JP2933235B2 - 薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法 - Google Patents
薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法Info
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- Electronic Switches (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、サーマルヘッドに薄膜技術により形成され
る発熱抵抗体の抵抗値を調整する抵抗体トリミング方法
に関するものである。
る発熱抵抗体の抵抗値を調整する抵抗体トリミング方法
に関するものである。
[従来の技術] 各種印画出力装置に用いられるサーマルヘッドは、ヘ
ッド基板上に複数の発熱抵抗素子が形成され、この発熱
抵抗素子が選択的に電力付勢されて感熱印画が行われ
る。このとき設計された印画濃度を実現するために、各
発熱抵抗素子の抵抗値は均一である必要がある。しかし
厚膜技術による発熱抵抗素子の抵抗値は、±25%以上の
バラツキを有しているため、発熱抵抗素子の形成後に発
熱抵抗素子にトリミングパルスを印加して抵抗値を低下
させ、バラツキを可及的に抑制するトリミング技術が採
用されている。
ッド基板上に複数の発熱抵抗素子が形成され、この発熱
抵抗素子が選択的に電力付勢されて感熱印画が行われ
る。このとき設計された印画濃度を実現するために、各
発熱抵抗素子の抵抗値は均一である必要がある。しかし
厚膜技術による発熱抵抗素子の抵抗値は、±25%以上の
バラツキを有しているため、発熱抵抗素子の形成後に発
熱抵抗素子にトリミングパルスを印加して抵抗値を低下
させ、バラツキを可及的に抑制するトリミング技術が採
用されている。
このようなトリミングを行う第1の従来例として、発
熱抵抗素子の初期抵抗値が目標抵抗値より大きい場合、
初期電圧V0のトリミングパルスを印加して抵抗値を低下
させ、その後、抵抗値が目標抵抗値以下になるまで、増
加分ΔVずつ電圧を増加させたトリミングパルスを印加
する方式が知られている。しかしこの方式では、各発熱
抵抗素子の抵抗値を高精度で均一化するには、前記初期
電圧V0およびΔVを比較的小さな値に設定する必要があ
り、各発熱抵抗素子毎に印加すべきトリミングパルス数
が増大し、トリミング工程に時間を要してしまい生産効
率が低下してしまうという問題点を有している。
熱抵抗素子の初期抵抗値が目標抵抗値より大きい場合、
初期電圧V0のトリミングパルスを印加して抵抗値を低下
させ、その後、抵抗値が目標抵抗値以下になるまで、増
加分ΔVずつ電圧を増加させたトリミングパルスを印加
する方式が知られている。しかしこの方式では、各発熱
抵抗素子の抵抗値を高精度で均一化するには、前記初期
電圧V0およびΔVを比較的小さな値に設定する必要があ
り、各発熱抵抗素子毎に印加すべきトリミングパルス数
が増大し、トリミング工程に時間を要してしまい生産効
率が低下してしまうという問題点を有している。
第2の従来技術として、下記のトリミング法が知られ
ている。すなわち、サーマルヘッドを製造するにあた
り、同一ロット内や同一基板内では、各発熱抵抗素子に
同一のトリミングパルスを印加した際の抵抗値の変化状
態に規則性や再現性が見られる現象に着目し、印加する
トリミングパルスの電圧値と抵抗値Rの変化率ΔR/Rと
の間の相関関係すなわち校正曲線を予め求めておき、こ
の校正曲線に従って初期電圧V0を決定し、この初期電圧
V0を印加することによって抵抗値を可及的に目標抵抗値
に近付ける。この後、増加分ΔVずつ電圧を増加させた
パルスを印加して抵抗値を漸減させている。
ている。すなわち、サーマルヘッドを製造するにあた
り、同一ロット内や同一基板内では、各発熱抵抗素子に
同一のトリミングパルスを印加した際の抵抗値の変化状
態に規則性や再現性が見られる現象に着目し、印加する
トリミングパルスの電圧値と抵抗値Rの変化率ΔR/Rと
の間の相関関係すなわち校正曲線を予め求めておき、こ
の校正曲線に従って初期電圧V0を決定し、この初期電圧
V0を印加することによって抵抗値を可及的に目標抵抗値
に近付ける。この後、増加分ΔVずつ電圧を増加させた
パルスを印加して抵抗値を漸減させている。
[発明が解決しようとする課題] 上記第2の従来例によれば、従来から印刷などの厚膜
技術によって製造された厚膜サーマルヘッドに対する抵
抗値の調整は、比較的充分に行われる。第2の従来例を
用いて抵抗値を調整した際の目標抵抗値に対する接近の
程度、すなわち制御性は−3%〜+0%程度となる。し
かもこの値はもとの発熱抵抗体毎の抵抗値に依存しない
ので、トリミング処理後の厚膜サーマルヘッドの抵抗値
のバラツキはサーマルヘッド間で±1.5%、サーマルヘ
ッド内で±1.5%、隣接発熱抵抗素子間で±3%とな
る。これは厚膜サーマルヘッドの初期の抵抗値のバラツ
キが通常±25%以上であることからすると、バラツキの
改善を行うには、充分な技術といえる。
技術によって製造された厚膜サーマルヘッドに対する抵
抗値の調整は、比較的充分に行われる。第2の従来例を
用いて抵抗値を調整した際の目標抵抗値に対する接近の
程度、すなわち制御性は−3%〜+0%程度となる。し
かもこの値はもとの発熱抵抗体毎の抵抗値に依存しない
ので、トリミング処理後の厚膜サーマルヘッドの抵抗値
のバラツキはサーマルヘッド間で±1.5%、サーマルヘ
ッド内で±1.5%、隣接発熱抵抗素子間で±3%とな
る。これは厚膜サーマルヘッドの初期の抵抗値のバラツ
キが通常±25%以上であることからすると、バラツキの
改善を行うには、充分な技術といえる。
一方、近年、蒸着やスパッタリングなどの薄膜技術に
より製造される薄膜サーマルヘッドが用いられている。
この薄膜サーマルヘッドの場合、隣接発熱抵抗素子間の
初期抵抗値のバラツキは±1%前後であり、濃度むらを
起こさない中間調表示が可能な画像用の薄膜サーマルヘ
ッドには、隣接発熱薄膜抵抗素子間の抵抗値のバラツキ
は±0.5%程度が要求されている。このため、前記第2
の従来例は薄膜サーマルヘッドにおけるトリミング技術
としては、極めて不充分である。
より製造される薄膜サーマルヘッドが用いられている。
この薄膜サーマルヘッドの場合、隣接発熱抵抗素子間の
初期抵抗値のバラツキは±1%前後であり、濃度むらを
起こさない中間調表示が可能な画像用の薄膜サーマルヘ
ッドには、隣接発熱薄膜抵抗素子間の抵抗値のバラツキ
は±0.5%程度が要求されている。このため、前記第2
の従来例は薄膜サーマルヘッドにおけるトリミング技術
としては、極めて不充分である。
また、前記第2の従来技術を薄膜サーマルヘッドのト
リミングに応用した場合を想定しても、下記の2つの問
題点を生じるため、目標抵抗値への制御性は極めて悪い
ものとなる。
リミングに応用した場合を想定しても、下記の2つの問
題点を生じるため、目標抵抗値への制御性は極めて悪い
ものとなる。
(1)一定電圧レベルV0のトリミングパルスを印加して
も、ヘッド毎あるいは発熱抵抗素子毎の抵抗値により抵
抗値の変化率が大きく異なるため、校正曲線の作成が不
可能である。
も、ヘッド毎あるいは発熱抵抗素子毎の抵抗値により抵
抗値の変化率が大きく異なるため、校正曲線の作成が不
可能である。
(2)トリミングにおける前記増加分ΔV=0として初
期電圧V0を繰返し印加するようにしても抵抗値の変化率
が大きく、このトリミングパルスの印加で目標抵抗値よ
り下がりすぎた抵抗値になる場合が多い。
期電圧V0を繰返し印加するようにしても抵抗値の変化率
が大きく、このトリミングパルスの印加で目標抵抗値よ
り下がりすぎた抵抗値になる場合が多い。
本発明の目的は、上述の技術的課題を解消し、作業性
が良好で、しかも目標抵抗値に対して高精度で抵抗値の
調整が可能な薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方
法を提供することである。
が良好で、しかも目標抵抗値に対して高精度で抵抗値の
