JP2959892B2 - 持続性乳製品フレーバーの製造方法 - Google Patents
持続性乳製品フレーバーの製造方法Info
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Description
ゲヌム(Penicillum chrysogenu
m)に属する微生物の産生するリパーゼを利用した乳製
品フレーバーの製造法に関する。さらに詳しくは、本発
明は、牛乳、全脂粉乳、バタ−、チ−ズ、クリ−ムなど
の乳脂肪含有食品材料を基質として、ペニシリウム・ク
リソゲヌムに属する微生物の産生するリパ−ゼの存在下
に酵素反応させることにより、該材料の元の香味の、例
えば数十倍のフレ−バ−強度を有し、さらに耐熱性、持
続性に優れたバタ−、チ−ズ、クリ−ムおよびミルク等
の乳製品フレ−バ−を工業的に有利に提供する方法に関
する。
−、牛乳などの乳原料を微生物または微生物が産生する
脂肪分解酵素で処理して、チ−ズあるいはバタ−様フレ
−バ−を製造する方法について多くの報告がある。例え
ば、バタ−オイルなどの油脂を、アスペルギルス属、ム
コ−ル属、リゾ−プス属などの微生物、豚のすい臓ある
いは幼少家畜の口頭分泌線などから得られる脂肪分解酵
素を添加して分解した後、さらにリポキシゲナ−ゼを添
加して分解することからなるバタ−フレ−バ−の製造方
法(特公昭57−59743号公報)、また油脂、無脂
乳固形、水の混合物に、前記例示したと同じ脂肪分解酵
素と、たん白分解酵素/乳糖分解酵素を添加して分解す
ることからなるバタ−フレ−バ−の製造法(特公昭57
−41898号公報)、また、獣乳をたん白分解酵素と
パンクレアチン、酵母の一種であるキャンデイダ・シリ
ンンドラセなどの生産する脂肪分解酵素で処理して乳た
ん白および乳脂肪をある程度分解させた後、これに乳酸
菌を接種して乳酸醗酵を行わせるチ−ズ香賦香物質の製
造法(特公昭46−23578号公報)、また、チ−ズ
またはチ−ズ関連材料に脂肪分解酵素、たん白分解酵素
およびストレプトコッカス属、ラクトバチルス属、プロ
ピオニバクテリウム属、ペニシリウム属およびサッカロ
ミセス属の微生物を作用させるチ−ズフレ−バ−の製造
方法(特公昭53−25024号公報)、またスキムミ
ルク、全乳、バタ−、クリ−ム、乾燥乳しょうなどの風
味発生培地にリパ−ゼ/プロテア−ゼ発生源(酵素また
はカンディダ属の微生物)および乳酸生産微生物を加え
て培養するチ−ズ風味物質の製造方法(特開昭60−7
8582号公報)、また乳脂肪含有物に、糖を加え、さ
らに酵母およびリパ−ゼを同時に作用させることにより
乳製品フレ−バ−を製造する方法(特開昭62−960
39号公報)等微生物あるいは酵素を利用した乳製品フ
レ−バ−の製法に関する提案が多くなされている。
のごとき従来提案になる微生物起源のリパーゼは、一般
的に低級脂肪酸の生成量が少なく、何れも伝統的な方法
によって作られた天然のチ−ズやバタ−などの乳製品が
醸し出す微妙なバランスと嗜好性の高い風味に比較する
と必ずしも満足できるものではなく、殊にフレ−バ−強
度および持続性に乏しいという欠点があった。また子
牛、山羊等の動物系の前胃リパーゼを用いた場合には低
級脂肪酸をある程度は生成するが、脂肪の分解率が低い
ためにフレーバー強度の点においてやはり満足できるも
のではない。
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、乳脂肪含有材料を
ペニシリウム・クリソゲヌムに属する微生物の産生する
リパ−ゼの存在下に酵素反応させることにより、従来提
案に比べて低級脂肪酸類の生成量が顕著に多く、優れた
良好な風味が得られ、天然のミルク、チ−ズおよびバタ
−が有する嗜好性に優れたフレ−バ−バランスを忠実に
再現することができ、しかもそのフレ−バ−強度が元の
乳脂肪含有食品材料に比べて顕著に強められ、加えて優
れた耐熱性および持続性を有する乳製品フレ−バ−が得
られることを見出し、本発明を完成した。
ム・ロックフオルティP.roqueforti、ペニシリウム・カ
マンベルチ P. camembertii 等はチーズ製造時のフレー
