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JP2667635B2 - ステンレス鋼フラックス入りワイヤ - Google Patents

ステンレス鋼フラックス入りワイヤ

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JP2667635B2
JP2667635B2 JP8605794A JP8605794A JP2667635B2 JP 2667635 B2 JP2667635 B2 JP 2667635B2 JP 8605794 A JP8605794 A JP 8605794A JP 8605794 A JP8605794 A JP 8605794A JP 2667635 B2 JP2667635 B2 JP 2667635B2
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松下行伸
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夏目松吾
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Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はステンレス鋼用フラック
ス入りワイヤに係り、特に高温用途用のステンレス鋼の
溶接に供することを目的に開発されたステンレス鋼用フ
ラックス入りワイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】ステン
レス鋼用フラックス入りワイヤは、ここ数年間に急速に
普及を成し遂げた溶接材料であり、施工面における優れ
た能率性と良好な溶接作業性がその普及の大きな要因と
なっている。しかし、ワイヤの普及に伴い、一部の産業
分野においては、フラックス入りワイヤを使用すること
によって予期せぬ問題点が生じている。
【0003】すなわち、ステンレス鋼を耐熱鋼として使
用したり、厚板のステンレス鋼溶接物を溶体化処理や熱
間曲げ加工を行う分野である。このような高温用途分野
の材料を対象としてステンレス鋼用フラックス入りワイ
ヤを使用した場合、しばしば高温加熱/冷却中或いは熱
間曲げ加工中に溶接部に割れが生じることが知られてい
る。また、高温にて長時間操業運転中の機器等におい
て、フラックス入りワイヤを使用した溶接部にしばしば
割れが生じたり、溶接部のクリープ破断寿命が従来施工
法であるTIG溶接や被覆アーク溶接のそれと比較して
著しく低下したり、クリープ破断時の延性値が低下する
現象が最近になって確認されつつある(図1参照)。
【0004】本発明は、現状のフラックス入りワイヤを
使用した場合の上記のような問題点を解決するために、
高温用途用の溶接材料として良好な特性を有し、かつ溶
接作業性、具体的には、スラグ剥離性に優れ、スパッタ
発生量の少ないステンレス鋼用フラックス入りワイヤを
提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段として、本発明は、ステンレス鋼よりなる外皮に
フラックスを充填したステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤにおいて、 該ステンレス鋼外皮全重量中の含有量として、 酸素量:50〜1000ppm、 Nb:0.015%以下、 V:0.10%以下、 炭素:0.015%以下、 窒素:0.025%以下、 に規制し、かつ、 充填フラックス中に、炭素源、窒素源として、金属C
r、金属Mn又はこれら元素との各種合金原料或いは化合
物、及び/又は、グラファイト或いは炭酸塩を除く炭素
化合物原料の少なくとも1種から、ワイヤ重量比にて、 炭素:0.020〜0.10% 窒素:0.008〜0.08% を含有し、 充填フラックス中には金属Si及び/又はSi合金を含
む脱酸剤を実質的に含有しておらず、 充填フラックス中にスラグ成分として、ワイヤ重量比
にて、 TiO2:5.50〜15.50%、 SiO2:0.20〜1.50%、 Al23:0.20〜1.50%、 金属弗化物:0.25〜1.35%、 Fe、Mn、Mgの金属酸化物の少なくとも1種以上:0.
02〜1.00%、を含有し、 充填フラックスより不可避的不純物として混入してく
るNb、V、及びこれらの化合物を、ワイヤ重量比に
て、Nb、V換算量で、 Nb:0.075%以下、V:0.10%以下、に規制
し、充填フラックス中に故意に添加、若しくは不可避
的に混入してくる低融点金属のAs、Sb、Pb、Bi及び
これらの酸化物或いは化合物を、ワイヤ重量比にて、A
s、Sb、Pb、Bi換算量で、As:0.010%以下、S
b:0.010%以下、Pb:0.008%以下、Bi:0.