調整が可能な薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方
法を提供することである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、薄膜サーマルヘッドの電気絶縁性基板上に
直線状に配列された複数の発熱抵抗素子の抵抗値を調整
すべく発熱抵抗素子に大気雰囲気の下でトリミングパル
スを印加することによってトリミングする方法であっ
て、 発熱抵抗素子に対してトリミングパルスを印加し、該
トリミングパルスのパルス幅および印加電力と、これに
対応する発熱抵抗素子の抵抗値の低下または上昇の変化
との相関関係を予め求めておき、 次いで、この相関関係に基づき所要トリミングパルス
を発熱抵抗素子に印加し発熱抵抗素子をアニールして抵
抗値を低下させ、 しかる後、少なくとも一部の発熱抵抗素子に前記相関
関係に基づく所要トリミングパルスを印加し発熱抵抗素
子を部分的に酸化して抵抗値を上昇させることによって
発熱抵抗素子の抵抗値を調整するようにしたことを特徴
とする薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法であ
る。
直線状に配列された複数の発熱抵抗素子の抵抗値を調整
すべく発熱抵抗素子に大気雰囲気の下でトリミングパル
スを印加することによってトリミングする方法であっ
て、 発熱抵抗素子に対してトリミングパルスを印加し、該
トリミングパルスのパルス幅および印加電力と、これに
対応する発熱抵抗素子の抵抗値の低下または上昇の変化
との相関関係を予め求めておき、 次いで、この相関関係に基づき所要トリミングパルス
を発熱抵抗素子に印加し発熱抵抗素子をアニールして抵
抗値を低下させ、 しかる後、少なくとも一部の発熱抵抗素子に前記相関
関係に基づく所要トリミングパルスを印加し発熱抵抗素
子を部分的に酸化して抵抗値を上昇させることによって
発熱抵抗素子の抵抗値を調整するようにしたことを特徴
とする薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法であ
る。
[作 用] 本発明に従えば、予め大気雰囲気下で発熱抵抗素子に
トリミングパルスを印加し、印加したトリミングパルス
のパルス幅および印加電力と、これに対応する発熱抵抗
素子の抵抗値の低下または上昇との相関関係を求め、い
わゆる校正曲線を作製する。この校正曲線に基づいて複
数の発熱抵抗素子のトリミングを行うので、作業性が大
幅に向上する。また発熱抵抗素子に所要のトリミングパ
ルスを印加して発熱抵抗素子をアニールして抵抗値を低
下させ、その後必要な発熱抵抗素子に所要のトリミング
パルスを印加してその発熱抵抗素子を部分的に酸化して
抵抗値を上昇させる。特にトリミングパルスの印加を大
気雰囲気下で行うので、発熱抵抗素子の部分酸化を効率
よく進行させ、作業性と目標抵抗値に対する制御性とが
格段に向上する。
トリミングパルスを印加し、印加したトリミングパルス
のパルス幅および印加電力と、これに対応する発熱抵抗
素子の抵抗値の低下または上昇との相関関係を求め、い
わゆる校正曲線を作製する。この校正曲線に基づいて複
数の発熱抵抗素子のトリミングを行うので、作業性が大
幅に向上する。また発熱抵抗素子に所要のトリミングパ
ルスを印加して発熱抵抗素子をアニールして抵抗値を低
下させ、その後必要な発熱抵抗素子に所要のトリミング
パルスを印加してその発熱抵抗素子を部分的に酸化して
抵抗値を上昇させる。特にトリミングパルスの印加を大
気雰囲気下で行うので、発熱抵抗素子の部分酸化を効率
よく進行させ、作業性と目標抵抗値に対する制御性とが
格段に向上する。
[実施例] 第1図は本発明のトリミング方法を用いて製造される
薄膜サーマルヘッド(以下、サーマルヘッドと略す)21
の構成を説明するための断面図である。サーマルヘッド
21は、たとえばアルミニウムなどの金属材料から成る放
熱板22を備え、この上にヘッド基板23が接着剤層32で固
着される。ヘッド基板23上には、第1図の紙面と垂直方
向に多数の発熱素子24が直線状に形成され、またこの発
熱素子24の配列方向と並行に配列され、発熱素子24と図
示しない電極にて接続された複数の駆動回路素子25が配
置される。これらの駆動回路素子25は合成樹脂材料から
成る保護層26で被覆される。
薄膜サーマルヘッド(以下、サーマルヘッドと略す)21
の構成を説明するための断面図である。サーマルヘッド
21は、たとえばアルミニウムなどの金属材料から成る放
熱板22を備え、この上にヘッド基板23が接着剤層32で固
着される。ヘッド基板23上には、第1図の紙面と垂直方
向に多数の発熱素子24が直線状に形成され、またこの発
熱素子24の配列方向と並行に配列され、発熱素子24と図
示しない電極にて接続された複数の駆動回路素子25が配
置される。これらの駆動回路素子25は合成樹脂材料から
成る保護層26で被覆される。
ヘッド基板23上にはたとえばスクリーン印刷などの厚
膜技術にて蓄熱層35が形成され、また厚膜共通電極層27
がヘッド基板23の外周に沿って形成される。蓄熱層35上
には発熱抵抗体層34、共通電極層36および複数の個別電
極37が形成され、直線上の複数の発熱素子24が構成され
る。発熱素子24は、たとえばスパッタリングなどの薄膜
技術により形成される耐摩耗層39を介して、プラテンロ
ーラ31との間で感熱紙32に感熱印字を行う。またこの発
熱素子24は集積回路素子として実現される駆動回路素子
25により制御される。駆動回路素子25には絶縁層28で被
覆された前記個別電極37が接続されると共に、駆動回路
素子25に発熱素子24を駆動する信号などを入力し、絶縁
層28で被覆された外部接続端子29が接続され、駆動回路
素子25およびその周辺を被覆して合成樹脂材料などから
なる保護層26が形成される。
膜技術にて蓄熱層35が形成され、また厚膜共通電極層27
がヘッド基板23の外周に沿って形成される。蓄熱層35上
には発熱抵抗体層34、共通電極層36および複数の個別電
極37が形成され、直線上の複数の発熱素子24が構成され
る。発熱素子24は、たとえばスパッタリングなどの薄膜
技術により形成される耐摩耗層39を介して、プラテンロ
ーラ31との間で感熱紙32に感熱印字を行う。またこの発
熱素子24は集積回路素子として実現される駆動回路素子
25により制御される。駆動回路素子25には絶縁層28で被
覆された前記個別電極37が接続されると共に、駆動回路
素子25に発熱素子24を駆動する信号などを入力し、絶縁
層28で被覆された外部接続端子29が接続され、駆動回路
素子25およびその周辺を被覆して合成樹脂材料などから
なる保護層26が形成される。
本発明は、ヘッド基板23上に発熱抵抗体層34、共通電
極36および複数の個別電極37が形成された段階で、これ
らによって規定される複数の発熱素子24毎の抵抗値をト
リミングして均一化しようとするものである。上記のサ
ーマルヘッド21に対して実験を行った結果、以下の事実
が判明した。
極36および複数の個別電極37が形成された段階で、これ
らによって規定される複数の発熱素子24毎の抵抗値をト
リミングして均一化しようとするものである。上記のサ
ーマルヘッド21に対して実験を行った結果、以下の事実
が判明した。
(1)耐摩耗層39を形成する前に、大気雰囲気中でトリ
ミングパルスを印加する。このときパルス幅を適宜選択
することにより、発熱素子24の抵抗値を下げるだけでな
く、上げることができる。この実験結果の概要は第2図
のグラフに示される。すなわち横軸に印加電力、縦軸に
発熱素子24の抵抗値変化率ΔR/Rを取ると、印加される
トリミングパルスのパルス幅を変化させることにより、
得られる特性曲線が大きく変化することが確認された。
第2図示のラインl1,l2,l3は、相互にパルス幅が異なる
場合を示しており、対応するパルス幅をWl1,Wl2,Wl3
(必要な場合はWlで総称する)で表すとこれらの関係
は、 Wl1>Wl2>Wl3 …(1) である。
ミングパルスを印加する。このときパルス幅を適宜選択
することにより、発熱素子24の抵抗値を下げるだけでな
