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JP2585165B2 - 可撓性のある複合撚合型抗張力条体の製造方法 - Google Patents

可撓性のある複合撚合型抗張力条体の製造方法

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Publication number
JP2585165B2
JP2585165B2 JP4196274A JP19627492A JP2585165B2 JP 2585165 B2 JP2585165 B2 JP 2585165B2 JP 4196274 A JP4196274 A JP 4196274A JP 19627492 A JP19627492 A JP 19627492A JP 2585165 B2 JP2585165 B2 JP 2585165B2
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JP
Japan
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composite
tensile strength
roll
strength strip
strip
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Application number
JP4196274A
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JPH0617389A (ja
Inventor
浩 木村
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Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd filed Critical Tokyo Rope Manufacturing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造物を構成する部材の
補強や、構造物の緊張支持などに使用されるのに好適な
可撓性のある複合撚合型抗張力条体の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】土木、建築などにおける抗張力補強部材
として、鉄筋や鋼より線が汎用されているが、近年で
は、高強度低伸度繊維に熱硬化性樹脂等を含浸、硬化し
て成形した種々の断面形状を有する複合抗張力材が開発
されている。これらの複合抗張力条体は、鋼より線に匹
敵する引張り強度と引張り弾性を有し、しかも軽量性、
耐蝕性、非磁性などの優れた特性を有しているため、鉄
筋や鋼より線に代替して、取付け作業、架設作業の省力
化、塩害対策、軽量長大構造物の支持、補強などの各種
用途に供されている。前記複合抗張力条体は、非撚合タ
イプと撚合タイプの2種があるが、いずれのタイプも樹
脂が硬化した後はその構造を変えることができないの
で、所定の断面形状に賦形する工程ないしは編組や撚り
合わせ工程は、樹脂硬化工程と同時かもしくはそれより
以前に行う必要がある。
【0003】たとえば、前者の代表例としてのロッド状
の抗張力体を得る場合には、樹脂槽に繊維集束体を導い
て浸漬するなどの方法で繊維に樹脂を含浸し、次いでを
ダイス等によりしごいて含浸樹脂量を調整し、しごかれ
た樹脂含浸繊維集束体を加熱された金型に導いて、賦形
と樹脂硬化を同時に行なう方法がとられる。また、後者
では、繊維を編組したり撚り合せた後に樹脂を含浸する
か、あるいは樹脂を含浸した後樹脂が未硬化の状態で編
組したり撚り合わせして所定構造にしてから、最終的に
熱処理工程で樹脂を硬化する方法がとられる。これら
は、特公昭57−25679号公報、特公昭62−18
679号公報に示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この場合、複合抗張力
条体の表面に繊維が露出していると、繊維の化学的劣化
が生じたり、擦れによって容易に繊維が毛羽立ち、それ
が原因となって機械的特性を低下させたりする。このた
め、含浸樹脂量の調整、さらに必要に応じて加えられる
樹脂塗布により、複合抗張力条体やこれを構成する線条
