JP2698367B2 - 低燐低亜鉛潤滑剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は燐および亜鉛を低含有率で含むかあるいはこ
れらを含まない潤滑組成物、特に自動車クランクケース
潤滑剤に関するものである。

（従来の技術） 一般に、有害な作用のために、潤滑剤中の燐の量を減
じようとの要求があり、燐は放出物制御用の接触転化器
で一般に触媒で用いられている。燐濃度は典型的には0.
1％程度であったが、燐濃度を0.05重量％以下あるいは
これを完全に除去することが次第に要求されるようにな
ってきた。しかしながら、亜鉛ジアルキルジチオホスフ
ェート（ZDDP）およびその他の燐含有添加剤が耐摩耗性
および／または酸化防止添加剤として広く使用されてお
り、しかもこれらの成分を短に減少もしくは除いてしま
うと、低いエンジン特性の潤滑剤となってしまう。

本発明は燐および亜鉛の量が少いあるいはこれらを全
く含まない潤滑組成物および濃厚物を提供するものであ
り、これらは硫黄、銅および軸受腐食防止剤を含み、こ
れら組成物は顕著なエンジン性能を与えることがわかっ
た。

米国特許第2,356,661号は油溶性有機化合物としての
銅、例えばジアルキルジチオカルバミン酸銅などを50〜
1,000ppm含み、かつ油中の全硫黄0.1〜0.5重量％と共に
燐含有化合物を含む潤滑油を扱っており、ここで該硫黄
はチオカルバメートなどの油溶性硫黄化合物として与え
られる。

米国特許第2,343,756号は、潤滑油に、硫黄化合物と
共に燐含有銅錯体を含有する銅化合物を添加することを
開示している。ここに開示の硫黄の量は0.1〜0.5重量％
であり、硫黄が0.5重量％を越えると有害である可能性
があるとしている。米国特許第2,552,580号において、
チオ燐酸第一銅は潤滑組成物中に比較的高濃度で含ま
れ、該油中で高い燐濃度を与える。米国特許第3,346,49
3号では、様々な金属含有重合体アミン−金属試薬が潤
滑組成物における洗浄剤として用いられている。一例に
おいて、潤滑剤は、特にアクリル化窒素化合物の銅塩、
ヘキセン酸化物と反応したZDDPとして0.075％の燐、お
よびタル油酸の硫化メチルエステルを含むものとして記
載されている。その他の銅含有潤滑剤はより多くの燐を
含むかあるいは硫黄を全く含まないものである。米国特
許第4,122,033は、アミン類、セレナイド類、ホスフィ
ン類またはホスファイト類と共に用いられる酸化防止性
安定化剤としてあらゆる群の遷移金属化合物を開示し、
これらは潤滑剤用添加剤を含む様々な用途で使用できる
としている。上記文献のいずれも、現代の潤滑剤に対す
る諸要件を十分に満足する完全に処方された潤滑剤を開
示しておらず、かついずれも耐摩耗性、酸化防止性およ
び腐食防止性を維持しつつ、燐濃度を減じることを特定
的に意図していない。

欧州特許第24,146号は、無灰分分散剤および／または
重合体粘度指数向上性分散剤およびジチオカルバメート
の形状であってもよい銅を含む潤滑剤組成物を開示して
いるか、ここは0.01〜0.5重量％の亜鉛および0.01〜0.5
重量％の燐の存在を必要としている。チアジアゾールポ
リスルフィドは任意的な成分である。

米国特許第4,330,420号は、ジアルキルジフェニルア
ミンと硫化ポリオレフィンとの混合物を用いてZDDPの量
の減少分を補償して、燐含有率を減じた（ただしわずか
に0.05％Ｐである）油を開示している。銅またはチアジ
アゾールポリスルフィドの使用については何等記載して
いない。

欧州特許第89,844号は、4,4′−メチレン−（2,6−ジ
−ｔ−ブチルフェノール）とtri−Sec−C₄−₁₂アルキル
オルト硼酸エステルとの反応生成物およびこれを潤滑剤
で使用して、0.05〜0.11重量％ＰとなるまでZDDPの量を
減少できることを開示している。

米国特許第4,490,265号は、硼酸含有複素環化合物
（銅塩を含む金属塩の形状であってよい）、チウジアゾ
ールポリスルフィド類、テレフタール酸および酸化防止
剤としてビス（ジチオベンジル）金属誘導体（ここで金
属は特に銅であり得る）または硫黄で架橋されたビスヒ
ンダードフェノールを含む潤滑油を開示している。燐を
減少もしくは排除することが望ましいことについては何
も記載しておらず、かつすべての潤滑剤の例は0.05重量
％のＰを含んでいる。米国特許第4,623,474号は同様な
開示を含んでいる。米国特許第4,627,930号も銅塩であ
ってもよくかつ硫化されていてもよい硼素含有複素環化
合物を開示している。チアジアゾールポリスルフィド類
および銅カルボキシレートも記載されている。これらの
硼素含有複素環化合物は燐を含まないものとして記載さ
れているが、0.05重量％未満のＰを含む完全な処方とし
ての油の開示はみられない。米国特許第4,629,580号は
同様な記載を含む。米国特許第4,629,579号は、ZPPDを
含まないものも包含する潤滑油および組成物用の極圧添
加剤（extrement pressure）、耐摩耗性および摩擦減少
添加剤として使用するための硼素および金属−硼素誘導
体を開示している。しかし、硫黄および銅と共に、燐を
少量またはまったく含まない組成物を開示している。

