、強度および耐食性を兼ね備えたAl合金
を製造するためには、析出状態を変化させることが必要
であり、従来の時効処理方法では、これを達成すること
は困難である。従って、この発明は、従来の問題を解決
し、高強度および耐食性に優れたアルミニウム合金を得
るための高力アルミニウム合金材の熱処理方法を提供す
ることにある。
を製造するためには、析出状態を変化させることが必要
であり、従来の時効処理方法では、これを達成すること
は困難である。従って、この発明は、従来の問題を解決
し、高強度および耐食性に優れたアルミニウム合金を得
るための高力アルミニウム合金材の熱処理方法を提供す
ることにある。
[課題を解決するための手段および作用] この発明は、 Zn:3〜9wt.%、 Mg:1〜6wt.%、 Cu:3wt.%以下、 下記からなる群から選んだ少なくとも1の元素、 Cr:0.1〜0.5wt.%、 Zr:0.1〜0.5wt.%、 Mn:0.2〜1.0wt.%、および、 残部:Alおよび不可避不純物、 からなるアルミニウム合金材を溶体化処理し、次い
で、100〜140℃の範囲の温度から160〜200℃の範囲の温
度まで加熱し、次いで、前記160〜200℃の範囲の温度か
ら100〜140℃の範囲の温度まで冷却することからなる熱
処理サイクルを2回以上施すことに特徴を有するもので
ある。
で、100〜140℃の範囲の温度から160〜200℃の範囲の温
度まで加熱し、次いで、前記160〜200℃の範囲の温度か
ら100〜140℃の範囲の温度まで冷却することからなる熱
処理サイクルを2回以上施すことに特徴を有するもので
ある。
次に、本発明で対象とするAl合金の成分組成の限定理
由について説明する。
由について説明する。
(1)Zn: Znは強度確保のために必須の元素である。しかしなが
ら、Zn含有量が3wt.%未満では、実用に充分な強度が得
られない。一方、Zn含有量が9wt.%を超えると、熱間加
工性が悪くなる。従って、Zn含有量は3〜9wt.%の範囲
に限定するべきである。
ら、Zn含有量が3wt.%未満では、実用に充分な強度が得
られない。一方、Zn含有量が9wt.%を超えると、熱間加
工性が悪くなる。従って、Zn含有量は3〜9wt.%の範囲
に限定するべきである。
(2)Mg: Mgは、強度確保のために必須の元素である。しかしな
がら、Mg含有量が1wt.%未満では、実用に充分な強度が
得られない。一方、Mg含有量が6wt.%を超えると、熱間
加工性を悪くなるうえ、耐食性が劣化する。従って、Mg
含有量は1〜6wt.%の範囲に限定するべきである。
がら、Mg含有量が1wt.%未満では、実用に充分な強度が
得られない。一方、Mg含有量が6wt.%を超えると、熱間
加工性を悪くなるうえ、耐食性が劣化する。従って、Mg
含有量は1〜6wt.%の範囲に限定するべきである。
(3)Cu: Cuは、強度確保および耐応力腐食割れ性確保のために
必須の元素である。しかしながら、Cu含有量が3wt.%を
超えて添加しても、その効果は飽和する。従ってCu含有
量は3wt.%以下に限定する。
必須の元素である。しかしながら、Cu含有量が3wt.%を
超えて添加しても、その効果は飽和する。従ってCu含有
量は3wt.%以下に限定する。
(4)Cr,Zr,Mn: これらの元素は、再結晶を制御し、耐応力腐食割れ性
の向上に必要で、1種または2種以上添加することがで
きる。しかしながら、Cr含有量が0.1wt.%未満、Zr含有
量が0.1wt.%未満、Mn含有量が0.2wt.%未満では所望の
効果が得られない。一方、Cr含有量が0.5wt.%超、Zn含
有量が0.5wt.%超、Mn含有量が1.0wt.%超では、その効
果は飽和する。・従って、Cr,Zr,Mnの1種または2種以
上の含有量は、Cr:0.1〜0.5wt.%、Zr:0.1〜0.5wt.%、
Mn:0.2〜1.0wt.%の範囲内に限定すべきである。
の向上に必要で、1種または2種以上添加することがで
きる。しかしながら、Cr含有量が0.1wt.%未満、Zr含有
量が0.1wt.%未満、Mn含有量が0.2wt.%未満では所望の
効果が得られない。一方、Cr含有量が0.5wt.%超、Zn含
