JP2652538B2 - 溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法 - Google Patents
溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法Info
- Publication number
- JP2652538B2 JP2652538B2 JP19943687A JP19943687A JP2652538B2 JP 2652538 B2 JP2652538 B2 JP 2652538B2 JP 19943687 A JP19943687 A JP 19943687A JP 19943687 A JP19943687 A JP 19943687A JP 2652538 B2 JP2652538 B2 JP 2652538B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- steel
- cooling
- toughness
- strength
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、溶接性及び低温靭性にすぐれる引張強さ54
kgf/mm2以上の高強度鋼の製造方法に関し、詳しくは、
船舶、海洋構造物、LPGタンク等に好適に用いることが
できる高強度鋼の製造方法に関する。
kgf/mm2以上の高強度鋼の製造方法に関し、詳しくは、
船舶、海洋構造物、LPGタンク等に好適に用いることが
できる高強度鋼の製造方法に関する。
従来の技術 船舶や海洋構造物に用いられる鋼板には、構造物の軽
量化及び溶接施工コストの低減を目的として、溶接性に
すぐれる凍強度鋼が要求されている。
量化及び溶接施工コストの低減を目的として、溶接性に
すぐれる凍強度鋼が要求されている。
かかる要望に応えるために、例えば、特開昭58−9681
7号公報、特開昭59−13641号公報、特開昭60−174820号
公報等に記載されているように、Nb及びTiを含有する鋼
片を圧延し、圧延終了後、200℃以下の温度まで直接焼
入れし、次いで、Ac1点以下の温度で焼戻しすることに
よつて、高強度鋼を製造する方法が既に多数提案されて
いる。しかし、このように、圧延終了後に200℃以下の
温度まで直接焼入れする方法によれば、直接焼入れ後、
水素が鋼板内に残存し、水素性欠陥が発生しやすい問題
がある。
7号公報、特開昭59−13641号公報、特開昭60−174820号
公報等に記載されているように、Nb及びTiを含有する鋼
片を圧延し、圧延終了後、200℃以下の温度まで直接焼
入れし、次いで、Ac1点以下の温度で焼戻しすることに
よつて、高強度鋼を製造する方法が既に多数提案されて
いる。しかし、このように、圧延終了後に200℃以下の
温度まで直接焼入れする方法によれば、直接焼入れ後、
水素が鋼板内に残存し、水素性欠陥が発生しやすい問題
がある。
他方、低温靭性を高めるために、特開昭59−100214号
公報や特開昭61−143517号公報に記載されていれよう
に、Niを多量に添加する方法や、或いは特開昭60−5901
8号公報、「鉄と鋼」1985年S1507頁等に記載されている
ように、Cuを1.0%以上添加して、その析出強化作用を
利用する方法も提案されている。しかし、このようなNi
やCuを多量に添加する方法によるときは、製造費用が非
常に高くなり、他方、溶接も低下する問題がある。
公報や特開昭61−143517号公報に記載されていれよう
に、Niを多量に添加する方法や、或いは特開昭60−5901
8号公報、「鉄と鋼」1985年S1507頁等に記載されている
ように、Cuを1.0%以上添加して、その析出強化作用を
利用する方法も提案されている。しかし、このようなNi
やCuを多量に添加する方法によるときは、製造費用が非
常に高くなり、他方、溶接も低下する問題がある。
発明が解決しようとする問題点 本発明者らは、従来の高強度鋼の製造における上記し
た問題を解決するために鋭意研究した結果、CとNbの添
加量を最適に規制した鋼片をNbが固溶する温度に加熱
し、制御圧延にて結晶粒を微細にした後、300℃以上の
温度まで水冷し、その後、空冷又は徐冷することによつ
て水素を放出させ、更に、最適な温度で再加熱すること
によつて、水素性欠陥が少なく、且つ、溶接性及び低温
靭性にすぐれる高強度鋼を得ることができることを見出
して本発明に至つたものである。
た問題を解決するために鋭意研究した結果、CとNbの添
