JP2570337B2 - 軟磁性積層膜 - Google Patents
軟磁性積層膜Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は軟磁性積層膜に関し、特に高密度記録に好適
な性能を発揮する磁気ヘッドのコア等として使用される
軟磁性積層膜に関する。
な性能を発揮する磁気ヘッドのコア等として使用される
軟磁性積層膜に関する。
本発明は、磁気ヘッドのコア等として使用される軟磁
性積層膜において、純FeあるいはFeを主成分とする結晶
質磁性合金薄膜からなる主磁性層と、非晶質非磁性合金
薄膜からなる中間層とを積層することにより、飽和磁束
密度が高く、耐熱性に優れる軟磁性積層膜を提供するも
のである。
性積層膜において、純FeあるいはFeを主成分とする結晶
質磁性合金薄膜からなる主磁性層と、非晶質非磁性合金
薄膜からなる中間層とを積層することにより、飽和磁束
密度が高く、耐熱性に優れる軟磁性積層膜を提供するも
のである。
たとえばオーディオテープレコーダーやVTR(ビデオ
テープレコーダー)等の磁気記録再生装置においては、
記録信号の高密度化や高品質化が進行しており、鉄等の
強磁性金属粉末を磁性粉とするいわゆるメタルテープ
や、強磁性金属材料を真空薄膜形成技術によりベースフ
ィルネ上に直接被着した、いわゆる蒸着テープ等が実用
化されている。
テープレコーダー)等の磁気記録再生装置においては、
記録信号の高密度化や高品質化が進行しており、鉄等の
強磁性金属粉末を磁性粉とするいわゆるメタルテープ
や、強磁性金属材料を真空薄膜形成技術によりベースフ
ィルネ上に直接被着した、いわゆる蒸着テープ等が実用
化されている。
ところで、このような高保磁力を有する磁気記録媒体
の特性を十分に活かして良好な記録再生を行うために
は、磁気ヘッドのコア材料の特性として、高い飽和磁束
密度を有するとともに、同一の磁気ヘッドで再生を行お
うとする場合においては高透磁率を併せて有することが
要求される。
の特性を十分に活かして良好な記録再生を行うために
は、磁気ヘッドのコア材料の特性として、高い飽和磁束
密度を有するとともに、同一の磁気ヘッドで再生を行お
うとする場合においては高透磁率を併せて有することが
要求される。
このような要求に応える材料として、各種の軟磁性積
層膜が提案されている。このうちの典型的な例として、
Fe基結晶質層とCo基非晶質層とを積層した軟磁性積層薄
膜が知られている。これらは各々が軟磁性材料である
が、Fe基結晶質層のもつ高飽和磁束密度とCo基非晶質層
のもつ高透磁率の特性を組み合わせてより一層の軟磁気
特性の向上を狙ったものである。
層膜が提案されている。このうちの典型的な例として、
Fe基結晶質層とCo基非晶質層とを積層した軟磁性積層薄
膜が知られている。これらは各々が軟磁性材料である
が、Fe基結晶質層のもつ高飽和磁束密度とCo基非晶質層
のもつ高透磁率の特性を組み合わせてより一層の軟磁気
特性の向上を狙ったものである。
また、金属磁性薄膜と酸化物系非磁性薄膜とを積層し
た軟磁性積層膜も提案されている。
た軟磁性積層膜も提案されている。
しかしながら、上述のFe基結晶質層とCo基非晶質層と
を積層した軟磁性積層膜には、以下のような問題点があ
る。第一に、この軟磁性積層膜の耐熱性はCo基非晶質層
の結晶化温度で決定され、多くの場合500℃程度が限界
である。第二に、Co基非晶質層に軟磁性をもたせるため
にはこの層をある程度厚く形成することが必要である
が、このために相対的にFe基結晶質層の厚さが減少し、
積層膜とされた際の飽和磁束密度をあまり高くすること
ができない。第三に、Co基非晶質層に誘導磁気異方性が
存在し、積層膜とされた際の軟磁気特性に悪影響を及ぼ
す。
を積層した軟磁性積層膜には、以下のような問題点があ
る。第一に、この軟磁性積層膜の耐熱性はCo基非晶質層
の結晶化温度で決定され、多くの場合500℃程度が限界
である。第二に、Co基非晶質層に軟磁性をもたせるため
にはこの層をある程度厚く形成することが必要である
が、このために相対的にFe基結晶質層の厚さが減少し、
積層膜とされた際の飽和磁束密度をあまり高くすること
ができない。第三に、Co基非晶質層に誘導磁気異方性が
存在し、積層膜とされた際の軟磁気特性に悪影響を及ぼ
す。
また、金属磁性薄膜と酸化物系非磁性薄膜とを積層し
た軟磁性積層膜では、これら両方の薄膜の熱膨張係数や