有量が0.5wt.%超、Mn含有量が1.0wt.%超では、その効
果は飽和する。・従って、Cr,Zr,Mnの1種または2種以
上の含有量は、Cr:0.1〜0.5wt.%、Zr:0.1〜0.5wt.%、
Mn:0.2〜1.0wt.%の範囲内に限定すべきである。
次に、この発明の熱処理方法について図面を参照しな
がら説明する。第1図、第2図A,第2図Bおよび第2図
Cは、この発明の熱処理パターンを示すグラフである。
がら説明する。第1図、第2図A,第2図Bおよび第2図
Cは、この発明の熱処理パターンを示すグラフである。
第1図に示すように、Al合金材を溶体化処理した後
(点0)温度:T1(以下「下温度帯」という)まで加熱
し(点A)、この温度で時間:t1(点A→点B)保持す
る。次いで、温度:T2(以下、「上温度帯」という)ま
で更に加熱し(点C)、この温度で時間:t2(点C→点
D)保持する。次いで、最初の下温度帯の温度:T1まで
冷却する(点E)。以上述べた点Aから点Eまでが熱処
理の1サイクルであり、このサイクルを2回以上繰り返
す。これにより、本発明の熱処理方法が達成される。
(点0)温度:T1(以下「下温度帯」という)まで加熱
し(点A)、この温度で時間:t1(点A→点B)保持す
る。次いで、温度:T2(以下、「上温度帯」という)ま
で更に加熱し(点C)、この温度で時間:t2(点C→点
D)保持する。次いで、最初の下温度帯の温度:T1まで
冷却する(点E)。以上述べた点Aから点Eまでが熱処
理の1サイクルであり、このサイクルを2回以上繰り返
す。これにより、本発明の熱処理方法が達成される。
下温度帯の時効処理温度を100〜140℃の範囲に限定す
るのは、以下の理由による。即ち、100℃未満では析出
物の成長が遅く、十分なる強度を得るために長時間処理
で経済上好ましくない。一方、140℃を超えると、十分
な強度が得られない。従って、下温度帯の時効処理温度
は100〜140℃の範囲に限定するべきである。
るのは、以下の理由による。即ち、100℃未満では析出
物の成長が遅く、十分なる強度を得るために長時間処理
で経済上好ましくない。一方、140℃を超えると、十分
な強度が得られない。従って、下温度帯の時効処理温度
は100〜140℃の範囲に限定するべきである。
上温度帯の時効処理温度を160〜200℃の範囲に限定す
るのは以下の理由による。即ち、160℃未満では、耐食
性確保のための有効な析出状態が得られない。一方、20
0℃を超えると、析出物の急速な成長粗大化が起こり、
高強度を得ることは困難である。従って、上温度帯の時
効処理温度は160〜200℃の範囲に限定するべきである。
るのは以下の理由による。即ち、160℃未満では、耐食
性確保のための有効な析出状態が得られない。一方、20
0℃を超えると、析出物の急速な成長粗大化が起こり、
高強度を得ることは困難である。従って、上温度帯の時
効処理温度は160〜200℃の範囲に限定するべきである。
熱処理サイクル数を2回以上とする理由は、1回のみ
の場合には、強度および耐食性を兼ね備えることが難し
いからである。なお、熱処理サイクル回数を過度に増や
すと、耐食性は向上するが、強度が低下して、本発明の
効果が損なわれるので、成分組成および材料寸法によ
り、熱処理サイクル回数の上限を決める必要がある。ま
た、第1図に示すように、熱処理サイクルが2回以上で
あれば、上温度帯から、そのまま室温まで冷却する(点
H→点I→点N)ことも、また下温度帯まで冷却し、所
定時間保持した後、室温まで冷却しても(点H→点I→
点J→点P)、本発明の効果を損うものでない。
の場合には、強度および耐食性を兼ね備えることが難し
いからである。なお、熱処理サイクル回数を過度に増や
すと、耐食性は向上するが、強度が低下して、本発明の
効果が損なわれるので、成分組成および材料寸法によ
り、熱処理サイクル回数の上限を決める必要がある。ま
た、第1図に示すように、熱処理サイクルが2回以上で
あれば、上温度帯から、そのまま室温まで冷却する(点
H→点I→点N)ことも、また下温度帯まで冷却し、所
定時間保持した後、室温まで冷却しても(点H→点I→
