JP2542945B2 - 包装スライスリンゴ等の製造法 - Google Patents
包装スライスリンゴ等の製造法Info
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- apples
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Description
【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、消費者がナイフを用いることなく食するこ
とができるリンゴを生鮮な状態で供給する、包装スライ
スリンゴの製造方法に関するものである。
とができるリンゴを生鮮な状態で供給する、包装スライ
スリンゴの製造方法に関するものである。
発明の背景と従来の技術 リンゴは大衆に愛好される果物で持ち運びも便利であ
る。しかし、みかんのように素手で皮を剥くことができ
ず、また1個の大きさが小食化傾向の消費者にとってや
ゝもて余し気味となる消費上の欠点がある。また、生鮮
果実を割截したり、剥皮すると、自然酸化によって短時
間のうちに褐変し、食品的価値を失うことは日常よく経
験される事実である。細切リンゴを食塩水に浸漬する家
庭段階の品質保持方法は、褐変の進行をある程度抑制す
るが、気慰め程度の効果でしかない。
る。しかし、みかんのように素手で皮を剥くことができ
ず、また1個の大きさが小食化傾向の消費者にとってや
ゝもて余し気味となる消費上の欠点がある。また、生鮮
果実を割截したり、剥皮すると、自然酸化によって短時
間のうちに褐変し、食品的価値を失うことは日常よく経
験される事実である。細切リンゴを食塩水に浸漬する家
庭段階の品質保持方法は、褐変の進行をある程度抑制す
るが、気慰め程度の効果でしかない。
一方、各種食品の品質保持方法として、ポリエチレン
等のフィルム包装や、KOP等の包材による真空包装、あ
るいは窒素置換フィルム包装が広く採用されているが、
リンゴ細片に適用した場合には期待した品質保持効果は
得られていない。
等のフィルム包装や、KOP等の包材による真空包装、あ
るいは窒素置換フィルム包装が広く採用されているが、
リンゴ細片に適用した場合には期待した品質保持効果は
得られていない。
このようなリンゴの特性と既存品質保持技術の限界性
とにより、スライスリンゴの適切な加工方法、品質保持
技術は、従来知られていなかった。
とにより、スライスリンゴの適切な加工方法、品質保持
技術は、従来知られていなかった。
(従来の技術) 青果物またはそのカット加工品等の貯蔵ないしは品質
保持の方法については、見かけ上もしくは部分的に本発
明と類似する技法がいくつか知られている。しかし、
「加工青果物」の新概念に基づいて鋭意研究された本発
明の技術的思想とは、いずれも根底から相異なる。念の
ため疑似的技術を精査すると次のようである。
保持の方法については、見かけ上もしくは部分的に本発
明と類似する技法がいくつか知られている。しかし、
「加工青果物」の新概念に基づいて鋭意研究された本発
明の技術的思想とは、いずれも根底から相異なる。念の
ため疑似的技術を精査すると次のようである。
(1)青果物(無加工品)の貯蔵技術として従来一般に
知られている方法の一つは、いわゆるCA貯蔵である。そ
の趣旨は、酸素濃度10%以下,二酸化炭素濃度1〜10
%,相対湿度80%以上のガス組成の雰囲気内に青果物を
貯蔵するもので、無酸素状態の雰囲気を造成するもので
ない。別の一法は、いわゆる減圧貯蔵で、貯蔵室内をわ
ずかに減圧状態にすることにより、青果物から生成され
るエチレンの拡散を助長しようとするもので、酸素分圧
を低下するだけで酸素除去やエチレン除去の技法ではな
い。
知られている方法の一つは、いわゆるCA貯蔵である。そ
の趣旨は、酸素濃度10%以下,二酸化炭素濃度1〜10
%,相対湿度80%以上のガス組成の雰囲気内に青果物を
貯蔵するもので、無酸素状態の雰囲気を造成するもので
ない。別の一法は、いわゆる減圧貯蔵で、貯蔵室内をわ
ずかに減圧状態にすることにより、青果物から生成され
るエチレンの拡散を助長しようとするもので、酸素分圧
を低下するだけで酸素除去やエチレン除去の技法ではな
い。
これらの改良技術とされる「青果物等の貯蔵方法」
(特許出願公開、昭64−85038)は、部分的に窒素ガス
を補給したり、わずかな減圧状態に導くことなどを特徴
とはするが、貯蔵庫の雰囲気ガスとして、空気(酸
素),二酸化炭素,窒素あるいはエチレンを一定水準に
保ち、それらの存在を肯定的に認めている。
(特許出願公開、昭64−85038)は、部分的に窒素ガス
を補給したり、わずかな減圧状態に導くことなどを特徴
とはするが、貯蔵庫の雰囲気ガスとして、空気(酸
素),二酸化炭素,窒素あるいはエチレンを一定水準に
保ち、それらの存在を肯定的に認めている。
(2)包装容器内に青果物とエチレン除去剤を共存させ
て青果物の鮮度保持を図る方法(特許出願公開,平1−
211446:青果物の追熱・老化防止法)は、容器内のエチ
レン濃度を相対的に低下させる技法であって、空気成分
を除去した条件下の青果物貯蔵法ではなく、また窒素ガ
ス置換という技術的思想の方法でもない。
て青果物の鮮度保持を図る方法(特許出願公開,平1−
211446:青果物の追熱・老化防止法)は、容器内のエチ
レン濃度を相対的に低下させる技法であって、空気成分
を除去した条件下の青果物貯蔵法ではなく、また窒素ガ
ス置換という技術的思想の方法でもない。
(3)カット野菜のフィルム包装を機械的に簡易化した
技術は、カット野菜切断面の褐変や、エタノールなどの
異臭発生を抑止することを意図している−(特許出願公
開、昭64−34237:カット野菜自動脱気包装装置)一が、
ガス透過性プラスチックフィルムの使用を前提条件とす
る。それゆえ、脱気操作を施しても、無酸素状態を造成
する技術ではない。
技術は、カット野菜切断面の褐変や、エタノールなどの
異臭発生を抑止することを意図している−(特許出願公
開、昭64−34237:カット野菜自動脱気包装装置)一が、
ガス透過性プラスチックフィルムの使用を前提条件とす
る。それゆえ、脱気操作を施しても、無酸素状態を造成
