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JP2801837B2 - 耐食性に優れたFe−Cr合金 - Google Patents

耐食性に優れたFe−Cr合金

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JP2801837B2
JP2801837B2 JP5117400A JP11740093A JP2801837B2 JP 2801837 B2 JP2801837 B2 JP 2801837B2 JP 5117400 A JP5117400 A JP 5117400A JP 11740093 A JP11740093 A JP 11740093A JP 2801837 B2 JP2801837 B2 JP 2801837B2
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resistance
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JP5117400A
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澤 光 幸 藤
藤 進 佐
沢 好 弘 矢
樫 房 夫 冨
藤 康 加
哲 大和田
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JFE Steel Corp
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JFE Steel Corp
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Publication date
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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐食性に優れたFe−C
r合金に関する。
【0002】
【従来の技術】Fe−Cr合金は一般に耐食性に優れた
材料として知られているが、Fe−Cr合金中において
C,N,O,Sは以下のような理由で耐食性に悪影響を
及ぼすことが知られている。 C,N:粒界のCr炭窒化物の形成によるCr欠乏層の
出現。 O,S:介在物の増量化による発銹起点の増量化。
【0003】すなわちFe−Cr合金の耐食性の改善に
は、これらの不純物元素の低減が効果的であることは既
に公知であり、C,N,O,Sの低減化およびTi,N
b等の炭窒化物元素の添加によるCr欠乏層の除去が試
みられてきた。以下にFe−Cr合金の耐食性改善に関
する従来技術を示す。
【0004】特開昭61−186451号公報では、C
r含量が25〜50重量%のFe−Cr合金で、特に
C,Nを特定量まで減少せしめると同時にSi,Mnお
よびMoを特定量含有せしめた耐サワー性に優れた合金
を提案している。
【0005】特公平2−1902号公報では、Cr含量
が20.0重量%を越え25.0重量%以下のFe−C
r合金で、特にC,Nを減少せしめると同時にMo,M
nおよびNbを特定量含有せしめた溶接時の耐高温割れ
性および溶接部靱性に優れた耐食性フェライト系ステン
レス鋼を提案している。
【0006】特開平3−2355号公報では、Cr含量
16.0〜25.0重量%のFe−Cr合金であって、
特にNbをCとNの合計量との比において特定量含有せ
しめた冷間加工性、靱性、耐食性に優れたフェライト系
ステンレス鋼を提案している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の先行技術に提案されたFe−Cr合金における耐食性
の改善効果はなお十分でない場合がある。例えば、海岸
の近くなど厳しい腐食環境下で使用される建材、化学プ
ラント、高温での耐食性を要求される自動車用排ガス材
料には耐食性のさらなる改善が求められている。
【0008】また、耐食性の改善のためPを添加する試
みが普通鋼において行なわれ、耐候性鋼として実用化さ
れており、Cr含有鋼への適用例もあるが、そのステン
レス鋼における耐食性改善効果は十分ではない。
【0009】すなわち本発明の目的は、従来のFe−C
r合金に比べて耐食性がいっそう改善されたFe−Cr
合金を提供することにある。特に海岸の近くなど厳しい
腐食環境下で使用される建材用ステンレス鋼や、化学プ
ラント用ステンレス鋼、さらには自動車用排ガス材料用
ステンレス鋼に適した高耐食性の鋼を提供しようとする
ものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記目的を達
成すべく鋭意研究を行った結果、従来のFe−Cr合金
に不純物として存在するC,N,SさらにはOの合計量
を著しく減少せしめると同時に、特定量のPを含有させ
たFe−Cr合金が耐候性において著しく優れることを
見いだした。
【0011】そして、上記のP添加Fe−Cr合金にT
i,Nb,V,Zr,Ta,WおよびBから選択される
一種以上を特定量加えることにより耐粒界腐食性がいっ
そう向上すること、特定量のMoを添加することにより
耐孔食性が著しく向上することを見いだした。また、N
i,CoおよびCuから選択される一種以上を特定量加
えることにより耐酸性が著しく向上することを見いだす
とともに、Al,SiおよびMnから選択される一種以
上を特定量加えることにより耐酸化性が向上することを
知見し、本発明を完成するに至った。
【0012】すなわち、本発明の第1の態様によれば、
Cr含有量が5〜60重量%、C,N,OおよびSの合
計量が100ppm以下、P含有量が0.01〜1.0
重量%であり、残部Feおよび不可避的不純物からなる
ことを特徴とする耐食性に優れたFe−Cr合金が提供
される。
【0013】また、本発明の第2の態様によれば、上記
第1の態様の成分に加えてAl:1.0重量%以下、S
i:1.0重量%以下、Mn:1.0重量%以下を含有
する耐食性に優れたFe−Cr合金が提供される。
【0014】また、本発明の第3の態様によれば、上記
第1の態様または第2の態様においてさらにTi,N
b,V,Zr,Ta,WおよびBから選択される一種以
上を下記式(1)を満たす量含有する耐食性に優れたF
e−Cr合金が提供される。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1)
【0015】また、本発明の第4の態様によれば、上記
第1の態様または第2の態様においてさらにMo:0.
