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JP2025541237A - 免疫療法を強化するためのチェックポイントモジュレーター - Google Patents

免疫療法を強化するためのチェックポイントモジュレーター

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JP2025541237A
JP2025541237A JP2025534335A JP2025534335A JP2025541237A JP 2025541237 A JP2025541237 A JP 2025541237A JP 2025534335 A JP2025534335 A JP 2025534335A JP 2025534335 A JP2025534335 A JP 2025534335A JP 2025541237 A JP2025541237 A JP 2025541237A
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protein
cells
amino acid
cell
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JP2025534335A
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シン ジョウ
スザンナ エレッジ
ジーシン マー
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デイナ ファーバー キャンサー インスティチュート,インコーポレイテッド
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Abstract

シグナル伝達タンパク質などのタンパク質中の特定のリン酸化アミノ酸に結合して、それらのタンパク質を含むシグナル伝達経路の調節に影響を与えることができる、結合剤分子が開示される。一例では、結合剤分子は、PD-1中の細胞内ホスホチロシンに結合して、PD-1経路の活性化を防止することができる。例えば、CAR-T細胞におけるこれらの結合剤の細胞内発現は、CAR-T細胞疲弊を防止することができる。
【選択図】図39A

Description

本出願は、2022年12月13日に出願された米国仮出願第63/387,243号に対する優先権を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で引用される全ての特許、特許出願、および刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物の開示は、本明細書に記載され、特許請求される本発明の日付の時点で当業者に既知である最先端技術をより完全に説明するために、参照によりそれらの全体で本出願に組み込まれる。
本特許開示は、著作権保護の対象となる、材料を含有する。著作権所有者は、米国特許商標庁の特許ファイルまたは記録にあるように、特許文書または特許開示の誰しもによるファクシミリ複製に異議を唱えないが、それ以外はあらゆる全ての著作権を留保する。
政府の助成
本発明は、米国国立衛生研究所により授与されたR00 EB030587の下で政府支援を受けて行われた。政府は、本発明に対してある一定の権利を有する。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、配列表を含有する。[]に作成された当該ASCIIコピーは、名称が[]であり、サイズは[]バイトである。
発明の分野
本発明は、新規なクラスの免疫チェックポイントモジュレーターによる細胞療法を強化することおよびその使用方法を対象とする。
背景
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、過去10年間でがん治療に革命をもたらした。これらの操作されたT細胞は、その標的を発現するがん細胞を破壊するためにがん標的に向けられる。しかしながら、天然のT細胞と同様に、CAR-T細胞は、反復刺激後に疲弊しやすい。この場合、PD-1などのいくつかのチェックポイント阻害性受容体は、CAR-T細胞表面上で上方制御され、腫瘍細胞の表面上のリガンド受容体と相互作用してT細胞活性を遮断する。PD-1と同族リガンドPD-L1との間のシグナル伝達を遮断する治療用抗体が存在するが、患者データは、これが患者の一部でのみ有効であることを示している。したがって、CAR-T細胞および他の免疫療法の有効性を増大させるための、新規のチェックポイント受容体モジュレーターを開発する必要がある。
本明細書に開示されるのは、免疫チェックポイントモジュレーター組成物およびその使用方法である。
本発明の一態様は、第1の抗体またはその抗原結合断片(B1)であって、標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸モチーフに結合してB1およびタンパク質の第1の複合体を形成する、第1の抗体またはその抗原結合断片(B1)と、第1の複合体に結合して第2の複合体を形成する、第2の抗体またはその抗原結合断片(B2)とを含む抗体系に関する。いくつかの実施形態では、B1は、標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合することができるタンパク質またはタンパク質の一部であり得る。いくつかの実施形態では、B2は、scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、DARPin、アフィボディなどであり得る。
いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、標的タンパク質の三次元構造ドメイン(タンパク質の三次折り畳みドメイン)に埋め込まれている。いくつかの実施形態では、B1に結合するリン酸化アミノ酸モチーフは、標的タンパク質の三次元(折り畳み)エピトープを含む。いくつかの実施形態では、B1に結合するリン酸化アミノ酸モチーフは、標的タンパク質の線状エピトープを含む。
いくつかの実施形態では、第1の複合体に結合したB2は、B1に結合する。いくつかの実施形態では、第1の複合体に結合したB2は、標的タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第1の複合体に結合したB2は、B1および標的タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、第1の複合体に結合したB2は、B1および標的タンパク質を含むエピトープを認識する。
いくつかの実施形態では、B1は、アミノ酸モチーフがリン酸化されていない場合、標的タンパク質中のアミノ酸モチーフに結合しない。いくつかの実施形態では、B1が標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸モチーフに結合しない場合、B2は、第1の複合体に結合しない。
いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、ホスホヒスチジン、ホスホセリン、ホスホスレオニン、またはホスホチロシンを含む。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、酵素活性を有するタンパク質、シグナル伝達複合体の形成を容易にするタンパク質などを含む他のタンパク質によって結合され得る。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、例えば、ホスホチロシン結合ドメインまたはSrc相同性2(SH2)ドメインを有する追加のタンパク質が結合することができるホスホチロシンを含む。一部の実施形態では、追加のタンパク質は、追加のタンパク質を含むシグナル伝達複合体の形成を促進することができる。
いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、シグナル伝達タンパク質中に存在する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達タンパク質は、免疫チェックポイント経路を調節する。いくつかの実施形態では、第2の複合体の形成は、免疫チェックポイント経路の活性化を防止する。
いくつかの実施形態では、B1およびB2は、共有結合される。
本発明の一態様は、本明細書に記載のB1抗体またはその抗原結合断片を対象とする。いくつかの実施形態では、B1は、B2に共有結合される。
本発明の一態様は、本明細書に記載のB2抗体またはその抗原結合断片を対象とする。いくつかの実施形態では、B2は、B1に共有結合される。
本発明の一態様は、シグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合する第1の抗原結合ドメイン(B1)と、B1がシグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合されている場合に、B1および/またはシグナル伝達タンパク質に結合する、第2の抗原結合ドメイン(B2)とを含む、二重特異性抗体を対象とする。
いくつかの実施形態では、B1がシグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合されている場合に、B2が、B1およびシグナル伝達タンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、シグナル伝達タンパク質は、細胞内シグナル伝達タンパク質を含む。
いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸は、セリン、スレオニン、チロシン、およびヒスチジンからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、チロシンは、Src相同性2(SH2)ドメインを有するタンパク質によって結合されるモチーフ中に存在する。
いくつかの実施形態では、シグナル伝達タンパク質は、免疫チェックポイント経路を含む。いくつかの実施形態では、免疫チェックポイント経路タンパク質は、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGIT、2B4、BTLA、CD57、TIM-3、KLRG-1、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、シグナル伝達タンパク質は、PD-1タンパク質を含む。いくつかの実施形態では、PD-1タンパク質中のリン酸化アミノ酸は、ホスホチロシン223または248を含む。
いくつかの実施形態では、B1がシグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合する場合、かつB2がB1および/またはシグナル伝達タンパク質に結合する場合に、免疫チェックポイント経路は活性化されない。
いくつかの実施形態では、シグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸は、タンパク質キナーゼによってリン酸化される。いくつかの実施形態では、タンパク質キナーゼは、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、またはヒスチジンキナーゼを含む。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼは、受容体チロシンキナーゼを含む。
いくつかの実施形態では、B1がシグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合しない場合、B2は、B1におよび/またはシグナル伝達タンパク質に結合しない。
いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、B1およびB2を連結するペプチドリンカーを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドリンカーは、約3アミノ酸長~約50アミノ酸長である。いくつかの実施形態では、B1は、第1の二重特異性抗体中にあり、B1が結合するB2は、第2の二重特異性抗体中にある。
本発明の一態様は、本明細書に記載の二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメイン(B1)を対象とする。いくつかの実施形態では、B1は、B2に共有結合していない。
本発明の一態様は、本明細書に記載の二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメイン(B2)を対象とする。いくつかの実施形態では、B2は、B1に共有結合していない。
本発明の一態様は、本明細書に記載の単離された二重特異性抗体をコードする核酸を対象とする。本発明の一態様は、本明細書に記載の核酸を含む細胞を対象とする。核酸を含む細胞は、本明細書に記載の二重特異性抗体を発現することができる。いくつかの実施形態では、核酸を含む細胞は、T細胞を含む。いくつかの実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞を含む。
本発明の一態様は、B1-B2分子(例えば、二重特異性抗体)を細胞内に導入することを対象とする。いくつかの実施形態では、B1-B2分子は、脂質ナノ粒子を使用して導入され得、細胞透過性ペプチドなどに融合され得る。
本発明の一態様は、患者に、本明細書に記載の二重特異性抗体を細胞内に発現するCAR-T細胞を投与することを含む、がんを治療するための方法を対象とする。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、ホスファターゼ酵素を更に含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CAR-T細胞で発現されるときに、CAR-T細胞の活性を抑制することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、キナーゼ酵素を更に含む。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、CAR-T細胞で発現されるときに、CAR-T細胞の活性を刺激することができる。
本特許または出願書類には、色付きで描かれた少なくとも1つの図面が含まれている。色付きの図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複写は、要望および必要な料金の支払いに応じて、庁によって提供されるであろう。
CAR-T細胞におけるpY媒介シグナル伝達機構の概略図である。 図2A~Bは、pY修飾に対する合成結合剤を生成するための組換え抗体対(pY-TRAP)ワークフローによるpY標的化の表現である。パネルAは、pY-TRAPの設計および親和性特徴を示す概略図を提供する。パネルBは、pY-TRAPの結合がその標的に非常に特異的であることを示す概略図を提供する。I:hZAP70-pY248TRAP、II:hUb-pY59TRAP、III:hRIPK2-pY474TRAP。 合成pY媒介経路が細胞シグナル伝達応答をリワイヤすることを示す概略図である。 天然のT細胞対CAR-T細胞の概略図である。 操作されたPD-1Jurkat細胞を示すグラフである。 図6A~Cは、PD-1シグナル伝達を妨害するための既存のアプローチを示す概略図である。パネルAは、PD-1/PD-L1遮断抗体を投与すること、またはPD-1/PD-L1遮断抗体を分泌する操作されたCAR-T細胞を使用することを含む方法の概略図を提供する。パネルBは、CAR-T細胞における固有のPD-1経路を特異的に遮断することができるPD-1のゲノム妨害を含む方法の概略図を提供する。パネルCは、PD-1経路の免疫抑制機能を免疫活性化に反転させることができる、キメラPD-1/CD28受容体を含む方法の概略図を提供する。 図7A~B:パネルAは、直鎖pY抗原に対するB2-SH2結合剤を示す概略図を提供する。パネルBは、免疫チェックポイント受容体PD-1およびTIGITの両方が、細胞質シグナル伝達モチーフ内に2つのpY部位を有することを示す概略図を提供する。 エフェクターに融合した合成pY結合剤を用いてPD-1シグナル伝達の結果を再プログラムすることを示す概略図を提供する。 左側に天然のPD-1経路の、右側に合成のPD-1経路の例示的モデルの概略図を示し、PD-1中のリン酸化アミノ酸は、本明細書に記載の分子(例えば、合成キナーゼに連結したcpSH2-sdAb)によって標的化されて、PD-1の調節に影響を与えることができる。 図10A~B:(A)リン酸化アミノ酸に結合して第1の複合体を形成するB1ドメインと、第1の複合体に結合して第2の複合体を形成するB2ドメインとを有するpY-TRAP分子(複数可)の例の概略図を示す。(B、上部)抗体(B2)に連結されたSHP2(B1)タンパク質からのpY結合モチーフを有するpY-TRAP分子の例の概略図を示す。(B、下部)pY-TRAP分子におけるB2として使用されるIgG抗体の例示的領域の概略図を例示する。 図11A~C:(A)細胞膜を貫通し、2つの細胞内リン酸化チロシン(pY223およびpY248)を含有する、PD-1分子の概略図を示す。(B)自然の環境においてPD-1に結合するエフェクタータンパク質であるSHP2ホスファターゼの概略図を示し、(A)に示されるように、PD-1分子内のリン酸化チロシンに結合するSHP2内の二重SH2ドメインを示す。(C)本明細書に開示されるような、循環置換されたC-SH2ドメインの概略図である。 図11Dは、図11Aと同様であり、追加的に、PD-1中のリン酸化細胞内チロシンへのSHP2の結合を示す。 バイオレイヤー干渉法を使用して、標的分子中のリン酸化チロシン(例えば、PD-1中のpY248)への様々なSH2ドメインおよび循環置換されたSH2バリアントの結合を測定する実験からの例示的データを示す。 図13A~Bは、酵母ディスプレイを使用して、pY-B1複合体への結合が改善されたB2分子を同定する方法を示す概略図を示す。 図13A~Bに例示される実験からの例示的データを示す。 改善されたB2結合剤のエンリッチメントの連続ラウンドからの例示的データを示す。 図16A~B:(A)個々のB1-B2クローン(上部)およびベースライン対照結合剤(下部)の結合についての例示的データを示す。(B)複数のB1-B2クローンおよびpY248への結合についての例示的データを示す。 個々のB1-B2クローンについての結合データを示す。 2つのB1-B2クローンおよび二重SH2対照の用量応答結合の例示的データを示す。 図19A~B:(A)3つのB1-B2クローンおよびPD-1のpY248に結合するSH2対照の例示的データを示す。SHP2からの二重SH2ドメインは、PD-1およびGAB2の両方に非特異的に結合する。B1-B2クローンは、PD-1のみに結合する。(B)Grb1関連結合タンパク質2(Gab2)のpY614に結合する3つのB1-B2クローンの例示的データを示す。SHP2からの二重SH2ドメインは、PD-1およびGAB2の両方に非特異的に結合する。B1-B2クローンは、PD-1のみに結合する。 様々なB1-B2分子を発現する培養物中の細胞の例示的顕微鏡写真を示す。 プレートベースの活性化アッセイを使用したT細胞活性化試験からのデータを示す。 T細胞活性化に対する、本明細書に開示されるpY-TRAP分子に連結されたCD3zドメインを含有する分子の効果を試験した研究からのデータを示す。 CAR-T細胞を刺激または抑圧する例示的遺伝子経路を示す。 T細胞機能においてSHP2が果たす役割の例を示す。 T細胞におけるSHP2によって調節される複数の経路の例を示す。 CAR-T細胞疲弊への寄与体としての免疫チェックポイントシグナル伝達の例示的概略図である。 免疫細胞回路の再構築の例を例示する。 (A)PD-1中のpY248および(B)GAB2中のpY614への酵母クローンB#1~B#10の用量依存的結合を試験する追加の研究からのデータを示す。図28Aと同様のデータが図19Aに示される。図28Bと同様のデータが図19Bに示される。 HEK293安定細胞におけるPD-1リン酸化の再構成を試験した研究からのデータを示す。モデル細胞株システムにおける結合剤を特徴付けるために、PD1-TagBFP-HAtagおよびLCK-EGFP-v5tagをHEK293細胞において安定して発現させた(A、B)。LCKは、PD-1をリン酸化するキナーゼである。対照として、PD-1-TagBFP-HAtagのみの細胞株を構築した。HEK細胞は、内因性PD-1およびLCK発現を欠くため、PD-1は、PD-1/LCK共発現細胞においてのみリン酸化される。PD-1およびLCKの膜局在性は、蛍光顕微鏡によって確認した(C)。LCK依存性PD-1リン酸化は、免疫沈降実験によって確認した(D、E)。 安定したHEK細胞におけるPD-1およびLCKの結合剤の共発現を示す例示的蛍光画像を提供する。安定したHEK細胞においてmCherryに融合した結合剤を発現させた。 PD-1を発現する細胞、ならびにPD-1およびLCKを発現する細胞における結合剤#3および5の免疫沈降実験からのデータを示す。mCherryに融合した結合剤は、PD-1過剰発現またはPD-1/LCK過剰発現HEK細胞で発現された。結合剤、PD-1、およびLCKの発現は、それぞれ、抗mCherry、抗PD1、および抗V5抗体による全細胞ライセートから確認された。HAタグ付きPD-1-TagBFP融合タンパク質に結合する抗HAビーズを用いて、免疫沈降(IP)実験を実施した。 LCKが存在する場合の細胞膜におけるPD-1との結合剤#5の共局在を示す蛍光顕微鏡画像を提供する。低pPD-1細胞および高pPD-1細胞における結合剤#5について、より高い倍率の蛍光画像を収集した。 結合剤#5(赤色)が膜に動員され、LCKの存在下でPD-1(青色)と共局在化されることを示す共焦点画像のスクリーンショットを提供する。 図34A~B:(A)SHP2ホスファターゼからの循環置換されたSH2ドメイン(cpSH2)を、ランダム化CDR配列を有する合成ナノボディライブラリと組み合わせることによる、pY-TRAPの構築を示す。(B)ホスホチロシン修飾を有するビオチン化ペプチド(pY-ペプチド)へのHAタグでタグ付けされたpY-TRAPの酵母表面ディスプレイスクリーニングの例を示す。 図34Cは、磁気活性化および蛍光活性化細胞選別を利用する選択プロセスの例示的図を示す。 図34Dは、例示的一連のクローンエンリッチメントを示す。各プロットは、ストレパチビジン-647シグナルおよびHA-488シグナルによって視覚化されたpY-ペプチドの結合を示す。プロットのフローグラフの上部象限の母集団がエンリッチされた。最終ラウンドの選択後の滴定は、ナノモル範囲のEC50を示した。 図35A~B:(A)酵母選択からのいくつかのエンリッチされた結合剤の滴定がナノモル範囲EC50を示したことを示す。これらの結合剤は、概して、SHP2からのcpSH2およびタンデムSH2よりも良好に結合する。(B)選択された結合剤の特異性が、ペプチドの非リン酸化形態、およびPD-pY248に類似したpY-ペプチドを含むペプチドのパネル、ならびにSHP2 SH2ドメインの内因性結合部位に対して試験された例示的研究を示す。 図36A~B:(A)両方のチロシン部位(Y→A)の野生型PD1(YY)またはアラニン変異が、ルシフェラーゼからのLgBitと融合された、スプリットルシフェラーゼシステムの描写を示す。pY-TRAP結合剤を、ルシフェラーゼ酵素からのSmBitと融合させた。結合剤SmBitとPD1-LgBitとの相互作用は、完全なルシフェラーゼを再構成する。(B)WT PD1(YY)および変異PD1(AA)を発現するLentiX細胞における、cpSH2、SHP2からのタンデムSH2ドメイン、SHP2、および選択された結合剤を用いたルシフェラーゼアッセイのヒートマップを示す。ルシフェラーゼシグナルの倍率変化が示される。 Lckキナーゼ、PD1 WT(YY)またはY223F/Y248F(FF)を共発現するLentiX細胞からの細胞ライセート、ならびにmCherryおよびHAでタグ付けされた選択された結合剤を、抗HAビーズで免疫沈降させ、続いて抗pTyr抗体でブロットした例示的研究からのデータを示す。バンドは、PD1に対応するサイズで、YY細胞においてのみ、チロシンリン酸化を示す。Lckの発現をV5抗体で検出し、PD1レベルを全細胞ライセート中の抗PD1抗体で確認した。 LckおよびmCherryタグ付き結合剤-NT7を共発現するLentiX細胞における、フェニルアラニンに変異したチロシン残基の一方または両方を有するGFPタグ付きPD1の発現の例示的細胞蛍光データを示す。結合剤の膜局在化は、野生型PD1(Y223/Y248)およびF223/Y248PD1において観察された。結合剤の膜局在化は、F223/F248 PD1およびY223/F248 PD1の両方で低下した。 PDL1を過剰発現するRaji B細胞と、野生型PD1(YY)またはFF変異PD1(FF)で再構成されたJurkat T PD1-/-細胞との共培養を示す。1000pMの抗CD3/抗CD19二重特異性抗体(BiTE)でJurkat T細胞を活性化した。 図39Aに示される細胞の活性化後、T細胞の活性化が表面CD69レベルによって定量化されたことを示す。データは、結合剤NT7発現がPD1-YY変異細胞におけるT細胞活性化をレスキューし、ニボルマブ(抗PD1)と相乗的に作用することを示した。BおよびCにおいて、データは、n=2の生物学的反復からの平均±s.d.である。P<0.05、**P<0.001。 図39Aに示される細胞の活性化後、T細胞の活性化がIFN-γ放出によって定量化されたことを示す。データは、結合剤NT7発現がPD1-YY変異細胞におけるT細胞活性化をレスキューし、ニボルマブ(抗PD1)と相乗的に作用することを示した。BおよびCにおいて、データは、n=2の生物学的反復からの平均±s.d.である。P<0.05、**P<0.001。 pY-TRAP分子に融合されたプロテアーゼによって活性化される例示的合成転写因子放出システムを示す。 PD1-TEV基質-eGFP-tTAまたはCD28TM-TEV基質-eGFP-tTA(陰性対照)、および結合剤NT7-TEV-mCherryと共トランスフェクトしたLentiX細胞からの例示的データを示す。PD1-TEV基質-eGFP-tTAでトランスフェクトされた細胞において、結合剤融合TEVの膜動員が観察され、続いてeGFPタグ付きtTAの核局在化が観察された。CD28TM-TEV基質-eGFP-tTA細胞における結合剤融合TEVの膜動員は見出されず、tTAの核局在化は見出されなかった。 図41A~B:(A)約17nmのKで、結合剤NT7がPD-1 pY248ペプチドに結合することを示す、バイオレイヤー干渉法(BLI)からのデータを示す。BLIデータ(B)はまた、他のペプチドと比較して、PD-1 pY248ペプチドへのNT7結合の特異性を示す。
詳細な説明
本出願は、細胞内の調節経路に影響を与えるための、ならびにいくつかの実施形態では、細胞内の調節経路を作成するか、または既存の調節経路をリワイヤするための試薬および方法を開示する(図27)。いくつかの実施形態では、試薬および方法は、タンパク質中のアミノ酸のリン酸化および/または脱リン酸化によって調節される経路を標的化することができる。いくつかの実施形態では、試薬および方法は、細胞におけるリン酸化アミノ酸の近傍に細胞調節に影響を与えることができる分子を局在化することができる。試薬および方法は、多くの異なるタイプの細胞の調節に影響を与えるために使用することができる。いくつかの実施形態では、標的化細胞は、キメラ抗原受容体(CAR-T細胞)を発現するT細胞であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、特定のタンパク質中の特定のリン酸化アミノ酸に結合することができる結合剤分子およびそのシステムである。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結合剤およびシステムは、タンパク質内の特定のリン酸化アミノ酸を区別することができる(例えば、PD-1ではpY248に結合するが、PD-1ではpY223には結合しない)。これは、例えば、特定のリン酸化アミノ酸(例えば、ホスホチロシン)に結合することができるが、特定のタンパク質中のリン酸化アミノ酸のみには結合しない(例えば、PD-1中のホスホチロシンにのみ結合するが、他のタンパク質中のホスホチロシンには結合しない)既存の抗体または天然に存在するタンパク質結合ドメインと対照的である。理論に拘束されることを望まないが、タンパク質特異的ではないこれらの一般化された結合剤は、特定のリン酸化アミノ酸を認識することができるが、タンパク質中のリン酸化アミノ酸に隣接するアミノ酸配列を認識しない場合がある。理論に拘束されることを望まないが、本明細書に開示される結合剤は、リン酸化アミノ酸に隣接するかまたは近接するアミノ酸配列を認識することができ、結合剤のタンパク質特異性を提供し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される結合剤は、既知のリン酸化アミノ酸結合剤と比較して、それらが結合する分子に対してより高いレベルの特異性を有する。