要素の表面は多かれ少なかれ樹脂層で覆われている。そ
して、このように表面に樹脂層がある状態で最後に熱処
理が施されるため、樹脂は隣接する複合抗張力体要素を
接着させた状態で硬化する。したがって、ロッドタイプ
の場合は勿論のこと、組紐や撚合体などの撚合タイプ構
造の場合にも複合線条体相互の移動の自由がなく、ロッ
ドタイプと同様に可撓性が低かった。ことに、高強度低
伸度繊維を使用していることから繊維そのものの伸びを
期待できないため、きわめて曲げの剛性が高く、いわゆ
る棒のような性状をしていた。
【0005】このような剛性が高いことは次のような問
題を生じさせていた。すなわち、複合抗張力条体の直径
が小さければ、1mないし2m程度のコイル径に巻くこ
とができるが、複合抗張力条体の直径が10〜15mm
あるいはそれ以上に大きくなると、これを巻取るには数
メートルにも及ぶ大きなコイル径にする必要があり、搬
送に支障をきたす。その対策として、車両の荷台の長さ
を上限として切断すれば、束状の荷姿で搬送することが
できるが、この長さを越える条長での使用が制約され、
連続性という本来の特性がうまく利用できなくなる。ま
た、可撓性に乏しいため、直線状での使用は問題がない
が、コンクリート部材や地中等の内部に曲線状に埋設さ
れたパイプ中に挿入するなどの曲線状態での緊張の用途
に適用することが困難となる。さらに、複合抗張力条体
の径が大きいためコイルからの反発力が増大し、取扱い
を誤ってコイル端を放すようなことがあると、コイルの
強い跳ね返り力によって作業者が危険にさらされるなど
安全面でも支障が生じていた。
【0006】本発明は前記のような問題点を解消するた
めに創案されたもので、その目的とするところは、曲げ
剛性が小さく可撓性に富み、軽量性と相乗して搬送性や
取扱性を向上することができ、また、コンクリート部材
や地中等の内部に曲線状に埋設されたパイプ中に容易に
挿入することができるとともにその曲線状態での緊張の
用途に有効に用いることができる複合撚合型抗張力条体
を、簡単に能率よくかつ安価に製造する方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、高強度低伸度繊維に熱硬化性樹脂を含浸した
複合線条体を複数本撚合し、熱処理して前記含浸熱硬化
性樹脂を硬化させて複合抗張力条体を得た後、該複合抗
張力条体を溝付きロールを備えた接着部破壊装置に導
き、複合抗張力条体を走行させながら前記溝付きロール
により複合抗張力条体に曲げとねじり作用を繰り返し加
えることにより複合線条体を相互に接着している接着樹
脂層を剪断破壊させる構成としたものである。
【0008】
【実施例】以下本発明の実施例を添付図面に基づいて説
明する。図1と図2は本発明により得られた可撓性のあ
る複合撚合型抗張力条体の一例を示している。Aは複合
撚合型抗張力条体、1は心用複合線条体、2は心用複合
線条体の回りに配置され撚り合わされた複数本の側用複
合線条体であり、この例では心用複合線条体1が1本、
側用複合線条体2が6本であり、1×7構造となってい
る。前記心用複合線条体1と側用複合線条体2は、それ
ぞれ、多数本の高強度低伸度繊維aに熱硬化性樹脂bを
含浸し、外周に被覆層cを設けたものからなっており、
心用複合線条体1と側用複合線条体2は撚り合わされた
状態で熱処理を施され、含浸樹脂は硬化している。
【0009】しかし、この時の状態は図3の如くであ
り、心用複合線条体1と側用複合線条体2との隣接領
域、および側用複合線条体2相互の隣接領域はそれぞれ
被覆層cの表面ににじみ出た薄い樹脂層b’によって接
着されている。このため、複合抗張力条体の可撓性は低
かったものである。このような状態となるのは次のよう
な理由による。すなわち、前記のような熱処理の工程に
おいて、含浸状態の熱硬化性樹脂は硬化する前段階で数
10ポイズ程度まで粘度が低下し、流動性を帯びた液体
になる。このため、毛細管現象により被覆層cに浸透
し、やがてこれの表面まで達して表層に樹脂層を形成し
ながら硬化する。このときに、複合線条体間にある樹脂
は互いに接着するからである。この表面の樹脂量は、樹
脂含浸量や被覆工程での被覆材料の張力を変えることな
どで調整することはできるが、最低限でも被覆層cが露
出しない程度の表面樹脂層を意図的に形成することが必
要であるため、接着現象は不可避的であった。
【0010】図2は本発明による複合撚合型抗張力条体
