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JP2899871B2 - チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの付加体化合物 - Google Patents

チタニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの付加体化合物

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Publication number
JP2899871B2
JP2899871B2 JP21108496A JP21108496A JP2899871B2 JP 2899871 B2 JP2899871 B2 JP 2899871B2 JP 21108496 A JP21108496 A JP 21108496A JP 21108496 A JP21108496 A JP 21108496A JP 2899871 B2 JP2899871 B2 JP 2899871B2
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JP
Japan
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titanyl phthalocyanine
crystal
butanediol
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present
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一雅 渡邉
明彦 伊丹
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Konica Minolta Inc
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Konica Minolta Inc
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Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Nitrogen Condensed Heterocyclic Rings (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子写真感光体に関
する。特にプリンタなどに使用され、LED光、半導体
レーザ光に対して有効な感光体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の発達は著しいものがあ
り、コンピュータからのアウトに使うプリンタやデジタ
ル複写機の需要が高まっている。これらの機器は光源に
半導体レーザやLEDを使う関係で赤から近赤外光に感
応する感光体が必要である。これには従来のセレン系な
どの無機感光体では不十分であり、フタロシアニン類を
分散した有機感光体(OPC)が数多く検討されてい
る。
【0003】その中でもチタニルフタロシアニン、特に
27.2度と9.6度にピークを持つことが特徴のY型
チタニルフタロシアニンは0.94と言う高い光量子効
率を有する優れた素材である(Japan Hardc
opy 89,論文集103,(1989))。
【0004】しかしながら、この物は湿度によって感度
が多少変動する欠点がある。
【0005】これではON−OFFの2値しかないプリ
ンタには使用できても、より高度の画像を望み、露光量
に応じて階調を出そうと言う試みに対しては好ましい事
ではない。さらにY型の欠点としてこの物が準安定結晶
であり、安定型結晶に転移しやすい事が上げられる。熱
による結晶転移は約250℃であり、感光体にしてしま
えば実用上問題は無い。しかし、感光体製造時の分散液
中では溶媒の種類によっては低温でも結晶転移を起こ
し、塗布液の寿命が短くなると言った問題を生じる。
【0006】塗布分散液の寿命が短くなると言う事はデ
ィッピング塗布に於いて、顔料が感光体として充分消費
尽される前に廃棄される事を意味する。つまりコスト高
になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た事情に鑑み、高感度かつ感度の湿度依存性のない感光
体を提供することにある。本発明の第二の目的は有機溶
媒に対して安定で、結晶転移を生じにくい分散液を与え