する技術ではない。
(4)目的物の包装技術とは無関係に、カットした植物
部分を一定の化学組成からなる水溶液に浸漬処理するこ
とにより、目的物の貯蔵寿命を延長しようとする技術が
ある(特許出願公開、平1−160451)。この化学的処理
は『アスコルビン酸に代表される抗酸化剤、クエン酸に
代表される酸剤、酸性ピロリン酸ナトリウムに代表され
るアルカリ金属酸性ポリリン酸塩(金属イオン封鎖
剤)、および塩化カルシウムに代表される無機クロリド
酵素阻害剤』の4種類の化合物を一つに配合した水溶液
にカットしたリンゴなどを短時間浸漬処理するだけの技
術である。これに対して本発明者の知見によれば、この
ような化学的処理はリンゴの褐変防止には有効である
が、この処理だけによって2〜3日以上リンゴを生鮮状
態に保持することは至難で、むしろ半乾燥品化すること
を免れない。
部分を一定の化学組成からなる水溶液に浸漬処理するこ
とにより、目的物の貯蔵寿命を延長しようとする技術が
ある(特許出願公開、平1−160451)。この化学的処理
は『アスコルビン酸に代表される抗酸化剤、クエン酸に
代表される酸剤、酸性ピロリン酸ナトリウムに代表され
るアルカリ金属酸性ポリリン酸塩(金属イオン封鎖
剤)、および塩化カルシウムに代表される無機クロリド
酵素阻害剤』の4種類の化合物を一つに配合した水溶液
にカットしたリンゴなどを短時間浸漬処理するだけの技
術である。これに対して本発明者の知見によれば、この
ような化学的処理はリンゴの褐変防止には有効である
が、この処理だけによって2〜3日以上リンゴを生鮮状
態に保持することは至難で、むしろ半乾燥品化すること
を免れない。
(5)一種の果実ゼリーの製造において、果実の前処理
としてアスコルビン酸などの有機酸水溶液に浸漬し、別
途に調整したゼリー液とともに包装容器に密封する方法
がある。この場合丸果実だけでなく、剥皮した果実、カ
ットした果実にも本法が適用されるとして、「手で剥皮
した夏みかん」および、「剥皮、輪切りしたキウイフル
ーツ」についての2実施例が示されているが、カットも
しくはスライスしたリンゴについての適用性は全く示さ
れていない(特許出願公開、平2−27953)。
としてアスコルビン酸などの有機酸水溶液に浸漬し、別
途に調整したゼリー液とともに包装容器に密封する方法
がある。この場合丸果実だけでなく、剥皮した果実、カ
ットした果実にも本法が適用されるとして、「手で剥皮
した夏みかん」および、「剥皮、輪切りしたキウイフル
ーツ」についての2実施例が示されているが、カットも
しくはスライスしたリンゴについての適用性は全く示さ
れていない(特許出願公開、平2−27953)。
また、酸素バリヤー性包装容器に果実とゼリー液とを
封入する技法も付加されているが、脱気、その他の技術
的操作は含まれていない。
封入する技法も付加されているが、脱気、その他の技術
的操作は含まれていない。
(6)青果物の中でも品痛みしやすいサクランボについ
て、エチレン吸収剤を使用し、ガスバリヤー性フィルム
包装した後、一定の温度処理を行う「サクランボの保存
方法」(特許出願公開、昭63−112944)がある。このサ
クランボの保存方法においては、包装容器内の酸度濃度
を1〜15%に保持することを技術的な特徴としており、
真空操作や窒素充填を行うものではない。
て、エチレン吸収剤を使用し、ガスバリヤー性フィルム
包装した後、一定の温度処理を行う「サクランボの保存
方法」(特許出願公開、昭63−112944)がある。このサ
クランボの保存方法においては、包装容器内の酸度濃度
を1〜15%に保持することを技術的な特徴としており、
真空操作や窒素充填を行うものではない。
(7)さらに、「新鮮な果実片の貯蔵法」(特許出願公
開、昭64−20056)として、ガスバリヤー性容器に密封
する方法がある。この方法は、目的の果実片から二酸化
炭素の発生を促すなどの独自の生化学反応的理論を技術
的な背景としており、容器内の酸素の混在を肯定視する
ものである。
開、昭64−20056)として、ガスバリヤー性容器に密封
する方法がある。この方法は、目的の果実片から二酸化
炭素の発生を促すなどの独自の生化学反応的理論を技術
的な背景としており、容器内の酸素の混在を肯定視する
ものである。
したがって必ずしも、真空操作や窒素充填を行わない
が、二酸化炭素や酸素との共存下で窒素やヘリウムなど
の不活性ガスを混在させる包装技術も含まれるものとし
ている。
が、二酸化炭素や酸素との共存下で窒素やヘリウムなど
の不活性ガスを混在させる包装技術も含まれるものとし
ている。
以上を要するに、見かけ上、または部分的に類似する
先行技術があるとしても、それらはいずれも、ある程度
の濃度水準で酸素、二酸化炭素、エチレン等のガス体の
存在を積極的ないしは肯定的に認める方法、技術であ
り、窒素以外のこれらのガス体を極力拝除する(実用的
にゼロにする)本発明の思想とは根底から異なる。
先行技術があるとしても、それらはいずれも、ある程度
の濃度水準で酸素、二酸化炭素、エチレン等のガス体の
存在を積極的ないしは肯定的に認める方法、技術であ
り、窒素以外のこれらのガス体を極力拝除する(実用的
にゼロにする)本発明の思想とは根底から異なる。
また、本発明のように、全固形分濃度1%未満の希薄
水溶液によるリンゴ細片の浸漬処理、並びに、そのよう
な化学的な還元処理と、物理的機械的な還元的雰囲気の
造成とを組み合わせたスライスリンゴの加工包装方法は
他に見出されない。
水溶液によるリンゴ細片の浸漬処理、並びに、そのよう
な化学的な還元処理と、物理的機械的な還元的雰囲気の
造成とを組み合わせたスライスリンゴの加工包装方法は
他に見出されない。
発明が解決しようとする課題 スライスリンゴの褐変防止法として食塩水浸漬処理の
効果が微弱なことは前述したとおりである。
効果が微弱なことは前述したとおりである。
本発明者らは、アスコルビン酸(別称、ビタミンC)
水溶液浸漬処理、およびアスコルビン酸のほか数種の品
質保持的食品添加物からなる混合水溶液浸漬処理が、ス
ライスリンゴの褐変防止に有効なことを見出したが、こ
のような薬液浸漬処理による効果の持続性は、室温(15
℃)において2〜3日間程度に留まり、自然状態の色調