加量を最適に規制した鋼片をNbが固溶する温度に加熱
し、制御圧延にて結晶粒を微細にした後、300℃以上の
温度まで水冷し、その後、空冷又は徐冷することによつ
て水素を放出させ、更に、最適な温度で再加熱すること
によつて、水素性欠陥が少なく、且つ、溶接性及び低温
靭性にすぐれる高強度鋼を得ることができることを見出
して本発明に至つたものである。
問題点を解決するための手段 本発明による溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼
の製造方法の第1は、重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.05〜0.50%、 Mn 0.80〜2.00%、 Al 0.01〜0.10% Nb 0.01〜0.10%、 Ti 0.005〜0.020%、 N 0.0020〜0.0080%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を1150〜1250℃の温度に加熱し、未再結晶
域における累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延
し、(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃の温度にて圧延を終了
し、2℃/秒以上の冷却速度にて300〜550℃の範囲の温
度まで加速冷却し、次いで、空冷又は徐冷にて室温まで
冷却した後、550〜650℃の範囲の温度に再加熱すること
を特徴とする。
の製造方法の第1は、重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.05〜0.50%、 Mn 0.80〜2.00%、 Al 0.01〜0.10% Nb 0.01〜0.10%、 Ti 0.005〜0.020%、 N 0.0020〜0.0080%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を1150〜1250℃の温度に加熱し、未再結晶
域における累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延
し、(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃の温度にて圧延を終了
し、2℃/秒以上の冷却速度にて300〜550℃の範囲の温
度まで加速冷却し、次いで、空冷又は徐冷にて室温まで
冷却した後、550〜650℃の範囲の温度に再加熱すること
を特徴とする。
本発明による溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼
の製造方法の第2は、上記(a)として規定した元素に
加えて、下記(b)として規定するように、 (b)Cu 0.05〜0.70%、 Ni 0.05〜0.70%、 Cr 0.05〜0.50%、 Mo 0.05〜0.50% V 0.01〜0.10%、 Ca 0.0005〜0.0040%、及び REM0.005〜0.03% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を前記第1の方法と同様に処理することを
特徴とするものである。
の製造方法の第2は、上記(a)として規定した元素に
加えて、下記(b)として規定するように、 (b)Cu 0.05〜0.70%、 Ni 0.05〜0.70%、 Cr 0.05〜0.50%、 Mo 0.05〜0.50% V 0.01〜0.10%、 Ca 0.0005〜0.0040%、及び REM0.005〜0.03% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
し、残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を前記第1の方法と同様に処理することを
特徴とするものである。
先ず、本発明において用いる鋼片の化学成分について
説明する。
説明する。
Cは、鋼強度54kgf/mm2以上を確保するために、0.01
%以上を添加することが必要である。しかし、過多に添
加するときは、耐溶接割れ性の劣化や、溶接熱影響部
(HAZ)の靭性劣化を招くので、添加量は0.15%以下と
する。
%以上を添加することが必要である。しかし、過多に添
加するときは、耐溶接割れ性の劣化や、溶接熱影響部
(HAZ)の靭性劣化を招くので、添加量は0.15%以下と
する。
Siは、鋼の脱酸及び強度上昇に効果を有し、かかる効
