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JP2025512143A - 酸化ケイ素吸着を使用する血漿からのfviiiの精製 - Google Patents

酸化ケイ素吸着を使用する血漿からのfviiiの精製 Download PDF

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JP2025512143A JP2023520161A JP2023520161A JP2025512143A JP 2025512143 A JP2025512143 A JP 2025512143A JP 2023520161 A JP2023520161 A JP 2023520161A JP 2023520161 A JP2023520161 A JP 2023520161A JP 2025512143 A JP2025512143 A JP 2025512143A
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バッドゥール,ヤセル
ヴィンセント,エミリー
ディー. ガビット,パトリック
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Abstract

高収量の血液凝固第VIII因子を提供する、血漿画分、特にクリオ沈殿物、及び画分II+IIIからフィブリノーゲンを捕捉及び除去するための効率的な方法が開示される。本開示によれば、血液凝固因子及びフィブリノーゲンを含む血漿クリオ沈殿物または画分II+IIIを、血液凝固因子を含む第1の画分とフィブリノーゲンを含有する第2の画分とに分離する方法が提供され、この方法は、(a)血漿クリオ沈殿物を固体SiOまたはAl(OH)と接触させ、それによって、フィブリノーゲンを固体SiOまたはAl(OH)に吸着させること、ならびに(b)固体SiOまたはAl(OH)に吸着させたフィブリノーゲンを血液因子から分離し、それによって、第1の画分及び第2の画分を形成することを含む。
【選択図】なし

Description

血液、血漿、及び血清は、タンパク質(複数可)以外の多くの種類の化合物を含む極度に複雑なタンパク質含有溶液であり、全てが、酸素輸送、免疫応答、及び凝固などの非常に広範囲の生化学的に複雑な機能において動作するように慎重にバランスがとられ、調節される。対象から血液を採取して大気に曝露するとこれは非常に不安定になり、血液タンパク質を精製または濃縮する方法は、この事実を考慮に入れなければならない。ヘパリンやクエン酸ナトリウムなどの化学薬品を添加して安定性を増加させ、ある程度までは血液を分離することによって得られる血漿の凝固を防ぐが、血漿は非常に壊れやすく、かなりの量の脂質もまた含む、高度に濃縮された粘性のあるタンパク質溶液である。安定剤の添加にもかかわらず、血漿組成物のいかなる取り扱いまたは改変も、偶発的な不安定化のリスクを伴い、これは、凝固カスケードの活性化、例えば、脂質成分の沈殿、ならびにタンパク質(複数可)の変性を引き起こすことがあり得、それによって、血液を操作することを非常に困難にする。血液または血液由来の溶液からタンパク質を単離するために利用されるいかなる方法も、溶液及びタンパク質自体の固有の不安定性を考慮に入れなければならない。これは、血液からの治療用製品の大規模生産にとって非常に重要な課題であることが判明している。
血液の複雑さ及び不安定性は、血液タンパク質の分離及び単離を、バイオテクノロジー産業で典型的に使用される細胞培養上清及び発酵ブロスなどの他のタンパク質溶液からのタンパク質の単離よりもはるかに複雑にかつ経済的に厳しくする。また、バイオテクノロジー産業は通常、細胞培養上清から1つの特定の生成物のみを単離するが、経済的及び倫理的な理由のために、治療用血液分画産業は一般に、利用可能な限られた量の血液から可能な限り多くの生成物を単離させなければならない。
血液、血清、及び血漿のコストが大幅に増加しており、その理由の1つは、感染症、例えば、献血者から血液製品の受容者に広がるウイルス性疾患を予防するために必要とされる安全対策のコストが増加していることである。血漿の高いコスト、ならびに処理中のウイルス除去ステップ及び他の安全対策のコストの増加は、血液分画産業を、凝固因子、例えば、第VIII因子などの個々の生成物の収量を増加させるための大きな圧力の下に置いている。血液分画産業の長い間感じられたニーズは、既知の技術では満たすことが困難であり、確立された沈殿法の代替として現代の吸着技術を採用する試みがなされてきたが、これまで記載されてきた吸着法の経済的実現可能性及び処理堅牢性の観点からは依然として重大な問題が存在する。ヒト及び動物の血液は、治療的及び潜在的に救命的特性を有する多くのタンパク質及び酵素を含む。これらのタンパク質のいくつかは赤血球中に見出され得るが、他のものは血漿または血清の溶液中に見出される。20世紀半ば以降、そのようなタンパク質は、ヒト治療薬としての使用のためのタンパク質を精製及び標準化することを目的として、大規模かつ特異的な単離の標的となっている。血漿由来のタンパク質の中には、1年当たり数千kgのスケールで産生されるものもあれば(アルブミン及びIgG)、1年当たりグラムからキログラムのスケールでのみ産生されるものもある。しかし、世界中で年間数百万リットルの血液がこれらのタンパク質を分離するために処理されている。
血漿または血清タンパク質(複数可)の分画のために従来使用されている方法の1つは、米国特許第2,390,074号(Cohnら)に記載されており、これは、エタノール沈殿を利用し、ヒト血漿からの特定のタンパク質の沈殿を制御するための温度、pH、イオン強度及び時間を調節する、大規模スケールでの血漿または血清タンパク質の分画のための方法を開示する。分画方法は、異なる富化タンパク質溶液を含むいくつかの沈殿物(画分)及び対応する上清を得るために、エタノールの血漿原料への段階的な添加を伴う。Cohnらによって開示されたエタノール沈殿法の欠点は、いくつかのタンパク質がプロセス中に変性する傾向があり、このことが、タンパク質の収量の低下、及び許容される治療産物を得ることができる前に除去されなければならない凝集体による汚染を生じることである。さらに、Cohn分画プロセスの間、沈殿したタンパク質はさらなる処理のために再溶解されなければならない。このような再溶解されたタンパク質溶液は、標的生成物を調製することを困難にかつ時間がかかるようにする顕著なレベルの不溶性(変性)タンパク質及び脂質材料を含む可能性があり、このこともまた、貴重な生成物の損失に大きく寄与する。さらに、このプロセスでは、特定のタンパク質は、エタノールの段階的添加中に得られた画分のいくつかに分布する可能性があり、このことは、再度、再び合わせたタンパク質画分の低収量及び時間のかかる調製をもたらす。
第VIII因子(FVIII)は、血漿中に見出されるタンパク質であり、血液凝固に至る反応のカスケードにおいて補因子として作用する。FVIII活性の欠損は、主に男性に影響を与える遺伝性状態である血友病Aとして知られる凝固障害をもたらす。血友病Aは、現在、ヒト血漿由来の、または組換えDNA技術を使用して製造されたFVIIIの治療用調製物で治療される。このような調製物は、出血エピソードに応答して(オンデマンド療法)、または制御されていない出血を防止するために(予防)、頻繁で定期的な間隔のいずれかで投与される。
治療用のための抗血友病因子(AHFまたは第VIII因子)の産生のための、いくつかの異なる方法、例えば、選択的沈殿、バッチ吸収及び溶出、低イオン培地中での抽出、及びクロマトグラフィーが知られている。第VIII因子の精製は、様々な他の血漿タンパク質を排除するが、フィブリノーゲンは、特にその処理中に変性したときに、これらのタンパク質の中で群を抜いて最も重要かつ面倒なものである。変性フィブリノーゲンは、FVIIIの濾過を損ない、精製ステップ中にFVIIIの著しい損失を引き起こし、再構成流体中の凍結乾燥生成物の溶解度を低下させる。FVIIIを精製する満足のいく方法は、相当量のフィブリノーゲンの除去を必要とする。上記の選択的沈殿技術はこの目的を達成するが、さらにフィブリノーゲン及びFVIIIをさらに変性させること、またはFVIIIの望ましくない損失を生じさせることのいずれかであるという欠点を有する。米国特許第4,789,733号を参照されたい。
低イオン強度緩衝液中のクリオ沈殿物から第VIII因子を抽出することを含む手順は、最終生成物のフィブリノーゲン含有量をいくらか減少させながらも、依然として生成物中の望ましくない高タンパク質含有量をもたらし、遠心分離のための特別な装置及び手順を必要とし、そして精製を損なうことなくクリオ沈殿物から抽出されたFVIIIの総量に制限される。
FVIIIの大規模製造に一般的に関連する他の問題は、肝炎を引き起こす発熱性物質及びウイルスによる最終製品の汚染である。化学的沈殿物を用いると、これらの望ましくない汚染物質は実際に増強される可能性がある。
現在使用されている単離及び精製プロセスは、非効率的な精製プロセスから生じる微量の不純物が患者の免疫応答を刺激することができるかもしれないため、改善することができる。さらに、現在使用されているプロセスのように、生成物の活性部分と不活性部分とを分離することができない精製プロセスは、別々のロット間で変動する、予測不可能な有効性及び比活性を有する生成物をもたらし得る。
米国特許第4,387,092号には、0~5℃で6%ポリオールを用いるフィブリノーゲンの沈殿を含む方法によってフィブリノーゲンからFVIIIを精製する方法が記載されている。米国特許第4,188,318号に記載の方法において、FVIIIは、過剰量のフィブリノーゲン、その変性型、及び低イオン強度溶液中の分解生成物の選択的冷沈殿を使用して、化学物質を加えることなく、AHF活性の望ましくない損失なしに、第VIII因子濃縮物の大規模製造のための特定の方法によって精製される。米国特許第8,563,288号は、クロマトグラフィー樹脂上に固定化されたリジッドなアミノ酸を用いる処理による、粗血液凝固調製物からのプラスミノーゲンの除去を記載している。米国特許出願公開第2015/0158906号は、フィブリノーゲン及び/または第VIII因子及び/またはVWFを含む原料を疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)樹脂に通し、樹脂を通過するフィブリノーゲン及び/または第VIII因子及び/またはVWFを含む溶液を回収して、溶液中のプラスミノーゲン及び/または組織プラスミノーゲン活性化因子及び/または他のプロテアーゼ(複数可)の不安定化レベルを低下させる方法を開示している。
