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JP2609982B2 - 乳酸菌に対するモノクローナル抗体およびこれを用いた乳酸菌の検出法 - Google Patents

乳酸菌に対するモノクローナル抗体およびこれを用いた乳酸菌の検出法

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Publication number
JP2609982B2
JP2609982B2 JP5046118A JP4611893A JP2609982B2 JP 2609982 B2 JP2609982 B2 JP 2609982B2 JP 5046118 A JP5046118 A JP 5046118A JP 4611893 A JP4611893 A JP 4611893A JP 2609982 B2 JP2609982 B2 JP 2609982B2
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JP
Japan
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lactobacillus
lactic acid
monoclonal antibody
acid bacteria
brevis
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JP5046118A
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敦 佐藤
康之 大竹
俊夫 森
豊 宮本
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Asahi Breweries Ltd
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Asahi Breweries Ltd
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Publication date
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の乳酸菌に対する
モノクローナル抗体、およびこれを用いたビール、飲
料、食品などの有害乳酸菌の検出および識別、同定に関
する。
【0002】
【従来の技術】ビールを含めた飲料一般および食品一般
において有害微生物が混入すると濁りや酸敗などによっ
て著しく商品の品質を損ねることがある。例えばビール
においては、グラム陽性菌であるラクトバチルス属(La
ctobacillus) 、ぺディオコッカス属(Pediococcus) 、
ロイコノストック属(Leuconostoc) などの乳酸菌、野
生酵母、あるいはグラム陰性菌であるエンテロバクター
属(Enterobacter)、ペクチネータス属(Pectinatus)な
どが代表的な有害菌である。なかでもラクトバチルス属
第III 群に属するラクトバチルス・ブレビス (Lactobac
illus brevis)に代表される乳酸桿菌はビール汚染菌と
して最も著名である。
【0003】これらの有害菌を検出する方法として、現
在最も一般的なものは、対象となるビールをメンブラン
フィルターでろ過後、適当な培地中で培養し、生育する
コロニーを観察するものである。しかしながら、ビール
およびビール製造工程において検出される有害菌は一般
に細胞活性が低下しており、また極めて微量しか存在し
ないために、このような培地で培養しても菌の生育が遅
く、検出に時間を要する難点がある。このため、これま
でとくに、乳酸菌検出培地として改変NBB培地(Back,
W., Brauwelt, 120, 1562(1980)) 、KOT培地(Taguc
hi, H. et al.,J. Am. Soc. Brew. Chem., 48, 72(199
0)) などが考案されているが、大きな時間短縮には至っ
ていない。
【0004】近年、培養法とは異なる迅速、高感度な検
出法が報告されている。例えば、菌体中のATPを利用
し、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応による化学発光
を用いる方法(例えば、Hysert, D. W. et al., J. Am.
Soc. Brew. Chem. 34, 145(1976)) がある。しかし、
酵母などに比べ細胞当たりのATP含量の少ない乳酸菌
では、少なくとも検出には104 個程度の菌体が必要とな
る。前述のごとく、ビールの場合、有害菌の初発菌数は
極めて少ないために、検出に必要な菌数まで培養する必
要があり、ビールの場合、この方法は必ずしも迅速法と
はなり難い。また、培地中での有害菌の生育を、培地の
電気伝導度の変化でとらえる方法(例えば、Vogel, H.
& Bohak, I., Brauwelt, 130, 414(1990))もあるが、
ATP法と同様、感度の点でビール有害菌の迅速検出法
として適用し難い。
【0005】一方、近年ビールをメンブランフィルター
でろ過後、蛍光色素で染色し、蛍光顕微鏡観察するDE
FT法(direct epifluorescent filter technique) お
よびメンブランフィルター上の菌を短時間培養後蛍光染
色するMMCF法(membranefilter-microcolony fluor
escent method)が報告されている (例えば、Pettipher,
G. L. & Rodrigus, U.M., Appl. Environ. Microbio
l., 44, 809(1982) およびRusch, A. & Kra(¨)mer, J.