と生鮮な食味を長く保持することは難しい。
水溶液浸漬処理、およびアスコルビン酸のほか数種の品
質保持的食品添加物からなる混合水溶液浸漬処理が、ス
ライスリンゴの褐変防止に有効なことを見出したが、こ
のような薬液浸漬処理による効果の持続性は、室温(15
℃)において2〜3日間程度に留まり、自然状態の色調
と生鮮な食味を長く保持することは難しい。
なおこのような還元的薬液浸漬処理において、その濃
度やpH条件によっては、発黴、軟化、不味等の好ましく
ない現象をもたらすこともあり得る。
度やpH条件によっては、発黴、軟化、不味等の好ましく
ない現象をもたらすこともあり得る。
次に、細切リンゴを単なるフィルム包装した場合に
は、外観的に褐変するだけでなく、短時日のうちに変
質、変敗する。また、ガスバリヤー性フィルムを使って
真空包装しただけのものは、保存時間の経過ともに二酸
化炭素やエチレンガスによる内部圧発生により、包装容
器が膨満し、内容物のリンゴの変質・劣化を免れない。
さらにまた、単なる窒素ガス置換包装によっても、1日
程度の品質保持効果はあるが、3日以上の品質保持は困
難である。
は、外観的に褐変するだけでなく、短時日のうちに変
質、変敗する。また、ガスバリヤー性フィルムを使って
真空包装しただけのものは、保存時間の経過ともに二酸
化炭素やエチレンガスによる内部圧発生により、包装容
器が膨満し、内容物のリンゴの変質・劣化を免れない。
さらにまた、単なる窒素ガス置換包装によっても、1日
程度の品質保持効果はあるが、3日以上の品質保持は困
難である。
以上のように、スライスした細切リンゴの褐変防止と
品質保持について、従来知られている化学的手段、物理
的手段では適当な加工方法が見出せなかった。
品質保持について、従来知られている化学的手段、物理
的手段では適当な加工方法が見出せなかった。
課題を解決する手段 本発明は上記の課題を解決するために『スライスした
リンゴ細切を一定濃度のL.アスコルビン酸液に浸漬処理
して後、ガスバリヤー性プラスチックフィルム容器に収
納し、真空度を68〜78cm・Hgとし、望ましくは3秒間前
後72〜74cm・Hgの真空度を維持し、引き続いて窒素ガス
を3〜15秒間導入してゲージ圧を10〜60cm・Hg、望まし
くは40cm・Hgに至らしめてヒートシールし、密封するリ
ンゴの加工・包装方法』が、褐変防止と品質保持に有効
なことを見い出したものである。
リンゴ細切を一定濃度のL.アスコルビン酸液に浸漬処理
して後、ガスバリヤー性プラスチックフィルム容器に収
納し、真空度を68〜78cm・Hgとし、望ましくは3秒間前
後72〜74cm・Hgの真空度を維持し、引き続いて窒素ガス
を3〜15秒間導入してゲージ圧を10〜60cm・Hg、望まし
くは40cm・Hgに至らしめてヒートシールし、密封するリ
ンゴの加工・包装方法』が、褐変防止と品質保持に有効
なことを見い出したものである。
この際の減圧(真空度)及び窒素封入の工程におい
て、減圧を極度にして例えば74cm・Hg以上の真空度にす
ると、リンゴ組織内の液部分が沸騰し、リンゴの細胞を
損傷するため、反ってリンゴ品質を劣化させる要因とな
る。本発明者らはこの問題点を見出し、解説策を検討し
た結果、上記の真空度範囲が、リンゴ細胞をほとんど損
傷することなく、高真空を保てることに成功した。ま
た、排気した後の窒素封入量が、過小であると不活性窒
素ガスによる還元的雰囲気の効果が小さく、また、過大
であると、包装容器内のリンゴ細片個体同志の移動によ
る擦傷などの二次的損傷が起こり易い。この問題点を解
決するために、上記の窒素封入状態(容器内ガス圧)が
至適であるとの結論を見出したものである。
て、減圧を極度にして例えば74cm・Hg以上の真空度にす
ると、リンゴ組織内の液部分が沸騰し、リンゴの細胞を
損傷するため、反ってリンゴ品質を劣化させる要因とな
る。本発明者らはこの問題点を見出し、解説策を検討し
た結果、上記の真空度範囲が、リンゴ細胞をほとんど損
傷することなく、高真空を保てることに成功した。ま
た、排気した後の窒素封入量が、過小であると不活性窒
素ガスによる還元的雰囲気の効果が小さく、また、過大
であると、包装容器内のリンゴ細片個体同志の移動によ
る擦傷などの二次的損傷が起こり易い。この問題点を解
決するために、上記の窒素封入状態(容器内ガス圧)が
至適であるとの結論を見出したものである。
次に、上記の方法を用いても、リンゴの種類(品種、
成熟度等)によって褐変防止が困難な場合があることが
見出された。すなわち、「つがる」の褐変防止は比較的
容易であるが、「千秋」のような品種に対しては必ずし
も満足な結果が得られない。そこで、本発明の改良方法
として、上記フィルム包装過程において、予め一般食品
品質保持用の脱酸素剤、二酸化炭素吸収剤、およびエチ
レン吸収剤を各単独に、または、いずれか2種類の組合
せ、ないしは3種類組合せとして、リンゴ細片とともに
包材内に収納し、前記の排気、窒素封入を行うスライス
リンゴ加工方法を発明するにに至った。
成熟度等)によって褐変防止が困難な場合があることが
見出された。すなわち、「つがる」の褐変防止は比較的
容易であるが、「千秋」のような品種に対しては必ずし
も満足な結果が得られない。そこで、本発明の改良方法
として、上記フィルム包装過程において、予め一般食品
品質保持用の脱酸素剤、二酸化炭素吸収剤、およびエチ
レン吸収剤を各単独に、または、いずれか2種類の組合
せ、ないしは3種類組合せとして、リンゴ細片とともに
包材内に収納し、前記の排気、窒素封入を行うスライス
リンゴ加工方法を発明するにに至った。
作用 現段階において、本発明の作用機構を学理的に明言す
るに至らないが、次の四つの作用が機軸となっている。
るに至らないが、次の四つの作用が機軸となっている。
(1)減圧脱気、窒素封入および脱酸素剤添加が、リン
ゴ細胞を損傷せしめぬ限度において、充分な無酸素状態
を保持するために、褐変現象に関与するフェノールオキ
シダーゼ活性が抑止される。化学的還元剤であるアスコ
ルビン酸は物理的操作による無酸素状態の密閉系が形成
される直前の還元状態保持に有効であり、密閉系内にお