果を有効に得るためには、0.05%以上を添加する必要が
ある。しかし、過多に添加するときは、溶接性を劣化せ
るので、添加量の上限は0.50%とする。
果を有効に得るためには、0.05%以上を添加する必要が
ある。しかし、過多に添加するときは、溶接性を劣化せ
るので、添加量の上限は0.50%とする。
Mnは、鋼の強度を上昇させるために、0.80%以上を添
加する。しかし、2.00%を越える過多量の添加は、溶接
性を劣化させる。
加する。しかし、2.00%を越える過多量の添加は、溶接
性を劣化させる。
Alは、鋼の脱酸と共に、AlNとして結晶粒の微細化に
効果を有する。これらの効果を有効に得るためには、少
なくとも0.01%を添加することが必要であるが、0.10%
を越えて過多に添加するときは、靭性を害する。
効果を有する。これらの効果を有効に得るためには、少
なくとも0.01%を添加することが必要であるが、0.10%
を越えて過多に添加するときは、靭性を害する。
Nbは、本発明において最も重要な元素である。即ち、
Nbは、加熱圧延時には、オーステナイトの再結晶を抑制
し、仕上温度の低下によつて、微細なオーステナイト粒
を生成させ、延いては靭性を向上させる。更に、加速冷
却後に固溶したままであるNbは、再加熱時に炭窒化物と
して析出し、強度を上昇させる。これらの効果を有効に
得るためには、本発明においては、Nbを少なくとも0.01
%添加することが必要である。しかし、過多に添加する
ときは、溶接性を劣化させることとなるので、添加量は
0.10%以下とする。
Nbは、加熱圧延時には、オーステナイトの再結晶を抑制
し、仕上温度の低下によつて、微細なオーステナイト粒
を生成させ、延いては靭性を向上させる。更に、加速冷
却後に固溶したままであるNbは、再加熱時に炭窒化物と
して析出し、強度を上昇させる。これらの効果を有効に
得るためには、本発明においては、Nbを少なくとも0.01
%添加することが必要である。しかし、過多に添加する
ときは、溶接性を劣化させることとなるので、添加量は
0.10%以下とする。
Tiは、母材靭性及びHAZ靭性を確保するために必須の
元素である。圧延加熱時にTiは難固溶のTiNとして析出
しているため、オーステナイト結晶粒の粗大化を防止
し、延いては母材靭性を向上させる。また、溶接時にお
いても、微細分散したTiN粒子がHAZの結晶粒粗大化を防
止し、HAZ靭性を向上させる。これらの効果を有効に発
現させるために、最適の添加量範囲は、本発明において
は、0005〜0.020%とする。
元素である。圧延加熱時にTiは難固溶のTiNとして析出
しているため、オーステナイト結晶粒の粗大化を防止
し、延いては母材靭性を向上させる。また、溶接時にお
いても、微細分散したTiN粒子がHAZの結晶粒粗大化を防
止し、HAZ靭性を向上させる。これらの効果を有効に発
現させるために、最適の添加量範囲は、本発明において
は、0005〜0.020%とする。
Nは、上記したように、Tiと結合して、TiN粒子とし
て、母材靭性及びHAZ靭性を向上させる。N量が余り少
ないときは、靭性を向上に寄与するTiN量も過小となる
ため、Nは少なくとも0.0020%が必要である。しかし、
N量が過多であるときは、靭性に有害な遊離Nが増加す
るので、含有量の上限は0.0080%に規制される。
て、母材靭性及びHAZ靭性を向上させる。N量が余り少
ないときは、靭性を向上に寄与するTiN量も過小となる
ため、Nは少なくとも0.0020%が必要である。しかし、
N量が過多であるときは、靭性に有害な遊離Nが増加す
るので、含有量の上限は0.0080%に規制される。
本発明においては、前述した合金元素のうち、CとNb
については、その添加量が 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は、当該元素の鋼中において添加量
(重量%)を示す。) なる関係を満たすことが必要である。CとNbとを前述し
た範囲でそれぞれ添加しても、C+0.25Nbが0.10%より
も少ないときは、引張強さ54kgf/mm2以上を得ることが
できず、他方、C+0.25Nbが0.18%を越えるときは、溶
接性及びHAZ靭性が劣化するからである。即ち、本発明
によれば、CとNbの添加量を上記のように最適に規制す
ることによつて、所期の引張強さを確保しつつ、同時に
すぐれた溶接性を確保することができる。
については、その添加量が 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は、当該元素の鋼中において添加量