Monatsschr, Brauwiss., 43, 77(1990)) 。この方法は
操作も簡便で感度もよいが、最大の難点はビール中に共
存する微細な粒子が自家蛍光をもち、微粒子と有害菌と
を判別しにくい点である。このためマイクロコロニーを
形成させ画像解析を行って、その形状から菌か微粒子か
を識別する工夫も考案されている(特開平2-27259 〜27
261 及び特開平2-28772)が、実効の程は不明である。
【0006】しかしながら、これらの方法では、検出で
きる菌種が特定のものでないため、有害菌を特異的に検
出することは不可能である。一方、乳酸菌に対する抗体
を用いる方法は特異的検出という点で優れている。古く
から、これらの乳酸菌に対するポリクローナル抗体(抗
血清)が作製されているが(Sharpe, M. E., J. Gen.Mi
crobiol., 12, 107(1955), Sharpe, M. E., Int. J. Sy
st. Bacteriol.,20,509 (1970), Knox, K. W. et al, I
nfect. Immun.,24, 12(1979), Shimohashi,H. & Muta
i, M., J. Gen. Microbiol., 103, 337(1977)など) 、
これらは乳酸菌の分類同定の手段として作製されたポリ
クローナル抗体であり、本発明に関連するものとして
は、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ブフ
ネリ (L.buchneri) 、ラクトバチルス・ブルガリカス
(L.bulgaricus) などに共通のE抗原(グリセロールタ
イコ酸)を認識するものが知られている。また、ビール
有害菌であるラクトバチルス・ブレビスに対するポリク
ローナル抗体も作製されている(安井ら、日本農芸化学
会誌、65, 175(1991)。しかし、これらはその特性が不
明であったり、また、ラクトバチルス・ブレビスに代表
されるラクトバチルス第III 群の乳酸菌を特異的に認識
するものではない。ポリクローナル抗体は一般に交差反
応性があり、このため交差反応性を示す抗原で抗血清を
吸収する操作が必要である上、抗血清のロット毎にその
抗体価や特異性が変動する欠点がある。
【0007】一方、モノクローナル抗体は、通常、認識
する抗原部位は特定の部位であることから極めて高い特
異性を期待することができ、また一旦、モノクローナル
抗体産生ハイブリドーマを樹立すれば同一のモノクロー
ナル抗体を半永久的に調製することができる利点を有す
る。このようなモノクローナル抗体の利点を利用し、清
酒の代表的有害乳酸菌である火落菌に対するモノクロー
ナル抗体を作製し、検出に応用した例もある (特開昭62
-10100) 。しかし、火落菌に対するモノクローナル抗体
は火落菌の中でも反応性がまちまちであり、また、火落
菌以外の乳酸菌に対する反応性は明らかでない。さらに
本発明のモノクローナル抗体はビール有害乳酸菌に対し
てのものであり、火落菌とは反応しない点で全く別種の
ものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ビールに混在する微生
物は多様であるが、すべての微生物がビールで増殖する
のではなく、ごく限定された微生物種が問題となる。
体的には、ビール有害菌として良く知られているラクト
バチルス・ブレビスはラクトバチルス属第III 群に属す
る乳酸菌であるが、同じラクトバチルス属第III 群に属
する他の乳酸菌、ラクトバチルス・コリノイデス、ラク
トバチルス・スエビカス、ラクトバチルス・ケフィア等
はビール醸造の環境において生育しないため有害菌とは
されていない。そこで、本発明は、ビール有害乳酸菌を
特異的に検出するために、このごく限定された微生物種
が問題となることに着目し、特異的なモノクローナル抗
体を作製して有害菌の特異的検出を行うことを目的と
し、さらには公知の免疫化学的手法を用いて、菌の識
別、同定のための試薬とその方法を提供しようとするも
のである。さらに詳しくは、ビール有害菌として問題と
なるラクトバチルス・ブレビスを特異的に検出するため
に、ラクトバチルス属第III 群に属する乳酸菌でラクト
バチルス・ブレビスおよびラクトバチルス・ブレビスに
近似の乳酸菌であるラクトバチルス・コリノイデス、ラ
クトバチルス・スエビカスを免疫源としてモノクローナ
ル抗体を作製し、その中から、ラクトバチルス・ブレビ