るチタニルフタロシアニン結晶を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は特定のチタニル
フタロシアニン結晶を含む感光体によって達せられた。
【0009】特定のチタニルフタロシアニン結晶とはチ
タニルフタロシアニンと2,3−ブタンジオールの付加
体の事である。この中で好ましいものはチタニルフタロ
シアニンと2,3−ブタンジオールの付加体でかつCu
Kαに対するX線回折スペクトルにおいてブラッグ角
(2θ±0.2)の少なくとも9.5,26.3度にピ
ークを有する結晶である(P型結晶と名付ける)。さら
に好ましくは2,3−ブタンジオールの付加体で少なく
とも8.4,9.5,12.2,15.2,19.0,
23.8,26.3度に回折ピークを有する結晶の事で
ある。
【0010】付加体は後述の合成例にその一例を示した
ようにチタニルフタロシアニン類と1,2−ブタンジオ
ールから成り、加熱されると2,3−ブタンジオールを
放出することからそれと判明する。また付加体である証
拠として昇温速度10℃/分で熱分析(TG)を測定す
ると2,3−ブタンジオールの沸点より50℃以上高い
温度で重量減少が見られるなどの特色があり、単なる混
合と区別される。本発明のチタニルフタロシアニン−
2,3−ブタンジオール付加体のうち、特に好ましいも
のは2,3−ブタンジオール/チタニルフタロシアニン
=1/2付加体である。本発明の付加体の合成には色々
な手段が考えられるがアモルファス化したチタニルフタ
ロシアニン類を2,3−ブタンジオールの存在下に処理
するのが好ましい。処理の方法は2,3−ブタンジオー
ル単独にチタニルフタロシアニンをそのまま混合させて
もよいし、他の溶媒で希釈してもよい。溶媒としてはメ
チルエチルケトン、シクロペンタノンなどのケトン類、
ブチルメタアクリレートなどのエステル類、テトラヒド
ロフランなどのエーテル類、オルトジクロルベンゼンな
どの芳香族などをあげることができる。温度は2,3−
ブタンジオールが液体で存在する広い範囲で処理可能だ
が室温から190℃の範囲が好ましい。結晶変換操作と
しては一般の合成化学実験およびそれらを工業化したも
のに見られるような溶媒中での単なる撹拌の他、フタロ
シアニン類で良く見られるようにミリングなどの機械的
シェアを掛けながらの操作も本発明に含まれる。中間体
であるチタニルフタロシアニン類のアモルファス化は硫
酸に溶かして水に注ぐ(アシッドペースト処理)、ある
いは機械的粉砕、ミリングなど公知の方法を採用するこ
とができる。
【0011】チタニルフタロシアニン類は次の一般式で
表される。
【0012】式中 X1〜X4は水素原子、ハロゲン原
子、アルキル基、あるいはアルコキシ基を表し、n,
m,l,kは0〜4の整数を表す。
【0013】
【化2】
【0014】上記のX線回折スペクトルは次の条件で測
定した。
【0015】 X線管球 Cu 電圧 40.0 kV 電流 100 mA スタート角度 6.00 deg. ストップ角度 35.00 deg. ステップ角度 0.020deg. 測定時間 0.50 sec. 本発明のチタニルフタロシアニン付加体を含む感光体は
感度もよく、かつ湿度依存性もない優れたものである。
この優れた性質を示す原因については良く分からない。
X線回折スペクトルで現される結晶構造が原因か、また
は付加している2,3−ブタンジオールが原因か、その
いづれかであろう。付加している2,3−ブタンジオー
ルが主原因との考えに立てば次のように説明できるであ
ろう。
【0016】藤巻は高感度な素材チタニルフタロシアニ
ンのY型結晶が加熱または乾燥窒素雰囲気によって脱水
処理されると感度が低下することを見出した。
【0017】これは常温常湿度で水を再吸収すると再び
感度が回復する事からY型結晶は水を吸着した結晶であ
り、水分子が光が当たって生じたチタニルフタロシアニ
ン励起子からのホールと光電子の解離を幇助し、それが
Y型チタニルフタロシアニンの高感度の一原因ではない
かと推測している(Y.Fujimaki:IS&T′
s7th International Congre
ss on Advance in Nonimpac
t Printing Technologies,P
aper Summaries,269,(199
1))。その考えからすれば本発明の結晶はまさに水の
代りに2,3−ブタンジオールが付加したものと言えよ
う。水と違って離れにくいのは沸点が高い事もさりなが
ら2,3−ブタンジオールだと同一分子中にOH基が二
つあるため二つの吸着点から同時に離れる確率は一つの