いても、さらに補完的役割を果し、これによって全体系
の無酸素・還元状態がいっそう完備される。なお、アス
コルビン酸を含む4種類化合物(食品添加物)混合水溶
液は、褐変およびその他の変質要因にかかわる酸素系の
不活性化に有効に作用する。また、全固形分濃度が1%
未満の希薄水溶液であるため、食味に悪影響を及ぼすこ
ともない。
ゴ細胞を損傷せしめぬ限度において、充分な無酸素状態
を保持するために、褐変現象に関与するフェノールオキ
シダーゼ活性が抑止される。化学的還元剤であるアスコ
ルビン酸は物理的操作による無酸素状態の密閉系が形成
される直前の還元状態保持に有効であり、密閉系内にお
いても、さらに補完的役割を果し、これによって全体系
の無酸素・還元状態がいっそう完備される。なお、アス
コルビン酸を含む4種類化合物(食品添加物)混合水溶
液は、褐変およびその他の変質要因にかかわる酸素系の
不活性化に有効に作用する。また、全固形分濃度が1%
未満の希薄水溶液であるため、食味に悪影響を及ぼすこ
ともない。
(2)エチレン吸収剤、および二酸化炭素吸収剤は、起
こり得る生化学反応を阻止し、品質劣化原因となるエチ
レンの生成を防止する。二酸化炭素吸収剤は、リンゴ組
織の分解産物を吸収し、起こり得る微生物の嫌気的生育
を阻害する。また、封入窒素ガス圧も、このようなエチ
レンや二酸化炭素の生成反応を抑制する方向に働く結
果、リンゴ細片の品質が元の状態のまま保持される。
こり得る生化学反応を阻止し、品質劣化原因となるエチ
レンの生成を防止する。二酸化炭素吸収剤は、リンゴ組
織の分解産物を吸収し、起こり得る微生物の嫌気的生育
を阻害する。また、封入窒素ガス圧も、このようなエチ
レンや二酸化炭素の生成反応を抑制する方向に働く結
果、リンゴ細片の品質が元の状態のまま保持される。
この機作は、従来、多くの青果物の鮮度保持に提案さ
れている。酸素濃度、二酸化炭素濃度を一定水準に保つ
ガス雰囲気のもとに青果物を貯蔵する概念とは根底から
異なる。本発明においては人工的に封入した窒素ガス以
外の気体成分を極力除去した雰囲気に目的のリンゴ細片
を保持することにより、いわば生化学的活性を休眠させ
た状態で保持させることに特徴がある。
れている。酸素濃度、二酸化炭素濃度を一定水準に保つ
ガス雰囲気のもとに青果物を貯蔵する概念とは根底から
異なる。本発明においては人工的に封入した窒素ガス以
外の気体成分を極力除去した雰囲気に目的のリンゴ細片
を保持することにより、いわば生化学的活性を休眠させ
た状態で保持させることに特徴がある。
(3)リンゴ果実を予め密閉収納庫に収納し、減圧脱気
して後、約1気圧の窒素ガス雰囲気において2〜24時間
保持する前処理は、上記(1)、(2)無酸素・還元状
態に維持し、リンゴ細片内の生化学的活性を休眠状態に
保持することに相乗的な効果を発揮する。またリンゴの
乾燥防止に有効である。なお、本発明にかかわる包装ス
ライスリンゴの貯蔵温度としては、20℃以下の低温がよ
く、望ましくは5℃が好適である。これは褐変や品質劣
化にかかわる化学反応が低温なほど抑止される、化学反
応の一般則に従うからである。
して後、約1気圧の窒素ガス雰囲気において2〜24時間
保持する前処理は、上記(1)、(2)無酸素・還元状
態に維持し、リンゴ細片内の生化学的活性を休眠状態に
保持することに相乗的な効果を発揮する。またリンゴの
乾燥防止に有効である。なお、本発明にかかわる包装ス
ライスリンゴの貯蔵温度としては、20℃以下の低温がよ
く、望ましくは5℃が好適である。これは褐変や品質劣
化にかかわる化学反応が低温なほど抑止される、化学反
応の一般則に従うからである。
(4)リンゴ細片をプラスチックトレイに分配した後、
フィルム包装容器に収納し窒素ガス置換包装する方法
は、包装内のリンゴ細片同志の重なり合いによる圧傷の
防止に効果的である。
フィルム包装容器に収納し窒素ガス置換包装する方法
は、包装内のリンゴ細片同志の重なり合いによる圧傷の
防止に効果的である。
さらに、脱酸素剤、二酸化炭素吸収剤、およびエチレ
ン吸収剤などの品質保持剤を同封する場合は、包装容器
内で適宜の間隔が保たれ、それぞれの機能が有効に発揮
される。また、これらの品質保持剤はリンゴ細片と接触
しても何ら悪影響がないよう、それぞれ安全な個別包材
に含有されているが、トレイの使用により、リンゴ細片
との直接的接触はなくなり、消費者に対しては心理的に
一層の安全性を確保できる利点もある。
ン吸収剤などの品質保持剤を同封する場合は、包装容器
内で適宜の間隔が保たれ、それぞれの機能が有効に発揮
される。また、これらの品質保持剤はリンゴ細片と接触
しても何ら悪影響がないよう、それぞれ安全な個別包材
に含有されているが、トレイの使用により、リンゴ細片
との直接的接触はなくなり、消費者に対しては心理的に
一層の安全性を確保できる利点もある。
なお、以下の実施例において各種の品質保持剤はその
ものの製品特性により各固有名詞で例示されているが、
それぞれの目的機能を果す製剤であればよく、とくに、
各特定の商品名を指示するものでない。
ものの製品特性により各固有名詞で例示されているが、
それぞれの目的機能を果す製剤であればよく、とくに、
各特定の商品名を指示するものでない。
実施例1 リンゴ(品種名:つがる)を洗浄後、一区分の果実は
剥皮し、別の一区分は剥皮せずして除芯し、ステンレス
製ナイフで八ッ切りに細切した。これらの細切リンゴを
100mg%濃度のL−アスコルビン酸(別称ビタミンC)
液に1分間浸漬し、ドレイン除去した後、K−ナイロン
ポリ袋(酸素等過度20ml/m2・24hr・atm以下)に収納し
た。この場合、1包装容量は30cm×22cm角のフィルム袋
に丸(生鮮)リンゴ1個分であった。
剥皮し、別の一区分は剥皮せずして除芯し、ステンレス
製ナイフで八ッ切りに細切した。これらの細切リンゴを
100mg%濃度のL−アスコルビン酸(別称ビタミンC)
液に1分間浸漬し、ドレイン除去した後、K−ナイロン
ポリ袋(酸素等過度20ml/m2・24hr・atm以下)に収納し
た。この場合、1包装容量は30cm×22cm角のフィルム袋
に丸(生鮮)リンゴ1個分であった。
このものを直ちにガス置換式包装機内に装着し、気体
