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JP2940395B2 - オキシグルタル酸エステル誘導体の製法 - Google Patents

オキシグルタル酸エステル誘導体の製法

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Publication number
JP2940395B2
JP2940395B2 JP6085923A JP8592394A JP2940395B2 JP 2940395 B2 JP2940395 B2 JP 2940395B2 JP 6085923 A JP6085923 A JP 6085923A JP 8592394 A JP8592394 A JP 8592394A JP 2940395 B2 JP2940395 B2 JP 2940395B2
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Japan
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oxyglutarate
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勝正 原田
明生 松下
浩史 佐々木
康弘 河内
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Ube Corp
Original Assignee
Ube Industries Ltd
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オキシグルタル酸エス
テル誘導体のR−体の新規な製法、特に血中コレステロ
ール低下剤[4−ヒドロキシ−3−メチルグルタル(H
MG)Co−Aリダクターゼ阻害剤]合成のための中間
体として有用な光学活性なR−オキシグルタル酸エステ
ル誘導体の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】光学活性オキシグルタル酸エステル誘導
体は医薬、とりわけ血中コレステロール低下剤[4−ヒ
ドロキシ−3−メチルグルタル(HMG)Co−Aリダ
クターゼ阻害剤]合成のための中間体として有用であ
る。例えば、光学活性オキシグルタル酸エステル誘導体
である(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−
6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メ
チルエステルを用いて血中コレステロール低化剤(例え
ば、コンパクチンとして知られている)を合成する方法
は、ジャーナル・オブ・メディシナル・ケミストリー
(Journal of Medicinal Chemistry、1987年、30
巻、No.10、1858〜1873頁)に記載されて
いる。
【0003】光学活性オキシグルタル酸エステル誘導体
の製造方法として、特開平1−316391号公報に下
記のような方法が記載されている。すなわち、水酸基が
保護されたグルタル酸モノアルキルエステル(本発明の
一般式(II)に相当)にn−ブチルリチウムと共にジメ
チルメチルホスホナート(本発明の一般式(I)に相
当)を−78℃で反応させて、ホスホナート化されたオ
キシグルタル酸誘導体(本発明の一般式(III) に相当)
を含む反応生成物を得た後、この反応生成物にジアゾメ
タンを反応させることによりオキシグルタル酸誘導体の
メチルエステルであるケトホスホナート、即ち光学活性
オキシグルタル酸エステル誘導体(本発明の一般式(I
V)に相当)を含む反応生成物を得る。
【0004】上記製造方法は、簡便な方法であり、有利
なものと思われる。しかしながら、本発明者の検討によ
れば、上記最終反応生成物は、目的の光学活性オキシグ
ルタル酸エステル誘導体と共に多量の不純物を含んでお
り、さらにその不純物には、化学構造が上記光学活性オ
キシグルタル酸エステル誘導体と類似のものがあること
が明らかになった。このため、上記光学活性オキシグル
タル酸エステル誘導体を上記不純物から工業的に利用で
き得る簡単な方法で分離することは容易ではない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、工業的な実
施に有利なオキシグルタル酸エステル誘導体のR−体の
製法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記一般式
(IV):
【0007】
【化5】
【0008】(但し、R1及びR2は、炭素原子数1〜5
のアルコキシ基、炭素原子数7〜9のアラルキルオキシ
基、炭素原子数7〜9のハロゲノアラルキルオキシ基又
はフェニル基を表わし、R4は、ヒドロキシル保護基を
表わし、R5は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
す。)で表わされるオキシグルタル酸エステル誘導体の
R−体の製法において、該製法が、下記一般式(II):
【0009】
【化7】 (但し、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
し、そしてR4は、上記と同じである。)で表わされる
オキシグルタル酸モノエステルのラセミ体を(S)−
(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミンを用い
ることにより光学分割して、オキシグルタル酸モノエス
テルのS−体を得る工程、上記オキシグルタル酸モノエ
ステルのS−体と、下記一般式(I):
【0010】
【化6】
【0011】(但し、R1及びR2は、上記と同じであ
る。)で表わされるメチルホスホナート誘導体又はメチ
ルホスフィンオキサイド誘導体とを反応させることによ
り、下記一般式(III):
【0012】
【化4】
【0013】(但し、R1、R2及びR4は、上記と同じ
である。)で表わされるオキシグルタル酸誘導体のR−
体を得る工程、そして該オキシグルタル酸誘導体のR−
体をエステル化剤で処理することにより前記一般式(I
V)で表わされるオキシグルタル酸エステル誘導体のR
−体を生成させる工程、からなることを特徴とするオキ
シグルタル酸エステル誘導体の製法。
【0014】上記エステル化剤は、下記一般式(V): (V) R5
【0015】(但し、R5は炭素原子数1〜10のアル
キル基を表わし、そしてXはハロゲンを表わす。)で表
わされるアルキルハライドであることが好ましい。
【0016】上記一般式(I)で表わされるメチルホス
ホナート誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体
と、一般式(II)で表わされるオキシグルタル酸モノエ
ステルのS−体との反応は、下記一般式(VI): (VI) M−N[Si(CH332
【0017】(但し、Mはアルカリ金属を表わす。)で
表わされるアルカリ金属ヘキサメチルジシラザンの存在
下に有機溶媒中で行なわうことが望ましい。
【0018】前記の一般式(IV)のR4のヒドロキシル
保護基は、t−ブチルメチルシリル基であることが望ま
しく、また前記一般式(I)で表わされる誘導体は、メ