008%以下、に規制したことを特徴とするステンレス
鋼用フラックス入りワイヤを要旨としている。
【0006】また、本発明は、ワイヤ中のS、As、S
b、Pb、Biを、ワイヤ重量比にて、S:0.003〜
0.035%、 5×(Bi+Pb)+2×(As+Sb):0.065%以下、
と規制したことを特徴としている。
【0007】
【作用】以下に本発明を更に詳述する。
【0008】本発明者らは、前記課題を解決するに当た
り、ステンレス鋼用フラックス入りワイヤ溶着金属の高
温での引張特性、その中でも特に延性に着目して、これ
に対して影響を及ぼす要因として、ワイヤを構成する原
材料であるステンレス鋼製の外皮成分と充填フラックス
原料組成の双方に着目した。
【0009】本発明者らは、前述した現状のステンレス
フラックス入りワイヤで生じている問題点がひとえに溶
着金属の高温延性の不足に起因しているものと考え、従
来施工法による溶着金属であるTIG溶着金属や被覆ア
ーク溶着金属と現行の市販フラックス入りワイヤによる
溶着金属についてそれぞれ500〜800℃での高温引
張試験を行って破断時の延性の比較を行った。この試験
結果の一例を図1に示す。これより明らかなように、ほ
ぼ600℃程度までは両者に大差がみられないにも拘ら
ず、600℃以上の高温では、明らかにフラックス入り
ワイヤ溶着金属の破断延性が低くなることが判明した。
【0010】このような高温での高温延性の低下の理由
については、従来より種々の原因が考えられており、従
来技術においては、溶着金属の低フェライト化(Delon
gFN等でもってFN値を下げ2〜6位の範囲とする)と
か、溶着金属の低酸素化等が有効であると論じられて
いる。しかし、本発明者らは、これら溶着金属の延性の
差異の原因について調査した結果、主たる原因は、溶着
金属中に含有される極微量の低融点元素及びそれら化合
物の存在にあることが推察された。ここで言うところの
低融点元素とは鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、アンチモン
(Sb)、ヒ素(As)等であるが、これらの元素のうちP
b、Bi等は、単体ではその融点は270、327℃と極
めて低く、溶着金属中には殆ど酸化物や各種化合物の形
で存在するものと考えられた。なお、Bi23の融点は
820℃、Pb34の融点は830℃、Na3Sbの融点は
865℃、K3Sbの融点は812℃である。
【0011】そこで、本発明者らは、これら低融点元素
又はそれら化合物の溶着金属中での含有量と溶着金属の
高温延性の低下挙動との関係を調査した結果、明確な関
係が存在することを発見した。すなわち、溶着金属の高
温延性の低下を防止するためには、これらの低融点元素
のワイヤ全重量中での含有量を、As:0.010%以
下、Sb:0.010%以下、Pb:0.008%以下、B
i:0.008%以下、に規制することである。望ましく
は、 5×(Bi+Pb)+2×(As+Sb):0.065%以下、
である。
【0012】更に、この種の高温特性を求められるステ
ンレス鋼用溶接材料の特長として高温強度も大きなこと
が重要となる。このため、溶着金属の強度を十分に確保
する上では、ワイヤ中に添加される炭素(C)と窒素(N)
の量が極めて重要であることは周知のことである。しか
し、本発明者らは、溶接作業性の観点から、フラックス
入りワイヤに使用する外皮ステンレス鋼中に含有される
C、N等の元素は極力低くすることが重要であることを
見い出した。
【0013】すなわち、本発明者らは、外皮ステンレス
鋼中の炭素量と溶接作業性との関係を調査した結果、外
皮中の炭素量が少ない程、スパッタ発生量が低下するこ
と、更には、充填フラックス中に添加する炭素量が増加
しても外皮中の炭素含有量が低い場合にはスパッタ発生
量が少ない事実を見い出した。
【0014】このため、外皮中の炭素量は少ないほど好
ましいものであるが、実質的にスパッタの低減化効果が
明確に認められる限界量として、本発明では外皮ステン
レス鋼中での炭素量を0.015%以下とした。
【0015】また、外皮ステンレス鋼中の窒素含有量に
ついても、炭素と同様に、低窒素化によるスパッタ低減
化の効果が確認されたことから、外皮ステンレス鋼中の
窒素含有量は0.025%以下とした。
【0016】しかるに、前述の如く、高温用途用のステ
ンレス鋼フラックス入りワイヤとして溶着金属の高温強
度を確保するためには、ワイヤ中にある程度の炭素源及
び/又は窒素源を添加することは必須である。本発明に
おいては、溶接作業性を高めるために、外皮中のC、N
量を上記のように規制することが必要であるため、本発