ゲージ圧をマイナス74cm・Hgで約3秒間維持し、引き続
いて窒素ガスを包装系内に導入し、約5秒間ゲージ圧40
cm・Hgまで封入した後ヒートシールをおこなった(試験
区(イ))。対照として、(イ)と同様に処理しなが
ら、窒素ガス封入を行わなかったもの(試験区
(ロ))。L−アスコルビン酸処理を行わずに、(イ)
または(ロ)と同様に包装したもの(試験区(ハ)、
(ニ))、の3方法を併行して実施した。以上の4試験
区加工品を、いずれも5℃冷蔵庫に貯蔵し、経時変化を
調べた。
ゲージ圧をマイナス74cm・Hgで約3秒間維持し、引き続
いて窒素ガスを包装系内に導入し、約5秒間ゲージ圧40
cm・Hgまで封入した後ヒートシールをおこなった(試験
区(イ))。対照として、(イ)と同様に処理しなが
ら、窒素ガス封入を行わなかったもの(試験区
(ロ))。L−アスコルビン酸処理を行わずに、(イ)
または(ロ)と同様に包装したもの(試験区(ハ)、
(ニ))、の3方法を併行して実施した。以上の4試験
区加工品を、いずれも5℃冷蔵庫に貯蔵し、経時変化を
調べた。
結果は表1のとおりで、試験区(イ)すなわち、L−
アスコルビン酸浸漬処理と窒素封入の併用が少なくとも
6日間、生鮮状態を保つ良好な加工法であることが認め
られた。なお、試験区(ロ)(L−アスコルビン酸処理
後、単なる真空包装)は3日後に明らかに褐変が認めら
れ、試験区(ハ)(無処理後、窒素封入包装)は1日後
において試験区(イ)と同等の良好な状態を維持したも
のの、3日後以降、わずかながら変色を起こし、また、
試験区(ニ)(無処理後単なる真空包装)は、すでに1
日後明らかな褐変を起こすことが認められた。
アスコルビン酸浸漬処理と窒素封入の併用が少なくとも
6日間、生鮮状態を保つ良好な加工法であることが認め
られた。なお、試験区(ロ)(L−アスコルビン酸処理
後、単なる真空包装)は3日後に明らかに褐変が認めら
れ、試験区(ハ)(無処理後、窒素封入包装)は1日後
において試験区(イ)と同等の良好な状態を維持したも
のの、3日後以降、わずかながら変色を起こし、また、
試験区(ニ)(無処理後単なる真空包装)は、すでに1
日後明らかな褐変を起こすことが認められた。
実施例2 実施例1の(イ)と同条件で包装スライスリンゴ(試
験品種ふじ)を加工した。
験品種ふじ)を加工した。
この試験では、褐変防止剤として用いるL−アスコル
ビン酸の有・無及びその使用濃度と、浸漬処理時間の検
討を行った。L−アスコルビン酸の条件として、0(無
使用),50,100または200mg%、浸漬時間を30秒、1分ま
たは2分とした。これら2条件についての6試験区加工
品を、いずれも冷蔵庫(5℃)に貯蔵し、経時変化を調
べた。結果は表2の通りで、試験区(ハ)すなわち、L
−アスコルビン酸100mg%1分間浸漬が、少なくとも6
日間、全く褐変(変質)及び異味異臭が認められなかっ
た。
ビン酸の有・無及びその使用濃度と、浸漬処理時間の検
討を行った。L−アスコルビン酸の条件として、0(無
使用),50,100または200mg%、浸漬時間を30秒、1分ま
たは2分とした。これら2条件についての6試験区加工
品を、いずれも冷蔵庫(5℃)に貯蔵し、経時変化を調
べた。結果は表2の通りで、試験区(ハ)すなわち、L
−アスコルビン酸100mg%1分間浸漬が、少なくとも6
日間、全く褐変(変質)及び異味異臭が認められなかっ
た。
なお、試験区(イ)(L−アスコルビン酸無処理)
は、実施例1の(ニ)と同条件であり、1日後に明らか
な褐変を起こした。試験区(ロ)(濃度50mg%1分浸
漬)及び(ホ)(濃度100mg%30秒浸漬)は3日後まで
良好であったが、6日後一部に若干の褐変が認められ
た。試験区(ニ)(濃度200mg%1分間浸漬)及び
(ヘ)(濃度100mg%2分間浸漬)は少なくとも6日後
まで褐変(変質)は認められなかったが、生鮮リンゴと
比べて若干の異味異臭が認められた。
は、実施例1の(ニ)と同条件であり、1日後に明らか
な褐変を起こした。試験区(ロ)(濃度50mg%1分浸
漬)及び(ホ)(濃度100mg%30秒浸漬)は3日後まで
良好であったが、6日後一部に若干の褐変が認められ
た。試験区(ニ)(濃度200mg%1分間浸漬)及び
(ヘ)(濃度100mg%2分間浸漬)は少なくとも6日後
まで褐変(変質)は認められなかったが、生鮮リンゴと
比べて若干の異味異臭が認められた。
実施例3 実施例2の(ハ)と同条件で包装スライスリンゴ(試
験品種ふじ)を加工した。この試験では、品質保持剤と
して脱酸素剤(バイタロンLT−250M東亜合成化学工
業)、エチレン吸収剤(ニーブEA−102日本化薬)、鮮
度保持剤<脱酸素+エチレン吸収>(ニーブEA−120日
本化薬)、二酸化炭素吸収剤(エージレスC三菱瓦斯化
学)の4種類を用いて、それぞれの有効性と併用方法に
ついて検討を行った。使用条件として、非使用、脱酸素
剤、エチレン吸収剤、鮮度保持剤、二酸化炭素吸収剤の
4種類の単独使用に、脱酸素剤とエチレン吸収剤の併
用、鮮度保持剤と脱酸素剤の併用を設定した。以上の6
試験区加工品を、いずれも冷蔵庫(5℃)に貯蔵し、経
時変化を調べた。
験品種ふじ)を加工した。この試験では、品質保持剤と
して脱酸素剤(バイタロンLT−250M東亜合成化学工
業)、エチレン吸収剤(ニーブEA−102日本化薬)、鮮
度保持剤<脱酸素+エチレン吸収>(ニーブEA−120日
本化薬)、二酸化炭素吸収剤(エージレスC三菱瓦斯化
学)の4種類を用いて、それぞれの有効性と併用方法に
ついて検討を行った。使用条件として、非使用、脱酸素
剤、エチレン吸収剤、鮮度保持剤、二酸化炭素吸収剤の
4種類の単独使用に、脱酸素剤とエチレン吸収剤の併
用、鮮度保持剤と脱酸素剤の併用を設定した。以上の6
試験区加工品を、いずれも冷蔵庫(5℃)に貯蔵し、経
時変化を調べた。
結果は表3の通りで、試験区(ヘ)すなわち、鮮度保
持剤と二酸化炭素吸収剤の併用が、少なくとも10日間、
全く褐変(変質)及び異味異臭が認められなかった。こ
の条件により、実施例2までの6日間の品質保持期間が
少なくとも10日間延びることが確認できた。なお、試験
区(イ)(脱酸素剤)は3日後まで良好であったが、7