チルホスホナート誘導体であることが好ましい。
【0019】[発明の詳細な説明]上記一般式(IV)で
表わされるオキシグルタル酸エステル誘導体は、基本的
に下記の三工程より製造される。 工程1)下記に示すように、一般式(I)で表わされる
メチルホスホナート誘導体又はメチルホスフィンオキサ
イド誘導体と、一般式(II)で表わされるオキシグルタ
ル酸モノエステルとを反応させることにより、一般式
(III)で表わされるオキシグルタル酸誘導体(例えば、
ホスホナート化されたオキシグルタル酸)からなる反応
生成物を得る工程:
【0020】
【化9】
【0021】工程2)上記反応生成物を精製して不純物
から一般式 (III)の上記オキシグルタル酸誘導体を分離
する工程。
【0022】工程3)下記に示すように、上記精製した
オキシグルタル酸誘導体を一般式 (V) で表わされるア
ルキルハライド(R5 X)等のエステル化剤と反応させ
ることによりエステル化して一般式(IV)で表わされる
本発明のオキシグルタル酸エステル誘導体を生成させる
工程:
【0023】
【化10】
【0024】上記工程1)〜3)についてさらに詳述す
る。上記工程1)は、例えば下記のように行なわれる。
まず、一般式(I)で表わされるメチルホスホナート誘
導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体(R1 及び
2 がフェニルの場合)と一般式(II)で表わされるオ
キシグルタル酸モノエステルと反応させる際、予めメチ
ルホスホナート誘導体又はメチルホスフィンオキサイド
誘導体と下記一般式(VI): (VI) M−N[Si(CH332 (但し、Mはアルカリ金属を示す。)で表わされるアル
カリ金属ヘキサメチルジシラザン(リチウムビストリメ
チルシリルアミド)とを有機溶媒中で反応させてメチル
ホスホナート誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘
導体(以下リン含有化合物とも言う)のアルカリ金属塩
を生成させ、この金属塩を含む有機溶媒溶液を得る。そ
の後この有機溶媒溶液中で得られたアルカリ金属塩と一
般式(II)で表わされるオキシグルタル酸モノエステル
と反応させる(工程1)−2)ことによって一般式 (II
I)のオキシグルタル酸エステル誘導体を生成させる。上
記工程1)は下記のように示すことができる。
【0025】
【化11】
【0026】上記工程1)の前段の工程は、例えば次の
ように行なわれる。リン含有化合物(メチルホスホナー
ト誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体)は、
そのまま使用することができる。しかしながら、リン含
有化合物は、一般に有機溶媒に溶解して有機溶媒溶液
(以下溶液Aという)として使用される。アルカリ金属
ヘキサメチルジシラザンは有機溶剤に溶解して有機溶媒
溶液(以下溶液Bという)として使用される。上記溶液
Aと溶液Bを反応させて、メチルホスホナート誘導体等
のアルカリ金属塩を含む溶液(以下溶液(A+B)とい
う)を得る。この反応では、例えば−50〜0℃(好ま
しくは−30〜0℃)に冷却した溶液Bに、攪拌しなが
ら溶液Aを滴下することにより溶液(A+B)を得るこ
とができる。あるいは、溶液Bを、溶液Aに滴下するこ
とにより溶液(A+B)を得ても良い。反応時間は、1
0〜120分間が好ましく、更に30〜60分間が好ま
しい。
【0027】上記リン含有化合物(メチルホスホナート
誘導体等)のアルカリ金属塩は、有機溶媒中でのみ安定
であるため、一般にリン含有化合物とアルカリ金属ヘキ
サメチルジシラザンとは有機溶媒中で反応させて調製さ
れる。
【0028】上記メチルホスホナート誘導体又はメチル
ホスフィンオキサイド誘導体を表わす一般式(I)にお
いて、R1 及びR2 が表わす炭素原子数1〜5のアルコ
キシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プ
ロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ及びペンチルオキ
シを挙げることができ、R1 及びR2 が表わす炭素原子
数7〜9のアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキ
シ及びフェネチルオキシ(好ましくはベンジルオキシ)
を挙げることができ、そしてR1 及びR2 が表わす炭素
原子数7〜9のハロゲノアラルキルオキシ基としては、
ハロゲノフェニルメチルオキシ、ハロゲノフェニルエチ
ルオキシ及びハロゲノフェニルプロルオキシ(好ましく
はハロゲノフェニルメチルオキシ)を挙げることができ
る。R1及びR2 の表わす基としては、アルコキシ基が
好ましく、さらにメトキシ及びエトキシが好ましく、特
にメトキシが好ましい。従って、本発明の一般式(I)
で表わされる誘導体としては、メチルホスホナート誘導
体が好ましい。
【0029】上記リン含有化合物(メチルホスホナート
誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体)は、常
温において液体である化合物は、そのまま反応に使用し
ても良いし、有機溶媒に溶解した溶液として使用しても
良い。この溶液は上記リン含有化合物を有機溶媒に溶解
することにより調製することができる。このような有機
溶媒としては、反応中に析出することのない有機溶媒で
あればどのようなものでも使用できる。例えば、ヘキサ
ン及びヘプタンのような脂肪族炭化水素、テトラヒドロ
フラン(THF)及びイソプロピルエーテルのようなエ
ーテル類、及びベンゼン及びトルエンのような芳香族炭
化水素を挙げることができる。これらの中で、ヘキサ
ン、ベンゼン及びTHFが好ましい。メチルホスホナー
ト誘導体等は、このような溶媒に溶解させて、1%(W
/V%)以上の濃度で使用することが一般的であり、5
%以上での使用が好ましく、さらに10%以上での使用
が好ましい。
【0030】上記アルカリ金属ヘキサメチルジシラザン
を表わす一般式(VI)におけるMが示すアルカリ金属とし
ては、リチウム、ナトリウム及びカリウムを挙げること
ができ、リチウム及びナトリウムが好ましい。更に、リ
チウムが好ましい。本発明では、アルカリ金属ヘキサメ
チルジシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液として反応
に使用される。このような有機溶媒としては、反応中に
析出することのない有機溶媒であればどのようなもので
も使用できる。例えば、ヘキサン、テトラヒドロフラン
(THF)及びエチルベンゼンを挙げることができ、ま
たこれらの溶媒を任意の割合で混合した混合溶媒も挙げ
ることができる。これらの中で、ヘキサン及びTHFが
好ましい。アルカリ金属ヘキサメチルジシラザンは、こ
のような溶媒に溶解させて、1〜50%(W/V%)の
濃度で使用することが一般的であり、5〜45%での使
用が好ましく、さらに10〜40%、特に10〜30%
での使用が好ましい。なお、メチルホスホナート誘導体
等とアルカリ金属ヘキサメチルジシラザンとの使用量の
比は、モル比で、1:0.1〜1:1.1が一般的であ
り、1:0.4〜1:1.1が好ましく、更に1:0.
