JP2793798B2 - ゴルフクラブ用ヘッド - Google Patents
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- Golf Clubs (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内部に空洞を有す
る中空のゴルフクラブヘッド本体をチタン合金により成
形したゴルフクラブ用ヘッドに関する。
る中空のゴルフクラブヘッド本体をチタン合金により成
形したゴルフクラブ用ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のゴルフクラブ用ヘッドは、主にパ
ーシモン、アルミニウム合金あるいは炭素鋼やステンレ
ス鋼などの鉄合金により成形されており、さらに最近で
は、このゴルフクラブ用ヘッドとしてチタン合金が注目
され、それに伴なってα+β型のTi-6%Al-4%V 合金やβ
型のTi-15%V-3%Al-3%Cr-3%Snなどのチタン合金製のクラ
ブヘッドが使用されるようになってきた。
ーシモン、アルミニウム合金あるいは炭素鋼やステンレ
ス鋼などの鉄合金により成形されており、さらに最近で
は、このゴルフクラブ用ヘッドとしてチタン合金が注目
され、それに伴なってα+β型のTi-6%Al-4%V 合金やβ
型のTi-15%V-3%Al-3%Cr-3%Snなどのチタン合金製のクラ
ブヘッドが使用されるようになってきた。
【0003】そして、これらのチタン合金によるゴルフ
クラブ用ヘッドは、ヘッド形状の設計上の自由度の観点
から、特公平7−112498号公報記載のように、主
にソール面に開口部を有する中空のチタン合金によるゴ
ルフクラブヘッド本体を一体的に精密鋳造し、前記開口
部に一致するチタン板のソール蓋をプレス加工により製
造し、前記ゴルフクラブヘッド本体をソール蓋により封
着する方法で製造されており、さまざまな形状がデザイ
ン化されている。
クラブ用ヘッドは、ヘッド形状の設計上の自由度の観点
から、特公平7−112498号公報記載のように、主
にソール面に開口部を有する中空のチタン合金によるゴ
ルフクラブヘッド本体を一体的に精密鋳造し、前記開口
部に一致するチタン板のソール蓋をプレス加工により製
造し、前記ゴルフクラブヘッド本体をソール蓋により封
着する方法で製造されており、さまざまな形状がデザイ
ン化されている。
【0004】ところで、上記のようなチタン合金による
鋳造の中空のゴルフクラブ用ヘッドは、飛距離特性を大
きくすることが重要であり、そのためにはヘッド形状の
設計だけではなく、ヘッドの材質も充分に考慮すること
が必要である。しかしながら、前述のチタン合金による
鋳造の中空ヘッドに関しては、チタン合金使用の話題性
や目新しさから選択されているだけであって、チタン合
金が本来有している材料特性を最大限に活かしていると
はいい難いものである。
鋳造の中空のゴルフクラブ用ヘッドは、飛距離特性を大
きくすることが重要であり、そのためにはヘッド形状の
設計だけではなく、ヘッドの材質も充分に考慮すること
が必要である。しかしながら、前述のチタン合金による
鋳造の中空ヘッドに関しては、チタン合金使用の話題性
や目新しさから選択されているだけであって、チタン合
金が本来有している材料特性を最大限に活かしていると
はいい難いものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は前記事
情に鑑み、チタン合金の材料特性を最大限に活かすべ
く、チタン合金の組成及び組織に着目し、飛距離特性に
優れたゴルフクラブ用ヘッドを提供することを目的とす
る。