05〜20重量%を含有する耐食性に優れたFe−Cr
合金が提供される。
【0016】また、本発明の第5の態様によれば、上記
第1の態様または第2の態様においてさらにMo:0.
05〜20重量%、Ti,Nb,V,Zr,Ta,Wお
よびBから選択される一種以上を下記式(1)を満たす
量含有する耐食性に優れたFe−Cr合金が提供され
る。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1)
【0017】また、本発明の第6の態様によれば、上記
第1、第2、第3、第4または第5の態様においてさら
にNi,CoおよびCuから選択される一種以上を下記
式(2)を満たす量含有する耐食性に優れたFe−Cr
合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2)
【0018】また、本発明の第7の態様によれば、上記
第1、第3、第4または第5の態様においてさらにA
l,SiおよびMnから選択される一種以上を下記式
(3)を満たす量含有する耐食性に優れたFe−Cr合
金が提供される。 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3)
【0019】また、本発明の第8の態様によれば、上記
第1、第3、第4または第5の態様においてさらにN
i,CoおよびCuから選択される一種以上を下記式
(2)を満たす量含有し、Al,SiおよびMnから選
択される一種以上を下記式(3)を満たす量含有する耐
食性に優れたFe−Cr合金が提供される。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2) 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3)
【0020】
【作用】以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明す
る。図1に耐候性とC,N,OおよびSの合計量との関
係を示す。この図はFe−20%Cr−0.05%P合
金に関して、臨海工業地区において、海岸からの距離5
m以内で6か月大気暴露(南向き36度の角度で暴露)
した後、目視で発錆度を下記の3段階で評価した結果を
示したものである。 1:さびなし 2:しみ状腐食発生 3:点状赤錆発生
【0021】C,N,OおよびSの合計量が100pp
m以下では発銹しておらず、著しく耐候性に優れること
が明らかである。
【0022】図2は、C,N,OおよびSの合計量が1
00ppm以下と100ppm以上のFe−18%Cr
合金に関して、同じく1年大気暴露後の発銹度とP含有
量の関係を示したものである。発銹度は目視にて以下の
4段階で評価した。 1:軽度のしみ状腐食 2:全面しみ状腐食 3:全面しみ状腐食とともに点状赤錆 4:全面赤錆
【0023】図2からC,N,OおよびSの合計量が1
00ppm以下のFe−Cr合金について、P含有量が
0.01%以上になると耐候性に著しく優れることが明
らかである。
【0024】図3はFe−18%Cr−0.02%P合
金に関して、C,N,OおよびSの合計量と孔食電位
(V′C,10(mVvsSCE))の関係を示したもので
ある。C,N,OおよびSの合計量が100ppm以下
であると耐孔食性に優れることが明らかである。
【0025】以上、図1〜3に示されるようにC,N,
O,Sの合計量が極めて低く、かつPの含有量が一定値
以上に高い場合は、Fe−Cr合金の耐食性が飛躍的に
向上する。
【0026】図4はC,N,OおよびSの合計量が10
0ppm以下であるFe−18%Cr−0.1%P合金
に関して、Mo含有量と孔食電位(V′C,10(mVvs
SCE))の関係を示したものである。Mo含有量が
0.05重量%以上であるとさらに耐孔食性に優れるこ
とが明らかである。
【0027】図5は、C,N,OおよびSの合計量が1
00ppm以下のFe−20%Cr0.03%P合金に
関して、沸騰1%HCl中にて18時間浸漬させたとき
の腐食度とNi+Co+2Cuの値(重量%)との関係
を示したものである。上記の値が0.01重量%以上と
なると腐食度が低減化し、耐酸性が向上することが明ら
かである。
【0028】図6は、C,N,OおよびSの合計量10
0ppm以下のFe−20%Cr−0.06%P合金に