であり、接着部としての熱硬化性樹脂の樹脂層は存在せ
ず、心用複合線条体1と側用複合線条体2との隣接領
域、および側用複合線条体2相互の隣接領域は、所定の
撚り形態のまま摩擦接触しているだけで、複合線条体は
相互に滑動可能であり、複合撚合型抗張力条体Aの曲げ
剛性は、心用複合線条体1と側用複合線条体2の曲げ剛
性を合計したものと略同等となっている。
【0011】前記高強度低伸度繊維aとしては、炭素繊
維、炭化珪素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、ポリビ
ニールアルコール繊維などが使用される。また、熱硬化
性樹脂bとしては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂など
が用いられる。被覆層cとしては、好適には繊維の巻き
付けであるが、これに代えて織布、不織布などで代表さ
れる多孔質テープをスパイラル状に巻き付けたものであ
ってもよい。これらの被覆材料としては、ポリエステ
ル、ポリアミド、アラミドなどの繊維を用いることがで
きる。さらに被覆層cとしては、前記材質の繊維による
編組体であってもよい。
【0012】本発明は上記のような複合撚合型抗張力条
体の製造方法について説明する。まず、心用複合線条体
1と側用複合線条体2を得る。次に、前記複合線条体の
うち少なくとも1本を心用複合線条体1とし、これのま
わりに側用複合線条体2を配して所定のピッチで撚り合
わせることによって、複合撚合体を得る。次に、複合撚
合体を熱処理し、心用複合線条体1と側用複合線条体2
に含浸されている未硬化または半硬化の熱硬化性樹脂を
完全に硬化させ、複合撚合型抗張力条体A’を得る。そ
して、本発明は、さらに複合撚合型抗張力条体A’を機
械的に曲げたりねじったりすることにより、撚合体を構
成している心用複合線条体1と側用複合線条体2間およ
び側用複合線条体2間を接着している樹脂層b’を機械
的に破壊するものである。
【0013】ここで、複合撚合型抗張力条体A’を得る
までの工程は任意であり、ことに心用複合線条体1と側
用複合線条体2を得る方法は任意である。たとえば、高
強度低伸度繊維aを撚合もしくは編組して繊維心を構成
し、それに熱硬化性樹脂を含浸し、次いで外周に乾燥粉
末剤をまぶし、その外周に被覆層をほどこしてもよい。
また、これに代えて、高強度低伸度繊維aのフィラメ
ント束に熱硬化性樹脂bを含浸し、このフィラメント束
(半硬化状態)を複数本撚合し、これの外周に被覆層cを
施して複合線条体1,2を得てもよい。後者の方法を詳
述すると、高強度低伸度繊維を平行に引き揃えたフィラ
メント束をリールから引き出して熱硬化性樹脂槽中に通
して含浸させ、プリプレグを形成する。そして、このプ
リプレグを賦形ダイスに導入して樹脂含浸量の調整とプ
レプレグ断面形状の整形をおこなう。次いでプリプレグ
を乾燥炉に通して短時間たとえば100℃×5分の条件
で乾燥し、熱硬化性樹脂を半硬化させ、リールに巻き取
る。次に、撚合装置のスタンドにプリプレグを巻収した
リールを所定数装着し、各リールから熱硬化性樹脂が半
硬化状態のプリプレグを引き出して一対の接合ロール間
に通し、下流側に配したリールで全プリプレグを一括し
て巻き取りつつ回転させ、それによって所定のピッチで
撚合する。このようにして得た複合ストランドは、次に
リールから引出し、ガイドローラを介して別のリールに
巻き取りつつ被覆を行う。この被覆は、材料が繊維やテ
ープの場合、移動経路に巻き付け機を配し、これから被
覆材料を繰り出しつつ巻き付け機を複合撚合体の回りで
旋回させ、複合撚合体の軸方向に対して直角に近い角度
で被覆材料を緻密に巻き付けるものである。なお、被覆
工程はプリプレグを撚合する過程で実施してもよい。
【0014】このようにして得た複合線条体1,2は図
4のようにリール10,20に巻かれており、それらリ
ール10,20は撚合装置4に装着され、複合線条体
1,2の撚り方向と反対方向で所定の撚り角にて撚合さ
れることによって1×7などの複合撚合体3となり、リ
ール21に巻き取られる。そして、図5のようにリール
21は熱処理装置5に配され、複合撚合体3はリール2
1から引き出され、熱処理装置5に通される。これによ
って複合撚合体3は加熱され、複合線条体1,2に含浸
している半硬化の熱硬化性樹脂が完全に硬化させられ、
複合撚合型抗張力条体A’となる。前記熱処理条件は1