定義
1つ以上の実施形態の詳細な説明が、本明細書に提供される。しかしながら、本発明は、様々な形態で具現化され得ることを理解されたい。したがって、本明細書に開示される特定の詳細は、限定的ではなく、むしろ特許請求の範囲の根拠として、かつ任意の適切な態様で本発明を採用するように当業者に教示するための代表的な根拠として解釈されるべきである。
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含む。「a」または「an」という単語の使用は、特許請求の範囲および/または明細書において「含む」という用語とともに使用される場合、「1つ」を意味してもよいが、これはまた「1つ以上」、「少なくとも1つ」、および「1または1を超える」の意味と一致する。
「例えば」、「など」、「含む」などの句のいずれかが本明細書で使用される場合は常に、他に明確に記載されない限り、「限定することなく」という句が付随することが理解される。同様に、「例示的」、「例示的な」などは、非限定的であると理解される。
用語「実質的に」は、意図した目的に悪影響を与えない記述語からの逸脱を可能にする。記述用語は、単語「実質的に」が明確に列挙されていなくても、用語「実質的に」によって修正されることが理解される。
「含む(comprising)」および「含む(including)」および「有する(having)」および「含む(involving)」(ならびに同様に「含む(comprises)」、「含む(includes)」、「有する(has)」、および「含む(involves)」)などの用語は、交換可能に使用され、同じ意味を有する。具体的には、用語の各々は、「備える(comprising)」の一般的な米国特許法の定義と一貫して定義され、したがって、「少なくとも以下のこと(at least the following)」を意味する開いた用語であると解釈され、また、追加の特徴、限定、態様などを除外しないと解釈される。したがって、例えば、「ステップa、b、およびcを含むプロセス」は、プロセスが少なくともステップa、b、およびcを含むことを意味する。「a」または「an」という用語が使用されている場合は常に、そのような解釈が文脈上無意味でない限り、「1つ以上」と理解される。
「約」という用語は、本明細書では、およそ、おおよそ、その前後、またはその領域内を意味するように使用される。「約」という用語が数値範囲とともに使用される場合、それは、記載された数値の上および下の境界を拡張することによってその範囲を修正する。一般に、「約」という用語は、本明細書では、記述された値を上回っても下回っても数値を、20パーセントの変動、上または下(より高いまたはより低い)で修正するために使用される。
キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法
いくつかの実施形態では、キメラ抗原受容体(CAR)を発現する細胞は、本明細書に開示される試薬および方法を使用して標的化することができる。CAR T細胞療法は、例えば、T細胞上でのCARの外因性発現によって、患者のT細胞を、腫瘍細胞を殺滅するようにリダイレクトする。CARが発現され得る他の細胞としては、NK(CAR NK細胞)およびマクロファージ(CARマクロファージ)が挙げられる。CARは、抗体の抗原認識ドメインをT細胞受容体および共受容体の細胞内シグナル伝達ドメインに連結する、膜貫通型融合タンパク質であり得る。CAR-T細胞は、一般に、患者におけるがんを治療するために使用される。
CAR-T細胞は、「疲弊」する可能性がある。CAR-T疲弊の特徴としては、チェックポイント分子の発現および減少した細胞のエフェクター機能を含むことができる(図23および図26)。理論に拘束されることを望まないが、CAR-T疲弊は、過剰なまたは永続的な抗原シグナル伝達に起因すると考えられている。免疫抑制性腫瘍微小環境がこれに寄与する可能性がある。
固形腫瘍は、CAR-T療法に特有の課題を提供する。固形腫瘍におけるCAR-Tの有効性に対するいくつかの障壁としては、不均一な抗原発現、不十分な組織ホーミング、活性化、持続性、および免疫抑制性の腫瘍微小環境が挙げられる。血液がんとは異なり、腫瘍関連標的タンパク質は、腫瘍と健康な組織との間で過剰発現され、健康な組織のオンターゲット/オフ腫瘍のT細胞殺滅がもたらされる。更に、腫瘍微小環境(TME)における免疫抑制は、腫瘍の殺滅に向けてCAR-T細胞の活性化を制限する。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるのは、CAR-T疲弊を予防または逆転させるためのアプローチである。いくつかの実施形態では、開示されるアプローチは、可逆的であり得る(例えば、オンオフすることができる)。
開示される方法を使用して、例えば、本明細書に開示される分子は、細胞内に発現され得る。分子は、いくつかの実施形態では、操作された結合剤システム(例えば、本明細書に開示されるB1およびB2)は、免疫チェックポイント経路を含む特定の細胞調節経路の機能を遮断することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される分子は、分子のリン酸化(例えば、タンパク質中の特定のアミノ酸のリン酸化)を伴う任意の調節経路を調節するために使用され得る。いくつかの実施形態では、開示される分子は、リン酸化アミノ酸に結合し、他の調節分子の結合を防止することができる。いくつかの実施形態では、開示される分子は、タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合し、近傍の分子のリン酸化または脱リン酸化に影響を与えることができる(例えば、その領域にキナーゼまたはホスファターゼを動員することによって)。いくつかの例では、開示される分子(例えば、B1およびB2)は、キナーゼまたはホスファターゼのような他の分子に組み合わされて、それらの他の分子を特定の細胞位置に標的化することができる。いくつかの例では、開示される分子は、プロテアーゼ、インテイン、またはこれらの分子の断片に連結またはテザーされた場合、開示されるB1/B2分子が結合するリン酸化アミノ酸の近傍にそれらの分子をもたらし、近傍で発現する他の分子(例えば、転写因子、エピジェネティックモジュレーター、酵素など)の放出を触媒することができる。いくつかの実施形態では、開示される分子は、ミニボディ、scFv、IgG分子、DARPin、アフィボディ、二重特異性融合分子、および本明細書に記載の他の抗体断片とすることができる。
これらの分子を発現する細胞(例えば、CAR-T細胞)は、治療を必要とする患者に、当業者に公知の輸液療法によって導入することができる。いくつかの実施形態では、患者は、慢性感染症またはがんなどの本明細書に記載のPD-1関連疾患または障害を有し得る。細胞(例えば、T細胞)は、例えば、Tリンパ球、CD4+T細胞、CD8+T細胞、またはそれらの組み合わせであり得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR-NK細胞またはCAR-マクロファージ細胞であり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書で論じられる分子は、多重特異性抗体の構築において使用され得る。いくつかの実施形態では、CAR-T細胞は、本明細書で論じられる細胞内、二重特異性、または多重特異性抗体を発現することができる。
CAR-T細胞は、レンチウイルスシステム(形質導入を介する)、レトロウイルスシステム(トランスフェクション(エレクトロポレーション)を介する)、およびトランスポゾンシステム(PiggyBacを介する)を使用する当技術分野で公知の方法に従って生成することができる。本明細書に開示される方法で使用されるCAR-T細胞は、異なる抗原を標的化することができる。いくつかの実施形態では、抗原は、腫瘍関連抗原であり得る。CAR-T細胞が標的化することができる腫瘍関連抗原の非限定的な例としては、ErbB2(HER2/neu)、がん胎児抗原(CEA)、上皮細胞接着分子(EpCAM)、表皮成長因子受容体(EGFR)、MUC1、MSLN、CD19、CD20、CD30、CD40、CD22、RAGE-1、MN-CA IX、RET1、RET2(AS)、前立腺特異抗原(PSA)、TAG-72、PAP、p53、Ras、プロスタイン、PSMA、サバイビン、9D7、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、GAGE、MAGE、メソセリン、β-カテニン、TGF-βRII、BRCA1/2、SAP-1、HPV-E6、HPV-E7が挙げられる。
免疫チェックポイント経路、シグナル伝達タンパク質、およびPD-1
免疫チェックポイントまたは免疫チェックポイント経路は、免疫システムの様々な態様を調節する(図23)。これらの経路は、自己寛容、がんに対する免疫などに影響を及ぼし得る。いくつかの例では、これらの経路は、CAR-T細胞活性を含むT細胞活性に影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、CAR-T細胞の刺激因子または共刺激因子としては、ICOS、CD28、CD40L、4-1BB、CD27、OX40、CD2、GITR、CD226などを挙げることができる。いくつかの実施形態では、CAR-T細胞の阻害因子または共阻害因子としては、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGIT、2B4、BTLA、CD57、TIM-3、KLRG-1などを挙げることができる。これらのタンパク質は、シグナル伝達タンパク質と呼ぶことができる。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質は、受容体(例えば、免疫チェックポイントタンパク質、サイトカイン受容体など)であり得る。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質は、酵素活性を有することができる。これらのタンパク質は、細胞内のシグナル伝達に関与する他のタンパク質と結合し、シグナル伝達経路と呼ばれるものを形成することができる。
いくつかのシグナル伝達タンパク質は、リン酸化され得るアミノ酸を含有し得る。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸は、シグナル伝達タンパク質の細胞内ドメインに位置し得る。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸は、ホスホヒスチジン、ホスホセリン、ホスホスレオニン、またはホスホチロシンであり得る。いくつかのシグナル伝達タンパク質において、アミノ酸リン酸化は、シグナル伝達経路の調節において役割を果たし得る。リン酸化は、様々な他のタンパク質の結合に影響を与えることができる。
いくつかの例では、これらのタンパク質の様々なものは、細胞内の阻害/共阻害経路の一部であり得、これらの経路のいくつかは、CAR-T細胞疲弊に寄与し得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される試薬および方法は、これらの経路を検出するか、またはこれらの経路の調節に影響を与えるように設計される。
プログラム細胞死-1(PD-1)は、免疫グロブリンスーパーファミリーの細胞表面膜タンパク質である(図9および図11A)。このタンパク質は、シグナル伝達タンパク質である。このタンパク質は、プロB細胞で発現し、それらの分化に役割を果たすと考えられている。CD28ファミリーのメンバーであるPD-1は、活性化されたT細胞、B細胞、および単球で上方調節される。PD-1、ならびに他の免疫チェックポイント経路受容体もまた、疲弊したT細胞において上方制御され得る。PD-1は、B7ファミリーの2つの同定されたリガンド、PD-L1(プログラム細胞死-1リガンド1、分化クラスター274(CD274)またはB7相同体1(B7-H1)としても知られている)およびPD-L2を有する。PD-L1は、40kDaのI型膜貫通タンパク質である。PD-L1のPD-1またはB7.1への結合は、リンパ節におけるCD8+T細胞の増殖を低減する阻害シグナルを伝達し、それに補足して、PD-1は、リンパ節におけるアポトーシスを介して外来抗原特異的T細胞の蓄積を制御することもでき、アポトーシスは、遺伝子Bcl-2の低い調節によって更に媒介される。PD-L2の発現はより制限される傾向があり、主に活性化された抗原提示細胞(APC)に見られる一方で、PD-L1の発現は、造血系細胞(活性化されたT細胞、B細胞、単球、樹状細胞、およびマクロファージを含む)ならびに末梢非リンパ組織(心臓、骨格、筋肉、胎盤、肺、腎臓、および肝臓組織を含む)を含む、より広範である。PD-L1の広範な発現は、PD-1/PD-L1媒介性の末梢性免疫寛容の調節においてその重要な役割を示す。PD-1およびPD-L1は、免疫ダウンレギュレーターまたは免疫チェックポイントの「オフスイッチ」である。PD-1阻害剤の例としては、ニボルマブ(Opdivo)(BMS-936558)、ペンブロリズマブ(Keytruda)、ピディリズマブ、AMP-224、MEDI0680(AMP-514)、PDR001、MPDL3280A、MEDI4736、BMS-936559、およびMSB0010718Cが挙げられるが、これらに限定されない。
ごく最近、研究により、一部の慢性ウイルス感染症およびがんが、PD-1/PD-L1媒介性のT細胞疲弊を引き起こすことにより、PD-1/PD-L1軸を特異的に利用する免疫回避戦術を発達させたことが示された。多くのヒト腫瘍細胞および腫瘍関連抗原提示細胞は、高いレベルでPD-L1を発現し、それは、腫瘍がT細胞疲弊を誘発して抗腫瘍免疫応答を回避することを示唆する。例えば、慢性的なHIV感染の間、HIV特異的なCD8+T細胞が機能的に損なわれ、サイトカインおよびエフェクター分子を産生する低下した能力、ならびに増殖能力の低下を示す。研究により、PD-1がHIV感染者のHIV特異的CD8+T細胞で高発現することが示され、PD-1/PD-L1経路を遮断することが、HIV感染およびAIDS患者の治療について治療可能性を有することが示唆される。まとめると、PD-1/PD-L1経路を(直接的または間接的のいずれか)遮断する薬剤は、様々ながん、HIV感染、ならびに/またはT細胞疲弊に関連する他の疾患および症状について新規の治療アプローチを提供することができる。そのような薬剤は、本明細書に記載されている。
SHP2結合剤を含むシグナル伝達タンパク質に結合するタンパク質
いくつかの実施形態では、タンパク質は、シグナル伝達タンパク質(例えば、ホスホチロシン)内に存在するリン酸化アミノ酸を含むリン酸化アミノ酸に結合することができる。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、酵素活性を有することができる。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、シグナル伝達複合体を形成するタンパク質を含む、追加のタンパク質の複合体の形成を促進することができる。いくつかの実施形態では、これらのタンパク質およびその複合体は、シグナル伝達経路に関与し得る。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、それ自体がリン酸化アミノ酸を含有する場合がある。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、酵素活性を含み得るか、または酵素活性を有するタンパク質を動員することができる。いくつかの実施形態では、酵素活性は、キナーゼ活性またはホスファターゼ活性であり得る。
いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、Src相同性ドメインまたはその修飾バリアント(例えば、アミノ酸置換または循環置換)を有することができる。Src相同性ドメインは、Src相同性2(SH2)であり得る。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸に結合するタンパク質は、ホスホチロシン結合(PTB)ドメインまたはその修飾バリアント(例えば、アミノ酸置換または循環置換)を含むことができる。リン酸化アミノ酸に結合することができる他のドメインとしては、例えば、HYBドメイン、GEP100PHを含むPHドメイン、プレクストリン相同性(PH)様ドメイン(例えば、GEP100PH)PKCδドメイン、PKCθ C2ドメイン、RKIPドメインなどが挙げられ得る。
SHP2は、血小板由来成長因子(PDGFR)、線維芽細胞成長因子(FGFR)、および上皮成長因子(EGFR)の受容体を含む、様々な受容体チロシンキナーゼ(RTK)に対する重要なシグナル伝達エフェクター分子である。SHP2はまた、がんの発症の前提条件である細胞形質転換をもたらすことができるマイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼ経路の活性化を調節する重要なシグナル伝達分子である。例えば、SHP2は、Rasマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ、JAK-STAT、および/またはホスホイノシトール3-キナーゼ-AKT経路を介したシグナル伝達に関与する。SHP2は、RAS活性化を調節することによって、ErbB1、ErbB2、およびc-Metなどの受容体チロシンキナーゼによるErk1およびErk2(Erk1/2、Erk)MAPキナーゼの活性化を媒介する。
SHP2は、2つのN末端Src相同性2ドメイン(N-SH2およびC-SH2、図9、図11B、および図11D)、触媒ドメイン(PTP)、およびC末端尾部を有する。2つのSH2ドメインは、SHP2の細胞内局在化および機能調節を制御する。分子は、非活性な立体構造で存在し、N-SH2およびPTPドメインの両方からの残基を含む結合ネットワークを介してそれ自身の活性を阻害する。成長因子刺激に応答して、SHP2は、RTKシグナル伝達装置と会合し、これは、SHP2活性化をもたらす立体構造変化を誘導する。
SHP2は、T細胞における免疫抑制調節因子であり、T細胞機能において複雑な役割を果たすことができる(図24および図25)。いくつかの実施形態では、SHP2は、CAR-T細胞疲弊において役割を果たし得る。PD-1調節経路のいくつかの例では、PD-1によるPDL-1の結合は、PD-1をpY223およびpY248でリン酸化することができる(図11A)。一度リン酸化されると、SHP2は、それらのリン酸化アミノ酸残基においてPD-1に結合することができる(図11D)。SHP2は、ホスファターゼ活性を有し、近傍のシグナル伝達成分を脱リン酸化することができる。その結果、CAR-T細胞を含むT細胞の負の調節となり得る。
結合剤
最も広い意味で、「結合剤」という用語は、標的分子に結合する分子を意味すると理解される。本明細書では、結合剤分子は、特異的な結合剤分子(例えば、B1、B2など)を示す次の番号を有し得る、文字「B」によって示され得る。標的分子は、特定の標的細胞集団に存在し得る。用語「結合剤」は、その最も広い意味で理解されるべきであり、例えば、レクチン、特定の分子に結合することができるタンパク質、およびリン脂質結合タンパク質も含む。そのような結合剤としては、例えば、高分子量タンパク質(結合タンパク質)、ポリペプチドまたはペプチド(結合ペプチド)、非ペプチド(例えば、アプタマー(米国特許第5,270,163号)、Keefe A.D.,et al.,Nat.Rev.Drug Discov.2010;9:537-550)によるレビュー、またはビタミン)および他の細胞結合分子もしくは物質を含む。結合剤は、別の分子(例えば、第2の分子に結合することができる第1の分子の断片)に結合することができる1つの分子の領域またはドメインであり得る。実施形態では、結合剤は、シグナル伝達タンパク質またはシグナル伝達タンパク質に結合するタンパク質からであり得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、リン酸化タンパク質またはリン酸化アミノ酸モチーフに結合することができる。アミノ酸がリン酸化されていない場合、結合剤はアミノ酸モチーフに結合しない場合がある。
いくつかの実施形態では、結合剤は、シグナル伝達タンパク質に結合することができるタンパク質のドメインであり得る。いくつかの実施形態では、結合剤は、SHP2タンパク質に由来し得るSH2ドメインであり得る。いくつかの実施形態では、SH2ドメインは、SHP2のN-SH2ドメインまたはC-SH2ドメインであり得る(図11B)。いくつかの実施形態では、これらのSH2ドメインは、PD-1のpY223またはpY248に結合することができる(図11D)。いくつかの実施形態では、SH2ドメインは、アミノ酸(例えば、チロシン)がリン酸化されない限り、PD-1中のアミノ酸223または248に結合しない。
結合剤は、例えば、抗体および抗体断片、または例えば、アフィボディ、アドネクチン、アンチカリン、DARPin、アビマー、またはナノボディなどの抗体模倣物であり得る(Gebauer M.et al.,Curr.Opinion in Chem.Biol.2009;13:245-255;Nuttall S.D.et al.,Curr.Opinion in Pharmacology 2008;8:608-617によるレビュー)。例えば、ペプチドは、リガンド/受容体対のリガンド、例えば、リガンド/受容体対VEGF/KDRのVEGFなど、リガンド/受容体対トランスフェリン/トランスフェリン受容体またはサイトカイン/サイトカイン受容体のトランスフェリンなど、リガンド/受容体対TNFアルファ/TNFアルファ受容体のTNFアルファなどである。いくつかの実施形態では、結合ペプチドまたはポリペプチドは、シグナル伝達タンパク質に結合するタンパク質を含むことができる。いくつかの実施形態では、結合ペプチド/ポリペプチドは、Src相同性2(SH2)ドメインを含むことができる。
いくつかの実施形態では、抗体である結合剤は、リン酸化アミノ酸またはリン酸化アミノ酸モチーフに結合することができ、リン酸化されていない場合、アミノ酸モチーフに結合しない場合がある。いくつかの実施形態では、リン酸化アミノ酸モチーフは、シグナル伝達タンパク質またはシグナル伝達タンパク質に結合するタンパク質にあることができる。いくつかの実施形態では、抗体は、PD-1のpY223またはpY248を含むアミノ酸モチーフに結合することができる。いくつかの実施形態では、抗体は、アミノ酸がリン酸化されない限り、アミノ酸に結合しない。
抗体が結合するリン酸化アミノ酸モチーフは、アミノ酸エピトープであり得る。エピトープは、直鎖アミノ酸エピトープであり得る。エピトープは、標的タンパク質の三次元構造ドメインに埋め込むことができる。エピトープは、標的タンパク質の非直鎖アミノ酸エピトープであり得る。エピトープは、標的タンパク質の三次元(折り畳み)アミノ酸エピトープであり得る。
エピトープは、WWドメイン(rsp5ドメインまたはWWPドメインとも呼ばれる)が結合することができるリン酸-セリンおよびリン酸-スレオニンであり得る。エピトープは、SH2ドメインが結合することができるホスホヒスチジンモチーフであり得る。エピトープは、修飾SH2ドメインを有するタンパク質が結合することができるスルホチロシンであり得る。
いくつかの実施形態では、結合剤は、その標的に結合した別の結合剤に結合することができる。いくつかの実施形態では、第1の結合剤B1は、リン酸化アミノ酸モチーフを標的化することができ、B1およびリン酸化アミノ酸モチーフの第1の複合体を形成する。第2の結合剤B2は、第1の複合体を標的化し、第2の複合体を形成することができる。本明細書において、そのような抗体系は、細胞内の調節経路を標的化することができ、それらの調節を変更するか、またはそれらの調節が変更されるのを防ぐことができる。例えば、第2の複合体の形成は、分子がシグナル伝達分子においてリン酸化アミノ酸モチーフに結合することおよび/またはリン酸化アミノ酸モチーフを調節することを防止することができる。第2の複合体の形成は、免疫チェックポイント経路の活性化を防止することができる。いくつかの実施形態では、B1は、リン酸化アミノ酸に結合する抗体、ScFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、DARPin、アフィボディなどであり得る。いくつかの実施形態では、B1は、リン酸化アミノ酸に結合することができるタンパク質の一部であり得る。いくつかの実施形態では、B2は、B1が特定のリン酸化アミノ酸に結合されている場合に、少なくともB1に結合することができる抗体、ScFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、DARPin、アフィボディなどであり得る。
上記のいくつかの実施形態では、PD-1のpY248に結合したSH2ドメイン(SH2ドメインは、第1の結合剤またはB1である)は、SH2ドメインとpY248との間に第1の複合体を形成する。いくつかの実施形態では、複合体は、第2の結合剤(B2)によって結合されて、第2の複合体を形成することができる。いくつかの実施形態では、B2は、抗体であり得る。いくつかの実施形態では、B2は、B1に、B1が結合した標的に、B1およびB1標的に、またはエピトープの他の構成に結合することができる。実施形態では、B1がB1標的タンパク質に結合されない限り、B2は第1の複合体に結合しない。
いくつかの実施形態では、B1結合剤は、異なるタンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合することができる。この特性を有するB1結合剤は、異なるタンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合することができるタンパク質からのリン酸化アミノ酸結合ドメインを含むことができる。いくつかの実施形態では、そのようなアミノ酸結合ドメインは、SHP2からのSH2ドメインである(例えば、図25の右パネルは、PD-1に加えて、SHP2におけるSH2ドメインが複数のタンパク質に結合することができることを示す)。B1結合剤が、タンパク質中の異なるリン酸化アミノ酸に結合することができるか、または異なるタンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合することができる事例では、B1のB2パートナーは、追加の特異性を提供することができる。例えば、本明細書のデータは、PD-1におけるホスホチロシンに結合するが、GAB2におけるホスホチロシンには結合しない、その同族B2結合剤とともに使用されるSHP2からのSH2ドメインを含むB1結合剤を示す(図19A~図19B)。
そのような抗体系において、上述のB1/B2システムのように、B1およびB2は、別個の分子であり得る(すなわち、共有結合していない)か、またはB1およびB2は、共有結合され得る。いくつかの実施形態では、B1およびB2は、ペプチドリンカー(例えば、約8アミノ酸長~約50アミノ酸長)で連結することができる。いくつかの実施形態では、B1およびB2結合剤は、二重特異性抗体のような多機能抗体の一部であり得る。B1/B2抗体系は、追加の官能性を含むことができる。例えば、B1/B2抗体系は、別の分子が結合することができるモチーフを含むことができる。いくつかの実施形態では、B1/B2抗体系は、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、免疫受容体チロシンベース抑制性モチーフ(ITIM)、免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)などを含むことができる。細胞内に発現されるとき、そのようなシステムは、標的における特定のリン酸化アミノ酸に結合し、リン酸化アミノ酸の近傍にキナーゼまたはホスファターゼを動員し得る。動員されたキナーゼまたはホスファターゼは、リン酸化アミノ酸の近傍の基質に作用し得る。