吸着点しかない化合物のそれより遥かに低くなっている
ためと推測される。
【0018】次に本発明のチタニルフタロシアニンの製
造方法について具体的に例示する。
【0019】(合成例1) (チタニルフタロシアニン−アモルファス品の合成)
1,3−ジイミノイソインドリン;29.2gをオルト
ジクロルベンゼン200mlに分散し、チタニウムテト
ラ−n−ブトキシド;20.4gを加えて窒素雰囲気下
に150〜160℃で5時間加熱した。放冷後、析出し
た結晶を濾過し、クロロホルムで洗浄、2%塩酸水溶液
で洗浄、水洗、メタノール洗浄して、乾燥の後26.2
g(91.0%)の粗チタニルフタロシアニンを得た。
このものの結晶型を図1に示す。ついでこの粗チタニル
フタロシアニン20.0gを5℃以下で濃硫酸200m
l中で1時間撹拌して溶かし、これを20℃の水4リッ
トルに注ぎ込む。析出した結晶を濾過し、水で充分に洗
ってウエットペースト品180gを得た。このものを乾
燥し、粉末とした結晶型は図2に示すごとく、アモルフ
ァス状態である。
【0020】(本発明のチタニルフタロシアニン結晶の
作成)フラスコにオルトジクロルベンゼン100mlと
2,3−ブタンジオール50mlをとり、これに上記の
チタニルフタロシアニン−アモルファス乾燥粉末8gを
加えた。ついでこの混合物を室温で10時間撹拌した。
一夜放置後、これをメタノール800mlに注いで結晶
を析出させた。濾過し、メタノールで洗浄し、乾燥して
目的とするチタニルフタロシアニン結晶8.4gを得
た。図3に示す。ブラッグ角2θ;8.4,9.5,1
2.2,15.2,19.0,23.8,26.3度に
ピークを有する(P型結晶)である。
【0021】(合成例2)フラスコにオルトジクロルベ
ンゼン100mlと2,3−ブタンジオール50mlを
とり、これに実施例1の方法で得た、チタニルフタロシ
アニン−アモルファス乾燥粉末8gを加えた。ついでこ
の混合物を7時間加熱還流させた。放冷後、これをメタ
ノール800mlに注いで結晶を析出させた。濾過し、
メタノールで洗浄し、乾燥して目的とするチタニルフタ
ロシアニン結晶8.4gを得た。図4に示す。ピークの
強度比率は異なるものの実施例1と同様にブラッグ角2
θ;8.4,9.5,12.2,15.2,19.0,
23.8,26.3度にピークを有する(P型結晶)で
ある。
【0022】比較のため既存のチタニルフタロシアニン
Y型結晶を作った。
【0023】比較合成例(1) (Y型チタニルフタロシアニン結晶の作成)ビーカにメ
チルエチルケトン60mlと水20ml、合成例1で述
べたチタニルフタロシアニン−ウエットペースト品40
g(固形分11%)を加え、室温にて8時間撹拌、一夜
放置した。この粘稠な混合物にメタノールを500ml
加えて結晶を析出させる。濾過し、メタノールで洗浄
し、乾燥して目的とするチタニルフタロシアニン結晶
4.2gを得た。このものの結晶型を図5に示す。ブラ
ッグ角2θ;9.5度と27.2度に著しく発達したピ
ークがあるのが特徴である(Y型結晶)。
【0024】次に本発明のチタニルフタロシアニン結晶
の基本的性質を調べるためにTGおよびDSCを測定し
た。
【0025】TG(昇温速度10℃/分)を図6に示
す。
【0026】比較合成例(1)のY型チタニルフタロシ
アニンは水の分子量が小さいためわずかではあるが10
0℃付近に重量減少が観測される。これに対して合成例
1,2に記載した本発明のP型チタニルフタロシアニン
は重量減少が認められるのは共に345℃付近であり、
2,3−ブタンジオールの沸点184℃を大きく上回っ
ている。2,3−ブタンジオールが単にチタニルフタロ
シアニン粒子の側に存在しているだけでなく、何らかの
力である種の結合(吸着)をしていることを表す。なお
345℃付近における重量変化量は実施例1の物で約
7.3%、実施例2の物で約7.5%であった、2,3
−ブタンジオールがチタニルフタロシアニンに対して1
/2モル付加したと想定した計算値7.2%によく一致
している。
【0027】DSC(昇温速度30℃/分)を図7に示
す。
【0028】比較合成例(1)のY型チタニルフタロシ
アニンは105℃付近に水の脱着と見られる吸熱ピーク
が見られる。これに対して合成例1,2の本発明のP型
チタニルフタロシアニンは共に400℃付近に吸熱ピー
クがありTG同様に沸点を大幅に越えている。
【0029】次に本発明の感光体の構成について記載す
る。
【0030】本発明の感光体は上記のチタニルフタロシ
アニン化合物のほかに更に他のキャリア発生物質を併用
してもよい。具体的には本発明のものと事なる結晶型を
