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JP2706685B2 - 多板ディスクブレーキ装置 - Google Patents

多板ディスクブレーキ装置

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Publication number
JP2706685B2
JP2706685B2 JP4285152A JP28515292A JP2706685B2 JP 2706685 B2 JP2706685 B2 JP 2706685B2 JP 4285152 A JP4285152 A JP 4285152A JP 28515292 A JP28515292 A JP 28515292A JP 2706685 B2 JP2706685 B2 JP 2706685B2
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Japan
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富志雄 横西
正之 渋谷
秀男 玉森
健 岸本
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Central Japan Railway Co
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Central Japan Railway Co
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディスク部材の材質と
して炭素系複合材料を使用した多板ディスクブレーキ装
置に係り、特に、このディスク部材を好適に冷却して、
その温度上昇に起因する種々の弊害を回避するための技
術に関する。
【0002】
【従来の技術】近年においては、各種車両のブレーキ装
置として、多板ディスクブレーキ装置の実用化が図られ
ているが、この種のブレーキ装置の構成要素であるディ
スク部材(ロータ及びステータ)は、耐熱性や耐摩耗性
に優れ且つ充分な摩擦抵抗を有する材料で製作されたも
のでなければならない。このような要請に応えるため、
例えば実開平4-23834号公報によれば、ディスク部材の
材質として炭素系複合材料が使用されるに至っており、
この炭素系複合材料は、約3000℃に至るまで充分な機能
を発揮できることが一般に知られている。
【0003】更に、同公報に開示の多板ディスクブレー
キ装置は、その冷却手段として、ディスク部材の内周側
に配置される軸部に内孔を形成し、この内孔に自然導入
される冷却空気を外周側に向かって流通させ、この流通
時に冷却空気を直接ディスク部材に接触させて冷却効果
を得る一方、ディスク部材を収納包囲するケーシング部
とディスク部材外周部との間の隙間に金属環板を配設
し、この金属環板の作用によりディスク部材からケーシ
ング部に向かう輻射熱を防止すると共に、この金属環板
に多数の貫通孔を形成し、前記軸部の内孔からディスク
部材周辺に導入した冷却空気を前記金属環板の貫通孔を
介してその外周側空間に逃がし、この外周側空間からケ
ーシング部に形成された排出孔を介して大気中に放出す
るようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記例
示した多板ディスクブレーキ装置は、軸部の内孔からケ
ーシング内部に導入された冷却空気がディスク部材の周
辺に至っても、このディスク部材は複数枚の隣接側面が
密接して一塊状態となっているため、冷却空気がディス
ク部材の隣接側面間に充分に侵入することはなく、従っ
て冷却空気に充分に晒される箇所はディスク部材の非密
接部(非摺動部)のみとなり、ディスク部材に対する充
分な冷却効果が得られないことになる。このため、制動
作用により発生した摩擦熱が充分に放熱されることな
く、ディスク部材の内部に大量の熱が蓄熱される。
【0005】この場合、ディスク部材自体は炭素系複合
材料でなるため上記のように極めて高温状態でも使用に
耐え得るが、大量の熱を蓄熱したディスク部材からの熱
伝導や輻射熱の影響を受けるケーシング部及びその周辺
の各構成部品、例えばディスク部材を押圧するピストン
やその気密保持用のパッキンは、僅かな温度上昇であっ