関して、大気中で1075℃で30分加熱、12分冷却
というサイクルを1サイクルとする繰り返し酸化試験を
行い、25サイクル毎に重量変化を測定、以上酸化をお
こすまでのサイクル数(酸化増量が5.0mg/m2
こえたときのサイクル数)と3Al+2Si+Mnの値
(重量%)との関係を示したものである。3Al+2S
i+Mnの値が0.1重量%以上となると耐酸化性にお
いて著しく優れることは明らかである。
【0029】以下、本発明の構成を詳述する。本発明の
より好ましい態様およびそれに基づく利点が明らかにな
ろう。
【0030】(第1の態様) Cr:5〜60重量%、好ましくは10〜45重量%で
ある。Cr含量が上記範囲であることは、本発明の合金
が耐食性に優れるための必須条件である。過剰のCrの
含有は加工性の低下の原因となり好ましくない。
【0031】C,N,OおよびS:これらの元素は従来
のFe−Cr合金においては、不可避的不純物として合
計で数100ppm含有されていたが、本発明の合金に
おいては100ppm以下、好ましくは85ppm以下
とする。これらの元素の合計量をこのように減少させる
ことは、本発明の耐食性の改善の目的において必須であ
る。100ppmを超えての多量の含有は、本発明の目
的が達成されない。
【0032】P:本発明の合金はPを0.01〜1.0
重量%、好ましくは0.015〜0.3重量%含有す
る。Pを上記範囲含有せしめることにより、本発明の合
金に優れた耐食性が付与される。しかしながら、1.0
重量%を超えた含有はむしろ耐食性が低下するのみなら
ず、靱性が低下し、製造上問題となるため好ましくな
い。
【0033】以上のCr含量量、C,N,OおよびSの
合計量、P含有量を満たす本発明の第1の態様のFe−
Cr合金は、耐食性において優れるので、建築物外装
材、車両用外装材などの用途に好ましく用いられる。
【0034】(第2の態様)上記の第1の態様の成分に
加えて、脱酸材として添加されたAl,SiおよびMn
の組成を加味したものである。すなわち上記成分の鋼塊
は過剰に投与したAl,Si,Mnの量がそれぞれ以下
のとおりであっても十分本発明の目的を果たす。 Al:1.0重量%以下。好ましくは、0.5重量%以
下。 Si:1.0重量%以下。好ましくは、0.8重量%以
下。 Mn:1.0重量%以下。好ましくは、0.7重量%以
下。
【0035】上記範囲をこえてのAl,Si,Mnの含
有は脱酸効果が飽和するので好ましくない。以上を満た
す、本発明の第2の態様のFe−Cr合金は、耐食性に
おいて優れるので、第1の態様と同様の用途に好ましく
用いられる。
【0036】(第3の態様)第1あるいは第2の態様の
条件に加えて、Ti,Nb,V,Zr,Ta,Wおよび
Bから選択される一種以上を下記式(1)、好ましくは
下記式(1a)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1) 0.03重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦0.5重量% ………(1a)
【0037】これらの元素は添加されなくても耐食性に
優れた合金が得られるが、上記範囲を満たすことによ
り、いっそう耐粒界腐食性に優れた合金が得られると同
時に溶接部の耐食性が向上する。しかし、これらの元素
の過剰の含有は添加元素自身の固溶強化により加工性が
低下するので好ましくない。各元素の含有量は同様の理
由で以下の範囲であることが好ましい。 Ti:0.01〜0.5重量% Nb:0.01〜0.5重量% Zr:0.01〜0.5重量% V :0.01〜0.5重量% Ta:0.01〜0.5重量% W :0.01〜0.5重量% B :0.0003〜0.01重量%
【0038】以上を満たす、本発明の第3の態様のFe
−Cr合金は、耐食性において優れるので、第1の態様
と同様の用途に好ましく用いられるのみならず、溶接部
の耐食性が優れているので特に溶接施工の行なわれる部
材として有利である。
【0039】(第4の態様)第1あるいは第2の態様の
条件に加えて、Mo:0.05〜20重量%、好ましく
は0.1〜6.0重量%含有する。Moは添加されなく
ても耐食性に優れた合金が得られるが、上記範囲を満た
すことにより、さらに耐孔食性および耐候性が改善され
た合金が得られる。20重量%をこえての過剰の配合は