スのみに反応する抗体、または、ラクトバチルス・コリ
ノイデス、ラクトバチルス・スエビカス、ラクトバチル
ス・ケフィアの3種の菌から選ばれるいずれか1種以上
の菌とラクトバチルス・ブレビスとを検出する抗体を選
択する。ビール醸造工場においては、普通、ラクトバチ
ルス・コリノイデス、ラクトバチルス・スエビカス、ラ
クトバチルス・ケフィアは生育しないので、ビール製造
工程で得た検体に対して本発明で得られた抗体を反応さ
せたとき、検体中にラクトバチルス・ブレビスが存在し
た場合のみ本発明の抗体は特異的に反応する。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、乳酸菌をヒト
以外の哺乳類に免疫して得られる乳酸菌に特異的なモノ
クローナル抗体、すなわち、ラクトバチルス・コリノイ
ス、ラクトバチルス・スエビカス、ラクトバチルス・
ケフィアの3種の菌から選ばれる1種以上の菌とラクト
バチルス・ブレビスとを特異的に検出するモノクローナ
ル抗体である。これらのうち74−2E4(微工研条寄第3738
号) 、74−3C11 (微工研条寄第3739号)、74−3G11(微
工研条寄第3740号) および45W-1C6(FERM P-13409号)
ら選ばれるハイブリドーマセルラインが産生するモノク
ローナル抗体が特に望ましい。
【0010】本発明のモノクローナル抗体は公知の細胞
融合法により作製できる。 (1) 抗原の免疫 乳酸菌、例えばラクトバチルス属第III 群に属する乳酸
菌を適当な培地中で培養し、抗原とする。菌体を適当な
アジュバントと混合し、適当な哺乳類動物(例えばBALB
/cマウス) に免疫する。適当な間隔で数回追加免疫を行
い、血中の抗体価が上昇したら最終免疫を行う。
【0011】(2) 細胞融合とスクリーニング 最終免疫3日後に免疫した動物の脾臓を摘出し、細胞を
分散後、適当な融合促進剤の存在下で、ミエローマと融
合する。96ウェルマイクロプレートに細胞を播き、適当
な選択培地(例えば0.1mM ヒポキサンチン、0.4 μM ア
ミノプテリン、16μM チミジン、10%ウシ胎仔血清(F
CS)を含むRPMI−1640培地(HAT培地))でハイ
ブリドーマのみを増殖させる。適当な時期に、ハイブリ
ドーマ培養上清中の抗体活性を酵素免疫法(ELIS
A)などの方法により測定する。
【0012】(3) クローニングと腹水作製 抗体陽性のハイブリドーマを限界稀釈などの方法で、約
2回クローニングを行い、ハイブリドーマクローンを樹
立する。当該モノクローナル抗体を大量に取得するに
は、予めプリスタンを投与したマウス腹腔にハイブリド
ーマを移植することによって腹水として回収でき、腹水
からプロテインAやプロテインGカラムを用いてモノク
ローナル抗体を容易に精製できる。
【0013】このようにして得られたモノクローナル抗
体は、乳酸菌、例えばラクトバチルス属第III 群に属す
る乳酸菌を特異的に認識することができる。例えば、ビ
ール中の有害菌を検出するには、ビールをメンブランフ
ィルターでろ過して菌を捕捉する。次に本発明で得られ
たモノクローナル抗体の好ましくは酵素標識物とメンブ
ラン上の菌を反応させる。標識モノクローナル抗体は酵
素の他に、蛍光色素、ラジオアイソトープまたはその他
の化学物質の1種以上を標識して得ることができる。そ
の他の化学物質としては、例えば、ビオチンやアビジン
が挙げられる。次に、前記酵素の基質として好ましくは
酵素反応の結果、化学発光する物質がよく、発生する微
量の光をケミルミフォトメータなどの装置でモニターす
ることにより有害菌を検出することができる。
【0014】
【発明の効果】本発明においては、以上の方法によりラ
クトバチルス属第III 群に属するラクトバチルス・ブレ
ビスに代表される乳酸菌を特異的に認識する複数のモノ
クローナル抗体を得た。このようなモノクローナル抗体
を用いてビール中の当該有害菌を迅速、高感度にかつ特
異的に検出することができる。
【0015】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に
説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。 実施例1 抗乳酸菌モノクローナル抗体の作製 イ) 抗原の調製と免疫 ビールおよびビール醸造場から分離したラクトバチルス
・ブレビスおよびラクトバチルス属第III 群に属する株
から選ばれた3株(A、B、C株)をMRS培地で培養