有するチタニルフタロシアニン結晶、例えばA,B,Y
型を上げることができる。
【0031】その他、バナジルフタロシアニン、X型無
金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン、ε型
銅フタロシアニンなどの各種フタロシアニン類、更には
アゾ顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料などの縮
合多環顔料を上げることができる。
【0032】本発明の感光体ではキャリア輸送物質を併
用することができる。使用されるキャリア輸送物質は特
に制限はないが代表的なものとして、オキサゾール誘導
体、オキサジアゾール誘導体、スチリル化合物、ビドラ
ゾン化合物、オキサゾロン化合物、ピラゾリン誘導体、
アミノスチルベン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、
ポリ−N−ビニルカルバゾールなどをあげることができ
る。
【0033】代表的な物としては次の化合物をあげるこ
とができる。
【0034】
【化3】
【0035】
【化4】
【0036】
【化5】
【0037】
【化6】
【0038】
【化7】
【0039】
【化8】
【0040】本発明の感光体の感光層を構成するために
は前述のキャリア発生物質をバインダ中に分散せしめた
層を導電性支持体上にもうければよい。或いはこのキャ
リア発生物質とキャリア輸送物質とを組合せ、積層型の
いわゆる機能分離型感光層を設けてもよい。これら単
層、積層各々の感光層と支持体との間に接着、あるいは
導電性支持体からのフリーエレクトロンの注入防止を目
的として中間層をもうけたり、更には表面保護層を設け
てもよい。
【0041】キャリア発生層およびキャリア輸送層の形
成には使用される溶媒あるいは分散媒としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、トルエ
ン、ジクロルベンゼン、ジクロルメタン、ジクロルエタ
ン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル
などを上げることができる。
【0042】キャリア発生層もしくはキャリア輸送層の
形成にバインダを用いる場合には任意のものを用いるこ
とができるが、特に疎水性の電気絶縁性フィルムを形成
する高分子重合体が好ましい。以下にその例を述べるが
勿論これらに限定されるものではない。
【0043】 1)ポリカーボネート 2)ポリエステル 3)メタクリル樹脂 4)アクリル樹脂 5)ポリ塩化ビニル 6)ポリ塩化ビニリデン 7)ポリスチレン 8)ポリピニルアセテート 9)スチレン−ブタジエン共重合体 10)塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体 11)塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 12)塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体 13)シリコーン樹脂 14)シリコーン−アルキッド樹脂 15)フェノール−ホルムアルデヒド樹脂 16)スチレン−アクリル共重合樹脂 17)スチレン−アルキッド樹脂 18)ポリ−N−ビニルカルバゾール 19)ポリビニルブチラール 20)ポリカーボネートZ樹脂 これらのバインダは単独、或いは2種以上の混合物とし
て用いることができる。
【0044】またバインダ100に対するキャリア発生
物質の割合は10〜600wt/wt、好ましくは20
〜400wt/wt、キャリア輸送物質は10〜400
wt/wtとするのがよい。
【0045】この様にして形成されるキャリア発生層の
厚さは0.05〜30μmである事が好ましい、特に積
層の場合は0.5〜5μmが好ましい。キャリア輸送層
の厚みは2〜100μm、好ましくは5〜30μmであ
る。
【0046】さらに上記感光層には感度の向上、残留電
位および反復使用時の疲労低減を目的として一種または
二種以上の電子需要物質を含有せしめることができる。
ここに用いることができる電子需要物質とは例えば無水
マレイン酸、テトラクロル無水フタル酸、テトラシアノ
エチレン、テトラシアノキノンジメタン、ジニトロベン
ゼン、ニトロベンゾニトリル、クロラニル、アントラキ
ノン、ニトロ安息香酸、ニトロフルオレノンなどの電子
親和力の大きい化合物をあげることができる。
【0047】また上記感光層中には保存性、耐久性、対
環境依存性を向上させる目的で酸化防止剤や光安定剤な
