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JP2914736B2 - 耐熱疲労性を有する燃焼排気ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔 - Google Patents

耐熱疲労性を有する燃焼排気ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔

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JP2914736B2
JP2914736B2 JP2248924A JP24892490A JP2914736B2 JP 2914736 B2 JP2914736 B2 JP 2914736B2 JP 2248924 A JP2248924 A JP 2248924A JP 24892490 A JP24892490 A JP 24892490A JP 2914736 B2 JP2914736 B2 JP 2914736B2
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圭一 大村
幹雄 山中
富美夫 札軒
秀彦 住友
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Nippon Steel Corp
Toyota Motor Corp
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は燃焼排気ガス浄化装置用の触媒担体に使用さ
れる耐熱ステンレス箔に関わる。さらに詳しくは、耐酸
化性、製造性に優れるのみならず、高温での強さに優れ
るため、触媒のハニカム体に使用した場合その構造上の
耐久性を向上させる効果の大きい耐熱ステンレス箔に関
わる。
〔従来の技術〕
自動車等の燃焼排気ガス浄化装置には、従来セラミッ
クス製のハニカムが使用されてきたが、これを耐熱ステ
ンレスに代替することにより、ハニカム壁の肉厚を減ず
ることが可能で、通気抵抗や熱容量の減少によりエンジ
ン性能の向上や高価な触媒貴金属の節約が実現できるこ
とから、例えば、特開昭50−92286号、同51−48473号、
および同57−71898号の各公報に開示されているごと
く、このハニカム体をFe−Cr−Al系耐熱金属箔で構成す
る技術が提案されている。この場合、該合金に要求され
る特性として、耐酸化性および皮膜の密着性が注目さ
れ、それゆえその素材としては一般に耐酸化性、皮膜の
密着性に優れているために旧来より電熱線や暖房器具の
高温部材として広く使用されてきたFe−Cr−Al系合金を
ベースに、その耐酸化性あるいは触媒の直接担持体であ
る活性アルミナ(γ−Al2O3)コート層との密着性を改
善した箔が用いられている。上記各公報に開示された技
術はいずれも素材の耐酸化性を改善する手段としてYを
利用している。
一方、特開昭58−177437号公報にはFe−Cr−Al系合金
の主として酸化皮膜の剥離を防止するために0.002〜0.0
5重量%のLa,Ce,Pr,Ndからなる群の希土類元素を含む、
総量0.06重量%までの希土類元素を添加した合金、およ
び該合金の安定化のためにZrを、また高温のクリープ強
さの確保のためにNbをそれぞれC,N量との特定関係範囲
内で添加した合金が提案されている。これらの公報では
希土類元素の合計が0.06重量%を越えるような合金で
は、それ以下の場合に比べて耐酸化性がほとんど改善さ
れないばかりか、通常の熱間加工温度では加工すること
が不可能であると述べている。
特開昭63−45351号公報には、同じくFe−Cr−Al系を
ベースとする合金においてYの添加は高価なものになる
として、Ceを排除したLnまたはLaのみを0.05〜0.2重量
%の範囲で添加する事が提案されている。これは、Lnの
添加による熱間加工性の低下原因がCeの存在にあり、さ
らにCeには耐酸化性をも低下させる作用があるためとし
ており、したがってCeだけを排除したLnを添加すれば熱
間加工が可能となり耐酸化性も向上するという知見に基
づくと述べている。しかしながら、Lnは化学的に活性に
富む元素であり、かつ相互の化学的性質が類似している
ために個々の元素の分離は簡単ではなく、Lnの一般的な
混合物であるミッシュメタルに対しては非常に高価なも