バーの生成に大きく寄与していることはよく知られてい
る。またペニシリウム・シクロピウム P.cyclopiumの産
生するリパーゼも報告されている[科学と工業,52,
48,93(1978)]。しかしながらペニシリウム
・クリソゲヌムに属する微生物は医薬品ペニシリンの生
産に利用されているが、これらが産生するリパ−ゼに関
しては従来全く知られていないし、また示唆されたこと
もなく、本発明者らによって初めて見いだされたもので
ある。
リソゲヌムに属する微生物が産生するリパーゼを利用し
た乳製品フレーバーの製造法を提供するにある。以下、
本発明の態様についてさらに詳しく説明する。
リウム・クリソゲヌムに属する微生物の培養物から分離
採取することができる。かかるペニシリウム・クリソゲ
ヌムに属する微生物としては、例えばペニシリウム・ク
リソゲヌム Penicillium chrysogenum IFO 6143株、
同IFO 6144、同IFO 8644、同IFO 8645、同I
FO 9646,同IFO 8647,同IFO 864及び同IFO
8649株等の既知の自由分譲菌株を挙げることができ
る。
する微生物からリパーゼを得るには、それ自体公知のペ
ニシリウム属の菌株が生育する培地中で菌体を培養し、
得られた培養物から酵素リパーゼを採取すればよい。以
下、上記菌株を生育させるために使用しうる培地の組成
について説明するが、これは単に説明のためであって本
発明はこの組成の培地に限定されるわけではない。
クト−スなどの炭水化物;パルミチン酸、ステアリン酸
等の有機酸類;パーム油、大豆油、オリーブ油、バター
オイル等の油脂類及びこれらの1種または2種以上の混
合物を挙げることができる。また、窒素源としては、特
に限定されないが、例えば硫酸アンモニウム、硝酸アン
モニウムなどの無機窒素化合物、およびペプトンなどの
有機窒素源が利用できる。また、無機塩類としては、各
種のリン酸塩、硫酸塩などが使用できる。さらに、微量
の金属(鉄塩、カルシウム塩など)を培地に含有させて
もよい。
気撹拌培養法などの方法により行うことができる。培養
温度は、例えば約20〜約40℃、pH約4〜約8程度
の範囲が好ましくあげられる。また培養日数は特に限定
されないが、例えば通常約1〜約7日間の範囲で行われ
る。
物中から遠心分離により菌体を分離採取し、得られた菌
体を水に分散して、その分散液の液性を例えばpH約8
〜9に調整して菌体結合酵素が抽出される。抽出後遠心
分離により菌体を除去して酵素抽出液が得られる。この
酵素液はそのまま本発明の粗酵素液として利用すること
もできるが、通常はアセトン、アルコール、硫酸アンモ
ニウム等を加えて酵素沈殿物を採取し、適宜乾燥手段に
より乾燥し乾燥粗酵素として利用される。かくして得ら
れた酵素自体あるいはその酵素液は強いリパ−ゼ活性を
有し、前記した乳脂肪含有食品材料の分解に好適に利用
することができる。
する微生物由来のリパーゼは上記の如くして得ることが
でき、その酵素作用としてはトリグリセリドからランダ
ムに脂肪酸を遊離するαβ型のリパーゼであり、これま
で知られていた他の微生物由来のリパーゼとは全く異な
り、本発明者らによって初めて見いだされたものであ
る。以下、本発明のリパーゼの諸性質及び既知のリパー
ゼとの相違点を具体的に説明する。
するリパーゼ活性を有する。
基質特異性を下記表1に示す。
場合の相対活性(%)。
リパーゼは炭素数3〜8程度の低級脂肪酸トリグリセリ
ド基質に対して特異的に作用する一方、オリーブ油等の
比較的分子量の大きな脂肪酸トリグリセリドによく作用
する画分もあることが分かったが、今のところそれぞれ
の画分を単離するに至っていない。
起源のリパーゼを上記表1と同じ単酸基トリグリセリド
に作用させた場合の基質特異性を「油化学,29,(8)587
■591(1980)」から引用すると下記表2の如くであり、
本発明の Penicillium chrysogenumから得られるリパー
ゼとは明らかに異なることが分かる。
pHを図1に示す。オリーブ油に作用させた場合の至適
pHは6〜8であると認められた。またトリブチリンに
作用させた場合の至適pHを図2に示す。トリブチリン