エッチング速度等の特性が異なりすぎ、各薄膜間におけ
る剥離や加工性の低さの原因となっている。
た軟磁性積層膜では、これら両方の薄膜の熱膨張係数や
エッチング速度等の特性が異なりすぎ、各薄膜間におけ
る剥離や加工性の低さの原因となっている。
そこで本発明は、耐熱性と軟磁気特性を向上させた軟
磁性積層膜の提供を目的とする。
磁性積層膜の提供を目的とする。
本発明にかかる軟磁性積層膜は上述の目的を達成する
ために提案されたものであり、純FeあるいはFeを主成分
とする結晶質磁性合金薄膜からなる主磁性層と、非晶質
非磁性合金薄膜からなる中間層とを積層したことを特徴
とするものである。
ために提案されたものであり、純FeあるいはFeを主成分
とする結晶質磁性合金薄膜からなる主磁性層と、非晶質
非磁性合金薄膜からなる中間層とを積層したことを特徴
とするものである。
ここで、主磁性層の材料は純Feの他、Feを主成分とす
る結晶質磁性合金薄膜である。後者の材料として使用で
きる合金は、たとえばFeSi,センダスト,FeGaSi,FeAlGe,
FeCoSi,FeCoSiAl等である。膜厚は10〜10000Åの範囲に
選ばれ、より好ましくは50〜5000Åである。
る結晶質磁性合金薄膜である。後者の材料として使用で
きる合金は、たとえばFeSi,センダスト,FeGaSi,FeAlGe,
FeCoSi,FeCoSiAl等である。膜厚は10〜10000Åの範囲に
選ばれ、より好ましくは50〜5000Åである。
また、上記中間層の材料は非晶質非磁性合金薄膜であ
り、この材料として使用できる合金はたとえばCoZr,CoH
f,CoTa,CoNb,NiZr,NiHf,CuZr,CuHf等である。膜厚は3
〜1000Åの範囲に選ばれ、より好ましくは5〜50Åであ
る。
り、この材料として使用できる合金はたとえばCoZr,CoH
f,CoTa,CoNb,NiZr,NiHf,CuZr,CuHf等である。膜厚は3
〜1000Åの範囲に選ばれ、より好ましくは5〜50Åであ
る。
なお、上述の主磁性層および中間層の各膜厚の範囲は
得られる軟磁性積層膜の軟磁気特性を最適化する観点か
ら設定されたものであり、これらのいずれの範囲外でも
良好な軟磁気特性は期待できない。
得られる軟磁性積層膜の軟磁気特性を最適化する観点か
ら設定されたものであり、これらのいずれの範囲外でも
良好な軟磁気特性は期待できない。
また、主磁性層および中間層の積層枚数は、軟磁性積
層膜の所望の特性に応じて適宜設定することができる。
層膜の所望の特性に応じて適宜設定することができる。
上述のような軟磁性積層膜を作成するためには通常ス
パッタリングが行われ、高周波マグネトロン・スパッタ
リング、直流スパッタリング、対向ターゲット・スパッ
タリング、イオンビーム・スパッタリング等の種々の方
式が適用可能であり、いずれも通常の条件で行うことが
できる。このときの蒸発源としては、合金ターゲット、
各成分元素別の独立のターゲット、あるいは主成分とな
る元素のターゲットの上に少量成分の元素のチップを載
置したもの等を使用することできる。
パッタリングが行われ、高周波マグネトロン・スパッタ
リング、直流スパッタリング、対向ターゲット・スパッ
タリング、イオンビーム・スパッタリング等の種々の方
式が適用可能であり、いずれも通常の条件で行うことが
できる。このときの蒸発源としては、合金ターゲット、
各成分元素別の独立のターゲット、あるいは主成分とな
る元素のターゲットの上に少量成分の元素のチップを載
置したもの等を使用することできる。
また、上記Feを主成分とする結晶質磁性合金薄膜およ
び非晶質非磁性合金薄膜のいずれか一方もしくは両方
に、0.1〜10原子%の窒素あるいは酸素が含有されてい
ても良い。窒素あるいは酸素を導入するには、アルゴン
等を主体とするスパッタリング雰囲気中にこれらの気体
を適当な分圧にて混合すれば良い。
び非晶質非磁性合金薄膜のいずれか一方もしくは両方
に、0.1〜10原子%の窒素あるいは酸素が含有されてい
ても良い。窒素あるいは酸素を導入するには、アルゴン
等を主体とするスパッタリング雰囲気中にこれらの気体
を適当な分圧にて混合すれば良い。
本発明にかかる軟磁性積層膜は、Feを主成分とする結
晶質磁性合金薄膜と非晶質非磁性合金薄膜とが積層され
たものである。このような軟磁性積層膜の耐熱性は非晶
質非磁性合金薄膜の結晶化温度で決定され、該非晶質非