低含有率で燐を含み、あるいはこれを全く含まない、
かつ銅を全く含まない潤滑組成物が国際出願第8,604,60
1号、同第8,604,602号および同第8,606,092に記載され
ている。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、現代の油に対する、低いあるいは零の亜鉛
および燐含有率という要件に適しおよび大量のおよび／
または高価な形状の酸化防止剤を必要としない、耐摩耗
性、腐食防止性かつ酸化防止性能をもつ潤滑剤を提供す
るものである。

（課題を解決するための手段） 本発明で自動者クランクケース潤滑油に関連して使用
する“現代の油”なる用語は、主な工業国におけるクラ
ンクケース潤滑油に対する一般的な要件を見たし得る油
をいうものとする。高性能エンジン、オイル交換までに
要するより長い期間をもたらす長寿命およびより高い動
作温度すべては、潤滑油に必要とされる高い性能に寄与
する。本発明は、特に自動車用潤滑油に関り、これはサ
ービスステーション油に対するSF APIエンジンサービ
スカテゴリー（Engine Service Category）の要求およ
び／または協同でAPI、SAEおよびASTMにより設定された
コマーシャルオイル（Commercial Oils:ディーゼルエン
ジン）用のCD/APIエンジンサービスカテゴリーのCD要求
を満足かつこれを越えることを可能とする。

一局面では、本発明は、多量の潤滑油、５〜500ppm
（重量）の油溶性のものとして存在する添加銅、組成物
が好ましくは0.5〜2.0重量％の、より好ましくは0.5〜
1.0重量％の全硫黄となるように添加された１種以上の
油溶性硫黄含有化合物、および有効量の軸受腐食防止剤
を含み、0.05重量％未満の燐および0.01重量％の亜鉛を
含み、好ましくは実質的に燐を含まずかつ亜鉛を含まな
い潤滑組成物を提供する。

本発明の特に好ましい態様では、該潤滑組成物は、更
に１種以上の無灰分分散剤および／または１種以上の粘
度指数向上性分散剤および／または耐酸並びに防錆剤と
して機能する高塩基（overbased）カルシウムまたはマ
グネシウムスルホネートまたはフェナートなどの１種以
上の高塩基添加剤をも含む。

本発明における銅の使用は、現代の油の諸要求を満た
す性能の低燐油を、経済的にかつ良好に酸化を制御して
得ることを可能とする。この酸化は、自動車のエンジン
内で、摩耗または腐食により該油中に蓄積された金属に
より触媒作用を受け、鉄が特に酸化触媒となる。不当に
低濃度の銅の下では、いくつかの用途において酸化防止
作用が不十分となる可能性がある。著しく高い銅濃度下
では、該油の灰分量が大きく、軸受腐食の高い傾向が観
測される。この組成物中に添加される銅の量は一般に10
〜400ppm、典型的には10〜300ppm、好ましくは10〜200p
pm、例えば60〜200ppmである。

少量の油溶性銅化合物と、極少量のあるいは零の燐と
を含む本発明の組成物の、現代のエンジンテストの厳格
な要求を十分に満たす酸化防止性および耐摩耗性は驚く
べきものである。銅は多くの情況において酸化促進剤ま
たは酸化触媒として作用することが知られており、かつ
これと密接に関連する金属、例えばコバルトおよびクロ
ムは有効な潤滑剤の酸化防止剤ではない。欧州特許第2
4,146号は夫々少なくとも0.01重量％の燐および亜鉛の
存在を教示している。

また、亜鉛および他の金属化合物、例えばカルシウム
またはマグネシウム高塩基性添加剤（これらは固有の酸
化活性をもつ）を含む組成物において有効に機能するこ
とも驚くべきことである。

本発明において、酸化防止剤として使用する銅化合物
は、潤滑剤に適したものとして欧州特許第24,146号に記
載されているものから（但し、これら銅化合物が実質的
に燐を含まないことを条件とする）選択することができ
る。

かくして、銅は合成または天然カルボン酸の油溶性銅
塩として油中に配合できる。適当なカルボン酸の例は炭
素原子数10〜18の脂肪酸、例えばステアリン酸またはパ
ルミチン酸；不飽和酸、例えばオレイン酸；分岐カルボ
ン酸、例えば分子量200〜500のナフテン酸、ネオデカン
酸または２−エチルヘキサン酸；およびアルキルまたは
アルケニル置換ジカルボン酸、例えばポリアルケン置換
コハク酸（オクタデセニルコハク酸、ドデセニルコハク
酸およびポリイソブテンコハク酸など）などである。