米国特許出願公開第2017/0282095号は、リガンドで官能化された固体支持体上で拡張ベッドクロマトグラフィーを使用して、アルコールを補充した血液からタンパク質を単離する方法を記載している。
FVIII濃縮物を製造する他の方法、すなわち、フロリゲル、ベントナイト、イオン交換体、及び浸透クロマトグラフィー法等の吸着剤を用いる血漿の処理もまた存在する。そのような生成物は、「高精製AHF」または「高純度AHF」と称される。しかし、それらの第VIII因子活性はまた、天然血漿のそれよりもわずか90~100倍高いのみであり、一方、第VIII因子不活性タンパク質(フィブリノーゲン)の含有量は依然として総タンパク質の35%に達する。例えば、米国特許第4,404,131号を参照されたい。
例示的な既知のプロセスを図2に示す。血漿クリオ沈殿物ペーストを、1(kg):3.5(L)のクリオ沈殿物ペースト:水の比率で注射用水に懸濁し、試料Aを形成する。試料AをFVIIIに対して等電性にし、冷沈殿ステップを実行して、フィブリノーゲン及び他のタンパク質の一部を沈殿させる。このステップは、CaClを0.04Mで添加し、pHを6.5~7.11に調節し、そして温度を8~12℃に調節することを含み、得られた懸濁液は遠心分離により清澄化される。バルク上清を引き出し、pHを7.2~7.6に上げ、温度を18~26℃に調整し、試料Bを形成することにより安定化する。試料BをNaCl添加に供出し、NaCl含有量を0.8Mに調整し、CaClを0.05Mの濃度まで添加する。得られた溶液を濾過によって清澄化し、清澄化したバルクを生じる。この溶液を溶媒/洗剤処理を使用してウイルス減少ステップに供出する。溶媒(リン酸トリ-(n-ブチル))及び洗剤(オクトキシノール9)を、それぞれ1.0%(v/v)及び0.3%(v/v)の最終濃度まで清澄化バルクに添加し、試料Cを形成する。試料Cを、特異的にFVIIIに結合する免疫親和性カラム上にロードする。
新しい工業用FVIII精製プロセスを開発する試みは、漸進的な進歩をもたらし、FVIIIのある程度の収量の増加を達成したが、これらのプロセスは、複雑で、繊細な手順であり、堅牢性に欠けており、そしてこれらのプロセスの収量と経済性のバランスをとるための課題であるコールドドロップに関連する他の困難を有する。このステップは、ラインを詰まらせる可能性があり、除去することが困難でありかつ第VIII因子の回復を複雑にする粘着性沈殿物を生成するため、コールドドロップの除去は、当該技術分野における重要な進歩となる。
本明細書に記載されるように、本発明は、従来の方法の多くの欠点を解決する。
本発明は、上記に指摘された欠点及び困難を回避し、非FVIII活性タンパク質、特にフィブリノーゲンがFVIIIから本質的に完全に除去されているFVIII製剤を提供する。とりわけ、コールドドロップを排除することによって、本方法は、沈殿したフィブリノーゲンに関連する現在のプロセス及び装置の課題をさらに克服し、免疫親和性カラムから上流のフィブリノーゲンを除去する方法を提供する。
本発明の製剤のFVIII活性は、濃縮物中に存在するタンパク質に基づいて高い。FVIIIの単離の成功に不可欠であると長い間考えられてきた冷却ステップ及びpH調整ステップを排除することによって、本発明は、以前の方法よりもFVIIIの回収のためのより速く、より単純で、より経済的なプロセスを非常に驚くべきことに提供する。本発明の方法は、低温沈殿ステップ及び遠心分離ステップを排除し、この低温沈殿ステップは厳格であり、時間がかかり、遠心分離機は、資本集約的な投資であり、維持及び修理のために費用がかかる。本発明のより単純なプロセスは、プロセスサイクルステップ及びサイクル時間の短縮をもたらし、これは、以前の方法と比較して有意な改善である。
例示的な実施形態では、本発明は、遠心分離機を使用することなくFVIIIからフィブリノーゲンを除去する問題を解決する。様々な実施形態において、本発明は、低温沈殿ステップなしのプロセスにおいて、FVIIIからフィブリノーゲンを除去する問題を解決する。いくつかの実施形態において、本発明は、FVIIIとフィブリノーゲンの混合物を冷却しながら混合物のpHを下方に調節するという手間のかかるプロセスなしに、FVIIIからフィブリノーゲンを分離する問題を解決する。本発明の例示的なプロセスは、本明細書に記載の方法を使用して、FVIIIからの分離後のフィブリノーゲンの収集の問題を解決する。
血漿由来のFVIII富化出発物質からFVIIIを富化する以前の方法は、出発物質(例えば、クリオ懸濁液)のpHを1Mの酢酸を用いて6.7までゆっくりと変化させ、沈殿物が連続的な混合の期間にわたって生じるにつれて、懸濁液を9.5℃まで徐々に冷却することを伴う。pHの冷却及び低減には約2.5時間が必要であり、誤って実行すると第VIII因子沈殿のリスクがある。このプロセスの間に、主にフィブリノーゲン及びフィブロネクチンの沈殿物が形成され、総タンパク質の約50%超を占める。沈殿物を、9.5℃で約120分間、3000xgで遠心分離によって除去する。次いで、得られた低温上清のpHを、約1.5時間にわたって行われるプロセスにおいて、1N NaOHで7.4まで上方に調節する。驚くべきことに、本明細書に開示されるプロセスは、従来技術のプロセスよりも経済的である単純で反復可能なプロセスを提供するために、これらの厳密なステップ及び時間のかかるステップのそれぞれを排除する。
例示的な実施形態では、本発明の方法は、フィブリノーゲンをFVIIIから分離する方法から低温沈殿ステップを排除する。低温沈殿ステップは、クリオ沈殿物または画分II+IIIの水性懸濁液を、微細に分割したシリカ(SiO)またはアルミナ(Al(OH))と接触させ、得られた懸濁液を濾過することによって置き換えられる。フィブリノーゲンは、シリカまたはアルミナに吸着され、溶液中に残っているFVIIIから容易に分離される。
したがって、例示的な実施形態では、血液凝固因子及びフィブリノーゲンを含む血漿クリオ沈殿物を、血液凝固因子を含む第1の画分とフィブリノーゲンを含有する第2の画分とに分離する方法が提供され、この方法は、(a)血漿クリオ沈殿物を固体SiOまたはAl(OH)と接触させ、それによって、フィブリノーゲンを固体SiO上に吸着させること、ならびに(b)固体SiOまたはAl(OH)上に吸着したフィブリノーゲンを血液因子から分離させ、それによって、第1の画分及び第2の画分を形成することを含む。
例示的な実施形態では、血液凝固因子及びフィブリノーゲンを含むCohn分画II+IIIを、血液凝固因子を含む第1の画分とフィブリノーゲンを含有する第2の画分とに分離する方法が提供され、この方法は、(a)血漿クリオ沈殿物を固体SiOまたはAl(OH)と接触させ、それによってフィブリノーゲンを固体SiO上に吸着させることと、(b)固体SiOまたはAl(OH)上に吸着したフィブリノーゲンを血液因子から分離させ、それによって、第1の分画及び第2の分画を形成することと、を含む。
本発明の例示的な目的は、少なくとも2.5単位のAHFの比活性及び0.25mg/mg未満のタンパク質のフィブリノーゲン含有量を有するFVIII(AHF)高濃縮物を製造する方法を提供することであり、この方法は、高い経済性を保証する、工業的及び技術的スケールで適用可能である。
様々な実施形態において、本発明は、本発明のプロセスによって富化されたFVIIIを含有する組成物と、単位用量製剤を含む本組成物を含有する薬学的製剤と、本発明の薬学的製剤を対象に投与することによって、必要とする対象の疾患を治療または予防する方法とを提供する。
本発明の例示的な実施形態のためのプロセス概略図である。 本発明の例示的方法を、市販されているFVIII製剤の製造方法と比較するフローチャートである。
I.導入部
血液凝固因子、凝固因子阻害剤、免疫グロブリン組成物、及び補体系のタンパク質等の治療用血漿由来血液タンパク質組成物の広範な使用を考慮すると、これらの組成物の有効性及び安全性を確保することが最高位に重要である。
さらに、宿主細胞株内でDNAベクターの組換え発現を介して生産される他の生物製剤とは異なり、血漿由来タンパク質は、ヒトから提供された血液及び血漿から分画される。よって、それらの製剤の供給量は、生産量を単純に増大させることによっては増加させることができない。むしろ、商業的に利用可能な血液製剤のレベルは、提供される血液及び血漿の利用可能な供給量によって制限される。この動態は、血漿由来血液因子の製造のための生のヒト血漿の利用可能性におけるサプライチェーンの妨害をもたらす。
特定の態様において、本発明は、血漿由来のタンパク質溶液から相当量のフィブリノーゲンを除去するために、微細に分割された二酸化ケイ素(SiO)を使用することができるという驚くべき発見に基づく製造方法を提供する。例示的な溶液は、フィブリノーゲン及び1つ以上の血液因子、例えば、FVIIIを含有する。本発明の方法から得られる生成物は、出発血漿由来溶液中に存在したよりも少ないフィブリノーゲンを有するFVIII調製物である。
本明細書で提供される方法は、既存の製造手順、例えば、冷却中のエタノールによるプールされた血漿試料、好ましくはヒト血漿試料の分画に容易に組み込まれる(Schultze H E,Heremans J F;Molecular Biology of Human Proteins.Volume I:Nature and Metabolism of Extracellular Proteins 1966,Elsevier Publishing Company;p.236-317において概説)。しかしながら、本明細書に提供される方法は、エタノール分画を含む製造方法へのそれらの使用に決して限定されない。血漿由来タンパク質の精製のための他の方法論はまた、本明細書に提供される方法、例えば、ポリマー(例えば、PEG)分画及びクロマトグラフィー法(例えば、アニオン及び/またはカチオン交換クロマトグラフィー、親和性クロマトグラフィー、免疫親和性クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィーなど)と互換性がある。