情に鑑み、チタン合金の材料特性を最大限に活かすべ
く、チタン合金の組成及び組織に着目し、飛距離特性に
優れたゴルフクラブ用ヘッドを提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】ところで、チタン合金は
室温で出現する相の種類によってα、α+β及びβ型合
金に大別される。このうちβ型合金は熱処理性に優れて
いるため、α及びβ相の量的割合、形状、分布及び大き
さ(組織形態)を変化させることによって機械的性質を
向上させることができる。
室温で出現する相の種類によってα、α+β及びβ型合
金に大別される。このうちβ型合金は熱処理性に優れて
いるため、α及びβ相の量的割合、形状、分布及び大き
さ(組織形態)を変化させることによって機械的性質を
向上させることができる。
【0007】ゴルフヘッドの飛距離特性はヘッドの反発
力に起因しており、その反発力は材料の機械的性質に密
接に関係していると考えられる。したがって、ゴルフヘ
ッド素材としてβ型合金を使用すると共に熱処理を施す
ことによってその飛距離特性を向上させることができる
と推察される。チタン及びチタン合金の鋳造の分野にお
ける熱処理に関するデーターは、Ti-6%Al-4%V 合金(α
+β型合金)などでわずかに知られているだけであり、
鋳造β型合金では全く知られていない。
力に起因しており、その反発力は材料の機械的性質に密
接に関係していると考えられる。したがって、ゴルフヘ
ッド素材としてβ型合金を使用すると共に熱処理を施す
ことによってその飛距離特性を向上させることができる
と推察される。チタン及びチタン合金の鋳造の分野にお
ける熱処理に関するデーターは、Ti-6%Al-4%V 合金(α
+β型合金)などでわずかに知られているだけであり、
鋳造β型合金では全く知られていない。
【0008】そして、鋳造は液体から固体への相変態を
利用したプロセスであり、このプロセスには必ず凝固後
から室温までの冷却過程が含まれる。したがって鋳込み
後の鋳物の冷却過程を逆に熱処理とみなし、これをうま
く利用すれば、ゴルフヘッドの鋳造工程で製品の飛距離
特性を向上させる組織を作り出すような制御のための熱
処理工程が不要となるものと推察される。換言すれば、
鋳込み後における鋳物の冷却過程を利用してチタン合金
鋳物の組織を制御できるとすれば、ゴルフクラブヘッド
の形状を鋳造する際の鋳放し状態での冷却条件によっ
て、ゴルフヘッドの飛距離特性を向上させる合金組織を
作り出すことができるものと考えられる。また、前述の
鋳放し状態の冷却条件下でゴルフヘッドの飛距離特性を
大きくするのに望ましい組織となるβ型チタン合金組成
があるかもしれない。
利用したプロセスであり、このプロセスには必ず凝固後
から室温までの冷却過程が含まれる。したがって鋳込み
後の鋳物の冷却過程を逆に熱処理とみなし、これをうま
く利用すれば、ゴルフヘッドの鋳造工程で製品の飛距離
特性を向上させる組織を作り出すような制御のための熱
処理工程が不要となるものと推察される。換言すれば、
鋳込み後における鋳物の冷却過程を利用してチタン合金
鋳物の組織を制御できるとすれば、ゴルフクラブヘッド
の形状を鋳造する際の鋳放し状態での冷却条件によっ
て、ゴルフヘッドの飛距離特性を向上させる合金組織を
作り出すことができるものと考えられる。また、前述の
鋳放し状態の冷却条件下でゴルフヘッドの飛距離特性を
大きくするのに望ましい組織となるβ型チタン合金組成
があるかもしれない。
【0009】そこで本発明者等は、まず最初にβ型チタ
ン合金によりゴルフクラブヘッドを鋳造すると共に、そ
のときの鋳放し状態での冷却条件をそれぞれ変えなが
