JP2664499B2 - クリープ破断特性のすぐれたNi―Crオーステナイト系ステンレス鋼 - Google Patents
クリープ破断特性のすぐれたNi―Crオーステナイト系ステンレス鋼Info
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Description
ナイト系ステンレス鋼に関するものである。
伴い、クリープ領域で使用される高温構造物においては
材料のクリープ変形が無視できない。このような高温構
造材料としては、高温で長時間使用しても材質が安定し
ていることが必要となる。従ってこのような高温構造物
用材料としては、たとえばステンレス鋼便覧(昭和48年
8月30日発行)の173頁「2.5.7オーステナイトステンレ
ス鋼」に示されているように、これまで主としてオース
テナイト系ステンレス鋼が使用されている。しかしなが
ら、たとえば代表的なオーステナイト系ステンレス鋼で
あるSUS304鋼あるいはSUS316鋼では高温使用中に炭化
物、金属間化合物の析出を生じ、クリープ破断強度ある
いはクリープ破断延性の劣化等の材質変化は避けられな
い。このような高温中での使用にともなう材質劣化は高
温構造物の寿命に制限を加える要因となる。
断強度、クリープ破断延性が低下する傾向を示す。この
原因は例えば、鋼中に存在するCが高温での使用中に結
晶粒界および粒内に炭化物として析出・粗大化すること
に関係している。すなわち、粒界に析出する炭化物は粒
界脆化を引き起こし、延性低下あるいはクリープ破断強
度の劣化原因となることが知られている。また高温使用
中に析出するσ相、χ相も脆化を引き起こし、クリープ
破断特性を劣化させることも良く知られている。発明者
は長時間クリープ試験をした材料について、電子顕微鏡
を用いた詳細な組織観察を行い新たな脆化原因を発見し
た。すなわち、第1図に示したように、同図の左上から
右上へ斜めに形成されている粒界にG相(黒色の塊状の
もの)が析出しその近傍にフェライト相(白色の塊状の
もの)が生成するが、このフェライト相はクリープ変形
に対する抵抗力がオーステナイト相(白色の大きな塊状
のもの)に比べ著しく低いため、この部分に変形が集中
する結果早期破断を生じ、破断延性および破断強度が低
下する。このフェライト相の生成原因は、オーステナイ
ト形成元素であるNiがG相の主要構成元素であることか
らG相の析出によりその近傍のNi濃度が枯渇することに
よると考えられる。したがってこのG相の析出すなわ
ち、フェライト相の析出を抑制することがクリープ破断
特性の劣化を防止する上で重要であるという全く新たな
知見を得るに至った。
あって、その目的を達成するために、重量%でC0.030%
以下(但し、0.030%を除く)、Si3.0%以下、Mn3.0%
以下、P0.02〜0.08%、Ni8.0〜14.0%、Cr15.0〜25.0
%、Al0.002〜0.04%、N0.15%以下を含有し、又はこれ
にさらにMo3.0%以下、W5.0%以下のいずれかあるいは
双方を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、か
つ550℃で5000時間の時効処理を施した後のJISZ2272に
準拠したクリープ試験において、フェライト相が生成し
ない組織を有することを特徴とするクリープ破断強度及
び延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステンレス鋼
を提供するものである。
はあるが、結晶粒界に炭化物として析出するため高温長
時間使用後のクリープ破断特性などの高温の機械的性質
を損なう元素でもある。このような観点からC量は高い
クリープ破断延性が要求される場合も考慮して0.030%
以下(但し0.030%を除く)に制限する。なお、下限は
工業的に溶製可能な程度の低い値でよく、強いて限定す
れば0.001%となる。
くから使用されているものである。しかしこの元素は先
に述べた高温長時間保持によって析出し、粒界脆化を間
接的に引き起こすG相の主要構成元素でもある。そこで
本発明者らは、SiのG相析出に対する影響を調べるため
次のような実験を行った。すなわち供試鋼としてC0.013
%、Mn1.2%、P0.033%、Ni9.5%、Cr18.3%、Al0.02
%、N0.08%の鋼をSiの範囲を種々変えて溶解し、これ
を熱間圧延により厚さ12mmの鋼板とした後、1050℃で溶
体化処理を行った。この鋼板を550℃で5000時間時効処
理した後、平行部径6mm、標点間距離30mmのクリープ破
断試験片を作成し、JISZ2272に準拠してクリープ破断試
験を実施した。その結果を第2図に示す。すなわち第2
図はクリープ破断強度およびクリープ破断延性に対する
Si量の影響を示したもので、同図に見られるように、Si
量0.2%以上になるとSi量とともにクリープ破断強度お
よびクリープ破断延性が低下する。第2図には同時にG
相およびフェライト相の析出状況も併記したが、G相は
Si量0.1%以上で、またフェライト相はSi量0.2%以上で
観察されており、上記のクリープ破断強度、クリープ破
断延性の低下がG相に起因するフェライト相の生成に対
応していることがわかる。このような理由からSi量は0.
2%以下と定めた。また、その添加効果よりみて、下限
を0.002%とするのが好ましい。
存在すると熱間加工性を損なうことからいずれも3%以
下とした。また、下限はその添加効果よりみて0.1%と
するのが好ましい。
化作用を有し、さらに結晶粒界を強化する作用もあるこ
とから、とくにクリープ破断特性の点から効果的な元素
であり、その効果は0.02%より生じることから下限を0.