(重量%)を示す。) なる関係を満たすことが必要である。CとNbとを前述し
た範囲でそれぞれ添加しても、C+0.25Nbが0.10%より
も少ないときは、引張強さ54kgf/mm2以上を得ることが
できず、他方、C+0.25Nbが0.18%を越えるときは、溶
接性及びHAZ靭性が劣化するからである。即ち、本発明
によれば、CとNbの添加量を上記のように最適に規制す
ることによつて、所期の引張強さを確保しつつ、同時に
すぐれた溶接性を確保することができる。
更に、本発明においては、 とするとき、Ceq≦0.38% 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%)であることが必要であ
る。Ceqが0.38%を越えるときは、少入熱溶接時に溶接
部の硬化性が増し、溶接割れが生じやすくなるために、
溶接時の予熱が必要となり、更に、HAZ靭性の劣化も大
きくなる。
る。Ceqが0.38%を越えるときは、少入熱溶接時に溶接
部の硬化性が増し、溶接割れが生じやすくなるために、
溶接時の予熱が必要となり、更に、HAZ靭性の劣化も大
きくなる。
本発明による高強度鋼の製造方法においては、用いる
鋼片は、前記した元素に加えて、Cu、Ni、Cr、Mo、V、
Ca及びREMよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素を含有することができる。
鋼片は、前記した元素に加えて、Cu、Ni、Cr、Mo、V、
Ca及びREMよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元
素を含有することができる。
Cuは、強度上昇に有効な元素であつて、この効果を有
効に得るためには、0.05%以上を添加する必要がある
が、0.70%を越えて過多に添加するときは、熱間割れが
生じやすくなり、溶接性が劣化する。
効に得るためには、0.05%以上を添加する必要がある
が、0.70%を越えて過多に添加するときは、熱間割れが
生じやすくなり、溶接性が劣化する。
Niは、HAZ靭性を劣化させることなく、強度を上昇さ
せる効果を有する。この効果を有効に得るためには、0.
05%以上を添加する必要があるが、0.70%を越えて過多
に添加するときは、溶接性の劣化を招くのみならず、Ni
は高価な元素であるので、添加量の上限を0.70%とす
る。
せる効果を有する。この効果を有効に得るためには、0.
05%以上を添加する必要があるが、0.70%を越えて過多
に添加するときは、溶接性の劣化を招くのみならず、Ni
は高価な元素であるので、添加量の上限を0.70%とす
る。
Cr及びMoは、いずれも鋼の強度を高める元素である
が、添加量がそれぞれ0.05%よりも少ないときは、上記
効果が十分に発現されない。しかし、いずれの元素も0.
50%を越えて過多に添加するときは、溶接性及びHAZ靭
性の劣化を招来する。従つて、Cr及びMoのいずれの元素
についても、その添加量は0.05〜0.50%の範囲とする。
が、添加量がそれぞれ0.05%よりも少ないときは、上記
効果が十分に発現されない。しかし、いずれの元素も0.
50%を越えて過多に添加するときは、溶接性及びHAZ靭
性の劣化を招来する。従つて、Cr及びMoのいずれの元素
についても、その添加量は0.05〜0.50%の範囲とする。
Vは、強度上昇を目的として添加されるが、0.01%よ
りも少ないときは、上記効果が乏しく、他方、0.10%を
越えるときは、溶接性を阻害する。
りも少ないときは、上記効果が乏しく、他方、0.10%を
越えるときは、溶接性を阻害する。
Caは、異方性の改善及び耐ラメラテイア特性の向上に
効果を有するが、0.0005%よりも少ない添加量では上記
効果に乏しく、他方、0.0040%を越えて過多に添加して
も、その効果が飽和するので、経済的ではない。
効果を有するが、0.0005%よりも少ない添加量では上記
効果に乏しく、他方、0.0040%を越えて過多に添加して
も、その効果が飽和するので、経済的ではない。
REMも、Caと同様の効果を有し、0.005%以上の添加が
有効である。しかし、0.030%を越えるときは、大型の
介在物が生成するので、添加量の上限を0.030%とす
る。
有効である。しかし、0.030%を越えるときは、大型の
介在物が生成するので、添加量の上限を0.030%とす
る。