し、リン酸緩衝食塩水(PBS、pH 7.4) で集菌洗浄
後凍結乾燥した菌体を抗原とした。BALB/cマウスの腹腔
にフロイント不完全アジュバントと混合した抗原をマウ
スあたり109 個となるように免疫した。10〜14日間間隔
で数回追加免疫を行い、血中の抗体価が上昇した後、マ
ウスあたり109 個を腹腔に最終免疫した。
【0016】ロ)細胞融合 最終免疫3日後のマウス脾臓を摘出し、血清を含まない
RPMI1640培地(日水製薬社製)中で脾細胞を分散さ
せた。脾細胞:マウスミエローマ(P3U1またはSP2)=
5:1の割合で混合し、50%ポリエチレングリコール40
00(関東化学)1mlを滴下後、10%FCS(Hyclone) を含
むRPMI1640(FCS−RPMI)8mlを除々に滴下
し遠心分離して細胞を集めた。FCS−RPMIに再懸
濁し、96ウェルマイクロプレート(Greiner) の各ウェル
に3×105 個/ウェルずつ分注しCO2 インキュベータ
ー中、37℃で培養した。翌日、HAT培地を加え、以後
適当な間隔で培地交換(HAT培地)を行った。ハイブ
リドーマが増殖したら上清の抗体価を以下のELISA
で測定し、抗体陽性細胞をスクリーニングした。
【0017】ハ)スクリーニング 96ウェル平底ELISAプレート(住友ベークライト社
製) の各ウェルに107〜108 個/ml(PBS) の抗原50〜100
μl を加え、室温2時間インキュベート後、上清を捨
てた。0.5 〜1.0 %ウシ血清アルブミン(BSA)を含
むPBS(BSA−PBS)を各ウェルに入れ室温1時
間静置後、各ウェルを0.05% Tween 20を含むPBS(P
BS-Tween) で洗浄した。このようにして調製したプレー
トの各ウェルにハイブリドーマ培養上清50〜100 μl を
加え、室温2時間静置後、PBS-Tween で洗浄した。次い
で、西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗マウスIgG (Bio
-Rad) 溶液を加え室温2時間静置後、PBS-Tween で洗浄
した。発色基質としてオルトフェニレンジアミン(OPD)
またはABTS (2, 2' −アジノ−ビス(3−エチル
ベンズチアゾリン−6−スルホン酸)および過酸化水素
を含むクエン酸緩衝液(pH 4.0) を用い、反応停止は6
N硫酸で行った。ELISAリーダーでOPDは492nm
、ABTSの場合は405nm における吸光度を測定し
た。
【0018】ニ)クローニングと腹水作製 抗体産生が確認されたハイブリドーマを限界稀釈法によ
り2回クローニングを行った。このようにして樹立した
ハイブリドーマクローンを予めプリスタンを投与したBA
LB/cマウスの腹腔に106 〜107 接種し約2週間後、腹水
を回収した。
【0019】ホ)腹水からのモノクローナル抗体の精製 腹水を10,000rpm にて10分間遠心分離し、不溶物を除
き、蛋白量として100 〜150mg 相当を市販のプロテイン
Gカラムキット(ファーマシア製) にかけ、モノクロー
ナル抗体を精製した。
【0020】得られたモノクローナル抗体産生ハイブリ
ドーマのうち、4種について通商産業省工業技術院微生
物工業技術研究所に寄託した。受託番号は次の通りであ
る。 寄託者が付した識別のための表示 受託番号 74−2E4 微工研条寄第3738号(FERM BP-3738) 74−3C11 微工研条寄第3739号(FERM BP-3739) 74−3G11 微工研条寄第3740号(FERM BP-3740) 45W−1C6 FERM P-13409
【0021】ヘ)精製抗体の標識 精製抗体の標識を、西洋ワサビペルオキシダーゼまたは
蛍光色素フルオレセインイソチオシアネート(FIT
C)で標識する場合を例に説明する。
【0022】−−西洋ワサビペルオキシダーゼで標識す
る場合 西洋ワサビペルオキシダーゼ(ベーリンガー・マンハイ
ム社製) 4mgを水1mlに溶解後、0.1 M過ヨウ素酸ナト
リウムを添加し、室温で20分間攪拌する。1mM酢酸ナト
リウム緩衝液 (pH4.4)に透析後、0.2 M炭酸ナトリウム
を加えて、pHを9.5 とした。一方、予め精製抗体8mgを
10mM炭酸ナトリウム緩衝液 (pH9.5)に対して透析してお
き、これと過ヨウ素酸酸化したペルオキシダーゼを混合
し、室温で2時間攪拌して標識した。標識後、4mg/ml
のNaBH4 を0.1ml 加え、4℃、2時間反応させ、PBS
に透析した。次いでPBSで平衡化したセファクリルS
