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JP2750374B2 - 酸素法によるβ―グルコオリゴ糖の新規製造法 - Google Patents

酸素法によるβ―グルコオリゴ糖の新規製造法

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JP2750374B2
JP2750374B2 JP4128989A JP4128989A JP2750374B2 JP 2750374 B2 JP2750374 B2 JP 2750374B2 JP 4128989 A JP4128989 A JP 4128989A JP 4128989 A JP4128989 A JP 4128989A JP 2750374 B2 JP2750374 B2 JP 2750374B2
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glucose
reaction
glucosidase
enzyme
gluco
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JP4128989A
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嚴太郎 岡田
義正 田中
輝夫 中久喜
剛裕 海野
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Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
Original Assignee
Nihon Shokuhin Kako Co Ltd
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、微生物起源のβ−グルコシダーゼの縮合・
転移反応を利用したβ−グルコオリゴ糖の新規製造法に
関する。
「従来の技術」 従来、スイートアーモンドやビターアーモンドのよう
な、いわゆる高等植物起源のβ−グルコシダーゼを高濃
度のD−グルコース溶液に作用させると、セロビオー
ス、ゲンチオビオースなどのβ−グルコ2糖が合成され
ることが知られている。しかし、更に鎖長を伸長した3
糖、4糖のような長鎖のβ−グルコオリゴ糖の合成例
は、ほとんど報告されていない。
現在、各種のα−グルコオリゴ糖は主に食品並びに医
薬品関連分野などで活用されている。しかし、β−グル
コオリゴ糖に関してはその有機合成法や酵素合成法など
が確立されておらず、またその基本的な性質が未解明で
あることともあいまって、その利用・応用に関する知見
はほとんど見当たらない現状である。
また、高等植物起源のβ−グルコシダーゼは一般酵素
製剤として大量調製することが困難なため、酵素法によ
るβ−グルコオリゴ糖の調製に資するには不適当であ
る。
「発明が解決しようとする課題」 本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためにな
されたものであり、その目的は、酵素製剤への大量調製
が比較的容易でかつ、従来ほとんど注目されていなかっ
た微生物起源のセルラーゼ系の構成要素の一員であるβ
−グルコシダーゼを利用して、β−グルコオリゴ糖を酵
素的に合成するβ−グルコオリゴ糖の新規製造法を提供
することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究した
結果、高濃度のD−グルコース及び/又はD−セロビオ
ース溶液に、微生物起源のβ−グルコシダーゼを比較的
高温で作用させると、驚くべきことにβ−グルコオリゴ
糖が効率的に生成される事実を発見し、本発明を完成す
るに至った。
すなわち、本発明のβ−グルコオリゴ糖の新規製造法
は、微生物起源のβ−グルコシダーゼをグルコース及び
/又はβ−グルコオリゴ糖に作用させて、より高重合度
のβ−グルコオリゴ糖を顕著に生成・蓄積せしめること
を特徴とする。
本発明では、微生物起源のβ−グルコシダーゼが具備
する縮合・転移作用の極限機能を最大限に発揮させるこ
とにより、従来その製造法が未確立であり、かつ多方面
に高度利用され得るβ−グルコオリゴ糖を高収率かつ高
濃度に生成・蓄積させることができる。
本発明においては、各種微生物起源のβ−グルコシダ
ーゼを用いることが可能であり、例えば、糸状菌のトリ
コデルマ・ビリティ(Trichoderma viride)、トリコデ
ルマ・リーサイ(Trichoderma reesei)、トリコデルマ
・コニンギー(Trichoderma koningii)、アスペルギル
ス・ニガー(Aspergillus niger)、ペニシリウム・フ