5〜1:1、特に1:0.7〜1:1が好ましい。
【0031】上記反応式で示した有機溶媒(I)は、前
記アルカリ金属ヘキサメチルジシラザンを溶解するため
の有機溶媒又はリン含有化合物を溶解するための有機溶
媒との混合溶媒である。
【0032】前記工程1)の後段の工程について詳述す
る。一般式(II)で表わされるオキシグルタル酸モノエ
ステルは、そのまま使用することも、有機溶媒に溶解し
て有機溶媒溶液として使用することもできる。前記溶液
(A+B)(工程1)の前段で得られたリン含有化合物
のアルカリ金属塩を含む溶液)を−50〜0℃の温度範
囲に保って、一般式(II)で表わされるオキシグルタル
酸モノエステルとを反応させて、オキシグルタル酸モノ
エステルのアルカリ金属塩を得る。この反応では、例え
ば−50〜0℃(好ましくは−30〜0℃)に冷却した
溶液(A+B)に、攪拌しながらオキシグルタル酸モノ
エステルの溶液を滴下することにより反応させる。この
場合、オキシグルタル酸モノエステルの溶液に溶液(A
+B)を滴下しても良い。なお、反応終了時に、例えば
飽和塩化アンモニウム水溶液のような水溶液を反応停止
剤として用いることもできる。反応時間は、10〜60
0分間が好ましく、更に30〜300分間が好ましい。
【0033】上記オキシグルタル酸モノエステルを表わ
す一般式(II)において、R3 は炭素原子数1〜10の
アルキル基を表わし、そしてR4 は、ヒドロキシル保護
基を表わす。上記アルキル基としては、メチル、エチ
ル、n−プロピル及びイソプロピル基、ブチル及びその
全異性体、ペンチル及びその全異性体、ヘキシル及びそ
の全異性体、ヘプチル及びその全異性体、オクチル及び
その全異性体、ノニル及びその全異性体、及びデシル及
びその全異性体を挙げることができる。アルキル基は置
換基を有していても良く、その置換基を有するアルキル
基としては、置換基としてアリール基を有するアルキル
基(例、1−フェニルエチル及び1−ナフチルエチル)
及びアリール基及び置換基を有していても良いカルボキ
シル基を有するアルキル基(例、α−フェニル−α−ヒ
ドロキシカルボニルメチル及びα−フェニル−α−ベン
ジルオキシカルボニルメチル)を挙げることができる。
3 で表わされるアルキル基の好ましい例としては、炭
素原子数1〜6のもの、特にメチル、エチル、n−プロ
ピル及びイソプロピルを挙げることができる。
【0034】R4 のヒドロキシル保護基としては、メチ
ル、エチル、ブチル、t−ブチル、アリル、ベンジル、
テトラヒドロピラニル、t−ブチルジメチルシリル及び
t−ブチルジフェニルシリル等のエーテル形成保護基、
アセチル及びベンゾイル等のエステル形成保護基、及び
メチルスルホニル、p−トルエンスルホニル及びフェニ
ルスルホニル等のスルホン酸形成保護基を挙げることが
できる。エーテル形成保護基が好ましく、特にt−ブチ
ルジメチルシリルが好ましい。
【0035】上記一般式(II)のオキシグルタル酸モノ
エステルは、常温において液体である化合物は、そのま
ま反応に使用することができるが、反応中に析出しない
有機溶媒に溶解した溶液として使用することもできる。
リン含有化合物とオキシグルタル酸モノエステルとの使
用量の比は、1:0.05〜1:0.33(モル比;メ
チルホスホナート誘導体等:オキシグルタル酸モノエス
テル)が一般的であり、1:0.1〜1:0.3が好ま
しく、さらに1:0.15〜1:0.25が好ましい。
上記で使用される有機溶媒としては、例えば、ヘキサン
及びヘプタンのような脂肪族炭化水素、テトラヒドロフ
ラン(THF)及びイソプロピルエーテルのようなエー
テル類、及びベンゼン及びトルエンのような芳香族炭化
水素を挙げることができる。これらの中で、ヘキサン、
THF及びトルエンが好ましい。オキシグルタル酸モノ
エステルは、このような溶媒に溶解させて、1〜60%
(W/V%)の濃度で使用することが一般的であり、5
〜50%での使用が好ましく、さらに10〜40%での
使用が好ましい。なお、上記オキシグルタル酸モノエス
テルは、例えば特開平2−256650号公報、特開平
5−32680号公報及び特開平4−346602号公
報に記載の方法により合成することができる。
【0036】上記工程1)は、次のように実施しても良
い。一般式(I)のリン含有化合物(メチルホスホナー
ト誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体)と塩
基又は塩基性物質(例、n−ブチルリチウム及びリチウ
ムジイソプロピルアミド)とをテトラヒドロフラン等の
溶媒中で反応させてリン含有化合物の金属塩を生成さ
せ、この金属塩を含むテトラヒドロフラン溶液又は懸濁
液を得る。次に一般式(II)のオキシグルタル酸モノエ
ステルを不活性な溶媒中に溶解した溶液を、上記金属塩
を含むテトラヒドロフラン溶液又は懸濁液に滴下するこ
とにより、一般式 (III)のオキシグルタル酸誘導体の金
属塩を得、そしてこの金属塩を含む溶液に塩酸等の鉱酸
を加えることにより一般式 (III)のオキシグルタル酸誘
導体を得ることができる。上記反応における反応温度
は、−110〜−40℃が一般的であり、−110〜−
50℃が好ましい。塩基とリン含有化合物との使用量の
比は、0.8〜1.2(モル比;塩基/リン含有化合
物)が一般的であり、0.9〜1.1が好ましい。リン
含有化合物とオキシグルタル酸モノエステルとの使用量
の比は、2〜10(モル比;リン含有化合物/オキシグ
ルタル酸モノエステル)が一般的であり、2.5〜8が
好ましく、さらに3〜7が好ましい。
【0037】上記工程1)により得られたオキシグルタ
ル酸誘導体において、一般式 (III)のR1 、R2 及びR
4 は前記と同義である。得られるオキシグルタル酸誘導
体は、前記メチルホスホナート誘導体等及びグルタル酸
モノエステルにより規定されるが、好ましい例としては
3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジアルコキ
シホスフィニル−5−オキソヘキサン酸(このアルコキ
シは炭素原子数1〜3個のアルキル基を有する)であ
り、さらに好ましい例としては3−t−ブチルジメチル
シリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキ
ソヘキサン酸である。
【0038】一般式 (III)で表わされるオキシグルタル
酸誘導体は、Rの絶対立体配置を有する光学活性エステ
ル誘導体であることが好ましい。そして、このRの絶対
立体配置を有する光学活性オキシグルタル酸誘導体をエ
ステル化することによりRの絶対立体配置を有する一般
式(IV)で表わされる光学活性オキシグルタル酸エステ
ル誘導体を得ることができる。
【0039】一般式(III)で表わされ、Rの絶対立体
配置を有する光学活性オキシグルタル酸誘導体は、一般
式(II)で表わされ、Sの絶対立体配置を有するオキシ
グルタル酸モノエステルを一般式(I)のメチルホスホ
ナート誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体と
反応させること(例えばホスホナート化)により得るこ
とができる。このような(S)−オキシグルタル酸モノ
エステルは、一般式(II)で表わされるオキシグルタル
酸モノエステルのラセミ混合物を、(S)−(−)−α
−メチル−p−ニトロベンジルアミンで光学分割するこ
とにより得ることができる。
【0040】例えば、3−t−ブチルジメチルシリルオ
キシグルタル酸モノアルキルエステルのラセミ体混合物
と(S)−(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルア
ミンを溶媒に溶解させ、溶媒を減圧下除去することによ
り(S)−(+)−3−t−ブチルジメチルシリルオキ
シグルタル酸モノアルキルエステル・(S)−(−)−
α−メチル−p−ニトロベンジルアミン(塩A)及び
(R)−(−)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ
グルタル酸モノアルキルエステル・(S)−(−)−α
−メチル−p−ニトロベンジルアミン(塩B)を生成さ
せる。次いで、塩A及び塩Bの混合物を溶媒に溶かした
溶液に、種結晶として塩Aを添加した後、冷却によりか
ら塩Aを分離する。その後、塩Aを(S)−(+)−3
−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸モノアル
キルエステルと(S)−(−)−α−メチル−p−ニト
ロベンジルアミンとに分離して(S)−(+)−3−t
−ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸モノアルキル
エステルを得る。分離は、例えば、水に溶けない溶媒に
塩Aを添加し、得られた懸濁液に希塩酸水溶液を添加し