II.定義
別途規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、概して、本発明が属する技術分野の専門家によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。概して、本明細書で使用される命名法ならびに有機化学、薬学的製剤、及び医学的画像化における実験室手順は、当該技術分野で周知であり、一般的に用いられるものである。
冠詞「a」及び「an」は、冠詞の文法的対象のうちの1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。
本発明の方法及び技術は、別途指示されない限り、当該技術分野において周知の従来の方法に従って、そして本明細書の全体を通して引用され、論じられる種々の一般的な及びより具体的な参考文献に記載されるように、一般的に行われる。例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,second ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989)及びAusubel et al.Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、及びHarlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたい。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様書に従って、または当該技術分野において一般的に達成されるように、または本明細書に記載されるように実行される。本明細書に記載される分析化学、合成有機化学、ならびに医薬品化学及び製薬化学に関連して利用される命名法、ならびにその研究室手順及び技術は、当該技術分野において周知であり、一般的に使用されているものである。標準的な技術は、化学合成、化学分析、薬学的調製、製剤、ならびに患者の送達及び治療のために使用される。
別途示されない限り、以下の用語は、以下の意味を有するものと理解される。
本明細書では、「第VIII因子」または「FVIII」または「rAHF」という用語は、Bドメインの少なくとも一部分がインタクトであり、天然FVIIIに関連する生物学的活性を示す任意のFVIII分子を指す。本開示の一実施形態において、FVIII分子は全長FVIIIである。一般に、本明細書で使用されるFVIIIは、血漿から得られる天然に存在するFVIIIを指す。例示的な実施形態では、FVIIIは、本質的にプラスミノーゲンを含まない製剤中にあり、本発明の方法によってそのようにされている。
本明細書で使用される場合、「血漿由来FVIII」または「血漿性」は、凝固経路を活性化する特性を有する哺乳動物から得られた血液中に見出されるタンパク質の全ての型を含む。
用語「単離されたタンパク質」または「単離されたポリペプチド」は、その起源または誘導源に基づいて(1)天然状態でそれに付随する天然に関連する成分を本質的に含まないか、または(2)同じ種からの他のタンパク質を本質的に含まないタンパク質である。よって、化学合成されたか、または天然に生じた細胞とは異なる細胞系で合成されたポリペプチドは、その天然に結合している構成成分から「単離」されている。タンパク質はまた、当該技術分野で周知のタンパク質精製技術または本明細書に開示されるものを使用して、単離または富化によって天然に付随する成分を本質的に含まないようにしてもよい。
例示的な実施形態では、本発明は、単離されたFVIIIを提供する。様々な実施形態では、本発明は、本発明の方法の産物である単離されたFVIII調製物を提供する。例示的な調製物は、本発明の方法に入る出発組成物中に存在するよりも少ないフィブリノーゲンを有する(例えば、血漿、クリオ沈殿物)。いくつかの実施形態において、本発明の方法から出現するFVIII調製物は、フィブリノーゲンを実質的に含まない。いくつかの実施形態において、シリカ処理の下流及び免疫親和性カラムから上流のFVIII調製物は、フィブリノーゲンを実質的に含まない。
本明細書で使用される場合、「フィブリノーゲンを実質的に含まない」とは、出発血漿中に存在するフィブリノーゲンの約1%未満、約5%未満、または約10%未満を有するFVIIIを含有する調製物を指す。例示的な実施形態において、FVIIIを含有する調製物は、クリオ沈殿物出発物質中に存在するフィブリノーゲンの約1%未満、約5%未満、または約10%未満を含む。
例示的な実施形態では、調製物は、本明細書で議論されるように、二酸化ケイ素でプロセス中間体を処理した生成物である。例示的な調製物は、FVIII、及び血漿またはクリオ沈殿物出発物質中に存在するフィブリノーゲンの約1%未満、約5%未満、もしくは約10%未満を含有する。
例示的な「単離された」ヒトFVIIIは、少なくとも約90%純粋である(すなわち、10%を超えるタンパク質不純物を含まない)ヒトFVIIIである。好ましくは、単離されたヒトFVIIIは、少なくとも約95%、98%、99%、または少なくとも約99.5%純粋である。例示的な単離されたヒトFVIIIは、本明細書に記載される本発明の方法によって調製される。本発明の例示的なプロセスは、ヒト投与のためにこのタンパク質を調製するための現在受け入れられている工業製造プロセスとほぼ同程度に純粋でかつほぼ同程度に活性なFVIIIを提供する。例示的なプロセスでは、最終容器中のFVIII活性は、約20~約200IU/mLの間の範囲である。
様々な実施形態において、本発明の例示的なプロセスの溶媒/洗剤処理ステップから出現するFVIIIは、「単離されたヒトFVIII」である。例示的な実施形態では、本発明の例示的なプロセスの溶媒/洗剤処理ステップの下流にある親和性クロマトグラフィーステップから出現するFVIIIは、「単離されたヒトFVIII」である。
本明細書で使用される場合、用語「実質的な画分」は、組成物中の特定のタンパク質の集団の少なくとも10%を指す。例えば、組成物から除去されるフィブリノーゲンの実質的な画分について言及する場合、フィブリノーゲンの実質的な画分は、出発組成物(例えば、血漿、クリオ沈殿物)中に存在する少なくとも約10%、例えば、少なくとも約50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、96、97、98、少なくとも約99%、またはそれ以上のフィブリノーゲン(fibinrogen)が、本発明のプロセス(または本発明の成分ステップ、例えば、二酸化ケイ素による処理)によって除去されることに対応し、したがって、本発明の生成物に存在しない。
本明細書で使用する場合、「Cohnプール」は、血漿試料の分画または血漿試料のプールのために使用される出発原料を指す。Cohnプールは、前処理ステップ、分画ステップ、またはこれらの組み合わせを受けてもよく、または受けなくてもよい、血漿全体、脱クリオ(cryo-poor)血漿試料、及び脱クリオ血漿試料のプールを含む。特定の実施形態では、Cohnプールは、脱クリオ血漿試料であり、脱クリオ血漿試料から、前処理ステップ、例えば、固相(例えば、水酸化アルミニウム、微細に分割された二酸化ケイ素など)への吸着、またはクロマトグラフィーステップ(例えば、イオン交換もしくはヘパリン親和性クロマトグラフィー)において、1つ以上の血液因子が除去されている。これらに限定されないが、Factor Eight Inhibitor Bypass Activity(FEIBA)、Factor IX複合体、Factor VII濃縮物、またはAntithrombin III複合体を含む様々な血液因子は、Cohnプールを形成するために、脱クリオ血漿試料から分離されてもよい。
「クリオ沈殿物」という用語は、「クリオ沈殿抗血友病因子(AHF)」とも称され、凍結血漿(例えば、全血由来新鮮凍結血漿、アフェレーシス由来血漿)の制御解凍によって産生され、フィブリノーゲン、第VIII因子、第XIII因子、vWF、及び/またはフィブロネクチンを含むがこれらに限定されない1つ以上の凝固因子を含む沈殿物を形成する血液生成物を指す。そのようなクリオ沈殿物は、凍結血漿(例えば、全血由来の新鮮な凍結血漿またはFFP)のゆっくりとした制御された解凍によって調製され、例えば、1℃~6℃(例えば、4±2℃)の間で、白色沈殿物の形成をもたらし、次いで、冷却遠心分離などによって、本明細書において「上清」とも称される液体血漿部分からの分離後に沈殿物を回収する。本明細書において「脱クリオ血漿」(CPP)、「クリオ沈殿物低減血漿」または「クリオ上清」とも称される「脱クリオ」残存血漿を袋から除去し、単離された低温不溶性沈殿物を、残った血漿の一部に再懸濁させ、一般に1時間以内に再凍結し、輸血のために必要とされるまで凍結して貯蔵する。クリオ沈殿物は、回収後に任意の好適な量の血漿中に再懸濁され得る。クリオ沈殿物(「クリオ」としても知られる)は、凝固因子が豊富な血漿の一部を含む血液製剤である。
クリオ沈殿物は、フィブリノーゲン、第VIII因子、第XIII因子、vWF、及びフィブロネクチンの供給源として機能する。この成分は、フィブリノーゲン欠乏症に関連する出血の制御において使用され、体積の考慮により凍結血漿及び組換えタンパク質の使用が不可能な場合に、第XIII因子欠乏症を治療するために使用される。これはまた、フォン ウィレブランド病及び血友病A(第VIII因子欠乏症)の第二選択療法としても示されている。クリオ沈殿物以外の凝固因子調製物は、一般に、フォン ウィレブランド病及び第VIII因子欠乏症の管理のために血液成分療法が必要な場合に好ましい。クリオ沈殿物製品の多くの使用は、因子濃縮物または組換え因子によって置き換えられているが、クリオは、例えば、後天性低フィブリノーゲン血症及び出血(例えば、大出血)を有する患者等の、患者のフィブリノーゲンの置換における使用のために、多くの病院血液バンクによって依然として日常的に備蓄されている。血液型の適合性試験は、クリオ沈殿物のために厳密に必要ではないが、しかし、可能な場合、ABO適合性クリオの輸血が一般的に好ましい。クリオ沈殿物を調製するための方法は、当該技術分野において周知である。