本発明による第2の製造方法においても、 とするとき、Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%)であることが必要であ
る。Ceqが0.38%を越えるときは、少入熱溶接時に溶接
部の硬化性が増し、溶接割れが生じやすくなるために、
溶接時の予熱が必要となり、更に、HAZ靭性の劣化も大
きくなるからである。
る。Ceqが0.38%を越えるときは、少入熱溶接時に溶接
部の硬化性が増し、溶接割れが生じやすくなるために、
溶接時の予熱が必要となり、更に、HAZ靭性の劣化も大
きくなるからである。
次に、本発明における製造方法について説明する。
鋼片の加熱温度は、Nbの析出強化による強度上昇を最
大限に発揮させるために、添加したNbがすべて固溶する
温度以上とすることが重要である。しかし、加熱温度が
高すぎる場合は、オーステナイト粒が粗大化し、靭性の
劣化を招く。従つて、本発明におては、鋼片加熱温度を
1150〜1250℃の範囲とする。
大限に発揮させるために、添加したNbがすべて固溶する
温度以上とすることが重要である。しかし、加熱温度が
高すぎる場合は、オーステナイト粒が粗大化し、靭性の
劣化を招く。従つて、本発明におては、鋼片加熱温度を
1150〜1250℃の範囲とする。
本発明においては、鋼片を上記温度に加熱した後、未
再結晶域においてオーステナイト粒内に変形帯を多く導
入し、フエライト変態の核として最終的にフエライト結
晶粒を微細化して、靭性をすぐれたものとするために、
未再結晶化域における累積圧下率50%以上とすると共
に、圧延終了温度を(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃として
熱間圧延を終了する。
再結晶域においてオーステナイト粒内に変形帯を多く導
入し、フエライト変態の核として最終的にフエライト結
晶粒を微細化して、靭性をすぐれたものとするために、
未再結晶化域における累積圧下率50%以上とすると共
に、圧延終了温度を(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃として
熱間圧延を終了する。
更に、加速冷却によつてNb炭窒化物の析出を抑制し、
再加熱後の析出強化を有効に確保するために、上記圧延
終了後に、できる限りに速やかに加速冷却を開始し、且
つ、この加速冷却においては、2℃/秒以上の冷却速度
にて水冷することが必要である。
再加熱後の析出強化を有効に確保するために、上記圧延
終了後に、できる限りに速やかに加速冷却を開始し、且
つ、この加速冷却においては、2℃/秒以上の冷却速度
にて水冷することが必要である。
上記加速冷却の停止温度は、水素性欠陥の発生を抑制
するために、300〜550℃の範囲の温度である。室温まで
冷却した場合は、水素が冷却後の鋼板に残存したままと
なるため、水素に起因する欠陥や割れが発生しやすくな
る。
するために、300〜550℃の範囲の温度である。室温まで
冷却した場合は、水素が冷却後の鋼板に残存したままと
なるため、水素に起因する欠陥や割れが発生しやすくな
る。
従来、直接焼入れは、圧延後、組織をマルテンサイト
又は下部ベイナイト主体の組織とするために、室温まで
水冷して、変態を完了させることを目的としており、HT
−80クラスの高強度鋼の場合は、このように、室温まで
焼入れることが必要である。
又は下部ベイナイト主体の組織とするために、室温まで
水冷して、変態を完了させることを目的としており、HT
−80クラスの高強度鋼の場合は、このように、室温まで
焼入れることが必要である。
しかし、本発明による鋼は、引張強さ54kgf/mm2以上
であるHT−60クラスの強度レベルを対象としており、本
発明においては、低温靭性の向上の観点から圧延仕上温
度を低下させているため、水冷後の組織は、フエライト
−ベイナイト又はフエライト−ベイナイト−マルテンサ
イト又はアシキユラーフエライト主体の組織となる。即
ち、本発明の方法においては、水冷は、焼入れではな
く、フエライト粒の微細化、ベイナイト分率の増大、或
いはNb炭窒化物の析出抑制のために行なうのであり、Ms
点以下の室温まで冷却する必要はない。また、圧延、冷
却後、再加熱した鋼の強度は、本発明に従つて製造した
ものと、室温まで冷却したものと同じである。従つて、
本発明の方法においては、室温まで水冷せず、水素を鋼
板外に放出させるために、300〜550℃の範囲の温度まで
水冷し、その後は空冷又は徐冷によつて室温まで冷却す
る。
であるHT−60クラスの強度レベルを対象としており、本
発明においては、低温靭性の向上の観点から圧延仕上温
