[go: up one dir, main page]

JP2743777B2 - 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法 - Google Patents

着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法

Info

Publication number
JP2743777B2
JP2743777B2 JP5174302A JP17430293A JP2743777B2 JP 2743777 B2 JP2743777 B2 JP 2743777B2 JP 5174302 A JP5174302 A JP 5174302A JP 17430293 A JP17430293 A JP 17430293A JP 2743777 B2 JP2743777 B2 JP 2743777B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel sheet
film
galvanized steel
resin
chromate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP5174302A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0734259A (ja
Inventor
誠治 坂東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP5174302A priority Critical patent/JP2743777B2/ja
Publication of JPH0734259A publication Critical patent/JPH0734259A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2743777B2 publication Critical patent/JP2743777B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Treatment Of Metals (AREA)
  • Coating With Molten Metal (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電、建材製
品等の外装用に使用するのに好適な表面外観を有し、か
つ潤滑性と耐食性にも優れている着色潤滑処理亜鉛系め
っき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境破壊の防止対策が世界的
な問題となっており、中でも強烈な紫外線から我々を守
っているオゾン層の破壊防止は重要な課題である。1987
年9月モントリオールでフロン規制の議定書が採択され
たのをはじめ、わが国でも1988年に国内法が成立するな
ど、フロンや水質汚染の原因となるトリクレンなどのハ
ロゲン化炭化水素系有機溶剤の使用が規制されるように
なっている。
【0003】一般に鋼板を加工する際には、摩擦抵抗の
低減のためにプレス油を塗布する。塗布されたプレス油
は、加工後の脱脂工程で脱脂される。この脱脂工程でよ
く用いられるトリクロロエタンはオゾン層破壊物質であ
り、1995年には全廃される予定である。
【0004】さらに、プレス作業職場の環境改善や脱脂
工程省略によるコストダウンの観点から、プレス油塗布
−脱脂工程が省略できる、予め潤滑処理が施された潤滑
処理鋼板に対するニーズが高まっている。
【0005】以上のような情況から、次に例示するよう
に、種々の潤滑処理鋼板が提案されている。 特開平3−96337 号:クロメート処理した電気亜鉛めっ
き鋼板に、アクリル化エポキシ樹脂中にフッ素系樹脂粒
子およびシリカ粒子を含有する樹脂皮膜が形成されてい
るプレス加工性に優れる樹脂塗装鋼板。 特開平3−17190 号:クロメート処理した亜鉛めっき鋼
板に、フッ素系樹脂粒子およびシリカ粒子を含有するモ
ンタンワックス酸化物の被膜が形成されている潤滑性、
耐食性に優れる表面処理鋼板。 特開平3−17189 号:クロメート処理した亜鉛めっき鋼
板に、ウレタン変性ポリオレフィン系樹脂中にフッ素系
樹脂粒子およびシリカ粒子を含有する樹脂皮膜が形成さ
れている潤滑性、耐食性に優れる樹脂塗装鋼板。 特開平3−28380 号:亜鉛系(=亜鉛または亜鉛合金)
電気めっき鋼板の表面にクロメート皮膜を形成し、その
上にフッ素系樹脂を含有するカルボキシル化したポリエ
チレン系ディスパージョンの塗布層を有する潤滑性およ
び耐食性に優れる表面処理鋼板。 特開平3−16726 号:亜鉛系電気または溶融めっき鋼板
の表面にクロメート皮膜を形成し、その上に水酸基およ
び/またはカルボキシル基を有する樹脂中にシリカとポ
リオレフィンワックスとを含有する樹脂皮膜を有する成
形性に優れた潤滑樹脂処理鋼板。
【0006】これらはいずれも、電気亜鉛系めっき鋼板
または溶融亜鉛めっき鋼板を母材として使用し、色調と
しては、下地の亜鉛系めっきに特有の金属光沢がそのま
ま残るため、意匠性に劣る。近年、コストダウンの観点
から、これら潤滑処理鋼板を、従来は塗装を施すか或い
は予め塗装されたプレコート鋼板が用いられていた外装
用の用途にも適用しようとする試みがあるが、前述した
ようなこれまでの潤滑処理鋼板では意匠性が低く、外装
用としての適用は困難であった。
【0007】着色外観を有する潤滑処理鋼板として、特