本明細書で使用される場合、「クリオ沈殿物濾過ケーキ」は、微細に分割されたSiO(またはAl(OH))を含むクリオ沈殿物ペーストの水性懸濁液の濾過後に回収された固形物を指す。クリオ沈殿物懸濁液は、フィブリノーゲン等の不純物を除去するために、吸着性材料、例えば、微細に分割されたシリカで処理される。別の好ましい実施形態では、濾過助剤を、濾過前にクリオ沈殿物懸濁液に添加する。例示的な実施形態では、クリオ沈殿物懸濁液は、遠心分離または濾過の前に、吸着性材料と濾過助剤の両方で処理される。クリオ沈殿物懸濁液上清の分離の際に、回収した固体材料は、「クリオ沈殿物濾過ケーキ」と称される。
本明細書で使用される場合、「画分II+IIIフィルターケーキ」は、Cohn-Oncleyまたは同等の画分II+IIIペースト懸濁液の濾過または遠心分離後に回収された固形物を指す。画分II+III懸濁液は、フィブリノーゲン等の不純物を除去するために、吸着性材料、例えば、微細に分割されたシリカで処理される。別の好ましい実施形態では、濾過助剤を、濾過前に、画分II+III懸濁液に添加する。例示的な実施形態では、画分II+III懸濁液は、遠心分離または濾過の前に、吸着性材料と濾過助剤の両方で処理される。清澄化画分II+III懸濁液上清の分離の際に、回収した固相材料は、「画分II+IIIフィルターケーキ」と称される。
本明細書で使用される場合、「脱クリオ(cryo-poor)血漿」は、血漿またはプールされた血漿を凍結近くの温度、例えば、約10℃未満の温度、好ましくは約6℃以下の温度で解凍することによって形成されたクリオ沈殿物の除去後に生成された上清を指す。クリオ沈殿は、例えば、安全性及び品質の考慮事項のために既にアッセイされている以前に凍結されたプールされた血漿を解凍することによって一般的に行われるが、新鮮な血漿もまた使用され得る。低温での凍結した血漿の解凍が完了した後、液体上清からの固体クリオ沈殿物の分離は、濾液の遠心分離によって、冷却して(例えば、≦6℃)実行される。
「血漿」という用語は、当該技術分野で既知の任意の血漿血液産物を指す。本発明の文脈において、血漿は、回収された血漿(すなわち、エクスビボで全血から分離された血漿)またはソース血漿(すなわち、血漿アフェレーシスを介して収集された血漿)を互換的に指し得る。いくつかの実施形態において、血漿は、全血由来の新鮮な凍結血漿を指す。いくつかの実施形態では、血漿は、全血献血(例えば、それぞれ約180~250mLの体積)からの1つ以上の血漿単位を指す。いくつかの実施形態では、血漿は、アフェレーシス血液供与からの1つ以上の血漿単位を指す(それぞれ約700~800mLまでであってもよい)。いくつかの実施形態において、血漿は、単一の単位を指す。いくつかの実施形態において、血漿は、複数の単位からプールされる。いくつかの実施形態において、血漿は、1つ以上の病原体不活性化化合物及び/または病原体不活性化プロセスの副産物を含むがこれらに限定されない1つ以上の追加の成分を含有してもよい。
本文脈では、「上清」という用語は、堆積物画分または沈殿した画分の上にある液体画分に関する。液体画分は、化合物または純粋な化合物の組み合わせのいずれであってもよい。本発明の一実施形態では、本方法によって使用または製造される画分は、液体(液体画分)、堆積物(堆積物画分)または沈殿物(沈殿物画分)の形態であってもよい。
本明細書で使用される場合、「二酸化ケイ素」または「微細に分割されたシリカ」は、フィブリノーゲンをその表面に吸着させることを可能にする様式で製造された式SiOを有するケイ素の酸化物を指す。本発明の方法における使用に適した二酸化ケイ素の例示的な形態は、ヒュームドシリカ、発熱性シリカ、Aerosil(商標)、Cab-O-Sil、コロイドシリカ、珪藻土などを含むが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、市販の親水性ヒュームドシリカ製品は、本明細書に提供される方法のために使用される。これらの製品の非限定的な例としては、Evonik Industriesが商品名Aerosil(登録商標)(例えば、Aerosil 90、Aerosil 130、Aerosil 150、Aerosil 200、Aerosil 300、Aerosil 380、Aerosil OX50、Aerosil EG50、Aerosil TT600、Aerosil 200SP、Aerosil 300SP、Aerosil 300/30、及びAerosil(登録商標)380)で販売しているものが挙げられる。例示的な実施形態では、SiOはAerosil(登録商標)380である。異なる化合物ではあるが、本発明の方法は、二酸化ケイ素の代わりに、またはそれに加えて、Al(OH)を用いて実施することもできる。これらの種のうちの1つが言及されるとき、この言及は、これらの濾過助剤及びそれらの組み合わせのいずれかを指すと理解される。
「濾過助剤」という用語は、本明細書で使用される場合、実際の濾過媒体上に多孔質プレコート層を形成することによって、及び/または濾過ケーキ構造内に組み込むことによって、得られた濾過ケーキの十分な透過性を同時に有する固形物の堆積を容易にするために、固液分離プロセスで使用される添加剤を指す。例示的な濾過助剤としては、kieselguhr、パーライト、酸化アルミニウム、ガラス、植物顆粒、木材繊維及び/またはセルロースあるいはそれらの混合物が挙げられる。
Kieselguhrは、主に非常に多孔質である構造を有する化石珪藻類の二酸化シリコーン殻を含む粉体物質である。商業的には、kieselguhrは、例えば、Lehmann und Voss(例えば、Celite(登録商標))、DiceliteまたはPallSeitzSchenkから入手することができる。パーライト濾過助剤は火山性黒曜石を含み、熱膨張によって生成され;化学的にこれらはケイ酸アルミニウムであり、シリカとほぼ同じくらい不活性である。パーライト濾過助剤の構造は、珪藻のフィリグリー骨格の場合のように、同じ多孔性を有しない球状の断片に対応する。商業的には、パーライトは、例えば、Lehmann und Voss(Harbolite(登録商標))及びDiceliteから入手することができる。
高純度を確保するために部分的に特別に調製される抽出物を含まないセルロースからの事前調整された天然繊維、ならびに臭気及び風味の中立性もまた同様に濾過助剤として使用することができる。セルロース濾過助剤は、機械的及び化学的に非常に安定であり、事実上全ての媒体に不溶性であり、そしてほぼpH中性である。それらは、例えば、J.Rettenmaier&Sohneによって商業的に流通されている(例えば、Arbocel(登録商標)タイプ、Filtracel(登録商標)タイプ、及びVitacel(登録商標)タイプ)。
例示的な実施形態では、濾過助剤は、Celpure(登録商標)C300である。
本明細書で使用する場合、用語「濾過」は、静水圧が半浸透膜に対して液体を押し付ける、様々なふるい及び膜の濾過方法を包含する。懸濁物は固化し、一方水及び溶質はフィルターを通過する。本発明において役立つ例示的な濾過技術は、接線濾過である。本発明の状況における例示的な濾過は、第II因子+II濾過ケーキまたはクリオ沈殿物濾過ケーキを生成する。
本明細書で使用される場合、用語「混合」は、任意の形態の攪拌によって溶液または懸濁液中の2つ以上の異なる化合物または物質の本質的に等しい分布を引き起こす行為を説明する。溶液または懸濁液中の全ての成分の完全に均等な分布が生じ得るが、この用語が本出願で使用される場合、「混合」の結果として必要ではない。
本明細書で使用する場合、用語「溶媒」は、1つ以上の他の物質を溶解または分散することが可能なあらゆる液体物質を包含する。溶媒は、水など、本質的に無機であってもよく、または溶媒は、エタノール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、ヘキサン、石油エーテルなどの有機液体であってもよい。
本明細書で使用されるように、用語「洗剤」は、本出願では、用語「界面活性剤(surfactant)」または「表面活性剤(surface acting agent)」と交換可能に使用される。界面活性剤は、典型的には、両親媒性、すなわち、疎水性基(「尾部」)と親水性基(「頭部」)の両方を含有する有機化合物であり、これらは界面活性剤を有機溶媒及び水の両方において可溶性にする。界面活性剤は、その頭部における形式上の電荷を有する基の存在によって分類できる。非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基を有さず、一方で、イオン性界面活性剤は、その頭部に正味の電荷を帯びている。両性イオン性界面活性剤は、2つの反対に荷電された基を有する頭部を含有する。一般的な界面活性剤の一部の例としては以下が挙げられる:アニオン性(硫酸、スルホン酸またはカルボン酸のアニオンに基づく):ペルフルオロオクタン酸(PFOAまたはPFO)、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ラウリル硫酸アンモニウム、及び他のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム(ラウリルエーテル硫酸ナトリウムまたはSLESとしても知られる)、アルキルベンゼンスルホン酸、カチオン性(第四級アンモニウムカチオンに基づく):セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)別名ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ならびに他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ポリエトキシ化獣脂アミン(POEA)、塩化ベンザルコニウム(BAC)、塩化ベンゼトニウム(BZT);カプリル酸塩、カプリル酸、ヘプタノアート(heptanoat)、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ナノ酸、及びデカン酸などを含む長鎖脂肪酸及びそれらの塩;両性イオン性(両性):ドデシルベタイン;コカミドプロピルベタイン;ココアンフォグリシネート;非イオン性:アルキルポリ(エチレンオキシド)、アルキルフェノールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)及びポリ(プロピレンオキシド)の共重合体(PoloxamerまたはPoloxamineとして商業的に既知)、ならびにオクチルグルコシドを含むアルキルポリグルコシド、デシルマルトシド、脂肪アルコール(例えば、セチルアルコール及びオレイルアルコール)、コカミドMEA、コカミドDEA、ポリソルベート(Tween20、Tween80など)、Triton洗剤、ならびにドデシルジメチルアミンオキシドを含む。例示的な洗剤はオクトキシノール9である。