銅は一般式：（RR′NCSS）nCu（ここでｎは１または
２であり、ＲおよびＲ′は同一また異る、炭素原子数１
〜18、好ましくは２〜12のヒドロカルビル基、例えばア
ルキル、アルケニル、アリール、アラルキル、アルカリ
ルおよびシクロアルキル基である）で示される油溶性の
ジチオカルバミン酸銅として該油に配合できる。その他
の銅および硫黄含有化合物、例えば銅メルカプチド類、
ジスルフィド類およびチオキサンテートなどは、本発明
で使用するのに適したものである。銅スルホネート、フ
ェノラートおよびアセチルアセトネートも使用できる。

また、銅は、最終的な潤滑剤組成物中で油溶性化合物
として存在する限り、該油中で油不溶性のものとして導
入することもできる。“添加銅（added copper）”なる
用語は、使用中に、例えば銅含有成分の摩耗または腐食
により油中に銅が蓄積される結果として油中に存在する
銅を除くことを意図する。

本発明の潤滑組成物は油溶性の添加硫黄化合物を含
む。このような硫黄化合物の一つの好ましい群はジチオ
カルバメート類、好ましくは式：（RR′NCSS）nM（但
し、Ｒ、Ｒ′およびｎは上記定義通りであり、Ｍは適当
な金属、例えばモリブデンまたは（上記のように）銅あ
るいは場合により置換ヒドロカルビル基を表す）で示さ
れるものである。好ましいジチオカルバメート類はジア
ルキルジチオカルバメート類、好ましくは炭素原子数２
〜12の、例えばジアミルジチオカルバメート類である。

硫黄もメルカプチド、特に脂肪族メルカプタンのメル
カプチド類（上記のように銅メルカプチド類を含む）、
硫化オレフィン類を包含する硫化不飽和有機化合物（例
えば、米国特許第4,119,549号、同第4,119,550、同第4,
191,659号および同第4,147,640号参照）、硫化ディール
スーアルダー付加生成物（例えば、米国特許第3,632,56
6号、同第3,498,915号およびUS−Ｅ−第27,331号参照）
および特に硫化不飽和アルコール類並びにエステル類、
例えばマッコウ鯨油代用品、ジーおよびポリスルフィド
を含むスルフィド類、チオエーテル類、チオフェノール
類、チオキサンテート類（上記の如く銅チオキサンテー
ト類を含む）、硫化エステル類、チオエステル類、チオ
アミド類、チアゾール類、例えばベンゾチアゾール類、
および特にメルカプトベンゾチアゾール類、並びにチア
ジアゾール類として導入できる。

無機潤滑油は硫黄を含むが、合成油は硫黄を含まない
ものであり得、従って硫黄含有化合物として添加される
硫黄の量は基本原料および潤滑組成物中の他の成分の硫
黄含有率に応じて変化する。より好ましくは硫黄含量を
0.5〜1.0重量％なる全硫黄となるようにする。本発明の
潤滑組成物は、有利には、0.5〜0.7重量％の全Ｓ、およ
び最も好ましくは油溶性の添加硫黄含有化合物（好まし
くは硫化エステルとして）として0.1〜0.5重量％のＳを
含む。

軸受腐食防止剤は、軸受例えばCu/Pb軸受（ここで銅
汚染および高い重量損失などの作用をこうむる恐れがあ
る）に及ぼされる腐食作用を阻害するのに有効な腐食防
止剤である。このような添加剤はこの油の耐摩耗性能を
増進することがわかっている。好ましい軸受腐食防止剤
は硼酸エステル類、例えばＢ（OR）_３、（RO）₂B−Ｏ−
Ｂ（OR）_２または（ROBO）_３、（RO）₂BOR¹OB（OR）_２
およびその混合物（但し、Ｒは置換または未置換アルキ
ル、アリールまたはアラルキル基であるか、あるいは２
個のＲが一緒に置換または未置換のアルキレン基を形成
し、R¹は置換または未置換アルキレン基である）であ
り、これらの物質は、例えばアルコール（例えばアルコ
キシアルカノール類：米国特許第4,440,656号における
ような短鎖アルカノール類および長鎖アルコール類両者
並びにポリエーテルアルカノール類）；モノー、ジーお
よびトリヒドロキシアルカノール類（例えば、２−エチ
ルヘキサノール、２−エチルヘキサン−1,3−ジオー
ル、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、
グリセロールおよび米国特許第2,866,811号記載の脂環
式ポリオール類；ヒドロキシエステル類（例えば、グリ
セリルモノオレエート）；例えばオレイン酸とオリス
（ヒドロキシメチル）−アミノメタンとから誘導される
オキサゾリン類；エポキシド類とメルカプタン類、例え
ばｔ−ドデシル−メルカプトエタノールとの反応により
得ることのできるような硫黄含有アルコール類；アルカ
ノールアミン類、例えばトリエタノールアミンおよびト
リーイソプロパノールアミン、一級アミン（例えばオレ
イルアミン）または二級アミンとエチレンまたはプロピ
レンオキシドとの反応により得られるヒドロキシアミン
類などのアミノアルコール類および米国特許第4,406,80
2号に記載の化合物などから誘導できる。好ましいアル
コールは２−メチルペンタン−1,3−ジオール、ブタン
−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオールおよび同様な
1,2−および1,3−ジオール並びにエトキシエタノールで
ある。