度を低下させているため、水冷後の組織は、フエライト
−ベイナイト又はフエライト−ベイナイト−マルテンサ
イト又はアシキユラーフエライト主体の組織となる。即
ち、本発明の方法においては、水冷は、焼入れではな
く、フエライト粒の微細化、ベイナイト分率の増大、或
いはNb炭窒化物の析出抑制のために行なうのであり、Ms
点以下の室温まで冷却する必要はない。また、圧延、冷
却後、再加熱した鋼の強度は、本発明に従つて製造した
ものと、室温まで冷却したものと同じである。従つて、
本発明の方法においては、室温まで水冷せず、水素を鋼
板外に放出させるために、300〜550℃の範囲の温度まで
水冷し、その後は空冷又は徐冷によつて室温まで冷却す
る。
本発明の方法によれば、上記のようにして、加速冷却
後、室温まで空冷又は徐冷して得た鋼板を、550〜650℃
の範囲の温度に再加熱することによつて、Nb炭窒化物が
析出し、靭性の劣化が殆どなしに、高強度化が達成れ
る。更に、この再加熱は、加速冷却後の残留応力の低減
にも有効である。上述の加速冷却後、室温まで冷却した
ままでは、Nb炭窒化物が析出せず、Nbの効果が有効に活
用されない。
後、室温まで空冷又は徐冷して得た鋼板を、550〜650℃
の範囲の温度に再加熱することによつて、Nb炭窒化物が
析出し、靭性の劣化が殆どなしに、高強度化が達成れ
る。更に、この再加熱は、加速冷却後の残留応力の低減
にも有効である。上述の加速冷却後、室温まで冷却した
ままでは、Nb炭窒化物が析出せず、Nbの効果が有効に活
用されない。
発明の効果 以上のように、本発明によれば、CとNbの添加量を最
適に規制した鋼片をNbが固溶する温度に加熱し、制御圧
延にて結晶粒を微細にした後、300℃以上の温度まで水
冷し、その後、空冷又は徐冷することによつて水素を放
出させ、更に、最適な温度で再加熱し、Nb炭窒化物を析
出させて高強度化を図るので、水素性欠陥が少なく、且
つ、溶接時に予熱の必要なしに、母材及びHAZの靭性に
すぐれる高強度鋼を得ることができる。
適に規制した鋼片をNbが固溶する温度に加熱し、制御圧
延にて結晶粒を微細にした後、300℃以上の温度まで水
冷し、その後、空冷又は徐冷することによつて水素を放
出させ、更に、最適な温度で再加熱し、Nb炭窒化物を析
出させて高強度化を図るので、水素性欠陥が少なく、且
つ、溶接時に予熱の必要なしに、母材及びHAZの靭性に
すぐれる高強度鋼を得ることができる。
実施例 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は
これらの実施例により何ら限定されるものではない。
これらの実施例により何ら限定されるものではない。
第1表に示す化学成分を有する本発明鋼A〜E及び比
較鋼G〜Jを第2表に示す温度に加熱し、熱間圧延した
後、所定の冷却速度にて所定の温度まで加速冷却し、次
いで、室温まで空冷し、更に、この後、600℃又は680℃
に再加熱した。このようにして得たそれぞれの鋼板につ
いて、その水素性欠陥を有無、母材特性、溶接部靭性及
び溶接性を第2表に示す。
較鋼G〜Jを第2表に示す温度に加熱し、熱間圧延した
後、所定の冷却速度にて所定の温度まで加速冷却し、次
いで、室温まで空冷し、更に、この後、600℃又は680℃
に再加熱した。このようにして得たそれぞれの鋼板につ
いて、その水素性欠陥を有無、母材特性、溶接部靭性及
び溶接性を第2表に示す。
この結果から明らかなように、本発明鋼は、水素性欠
陥による割れがなく、引張強さ54kgf/mm2以上の強度を
有し、更に、母材のvTrsが−80℃以下、溶接継手ボンド
部のvE-40が4.0kgf・m以上の高靭性を有しており、斜
めY形溶接割れ試験における割れ防止予熱温度が25℃以
下であつて、すぐれた溶接性を有することが明らがであ
る。
陥による割れがなく、引張強さ54kgf/mm2以上の強度を
有し、更に、母材のvTrsが−80℃以下、溶接継手ボンド
部のvE-40が4.0kgf・m以上の高靭性を有しており、斜
めY形溶接割れ試験における割れ防止予熱温度が25℃以
下であつて、すぐれた溶接性を有することが明らがであ
る。
比較鋼2は、加熱温度が低すぎ、比較鋼3は、冷却温
度が遅く、比較鋼4は、冷却後の再加熱温度が高すぎる
ために、いずれも強度が低い。比較鋼6は仕上温度が高
すぎ、未再結晶域では圧下率が小さいために、母材靭性
が悪く、また、比較鋼7は圧延終了後、室温まで水冷し
たために、水素性欠陥による割れが発生している。
度が遅く、比較鋼4は、冷却後の再加熱温度が高すぎる