いくつかの実施形態では、B1/B2システムは、キナーゼまたはホスファターゼ酵素のように、酵素に組み込むことができる。そのような実施形態では、キナーゼまたはホスファターゼは、標的内の特定のリン酸化アミノ酸に結合し、システムの一部であるキナーゼまたはリン酸塩は、近傍の基質に作用する。いくつかの実施形態では、キナーゼまたはホスファターゼ活性も含有するB1/B2抗体系は、リン酸化アミノ酸モチーフに結合することができ、キナーゼまたはホスファターゼが活性化される。
いくつかの実施形態では、B1/B2結合剤システムは、別の酵素に融合され得る。いくつかの実施形態では、他の酵素は、プロテアーゼであり得る。いくつかの実施形態では、プロテアーゼを有するB1/B2システムは、細胞において発現される。プロテアーゼの基質配列を含有する膜結合型(membrane-tethered)エフェクタータンパク質(例えば、転写因子、エピジェネティックモジュレーター、酵素など)も、細胞内で発現させることができる。B1/B2/プロテアーゼシステムのB1が、例えば、PD-1中のリン酸化アミノ酸を標的化する実施形態では、プロテアーゼは、膜結合型タンパク質と共局在化され、プロテアーゼ基質配列の切断およびエフェクタータンパク質の放出をもたらして、応答を開始および駆動することができる。
最も広い意味での「標的分子」は、標的細胞集団に存在し、タンパク質(例えば、成長因子の受容体)または非ペプチド分子(例えば、糖またはリン脂質)であり得る分子を意味すると理解される。それは、受容体または抗原であり得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、シグナル伝達タンパク質を含み得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGIT、2B4、BTLA、CD57、TIM-3、KLRG-1のような分子を含み得る。いくつかの実施形態では、これらの分子は、シグナル伝達分子であり得る。いくつかの実施形態では、タンパク質は、シグナル伝達分子に結合し、免疫システムの調節に作用することができる。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、1つ以上のリン酸化アミノ酸を有することができる。
「細胞外」標的分子という用語は、細胞の外側に位置する細胞に付着した標的分子、または細胞の外側に位置する標的分子の一部、すなわち、結合剤が、無傷の細胞上でその細胞外標的分子に結合し得ることを説明する。細胞外標的分子は、細胞膜に固定されてもよく、または細胞膜の構成要素であってもよい。当業者は、細胞外標的分子を同定するための方法を認識する。タンパク質については、これは、膜貫通ドメイン(複数可)および膜内のタンパク質の配向を決定することにより得る。これらのデータは通常、タンパク質データベース(例えば、SwissProt)に蓄積される。いくつかの例では、細胞外標的分子は、受容体または受容体の細胞外ドメインを含み得る。
結合剤は、別の分子に付着し得る。いくつかの実施形態では、第1の結合剤は、第2の結合剤に付着することができる。いくつかの実施形態では、第1の結合剤は、アミノ酸を含み得るリンカーを介して第2の結合剤に付着または連結することができる。
結合剤の付着は、結合剤のヘテロ原子を介し得る。付着に使用することができる結合剤の本発明によるヘテロ原子は、硫黄(一実施形態では、結合剤のスルフヒドリル基を介して)、酸素(本発明による、結合剤のカルボキシルまたはヒドロキシル基により)、および窒素(一実施形態では、結合剤の一級または二級アミン基またはアミド基を介して)である。これらのヘテロ原子は、天然の結合剤中に存在し得るか、または化学的方法もしくは分子生物学の方法によって導入される。本発明によれば、結合剤のトキソフォアへの付着は、標的分子に対する結合剤の結合活性にわずかな影響を有するのみである。好ましい実施形態では、付着は、標的分子に対する結合剤の結合活性に対して影響を有さない。
結合剤の一種である「単離された」抗体を精製して、細胞の他の構成成分が除去された。診断的または治療的使用を妨げ得る細胞の汚染成分は、例えば、酵素、ホルモン、または細胞の他のペプチドもしくは非ペプチド成分である。好ましい抗体または結合剤は、抗体または結合剤と比較して、95重量%を超える程度まで精製された抗体または結合剤である(例えば、ローリー法、UV-Vis分光法、またはSDSキャピラリーゲル電気泳動によって決定される)。更に、アミノ末端もしくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個のアミノ酸を決定することが可能である程度に精製されたか、または均質性まで精製された抗体(均質性は、還元または非還元条件下でSDS-PAGEによって決定される(検出は、クマシーブルー染色によって、または好ましくは銀着色によって測定され得る))。しかしながら、抗体は通常、1つ以上の精製ステップによって調製される。
「特異的結合」または「特異的に結合する」という用語は、所定の抗原/標的分子に結合する抗体または結合剤を指す。抗体または結合剤の特異的結合は、典型的には、少なくとも10~7Mの親和性(Kd値として、すなわち、10~7M未満のKd値を有するもの)を有する抗体または結合剤を説明し、抗体または結合剤は、所定の抗原/標的分子に対して、所定の抗原/標的分子または密接に関連する抗原/標的分子ではない非特異的抗原/標的分子(例えば、ウシ血清アルブミン、またはカゼイン)に対してよりも少なくとも2倍高い親和性を有する。抗体は、少なくとも10~7M(Kd値として、換言すると、10~7Mよりも小さいKd値を有するもの)、少なくとも10~8M、10~9M~10~11Mの範囲のより大きな親和性を有することができる。Kd値は、例えば、表面プラズモン共鳴分光法によって決定され得る。
PD-1を標的化する結合剤および抗体系
本明細書には、免疫チェックポイント経路を含む、調節システムを標的化するためのシステムが記載されている。いくつかの実施形態では、それらのシステムは、抗体である結合剤を使用する。
固有の組換えモノクローナル抗体クローンが本明細書に記載される。ポリペプチド(抗体など)またはポリヌクレオチドに関連する「組換え」とは、天然には存在しないポリペプチドまたはポリヌクレオチドの形態を指し、その非限定的な例は、通常では一緒には生じないポリヌクレオチドまたはポリペプチドを組み合わせることによって作成することができる。
いくつかの実施形態では、結合剤は、別の分子に結合することができるタンパク質からのドメインであり得る。いくつかの実施形態では、そのような結合剤は、SH2ドメインであり得る。SH2ドメインは、SHP2タンパク質に由来し得る。いくつかの実施形態では、SHP2タンパク質に由来するSH2ドメインは、PD-1のpY248に結合するC-SH2ドメインまたはN-SH2であり得る(図11A、図11B、および図11D)。いくつかの実施形態では、SH2ドメインは、循環置換されたSH2ドメインであり得る(図11C)。いくつかの実施形態では、循環置換されたSH2ドメインのアミノ酸配列を表1および表2に示す。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のB1/B2結合剤システムで使用されるB2抗体は、IgG重鎖可変領域であり得る。いくつかの実施形態では、その領域の骨格領域の核酸配列を表3に示す。本明細書では、VHドメインの核酸配列骨格が提供される。いくつかの実施形態では、VHドメインは、塩基1と塩基378との間であり得る。いくつかの実施形態では、CDR1は、塩基82と塩基108との間であり得る。いくつかの実施形態では、CDR2は、塩基151と塩基183との間であり得る。いくつかの実施形態では、CDR3は、塩基298と塩基339との間であり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgG重鎖可変領域のCDRを表4に示す(実施例4および図17も参照されたい)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のB1/B2結合剤システムで使用されるB2抗体のための骨格は、IgG重鎖可変領域(例えば、ナノボディ)であり得る。いくつかの実施形態では、その領域の骨格領域のアミノ酸配列を表5に示す。
いくつかの実施形態では、pY-TRAP分子の例示的な配列は、表6に示されるようなものであり得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体のIgG重鎖可変領域のCDRを表7に示す。
本明細書に記載の抗体は、標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸モチーフに結合し、B1およびタンパク質の第1の複合体を形成する第1の抗体またはその抗原結合断片(B1)を含む。別の実施形態では、本明細書に記載の抗体は、第1の複合体に結合して第2の複合体を形成する第2の抗体またはその抗原結合断片(B2)を含む。
一実施形態では、B1は、一般的な抗pY抗体の変異である。別の実施形態では、B2は、B1および特定のpYタンパク質の複合体に結合する。一実施形態では、B1およびB2抗体は、標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸モチーフに対して高い親和性および高い特異性を有する。
いくつかの実施形態はまた、本明細書に記載の抗pY抗体のアミノ酸またはヌクレオチド配列に対して特定のパーセンテージの同一性または類似性を有する抗体を特徴とする。例えば、「相同性」または「同一性」または「類似性」は、2つのペプチド間または2つの核酸分子間の配列類似性を指す。相同性は、比較の目的で整列され得る各配列における位置を比較することによって判定することができる。比較配列中の位置が同じ塩基またはアミノ酸によって占有される場合、分子は、その位置で相同である。配列間の相同性の程度は、配列によって共有される一致する位置または相同の位置の数に相関する。例えば、抗体は、本明細書に記載の抗pY抗体のうちのいずれか1つの特定の領域または全長と比較した場合に、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高いアミノ酸配列同一性を有することができる。例えば、抗体は、本明細書に記載の抗pY抗体のうちのいずれか1つの特定の領域または全長と比較した場合に、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、またはそれより高い核酸同一性を有することができる。本発明の核酸およびタンパク質に対する配列同一性または類似性は、当技術分野で知られている方法、例えばAusubel et al.eds.(2007)Current Protocols in Molecular Biologyに記載されるものなどを使用して、配列比較および/または整列によって決定することができる。例えば、配列比較アルゴリズム(すなわち、BLASTまたはBLAST 2.0)、手動アラインメント、または目視検査を利用して、本発明の核酸およびタンパク質の配列同一性または類似性パーセントを決定することができる。
「タンパク質」または「ペプチド」は、ペプチド結合によって一緒に連結されたアミノ酸残基のポリマーを含む。この用語は、本明細書で使用される場合、任意のサイズ、構造、または機能のタンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを指す。典型的には、タンパク質は、少なくとも3アミノ酸長である。タンパク質は、個々のタンパク質またはタンパク質の集合を指し得る。発明のタンパク質は、天然アミノ酸のみを含有することができるが、代替的に、非天然アミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込むことができる化合物)および/または当技術分野で知られているアミノ酸類似体を用いてもよい。また、発明のタンパク質中のアミノ酸のうちの1つ以上は、例えば、炭水化物基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、コンジュゲーション、官能化、または他の修飾のためのリンカーなどの化学物質の付加によって修飾され得る。タンパク質はまた、単一分子であってもよいか、または多分子複合体であってもよい。タンパク質は、天然に存在するタンパク質またはペプチドの単なる断片であってもよい。タンパク質は、天然に存在するもの、組換え、もしくは合成、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。
「ポリペプチド」という用語は、本明細書で使用される場合、単数形の「ポリペプチド」ならびに複数形の「ポリペプチド」を包含しており、アミド結合(ペプチド結合としても知られる)によって直線的に連結したモノマー(アミノ酸)で構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2個以上のアミノ酸の任意の鎖または複数の鎖を指し、製品の特定の長さを指さない。したがって、ペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、または2個以上のアミノ酸の鎖もしくは複数の鎖を指すために使用される任意の他の用語は、本明細書で「ポリペプチド」を指し得、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語の代わりに、またはこれらの用語と互換的に使用することができる。「ポリペプチド」は、ポリペプチドの発現後の修飾の産物を指す場合があり、これは、グリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護基/ブロッキング基による誘導体化、タンパク質分解による切断、または天然に存在しないアミノ酸による修飾を含むが、これらに限定されない。ポリペプチドは、天然の生物学的源に由来し得るか、または組換え技術によって生成されるが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されない。それは、化学合成を含む任意の方法で生成され得る。アミノ酸配列に関して、当業者は、コードされた配列中の単一のアミノ酸または小さなパーセンテージのアミノ酸を変更、付加、欠失、または置換する核酸、ペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質配列への個々の置換、欠失、または付加が、本明細書では集合的に「保存的に修飾されたバリアント」と呼ばれることを容易に認識するであろう。いくつかの実施形態では、変更は、アミノ酸の、化学的に類似したアミノ酸での置換をもたらす。機能的に類似するアミノ酸をもたらす同類置換表は、当技術分野で周知である。
例えば、「保存的アミノ酸置換」は、アミノ酸残基が、類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当該技術分野において定義されており、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン)、ベータ分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)、および芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、免疫グロブリンポリペプチドの非必須アミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置き換えられる。別の実施形態では、アミノ酸の鎖は、側鎖ファミリーメンバーの順序および/または組成が異なる構造的に類似する鎖で置き換えることができる。
本明細書で使用される場合、「キナーゼ」とは、タンパク質およびペプチドにおいて、ATPからSer/ThrまたはTyrの側鎖上のヒドロキシル基へのγリン酸の移行を触媒し、様々な重要な細胞機能、おそらく最も顕著には、シグナル伝達、分化、および増殖の制御に密接に関与する、大きなクラスの酵素を指す。ヒトの体内には約2,000個の異なるタンパク質キナーゼがあると推定され、これらの各々は、特定のタンパク質/ペプチド基質をリン酸化するが、それらは全て、高度に保存されたポケット内で同じ第2の基質ATPに結合する。既知のがん遺伝子産物の約50%は、タンパク質チロシンキナーゼPTKであり、それらのキナーゼ活性は、細胞形質転換をもたらすことが示されている。
いくつかの実施形態では、キナーゼは、チロシンキナーゼである。本明細書で使用される場合、「チロシンキナーゼ」は、ATPを基質として使用してタンパク質上のチロシン残基をリン酸化する酵素を指す。いくつかの実施形態では、チロシンキナーゼは、非受容体チロシンキナーゼである。哺乳動物の非受容体チロシンキナーゼ(NRTK)は、10のファミリー:Src、Abl、Jak、Ack、Csk、Fak、Fes、Frk、Tec、およびSykに分けられる。
抗体
本明細書で使用される場合、「抗体」または「抗原結合ポリペプチド」は、抗原を特異的に認識して結合するポリペプチドまたはポリペプチド複合体を指すことができる。抗体は、全抗体および任意の抗原結合断片、またはその一本鎖であることができる。例えば、「抗体」は、抗原に結合する生物学的活性を有する免疫グロブリン分子の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質またはペプチド含有分子を含むことができる。非限定的な例としては、重鎖もしくは軽鎖またはそのリガンド結合部分の相補性決定領域(CDR)、重鎖または軽鎖の可変領域、重鎖または軽鎖の定常領域、フレームワーク(FR)領域、またはそれらの任意の部分、または結合タンパク質の少なくとも一部が挙げられる。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン(Ig)分子、すなわち、抗原と特異的に結合する(免疫反応する)抗原結合部位を含有する分子の免疫学的に活性な部分を指すことができる。「特異的に結合する」または「免疫反応する」とは、抗体が所望の抗原の1つ以上の抗原性決定因子と反応して、他のポリペプチドとは反応しないことを意味する。
本明細書で使用される「抗体断片」または「抗原結合断片」という用語は、F(ab′)2、F(ab)2、Fab′、Fab、Fv、scFv、VHなどの、抗体の一部を指す。構造にかかわらず、抗体断片は、インタクトな抗体によって認識されるのと同じ抗原に結合する。「抗体断片」という用語には、アプタマー(シュピーゲルマーなど)、ミニボディ、およびダイアボディを含み得る。「抗体断片」という用語はまた、特定の抗原に結合して複合体を形成することにより抗体のように作用する、任意の合成または遺伝子操作されたタンパク質を含み得る。本明細書に記載の抗体、抗原結合ポリペプチド、バリアント、または誘導体としては、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、多特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体、一本鎖抗体、エピトープ結合断片、例えば、Fab、Fab’、およびF(ab’)、Fd、Fvs、一本鎖Fvs(scFv)、一本鎖抗体、dAb(ドメイン抗体)、ミニボディ、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)、VLまたはVHドメインのいずれかを含む断片、Fab発現ライブラリによって産生された断片、ならびに抗イディオタイプ(抗Id)抗体が挙げられるが、これらに限定されない。
「単鎖可変断片」または「scFv」は、免疫グロブリンの重鎖(V)および軽鎖(V)の可変領域の融合タンパク質を指す。一本鎖Fv(「scFv」)ポリペプチド分子は、共有結合したVH:VLヘテロ二量体であり、これは、ペプチドコードリンカーによって連結されたVHおよびVLコード遺伝子を含む遺伝子融合体から発現され得る。(Huston et al.(1988)Proc Nat Acad Sci USA 85(16):5879-5883を参照されたい)。いくつかの態様では、領域は、10~約25個のアミノ酸の短いリンカーペプチドで連結される。リンカーは、可撓性のためのグリシン、ならびに溶解性のためのセリンまたはスレオニンが豊富であり、VのN末端をVのC末端と接続することができるか、またはその逆である。このタンパク質は、定常領域の除去およびリンカーの導入にもかかわらず、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。抗体V領域からの自然に凝集されるが、化学的に分離された、軽ポリペプチド鎖および重ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造と実質的に類似する三次元構造に折り畳まれるであろう、scFv分子に変換するための化学構造を識別するためのいくつかの方法が記載されている。米国特許第5,091,513号、同第5,892,019号、同第5,132,405号、および同第4,946,778号を参照されたく、これらはその全体が参照により組み込まれる。
非常に大きなナイーブヒトscFvライブラリは、多数の標的分子に対して再配置された抗体遺伝子の大きな供給源を提供するために作成されており、また作成することができる。疾患特異的抗体を単離するために、感染性疾患を有する個体からより小さなライブラリを構築することができる。(Barbas et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:9339-43(1992);Zebedee et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:3 175-79(1992)を参照されたい)。
ヒトから得られる抗体分子は、免疫グロブリンの5つのクラス:IgG、IgM、IgA、IgE、およびIgDに分類され、これらは分子中に存在する重鎖の性質が互いに異なる。当業者であれば、重鎖が、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロン(γ、μ、α、δ、ε)として分類され、それらの中にもいくつかのサブクラス(例えば、γ1~γ4)があることを理解するであろう。ある特定のクラスは、IgG、IgG、IgG、およびIgG、ならびに他のものなどのサブクラスも有する。免疫グロブリンのサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgGなどは、十分に特徴付けられており、機能的分化を付与することが知られている。IgGに関して、標準的な免疫グロブリン分子は、分子量が約23,000ダルトンの2つの同一の軽鎖ポリペプチド、および分子量が53,000~70,000の2つの同一の重鎖ポリペプチドを含む。4つの鎖は、典型的には「Y」配置にジスルフィド結合によって結合され、軽鎖は「Y」の口部から始まり、可変領域を通って続く重鎖を挟む。本開示に記載される免疫グロブリンまたは抗体分子は、免疫グロブリン分子の任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA、およびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、およびIgA2)またはサブクラスであり得る。
軽鎖は、カッパまたはラムダ(κ,λ)のいずれかに分類される。各重鎖のクラスは、カッパまたはラムダ軽鎖のいずれかと結合することができる。一般に、軽鎖および重鎖は、互いに共有結合し、2つの重鎖の「尾」部分は、免疫グロブリンが、ハイブリドーマ、B細胞、または遺伝子操作宿主細胞のいずれかによって生成される場合に、共有ジスルフィド結合または非共有結合によって互いに結合される。重鎖では、アミノ酸配列は、Y配置の分岐した末端のN末端から各鎖の下部のC末端まで及ぶ。
軽鎖および重鎖の両方は、構造的および機能的な相同性の領域に分けられる。「定常」および「可変」という用語が、機能的に使用される。軽鎖(VL)部分および重鎖(VH)部分の両方の可変ドメインが、抗原認識および特異性を決定する。逆に、軽鎖(CL)および重鎖(CH1、CH2、またはCH3)の定常ドメインは、分泌、胎盤通過移動、Fc受容体結合、補体結合などの重要な生物学的特性を付与する。「抗原結合部位」または「結合部分」という用語は、抗原結合に関与する免疫グロブリン分子の部分を指すことができる。抗原結合部位は、重(「H」)鎖および軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基によって形成される。「超可変領域」と呼ばれる、重鎖および軽鎖のV領域内の3つの高度に分岐するストレッチは、「フレームワーク領域」または「FR」として知られるより保存されたフランキングストレッチ間に挿入される。したがって、「FR」という用語は、免疫グロブリンの超可変領域の間、およびそれに隣接して天然に見られるアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間で互いに対して配置されて、抗原結合表面を形成する。抗原結合表面は、結合抗原の三次元表面と相補的であり、重鎖および軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。
各抗原結合ドメインに存在する6つのCDRは、アミノ酸の短い非連続配列であり、抗体が水性環境でその三次元構成をとるときに、抗原結合ドメインを形成するように特異的に位置付けられる。抗原結合ドメインの残りのアミノ酸であるFR領域は、少ない分子間変動を示す。フレームワーク領域は、主にβシートのコンフォメーションをとり、CDRは、ループを形成して接続し、場合によってはβシート構造の一部を形成する。フレームワーク領域は、鎖間の非共有結合的な相互作用によって、CDRを正しい配向に位置付けるための骨格を形成するよう作用する。位置付けられたCDRによって形成される抗原結合ドメインは、免疫反応抗原上のエピトープに相補的な表面を提供し、これは、その同族エピトープへの抗体の非共有結合を促進する。CDRおよびフレームワーク領域をそれぞれ含むアミノ酸は、それらが以前に定義されているため、重鎖または軽鎖可変領域について、当業者によって容易に同定され得る(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”Kabat,E.,et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1983)、およびChothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901-917(1987)を参照されたい)。
当技術分野で使用および/または許容される用語に2つ以上の定義がある場合、本明細書で使用される用語の定義は、特に反対の意味で明示的に述べられない限り、そのような全ての意味を包含することを意図する。具体的な例は、「相補性決定領域」(「CDR」)という用語を使用して、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見られる非隣接抗原結合部位を説明することである。この特定の領域は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services, “Sequences of Proteins of Immunological Interest”(1983)およびChothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)により記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。KabatおよびChothiaによるCDRの定義には、互いに比較した場合、アミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。それにもかかわらず、いずれの定義を適用して抗体またはそのバリアントのCDRを指すことも、本明細書で定義および使用される用語の範囲内にあることが意図されている。上記の引用文献の各々によって定義されるCDRを包含する適切なアミノ酸残基を、比較のため、以下の表に記載する。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、CDRの配列およびサイズに依存して異なり得る。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列がわかれば、どの残基が特定のCDRを含むかをルーチン的に決定することができる。