どの劣化防止剤を含有させることができる。その様な目
的に用いられる化合物としては例えば、トコフェノール
などのクロマノール誘導体およびそのエーテル化もしく
はエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハ
イドロキノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、亜燐
酸エステル、ヒンダードフェノール化合物、ヒンダード
アミン化合物などをあげることができる。
【0048】具体的には『IRGANOX1010』,
『IRGANOX565』(チバガイギー社製)、『ス
ミライザーBHT』,『スミライザーMDP』(住友化
学工業社製)等のヒンダードフェノール化合物、『サノ
ール LS−2626』,『サノール LS−622L
D』等のヒンダードアミン化合物があげられる。
【0049】中間層、保護層に用いられるバインダとし
ては前述のキャリア発生層およびキャリア輸送層にあげ
たものを用いる事ができる。更にポリアミド樹脂、エチ
レン−酢ビ共重合体、ポリビニルアルコール、セルロー
ス誘導体などが有効である。
【0050】尚、この感光層を設ける支持体は金属板、
金属ドラムの他、導電性ポリマー、酸化インジウム等の
導電性化合物もしくはアルミニウム、パラジウム、金な
どの金属をからなる導電性薄膜を、紙プラステックフィ
ルム等の基体上に塗布、蒸着、ラミネート等の手段によ
り設けたものを用いることができる。
【0051】接着層あるいはバリヤ層として機能する中
間層としては前述のバインダ樹脂として説明したような
高分子重合体、ポリビニルアルコール、エチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロース等の有機高分子物質ま
たは酸化アルミニウム、酸化チタンなどより成るものを
用いることができる。
【0052】
【実施例】本発明は以上説明したように特定のチタニル
フタロシアニン結晶を用いる事によってLED光および
半導体レーザ光に対して有効な電子写真感光体を得る物
である。本発明の感光体は感度が高く、環境(湿度)依
存性のない優れたものである。以下実施例をもって本発
明の特徴を説明する。
【0053】実施例1 合成例1で得た本発明のチタニルフタロシアニンP型結
晶(図3)3部、シリコーン樹脂(『KR−5240、
15%キシレンブタノール溶液』信越化学社製)10
部、メチルエチルケトン100部(wt)をサンドグラ
インダで粉砕分散して分散液を得た。一方、ポリアミド
樹脂(『CM8000』東レ社製)をメタノールに溶解
させアルミ蒸着ポリエステルベースに塗布して膜厚0.
2μmの下引き層を形成した。この上に前述のP型結晶
分散液を塗布して膜厚0.2μmのキャリア発生層を形
成した。一方、キャリア輸送物質(19)1部とポリカ
ーボネート樹脂(『ユーピロンZ200』三菱瓦斯化学
社製)2部(wt)およびシリコーンオイル(『KF−
54』信越化学社製)0.01部を1,2−ジクロルエ
タン15部(wt)に溶かし、これを前記のキャリア発
生層上にブレード塗布して乾燥膜厚25μmのキャリア
輸送層を形成し感光体を作った。サンプル1とする。
【0054】実施例2 実施例1におけるチタニルフタロシアニン顔料を合成例
2で得たP型結晶に代えたほかは同様にして感光体を作
成した。サンプル2とする。
【0055】比較例(1) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンP型結晶を比
較合成例(1)で得たY型結晶に代えたほかは同様にし
て感光体を作成した。比較サンプル(1)とする。
【0056】比較例(2) 実施例1におけるチタニルフタロシアニンP型結晶をX
型無金属フタロシアニンに代えたほかは同様にして感光
体を作成した。比較サンプル(2)とする。
【0057】(評価1)以上で得られたそれぞれのサン
プルをペーパアナライザEPA−8100(川口電気社
製)を用いて評価した。−80μAの放電条件で5秒間
帯電し、帯電直後の表面電位[Va]、5秒間暗中放置
後の表面電位[Vi]、表面照度が2(lux)になる
ように露光し、表面電位が1/2Viになるまでの露光
量[E1/2(lux.sec)]を求めた。さらに
式:D=(Va−Vi)/Va×100により暗所にお
ける電位の減衰率[D(%)]を求めた。結果を表1に
示す。
【0058】
【表1】
【0059】比較に挙げたX型は感度が悪い。これに対
して本発明のP型結晶は感度、暗減衰ともに優れてい
る。比較に挙げたY型はこの方法の評価では、常温常湿