ても早期摩耗や強度低下ひいては損傷等を来し、特にデ
ィスク部材内周側の軸部を回転可能に保持するベアリン
グは、その潤滑油が蒸発する等のため温度上昇に対して
より一層耐久性が低いという難点がある。
【0006】更に、上記炭素系複合材料は、高温雰囲気
中(約 600℃以上) においては、その構成物質である炭
素が空気中の酸素と反応して酸化現象(風化現象)を起
こすため、その部分の強度が劣化し或いは浸食されてし
まうという特性を有している。そして、この種のブレー
キ装置が例えば鉄道車両に使用される場合には、近年に
おける当該車両の高速化に伴って、高速走行から繰り返
し頻繁に制動作用が行われることにより、ディスク部材
相互間の摩擦熱に起因してその周辺温度が常に上記の 6
00℃を上回るという事態を招来する。このため、上記公
報に開示のように流通する冷却空気をディスク部材に直
接的に接触させていたのでは、ディスク部材が高温雰囲
気中で酸化してしまい、使用に耐え得ないという不具合
を招く。
【0007】尚、このようなブレーキ用のディスク部材
の酸化現象を防止する手段として、例えば特開昭52-686
76号公報によれば、当該ディスク部材の表面に酸化保護
被膜を形成する技術が開示されているが、この手段によ
るにしても、酸化は防止できるものの、同公報に図示さ
れているように単に平板状の複数枚のディスク部材が密
接状態に配置されていたのでは、制動作用が多数回に亘
って頻繁に行われた場合に、ディスク部材の内部に大量
の摩擦熱が蓄熱され、而も炭素系複合材料は放熱しにく
い特性を有しているために、ケーシング部やその周辺に
大量の熱が伝達され、上記と同様にして各種構成部品の
損傷等を招くことになる。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、ディスク部材の酸化を防止した上で当該ディス
ク部材を積極的に冷却し、これによりディスク部材自体
の耐久性の向上を図ると共に、ディスク部材からケーシ
ング部及びその周辺に対する熱伝導や輻射熱の影響を低
減させ、ベアリング等の各種構成部品の温度上昇に伴う
弊害を回避することを技術的課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る多板ディス
クブレーキ装置は、上記技術的課題を達成するため、以
下に示すように構成したことを特徴とする。即ち、炭素
系複合材料でなる複数枚のディスク部材と、このディス
ク部材の外周側に配設されるケーシング部及び内周側に
配設される軸部とを有し、前記ディスク部材を相互に密
着させることにより制動力を発生させるように構成した
多板ディスクブレーキ装置において、前記ディスク部材
の内部に、一端がその外周側に開口し且つ他端がその内
周側に開口する空気通路を形成し、このディスク部材に
おける前記空気通路の通路形成面と、このディスク部材
の外面における少なくとも非摺動面とに、酸化防止被膜
を形成するか又は炭化珪素を含侵させ、前記ディスク部
材とケーシング部との間に、ディスク部材を包囲し且つ
通孔を形成した円筒部材を配設し、この円筒部材とケー
シング部との間に周回通路を形成し、前記ケーシング部
に、車体側に設けた空気強制送給手段から前記周回通路
冷却空気を強制的に導入する空気導入孔を形成したも
のである。
【0010】
【作用】上記手段によると、ディスク部材とケーシング
部との間に、ディスク部材を包囲し且つ通孔を形成した
円筒部材を配設しているので、ディスク部材からケーシ
ング部に対する輻射熱の伝導を防止することができる。
更に、車体側に設けた空気強制送給手段から空気導入孔
を経て周回通路へ強制的に導入された冷却空気は、円筒
部材の通孔を通過してからディスク部材周辺に供給され
ることになる。また、ディスク部材周辺に供給された冷
却空気は、ディスク部材の内部に形成されて一端がその
外周側に開口し且つ他端がその内周側に開口する空気通
路内を流通することになる。従って、複数枚のディスク
部材が密接して一塊状態であるためにディスク部材相互
間に冷却空気が流入できなくても、ディスク部材自体の
内部に流入する冷却空気により、制動時に発生した大量
の熱がディスク部材から奪い取られ、ディスク部材内部
における蓄熱作用が大幅に低減される。
【0011】そして、前記ディスク部材内部の空気通路
における通路形成面には、酸化保護被膜を形成するか又
は炭化珪素を含侵させているので、制動作用に起因する