30℃で90分などの一段処理でもよいし、100℃前
後で所定時間たとえば1時間、130℃前後で所定時間
たとえば1時間というような多段処理としてもよい。
【0015】複合撚合型抗張力条体A’は熱処理装置5
を通過したのちリール22に巻収されるが、本発明は、
このリール22に巻収される前のライン中に接着部破壊
装置6を設けるか、またはリール22に巻収した後の別
ラインに接着部破壊装置6を設け、隣接している各複合
線条体1,2の被覆層cの表面ににじみ出て接合しあっ
た薄い樹脂層b’を強制的に破壊するものである。接着
部破壊装置6による処理は一度に急激に行わず、数回に
わたって徐々に行なうことが好ましく、それによって、
複合抗張力条体の損傷や切断荷重等の機械的特性の低下
を避けることができる。
【0016】図6ないし図8は接着部破壊装置6とそれ
による処理状態の第1実施例を示している。この第1実
施例において、接着部破壊装置6はロール式である。詳
しくは、図8のように胴面に複合撚合型抗張力条体A’
の直径と同径ないしこれに近似した径の溝600を有
し、溝底径Dが複合撚合型抗張力条体A’の撚りピッチ
と同程度の構造を有する第1ロール60a,60b,6
0c,60dを、図6のように、長手方向に複合撚合型
抗張力条体の撚合ピッチの2〜3倍程度の間隔Lにとっ
て複数(この例では4個)直列状に配するとともに、これ
と同じ仕様の第2ロール61a,61b,61c,61
d,61eを前記第1ロール60a,60b,60c,
60dと長手方向で位相をずらせて複数個(この例では
5個)直列状に配置している。間隔Lを撚合ピッチの2
〜3倍程度にする理由は、曲げと同時に捩じりも有効的
に作用させためであり、ロール径を撚合ピッチとほぼ同
等にする理由は、機構上、ロール間隔Lの1/2以下で
なければならないからである。前記第1ロール60a,
60b,60c,60dと第2ロール61a,61b,
61c,61d,61eからなるロール対は、図7(a)
のように同一水平面上に配されてもよいし、図7(b)の
ように、上記第1ロールと第2ロールからなるロール対
62を複数組、直列にしかも曲げ方向が垂直と水平等の
2方向で交互となるように配置してもよい。また、場合
によっては図7(c)(d)のように、ロールの軸が順次偏向
していてもよい。
【0017】そして、図7(a)(b)では各対の第1ロール
と第2ロール60aと61a,60bと61b、60c
と61c、60dと61dはロール間隔Wを調整される
ことで引き抜き力が調整されるようになっている。図7
(c)(d)では偏向するロールの間隔を調整することで実現
される。この場合、複合撚合型抗張力条体A’の各複合
線条体1,2に過度の側圧が作用しないようにすべく、
ロール間隔Wを一様でなく、入側の軸間隔Wを大きく
(引き抜き力が緩やか)、出側の軸間隔Wを相対的に小さ
く(引き抜き力が大きく)なるようにすることが好まし
く、この条件下で複合撚合型抗張力条体A’をゆっくり
と一様な速度で引き抜くものである。このロール間隔W
の大きさはたとえば全部の組のロールでリニアに変化さ
せたり、入り側の2組のロールと出側の2組のロールを
変化させるなど種々にすることができる。この第1実施
例によれば、複合撚合型抗張力条体A’は各対のロール
の溝600を支点として図6において上方向と下方向に
交互に強制的に曲げられつつ引き抜かれる。それによっ
て複合撚合型抗張力条体A’を構成している複合線条体
1,2は曲げ応力が作用すると共に、撚合構造の故にね
じり応力も発生する。このような曲げ成分とねじり成分
の複合した応力が複数対のロールによって繰り返し与え
られるため、図3のように複合線条体1,2の各隣接域
を接着している樹脂層b’には有効に剪断応力が作用す
ることになり、しかも下流に向かうほど前記複合した応
力が増加するため、確実に接着樹脂層b’が剪断破壊さ
れ、図2のように全部の複合線条体1,2が独立した形
態の複合撚合型抗張力条体Aとなる。
【0018】次に図9ないし図11は本発明の接着部破
壊装置6とそれによる処理の第2実施例を示している。
この実施例においては、平行な2本の第1ロール軸62
aと第2ロール軸62bに、段階的に径を変えた複数個
の第1ロール60a〜60eと第2ロール61a〜61
eをそれぞれ装備させており、各々のロール60a〜6
0e,61a〜61eは独立して回転できるようになっ