に作用させた場合の至適pHは8〜10である。従って
本発明のリパーゼは2種類が混在しているものと推定さ
れる。
すごとくpH6〜10、トリブチリンに作用させた場合
は図4に示すごとくpH4〜10のpH域である。
びトリブチリン(図6に示す)を基質とした場合、共に
作用適温は約30〜50℃である。
直ちに氷水中で冷却し、次いでオリーブ油及びトリブチ
リンに作用させた結果をそれぞれ図7及び図8に示す。
この結果から明らかな如く、本酵素は約40℃で失活が
始まり、約60〜70℃、10分間の加熱で完全に失活
する。
記載の「リパーゼの位置特異性を定量的に表現する指
数」に従って、本発明のリパーゼを炭素数の異なる直鎖
脂肪酸トリグリセリドを基質として作用させた場合の位
置特異性 Positional specificity index[以下、PS
I(%)で表す]を求めた。その結果を下記表3に示
す。
肪酸の結合位置を示す。 α型のリパーゼ → +100% αβ型のリパーゼ → 0% 表3の結果から明らかな如く、本酵素はαβ型のリパー
ゼ活性を有する。
ゼの位置特異性と、従来既知の微生物起源リパーゼの位
置特異性との相違を明らかにするために、市販微生物起
源リパーゼのPSI(%)を前記醗酵工学会誌から引用
して下記表4に示す。
法について具体的に説明する。本発明において利用し得
る乳脂肪含有食品材料としては、例えば生乳、普通牛
乳、加工乳等の乳類;クリーム、脂肪置換クリーム等の
クリーム類;全脂粉乳;無糖練乳、加糖練乳等の練乳
類;チ−ズ類、バタ−およびバターミルク等を挙げるこ
とができる。所望によりこれらの乳脂肪含有食品材料に
加えて脱脂乳、脱脂粉乳、加糖脱脂練乳などの乳原料を
適宜配合することができる。かかる乳脂肪含有食品材料
は、それぞれ目的とするフレ−バ−に適した材料を選択
することが望ましく、例えばチ−ズフレ−バ−を目的生
成物とする場合は、例えばエメンタ−ルチ−ズ、チェダ
−チ−ズ、ゴ−ダチ−ズ、パルメザンチ−ズなどのナチ
ュラルチ−ズを主原料にするのが有利である。同様にバ
タ−フレ−バ−を目的物質とする場合は、全脂粉乳など
の乳成分に加えて、例えば無塩バタ−、加塩バタ−など
の天然バタ−を添加するのが好ましい。さらにミルクタ
イプのフレ−バ−を目的生成物とする場合は、牛乳、全
脂粉乳および加糖全脂練乳などの乳原料を利用するのが
好ましい。しかしながらこれら例示した原料に限定され
るものではなく、所望により上記のすべての乳原料を適
宜に選択して任意に組み合わせて利用することができる
ことは言うまでもない。
い実施態様を例示すれば、まず全脂粉乳、バタ−ミル
ク、バタ−、チ−ズおよびこれらの任意の混合物からな
る乳脂肪含有食品材料1重量部に対し、例えば約1〜約
10重量部の軟水もしくはバッフア−を加えて溶解す
る。この際、所望によりチ−ズ融解剤を添加してもよ
い。さらに所望によりこれに乳化剤、例えばレシチン、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テルおよび蔗糖脂肪酸エステルなどを添加することもで
きる。得られた溶液もしくはペ−スト状物を、例えば約
110〜約130℃にて約10〜約30分間滅菌処理す
る。所望により滅菌処理の前後において乳化処理するこ
ともできる。
温、例えば約25〜約55℃まで冷却し、ペニシリウム
・クリソゲヌムに属する微生物から分離採取したリパ−
ゼを添加する。該リパ−ゼの使用量は精製程度により適
宜選択できる。例えば乳脂肪の重量に基づいて約0.0
5〜約5重量%、好ましくは約0.2〜約2重量%程度
の使用量を例示できる。該リパ−ゼの添加方法は適宜に
選択でき、例えば上記乳脂肪含有食品材料の殺菌処理物
に直接添加して分散させてもよいが、好ましくは予め少
量の水に溶解乃至分散させて添加するのがよい。
ムの生産するリパ−ゼに加えて他の微生物起源のリパ−
ゼを添加することもできる。かかるリパ−ゼとしては、
例えばアスペルギルス属、ムコール属、リゾープス属及
びカンディダ属等の微生物から生産される市販のリパー
ゼを挙げることができる。これらのリパ−ゼの添加量
は、例えば乳脂肪含有食品材料の重量に基づいて約0.