高温状態下において、炭素系複合材料でなるディスク部
材の通路形成面に冷却空気が接触しても、この通路形成
面に酸化現象が生じることはない。また、前記ディスク
部材周辺に至った冷却空気は、ディスク部材の露出部分
である非摺動面(非密接面)に接触することになるが、
この非摺動面についても上記と同様に酸化保護被膜を形
成するか又は炭化珪素を含侵させているので、この非摺
動面と冷却空気との接触による酸化現象の発生が防止さ
れる。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係る多板ディスクブレーキ装
置の実施例を図面に基づいて説明するが、この実施例
は、駆動用電動機の側方に設置される多板ディスクブレ
ーキ装置に本発明を適用したものである。先ず、図10に
示す概略構成に基づいて、この実施例に係る多板ディス
クブレーキ装置1の配設状態を説明すると、空気バネ5
0,50 を介して車体51を支持する台車52の下方には駆動
用電動機53が取り付けられており、この駆動用電動機53
の一側方には多板ディスクブレーキ装置1が設置されて
いると共に、この駆動用電動機53の他側方には、その回
転子軸53a の回転を車軸54及び車輪55に伝達する歯車伝
達機構56が取り付けられている。尚、前記車軸54の両端
を回動自在に支持する車軸ケース57,57 と台車52との間
には、軸バネ58,58 が介設されている。
【0013】前記多板ディスクブレーキ装置1は、図1
及び図2に示すように、そのフランジ2aが既述の駆動用
電動機53の側方に固定される筒状のケーシング部2と、
このケーシング部2の中心軸線に沿って貫通状に配置さ
れて前記駆動用電動機53の回転子軸53a に連動して回転
する軸部3とを有し、この軸部3と前記ケーシング部2
との間の内部空間に、複数枚(図例では三枚)のステー
タ4…4と複数枚(図例では二枚)のロータ5,5とか
らなるディスク部材が配設されている。これらのディス
ク部材4,5の材質はいずれも、炭素系複合材料でな
り、その形状は、平板でなる円環形状とされている(図
4乃至図7参照)。
【0014】一方、図1乃至図3に示すように、前記ケ
ーシング部2の周壁2b内面より僅か内周側には、等角度
間隔で複数のキー部材6…6が配設され、前記ステータ
4の外周部には同じく等角度間隔で凹部4a…4aが形成さ
れており、これらの凹部4a…4aが前記各キー部材6…6
に係合されて軸方向に移動可能とされている。また、前
記軸部3の外周部にも等角度間隔で複数のキー部7…7
が配設されており、これらのキー部7…7に対しては、
前記ロータ5の内周部に等角度間隔で形成された凹部5a
…5aが係合されて軸方向に移動可能とされている。
【0015】前記ディスク部材における各ロータ5は、
図4及び図5に示すように、その内周側に一端が開口し
且つ他端がその外周側に開口する複数の空気通路10…10
が、その内部に放射状に形成されている。詳しくは、二
枚の円板5x,5y をリベット11…11等を用いて貼り合わせ
ることにより一枚のロータ5が構成されており、一方の
円板5xに放射状に形成された凹状溝10x …10x と、これ
に対応するように他方の円板5yに放射状に形成された凹
状溝10y …10y とを対向させて両円板5x,5y を接合させ
ることにより、上記の空気通路10…10が形成されてい
る。そして、この実施例においては、ロータ5の前記キ
ー部7への係合部に、耐摩耗性に優れた薄板9…9が貼
り付けられており、これらの薄板9…9を締結するリベ
ット11…11により二枚の円板5x,5y が結合されている。
また、前記各空気通路10…10の内周側端部は、ロータ5
の内周縁に形成されたキー部7への係合凹部5a…5aに開
口している。
【0016】前記ディスク部材における各ステータ4の
うち、図1における中央部に存するステータ4について
は、図6及び図7に示すように、二枚の円板4x,4y に放
射状に形成された複数の凹状溝12x …12x,12y …12y を
対向させて両円板4x,4y をリベット13…13等を用いて貼
り合わせることにより、内部に空気通路10…10を有する
一枚のステータ4が構成されているのに対して、図1に
おける左右両端に存するステータ4,4については、上
記凹状溝12x …12x を有する一枚の円板4aのみで構成さ