明者らは、溶接作業性を極力損なわないことに留意しつ
つ、充填フラックス側より添加し得るC、Nの供給原料
として以下のものを見い出し、これら原料について溶接
作業性(スパッタ発生量)の観点からの添加上限の検討を
行った。
【0017】その結果、本発明のワイヤにおいては、充
填フラックス中に、炭素源、窒素源として、金属Cr、
金属Mn又はこれら元素との各種合金原料或いは化合
物、及び/又は、グラファイト或いは炭酸塩を除く炭素
化合物原料の少なくとも1種から、ワイヤ重量比にて、 炭素:0.020〜0.10% 窒素:0.008〜0.08% を含有させる。なお、それぞれの添加下限は強度確保上
必要な最低量である。ここで、炭素源、窒素源として金
属Cr、金属Mnやこれらの元素との合金原料又は化合物
を挙げたのは、溶接に際して酸化反応にあずかるC量の
割合を極力小さくし、酸化の結果として生じるCO2
スの発生等をできる限り抑えることを狙ったからであ
る。これはCO2ガス発生量が増加するとスパッタ発生
が増えるからであり、この理由により本発明では不純物
として混入する各種炭酸塩量をCO2換算にてワイヤ全
重量当たり0.1%未満とすることが望ましい。なお、
炭素源として金属Cr、金属Mn等を挙げた理由はそれら
に不純物として炭素、窒素が含まれることによる。炭酸
塩を除く炭素化合物原料には例えばCF(フッ化カーボ
ン)等がある。
【0018】更に、本発明者らは、溶接材料中に通常は
脱酸剤として添加されるSi、Ti、Al、Zr及びこれら
の鉄系合金や複合合金の溶接作業性に及ぼす影響を検討
した結果、金属Siや、Ca−Si、Fe−Si、Fe−Si
−Mn、Fe−Si−Mg等のSi合金系の脱酸剤を使用す
ると、溶接時のスラグ剥離性が低下することが明らかに
なった。このため、本発明においては、金属Si及びSi
合金系の脱酸剤を実質的に含有させないことにした。な
お、本発明で言うところの実質的に含有しないレベルと
しては、不純物としての混入を考慮して、充填フラック
ス中での金属Si量として0.2%以下(充填フラックス
重量%)が目安とし得る。
【0019】また、本発明のワイヤに充填されるフラッ
クス中のスラグ形成剤は、TiO2、SiO2、Al23
金属弗化物、金属酸化物等を主成分とするものである
が、以下の如くこれら原料の含有量(ワイヤ全重量比)を
限定する必要がある。
【0020】TiO2:TiO2は本発明ワイヤのスラグ形
成剤のメインをなす原料であり、ワイヤ全重量比にて
5.5〜15.50%の範囲で添加される。5.5%未満
では溶接ビードの包被性が劣化すると共に、アークの安
定性が不十分となる。また、15.50%を超えるとス
ラグの粘性が高くなりすぎてスラグ巻や融合不良等の溶
接欠陥が発生し易くなる。
【0021】SiO2:SiO2はTiO2と共にスラグ形成
剤をなすものであり、特に溶接時のビード形状を整える
と共に母材とのなじみを向上させる効果がある。しか
し、SiO2が0.20%未満ではこのような効果が期待
できず、また、逆に多すぎると溶融スラグの粘性が低下
してビード形状がかえって劣化する。また同時にSiO2
の増加と共に溶接時のスラグ剥離性も低下する。よっ
て、SiO2量はワイヤ全重量比にて0.20〜1.50%
とする。
【0022】Al23:Al23もTiO2、SiO2と共に
スラグ形成剤をなすものであり、SiO2と同様に溶接時
のビード形状を整えると共に母材とのなじみを向上させ
る効果がある。特に適当にスラグの高温粘度を調整する
ことに有効な原料であり、0.20%未満ではスラグの
粘性が低すぎて立向溶接等でのビードの垂れ落ちが生じ
易くなる。しかし、逆に多すぎるとスラグ粘性が高くな
りすぎてスラグ巻き等の溶接欠陥が生じやすくなると共
にスラグ剥離性の低下も引き起こす。このため、Al2
3の添加範囲はワイヤ重量比にて0.20〜1.50%と
する。
【0023】金属弗化物:CaF2、フッ化ソーダ、硅フ
ッ化カリ、氷晶石等の各種金属弗化物原料は一般的には
溶接時のスラグの高温粘性や塩基度の調整作用がよく知
られている。しかし、本発明者らは、本発明のワイヤに
おいてはこれら金属弗化物を添加することでスラグ剥離
性が向上することを見い出した。このようなスラグ剥離
性の改善効果は、ワイヤ重量比で0.25%未満では明
確ではなく、金属弗化物の増加と共にスラグ剥離性は向
上し、5.0%程度までは良好なスラグ剥離性を維持す
ることが確認された。しかし、このような金属弗化物の
増加と共にスパッタの発生が顕著となることから、本発
明においては金属弗化物の添加上限を1.35%とす
る。