点J→点P)、本発明の効果を損うものでない。
各温度帯での保持時間は、第1図に示すように所定時
間保持する場合、第2図Aに示すようにt1=0、t2:所
定時間保持する場合、第2図Bに示すように、t1=0、
t2=0である場合、あるいは第2図Cに示すように、
t1:所定時間保持、t2=0である場合等があるが、いず
れも本発明の効果を損うものではない。
間保持する場合、第2図Aに示すようにt1=0、t2:所
定時間保持する場合、第2図Bに示すように、t1=0、
t2=0である場合、あるいは第2図Cに示すように、
t1:所定時間保持、t2=0である場合等があるが、いず
れも本発明の効果を損うものではない。
各温度帯の温度が各サイクル間で異なる温度であって
も、限定する範囲内であれば、本発明の効果は損なわれ
ない。
も、限定する範囲内であれば、本発明の効果は損なわれ
ない。
下温度帯から上温度帯までの加熱速度、上温度帯から
下温度帯までの冷却速度については、特に限定しなくて
も本発明の効果は損われない。
下温度帯までの冷却速度については、特に限定しなくて
も本発明の効果は損われない。
[実施例] 次に、この発明を実施例により説明する。
供試材として成分組成が、Al−6.3Zn−2.5Mg−2.5Cu
−0.12Zrの7050合金材と、Al−5.6Zn−2.3Mg−1.6Cu−
0.1Cr−0.2Mnの7075合金材を準備し、熱間押出し、ある
いは熱間圧延を行なって、厚さ13mmの板とした。これ
に、480℃の温度で溶体化処理を施し、次いで、下記に
示す時効処理を行なった。
−0.12Zrの7050合金材と、Al−5.6Zn−2.3Mg−1.6Cu−
0.1Cr−0.2Mnの7075合金材を準備し、熱間押出し、ある
いは熱間圧延を行なって、厚さ13mmの板とした。これ
に、480℃の温度で溶体化処理を施し、次いで、下記に
示す時効処理を行なった。
<実施例1> 時効処理は、第1図に示す熱処理パターンを基本とし
て、温度、保持時間、サイクル数を第1表に示すように
変化させて行なった。ここで、T1,T2は、それぞれ下温
度帯、上温度帯での時効温度、t1,t2は時効処理パター
ン中での温度T1,T2での保持時間である。パターン内で
の加熱・冷却速度は0.5℃/分とした。比較例として、
従来から行なわれている時効処理方法を用いて、ピーク
時効および過時効の2種類の時効を行なった。
て、温度、保持時間、サイクル数を第1表に示すように
変化させて行なった。ここで、T1,T2は、それぞれ下温
度帯、上温度帯での時効温度、t1,t2は時効処理パター
ン中での温度T1,T2での保持時間である。パターン内で
の加熱・冷却速度は0.5℃/分とした。比較例として、
従来から行なわれている時効処理方法を用いて、ピーク
時効および過時効の2種類の時効を行なった。
そして、本発明例、比較例とともに、時効処理の後、
供試材を引張試験に供し、強度、延性、および一部の条
件については、ASTM−E399に規定されている破壊靭性試
験を行なった。また、併せて耐食性の評価も行なった。
耐食性は、ASTM G34に規定されている剥離腐食試験およ
び一部の条件については、JIS−H−8711に規定されて
いる応力腐食割れ試験により評価した。即ち、平板試験
片に3点曲げにより応力を加えた状態で、3.5%NaCl水
溶液中への浸漬と、空気中での乾燥を20日間繰り返して
行ない、割れの発生しなかった最高応力を、応力腐食割
れしきい応力とした。
供試材を引張試験に供し、強度、延性、および一部の条
件については、ASTM−E399に規定されている破壊靭性試
験を行なった。また、併せて耐食性の評価も行なった。
耐食性は、ASTM G34に規定されている剥離腐食試験およ
び一部の条件については、JIS−H−8711に規定されて
いる応力腐食割れ試験により評価した。即ち、平板試験
片に3点曲げにより応力を加えた状態で、3.5%NaCl水
溶液中への浸漬と、空気中での乾燥を20日間繰り返して
行ない、割れの発生しなかった最高応力を、応力腐食割
れしきい応力とした。
第1表には、時効処理条件とそれにより得られる各特
性の試験結果を示す。なお、剥離腐食試験の評価は、P