磁性合金薄膜が結晶質に変化した場合に結晶質磁性合金
薄膜との間で拡散が生じて軟磁気特性が劣化する。しか
し、ここで使用されている非晶質非磁性合金薄膜は結晶
化温度が高いため、非晶質状態を保ち、結晶質磁性合金
薄膜との間の拡散を防止するには有利である。このよう
な構成により、高い飽和磁束密度が得られる。さらに、
本軟磁性積層膜は金属同士の接合により構成されること
から熱による層間剥離が生じにくく、このような観点か
らも軟磁性積層膜の耐熱性が向上する。
晶質磁性合金薄膜と非晶質非磁性合金薄膜とが積層され
たものである。このような軟磁性積層膜の耐熱性は非晶
質非磁性合金薄膜の結晶化温度で決定され、該非晶質非
磁性合金薄膜が結晶質に変化した場合に結晶質磁性合金
薄膜との間で拡散が生じて軟磁気特性が劣化する。しか
し、ここで使用されている非晶質非磁性合金薄膜は結晶
化温度が高いため、非晶質状態を保ち、結晶質磁性合金
薄膜との間の拡散を防止するには有利である。このよう
な構成により、高い飽和磁束密度が得られる。さらに、
本軟磁性積層膜は金属同士の接合により構成されること
から熱による層間剥離が生じにくく、このような観点か
らも軟磁性積層膜の耐熱性が向上する。
以下、本発明の好適な実施例を図面を参照しながら説
明する。
明する。
まず純Feを主磁性層、Co50Zr50(数字は原子%を表
す。以下同じ。)を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気
特性を調べた。まず、純FeとCo50Zr50合金の各ターゲッ
トを使用し、流速20SCCM,ガス圧2.5mTorrの純アルゴン
雰囲気中で同時二元スパッタリングにより純Fe薄膜とCo
50Zr50合金薄膜の各膜厚を種々に変えながらガラス基板
の上に交互に積層し、全厚1.8μmの軟磁性積層膜を作
成した。このとき各薄膜の膜厚は、ガラス基板の回転数
あるいは各ターゲットに対する投入電力を種々に選ぶこ
とにより変化させた。このようにして得られた各軟磁性
積層膜の軟磁気特性をスパッタリング直後において測定
した結果を第1図に示す。この図において、縦軸は純Fe
薄膜の膜厚(Å)を、横軸はCo50Zr50合金薄膜の膜厚
(Å)をそれぞれ示す。図中の各点は測定された各軟磁
性積層膜の膜厚の組合せを示し、これらを略円弧状に結
ぶ実線は保磁力Hcの等しい点を結ぶ等Hc線である。また
点線は飽和磁束密度Bsの等しい点を結ぶ等Bs線である。
この図より、Fe薄膜の膜厚がCo50Zr50合金薄膜の膜厚の
約10倍となる組合せにおいて約20kGという極めて高い飽
和磁束密度が得られていることがわかる。また、飽和磁
束密度Bsが20kG以上の領域では保磁力も高く、あるもの
は10kGのレベルにも達している。
す。以下同じ。)を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気
特性を調べた。まず、純FeとCo50Zr50合金の各ターゲッ
トを使用し、流速20SCCM,ガス圧2.5mTorrの純アルゴン
雰囲気中で同時二元スパッタリングにより純Fe薄膜とCo
50Zr50合金薄膜の各膜厚を種々に変えながらガラス基板
の上に交互に積層し、全厚1.8μmの軟磁性積層膜を作
成した。このとき各薄膜の膜厚は、ガラス基板の回転数
あるいは各ターゲットに対する投入電力を種々に選ぶこ
とにより変化させた。このようにして得られた各軟磁性
積層膜の軟磁気特性をスパッタリング直後において測定
した結果を第1図に示す。この図において、縦軸は純Fe
薄膜の膜厚(Å)を、横軸はCo50Zr50合金薄膜の膜厚
(Å)をそれぞれ示す。図中の各点は測定された各軟磁
性積層膜の膜厚の組合せを示し、これらを略円弧状に結
ぶ実線は保磁力Hcの等しい点を結ぶ等Hc線である。また
点線は飽和磁束密度Bsの等しい点を結ぶ等Bs線である。
この図より、Fe薄膜の膜厚がCo50Zr50合金薄膜の膜厚の
約10倍となる組合せにおいて約20kGという極めて高い飽
和磁束密度が得られていることがわかる。また、飽和磁
束密度Bsが20kG以上の領域では保磁力も高く、あるもの
は10kGのレベルにも達している。
次に、上述の軟磁性積層膜について、膜厚の組合せと
室温における比抵抗の関係を調べた結果を第2図に示
す。この図において、縦軸は純Fe薄膜の膜厚(Å)を、
横軸はCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
図中の各点は測定された各軟磁性積層膜の膜厚の組合せ
を示し、実線は比抵抗ρ(μΩ・cm)の等しい点を結ぶ
等ρ線である。この図より、相対的にCo50Zr50合金薄膜
の膜厚に対して純Fe薄膜の膜厚が大きくなる程、比抵抗
は低下する傾向にあることがわかる。
室温における比抵抗の関係を調べた結果を第2図に示
す。この図において、縦軸は純Fe薄膜の膜厚(Å)を、
横軸はCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
図中の各点は測定された各軟磁性積層膜の膜厚の組合せ
を示し、実線は比抵抗ρ(μΩ・cm)の等しい点を結ぶ
等ρ線である。この図より、相対的にCo50Zr50合金薄膜
の膜厚に対して純Fe薄膜の膜厚が大きくなる程、比抵抗
は低下する傾向にあることがわかる。
次に、純Feを主磁性層、Ni50Zr50を中間層とする軟磁
性積層膜を作成し、その軟磁性特性を調べた。作成に際
してのスパッタリング条件は、中間層のターゲットを変
えた他は、上述のCo50Zr50を中間層とする軟磁性積層膜
を作成した場合と同様である。この結果を第3図に示
す。この図において、縦軸は純Fe薄膜の膜厚(Å)を、
横軸はNi50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
その他の記載事項も前述の各図と同様である。この場合
も、前述の第1図に示した結果と類似した傾向が認めら
れた。
性積層膜を作成し、その軟磁性特性を調べた。作成に際
してのスパッタリング条件は、中間層のターゲットを変
えた他は、上述のCo50Zr50を中間層とする軟磁性積層膜
を作成した場合と同様である。この結果を第3図に示
す。この図において、縦軸は純Fe薄膜の膜厚(Å)を、
横軸はNi50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
その他の記載事項も前述の各図と同様である。この場合
も、前述の第1図に示した結果と類似した傾向が認めら
れた。
次に、主磁性層として純Fe薄膜の代わりにFeを主成分
とする結晶質磁性合金薄膜を用いた例について述べる。
すなわち、前述の第1図に示した軟磁性薄膜の主磁性層
をFe98Ti2合金薄膜とした他は同様に軟磁性積層膜を作
成し、その軟磁気特性を測定した。この結果を第4図に
示す。この図において、縦軸はFe98Ti2合金薄膜の膜厚
(Å)を、横軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそ
れぞれ示す。この図より、飽和磁束密度が20kGとなる各
薄膜の組合せはFe98Ti2合金薄膜の膜厚がCo50Zr50合金
薄膜の膜厚の約20倍となる場合であり、保磁力は前述の
いずれの軟磁性積層膜よりもやや低くなる傾向がみられ
る。
とする結晶質磁性合金薄膜を用いた例について述べる。
すなわち、前述の第1図に示した軟磁性薄膜の主磁性層
をFe98Ti2合金薄膜とした他は同様に軟磁性積層膜を作
成し、その軟磁気特性を測定した。この結果を第4図に
示す。この図において、縦軸はFe98Ti2合金薄膜の膜厚
(Å)を、横軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそ
れぞれ示す。この図より、飽和磁束密度が20kGとなる各
薄膜の組合せはFe98Ti2合金薄膜の膜厚がCo50Zr50合金
薄膜の膜厚の約20倍となる場合であり、保磁力は前述の
いずれの軟磁性積層膜よりもやや低くなる傾向がみられ
る。
以上は、スパッタリング雰囲気が純アルゴンの場合で
あるが、次にこの雰囲気中に酸素あるいは窒素を導入し
た例について述べる。
あるが、次にこの雰囲気中に酸素あるいは窒素を導入し
た例について述べる。
まず、前述の第4図に示した軟磁性積層膜のスパッタ
リング時のアルゴン雰囲気中に0.4SCCMの酸素を導入
し、全ガス圧を2.5mTorrとして軟磁性積層膜を作成し、
軟磁気特性を測定した。この結果を第5図に示す。この
図において、縦軸はFe96Ti2O2薄膜の膜厚(Å)を、横
軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
この図より、保磁力は第4図に示した結果よりさらに低
下し、膜厚の変化に対する保磁力の変化も緩やかになる
傾向が認められる。
リング時のアルゴン雰囲気中に0.4SCCMの酸素を導入
し、全ガス圧を2.5mTorrとして軟磁性積層膜を作成し、
軟磁気特性を測定した。この結果を第5図に示す。この
図において、縦軸はFe96Ti2O2薄膜の膜厚(Å)を、横
軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)をそれぞれ示す。
この図より、保磁力は第4図に示した結果よりさらに低
下し、膜厚の変化に対する保磁力の変化も緩やかになる
傾向が認められる。
さらに、上述の実験における酸素を窒素に替えた例に
ついて検討した。すなわち、前述の第4図に示した軟磁
性積層膜のスパッタリング時のアルゴン雰囲気中に0.3S
CCMの酸素を導入し、全ガス圧を2.5mTorrとして軟磁性
積層膜を作成し、軟磁気特性を測定した。この結果を第
6図に示す。この図において、縦軸はFe96Ti2N2薄膜の
膜厚(Å)を、横軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)
をそれぞれ示す。この図より、前述の第5図と類似した
傾向がみられるが、保磁力はさらに低下し、膜厚の変化
に対する保磁力の変化もさらに緩やかになっている。
ついて検討した。すなわち、前述の第4図に示した軟磁
性積層膜のスパッタリング時のアルゴン雰囲気中に0.3S
CCMの酸素を導入し、全ガス圧を2.5mTorrとして軟磁性
積層膜を作成し、軟磁気特性を測定した。この結果を第
6図に示す。この図において、縦軸はFe96Ti2N2薄膜の
膜厚(Å)を、横軸にはCo50Zr50合金薄膜の膜厚(Å)
をそれぞれ示す。この図より、前述の第5図と類似した
傾向がみられるが、保磁力はさらに低下し、膜厚の変化
に対する保磁力の変化もさらに緩やかになっている。
次に、中間層の膜厚を一定にした場合の主磁性層の膜
厚の変化に対する保磁力の変化を調べた。本実験では、
種々の膜厚に作成されたFe86Si14合金薄膜を主磁性層,
膜厚9ÅのNi50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積層
膜(以下、FeSi−NiZr系軟磁性積層膜と称する。)、お
よび種々の膜厚に作成されたFe70Ru5Ga10Si15合金薄膜
と膜厚13ÅのCo50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積
層膜(以下、FeRuGaSi−CoZr系軟磁性積層膜と称す
る。)を使用した。この結果を第7図に示す。この図に
おいて、縦軸は保磁力(Oe)、横軸は主磁性層の膜厚
(Å)をそれぞれ示し、黒丸のプロットはFeSi−NiZr系
軟磁性積層膜、白丸のプロットはFeRuGaSi−CoZr系軟磁
性積層膜の特性にそれぞれ対応する。いずれの軟磁性積
層膜においても相対的に主磁性層の膜厚が中間層の膜厚
よりも大きくなるにつれて保磁力が向上するが、特に、
FeRuGaSi−CoZr系軟磁性積層膜の場合にその傾向は顕著
である。
厚の変化に対する保磁力の変化を調べた。本実験では、
種々の膜厚に作成されたFe86Si14合金薄膜を主磁性層,
膜厚9ÅのNi50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積層
膜(以下、FeSi−NiZr系軟磁性積層膜と称する。)、お
よび種々の膜厚に作成されたFe70Ru5Ga10Si15合金薄膜
と膜厚13ÅのCo50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積
層膜(以下、FeRuGaSi−CoZr系軟磁性積層膜と称す
る。)を使用した。この結果を第7図に示す。この図に
おいて、縦軸は保磁力(Oe)、横軸は主磁性層の膜厚
(Å)をそれぞれ示し、黒丸のプロットはFeSi−NiZr系
軟磁性積層膜、白丸のプロットはFeRuGaSi−CoZr系軟磁
性積層膜の特性にそれぞれ対応する。いずれの軟磁性積
層膜においても相対的に主磁性層の膜厚が中間層の膜厚
よりも大きくなるにつれて保磁力が向上するが、特に、
FeRuGaSi−CoZr系軟磁性積層膜の場合にその傾向は顕著
である。
ところで、以上の軟磁気特性はすべてスパッタリング
終了直後に測定したものであるが、磁気ヘッド等の製造
工程においてはガラス融着等のための熱処理を経るた
め、熱処理後の軟磁気特性の安定性も軟磁性積層膜に要
求される重要な性能のひとつである。そこで、膜厚100
ÅのFe98Ti2と膜厚10ÅのCo50Zr50を交互に積層して全
厚を1.2μmとした軟磁性積層膜を500℃にて熱処理し、
その透磁率の周波数依存性を調べた。この結果を第8図
に示す。この図において、縦軸は透磁率、横軸は周波数
(MHz)をそれぞれ示す。この図より、実用上必要な周
波数領域において良好な平坦性が得られていることがわ
かる。
終了直後に測定したものであるが、磁気ヘッド等の製造
工程においてはガラス融着等のための熱処理を経るた
め、熱処理後の軟磁気特性の安定性も軟磁性積層膜に要
求される重要な性能のひとつである。そこで、膜厚100
ÅのFe98Ti2と膜厚10ÅのCo50Zr50を交互に積層して全
厚を1.2μmとした軟磁性積層膜を500℃にて熱処理し、
その透磁率の周波数依存性を調べた。この結果を第8図
に示す。この図において、縦軸は透磁率、横軸は周波数
(MHz)をそれぞれ示す。この図より、実用上必要な周
波数領域において良好な平坦性が得られていることがわ
かる。
以上の説明からも明らかなように、本発明にかかる軟
磁性積層膜においては、いずれも飽和磁束密度が極めて
高いことが大きな長所となっている。また、中間層とし
て結晶化温度の高い非晶質非磁性合金が使用されている
ため、従来のCo基非晶質層を使用した場合のように得ら
れる積層膜の特性が比較的低い温度領域において劣化す
ることがない。さらに、積層される層がいずれも金属で
あるため、金属と酸化物系の非磁性体を積層する場合の
ような層間の剥離の問題が回避される。
磁性積層膜においては、いずれも飽和磁束密度が極めて
高いことが大きな長所となっている。また、中間層とし
て結晶化温度の高い非晶質非磁性合金が使用されている
ため、従来のCo基非晶質層を使用した場合のように得ら
れる積層膜の特性が比較的低い温度領域において劣化す
ることがない。さらに、積層される層がいずれも金属で
あるため、金属と酸化物系の非磁性体を積層する場合の
ような層間の剥離の問題が回避される。
このような軟磁気特性を有する軟磁性薄膜を磁気ヘッ
ド等に搭載すれば、磁気ヘッドの帯磁が防止され、S/N
比の高い良好な記録・再生が可能となる。
ド等に搭載すれば、磁気ヘッドの帯磁が防止され、S/N
比の高い良好な記録・再生が可能となる。
【図面の簡単な説明】 第1図は純Fe薄膜を主磁性層、Co50Zr50合金薄膜を中間
層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図、第2
図は同じ軟磁性積層膜について、膜厚の組合せと室温に
おける比抵抗の関係を調べた特性図である。第3図は純
Fe薄膜を主磁性層、Ni50Zr50合金薄膜を中間層とする軟
磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図である。第4図は
Fe98Ti2合金薄膜を主磁性層、Co50Zr50合金薄膜を中間
層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図であ
る。第5図はFe96Ti2O2薄膜を主磁性層、Co50Zr50合金
薄膜を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特
性図である。第6図はFe96Ti2N2薄膜を主磁性層、Co50Z
r50合金薄膜を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性
を示す特性図である。第7図は中間層の膜厚を一定にし
た場合の代表的な主磁性層の膜厚の変化に対する保磁力
の変化を示す特性図である。第8図はFe98Ti2合金薄膜
を主磁性層、Co50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積
層膜の熱処理後における透磁率の周波数依存性を示す特
性図である。
層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図、第2
図は同じ軟磁性積層膜について、膜厚の組合せと室温に
おける比抵抗の関係を調べた特性図である。第3図は純
Fe薄膜を主磁性層、Ni50Zr50合金薄膜を中間層とする軟
磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図である。第4図は
Fe98Ti2合金薄膜を主磁性層、Co50Zr50合金薄膜を中間
層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特性図であ
る。第5図はFe96Ti2O2薄膜を主磁性層、Co50Zr50合金
薄膜を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性を示す特
性図である。第6図はFe96Ti2N2薄膜を主磁性層、Co50Z
r50合金薄膜を中間層とする軟磁性積層膜の軟磁気特性
を示す特性図である。第7図は中間層の膜厚を一定にし
た場合の代表的な主磁性層の膜厚の変化に対する保磁力
の変化を示す特性図である。第8図はFe98Ti2合金薄膜
を主磁性層、Co50Zr50合金薄膜を中間層とする軟磁性積
層膜の熱処理後における透磁率の周波数依存性を示す特
性図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 阿蘇 興一 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソ ニー株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−93367(JP,A) 特開 昭63−113907(JP,A) 特開 昭63−254709(JP,A)
Claims (1)
- 【請求項1】純FeあるいはFeを主成分とする結晶質磁性
合金薄膜からなる主磁性層と、非晶質非磁性合金薄膜か
らなる中間層とを積層したことを特徴とする軟磁性積層
膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62302054A JP2570337B2 (ja) | 1987-11-30 | 1987-11-30 | 軟磁性積層膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62302054A JP2570337B2 (ja) | 1987-11-30 | 1987-11-30 | 軟磁性積層膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01143311A JPH01143311A (ja) | 1989-06-05 |
JP2570337B2 true JP2570337B2 (ja) | 1997-01-08 |
Family
ID=17904355
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62302054A Expired - Lifetime JP2570337B2 (ja) | 1987-11-30 | 1987-11-30 | 軟磁性積層膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2570337B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
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US6735058B2 (en) | 2002-02-04 | 2004-05-11 | International Business Machines Corporation | Current-perpendicular-to-plane read head with an amorphous magnetic bottom shield layer and an amorphous nonmagnetic bottom lead layer |
CN112239817B (zh) * | 2020-10-30 | 2021-07-27 | 南京佑天金属科技有限公司 | 一种镍铪中间合金的制备系统及其制备方法 |
-
1987
- 1987-11-30 JP JP62302054A patent/JP2570337B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01143311A (ja) | 1989-06-05 |
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