て、上記オキシグルタル酸モノアルキルエステルと上記
アミンの塩酸塩とし、上記オキシグルタル酸モノアルキ
ルエステルを溶媒抽出する。このようにして、(S)−
(+)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタル
酸モノアルキルエステルを得ることができる。あるい
は、次のように光学分割を行なっても良い。オキシグル
タル酸モノアルキルエステルのラセミ体混合物と(S)
−(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミンを溶
媒に加熱しながら溶解させ、室温に冷却することにより
塩Aを塩Bより優先的に晶析させる。その後、上記と同
様に分離操作を行なうことにより(S)−(+)−3−
t−ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸モノアルキ
ルエステルを得る。
【0041】得られた一般式 (III)のオキシグルタル酸
誘導体は、次の工程2)で、下記のように精製すること
ができる。一般式 (III)のオキシグルタル酸誘導体は、
まずオキシグルタル酸誘導体のアルカリ金属塩を含む溶
液から得ることができる。この溶液に希塩酸のような希
釈した鉱酸を加えて、溶液のpHを酸性側に移行させた
後、有機溶媒をこの酸性溶液に加えてオキシグルタル酸
誘導体を抽出する。抽出物を乾燥した後、減圧下濃縮す
ることによりオキシグルタル酸誘導体を得る。上記鉱酸
としては、塩酸及び硫酸が好ましく、更に塩酸が好まし
い。有機溶媒としては、酢酸エチルのようなエステル
類、塩化メチレン及びクロロホルムのようなハロゲン化
炭化水素、エチルエーテル及びイソプロピルエーテルの
ようなエーテル類、ベンゼン、トルエン及びキシレンの
ような芳香族炭化水素等を使用することができる。酢酸
エチル、塩化メチレン、イソプロピルエーテル及びトル
エンが好ましい。
【0042】次いで、一般式 (III)のオキシグルタル酸
誘導体は、例えば、オキシグルタル酸誘導体をアルカリ
水溶液で洗浄することにより、精製される。この洗浄工
程を以下に詳述する。上記オキシグルタル酸誘導体は、
下記の一般式(VII):
【0043】
【化12】 (但し、R3 は前記と同義であり、そしてAは-CH=CH-C
H2- または-CH2-CH=CH-を表わす)で表わされるペンテ
ン二酸モノエステルを含んでいる。ペンテン二酸モノエ
ステルは、 (I)のリン含有化合物のアルカリ金属塩と、
一般式 (II) のオキシグルタル酸モノエステルとの反応
で形成される主副産物である。
【0044】上記オキシグルタル酸誘導体は、有機溶媒
に溶解して溶液とし、この溶液にアルカリ水溶液を添加
する。そして攪拌、振盪後、有機層を水層から分離し、
溶剤を除去することによりて精製されたオキシグルタル
酸誘導体を得ることができる。
【0045】本発明者の検討によれば、 (I)のリン含有
化合物(メチルホスホナート誘導体又はメチルホスフィ
ンオキサイド誘導体)と一般式 (II) のオキシグルタル
酸モノエステルとの反応で形成される主副産物、特に一
般式(VII) で表わされるペンテン二酸モノエステル、は
一般式 (III)のオキシグルタル酸誘導体に比べてアルカ
リ水溶液に良く溶解することが明らかとなった。このた
め、一般式 (III)のオキシグルタル酸誘導体の所望の精
製が、オキシグルタル酸誘導体を含む反応生成物の有機
溶媒溶液をアルカリ水溶液で洗浄することにより行なう
ことができる。この工程で、副産物は容易に水層に移る
ので、副産物は目的のオキシグルタル酸誘導体から分離
される。
【0046】上記アルカリ水溶液に用いられる塩基の例
としては、水酸化アルカリ、炭酸アルカリ、炭酸水素ア
ルカリ及び有機酸のアルカリ金属塩を挙げることができ
る。アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩及び炭酸水素塩の
例としては、水酸化リチウム、炭酸リチウム、水酸化ナ
トリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸
化カリウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムを挙げ
ることができる。特に、水酸化リチウム、炭酸リチウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウ
ム及び炭酸水素カリウムが好ましい。有機酸のアルカリ
金属塩の例としては、炭素原子数1〜6の低級脂肪酸の
アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩及びリ
チウム塩)を挙げることができる。酢酸、プロピオン
酸、イソプロピオン酸及び酪酸のアルカリ金属塩が好ま
しく、特に酢酸ナトリウム及び酢酸カリウムが好まし
い。
【0047】上記抽出及び精製工程で使用される有機溶
媒としては、酢酸メチル及び酢酸エチルのような(炭素
原子数1〜6の低級アルコールと炭素原子数1〜6の脂
肪酸との)エステル類、塩化メチレン及びクロロホルム
のようなハロゲン化炭化水素、エチルエーテル及びイソ
プロピルエーテルのようなエーテル類、ベンゼン、トル
エン及びキシレンのような芳香族炭化水素等を使用する
ことができる。酢酸エチル、塩化メチレン及びトルエン
が好ましい。
【0048】低級脂肪酸とアルカリ金属塩を含むアルカ
リ水溶液を使用する精製は、例えば下記のように行なわ
れる。例えば、低級脂肪酸とアルカリ金属塩の水溶液を
反応させて、低級脂肪酸のアルカリ金属塩を含む水溶液
を作製する。次いで、その水溶液を反応生成物(一般式
(III)のオキシグルタル酸誘導体)の有機溶媒溶液に添
加する。
【0049】低級脂肪酸とアルカリ金属塩(アルカリ金
属基準)のモル比は、1:0.2〜1:1.1(低級脂
肪酸:アルカリ金属塩)が好ましく、さらに1:0.2
〜1:1.0が好ましい。また低級脂肪酸の水への溶解
量(モル濃度)は、溶解する限り特に制限はないが、
0.1〜5モル(モル濃度)が一般的であり、0.2〜
4モル(モル濃度)が好ましい。
【0050】低級脂肪酸のアルカリ金属塩は、低級脂肪
酸とアルカリ金属塩とを上記の割合で水に溶解、攪拌す
ることにより生成させることができる。低級脂肪酸のア
ルカリ金属塩は、分離させることなく水溶液の状態で使
用することができる。低級脂肪酸のアルカリ金属塩は、
一旦、分離、生成、乾燥して固体状で保存した後、水に
溶解して水溶液として使用することもできる。この場合
の低級脂肪酸のアルカリ金属塩の水への溶解量は、前記
低級脂肪酸の溶解量に準じて設定することができる。得
られた低級脂肪酸のアルカリ金属塩の水溶液は、上記分
離を行なわなかった低級脂肪酸のアルカリ金属塩の水溶
液と同様に取り扱うことができる。
【0051】一般式(VII) で表わされるペンテン二酸モ
ノエステルと一般式 (III)のオキシグルタル酸誘導体ペ
ンテン二酸モノエステルの合計モル数と、低級脂肪酸の
アルカリ金属塩のモル数との比は、1:0.2〜1:1
0の範囲(合計モル数:アルカリ金属塩)が好ましく、
さらに1:0.3〜1:8の範囲が好ましい。この場
合、溶液中のペンテン二酸モノエステルとオキシグルタ
ル酸誘導体の濃度、及び水溶液中の低級脂肪酸のアルカ
リ金属塩の濃度はそれぞれ任意である。
【0052】上記アルカリ金属塩の水への溶解量(モル
濃度)は、溶解する限り特に制限はないが、0.1〜5
モル(モル濃度)が一般的であり、0.2〜4モル(モ
ル濃度)が好ましい。
【0053】上記水層から分離された有機層は、無水硫
酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム等の乾燥剤を用い
て乾燥後、減圧下に溶剤を除去して濃縮することにより
一般式(III) のオキシグルタル酸誘導体を単離すること
ができる。このようにして得られたオキシグルタル酸誘
導体から、あるいはこの誘導体を含む溶液から直接、一
般式(IV)で表わされる(R)−3−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オ
キソヘキサン酸メチル等の目的のオキシグルタル酸エス
テル誘導体を得ることができる。
【0054】次いで行なわれる工程3)について詳述す
る。例えば、上記精製したオキシグルタル酸誘導体、塩
基及びエステル化剤として上記一般式 (V) で表わされ
るアルキルハライド(RX5 )を、有機溶媒(有機溶媒
IIという)中で懸濁状態で反応させて、エステル化して
一般式(IV)で表わされる本発明のオキシグルタル酸エ
ステル誘導体を得ることができる。
【0055】
【化13】
【0056】反応時間は、1〜24時間が一般的であ
り、2〜16時間が好ましく、さらに3〜12時間が好
ましい。反応温度は、0〜60℃が一般的であり、10