度(湿度45〜55%)で測定する限り感度に関しては
本発明の物より優れてはいる。
【0060】(評価2)半導体レーザを光源に使ったカ
ラープリンタ9028(コニカ社製)改造機のドラムに
サンプル1,2および比較サンプル(1),(2)を張
り付け、サンプル1の未露光部での表面電位が約800
Vになるように帯電電極を調整した。そしてレーザ光量
を振り、各光量での表面電位を測定した。さらにこれを
湿度20%RHの雰囲気下に持っていき、同様のレーザ
パワーで表面電位の低下を見た。
【0061】
【表2】
【0062】比較サンプル(2)のX型は感度が悪い。
これに反して本発明のP型は感度もよく電位も乗ってい
る。比較サンプル(1)であげたY型は感度こそ良いも
のの、その湿度に対する変化が大きい。これだとレーザ
光と雖も現実にはその光強度が正規分布している事(図
8)を考えると、階調を要求されるより高度の画像の再
現がその時の湿度によって変化する欠点があることを意
味する。その点、本発明のN型結晶は湿度によって感度
の変化は見られず環境の変化に強いことが判る。
【0063】(評価3)本発明のP型結晶を使った実施
例1,2の分散液、およびY型チタニルフタロシアニン
を使った比較例(1)の分散液を50℃にて20日間保
存し、これで感光体サンプルを作成した。そして(評価
1)と同様の方法で電子写真特性を測定した。その結果
を表3に示す。
【0064】
【表3】
【0065】本発明の化合物であるP型結晶をつかった
サンプル1,2は性能が変化していないがY型をつかっ
た比較サンプルは感度低下が著しい。Y型は優れた結晶
であり劣化後も性能は良い部類に属するが、製造での安
定性を考えると感度の絶対値ではなく経時による変化そ
のものが問題とされる。即ち、感度の低下した塗布液は
廃棄の止むなきに至る。その点、本発明は変化がなく安
定生産に適する。
【0066】
【発明の効果】本発明のP型チタニルフタロシアニン
は、感度、電位の乗りがよくかつ暗所減衰が少く、湿度
安定性がよい。しかも塗料安定性がよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1における粗チタニルフタロシアニンの
X線回折スペクトル図。
【図2】合成例1で得られたウェットペーストチタニル
フタロシアニンのX線回折スペクトル図。
【図3】合成例1で得られたP型液晶チタニルフタロシ
アニンのX線回折スペクトル図。
【図4】合成例2で得られたP型液晶チタニルフタロシ
アニンのX線回折スペクトル図。
【図5】比較例(1)で得られたY型液晶チタニルフタ
ロシアニンX線回折スペクトル図。
【図6】合成例1,2及び比較合成例(1)で得られた
P型液晶並びにY型チタニルフタロシアニンのTG図。
【図7】Y,P型液晶チタニルフタロシアニンのDSC
図。
【図8】レーザビームの輝度分布図。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−345867(JP,A) 特開 平8−305055(JP,A) 特開 平9−230615(JP,A) 特開 平10−268533(JP,A) 特開 平5−257307(JP,A) 特開 平5−257308(JP,A) 特許2808379(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09B 47/08 C07D 487/22 C09B 67/50 G03G 5/06 371 CA(STN) CAOLD(STN) REGISTRY(STN)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタニルフタロシアニンと2,3−ブタ
    ンジオールの付加体化合物。
  2. 【請求項2】 CuKαに対するX線回折スペクトルに
    おいてブラッグ角(2θ±0.2)の少なくとも9.
    5,26.3度にピークを有する結晶である事を特徴と
    する請求項1に記載の付加体化合物。
  3. 【請求項3】 チタニルフタロシアニンが下記一般式
    〔I〕で表される化合物であることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の付加体化合物。 【化1】 〔式中、X1,X2,X3及びX4は水素原子、ハロゲン原
    子、アルキル基もしくはアルコキシ基を表し、k,l,
    m及びnは0〜4の整数を表す。〕
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