−200 カラム(2.5×70cm、Pharmacia-LKB)でゲルろ過し
た。280nm および403 nmの吸光度の一致する溶出ピーク
をプールし、ペルオキシダーゼ標識抗体とした。
【0023】−−FITCで標識する場合 10mg/ml の精製抗体1mlを0.05M炭酸ナトリウム緩衝液
(pH9.5)に一夜透析した。FITC(シグマ社製)2mg
を0.05M炭酸ナトリウム緩衝液 (pH9.5)1mlに溶解し、
透析した抗体溶液1mlにFITC溶液 100μl を加え
た。室温で1時間攪拌し、標識した。反応後、直ちにP
BSで平衡化したセファデックスG−25カラム (1.2 ×
50cm、Pharmacia-LKB)にかけ、ボイドボリュームに溶出
される画分を集め、FITC標識抗体とした。
【0024】ホ) 得られたモノクローナル抗体のクラ
ス、サブクラス モノクローナル抗体のクラス、サブクラスを市販のキッ
ト(バインディングサイト社製)で調べた。結果を表1
に示す。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 モノクローナル抗体の特異性 実施例1で作製したモノクローナル抗体の特異性をEL
ISA法で検討した。ELISAは次のように行った。
マイクロタイタープレート(スミロン Hプレート)の各
ウェルに予め適当な培地で培養後集菌洗浄した各菌体10
7 個/mlを100μl 入れ、4℃にて一夜静置後、上清を
捨て、1%BSA−PBSで1時間ブロッキングした。
PBS−Tween で洗浄後、各モノクローナル抗体(精製
モノクローナル抗体として5〜10μg/ml) を50〜100 μ
l 添加し、室温2時間静置後、ペルオキシダーゼ標識抗
マウスIgG(バイオ・ラッド社製)の3200倍稀釈溶液
を加え2時間静置した。PBS−Tween で洗浄後、ABTS
(最終濃度で0.15mg/ml)、0.002 %過酸化水素を含む50
mMクエン酸緩衝液(pH4.0)で発色させ、6N硫酸で反応
を停止した。
【0027】このようなELISA系を用いて各種乳酸
菌、酵母、その他のグラム陽性菌、陰性菌の標準株につ
いて74−2E4 、74−3C11、74−3G11、45W-1C6 との反応
性を検討した。その結果、74−2E4 と74−3C11は、ラク
トバチルス属第III 群に属するラクトバチルス・ブレビ
ス、ラクトバチルス・コリノイデスおよびラクトバチル
ス・ケフィアに、74−3G11はラクトバチルス・ブレビ
ス、ラクトバチルス・スエビカスおよびラクトバチルス
・ケフィアにそれぞれ特異的に反応し、その他の各乳酸
菌株、ビール酵母を含む酵母、その他のグラム陽性、陰
性細菌には反応しないことが判明した。45W−1C6はラ
クトバチルス・ブレビスに対してより特異性が高く、ま
た、先のモノクローナル抗体が反応したラクトバチルス
・コリノイデスラクトバチルス・スエビカス、ラクト
バチルス・ケフィアに対しては反応しないため、ビール
有害菌で有名なラクトバチルス・ブレビスに対する効果
的な検出を行うことが可能である。この結果はビール有
害乳酸菌のうち特に問題となるラクトバチルス・ブレビ
スの特異的検出に、このモノクローナル抗体が有用であ
ることを示している。さらにこれらのモノクローナル抗
体との反応性から菌株の推定も可能である。以上の結果
を表2および表3にまとめた。
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
【0030】実施例3 ビール有害乳酸菌株との反応性 実施例2と同様の方法でビール有害乳酸菌株との反応性
を調べた。ビール醸造場等から単離したラクトバチルス
属に属する菌株に対する反応性を調べた結果、ラクトバ
チルス・ブレビスに代表されるラクトバチルス属第III
群のみを認識した。結果を表4に示した。
【0031】
【表4】
【0032】実施例4 化学発光を利用したビール有害乳酸菌の特異的早期検出
法 醸造場より単離したラクトバチルス・ブレビス(菌株番
号45) をMRS培地で培養後、集菌洗浄した。この菌株
をPBSに懸濁しポリカーボネート製メンブランフィル
ター(径47mm、ポアサイズ0.4 μm 、ヌクレオポア社
製) 上に約10個になるようにろ過し、MRS培地で0、
18、40時間培養後、培地からメンブランフィルターをは
がし、電子レンジで2分間固定した。菌体を固定したメ
ンブランフィルターを1%ウシ血清アルブミン(BSA)を