ら、各場合の組織の変化がゴルフヘッドの飛距離特性に
どのように影響を与えるかを実験し、次に各種組成を有
するβ型チタン合金により鋳造したゴルフヘッドの鋳放
し状態での組織とゴルフヘッドの飛距離特性を比較し
た。その結果、鋳放し状態の冷却条件で飛距離が良くな
る組織を示すβ型チタン合金の組成は、モリブデン当量
が0〜10を含む範囲であることを見出し、さらにモリ
ブデン当量0〜10を配合するβ型チタン合金でゴルフ
ヘッドの形状のものを鋳造する時の鋳造直後から300
℃になるまでの鋳放し状態における冷却時間を20分〜
60分間の範囲にすれば、β相中に微細なαの析出相を
分散させた良好な時効析出組織となることを見出し、こ
れらのチタン合金により中空ゴルフヘッドを鋳造で製造
することによって、従来のチタン合金のものに比べて飛
距離を大きく向上させることができるゴルフクラブ用ヘ
ッドの開発に成功したものである。
ン合金によりゴルフクラブヘッドを鋳造すると共に、そ
のときの鋳放し状態での冷却条件をそれぞれ変えなが
ら、各場合の組織の変化がゴルフヘッドの飛距離特性に
どのように影響を与えるかを実験し、次に各種組成を有
するβ型チタン合金により鋳造したゴルフヘッドの鋳放
し状態での組織とゴルフヘッドの飛距離特性を比較し
た。その結果、鋳放し状態の冷却条件で飛距離が良くな
る組織を示すβ型チタン合金の組成は、モリブデン当量
が0〜10を含む範囲であることを見出し、さらにモリ
ブデン当量0〜10を配合するβ型チタン合金でゴルフ
ヘッドの形状のものを鋳造する時の鋳造直後から300
℃になるまでの鋳放し状態における冷却時間を20分〜
60分間の範囲にすれば、β相中に微細なαの析出相を
分散させた良好な時効析出組織となることを見出し、こ
れらのチタン合金により中空ゴルフヘッドを鋳造で製造
することによって、従来のチタン合金のものに比べて飛
距離を大きく向上させることができるゴルフクラブ用ヘ
ッドの開発に成功したものである。
【0010】尚、各種β型のチタン合金を構成する元素
は多数にわたっているが、最近ではβ型チタン合金を分
類する基準としてモリブデン当量(Mo eq.=Mo% +0.67
V%+0.44W%+0.28Nb% +0.22Ta% +2.9Fe% +1.6Cr%−
Al% )なる値がしばしば用いられている(この式で%は
各元素の重量百分率を表す)。
は多数にわたっているが、最近ではβ型チタン合金を分
類する基準としてモリブデン当量(Mo eq.=Mo% +0.67
V%+0.44W%+0.28Nb% +0.22Ta% +2.9Fe% +1.6Cr%−
Al% )なる値がしばしば用いられている(この式で%は
各元素の重量百分率を表す)。
【0011】
(実施の形態1)Ti-10%V-2%Fe-3%Al 合金製ゴルフヘッ
ド(ヘッド容積270cc)を次の鋳造手順で製造し
た。この製造については溶解には真空、加圧周波誘導溶
解炉を用いた。まず、石灰るつぼ中でスポンジチタンを
真空中で予熱した後、炉内にアルゴンを1.5気圧程度
導入し、さらにスポンジチタンの溶落後、バナジウムチ
ップ、電解鉄及びアルミニウム地金を添加した。次い
で、チタン合金の溶落後の溶解出力及び溶湯の保持時間
を一定にしてジルコニアセラミックシェル鋳型に遠心鋳
造した。その後、型ばらし及び化学研磨を行い、予め温
間プレスによって製造した工業用純チタンソール蓋をア
ルゴン雰囲気中でTIG溶接によってゴルフヘッド本体
に封着し、最後に機械研磨を行って仕上げた。
ド(ヘッド容積270cc)を次の鋳造手順で製造し
た。この製造については溶解には真空、加圧周波誘導溶
解炉を用いた。まず、石灰るつぼ中でスポンジチタンを
真空中で予熱した後、炉内にアルゴンを1.5気圧程度