素材が硬質化すると同時に母材の靱性が低下するので好
ましくない。以上を満たす、本発明の第4の態様のFe
−Cr合金は、耐食性において優れるので、第1の態様
と同様の用途に好ましく用いられる。また、耐孔食性に
優れるので温水器管体などに好ましく用いられる。
【0040】(第5の態様)特に溶接部耐食性に優れた
第3の態様の条件に、特に耐孔食性に優れた第4の態様
の条件を加味したものである。すなわち、第1あるいは
第2の態様の条件に加えて、Mo:0.05〜20重量
%、好ましくは0.1〜6.0重量%含有すると同時
に、Ti,Nb,V,Zr,Ta,WおよびBから選択
される一種以上を下記式(1)、好ましくは下記式(1
a)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1) 0.03重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦0.5重量% ………(1a)
【0041】Ti,Nb,V,Zr,Ta,WおよびB
の各個別元素の好ましい範囲は、第3の態様にて示した
とおりであるので省略する。また成分範囲の限定理由も
第3および第4の態様にて示したとおりであるので省略
する。以上を満たす、本発明の第5の態様のFe−Cr
合金は、耐食性において優れるので、第1の態様と同様
の用途、あるいは溶接施工が必要な部材として好ましく
用いられる。
【0042】(第6の態様)第1、第2、第3、第4あ
るいは第5の態様に加えてNi,CoおよびCuから選
択される一種以上を下記式(2)、好ましくは下記式
(2a)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2) 0.05重量%≦Ni+Co+2Cu≦5重量% ………(2a)
【0043】これらの元素は添加されなくても耐食性に
優れた合金が得られるが、これらの元素の一種以上を特
定量添加することにより、さらに耐酸性および耐候性が
改善された合金が得られる。Ni,CoおよびCuの配
合量が上記範囲より少ないと耐酸性に劣り、多いと合金
の製造性が劣る。また、Ni,CoおよびCuの好まし
い含量は以下の如くであり、その理由は上記と同様であ
る。 Ni:0.05〜5.0重量% Co:0.05〜5.0重量% Cu:0.05〜2.5重量%
【0044】以上を満たす、本発明の第6の態様のFe
−Cr合金は、耐食性において優れるので、第1の態様
と同様の用途に好ましく用いられるのみならず、耐酸性
において優れるので化学プラント用材料として好ましく
用いられる。
【0045】(第7の態様)第1、第3、第4あるいは
第5の態様に加えて、Al,SiおよびMnから選択さ
れる一種以上を下記式(3)、好ましくは下記式(3
a)を満たす量含有する。 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3) 3.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦20重量% ………(3a)
【0046】第7の態様は、特に耐酸化性の改善を目的
としてAl,Si,Mnを積極的に添加するものである
ので、第2の態様とは本質的にその目的が異なる。これ
らの元素は添加されなくても耐食性に優れた合金が得ら
れるが、これらの元素の一種以上を特定量添加すること
により、さらに耐酸化性が改善された合金が得られる。
50重量%をこえての過剰の含有は合金中に酸化物系介
在物を散在させることになり、製造性、加工性が低下
し、合金を製造することが困難になるので避けるべきで
ある。各個別の元素の好ましい含有量とその理由を下記
する。 Al:0.1〜10.0重量% 0.1重量%未満では効果があるが、顕著ではない。1
0.0重量%をこえると製造性の低下が目立つようにな
る。 Si:0.1〜10.0重量% 0.1重量%未満では効果があるが、顕著ではない。1
0.0重量%をこえると製造性の低下が目立つようにな
る。 Mn:0.1〜20.0重量% 0.1重量%未満では効果があるが、顕著ではない。2
0.0重量%をこえると製造性の低下が目立つようにな
る。以上を満たす、本発明の第7の態様のFe−Cr合
金は、耐食性において優れるので、第1の態様と同様の
用途に好ましく用いられるのみならず、高温での耐酸化
性に優れるので自動車の排ガス用材料などに有利であ