ている。ロール数はこの例では5個ずつであるがこれに
限定されるものではなく、もっと多くても、少なくても
よい。各ロール60a〜60e,61a〜61eは、図
10に示されるようにやはり胴面に複合撚合型抗張力条
体A’の直径と同径ないしこれに近似した径の溝600
を有し、溝底径Dが複合撚合型抗張力条体A’の直径の
少なくとも33倍となっている。その理由は、複合撚合
型抗張力条体の複合線条体の許容圧縮歪みが約1%であ
るため、7本撚り構成の複合撚合型抗張力条体の場合、
複合線条体の曲げ歪みが1%以下となるようにするに
は、(d/3)D≦0.01の関係で規定されるからであ
る。溝底径Dは、ロール60a≒ロール61eとし、ロ
ール61a>60a>61b>60b>61c>60c
>61d>60d>61eの関係となるようにすること
が好ましい。
【0019】複合撚合型抗張力条体A’は図9と図11
のように、ロール61aの上から半周巻回されて下側か
ら左上がりに導かれてロール60aに到り、これを左半
周経由して下側から右上がりに導かれてロール61bの
右半周を巻回し、次いで下側から左上がりにロール60
bに導かれるというようにたすき掛け状に順次小径のロ
ールへと掛け回され、最後にロール60eの左半周を経
由して入線方向と平行状に引き出される。このときに、
引き側の張力を送り側の張力よりもやや高くするよう
に、ゆっくりと一様な速度で複合撚合型抗張力条体A’
を送るものである。 こうすれば、やはり複合撚合型抗
張力条体A’は機械的に曲げ成分とねじれ成分の複合し
た作用を受け、前記と同様に複合線条体1,2の各隣接
域を接着している樹脂層b’には有効に剪断応力が作用
することになり、確実に接着樹脂層b’が剪断破壊され
る。ロール数が多く、徐々にロール径が小さくなってい
るため複合撚合型抗張力条体Aに損傷を与えることなし
に徐々に複合線条体間の接着が剥離され、可撓性の付与
された複合撚合型抗張力条体Aを得ることができる。
【0020】第1実施例も第2実施例もロールによる処
理を複数回にわたって徐々に行うため側圧による複合撚
合型抗張力条体のつぶれや座屈などの損傷が生じず、切
断荷重などの機械的特性を維持することができる。な
お、第1実施例と第2実施例において、ロール材質を鋼
などの金属のほか、プラスチックやゴムなどとすれば、
面圧による損傷防止に効果的である。また、ロール式で
あるため接着部破壊をインラインで連続的に行える利点
がある。
【0021】次に本発明の具体例を示す。 〔具体例1〕 直径7μm、フィラメント数12000本を平行に引き
揃えた炭素繊維のマルチフィラメントにエポキシ樹脂を
含浸し、賦形ダイスによって樹脂含浸量35重量%に調
整し、100℃×5分の条件で半硬化状態に乾燥し、プ
リプレグを形成した。このプリプレグを2本撚合し、つ
いで、外周に4000デニールマルチフィラメントのポ
リエステル繊維を密に巻き付け被覆し、複合線条体とし
た。この複合線条体を用いて、1本を心に、その周囲に
6本を配して、ピッチ60mmで撚り合せた。これを、
100℃雰囲気で1時間、さらに130℃で1時間熱処
理してエポキシ樹脂を硬化し、外径5.0mmの1×7
構造を有する抗張力条体を得た。
【0022】次に、この複合抗張力条体を、図6に示す
ような鋼製ロール対に導いた。各ロール面には抗張力条
体の直径Rと同径の2R=5mmの溝を持ち、溝底径
(D)は50mmである。ロールは長手方向に90mm間
隔で固定し、第1ロールと第2ロールのロール間隔を調
整して、引抜き力を6kgfないし10kgfになるよ
うにした。このロール対を4組用い、図7(b)に示すよ
うに直列にしかも曲げ方向が垂直方向と水平方向に交互
となるように配置し、入り側の2つのロール対はいずれ
も引抜き力を6kgfとし、出側の2つのロール対はい
ずれも引抜き力を10kgfにして、ゆっくりと一様な
速度で引き抜いた。
【0023】可撓性を評価するため、長さ50cmの試
験片を採取し、2点支持中央点載荷方式による単純梁の
荷重、たわみの関係を適用して、曲げ剛性EIを測定し
た。その結果、ロール処理する前の複合抗張力条体の曲
げ剛性は、810kgf・cm2であったのに対し、ロ
ール処理したものは122kgf・cm2であった。すな
わち、曲げ剛性比でみると、ロール処理することで可撓
性が6.6倍向上した。前記複合抗張力条体を構成する
直径1.7mmの心素線(心用複合線条体)のみを取り出