導入し、さらにスポンジチタンの溶落後、バナジウムチ
ップ、電解鉄及びアルミニウム地金を添加した。次い
で、チタン合金の溶落後の溶解出力及び溶湯の保持時間
を一定にしてジルコニアセラミックシェル鋳型に遠心鋳
造した。その後、型ばらし及び化学研磨を行い、予め温
間プレスによって製造した工業用純チタンソール蓋をア
ルゴン雰囲気中でTIG溶接によってゴルフヘッド本体
に封着し、最後に機械研磨を行って仕上げた。
【0012】こうして製造したTi-10%V-2%Fe-3%Al 合金
製ゴルフクラブヘッドを0.01Paの真空下で温度75
0℃で60分保持した後、アルゴンを強制対流させてこ
のゴルフクラブヘッドの冷却を行った。
製ゴルフクラブヘッドを0.01Paの真空下で温度75
0℃で60分保持した後、アルゴンを強制対流させてこ
のゴルフクラブヘッドの冷却を行った。
【0013】アルゴンの流量を変化させることによっ
て、図1に示すように冷却時の温度と時間との関係を変
化させて種々の実験を行った結果、各冷却条件に対応し
て図2の(イ)乃至(ニ)に示すように、ゴルフクラブ
ヘッド本体におけるフェイス面に以下のようなミクロ組
織が得られた。
て、図1に示すように冷却時の温度と時間との関係を変
化させて種々の実験を行った結果、各冷却条件に対応し
て図2の(イ)乃至(ニ)に示すように、ゴルフクラブ
ヘッド本体におけるフェイス面に以下のようなミクロ組
織が得られた。
【0014】すなわち、図1の冷却1で示すような急激
に冷やした場合には、図2の(イ)に示すようなβ等軸
晶の単相組織が得られ、また、図1の冷却4で示すよう
にゆっくりと冷やした場合には、図2の(ニ)に示すよ
うなαとβの針状混合組織となり、旧β結晶粒界に沿っ
てαの折出相が得られた。
に冷やした場合には、図2の(イ)に示すようなβ等軸
晶の単相組織が得られ、また、図1の冷却4で示すよう
にゆっくりと冷やした場合には、図2の(ニ)に示すよ
うなαとβの針状混合組織となり、旧β結晶粒界に沿っ
てαの折出相が得られた。
【0015】さらに、前記冷却1と冷却4との中間の冷
却時間、つまり、300℃になるまでの鋳放し状態にお
ける冷却時間を20分〜60分の間で行った冷却2と冷
却3では、図2の(ロ)及び(ハ)に示すように、いず
れもβ等軸晶中にαの針状等軸晶が均一に分散した組織
(時効折出組織)となって得られ、冷却2に比べて冷却
時間のゆっくりしている冷却3では前記αの針状等軸晶
が粗大化したものが得られた。
却時間、つまり、300℃になるまでの鋳放し状態にお
ける冷却時間を20分〜60分の間で行った冷却2と冷
却3では、図2の(ロ)及び(ハ)に示すように、いず
れもβ等軸晶中にαの針状等軸晶が均一に分散した組織
(時効折出組織)となって得られ、冷却2に比べて冷却
時間のゆっくりしている冷却3では前記αの針状等軸晶
が粗大化したものが得られた。
【0016】このようにして製造した各ゴルフヘッドに
カーボンシャフトをつけてゴルフクラブに組み立て、ロ
ボットによるゴルフボールの飛距離テストを行った結果
を下記の表1に示す。
カーボンシャフトをつけてゴルフクラブに組み立て、ロ
ボットによるゴルフボールの飛距離テストを行った結果
を下記の表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】表1において、条件A、条件B、条件C、
条件Dは、それぞれヘッドスピードが35 m/s、40 m
/s、45 m/s、50 m/s、であって、各々が女性、普通
者、強打者、プロ相当者に対応する。
条件Dは、それぞれヘッドスピードが35 m/s、40 m