【0024】Fe、Mn、Mgの金属酸化物:本発明のワ
イヤの開発に当たり各種金属酸化物原料の溶接作業性に
対する影響を調査したところ、TiO2、FeO(Fe23
も含む)、MnO、MgO等はスラグ剥離性を向上させ、
SiO2、CrO(Cr23)、NbO、V23等は逆にこれ
を低下させること、またAl23は最適な添加範囲があ
ることが判明した。このため、本発明においては、前述
のようにTiO2、SiO2、Al23については総合的な
溶接作業性を考慮してその最適範囲を定めると共に、積
極的にFeO、MnO、MgO等のFe、Mn、Mgの各金属
酸化物の少なくとも1種以上を添加することとする。そ
の添加量の下限としては添加による改善効果の見られる
0.02%とする。しかし、これら酸化物はいずれも過
度に添加することによってスパッタの発生が顕著となる
ことから、添加上限を1.00%とする。
【0025】Nb、V:前述の如くワイヤ中でのNb酸化
物やV酸化物の存在は、たとえそれが極微量であっても
溶接スラグの剥離性を劣化させることが判明した。これ
ら酸化物は従来は不可避的不純物として考えられていた
が、本発明においては積極的に排除することでスラグ剥
離性の改善を図ることに成功した。
【0026】しかし、このような元素は外皮ステンレス
鋼中にも同成分が不純物として混入していることも多
く、これが溶接時に酸化されることでスラグ中に混入
し、スラグ剥離性の低下を招くことも確認された。この
ため、本ワイヤにおいては、外皮ステンレス鋼中での不
純物としてのNb含有量を0.015%以下、V含有量を
0.10%以下とし、更に、充填フラックス中より混入
してくるこれら元素並びにその酸化物等の化合物を、N
b、V換算値にて、ワイヤ重量比で、Nb:0.075%
以下、V:0.10%以下とする。
【0027】S:通常のステンレス鋼用フラックス入り
ワイヤ中でのSは不可避的不純物として外皮/充填フラ
ックスの双方より混入するものであり、Pと共にSの存
在は溶着金属の高温割れ感受性を高めるため、従来技術
においてはこれを極力低下させる努力が行われてきた。
しかるに、本発明者らはワイヤ中に適量のSを積極添加
することで、溶融金属の粘性を下げることに成功し、こ
れによって溶接中でのワイヤ先端部の溶融金属の離脱/
移行状態の大幅な安定化を図り、スパッタの発生を激減
させうることを発見した。この知見より、本発明におい
ては、必要に応じてSを積極添加することができる。添
加する場合、このような効果の認められるSの下限値と
してワイヤ全重量比で0.003%とし、また添加の上
限は溶着金属の耐高温割れ性能の劣化挙動よりワイヤ全
重量比で0.035%とする。
【0028】O:外皮に含有される酸素は、通常は大部
分が酸化物としての介在物の形態で存在している。この
ような酸化物は溶接時にワイヤ未溶融部でのアークの起
点として作用し、ワイヤ先端における安定したアーク発
生点となるものであり、ひいてはスパッタ発生量の低減
に効果をもたらすことが明らかになった。このようなア
ーク安定性を高める効果は、外皮中の酸素量が50ppm
以上で明確となる。しかし、外皮中の酸素量が過多にな
ると、外皮中の酸化物(介在物)が伸線加工中において断
線の原因となるために、酸素量としての上限は300pp
mに抑えることが望ましいことが明らかになった。しか
し、このようなアーク安定剤としての酸化物は溶接用ワ
イヤとしての表面に存在すれば良いことになるため、ワ
イヤの外皮中に含まれる酸化物として存在する必要はな
く、ワイヤ伸線後に表面を強制酸化させることであって
もその目的は達成されることになる。このような処理を
実施する場合を考慮すれば、ワイヤ外皮中の総酸素量と
して50ppmから1000ppmが望ましいレベルである。
ここで上限を1000ppmとしたのは、表面酸化等の処
理を行った場合、過度の酸化処理による悪影響としてワ
イヤ表面の酸化によるワイヤ送給性の低下が生じるため
である。
【0029】なお、ステンレス鋼外皮の成分組成として
は、上記の各成分量を規制したものであれば、他の成分
はいわゆるステンレス鋼として含有する元素並びに含有
量が可能であるのは言うまでもない。ステンレス鋼の一
例として、JIS G 4304“熱間圧延ステンレス鋼
板”、JIS G 4305“冷間圧延ステンレス鋼
板”、JIS G 4307“冷間圧延ステンレス鋼帯”
に記載されているオーステナイト系ステンレス鋼が挙げ
られ、これらに類似の成分組成のものも可能である。勿
論、本発明の対象とするステンレス鋼も高温用であれば
これらの成分系及び組成のものが可能である。また、フ