1〜約1重量%程度の範囲が例示される。
0〜約60℃にて約1〜約120時間、好ましくは約4
0〜約55℃にて約8〜約24時間酵素処理するがごと
き条件を例示することができる。酵素反応終了後、この
混合物を約80℃〜約90℃にて約10〜約20分間加
熱処理して酵素の失活および殺菌処理を行う。
品フレ−バ−として利用できるが、所望により酵素失活
処理物にさらに、例えばグルコ−ス、フラクト−ス、蔗
糖、異性化糖および糖類還元物などの糖類、前記例示の
ごとき乳化剤および未処理の乳脂肪含有食品材料などを
添加して均一に混合溶解乃至乳化処理を行い、さらに殺
菌処理することによって、風味のすぐれた濃厚な乳製品
フレ−バ−が提供される。
ビアガム、澱粉、澱粉誘導体、デキストリン、キサンタ
ンガムおよびサイクロデキストリンなどの粉末化助剤を
配合して、噴霧乾燥、真空乾燥および凍結乾燥などの適
宜常用の乾燥手段を用いて乾燥することにより、粉末状
とすることもできる。
−は、飲食品および嗜好品を包含する広い分野の各種食
品類に配合利用できる。例えば、バタ−、マ−ガリン、
ショ−トニング等の油脂類;ラクトコ−ヒ−等の乳飲料
類;クリ−ム、脂肪置換クリ−ム等のクリ−ム類;ヨ−
グルト、乳酸菌飲料などの醗酵乳製品;アイスクリ−
ム、アイスミルク、ラクトアイス、ソフトクリ−ムなど
の冷菓類;チ−ズ類;キャラメル、キャンディ−、クラ
ッカ−、ビスケット等のごとき菓子類;清涼飲料類;そ
の他の乳加工食品および各種インスタント食品などの飲
食品に添加することにより、天然の香味を有し、しかも
持続性で且つ強化された乳製品様風味が提供される。以
下に実施例、比較例および参考例をあげて本発明を詳細
に説明する。
ァーメンターに仕込んだ。 ペプトン 40g 酵母エキス 40g K2HPO4 10g MgSO4・7H2O 5g オリーブ油 400g 軟水 20000g
で15分間滅菌し、ペニシリウム・クリソゲヌム Penic
illium chrysogenumIFO6143 株の培養物50gを加
え30℃で50時間撹拌通気培養した。培養終了後、遠
心分離によって菌体2.0kgを分離採取した。次いで
分離した菌体に軟水14kgを加え、1N−NaOHに
てpH8.0に調整し菌体結合酵素を撹拌抽出した。抽
出後遠心分離により菌体を除去し酵素抽出液14kgを
得た。得られた酵素抽出液にアセトン35kgを加えて
酵素を沈殿させ、遠心分離により沈殿250gを回収
し、これを真空乾燥して乾燥粗酵素85gを得た。この
粗酵素のリパーゼ活性は10000u/gであった。
ium chrysogenumSK−10株をペニシリウム・クリソ
ゲヌムPenicillium chrysogenum IFO6144株に置き換
え、同一条件で培養して菌体1.8kgを得た。次いで
参考例1と同様の操作により乾燥粗酵素72gを得た。
この粗酵素のリパーゼ活性は8000u/gであった。
cillium chrysogenumIFO8644株を用いて乾燥粗酵素
53gを得た。この粗酵素の酵素活性は3500u/g
であった。
0gを85℃15分間加熱殺菌し、40℃まで冷却後、
参考例1で得られた粗酵素リパーゼ0.6gを、リン酸
バッファー200g(リン酸水素ナトリウム1.0g、
リン酸水素ナトリウム4.4g、軟水194.6g)に
溶解した溶液を加え、35℃にて18時間撹拌条件下酵
素反応を行った。反応処理物を85℃、15分間加熱し
酵素を失活させ、酸価(処理物1gを中和するのに要す
るKOHのmg数。以下、AVで表す)35を有する風
味の優れたバターフレーバー700gを得た(本発明品
1)。
酵素リパ−ゼ0.6gに代えて市販のアスペルギルス属
微生物起源のリパーゼAP(天野製薬製)を同量添加
し、酵素反応時間を24時間に変えたほかは、実施例1
と同一条件によって酵素処理を行い、バターフレーバー
495gを得た。このバタ−フレ−バ−のAVは33で
あった(比較品1)。
酵素リパ−ゼ0.6gに代えて市販のカンディダ・シリ
ンドラセ起源のリパーゼMY(名糖産業製)を同量添加
し、37℃で20時間酵素反応を行ったほかはすべて実
施例1と同じ操作により、バターフレーバー500gを
得た。このバタ−フレ−バ−のAVは35であった(比
較品2)。
れたバタ−フレ−バ−を下記処方のクッキー生地に添加
し、220℃で7分間焼きあげてクッキ−を調製した。
1、比較品1および比較品2を添加したクッキ−をそれ
ぞれ1、2および3とした。これらのクッキ−につき、
良く訓練された20名の官能検査員によって官能評価を
行った。耐熱性に関しては焼成直後に評価項目1及び3
のバター風味、嗜好性の良否と併せて判定した。また持
続性に関しては焼成後30℃で2週間保存したものにつ
いて評価した。その結果を表5に示す。
を添加したクッキ−は、比較品1および2をそれぞれ添
加したクッキ−2および3に比べ、有意水準0.1%で
風味、持続性および嗜好性のすべての点で優れていた。