開平2−263633号には、亜鉛系めっき鋼板の表面にクロ
メート皮膜を形成し、その上にシリカとポリエチレンワ
ックスと着色顔料とを含有する有機溶剤型塗料組成物を
塗布した高耐食性着色薄膜塗装鋼板が提案されている。
この塗装鋼板は、樹脂皮膜を顔料で着色しているだけ製
造コストが高い。さらに、顔料を塗料中に均一に分散す
るのが難しいため、均一に着色した樹脂皮膜を安定して
形成することが困難であり、やはり外装用としての使用
は困難な意匠性が低下したものとなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、プレ
ス油塗布−脱脂工程が省略して加工することができ、し
かも顔料を使用せずに好ましい外観に着色された、外装
用としての適用が可能な、潤滑性、耐食性、意匠性に優
れた表面処理鋼板を提供することである。
【0009】より具体的な目的は、上述した従来の潤滑
処理鋼板が示すのと同等の潤滑性能を示す(即ち、潤滑
性に優れ、強加工における極圧や金型の温度上昇に対し
ても、十分に耐えることができる)と同時に、顔料を使
用せずに着色化してプレコート鋼板なみの意匠性も兼ね
備え、しかも鋼板の加工後にも高耐食性を保持し、溶接
も可能な、着色潤滑処理溶融亜鉛系めっき鋼板を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した従来技術に見ら
れるように、電気亜鉛めっきまたは溶融亜鉛めっき鋼板
の表面にクロメート処理後、潤滑成分を含有する潤滑性
樹脂皮膜を形成すると、母材めっき鋼板の潤滑性、耐食
性を向上させることができる。
【0011】本発明者は、これらの従来技術の長所を生
かしつつ、プレコート鋼板並みの意匠性を有し、外装用
にも適用可能な、潤滑処理鋼板を開発すべく鋭意検討し
た結果、母材に特定の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用い
てクロメート処理と潤滑性樹脂皮膜の形成を行うと、潤
滑性および耐食性に優れ、色調としては落ち着いたグレ
ー色を呈する、プレコート鋼板並みの意匠性を持った表
面処理鋼板が得られることを見い出し、本発明に至っ
た。
【0012】ここに、本発明は、合金化溶融亜鉛めっき
鋼板のめっき表面に、Cr付着量が10〜150 mg/m2のクロ
メート皮膜を有し、その上層にポリオレフィンワックス
3〜30重量%とシリカ粒子をSiO2として5〜30重量%含
有し、着色顔料を含まない付着量 0.1〜5g/m2の樹脂皮
膜を有し、表面の色調がJIS Z8729 の L* * * 表色
系で50≦ L* ≦62、−1≦ a* ≦0 、−2≦ b* ≦0 で
あることを特徴とする、着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板
を要旨とする。
【0013】なお、 L* 値は明度指数であって、大きい
ほど明るく、小さいほど暗い。 a*値は赤緑間の知覚色
度 (クロマティクネス) 指数であって、大きいほど赤み
が強く、小さいほど緑みが強い。 b* 値は黄青間の知覚
色度指数であって、大きいほど黄みが強く、小さいほど
青みが強い。
【0014】この着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板は、合
金化度が8〜13%の合金化溶融亜鉛めっき鋼板を母材と
し、クロメート処理と樹脂塗料組成物の被覆により、め
っき表面に上記のクロメート皮膜および樹脂皮膜を順次
形成することにより製造することができる。
【0015】
【作用】以下に、本発明の着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼
板とその製造方法について詳細に説明する。
【0016】本発明の着色潤滑処理鋼板の母材は合金化
溶融亜鉛めっき鋼板 (以下、GA鋼板と略記する) 、即
ち、溶融亜鉛めっき鋼板をめっき後に加熱処理して、め
っき皮膜中のZnの一部を素地のFeと合金化させた亜鉛系
めっき鋼板である。母材として用いるGA鋼板は、めっ
き皮膜の合金化度(めっき皮膜中の平均Fe%)が8〜13
%の範囲内のものが望ましい。GA鋼板は、合金化が進
み、めっき皮膜の合金度が高くなるほど、めっき表面の
凹凸が大きくなり、表面粗さが大きくなる傾向がある。
【0017】本発明の潤滑処理鋼板は、このGA鋼板の
めっき皮膜の上にクロメート皮膜を形成し、その上にワ
ックスとシリカ粒子を含有し、顔料を含まない樹脂皮膜
を形成したものである。上層の樹脂皮膜は、顔料を含有
しないクリアータイプのものであるにもかかわらず、樹
脂皮膜での被覆により外観の色調が暗色化し、GA鋼板
にあった金属光沢が消えて、好ましいグレーの色調に変
化する。
【0018】このように色調が変化する理由は、下地の
めっき表面の凹凸で光が乱反射し、樹脂中での光路長が
長くなることによって、光が樹脂中で吸収される割合が
多くなるため、母材GA鋼板のめっき皮膜を直接見たと
きよりも暗く見えるものと考えられる。
【0019】電気亜鉛系めっきや溶融亜鉛系めっきなど
の他のめっきでは、表面が比較的平滑であるので、クロ
メート皮膜と透明樹脂皮膜で被覆した時に、上記のよう
な暗色化への色調の変化は認められない。即ち、この色
調の変化は、加熱処理により表面粗さが増大したGA鋼
板のめっき皮膜に特有なものである。
【0020】この暗色化で得られる色調は、GA鋼板の
めっき皮膜の表面粗さによって変化し、表面粗さが大き
くなると、暗色化が進み、色調がより黒っぽくなる。め
っき皮膜の合金化度が8%以下では、その表面粗さが小