し、その曲げ剛性を測定したところ17kgf・cm2
あった。すなわち、ロール処理したものの曲げ剛性は、
複合線条体の曲げ剛性の7.1倍であるので、ロール処
理したものの曲げ剛性は構成する7本の複合線条体の曲
げ剛性の和にほぼ等しく、したがって、複合線条体間の
接着を有効に剥離できていることが明らかである。
【0024】ロール処理による損傷の有無を調べるため
に、長さ1.6mの試験片を採取し、両端に定着加工を
して引張試験した。その結果、ロール処理する前の複合
抗張力条体の切断荷重は2100kgfであり、ロール
処理したものは2080kgfであった。すなわち、ロ
ール処理しても切断荷重の低下はなかった。また、両者
の弾性係数にも変化がなかった。なお、4つのロール対
をすべて引抜き力が10kgfになるように調整してロ
ール処理してみた。この場合にも上記と同様に可撓性の
向上がみられたが、切断荷重は1900kgfとなり、
約10%の強度低下が認められた。それは、入り側のロ
ール対において、ロールと接触している複合抗張力体の
複合線条体に過度な側圧が作用して損傷したことによる
ものであり、したがって、入り側を緩やかにしたロール
処理条件にすることが好ましいといえる。
【0025】〔具体例2〕 具体例1におけるプリプレグを15本撚合し、これに8
000デニールマルチフィラメントのポリエステル繊維
を密に巻き付け被覆し、複合線条体とした。この複合線
条体を用いて、1本を心に、その周囲に6本を配して、
ピッチ150mmで撚り合せた。これを、100℃雰囲
気で1時間、さらに130℃で1時間熱処理してエポキ
シ樹脂を硬化し、外径12.5mmの撚合構造を有する
抗張力体を得た。
【0026】次に、この複合抗張力条体を図9ないし図
11に示すような鋼製のロール対に導いた。このロール
対は段階的にロール径を変えた数個のロールを、平行し
て間隔をL=1,600mmとした2本の軸に設置して
ある。ロール面には複合抗張力条体の直径と同径の2R
=12.5mmの溝を有している。複合抗張力条体は図
9と図11に示すように、交叉してロールに巻き付け
た。このとき、巻き付けるロールの順を、溝底直径が8
50mm(図9の61a)のものから入線し、順次750mm
(図9の60a)、700mm(図9の61b)、650mm(図9の
60b)、600mm(図9の61c)、550mm(図9の60c)、
500mm(図9の61d)、470mm(図9の60d)、440
mm(図9の61e)、850mm(図9の60e)になるようにし
た。そして引き側の張力を送り側の張力よりやや高くす
ることで、ゆっくりと一様な速度でロール処理した。
【0027】ロール処理する前の複合抗張力条体は、複
合線条体どうしが、実施例1と同様に複合線条体表面に
あるエポキシ樹脂で接着されているため、曲げ剛性は、
16000kgf・cm2であった。これに対し、ロール
処理したものは6500kgf・cm2であった。切断荷
重は、ロール処理する前が16000kgfであったの
に対し、ロール処理を行なったものは、16100kg
fであった。したがってロール処理による強度の低下は
見られなかった。また、両者の弾性係数はいずれも14
000kgf/mm2であり、差は認められなかった。
この複合抗張力条体を構成する直径4.2mmの心複合
線条体のみを取り出して、その曲げ剛性を測定したとこ
ろ、1000kgf・cm2であった。したがって、ロー
ル未処理のものの曲げ剛性は心用複合線条体の曲げ剛性
の16倍であるのに対し、ロール処理したものの曲げ剛
性は心用複合線条体の曲げ剛性の6.5倍である。すな
わちロール処理したものの曲げ剛性は、構成する7本の
複合線条体の曲げ剛性の和にほぼ等しい。このことか
ら、複合線条体間の接着を有効に剥離できていることは
明らかである。
【0028】このロール処理において、650mmのロ
ールを通過した時点で採取したものの曲げ剛性は100
90kgf/cm2であった。また、550mmのロー
ルを通過した時点で採取したものの曲げ剛性は7600
kgf/cm2であった。ロール処理を、溝底直径が8
50mmのものから入線し、650mm、440mm、
850mmの順で行なった場合の切断荷重は、1460
0kgfであり、約9%の強度低下が認められた。この
時の曲げ剛性は7000kgf/cm2であった。この
強度低下の原因は、強引にロールで曲げたことにより複