02%とした。しかし過剰の添加は溶接性および熱間加工
性を著しく損なうことから、その上限を0.08%とした。
り、フェライト生成元素であるCr量に対し成分平衡上オ
ーステナイト組織にするための必要量は8.0%から14%
の範囲である。またCrは耐酸化性を向上させる元素であ
り、そのためには15.0%以上を必要とするが、25.0%を
超えると高温長時間加熱による脆化が生じることから上
限を25.0%とした。
高温長時間加熱によりAINを析出し延性を損なうので0.0
4%を上限とした。また、その添加効果よりみて、下限
を0.002%とするのが好ましい。
元素である。NはCに比べ溶解度が大きいことから、高
温保持中に固溶状態で安定して存在できる。したがっ
て、Nを溶解度の範囲内で使用すれば、高温長時間使用
中も安定した強化作用が期待でき、かつ窒化物による粒
界脆化等も生じないことになる。構造材料のような観点
からN量の上限を0.15%とした。なお下限を設けない理
由は、用途に応じてN量により強度を制御するためであ
るが、通常の工業規模溶製でのレベル0.01%が強いて言
えば下限となる。
おいてはさらに高強度化を図るためMoあるいはWを所定
の範囲で含有せしめることが有効である。Moは固溶強化
作用のある元素でありクリープ破断強度を高める元素で
あるが、3.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗を高め
るため圧延あるいは鍛造が困難になる。したがって含有
量は3.0%以下とした。また、添加効果よりみて、下限
を0.05%とするのが好ましい。WもMoと同様の固溶強化
元素であるが、5.0%を超えて添加すると熱間変形抵抗
を高めるため圧延あるいは鍛造が困難になることから、
含有量は5.0%以下とした。またその添加効果よりみて
下限を0.05%とするのが好ましい。
等による製鋼を行った後、通常の造塊あるいは連続鋳造
により鋼塊あるいは鋼片とし、ついで圧延あるいは鍛造
により各種形状の鋼材として使用に供されるものであ
る。
に示す。
は第1表の鋼について550℃5000時間時効後のクリープ
破断特性を示したものである。これら特性調査結果から
明らかなように、本発明鋼は比較鋼に比べ高温長時間使
用後のクリープ破断強度およびクリープ破断延性がすぐ
れたものである。
も従来の同Ni量の鋼に比して高温長時間使用後もすぐれ
たクリープ破断特性等の高温特性を有する材料となって
おり、クリープ領域で使用される高温構造材料として工
業的に極めて有効なものである。
織を示す写真であり、第2図は550℃5000時間時効後の
クリープ破断特性に対するSi量の影響を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%でC0.030%以下(但し、0.030%を
除く)、Si0.2%以下、Mn3.0%以下、P0.02〜0.08%、N
i8.0〜14.0%、Cr15.0〜25.0%、Al0.002〜0.04%、N0.
15%以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からな
り、かつ550℃で5000時間の時効処理を施した後のJISZ2
272に準拠したクリープ試験において、フェライト相が
生成しない組織を有することを特徴とするクリープ破断
強度及び延性のすぐれたNi−Crオーステナイト系ステン
レス鋼。 - 【請求項2】重量%でC0.030%以下(但し、0.030%を
除く)、Si0.2%以下、Mn3.0%以下、P0.02〜0.08%、N
i8.0〜14.0%、Cr15.0〜25.0%、Al0.002〜0.04%、N0.
15%以下を含有し、さらにMo3.0%以下、W5.0%以下の
いずれかあるいは双方を含有し、残部はFe及び不可避的
不純物からなり、かつ550℃で5000時間の時効処理を施
した後のJISZ2272に準拠したクリープ試験において、フ
ェライト相が生成しない組織を有することを特徴とする
クリープ破断強度及び延性のすぐれたNi−Crオーステナ
イト系ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1292232A JP2664499B2 (ja) | 1989-11-13 | 1989-11-13 | クリープ破断特性のすぐれたNi―Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1292232A JP2664499B2 (ja) | 1989-11-13 | 1989-11-13 | クリープ破断特性のすぐれたNi―Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03153847A JPH03153847A (ja) | 1991-07-01 |
JP2664499B2 true JP2664499B2 (ja) | 1997-10-15 |
Family
ID=17779195
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1292232A Expired - Lifetime JP2664499B2 (ja) | 1989-11-13 | 1989-11-13 | クリープ破断特性のすぐれたNi―Crオーステナイト系ステンレス鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2664499B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP4310664B1 (ja) * | 2008-01-25 | 2009-08-12 | 住友金属工業株式会社 | 溶接材料および溶接継手構造体 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JPS61143562A (ja) * | 1984-12-17 | 1986-07-01 | Nippon Steel Corp | クリ−プ破断延性のすぐれたNi−Crオ−ステナイト系ステンレス鋼 |
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JPS6456855A (en) * | 1987-08-27 | 1989-03-03 | Nippon Steel Corp | Austenitic stainless steel for boiler for soda recovery |
JPH01149944A (ja) * | 1987-12-07 | 1989-06-13 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高温特性および組織安定性にすぐれたオーステナイト鋼 |
JPH01188653A (ja) * | 1988-01-21 | 1989-07-27 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高温特性および組織安定性にすぐれたオーステナイト鋼 |
-
1989
- 1989-11-13 JP JP1292232A patent/JP2664499B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JPH03153847A (ja) | 1991-07-01 |
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