る。
【0047】(第8の態様)特に耐酸性に優れた第6の
態様の条件に、特に耐酸化性に優れた第7の態様の条件
を加味したものである。すなわち、第1、第3、第4あ
るいは第5の態様に加えて、Ni,CoおよびCuから
選択される一種以上を下記式(2)、好ましくは下記式
(2a)を満たす量含有すると共に、Al,Siおよび
Mnから選択される一種以上を下記式(3)、好ましく
は下記式(3a)を満たす量含有する。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2) 0.05重量%≦Ni+Co+2Cu≦5重量% ………(2a) 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3) 3.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦20重量% ………(3a)
【0048】各個別元素の好ましい範囲、および成分範
囲の限定理由は、第6および第7の態様にて示したとお
りであるので省略する。
【0049】第1〜第8の態様にて示した本発明の合金
は、電解法などによる高純度原料を所定量用い、高真空
下で溶解、鋳造することで得られる。この際、脱酸材と
してAl,SiおよびMnを使用しても構わない。溶製
後は通常の製造工程すなわち溶製−熱延−焼鈍−酸洗−
冷延−焼鈍−(酸洗)−(調質圧延)にて製造できる。
【0050】また、本発明の合金は、上述した成分以外
はFeであることが好ましい。ただし、Ca,Mg,R
EM(希土類元素),Pb,Bi,SeおよびTeなど
の元素のうち、一種以上が合計量1%未満含有しても十
分にその効果は得られる。
【0051】さらに、本発明合金は使用される状態が熱
延焼鈍板であろうと、冷延焼鈍板であろうと十分にその
効果は得られると同時に、最終表面仕上げが2D,2
B,BA,HLおよび研磨仕上げのいずれでも十分にそ
の効果は得られる。
【0052】
【実施例】以下、実施例を以て本発明を具体的に説明す
る。 (実施例)表1に示す化学組成の各種Fe−Cr合金の
30kg小型鋼塊を超高真空50kg高周波炉にて溶製
した。溶製においては、S,C,N,Oの合計量を10
0ppm以下に抑えるため常温での最高到達真空度が1
-7torrをこえる超高真空炉を用い、原料について
も高純度の原料を用いた。また坩堝からの不純物元素混
入を極力抑える目的からあらかじめ坩堝を超高純度鉄で
数チャージ溶解洗浄した後、強攪拌を利用して溶解し
た。
【0053】各鋼塊は表面1cmを切断除去後、110
0〜1250℃の温度範囲で選択された最適温度で1時
間均熱後4mmの熱延板とし、再結晶を目的とした焼鈍
を施した。その後表面の浸炭窒化層を切削除去した後、
冷間圧延および再結晶焼鈍を1回または2回くりかえ
し、最終的に0.7mmの冷延焼鈍板として試験に供し
た。また必要に応じて試験に供する前に表面層を研磨除
去した。以上の方法で調整した試験片を下記記載の方法
で各種耐食性試験を行った。
【0054】(耐候性試験)臨海工業地帯での大気暴露
試験を1年間行った後、 (1)試験片の外観を観察し、その発銹程度を下記の5
段階に分類して評価した。 1:発銹なし 2:ごく軽度のしみ状腐食 3:軽度のしみ状腐食 4:しみ状腐食とともに点状赤錆発生 5:赤錆化の傾向大
【0055】(2)光沢保持率をスガ試験機製の光沢計
(HG−246)を用いて測定し、大気暴露前後の光沢
の比を光沢保持率として求めた。 光沢保持率(%)={Gs(20)(暴露後)/Gs
(20)(暴露前)}×100
【0056】(耐粒界腐食試験)JIS G 0575
で規定されたステンレス鋼の硫酸・硫酸銅試験により行
ない、割れの有無によって耐粒界腐食性を評価した。
【0057】(耐孔食性試験)JIS G 0577に
準拠した孔食電位の測定を行なった。孔食電位は電流密
度10μA/cm2 に達した電位で表した。
【0058】(耐酸性試験)沸騰0.5%HCl水溶液
中に試験片を18時間浸漬後、腐食減量を測定し、耐酸
性の評価を下記の4段階で評価した。 ◎:腐食度 0.1g/m2 ・hr未満 ○:腐食度 0.1〜1g/m2 ・hr △:腐食度 1〜3g/m2 ・hr ×:腐食度 3g/m2 ・hr以上
【0059】(耐酸化性試験)大気中で1075℃で3
0分加熱、12分冷却というサイクルを1サイクルとす