好ましい一局面において、本発明は0.01〜10重量％、
好ましくは0.1〜５重量％の硼酸エステル、特にアルコ
キシアルカノールまたはポリエーテルアルカノールのエ
ステル、例えばトリス（エトキシエチル）オルト硼酸エ
ステルまたはメタ硼酸エステル、もしくはブタン−1,3
−ジオールなどのジオールの二硼酸エステルを含む。

また、軸受腐食防止剤はチアジアゾールメルカプタ
ン、特に炭素原子数５〜50のチアジアゾールポリスルフ
ィド、その誘導体またはポリマーである。好ましい物質
は1,3,4−チアジアゾールポリスルフィドの誘導体、例
えば米国特許第2,719,125号、同第2,719,126号および同
第3,087,932号に記載されているものである。特に好ま
しいものは2,5−ビス（ｔ−オクタジチオ）−1,3,4−チ
アジアゾール（アモコ（Amoco）150なる商標の下で市販
品として入手できる）または2,5−ビス（ノニルジチ
オ）−1,3,4−チアジアゾール（アモコ（Amoco）158な
る商標の下で市販されている）化合物である。同様に適
した他の物質は米国特許第3,821,236号、同第3,904,537
号、同第4,097,387号、同第4,107,059号、同第4,136,04
3号、同第4,188,299号および同第4,193,882号に記載さ
れている。チアジアゾールメルカプタン類の誘導体、例
えばエステル類、ハロゲン化カルボン酸との縮合生成
物、アルデヒド類およびアミン類、アルコールまたはメ
ルカプタン類との反応生成物、アミン塩、ジチオカルバ
メート類、無灰分分散剤との反応生成物（例えば米国特
許第4,140,643号および同第4,136,043号参照）およびハ
ロゲン化硫黄およびオレフィンとの反応生成物なども使
用できる。

これら物質は、潤滑組成物基準で、好ましくは0.01〜
10重量％、より好ましくは0.1〜5.0重量％の量で存在す
る。

この潤滑組成物は、少量の、即ち0.05重量％未満、好
ましくは0.01重量％未満、より好ましくは0.005重量％
未満の燐を含むことができるが、より好ましくはこの潤
滑組成物は実質的に燐を含まない。

好ましい局面では、本発明の潤滑組成物は、更に以下
の成分を含む。

（Ａ）１〜10重量％の無灰分分散性化合物。これは無灰
分窒素またはエステル含有分散性化合物であって、好ま
しくは （ｉ）長鎖炭化水素置換モノーおよびジカルボン
酸またはその無水物の油溶性塩、アミド、イミド、オキ
サゾリンおよびエステルまたはこれらの混合物； （ii）直接結合したポリアミンを有する、長鎖脂
肪族炭化水素；および （iii）１モルの長鎖炭化水素置換フェノール
と、１〜2.5モルのホルムアルデヒドおよび0.5〜２モル
のポリアルキレンポリアミンなる比率でこれらを縮合す
ることにより形成されるマンニッヒ縮合生成物、但し該
長鎖炭化水素基はC₂〜C₅モノオレフィンのポリマーであ
り、該ポリマーは分子量700〜5,000を有する； から選ばれる化合物である。および／または （Ｂ）0.3〜10重量％の窒素またはエステル含有重合体
粘度指数向上性分散剤。これには以下のものが包含され
る。

（ａ） ビニルアルコールのC₄〜C₂₄不飽和エス
テル、またはC₃〜C₁₀不飽和モノーまたはジカルボン酸
と、炭素原子数４〜20の不飽和窒素含有モノーとのポリ
マー； （ｂ） アミン、ヒドロキシルアミンまたはアル
コールで中和された、不飽和C₃〜C₁₀モノーまたはジカ
ルボン酸とC₂〜C₂₀オレフィンとのポリマー；および （ｃ） エチレンとC₃〜C₂₀オレフィンとのポリ
マーを、更にC₄〜C₂₀不飽和窒素含有モノマーをグラフ
トするか、あるいは該ポリマーの主鎖に不飽和酸をグラ
フトし、次いでカルボキシル基をアミン、ヒドロキシル
アミンまたはアルコールと反応させて得られるポリマ
ー。

この窒素含有分散剤添加物はクランクケースモータオ
イル用のスラッジ分散剤として当分野で公知のものであ
る。これについては、例えば米国特許第3,275,554号、
同第3,565,804号、同第3,442,808号、英国特許第983,04
0号およびBE−Ａ第658,236号参照。

最も一般的に用いられる分散剤はアルケニルコハク酸
無水物、例えばポリイソブテニルコハク酸無水物と、米
国特許第3,202,678号、同第3,154,560号、同第3,172,89
2号、同第3,624,195号、同第3,024,237号、同第3,219,6
66号、同第3,216,936号およびBE−Ａ第662,875号に記載
されているアミンとを反応させることにより形成される
ものである。