〜50℃が好ましく、更に15〜40℃が好ましい。
【0057】本発明において使用する有機溶媒(II)
は、工程3)においてオキシグルタル酸誘導体、塩基及
びアルキルハライドを懸濁させるための有機溶媒であ
る。このような有機溶媒(II)としては、反応中に析出
することがない有機溶媒であればよく、例えばメタノー
ル及びエタノールのような低級アルコール類、アセトン
及びメチルエチルケトンのようなケトン類、酢酸メチル
及び酢酸エチル等のエステル類、塩化メチレン、クロロ
ホルムのようなハロゲン化炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン及びキシレンなどの芳香族炭化水素、ジメチルホルム
アミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMS
O)、ヘキサメチルホスホルアミド(HMPA)及びア
セトニトリルのような非プロトン性極性溶媒を挙げるこ
とができる。これらの中で、アセトン、塩化メチレン、
アセトニトリル、酢酸エチル及びDMFが好ましく、更
に塩化メチレン、アセトニトリル及びアセトンが好まし
い。有機溶媒(II)の使用量は、反応が進行する量であ
ればよいが、オキシグルタル酸誘導体1モルに対する有
機溶媒(II)の使用量は、好ましくは0.5〜20リッ
トルであり、更に好ましくは0.6〜10リットルであ
る。
【0058】工程3)で使用されるアルキルハライド
は、一般式 (V) におけるR5 が、炭素原子1〜10の
アルキル基のものである。アルキル基としては、例えば
メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブ
チル、イソブチル、sec−ブチル、ペンチル及びその
三級体以外の全異性体、ヘキシル及びその三級体以外の
全異性体、ヘプチル及びその三級体以外の全異性体、オ
クチル及びその三級体以外の全異性体、ノニル及びその
三級体以外の全異性体およびデシル及びその三級体以外
の全異性体を挙げることができる。これらの中では炭素
原子数1〜6個、特に炭素原子数1〜3個のアルキル基
が好ましい。さらにメチル基が最も好ましい。また、一
般式 (V) におけるXは、ハロゲン原子であり、例えば
塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を挙げることができ、
臭素原子及びヨウ素原子が好ましい。
【0059】オキシグルタル酸誘導体とアルキルハライ
ドとの使用量の比(モル比)は、1:0.8〜1:10
(オキシグルタル酸誘導体:アルキルハライド)が一般
的であり、1:0.9〜1:9.0が好ましく、更に
1:1.0〜1:7.0が好ましい。
【0060】工程3)で使用される塩基としては、例え
ばアルカリ金属炭酸化物、アルカリ金属炭酸水素化物を
挙げることができる。炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムが好ましく、
さらに炭酸カリウム及び炭酸水素カリウムが好ましい。
オキシグルタル酸誘導体と塩基の使用量の比(モル比)
は、例えば1:0.8〜1:2.5(オキシグルタル酸
誘導体:塩基)を挙げることができ、1:0.9〜1:
2.0が好ましく、更に1:1.0〜1:1.5が好ま
しい。
【0061】本発明における目的化合物である一般式
(IV)で表わされるオキシグルタル酸エステル誘導体に
おいて、R1 、R2 、R4 、R5 は、前記と同義であ
る。このようなR1 、R2 、R4 、R5 を有する誘導体
としては、前記グルタル酸誘導体モノエステル及びアル
キルハライドによって規定されるが、3−t−ブチルジ
メチルシリルオキシグルタル酸アルキルエステル(アル
キルは炭素原子数1〜6個のアルキル基)が好ましく、
更に3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメト
キシホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メチルが好ま
しい。一般式(IV)で表わされるオキシグルタル酸エス
テル誘導体は、Rの絶対立体配置を有することが好まし
い。
【0062】生成した上記誘導体は、溶媒抽出、減圧濃
縮を行った後、所望によりさらに精製しても良い。
【0063】本発明における、グルタル酸モノエステ
ル、オキシグルタル酸誘導体およびオキシグルタル酸エ
ステル誘導体には、不斉炭素原子が存在し、前述のよう
に光学異性体が存在する。しかしながら、本発明では、
オキシグルタル酸モノエステルにおける光学純度は、反
応終了後に得られるオキシグルタル酸エステル誘導体の
光学純度と実質同じであり、反応によって光学純度に変
化は起こらない。
【0064】
【実施例】以下に実施例および比較例を示して本発明を
さらに詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定
されるものではない。なお、実施例中の光学純度は以下
の測定条件によりHPLCで測定した値を示した。
【0065】1)3−t−ブチルジメチルシリルオキシ
グルタル酸モノメチルの光学純度測定条件 カラム;CHIRALCEL OD(4.6mmIDX
250mmL) 溶離液;ヘキサン:エタノール:トルフルオロ酢酸 =95:5:0.01 流速 ;0.5ml/分 検出器;UV(波長:220nm) 温度 ;室温(25℃) 濃度 ;10mg/1ml(溶離液) 2)3−t−ブチルメチルシリルオキシ−6−ジメトキ
シホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メチルの光学純
度測定条件 カラム;CHIRALPAK AD(4.6mmIDX
250mmL) 溶離液;ヘキサン:イソプロパノール =9:1 流速 ;0.5ml/分 検出器;UV(波長:285nm) 温度 ;室温(25℃) 濃度 ;10mg/1ml(溶離液)
【0066】[実施例1]本実施例で使用する(S)−
3−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸モノメ
チル(光学純度:98%ee)を3−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシグルタル酸モノメチルから下記のように
光学分割を行なって得た。3−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシグルタル酸モノメチルエステル10.40gを
混合溶媒(ヘキサン:トルエン=2:1)55.6ml
に溶解した。この混合溶液を攪拌しながら67℃に加熱
した。混合溶液を65〜70℃に保ちながら、(S)−
(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミン6.3
0gを滴下した。滴下後、攪拌しながら2時間かけて2
0℃に冷却し、ろ過を行なった。得られた結晶を混合溶
媒(ヘキサン:トルエン=2:1)14.6ml及びヘ
キサン14.6mlで洗浄し、乾燥して白色結晶(A)
7.75gを得た。白色結晶(A)にトルエン14.6
mlを加え、70℃で加熱溶解した。溶液を65〜70
℃に保ち、攪拌しながらヘキサン25.7mlを滴下し
て結晶を析出させた。得られた懸濁液を65〜70℃に
保って、1時間攪拌した後、2時間で20℃に冷却し
た。ろ過後、得られた結晶を混合溶媒(ヘキサン:トル
エン=2:1)15.5ml及びヘキサン15.5ml
で洗浄し、白色結晶(B)7.08gを得た。収率(S
体基準)は85%であった。白色結晶(B)7.08g
にトルエン42.2ml及び水13.4mlを加えて攪
拌し、懸濁液を得た。この懸濁液に2Nの塩酸を水層の
pHが2になるまでを加えた(要した2Nの塩酸量は約
8.64mlであった)。室温で1時間攪拌した後、有
機層と水層に分離した。有機層を水4.8mlで洗浄し
た後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、得ら
れたろ液を減圧下で濃縮し、(S)−3−t−ブチルジ
メチルシリルオキシグルタル酸モノメチル4.42gを
得た。収率は100%で、光学純度は98%eeであっ
た。全ての水層は4Nの水酸化ナトリウム水溶液6.0
mlを加え、室温で10分間攪拌した。攪拌後、ジクロ
ロメタン(8.4mlで1回及び4.2mlで2回)で
抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾
燥し、ろ過した。得られたろ液を減圧下に濃縮し、
(S)−(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミ
ン2.64gを回収した。回収率は99%であった。
【0067】アルゴン雰囲気下、メチルジメチルホスホ
ナート2.71gをテトラヒドロフラン(THF)6.