ために、いずれも強度が低い。比較鋼6は仕上温度が高
すぎ、未再結晶域では圧下率が小さいために、母材靭性
が悪く、また、比較鋼7は圧延終了後、室温まで水冷し
たために、水素性欠陥による割れが発生している。
比較鋼Gは、C+2.5Nbが0.10%よりも少 なく、従つて、これより得られた比較鋼12は、強度が不
足している。他方、比較鋼HはC+2.5Nbが0.18%を越
えており、従つて、これより得られた比較鋼13は、割れ
防止予熱温度が高く、溶接部靭性も悪い。Tiを含有して
いな比較鋼Iから得られた比較鋼14は、母材靭性及び溶
接部靭性が悪く、また、Nbを含有していない比較鋼Jか
ら得られた比較鋼15は、強度が低い。
足している。他方、比較鋼HはC+2.5Nbが0.18%を越
えており、従つて、これより得られた比較鋼13は、割れ
防止予熱温度が高く、溶接部靭性も悪い。Tiを含有して
いな比較鋼Iから得られた比較鋼14は、母材靭性及び溶
接部靭性が悪く、また、Nbを含有していない比較鋼Jか
ら得られた比較鋼15は、強度が低い。
本発明鋼Cについて、第2表において、加速冷却後、
室温まで空冷して得た鋼板の再加熱温度と、強度及び靭
性との関係を第1図に示す。再加熱によつて、低温靭性
には実質的に変化なしに、引張強さ及び降伏強さが高め
られることが明らかである。
室温まで空冷して得た鋼板の再加熱温度と、強度及び靭
性との関係を第1図に示す。再加熱によつて、低温靭性
には実質的に変化なしに、引張強さ及び降伏強さが高め
られることが明らかである。
第1図は、強度と靭性に及ぼす加速冷却後の再加熱温度
の影響を示すグラフである。
の影響を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−38519(JP,A) 特開 昭62−103347(JP,A) 特開 昭63−153217(JP,A)
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で C 0.01〜0.15%、 Si 0.05〜0.50%、 Mn 0.80〜2.00%、 Al 0.01〜0.10% Nb 0.01〜0.10%、 Ti 0.005〜0.020%、 N 0.0020〜0.0080%、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を1150〜1250℃の温度に加熱し、未再結晶
域における累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延
し、(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃の温度にて圧延を終了
し、2℃/秒以上の冷却速度にて300〜550℃の範囲の温
度まで加速冷却し、次いで、空冷又は徐冷にて温室まで
冷却した後、550〜650℃の範囲の温度に再加熱すること
を特徴する引張強さ54kgf/mm2以上の溶接性及び低温靭
性にすぐれる高強度鋼の製造方法。 - 【請求項2】重量%で (a)C 0.01〜0.15%、 Si 0.05〜0.50%、 Mn 0.80〜2.00%、 Al 0.01〜0.10% Nb 0.01〜0.10%、 Ti 0.005〜0.020%、及び N 0.0020〜0.0080%を含有し、更に、 (b)Cu 0.05〜0.70%、 Ni 0.05〜0.70%、 Cr 0.05〜0.50%、 Mo 0.05〜0.50% V 0.01〜0.10%、 Ca 0.0005〜0.0040%、及び REM0.005〜0.03% よりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含有
し、 残部鉄及び不可避的不純物よりなり、且つ、 とするとき、 Ceq≦0.38%、且つ、 0.10≦C+2.5Nb≦0.18(%) (但し、元素記号は当該元素の鋼中の添加量(重量%)
を示す。) を満たす鋼片を1150〜1250℃の温度に加熱し、未再結晶
域における累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延
し、(Ar3−40)〜(Ar3+60)℃の温度にて圧延を終了
し、2℃/秒以上の冷却速度にて300〜550℃の範囲の温
度まで加速冷却し、次いで、空冷又は徐冷にて室温まで
冷却した後、550〜650℃の範囲の温度に再加熱すること
を特徴する引張強さ54kgf/mm2以上の溶接性及び低温靭