く、上げることができる。この実験結果の概要は第2図
のグラフに示される。すなわち横軸に印加電力、縦軸に
発熱素子24の抵抗値変化率ΔR/Rを取ると、印加される
トリミングパルスのパルス幅を変化させることにより、
得られる特性曲線が大きく変化することが確認された。
第2図示のラインl1,l2,l3は、相互にパルス幅が異なる
場合を示しており、対応するパルス幅をWl1,Wl2,Wl3
(必要な場合はWlで総称する)で表すとこれらの関係
は、 Wl1>Wl2>Wl3 …(1) である。
すなわちパルス幅Wlが比較的長い場合には、ラインl1
に示されるように印加電力を増大すると抵抗値は増大す
る。一方、パルス幅Wlが比較的短い場合には、ラインl3
に示されるように閾値電力Pth未満の範囲Aでは抵抗値
は変化しないが、閾値電力Pth以上の範囲B程度に印加
電力を増大すると抵抗値は減少する。またパルス幅Wl1,
Wl3の中間のパルス幅Wl2では、ラインl2に示されるよう
に、印加電力Pの程度によって抵抗値の上昇現象と下降
現象との双方が現れる。すなわち印加電力に関する閾値
電力Pth未満の印加電力の範囲Aでは、抵抗値は印加電
力の増大に従い低下率が次第に増大するが、次第に低下
率は減少して0となる。閾値電力Pth以上の印加電力P
の範囲では、印加電力Pの増大に従い抵抗値は次第に上
昇する。
に示されるように印加電力を増大すると抵抗値は増大す
る。一方、パルス幅Wlが比較的短い場合には、ラインl3
に示されるように閾値電力Pth未満の範囲Aでは抵抗値
は変化しないが、閾値電力Pth以上の範囲B程度に印加
電力を増大すると抵抗値は減少する。またパルス幅Wl1,
Wl3の中間のパルス幅Wl2では、ラインl2に示されるよう
に、印加電力Pの程度によって抵抗値の上昇現象と下降
現象との双方が現れる。すなわち印加電力に関する閾値
電力Pth未満の印加電力の範囲Aでは、抵抗値は印加電
力の増大に従い低下率が次第に増大するが、次第に低下
率は減少して0となる。閾値電力Pth以上の印加電力P
の範囲では、印加電力Pの増大に従い抵抗値は次第に上
昇する。
このようにトリミングパルスのパルス幅Wlによって、
発熱素子24の抵抗値の変化の方向が上昇または下降のい
ずれをも取り得る現象は第3図および第4図を参照し
て、下記のように説明される。すなわちトリミングパル
ス印加によって発熱素子24の抵抗値が変化するのは、発
熱抵抗体層34自身の発熱によるアニール効果、すなわち
発熱抵抗体層34の結晶化と酸化とによるものである。こ
のうちアニール効果は、発熱抵抗体層34の結晶化の進行
である点で抵抗値の下降現象として現れ、また酸化は抵
抗値の上昇現象として現れる。
発熱素子24の抵抗値の変化の方向が上昇または下降のい
ずれをも取り得る現象は第3図および第4図を参照し
て、下記のように説明される。すなわちトリミングパル
ス印加によって発熱素子24の抵抗値が変化するのは、発
熱抵抗体層34自身の発熱によるアニール効果、すなわち
発熱抵抗体層34の結晶化と酸化とによるものである。こ
のうちアニール効果は、発熱抵抗体層34の結晶化の進行
である点で抵抗値の下降現象として現れ、また酸化は抵
抗値の上昇現象として現れる。
第3図(1)のように印加されるトリミングパルスの
パルス幅Wl1を比較的長くかつ印加電圧を低く設定した
ときの発熱抵抗体層34は、印加電圧V1が比較的低いため
に温度は急速および大幅な上昇を見せず、一方、パルス
幅Wl1が比較的長いため比較的低い温度が長時間続くこ
とになる。発熱抵抗体層34におけるアニール効果の進行
状態は温度により決定されるものであり、この場合の温
度T1はアニール効果を発生させる温度Taに到達しておら
ず、前記アニール効果による抵抗値の下降現象は生じな
い。しかしながら酸化現象を発生させる温度Tox以上の
温度であり、しかもこの状態が比較的長時間継続される
ので、発熱抵抗体層34に酸化が進行し抵抗値が上昇す
る。
パルス幅Wl1を比較的長くかつ印加電圧を低く設定した
ときの発熱抵抗体層34は、印加電圧V1が比較的低いため
に温度は急速および大幅な上昇を見せず、一方、パルス
幅Wl1が比較的長いため比較的低い温度が長時間続くこ
とになる。発熱抵抗体層34におけるアニール効果の進行
状態は温度により決定されるものであり、この場合の温
度T1はアニール効果を発生させる温度Taに到達しておら
ず、前記アニール効果による抵抗値の下降現象は生じな
い。しかしながら酸化現象を発生させる温度Tox以上の
温度であり、しかもこの状態が比較的長時間継続される
ので、発熱抵抗体層34に酸化が進行し抵抗値が上昇す
る。
一方、印加されるトリミングパルスを第4図(1)に
示すように、そのパルス幅Wl3が比較的短くかつ印加電
圧V2が比較的高い場合、発熱抵抗体層34の温度変化は第
4図(2)に示される状態となる。すなわち発熱抵抗体
層34は、急速に昇温し前記アニール効果が生じる温度Ta
を越えた温度T2に到達する。一方、パルス幅Wl3が比較
的短いため温度T2はほとんど持続せず、急速に室温に復
帰する。この場合、温度T2に対応してアニール効果が進
行し、発熱抵抗体層34の抵抗値は下降する。一方、前記
酸化が生じる温度Toxを越えている期間が比較的短いた
め、酸化はほとんど発生せず、抵抗値の上昇は生じな
い。
示すように、そのパルス幅Wl3が比較的短くかつ印加電
圧V2が比較的高い場合、発熱抵抗体層34の温度変化は第
4図(2)に示される状態となる。すなわち発熱抵抗体
層34は、急速に昇温し前記アニール効果が生じる温度Ta
を越えた温度T2に到達する。一方、パルス幅Wl3が比較
的短いため温度T2はほとんど持続せず、急速に室温に復
帰する。この場合、温度T2に対応してアニール効果が進
行し、発熱抵抗体層34の抵抗値は下降する。一方、前記
酸化が生じる温度Toxを越えている期間が比較的短いた
め、酸化はほとんど発生せず、抵抗値の上昇は生じな
い。
すなわちトリミングパルスのパルス幅Wlと印加電力と
を適宜選択することにより、前述したアニール効果と酸
化とのいずれが支配的な現象となるかを制御することが
できる。すなわち発熱抵抗体層34の抵抗値を上昇あるい
は下降させる制御を行うことができる。
を適宜選択することにより、前述したアニール効果と酸
化とのいずれが支配的な現象となるかを制御することが
できる。すなわち発熱抵抗体層34の抵抗値を上昇あるい
は下降させる制御を行うことができる。
(2)第3図(1)に示されるように、発熱抵抗体層34
において抵抗値の上昇のみを生じさせるパルス幅Wl1の
トリミングパルスを印加する場合、トリミングパルスの
パルス幅Wl1を固定しておけばトリミングパルス印加前
の抵抗値が発熱素子24毎に異なっていても、同一の印加
電力を印加することにより各発熱素子24は、ほぼ一定の
抵抗値変化率を示す。一方、第4図(1)に示すような
抵抗値の下降のみを生じさせるパルス幅Wl3のトリミン
グパルスを印加する場合も同様であり、印加電力が同一
であればトリミングパルス印加前の抵抗値が発熱素子24
毎に異なっていても、ほぼ一定の抵抗値変化率を示す。
において抵抗値の上昇のみを生じさせるパルス幅Wl1の
トリミングパルスを印加する場合、トリミングパルスの
パルス幅Wl1を固定しておけばトリミングパルス印加前
の抵抗値が発熱素子24毎に異なっていても、同一の印加
電力を印加することにより各発熱素子24は、ほぼ一定の
抵抗値変化率を示す。一方、第4図(1)に示すような
抵抗値の下降のみを生じさせるパルス幅Wl3のトリミン
グパルスを印加する場合も同様であり、印加電力が同一
であればトリミングパルス印加前の抵抗値が発熱素子24
毎に異なっていても、ほぼ一定の抵抗値変化率を示す。
本件発明者は、第1図示の発熱抵抗体24に関して、第
1図左右方向の長さ151μm、第1図紙面と垂直方向の
幅105μmとし、膜厚が異なり、したがって抵抗値が異
なる2種類の発熱抵抗体24に関して、発熱抵抗体の抵抗
値の変化を計測した。印加電圧と抵抗値変化との関係を
第5図(1)のラインl6,l7に示す。このように印加電
圧との関係では、抵抗値変化の状態は大幅に異なること