さく、めっき皮膜表面の凹凸が不十分なために、十分な
暗さが得られない。しかし、めっき皮膜の合金化度が13
%を超えると、色調としてはさらに暗くなるものの、表
面の凹凸が大きすぎてめっき皮膜が脆くなる結果、加工
時にパウダリング現象を起こしやすくなる。母材として
用いるGA鋼板の合金化度が8〜13%であると、加工性
を低下させずに、前述した50≦ L* ≦62、−1≦ a*
0 、−2≦ b* ≦0 で規定される、好ましいグレーの色
調の外観を得ることができる。
【0021】なお、母材のGA鋼板は、そのめっき表面
に本発明に従ってクロメート皮膜と樹脂皮膜とを形成し
た時に、表面が上記範囲内の L* 値、 a* 値、 b* 値を
有するグレーの色調になればよいわけであり、その意味
では特に制限されるものではない。しかし、上に説明し
たように、合金化度が8〜13%のGA鋼板を母材とする
と上記の色調が一般に得られるので、本発明の着色潤滑
処理鋼板の製造時にはこのような合金化度のGA鋼板を
母材として使用すればよい。合金化度が高いほど色調が
暗くなるので、所望の色調 (暗さ) に応じて母材GA鋼
板の合金化度を選択することができる。
【0022】GA鋼板のめっき皮膜の合金化度は前述の
ように表面粗さと相関するので、合金化度の代わりに、
GA鋼板のめっき表面粗さを尺度にして母材のGA鋼板
を選択することもできる。めっき皮膜の表面粗さは一般
にRa= 0.5〜2.0 μmの範囲内が好ましい。この範囲内
で表面粗さが大きいほど色調が暗くなるので、所望の色
調となるように母材GA鋼板をめっき表面粗さで選択す
ることもできる。
【0023】このように、本発明の着色潤滑処理鋼板の
着色は、最上層の樹脂皮膜中に着色顔料を添加して得た
ものではないので、顔料の分散性や安定性を心配する必
要はなく、均一で安定した色調を得ることができる。ま
た、高価な着色顔料を使用しないので、コスト的にも有
利である。
【0024】合金化溶融亜鉛めっきのめっき表面 (通常
は両面であるが、片面であっても構わない) に形成する
クロメート皮膜は、公知の通常のクロメート皮膜でよ
く、6価クロム化合物がCr3+に還元されて難溶化するこ
とにより造膜したものである。クロメート処理液として
は、例えば、無水クロム酸、クロム酸塩、重クロム酸等
の6価クロム化合物を主剤とする水溶液型のクロメート
処理液や、上記水溶液にコロイダルシリカ等を混合した
ものなど、公知のいずれの種類のものも使用でき、処理
方法も、浸漬、塗布、電解、噴霧など特に制限されな
い。クロメート皮膜として特に好ましいのは、耐食性に
優れた塗布型クロメート処理液、中でも迅速な造膜が可
能な部分還元タイプのもの (Cr6+の一部がCr3+に還元さ
れたもの) を使用して形成されたものである。必要によ
り、処理後に加熱して、クロメート皮膜を形成する。
【0025】本発明では、クロメート皮膜の付着量は金
属Cr換算で10〜150 mg/m2 とする。付着量が10 mg/m2
満では、外装用としての十分な耐食性を発揮することが
できない。一方、150 mg/m2 を超えると、付着量の増加
の割合に対しての耐食性向上効果が少なくなり、表面外
観も劣化する上、クロメート皮膜が厚くなることでプレ
ス加工時にクロメート皮膜の凝集破壊が起こり、プレス
成形性が低下する。
【0026】このクロメート皮膜の上に、顔料を含有し
ない実質的に透明な樹脂皮膜を形成する。この樹脂皮膜
は、ポリオレフィンワックス3〜30重量%と、シリカ粒
子をSiO2として5〜30重量%含有し、その付着量は 0.1
〜5g/m2の範囲内である。
【0027】ポリオレフィンワックスは潤滑剤として、
特に、連続加工時に金型が高温になるような厳しい加工
条件の時に有効に作用する。ポリオレフィンワックスは
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のオレフ
ィン系炭化水素から成るワックスであればいずれでもよ
く、また、これらを2種以上組み合わせて使用してもよ
い。ポリオレフィンワックスは、粒径が 0.1〜5μm程
度の粉末状のものが好ましい。
【0028】樹脂皮膜中のポリオレフィンワックスの含
有量は3〜30重量%の範囲内である。このワックスの含
有量が3重量%よりも少ないと、潤滑性の向上が少な
く、また30重量%を超えると、素地との密着性の低下、
樹脂皮膜強度の低下、さらには外観の劣化が著しくな
る。
【0029】この樹脂皮膜は、ポリオレフィンワックス
に加えて、シリカ粒子をSiO2として5〜30重量%の割合
で含有する。樹脂皮膜中のシリカがSiO2として5重量%
よりも少ないと、耐食性が十分ではなく、外装用として
の適用は困難である。一方、30重量%を超えると、樹脂
皮膜の硬度が高まり、成形時に型カジリを生じ、プレス
成形性が低下する。
【0030】シリカ粒子としては、コロイダルシリカ
(水性シリカ) 、ヒュームドシリカ (気相シリカ) 、さ
らには有機シリケート (例、エチルシリケート) などが
使用できる。シリカ粒子の粒径は、1〜100 nm程度が望
ましい。また、樹脂との密着性を高めるために、シラン
カップリング剤を併用してもよい。
【0031】ベース樹脂としては、加工に耐える十分な
強度・可撓性を有する、不溶性の透明皮膜を形成できる
ものであればよく、特に制限されない。適当な樹脂とし
ては、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アクリル系
樹脂、フェノール系樹脂、ポリオレフィン系、アルキド