リクエンタンス(Penicillium frequentans)等、木材
腐朽菌のポリポラス・トゥリピフェリー(Polypolus tu
lipiferae)、クリソスポリウム・リグノルム(Chrysos
porium lignorum)、シゾフィラム・コミューン(Shizo
phyllum commune)等、また細菌のシュードモナス・フ
ルオレッセンス(Pseudomanas fluorescens var.cellul
osa)、セルロモナス・ウダ(Cellulomonas uda)、ク
ロストリディウム・サーモセラム(Clostridium thermo
cellum)、ルミノコッカス・アルバス(Ruminococcus a
lbus)等の微生物起源の酵素が好ましく用いられる。こ
れらの微生物は、いずれも公知であり、容易に入手し、
酵素を調製することができる。
また、基質としては、D−グルコース及び/又はβ−
グルコオリゴ糖が用いられる。ここで、基質となるβ−
グルコオリゴ糖は、セロビオース、ゲンチオビオース、
あるいはそれ以上の重合度のゲンチオオリゴ糖などを意
味している。基質としてβ−グルコオリゴ糖を用いた場
合には、本酵素反応によってより高重合度のβ−グルコ
オリゴ糖を得ることができる。特に好ましくは、基質と
してグルコース、セロビオース、ゲンチオビオースから
選ばれた少なくとも一種が用いられる。
本酵素反応により、反応生成物としては、セロビオー
ス、ゲンチオビオース、4−−β−D−ゲンチオリゴ
シル−D−グルコース、6−−β−D−ゲンチオオリ
ゴシル−D−グルコースなどの各種β−グルコオリゴ糖
が得られる。ここで、4−−β−D−ゲンチオリゴシ
ル−D−グルコースとは、4−−β−D−ゲンチオビ
オシル−D−グルコース、4−−β−D−ゲンチオト
リオシル−D−グルコースあるいはそれ以上の重合度の
ものを意味する。また、6−−β−D−ゲンチオオリ
ゴシル−D−グルコースとは、6−−β−D−ゲンチ
オビオシル−D−グルコース(ゲンチオトリオース)、
6−−β−D−ゲンチオトリオシル−D−グルコース
(ゲンチオテトラオース)あるいはそれ以上の重合度の
ゲンチオオリゴ糖を意味する。
これらの反応生成物は、使用する酵素によっても変化
するが、基質としてグルコースやセロビオースを用いた
場合には、上記各種のβ−グルコオリゴ糖が何種類か混
在して生成されやすい傾向がある。また、基質としてゲ
ンチオビオースを用いた場合には、反応生成物として、
6−−β−D−ゲンチオビオシル−D−グルコース、
6−−β−D−ゲンチオトリオシル−D−グルコース
などのゲンチオオリゴ糖のみが形成されやすい傾向があ
る。
次に、酵素反応条件について説明すると、基質濃度
は、特に限定されないが、通常1〜90%(固形量/容
積)が好ましく、5〜80%(固形量/容積)が更に好ま
しい。
また、本発明において、基質に対する酵素濃度は、高
ければ高いほど良いが、通常、基質1g当り100mg以上使
用することが好ましい。
反応温度及び反応pHは、使用酵素の最適反応条件下で
行えばよい。通常、反応温度は、30〜80℃が好ましく、
50〜70℃がより好ましい。反応pHは3〜8程度が好まし
い。
反応時間は、目的とするβ−グルコオリゴ糖が十分生
成・蓄積される時間とすればよいが、通常、2分から72
時間程度が適当である。
反応の方法は、基質に酵素を添加して行えばよく、あ
るいは酵素を適当な固形化剤に吸着させて固定化酵素と
し、この固定化酵素を用いる連続反応方式で行ってもよ
い。
「作用」 一般に微生物起源のβ−グルコシダーゼ類は、通常の
反応条件下では、各種のβ−グルコシドやβ−グルコ2
糖を加水分解してグルコースを生成せしめる機能を有す
る。しかしながら、これらの酵素は、特に高濃度で高濃
度のD−グルコースに作用させた場合、本酵素自身の具
備する縮合・転移作用により2分子のグルコースからβ
−グルコ2糖を合成する。例えば、高濃度グルコースに
高濃度の微生物起源のβ−グルコシダーゼを作用させた
場合、まず、本酵素は特異的にβ−D−グルコースをド
ナー気質として要求し、そのヘミアセタール−OH基をア
クセプターとなる他のグルコース分子のC4−又はC6−カ
ルビノールに縮合あるいは転移させ、セロビオースある
いはゲンチオビオースを生成させる。このように生成さ
れたβ−グルコ2糖は、更に本酵素のアクセプター基質
となり、糖転移作用により更に長鎖長のβ−グルコオリ
ゴ糖類が生成・蓄積されていく。例えばセロビオースが
アクセプター基質として用いられた場合、セロトリオー
スあるいは4−−β−D−ゲンチオビオシル−D−グ
ルコースを生成させる。引き続いてこのβ−グルコ3糖
が、本酵素のアクセプター基質となり、より長鎖長のβ
−グルコオリゴ糖類が生成・蓄積されていく。
また、微生物起源のβ−グルコシダーゼを高濃度で高
濃度のβ−オリゴ糖、例えばセロビオースに作用させた
場合には、まず、本酵素はセロビオースをドナー基質と
して要求し、そのβ−1、4−グルコシド結合を開裂さ
せ、非還元性末端側のグルコシルラジカルを他のセロビ
オース分子の非還元性末端側のグルコシル残基のC4−又
はC6−カルビノールへ転移させ、セロトリオースあるい
は4−−β−D−ゲンチオビオシル−D−グルコース
を生成させる。このように生成されたβ−グルコ3糖
は、更に本酵素のアクセプター基質となり、より長鎖長
のβ−グルコオリゴ糖類が生成・蓄積されていく。例え
ば、4−−β−D−ゲンチオビオシル−D−グルコー
スがアクセプター基質として用いられた場合、4−
β−D−ゲンチオトリオシル−D−グルコースが生成さ
れる。更にそれがアクセプター基質として利用された場
合、4−−β−D−ゲンチオテトラオシル−D−グル
コースが生成される。
更に、微生物起源のβ−グルコシダーゼを高濃度で高
濃度のゲンチオオリゴ糖、例えばD−ゲンチオビオース
に作用させた場合には、本酵素はD−ゲンチオビオース
をドナー基質として要求し、そのβ−1、6−グルコシ
ド結合を開裂させ、非還元性末端側のグルコシルラジカ
ルを他のD−ゲンチオビオース分子の非還元性末端側の
グルコシル残基のC6−カルビノールへ転移させ、ゲンチ
オトリオース(6−−β−D−ゲンチオビオシル−D
−グルコース)を生成させる。このように生成されたゲ
ンチオトリオースは、更に本酵素のアクセプター基質と
なり、より長鎖長のゲンチオオリゴ糖類が生成・蓄積さ
れていく。
これらの反応で重要なことは、基質鎖長が長ければ長
いほど、この糖転移反応のアクセプター基質として利用
し易いという傾向が認められることである。このこと
は、本酵素の糖転移作用を利用することにより、容易に
しかも大量の長鎖β−グルコオリゴ糖を酵素的に合成す
ることが可能であることを示している。
また、酵素法によるβ−グルコオリゴ糖類の新規合成
法は、有機溶媒や人体に悪影響をおよぼすその他の化学
物質を用いないため、この方法で製造される一連のβ−
グルコオリゴ糖は、一般食品分野や医薬品分野におい
て、例えば食品の品質改良剤、整理活性物質、分析用試
薬などとして広く用いられることが期待される。
「実施例」 実施例1 トリコデルマ・ビリディ(Trichoderma viride)起源
のβ−グルコシダーゼを、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)、
に溶解し、50mg/mlの酵素溶液に調製する。次に、α−
あるいはβ−D−グルコース300mgにそれぞれ本酵素溶
液0.8mlを添加し、各反応混液を30℃で2、5、10分間
作用させ、各反応終了時にそれぞれ1mlのジメチルスル
ホキシド(DMSO)を添加し、100℃、10分間加熱し、反
応を停止した。各反応混液中の生成物についてペーパー
クロマトグラフィーを用いて定性的に検討した。得られ
た結果を第1図(a)、(b)に示す。第1図(a)
は、基質としてβ−グルコースを用いた結果、(b)は
基質としてα−グルコースを用いた結果を示している。
また、図中の△Eは、熱失活させた酵素を用いた場合を
示している。
この図に示されているように、本酵素はβ−グルコー
スに特異的に作用し、縮合及び/又は転移反応によりセ
ロビオース及びゲンチオビオースを生成する。すなわ
ち、本酵素はドナー基質としてβ−グルコースを特異的
に要求し、セロビオース及びゲンチオビオースを新たに
合成することが確認された。
実施例2 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)起源
のβ−グルコシダーゼを、50mM酢酸緩衝液(pH5、0)
に溶解し、50mg/mlの酵素溶液を調製する。次に、α−
あるいはβ−D−グルコース300mgにそれぞれ本酵素溶
液0.8mlを添加し、各反応混液を30℃で2、5、10分間
作用させ、各反応終了時にそれぞれ1mlのDMSOを添加
し、100℃、10分間加熱し、反応を停止した。反応生成
物を定量するためにWhatman 3MM濾紙に反応溶液の一定
量をバンド状に添着しペーパークロマトグラフィーを行
った。ペーパークロマトグラム上の各生成物に相当する
糖質をそれぞれ水抽出し、各抽出液中の全糖量をフェノ
ール硫酸法により定量し、グルコース換算で表示した。
得られた結果を第2図に示す。この図で−●−はβ−
D−グルコースからのセロビオース、−▲−はβ−D−
グルコースからのゲンチオビオース、−○−はα−D−
グルコースからのセロビオース、−△−はα−D−グル
コースからのゲンチオビオースの定量値をそれぞれ示し
ている。
この図から明らかなように、本酵素もトリコデルマ・
ビリディ(Trichoderma viride)のβ−グルコシダーゼ
と全く同様にドナー基質としてβ−グルコースを特異的
に要求し、反応初期にセロビオースを迅速に生成し、そ
の後平衡に達している。また、本反応条件下において、
セロビオースに次いでゲンチオビオースも生成されるこ
とが確認された。
実施例3 次に、微生物起源のβ−グルコシダーゼと高等植物起
源のβ−グルコシダーゼを用い、実施例1と同様な実験
を行ない、それらの糖転移能を比較した。この結果を第
3図(a)、(b)に示す。
第3図(a)は、100mgのD−セロビオースに、スイ
ートアーモンド起源のβ−グルコシダーゼ1ml[2mg、50
mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加し、60℃で、2、5、1
0、20分、1、2、48時間作用させ、経時的に得られる
反応生成物をペーパークロマトグラフィーにより定性し
た結果を示している。
また、第3図(b)は、100mgのD−セロビオース
に、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)起
源のβ−グルコシダーゼ1ml[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH
5.0)]を添加し、60℃で、2、5、10、20分、1、2
4、48時間作用させ、経時的に得られる反応生成物をペ
ーパークロマトグラフィーにより定性した結果を示して
いる。
このように、スイートアーモンド起源のβ−グルコシ
ダーゼの場合、転移生成物としてわずかにゲンチオビオ
ースが確認されるに過ぎないのに対して、アスペルギル
ス、ニガー(Aspergillus niger)起源のβ−グルコシ
ダーゼにおいては、ゲンチオビース以外にも3糖、4
糖、5糖と思われる転移生成物が確認された。これら
は、それぞれ4−−β−D−ゲンチオビオシル−D−
グルコース、4−−β−D−ゲンチオトリオシル−D
−グルコース、4−−β−D−ゲンチオテトラオシル
−D−グルコースと同定された。
また、トリコデルマ・ビリディ(Trichoderma virid
e)起源のβ−グルコシダーゼにおいても、アスペルギ
ルス・ニガー(Aspergillus niger)起源のβ−グルコ
シダーゼの場合と全く同様の作用様式を示すことが確認
された。
実施例4 100mgのD−セロビオースに、トリコデルマ・ビリデ
ィ(Trichoderma viride)起源のβ−グルコシダーゼ1m
l[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加し、30℃
で、2、5、10、20、60分間作用させ、各反応終了後に
それぞれ1mlのDMSOを添加し、100℃10分間加熱し、反応
を停止した。反応生成物を定量するためにWhatman 3MM
濾紙に反応混液の一定量をバンド状に添着し、ペーパー
クロマトグラフィーを行った。
また、100mgのD−セロビオースに、アスペルギルス
・ニガー(Aspergillus niger)起源のβ−グルコシダ
ーゼ1ml[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加し、6
0℃で、2、5、10、20、60分間作用させ、各反応終了
時にそれぞれ1mlのDMSOを添加し、100℃、10分間加熱
し、反応を停止した。反応生成物を定量するために上記
の方法と全く同様に、Whatmas 3MM濾紙に反応混液の一
定量をバンド状に添着し、ペーパークロマトグラフィー
を行った。
得られた両者のペーパークロマトグラムから各生成物
に相当する糖質をそれぞれ水抽出し、各抽出液中の全糖
量をフェノール硫酸法により定量し、グルコース換算で
表示した。この結果を第4図に示す。この図で−●−、
−▲−及び−■−は、トリコデルマ・ビリディ(Tricho
derma viride)起源のβ−グルコシダーゼの作用により
生成された、4−−β−D−ゲンチオビオシル−D−
グルコース、4−−β−D−ゲンチオトリシル−D−
グルコース及びゲンチオビオースをそれぞれ示してい
る。また、−○−及び−□−はアスペルギルス・ニガー
(Aspergillus niger)起源のβ−グルコシダーゼの作
用により生成された、4−−β−D−ゲンチオビオシ
ル−D−グルコース及びゲンチオビオースをそれぞれ示
している。
従って、これらのβ−グルコシダーゼは、セロビオー
スからグルコースを遊離する際、反応初期に迅速にグル
コース鎖を伸長する機能を有していることが明らかとな
った。
上述の実験結果から推測される各種微生物起源のβ−
グルコシダーゼの具備する糖転移反応機構を図示したも
のが第5図である。図中、Gはグルコース残基を、ま
た、Gn(nは正の整数)は、n=1のときはグルコー
ス、n=2以上のときはその整数に対応する重合度を有
するβ−グルコオリゴ糖を表わす。
反応の第一段階で、まずβ−グルコ2糖とβ−グルコ
シダーゼとが複合体を形成する。次いで次の第二段階
で、β−グルコ2糖中のβ−グルコシド結合が切断さ
れ、β−グルコ2糖中の非還元性末端側のグルコシル残
基とβ−グルコシダーゼとが複合体を形成する。更に、
第三段階で、その非還元性末端側のグルコシルラジカル
を、アクセプター基質となるグルコースあるいはβ−グ
ルコオリゴ糖とC6−カルビノールへ転移し、アクセプタ
ー基質のグルコース鎖長を伸長すると考えられる。
実施例5 アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)起源
のβ−グルコシダーゼを、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)に
溶解し、300mg/mlの酵素溶液を調製する。次に、D−グ
ルコース5gを本酵素溶液3.0mlを添加し、反応混液を60
℃で3日間作用させ、100℃、10分間加熱し、反応を停
止した。こうして得られた反応生成物をペーパークロマ
トグラフィーにより検討した。このペーパークロマトグ
ラムを第6図に示す。図において、Tは上記酵素反応
液、ΔEは熱失活させた酵素を用いた場合、Stdは標準
糖質を示している。また、G1〜G6はグルコース及び一連
のゲンチオオリゴ糖を示している。図から明らかなよう
に、本反応により一連のゲンチオオリゴ糖が生成・蓄積
された。
次に、各反応生成物を定量するために、Whatman 3MM
濾紙に反応混液の一定量をバンド状に添着し、ペーパー
クロマトグラフィーを行った。ペーパークロマトグラム
上の各生成物に相当する糖質をそれぞれ水抽出し、各抽
出液の全糖量をフェノール硫酸法により定量し、そのグ
ルコース換算値の相対量を求め、D−グルコースから一
連のゲンチオオリゴ糖への転換率を求めて図中の括弧内
に示した。
これらの数値から明らかなように、本酵素は、高濃度
で、高濃度のD−グルコース溶液に作用させることによ
り、高収率で一連のゲンチオオリゴ糖を生成・蓄積させ
ることができる。
実施例6 100mgのD−ゲンチオビオースにトリコデルマ・ビリ
ディ(Trichoderma viride)起源のβ−グルコシダーゼ
1ml[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加し、30℃
で4、10、20、40、120分間作用させ、各反応終了時に
それぞれ1mlのDMSOを添加し、100℃、10分間加熱し、反
応を停止した。反応生成物を確認するために、ペーパー
クロマトグラフィーを行った。このクロマトグラムを第
7図に示す。図において、G1〜G5はグルコース及び一連
のゲンチオオリゴ糖を示している。この図から明らかな
ように、本酵素の具備する糖転移作用により、一連のゲ
ンチオオリゴ糖が生成されていることが分かる。
実施例7 100mgのD−ゲンチオビオースにトリコデルマ・ビリ
ディ(Trichoderma viride)起源のβ−グルコシダーゼ
1ml[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加し、30℃
で4、10、20、40、120分間作用させ、各反応終了時に
それぞれ1mlのDMSOを添加し、100℃、10分間加熱し、反
応を停止した。反応生成物を定量するために、Whatman
3MM濾紙に反応混液の一定量をバンド状に添着し、ペー
パークロマトグラフィーを行った。
また、100mgのD−ゲンチオビオースにアスペルギル
ス・ニガー(Aspergillus niger)起源のβ−グルコシ
ダーゼ1ml[2mg、50mM酢酸緩衝液(pH5.0)]を添加
し、60℃で4、10、20、40、120分間作用させ、各反応
終了時にそれぞれ1mlのDMSOを添加し、100℃、10分間加
熱し、反応を停止した。反応生成物を定量するために前
述した方法と全く同様に、Whatman 3MM濾紙に反応混液
の一定量をバンド状に添着し、ペーパークロマトグラフ
ィーを行った。
両者のペーパークロマトグラム上の各生成物に相当す
る糖質をそれぞれ水抽出し、各抽出液中の全糖量をフェ
ノール硫酸法により定量した。得られた両者の定量値を
第8図に示す。
図において、−●−、−▲−及び−■−は、トリコデ
ルマ・ビリディ(Trichoderma viride)起源のβ−グル
コシダーゼの作用により生成された、ゲンチオトリオー
ス、(6−−β−D−ゲンチオビオシル−D−グルコ
ース)、ゲンチオテトラオース(6−−β−D−ゲン
チオトリオシル−D−グルコース)及びゲンチオペンタ
オース(6−−β−D−ゲンチオテトラオシル−D−
グルコース)をそれぞれ示している。また、−○−、−
△−及び−□−は、アスペルギルス・ニガー(Aspergil
lus niger)起源のβ−グルコシダーゼの作用により生
成された、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース
及びゲンチオペンタオースをそれぞれ示している。
従って、これらのβ−グルコシダーゼは、D−ゲンチ
オビオースからグルコースを遊離する際、反応初期に、
迅速にグルコース鎖を伸長し、一連のゲンチオオリゴ糖
を生成する機能を有していることが判明した。
「発明の効果」 以上説明したように、本発明によれば、微生物起源の
β−グルコシダーゼの縮合・転移反応を利用することに
より、従来、その有機合成法や酵素合成法などが確立さ
れていなかったβ−グルコオリゴ糖を、工業的に大量に
製造する方法を提供することができる。こうして得られ
たβ−グルコオリゴ糖は、食品分野や医薬品分野におい
て、例えば食品の品質改良剤、生理活性物質、分析用試
薬などとして広く用いられることが期待される。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)、(b)は、トリコデルマ・ビリディ(Tr
ichoderma viride)起源のβ−グルコシダーゼをそれぞ
れα−あるいはβ−D−グルコースに作用させ、酵素に
よる縮合及び/又は転移生成物を定性的に示したペーパ
ークロマトグラムである。 第2図は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)起源のβ−グルコシダーゼをそれぞれα−あるいは
β−D−グルコースに作用させ、酵素による縮合及び/
又は転移生成物を定量した結果を示す図である。 第3図(a)、(b)は、スイートアーモンド(図
(a))及びトリコデルマ・ビリディ(Trichoderma vi
ride、図(b))起源のβ−グルコシダーゼをD−セロ
ビオースに作用させ、両酵素による糖転移生成物を定性
的に示したペーパークロマトグラムである。 第4図は、トリコデルマ・ビリディ(Trichoderma viri
de)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)起源のβ−グルコシダーゼをそれぞれD−セロビオ
ースに作用させ、両酵素による糖転移生成物を定量した
結果を示す図である。 第5図は、各種微生物起源のβ−グルコシダーゼの具備
する糖転移反応機構の詳細を段階的に示した図である。 第6図は、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)起源のβ−グルコシダーゼをD−グルコースに作用
させ、本酵素による縮合・転移生成物を定性・定量的に
示したペーパークロマトグラムである。 第7図は、トリコデルマ・ビリディ(Trichoderma viri
de)起源のβ−グルコシダーゼをD−ゲンチオビオース
に作用させ、本酵素による糖転移生成物を定性的に示し
たペーパークロマトグラムである。 第8図は、トリコデルマ・ビリディ(Trichoderma viri
de)及びアスペルギルス・ニガー(Aspergillus nige
r)起源のβ−グルコシダーゼをそれぞれD−ゲンチオ
ビオースに作用させ、両酵素による糖転移生成物を定量
した結果を示す図である。 図中、Gはグルコース残基、Gn(nは正の整数)はn=
1のときはグルコース、n=2以上のときはその整数に
対応する集合度を有するβ−グルコオリゴ糖、G1〜G6
グルコース及び一連のゲンチオオリゴ糖を表わす。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】微生物起源のβ−グルコシダーゼをグルコ
    ース及び/又はβ−グルコオリゴ糖に作用させて、より
    高重合度のβ−グルコオリゴ糖を顕著に生成・蓄積せし
    めることを特徴とする酵素法によるβ−グルコオリゴ糖
    の新規製造法。
  2. 【請求項2】基質としてグルコース、セロビオース、ゲ
    ンチオビオースから選ばれた少なくとも一種を用いる請
    求項1記載のβ−グルコオリゴ糖の新規製造法。
  3. 【請求項3】生成されるβ−グルコオリゴ糖が、セロビ
    オース、ゲンチオビオース、4−−β−D−ゲンチオ
    オリゴシル−D−グルコース及び6−−β−D−ゲン
    チオオリゴシル−D−グルコースから選ばれた少なくと
    も1種である請求項1又は2記載のβ−グルコオリゴ糖
    の新規製造法。
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