が最も良く、以下、EA,EB,EC,EDの順に耐食性が劣化す
る。この中で、実用上問題のないのは、PおよびEAラン
クである。
性の試験結果を示す。なお、剥離腐食試験の評価は、P
が最も良く、以下、EA,EB,EC,EDの順に耐食性が劣化す
る。この中で、実用上問題のないのは、PおよびEAラン
クである。
第1表に示すように、本発明によれば、7050合金で
は、57〜62kgf/mm2の引張強度が得られ、さらに剥離腐
食評価も、PまたはEAと良好である。また、応力腐食割
れのしきい応力も50kgf/mm2以上と高い。これに対し
て、従来法によるピーク時効処理(No.12)では、本発
明例とほぼ同一の強度レベルが得られるものの、耐食性
が著しく劣っている。また、過時効処理(No.14)では
良好な耐食性は得られるが、強度は本発明例よりも3〜
8kgf/mm2も低い。破壊靭性値についても、本発明によれ
ば、従来法と同等あるいはそれ以上の値が得られてい
る。このような傾向は7075合金においても認められ、本
発明の有効性が明らかである。
は、57〜62kgf/mm2の引張強度が得られ、さらに剥離腐
食評価も、PまたはEAと良好である。また、応力腐食割
れのしきい応力も50kgf/mm2以上と高い。これに対し
て、従来法によるピーク時効処理(No.12)では、本発
明例とほぼ同一の強度レベルが得られるものの、耐食性
が著しく劣っている。また、過時効処理(No.14)では
良好な耐食性は得られるが、強度は本発明例よりも3〜
8kgf/mm2も低い。破壊靭性値についても、本発明によれ
ば、従来法と同等あるいはそれ以上の値が得られてい
る。このような傾向は7075合金においても認められ、本
発明の有効性が明らかである。
第1表には、本発明例としては、一定温度での保持を
行わずに加熱と冷却を繰り返す三角波による時効処理
(No.1,2,7,8)と、一定温度での保持を含み、周期的に
サイクルを繰り返す台形波による時効処理(No.3〜6,9
〜11)の2通りの例を示した。これらの特性値をみる
と、三角波処理と台形波処理との間で明瞭な差は認めら
れない。従って、本発明においては、三角波によるか、
あるいは台形波によるかという処理パターンを周期的に
繰り返すことが重要である。
行わずに加熱と冷却を繰り返す三角波による時効処理
(No.1,2,7,8)と、一定温度での保持を含み、周期的に
サイクルを繰り返す台形波による時効処理(No.3〜6,9
〜11)の2通りの例を示した。これらの特性値をみる
と、三角波処理と台形波処理との間で明瞭な差は認めら
れない。従って、本発明においては、三角波によるか、
あるいは台形波によるかという処理パターンを周期的に
繰り返すことが重要である。
<実施例2> 次に、7050合金について、下温度帯温度(T1)と上温
度帯温度(T2)を種々変更して、三角波による時効処理
を5サイクル繰り返した。この結果を第2表に示す。第
2表に示すようにT1が本発明の範囲を外れて低い場合
(No.4,5)には、強度は十分に高いが耐食性が劣る。ま
た、逆に高い場合(No.6)には、耐食性は良好である
が、低強度であった。また、T2が本発明の範囲を外れて
低い場合(No.9)には耐食性が劣化し、逆に高い場合
(No.10,11)には強度が低い。
度帯温度(T2)を種々変更して、三角波による時効処理
を5サイクル繰り返した。この結果を第2表に示す。第
2表に示すようにT1が本発明の範囲を外れて低い場合
(No.4,5)には、強度は十分に高いが耐食性が劣る。ま
た、逆に高い場合(No.6)には、耐食性は良好である
が、低強度であった。また、T2が本発明の範囲を外れて
低い場合(No.9)には耐食性が劣化し、逆に高い場合
(No.10,11)には強度が低い。
<実施例3> 次に、7050合金について、下温度帯温度T1=120℃、
上温度帯温度T2=170℃として、サイクル数を変えた試
験を行なった。この結果を第3表に示す。
上温度帯温度T2=170℃として、サイクル数を変えた試
験を行なった。この結果を第3表に示す。
第3表に示すように、サイクル数が1回の場合には、
強度は十分に高いが耐食性が劣っていた(No.4,No.