/s、45 m/s、50 m/s、であって、各々が女性、普通
者、強打者、プロ相当者に対応する。
【0019】表1に示すように、各条件のヘッドスピー
ドにおいても飛距離特性は、冷却1及び冷却4に比べて
冷却2と冷却3が勝っていることが分かる。したがっ
て、ゴルフヘッドの飛距離特性を向上させるためには、
チタン合金を図1に示すような冷却2及び冷却3の鋳物
の冷却速度で冷却を行って図2の(ロ)及び(ハ)のよ
うな時効折出組織にすることが必要であるものと考えら
れる。
ドにおいても飛距離特性は、冷却1及び冷却4に比べて
冷却2と冷却3が勝っていることが分かる。したがっ
て、ゴルフヘッドの飛距離特性を向上させるためには、
チタン合金を図1に示すような冷却2及び冷却3の鋳物
の冷却速度で冷却を行って図2の(ロ)及び(ハ)のよ
うな時効折出組織にすることが必要であるものと考えら
れる。
【0020】(実施の形態2)次に、下記表2に示す種
々のチタン合金のゴルフヘッド(形状は実施の形態1と
同じ)を前記実施の形態1と同様の精密鋳造で製造し、
この際の鋳放し状態の冷却時間を鋳造直後から300℃
まで20分〜60分にして(実施形態1における冷却2
及び冷却3の状態)、各チタン合金で製造したゴルフヘ
ッド本体におけるフェイス面の組織観察を行った。
々のチタン合金のゴルフヘッド(形状は実施の形態1と
同じ)を前記実施の形態1と同様の精密鋳造で製造し、
この際の鋳放し状態の冷却時間を鋳造直後から300℃
まで20分〜60分にして(実施形態1における冷却2
及び冷却3の状態)、各チタン合金で製造したゴルフヘ
ッド本体におけるフェイス面の組織観察を行った。
【0021】
【表2】
【0022】その結果、Ti-6%Al-4%V 合金では、組織は
αとβの混合組織を示し、冷却4の状態(図2の
(ニ))に類似していた。また、Ti-10%V-2%Fe-3%Al と
Ti-5%Al-2%Cr-1%Fe 合金では、図2の(ロ)及び(ハ)
に示すようなβ等軸晶中にαの針状等軸晶が均一に分散
した組織(時効折出組織)となっていた。Ti-15%V-3%Al
-3%Cr-3%Sn合金については、図2の(イ)に示すような
β等軸晶の単相組織となっていた。尚、表2において単
位は重量%であり、その残部はチタン(Ti)である。
αとβの混合組織を示し、冷却4の状態(図2の
(ニ))に類似していた。また、Ti-10%V-2%Fe-3%Al と
Ti-5%Al-2%Cr-1%Fe 合金では、図2の(ロ)及び(ハ)
に示すようなβ等軸晶中にαの針状等軸晶が均一に分散
した組織(時効折出組織)となっていた。Ti-15%V-3%Al
-3%Cr-3%Sn合金については、図2の(イ)に示すような
β等軸晶の単相組織となっていた。尚、表2において単
位は重量%であり、その残部はチタン(Ti)である。
【0023】このようにして製造した上記各チタン合金
の鋳造によるゴルフヘッドにカーボンシャフトをつけて
ゴルフクラブを組み立て、ロボットによるゴルフボール
の飛距離テストを行って下記表3に示す実験結果を得
た。
の鋳造によるゴルフヘッドにカーボンシャフトをつけて
ゴルフクラブを組み立て、ロボットによるゴルフボール
の飛距離テストを行って下記表3に示す実験結果を得
た。
【0024】
【表3】
【0025】表3の実験結果から明らかにように、鋳放
し状態で時効折出組織となったモリブデン当量(Mo eq.)
が0〜10の範囲でのチタン合金で製造したゴルフヘッ
ドの飛距離が他のチタン合金に比べて格段に大きかっ
た。尚、条件A、条件B、条件C及び条件Dはそれぞれ
前記表1で示したヘッドスピードの条件と同じである。
し状態で時効折出組織となったモリブデン当量(Mo eq.)