れている。そして、右端に存するステータ4(円板4x)
の凹状溝12x とケーシング部2のフランジ側内端面との
間にも空気通路10が形成されている。そして、これらの
ステータ4のキー部材6に対する係合部についても、耐
摩耗性に優れた薄板8…8が貼り付けられている。ま
た、前述の一のステータ4については、この薄板8…8
を締結するリベット13…13により前記二枚の円板4x,4y
が結合されている。
【0017】更に、前記ステータ4及びロータ5に形成
されている全ての空気通路10…10の通路形成面 (通路周
面) には、酸化保護被膜が形成されているか又は炭化珪
素が含侵されていると共に、前記ステータ4及びロータ
5の全ての非摺動面4w…4w,5w…5wにも、酸化保護被膜
又は炭化珪素よる処理がなされている(図1参照)。こ
の場合、酸化保護被膜としては、耐火金属(クロムや珪
素等)を含有する塗料を塗布したものや、金属炭化物、
金属窒化物若しくは金属酸化物又はこれらの二以上の混
合物を含む塗料を塗布したものが例示される。この酸化
保護被膜をステータ4及びロータ5の摺動面に形成しな
いのは、仮に摺動面に被膜を形成したとしても、摺動に
より被膜が摩耗して用をなさず、また摺動面には空気が
侵入しにくいので酸化現象による悪影響を考慮する必要
がないことによる。また、炭化珪素を含侵させる手段と
しては、上記通路形成面及び非摺動面にのみ炭化珪素を
含侵させてもよく、或いは、ディスク部材4,5全体を
炭素/炭化珪素複合材料で形成してもよい。従って、後
者の場合には、ディスク部材4,5の全面に酸化防止処
理が施されていることになる。
【0018】前記ディスク部材4,5の外周部とケーシ
ング部2の周壁2b内面との間には、ディスク部材4,5
の外周部を覆うように薄肉金属製の円筒部材14が配設さ
れており、図8に示すように、この円筒部材14には多数
の通孔15…15が形成され、且つこの円筒部材14は前記キ
ー部材6…6の外周側に止着体16…16を用いて固定され
ている。この円筒部材14は、ディスク部材4,5からケ
ーシング部2に対する輻射熱の伝導を防止すると共に、
その外周側に空気を流通させる周回通路17を形成して排
気孔18から冷却空気を大気中に放出させる役割をも担う
ものである。更に、この円筒部材14の通孔15…15は、デ
ィスク部材4,5周辺と周回通路17との間に空気の流通
を生じさせるものであると共に、ディスク部材4,5の
摺動に伴って発生した粉塵を周回通路17に逃がすための
ものでもある。
【0019】そして、図示例(図1及び図2)において
は、ケーシング部2の周壁2bと軸部3との双方に、ディ
スク部材4,5に対して冷却空気を導入するための空気
導入孔20,21 が形成されている。前記ケーシング部2の
周壁2bに形成された空気導入孔20には、空気強制送給手
段としてのファン59 (図10参照) の作用により強制送給
される冷却空気を送り込むための送風管22が接続されて
いる。また、前記軸部3の内部に形成された空気導入孔
21には、図2における左端に装着されたフィルター23を
介して冷却空気を自然導入するようにしてもよく、また
フィルター23の外方にファンを別途設置して冷却空気を
強制送給するようにしてもよい。そして、この軸部3の
空気導入孔21とディスク部材4,5 周辺とは連通状態にあ
る。尚、冷却空気を導入する経路は、ケーシング部2の
周壁2bからのみであってもよく、また軸部3からのみで
あってもよい。
【0020】更に、ケーシング部2の蓋体2cには、ディ
スク部材のステータ4とロータ5とを圧接させて制動力
を発生させる押圧手段25が装備されている。この押圧手
段25は、前記蓋体2cに出退自在に嵌合保持されて油圧に
より作動されるピストン26と、このピストン26の先端か
ら押圧力を受けてステータ4及びロータ5を圧接させる
圧力板27とからなる。前記ピストン26は、図3に示すよ
うに、複数のものが等角度間隔で配設されており、作動
油の供給口28から導入される油圧が、各連通路29…29を
介して各ピストン26…26に作用する構成である。尚、同
図に示す符号Pは、エア抜き用のプラグである。
【0021】また、このケーシング部2の蓋体2cには、
前記軸部3を回動自在に支持するベアリング30が装着さ
れており、蓋体2cにおけるベアリング30の外周部には多
数のフィン31…31が形成されている。一方、ケーシング