例示的な実施形態は、吸着性材料、例えば、シリカを除去する濾過ステップから下流にある少なくとも1つの生成物の「溶媒/洗剤処理」を組み込む。例示的な「溶媒洗剤処理」は、溶液内の脂質エンベロープウイルスを不活性化するために使用される溶媒洗剤混合物の一部である、有機溶媒(例えば、リン酸トリ-N-ブチル)を使用する。この処理において使用される例示的な洗剤は、オクトキシノール9である。
用語「ポリペプチド」または「タンパク質」は、タンパク質配列の天然または人工タンパク質、タンパク質断片及びポリペプチド類似体を包含する。ポリペプチドは、単量体または重合体であり得る。例示的なポリペプチドまたはタンパク質としては、ヒトFVIII及びヒトフィブリノーゲンが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」とは、ペプチド結合を介して連結されたアミノ酸残基、構造バリアント、関連する天然に存在する構造バリアント、及びその合成の非天然に存在するアナログから構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して調製される。用語「タンパク質」は、典型的には、大きいポリペプチドを指す。用語「タンパク質」は、典型的には、小さなポリペプチドを指す。
「天然に存在する」FVIIIポリペプチド配列は、典型的には、霊長類、例えば、ヒト、げっ歯類、例えば、ラット、マウス、ハムスター、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、または任意の哺乳動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物由来である。参照ポリヌクレオチド及びポリペプチド配列としては、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot P00451(FA8_HUMAN)、Gitschier J et al.,Characterization of the human Factor VIII gene,Nature,312(5992):326-30(1984)、Vehar G H et al.,Structure of human Factor VIII,Nature,312(5992):337-42(1984)、及びThompson A R.Structure and Function of the Factor VIII gene and protein,Semin Thromb Hemost,2003:29;11-29(2002)(これらの全体が本明細書に組み込まれる参考文献)が挙げられる。
本明細書で使用する場合、「抗体」は、検体(抗原)を特異的に結合及び認識する、免疫グロブリン遺伝子もしくは複数の免疫グロブリン遺伝子、またはそれらの断片によって実質的にコードされたポリペプチドを指す。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン、ミュー定常領域遺伝子、ならびに、無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を含む。軽鎖は、カッパまたはラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、またはイプシロンとして分類され、それらは次いで、免疫グロブリンクラス、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEをそれぞれ定める。例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、ポリペプチド鎖の2つの対から構成され、各々の対は、1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各々の鎖のN末端は、抗原認識を主に担当する約100~110またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定める。可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)という用語は、それらの軽鎖及び重鎖のそれぞれを指す。例示的な抗体は、FVIIIに特異的に結合するモノクローナル抗体である。様々な実施形態において、本抗体は、例えば、本発明の例示的なプロセスの溶媒/洗剤処理ステップから出現する、濾過ステップの下流の調製物中のFVIII、例えばヒトFVIIIに特異的に結合する。
様々な実施形態では、FVIIIに特異的に結合するモノクローナル抗体を使用する親和性クロマトグラフィーを使用して、例えば、本発明の例示的なプロセスの溶媒/洗剤処理ステップから出現する、濾過の下流のFVIII調製物をさらに精製する。
本明細書で使用される「滅菌条件下で」という用語は、例えば、血液処理セットからの2つ以上の管(例えば、バッグ)の無菌接続手段を使用することによって、系の無菌性を維持することを指すか、またはプロセスが汚染をもたらさない手段を指す。例えば、本明細書に記載される方法で使用されるように、同様のチューブを含む病原体不活性化化合物の処理セットまたは容器に接続するためのチューブを含むクリオ沈殿物または血漿などの血液生成物の供給源単位は、例えば、滅菌接続デバイスを使用して、当該技術分野で既知の方法によって滅菌条件下で接合されてもよく、これは、チューブを一緒に溶融または溶接して、2つの容器間に滅菌流路を供給するように作用する。様々な実施形態において、ステップ間の本発明のプロセスの中間体及び生成物の移送は、滅菌条件下で行われる。
「国際単位」または「IU」は、1段階アッセイなどの標準アッセイによって測定した、FVIIIの血液凝固活性(効力)の測定単位である。1段階アッセイは当該技術分野において公知であり、例えば、N Lee,Martin L,et al.,An Effect of Predilution on Potency Assays of FVIII Concentrates,Thrombosis Research(Pergamon Press Ltd.)30,511 519(1983)に記載されているものなどである。別の標準アッセイは、発色アッセイである。発色アッセイは、商業的に購入されてもよく、例えば、Chromogeix AB,Molndal,Swedenから入手可能なCoatest Factor VIIIなどである。例示的な実施形態では、最終容器中のFVIIIの活性は、約20~約200IU/mLである。
一実施形態では、本発明によるプロセスは、大規模に行われる。本文脈では、「大規模」という用語は、吸着サイクルごとに少なくとも約1リットル、例えば吸着サイクルごとに少なくとも約5リットル、例えば吸着サイクルごとに少なくとも約10リットル、例えば吸着サイクルごとに少なくとも約25リットル、例えば吸着サイクルごとに少なくとも約100リットル、例えば吸着サイクルごとに少なくとも約1000リットルの原料体積の処理に関するものであり、したがって、本発明を、産業用大規模生産環境における堅牢性及び再現性の厳しい要件に関連しない任意の分析的及び小規模の実験と区別する。本発明の例示的な方法は、FVIIIからのフィブリノーゲンの大規模な分離である。
「疾患」は、動物が恒常性、例えば、止血を維持することができず、疾患が改善されない場合、動物の健康が悪化し続ける、動物の健康状態である。
「止血」は、血管の損傷(破裂など)後の出血を防ぐ重要な生理学的プロセスである。止血を促進する3つの基本的なメカニズム、(i)血管収縮、(ii)破裂部位での血小板凝集、及び(iii)凝固が存在する。凝固中、損傷した内皮細胞は組織因子(第III因子)を放出し、これは次にCa2+の助けを借りて第VII因子を活性化する。活性化された血小板によって放出される第XII因子は、第XI因子を活性化する。活性化第VII因子及び第XI因子は、第X因子の活性化につながる酵素反応のカスケードを促進する。活性第X因子(第Xa因子)は、m因子、第V因子、Ca2+、及び血小板血栓形成因子(PF3)とともに、プロトロンビン活性化因子を活性化する。プロトロンビン活性化因子は、プロトロンビンをトロンビンに変換し、フィブリノーゲン(第I因子)をフィブリンに変換し、フィブリンは損傷部位の上に初期メッシュを形成する。初期メッシュは、次に第XIII因子によって高密度フィブリン凝固に変換され、部位が修復されるまで破裂を密封する。凝固カスケード中、トロンビンはまた、血液循環中で主にフォン ウィレブランド因子(VWF)に複合体化される糖タンパク質プロコファクターである第VIII因子も活性化する。第VIII因子は、第IXa因子と相互作用して、Ca+2及びリン脂質の存在下で第X因子を活性化する。
先天性であれ後天性であれ、フィブリノーゲン、第VIII因子、及び/またはフォン ウィレブランド因子(VWF)を含む凝固に関与するタンパク質のうちのいずれか1つ以上のレベルの欠乏は、血液の不十分な凝固及び出血のリスクをもたらし得る。現在の治療の選択肢は、1つ以上の治療用タンパク質の医薬製剤の投与に限定され、タンパク質(複数可)の内因性レベルを回復させ、止血を維持することを目的とする。
様々な実施形態において、本発明の方法によって産生されるFVIII、またはその薬学的製剤は、疾患を防ぐための予防のために、またはそのような治療もしくは予防を必要とする対象の疾患を治療するために、対象に投与される。例示的な実施形態において、疾患は、止血の破壊である。様々な実施形態において、疾患は、血液凝固の欠損による過度の出血である。例示的な実施形態では、出血は、対象におけるFVIIIの欠乏によるものである。