Kabat et al.は、任意の抗体に適用可能な可変ドメイン配列の番号付けシステムを定義した。当業者は、配列自体を超えるいかなる実験データにも依存することなく、この「Kabat番号付け」のシステムを任意の可変ドメイン配列に明確に割り当てることができる。本明細書で使用される場合、「Kabat番号付け」は、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequence of Proteins of Immunological Interest”(1983)に記載される番号付けシステムを指す。
上記の表に加えて、Kabat番号付けシステムは、CDR領域を次のように説明する。CDR-H1は、およそアミノ酸31(すなわち、最初のシステイン残基後のおよそ9個の残基)から始まり、およそ5~7個のアミノ酸を含み、次のトリプトファン残基で終わる。CDR-H2は、CDR-H1の終了後の15番目の残基で始まり、およそ16~19個のアミノ酸を含み、次のアルギニンまたはリジン残基で終わる。CDR-H3は、CDR-H2の終了後のおよそ33番目のアミノ酸残基で始まり、3~25個のアミノ酸を含み、W-G-X-Gの配列で終わる(式中、Xは任意のアミノ酸である)。CDR-L1は、およそ残基24で始まり(すなわち、システイン残基に続き)、約10~17個の残基を含み、次のトリプトファン残基で終わる。CDR-L2は、CDR-L1の終了後のおよそ16番目の残基で始まり、およそ7個の残基を含む。CDR-L3は、CDR-L2の終了後(すなわち、システイン残基に続き)およそ33番目の残基で開始し、約7~11個の残基を含み、配列FまたはW-G-X-Gで終わる(式中、Xは任意のアミノ酸である)。
本明細書で使用される場合、「ナノボディ」および「単離されたVHHドメイン」という用語は、交換可能に使用され得、ラクダ科単一ドメイン抗体断片を指す。「ナノボディ」は、天然に存在する重鎖抗体に由来する最小の抗原結合断片または単一可変ドメイン(「VHH」)を指す。ナノボディは、ラクダ科に見られる重鎖のみの抗体に由来する。「ラクダ科」のファミリーでは、軽ポリペプチド鎖を欠いた免疫グロブリンが見られる。「ラクダ科」には、旧世界のラクダ科(Camelus bactrianusおよびCamelus dromedarius)および新世界のラクダ科(Lama paccos、Lama glama、Lama guanicoe、およびLama vicugnaなど)が含まれる。低特異性を有するナノボディは、単一の抗原結合部位または結合ドメインを介して複数の異なるエピトープ(またはポリペプチド領域)に結合する一方で、高特異性を有するナノボディは、単一の抗原結合部位または結合ドメインを介して1つまたはいくつかのエピトープ(またはポリペプチド領域)に結合する。
「ナノボディ」という用語は、その最も広い意味で本明細書で使用される場合、特定の生物学的源に、または特定の調製方法に限定されないことに留意されたい。例えば、本明細書のナノボディは、一般に、以下:(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離することによって、(2)天然に存在するVHHドメインをコードするヌクレオチド配列の発現によって、(3)天然に存在するVHHドメインの「ヒト化」によって、もしくはそうしたヒト化されたVHHドメインをコードする核酸の発現によって、(4)任意の動物種からの、特にヒトなどの哺乳類種からの天然に存在するVHドメインの「ラクダ化」によって、もしくはそうしたラクダ化されたVHドメインをコードする核酸の発現によって、(5)当該技術分野に記載される「ドメイン抗体」もしくは「Dab」の「ラクダ化」によって、またはそうしたラクダ化されたVHドメインをコードする核酸の発現によって、(6)それ自体が知られているタンパク質、ポリペプチド、または他のアミノ酸配列を調製するための合成または半合成技法を使用することによって、(7)それ自体が知られている核酸合成のための技法を使用してナノボディをコードする核酸を調製し、続いて、このようにして得られた核酸の発現によって、および/あるいは(8)前述の1つ以上の任意の組み合わせによって得ることができる。
「モノボディ」という用語は、本明細書で使用される場合、重鎖可変ドメインを有し、軽鎖可変ドメインを有しない抗原結合分子を指す。モノボディは、軽鎖の不在下で抗原に結合することができ、典型的には、CDRH1、CDRH2、およびCDRH3で指定される3つのCDR領域を有する。重鎖IgGモノボディは、ジスルフィド結合によって接続された2つの重鎖抗原結合分子を有する。重鎖可変ドメインは、1つ以上のCDR領域、好ましくはCDRH3領域を含む。「VhH」または「VHH」は、モノボディなどの重鎖抗体の可変ドメインを指す。「ラクダ科モノボディ」または「ラクダ科VHH」は、ラクダ科の動物源から得られるモノボディまたはその抗原結合部分を指し、これには、2つの蹄および革状の足底を有する脚を有する動物が含まれる。
「DARPin」(設計されたアンキリン反復タンパク質)という用語は、標的タンパク質に対して高い特異性および高い結合親和性を有する抗体模倣タンパク質を指し、これは遺伝子操作を介して調製される。DARPinは、天然のアンキリンタンパク質に由来し、例えば、少なくとも3、4、または5個のアンキリン反復モチーフを含む、少なくとも2つのアンキリン反復モチーフを含む構造を有する。DARPinは、反復モチーフの数に応じて、任意の好適な分子量を有することができる。DARPinは、構造を提供するコア部分と、コアの外側に存在し、標的に結合する標的結合部分とを含む。構造コアは、保存されたアミノ酸配列を含み、標的結合部分は、標的に応じて異なるアミノ酸配列を含む。DARPinは、抗体と同様の標的特異性を有する。したがって、二重特異性キメラタンパク質の新しい形態は、DARPinを抗体または抗体断片、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4)抗体、またはscFv-Fc抗体断片などに付着させることによって提供される。
本明細書で使用される場合、「アフィボディ」という用語は、モノクローナル抗体を模倣して、高親和性で標的タンパク質またはペプチドに結合するように操作されたタンパク質を指し、したがって、抗体模倣物のファミリーのメンバーである。アフィボディは、ブドウ球菌タンパク質AのIgG結合ドメインに由来する3つのヘリックスバンドルドメインから成る。タンパク質ドメインは、58個のアミノ酸配列から成り、13個のランダム化アミノ酸がアフィボディバリアントの範囲を提供する。抗体よりも著しく小さいにもかかわらず(アフィボディの重量は約6kDaである一方、抗体は一般的に約150kDaの重量である)、アフィボディ分子は、その結合部位が抗体の結合部位とほぼ等しい表面積であるため、抗体のように機能する。
本明細書で使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、scFv、またはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意のタンパク質決定因子を含むことができる。可変領域は、抗体が抗原上のエピトープを選択的に認識し、特異的に結合することを可能にする。例えば、抗体のVLドメインおよびVHドメイン、または相補性決定領域(CDR)のサブセットが組み合わされて、三次元抗原結合部位を定義する可変領域を形成する。この四次抗体構造は、Yの各アームの末端に存在する抗原結合部位を形成する。エピトープ決定因子は、アミノ酸または糖側鎖などの分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり得、通常、特異的な三次元構造特徴、ならびに特異的な電荷特徴を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端またはC末端ペプチドに対して産生され得る。より具体的には、抗原結合部位は、VHおよびVL鎖の各上の3つのCDR(すなわち、CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、およびCDR-L3)によって定義される。
本明細書で使用される場合、「免疫学的結合」および「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と免疫グロブリンが特異的である抗原との間で生じるタイプの非共有相互作用を指すことができる。免疫学的結合相互作用の強度、または親和性は、相互作用の解離定数(K)に関して表すことができ、Kが小さいほど、より大きな親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当技術分野で周知の方法を使用して定量化することができる。1つのそのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成および解離の速度を測定することを伴い、それらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性、および両方向の速度に等しく影響する幾何学的パラメータに依存する。したがって、「オン速度定数」(Kon)および「オフ速度定数」(Koff)は、濃度ならびに会合および解離の実際の速度の計算によって決定することができる。(Nature 361:186-87(1993)を参照されたい)。Koff/Konの比は、親和性に関連しない全てのパラメータをキャンセルすることを可能にし、平衡結合定数Kに等しい。(一般に、Davies et al.(1990)Annual Rev Biochem 59:439-473を参照されたい)。
例えば、いくつかの実施形態では、Kは、約1E-12Mと約1E-11MのKとの間にある。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-11Mと約1E-10MのKとの間にある。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-10Mと約1E-9MのKとの間にある。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-9Mと約1E-8MのKとの間にある。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-8Mと約1E-7MのKとの間である。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-7Mと約1E-6MのKとの間である。例えば、いくつかの実施形態では、Kは、約1E-12Mであり、他の実施形態では、Kは、約1E-11Mである。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-10Mであり、他の実施形態では、Kは、約1E-9Mである。いくつかの実施形態では、Kは、約1E-8Mであり、他の実施形態では、Kは、約1E-7Mである。いくつかの実施形態では、Kは、約1E~6Mであり、他の実施形態では、Kは、約1E~5Mである。いくつかの実施形態では、例えば、Kは、約3E~11Mであり、他の実施形態では、Kは、約3E~12Mである。いくつかの実施形態では、Kは、約6E~11Mである。「特異的に結合する」または「に特異性を有する」とは、その抗原結合ドメインを介してエピトープに結合する抗体を指すことができ、結合は抗原結合ドメインとエピトープとの間にある程度の相補性を伴うことを意味する。例えば、抗体は、ランダムで無関係なエピトープに結合するよりも容易に、その抗原結合ドメインを介してそのエピトープに結合する場合、そのエピトープに「特異的に結合する」と言われる。
例えば、抗pY抗体、B1、およびB2は、一価または二価とすることができ、一本鎖または二本鎖を含むことができる。機能的には、本明細書に記載の抗体の結合親和性は、10-5M~10-12Mの範囲内である。例えば、抗pY抗体の結合親和性は、10-6M~10-12M、10-7M~10-12M、10-8M~10-12M、10-9M~10-12M、10-5M~10-11M、10-6M~10-11M、10-7M~10-11M、10-8M~10-11M、10-9M~10-11M、10-10M~10-11M、10-5M~10-10M、10-6M~10-10M、10-7M~10-10M、10-8M~10-10M、10-9M~10-10M、10-5M~10-9M、10-6M~10-9M、10-7M~10-9M、10-8M~10-9M、10-5M~10-8M、10-6M~10-8M、10-7M~10-8M、10-5M~10-7M、10-6M~10-7M、または10-5M~10-6Mである。
標的タンパク質、またはそれらの誘導体、断片、類似体、相同体、もしくは相同分子種は、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成における免疫原として利用することができる。プロテオリポソームに連結した標的タンパク質、またはその誘導体、断片、類似体、相同体、もしくは相同分子種は、これらのタンパク質成分に免疫特異的に結合する抗体の生成における免疫原として利用することができる。
ヒトモノクローナル抗体が開示されるヒトモノクローナル抗体の特異性を有するかどうかを決定する別の方法は、本発明のヒトモノクローナル抗体を、それと通常反応性である標的タンパク質とプレインキュベートし、次いで、試験されるヒトモノクローナル抗体を添加し、試験されるヒトモノクローナル抗体がその結合する能力において阻害されるかを決定するためのものである。試験されるヒトモノクローナル抗体が阻害される場合、おそらく、本発明のモノクローナル抗体と同じか、または機能的に同等のエピトープ特異性を有する。
当技術分野内で知られる様々な手順は、本発明のタンパク質に対して、またはそれらの誘導体、断片、類似体、相同体、もしくは相同分子種に対して向けられたポリクローナルまたはモノクローナル抗体の産生に使用することができる。(例えば、抗体:A Laboratory Manual,Harlow E,and Lane D,1988,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYを参照されたく、これは参照により本明細書に組み込まれる)。
抗体は、プロテインAまたはプロテインGを使用するアフィニティークロマトグラフィーなどの周知の技法によって精製することができ、これらは主に免疫血清のIgG画分を提供する。その後、または代替的に、求められる免疫グロブリンの標的である特異的抗原、またはそのエピトープをカラムに固定化して、イムノアフィニティークロマトグラフィーによって免疫特異的抗体を精製することができる。免疫グロブリンの精製については、例えば、D.Wilkinson(The Scientist,published by The Scientist,Inc.,Philadelphia PA,Vol.14,No.8(April 17,2000),pp.25-28)によって論じられている。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」または「モノクローナル抗体組成物」という用語は、固有の軽鎖遺伝子産物および固有の重鎖遺伝子産物からなる1つの抗体分子の分子種のみを含有する抗体分子の集団を指すことができる。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、集団の全ての分子で同一である。MAbは、それに対する固有の結合親和性によって特徴付けられる抗原の特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位を含有する。
モノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature,256:495(1975)によって記載されるものなどの、ハイブリドーマ法を使用して調製することができる。ハイブリドーマ法では、マウス、ハムスター、または他の適切な宿主動物は、典型的には、免疫剤で免疫化して、免疫剤に特異的に結合するであろう抗体を産生するか、または産生することができるリンパ球を誘導する。代替的に、リンパ球は、インビトロで免疫化することができる。
免疫剤は、タンパク質抗原、その断片、またはその融合タンパク質を含むことができる。例えば、ヒト起源の細胞が望まれる場合は末梢血リンパ球が使用され得、または、非ヒト哺乳動物の供給源が望まれる場合は脾臓細胞もしくはリンパ節細胞が使用され得る。次いで、リンパ球は、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して不死化細胞株と融合され、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986)pp.59-103)を参照されたい)。不死化細胞株は、形質転換された哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシ、およびヒト起源の骨髄腫細胞とすることができる。例えば、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が用いられる。ハイブリドーマ細胞は、非融合の、不死化細胞の増殖または生存を阻害する1つ以上の物質を含有する好適な培地において培養することができる。
有用な不死化細胞株は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの発現を維持し、HAT培地などの培地に感受性であるものである。例えば、不死化細胞株は、Salk Institute Cell Distribution Center(San Diego,California)およびAmerican Type Culture Collection(Manassas,Virginia)から入手できるマウス骨髄腫株であり得る。ヒト骨髄腫およびマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株もまた、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている。(Kozbor,J.Immunol,133:3001(1984);Brodeur et al,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,Marcel Dekker,Inc.,New York,(1987)pp.51-63)を参照されたい)。
次いで、ハイブリドーマ細胞が培養される培地を、抗原に対するモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。例えば、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などのインビトロ結合アッセイによって決定される。そのような技法およびアッセイは、当技術分野で既知である。モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Scatchard analysis of Munson and Pollard,Anal.Biochem.,107:220(1980).更に、モノクローナル抗体の治療用途では、標的抗原に対して高度の特異性および高い結合親和性を有する抗体を同定することが重要である。
所望のハイブリドーマ細胞が同定された後、クローンは、限界希釈手順によってサブクローニングされ、標準的な方法によって成長させることができる。(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press,(1986)pp.59-103)を参照されたい)。この目的のための好適な培地には、例えば、ダルベッコ改変イーグル培地およびRPMI-1640培地が挙げられる。代替的に、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物における腹水としてインビボで成長させることができる。
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、例えば、プロテインA-セファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、またはアフィニティークロマトグラフィーなどの従来の免疫グロブリン精製手順によって、培養培地または腹水液から単離または精製することができる。
モノクローナル抗体はまた、米国特許第4,816,567号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるような、組換えDNA法によって作製することもできる。本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定され得る。本発明のハイブリドーマ細胞は、そのようなDNAの供給源として機能する。単離されたら、DNAを、発現ベクター内に配置することができ、次いで、他の方法では免疫グロブリンタンパク質を産生しないサルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、または骨髄腫細胞などの宿主細胞に形質転換され、組換え宿主細胞において、モノクローナル抗体の合成を得る。DNAはまた、例えば、相同マウス配列の代わりにヒト重鎖および軽鎖定常ドメインのコード配列を置き換えることによって(米国特許第4,816,567号、Morrison,Nature 368,812-13(1994)を参照されたい)または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部または一部を共有結合することによって、修飾することができる。そのような非免疫グロブリンポリペプチドは、本発明の抗体の定常ドメインの代わりに使用することができるか、または本発明の抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに使用して、キメラ二価抗体を作成することができる。
完全ヒト抗体は、例えば、CDRを含む、軽鎖および重鎖の両方の配列全体がヒト遺伝子から生じる抗体分子である。そのような抗体は、本明細書では「ヒト化抗体」または「完全ヒト抗体」と呼ばれる。完全ヒトおよびヒト化抗体などのヒトモノクローナル抗体は、トリオーマ技法、ヒトB細胞ハイブリドーマ技法を使用して調製することができる(Kozbor,et al,1983 Immunol Today 4:72を参照されたい)、およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのEBVハイブリドーマ技術(Cole,et al,1985 In:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96)を参照されたい。ヒトモノクローナル抗体を利用することができ、ヒトハイブリドーマを使用することによって(Cote,et al,1983.Proc Natl Acad Sci USA 80:2026-2030)、またはインビトロでヒトB細胞をエプスタインバーウイルスで形質転換することによって(Cole,et al.,1985 In:MONOCLONAL ANTIBODIES AND CANCER THERAPY,Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96)によって産生することができる。
「ヒト化抗体」は、非ヒト種(マウスなど)からの抗体とすることができるが、そのアミノ酸配列(例えば、CDR領域内)は、ヒトで産生される抗体バリアントとの類似性を高めるよう修飾されている。抗体は、CDR移植などの当技術分野で知られている方法によってヒト化することができる。Safdari et al.,(2013)Biotechnol Genet Eng Rev.;29:175-86.も参照されたい。更に、ヒト化抗体は、既存の哺乳動物システムに代わる安価な産出手段として、トランスジェニック植物で生産することができる。例えば、トランスジェニック植物は、タバコ植物、すなわち、Nicotiania benthamianaおよびNicotiana tabaccumであり得る。抗体は、植物の葉から精製される。植物の安定した形質転換は、Agrobacterium tumefaciensまたはパーティクルガン法を使用することで達成することができる。例えば、少なくとも重鎖および軽鎖配列を含有する核酸発現ベクターは、細菌培養物、すなわち、A.tumefaciens株BLA4404において、形質転換を介して発現される。植物の浸透は注射によって達成することができる。可溶性葉抽出物は、乳鉢で葉組織を粉砕し、遠心分離することによって調製することができる。抗体の単離および精製は、当技術分野の当業者に公知の多くの方法によって容易に実施することができる。植物における抗体産生の他の方法は、例えば、Fischer et al.,Vaccine,2003,21:820-5、およびKo et al,Current Topics in Microbiology and Immunology,Vol.332,2009,pp.55-78に記載されている。したがって、本発明は、本発明の抗体をコードする、または本発明の抗体を産生するベクターを含む任意の細胞または植物を提供する。
抗体は、例えば、CDR移植(EP239,400、国際公開第91/09967号、米国特許第5,225,539号、同第5,530,101号、および同第5,585,089号)、ベニアリングまたはリサーフェシング(EP592,106、EP519,596、Padlan,Molecular Immunology28(4/5):489-498(1991);Studnicka et al.,Protein Engineering7(6):805-814(1994);Roguska.et al.,Proc.Natl.Sci.USA91:969-973(1994))、およびチェーンシャッフリング(米国特許第5,565,332号、参照によりその全体が組み込まれる)を含む、当技術分野で公知の様々な技法を使用してヒト化することができる。「ヒト化」(リシェイプまたはCDRグラフトとも呼ばれる)は、異種源(通常はげっ歯類)からのモノクローナル抗体(mAb)の免疫原性を低減させ、ヒト免疫システムのその活性化を改善するための、当業者に理解される確立された技術である(例えば、Hou S,Li B,Wang L,Qian W,Zhang D,Hong X,Wang H,Guo Y(July 2008).”Humanization of an anti-CD34 monoclonal antibody by complementarity-determining region grafting based on computer-assisted molecular modeling”.J Biochem.144(1):115-20)を参照されたい。
加えて、抗体(ヒト抗体など)はまた、ファージディスプレイライブラリを含む他の技法を使用して産生することもできる。(Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol,222:581(1991)を参照されたい。同様に、ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されているマウスに、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作製することができる。チャレンジ時、ヒト抗体産生が観察され、これは、遺伝子再配置、アセンブリ、および抗体レパートリーを含む、全ての態様においてヒトに見られるものと非常によく似ている。このアプローチは、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、ならびにMarks et al.,Bio/Technology 10,779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368856-859(1994);Morrison,Nature368,812-13(1994);Fishwild et al,Nature Biotechnology14,845-51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14,826(1996)、およびLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)に記載されている。
ヒト抗体は、追加的に、抗原によるチャレンジに応答して動物の内因性抗体ではなく完全ヒト抗体を産生するように修飾されるトランスジェニック非ヒト動物を使用して産生することができる。(国際公開第94/02602号および米国特許第6,673,986号を参照されたい)。非ヒト宿主における重鎖および軽鎖免疫グロブリン鎖をコードする内因性遺伝子は、機能不全にされており、ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリンをコードする活性遺伝子座は、宿主のゲノムに挿入される。ヒト遺伝子は、例えば、必要なヒトDNAセグメントを含有する酵母人工染色体を使用して、組み込まれる。次いで、全ての所望の修飾を提供する動物は、修飾の完全な相補体よりも少ない相補体を含有する中間トランスジェニック動物を交配することによって子孫として得られる。そのような非ヒト動物の非限定的な例はマウスであり、国際公開第96/33735号および同第96/34096号に開示されるように、Xenomouse(商標)と呼ばれる。この動物は、完全ヒト免疫グロブリンを分泌するB細胞を産生する。抗体は、例えば、ポリクローナル抗体の調製物として、目的の免疫原での免疫化後、直接動物から、または代替的に、モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマなどの、動物に由来する不死化B細胞から得ることができる。追加的に、ヒト可変領域を有する免疫グロブリンをコードする遺伝子は、回収および発現されて、抗体を直接得ることができるか、または更に修飾されて、例えば、一本鎖Fv(scFv)分子などの抗体の類似体を得ることができる。
したがって、そのような技法を使用して、治療的に有用なIgG、IgA、IgM、およびIgE抗体を産生することができる。ヒト抗体を産生するためのこの技法の概要については、Lonberg and Huszar Int.Rev.Immunol.73:65-93(1995)を参照されたい。ヒト抗体およびヒトモノクローナル抗体を産生するためのこの技術、ならびにそのような抗体を産生するためのプロトコルの詳細な議論については、例えば、国際公開第98/24893号;同第96/34096号;同第96/33735号;米国特許第5,413,923号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;同第5,569,825号;同第5,661,016号;同第5,545,806号;同第5,814,318号、および同第5,939,598号を参照されたく、これらはその全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、Creative BioLabs(Shirley,NY)などの企業は、本明細書に記載の技術と同様の技術を使用して、選択された抗原に対するヒト抗体を提供することに従事し得る。
内因性免疫グロブリン重鎖の発現を欠く、マウスとして例示される、非ヒト宿主を産生する方法の例は、米国特許第5,939,598号に開示される。これは、遺伝子座の再配置を防止し、再配置された免疫グロブリン重鎖遺伝子座の転写物の形成を防止するために、胚性幹細胞における少なくとも1つの内因性重鎖遺伝子座からJセグメント遺伝子を欠失することであって、欠失が、選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含有するベクターを標的化することによって行われる、欠失することと、胚性幹細胞からトランスジェニックマウスを産生することであって、その体細胞および生殖細胞が、選択可能なマーカーをコードする遺伝子を含有する、産生することと、を含む、方法によって得ることができる。
ヒト抗体などの、目的の抗体を産生するための1つの方法は、米国特許第5,916,771号に開示される。この方法は、重鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを培養物中の1つの哺乳動物宿主細胞へ導入し、軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを別の哺乳動物宿主細胞へ導入し、2つの細胞を融合してハイブリッド細胞を形成することを含む。ハイブリッド細胞は、重鎖および軽鎖を含有する抗体を発現する。
この手順の更なる改善において、免疫原上の臨床的に関連するエピトープを特定するための方法、および関連するエピトープに高い親和性で免疫特異的に結合する抗体を選択するための相関する方法は、国際公開第99/53049号に開示されている。
目的の抗体はまた、本明細書に記載の一本鎖抗体をコードするDNAセグメントを含有するベクターによって発現させることができる。例えば、ベクターは、限定されないが、国際公開第93/64701号に記載されるような、標的化部分(例えば細胞表面受容体に対するリガンド)および核酸結合部分(例えばポリリシン)を含む化学コンジュゲート、ウイルスベクター(例えばDNAまたはRNAウイルスベクター)、例えばPCT/US95/02140(WO95/22618)に記載される融合タンパク質、すなわち標的化部分(例えば標的細胞に特異的な抗体)および核酸結合部分(例えばプロタミン)を含有する融合タンパク質、プラスミド、ファージ、ウイルスベクターなどが挙げられる。ベクターは、染色体、非染色体、または合成物であり得る。レトロウイルスベクターを使用することも可能であり、モロニーマウス白血病ウイルスが挙げられる。DNAウイルスベクターを使用することも可能であり、オルソポックスまたはアビポックスベクターなどのポックスベクター、単純ヘルペスウイルスI型(HSV)ベクターなどのヘルペスウイルスベクター(Geller,A.I.et al,J.Neurochem,64:487(1995);Lim,F.,et al,in DNA Cloning:Mammalian Systems,D.Glover,Ed.(Oxford Univ.Press,Oxford England)(1995);Geller,A.I.et al,Proc Natl.Acad.Sci.:U.S.A.90:7603(1993);Geller,A.I.,et al,Proc Natl.Acad.Sci USA 87:1149(1990)を参照されたい)、アデノウイルスベクター(LeGal LaSalle et al,Science,259:988(1993);Davidson,et al,Nat.Genet 3:219(1993);Yang,et al,J.Virol.69:2004(1995)を参照されたい)、およびアデノ随伴ウイルスベクターKaplitt,M.G.,et al,Nat.Genet.8:148(1994)を参照されたい)が挙げられる。
ポックスウイルスベクターは、遺伝子を細胞の細胞質に導入する。アビポックスウイルスベクターは、核酸の短期間の発現のみをもたらす。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、および単純ヘルペスウイルス(HSV)ベクターは、核酸を神経細胞に導入するために使用され得る。アデノウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(約4ヶ月)よりも短期間の発現(約2ヶ月)をもたらし、これはひいてはHSVベクターよりも短い。選択される特定のベクターは、標的細胞および治療されている状態に依存する。導入は、標準的な技法、例えば、感染、トランスフェクション、形質導入、または形質転換によることができる。遺伝子導入の様式の例としては、例えば、裸のDNA、CaP0沈降、DEAEデキストラン、エレクトロポレーション、プロトプラスト融合、リポフェクション、細胞マイクロインジェクション、およびウイルスベクターが挙げられる。
ベクターは、本質的に任意の所望の標的細胞を標的化するために用いることができる。例えば、定位的注入を使用して、ベクター(例えば、アデノウイルス、HSV)を所望の位置に誘導することができる。追加的に、粒子は、SynchroMed Infusion Systemなどのミニポンプ注入システムを使用した脳室内(icv)注入によって送達することができる。対流と呼ばれるバルク流に基づく方法も、脳の拡張領域に大きな分子を送達するのに効果的であることが証明されており、ベクターを標的細胞に送達するのに有用であり得る。(Bobo et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:2076-2080(1994);Morrison et al,Am.J.Physiol.266:292-305(1994)を参照されたい)。使用することができる他の方法には、カテーテル、静脈内、非経口、腹腔内、および皮下注射、ならびに経口または他の既知の投与経路が含まれる。
これらのベクターは、様々な方法で使用することができる多量の抗体を発現させるために使用することができる。例えば、試料におけるTIGITの存在を検出するためである。TIGIT活性に結合させて妨害することを試みるために、抗体を使用することもできる。
一実施形態では、本明細書に記載の抗体は、Fc受容体に結合する野生型Fc領域と同様のFc領域を含有する完全長抗体であり得る。
技法は、本発明の抗原性タンパク質に特異的な一本鎖抗体の産生に適合させることができる(例えば、米国特許第4,946,778号を参照されたい)。加えて、方法は、Fab発現ライブラリ(例えば、Huse,et al,1989 Science 246:1275-1281を参照されたい)の構築に適合させて、タンパク質、またはその誘導体、断片、類似体、もしくは相同体について所望の特異性を有するモノクローナルFab断片の迅速かつ効果的な同定を可能にすることができる。タンパク質抗原に対するイディオタイプを含有する抗体断片は、当技術分野で知られている技法によって産生することができ、限定されないが、以下を含む。(i)抗体分子のペプシン消化によって産生されたF(ab’)2断片、(ii)F(ab’)2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生成されたFab断片、(iii)抗体分子のパパインおよび還元剤での処理によって生成されたFab断片、ならびに(iv)F断片。
ヘテロコンジュゲート抗体も本発明の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗体は、2つの共有結合した抗体で構成される。そのような抗体は、例えば、免疫システム細胞の望ましくない細胞への標的化が可能であり(米国特許第4,676,980号を参照されたい)、HIV感染の治療が可能である(国際公開第91/00360号、同第92/20373号を参照されたい)。抗体は、架橋剤を伴うものを含む、合成タンパク質化学における既知の方法を使用してインビトロで調製することができる。例えば、免疫毒素は、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって構築することができる。この目的に適した試薬の例には、イミノチオレートおよびメチル-4-メルカプトブチリミデート、ならびに、例えば、米国特許第4,676,980号に開示されるものが挙げられる。
本発明の抗体は、例えば、がんの治療における抗体の有効性を高めるように、エフェクター機能に関して修正することができる。例えば、システイン残基(複数可)は、Fc領域に導入することができ、それによってこの領域での鎖間ジスルフィド結合形成を可能にする。このように生成されたホモ二量体抗体は、改善された内在化能力ならびに/または増加した補体媒介性細胞殺滅および抗体依存性細胞毒性(ADCC)を有することができる。(Caron et al,J.Exp Med.,176:1 191-1 195(1992)、およびShopes,J.Immunol.,148:2918-2922(1992)を参照されたい)。代替的に、二重Fc領域を有し、それによって強化された補体溶解およびADCC能力を有することができる抗体を操作することができる。(Stevenson et al,Anti-Cancer Drug Design,3:219-230(1989を参照されたい)。一実施形態では、本発明の抗体は、Fc領域がFc受容体に結合しないように、Fc領域の修飾を有する。例えば、Fc受容体は、Fcγ受容体である。Fc領域がFcγに結合しないが、依然として新生児のFc受容体に結合するような、Fc領域の修飾を伴う抗体は、本明細書に記載されるように有用である。
特定の実施形態では、本発明の抗体は、抗体の抗原非依存性エフェクター機能、特に抗体の循環半減期を変更するアミノ酸置換を含むFcバリアントを含むことができる。そのような抗体は、これらの置換を欠く抗体と比較される場合、FcRnへの、増加したかまたは減少した結合のいずれかを呈し、したがって、それぞれ、増加したかまたは減少した血清中の半減期を有する。FcRnについての改善された親和性を有するFcバリアントは、より長い血清半減期を有することができ、そのような分子は、例えば、慢性疾患または障害を治療するために、投与された抗体の長い半減期が望まれる哺乳動物を治療する方法において有用な用途を有する。対照的に、減少したFcRn結合親和性を有するFcバリアントは、より短い半減期を有することが予想され、そのような分子はまた、例えば、短縮された循環時間が有利であり得る哺乳動物に投与するために、例えば、インビボ診断画像化のために、または出発抗体が、長期間にわたって循環中に存在する場合、毒性の副作用を有する状況において、有用である。減少したFcRn結合親和性を有するFcバリアントは、胎盤を横切る可能性も低く、よって妊婦における疾患または障害の治療においても有用である。加えて、低減したFcRn結合親和性が望ましい場合がある他の用途には、脳、腎臓、および/または肝臓への局在化が望ましい用途が含まれる。一実施形態では、Fcバリアント含有抗体は、脈管構造から腎糸球体の上皮を横切る低減された輸送を呈し得る。別の実施形態では、Fcバリアント含有抗体は、脳から血液脳関門(BBB)を横切り血管空間への低減された輸送を呈し得る。一実施形態では、変更されたFcRn結合を有する抗体は、Fcドメインの「FcRn結合ループ」内に1つ以上のアミノ酸置換を有するFcドメインを含む。FcRn結合ループは、アミノ酸残基280~299(EU番号付け)で構成される。変更されたFcRn結合活性を有する例示的なアミノ酸置換は、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第05/047327号に開示されている。特定の例示的な実施形態では、本発明の抗体またはその断片は、以下の置換:V284E、H285E、N286D、K290E、およびS304D(EU番号付け)のうちの1つ以上を有するFcドメインを含む。
いくつかの実施形態では、変異は、mAbの抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)活性が変更されるように、mAbの定常領域に導入される。例えば、変異は、CH2ドメインにおけるLALA変異である。一実施形態では、抗体(例えば、ヒトmAb、または二重特異性Ab)は、ADCC活性を低減させるヘテロ二量体mAbの1つのscFvユニット上に変異を含有する。別の実施形態では、mAbは、ADCC活性を完全に除去する、ヘテロ二量体mAbの両方の鎖上に変異を含有する。例えば、mAbの一方または両方のscFvユニットに導入された変異は、CH2ドメインのLALA変異である。可変ADCC活性を有するこれらのmAbは、mAbがmAbによって認識される1つの抗原を発現する細胞に向かって最大の選択的殺滅を呈するが、mAbによって認識される第2の抗原に向かって最小の殺滅を呈するように、最適化することができる。
他の実施形態では、本明細書に記載の診断および治療方法での使用のための本発明の抗体は、例えばIgGまたはIgGの重鎖定常領域などの定常領域を有し、それはグリコシル化を低減または排除するように変更される。例えば、本発明の抗体はまた、抗体のグリコシル化を変更するアミノ酸置換を含むFcバリアントを含み得る。例えば、Fcバリアントは、低減されたグリコシル化(例えば、N結合型またはO結合型グリコシル化)を有し得る。いくつかの実施形態では、Fcバリアントは、アミノ酸位置297(EU番号付け)に通常見られるN結合型グリカンの低減されたグリコシル化を含む。別の実施形態では、抗体は、グリコシル化モチーフ、例えばアミノ酸配列NXTまたはNXSを含むN結合型グリコシル化モチーフの付近または内部にアミノ酸置換を有する。具体的な実施形態では、抗体は、アミノ酸位置228または299(EU番号付け)にアミノ酸置換を有するFcバリアントを含む。より具体的な実施形態では、抗体は、S228PおよびT299A変異(EU番号付け)を含むIgG1またはIgG4定常領域を含む。
使用することができる酵素的に活性な毒素およびその断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、エキソトキシンA鎖(Pseudomonas aeruginosaから)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンチンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、およびPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、リストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、およびトリコテセンが挙げられる。放射性コンジュゲート抗体の産生には、様々な放射性同位体が利用可能である。非限定的な例としては、212Bi、131I、131In、90Y、および186Reが挙げられる。
抗体のコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジル等)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6ジイソシアネートなど)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)などの様々な二官能性タンパク質連結剤を使用して作製される。例えば、リシン免疫毒素は、Vitetta et al,Science 238:1098(1987)に記載のように調製することができる。例えば、炭素14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲーションのための例示のキレート剤である。(国際公開第94/11026号および米国特許第5,736,137号を参照されたい)。
当業者であれば、多種多様な可能な部分が、得られる抗体に、または本発明の他の分子に結合され得ることを理解する。(例えば、”Conjugate Vaccines”,Contributions to Microbiology and Immunology,J.M.Cruse and R.E.Lewis,Jr(eds),Carger Press,New York,(1989)を参照されたく、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる)。
連結は、抗体および他の部分がそれらのそれぞれの活性を保持する限り、2つの分子を結合し得る任意の化学反応によって達成することができる。この結合は、多くの化学機構、例えば、共有結合、親和性結合、インターカレーション、配位結合、複合体形成を含むことができる。一実施形態では、結合は、共有結合である。共有結合は、既存の側鎖の直接縮合によって、または外部架橋分子の組み込みによってのいずれかで達成することができる。多くの二価または多価結合剤は、本発明の抗体などのタンパク質分子を他の分子に連結するのに有用である。例えば、代表的な連結剤としては、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアネート、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン、およびヘキサメチレンジアミンなどの有機化合物を挙げることができる。この列挙は、当技術分野で既知の様々なクラスの連結剤を網羅することを意図するものではなく、むしろ、より一般的な連結剤の例示である。(Killen and Lindstrom,Jour.Immun.133:1335-2549(1984);Jansen et al.,Immunological Reviews 62:185-216(1982)、およびVitetta et al,Science 238:1098(1987))を参照されたい。リンカーの非限定的な例は、文献に記載されている。(例えば、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルの使用を記載するRamakrishnan,S.et al.,Cancer Res.44:201-208(1984)を参照されたい)。オリゴペプチドリンカーによって抗体に連結したハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用について記載する、米国特許第5,030,719号も参照されたい。本発明の抗体とともに使用することができる有用なリンカーの非限定的な例としては、以下が挙げられる:(i)EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ-プロピル)カルボジイミド塩酸塩、(ii)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-プリジル-ジチオ)-トルエン(Pierce Chem.Co.,カタログ(21558G)、(iii)SPDP(スクシンイミジル-6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.,カタログ番号21651G)、(iv)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル6[3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオンアミド]ヘキサノエート(Pierce Chem.Co.,カタログ番号2165-G)、および(v)EDCにコンジュゲートしたスルホ-NHS(-ヒドロキシスルホ-スクシンイミド:Pierce Chem.Co.、カタログ番号24510)。
本明細書に記載のリンカーは、異なる属性を有する成分を含有し、したがって異なる物理化学的特性を有するコンジュゲートをもたらす。例えば、カルボン酸アルキルのスルホ-NHSエステルは、芳香族カルボン酸塩のスルホ-NHSエステルよりも安定である。NHS-エステル含有リンカーは、スルホ-NHSエステルよりも溶解性が低い。更に、リンカーSMPTは、立体障害ジスルフィド結合を含有し、増加した安定性を有するコンジュゲートを形成することができる。ジスルフィド結合は、一般に、他の結合よりも安定性が低く、これはジスルフィド結合がインビトロで切断され、利用可能なコンジュゲートが少なくなるためである。特に、スルホ-NHSは、カルボジミド連結の安定性を強化することができる。カルボジミド連結(EDCなど)は、スルホ-NHSとともに使用されると、カルボジミド連結反応単独よりも加水分解に対してより耐性のあるエステルを形成する。
本明細書に開示される抗体はまた、免疫リポソームとして製剤化することができる。抗体を含有するリポソームは、Epstein et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:3688(1985)、Hwang et al,Proc.Natl Acad.Sci.USA,77:4030(1980)、ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されるような当該技術分野で知られる方法によって調製される。拡張された循環時間を有するリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。
非限定的な有用なリポソームの例は、ホスファチジルコリン、コレステロール、およびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物による逆相蒸発法によって生成することができる。リポソームは、所望の直径を有するリポソームをもたらすために、規定された孔径のフィルターを介して押し出される。本発明の抗体のFab’断片は、ジスルフィド交換反応を介して、Martin et al,J.Biol.Chem.,257:286-288(1982)に記載されるリポソームにコンジュゲートすることができる。
多重特異性抗体(二重特異性および三重特異性)
多重特異性抗体は、2つ以上の異なる抗原を認識することができる抗体である。例えば、二重特異性抗体(bsAb)は、2つの可変ドメインまたはscFvユニットを含む抗体であり、結果として、得られる抗体は、2つの異なる抗原を認識する。例えば、三重特異性抗体(tsAb)は、2つの可変ドメインまたはscFvユニットを含む抗体であり、結果として、得られる抗体は、3つの異なる抗原を認識する。本発明は、標的タンパク質および第2の抗原および/または第3の抗原中のリン酸化アミノ酸モチーフを認識する二重特異性および三重特異性抗体などの多重特異性抗体を提供する。一実施形態では、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体および三重特異性抗体)は、本明細書に記載の抗体を包含する抗pY特異性融合タンパク質を含むことができる。例示的な第2およびまたは第3の抗原としては、腫瘍関連抗原(例えば、LINGO1)、サイトカイン(例えば、NCBI参照番号NP_000873.2を有するIL-12(IL-12A(p35サブユニット)タンパク質配列、NCBI参照番号NP_002178.2を有するIL-12B(p40サブユニット)タンパク質配列、IL-18(NCBI参照番号NP_001553.1を有するタンパク質配列)、IL-15(NCBI参照番号NP_000576.1を有するタンパク質配列)、IL-7(NCBI参照番号NP_000871.1を有するタンパク質配列)、IL-2(NCBI参照番号NP_000577.2を有するタンパク質配列)、およびIL-21(NCBI参照番号NP_068575.1を有するタンパク質配列))、サイトカイン類似受容体(例えば、IL-12R)、および細胞表面受容体を含む。第2および/または第3の抗原の非限定的な例としては、CTLA-4、LAG-3、CD28、CD122、4-1BB、TIM3、OX-40、OX40L、CD40、CD40L、LIGHT、ICOS、ICOSL、GITR、GITRL、TIGIT、CD27、VISTA、B7H3、B7H4、HEVM(またはBTLA)、CD47、CD73、PD-1、2B4、CD57、KLRG-1、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一実施形態では、二重特異性抗体は、第1の抗原結合ドメイン(B1)および第2の抗原結合ドメイン(B2)を含む。一実施形態では、第1の抗原結合ドメイン(B1)は、シグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合する。別の実施形態では、第2の抗原結合ドメイン(B2)は、B1がシグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合されている場合に、B1および/またはシグナル伝達タンパク質に結合する。
本発明の多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体および三重特異性抗体)は、当該技術分野で知られている方法を使用して構築することができる。いくつかの実施形態では、二重特異性抗体は、2つのscFv断片が2つのscFvユニット間の分子内会合が抗体を形成することを可能にするのに十分な長さの、長いリンカーポリペプチドによって結合される、単一ポリペプチドである。他の実施形態では、二重特異性抗体は、共有結合または非共有結合によって連結された2つ以上のポリペプチドである。
PD1に対する抗体の使用(処置方法)