5)。逆に、2回以上であれば、No.3のようにサイクル
途中で時効を完了しても、その効果は変わらない。
強度は十分に高いが耐食性が劣っていた(No.4,No.
5)。逆に、2回以上であれば、No.3のようにサイクル
途中で時効を完了しても、その効果は変わらない。
<実施例4> 次に、7050合金について、熱処理サイクル毎に、下温
度帯温度(T1)と上温度帯温度(T2)を変えて試験し
た。この結果を第4表に示す。
度帯温度(T1)と上温度帯温度(T2)を変えて試験し
た。この結果を第4表に示す。
第4表に示すように、T1とT2が本発明の範囲内にある
限りは、強度および耐食性ともに良好な結果が得られて
いる。また、一連の熱処理中に三角波と台形波を組み合
わせた場合(No.3)でも、高強度且つ良好な耐食性が得
られる。
限りは、強度および耐食性ともに良好な結果が得られて
いる。また、一連の熱処理中に三角波と台形波を組み合
わせた場合(No.3)でも、高強度且つ良好な耐食性が得
られる。
[発明の効果] 以上説明したように、この発明によれば、所定の温度
帯の間で周期的な加熱および冷却を行なうので、微細な
析出物の析出状態を、高強度を発現し、且つ、耐食性を
確保する両方に適した状態とすることができ、これによ
り、高強度且つ耐食性を兼備した7000系の高力アルミニ
ウム合金が得られる産業上有用な効果がもたらされる。
帯の間で周期的な加熱および冷却を行なうので、微細な
析出物の析出状態を、高強度を発現し、且つ、耐食性を
確保する両方に適した状態とすることができ、これによ
り、高強度且つ耐食性を兼備した7000系の高力アルミニ
ウム合金が得られる産業上有用な効果がもたらされる。
第1図、第2図A、第2図B、第2図Cはこの発明の熱
処理パターンを示すグラフである。
処理パターンを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−142753(JP,A) 特開 昭50−73809(JP,A) 特開 昭50−74510(JP,A) 米国特許3856584(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/04 - 1/057 C22C 21/00 - 21/18
Claims (1)
- 【請求項1】Zn:3〜9wt.%、 Mg:1〜6wt.%、 Cu:3wt.%以下、 下記からなる群から選んだ少なくとも1の元素、 Cr:0.1〜0.5wt.%、 Zr:0.1〜0.5wt.%、 Mn:0.2〜1.0wt.%、および、 残部:Alおよび不可避不純物、 からなるアルミニウム合金材を溶体化処理し、次いで、
100〜140℃の範囲の温度から160〜200℃の範囲の温度ま
で加熱し、次いで、前記160〜200℃の範囲の温度から10
0〜140℃の範囲の温度まで冷却することからなる熱処理
サイクルを2回以上施すことを特徴とする高力アルミニ
ウム合金材の熱処理方法。
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