が理解される。
1図左右方向の長さ151μm、第1図紙面と垂直方向の
幅105μmとし、膜厚が異なり、したがって抵抗値が異
なる2種類の発熱抵抗体24に関して、発熱抵抗体の抵抗
値の変化を計測した。印加電圧と抵抗値変化との関係を
第5図(1)のラインl6,l7に示す。このように印加電
圧との関係では、抵抗値変化の状態は大幅に異なること
が理解される。
一方、印加電力と抵抗値変化との関係を第5図(2)
のラインl8,l9に示す。同図に示されるように、印加電
力が同一であればトリミング前の初期抵抗値の相違に拘
わらず、同一の抵抗値変化を示すことが理解される。こ
れらを総合すると、第2図に示したラインl1,l3の特性
曲線は、各発熱抵抗体24毎の抵抗値には依存しないと結
論できる。
のラインl8,l9に示す。同図に示されるように、印加電
力が同一であればトリミング前の初期抵抗値の相違に拘
わらず、同一の抵抗値変化を示すことが理解される。こ
れらを総合すると、第2図に示したラインl1,l3の特性
曲線は、各発熱抵抗体24毎の抵抗値には依存しないと結
論できる。
上述の現象は下記のように説明される。発熱抵抗体層
34の抵抗値を変化させる要因であるアニール効果や酸化
は、その進行状態は上述したように、印加されるトリミ
ングパルスの状態に対応した発熱抵抗体層34自身の第3
図(2)および第4図(2)に示したような温度変化の
特性により決定されるものである。したがってパルス幅
Wlと印加電力Pとが同一であれば発熱抵抗体24の抵抗値
が相互に異なっている場合であっても、発熱抵抗体24毎
の温度の時間変化の特性は、各発熱抵抗体24間で同一と
なり、前述したようにほぼ一定の抵抗値変化率が得られ
る。
34の抵抗値を変化させる要因であるアニール効果や酸化
は、その進行状態は上述したように、印加されるトリミ
ングパルスの状態に対応した発熱抵抗体層34自身の第3
図(2)および第4図(2)に示したような温度変化の
特性により決定されるものである。したがってパルス幅
Wlと印加電力Pとが同一であれば発熱抵抗体24の抵抗値
が相互に異なっている場合であっても、発熱抵抗体24毎
の温度の時間変化の特性は、各発熱抵抗体24間で同一と
なり、前述したようにほぼ一定の抵抗値変化率が得られ
る。
(3)発熱抵抗体24に、予め定める印加電力P0のトリミ
ングパルスを印加した後、2回目以降、印加電力の増分
ΔPずつ印加電力を増加させたトリミングパルスを印加
することにより、徐々に抵抗値を下げることができる。
本件発明者は、前記第5図を参照した説明における相互
に異なる抵抗値を有する発熱抵抗体24に関して、2回目
以降増分ΔPずつ印加電力を増加させた際の抵抗値変化
を測定した。この結果を、第6図ラインl10,l11に示
す。このように抵抗値の低下の程度は、初期抵抗値に依
存して相互に異なるけれども、いずれの場合であっても
抵抗値が漸減している。
ングパルスを印加した後、2回目以降、印加電力の増分
ΔPずつ印加電力を増加させたトリミングパルスを印加
することにより、徐々に抵抗値を下げることができる。
本件発明者は、前記第5図を参照した説明における相互
に異なる抵抗値を有する発熱抵抗体24に関して、2回目
以降増分ΔPずつ印加電力を増加させた際の抵抗値変化
を測定した。この結果を、第6図ラインl10,l11に示
す。このように抵抗値の低下の程度は、初期抵抗値に依
存して相互に異なるけれども、いずれの場合であっても
抵抗値が漸減している。
(4)前記第3項の説明において、2回目以降のトリミ
ングパルスを第3図に示されるような、比較的長いパル
ス幅のトリミングパルスとすることにより、徐々に抵抗
値を上昇することができる。本件発明者は、前記第3項
の説明における相互に異なる抵抗値を有する複数の発熱
抵抗体24に関して、2回目以降、たとえば50msのパルス
幅のトリミングパルスを印加したときの抵抗値の変化を
計測した。この状態を第7図ラインl12,l13に示す。第
7図に示されるように、徐々に抵抗値を上昇できること
が理解される。このとき、ラインl12は、ラインl13より
も高い印加電力の場合を示している。しかも、印加電力
を低めに設定した場合のラインl13に示されるように、
1回のトリミングパルスの印加における、抵抗値変化を
比較的小さく設定することができる。これにより、トリ
ミングによる発熱抵抗体24の抵抗値の制御を極めて高精
度に行うことができる。
ングパルスを第3図に示されるような、比較的長いパル
ス幅のトリミングパルスとすることにより、徐々に抵抗
値を上昇することができる。本件発明者は、前記第3項
の説明における相互に異なる抵抗値を有する複数の発熱
抵抗体24に関して、2回目以降、たとえば50msのパルス
幅のトリミングパルスを印加したときの抵抗値の変化を
計測した。この状態を第7図ラインl12,l13に示す。第
7図に示されるように、徐々に抵抗値を上昇できること
が理解される。このとき、ラインl12は、ラインl13より
も高い印加電力の場合を示している。しかも、印加電力
を低めに設定した場合のラインl13に示されるように、
1回のトリミングパルスの印加における、抵抗値変化を
比較的小さく設定することができる。これにより、トリ
ミングによる発熱抵抗体24の抵抗値の制御を極めて高精
度に行うことができる。
(5)発熱抵抗体層34における前述したような抵抗値の
下降をもたらすアニール効果は、発熱抵抗体層34内で構
成分子の再配列や結晶化を進行させる。このため発熱抵
抗体24の印加パルス(トリミングパルスや使用に伴う駆
動パルスなど)に対する耐久性は向上される。一方、抵
抗値の上昇をもたらす酸化現象は、発熱抵抗体24の所定
の抵抗値の領域を狭隘化し、したがって実質的な膜厚を
薄くしてしまうことになる。このため印加パルスに対す
る耐久性は劣化してしまう。すなわち発熱抵抗体24の抵
抗値を大幅に上昇させる処理は、発熱抵抗体24を劣化さ
せることになり、寿命が短くなってしまう。
下降をもたらすアニール効果は、発熱抵抗体層34内で構
成分子の再配列や結晶化を進行させる。このため発熱抵
抗体24の印加パルス(トリミングパルスや使用に伴う駆
動パルスなど)に対する耐久性は向上される。一方、抵
抗値の上昇をもたらす酸化現象は、発熱抵抗体24の所定
の抵抗値の領域を狭隘化し、したがって実質的な膜厚を
薄くしてしまうことになる。このため印加パルスに対す
る耐久性は劣化してしまう。すなわち発熱抵抗体24の抵
抗値を大幅に上昇させる処理は、発熱抵抗体24を劣化さ
せることになり、寿命が短くなってしまう。
(6)発熱抵抗体24がタンタルTa系の場合では、本件発
明者は1ms以下のパルス幅では抵抗値を−70%程度まで
低下することができることを確認した。しかしながら抵
抗値を過大に低下させると、発熱抵抗体24が凝集を起こ
し、また発熱抵抗体24の直下の蓄熱層35が熱のために破
壊される事態が生じる。これらの点を考慮し、本件発明
者はサーマルヘッド21の信頼性を保持できる限界の最大
トリミング量−DR1が、第8図に示されるようにたとえ
ば−40%程度であることを確認した。
明者は1ms以下のパルス幅では抵抗値を−70%程度まで
低下することができることを確認した。しかしながら抵
抗値を過大に低下させると、発熱抵抗体24が凝集を起こ
し、また発熱抵抗体24の直下の蓄熱層35が熱のために破
壊される事態が生じる。これらの点を考慮し、本件発明
者はサーマルヘッド21の信頼性を保持できる限界の最大
トリミング量−DR1が、第8図に示されるようにたとえ
ば−40%程度であることを確認した。
(7)一方、トリミングパルスのパルス幅および印加電
力を適宜選択することにより、抵抗値を上昇または低下
させて抵抗値制御を行う方法であって、サーマルヘッド
21の平均抵抗値を一回のみのトリミングパルスの印加に
より、平均抵抗値に関する最大許容値と最小許容値との
許容範囲内に変化させるトリミング方法の場合、抵抗値
が低下する変化は第6図を参照して説明したように、第
7図示の抵抗値上昇の場合と比較し、比較的変化が急峻
であり、このためたとえば−15%程度の限界値DR3以上
抵抗値を変化させることが困難になることを確認した。