様々な実施形態では、シグナル伝達タンパク質、またはその断片中のリン酸化アミノ酸に特異的に結合する本発明の抗体は、細胞の調節に影響を与えることができるように、細胞内で発現することができる。いくつかの実施形態では、細胞は、CAR-T細胞を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体系を発現するCAR-T細胞は、患者に注入され得る。いくつかの実施形態では、患者は、がんを有することができる。いくつかの実施形態では、がんは、血液がんであり得る。いくつかの実施形態では、がんは、肺がん、腎臓がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、乳がん、子宮頸がん、子宮がん、脳がん、皮膚がん、肝臓がん、膵臓がん、または胃がんを含む固形がんであり得る。
本明細書で使用される場合、「治療する」または「治療」という用語は、治療的治療および防止的もしくは予防的測定の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的変化または障害、例えば、がんの進行を予防するか、または遅らせる(少なくする)ことである。有益なまたは所望の臨床結果には、検出可能であるか、検出不能であるかにかかわらず、症候の軽減、疾患の程度の低下、疾患の安定した(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行の遅延または減速、病状の改善または緩和、および寛解(部分的もしくは完全な)が含まれるが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けていない場合に予想される生存と比較して、生存を延長することを指し得る。治療を必要とするものとしては、既に状態もしくは障害を有するもの、ならびに状態もしくは障害を有する傾向があるもの、または状態もしくは障害が予防されるべきものが含まれる。
本発明は、がん(例えば、そのような対象において早期検出がんバイオマーカーが同定された場合)、または他の細胞増殖関連の疾患もしくは障害のリスクがある(または感受性がある)対象を治療する、予防的方法および治療的方法の両方を提供する。そのような疾患または障害としては、限定されないが、例えば、PD-1の異常発現に関連する疾患または障害が挙げられる。例えば、方法は、がんの症候を治療、予防、または軽減するために使用される。一実施形態では、方法は、固形腫瘍の症候を治療、予防、または軽減するために使用される。本明細書に記載の組成物によって治療することができるがんの非限定的な例としては、肺がん、卵巣がん、前立腺がん、結腸がん、子宮頸がん、脳がん、皮膚がん、肝臓がん、膵臓がん、または胃がんが挙げられる。追加的に、本発明の方法は、白血病およびリンパ腫などの血液がんを治療するために使用することができる。代替的に、方法を使用して、転移したがんの症候を治療、予防、または緩和することができる。例えば、治療または予防できる、または症候を緩和できるがんとしては、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、リンパ腫、または腎細胞がんが挙げられる。治療または予防できる、または症候を軽減することができるがんとしては、高い変異負荷を有する固形腫瘍およびろ液中のWBCも挙げられる。治療または予防できる、またはその症候を軽減できるがんとしては、PD-1/TIGIT軸のシグナルが調節されたがん、(限定されないが)乳がん、肺がん(例えば、非小細胞肺がんまたは肺腺がん)、胃がん、結腸直腸がん、膀胱がん、膵臓がん、前立腺がん、食道扁平上皮がん、鼻咽頭がん、およびPD-1/PDL1軸が活性な液体腫瘍(びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)およびB細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)などが更に挙げられる)(例えば、Han et al.,PD-1/PD-L1 pathway:current researches in cancer,Am J Cancer Res 2020;10(3):727-742を参照されたい)。
したがって、一態様では、本発明は、対象に本発明のモノクローナル抗体、scFv抗体、または二重特異性抗体を投与することによって、対象における症候性がんまたは細胞増殖疾患もしくは障害を予防、治療、または緩和するための方法を提供する。例えば、本明細書に開示する抗体系を発現する細胞は、治療有効量で投与することができる。
薬学的組成物
本発明の抗体を発現する細胞は、いくつかの実施形態では、薬学的組成物の形態で、がんの治療のために投与することができる。抗体を含む治療用の薬学的組成物の調製に関連する原理および注意事項、ならびに成分の選択に関するガイダンスは、例えば、Remington:The Science And Practice Of Pharmacy 20th ed.(Alfonso R.Gennaro,et al, editors)Mack Pub.Co.,Easton,Pa.,2000;Drug Absorption Enhancement:Concepts,Possibilities,Limitations,And Trends,Harwood Academic Publishers,Langhorne,Pa.,1994;and Peptide And Protein Drug Delivery(Advances In Parenteral Sciences,Vol.4),1991,M.Dekker,New Yorkに提供される。
任意の特定の患者に対する特定の投与量および治療レジメンは、使用される特定の抗体、バリアント、またはそれらの誘導体、患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与時間、排泄速度、薬物の組み合わせ、および治療される特定の疾患の重症度など、様々な要因に応じ得る。医療従事者によるそのような要因の判断は、当業者の技量の範囲内である。その量はまた、治療される個々の患者、投与経路、製剤のタイプ、使用される化合物の特徴、疾患の重症度、および所望の効果にも依存し得る。使用される量は、当技術分野で周知の薬学的原理および薬物動態学的原理によって決定することができる。
本発明の細胞の治療有効量は、治療目的を達成するために必要な量とすることができる。
本発明の薬学的組成物は、その意図される投与経路と適合するように製剤化される。投与経路の例としては、非経口、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(例えば、局所)、経粘膜、および直腸投与が挙げられる。非経口、皮内、または皮下用途に使用される溶液または懸濁液は、以下の成分:注射用水、生理食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒などの滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩などの緩衝液、ならびに塩化ナトリウムまたはデキストロースなどの張度調整のための薬剤を含むことができる。pHは、塩酸または水酸化ナトリウムなどの酸または塩基で調整することができる。非経口調製物は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、使い捨てシリンジ、または複数回投与バイアルに封入することができる。
注射使用に好適な薬学的組成物は、(水溶性の場合)滅菌水溶液、または滅菌注射溶液もしくは分散液の即時調製のための分散液および滅菌粉末を含み得る。静脈内投与のために、好適な担体としては、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が挙げられる。実施形態では、組成物は、無菌であり、容易な注射針通過性が存在する程度に流動性である。組成物は、製造および保存条件下で安定であり得、また、細菌および真菌等の微生物の汚染作用から保護され得る。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、ならびにそれらの好適な混合物を含有する溶媒または分散媒体であり得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合、必要とされる粒子サイズの維持によって、かつ界面活性剤の使用によって維持され得る。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールなどによって達成され得る。多くの場合、等張化剤は、例えば、糖、マンニトール、ソルビトールなどの多価アルコール、塩化ナトリウムを組成物中に含めることができる。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に含めることによってもたらすことができる。
組み合わせ方法
本明細書に記載の本発明の組成物は、化学療法剤と組み合わせて投与することができる。本開示の組成物とともに投与され得る化学療法剤としては、限定されないが、抗生物質誘導体(例えば、ドキソルビシン、ブレオマイシン、ダウノルビシン、およびダクチノマイシン)、抗エストロゲン(例えば、タモキシフェン);代謝拮抗剤(例えば、フルオロウラシル、5-FU、メトトレキサート、フロキシウリジン、インターフェロンアルファ-2b、グルタミン酸、プリカマイシン、メルカプトプリン、および6-チオグアニン);細胞毒性剤(例えば、カルムスチン、BCNU、ロムスチン、CCNU、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、エストラムスチン、ヒドロキシ尿素、プロカルバジン、マイトマイシン、ブスルファン、シスプラチン、および硫酸ビンクリスチン)、ホルモン(例えば、メドロキシプロゲステロン、エストラムスチンリン酸ナトリウム、エチニルエストラジオール、エストラジオール、酢酸メゲストロール、メチルテストステロン、ジエチルスチルベストロール二リン酸塩、クロロトリアニセン、およびテストラクトン);窒素マスタード誘導体(例えば、メファレン、コランブシル、メクロレタミン(窒素マスタード)およびチオテパ);ステロイドおよび組み合わせ(例えば、ベタメタゾンリン酸ナトリウム);ならびに他のもの(例えば、ジカルバジン、アスパラギナーゼ、ミトタン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンブラスチン、およびエトポシド)が挙げられる。
追加の実施形態では、本明細書に記載の本発明の組成物は、サイトカインと組み合わせて投与することができる。組成物とともに投与され得るサイトカインとしては、限定されないが、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-10、IL-12、IL-13、IL-15、抗CD40、CD40L、およびTNF-αが挙げられる。
追加の実施形態では、本明細書に記載の組成物は、例えば、放射線療法などの他の治療または予防レジメンと組み合わせて投与することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、他の免疫療法剤と組み合わせて投与することができる。免疫療法剤の非限定的な例としては、シムツズマブ、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アルシツモマブ、バビツキシマブ、ベクトモマブ、ベバシズマブ、ビバツズマブ、ブリナツモマブ、ブレンツキシマブ、カンツズマブ、カテマキソマブ、セツキシマブ、シタツズマブ、シクストゥムマブ、クリバツズマブ、コナツムマブ、ダラツムマブ、ドロジツマブ、デュリゴツマブ、デュシギツマブ、デトゥモマブ、ダセツズマブ、ダロツズマブ、エクロメキシマブ、エロツズマブ、エンシツキシマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、ファレツズマブ、フィクラツズマブ、フィギツムマブ、フランボツマブ、フツキシマブ、ガニツマブ、ゲムツズマブ、ギレントキシマブ、グレンバツムマブ、イブリツモマブ、イゴボマブ、イムガツズマブ、インダツキシマブ、イノツズマブ、インテツムマブ、イピリムマブ、イラツムマブ、ラベツズマブ、レキサツムマブ、リントゥズマブ、ロルボツズマブ、ルカツムマブ、マパツムマブ、マツズマブ、ミラツズマブ、ミレツモマブ、ミツモマブ、モキセツモマブ、ナルナツマブ、ナプトゥモマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、ノフェツモマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、オナルツズマブ、オポルツズマブ、オレゴボマブ、パニツムマブ、パルサツズマブ、パトリツマブ、ペムツモマブ、ペルツズマブ、ピントゥモマブ、プリツムマブ、ラコツモマブ、ラドレツマブ、リロツムマブ、リツキシマブ、ロバツムマブ、サツモマブ、シブロツズマブ、シルトキシマブ、ソリトマブ、タカツズマブ、タプリツモマブ、テナツモマブ、テプロツムマブ、チガツズマブ、トシツモマブ、トラスツズマブ、トゥコツズマブ、ウブリツキシマブ、ベルツズマブ、ボルセツズマブ、ボツムマブ、ザルツムマブ、CC49、および3F8が挙げられる。
他の実施形態
本発明は、その詳細な説明と併せて記載されているが、上述の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を例示することを意図するものであり、限定するものではない。他の態様、利点、および修正は、以下の請求の範囲の範囲内に含まれる。
また、本明細書に開示される結合剤分子のいずれかをコードする核酸が、本明細書に開示される。結合剤分子をコードする核酸を含有するベクターおよびベクターを含有する細胞が企図される。いくつかの実施形態では、核酸および/またはベクターを含有する細胞は、T細胞であり得る。細胞は、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、CAR-マクロファージ細胞などであり得る。
本明細書にはまた、本明細書に開示される抗体もしくは抗体系、または抗体もしくは抗体系をコードする遺伝子を細胞に導入するための方法が開示される。いくつかの実施形態では、抗体/抗体系またはコード遺伝子は、インビトロまたはエクスビボで細胞に導入することができる。導入後、抗体を発現する細胞を患者に導入することができる。いくつかの実施形態では、抗体/抗体系または抗体/抗体系をコードする遺伝子は、患者に導入され、T細胞、NK細胞、マクロファージなどの所望の細胞型を標的化することができる。
いくつかの実施形態では、抗体/抗体系または抗体/抗体系をコードする遺伝子は、脂質ナノ粒子またはウイルスベクターを使用して細胞に導入することができる。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、細胞にmRNAを導入するために使用することができる抗体/抗体系をコードするmRNAを含有することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される抗体/抗体系は、毒素に、または毒素断片に連結され得る。毒素/毒素断片は、細胞と接触させることができる。毒素/毒素断片は、細胞の表面の受容体に結合することができる。毒素/毒素断片は、細胞によって内在化されることができ、また、連結された抗体/抗体系を内在化する。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される試薬および方法は、細胞における特定のリン酸化アミノ酸の存在を検出するための免疫アッセイ試薬またはバイオセンサーとして使用することができる。本明細書の他の場所に開示されるように、結合剤は、特定のリン酸化アミノ酸(例えば、ホスホチロシン)に結合することができるが、これらのリン酸化アミノ酸は、特定のタンパク質内でのみ結合することもできる(例えば、PD-1内では、他のタンパク質におけるホスホチロシンは結合しない)。本明細書に開示される結合剤を使用して、細胞内の特定のタンパク質中のリン酸化アミノ酸の存在を検出し、視覚化することができる。
いくつかの実施形態では、バイオセンサーとして使用される結合剤は、それらが特定のタンパク質内の特定のリン酸化アミノ酸に結合する場合に、細胞内で検出することができる。いくつかの実施形態では、この結合は、イメージング法を使用して検出され得る。バイオセンサーとして使用される結合剤があるいくつかの実施形態では、結合剤分子は、蛍光タンパク質などのように、容易に視覚化することができるタンパク質に融合され得る。蛍光タンパク質は、例えば、顕微鏡または他のイメージングモダリティを使用して検出され、特定のタンパク質中の特定のリン酸化アミノ酸の存在または不在を確認することができる。この例を、図30、図32、および図33に例示する。蛍光以外の読み出しは、これらの結合剤バイオセンサーシステムで使用することができる。
開示される結合剤バイオセンサーは、例えば、診断的に使用することができる。いくつかの実施形態では、これらのバイオセンサーを使用して、細胞もしくは細胞株をスクリーニングするか、または細胞もしくは細胞株の表現型を確認することができる。いくつかの実施形態では、これらのバイオセンサーは、例えば、疾患を検出するため、特定の疾患に対する特定の治療が有効であることを確認するため、治療剤の有効性を検出するためなどに使用することができる。いくつかの実施形態では、バイオセンサーとして使用される結合剤は、細胞内の機能的または欠陥のある調節ネットワークを検出することができる。
本発明は、以下の実施例で更に説明され、これらの実施例は、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定しない。
発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に提供する。以下の実施例は、発明の作製および実施の例示的なモードを示している。しかしながら、発明の範囲は、これらの実施例に開示の特定の実施形態に限定されず、代替的な方法を使用して同様の結果を得ることができるため、例示のみを目的とするものである。
実施例1
開発
我々は、SHP2N-SH2-C-SH2およびN-SH2-C-SH2-ITAM(リン酸化PD-1に結合する)を発現するJurkat細胞が、インビトロで強化されたJurkat活性化を示したことを観察した。また、我々は、リン酸化PD-1を特異的に認識するタンパク質結合剤のスクリーニングおよび検証にも成功した。
問題
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、過去10年間でがん治療に革命をもたらした。これらの操作されたT細胞は、その標的を発現するがん細胞を破壊するためにがん標的に向けられる。しかしながら、天然のT細胞と同様に、CAR-T細胞は、反復刺激後に疲弊しやすい。この場合、PD-1などのいくつかのチェックポイント阻害性受容体は、CAR-T細胞表面上で上方制御され、腫瘍細胞の表面上のリガンド受容体と相互作用してT細胞活性を遮断する。PD-1と同族リガンドPD-L1との間のシグナル伝達を遮断する治療用抗体が存在するが、患者データは、これが患者の一部でのみ有効であることを示している。したがって、新規なチェックポイント受容体阻害剤が望ましい。
我々のアプローチは、CAR-T細胞内のPD-1のチロシンリン酸化型または「活性」型に結合する結合剤を開発し、それらの結合剤を使用して、細胞内のCAR-T細胞疲弊を調節することである。Xin Zhou博士によって以前に開発された(Zhou,Xin X.,et al.”Targeting phosphotyrosine in native proteins with conditional,bispecific antibody traps.”Journal of the American Chemical Society 142.41(2020):17703-17713)pY-TRAP方法、および酵母表面ディスプレイを使用して、我々は、SHP-2(PD-1に結合するホスファターゼ)の循環置換されたSH2とFab抗体の重鎖との融合物である結合剤を選択した。このアプローチは、我々が排出されたシグナルの発生源を特異的に標的化しており、このシグナルをいくつかの異なる出力にリワイヤできるため、T細胞疲弊を制御するための他の方法よりも多くの利点を有する。追加的に、我々は、この結合剤の発現を制御して、PD-1シグナル伝達のオン/オフを切り替えることができ、この研究は、PD-1または他のチェックポイント阻害剤の単なるノックアウトよりも優れている可能性があることを示す。他のアプローチは、pY PD-1への結合およびT細胞活性をオフにすることに関与すると考えられるホスファターゼであるSHP-2をノックアウトすることであり得る。しかしながら、SHP-2のノックアウトは、T細胞の疲弊を防げないことも示されている。これは、SHP-2がいくつかの異なるリン酸化チロシンタンパク質に結合し、それを細胞から完全に除去することによって、別の方法でT細胞機能が変更されるという事実に起因する可能性が最も高い。
我々は、ヒトがんを治療するために、これをCAR-T細胞の遺伝子操作とともに使用している。この場合、結合剤は細胞内に発現され、したがって、構築物は、CAR-T受容体を導入するレンチウイルスに含まれ得る。別のアプローチは、脂質ナノ粒子、AAV法、または細胞透過性ペプチドを介してタンパク質結合剤を細胞内に送達することである。
このアプローチは、他のチェックポイント受容体上の他のリン酸化チロシン部位への同様の結合剤と組み合わせることができる。追加的に、これを、TGFベータ受容体をノックアウトするなどの他のCAR-T操作アプローチと組み合わせることはまた、有効性を増加させ得る。
実施例2
具体的な目的
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、血液のがんの治療における有効性が実証されているが、これらの強力な抗がん戦略の広範な使用に対して多くの障害が残っている。主要な課題は、CARの構造がT細胞シグナル伝達の機構をどのように支配するかを決定するための堅牢なインサイチュ方法の欠如、したがって、優れたCAR治療薬の合理的な設計が妨げられることである。別の障壁は、免疫抑制性サイトカイン、腫瘍関連マクロファージ、および重度のCAR-T疲弊を促進する阻害チェックポイントに起因する、固形腫瘍における有害な免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)である。TMEにおける様々な阻害シグナルの中で、T細胞上のPD-1と腫瘍および非腫瘍細胞上のPD-L1との間の相互作用は、CAR-T細胞疲弊の主要なドライバーである。調和して、PD-1シグナル伝達を減衰させるための戦略は、CAR-T細胞の有効性を著しく強化する。しかしながら、現在の方法は、安全性の懸念、低効率、または補償的シグナル伝達機構に起因してかなりの制限を有する。
チロシンリン酸化(pY)は、T細胞におけるシグナル伝達経路の中心的かつ遍在的な構成要素であり、活性化および抑制シグナル伝達応答の両方を媒介する。これらの重要な機能のために、pY特異的シグナル伝達イベントを調節するための操作戦略は、CAR-T細胞のシグナル伝達および機能を試験、操作、および最適化するための強力なアプローチとなり得る。しかしながら、この戦略は、特異的かつタイトな合成抗pY結合剤を設計する方法が容易に利用可能ではないため、これまでに探索されていなかった。
以前の研究では、我々は、「組換え抗体対によるpY標的化」または「pY-TRAP」と呼ばれる合成抗pY結合剤を操作するための強力なプラットフォームを開発した(Zhou,Xin X.,et al.”Targeting phosphotyrosine in native proteins with conditional,bispecific antibody traps.”Journal of the American Chemical Society 142.41(2020):17703-17713)。我々は、B1およびB2の2つの結合剤を操作し、B1は、一般的な抗pY結合剤の変異であり、B2は、B1およびpY抗原の複合体に結合した。この二重結合剤アプローチは、リン酸塩認識の課題に対処し、親和性および特異性も促進する。これは、三次元タンパク質構造におけるpY修飾に対する特異的結合剤の操作を可能にする最初のインビトロ方法である。この研究は、内因性シグナル伝達経路をリワイヤし、CAR-T細胞における新規な細胞シグナル伝達応答を操作する可能性を広げる。
CAR-T細胞におけるPD-1シグナル伝達経路を再プログラムする(R00相)。T細胞上で活性化されると、PD-1は、SHPホスファターゼをそのpYシグナル伝達モチーフに動員することによって、シグナル伝達タンパク質のリン酸化を終わらせる。合成PD-1経路は、リン酸化PD-1上のpYモチーフに結合する合成エフェクターを使用して操作することができる。我々は、pY-TRAP法の誘導体を使用して、PD-1上の2つの細胞質pY修飾に対する特異的かつタイトな抗pY結合剤を開発することができる。これらのドメインは、異なる酵素(ホスファターゼまたはキナーゼ)に融合し、CAR-T細胞で発現し得る。それらの優れた親和性は、リン酸化PD-1への内因性SHP結合を上回り得、PD-1経路のカスタマイズされたシグナル伝達出力をもたらす。理論に拘束されることを望まないが、ホスファターゼへの融合を発現させることは、免疫抑制機能をもたらすことができるが、キナーゼへの融合は、免疫賦活性機能をもたらすことができる。このシグナル伝達リワイヤ戦略を試験して、TIGITなどの他の免疫抑制経路に一般化可能であるかどうかを決定し、PD-1およびTIGIT共阻害の効果を試験することができる。
実施例3
研究戦略
背景:
キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、特にB細胞白血病およびリンパ腫の血液悪性腫瘍の治療に関して、前例のない成功を示している。しかしながら、全てのがん死亡率の90パーセントを占める固形悪性腫瘍に対する有効性は非常に限られている。これらの強力な抗がん戦略の広範な使用に対して多くの障害が残っている。
主な障害は、主に、固形腫瘍に関連する敵対的腫瘍微小環境(TME)における免疫抑制因子によって引き起こされるT細胞疲弊の結果としての、CAR-T細胞の非効率的な活性化および限定的な持続である。CAR-T細胞の抑制において主要な役割を果たす1つの機構は、活性化または疲弊したCAR-T細胞上に発現するプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)と、TME内の様々な腫瘍および非腫瘍細胞上に提示されるそのリガンドPD-L1との間の相互作用である。調和して、CAR-T細胞におけるPD-1シグナル伝達を減衰させることは、CAR-T細胞の有効性を有意に強化する。10以上の臨床試験が、CAR-T細胞療法を改善するための手段としてPD-1シグナル伝達を遮断するための戦略を試験している(clinicaltrials.gov)。しかしながら、現在のアプローチは、不十分な安全性プロファイルまたは低効率の一次T細胞ゲノム工学への依存(以下に詳述)を含む制限を有する。PD-1媒介性T細胞機能障害に耐性のあるCAR-T細胞を操作するための単純、安全、かつ効率的なアプローチは、まだ報告されていない。
チロシンリン酸化(pY)は、タンパク質機能を調節する広範なモードであり、CAR-T細胞におけるシグナル伝達経路の重要なセットの基礎となる(図1)。CAR活性化中、CAR受容体中のCD3ζドメインなどのシグナル伝達ドメインは、その免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)内でリン酸化され、これにより、CARシグナルソームへのキナーゼの動員および下流シグナル伝達経路の活性化がもたらされる)。免疫抑制経路では、多くの受容体(PD-1を含む)によって使用される共通の機構は、そのリン酸化された免疫受容体チロシンベースの阻害性またはスイッチ様モチーフ(ITIMまたはITSM、図1)にホスファターゼを動員することによって、シグナル伝達タンパク質のリン酸化を終えることである。CAR-T細胞におけるpY修飾の重要な機能を考慮すると、特定のpY事象を調節するための方法は、CAR-T細胞を試験および操作するための強力な手段を表す。しかしながら、このアプローチは、主に、Src相同性2(SH2)ドメインなどの天然のpY結合モチーフが非常に無差別である(すなわち、pY結合ドメインは、特定のアミノ酸、特定のタンパク質に特異的かつ排他的に結合しない)ため、利用されておらず、特異的かつタイトな合成抗pY結合剤を操作する方法は、容易に利用可能ではなかった。
本明細書の試験では、ファージディスプレイプラットフォームを使用して、配列特異的抗pY結合剤を操作する。この研究は、CARの構造が刺激シグナル伝達経路および抑制シグナル伝達経路の両方にどのように影響するかを示している。この研究はまた、より強力なCAR-T細胞を産生するための内因性抑制経路の再プログラミングにも対処する。
具体的には、我々は、経路の免疫抑制機能を再プログラムするように設計されたCAR-T細胞における合成PD-1経路を操作する方法を示す。
革新:
チロシンリン酸化を試験するための主な課題は、特定の検出および精製方法の開発である。pY配列に対するほとんどの抗体は、動物免疫化を使用して生成されるが、この方法は、低スループットであり、高価であり、多くの場合、低親和性、低特異性、および更新不可能な試薬を生成し、非免疫原性抗原に適合しない。以前、我々は、pY修飾に対する合成結合剤を生成するための「組換え抗体対によるpY標的化」(pY-TRAP)と呼ばれるインビトロファージディスプレイワークフローを開発さした(図2A~B、Zhou,Xin X.,et al.”Targeting phosphotyrosine in native proteins with conditional,bispecific antibody traps.”Journal of the American Chemical Society 142.41(2020):17703-17713)。この方法では、我々は、B1およびB2の2つの結合剤を操作し、B1は、一般的な抗pY抗体の変異であり、B2は、B1と特定のpYタンパク質(B1またはpYタンパク質のみではない)の複合体に結合する。この二重結合剤アプローチは、リン酸塩認識の課題に対処し、強化された親和性および配列特異性を促進する。B1およびB2を一緒に連結することにより、pY修飾へのサブナノモルKd結合剤がもたらされ、これは、これまで知られている中でも最もタイトな抗PTM結合剤である。本明細書では、我々は、CAR-T細胞の作用を試験し、再プログラムするための合成pY結合剤に基づく革新的な技術について説明する。
合成シグナル伝達出力を用いた天然細胞シグナル伝達経路の再プログラミング。天然pY経路は、ナイーブpY結合モダリティの分子混合性のために、実質的なクロストークを呈する。そのような相互作用は、典型的には、単一のタンパク質が動的に複数のパートナーと会合することを可能にする低い親和性および適度な選択性を有する。対照的に、pY-TRAPのタイトかつ特異的な性質により、我々は、正確に線形の合成経路を操作する。そのような合成経路は、内因性シグナル伝達のリワイヤを可能にして、CAR-T細胞における新規な細胞シグナル伝達応答を駆動することができる(図3)。本研究では、我々は、そのような戦略を使用してPD-1シグナル伝達の出力をリワイヤし、CAR-T細胞の抑制性TME(腫瘍微小環境)に対する耐性を強化する。
多くのCAR-T操作アプローチが開発されているが、CAR-T細胞機能を改善するためのpY結合剤ベースのシグナル伝達経路の操作は探索されていなかった。このアプローチの一般化、すなわち、pYシグナルを検出し、次にそれをカスタマイズ可能な応答にリワイヤするコンパクトな合成シグナル伝達経路を設計することは、目的の任意の生物学的システムにおいてユーザ定義の機能を実施する合成シグナル伝達機構の構築を可能にする。
CAR-T細胞におけるPD-1シグナル伝達経路の再プログラム
いくつかの実施形態では、内因性SHPホスファターゼの代わりに、リン酸化PD-1が合成エフェクターを動員するCAR-T細胞における合成PD-1経路を構築することで、経路の出力を免疫抑制からカスタマイズされた応答にリワイヤすることができる。
序論:
PD-1の免疫抑制機能を克服するために、CAR-T細胞におけるPD-1シグナル伝達を妨害する方法が開発されており、前臨床および臨床試験において有望であることが示されている。方法は、PD-1/PD-L1遮断抗体を投与すること、またはPD-1/PD-L1遮断抗体を分泌する操作されたCAR-T細胞を使用することを含む(図6A)。しかしながら、これらの方法は、全身性免疫チェックポイント遮断薬に関連する重度の自己免疫応答を引き起こし得る。あるいは、PD-1のゲノム妨害は、CAR-T細胞における固有のPD-1経路を特異的に遮断することができるが、この方法は、初代T細胞の非常に非効率的なゲノム操作を必要とする(図6B)。最後に、キメラPD-1/CD28受容体は、PD-1経路の免疫抑制機能を免疫活性化に反転させることができるが、内因性PD-1シグナル伝達経路がその免疫抑制役割を果たすことを妨げるものではない(図6C)。
PD-1経路のシグナル伝達出力をリワイヤして、T細胞活性の抑制因子ではなくエンハンサーに変換することができる(図8)。このアプローチは、既存の方法よりも優れたいくつかの利点:(1)CAR-T細胞の内因性PD-1経路のみを調節し、したがって、全身性PD-1遮断によって引き起こされる毒性をもたらさないこと、(2)T細胞の正確なゲノム編集を必要としないこと、(3)内因性PD-1経路の免疫抑制機能を遮断すること、および(4)出力を柔軟にプログラムすることができること、を有する。
PD-1におけるpY修飾に対する「スーパーバインダー」を操作するためのpY-TRAP法の誘導体。細胞シグナル伝達経路を試験および調節するために、直鎖pY抗原と相互作用する結合剤を操作する方法が必要である。ITAM、ITIM、およびITSMなどのフレキシブルな直鎖構造モチーフにおけるpYは、細胞シグナル伝達の広範なメディエーターであるだけでなく、ウエスタンブロットなどの頻繁に使用されるアッセイは、直鎖または変性エピトープに結合する試薬を必要とする。pY-TRAP法(図2)は、折り畳みタンパク質中のpY部位に対して広く有用であるが、B1は、ペプチド結合に最適ではないため、このアプローチは、線状エピトープに対して有効ではない可能性がある。pY-TRAPシステムにおけるB1を、直鎖pYエピトープに結合する天然モチーフであるSH2ドメインに置き換えることで、直鎖pY抗原を認識する新しい結合モダリティをもたらすことができる(図7A)。
PD1の細胞質ドメインは、ITIMおよびITSMモチーフ(図7B)を含有し、これらは、免疫細胞シグナル伝達活性を調節するために重要な直鎖pY含有モチーフである。内因性PD-1経路において、活性化PD-1は、SHPホスファターゼにおけるリン酸化ITIMとITAMとSH2ドメインとの間の相互作用を介して、SHPホスファターゼを動員する。PD-1におけるpY部位に対する「スーパーバインダー」を操作するために、SHPのSH2ドメインをB1として使用し、次いで、我々の社内Fabまたは単一ドメインVHライブラリからSH2-pY複合体を認識するドメインをスクリーニングし、それをB2として使用することができる(図7A)。ライブラリは、単一ドメイン抗体ライブラリ(VH断片)に融合されたcpSH2であり得る(Bracken,Colton J.,et al.”Bi-paratopic and multivalent VH domains block ACE2 binding and neutralize SARS-CoV-2.”Nature chemical biology 17.1(2021):113-121を参照されたい)。このライブラリは、ナノボディライブラリに融合されたcpSH2であり得る(McMahon,Conor,et al.”Yeast surface display platform for rapid discovery of conformationally selective nanobodies.”Nature structural & molecular biology 25.3(2018):289-296を参照されたい)。このB2-SH2融合体は、内因性SHPホスファターゼよりもPD-1におけるpY修飾に対する親和性が大幅に強化されるべきであった。
具体的には、B2を同定するために2つのアプローチを使用することができる。pY-TRAPを開発した我々の経験に基づくと、pY抗原/B1間の安定した相互作用(Kd<50nM)が、B2の同定を成功させるための鍵である。SH2ドメインとpY抗原との間の相互作用は、典型的には、100nM~10μMのKdを有し、したがって、より強力な相互作用を促進するための追加の操作ステップを必要とする。第1の方法では、メチオニンベースのコンジュゲーション化学またはサブチリガーゼベースのバイオコンジュゲーション方法を使用して、合成PD-1pYペプチドをSHP SH2ドメインにライゲートし、次いでこの共有結合を使用してB2を選択することができる。単一のポリペプチド鎖内の2つの部分の高い局所濃度は、それらの相互作用を著しく安定化することができる。また、SHP SH2ドメインをVHドメインのライブラリに遺伝的に融合させて、VH-SH2融合を示すファージライブラリを作製することもできる。次に、固定化されたPD-1 pYペプチドを使用して、この新しいファージライブラリから最も強い相互作用SH2-VHバリアントをプルダウンすることができる。得られた結合剤を用いて、我々は、B2-SH2融合物を操作し、バイオレイヤー干渉法を使用して、それらの結合親和性およびPD-1pY抗原に対する特異性を特徴付けることができる。これらの融合は、SHPにおいてSH2ドメイン単独よりもはるかに高い親和性でPD-1に結合することができる。pY-TRAPアプローチにおいて、我々は、B1-B2融合物は、pY抗原に対してサブナノモルのKdを有する一方で、B1またはB2のいずれかがKd>10nMで結合することを見出した(図2A)。内因性PD-1への結合は、ウエスタンブロットまたは免疫沈降実験によって検証され得る。
CAR-T細胞における合成PD-1経路の操作。B2-SH2ドメインを、ホスファターゼおよびキナーゼを含む異なるエフェクタードメインに融合して、CAR-T細胞で発現するための合成エフェクタードメインを作成し得る(図8)。理論に拘束されることを望まないが、無エフェクターに融合したB2-SH2は、天然のSHPよりもはるかに高い親和性でPD-1に結合するため、PD-1シグナル伝達を阻害することができ、したがって、免疫シナプスへの内因性SHPの動員およびそれに続く免疫抑制機能を防止する。理論に拘束されることを望まないが、B2-SH2のSHPのホスファターゼドメインへの融合(B2-SH2-SHP)は、自然のSHPよりも免疫シナプスとより安定して関連付けられるため、強力に免疫抑制的であり得る。理論に拘束されることを望まないが、B2-SH2のLCK(B2-SH2-LCK)またはZAP70への融合(B2-SH2-ZAP70)、CARシグナルソームの組み立ておよび機能を促進するキナーゼは、PD-1シグナル伝達の元の免疫抑制性の結果を刺激シグナルに変換することができる。
モデル細胞株、均質かつ高いPD-1発現を有するPD-1+Jurkat細胞株(図5)を使用する。Jurkat細胞は、抗CD19-CARおよび合成エフェクターをコードするレトロウイルスで感染させ、次いで、CD19+PD-L1+K562細胞(他の場所に記載される)と共培養することができ、これは、CARシグナル伝達ならびにPD-L1/PD-1経路を活性化することができる。我々は、このJurkat細胞株におけるB2-SH2、B2-SH2-SHP2、またはB2-SH2-LCKの過剰発現が、NFAT-GFPの強度およびJurkat細胞活性化の初期表面マーカーであるCD69の発現を決定することによってアッセイされる、CAR活性化の多様な大きさの範囲をもたらし得るかどうかを決定することができる。理論に従うことを望まないが、B2-SH2-SHP2発現は、最も弱いCAR-T活性化をもたらし得るが、B2-SH2-LCK/ZAP70発現は、最も強力なCAR-T活性化をもたらし得る。エフェクタードメインにおけるタンパク質融合物、リンカー長、および変異の異なる配向を試験して、所望のシグナル伝達出力を有する構築物を決定することができる。
最適な構築物は、一次CAR-T細胞で発現することができる。疲弊/機能不全表現型を誘導するために、我々は、10ng/mlのブドウ球菌エンテロトキシンBの存在下で3日間形質導入T細胞を培養することができ(Charles River)、これは、T細胞上のPD-1の発現を著しく増加させることができる。PD-1のレベルは、抗PD-1抗体を用いたフローサイトメトリーを使用してアッセイすることができる。これらの疲弊したPD-1+一次CAR-T細胞をCD19+PD-L1+K562細胞と共培養して、CARおよびPD-1シグナル伝達経路を活性化することができる。表面マーカー(CD69/CD25/CD137)、タンパク質リン酸化(PLC-γ1-pY783、CD3ζ-pY142、ZAP70-pY319)、サイトカイン放出(IL-2、IFN-γ、TNF-α)、および細胞毒性を特徴付けて、B2-SH2およびB2-SH2-LCKで形質導入された細胞が、モック構築物またはB2-SH2-SHP29を発現する細胞よりも強力な活性化/細胞毒性を誘発するかどうかを決定することができる。これらの実験は、合成経路がPD-1の内因性機能を正常にリワイヤし、CAR-T細胞機能への影響をもたらすかどうかを一緒に決定することができる。
他の免疫抑制経路のための戦略。患者における遺伝子発現の比較分析は、免疫機能に関連する156個の遺伝子が差異的に発現したことを示した。PD-1は、複数の面で追求されている有望な候補であるにもかかわらず、これらのデータは、他の免疫調節因子を考慮する必要性を強調する。類似の免疫抑制受容体のうちの1つは、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)である。最近の研究は、CAR-T細胞におけるTIGIT-CD28キメラ受容体の過剰発現が、経路の免疫抑制機能を相殺することを示した。TIGITは、ITIMモチーフおよびIg尾部チロシン(ITT)様モチーフを含有する細胞質尾部を有する(図7B)。TIGIT経路では、CD155およびCD112などのそのリガンドへの結合は、TIGITのITIMおよびITTモチーフのリン酸化を誘導し、細胞質アダプターGrb2への結合をもたらし、これは次いで、CARシグナル伝達を終わらせるためにSHIP1を動員する。合成TIGIT経路を設計するために、我々は、上記で提案したのと同じ戦略に従うことができる。手短に言えば、我々は、TIGITのリン酸化ITIMまたはITTドメインに対するB2-SH2結合剤を開発し、それをSHIP1またはLCKに融合させ、一次CAR-T細胞で発現させることができる。その効果を試験するために、我々は、CD155+K562およびCD155-K562細胞を作製し、それらを操作されたCAR-T細胞と共培養することができる。理論に拘束されることを望まないが、B2-SH2-SHIP1融合体の発現は、強い免疫抑制機能をもたらすことができ、一方、B2-SH2-LCK融合体は、免疫賦活性であり得る。
いくつかの実施形態では、PD-1経路とTIGIT経路の共阻害の複合効果。理論に拘束されることを望まないが、CAR-T細胞におけるTIGITおよびPD-1の共阻害は、より疲弊に耐性のあるCAR-T細胞の表現型をもたらすことができる。
追加のアプローチ:
追加のアプローチは、PD-1(またはTIGIT)のpY配列に対するより強い親和性を有するSHP(またはGrb2)SH2変異を生成するために、pY抗原に対する親和性を増加させたSH2ドメインに既知の突然変異体を組み込むこと、またはよりタイトな結合剤についてスクリーニングするためのSH2ライブラリを開発することのいずれかによって、SH2親和性成熟を実施することである。
影響
この研究は、一次CAR-T細胞のエクスビボインテロゲーションおよび操作に焦点を当てている。動物モデルにおけるこれらの操作された細胞の性能を決定することができる。
実施例4
我々は、SHP-2の循環置換されたSH2(PD-1に結合するホスファターゼ)とFab抗体の重鎖可変ドメイン(VH)との融合である結合剤を標的PD-1に対して選択した。この例では、これらの結合剤を実証する実験が記載されている。
図10Aは、pY-Trap分子を例示する。図10Bは、本明細書に開示される分子の一実施形態の概略図を例示する。図10B上部は、PD-1分子中の細胞内リン酸化チロシンを示す。SH2は、ホスホチロシンに結合する結合剤(B1)を指定する。この結合剤は、PD-1のホスホチロシンに結合するSH2領域を含む。SH2領域は、ペプチドリンカーを用いて、抗体のVHドメインに連結される(B2、図10Bの下部に示される)。この抗体ドメインは、SH2に結合するか、PD-1(例えば、ホスホチロシン)に結合するか、またはSH2およびPD-1に結合する。
図11Aは、細胞外ドメインおよび細胞内ドメインを含む、PD-1分子を示す。細胞内リン酸化チロシンpY223およびpY248が示される。pY248は、我々の例示的なシステムにおいて標的化された。図11Bは、PD-1に結合するタンパク質の様々なドメインを示す(例えば、SHP2)。N-SH2ドメインは、pY223に結合する。C-SH2ドメインは、pY248に結合する。本明細書において、修飾C-SH2ドメインを我々の分子中のB1結合剤で使用した。図11Cは、我々の分子で使用されたSHP2ホスファターゼのC-SH2ドメインの循環置換バージョンを示す。SH2ドメインのこの構成は、他のポリペプチドとのその融合を促進した。図11Dは、N末端およびC末端SH2ドメインを介したSHP2のPD-1への結合を示す。PD-1に加えて、SHP2中のSH2ドメインはまた、GAB2pY614(図25、右側パネル)のような他のリン酸化分子に結合する。
図12は、SHP2ホスファターゼのC-SH2ドメインの循環置換バージョンが、PD-1分子中のpY248に弱く結合したままであることを示す。
図13A~図13Bは、本明細書に開示される分子を単離するために使用される戦略を例示する。目的の分子は、VH抗体ライブラリに連結された循環置換されたSH2ドメインを含有するものであった(図10Bも参照されたい)。我々は、PD-1のpY248に結合するために循環SH2ドメインを使用したが、スクリーニングは、循環SH2ドメインに連結されたときに、pY248への結合をより強くする(例えば、より良好なB2抗体)ライブラリからの抗体を見つけるように設計された。図13Bに示されるように、酵母ディスプレイを使用して、ライブラリからの様々なVH抗体に連結されたcpC-SH2を発現させた。
図14は、PD-1からのpY248モチーフを含有するペプチドと接触させ、フローサイトメトリーによって染色および分析した、図13Bからの酵母細胞のスクリーニングからの結果を示す。x軸には、細胞表面にcpC-SH2/VH抗体分子を発現した酵母細胞が検出された。y軸には、酵母細胞上に発現した分子のライブラリのpY248結合が示されている。楕円形中には、cpC-SH2/VH抗体分子を発現すること、およびpY248に結合すること、の両方を行う酵母クローンがある。
図15は、pY248により良好に結合する分子を得るために、図14の楕円形内に示されるcpC-SH2/VH抗体分子(B1-B2分子)の連続ラウンド(R2、R3、R4)の選別を示す。
図16A~図16Bは、酵母ディスプレイからの細胞選択から得られた個々のクローンを示す。図16Aは、陰性対照(下部)および高結合クローンのうちの1つ(上部)のフローサイトメトリー分析を示す。図16Bは、細胞選別実験から得られた各クローンについてのPD-1結合のプロットを示す。左側では、SHP2からの二重SH2ドメインが、高結合についての陽性対照であった。右側は、低結合cpSH2である(図12参照を参照されたい)
図17は、細胞選別実験から得られた10個のクローンについての結合データを示す。これらの分子のうちのいくつかについてのDNA配列を得た。次世代配列決定を使用して、プールされた試料中の最も豊富な配列についてもDNA配列を得た。これらの分子のいくつかからのVHドメイン内に含まれるCDRを表2に示す。VH領域のうちの1つの核酸配列を表1に示す。
図18は、二重SH2陽性対照(高結合剤)と比較した、A4およびF10クローンの用量応答結合曲線を示す。
図19Aは、PD-1中のpY248に対する二重SH2陽性対照(高結合剤)およびcpSH2低結合剤と比較した、A3、A4、およびF10クローンの用量応答結合曲線を示す。このタイプの追加のデータを図28Aに示す。図19Bは、Grb2関連結合タンパク質-2(Gab2)におけるpY614に対するA3、A4、およびF10クローンの用量応答結合曲線を示す。Gab2は、SH2ドメインを含有する。Gab2は、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)シグナル伝達に関与している。これらのデータは、PD-1におけるpY248に対する我々の分子の特異性を示す。このタイプの追加のデータを図28Bに示す。
図20は、循環置換されたSH2ドメインを有する融合タンパク質中のA4、F10、およびA3 VHドメインが哺乳類細胞で発現され得ることを示す。
実施例5
また、機能するPD-1経路も有する、本明細書に記載の抗体系(例えば、PD-1のpY248に結合することができるSHP2の一部を含むB1ドメイン、およびPD-1のB1とpY248との間に形成される複合体に結合するB2ドメイン)を発現する細胞が使用される。機能するPD-1経路を有するが、本明細書に記載の抗体系を発現しない対照細胞も使用される。
がん細胞を発現する組換えPDL-1またはPDL-1は、抗体系を発現する細胞と、抗体系を発現しない対照細胞の両方に添加される。PDL-1の添加に伴うPD-1経路の応答を測定する。
データは、抗体系を発現しない対照細胞におけるPDL-1活性化PD-1経路が自然のSHP2エフェクタータンパク質を動員し、動員されたSHP2は、CD3およびZAP70などのT細胞エフェクタータンパク質を脱リン酸化することを示す。データは、抗体系を発現する細胞中のPDL-1活性化PD-1経路が、抗体系を発現しない細胞と比較して、SHP2を動員しないか、またはSHP2をそれほど動員しないことを示す。したがって、CD3およびZAP70などのT細胞エフェクタータンパク質は、脱リン酸化されないか、またはより少ない程度に脱リン酸化される。
実施例6
図21は、プレートベースの活性化アッセイの例を示す。アッセイでは、プレート上の細胞を、T細胞を活性化することができる抗CD3抗体の濃度を増加させて処理した。抗CD3抗体に応答した細胞の活性化は、フローサイトメトリーによってCD69を使用して測定された。CD69は、活性化T細胞のマーカーである。図中のデータは、増加する量の抗CD3抗体とともにPD-1を発現するJurkatおよびJurkat細胞の両方の活性化の増加を示す。しかしながら、Jurkat PD-1細胞におけるPD-1経路の発現に起因して、Jurkat PD-1細胞は、Jurkat細胞ほど活性化されない。
図22は、図21に例示するプレートベースの活性化アッセイを使用した、Jurkat-PD1細胞におけるCD3zモチーフに融合したpY-TRAP結合体A4、F10、およびA3の発現の効果を示す。CD3zは、ITAM(免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ)を含有するCAR受容体におけるシグナル伝達ドメインを表す。データは、CD3zモチーフに融合した結合剤がCAR-T活性を強化し得ることを示す。これらのデータは、CD3zモチーフに融合されたpY-TRAP結合剤が、免疫チェックポイント経路(例えば、PD-1)を免疫活性化経路に変換することができることを示し得る。
実施例7
特異的リン酸化アミノ酸への結合剤分子の結合をモデル細胞株システムで試験した。これを行うために、非リン酸化PD-1を安定的に発現する細胞株と、別個に、リン酸化PD-1を安定的に発現する細胞株とを構築した。
PD-1発現細胞株を構築するために、PD1-TagBFP-HAtag(図29Aに示される概略図)をHEK293細胞株において安定して発現させた。PD1-TagBFP-HAtagは、PD1分子、BFP蛍光タグ(青色)、およびHAタグを有する。別個に、PD1-TagBFP-HAtagおよびLCK-EGFP-v5tag(図29Bに示される概略図)を別のHEK293細胞株で発現させた。LCK-EGFP-v5タグは、LCKキナーゼ、EGFP蛍光タグ(緑色)、およびV5タグを有する。LCKは、PD-1をリン酸化するキナーゼである。HEK細胞は、内因性PD-1およびLCK発現を欠くため、我々は、PD-1は、LCKキナーゼを発現するHEK293細胞株でのみ発現すると予想した。
これらの細胞株におけるPD-1およびLCKの発現および膜局在性を、蛍光顕微鏡を使用して確認した(図29C)。LCK依存性PD-1リン酸化は、免疫沈降実験で確認された(図29D~図29E)。
次に、我々は、結合剤分子が細胞内で発現できるかどうか、および分子が細胞内で機能的に無傷であるかどうかを尋ねた。いくつかの単一ドメイン抗体は、還元性細胞内環境において天然に安定ではない可能性があるため(例えば、分子内ジスルフィド結合の存在に起因する)、この質問が尋ねられた。
複数の結合剤分子を、mCherry蛍光タグ(赤色)に融合させた。試験した結合剤の中で、結合剤#1、#2、#3(F10)および#5は、細胞内で中等度の細胞内発現を有した(結合剤#1および#2は、図30に示される)。他の結合剤は、細胞内発現をほとんど示さなかった(例えば、図30に示されるA3)。
次に、我々は、細胞内発現結合剤がPD-1を認識したかどうかを決定する実験を実施した。様々な結合剤分子(結合剤#1、#2、#3(F10)および#5)を、上述のPD-1発現HEK293細胞(非リン酸化PD-1)およびPD-1およびLCK過剰発現HEK293細胞(リン酸化PD-1)の両方で発現させた。PD-1およびLCKの発現は、それぞれ、抗PD-1および抗V5タグ抗体を使用して、ウエスタンブロットで確認した(図31の上部パネル)。抗mCherry抗体を使用して、ウエスタンブロットで結合剤の発現を確認した(図31の第2のパネル)。ウエスタンブロットで全細胞ライセートを分析した。
PD-1への結合剤分子の結合を試験するために、細胞内で発現されたHA-tagged PD-1-TagBFP融合タンパク質に結合する抗HAビーズを用いて免疫沈降実験を実施した。第一に、免疫沈降物を抗pTyr1000抗体でウエスタンブロットして、リン酸化PD-1を同定した。リン酸化PD-1は、LCKを発現する細胞においてのみ同定された(図31の第3のパネル)。第二に、免疫沈降物を抗mCherry抗体でウエスタンブロットし、結合剤分子を同定した。これらのデータは、結合剤#3および#5が、LCKを発現する細胞のライセート中でPD-1と共免疫沈降されたことを示し、これらの結合剤が、リン酸化PD-1を細胞内で結合したことを示した(図31の第4のパネル)。
細胞内側の結合剤分子の局在化を観察するために、高倍率蛍光画像を、結合剤#5、およびPD-1またはPD-1およびLCKのいずれかを発現する細胞について収集した。これらの画像を図32に示す。画像は、PD-1およびLCKを発現する細胞の細胞膜における、PD-1およびLCKの結合剤の共局在化を示すが、LCKを欠く細胞では共局在化を示さない。これのより高い倍率を図33に示す。
実施例8
別のライブラリを使用して結合剤を見出した。このライブラリ内の分子は、ランダム化CDR配列を有するナノボディ(すなわち、重鎖)ライブラリに融合したSHP2ホスファターゼからの循環置換されたSH2ドメイン(cpSH2)を有した(図34A、表6)。図34Bは、ホスホチロシン修飾を有するビオチン化ペプチド(pY-ペプチド)へのHAタグでタグ付けされた、ライブラリ内のpY-TRAPの酵母表面ディスプレイスクリーニングの例を示す。図34Cは、磁性エンリッチメントと蛍光活性化細胞選別の両方を使用した多段階エンリッチメントプロセスを示す。図34Dは、様々なエンリッチメントステップのフローサイトメトリー分析を示す(プロットのフローグラフの上部象限の母集団がエンリッチされた)。エンリッチメントの最終ラウンド後の滴定は、ナノモル範囲のEC50を示す(図35A、表7)。これらの結合剤は、概して、SHP2からのcpSH2およびタンデムSH2よりも良好に結合する。
バイオレイヤー干渉法(BLI)データは、NT7結合剤が、約17nmのKでPD-1 pY248ペプチドに結合することを示した(図41A)。
実施例9
実施例8に記載される分子について更なる試験を行い、それらの機能を調べた。