1mlに溶解してメチルジメチルホスホナートの溶液を
得た。この溶液を−10℃に冷却した後、同温度で攪拌
しながら、1M−リチウムヘキサメチルジシラザンのT
HF溶液19.7mlを滴下した。滴下後同温度で更に
1時間攪拌し、その後上記で得られた(S)−3−t−
ブチルジメチルシリルオキシグルタル酸モノメチル1.
21g(光学純度:98%ee)をTHFに溶解した溶
液を滴下した。滴下後同温度で更に3時間攪拌した後、
飽和塩化アンモニウム水溶液8.1mlを滴下して反応
を終了させて反応液を得た。保温を中止して、この反応
液に1N−塩酸44mlを滴下した。得られた反応液を
酢酸エチル15mlで2回抽出して、これらの酢酸エチ
ル層をあわせて一つにした。この酢酸エチル層に無水硫
酸マグネシウムを加えて乾燥した後、減圧乾燥を行って
濃縮液を得た。得られた濃縮液をシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル:酢酸
=7:3:1)を用いて精製し、油状の(R)−3−t
−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフ
ィニル−5−オキソヘキサン酸1.05gを得た(収率
65%:グルタル酸誘導体モノエステル基準)。化合物
の分析結果は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミ
ストリー(J. Org. Chem.,57.1935(199
2))記載の結果と一致した。
【0068】上記で得られた(R)−3−t−ブチルメ
チルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−
オキソヘキサン酸1.05gをアセトン16mlに溶解
してアセトン溶液を得た。アセトン溶液に、攪拌しなが
らヨウ化メチル2.02gと炭酸カリウム0.391g
とを添加し、室温で5時間攪拌して反応液を得た。得ら
れた反応液に水16mlを添加した後、酢酸エチル20
mlで2回抽出して、得られた酢酸エチル層を合わせ一
つにした。この酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを
加えて乾燥した後、減圧乾燥を行って濃縮し、油状の
(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジ
メトキシホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メチル
(光学純度:98%ee)1.0gを得た(収率92
%:3−t−ブチルメチルシリルオキシ−6−ジメトキ
シホスフィニル−5−オキソヘキサン酸基準)。化合物
の分析結果は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミ
ストリー(J. Org. Chem.,56.3744(199
1))記載の結果と一致した。
【0069】[実施例2]アルゴン雰囲気下、−10℃
に冷却した1.0M−リチウムヘキサメチルジシラザン
のTHF溶液40mlにメチルジメチルホスホナート
5.44gを滴下し、同温度に保ちながら1時間攪拌し
た。このTHF溶液に実施例1と同様にして得られた
(S)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタル
酸モノメチル(光学純度:98%ee)2.42gをヘ
キサン40mlに溶解したヘキサン溶液を滴下し、滴下
後同温度で更に3時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウ
ム水溶液16.1mlを滴下して反応を終了させて反応
液を得た。保温を中止して、この反応液に1N−塩酸8
8mlを滴下した。得られた反応液を酢酸エチル30m
lで2回抽出して、これらの酢酸エチル層を合わせて一
つにした。この酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを
加えて乾燥した後、減圧乾燥を行って濃縮液を得た。得
られた濃縮液をシリカゲルカラムクロマトフラフィー
(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=7:3:1)
を用いて精製し、油状の(R)−3−t−ブチルジメチ
ルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オ
キソヘキサン酸2.61gを得た(収率82%:グルタ
ル酸誘導体モノエステル基準)。化合物の分析結果は、
ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Or
g. Chem.,57.1935(1992))記載の結果と
一致した。この後は、実施例1と同様にして操作し、油
状の(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6
−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メチ
ル(光学純度:98%ee)2.46gを得た(収率9
1%:3−t−ブチルメチルシリルオキシ−6−ジメト
キシホスフィニル−5−オキソヘキサン酸基準)。化合
物の分析結果は、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケ
ミストリー(J. Org. Chem.,56.3744(199
1))記載の結果と一致した。
【0070】[実施例3]アルゴン雰囲気下、メチルジ
フェニルホスフィンオキサイド14.3gをテトラヒド
ロフラン(THF)80mlに溶解して−78℃まで冷
却してメチルジフェニルホスフィンオキサイドの溶液を
得た。1.6Mのブチルリチウムヘキサン溶液38ml
を加え、1時間攪拌した。実施例1と同様にして得られ
た(S)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタ
ル酸モノメチル5g(光学純度:98%ee)をTHF
に溶解した溶液40mlを滴下した。滴下後同温度で更
に2時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液38
mlを加えた後、静置して反応液を室温まで昇温させ
た。この反応液に1N−塩酸65mlを滴下した。得ら
れた反応液を酢酸エチル200mlで抽出した、この酢
酸エチル層を塩酸−飽和食塩水の混合溶液で乾燥した
後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧乾燥を行っ
て濃縮液を得た。得られた濃縮液をシリカゲルカルムク
ロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル:酢
酸=7:3:1)を用いて精製し、油状の(R)−3−
t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジフェニルホス
フィノイル−5−オキソヘキサン酸6.2gを無色のガ
ラス状物質として得た(収率71%:グルタル酸誘導体
モノメチル基準)。 [α]D 25.0 −11.7°(c=1.05;メタノー
ル)1 H−NMR(CDCI3 ) δ−0.02(s, 3H)、δ−0.06(s, 3
H)、δ−0.80(s, 9H)、δ−2.51
(d, 2H, J=6.4Hz)、δ−2.98
(d, 1H, J=6.8Hz)、δ−2.99
(d, 1H,J=5.4Hz)、δ−3.57〜3.