また、無灰分分散剤は長鎖炭化水素置換カルボン酸
と、ヒドロキシ化合物、例えば−価および多価アルコー
ルまたは芳香族化合物、例えばフェノールおよびナフト
ールとから誘導されるエステルであってもよく、好まし
くは例えば米国特許第3,522,179号参照。

上記長鎖炭化水素置換カルボン酸のいずれかと反応し
て分散剤を形成できるヒドロキシルアミンは、２−アミ
ノ−１−ブタノール、２−アミノ−２−メチル−１−プ
ロパノール、ｐ−（β−ヒドロキシエチル）−アニリ
ン、２−アミノ−１−プロパノール、３−アミノ−１−
プロパノール、２−アミノ−２−メチル−1,3−プロパ
ンジオール、２−アミノ−２−エチル−1,3−プロパン
ジオール、Ｎ−（β−ヒドロキシプロピル）−Ｎ′−
（β−アミノエチル）−ピペラジン、トリス（ヒドロキ
シメチル）−アミノメタン（またトリスメチロールアミ
ノメタンとしても知られる）、２−アミノ−１−ブタノ
ール、エタノールアミン、β−（β−ヒドロキシエトキ
シ）−エチルアミン、などを含む。これらのおよび類似
のアミンの混合物も使用できる。

好ましい分散剤はポリイソブテニルコハク酸無水物
と、ポリエチレンアミン、例えばテトラエチレンペンタ
ミン、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレン
アミン、例えばポリオキシプロピレンジアミン、トリス
メチロールアミノメタンおよびペンタエリスリトール並
びにこれらの組合せとから誘導されるものである。一つ
の特に好ましい分散剤の組合せは（Ａ）ポリイソブテニ
ルコハク酸無水物と、（Ｂ）ヒドロキシル化合物例えば
ペンタエリスリトール、（Ｃ）ポリオキシアルキレンポ
リアミン例えばポリオキシプロピレンジアミン、および
（Ｄ）ポリアルキレンポリアミン例えばポリエチレンジ
アミンおよびテトラエチレンペンタミンとの組合せを含
み、約0.01〜約４当量の（Ｂ）および（Ｄ）および約0.
01〜約２当量の（Ｃ）を、一当量の（Ａ）につき使用す
る（米国特許第3,894,763号に記載されている）。もう
一つの好ましい分散剤の組合せは（Ａ）ポリイソブテニ
ルコハク酸無水物と、（Ｂ）ポリアルキレンポリアミン
例えばテトラエチレンペンタミンおよび（Ｃ）多価アル
コールまたはポリヒドロキシ−置換脂肪族第一アミン例
えばペンタエリスリトールまたはトリスメチロールアミ
ノメタンの組合せである（米国特許第3,632,511号参
照）。

アルケニルコハク酸ポリアミン型分散剤は更に硼素化
合物、例えば酸化硼素、ハロゲン化硼素、硼素酸および
硼素酸のエステルによって、アシル化窒化化合物１モル
につき硼素0.1〜10原子なる割合を与えるような量で変
性できる。これについては一般的に米国特許第3,087,93
6号および同第3,254,025号に教示されている。これら分
散剤の混合物も使用でき、例えば米国特許第4,113,639
号に記載されている。

この油は1.0〜10重量％、より好ましくは2.0〜7.0重
量％のこれら分散剤を含むことができる。

分散剤（dispersancy）は0.3〜10％の重合体粘度指数
向上性分散剤、例えばアルキルメタクリレートとＮ−ビ
ニルピロリドンまたはジメチルアミノアルキルメタクリ
レートとのコポリマー、アルキルフマレート−ビニルア
セテートＮ−ビニルピロリドンコポリマー、活性モノマ
ー例えばマレイン酸無水物で後グラフト化したエチレン
−プロピレン共重合体（これは更にアルコールまたはア
ルキレンポリアミンと反応させることができる；米国特
許第4,149,984号参照）；後にアルコールおよびアミン
と反応させたスチレン／無水マレイン酸ポリマー、米国
特許第3,702,300号に記載のようなアクリレートポリマ
ーのエトキシル化誘導体などによって与えられる。

マグネシウムおよび／またはカルシウム含有添加剤
は、しばしば単独であるいは他のアルカリまたはアルカ
リ土類金属添加剤、例えばナトリウムを含む添加剤など
と組合せて潤滑組成物中に含まれる。これらは、例えば
スルホン酸、アルキルフェノール、スルホン化アルキル
フェノール、アルキルサリチレート、ナフテネートおよ
び他の油溶性モノーおよびジ−カルボン酸の金属塩とし
て存在し得る。

高塩基性アルカリ土類金属アルカリールスルホネート
は一般に公知であり、例えば米国特許第3,150,088号お
よび同第3,150,089号に記載されている。本発明の目的
にとって、好ましいアルカリ土類金属スルホネートは、
全塩基数（total base number（TBN）;ASTMD2896の手順
に従って測定）300〜400のマグネシウムアルキル芳香族
スルホネートである。