含むPBS中30分間ブロッキングを行い、PBS−Twee
n で洗浄した。次に実施例1のヘ)の方法で調製した西
洋ワサビペルオキシダーゼ標識74−2E4(およそ10μg/m
l) 中に、このメンブランフィルターを浸漬し、1.5 時
間静置後、PBS−Tween で洗浄した。次に市販の発光
キット(アマシャム社製ECLキット)を用いて発光さ
せ、X線フィルムに露光させた結果、微小なコロニーが
検出された。
【0033】実施例5 蛍光抗体法によるビール有害乳酸菌の検出 醸造場より単離したラクトバチルス・ブレビス(菌株番
号45) をMRS培地で培養後、集菌洗浄した。この菌株
をPBSに懸濁後、その100 μl にFITC標識74−2E
4(最終濃度約10μg/ml) を加え、室温で2〜3時間反応
させた。次に反応液を遠心分離し、上清を除去し、PB
S−Tween で2,3回洗浄した。以上のように処理した
菌体を蛍光顕微鏡下で観察することにより、蛍光染色さ
れた菌体が検出された。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 9162−4B C12N 15/00 C (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 宮本 豊 東京都大田区大森北2−13−1 アサヒ ビール株式会社応用技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭62−10100(JP,A) BULL.BREW.SCI.,25 (1979)P.23−28

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillu
    s brevis)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobac
    illus collinoides)、ラクトバチルス・スエビカス(Lac
    tobacillus suebicus)からなる群から選ばれるラクトバ
    チルス (Lactobacillus)属第III 群に属する乳酸菌をヒ
    ト以外の哺乳類動物に免疫して得られるモノクローナル
    抗体であって、ELISA系の検出において、ラクトバ
    チルス・ブレビス乳酸菌と反応性を示し、ビール製造工
    程において存在するそれ以外の乳酸菌、酵母、グラム陽
    性菌、グラム陰性菌とは反応性を示さない特異性を持つ
    モノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillu
    s brevis)、ラクトバチルス・コリノイデス(Lactobac
    illus collinoides)、ラクトバチルス・スエビカス(Lac
    tobacillus suebicus)からなる群から選ばれるラクトバ
    チルス (Lactobacillus)属第III 群に属する乳酸菌をヒ
    ト以外の哺乳類動物に免疫して得られるモノクローナル
    抗体であって、ELISA系の検出において、ラクトバ
    チルス・コリノイデス、ラクトバチルス・スエビカス、
    ラクトバチルス・ケフィアの3種の菌から選ばれるいず
    れか1種以上の乳酸菌とラクトバチルス・ブレビス乳酸
    菌とに反応性を示し、ビール製造工程において存在する
    それ以外の乳酸菌、酵母、グラム陽性菌、グラム陰性菌
    とは反応性を示さない特異性を持つモノクローナル抗
    体。
  3. 【請求項3】請求項1記載のモノクローナル抗体を産生
    するハイブリドーマセルライン。
  4. 【請求項4】請求項2記載のモノクローナル抗体を産生
    するハイブリドーマセルライン。
  5. 【請求項5】45W-1C6 (FERM P-13409号) である請求項
    3に記載のハイブリドーマセルライン。
  6. 【請求項6】74-2E4(微工研条寄第3738号) 、74-3C11
    (微工研条寄第3739号) および74-3G 11(微工研条寄第3
    740号) から選ばれる請求項4に記載のハイブリドーマ
    セルライン。
  7. 【請求項7】請求項1または2に記載のモノクローナル
    抗体を用いることを特徴とするビール有害乳酸菌の検出
    識別法。
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