88(m, 2H)、δ−4.49〜4.55(m,1
H)、δ−7.48〜7.62(m, 6H)、δ−
7.70〜7.83(m, 4H)。 IR−スペクトル(液膜法) 1719,1715,1438,1170,1120
(cm-
【0071】上記で得られた(R)−3−t−ブチルメ
チルシリルオキシ−6−ジフェニルホスフィノイル−5
−オキソヘキサン酸0.92gにヨウ化メチル0.28
g、炭酸カリウム0.28g及びアセトン10mlを添
加し、室温で8時間攪拌して反応液を得た。得られた反
応混合液に水16mlを添加した後、酢酸エチル20m
lで2回抽出して、得られた酢酸エチル層を合わせて一
つにした。この酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを
加えて乾燥した後、減圧乾燥を行なって濃縮し、無色油
状の(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6
−ジフェニルホスフィノイル−5−オキソヘキサン酸メ
チル0.81gを得た(収率85%:3−t−ブチルメ
チルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−
オキソヘキサン酸基準)。 [α]D 25.0 −14.1°(c=1.06;メタノー
ル)1 H−NMR(CDCI3 ) δ−0.01(s, 3H)、δ−0.03(s, 3
H)、δ−0.09(s, 9H)、δ−2.42
(d, 1H, J=6.8Hz)、δ−2.43
(d, 1H, J=5.4Hz)、δ−2.93
(d, 2H,J=5.9Hz)、δ−3.63(d,
2H,J=15.1Hz)、δ−3.64(s,3
H)、δ−4.45〜4.55(m, 1H)、δ−
7.44〜7.57(m, 4H)、δ−7.71〜
7.82(m, 4H)。 IR−スペクトル(液膜法) 1739,1711,1438,1198,1120
(cm- ) CIMS(m/z):475(M+ +1)、417(M
+ −t−Bu)、343(M+ −OSiMe2 −t−B
u)
【0072】[実施例4]アルゴン雰囲気下、−10℃
に冷却したメチルジメチルホスホナート9.75gに、
1.0M−リチウムヘキサメチルジシラザンのTHF溶
液78.6mlを滴下し、同温度に保ちながら1時間攪
拌した。このTHF溶液に実施例1と同様にして得られ
た(S)−3−t−ブチルジメチルシリルオキシグルタ
ル酸モノメチル(光学純度:98%ee)4.65gを
ヘキサン78.6mlに溶解したヘキサン溶液を滴下
し、滴下後同温度で更に1時間攪拌した後、飽和塩化ア
ンモニウム水溶液19mlを滴下して反応を終了させて
反応液を得た。保温を中止して、得られた反応液に1.
5N−塩酸108mlを滴下した。この反応液を酢酸エ
チル60mlで抽出して、この酢酸エチル層に無水硫酸
マグネシウムを加えて乾燥した後、ろ過、減圧乾燥を行
って濃縮物を得た。得られた濃縮物を酢酸エチル40.
7mlに溶解して酢酸エチル溶液を得た。得られた酢酸
エチル溶液に、炭酸ナトリウム1.81gを水40.7
mlに溶解した水溶液を加えた後、抽出して水層を得
た。水層に1.5Nの塩酸を加えて酸性とした後、酢酸
エチル59.7ml加えて、抽出することにより有機層
(溶液)を得た。得られた溶液中の(R)−3−t−ブ
チルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニ
ル−5−オキソヘキサン酸とペンテン二酸モノエステル
との存在比は、下記のHPLCによる測定から5:1
(モル比)であった。
【0073】得られた溶液に、酢酸2.56g及び水酸
化ナトリウム1.70gを水9.7mlに溶解した水溶
液を加えた後、抽出して有機層を得た。得られた有機層
に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、ろ過、減圧
乾燥を行って(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオ
キシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサ
ン酸4.71gを分離、精製した。(収率75%:グル
タル酸誘導体モノエステル基準)。化合物の分析結果
1H−NMR)は、ジャーナル・オブ・オーガニック
・ケミストリー(J. Org. Chem.,57.1935(19
92))記載の結果と一致した。得られた(R)−3−
t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホス
フィニル−5−オキソヘキサン酸とこのオキソヘキサン
酸中のペンテン二酸モノエステルとの存在比は、下記の
HPLCによる測定から99:1(モル比)であった。
【0074】上記で得られた(R)−3−t−ブチルジ
メチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5
−オキソヘキサン酸4.71gを用いて、その後の操作
を実施例1と同様にして行ない、油状の(R)−3−t
−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフ
ィニル−5−オキソヘキサン酸メチル(光学純度:98
%ee)4.45gを得た(収率91%:3−t−ブチ
ルメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−
5−オキソヘキサン酸基準)。化合物の分析結果は、ジ
ャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org.
Chem.,56.3744(1991))記載の結果と一
致した。
【0075】上記(R)−3−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘ
キサン酸とペンテン二酸モノエステルとの存在比は、得
られた化合物を通常の方法でジアゾメタンを用いてメチ
ルエステル体とした後、HPLCにより測定して決定し
た。HPLCの測定条件は下記のとおりである。 測定条件 カラム;Unisil Q CN、4.6mmIDX2
50mmL 移動相;ヘキサン:エタノール =90:10 流速 ;0.5ml/分 検出器;紫外吸光光度計(波長:220nm) カラム温度;室温(25℃) 濃度 ;10mg/1ml(溶離液) 圧力 ;10Kg/cm2 保持時間;(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオキ
シ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサン
酸のメチルエステル体:14.121分 ペンテン二酸ジメチルエステル:8.878分
【0076】[実施例5]実施例4と同様にして、有機
層(溶液)を得た。得られた溶液中の(R)−3−t−
ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィ
ニル−5−オキソヘキサン酸とペンテン二酸モノエステ
ルとの存在比は、下記のHPLCによる測定から5:1
(モル比)であった。
【0077】得られた溶液に、酢酸2.56g及び炭酸
水素ナトリウム3.75gを水50mlに溶解した水溶
液を加えた後、抽出して有機層を得た。得られた有機層
に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、ろ過、減圧
乾燥を行って(R)−3−t−ブチルジメチルシリルオ
キシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘキサ
ン酸4.65gを分離、精製した。得た(収率75%:
グルタル酸誘導体モノエステル基準)。化合物の分析結
果( 1H−NMR)は、ジャーナル・オブ・オーガニッ
ク・ケミストリー(J. Org. Chem.,57.1935(1
992))記載の結果と一致した。得られた(R)−3
−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホ
スフィニル−5−オキソヘキサン酸とこのオキソヘキサ
ン酸中のペンテン二酸モノエステルとの存在比は、下記
のHPLCによる測定から99:1(モル比)であっ
た。
【0078】上記で得られた(R)−3−t−ブチルジ
メチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5
−オキソヘキサン酸4.65gを用いて、その後の操作
を実施例1と同様にして行ない、油状の(R)−3−t
−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフ
ィニル−5−オキソヘキサン酸メチル(光学純度:98
%ee)4.39gを得た(収率91%:3−t−ブチ
ルメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−
5−オキソヘキサン酸基準)。
【0079】[実施例6]実施例4と同様にして、有機
層(溶液)を得た。得られた溶液E3中の(R)−3−
t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホス
フィニル−5−オキソヘキサン酸とペンテン二酸モノエ
ステルとの存在比は、下記のHPLCによる測定から
5:1(モル比)であった。
【0080】得られた溶液に、酢酸ナトリウム3.5g
を水10mlに溶解した水溶液を加えた後、抽出して有
機層を得た。得られた有機層に無水硫酸ナトリウムを加
えて乾燥した後、ろ過、減圧乾燥を行って(R)−3−
t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホス
フィニル−5−オキソヘキサン酸4.68gを分離、精
製した。得た(収率75%:グルタル酸誘導体モノエス
テル基準)。化合物の分析結果( 1H−NMR)は、ジ
ャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(J. Org.