部2の周壁2bに通じる送風管22から分岐した分岐管32
は、前記ピストン26の周囲のジャケット33に連通され、
更にこのジャケット33から前記ベアリング30の周囲の流
通孔34を介して軸部3の空気導入孔21に通じている。
【0022】上記実施例の構成によれば、多板ディスク
ブレーキ装置1の冷却は、以下のようにして行われる。
即ち、冷却空気の導入孔20がケーシング部2の周壁2bの
みに形成されているか又はケーシング部2側の空気送給
力が軸部3側よりも強い場合には、ファン59の作用によ
り送風管22から空気導入孔20を介してケーシング部2内
部の周回通路17に強制的に送り込まれた冷却空気は、円
筒部材14の側方の隙間や円筒部材14の通孔15…15を通過
して、ディスク部材4,5周辺に流入すると共に、ディ
スク部材4,5内部の空気通路10…10を通過する。この
時の主たる冷却空気の流れは、図1に実線の矢印で示す
通りディスク部材4,5に直接的に衝突することがな
い。この際に、冷却空気は、ディスク部材4,5の非摺
動面4x,5x 及び空気通路10の通路形成面と接触してディ
スク部材4,5を内外から冷却することになるが、前記
非摺動面4x,5x 及び空気通路10の通路形成面には、酸化
防止処理が施されているので、酸化現象を生ずることな
くディスク部材4,5に対する冷却が良好に行われる。
このようにして冷却作用を終えた空気は、再び周回通路
17に逃げた後、排気孔18を介して大気中に放出される。
【0023】一方、冷却空気の導入孔21が軸部3のみに
形成されているか又は軸部3側の空気送給力がケーシン
グ部2側よりも強い場合には、軸部3内の空気導入孔21
にフィルター23を介して導入された冷却空気は、主とし
て図1に点線の矢印で示す経路を経て、ディスク部材
4,5周辺に流入すると共に、ディスク部材4,5内部
の空気通路10…10を通過し、この間に上記と同様に酸化
現象を生ずることなくディスク部材4,5を内外から冷
却する。そして、冷却作用を終えた空気は、周回通路17
から排気孔18を介して大気中に放出される。
【0024】更に、ケーシング部2の蓋体2cに配設され
ているピストン26やベアリング30については、前記送風
管22の分岐管32から強制的に送り込まれる冷却空気の作
用を受けて、より一層冷却効果が高められるように配慮
がなされている。つまり、分岐管32から強制的に蓋体2c
に導入された冷却空気は、ジャケット33に流入してピス
トン26を冷却することによりパッキン等の劣化を防止
し、更に流通孔34に流入してベアリング30を冷却するこ
とにより潤滑不能等を防止する。そして、前記ピストン
26及びベアリング30を冷却した空気は、フィルター23か
ら大気中に放出される。
【0025】尚、前記ケーシング部2の蓋体2cには、ピ
ストン26からの油圧の非作用時に前記圧力板27を所定位
置に保持させるためのスラックアジャスタ40…40が等角
度間隔で配設されている。このスラックアジャスタ40
は、図9に示すように、蓋体2cに形成された内孔41に筒
体42が摺動自在に嵌合保持され、この筒体42に固定され
た引棒43の先端が前記圧力板27に締結されていると共
に、前記筒体42の外周には、内孔41との間で所定の摩擦
力に伴う抵抗をもって摺動する抵抗体44が筒体42に対し
て軸方向に相対移動可能に保持されている。そして、前
記筒体42及び引棒43は、戻しバネ45の作用により蓋体2c
に対して左方に付勢されており、また前記抵抗体44は、
補助バネ46の作用により筒体42に対して右方に付勢され
ており、且つ筒体42の段部42a とストッパ47との間を相
対移動可能とされている。従って、抵抗体44は、筒体42
の段部42a との間に形成される隙間SAだけ移動できるも
のであり、この隙間SAは、圧力板27とステータ4との間
の隙間SXに対応している。
【0026】上記実施例は、固定状態のケーシング部2
にキー部材6…6を固定し且つこれらのキー部材6…6
にステータ4を係合させる型式のブレーキ装置に本発明
を適用したものであるが、これ以外に、例えば上記のケ
ーシング部2に相当するものが車輪に連動して回転する
型式のブレーキ装置であってこの回転するケーシング相
当部分にキー部材を固定し且つキー部材にロータを係合
させる構造のものについても、同様に本発明を適用でき
るものである。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明に係る多板ディスク