系樹脂、メラミン系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等
が挙げられる。これらの樹脂を単独で、或いは2種以上
混合して使用することができる。
【0032】このような潤滑樹脂皮膜の付着量は、乾燥
重量として 0.1〜5g/m2の範囲内である。付着量が0.1
g/m2未満では、潤滑性および耐食性向上効果が少ない。
一方、5g/m2を超えると、耐食性は向上するが、プレス
成形性が低下し、コストも増大する。特に加工後にも良
好な外観を得るには、付着量を1.0 g/m2以上とすること
が好ましい。
【0033】樹脂皮膜の形成に用いる樹脂塗料組成物
は、不揮発分合計量に基づいてポリオレフィンワックス
3〜30重量%とシリカ粒子をSiO2として5〜30重量%含
有する。溶媒の種類は、水、アルコール、有機溶媒のい
ずれでもよく、使用する樹脂種に応じて選択する。この
塗料組成物には、必要に応じて、架橋剤、消泡剤などの
添加剤を添加してもよい。塗装した後の塗膜の乾燥温度
は、樹脂や溶媒の種類に応じて選択する。
【0034】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
るが、本発明は実施例により何ら限定されるものではな
い。
【0035】既存の溶融亜鉛めっきラインで生産された
溶融亜鉛めっき鋼板 (板厚0.6 mm、両面めっき、片面当
たりめっき付着量45 g/m2)を、温度および/または処理
時間を変えて塩浴に浸漬して熱処理し、合金化度の異な
るGA鋼板を作製した。各GA鋼板(300×200 mm) の片
面のめっき表面に、市販の部分還元塗布型クロメート処
理液をスピンコーターにより塗布し、80℃で30秒間乾燥
して、クロメート皮膜を形成した。次いで、このクロメ
ート皮膜の上に、シリカ粒子 (平均粒径20 nm のコロイ
ダルシリカ) とポリエチレンワックス (平均粒径1μ
m) とを含有する樹脂塗料組成物をバーコーターにて、
乾燥後に所定の付着量となるように塗布し、120 ℃で30
秒間乾燥させ、樹脂皮膜を形成した。
【0036】表1に、使用した母材GA鋼板のめっき皮
膜の合金化度 (Fe%) および表面粗さ (Ra値) 、クロメ
ート皮膜の付着量、樹脂皮膜のベース樹脂、樹脂皮膜中
のシリカ粒子およびポリエチレンワックスの含有量、樹
脂皮膜の付着量をまとめて示す。
【0037】得られた着色潤滑処理GA鋼板について、
色調、耐食性、潤滑性、加工後耐食性の各性能を下記の
要領で調べた。 [試験方法]色調 :色彩色差計 (ミノルタ社製、CR-300) を用いて、
L* 値、 a* 値、 b* 値を測定した。耐食性 :塩水噴霧試験 (JIS Z-2371に準ずる) による白
錆発生時間で耐食性を評価した。
【0038】潤滑性:バウデン摩擦試験による摩擦係
数と、ビード付きハット成形試験によるプレス成形性
とで評価した。
【0039】バウデン摩擦試験:図1(a) に示す測定
装置を用い、荷重1kg、摺動速度4mm/sec、摺動距離20
mm の条件で摩擦係数を測定した。 ビード付きハット成形試験:図1(b) に示すビード付
きクランクプレスを使用して、 250×50 mm の試験片を
ハット型に深絞り成形した。ビード高さは7mm、成形高
さは43 mm 、成形速度は70 mm/sec であった。成形品の
しごき部の外観を観察して、◎(良好、観変化なし) →
○ → △ → ×(不可、カジリ発生大、パウダリ
ング大) の4段階で評価した。
【0040】加工後耐食性:試験片に曲げ直径10 mm の
180°曲げ加工を行い、その後、耐食性と同様に塩水噴
霧試験を行って、白錆発生時間を調べた。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明による着色潤滑処理亜鉛系めっき
鋼板は、最上層の樹脂皮膜が着色顔料を含有しない透明
皮膜であるにもかかわらず、GA鋼板の金属光沢が消
え、外観は落ち着いたグレー色を呈し、プレコート鋼板
並みの意匠性を有している。従って、そのままで自動
車、家電製品、建材などに外装用としての適用が可能で
あるため、これらの製品の著しいコスト低減が図れる。
【0043】また、潤滑性に優れ、強加工における極圧
や金型の温度上昇に対しても、十分に耐えることができ
るため、プレス加工時に、プレス油等の潤滑油を使用せ
ずに、そのままプレス加工が可能である。従って、従
来、需要家で行われていたプレス油塗布作業やそのプレ
ス油を除去する脱脂工程が省略でき、それによるコスト
節減が図れる上に、トリクロロエタンなどの有害な溶剤
の使用が回避されることから、環境破壊の防止にもつな
がる。
【0044】さらに、本発明の鋼板は、顔料を使用せず
に着色化されているため、着色が均一で安定しており、
樹脂皮膜の形成時の塗料の塗布も容易である上、顔料を
使用しない分だけ安価である。また、樹脂皮膜が薄いた
め、GA鋼板が持つ溶接性やプレス加工性といった望ま
しい特性が保持され、加工を受けても高い耐食性を発揮
することができる。このように、本発明の鋼板、そのま
まで外装用に使用するのに適しているが、もちろん塗装
を施して使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で潤滑性の評価に使用した装置を示し、
図1(a) は摩擦係数の測定に用いたバウデン摩擦試験機
の説明図、図1(b) はビード付きハット成形試験のクラ
ンクプレスの形状を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 28/00 C23C 28/00 C