のとなる。また、同様にCeのみを分離除去することも価
格の上昇を避け得ない。さらに、これと同一出願人によ
る特開昭63−42356号公報には、耐酸化性と酸化スケー
ルの耐剥離性に優れたFe−Cr−Al系合金としてCe,La,Pr
およびNdを総和で0.01%以上0.30%以下を含む合金が開
示されているが、この合金についての熱間加工性の検討
は全く行われていない。
また、これらの従来技術は主として酸化皮膜の密着性
や耐酸化性については検討されているが、触媒のハニカ
ム体を構成する箔として実用上重要な要求特性である、
ハニカム体の構造上の耐久性に及ぼす箔素材の影響につ
いては十分検討されていない。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところが、例えば、自動車の触媒担体では、通常の使
用環境にあっては箔の耐酸化性が不足しているため触媒
担体が寿命に達することは希であり、むしろ走行状態に
連動した加熱・冷却の繰り返しによる熱疲労によって破
損し寿命に達することがほとんどである。すなわち、加
熱の際にはハニカム体は高温・高速の排ガス流によって
内側から急速に加熱される一方走行風によって外側から
強制冷却されるため、ハニカム内半径方向には急激な温
度勾配が生じ大きな熱歪みが発生する。この熱歪みはハ
ニカム体の半径方向に均一に分布するのではなく最外周
から数層内側に集中する。これは、ハニカム体半径方向
の温度勾配が外層側と内層側で大きく異なっていること
と、箔材料の耐力の温度に対する変化率が温度域によっ
て大きく異なっていることに由来しており、すなわちハ
ニカムを構成するフェライト系ステンレス箔の耐力が著
しく低下し始める温度域とハニカム体の半径方向に最も
急激て温度勾配が発生する温度域と最外周から数層の部
分で合致するためである。また、定速走行の際にも、外
周から走行風による冷却があるため、熱歪み発生の程度
は緩和されるが依然として最外周から数層の部分に熱歪
みが集中する状態が続く。さらに、減速あるいは空走の
ときには比較的低温のガスが流れるためハニカム体は外
側と同時に中側からも冷却され、最外周から数層内側の
部分が最も高温の状態が生じるためやはりこの部分に熱
歪みが集中する。
すなわち、触媒担体のハニカム体はこうした加熱・冷
却の繰り返しによって、その内側に発生する熱歪みの蓄
積が原因でセルの潰れや担体の極度な変形等の構造上の
寿命に達する場合がほとんどである。こうした場合には
箔の高温での耐力が重要であり、とりわけ上述したよう
にハニカム体の中の急峻な温度勾配発生部分と合致する
温度領域、すなわち本発明者らの測定によると600〜850
℃の温度域の箔素材の耐力が高く、かつ600℃以上での
温度による耐力の低下の度合が可能な限り小さいこと
が、ハニカム体の構造上の寿命を向上させるのに有効で
あることが明らかになつた。
さらに、例えば、自動車のように広く一般に供するに
あたっては、まず第一に安価でかつ安定供給可能である
ことが望まれ、したがって素材しては成分コストが低い
ことはもとより、従来のステンレス鋼の大量生産工程に
て比較的容易に製造でき、製造コストを低く抑えること
が重要である。
また、体積に対して表面積が著しく大きい箔の正体で
高温の排ガスに曝されるため、当然耐酸化性にも優れて
いなければならない。
本発明者らは、このような現状の課題を踏まえ、上述
した特性をすべて具備するような触媒担体の構成箔を開
発すべく種々検討し、本発明に至ったのである。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち、まず箔の耐酸化性を向上させるためには、
0.01%を超えるYの添加が有効で、Ln(Ce,La,Pr、およ
びNd)の場合に比べ飛躍的にその耐酸化性が向上するこ
とを見いだした。
さらに、上述したように加熱・冷却に伴う触媒担体の
構造上の耐久性向上にはそのハニカム体を構成する箔の
600〜850℃での耐力の向上が必要であり、この目的から
種々検討の結果、Ndおよび/またはTaの添加あるいはMo
および/またはWの添加が有効であり、これらのうち特
にTaの添加が有効であることに加えて、さらにTaおよび
/またはNdの添加と同時にMoおよび/またはWを添加す
ると特に800℃以上の高温側の耐力がさらに向上するこ
とを見いだした。
さらに、この種のフェライト系ステンレス鋼の製造上
の問題点である熱延板の靱性を調査した結果、Taあるい
はNbを添加することで靱性を著しく改善することが可能
で、通常のステンレス鋼の製造工程で十分大量生産可能
なレベルにまでその性質を引き上げ得ることが明らかと
なった。
おな、こうした種々の検討に際し、Ti,ZrおよびVに
ついてもその影響を調査したが、Tiは高温の耐力をほと
んど増加させず、過剰の添加はかえって熱延板の靱性を
低下させることが明らかとなり、Zrは比較的微量な範囲
の添加で一旦は高温の耐力を僅かに増加させるものの、
箔の耐酸化性を著しく低下させかつ熱延板の靱性をも損
なうことが判明した。さらに、Vには高温の耐力向上効
果も熱延板の靱性向上効果も認められないことが明らか
になった。
すなわち、本発明は以上のような検討結果をもとに、
高温の排ガス中にあっても箔の耐酸化性や皮膜の密着性
に優れることは当然として、これをさらに改善するとと
もに、触媒担体の構造上の耐久性向上にも効果を持ち、
併せて熱間加工性や熱延板の靱性等の製造性に優れた安
価に供給可能な耐熱ステンレス箔を提供することを目的
に達成されたものである。
しかして、その具体的な手段は以下のようなものであ
る。
重量%で Y:0.01%超0.5%以下 Al:4.5%以上6.5%以下 Cr:13%以上25%以下 C:0.025%以下 N:0.02%以下 C+N:0.03%以下 に加えて Mo:1%以上4%以下又はW:1%以上4%以下の少なくと
も一種をMo+W:4%以下の範囲内で含み、かつ残部Feお
よび不可避的不純物からなることを特徴とする燃焼排気
ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔であり あるいは、重量%で Y:0.01%超0.5%以下 Al:4.4%以上6.5%以下 Cr:13%以上25%以下 C:0.025%以下 N:0.02%以下 C+N:0.03%以下 に加えて、 Ta:(181・C%/12+181・N%/14)×1.5以上3%以
下、又は Nb:(93・C%/12+93・N%/14)×0.8以上3%以下 の少なくとも一種をTa+Nb:3%以下の範囲で含み、かつ
残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
燃焼排気ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔。であっ
て、さらに必要に応じて、重量%でMo:4%以下又はW:4
%以下の少なくとも一種を添加することによって、特に
高温側での耐力をさらに向上できるのである。
〔作用〕
次に本発明における成分の限定理由並びにその作用に
ついて詳しく説明する。なお、本明細書中の化学組成は
すべて重量%である。
(1)Y: Yは箔の異常酸化発生に対する抵抗を向上させる効果
があり、箔の異常酸化発生までの寿命は、Yが0.01%を
超えるとそれ以下の場合に比べて著しく向上するが、0.
5%を超えると再度低下し始める。したがって、その範
囲は0.01%超0.5%以下に限定される。
(2)Al: Alは本発明にあっては耐酸化性を確保する基本元素で
あって、4.5%未満では箔の場合、排ガス中での酸化皮
膜の保護性が悪く、たやすく異常酸化を発生するため、
触媒の担体としてその使用に耐えない。一方、6.5%を
超えて含まれると、熱延板の靱性が極度に低下し製造性
が損なわれることに加え、箔の熱膨張係数が大きくな
り、触媒担体として使用した場合には加熱・冷却の繰り
返しによる熱疲労が大きくなる。したがって、本発明に
あってはAlは4.5%以上6.5%以下がその範囲になる。
(3)Cr: Crはステンレス鋼の耐食性を確保する基本元素であ
る。本発明にあっては、耐酸化性の主体はAl203皮膜に
あるが、Crが不足するとその密着性や保護性が低下す
る。一方、Crが過剰になると熱延板の靱性が低下するた
め、その範囲は13%以上25%以下となる。
(4)Ta: Taは本発明にあっては箔の高温での耐力を向上させ、
触媒担体の構造上の耐久性を改善するために重要な添加
元素である。Taの作用は鋼中のCおよびNと結合して炭
窒化物を形成し、これがいわゆる析出強化作用を及ぼす
ことに加えて、さらに余剰の分が素地に固溶し固溶強化
作用を及ぼすために高温の耐力が改善されるのである。
この際析出強化作用はその効果は大きいものの、例え
ば、750℃を超えるような温度域での長時間使用中に次
第に析出物が凝集粗大化することにより金属組織の変化
が生じ、その効果が低下する場合がある。一方、固溶強
化作用は析出強化作用ほどは効果が大きくはないが、長
時間使用中においても金属組織の変化に起因する上述し
た作用効果の低下がほとんどない。したがって、Taはそ
の析出強化作用が上記のような現象により失われたとし
ても、なおかつ固溶強化作用を持続させるべく、C,Nの
量に対して幾分過剰に添加する必要がある。このような
観点から本発明者らが検討したところでは、(181・C
%/12+181・N%/14)×1.5以上の添加が必要である。
ところが、Ta量が極度に過剰になるとLaves相が析出
し、鋳造後の鋼塊が割れやすくなるほか、高温の耐力も
低下し始める。本発明のC,Nの量の範囲ではその量は3
%である。このような事情によりTaの添加範囲は下記の
ようになる。
Ta:(181・C%/12+181・N%/14)×1.5以上3%以下 さらに、TaはC,Nを固定するため熱延板の靱性を向上
させる効果があるが、上記添加範囲であればこの効果は
十分もたらされるのである。
(5)Nb: Nbは本発明にあっては、Taと同様、箔の高温での耐力
を向上させ、触媒担体の構造上の耐久性を改善するため
の重要な添加元素である。Nbの作用はTaと同様の理由に
より析出強化作用と固溶強化作用の両者により高温の耐
力を改善する。この場合にも、Taの場合と同様にC,Nと
の量的関係においてその添加範囲が限定され、少なくと
も、 (93・C%/12+93・N%/14)×0.8以上の添加が必
要である。
一方、NbはTaと同様、極度に過剰に添加されるとLave
s相を形成しTaの場合と同様の弊害を引き起こす。した
がって、上限値はこの点から制限され、本発明者らの検
討によれば3%以下である。このような事情によりNbの
添加範囲は以下のようになる。
Nb:(93・C%/12+93・N%/14)×0.8以上3%以下 さらに、Nbは熱延板の靱性を大幅に改善する効果があ
るが、上記添加範囲であればこの効果も十分もたらされ
るのである。なお、Ta+Nbの場合は、その上限を同様の
理由で3%とする。
(6)Mo,W: MoおよびWは本発明にあっては、特に高温の耐力を向
上させ、触媒担体の構造上の耐久性を改善するための重
要な添加元素である。MoおよびWの作用は鋼中の素地に
固溶し固溶強化作用により高温の耐力を改善することに
ある。その際MoおよびWはかなりの量まで有害な析出相
を形成せずに固溶し、大きな強化作用が得られる。ま
た、高温長時間の加熱に対しても金属組織変化がほとん
ど生じないため、強化作用の経時変化がほとんど起こら
ない。
一方、上述したように、本発明にあっては、高温の耐
力はTaおよび/またはNbの適量添加によって向上できる
のであるが、Ta,Nbの強化作用のうち析出強化による効
果は高温での使用中に次第に減少する場合があり、また
過剰の添加は逆に高温耐力を低下させる。しかしなが
ら、Moおよび/またはWは、Taおよび/またはNbの存在
下にあってもその効果がなんら影響されないのに加え
て、かなりの量まで有害な析出相を形成することなく素
地に固溶し大きな固溶強化効果が得られる。すなわち、
Taおよび/またはNb添加により高温強度を改善した合金
に、さらにMoおよび/またはWを添加することにより高
温における耐力をさらに一段向上させることが可能とな
るのである。
こうした観点から、Moおよび/またはWの添加量が決
定され、本発明者の検討結果によれば、(1)Nbおよび
/またはTaを添加しない時には、十分な固溶強化作用を
得るためにはMoの添加量は1%以上必要であり、またW
の場合も1%が下限値となり、(2)Nbおよび/または
Taを添加した時には、十分な固溶強化作用を得るための
Moおよび/またはW添加の下限値は存在しない。
一方、Mo,Wともにそのほとんどが固溶するため添加量
の増加とともに金属素地が強化されるのであるが、過剰
に添加した場合には靱性が低下する。したがって、Moお
よびWの添加量はこの点から制約され、上限値は両者と
もに4%である。また、MoとWを同時に複合添加しても
同様の効果が得られるが、この際の上限値はMo+Wで4
%以下が望ましい。
(7)C,N: C,Nはともに本発明にあっては、熱延板の靱性を著し
く低下させる。この悪影響をTaまたはNbの作用によって
抑えることができるが、Cが0.025%超える場合、また
はNが0.02%超える場合、もしくはC+Nの合計量が0.