多価金属アルキルサリチレートおよびナフテネート物
質も含むことができ、これらは例えばメチレンおよび硫
黄で架橋した物質であって、アルキル置換サリチル酸ま
たはナフテン酸あるいはこれらの一方もしくは両者とア
ルキル置換フェノールとの混合物から容易に誘導され
る。塩基性硫化サリチレートおよびその調製法は米国特
許第3,595,791号に示されている。

この硫化金属フェノラートは“フェノールサルファイ
ドの金属塩”と考えることができ、従って中性であれ塩
基性であれ、以下の一般式で代表される化合物の金属塩
ということができる： （ここでｘは１または２、ｎは０、１または２である）
或るいはこのような化合物の重合体であるということが
でき、この場合Ｒはアルキル基であり、ｎおよびｘは１
〜４の整数であり、基Ｒの全てにおける平均炭素原子数
は少なくとも約９であり、それによって油中での十分な
溶解度が保証される。各Ｒ基は夫々５〜40、好ましくは
８〜20個の炭素原子を含むことができる。該金属塩はア
ルキルフェノールサルファイドと、十分な量の金属含有
物質とを反応させて、得られる硫化金属フェノラートに
所定のアルカリ度を付与することにより調製される。

この硫化アルキルフェノールは、酸化物、水酸化物お
よび錯体を含む金属含有物質と、該フェノールを中和す
るのに十分な量で反応させることにより転化され、かつ
必要ならば該生成物を当分野で周知の手法により所定の
アルカリ度となるように高塩基化される。好ましい方法
は金属のグリコールエーテル溶液を溶いた中和反応であ
る。

上記した如きマグネシウムおよびカルシウム含有添加
剤は、他の点では有利であるものの、潤滑油が酸化され
る傾向を高める恐れがある。これは高塩基性スルホネー
トの場合特に顕著である。

好ましい態様によれば、本発明は従って２〜8,000ppm
のカルシウムおよびまたはマグネシウムをも含むクラン
クケース潤滑組成物を提供する。

マグネシウムおよび／またはカルシウムは一般にスル
ホネートおよびフェノラートなどの塩基性または中性洗
浄剤として存在し、かつ好ましい添加剤は塩基性マグネ
シウムまたはカルシウムスルホネートである。好ましく
は、この油は500〜5,000ppmの、該添加物からのカルシ
ウムおよび／またはマグネシウムを含んでいる。

本発明のこれら組成物は、これに代るものとしてある
いはこれに加えて、他の同様な金属含有洗浄剤添加物、
例えばバリウム、ナトリウム、カリウムもしくはリチウ
ムを含む添加物を含むことができる。

この潤滑組成物で用いる潤滑油は無機潤滑油または合
成潤滑油もしくはこれらの混合物であってよい。適当な
合成油はジエステル油、例えばジ−（２−エチルヘキシ
ル）−セバケート、アゼレートおよびアジペート；複合
エステル油、例えばジカルボン酸、グリコールおよび一
塩基性酸または一価アルコールのいずれかから形成でき
る油；シリコーン油；スルフィドエステル類；有機カー
ボネート類；炭化水素油；および当分野で公知の他の合
成油を含む。本発明は、特に無機潤滑油で用いるのに適
しており、一般に使用されているものよりも耐酸化性に
劣る塩基性原料油の使用を可能にするという付随的な利
点をもっている。

本発明の潤滑組成物は他の伝統的な潤滑添加剤を含む
ことができるか、もしくは通常含有している。但し、該
添加剤は実質的に亜鉛を含まず、かつ燐を含まないこと
を条件とし、これらは、例えばオレイン酸およびその誘
導体、例えばＮ−オレイルザルコシン、並びにオレイン
酸ダイマーおよびトライマー、レシチン、ソルビタンモ
ノオレエート、ドデシルコハク酸無水物またはトルキシ
ル化アルキルフェノールなどの防錆剤；ビニルアセテー
トとヤシ油アルコールのフマール酸エステルとのコポリ
マーなどの流動点降下剤；およびオレフィンコポリマー
またはポリメタクリレートなどの粘度指数向上剤などで
ある。

銅を含まない油では、亜鉛ジアルキルジチオホスフェ
ートに加えて他の酸化防止剤を加えることがしばしば必
要となり、これによって該油の酸化に対する安定性が改
善される。これらの補助的な酸化防止剤は、特に主原料
が低い酸化安定性を示す場合に添加され、一般にこの補
助的酸化防止剤は0.1〜1.5重量％なる量で該油に添加さ
れる。使用する補助酸化防止剤としては、フェノール
類、ヒンダードフェノール類、ビスフェノール類および
硫化フェノール類、カテコール、アルキル化カテコール
類および硫化アルキルカテコール類、ジフェニルアミン
およびアルキルジフェニルアミン類並びにフェニル−１
−ナフチルアミンおよびそのアルキル化誘導体などが挙
げられる。