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金化溶融亜鉛めっき鋼板のめっき表面
    に、Cr付着量が10〜150 mg/m2のクロメート皮膜を有
    し、その上層にポリオレフィンワックス3〜30重量%と
    シリカ粒子をSiO2として5〜30重量%含有し、着色顔料
    を含まない付着量 0.1〜5g/m2の樹脂皮膜を有し、表面
    の色調がJIS Z8729 のL* * * 表色系で50≦ L*
    62、−1≦ a* ≦0 、−2≦ b* ≦0 であることを特徴
    とする着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 合金化度8〜13%の合金化溶融亜鉛めっ
    き鋼板をクロメート処理して、めっき表面にCr付着量10
    〜150 mg/m2のクロメート皮膜を形成し、次に不揮発分
    合計量に基づいてポリオレフィンワックス3〜30重量%
    とシリカ粒子をSiO2として5〜30重量%含有し、着色顔
    料を含まない樹脂塗料組成物を用いて、クロメート皮膜
    上に付着量 0.1〜5g/m2の樹脂皮膜を形成することから
    なる、着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
JP5174302A 1993-07-14 1993-07-14 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法 Expired - Fee Related JP2743777B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5174302A JP2743777B2 (ja) 1993-07-14 1993-07-14 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5174302A JP2743777B2 (ja) 1993-07-14 1993-07-14 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0734259A JPH0734259A (ja) 1995-02-03
JP2743777B2 true JP2743777B2 (ja) 1998-04-22