日後に異味異臭が認められ、10日後には一部褐変も認め
られた。試験区(ロ)(エチレン吸収剤)は7日後まで
は褐変発生しなかったものの、若干の異味異臭があり、
10日後には一部褐変も認められた。試験区(ハ)(鮮度
保持剤)、(ニ)(二酸化炭素吸収剤)、(ホ)(脱酸
素剤+エチレン吸収剤)は7日後まで良好であったが、
10日後に褐変が発生したものの、若干の異味異臭が認め
られた。
持剤と二酸化炭素吸収剤の併用が、少なくとも10日間、
全く褐変(変質)及び異味異臭が認められなかった。こ
の条件により、実施例2までの6日間の品質保持期間が
少なくとも10日間延びることが確認できた。なお、試験
区(イ)(脱酸素剤)は3日後まで良好であったが、7
日後に異味異臭が認められ、10日後には一部褐変も認め
られた。試験区(ロ)(エチレン吸収剤)は7日後まで
は褐変発生しなかったものの、若干の異味異臭があり、
10日後には一部褐変も認められた。試験区(ハ)(鮮度
保持剤)、(ニ)(二酸化炭素吸収剤)、(ホ)(脱酸
素剤+エチレン吸収剤)は7日後まで良好であったが、
10日後に褐変が発生したものの、若干の異味異臭が認め
られた。
実施例4 実施例3の(ヘ)と同条件で、包装スライスリンゴ
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、真空度と
窒素置換量について、最も効果的な条件を検討した。真
空度は気体ゲージ圧74cm・Hg(3秒間維持)、72cm・Hg
(瞬時)、68cm・Hg(瞬時)の3段階、窒素置換量は、
60cm・Hg(置換時間3秒間)、40cm・Hg(同6秒間)、
10cm・Hg(同10秒間)の3段階とし、合計5試験区の加
工品を製造し、いずれも5℃冷蔵庫に貯蔵し、経時変化
を調べた。結果は表4のとおりで、試験区(イ:真空度
74cm・Hg;窒素圧40cm・Hg)が最も効果的で、少なくと
も10日間、安定した品質を保持できることが確認され
た。なお、試験区(ロ:72;40)及び(ハ:68;40)(ニ:7
4;60)は7日後まで良好であったが、10日後一部に若干
の変色が認められた。
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、真空度と
窒素置換量について、最も効果的な条件を検討した。真
空度は気体ゲージ圧74cm・Hg(3秒間維持)、72cm・Hg
(瞬時)、68cm・Hg(瞬時)の3段階、窒素置換量は、
60cm・Hg(置換時間3秒間)、40cm・Hg(同6秒間)、
10cm・Hg(同10秒間)の3段階とし、合計5試験区の加
工品を製造し、いずれも5℃冷蔵庫に貯蔵し、経時変化
を調べた。結果は表4のとおりで、試験区(イ:真空度
74cm・Hg;窒素圧40cm・Hg)が最も効果的で、少なくと
も10日間、安定した品質を保持できることが確認され
た。なお、試験区(ロ:72;40)及び(ハ:68;40)(ニ:7
4;60)は7日後まで良好であったが、10日後一部に若干
の変色が認められた。
試験区(ホ:74;10)は(イ)同様少なくとも10日間品
質保持できたが、窒素充填量が少なくてすむ(イ)が実
用的条件と認められた。
質保持できたが、窒素充填量が少なくてすむ(イ)が実
用的条件と認められた。
実施例5 実施例4の(イ)と同条件で、包装スライスリンゴ
(試験品種ふじ)を加工し、5、10、15、20℃の1段階
の貯蔵温度において、2週間貯蔵し、その間の品質経時
変化を調べた。結果は表5のとおりで、5℃貯蔵試験区
(イ)によって、少なくとも10日間品質が保持されるこ
とが確認された。又、10℃、15℃、20℃と貯蔵温度が高
くなる程、包装スライスリンゴの品質劣化が進行した
(試験区(ロ)、(ハ)、(ニ))。なおまた、表5の
官能的品質評価と併行して、各種の理化学的性状試験を
おこなった結果、全般的に貯蔵温度が高いほど吸光度は
増大し、硬度は低下し、アルコール生成量及び二酸化炭
素生成量は増加し、細菌数も増加した。
(試験品種ふじ)を加工し、5、10、15、20℃の1段階
の貯蔵温度において、2週間貯蔵し、その間の品質経時
変化を調べた。結果は表5のとおりで、5℃貯蔵試験区
(イ)によって、少なくとも10日間品質が保持されるこ
とが確認された。又、10℃、15℃、20℃と貯蔵温度が高
くなる程、包装スライスリンゴの品質劣化が進行した
(試験区(ロ)、(ハ)、(ニ))。なおまた、表5の
官能的品質評価と併行して、各種の理化学的性状試験を
おこなった結果、全般的に貯蔵温度が高いほど吸光度は
増大し、硬度は低下し、アルコール生成量及び二酸化炭
素生成量は増加し、細菌数も増加した。
この傾向は20℃貯蔵の場合に、貯蔵日数7日後ですで
に顕著であり、5℃貯蔵の場合は貯蔵14日後に、諸分析
値に若干の変化が見られるに留まった。pHについては、
20℃貯蔵の場合、他の貯蔵温度区に比べて、明らかな上
昇傾向を示した。
に顕著であり、5℃貯蔵の場合は貯蔵14日後に、諸分析
値に若干の変化が見られるに留まった。pHについては、
20℃貯蔵の場合、他の貯蔵温度区に比べて、明らかな上
昇傾向を示した。
以上の結果は表5とよく符合していた。
表6はその一例である。
実施例6 実施例4の(イ)と同条件で「つがる」、「千秋」
「ふじ」の3品種を用いて、包装スライスリンゴを加工
した。この試験では、品種間における品種保持特性につ
いて、一部温度別条件も加え検討を行った。つがるは室
温(18℃±3℃)で、千秋は、5、15、25℃の3段階、 ふじは5ないし20℃の4段階の貯蔵温度で経時変化を調
べた。結果は表7のとおりで、つがるが最も変質しにく
い品種であることがわかった。
「ふじ」の3品種を用いて、包装スライスリンゴを加工
した。この試験では、品種間における品種保持特性につ
いて、一部温度別条件も加え検討を行った。つがるは室
温(18℃±3℃)で、千秋は、5、15、25℃の3段階、 ふじは5ないし20℃の4段階の貯蔵温度で経時変化を調
べた。結果は表7のとおりで、つがるが最も変質しにく
い品種であることがわかった。
千秋とふじとの品種間の貯蔵性の差はほとんどなく、
5℃の低温が効果的なことがわかった。
5℃の低温が効果的なことがわかった。