性にすぐれる高強度鋼の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19943687A JP2652538B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP19943687A JP2652538B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS6442526A JPS6442526A (en) | 1989-02-14 |
JP2652538B2 true JP2652538B2 (ja) | 1997-09-10 |
Family
ID=16407789
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP19943687A Expired - Lifetime JP2652538B2 (ja) | 1987-08-10 | 1987-08-10 | 溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2652538B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH02126219A (ja) * | 1988-11-04 | 1990-05-15 | Fuji Elelctrochem Co Ltd | 光アイソレータ |
JP4904774B2 (ja) * | 2005-10-31 | 2012-03-28 | Jfeスチール株式会社 | 中温域での強度に優れた高強度高靭性鋼材の製造方法 |
JP4904806B2 (ja) * | 2005-12-26 | 2012-03-28 | Jfeスチール株式会社 | 中温域での強度ならびに変形能に優れた高強度高靭性鋼板の製造方法 |
-
1987
- 1987-08-10 JP JP19943687A patent/JP2652538B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS6442526A (en) | 1989-02-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4344073B2 (ja) | 高温強度に優れた高張力鋼およびその製造方法 | |
CN1989266B (zh) | 声各向异性小的焊接性优异的高强度钢板及其制造方法 | |
JP4362219B2 (ja) | 高温強度に優れた鋼およびその製造方法 | |
JPH0541683B2 (ja) | ||
JP3255790B2 (ja) | 脆性亀裂伝播停止特性と低温靭性の優れた厚鋼板の製造方法 | |
JPH0781164B2 (ja) | 高張力高靭性鋼板の製造方法 | |
JPS6352090B2 (ja) | ||
JPH06128631A (ja) | 低温靱性の優れた高マンガン超高張力鋼の製造方法 | |
JP2652538B2 (ja) | 溶接性及び低温靭性にすぐれる高強度鋼の製造方法 | |
KR102400036B1 (ko) | 저온인성이 우수한 저항복비 강판 및 그 제조방법 | |
JP3848415B2 (ja) | 溶接性および低温靭性の優れた低降伏比高張力鋼の製造方法 | |
JPH0693332A (ja) | 高張力・高靱性微細ベイナイト鋼の製造法 | |
JP3212344B2 (ja) | 低温での靭性が優れた溶接用構造用厚鋼板の製造法 | |
JPS6167717A (ja) | 溶接熱影響部の強度及び靭性にすぐれた高張力鋼板の製造方法 | |
JPH083636A (ja) | 低降伏比高靱性鋼の製造方法 | |
JP2671732B2 (ja) | 溶接性に優れた高張力鋼の製造方法 | |
JPH0277521A (ja) | 板厚方向の均質性に優れた溶接用超高張力鋼板の製造方法 | |
JP2005272854A (ja) | 耐火性および溶接熱影響部の靭性に優れる高張力鋼の製造方法 | |
JPS6289815A (ja) | 低温用高降伏点鋼の製造方法 | |
JP2626421B2 (ja) | 溶接性に優れた高張力鋼の製造方法 | |
JPS62158817A (ja) | 高強度高靭性の厚鋼板の製造方法 | |
JP3217111B2 (ja) | 高強度高靭性構造用厚鋼板の製造法 | |
JPS6367524B2 (ja) | ||
JPH08225883A (ja) | 強度・靭性に優れた高張力鋼板の製造方法 | |
JPH0247525B2 (ja) |