03%超える場合には靱性を回復させることが困難にな
る。したがって、この点からは、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、でかつ C+N:0.03%以下、 がその範囲となる。
また、C,Nは炭窒化物として析出し、これが析出強化
作用により高温の耐力を向上するという望ましい作用効
果をも併せるものであるが、上述したようにこれは析出
物が粗大化するとその効果が低下する。C,Nが多量に含
まれる場合には、たとえTaおよび/またはNbが上記下限
値以上添加されていても、この析出物の粗大化が促進さ
れ強化効果の減少速度が大きくなる。すなわち、C,Nが
多量に含まれる場合には、炭窒化物の平均粒子サイズが
大きくなるのであって、析出強化に有効な均一微細な析
出形態とはなり難いのである。この点からC,Nの含有量
は制限され、本発明にあっては、C:0.025%以下、N:0.0
2%以下でかつ、C+N:0.03%以下程度である。
以上の事情により、結局C,Nの範囲は、 C:0.025%以下、 N:0.02%以下、でかつ C+N:0.03%以下、となる。
(8)その他の不純物: Mn: Mnは本発明にあっては、特に極初期の酸化皮膜中に濃
化し、以後のAl2O3皮膜の形成に害を及ぼし皮膜に構造
的欠陥を残存させる一因となるので0.3%以下に制限す
ることが望ましい。
Si: Siは耐酸化性を向上させる一方、熱延板の靱性を大き
く低下させる元素である。本発明のような高Alフェライ
ト系ステンレス鋼は本来耐酸化性に優れているため、靱
性の点からSiは少量に抑えることが望ましく、その上限
値は0.5%である。
P: Pにはフェライト系ステンレス鋼の靱性を低下させる
作用があるため、本来的な性質として靱性に劣るFe−Cr
−Al系ステンレスにあってはこの点から添加量は制限さ
れ、本発明にあってはその量は0.1%である。また、こ
のような範囲のPの添加は、耐酸化性に対し悪影響を及
ぼさない。
S: Sは耐酸化性を低下させるため、本発明にあっては0.
003%以下に抑えることが望ましい。
このような構成をもつ本発明Fe−Cr−Al系合金は、通
常のフェライト系ステンレス鋼の量産工程と同様の溶
解、熱間圧延、冷間圧延の工程に、必要に応じて適宜焼
鈍工程を組み合わせることによって50μm程度の箔にま
で製造可能である。また、こうして製造された箔、およ
びこの箔を用いて構成された排ガス浄化触媒担体および
該触媒装置は、高温の燃焼排ガス雰囲気中でも異常酸化
の発生する抵抗が著しく大きいのみならず、箔の高温で
の耐力が高いためハニカム体としての熱疲労に対する抵
抗が大きく、加熱・冷却を繰り返す使用条件にあっても
その構造上の耐久性に優れているのである。
〔実施例〕
次に、実施例により本発明の効果をさらに詳しく説明
する。
実施例1 第1表に本発明の実施例および比較例の合金の化学成
分を示す。これらの鋼はいずれも真空高周波誘導炉によ
って25kg溶解し、インゴット鋳造した後、1200℃にて1
時間保定後直ちに熱間圧延を開始し厚さ4mmにまで圧延
した後、自然放冷した。
この際、B10には圧延中割れの発生が認められ、B6お
よびB8には仕上がり後の板う観察したところ、比較的軽
微ではあるが、耳割れおよび表面割れが認められた。他
の鋼は実施例、比較例ともに熱間圧延にて特に問題は発
生していない。これらの結果を第2表の熱間圧延性の欄
に熱延板に割れの発生したものは×印で、問題のなかっ
たものは○印でまとめて示す。
次に、これらの熱延板の靱性を調べた。靱性の評価
は、JIS規格に準拠したサブサイズ(厚み:2.5mm)のV
ノッチシャルピー試験片を圧延方向と平行に採取し衝撃
試験を行い、一試験温度における衝撃吸収エネルギーの
3点の平均値が3kgm/cm2(vT2:℃)を超える温度で評
価した。第2表の熱延板靱性の欄にこれらの熱延板調査
結果を示す。ここで、vT2が100℃未満であるものを○印
で、vT2が100℃以上であるものを×印で示す。なお、○
印のものは通常のステンレス鋼板の工場生産工程での大
量生産が可能であるものであり、一方、×印のものは事
実上、製造が困難かあるいは製造可能であっても著しい
製造コストアップを引き起こすものである。実施例の合
金はいずれも製造性良好である。
さらに、これら熱延板を1200℃で15分間焼鈍した後、
厚さ3mm、幅30mm、長さ100mmの引っ張り試験片を加工
し、600℃,700℃および800℃の温度域で引張試験を行っ
た。その結果を第2表の引張試験の欄に示す。高温強度
化の達成判定基準は、以下のようにした。すなわち、60
0℃での耐力が20kgf/mm2以上でかつ700℃での耐力が11k
gf/mm2以上でかつ800℃での耐力が4.5kgf/mm2のものを
○印で、それ以外のものを×印で示した。なお、耐力は
各3実験値の平均値とした。実施例の合金はいずれも良
好な高温耐力を示す。
実施例のうちA5〜8と比較例のうちB5〜10について、
高温長時間使用中における強度の経時低下の有無、すな
わち高温組織安定性を調査するために、上記と同様にし
て作製した板状の引張試験を850℃にて1000時間保持し
た後引張試験を施した。得られた結果を第3表にまとめ
た。高温耐力の達成基準は上記と同様である。Moおよび
/またはW添加により高温強度化したA5〜8の合金は高
温組織安定性に優れていることが分かる。
実施例と比較例B1〜5,B7およびB9は靱性が良好であ
り、熱間圧延後、脱スケール、冷間圧延(一部の合金は
温間圧延した。)、焼鈍を繰り返し板厚50μm程度の箔
にした。比較例B6,B8およびB10は靱性が悪いため、上記
工程中では温間にて注意深く圧延した。
これらの箔材から、50μm、幅20μm、長さ25mmの試
験片を採取して、1150℃大気中雰囲気で酸化試験を行っ
た。この際、該温度で25時間加熱後放冷する試験を各箔
材に異常酸化が発生するまで行った。これらの結果を第
2表の異常酸化寿命の欄に示す。異常酸化寿命が200時
間以上の箔材を○印で、200hr未満の箔材を×印で示
す。本実施例の各鋼箔はいずれも200時間以上の長寿命
を示す。
実施例2 第1表中、本発明例としてA3,A6およびA23、また比較
例としてB1およびB5の合計5種類の厚さ50μmの箔を巾
97mmの鋼帯とし、これに周期3.5mm、振幅3.2mmの正弦波
状の付加加工したもの(波板)を、この加工なしの箔
(平板)帯と重ね合わせて巻き込み、見かけの直径42mm
程度、長さ97mm程度のハニカム状円筒体を作製し、波板
/平板接合部に適宜市販のNi基ロウ材粉末を付着せしめ
たものを、3×10-4Torr程度の真空中にて加熱し、ロウ
付処理した。
こうして得られたロウ付後のハニカム構造体を炉芯管
の内径45mmの横型炉状加熱炉に設置し、炉芯管の一方の
端からエンジン排ガスを流入量10l/min導入しつつ1100
℃に加熱し、25時間ごとに取り出すと同時にハニカム体
のセル変形、箔切れ等の不具合発生状況の有無を目視に
て行う操作を8回(200時間に相当する)繰り返した。
この際エンジン排ガスは排気量2000ccの4気筒のガソ
リンエンジンを回転数1500rpm負荷5kg・mの運転条件下
で空燃比13にて発生させ、150℃に保温した導管より加
熱炉内に導入した。得られた結果を第4表に示す。試験
後、異常酸化が発生しなかったハニカム体を○印で示
し、以上酸化が発生したものについては×印で示す。ま
た、試験後ハニカム構造体上の不具合のないものについ
ては○印で、不具合のあったものについては×印で示
す。実施例のハニカム体には、異常酸化およびハニカム
体の不具合は生じていない。したがって、実施例のハニ
カム体はいずれも異常酸化発生に対する抵抗力に優れる
のみならず、構造耐久性にも優れていることが分かる。
実施例3 第5表に示す成分の箔を100kg真空高周波炉にて溶
解、鋳造後、1200℃に加熱し熱間にて30%の圧延後空冷
し、さらに1150℃にて熱間圧延して厚さ2.5mmの熱延板
を得た。
さらに、これをショットブラスト、酸洗、冷間圧延、
焼鈍、脱脂、酸洗、箔圧延、脱脂、スリット、箔圧延、
真空焼鈍の手順にて厚さ50μm、巾97mmの箔コイルを作
製した。
この箔を前記したのとほぼ同様の手法により、直径10
0mm、長さ97mmの円筒状ハニカムとし、さらにこれを内
径100mm、長さ97mm、板厚1.5mmのフェライト系ステンレ
ス円筒状外筒内に装着後、箔同士および箔と外筒間をロ
ウ付接合してハニカム触媒担体とした。次に、前記エン
ジンの排気ガス経路に装着し、エンジンベンチ試験に供
した。エンジン試験は、実施例2のエンジンにて、触媒
担体入り側のガス温度を900℃とし9分間エンジンを運
転した後、エンジンを停止し強制的に冷却することによ
り、触媒担体温度が100℃以下になるまで冷却する加熱
・冷却のサイクルを1000回繰り返した。得られた結果を
第6表に示す。試験後、ハニカム体のガス入り側端面に
セルの潰れ、箔切れ、ガス流方向への端面のズレ等の不
具合の発生しなかったものについては○印で示し、不具
合の発生したものについては×印で示す。実施例のハニ
カム体においても、わずかなセル変形は生じたが、その
他の激しい損傷は生じなかったのに対し、比較例におい
ては、セルの潰れ、箔切れおよびガス流方向への端面の
一部の飛び出し等大きな損傷を受けていた。したがっ
て、実施例の箔材のハニカム体はいずれも耐構造耐久性
に優れていることが分かる。
〔発明の効果〕 実施例からも明らかなごとく、本発明によるFe−Cr−
Al系合金は、熱間での加工性および熱延板靱性が良好で
箔等の製造性に優れているため製造コストをより低く抑
えることが可能であり、かつ耐酸化性に優れていること
はもとより異常酸化発生に抵抗力に優れるとともに、高
温域における耐力が高いことから耐熱疲労性に優れ、さ
らに合金箔のロウ付けによるハニカム構造体としても排
ガス中での耐酸化性および形状変化等に対する構造耐久
性に優れている。
したがって、本願発明のFe−Cr−Al系合金は排気ガス
浄化用の箔として好適であり、とりわけ自動車の排気ガ
ス浄化装置の触媒支持体として好適である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山中 幹雄 神奈川県相模原市淵野辺5―10―1 新 日本製鐵株式会社第2技術研究所内 (72)発明者 札軒 富美夫 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (72)発明者 住友 秀彦 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式会社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭63−266044(JP,A) 特開 平1−159384(JP,A) 特開 平3−166337(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で Y:0.01%超0.5%以下 Al:4.5%以上6.5%以下 Cr:13%以上25%以下 C:0.025%以下 N:0.02以下 C+N:0.03%以下 に加えて、 Ta:(181・C%/12+181・N%/14)×1.5以上3%以下 又は Nb:(93・C%/12+93・N%/14)×0.8以上3%以下 の少なくとも一種をTa+Nb:3%以下の範囲で含み、かつ
    残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする
    燃焼排気ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔。
  2. 【請求項2】重量%で Y:0.01%超0.5%以下 Al:4.5%以上6.5%以下 Cr:13%以上25%以下 C:0.025%以下 N:0.02以下 C+N:0.03%以下 に加えて、 Mo:1%以上4%以下又はW:1%以上4%以下の少なくと
    も一種をMo+W:4%以下の範囲内で含み、かつ残部Feお
    よび不可避的不純物からなることを特徴とする燃焼排気
    ガス浄化触媒担体用耐熱ステンレス箔。
  3. 【請求項3】さらに重量%で Mo:4%以下又はW:4%以下の少なくとも一種をMo+W:4%
    以下の範囲内で含む請求項1記載の燃焼排気ガス浄化触
    媒担体用耐熱ステンレス箔。
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