実施例7 実施例4の(イ)と同条件で、「つがる」、「千
秋」、「ふじ」の3品種を用いて、包装スライスリンゴ
を加工した。この試験では、加工品の果皮の有・無につ
いて、品種別に品質保持特性の検討を行った。3品種、
果皮の有無別に6試験区加工品を、つがるについては室
温(18±3℃)で、千秋、ふじについては冷蔵庫(5
℃)で貯蔵し、経時変化を調べた。経過は表8のとおり
で、3品種とも外観には顕著な差は見られなかったが7
日後以降の食間(テクスチャー)において皮有りの方
が、より生鮮状態に近く、品質保持性は高いことが確認
できた。
秋」、「ふじ」の3品種を用いて、包装スライスリンゴ
を加工した。この試験では、加工品の果皮の有・無につ
いて、品種別に品質保持特性の検討を行った。3品種、
果皮の有無別に6試験区加工品を、つがるについては室
温(18±3℃)で、千秋、ふじについては冷蔵庫(5
℃)で貯蔵し、経時変化を調べた。経過は表8のとおり
で、3品種とも外観には顕著な差は見られなかったが7
日後以降の食間(テクスチャー)において皮有りの方
が、より生鮮状態に近く、品質保持性は高いことが確認
できた。
実施例8 実施例4の(イ)と同条件で、包装スライスリンゴ
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、細切リン
ゴの形状、大きさ並びに包装内トレイの有無について品
質保持性の検討を行った。
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、細切リン
ゴの形状、大きさ並びに包装内トレイの有無について品
質保持性の検討を行った。
すなわち、リンゴの形状、大きさについては、八ッ切
り(皮無)とスライス薄片(5〜6mm、皮無)の2種類
とし、トレイについては、透明プラスチック材または白
色発泡材使用と、トレイなし(対照)の3条件を設定
し、以上5条件の加工品を冷蔵庫(5℃)で貯蔵し、経
時変化を調べた。結果は表9のとおりで、形状について
は、 スライス薄片より、八ッ切りの方が若干品質保持が良好
と認められた。トレイ使用の有無については、品質保持
上、差異が認められなかった((イ)、(ロ)、
(ニ))。ただし、白色発泡材トレイ使用のもの
((ハ)、(ホ))に限って著しい褐変を起こした。
り(皮無)とスライス薄片(5〜6mm、皮無)の2種類
とし、トレイについては、透明プラスチック材または白
色発泡材使用と、トレイなし(対照)の3条件を設定
し、以上5条件の加工品を冷蔵庫(5℃)で貯蔵し、経
時変化を調べた。結果は表9のとおりで、形状について
は、 スライス薄片より、八ッ切りの方が若干品質保持が良好
と認められた。トレイ使用の有無については、品質保持
上、差異が認められなかった((イ)、(ロ)、
(ニ))。ただし、白色発泡材トレイ使用のもの
((ハ)、(ホ))に限って著しい褐変を起こした。
実施例9 実施例4の(イ)と同条件で、包装スライスリンゴ
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、加工前
に、生果を窒素置換下で一昼夜放置した場合の品質保持
特性の検討を行った。
(試験品種ふじ)を加工した。この試験では、加工前
に、生果を窒素置換下で一昼夜放置した場合の品質保持
特性の検討を行った。
前処理なし(対照)と合わせて2条件加工品を冷蔵庫
(5℃)で貯蔵した。結果は表10のとおりで、品質保持
性においては両者と同等と認められた。
(5℃)で貯蔵した。結果は表10のとおりで、品質保持
性においては両者と同等と認められた。
実施例10 リンゴ(品種ふじ)を剥皮し、八ッ切りに細切し、芯
部を切除した。これを表11に示す組成の褐変防止水溶液
(全固形分濃度0.62%、pH4.9)に1分間浸漬し、ドレ
イン除去してナイロポリ袋、Kプアスチック製リンゴ・
トレイとともに収納し、実施例1と同様にして脱気、窒
素置換包装した。
部を切除した。これを表11に示す組成の褐変防止水溶液
(全固形分濃度0.62%、pH4.9)に1分間浸漬し、ドレ
イン除去してナイロポリ袋、Kプアスチック製リンゴ・
トレイとともに収納し、実施例1と同様にして脱気、窒
素置換包装した。
この包装スライスリンゴを室温(20℃前後)に放置し
た結果、10日後も、外観的に変色(褐変)が認められな
かった。さらに、このものを開封して食味試験した結
果、異臭、異味がなく、加工当初とほとんど同等の良好
な生鮮状態と認められた。
た結果、10日後も、外観的に変色(褐変)が認められな
かった。さらに、このものを開封して食味試験した結
果、異臭、異味がなく、加工当初とほとんど同等の良好
な生鮮状態と認められた。
なお、表11の褐変防止水溶液は、本発明の研究過程に
おいて見出された各濃度の混合水溶液で、これらの各成
分の濃度は、たまたま特許出願公開、平−160451に示さ
れた同類組成分の各有効濃度を下廻り、全固形分濃度1
%未満の希薄水溶液であることを特徴とする。
おいて見出された各濃度の混合水溶液で、これらの各成
分の濃度は、たまたま特許出願公開、平−160451に示さ
れた同類組成分の各有効濃度を下廻り、全固形分濃度1
%未満の希薄水溶液であることを特徴とする。
実施例11 リンゴ(品種つがる)を剥皮し、八ッ切りに細切し、
芯部を切除した。これを表12に示す10種類の浸漬液のい
ずれかに1分間浸漬後、それぞれ室温開放状態で観察し
た。結果は表13のとおりで、3日後まで、No.8(重合硫
酸ナトリウム+リン酸一カリウム)が3日後まで、抜群
の褐変防止効果を示したが、異味異臭が強く、食味に耐
えられなかった。他の浸漬液処理は、無処理と比べて、
1日後まで、一定の褐変防止効果を示し、酸化防止剤と
して一般的に使用されているL−アスコルビン酸(以下
V・Cと記す)と、ほぼ同等の効果が認められた。しか
し、異味異臭の点でNo.1(V・C)が最も良好であっ
た。
芯部を切除した。これを表12に示す10種類の浸漬液のい
ずれかに1分間浸漬後、それぞれ室温開放状態で観察し
た。結果は表13のとおりで、3日後まで、No.8(重合硫
酸ナトリウム+リン酸一カリウム)が3日後まで、抜群
の褐変防止効果を示したが、異味異臭が強く、食味に耐
えられなかった。他の浸漬液処理は、無処理と比べて、
1日後まで、一定の褐変防止効果を示し、酸化防止剤と
して一般的に使用されているL−アスコルビン酸(以下
V・Cと記す)と、ほぼ同等の効果が認められた。しか
し、異味異臭の点でNo.1(V・C)が最も良好であっ
た。
発明の効果 本発明によれば、リンゴ細片を褐変、変質せしめずに
一定期間、生鮮状態のまま保蔵できる。
一定期間、生鮮状態のまま保蔵できる。
予め直接可食状態に加工・包装してある新製品である
から、消費者側の持ち運び保管および摂食が簡便にな
る。このような製品形態とその製造法は従来技術では達
成できなかったものである。
から、消費者側の持ち運び保管および摂食が簡便にな
る。このような製品形態とその製造法は従来技術では達
成できなかったものである。
なお、この発明はリンゴ以外の青果物にも適用でき
る。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】リンゴを剥皮し、または剥皮せずして除芯
し、任意の大きさに割截または細切し、50〜100mg%濃
度のアスコルビン酸液に30秒間〜2分間浸漬し、ドレイ
ン除去した後、酸素透過度20〔ml/m2・24hr・atm〕以下
のガスバリヤー性プラスチックフィルム容器に収納し、
包装系内の気体ゲージ圧をマイナス68〜74cm・Hgに少な
くとも3秒間保持することにより元の空気を排除し、引
き続いて窒素ガスを包装系内に導入し、3〜15秒間、そ
のときの気体ゲージ圧がマイナス10〜60cm・Hgを保持す
るよう調整、封入した時点で、ヒートシールにより包装
容器の開口部を密封することを特徴とする、包装スライ
スリンゴの製造法。 - 【請求項2】請求項(1)記載の加工工程において、プ
ラスチックフィルム容器内に、脱酸素剤、二酸化炭素吸
収剤、およびエチレン吸収剤から選択された1種類また
は2種類以上を、リンゴ細片とともに封入することを特
徴とする、包装スライスリンゴの製造法。 - 【請求項3】請求項(1)のアスコルビン酸浸漬処理に
おいて、アスコルビン酸に代えて、アスコルビン酸、ク
エン酸、ピロリン酸ナトリウム及び塩化カルシウムから
なる混合水溶液を用いる包装スライスリンゴの製造法。 - 【請求項4】請求項(1)、(2)および(3)におけ
るスライスリンゴのフイルム包装工程においてプラスチ
ック材トレイに細切リンゴを分配した後フィルム包装容
器に収納することを特徴とする包装スライスリンゴの製
造法。 - 【請求項5】請求項(1)記載の加工工程に先立ち、生
鮮リンゴを気密性収納庫に収納し、庫内空気を窒素ガス
と置換して、庫内圧が0±10cm・Hgになるよう調整し、
そのガス圧状態に2ないし24時間保持した後、リンゴを
搬出し、以下請求項(1)、(2)、(3)または
(4)の記載にしたがうことを特徴とする、包装スライ
スリンゴの製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11253490A JP2542945B2 (ja) | 1990-04-28 | 1990-04-28 | 包装スライスリンゴ等の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11253490A JP2542945B2 (ja) | 1990-04-28 | 1990-04-28 | 包装スライスリンゴ等の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0411860A JPH0411860A (ja) | 1992-01-16 |
JP2542945B2 true JP2542945B2 (ja) | 1996-10-09 |
Family
ID=14589053
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11253490A Expired - Lifetime JP2542945B2 (ja) | 1990-04-28 | 1990-04-28 | 包装スライスリンゴ等の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2542945B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CA2162425C (en) * | 1995-11-08 | 2002-10-01 | William Duncan Powrie | Preparation and preservation of fresh, vitaminized, flavoured and unflavoured cut apple pieces |
ES2134175B1 (es) * | 1998-02-24 | 2000-04-16 | Quisqueya S L | Procedimiento para conservacion de fruta pelada y troceada en envases impermeables, asi como envases y mezcla de productos conservantes utilizados para el mismo. |
EP1996485A4 (en) * | 2006-03-21 | 2011-11-02 | Loong Keng Lim | REUSABLE PLASTIC STORAGE CONTAINER HAVING A COVER AND PERMEABLE GAS MEMBRANES FOR MODIFIED ATMOSPHERE STORAGE OF PERISHABLE FOODS AND FOODSTUFFS |
-
1990
- 1990-04-28 JP JP11253490A patent/JP2542945B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0411860A (ja) | 1992-01-16 |
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