ブレーキ装置によれば、車体側に設けた空気強制送給手
段から空気導入孔,周回通路及び円筒部材の通孔を経て
ディスク部材周辺に供給された冷却空気が、ディスク部
材の内部に形成された空気通路内を流通することによ
り、複数枚のディスク部材が密接して一塊状態となって
いるにも拘らず、ディスク部材の内部から積極的に冷却
が行われることになり、従って制動時に発生した大量の
熱がディスク部材内部に蓄熱される度合いが大幅に低減
される。これにより、ディスク部材からケーシング部及
びその周辺に対する輻射熱や熱伝導の影響が減少し、各
種構成部品であるピストンやベアリング等の熱による損
傷等が回避され、耐久性の向上が図られる。
【0028】また、車体側に設けた空気強制送給手段か
ら空気導入孔を経て周回通路へ強制的に導入された冷却
空気は、円筒部材の通孔を通過してからディスク部材周
辺に供給されることに加え、前記ディスク部材内部の空
気通路における通路形成面と、ディスク部材の露出部分
である非摺動面とには、酸化保護被膜が形成されるか又
は炭化珪素が含侵されているので、制動作用に起因する
高温状態下において、炭素系複合材料でなるディスク部
材の通路形成面及び非摺動面に冷却空気が接触しても、
これらの面に酸化現象が生じることはなく、冷却に伴う
ディスク部材の劣化或いは浸食が防止され、ディスク部
材自体の耐久性の向上も図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多板ディスクブレーキ装置の実施
例の全体構成を示す縦断側面図である。
【図2】上記実施例の全体構成を示す縦断側面図であ
る。
【図3】上記実施例の全体構成を示す半縦断正面図であ
る。
【図4】上記実施例の構成要素であるディスク部材(ロ
ータ)の単体正面図である。
【図5】上記ディスク部材(ロータ)の単体平面図であ
る。
【図6】上記実施例の構成要素であるディスク部材(ス
テータ)の単体正面図である。
【図7】上記ディスク部材(ステータ)の単体平面図で
ある。
【図8】上記実施例の構成要素である円筒部材の取付状
態を示す斜視図である。
【図9】上記実施例の構成要素であるスラックアジャス
タを示す要部拡大縦断側面図である。
【図10】上記実施例における多板ディスクブレーキ装
置の配設状態を示す概略正面図である。
【符号の説明】
1 多板ディスクブレーキ装置 2 ケーシング部 3 軸部 4 ディスク部材(ステータ) 5 ディスク部材(ロータ) 4w 非摺動面 5w 非摺動面 10 空気通路 20 空気導入孔 21 空気導入孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉森 秀男 神戸市北区鈴蘭台南町3丁目10番15号 (72)発明者 岸本 健 神戸市垂水区霞ケ丘4丁目5番40号 (56)参考文献 特開 昭62−132045(JP,A) 特開 昭52−68676(JP,A) 実開 平4−23834(JP,U) 実開 平2−58127(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素系複合材料でなる複数枚のディスク
    部材と、このディスク部材の外周側に配設されるケーシ
    ング部及び内周側に配設される軸部とを有し、前記ディ
    スク部材を相互に密着させることにより制動力を発生さ
    せるように構成した多板ディスクブレーキ装置におい
    て、 前記ディスク部材の内部に、一端がその外周側に開口し
    且つ他端がその内周側に開口する空気通路を形成し、こ
    のディスク部材における前記空気通路の通路形成面と、
    このディスク部材の外面における少なくとも非摺動面と
    に、酸化防止被膜を形成するか又は炭化珪素を含侵さ
    せ、前記ディスク部材とケーシング部との間に、ディス
    ク部材を包囲し且つ通孔を形成した円筒部材を配設し、
    この円筒部材とケーシング部との間に周回通路を形成
    し、前記ケーシング部に、車体側に設けた空気強制送給
    手段から前記周回通路へ冷却空気を強制的に導入する空
    気導入孔を形成したことを特徴とする多板ディスクブレ
    ーキ装置。
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