Chem.,57.1935(1992))記載の結果と一
致した。得られた(R)−3−t−ブチルジメチルシリ
ルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−オキソヘ
キサン酸とこのオキソヘキサン酸中のペンテン二酸モノ
エステルとの存在比は、下記のHPLCによる測定から
99:1(モル比)であった。
【0081】上記で得られた(R)−3−t−ブチルジ
メチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5
−オキソヘキサン酸4.68gを用いて、その後の操作
を実施例1と同様にして行ない、油状の(R)−3−t
−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフ
ィニル−5−オキソヘキサン酸メチル(光学純度:98
%ee)4.42gを得た(収率91%:3−t−ブチ
ルメチルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−
5−オキソヘキサン酸基準)。
【0082】[比較例1]実施例1において、酢酸エチ
ル層から濃縮して得られた(R)−3−t−ブチルジメ
チルシリルオキシ−6−ジメトキシホスフィニル−5−
オキソヘキサン酸を含む溶液の濃縮液を、実施例1と同
様にして得た。得られた濃縮液1.88gをアセトン2
4mlに溶解した。得られたアセトン溶液に、攪拌しな
がらヨウ化メチル3.1gと炭酸カリウム0.60gを
添加し、室温で5時間攪拌して反応液を得た。得られた
反応液に水24mlを添加した後、酢酸エチル30ml
で2回抽出して、得られた酢酸エチル層を合わせ一つに
した。この酢酸エチル層に無水硫酸マグネシウムを加え
て乾燥した後、減圧乾燥を行って濃縮し、油状の(R)
−3−t−ブチルジメチルシリルオキシ−6−ジメトキ
シホスフィニル−5−オキソヘキサン酸メチル1.2g
を得た。その純度は79%と低いものであった。
【0083】
【発明の効果】本発明の方法では、上記一般式(III) の
オキシグルタル酸誘導体を含む反応生成物を予め精製
し、精製したオキシグルタル酸誘導体をエステル化剤を
用いて一般式(IV)のエステル化することにより目的化合
物である光学活性オキシグルタル酸エステル誘導体を得
ている。このようにして得られた目的の光学活性オキシ
グルタル酸エステル誘導体は、工業的方法で除去できな
い副産物をほとんど含んでいない。従って、本発明の方
法は、血中コレステロール低下剤を製造するために極め
て有用な中間体であるオキシグルタル酸エステル誘導体
を高純度で得ることができる簡便で工業的に利用可能な
製法であるということができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河内 康弘 山口県宇部市大字小串1978番地の5 宇 部興産株式会社 宇部研究所内 (56)参考文献 特開 平1−316391(JP,A) 特開 平5−32680(JP,A) 日本化学会編「第4版 実験化学講座 22 有機合成▲IV▼−酸・アミノ酸 ペプチド−」,第49頁,平成4年11月30 日発行,発行所 丸善株式会社 日本化学会編「新実験化学講座12 有 機金属化学」,第368〜369頁,昭和51年 3月20日発行 (発行所 丸善株式会 社) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07F 9/40 C07F 9/38 C07F 9/53 C07C 69/67 C07C 69/675

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(IV): 【化1】 (但し、R1及びR2は、炭素原子数1〜5のアルコキシ
    基、炭素原子数7〜9のアラルキルオキシ基、炭素原子
    数7〜9のハロゲノアラルキルオキシ基又はフェニル基
    を表わし、R4は、ヒドロキシル保護基を表わし、R5
    炭素原子数1〜10のアルキル基を表わす。)で表わさ
    れるオキシグルタル酸エステル誘導体のR−体の製法に
    おいて、 該製法が、下記一般式(II): 【化3】 (但し、R3は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
    し、そしてR4は、上記と同じである。)で表わされる
    オキシグルタル酸モノエステルのラセミ体を(S)−
    (−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミンを用い
    ることにより光学分割して、オキシグルタル酸モノエス
    テルのS−体を得る工程、 上記オキシグルタル酸モノエステルのS−体と、下記一
    般式(I): 【化2】 (但し、R1及びR2は、上記と同じである。)で表わさ
    れるメチルホスホナート誘導体又はメチルホスフィンオ
    キサイド誘導体とを反応させることにより、下記一般式
    (III): 【化4】 (但し、R1、R2及びR4は、上記と同じである。)で
    表わされるオキシグルタル酸誘導体のR−体を得る工
    程、そして該オキシグルタル酸誘導体のR−体をエステ
    ル化剤で処理することにより前記一般式(IV)で表わさ
    れるオキシグルタル酸エステル誘導体のR−体を生成さ
    せる工程、 からなることを特徴とするオキシグルタル酸エステル誘
    導体の製法。
  2. 【請求項2】 上記エステル化剤が、下記一般式
    (V): (V) R5X (但し、R5は炭素原子数1〜10のアルキル基を表わ
    し、そしてXはハロゲンを表わす。)で表わされるアル
    キルハライドである請求項1に記載のオキシグルタル酸
    エステル誘導体の製法。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で表わされるメチルホスホ
    ナート誘導体又はメチルホスフィンオキサイド誘導体
    と、一般式(II)で表わされるオキシグルタル酸モノエ
    ステルのS−体との反応が、下記一般式(VI): (VI) M−N[Si(CH332 (但し、Mはアルカリ金属を表わす。)で表わされるア
    ルカリ金属ヘキサメチルジシラザンの存在下に有機溶媒
    中で行なわれる請求項1に記載のオキシグルタル酸エス
    テル誘導体の製法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本化学会編「新実験化学講座12 有機金属化学」,第368〜369頁,昭和51年3月20日発行 (発行所 丸善株式会社)
日本化学会編「第4版 実験化学講座 22 有機合成▲IV▼−酸・アミノ酸ペプチド−」,第49頁,平成4年11月30日発行,発行所 丸善株式会社

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