少量の銅が含まれる場合には、一般にこれら補助酸化
防止剤の使用は不要である。しかしながら、補助酸化防
止剤の使用は依然として本発明の範囲内にあり、特にこ
れらの補助酸化防止剤の存在が有利であるような著しく
苛酷な条件下で動作する油に対して使用される。但し、
これによって隣が実質的に導入されないことを条件とす
る。

潤滑油用の添加剤は、一般に多量の潤滑油に配合する
ための、油中の濃厚物として供給される。従って、本発
明は以下の成分を含む油溶液を含む濃厚物（液）を提供
する： （ｉ）0.1重量％未満の燐および0.1重量％未満の亜鉛； （ii）１〜50重量％の油溶性硫黄含有化合物； （iii）0.005〜２重量％の銅；および （iv）0.1〜20重量％の軸受腐食防止剤； および場合により以下の群から選ばれる分散剤： （ａ） ０〜60、例えば10〜60重量％の無灰分分散性化
合物； （ｂ） ０〜40、例えば３〜40％の重合体粘度指数向上
性分散剤（但し、通常あらゆる粘度指数向上剤は別途に
添加される）。

この濃縮物は、また他の添加剤、例えば前に記載した
粘度指数向上剤および洗浄剤を含むことができる。特に
好ましい濃縮物はマグネシウムおよび／またはカルシウ
ム含有添加剤をも含み、従って本発明は、更に0.1〜８
重量％のカルシウムおよび／またはマグネシウムをも含
む濃縮物をも提供する。

（実施例） 以下に実施例を与えるが、これらは本発明のいくつか
の局面を更に詳しく示すための例示の目的で与えられる
にすぎない。

比較例Ｉ−IVおよび実施例１および２ 以下の比較例および本発明の実施例において、処方物
は以下の第１表に示された添加剤の組合せおよび量で調
製され、残部は潤滑組成物に適した希釈油であり、かつ
0.3重量％の硫黄を含んでいる。使用した添加剤は以下
の通りである。

Ａは粘度指数（V.I.）向上性分散性添加剤であって、
21％の多官能性エチレン−プロピレンコポリマーを含む
油溶液で、0.29重量％のＮを含む。

Ｂは無灰分分散剤であって、分子量約950のポリイソ
ブテニル基をもつボレート化ポリイソブテニルサクシン
イミドの50重量％の油溶液で、1.6重量％のＮと0.35重
量％のＢとを含む。

Ｃは、TBN400をもつ高塩化マグネシウムスルホネート
の油溶液であって、マグネシウム含量は9.2重量％であ
り、かつ硫黄含量は1.7重量％である。

ＤはTBN300の高塩基化カルシウムスルホネートの油溶
液であり、カルシウム含量11.9重量％および硫黄含量1.
9重量％を有する。

Ｅは４重量％の銅を含む銅オレエートの油溶液であ
る。

Ｆはヒンダードメチレンビスフェノール酸化防止剤の
30重量％油溶液である。

Ｇはチバガイガー（Ciba−Geigy）社からイルガノッ
クス（Irganox）Ｌ−57として入手できる、アルキル化
ジフェニルアミン酸化防止剤である。

Ｈは、６重量％の亜鉛と12重量％の硫黄を含む、亜鉛
ジアミルジチオカルバメートの50重量％油溶液である。

Ｊは、５〜６重量％の硼素を含む、エトキシエタノー
ルから作られたオルトボレートエステルである。

Ｋはアモコケミカルカンパニー（Amoco Chemical Com
pany）からアモコ（Amoco）158として市販されている2,
5−ビス（ノニルジチオ）−1,3,4−チアジアゾールであ
り、33重量％の硫黄を含む。

Ｌはオレエートとしてモリブデンを12重量％を含む油
溶液である。

Ｍはエメリー（Emery）社からエメリー（Emery）9844
として入手できる硫化エステルマッコウクジラ油代用品
であり、11.5重量％の硫黄を含む。

これらの処方物を以下の標準テストによりテストし
た。

○ ASTM STP315MパートIIによるSeq.III Dエンジンテ
スト。これにより、最大および平均のカム＋リフター摩
耗が測定される。このテストでの合格は最大摩耗0.02cm
（0.008インチ）またはこれ以下および平均摩耗0.01cm
（0.004インチ）またはこれ以下で達成される。

○ III Dでの動粘度増加は、64時間内の増加率（％）
として40℃で測定した。合格は、このテストでは、64時
間以内の粘度増加が375％以下であることがある。

○ ASTM STP509A PE IVに基くCRC−Ｌ−38スクリー
ナー（Screener）エンジンテスト。このテストでは軸受
の重量損失量（BWL）が測定される。このテストでの合
格はBWLが40mg以下であることである。

結果を第２表に示す。これらの結果は本発明が潤滑剤
において著しく有効であり、該潤滑剤は実質的に燐およ
び亜鉛を含まず、優れた酸化防止性、耐摩耗性、および
軸受腐食防止性をもつことを示している。比較例Ｉ、II
およびIIIは、軸受腐食防止剤のない場合には、耐摩耗
性が不十分であることを示している。比較例IVは、モリ
ブデン添加剤が耐摩耗性を改善しないことを示してい
る。比較例Ｖは、銅酸化防止剤が存在しないと、他の公
知の酸化防止剤が公知の量で存在しても、性能が不十分
であることを示している。

本発明の実施例は、処方物の性能が単に個々の添加剤
の性能の和ではなく、耐摩耗性、酸化防止性並びに軸受
腐食防止性の点で著しい改良を与え、一方で従来の油に
おいて使用された市販のものよりも低濃度の燐を含むこ
とを示している。

濃厚物：上記処方物を与える典型的な濃厚物。

濃厚物も取扱い性を改善（粘度減少）するために幾分
かの希釈油を含んでいてもよい。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１０Ｍ 135:18 145:00） Ｃ１０Ｎ 10:02 30:02 30:04 30:10 30:12 40:25 (72)発明者 フレドリック アリステア ギブソン 英国 バークシャー ニューバリー グ レート ペンウッド バークレア ペン ウッド ハイツ 64 (56)参考文献 特開 昭56−53189（ＪＰ，Ａ) 国際公開86／4601（ＷＯ，Ａ１) 国際公開87／7291（ＷＯ，Ａ１)

Claims (12)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】大量の潤滑油、５〜500ppmの油溶性形状で
   存在する添加銅、全硫黄含有量が0.5〜2.0重量％となる
   ように添加された１種以上の油溶性硫黄含有化合物およ
   び有効量の軸受腐食防止剤を含み、燐の量が0.05重量％
   未満であって亜鉛の量が0.01重量％未満であることを特
   徴とする自動車エンジンで使用するクランクケース潤滑
   組成物。
2. 【請求項２】銅のC₁₀〜C₁₈脂肪酸、不飽和カルボン酸、
   分子量200〜500のナフテン酸またはアルキル若しくはア
   ルケニル置換ジカルボン酸との塩、一般式（RR′NCSS）
   nCu（ここで、ｎは１または２であり、ＲおよびＲ′は
   同一または異る炭素原子数１〜18のヒドロカルビル基で
   ある）で示される油溶性ジチオカルバミン酸銅、スルホ
   ン酸銅、銅フェノラートまたは銅アセチルアセトネート
   として、上記銅を上記油に配合する請求項１記載の組成
   物。
3. 【請求項３】上記油溶性硫黄化合物が、式：（RR′NCS
   S）nM（ここでＲ、Ｒ′およびｎは請求項２で定義した
   通りであり、Ｍは適当な金属を表す）で示されるジチオ
   カルバメートまたはメルカプチド、硫化不飽和有機化合
   物、スルフィド、チオエーテル、チオフェノール、チオ
   キサンテート、硫化エステル、チオエステル、チオアミ
   ド、チアゾールまたはチアジアゾールである請求項１又
   は２に記載の組成物。
4. 【請求項４】全硫黄を0.5〜1.0重量％含み、添加された
   油溶性硫黄含有化合物としての硫黄を0.1〜0.5重量％含
   む請求項１〜３のいずれか１項に記載の組成物。
5. 【請求項５】実質的に亜鉛を含まない請求項１〜４のい
   ずれか１項に記載の組成物。
6. 【請求項６】上記軸受腐食防止剤が次式： Ｂ（OR）_３または（RO）₂B−Ｏ−Ｂ（OR）_２、（ROBO）
   _３または（RO）₂BO−R¹−OB（OR）_２ （ここで、Ｒは置換または未置換のアルキル、アリール
   またはアラルキル基を表し、もしくは２つのＲが一緒に
   置換または未置換アルキレン基を形成し、R¹は置換また
   は未置換アルキレン基である）で示されるボレートエス
   テル１種以上および／または炭素原子数５〜50のチアジ
   アゾールポリスルフィド、その誘導体またはポリマーを
   含む請求項１〜５のいずれか１項に記載の組成物。
7. 【請求項７】0.005重量％未満の燐を含む請求項１〜６
   のいずれか１項に記載の組成物。
8. 【請求項８】実質的に燐を含まない請求項７記載の組成
   物。
9. 【請求項９】更に（Ａ）１〜10重量％の無灰分分散剤お
   よび／または（Ｂ）0.3〜10重量％の窒素またはエステ
   ル含有高分子粘度指数向上剤を含む請求項１〜８のいず
   れか１項に記載の組成物。
10. 【請求項１０】２〜8,000ppmのカルシウムおよび／また
    はマグネシウムを含む請求項１〜９のいずれか１項に記
    載の組成物。
11. 【請求項１１】（ｉ） 0.1重量％未満の燐および0.1重
    量％未満の亜鉛； （ii） １〜50重量％の油溶性硫黄含有化合物； （iii） 0.005〜２重量％の銅； （iv） 0.1〜20重量％の軸受腐食防止剤；および （ｖ） 0.60重量％の無灰分分散剤および／または０〜
    40重量％の高分子粘度指数向上用分散剤 を含む油溶液からなる潤滑剤用濃厚物。
12. 【請求項１２】更に、0.01〜８重量％のカルシウムおよ
    び／またはマグネシウムを含む請求項11記載の潤滑剤用
    濃厚物。