力を適宜選択することにより、抵抗値を上昇または低下
させて抵抗値制御を行う方法であって、サーマルヘッド
21の平均抵抗値を一回のみのトリミングパルスの印加に
より、平均抵抗値に関する最大許容値と最小許容値との
許容範囲内に変化させるトリミング方法の場合、抵抗値
が低下する変化は第6図を参照して説明したように、第
7図示の抵抗値上昇の場合と比較し、比較的変化が急峻
であり、このためたとえば−15%程度の限界値DR3以上
抵抗値を変化させることが困難になることを確認した。
(8)前述したように、抵抗値を上昇または低下してト
リミングを行う場合、トリミングパルス印加による抵抗
値低下が過大であるとき、前述したように比較的長いパ
ルス幅を有するトリミングパルスで発熱抵抗体24を酸化
させ、抵抗値を上昇させる必要が生じる。この酸化によ
り、前述したように発熱抵抗体24の信頼性が低下する。
しかも印加電力を増加させてさらに抵抗値を低下させる
制御を行おうとする場合、第1回目トリミングパルス印
加により抵抗値変化が下降方向に過大であったとき、さ
らに抵抗値を低下させるトリミングパルスを印加して
も、抵抗値が低下せず逆に上昇したり、または予め計算
された低下量を大きく越えて低下する場合があることを
確認した。このような場合、発熱抵抗体24が破壊される
場合がある。このような実験により、上述した抵抗値の
上昇または低下制御を行う場合では、抵抗値変化はたと
えば−30%程度の限界値−DR2以上にできないことを確
認した。
リミングを行う場合、トリミングパルス印加による抵抗
値低下が過大であるとき、前述したように比較的長いパ
ルス幅を有するトリミングパルスで発熱抵抗体24を酸化
させ、抵抗値を上昇させる必要が生じる。この酸化によ
り、前述したように発熱抵抗体24の信頼性が低下する。
しかも印加電力を増加させてさらに抵抗値を低下させる
制御を行おうとする場合、第1回目トリミングパルス印
加により抵抗値変化が下降方向に過大であったとき、さ
らに抵抗値を低下させるトリミングパルスを印加して
も、抵抗値が低下せず逆に上昇したり、または予め計算
された低下量を大きく越えて低下する場合があることを
確認した。このような場合、発熱抵抗体24が破壊される
場合がある。このような実験により、上述した抵抗値の
上昇または低下制御を行う場合では、抵抗値変化はたと
えば−30%程度の限界値−DR2以上にできないことを確
認した。
(9)また発熱抵抗体24に関して、トリミングを行わな
い場合、サーマルヘッド21の使用に伴って抵抗値がたと
えば2〜3%程度低下することを確認した。これはトリ
ミング処理を行った発熱抵抗体24では、前述したアニー
ル効果により印加パルスに対する信頼性が向上されてお
り、したがって使用時に抵抗値は低下しない。一方、ト
リミング処理を行っていない発熱抵抗体24は、前記アニ
ール効果を有していないため、抵抗値が低下してしまう
ためである。このため、単一のサーマルヘッド21内にお
いて、使用に伴い発熱量のばらつきを生じ、濃度むらを
生じることになる。このためサーマルヘッド21の全ての
発熱抵抗体24は、たとえば−3%程度の最小トリミング
量DR4だけトリミング処理を行う必要がある。
い場合、サーマルヘッド21の使用に伴って抵抗値がたと
えば2〜3%程度低下することを確認した。これはトリ
ミング処理を行った発熱抵抗体24では、前述したアニー
ル効果により印加パルスに対する信頼性が向上されてお
り、したがって使用時に抵抗値は低下しない。一方、ト
リミング処理を行っていない発熱抵抗体24は、前記アニ
ール効果を有していないため、抵抗値が低下してしまう
ためである。このため、単一のサーマルヘッド21内にお
いて、使用に伴い発熱量のばらつきを生じ、濃度むらを
生じることになる。このためサーマルヘッド21の全ての
発熱抵抗体24は、たとえば−3%程度の最小トリミング
量DR4だけトリミング処理を行う必要がある。
以上の各条件を踏まえた上で、前述したような抵抗値
の上昇および下降現象を発熱素子24の抵抗値の調整に応
用する手法について説明する。第4図(1)に示される
ように、比較的短いパルス幅Wl3のトリミングパルスを
印加した場合、パルス幅Wl3を一定にすると、印加電力
と抵抗値変化率との関係が前述したように発熱素子24の
抵抗値には依存しない状態となるが、蓄熱層35の凹凸や
発熱素子24の寸法のばらつきなどに起因して、実際には
抵抗値変化率にはばらつきを生じてしまう。
の上昇および下降現象を発熱素子24の抵抗値の調整に応
用する手法について説明する。第4図(1)に示される
ように、比較的短いパルス幅Wl3のトリミングパルスを
印加した場合、パルス幅Wl3を一定にすると、印加電力
と抵抗値変化率との関係が前述したように発熱素子24の
抵抗値には依存しない状態となるが、蓄熱層35の凹凸や
発熱素子24の寸法のばらつきなどに起因して、実際には
抵抗値変化率にはばらつきを生じてしまう。
したがって印加電力Pと抵抗値変化率ΔR/Rとの関係
を示すグラフは第9図に示されるように、理想的な対応
関係を示すラインl4に対し、ラインl4a,l4bで囲まれる
範囲の幅を有している。したがって第2の従来技術とし
て説明したように、サーマルヘッドを製造する際の同一
ロット内のヘッド基板23や、同一ヘッド基板23内の発熱
素子24にトリミングパルスを印加し、第9図ラインl4の
校正曲線を得て、この校正曲線に基づいてトリミングパ
ルスのパルス幅と印加電力とを決定し、このようなトリ
ミングパルスを発熱素子24毎に印加したとしても、第9
図に示すラインl4a,l4bの間のばらつきにより、抵抗値
変化率の高精度の制御は不可能である。
を示すグラフは第9図に示されるように、理想的な対応
関係を示すラインl4に対し、ラインl4a,l4bで囲まれる
範囲の幅を有している。したがって第2の従来技術とし
て説明したように、サーマルヘッドを製造する際の同一
ロット内のヘッド基板23や、同一ヘッド基板23内の発熱
素子24にトリミングパルスを印加し、第9図ラインl4の
校正曲線を得て、この校正曲線に基づいてトリミングパ
ルスのパルス幅と印加電力とを決定し、このようなトリ
ミングパルスを発熱素子24毎に印加したとしても、第9
図に示すラインl4a,l4bの間のばらつきにより、抵抗値
変化率の高精度の制御は不可能である。
たとえば抵抗値を−n%だけ変化させるために、第9
図ラインl4の校正曲線から対応する印加電力P0(−n
%)のデータを得て、この印加電力を有するトリミング
パルスを印加した場合、実際には第9図に示す幅δの範
囲で抵抗値変化率はばらつく。したがって得られる抵抗
値変化率は下限で−n−d2%、上限で−n+d1%(d1+
d2=δ)の間でばらつくことになる。
図ラインl4の校正曲線から対応する印加電力P0(−n
%)のデータを得て、この印加電力を有するトリミング
パルスを印加した場合、実際には第9図に示す幅δの範
囲で抵抗値変化率はばらつく。したがって得られる抵抗
値変化率は下限で−n−d2%、上限で−n+d1%(d1+
d2=δ)の間でばらつくことになる。
したがって発熱素子24をトリミングするに当たって、
1回トリミングパルスを印加した後、さらにトリミング
パルスを印加することにより抵抗値を上昇させたり、ま
たは下降させる必要がある。このような処理は下記のよ
うな手法で実現できることが確認された。
1回トリミングパルスを印加した後、さらにトリミング
パルスを印加することにより抵抗値を上昇させたり、ま
たは下降させる必要がある。このような処理は下記のよ
うな手法で実現できることが確認された。
まず1回目のトリミングパルス印加後、さらに抵抗値
を下降させる場合、前述したアニール効果のみを進行さ
せればよい。したがって1回目のトリミングパルスと同
一のパルス幅であって、印加電力を所定電力ΔPだけ増
加させたトリミングパルスを印加する。これにより発熱
素子24は1回目のトリミングパルス印加時よりさらに高
い温度に到達するため、さらにアニール効果が進行し抵
抗値はさらに下降する。
を下降させる場合、前述したアニール効果のみを進行さ
せればよい。したがって1回目のトリミングパルスと同
一のパルス幅であって、印加電力を所定電力ΔPだけ増
加させたトリミングパルスを印加する。これにより発熱
素子24は1回目のトリミングパルス印加時よりさらに高
い温度に到達するため、さらにアニール効果が進行し抵
抗値はさらに下降する。
またさらに抵抗値を下降させるには、さらに印加電力
ΔPだけ電力を増加させてトリミングパルスの印加を行
えばよい。このときパルス幅は比較的短く設定されるの
で、上述した酸化現象はほとんど発生しないが、印加電
力ΔPを過小にすると酸化現象が無視できなくなり、逆
に抵抗値の上昇が発生する場合がある。したがって前記
所定の印加電力ΔPは、このような条件を総合的に勘案
して決定される。
ΔPだけ電力を増加させてトリミングパルスの印加を行
えばよい。このときパルス幅は比較的短く設定されるの
で、上述した酸化現象はほとんど発生しないが、印加電
力ΔPを過小にすると酸化現象が無視できなくなり、逆
に抵抗値の上昇が発生する場合がある。したがって前記
所定の印加電力ΔPは、このような条件を総合的に勘案
して決定される。
1回目のトリミングパルス印加後に抵抗値を上昇させ
る場合、前述した酸化現象のみを進行させればよく、第
2図ラインl1のような特性を示す第3図(1)図示のよ
うな、比較的パルス幅Wl1が長いトリミングパルスを印
加する。これにより発熱素子24は、1回目のトリミング
パルス印加後の温度より基本的に降温し、アニール効果
はほとんど進行せず、酸化現象のみが進行する。これに
より発熱素子24の抵抗値を確実に上昇することができ
る。またこの時の印加電力P1を比較的小さく選ぶことに
より、トリミングパルス印加毎の抵抗値の上昇率をたた
とえば+0.1〜0.2%程度など、微少程度づつ変化するこ
とができ、発熱素子24の抵抗値を高精度に制御すること
ができる。
る場合、前述した酸化現象のみを進行させればよく、第
2図ラインl1のような特性を示す第3図(1)図示のよ
うな、比較的パルス幅Wl1が長いトリミングパルスを印
加する。これにより発熱素子24は、1回目のトリミング
パルス印加後の温度より基本的に降温し、アニール効果
はほとんど進行せず、酸化現象のみが進行する。これに
より発熱素子24の抵抗値を確実に上昇することができ
る。またこの時の印加電力P1を比較的小さく選ぶことに
より、トリミングパルス印加毎の抵抗値の上昇率をたた
とえば+0.1〜0.2%程度など、微少程度づつ変化するこ
とができ、発熱素子24の抵抗値を高精度に制御すること
ができる。
第10図は本発明に従うトリミング装置41のブロック図
である。トリミング装置41は、サーマルヘッド21のヘッ
ド基板23に装着され、共通電極36と個別電極37とに発熱
素子24毎に個別に探針を接触させるプロービング装置42
が設けられ、プロービング装置42は、切換手段43を介し
て、抵抗値計測部44およびトリミングパルス発生部45に
接続される。抵抗値計測部44で計測された抵抗値は、目
標変化量演算部46と、校正曲線を作成して記憶する校正
曲線作成部47とに入力される。
である。トリミング装置41は、サーマルヘッド21のヘッ
ド基板23に装着され、共通電極36と個別電極37とに発熱
素子24毎に個別に探針を接触させるプロービング装置42
が設けられ、プロービング装置42は、切換手段43を介し
て、抵抗値計測部44およびトリミングパルス発生部45に
接続される。抵抗値計測部44で計測された抵抗値は、目
標変化量演算部46と、校正曲線を作成して記憶する校正
曲線作成部47とに入力される。
前記トリミングパルス発生部45は、基準パルス発生部
48を含み、発生された基準パルスはパルス幅調整部49お
よび電力調整部50を経ることにより、後述するようなト
リミングパルスとして出力され、前記切換回路43および
プロービング装置42を介して、選択された発熱素子24に
印加される。
48を含み、発生された基準パルスはパルス幅調整部49お
よび電力調整部50を経ることにより、後述するようなト
リミングパルスとして出力され、前記切換回路43および
プロービング装置42を介して、選択された発熱素子24に
印加される。
第11図はサーマルヘッド21を製造する全体の工程を説
明する工程図である。第11図工程a1では、前記サーマル
ヘッド23上に厚膜共通電極層27や蓄熱層35を形成する。
工程a2では、サーマルヘッド23上に発熱抵抗体層34を形
成し、工程a3では発熱抵抗体層34上に前記共通電極36お
よび個別電極37を形成する。工程a4では、詳細は後述す
るトリミング処理が行われ、各発熱素子24毎の抵抗値が
均一となるように調整された後、工程a5で耐摩耗層39が
形成される。この後、その他の処理を経て、サーマルヘ
ッド21が完成する。
明する工程図である。第11図工程a1では、前記サーマル
ヘッド23上に厚膜共通電極層27や蓄熱層35を形成する。
工程a2では、サーマルヘッド23上に発熱抵抗体層34を形
成し、工程a3では発熱抵抗体層34上に前記共通電極36お
よび個別電極37を形成する。工程a4では、詳細は後述す
るトリミング処理が行われ、各発熱素子24毎の抵抗値が
均一となるように調整された後、工程a5で耐摩耗層39が
形成される。この後、その他の処理を経て、サーマルヘ
ッド21が完成する。
第12図は、前記トリミング処理を行うに当たって必要
なトリミングパルスの各種条件を設定する処理を説明す
る工程図である。本実施例では、トリミングされるヘッ
ド基板23は、同一ロット内のヘッド基板23であれば、ま
たは同一ヘッド基板23内の発熱素子24であれば、抵抗値
変化に規則性、再現性が現れるという事実を応用する。
すなわちトリミング対象となるヘッド基板23と同一規格
で同一ロット内でサンプルヘッド基板を設定し、これに
第10図示のトリミング装置41を用いて、トリミングパル
スの印加テストを行い下記のパルス条件1〜3を求めて
おく。
なトリミングパルスの各種条件を設定する処理を説明す
る工程図である。本実施例では、トリミングされるヘッ
ド基板23は、同一ロット内のヘッド基板23であれば、ま
たは同一ヘッド基板23内の発熱素子24であれば、抵抗値
変化に規則性、再現性が現れるという事実を応用する。
すなわちトリミング対象となるヘッド基板23と同一規格
で同一ロット内でサンプルヘッド基板を設定し、これに
第10図示のトリミング装置41を用いて、トリミングパル
スの印加テストを行い下記のパルス条件1〜3を求めて
おく。
(条件1)1パルスを印加したとき、抵抗値が下がるパ
ルス幅Wldを工程b1で求め、当該パルス幅Wldにおいて、
印加電力を種々変更してテストパルスを印加する。この
テストパルスの印加による抵抗値変化率を計測し、第9
図示のラインl4に示す校正曲線を得る。この校正曲線よ
り当該パルス幅Wldにおいて、抵抗値変化率ΔR/Rが−1
%、−2%、…、−n%となる印加電力P0(−1%),P
0(−2%),…,P0(−n%)を工程b2にて求める。
ルス幅Wldを工程b1で求め、当該パルス幅Wldにおいて、
印加電力を種々変更してテストパルスを印加する。この
テストパルスの印加による抵抗値変化率を計測し、第9
図示のラインl4に示す校正曲線を得る。この校正曲線よ
り当該パルス幅Wldにおいて、抵抗値変化率ΔR/Rが−1
%、−2%、…、−n%となる印加電力P0(−1%),P
0(−2%),…,P0(−n%)を工程b2にて求める。
(条件2)上記条件1で求めたパルス幅Wldにおいて、
1パルス印加して抵抗値を下降させた後、さらに抵抗値
をd1%(例として2〜3%)下げるに必要な増加電力Δ
Pを工程b3で求める。
1パルス印加して抵抗値を下降させた後、さらに抵抗値
をd1%(例として2〜3%)下げるに必要な増加電力Δ
Pを工程b3で求める。
(条件3)1パルス印加したとき抵抗値が上昇するパル
ス幅Wluを工程b4で求め、当該パルス幅Wluにおいて印加
電力を種々変更したテストパルスを印加し、これによる
抵抗値の変化率を計測する。このようにして第13図に示
すラインl5の校正曲線を得る。この校正曲線l5から当該
パルス幅Wluにおいて、抵抗値をd2%(例として0.2〜0.
3%)上げるに必要な印加電力P1を工程b5で求める。
ス幅Wluを工程b4で求め、当該パルス幅Wluにおいて印加
電力を種々変更したテストパルスを印加し、これによる
抵抗値の変化率を計測する。このようにして第13図に示
すラインl5の校正曲線を得る。この校正曲線l5から当該
パルス幅Wluにおいて、抵抗値をd2%(例として0.2〜0.
3%)上げるに必要な印加電力P1を工程b5で求める。
第14図は本発明の一実施例のトリミング処理の詳細を
説明するフローチャートである。ステップc1では、第12
図を参照して説明したようにパルス条件1〜3を求めて
校正曲線作成部47に記憶しておく、ステップc2では、プ
ロービング装置42をトリミングすべきヘッド基板23に装
着し、発熱素子24の初期抵抗値R0を測定する。ステップ
c3では、必要変化量DRを演算する。すなわちサーマルヘ
ッド21の仕様において目標抵抗値Rfは予め設定されてお
り、 DR=(Rf−R0)/R0*100[%] …(2) を演算する。
説明するフローチャートである。ステップc1では、第12
図を参照して説明したようにパルス条件1〜3を求めて
校正曲線作成部47に記憶しておく、ステップc2では、プ
ロービング装置42をトリミングすべきヘッド基板23に装
着し、発熱素子24の初期抵抗値R0を測定する。ステップ
c3では、必要変化量DRを演算する。すなわちサーマルヘ
ッド21の仕様において目標抵抗値Rfは予め設定されてお
り、 DR=(Rf−R0)/R0*100[%] …(2) を演算する。
ステップc4では、前記必要変化量DRだけ抵抗値を下げ
るために、ステップc1で求めた条件1のパルス幅Wldと
印加電力P0(−DR%)とを求める。ステップc5では、パ
ルス幅Wldと印加電力P0とから印加電圧V0 を演算し、これらのデータに基づいて基準パルス発生部
48で発生された基準パルスがパルス幅調整部49および電
力調整部50で調整された後、切替部43およびプロービン
グ装置42を介して発熱素子24に印加される。
るために、ステップc1で求めた条件1のパルス幅Wldと
印加電力P0(−DR%)とを求める。ステップc5では、パ
ルス幅Wldと印加電力P0とから印加電圧V0 を演算し、これらのデータに基づいて基準パルス発生部
48で発生された基準パルスがパルス幅調整部49および電
力調整部50で調整された後、切替部43およびプロービン
グ装置42を介して発熱素子24に印加される。
ステップc6では、切替手段43は、抵抗値計測部44側に
切換えられ、1回目のパルス印加後の抵抗値Ri(i=
1)が抵抗値計測部44で計測される。ステップc7では、
この抵抗値Riが目標抵抗値Rfに対して一致したと見なさ
れる範囲ε内にあるかどうか、すなわち |Ri−Rf|≦ε …(4) が成立するかどうかを判断する。成立すれば当該発熱素
子24に対するトリミング処理は終了し、他の発熱素子24
に対するトリミング処理に移る。
切換えられ、1回目のパルス印加後の抵抗値Ri(i=
1)が抵抗値計測部44で計測される。ステップc7では、
この抵抗値Riが目標抵抗値Rfに対して一致したと見なさ
れる範囲ε内にあるかどうか、すなわち |Ri−Rf|≦ε …(4) が成立するかどうかを判断する。成立すれば当該発熱素
子24に対するトリミング処理は終了し、他の発熱素子24
に対するトリミング処理に移る。
ステップc7の判断が否定であれば、ステップc8に移
り、前記抵抗値Riが目標抵抗値Rfを越えたがどうかを判
断する。越えていなければ、前回印加したトリミングパ
ルスのパルス幅と同一のパルス幅Wldであって、かつ前
記条件2で求めた増加電力量ΔPが加算された印加電力
P0+ΔPから印加電圧V1 を求め、プロービング装置42を介して発熱素子24に印加
する。
り、前記抵抗値Riが目標抵抗値Rfを越えたがどうかを判
断する。越えていなければ、前回印加したトリミングパ
ルスのパルス幅と同一のパルス幅Wldであって、かつ前
記条件2で求めた増加電力量ΔPが加算された印加電力
P0+ΔPから印加電圧V1 を求め、プロービング装置42を介して発熱素子24に印加
する。
この後、処理はステップc6に移り、抵抗値を測定して
前述のような処理を繰返す。すなわちステップc7または
ステップc8の判断が肯定となるまで電力をΔPずつ増加
させ、トリミングパルスの印加と抵抗値の測定とを繰返
す。
前述のような処理を繰返す。すなわちステップc7または
ステップc8の判断が肯定となるまで電力をΔPずつ増加
させ、トリミングパルスの印加と抵抗値の測定とを繰返
す。
ステップC7の判断が否定であって、ステップC8の判断
が肯定となる一部の発熱素子24に対しては、ステップc1
0に移り、前記条件3で求めたパルス幅Wlu、印加電力P1
から印加電圧V2 のトリミングパルスを発生し、発熱素子24に印加する。
この後、処理はステップc6に戻り、前記パルス幅Wlu、
電圧レベルV2のトリミングパルスの印加と抵抗値との測
定を繰返し、ステップc7の判断が肯定となった時点で、
前述したように終了する。
が肯定となる一部の発熱素子24に対しては、ステップc1
0に移り、前記条件3で求めたパルス幅Wlu、印加電力P1
から印加電圧V2 のトリミングパルスを発生し、発熱素子24に印加する。
この後、処理はステップc6に戻り、前記パルス幅Wlu、
電圧レベルV2のトリミングパルスの印加と抵抗値との測
定を繰返し、ステップc7の判断が肯定となった時点で、
前述したように終了する。
前記条件3で説明したように、抵抗値を上昇させるた
めの印加電圧V2による抵抗値の変化率は、0.2〜0.3%程
度に選ばれており、極めて微少である。このため薄膜サ
ーマルヘッド21における目標抵抗値への制御性の要求が
たとえば±0.3%程度であっても、高精度に抵抗値のト
リミングを実行することができる。このような処理をヘ
ッド基板23のすべての発熱素子24に対して行えば、ヘッ
ド基板23間における抵抗値のバラツキ±0.3%、ヘッド
基板23内の抵抗値のバラツキ±0.3%、隣接する発熱素
子24間の抵抗値のバラツキ±0.6%となる高精度に抵抗
値が調整されたサーマルヘッド21を実現できる。なおト
リミングパルスの印加は、大気雰囲気下で行われるの
で、特に発熱素子24の抵抗を上昇させるトリミングパル
スの印加による発熱素子24の酸化が効率的に進行し、ト
リミングに要する時間を短縮することができる。
めの印加電圧V2による抵抗値の変化率は、0.2〜0.3%程
度に選ばれており、極めて微少である。このため薄膜サ
ーマルヘッド21における目標抵抗値への制御性の要求が
たとえば±0.3%程度であっても、高精度に抵抗値のト
リミングを実行することができる。このような処理をヘ
ッド基板23のすべての発熱素子24に対して行えば、ヘッ
ド基板23間における抵抗値のバラツキ±0.3%、ヘッド
基板23内の抵抗値のバラツキ±0.3%、隣接する発熱素
子24間の抵抗値のバラツキ±0.6%となる高精度に抵抗
値が調整されたサーマルヘッド21を実現できる。なおト
リミングパルスの印加は、大気雰囲気下で行われるの
で、特に発熱素子24の抵抗を上昇させるトリミングパル
スの印加による発熱素子24の酸化が効率的に進行し、ト
リミングに要する時間を短縮することができる。
また本実施例のトリミング処理は、ステップc5におけ
る1回目のトリミングパルスにより抵抗値Riを可及的に
目標抵抗値Rfに近くなるようにパルス条件を設定してい
る。このためサーマルヘッド21の全体のトリミング処理
に必要なパルス数を削減することができ、トリミング処
理全体の処理速度を向上でき、生産性が向上される。
る1回目のトリミングパルスにより抵抗値Riを可及的に
目標抵抗値Rfに近くなるようにパルス条件を設定してい
る。このためサーマルヘッド21の全体のトリミング処理
に必要なパルス数を削減することができ、トリミング処
理全体の処理速度を向上でき、生産性が向上される。
前述の実施例では、発熱素子24毎にトリミング処理を
行うようにしたが、抵抗値計測部44やトリミングパルス
発生部45を複数組ずつ備えるようにして、複数の発熱素
子24に対するトリミング処理を平行して処理するように
してもよい。また発熱素子24の抵抗値を変化させる手段
は、前記トリミングパルスの印加に限らず、たとえばレ
ーザー光を照射して、レーザー光強度と照射時間とによ
り第9図および第13図に示した校正曲線を得るようにし