る繰り返し酸化試験を行い、25サイクル毎に重量変化
を測定、異常酸化をおこすまでのサイクル数(酸化増量
が5.0mg/m2 をこえたときのサイクル数)を測定
した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
【表5】
【0065】
【表6】
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】以下、実験結果について述べる。 (実施例1)表2、表3および表4にそれぞれFe−2
0%Cr合金,Fe−11%Cr合金,Fe−40%C
r合金の耐候性試験結果を示す。
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】表2、表3、表4から本発明合金が著しく
耐候性に優れることが明らかである。C,N,Oおよび
Sの合計量が100ppmをこえて多いもの、Pが本発
明範囲から外れているものは優れた耐候性を示さない。
【0073】また、表5にFe−(4〜20)%Cr−
0.1%P合金の耐候性試験結果を示す。
【0074】
【0075】Cr含有量が5重量%以上である本発明合
金は優れた耐候性を示す。Cr含有量が4.8重量%で
ある比較合金6は赤錆化が大であり、光沢保持率に著し
くおとり優れた耐候性を示すとは言えない。
【0076】(実施例2)表6にFe−20%Cr−
0.02%P合金について行なわれた耐候性試験結果を
示す。
【0077】
【表9】
【0078】例え、脱酸材等に用いたAl,Si,Mn
が混入しても、その含有量が各々1.0%以下であれば
Cr含有量、C,N,OおよびSの合計量、P含有量の
条件と結合して十分な耐候性が得られることが明らかで
ある。
【0079】(実施例3)表7にFe−11%Cr−
0.1%P合金(C+N+O+S≦100ppm)につ
いて行われた、耐候性試験および耐粒界腐食試験の結果
を示す。
【0080】
【0081】β=Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+2
0Bの価が0.01重量%以上であれば、Cr含有量、
C,N,OおよびSの合計量、P含有量の条件と結合し
て、耐候性のみならず、耐粒界腐食性にも優れることが
明らかである。
【0082】(実施例4)表8に、Fe−20%Cr−
(0.01〜0.4)%P−(0.001〜6)%Mo
合金の耐候性試験および耐孔食性試験の結果を示す。
【0083】
【表10】
【0084】Cr含有量、C,N,OおよびSの合計
量、P含有量の条件に加えてMo含有量が0.05重量
%以上である本発明鋼は耐孔食性に優れることが明らか
である。C,N,OおよびSの合計量が100ppmを
こえて多い比較合金7は耐候性のみならず、耐孔食性に
ついても劣っている。
【0085】(実施例5)表9に、発明合金26および
発明合金27の耐候性試験、耐粒界腐食試験および耐孔
食試験の結果を示す。
【0086】
【0087】Cr含有量、C,N,OおよびSの合計
量、P含有量の条件に加えて、Mo含有量、Ti+Nb
+Zr+V+Ta+W+20Bの範囲を満足する本発明
合金は耐候性に加えて耐粒界腐食性および耐孔食性につ
いて優れている。
【0088】(実施例6)表10にFe−20%Cr−
0.02%P合金(C+N+O+S<100ppm)の
耐候性試験および耐酸性試験の結果を示す。
【0089】
【0090】表10の結果からNi+Co+2Cu値が
0.01重量%をこえると耐酸性が向上することが明ら
かである。
【0091】(実施例7)表11にFe−20%Cr−
0.015%P合金(C+N+O+S<100ppm)
に関する耐候性試験および耐酸化性試験の結果を示す。
【0092】
【0093】表11の結果より3Al+2Si+Mn値
が1.0重量%をこえると、耐酸化性が向上することが
明らかである。
【0094】(実施例8)表12にFe−20%Cr−
0.02P合金(C+N+O+S<100ppm)に関
する耐候性試験および耐酸化性試験の結果を示す。
【0095】
【0096】表12の結果から、本発明態様8の範囲で
は、耐酸化性および耐酸性に優れることが明らかであ
る。
【0097】
【発明の効果】本発明のFe−Cr合金は、耐食性に優
れるのでFe−Cr合金全般の用途において好ましく用
いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】耐候性とC,N,OおよびSの合計量との関係
を示す図。
【図2】耐候性とP含有量との関係を示す図。
【図3】耐孔食性とC,N,OおよびSの合計量との関
係を示す図。
【図4】耐孔食性とMo含有量との関係を示す図。
【図5】耐酸性とNi+Co+2Cu値との関係を示す
図。
【図6】耐酸化性と3Al+2Si+Mn価との関係を
示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4−136778 (32)優先日 平4(1992)5月28日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 冨 樫 房 夫 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 加 藤 康 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (72)発明者 大和田 哲 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎 製鉄株式会社技術研究本部内 (56)参考文献 特開 昭60−13060(JP,A) 特開 昭58−61220(JP,A) 日本学術新興会製鋼第19委員会編「鉄 鋼と合金元素(下)」(昭41−3−25) 誠文堂新光社 P.49−53 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/60 C22C 27/06 C22C 30/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Cr含有量が5〜60重量%、C,N,O
    およびSの合計量が100ppm以下、P含有量が0.
    01〜1.0重量%であり、残部Feおよび不可避的不
    純物からなることを特徴とする耐食性に優れたFe−C
    r合金。
  2. 【請求項2】さらにAl:1.0重量%以下、Si:
    1.0重量%以下、Mn:1.0重量%以下を含有する
    請求項1に記載の耐食性に優れたFe−Cr合金。
  3. 【請求項3】さらにTi,Nb,V,Zr,Ta,Wま
    たはBから選択される一種以上を下記式(1)を満たす
    量含有する請求項1または2に記載の耐食性に優れたF
    e−Cr合金。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1)
  4. 【請求項4】Mo:0.05〜20重量%を含有する請
    求項1または2に記載の耐食性に優れたFe−Cr合
    金。
  5. 【請求項5】Mo:0.05〜20重量%に加えてT
    i,Nb,V,Zr,Ta,WおよびBから選択される
    一種以上を下記式(1)を満たす量含有する請求項1ま
    たは2に記載の耐食性に優れたFe−Cr合金。 0.01重量%≦Ti+Nb+Zr+V+Ta+W+20B≦1.0重量% ………(1)
  6. 【請求項6】Ni,CoおよびCuから選択される一種
    以上を下記式(2)を満たす量含有する、請求項1、
    2、3、4または5に記載の耐食性に優れたFe−Cr
    合金。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2)
  7. 【請求項7】Al,SiおよびMnから選択される一種
    以上を下記式(3)を満たす量含有する、請求項1、
    3、4または5に記載の耐食性に優れたFe−Cr合
    金。 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3)
  8. 【請求項8】Ni,CoおよびCuから選択される一種
    以上を下記式(2)を満たす量含有し、Al,Siおよ
    びMnから選択される一種以上を下記式(3)を満たす
    量含有する、請求項1、3、4または5に記載の耐食性
    に優れたFe−Cr合金。 0.01重量%≦Ni+Co+2Cu≦6重量% ………(2) 1.0重量%≦3Al+2Si+Mn≦50重量% ………(3)
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