が0〜10の範囲でのチタン合金で製造したゴルフヘッ
ドの飛距離が他のチタン合金に比べて格段に大きかっ
た。尚、条件A、条件B、条件C及び条件Dはそれぞれ
前記表1で示したヘッドスピードの条件と同じである。
【0026】
【発明の効果】本発明による、鋳造で成形したチタン合
金ゴルフクラブ用ヘッドは、チタン合金のモリブデン当
量を0〜10とし、しかもゴルフヘッド本体の形状のも
のを鋳造する際の鋳物の冷却速度を時効折出組織となる
ようにしたので、ゴルフヘッドの飛距離を従来品に比し
飛躍的に向上させることができ、スコアメイクに大いに
貢献でき得るものである。また、このゴルフクラブ用ヘ
ッドは鋳造で製造したものであるから、クラブ形状の自
由度が大きく、飛距離を大きくするようなゴルフヘッド
の形状設計に好適である。
金ゴルフクラブ用ヘッドは、チタン合金のモリブデン当
量を0〜10とし、しかもゴルフヘッド本体の形状のも
のを鋳造する際の鋳物の冷却速度を時効折出組織となる
ようにしたので、ゴルフヘッドの飛距離を従来品に比し
飛躍的に向上させることができ、スコアメイクに大いに
貢献でき得るものである。また、このゴルフクラブ用ヘ
ッドは鋳造で製造したものであるから、クラブ形状の自
由度が大きく、飛距離を大きくするようなゴルフヘッド
の形状設計に好適である。
【図1】アルゴンの強制対流下で750℃から冷却した
時のゴルフヘッドの各冷却曲線図である。
時のゴルフヘッドの各冷却曲線図である。
【図2】(イ)(ロ)(ハ)(ニ) 図1の各冷却曲線に対応して得られる鋳物のミクロ組織
の模式図を示すもので、図2の(イ)は図1中の冷却1
の状態で得られたミクロ組織であり、図2の(ロ)は図
1中の冷却2の状態で得られたミクロ組織、図2の
(ハ)は図1中の冷却3の状態で得られたミクロ組織、
図2の(ニ)は図1中の冷却4の状態で得られたミクロ
組織である。
の模式図を示すもので、図2の(イ)は図1中の冷却1
の状態で得られたミクロ組織であり、図2の(ロ)は図
1中の冷却2の状態で得られたミクロ組織、図2の
(ハ)は図1中の冷却3の状態で得られたミクロ組織、
図2の(ニ)は図1中の冷却4の状態で得られたミクロ
組織である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 寺田 好則 東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 株式会社神戸製鋼所 東京本社内 (72)発明者 佐藤 敬 宮城県名取市智が丘2丁目20番9号 (56)参考文献 特開 平8−117366(JP,A) 特開 平4−367678(JP,A) 特開 平7−258798(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A63B 53/04 B22D 30/00 C22C 14/00 C22F 1/18
Claims (1)
- 【請求項1】 ソール面に開口部を有する中空のチタン
合金ゴルフクラブヘッド本体を一体的に精密鋳造し、前
記開口部に一致するチタン板のソール蓋をプレス加工に
より製造し、前記ゴルフクラブヘッド本体をソール蓋に
より封着して製造した中空のゴルフクラブ用ヘッドにお
いて、 前記ゴルフクラブヘッド本体はモリブデン当量0〜10
を含むチタン合金で精密鋳造し、該鋳造直後から300
℃になるまでの鋳放し状態における冷却時間を20分〜
60分間に制御して製造したことを特徴とするゴルフク
ラブ用ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8143012A JP2793798B2 (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ゴルフクラブ用ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8143012A JP2793798B2 (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ゴルフクラブ用ヘッド |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09322951A JPH09322951A (ja) | 1997-12-16 |
JP2793798B2 true JP2793798B2 (ja) | 1998-09-03 |
Family
ID=15328902
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8143012A Expired - Fee Related JP2793798B2 (ja) | 1996-06-05 | 1996-06-05 | ゴルフクラブ用ヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2793798B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6001495A (en) * | 1997-08-04 | 1999-12-14 | Oregon Metallurgical Corporation | High modulus, low-cost, weldable, castable titanium alloy and articles thereof |
JP4257581B2 (ja) | 2002-09-20 | 2009-04-22 | 株式会社豊田中央研究所 | チタン合金およびその製造方法 |
JP4548008B2 (ja) * | 2004-06-15 | 2010-09-22 | 大同特殊鋼株式会社 | β型Ti−Zr系合金及びその製造方法、β型Ti−Zr系合金部材 |
-
1996
- 1996-06-05 JP JP8143012A patent/JP2793798B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09322951A (ja) | 1997-12-16 |
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