ラックス入りワイヤの断面形状、ワイヤ径等々も適宜決
められる。
【0030】次に本発明の実施例を示す。
【0031】
【実施例】表1、表2、表3、表4に示す成分組成の各
種のフラックス入りワイヤ(ワイヤ径1.2φ)を試作
し、溶接試験を行い、高温特性、溶接作業性等を調べ
た。外皮には304L系ステンレス鋼(主成分として、
Cr:19%、Ni:10%を含む)を使用した。
【0032】高温特性は、高温用の304系ステンレス
鋼(通称304H)を母材とし、電流200A、電圧30
VのJIS Z3323に従った溶接条件で炭酸ガスア
ーク溶接を行い、溶接部より引張試験片を採取して、高
温引張試験を実施した。750℃での高温引張延性及び
高温破断強度が、それぞれ27%、210N/mm2以上
の場合を本発明設計範囲内で合格とした。
【0033】溶接作業性は、上記の高温特性試験での溶
接時に評価するとともに、板厚6mmtのSUS304鋼
を用いた水平すみ肉溶接を行うことで評価した。また、
その他の特性として、高温割れ感受性はフィスコ割れ試
験によってクレータ割れの発生状況により評価した。伸
線性は実生産ラインで用いる伸線条件でもって評価し
た。
【0034】試験結果を表5、表6に示すように、本発
明例では、いずれも優れた高温特性が得られていると共
に、スラグ剥離性に優れ、スパッタ発生量が少ない等で
溶接作業性も良好である。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
高温用途用の溶接材料として良好な高温特性を有すると
共に、溶接作業性も優れ、特にスラグ剥離性に優れ、ス
パッタ発生量の少ないステンレス鋼用フラックス入りワ
イヤを提供することができ、フラックス入りワイヤの一
層の普及に寄与する効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】TIG溶接金属と従来のフラックス入りワイヤ
溶接金属との高温特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 夏目松吾 神奈川県藤沢市宮前字裏河内100番1株 式会社神戸製鋼所藤沢事業所内 (56)参考文献 特公 平7−83952(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で(以下、同じ)、ステンレス鋼よ
    りなる外皮にフラックスを充填したステンレス鋼用フラ
    ックス入りワイヤにおいて、 該ステンレス鋼外皮全重量中の含有量として、 酸素量:50〜1000ppm、 Nb:0.015%以下、 V:0.10%以下、 炭素:0.015%以下、 窒素:0.025%以下、 に規制し、かつ、 充填フラックス中に、炭素源、窒素源として、金属C
    r、金属Mn又はこれら元素との各種合金原料或いは化合
    物、及び/又は、グラファイト或いは炭酸塩を除く炭素
    化合物原料の少なくとも1種から、ワイヤ重量比にて、 炭素:0.020〜0.10% 窒素:0.008〜0.08% を含有し、 充填フラックス中には金属Si及び/又はSi合金を含
    む脱酸剤を実質的に含有しておらず、 充填フラックス中にスラグ成分として、ワイヤ重量比
    にて、 TiO2:5.50〜15.50%、 SiO2:0.20〜1.50%、 Al23:0.20〜1.50%、 金属弗化物:0.25〜1.35%、 Fe、Mn、Mgの金属酸化物の少なくとも1種以上:0.
    02〜1.00%、を含有し、 充填フラックスより不可避的不純物として混入してく
    るNb、V、及びこれらの化合物を、ワイヤ重量比に
    て、Nb、V換算量で、 Nb:0.075%以下、 V:0.10%以下、 に規制し、 充填フラックス中に故意に添加、若しくは不可避的に
    混入してくる低融点金属のAs、Sb、Pb、Bi及びこれ
    らの酸化物或いは化合物を、ワイヤ重量比にて、As、
    Sb、Pb、Bi換算量で、 As:0.010%以下、 Sb:0.010%以下、 Pb:0.008%以下、 Bi:0.008%以下、に規制したことを特徴とするス
    テンレス鋼用フラックス入りワイヤ。
  2. 【請求項2】 ワイヤ中のS、As、Sb、Pb、Biを、
    ワイヤ重量比にて、 S:0.003〜0.035%、 5×(Bi+Pb)+2×(As+Sb):0.065%以下、
    と規制したことを特徴とする請求項1に記載のステンレ
    ス鋼用フラックス入りワイヤ。
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