Family

ID=15976291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5174302A Expired - Fee Related JP2743777B2 (ja) 1993-07-14 1993-07-14 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2743777B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100368240B1 (ko) * 1998-12-23 2003-03-17 주식회사 포스코 심가공성 및 내화학성이 우수한 윤활수지용액 제조방법 및 이를이용한 강판 표면처리방법

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH03197131A (ja) * 1989-12-27 1991-08-28 Kawasaki Steel Corp ZnまたはZn系合金めっき鋼板の製造方法
JPH03219950A (ja) * 1990-01-25 1991-09-27 Sumitomo Metal Ind Ltd 有機複合被覆鋼板
JP2834529B2 (ja) * 1990-04-16 1998-12-09 新日本製鐵株式会社 耐食性及び溶接性に優れる表面処理鋼板及びその製造方法
JP2617834B2 (ja) * 1991-08-27 1997-06-04 新日本製鐵株式会社 表面特性に優れた潤滑めっき鋼板の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0734259A (ja) 1995-02-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007297648A (ja) 塗膜密着性に優れた塗装鋼板
JP3480396B2 (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP3029798B2 (ja) 潤滑処理鋼板とそれに用いる皮膜形成性組成物
JP2743777B2 (ja) 着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製造方法
JP2784325B2 (ja) 高端面耐食性の着色潤滑処理亜鉛系めっき鋼板とその製法
TWI521096B (zh) 預塗鋼板及其製造方法
KR19990082789A (ko) 비철금속의녹방지처리를위한조성물및방법
JPH0243040A (ja) 耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板
JP3833033B2 (ja) 耐食性に優れるプレコート鋼板
KR101103661B1 (ko) 금속표면처리용 조성물
JP3124266B2 (ja) 塗膜密着性と加工部の耐食性に優れ環境負荷の小さい塗装鋼板
JP2972126B2 (ja) 着色化潤滑処理鋼板およびその製造法
JP3137910B2 (ja) 耐指紋性に優れた表面処理鋼板およびその製造方法
JP2002012983A (ja) 耐食性、潤滑性、塗料密着性に優れたリン酸塩複合被覆鋼板
JP3271237B2 (ja) 耐食性と加工性に優れた溶接可能な自動車用プレプライムド鋼板
JPH0316726A (ja) 成型性の優れた潤滑樹脂処理鋼板
JP2002129352A (ja) 耐食性に優れた有機被覆鋼板およびその製造方法
JP3059675B2 (ja) 着色潤滑処理鋼板およびその製造法
JPH01301332A (ja) 成形性に優れた潤滑樹脂処理鋼板
JPH05237449A (ja) プレス成形性、加工部耐食性に優れた潤滑樹脂処理鋼板
KR20130138684A (ko) 박막 흑색 도장 금속판
JP3076892B2 (ja) 外観、耐食性及び加工性に優れた潤滑処理鋼板
JPH01110140A (ja) 耐食性、潤滑性に優れた複合被覆鋼板
JP2001003182A (ja) 加工部の耐食性に優れ環境負荷の小さい塗装鋼板
JP2000239861A (ja) 耐食性に優れるプレコート鋼板

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19980106

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080206

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090206

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100206

Year of fee payment: 12

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees