JP2549038B2 - 歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法およびその歯車 - Google Patents
歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法およびその歯車Info
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Landscapes
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸炭熱処理方法、特に
疲労強度が高く、焼入れ時の歪が少なく、騒音の少ない
自動車トランスミッション用ギアを製造することのでき
る歯車の浸炭熱処理方法に関するものである。
疲労強度が高く、焼入れ時の歪が少なく、騒音の少ない
自動車トランスミッション用ギアを製造することのでき
る歯車の浸炭熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、自動車用歯車の素材には、耐疲
労強度および表面の耐摩耗性を高めるために肌焼鋼が使
用されている。この場合、肌焼鋼は歯車等の所定形状に
機械加工された後、表面硬化のために浸炭焼入れ処理を
施される。すなわち、炭素含有量の比較的低い低合金鋼
の表面に炭素を浸透させ、次に焼入れ、焼戻しを施して
歯表面をマルテンサイトにすることで硬化させ、かつ歯
車の靱性を確保する意味から、歯車芯部を一部マルテン
サイトあるいはベイナイトを含んだフェライト・パーラ
イト組織にする。ただし、歯車芯部とは図1(B)の網
掛で示す歯車の中央部である。このように歯表面と歯車
芯部の組織差を利用することは、耐疲労強度および靱性
を得るための基本原理であり、また浸炭焼入れ法におい
て冷却速度の質量効果を利用することにより十分達成さ
れていることは周知の事実である。
労強度および表面の耐摩耗性を高めるために肌焼鋼が使
用されている。この場合、肌焼鋼は歯車等の所定形状に
機械加工された後、表面硬化のために浸炭焼入れ処理を
施される。すなわち、炭素含有量の比較的低い低合金鋼
の表面に炭素を浸透させ、次に焼入れ、焼戻しを施して
歯表面をマルテンサイトにすることで硬化させ、かつ歯
車の靱性を確保する意味から、歯車芯部を一部マルテン
サイトあるいはベイナイトを含んだフェライト・パーラ
イト組織にする。ただし、歯車芯部とは図1(B)の網
掛で示す歯車の中央部である。このように歯表面と歯車
芯部の組織差を利用することは、耐疲労強度および靱性
を得るための基本原理であり、また浸炭焼入れ法におい
て冷却速度の質量効果を利用することにより十分達成さ
れていることは周知の事実である。
【0003】しかしながら、歯車芯部は質量効果により
一部マルテンサイトあるいはベイナイトを含んだフェラ
イト・パーライト組織になるものの、歯内部(図1
(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より内側の部分)
は芯部より冷速が速いため、焼入れ組織であるマルテン
サイトと一部ベイナイトの混在組織になる。この時、マ
ルテンサイト生成による変態応力(オーステナイトから
マルテンサイト組織に変化するときに生じる体積膨張に
起因する応力)が発生するため、熱処理変形の発生が避
けられず、歯車精度を維持することができない。特に、
自動車トランスミッション用ギアは、騒音の発生に対し
て最も厳しい制限があるにも拘らず、小さくかつ肉厚が
薄いため、歯内部の組織はマルテンサイトとベイナイト
組織になり、このことが歯車騒音の最大の原因になって
いる。
一部マルテンサイトあるいはベイナイトを含んだフェラ
イト・パーライト組織になるものの、歯内部(図1
(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より内側の部分)
は芯部より冷速が速いため、焼入れ組織であるマルテン
サイトと一部ベイナイトの混在組織になる。この時、マ
ルテンサイト生成による変態応力(オーステナイトから
マルテンサイト組織に変化するときに生じる体積膨張に
起因する応力)が発生するため、熱処理変形の発生が避
けられず、歯車精度を維持することができない。特に、
自動車トランスミッション用ギアは、騒音の発生に対し
て最も厳しい制限があるにも拘らず、小さくかつ肉厚が
薄いため、歯内部の組織はマルテンサイトとベイナイト
組織になり、このことが歯車騒音の最大の原因になって
いる。
【0004】そこで従来は、焼入れ歪に対して歯車研削
を追加することにより、精度を向上させる方法が用いら
れている。また、イオン窒化、ガス軟窒化やタフトライ
ドなどの低温で行う窒化処理等も検討されている。さら
に、2次焼入れ法を用いて、2次焼入れ温度をA3 点以
下にし、非浸炭部をマルテンサイトとフェライトの混合
組織にする方法(内藤武志:浸炭焼入れの実際、日刊工
業新聞社、P.161)、あるいは特開昭55−645
6号公報では、等温焼きなまし処理によりフェライト・
パーライト組織にした後、軟窒化処理により表面のみ硬
化する方法が開示されている。
を追加することにより、精度を向上させる方法が用いら
れている。また、イオン窒化、ガス軟窒化やタフトライ
ドなどの低温で行う窒化処理等も検討されている。さら
に、2次焼入れ法を用いて、2次焼入れ温度をA3 点以
下にし、非浸炭部をマルテンサイトとフェライトの混合
組織にする方法(内藤武志:浸炭焼入れの実際、日刊工
業新聞社、P.161)、あるいは特開昭55−645
6号公報では、等温焼きなまし処理によりフェライト・
パーライト組織にした後、軟窒化処理により表面のみ硬
化する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、機械切削では
浸炭層を部分的に削り取ることから、製造工程数が増加
するほか、複雑な形状部品には適用しがたく、また表面
硬さや残留応力にムラを生ずることとなり、品質上の問
題があった。一方、イオン窒化、ガス軟窒化、タフトラ
イドおよび特開昭55−6456号公報の方法では、焼
入れ硬化層が薄く、また内部硬度が低いため、十分な疲
労強度が得られず、また2次焼入れ法でも内部硬度が低
いため、同様に十分な疲労強度が得られないという問題
を有している。
浸炭層を部分的に削り取ることから、製造工程数が増加
するほか、複雑な形状部品には適用しがたく、また表面
硬さや残留応力にムラを生ずることとなり、品質上の問
題があった。一方、イオン窒化、ガス軟窒化、タフトラ
イドおよび特開昭55−6456号公報の方法では、焼
入れ硬化層が薄く、また内部硬度が低いため、十分な疲
労強度が得られず、また2次焼入れ法でも内部硬度が低
いため、同様に十分な疲労強度が得られないという問題
を有している。
【0006】すなわち、従来の機械加工法では経済性と
歯車自身の品質を犠牲にしたものであり、材料側からの
取組みも、歯内部のマルテンサイト化防止により歪は軽
減できるものの、歯車本来の特性である高疲労強度を犠
牲にしたものであり、歪を軽減しつつ高強度化を達成で
きる有効な方法が望まれている。
歯車自身の品質を犠牲にしたものであり、材料側からの
取組みも、歯内部のマルテンサイト化防止により歪は軽
減できるものの、歯車本来の特性である高疲労強度を犠
牲にしたものであり、歪を軽減しつつ高強度化を達成で
きる有効な方法が望まれている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、このよう
な実情に対処して、高強度でかつ熱処理歪みの小さい、
歯車の浸炭熱処理方法を開発するために多くの研究を行
ってきた結果、以下の知見を得たものである。 浸炭焼入れ法における熱処理歪の低減と疲労強度の向
上には、歯内部を所定の体積分率のマルテンサイトと、
残りを高硬度のフェライト・パーライト組織とすること
が有効である。
な実情に対処して、高強度でかつ熱処理歪みの小さい、
歯車の浸炭熱処理方法を開発するために多くの研究を行
ってきた結果、以下の知見を得たものである。 浸炭焼入れ法における熱処理歪の低減と疲労強度の向
上には、歯内部を所定の体積分率のマルテンサイトと、
残りを高硬度のフェライト・パーライト組織とすること
が有効である。
【0008】前記組織は歯内部(非浸炭部)のAr1
変態点以上Ar3 変態点以下の温度域に保持した後、焼
入れすることにより達成できる。 高硬度のフェライト・パーライト組織は、炭窒化物の
析出硬化および微細化効果により達成できる。 前記組織の歯車において、表層の内部酸化層および不
完全焼入れ層の生成抑制が、疲労強度向上に有効であ
る。
変態点以上Ar3 変態点以下の温度域に保持した後、焼
入れすることにより達成できる。 高硬度のフェライト・パーライト組織は、炭窒化物の
析出硬化および微細化効果により達成できる。 前記組織の歯車において、表層の内部酸化層および不
完全焼入れ層の生成抑制が、疲労強度向上に有効であ
る。
【0009】そこで、こうした知見に基づいて、具体的
な達成手段を明らかにするため、さらに研究検討を重
ね、特定の化学組成の肌焼鋼より製造された歯車に浸炭
処理を施した直後に、特定の温度範囲に所定時間保持
し、その後、焼入れ・焼戻しを行うことにより、表面硬
さを低下させずに、歯内部の組織を所定量のマルテンサ
イトと高硬度のフェライト・パーライト組織にし、騒音
の発生源となる歯の焼入れ時の歪を大幅に低減できると
ともに、疲労強度の高い全く新しい歯車の浸炭熱処理方
法を完成させた。
な達成手段を明らかにするため、さらに研究検討を重
ね、特定の化学組成の肌焼鋼より製造された歯車に浸炭
処理を施した直後に、特定の温度範囲に所定時間保持
し、その後、焼入れ・焼戻しを行うことにより、表面硬
さを低下させずに、歯内部の組織を所定量のマルテンサ
イトと高硬度のフェライト・パーライト組織にし、騒音
の発生源となる歯の焼入れ時の歪を大幅に低減できると
ともに、疲労強度の高い全く新しい歯車の浸炭熱処理方
法を完成させた。
【0010】すなわち、本発明の要旨とするところは下
記のとおりである。 (1) 重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満を含むとともに、V:
0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%以上
0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以下
の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる鋼
を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯内部
(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr 3 変態点以下の
温度域に5分以上2時間未満保持して、歯表面をオース
テナイトの状態に保ちつつ、油あるいは塩浴中で焼入れ
し、130〜200℃の焼戻しを行うことを特徴とする
歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法。
記のとおりである。 (1) 重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満を含むとともに、V:
0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%以上
0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以下
の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる鋼
を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯内部
(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr 3 変態点以下の
温度域に5分以上2時間未満保持して、歯表面をオース
テナイトの状態に保ちつつ、油あるいは塩浴中で焼入れ
し、130〜200℃の焼戻しを行うことを特徴とする
歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法。
【0011】ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で
示される歯の浸炭層より内側である。 (2) 重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満を含むとともに、V:
0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%以上
0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以下
の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる鋼
を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯表面部
(浸炭部)のAr1 変態点以下の温度域まで徐冷し、再
度歯表面部(浸炭部)のAc3 変態点以上に加熱した
後、歯内部(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr3変
態点以下の温度域に5分以上2時間未満保持して、歯表
面をオ−ステナイトの状態に保ちつつ、油あるいは塩浴
中で焼入れし、130〜200℃の焼戻しを行うことを
特徴とする歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法。
示される歯の浸炭層より内側である。 (2) 重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.50%
未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、Mo:
0.10%以上1.00%未満を含むとともに、V:
0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%以上
0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%以下
の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりなる鋼
を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯表面部
(浸炭部)のAr1 変態点以下の温度域まで徐冷し、再
度歯表面部(浸炭部)のAc3 変態点以上に加熱した
後、歯内部(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr3変
態点以下の温度域に5分以上2時間未満保持して、歯表
面をオ−ステナイトの状態に保ちつつ、油あるいは塩浴
中で焼入れし、130〜200℃の焼戻しを行うことを
特徴とする歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法。
【0012】ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で
示される歯の浸炭層より内側である。 (3) 前項1または2記載の製造方法で得られる歯内
部が30%以上50%未満のマルテンサイトと残りがフ
ェライト−パーライトである歪の小さい高強度の歯車。
示される歯の浸炭層より内側である。 (3) 前項1または2記載の製造方法で得られる歯内
部が30%以上50%未満のマルテンサイトと残りがフ
ェライト−パーライトである歪の小さい高強度の歯車。
【0013】以下に本発明について説明する。最初に、
本発明の浸炭熱処理方法が適用できる合金鋼の化学成分
について述べる。本発明における合金鋼は、浸炭後の焼
入れ時に、歯内部の組織をマルテンサイトとフェライト
・パーライトとの混合組織にすることにより焼入れ歪を
低減することができ、しかも歯車としての剛性や靱性等
を維持するのに十分な内部硬さでなければならない。一
方、この合金鋼は浸炭されるため、浸炭処理により悪影
響を受けない化学成分でなければならない。
本発明の浸炭熱処理方法が適用できる合金鋼の化学成分
について述べる。本発明における合金鋼は、浸炭後の焼
入れ時に、歯内部の組織をマルテンサイトとフェライト
・パーライトとの混合組織にすることにより焼入れ歪を
低減することができ、しかも歯車としての剛性や靱性等
を維持するのに十分な内部硬さでなければならない。一
方、この合金鋼は浸炭されるため、浸炭処理により悪影
響を受けない化学成分でなければならない。
【0014】まずCは自動車用歯車として必要な強度、
特に芯部強度を確保するために添加する元素であるが、
0.1%未満ではこのような効果が十分に得られず、
0.3%以上では靱性が低下して脆くなり、浸炭用鋼と
して使用が困難となるので、その含有量は0.1%以上
0.3%未満とした。Siは浸炭用鋼の粒界酸化に著し
く悪影響を及ぼす元素であり、含有量は0.15%以上
では浸炭層に顕著な粒界酸化が形成され、浸炭用鋼の材
質特性が劣化するため、その含有量は0.15%未満と
した。
特に芯部強度を確保するために添加する元素であるが、
0.1%未満ではこのような効果が十分に得られず、
0.3%以上では靱性が低下して脆くなり、浸炭用鋼と
して使用が困難となるので、その含有量は0.1%以上
0.3%未満とした。Siは浸炭用鋼の粒界酸化に著し
く悪影響を及ぼす元素であり、含有量は0.15%以上
では浸炭層に顕著な粒界酸化が形成され、浸炭用鋼の材
質特性が劣化するため、その含有量は0.15%未満と
した。
【0015】Mnは鋼に強度、靱性、焼入れ性を与える
のに必要な元素であるが、1.50%以上では熱間圧延
後の冷却においてベイナイトやマルテンサイトの硬質な
組織になり、その後の切削等の二次加工には適さなくな
るために1.50%未満とする。しかし、Mnの添加量
が0.30%未満では焼入れ性向上の効果が十分でない
ので、その含有量は0.30%以上とする。
のに必要な元素であるが、1.50%以上では熱間圧延
後の冷却においてベイナイトやマルテンサイトの硬質な
組織になり、その後の切削等の二次加工には適さなくな
るために1.50%未満とする。しかし、Mnの添加量
が0.30%未満では焼入れ性向上の効果が十分でない
ので、その含有量は0.30%以上とする。
【0016】Crは鋼の粒界酸化に著しい悪影響を及ぼ
す元素であり、また二相域の温度幅を狭くし、焼入れ時
の制御性を悪くする。1.50%以上では顕著に粒界酸
化層を形成するとともに、焼入れ性を阻害するため1.
50%未満とする。しかし、Crの添加量が0.30%
未満では焼入れ性向上の効果が十分でないので、その含
有量は0.30%以上とする。
す元素であり、また二相域の温度幅を狭くし、焼入れ時
の制御性を悪くする。1.50%以上では顕著に粒界酸
化層を形成するとともに、焼入れ性を阻害するため1.
50%未満とする。しかし、Crの添加量が0.30%
未満では焼入れ性向上の効果が十分でないので、その含
有量は0.30%以上とする。
【0017】Moは粒界酸化層を形成することなしに鋼
の耐摩耗性、焼入れ性、機械的特性を向上し、特に歯内
部の硬度上昇に有用な元素であり、0.10%未満では
その効果が十分でなく、1.0%以上では靱性を劣化さ
せるため、0.10%以上1.0%未満とする。V、T
iおよびNbは炭窒化物を生成し、歯内部組織であるフ
ェライト・パーライトの硬度上昇をもたらすとともに、
浸炭結晶粒を微細化する効果のある元素であり、その効
果を得るには1種以上の元素をVで0.05%以上、N
bで0.02%以上およびTiで0.01%以上の含有
が必要である。しかし、V、NbおよびTiをそれぞれ
で0.20%を超えて含有しても効果は飽和するため、
これらの元素の上限を0.20%とする。
の耐摩耗性、焼入れ性、機械的特性を向上し、特に歯内
部の硬度上昇に有用な元素であり、0.10%未満では
その効果が十分でなく、1.0%以上では靱性を劣化さ
せるため、0.10%以上1.0%未満とする。V、T
iおよびNbは炭窒化物を生成し、歯内部組織であるフ
ェライト・パーライトの硬度上昇をもたらすとともに、
浸炭結晶粒を微細化する効果のある元素であり、その効
果を得るには1種以上の元素をVで0.05%以上、N
bで0.02%以上およびTiで0.01%以上の含有
が必要である。しかし、V、NbおよびTiをそれぞれ
で0.20%を超えて含有しても効果は飽和するため、
これらの元素の上限を0.20%とする。
【0018】上記成分のほか、以下に示す元素を添加す
ることにより、よりいっそう特性の向上が可能である。
CaはMnSの延伸抑制のために必要な元素であり、歯
車の疲労における異方性を軽減する。MnSの延伸抑制
効果を与えるために、Caを0.0010%以上含有さ
せる。しかし、0.010%を超えて含有させても、そ
の効果は飽和して経済性を損うため上限を0.010%
とする。
ることにより、よりいっそう特性の向上が可能である。
CaはMnSの延伸抑制のために必要な元素であり、歯
車の疲労における異方性を軽減する。MnSの延伸抑制
効果を与えるために、Caを0.0010%以上含有さ
せる。しかし、0.010%を超えて含有させても、そ
の効果は飽和して経済性を損うため上限を0.010%
とする。
【0019】また、Niは鋼に所定の焼入れ性を与え、
強度および靱性を向上させるのに必要な元素である。本
発明では、前述のSi、Mn、CrおよびMo含有量に
関する限定のもとで、従来鋼と同等あるいはそれ以上の
焼入れ性を与えるために、任意に添加することができ
る。しかし、1.00%を超えて含有させても、その効
果は飽和して経済性を損うため上限を1.00%とす
る。
強度および靱性を向上させるのに必要な元素である。本
発明では、前述のSi、Mn、CrおよびMo含有量に
関する限定のもとで、従来鋼と同等あるいはそれ以上の
焼入れ性を与えるために、任意に添加することができ
る。しかし、1.00%を超えて含有させても、その効
果は飽和して経済性を損うため上限を1.00%とす
る。
【0020】浸炭法としては、ガス浸炭法または液体浸
炭法が好ましく、また浸炭深さは表層硬さおよび残留応
力の観点から0.5mm以上であることが好ましい。表面
炭素量が共析以上、Acm以下のカーボンポテンシャルに
て、850〜980℃の温度で浸炭処理することにより
浸炭部のA3 変態点(=A1 )は700〜740℃に下
がる。
炭法が好ましく、また浸炭深さは表層硬さおよび残留応
力の観点から0.5mm以上であることが好ましい。表面
炭素量が共析以上、Acm以下のカーボンポテンシャルに
て、850〜980℃の温度で浸炭処理することにより
浸炭部のA3 変態点(=A1 )は700〜740℃に下
がる。
【0021】次に浸炭後炉冷等により700〜820℃
(浸炭部のAr3 変態点以上、歯内部のAr1 変態点以
上およびAr3 変態点以下)に冷却した後一定時間保持
することにより、非浸炭部の歯内部は一部オーステナイ
ト状態のまま残りはフェライト・パーライト組織なる。
一方、歯表層の浸炭部はオーステナイト状態を維持す
る。この場合、歯内部のオーステナイト量を体積分率で
30%以上、50%未満になるように、700〜820
℃の間で冷却保持温度を調整する。また、保持時間は温
度の均一性および熱処理コストより、5分以上2時間未
満とする(それ以上保持時間を長くしても、品質上のメ
リットはなく、また不経済である)。
(浸炭部のAr3 変態点以上、歯内部のAr1 変態点以
上およびAr3 変態点以下)に冷却した後一定時間保持
することにより、非浸炭部の歯内部は一部オーステナイ
ト状態のまま残りはフェライト・パーライト組織なる。
一方、歯表層の浸炭部はオーステナイト状態を維持す
る。この場合、歯内部のオーステナイト量を体積分率で
30%以上、50%未満になるように、700〜820
℃の間で冷却保持温度を調整する。また、保持時間は温
度の均一性および熱処理コストより、5分以上2時間未
満とする(それ以上保持時間を長くしても、品質上のメ
リットはなく、また不経済である)。
【0022】歯内部のマルテンサイト量は、歯の歪と歯
内部の硬度を決める重要な因子であり、焼入れ前のオー
ステナイト量に依存する。マルテンサイト量は体積分率
で30%未満では硬度が低く、十分な疲労特性が得られ
ず、50%以上では歪が大きすぎるため、30%以上5
0%未満とする。浸炭部の結晶粒を細粒化する、より好
ましい条件としては、浸炭後歯表面部(浸炭部)のAr
1 変態点以下の温度域まで徐冷し、次に歯表面部のAc
3 変態点以上に再加熱する。この時、浸炭部のオーステ
ナイト粒の細粒化が図られる。次に歯内部のAr1 変態
点以上でAr3 変態点以下に一定時間保持することによ
り、歯表層の浸炭部はオーステナイトのまま、非浸炭部
の歯内部は一部オーステナイトで、残りは微細なフェラ
イト・パーライト組織になる。この場合、歯内部のオー
ステナイト量を体積分率で30〜50%になるように、
700〜820℃の間で冷却保持温度を調整する。また
保持時間は温度の均一性および熱処理コストより、5分
以上2時間未満が好ましい。
内部の硬度を決める重要な因子であり、焼入れ前のオー
ステナイト量に依存する。マルテンサイト量は体積分率
で30%未満では硬度が低く、十分な疲労特性が得られ
ず、50%以上では歪が大きすぎるため、30%以上5
0%未満とする。浸炭部の結晶粒を細粒化する、より好
ましい条件としては、浸炭後歯表面部(浸炭部)のAr
1 変態点以下の温度域まで徐冷し、次に歯表面部のAc
3 変態点以上に再加熱する。この時、浸炭部のオーステ
ナイト粒の細粒化が図られる。次に歯内部のAr1 変態
点以上でAr3 変態点以下に一定時間保持することによ
り、歯表層の浸炭部はオーステナイトのまま、非浸炭部
の歯内部は一部オーステナイトで、残りは微細なフェラ
イト・パーライト組織になる。この場合、歯内部のオー
ステナイト量を体積分率で30〜50%になるように、
700〜820℃の間で冷却保持温度を調整する。また
保持時間は温度の均一性および熱処理コストより、5分
以上2時間未満が好ましい。
【0023】以上のように、歯表面をオーステナイト状
態に保ちつつ、歯内部のオーステナイト量を体積分率で
30%以上50%未満になるようにし、残りを高強度化
されたフェライトとパーライトにし、しかる後に油ある
いは塩浴中で焼入れすることにより、歯表層の浸炭部は
全てマルテンサイトにでき、歯内部は体積分率で30%
以上50%未満のみがマルテンサイトとなり、既に変態
を終了しているフェライト・パーライトはそのまま維持
できる。その後、浸炭部の内部応力の除去および強さ、
ねばさを増すために、130〜200℃の焼戻し処理を
行う。
態に保ちつつ、歯内部のオーステナイト量を体積分率で
30%以上50%未満になるようにし、残りを高強度化
されたフェライトとパーライトにし、しかる後に油ある
いは塩浴中で焼入れすることにより、歯表層の浸炭部は
全てマルテンサイトにでき、歯内部は体積分率で30%
以上50%未満のみがマルテンサイトとなり、既に変態
を終了しているフェライト・パーライトはそのまま維持
できる。その後、浸炭部の内部応力の除去および強さ、
ねばさを増すために、130〜200℃の焼戻し処理を
行う。
【0024】以下に実施例を挙げてさらに説明する。
【0025】
【実施例】表1、表2(表1のつづき)示す化学成分の
鋼を溶製し、162mm角ビレットに分塊圧延した後、熱
間圧延にて50mmφ棒鋼に仕上げた。次に得られた棒鋼
を熱間鍛造および焼ならしし、その後機械加工により、
外径87mm、モジュール3、歯数27、歯幅20mmの歯
車を製作し、これらを試料として浸炭処理を施した。ま
ず、試料をカーボンポテンシャル:0.9%、温度:9
30℃で浸炭した後、No. 1は歯内部のAr3 変態点超
の840℃、No. 2は歯内部のAr1 変態点未満(歯表
面部のAr3 変態点未満)の700℃まで炉冷し、30
分保持後、No. 3からNo. 15は炉中で表1に示す歯内
部のAr1 変態点以上Ar3 変態点以下の温度に30分
保持後、No. 16からNo.23は浸炭後歯表面部のAr
1 変態点以下の500℃まで0.5℃/sで冷却し、再
度歯表面部(浸炭部)のAc3 変態点以上に加熱した
後、歯内部のAr1 変態点以上でAr3 変態点以下の温
度に30分保持後、全てのNo.の試料を170℃の油浴
中で冷却した。次いで、180℃、1時間の焼戻しを行
った。なお、焼入れ前のオーステナイト量は、同一条件
で水焼入れし、得られたマルテンサイトの量より求め、
また一歯曲げ疲労強度は油圧サーボ式引張圧縮疲労試験
により測定し、さらに歪量はJIS B1702により
歯形誤差を測定し、併せて表3、表4(表3のつづき)
および表5に示した。
鋼を溶製し、162mm角ビレットに分塊圧延した後、熱
間圧延にて50mmφ棒鋼に仕上げた。次に得られた棒鋼
を熱間鍛造および焼ならしし、その後機械加工により、
外径87mm、モジュール3、歯数27、歯幅20mmの歯
車を製作し、これらを試料として浸炭処理を施した。ま
ず、試料をカーボンポテンシャル:0.9%、温度:9
30℃で浸炭した後、No. 1は歯内部のAr3 変態点超
の840℃、No. 2は歯内部のAr1 変態点未満(歯表
面部のAr3 変態点未満)の700℃まで炉冷し、30
分保持後、No. 3からNo. 15は炉中で表1に示す歯内
部のAr1 変態点以上Ar3 変態点以下の温度に30分
保持後、No. 16からNo.23は浸炭後歯表面部のAr
1 変態点以下の500℃まで0.5℃/sで冷却し、再
度歯表面部(浸炭部)のAc3 変態点以上に加熱した
後、歯内部のAr1 変態点以上でAr3 変態点以下の温
度に30分保持後、全てのNo.の試料を170℃の油浴
中で冷却した。次いで、180℃、1時間の焼戻しを行
った。なお、焼入れ前のオーステナイト量は、同一条件
で水焼入れし、得られたマルテンサイトの量より求め、
また一歯曲げ疲労強度は油圧サーボ式引張圧縮疲労試験
により測定し、さらに歪量はJIS B1702により
歯形誤差を測定し、併せて表3、表4(表3のつづき)
および表5に示した。
【0026】表に示すように、歯内部のAr3 変態点超
で焼入れしたNo. 1は歯内部がマルテンサイトとなり、
歯形歪量も多く、また歯内部のAr1 変態点未満(歯表
面のAr3 変態点未満)で焼入れしたNo. 2では歯内部
はマルテンサイトのないフェライト・パーライト組織に
はなるものの、歯表面もベイナイトとパーライト組織と
なり、歯車として必要な表面硬さを得ることができな
い。さらに、歯内部(非浸炭部)のAr1 変態点以上A
r3 変態点以下の温度で焼入れしているものの歯内部の
マルテンサイト量が70%と多いNo. 3は、歯形歪量が
多く、またマルテンサイト量が20%と少ないNo. 4は
歯内部硬度が低く、実用には適さない。さらに、No. 5
は本発明範囲のマルテンサイト量を有するものの、本発
明の化学成分範囲外のため、内部酸化層が深く、また不
完全焼入れ層が発生し、疲労強度が低い。
で焼入れしたNo. 1は歯内部がマルテンサイトとなり、
歯形歪量も多く、また歯内部のAr1 変態点未満(歯表
面のAr3 変態点未満)で焼入れしたNo. 2では歯内部
はマルテンサイトのないフェライト・パーライト組織に
はなるものの、歯表面もベイナイトとパーライト組織と
なり、歯車として必要な表面硬さを得ることができな
い。さらに、歯内部(非浸炭部)のAr1 変態点以上A
r3 変態点以下の温度で焼入れしているものの歯内部の
マルテンサイト量が70%と多いNo. 3は、歯形歪量が
多く、またマルテンサイト量が20%と少ないNo. 4は
歯内部硬度が低く、実用には適さない。さらに、No. 5
は本発明範囲のマルテンサイト量を有するものの、本発
明の化学成分範囲外のため、内部酸化層が深く、また不
完全焼入れ層が発生し、疲労強度が低い。
【0027】これに対して本発明の範囲内にあるNo. 6
〜23では何れも歯内部は30%以上50%未満のマル
テンサイトと、残りがフェライト・パーライト組織にな
り、歯内部硬度も十分であり、歯形歪量も著しく低減で
き、また内部酸化層と不完全焼入れ層の抑制により、疲
労強度も高いことが明らかである。
〜23では何れも歯内部は30%以上50%未満のマル
テンサイトと、残りがフェライト・パーライト組織にな
り、歯内部硬度も十分であり、歯形歪量も著しく低減で
き、また内部酸化層と不完全焼入れ層の抑制により、疲
労強度も高いことが明らかである。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
【表5】
【0033】
【発明の効果】本発明に従い、浸炭焼入れにより製造さ
れる自動車用歯車の浸炭後の焼入れ温度を制御すること
により、歯内部のマルテンサイトの量を調整し、残りを
高硬度のフェライト・パーライト組織にし、歯車として
疲労強度が高く、歯車の歪を著しく低減し、騒音の少な
い自動車トランスミッション用ギアを提供することがで
きるので、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
れる自動車用歯車の浸炭後の焼入れ温度を制御すること
により、歯内部のマルテンサイトの量を調整し、残りを
高硬度のフェライト・パーライト組織にし、歯車として
疲労強度が高く、歯車の歪を著しく低減し、騒音の少な
い自動車トランスミッション用ギアを提供することがで
きるので、産業上の効果は極めて顕著なものがある。
【図1】(A)は歯車の歯内部、(B)は歯車芯部の説
明図である。
明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.1%以上0.3%未
満、Si:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.
50%未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、M
o:0.10%以上1.00%未満を含むとともに、
V:0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%
以上0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%
以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりな
る鋼を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯内
部(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr3 変態点以下
の温度域に5分以上2時間未満保持して、歯表面をオー
ステナイトの状態に保ちつつ、油あるいは塩浴中で焼入
れし、130〜200℃の焼戻しを行うことを特徴とす
る歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法。ただし、歯
内部とは図1(A)の斜線部で示される歯の浸炭層より
内側である。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.1%以上0.3%未
満、Si:0.15%未満、Mn:0.30%以上1.
50%未満、Cr:0.30%以上1.50%未満、M
o:0.10%以上1.00%未満を含むとともに、
V:0.05%以上0.20%以下、Nb:0.02%
以上0.20%以下、Ti:0.01%以上0.20%
以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不純物よりな
る鋼を素材とした歯車に、浸炭処理を施した後に、歯表
面部(浸炭部)のAr1 変態点以下の温度域まで徐冷
し、再度歯表面部(浸炭部)のAc3 変態点以上に加熱
した後、歯内部(非浸炭部)のAr1 変態点以上でAr
3 変態点以下の温度域に5分以上2時間未満保持して、
歯表面をオ−ステナイトの状態に保ちつつ、油あるいは
塩浴中で焼入れし、130〜200℃の焼戻しを行うこ
とを特徴とする歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方
法。ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で示される
歯の浸炭層より内側である。 - 【請求項3】 請求項1および2記載の製造方法で得ら
れる歯内部が30%以上50%未満のマルテンサイトと
残りがフェライト−パーライトである歪の小さい高強度
の歯車。ただし、歯内部とは図1(A)の斜線部で示さ
れる歯の浸炭層より内側である。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3236603A JP2549038B2 (ja) | 1991-09-17 | 1991-09-17 | 歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法およびその歯車 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3236603A JP2549038B2 (ja) | 1991-09-17 | 1991-09-17 | 歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法およびその歯車 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0570924A JPH0570924A (ja) | 1993-03-23 |
JP2549038B2 true JP2549038B2 (ja) | 1996-10-30 |
Family
ID=17003091
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3236603A Expired - Fee Related JP2549038B2 (ja) | 1991-09-17 | 1991-09-17 | 歪の小さい高強度歯車の浸炭熱処理方法およびその歯車 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2549038B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5746842A (en) * | 1995-09-29 | 1998-05-05 | Toa Steel Co., Ltd. | Steel gear |
KR20030022427A (ko) * | 2001-08-10 | 2003-03-17 | 현대자동차주식회사 | 변속기 기어용 고강도 크롬-몰리브덴 합금강 |
CN104053808B (zh) | 2012-01-26 | 2016-01-20 | 新日铁住金株式会社 | 热处理应变小的表面硬化钢材 |
CN104711401B (zh) * | 2015-02-09 | 2017-12-05 | 中车戚墅堰机车车辆工艺研究所有限公司 | 大型重载齿轮渗碳淬火方法 |
CN104806725A (zh) * | 2015-03-13 | 2015-07-29 | 常州大学 | 波发生器外置式谐波齿轮机构柔轮最少齿数的计算方法 |
CN114779601A (zh) * | 2022-05-06 | 2022-07-22 | 江苏沙龙机电科技有限公司 | 一种抗磨损的机械定时器传动组件及其生产工艺 |
-
1991
- 1991-09-17 JP JP3236603A patent/JP2549038B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0570924A (ja) | 1993-03-23 |
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