用語「薬理学的に活性な」とは、そのように記載された物質が、医学的パラメータまたは疾患状態に影響を及ぼす活性を有すると決定されることを意味する。例示的な実施形態では、本発明は、本発明の方法によって調製される薬学的に活性なFVIII製剤を提供する。本発明の例示的なFVIII製剤は、注入のために好適である。例示的な薬理学的に活性なFVIII製剤は、病原体不活性化されている。
「注入のために好適な」という用語は、医学的判断によれば、対象(例えば、ヒト患者)への注入のために使用可能な任意の血液製剤(例えば、FVIII)を指す。いくつかの実施形態において、適合性は、その意図される使用、すなわち、ヒト凝固因子の輸血が示される場合の使用のために十分な生物学的活性を有することを指し、これには、出血関連第VIII因子欠乏症の制御、止血の維持、播種性血管内凝固(DIC)及び/または大量出血の治療が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、適合性は、例えば、製品が、製品の安全性(例えば、病原体不活性化)を改善し、及び/または1つ以上の安全性関連測定(例えば、ウイルスまたは細菌力価)に関して満足のいく性能を実証する処理を受けたという十分な安全性を有することを指す。本明細書に記載のアモトサレン及びUVA光を用いた血液産物単位における病原体の光化学的不活性化は、ヒトへの輸血のために好適であるそのような血液産物(例えば、クリオ沈殿物)を提供するために十分に確立されている。いくつかの実施形態では、適合性は、AABB等の注入実務を管理する認定機関または規制機関によって確立された1つ以上の基準(例えば、生物学的活性または生物学的成分のレベル、安全性基準などを有すること)を満たすことを指す。
本明細書で使用される「病原体不活性化」は、存在し得る病原体を不活性化するために処理を受けた(例えば、本明細書に記載の方法によって)血液製剤(例えば、クリオ沈殿物または血漿)を説明する。クリオ沈殿物から下流の病原体不活性化クリオ沈殿物または画分は、それ自体が病原体不活性化を受けたクリオ沈殿物または下流画分、または病原体不活性化血液産物(例えば、血漿、全血等)から作製されたクリオ沈殿物を含み得ることを理解されたい。病原体の不活性化は、特定の体積における感染性病原体(例えば、ウイルスまたは細菌)の数を測定することによってアッセイすることができ、不活性化のレベルは、典型的には、病原体の感染性の対数減少、または力価の対数減少によって表される。力価の対数減少をアッセイする方法、及び病原体不活性化のためのその測定は、当該技術分野において既知である。力価の対数減少をアッセイする方法、及び病原体不活性化のためのその測定は、例えば、米国特許第7,655,392号に記載されており、その開示は、病原体不活性化のためのアッセイに関するものとして参照により本明細書に組み込まれる。このようなものとして、任意の所与の病原体について、クリオ沈殿物または血漿の試験単位に既知の量を添加して、プロセスからどの程度の不活性化が生じるかを評価することができ、典型的には、病原体不活性化プロセスは、力価の少なくとも約1log減少、または力価の少なくとも約2log、約3log、約4log、または少なくとも約5log減少をもたらす。本明細書に記載の方法は、任意の病原体不活性化処理に適用可能であるが、病原体不活性化処理は、HIV-1、HBV、HCV、HTLV-1、HTLV-2、西ナイルウイルス、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Yersinia enterocolitica、Staphylococcus epidermidis、Staphylococcus aureus、Treponema pallidum、Borrelia burgdorferi、Plasmodium falciparum、Trypanosoma cruzi、及びBabesia microtiからなる群から選択される病原体を含む、力価の少なくとも1logの減少まで様々な病原体を不活性化することができることが望ましい。様々な実施形態において、本発明は、フィブリノーゲンをFVIIIから分離し、この方法の生成物から病原体不活性化FVIII製剤を形成する方法を提供する。
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体」には、生理学的に適合可能である溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが含まれる。薬学的に許容される担体のいくつかの例は、水、食塩水、リン酸緩衝食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール等、ならびにそれらの組み合わせである。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、アミノ酸(例えば、グリシン、プロリンなど)、または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。薬学的に許容される物質の追加の例は、FVIIIの貯蔵寿命または有効性を高める湿潤剤、または、湿潤剤もしくは乳化剤、防腐剤または緩衝剤などの少量の補助物質である。このような担体を含む組成物は、周知の従来の方法によって製剤化される。本発明の例示的な製剤は、1つ、2つ、またはそれ以上の異なるアミノ酸を含む。例示的な実施形態において、アミノ酸(複数可)の存在は、アミノ酸(複数可)が存在しない製剤においてFVIIIが典型的に安定しない高濃度であっても、抗体の安定性を改善する。様々な実施形態において、担体は、「安定な薬学的製剤」を提供するように選択される。
本明細書で使用される場合、用語「アミノ酸」は、天然及び/または非天然または合成アミノ酸のいずれかを指す。
一実施形態では、安定な医薬製剤は、本発明のプロセスのFVIII生成物と、FVIIIの安定性を増加させ、及び/または溶液粘度を低下させるアミノ酸の能力に基づいて選択される少なくとも1つのアミノ酸とを含有する。一実施形態において、アミノ酸は、R、H、及びK等の正に荷電した側鎖を含有する。別の態様において、アミノ酸は、D及びE等の負に荷電した側鎖を含有する。別の実施形態において、アミノ酸は、A、F、I、L、M、V、W、及びY等の疎水性側鎖を含有する。別の実施形態において、アミノ酸は、S、T、N、及びQ等の極性非荷電側鎖を含有する。さらに別の実施形態において、アミノ酸は、側鎖を有さず、すなわち、Gである。
本明細書に記載の製剤に関連して使用される「安定な医薬製剤」等の「安定な製剤」という用語は、製造、保管、及び適用中に、その物理的安定性/同一性/完全性及び/または化学的安定性/同一性/完全性及び/または生物学的活性/同一性/完全性を維持する製剤を意味するが、これらに限定されない。タンパク質の安定性を評価するための様々な分析技術が当該技術分野で入手可能であり、Reubsaet,et al.(1998)J Pharm Biomed Anal 17(6-7):955-78及びWang,W.(1999)Int J Pharm 185(2):129-88において概説されている。安定性は、例えば、限定されないが、選択された期間の間、選択された気候条件での保管によって、選択された期間の間、選択された振動周波数での振動などの機械的応力を加えることによって、選択された期間の間、選択された光強度での照射によって、または選択された温度での繰り返しの凍結及び解凍によって、評価することができる。安定性は、例えば、目視検査、SDS-PAGE、IEF、サイズ排除液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)、逆相液体クロマトグラフィー(RP-HPLC)、イオン交換HPLC、キャピラリー電気泳動、光散乱、粒子カウント、濁度、RFFIT、及びカッパ/ラムダELISAからなる群から選択される方法のうちの少なくとも1つによって決定され得るが、これらに限定されない。目視検査での使用の例示的な特徴には、濁度及び凝集体形成が含まれる。
一実施形態では、製剤は、製剤中のFVIIIが、(1)本質的にその天然物理的安定性全体を保持し、(2)本質的にその全体的な化学的安定性を保持し、及び/または(3)生物学的活性を保持する場合、安定であるとみなされる。
本発明の例示的なFVIII製剤は、安定な製剤、例えば、安定な医薬製剤である。
FVIIIは、例えば、限定されないが、色及び/または透明度の目視検査時に、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)または電気泳動によって、濁度または凝集体形成などに関して測定されたときに、凝集、沈殿及び/または変性の徴候を示さない場合、製剤中で「その物理的安定性を保持している」と言うことができる。代替的で互換性のある定義は、1つ以上の規制機関(例えば、FDA、EMAなど)からの市販承認を得た同等の医薬品の物理的安定性要件のうちの1つ以上を満たす製剤である。
FVIIIは、例えば、限定されないが、所与の時点での化学的安定性が、結合形成または切断によるFVIIIの有意な修飾がなく、新たな化学的実体をもたらすようなものである場合に、製剤中で「その化学的安定性を保持する」と言われ得る。さらなる実施形態において、化学的安定性は、FVIIIの化学的に改変された形態を検出及び定量することによって評価され得る。化学的改変は、例えば、限定されないが、サイズ排除クロマトグラフィー、SDS-PAGE、及び/またはマトリックス補助レーザー脱着イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価され得るサイズ修正(例えば、クリッピング)を含み得る。他のタイプの化学的改変としては、例えば、限定されないが、例えば、イオン交換クロマトグラフィーによって評価され得る電荷改変(例えば、脱アミド化の結果として起こる)が挙げられる。酸化は、一般的に見られる別の化学修飾である。代替的で互換性のある定義は、1つ以上の規制機関(例えば、FDA、EMAなど)からの市販承認を得た同等の医薬品のための安定性要件のうちの1つ以上を満たすFVIII製剤である。
一実施形態では、FVIIIは、例えば、限定されないが、FVIIIの生物活性が、所与の時点で、製剤が決定するように調製されたときに提示された生物活性の約50%~約200%、または代替的に約60%~約170%、または代替的に約70%~約150%、または代替的に約80%~約125%、または代替的に約90%~約110%である場合、薬学的製剤中の天然FVIIIに対して「その生物活性を保持する」と言われ得る。さらなる実施形態では、FVIIIは、例えば、限定されないが、本発明の方法によって調製されるFVIIIの生物活性が、所与の時点で、当該技術分野で認識されるFVIII活性アッセイにおける参照標準の活性の少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または少なくとも約100%である場合、薬学的製剤中で「その生物活性を保持する」と言われ得る。代替的で互換性のある定義は、1つ以上の規制機関(例えば、FDA、EMAなど)からの市販承認を得た同等の医薬品のための生物学的活性要件のうちの1つ以上を満たすFVIII製剤である。
本発明の方法によって調製される「治療有効量」のFVIIIは、所望の治療結果を達成するために必要な用量、投薬間隔、及び期間において、有効な量を指す。治療有効量のFVIIIは、個体の疾患状態、年齢、性別、及び体重、ならびに個体において所望の応答を誘発するFVIIIの能力などの要因に従って変化し得る。例示的な実施形態において、止血に関連する疾患に感染した対象を、本発明の方法によって調製されるFVIIIを含む治療有効量の薬学的製剤で治療することは、死亡のリスクを低減する。いくつかの実施形態において、治療有効量の本発明の薬学的製剤による感染対象の治療は、対象の回復までの時間を速める。
例示的な実施形態では、本発明は、本発明の方法によって調製されるFVIIIの単位用量製剤を提供する。単位用量は、治療有効量のFVIIIを含有する。
「用量」及び「投薬量」という用語は本明細書では互換的に使用される。用量は、各投与において個体に与えられる活性成分の量を指す。用量は、投与の頻度、個体のサイズ及び耐性、状態の重症度、副作用のリスク、及び投与の経路を含む、多くの要因に応じて変化する。当業者は、用量が、上記の要因に応じて、または治療の進行に基づいて変更され得ることを認識する。「剤形」という用語は、医薬品の特定の形態を指し、投与経路に依存する。例えば、剤形は、液体、例えば、注入のための生理食塩水中にあることができる。
本明細書で使用される場合、「投与すること」は、外科的に作製されたポーチへの、または外科的に配置されたカテーテルもしくはデバイスの対象への静脈内、腹腔内、筋肉内、病変内、または皮下投与、くも膜下腔内投与、または滴下を意味する。
本明細書に使用される場合、用語「対象」は、ヒト対象を含む。
本明細書で使用される場合、用語「治療」、「処置」、及び「改善」は、血液タンパク質の欠如、機能の欠如、または機能不全に関連する状態から生じる症状の重症度のあらゆる低下を指す。本明細書で使用される場合、「治療する」及び「予防する」という用語は、絶対的な用語であることを意図するものではない。治療は、あらゆる発症の遅延、症状の改善、患者生存の改善、生存期間または生存率の増加を指すことができ、例えば、(i)症状のうちの1つ以上の進行を遅延させるか、停止させるか、もしくは逆転させるか、(ii)かかる症状の基礎となる疾患の進行を遅延させるか、停止させるか、もしくは逆転させるか、(iii)症状の再発の可能性を減少させるか、もしくは排除するか、及び/または(iv)止血における混乱の進行を遅延させるか、その混乱を低下させるか、もしくはその混乱を排除するかを指すことができる。治療の効果は、治療を受けていない個人または個人の集団と比較することができる。
本明細書で使用される場合、用語「予防」は、血液タンパク質の機能の欠乏または機能不全に関連する状態から生じる症状の減少した可能性または頻度の減少を指す。
本明細書で使用される場合、「単離された」FVIIIは、少なくとも約90%純粋である(すなわち、10%を超えるタンパク質不純物を含まない)ヒトFVIIIである。好ましくは、単離されたヒトFVIIIは、少なくとも約95%、98%、99%、または少なくとも約99.5%純粋である。
例示的な実施形態では、本発明の方法によって産生されるFVIIIは、ヒトへの投与のためにこのタンパク質を調製するための受け入れられた工業的方法で得られるものと少なくとも同程度の純度である。
様々な実施形態では、本発明は、本発明の方法によって単離される、単離されたFVIIIを提供する。
本明細書で使用する場合、用語「約」は、指定された値からのプラスまたはマイナス10%のおおよその範囲を表す。例えば、「約20%」という言葉は、18~22%の範囲を包含する。本明細書で使用される場合、約はまた、正確な量も含む。したがって、「約20%」は「約20%」を意味し、「20%」もまた意味する。本明細書で使用される場合、「約」は、指定された値のプラスまたはマイナス約10%以下の範囲を指す。
本明細書および特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」もしくは「含むこと(comprising)」などの変形は、記載される整数または整数の群の包含を意味するが、任意の他の整数または整数の群を除外しないことと理解される。
III.実施形態
本開示の代表的な実施形態の実装についてこれから詳細に言及する。当業者は、以下の詳細な説明は例示に過ぎず、いかなる方法でも限定することを意図するものではないことを理解する。本開示の他の実施形態は、本開示の利益を有するそのような当業者に容易に示唆する。
明確にするために、本明細書に記載の実装の日常的な特徴の全てが示され、説明されるわけではない。任意のそのような実際の実装の開発において、応用及びビジネス関連の制約とのコンプライアンスなどの開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装固有の決定が行われること、ならびにこれらの特定の目標は、1つの実装から別の実装に、及び1つの開発者から別のものに変わることが理解される。さらに、そのような開発努力は、複雑でかつ時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとっては、工学の日常的な事業であることが理解される。
本開示に示される例示的な実施形態の多くの改変及びバリエーションは、当業者には明白であるように、例示的な実施形態の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われる。本明細書に記載される具体的な例示的な実施形態は、例としてのみ提供され、本開示は、添付の特許請求の範囲の条件、ならびにそのような特許請求の範囲が権利付与される等価物の全範囲によってのみ制限されるべきである。
A.方法
例示的な実施形態では、本発明は、血液凝固因子とフィブリノーゲンとを含む血漿クリオ沈殿物を、血液凝固因子を含む第1の画分とフィブリノーゲンを含有する第2の画分とに分離する方法を提供し、この方法は、(a)血漿クリオ沈殿物を固体SiOと接触させ、それによってフィブリノーゲンを固体SiO上に吸着させることと、(b)固体SiO上に吸着させたフィブリノーゲンを血液因子から分離させ、それによって第1の画分と第2の画分を形成することとを含む。
例示的な実施形態は、(a)の前に、(c)クリオ沈殿物を水中に懸濁させて、クリオ沈殿物懸濁液を形成することをさらに含む。懸濁液は、本明細書に記載の方法の例示的な「出発組成物」である。
クリオ沈殿物、またはFVIIIの他の供給源、及び水は、クリオ沈殿物懸濁液中で、任意の有用な比率で、例えば、約1:2~約1:7、例えば、約1.3~約1:6のクリオ沈殿物:水の比率で組み合わされる。様々な実施形態において、クリオ沈殿物:水の比率は、クリオ沈殿物懸濁液中で約1:3.5~約1:5である。
様々な実施形態において、クリオ沈殿物懸濁液に塩を含むことが有利である。例示的な塩は、二価金属イオン塩である。例示的な実施形態では、塩は、二価カチオン、例えば、CaClを含む。塩は、任意の有用な量で存在してもよい。二価金属塩がCaClである例示的な実施形態では、CaClは、クリオ沈殿物懸濁液中に、約40μM~約70mM、例えば、約100μM~約60mM、例えば、250μM~約50mMで存在する。
クリオ沈殿物懸濁液と混合されたシリカは、クリオ沈殿物懸濁液からフィブリノーゲンを除去し、クリオ沈殿物懸濁液中のこのタンパク質の濃度を減少させることを目的とするために有用な任意のシリカであり得る。様々な実施形態において、SiOは、ヒュームドSiOであり、例えば、ヒュームドSiOは、親水性コロイドSiOである。例示的な実施形態において、SiOは、Aerosil製品、例えば、Aerosil(登録商標)380または類似の吸着性材料である。
本明細書に提供される方法の特定の実施形態では、FVIII調製物中のフィブリノーゲンの量は、出発血漿またはクリオ沈殿物中のフィブリノーゲンの量と比較して少なくとも約10%減少する。別の実施形態では、フィブリノーゲンの量は、出発血漿またはクリオ沈殿物から少なくとも約25%減少する。別の実施形態では、フィブリノーゲンの量は、出発血漿またはクリオ沈殿物中に存在する量から少なくとも約50%、または少なくとも約60%減少する。別の実施形態では、フィブリノーゲンの量は少なくとも75%減少する。別の実施形態では、フィブリノーゲンの量は少なくとも90%減少する。さらに他の実施形態では、フィブリノーゲンの量は、少なくとも5%、または少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または試験システムの検出限界を下回るレベルまで減少する。
例示的な実施形態では、二酸化ケイ素で処理した後、中間組成物は、出発血漿または出発クリオ沈殿物と比較して、約60%減少した量のフィブリノーゲンを有する。
例示的な実施形態では、精製サイクルの終了時の最終組成物は、出発血漿またはクリオ沈殿物のフィブリノーゲン含有量と比較して、少なくとも約99%、または検出限界を下回る量のフィブリノーゲンを有する。