200g(リン酸水素カリウム1.0g、リン酸水素ナ
トリウム4.4g、軟水194.6g)を加えて、85
℃、15分間加熱溶解、殺菌し、50℃まで冷却した
後、参考例2で得られた粗酵素リパーゼ2.0gを添加
し、30℃で60時間撹拌条件下で酵素反応を行った。
次いで90℃、15分間加熱し酵素の失活を行いチーズ
フレーバーを690g得た。このチーズフレーバーのA
Vは85であった(本発明品2)。
−ゼ2.0gを市販のリゾープス属微生物起源のリパ−
ゼ(サイケン)(大阪細菌研究所製)同量に代えた他
は、すべて実施例2と同じ条件で酵素反応を行い、AV
82のチーズフレ−バ−695gを得た(比較品3)。
品2および比較品3のチーズフレーバーを用いて、下記
処方により常法によりクラッカ−を調製し、参考例4と
同様に官能評価を行った。その結果を表6に示す。
2を使用したクラッカ−1は、比較品3を使用したクラ
ッカ−2に比べ、天然チーズの風味に非常に近く、嗜好
性および持続性に優れ、有意水準0.1%で優れてい
た。
殺菌し、45℃まで冷却後、参考例3で得られた粗酵素
リパ−ゼ0.1gを添加し、37℃、24時間撹拌条件
下に酵素反応を行った。90℃、15分間加熱し、酵素
を失活後AV8を有するミルクフレ−バ−495gを得
た(本発明品3)。
酵素リパ−ゼ0.1gに代えて、市販のムコール属微生
物起源のリパーゼM−AP(天野製薬製)0.1gに置
き換えた他は、実施例3と同じ条件にて酵素反応を行
い、AV9を有するミルクフレ−バ−490gを得た
(比較品4)。
フレ−バ−(本発明品3および比較品4)を温水にて1
重量%に希釈し、20名の官能検査員によって、官能評
価を行った。その結果を表7に示す。
3のミルクフレ−バ−は比較品4のミルクフレ−バ−に
比べ、天然の濃厚なミルク様風味に非常に近く、嗜好性
および持続性に優れ、有意水準0.1%で優れていた。
ゲヌムに属する微生物から見いだされたリパ−ゼが提供
される。またこのリパーゼを利用して乳脂肪含有材料を
酵素処理することにより、従来既知のリパ−ゼでは得る
ことができなかったフレッシュ感、フレーバーバランス
及び嗜好性に優れたフレ−バ−が再現でき、しかもその
フレ−バ−強度が原料の乳脂肪含有食品材料に比較して
数10〜100倍程度にも強められ、加えて優れた耐熱
性および持続性を有する乳製品フレ−バ−が提供され
る。
適pH範囲を示す図である。
適pH範囲を示す図である。
定pH範囲を示す図である。
安定pH範囲を示す図である。
適温度を示す図である。
至適温度を示す図である。
ーブ油を基質として測定した図である。
ブチリンを基質として測定した図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 乳脂肪含有食品材料をペニシリウム・ク
リソゲヌム(Penicillium chrysog
enum)に属する微生物の産生するリパーゼの存在下
に、酵素反応させることを特徴とする持続性乳製品フレ
ーバーの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3282254A JP2959892B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 持続性乳製品フレーバーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3282254A JP2959892B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 持続性乳製品フレーバーの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0591851A JPH0591851A (ja) | 1993-04-16 |
JP2959892B2 true JP2959892B2 (ja) | 1999-10-06 |
Family
ID=17650059
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3282254A Expired - Lifetime JP2959892B2 (ja) | 1991-10-02 | 1991-10-02 | 持続性乳製品フレーバーの製造方法 |
Country Status (1)
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-
1991
- 1991-10-02 JP JP3282254A patent/JP2959892B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Journal of Food Science,42[6](1977)p.1677及びp.1682 |
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