分子の結合特異性を試験するために、非リン酸化形態のペプチド、およびPD-pY248と同様のアミノ酸配列を有するpY-ペプチド、およびSHP2 SH2ドメインの内因性結合部位を含むペプチドパネルへの結合を試験した研究を試験した。データ(図35B)は、これらの分子の結合特異性を示す。他のリン酸化および非リン酸化アミノ酸モチーフと比較して、NT7結合剤のPD-1 pY248ペプチドへの結合のバイオレイヤー干渉法もまた、分子の特異的結合を示した(図41B)。
分子の結合特異性を調べるために、追加の試験を実施した。図36Aは、ルシフェラーゼからのLgBitおよびSmBitポリペプチド/ペプチドが組み合わされて機能するルシフェラーゼ分子を再構成する、スプリットルシフェラーゼシステムの概略図を示す。示されるように、両方のチロシン部位(Y→A)の野生型PD1(YY)またはアラニン変異を、ルシフェラーゼからのLgBitと融合させた。pY-TRAP結合剤を、ルシフェラーゼ酵素からのSmBitと融合させた。結合剤-SmBitとPD1-LgBitとの相互作用は、測定可能な完全なルシフェラーゼを再構成する。研究からのデータ(図36B)は、WT PD1(YY)および変異PD1(AA)を発現するLentiX細胞における、cpSH2、SHP2からのタンデムSH2ドメイン、SHP2、および選択された結合剤を用いたルシフェラーゼアッセイのヒートマップを示す。ルシフェラーゼシグナルの倍率変化が示される。データは、試験した分子が、リン酸化チロシン残基(YY)に結合するための特異性を有することを示す。
図37は、Lckキナーゼ、PD1 WT(YY)またはPD1 Y223F/Y248F(FF)を共発現するLentiX細胞からの細胞ライセート、ならびにmCherryおよびHAでタグ付けされた選択された結合剤を(結合剤を沈降させるために)抗HAビーズで免疫沈降させ、その後抗pTyr抗体でブロットした試験からのデータを示す。図37のバンドは、PD1に対応するサイズで、YY細胞においてのみ、チロシンリン酸化を示す。Lckの発現をV5抗体で検出し、PD1レベルを全細胞ライセート中の抗PD1抗体で確認した。これらのデータは、試験した分子の結合特異性も示す。
図38は、GFPタグ付きPD1(緑色)の発現の細胞蛍光データを示す。PD1分子は、フェニルアラニンに変異したチロシン残基のいずれかまたは両方を有していた。使用した細胞は、Lckを共発現するLentiX細胞およびmCherryタグ付き結合剤NT7(赤色)であった。結合剤の膜局在化は、野生型PD1(Y223/Y248)およびF223/Y248PD1において観察された。結合剤の膜局在化は、F223/F248 PD1およびY223/F248 PD1の両方で低下した。
実施例10
T細胞における結合剤分子の発現が、T細胞活性化のPDL-1抑制を阻害することができるかどうかを試験するために試験を実施した。
図39Aは、PDL1を過剰発現するRaji B細胞(右)と、野生型PD1(YY)またはFF変異体PD1(FF)で再構成されたJurkat T PD1-/-細胞(左)との共培養を示す概略図である。1000pMの抗CD3/抗CD19二重特異性抗体(BiTE)でJurkat T細胞を活性化した。
図39B~図39Cに示されるデータにおいて、抗CE3/抗CD19抗体処置T細胞の活性化は、T細胞活性化の両方の指標である表面CD69レベル(図39B)およびIFN-γ放出(図39C)を測定することによって定量化された。データは、陽性対照であるニボルマブ(抗PD1)が示したのと同様に、試験した結合剤分子(NT7)がT細胞活性化のPDL-1抑制を逆転させたことを示した。データは、NT7結合剤+ニボルマブによるPDL-1抑制の逆転が、NT7またはニボルマブ単独によるPDL-1抑制の逆転よりも大きかったことを示した。
実施例11
本明細書に記載の結合剤分子を使用して細胞内の遺伝子発現を操作することができる1つの方法を実証するために試験を実施した。試験は、合成転写因子が、pY-TRAP分子に融合されたプロテアーゼによって放出され得ることを実証する。
図40Aは、核局在化シグナル(NLS)に融合されたテトラサイクリントランスアクチベーター(tTA)を有するPD-1分子を含有する細胞膜の概略図である。この分子は、PD1-TEV基質-eGFP-tTAと呼ばれる。NLSに融合したtTA(CD28TM-TEV基質-eGFP-tTA0と呼ばれる)も有するCD28膜貫通タンパク質を有する陰性対照細胞は示されていない。
図40Bは、試験からのデータを示す。LentiX細胞を、PD1-TEV基質-eGFP-tTA(下段)またはCD28TM-TEV基質-eGFP-tTA(上段)と、また結合剤NT7-TEV-mCherryと共トランスフェクトした。PD1-TEV基質-eGFP-tTAでトランスフェクトした細胞において、結合剤融合TEVの膜動員(左下)およびeGFPタグ付きtTAの核局在化(右下)が観察された。CD28TM-TEV基質-eGFP-tTA細胞における結合剤融合TEVの膜動員は見出されず(左上)、tTAの核局在化は見出されなかった(右上)。
データは、結合剤分子がリン酸化されたPD-1に特異的に結合するときに、プロテアーゼが、PD-1からトランスアクティベーターを切断することができること、および切断されたトランスアクティベーターが、融合した核局在化シグナルのために細胞核に局在化することができることを示す。
均等物
当業者は、日常的な実験のみを使用して、本明細書に記載の具体的な物質および手順に対する多数の均等物を認識するか、または確認することができるであろう。そのような均等物は、本発明の範囲内であるとみなされ、以下の特許請求の範囲に包含される。

Claims (114)

  1. 第1の分子(B1)であって、標的タンパク質中のリン酸化アミノ酸モチーフに結合してB1および前記タンパク質の第1の複合体を形成する、前記第1の分子(B1)と、
    前記第1の複合体に結合して第2の複合体を形成する抗体またはその抗原結合断片(B2)を含む、第2の分子と
    を含む、抗体系。
  2. B1が、抗体またはその抗体結合断片を含む、請求項1に記載の抗体系。
  3. B1が、前記標的タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸モチーフに結合することができるタンパク質の一部を含む、請求項1に記載の抗体系。
  4. 酵素活性を有するか、またはタンパク質シグナル伝達複合体の形成を促進することができるタンパク質を、B1が含む、請求項3に記載の抗体系。
  5. 酵素活性を有する前記タンパク質が、SH2ドメインを含む、請求項4に記載の抗体系。
  6. 前記SH2ドメインが、SHP2タンパク質に由来する、請求項5に記載の抗体系。
  7. 前記SH2ドメインが、循環置換されたSH2ドメインを含む、請求項5に記載の抗体系。
  8. 前記SH2ドメインが、SHP2の循環置換されたC末端SH2ドメインを含む、請求項6に記載の抗体系。
  9. SHP2の前記循環置換されたC末端SH2ドメインが、表1および表2に示されるアミノ酸配列、またはそれと90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一のアミノ酸配列を有する、請求項8に記載の抗体系。
  10. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、前記標的タンパク質の三次元構造ドメイン(前記タンパク質の三次折り畳みドメイン)に埋め込まれている、請求項1に記載の抗体系。
  11. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、非線状エピトープを含む、請求項1に記載の抗体系。
  12. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、前記標的タンパク質の三次元(折り畳み)エピトープを含む、請求項11に記載の抗体系。
  13. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、前記標的タンパク質の線状エピトープを含む、請求項1に記載の抗体系。
  14. 前記第1の複合体に結合したB2が、B1に結合する、請求項1に記載の抗体系。
  15. 前記第1の複合体に結合したB2が、前記標的タンパク質に結合する、請求項1に記載の抗体系。
  16. 前記第1の複合体に結合したB2が、B1および前記標的タンパク質に結合する、請求項1に記載の抗体系。
  17. 前記第1の複合体に結合したB2が、B1を含むエピトープを認識する、請求項1に記載の抗体系。
  18. 前記第1の複合体に結合したB2が、前記標的タンパク質を含むエピトープを認識する、請求項1に記載の抗体系。
  19. 前記第1の複合体に結合したB2が、B1および前記標的タンパク質を含むエピトープを認識する、請求項1に記載の抗体系。
  20. 前記アミノ酸モチーフがリン酸化されていない場合、B1が、前記標的タンパク質中の前記アミノ酸モチーフに結合しない、請求項1に記載の抗体系。
  21. B1が前記標的タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸モチーフに結合していない場合、B2が、前記第1の複合体に結合しない、請求項1に記載の抗体系。
  22. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、ホスホヒスチジン、ホスホセリン、ホスホスレオニン、またはホスホチロシンを含む、請求項1に記載の抗体系。
  23. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、シグナル伝達タンパク質中に存在する、請求項1に記載の抗体系。
  24. 前記シグナル伝達タンパク質が、受容体を含む、請求項23に記載の抗体系。
  25. 前記シグナル伝達タンパク質が、酵素活性を有する、請求項23に記載の抗体系。
  26. 前記シグナル伝達タンパク質が、免疫チェックポイント経路を調節する、請求項23に記載の抗体系。
  27. 前記シグナル伝達タンパク質が、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGIT、2B4、BTLA、CD57、TIM-3、A2AR、VISTA、KIR、IDO、B7-H3、B7-H4、またはKLRG-1を含む、請求項26に記載の抗体系。
  28. 前記シグナル伝達タンパク質が、PD-1を含む、請求項27に記載の抗体系。
  29. 前記シグナル伝達タンパク質が、ホスホヒスチジン、ホスホセリン、ホスホスレオニン、またはホスホチロシンを含む、請求項23に記載の抗体系。
  30. 酵素活性を有するか、またはシグナル伝達複合体の形成を促進することができるタンパク質が、前記シグナル伝達タンパク質の前記リン酸化アミノ酸モチーフに結合することができる、請求項23に記載の抗体系。
  31. 酵素的能力または複合体形成能力を有する前記タンパク質が、ホスホヒスチジン結合ドメイン、ホスホセリン結合ドメイン、ホスホスレオニン結合ドメイン、またはホスホチロシン結合ドメインを含む、請求項30に記載の抗体系。
  32. 酵素活性を有する前記タンパク質が、Src相同性2(SH2)またはホスホチロシン結合(PTB)ドメインを含む、請求項30に記載の抗体系。
  33. 酵素活性を有する前記タンパク質が、SHP2を含む、請求項32に記載の抗体系。
  34. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、Src相同性2(SH2)ドメインを有するタンパク質が結合することができるホスホチロシンを含む、請求項23に記載の抗体系。
  35. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、WWドメインを有するタンパク質が結合することができるホスホセリンまたはホスホスレオニンを含む、請求項23に記載の抗体系。
  36. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、SH2ドメインを有するタンパク質が結合することができるホスホヒスチジンを含む、請求項23に記載の抗体系。
  37. 前記リン酸化アミノ酸モチーフが、修飾SH2ドメインを有するタンパク質が結合することができるスルホチロシンを含む、請求項23に記載の抗体系。
  38. タンパク質が前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸モチーフに結合することおよび/または前記リン酸化アミノ酸モチーフを調節することを、前記第2の複合体の形成が防止する、請求項30に記載の抗体系。
  39. 前記第2の複合体の形成が、前記免疫チェックポイント経路の活性化を防止する、請求項26に記載の抗体系。
  40. 前記B1および前記B2が、共有結合される、請求項1に記載の抗体系。
  41. 前記B1およびまたは前記B2が、scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、モノボディ、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項40に記載の抗体系。
  42. 前記B1および前記B2が、ペプチドリンカーと連結されて、連結したB1-B2を形成する、請求項40に記載の抗体系。
  43. 前記連結したB1-B2が、追加的に、ホスファターゼまたはキナーゼが結合することができるモチーフを含む、請求項42に記載の抗体系。
  44. 前記連結したB1-B2が、追加的に、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、免疫受容体チロシンベース抑制性モチーフ(ITIM)、または免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む、請求項42に記載の抗体系。
  45. 細胞内で発現されるか、または細胞内に導入される、請求項1~44のいずれか一項に記載の抗体系。
  46. 前記細胞が、T細胞を含む、請求項45に記載の抗体系。
  47. 前記細胞が、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、またはCAR-マクロファージ細胞を含む、請求項46に記載の抗体系。
  48. 請求項42に記載の連結したB1-B2を含む、キナーゼまたはホスファターゼ酵素。
  49. 請求項42に記載の連結したB1-B2を含む、プロテアーゼ酵素。
  50. 前記B2が、重鎖を含む抗体またはその抗体結合断片を含み、前記重鎖が、10.1/E4、10.2、10.3/F10、10.4、10.5、10.6、10.7、30.3、30.5、30.7、C6、A4、B5、C8、F9、E10、またはD9について表4に示されるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項6に記載の抗体系。
  51. 前記重鎖の骨格が、表3に示される核酸配列、またはそれと90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の核酸配列によってコードされる、請求項50に記載の抗体系。
  52. 請求項1に記載のB1。
  53. scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、モノボディ、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項52に記載のB1。
  54. SHP2タンパク質に由来する循環置換されたSH2ドメインを含む、請求項52に記載のB1。
  55. 表1もしくは表2に示されるアミノ酸配列、またはそれと90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一のアミノ酸配列を有する、請求項52に記載のB1。
  56. 前記B1が、B2に共有結合していない、請求項52に記載のB1。
  57. 請求項1に記載のB2抗体またはその抗原結合断片。
  58. scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、モノボディ、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項57に記載のB2。
  59. 重鎖を含み、前記重鎖が、10.1/E4、10.2、10.3/F10、10.4、10.5、10.6、10.7、30.3、30.5、30.7、C6、A4、B5、C8、F9、E10、またはD9について表4に示されるCDR1、CDR2、およびCDR3を含む、請求項1に記載のB2抗体またはその抗原結合断片。
  60. 前記重鎖の骨格が、表3に示される核酸配列、またはそれと90、91、92、93、94、95、96、97、98、もしくは99%同一の核酸配列によってコードされる、請求項59に記載のB2抗体またはその抗原結合断片。
  61. 前記B2が、B1に共有結合していない、請求項57に記載のB2抗体またはその抗原結合断片。
  62. 二重特異性抗体であって、
    シグナル伝達タンパク質中のリン酸化アミノ酸に結合する第1の抗原結合ドメイン(B1)と、
    前記B1が前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸に結合されている場合に、前記B1および/または前記シグナル伝達タンパク質に結合する、第2の抗原結合ドメイン(B2)と
    を含む、前記二重特異性抗体。
  63. 前記B1が前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸に結合されている場合に、前記B2が、前記B1および前記シグナル伝達タンパク質に結合する、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  64. 前記シグナル伝達タンパク質が、細胞受容体を含む、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  65. 前記細胞受容体が、前記リン酸化アミノ酸を含む細胞内ドメインを含む、請求項64に記載の二重特異性抗体。
  66. 前記細胞受容体が、サイトカイン受容体を含む、請求項64に記載の二重特異性抗体。
  67. 前記細胞受容体が、細胞または個体におけるがんを調節することができる、請求項64に記載の二重特異性抗体。
  68. 前記リン酸化アミノ酸が、セリン、スレオニン、チロシン、およびヒスチジンからなる群から選択される、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  69. 前記チロシンが、Src相同性2(SH2)ドメインを有するタンパク質が結合することができるモチーフ中に存在する、請求項68に記載の二重特異性抗体。
  70. 前記シグナル伝達タンパク質が、免疫チェックポイント経路を含む、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  71. 前記免疫チェックポイント経路における調節タンパク質が、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIGIT、2B4、BTLA、CD57、TIM-3、KLRG-1、またはそれらの組み合わせを含む、請求項70に記載の二重特異性抗体。
  72. 前記シグナル伝達タンパク質が、PD-1タンパク質を含む、請求項71に記載の二重特異性抗体。
  73. 前記PD-1タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸が、ホスホチロシン223または248を含む、請求項72に記載の二重特異性抗体。
  74. B1が前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸に結合し、かつB2がB1および/または前記シグナル伝達タンパク質に結合する場合に、前記免疫チェックポイント経路が、活性化されないか、または最小限に活性化される、請求項70に記載の二重特異性抗体。
  75. 前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸が、タンパク質キナーゼによってリン酸化される、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  76. 前記タンパク質キナーゼが、セリン/スレオニンタンパク質キナーゼ、チロシンキナーゼ、またはヒスチジンキナーゼを含む、請求項75に記載の二重特異性抗体。
  77. 前記チロシンキナーゼが、受容体チロシンキナーゼを含む、請求項76に記載の二重特異性抗体。
  78. 前記B1が前記シグナル伝達タンパク質中の前記リン酸化アミノ酸に結合しない場合、前記B2が、前記B1におよび/または前記シグナル伝達タンパク質に結合しない、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  79. 前記二重特異性抗体が、B1およびB2を連結するペプチドリンカーを含む、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  80. 前記ペプチドリンカーが、約3アミノ酸長~約50アミノ酸長である、請求項79に記載の二重特異性抗体。
  81. 前記B1が、第1の二重特異性抗体中にあり、前記B1が結合する前記B2が、第2の二重特異性抗体中にある、請求項62に記載の二重特異性抗体。
  82. 細胞内で発現されるか、または細胞内に導入される、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  83. 前記細胞が、T細胞を含む、請求項82に記載の二重特異性抗体。
  84. 前記細胞が、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、またはCAR-マクロファージ細胞を含む、請求項83に記載の二重特異性抗体。
  85. 請求項57に記載の二重特異性抗体の第1の抗原結合ドメイン(B1)。
  86. scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、モノボディ、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項85に記載のB1。
  87. 請求項57に記載の二重特異性抗体の第2の抗原結合ドメイン(B2)。
  88. scFv、単一ドメイン抗体、ナノボディ、モノボディ、DARPin、またはアフィボディを含む、請求項87に記載のB2。
  89. 請求項62に記載の単離された二重特異性抗体をコードする、核酸。
  90. 請求項89に記載の核酸を含む、ベクター。
  91. 請求項89に記載の核酸、または請求項90に記載のベクターを含む、細胞。
  92. 前記細胞が、T細胞を含む、請求項91に記載の細胞。
  93. 前記T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)-T細胞、CAR-NK細胞、またはCAR-マクロファージ細胞を含む、請求項92に記載の細胞。
  94. がんを治療するための方法であって、患者に、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を細胞内に発現するCAR-T細胞を投与することを含む、前記方法。
  95. がんを治療するための方法であって、患者に、CAR-NK細胞またはCAR-マクロファージ細胞を投与することを含み、前記細胞が、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を細胞内に発現する、前記方法。
  96. 請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体、または請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体をコードする核酸を、細胞内または個体の細胞内に導入するための方法であって、前記細胞内に、前記二重特異性抗体を含む脂質ナノ粒子、または核酸もしくは前記核酸を含有するウイルスベクターを導入することを含む、前記方法。
  97. 前記脂質ナノ粒子が、mRNAを含む核酸を含有する、請求項96に記載の方法。
  98. 細胞内または個体の細胞内に、請求項1に記載のB1および/またはB2を導入するための方法であって、
    前記B1および/またはB2を、毒素もしくはその断片に連結するか、または細胞透過性ペプチドに連結して、毒素に連結されたまたは透過性ペプチドに連結されたB1および/またはB2を産生することと、
    前記毒素に連結されたまたは透過性ペプチドに連結されたB1および/またはB2を前記細胞内に導入することと
    を含む、前記方法。
  99. 前記毒素またはその断片が、前記細胞の表面上の受容体に結合することができる、請求項98に記載の方法。
  100. 前記受容体に結合した前記毒素またはその断片が、前記B1および/またはB2とともに前記細胞によって内在化されることができる、請求項98に記載の方法。
  101. 前記透過性ペプチドが、前記B1および/またはB2とともに前記細胞によって内在化されることができる、請求項98に記載の方法。
  102. 追加的に、ホスファターゼまたはキナーゼが結合することができるモチーフを含む、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  103. 前記モチーフが、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)、免疫受容体チロシンベース抑制性モチーフ(ITIM)、または免疫受容体チロシンベーススイッチモチーフ(ITSM)を含む、請求項102に記載の二重特異性抗体。
  104. 追加的に、ホスファターゼまたはキナーゼ酵素を含む、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  105. 追加的に、プロテアーゼを含む、請求項62~81のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  106. 前記二重特異性抗体が細胞内で発現されるとき、前記プロテアーゼが、膜結合型エフェクタータンパク質の基質配列を切断して、前記膜から前記エフェクタータンパク質を放出することができる、請求項105に記載の二重特異性抗体。
  107. 前記エフェクタータンパク質が、転写因子、エピジェネティックモジュレーター、または酵素を含む、請求項106に記載の二重特異性抗体。
  108. 前記エピジェネティックモジュレーターが、DNAメチラーゼ、ヒストンを修飾する酵素、または非コードRNAを含む、請求項107に記載の二重特異性抗体。
  109. 細胞において、請求項1~47もしくは50~51のいずれか一項に記載の抗体系、請求項48に記載のキナーゼもしくはホスファターゼ酵素、請求項49に記載のプロテアーゼ酵素、または請求項62~84のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を発現させることを含む、T細胞の活性化を調節するための方法。
  110. 検出可能なマーカーを含む、請求項1~47もしくは50~51のいずれか一項に記載の抗体系、または請求項62~84のいずれか一項に記載の二重特異性抗体。
  111. 前記検出可能なマーカーが、蛍光タンパク質または部分を含む、請求項110に記載の抗体系または二重特異性抗体。
  112. 特定のタンパク質中の特定のリン酸化アミノ酸を検出するための方法であって、
    請求項1~47もしくは50~51のいずれか一項に記載の抗体系、または請求項62~84のいずれか一項に記載の二重特異性抗体を、透過性細胞もしくは生細胞内の細胞タンパク質と、または細胞抽出物と接触させることと、
    前記特定のタンパク質中の前記特定のリン酸化アミノ酸への前記抗体系または前記二重特異性抗体の結合を検出することと
    を含む、前記方法。
  113. 前記検出することが、二重特異性抗体の前記抗体系のマーカーを視覚化することを含む、請求項112に記載の方法。
  114. 前記マーカーが、蛍光タンパク質または部分を含む、請求項113に記載の方法。
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