合抗張力条体の複合線条体の一部が座屈損傷したためで
あった。このことからなるべく多くのロールを用いて、
徐々にロール径を小さくしていくことが好ましく、この
ようにすれば、複合抗張力体の損傷を発生することな
く、徐々に複合線条体間の接着が破壊され、同時に可撓
性が徐々に付与され、最終的に、完全に複合線条体間接
着が剥離された、可撓性のある複合抗張力体を得ること
ができることがわかる。
【0029】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、高強度低
伸度繊維に熱硬化性樹脂を含浸した複合線条体を複数本
撚合し、熱処理して前記含浸熱硬化性樹脂を硬化させて
複合抗張力条体を得た後、該複合抗張力条体を溝付きロ
ールを備えた接着部破壊装置に導き、複合抗張力条体を
走行させながら前記溝付きロールにより複合抗張力条体
に曲げとねじり作用を繰り返し加えることにより複合線
条体を相互に接着している接着樹脂層を剪断破壊させる
ため、曲げ剛性が複合線条体の曲げ剛性を合計したもの
と略同等の可撓性のある複合抗張力体を、複合抗張力条
体を得るまでの工程や設備について何ら変更を要さず
に、簡単に能率よくまた安価に作ることができ、曲げと
ねじり処理を複数回にわたって徐々に行うため側圧によ
る複合撚合型抗張力条体のつぶれや座屈などの損傷が生
じず、切断荷重などの機械的特性を維持することができ
る。したがって、リール枠に巻いたり、あるいは現地で
リール枠から外して展開するときの作業性がよく、コン
クリート部材や地中等の内部に曲線状に埋設されたパイ
プ中に容易に挿入することができるとともに、その曲線
状態で緊張することができる複合抗張力条体を安価に提
供することができるというすぐれた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られた複合抗張力条体の一実施
例を示す部分切欠側面図である。
【図2】同じくその断面図である。
【図3】本発明法を適用前の複合抗張力条体の断面図で
ある。
【図4】本発明における複合抗張力条体の撚合過程を例
示する説明図である。
【図5】本発明における熱処理工程と接着部破壊工程を
例示する説明図である。
【図6】本発明における接着部破壊工程の第1実施例を
示す平面図である。
【図7】本発明における接着部破壊工程の第1実施例を
示す説明図である。
【図8】第1実施例におけるロールの部分的側面図であ
る。
【図9】本発明における接着部破壊工程の第2実施例を
示す平面図である。
【図10】第2実施例におけるロールの部分的側面図で
ある。
【図11】本発明における接着部破壊工程の第2実施例
を示す正面図である。
【符号の説明】
A 複合撚合型抗張力条体 a 高強度低伸度繊維 b 熱硬化性樹脂 b’ 樹脂層 c 被覆層 1 心用複合線条体 2 側用複合線条体 6 接着部破壊装置

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高強度低伸度繊維に熱硬化性樹脂を含浸し
    た複合線条体を複数本撚合し、熱処理して前記含浸熱硬
    化性樹脂を硬化させて複合抗張力条体を得た後、該複合
    抗張力条体を溝付きロールを備えた接着部破壊装置に導
    き、複合抗張力条体を走行させながら前記溝付きロール
    により複合抗張力条体に曲げとねじり作用を繰り返し加
    えることにより複合線条体を相互に接着している接着樹
    脂層を剪断破壊させることを特徴とする可撓性のある複
    合撚合型抗張力条体の製造方法。
  2. 【請求項2】溝付きロールが直列状に複数組配置され、
    複合線条体を相互に接着している接着樹脂層がロールを
    通過する際に徐々破壊されるようになっている請求項1
    に記載の可撓性のある複合撚合型抗張力条体の製造方
    法。
  3. 【請求項3】溝付きロールが1対からなり、各対のロー
    ルが段階的に径を変えた複数個のロール群からなってお
    り、これらロール群に複合抗張力条体が掛け回されて引
    っ張られらることによってを相互に接着している接着樹
    脂層を徐々に剥離する請求項1に記載の可撓性のある複
    合撚合型抗張力条体の製造方法。
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