てもよい。
行うようにしたが、抵抗値計測部44やトリミングパルス
発生部45を複数組ずつ備えるようにして、複数の発熱素
子24に対するトリミング処理を平行して処理するように
してもよい。また発熱素子24の抵抗値を変化させる手段
は、前記トリミングパルスの印加に限らず、たとえばレ
ーザー光を照射して、レーザー光強度と照射時間とによ
り第9図および第13図に示した校正曲線を得るようにし
てもよい。
[発明の効果] 以上のように本発明によれば、予め大気雰囲気下で発
熱抵抗素子にトリミングパルスを印加し、印加されたト
リミングパルスのパルス幅および印加電力と、発熱抵抗
素子の抵抗値の低下または上昇の相関関係を求め、これ
を用いて複数の発熱抵抗体のトリミングを行うので、作
業性が大幅に向上する。また発熱抵抗素子に印加するト
リミングパルスの状態を適宜選択することによって、発
熱抵抗素子をアニールして抵抗値を低下し、必要な発熱
抵抗素子を部分的に酸化して抵抗値を上昇させることが
でき、作業性と目標抵抗値に対する制御性が格段に向上
する。特に発熱抵抗素子をトリミングして部分的に酸化
するのを大気雰囲気下で行うので、酸化が効率的に進行
しトリミングに要する時間を短縮することができる。
熱抵抗素子にトリミングパルスを印加し、印加されたト
リミングパルスのパルス幅および印加電力と、発熱抵抗
素子の抵抗値の低下または上昇の相関関係を求め、これ
を用いて複数の発熱抵抗体のトリミングを行うので、作
業性が大幅に向上する。また発熱抵抗素子に印加するト
リミングパルスの状態を適宜選択することによって、発
熱抵抗素子をアニールして抵抗値を低下し、必要な発熱
抵抗素子を部分的に酸化して抵抗値を上昇させることが
でき、作業性と目標抵抗値に対する制御性が格段に向上
する。特に発熱抵抗素子をトリミングして部分的に酸化
するのを大気雰囲気下で行うので、酸化が効率的に進行
しトリミングに要する時間を短縮することができる。
第1図は本発明の対象となるサーマルヘッド21の断面
図、第2図はトリミングパルスのパルス幅を種々変化し
た際の印加電力と抵抗値変化率との関係を示すグラフ、
第3図は比較的長いパルス幅のトリミングパルスの波形
と発熱素子24の温度の時間変化とを示すグラフ、第4図
は比較的短いパルス幅のトリミングパルスの波形と発熱
素子24の温度の時間変化を示すグラフ、第5図〜第8図
は本実施例の作用を説明するグラフ、第9図はパルス幅
を一定にした際の印加電力と抵抗値変化率との関係を示
すグラフ、第10図はトリミング装置41のブロック図、第
11図はサーマルヘッド21の全体の製造工程を説明する工
程図、第12図はパルス条件設定処理を説明する工程図、
第13図はパルス幅を一定にしたときの印加電力と抵抗値
変化率との関係を示すグラフ、第14図は本発明の一実施
例のトリミング処理を説明するフローチャートである。 21……サーマルヘッド、23……ヘッド基板、24……発熱
素子、41……トリミング装置、44……抵抗値計測部、45
……トリミングパルス発生部、46……目標変化量演算
部、47……校正曲線作成部、49……パルス幅調整部、50
……電力調整部
図、第2図はトリミングパルスのパルス幅を種々変化し
た際の印加電力と抵抗値変化率との関係を示すグラフ、
第3図は比較的長いパルス幅のトリミングパルスの波形
と発熱素子24の温度の時間変化とを示すグラフ、第4図
は比較的短いパルス幅のトリミングパルスの波形と発熱
素子24の温度の時間変化を示すグラフ、第5図〜第8図
は本実施例の作用を説明するグラフ、第9図はパルス幅
を一定にした際の印加電力と抵抗値変化率との関係を示
すグラフ、第10図はトリミング装置41のブロック図、第
11図はサーマルヘッド21の全体の製造工程を説明する工
程図、第12図はパルス条件設定処理を説明する工程図、
第13図はパルス幅を一定にしたときの印加電力と抵抗値
変化率との関係を示すグラフ、第14図は本発明の一実施
例のトリミング処理を説明するフローチャートである。 21……サーマルヘッド、23……ヘッド基板、24……発熱
素子、41……トリミング装置、44……抵抗値計測部、45
……トリミングパルス発生部、46……目標変化量演算
部、47……校正曲線作成部、49……パルス幅調整部、50
……電力調整部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/335 B41J 2/35
Claims (1)
- 【請求項1】薄膜サーマルヘッドの電気絶縁性基板上に
直線状に配列された複数の発熱抵抗素子の抵抗値を調整
すべく発熱抵抗素子に大気雰囲気の下でトリミングパル
スを印加することによってトリミングする方法であっ
て、 発熱抵抗素子に対してトリミングパルスを印加し、該ト
リミングパルスのパルス幅および印加電力と、これに対
応する発熱抵抗素子の抵抗値の低下または上昇の変化と
の相関関係を予め求めておき、 次いで、この相関関係に基づき所要トリミングパルスを
発熱抵抗素子に印加し発熱抵抗素子をアニールして抵抗
値を低下させ、 しかる後、少なくとも一部の発熱抵抗素子に前記相関関
係に基づく所要トリミングパルスを印加し発熱抵抗素子
を部分的に酸化して抵抗値を上昇させることによって発
熱抵抗素子の抵抗値を調整するようにしたことを特徴と
する薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14408390A JP2933235B2 (ja) | 1990-05-31 | 1990-05-31 | 薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14408390A JP2933235B2 (ja) | 1990-05-31 | 1990-05-31 | 薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04164655A JPH04164655A (ja) | 1992-06-10 |
JP2933235B2 true JP2933235B2 (ja) | 1999-08-09 |
Family
ID=15353854
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14408390A Expired - Lifetime JP2933235B2 (ja) | 1990-05-31 | 1990-05-31 | 薄膜サーマルヘッドの抵抗体トリミング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2933235B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101273689B1 (ko) * | 2011-04-26 | 2013-06-12 | 강남대학교 산학협력단 | 저항체의 레이저 트리밍 방법 |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110126477B (zh) * | 2019-06-11 | 2020-03-06 | 山东华菱电子股份有限公司 | 一种薄膜热敏打印头的修阻方法及装置 |
CN110181949B (zh) * | 2019-06-11 | 2020-03-06 | 山东华菱电子股份有限公司 | 一种薄膜热敏打印头的修阻方法及装置 |
CN111251724B (zh) * | 2020-03-24 | 2023-07-25 | 山东华菱电子股份有限公司 | 一种厚膜发热电阻快速老化装置及老化方法 |
-
1990
- 1990-05-31 JP JP14408390A patent/JP2933235B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101273689B1 (ko) * | 2011-04-26 | 2013-06-12 | 강남대학교 산학협력단 | 저항체의 레이저 트리밍 방법 |
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---|---|
JPH04164655A (ja) | 1992-06-10 |
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