固体SiOは、クリオ沈殿物と任意の有用な比率及び量で混合される。一般に、本明細書に記載の方法に必要な微細に分割された二酸化ケイ素(SiO)の量は、限定されないが、出発組成物中に存在するタンパク質の総量、組成物中のFVIIIの濃度、出発組成物中のフィブリノーゲンの量、及び溶液条件(例えば、pH、導電率等)を含むいくつかの要因に依存して変化する。例えば、SiOは、約0.01g/gタンパク質と約10g/gタンパク質の間の濃度で出発組成物に添加され得る。別の実施形態では、SiOは、約1g/gタンパク質と約5g/gタンパク質の間の濃度で出発組成物に添加され得る。別の実施形態では、SiOは、約2g/gタンパク質と約4g/gタンパク質の間の濃度で出発組成物に添加され得る。1つの実施形態では、SiOは、グラム総タンパク質当たり少なくとも1gの最終濃度で添加される。一実施形態では、フュームドシリカは、グラム総タンパク質当たり少なくとも2gの濃度で添加される。特定の実施形態では、フュームドシリカは、グラム総タンパク質当たり少なくとも約2.5gの濃度で添加される。様々な実施形態では、SiOは、約0.01g/gタンパク質と約5g/gタンパク質の間の濃度で標的組成物に添加され得る。例示的な実施形態では、SiOは、約0.02g/gタンパク質~約4g/gタンパク質の濃度で標的組成物に添加され得る。1つの実施形態では、SiOは、グラム総タンパク質当たり少なくとも0.1gの最終濃度で添加される。別の特定の実施形態では、フュームドシリカは、グラム総タンパク質当たり少なくとも0.2gの濃度で添加される。別の特定の実施形態では、フュームドシリカは、グラム総タンパク質当たり少なくとも0.25gの濃度で添加される。さらなる他の特定の実施形態では、微細に分割された二酸化ケイ素は、少なくとも約0.01g/g総タンパク質、またはg/g総タンパク質当たり、少なくとも0.02g、0.03g、0.04g、0.05g、0.06g、0.07g、0.08g、0.09g、0.1g、0.2g、0.3g、0.4g、0.5g、0.6g、0.7g、0.8g、0.9g、1.0g、1.5g、2.0g、2.5g、3.0g、3.5g、4.0g、4.5g、5.0g、5.5g、6.0g、6.5g、7.0g、7.5g、8.0g、8.5g、9.0g、9.5g、または少なくとも約10.0g、もしくはそれよりも高い濃度で添加される。
様々な実施形態において、SiOは、クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり約5g~約30gのSiOで懸濁液中に存在する。例示的な実施形態では、SiOは、懸濁液1キログラム当たり約10g~約20gのSiOで懸濁液中に存在する。
本発明の特定の実施形態において、さらなる固体材料、例えば、濾過助剤は、クリオ沈殿物懸濁液と組み合わされる。
特定の実施形態では、濾過助剤、例えば、Celpure C300(Celpure)またはHyflo-Super-Cel(World Minerals)は、濾過を促進するためである。濾過助剤は、約0.01kg/kg出発組成物~約1.0kg/kg出発組成物、または約0.02kg/kg出発組成物~約0.8kg/kg出発組成物、または約0.03kg/kg出発組成物~約0.7kg/kg出発組成物の最終濃度で添加することができる。他の実施形態において、濾過助剤は、約0.01kg/kg出発組成物~約0.07kg/kg出発組成物、または約0.02kg/kg出発組成物~約0.06kg/kg出発組成物、または約0.03kg/kg沈殿物~約0.05kg/kg出発組成物の最終濃度で添加することができる。特定の実施形態では、濾過助剤は、約0.01kg/kg出発組成物、または約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1.0kg/kg出発組成物の最終濃度で添加される。
例示的な実施形態では、濾過助剤は、クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり約2g~約10gの濾過助剤でクリオ沈殿物懸濁液中に存在する。様々な実施形態では、濾過助剤は、クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり4g~約8gでクリオ沈殿物懸濁液中に存在する。例示的な実施形態では、濾過助剤は、クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり約5g~約6.5g、例えば、約5.2g~約6g/kg、例えば、約5.4g~約5.8g/kgのクリオ沈殿物懸濁液がクリオ沈殿物懸濁液中に存在する。
いくつかの実施形態では、濾過助剤は、二酸化ケイ素処理の後、二酸化ケイ素処理の前、または二酸化ケイ素処理と同時に添加され、後続の濾過を容易にする。
一般に、プロセス中に形成された様々な懸濁液、例えば、クリオ沈殿物懸濁液は、プロセスの過程で均質に攪拌される。
固体SiO及び出発組成物、例えば、クリオ沈殿懸濁液(または画分II+III懸濁液)は、フィブリノーゲンがSiO上に吸着することを可能にする条件下で混合される。様々な実施形態において、出発組成物/SiO懸濁液は、約15℃~約37℃、例えば、約20℃~約32℃の温度である。
出発組成物をシリカ及び濾過助剤の一方または両方と混合するステップに続いて、方法は、(d)クリオ沈殿物懸濁液を濾過デバイスに通し、それによって濾過ケーキ及び濾液を形成することをさらに含む。
一般に、任意の濾過デバイスは、クリオ沈殿物懸濁液の混合物から本質的に全てのシリカ吸着フィブリノーゲンを分離するために適している。例示的な実施形態では、濾過デバイスはメッシュスクリーンである。例示的なメッシュスクリーンは、直径約100μm~約400μmの細孔を有する。例示的な実施形態では、メッシュスクリーンは、約100μmを超える細孔を有する。
濾過方法論は、任意選択的に、接線的、デッドエンド、または任意の他の有用な濾過方法論である。本発明の濾過ステップの目的を達成するために適切な濾過デバイス及び方法を考案することは、当業者の範囲内である。
濾過の間、FVIIIは、シリカに吸着されないか、またはそうでなければシリカと会合せずに、第1の濾液中に収集される。濾過後、濾過ケーキは、任意選択で、液体、例えば、1つ以上の塩の水溶液で洗浄される。様々な実施形態において、この洗浄を回収することは、濾過ケーキからFVIIIの画分を回収する。例示的な実施形態では、この画分で回収されるFVIIIの量は、濾過ケーキに取り込まれるFVIIIの量に対して本質的に定量的である。一実施形態において、FVIIIを含有する洗浄液は、溶液中のFVIII(シリカに吸着されない、またはそうでなければシリカと会合しない)と組み合わされ、バルク濾液を形成する(図1、図2)。例示的な液体は、少なくとも1つの金属イオン塩、例えば、単一荷電金属イオンを含有する水性液体である。例示的な実施形態では、金属イオン塩はNaClである。
例示的な実施形態では、液体は、塩水溶液、例えば、NaCl水溶液である。例示的な実施形態において、NaClは、約0.1M~約0.2M、例えば、約0.13M~約0.16M、例えば、約0.14M~約0.15Mで存在する。例示的な実施形態では、NaCl濃度は、約0.145Mである。本発明者らは、洗浄液のイオン含有量が生成物回収に関連していることを発見した-イオン濃度が高すぎると、不純物が二酸化ケイ素から浸出され、イオン濃度が低すぎると、回収可能なFVIIIが二酸化ケイ素に吸着されたままである。
様々な実施形態において、本発明は、血液因子から固体SiO上に吸着されたフィブリノーゲンを分離し、第1の画分及び第2の画分を形成するために遠心分離を使用しない。特定の実施形態において、遠心分離を利用して、血液因子から固体SiO上に吸着されたフィブリノーゲンの分離を改善し、第1の画分及び第2の画分を形成することが有利であり得る。
特定の条件下では、バルク濾液またはその成分のうちの1つ、例えば、第1の濾液は、粒子状物質、例えば、凝集体を含む。この粒子状物質は、バルク沈殿物の濾過によって還元または除去される。例示的な濾過は、(e)第1の濾液を0.2μmフィルターを通して濾過し、収集されたFVIII画分及び濾過ケーキ吸着フィブリノーゲンを形成することを伴う。
バルク濾液、またはステップ(e)の濾液生成物の特性は、塩または他の添加剤の添加によって調整することができる。例示的な実施形態では、金属イオン塩が添加される。一実施形態では、金属イオン塩は、単一荷電金属イオン、例えば、Naの塩、例えば、NaClである。
ステップ(e)のバルク濾液または濾液生成物への添加剤は、例示的な実施形態において、約100mM~約200mMの量で存在する。例示的な実施形態では、添加剤は、この量の金属イオンの塩、例えばNaClである。例示の目的で、添加剤の量は約150mMである。
例示的な実施形態では、ステップ(e)の前に、方法は、(e)の前に、(g)塩化カルシウムを第1の濾液に約0.045M~約0.055Mの最終濃度で添加することを含む。例示的な実施形態では、塩化カルシウムが第1の濾液に約0.050Mの最終濃度で添加される。
例示的な実施形態において、CaClは、ストックCaCl溶液、例えば、5M CaCl溶液から添加される。
例示的な実施形態において、清澄化バルク溶液は、ウイルス還元のために均質な溶媒/洗剤混合物に出される。例となる溶媒/洗剤混合物は、オクトキシノール及びリン酸トリ(n-ブチル)である。例示的な実施形態では、溶媒/洗剤の濃度は、医薬品の市販承認を管理する国内機関(例えば、FDA)によって要求される濃度である。例示的な溶媒/洗剤混合物は、1.0%±0.1%(v/v)のオクトキシノール及び0.3%±0.03%(v/v)のリン酸トリ(n-ブチル)を含む。
様々な実施形態において、方法は、第2の濾液を形成する、凝集除去フィルターを介した上記のウイルス還元混合物をさらに含む。
例示的な実施形態では、方法は、(k)平衡化緩衝液で予め平衡化されたクロマトグラフィーカラム内の親和性クロマトグラフィー充填剤に第2の濾液をロードすることを含み、上記親和性クロマトグラフィー充填剤は、血液凝固因子に特異的に結合するモノクローナル抗体を伴う固体支持体を含み、親和性クロマトグラフィー充填剤上に血液凝固因子を固定化する。このステップに続いて(l)を行い、親和性クロマトグラフィー充填剤を洗浄緩衝液で洗浄し、親和性クロマトグラフィー充填剤に結合していない、または弱く結合している材料を除去する。精製血液因子を収集するために、方法は、(m)、溶出緩衝液を用いて親和性クロマトグラフィー充填剤から血液凝固因子を溶出させること、及び血液凝固因子を含有する溶出緩衝液の少なくとも1つの画分を収集することを含む。例えば、米国特許第5,470,954号を参照されたい。
様々な実施形態において、本発明の方法は、血液因子の大規模な富化及びフィブリノーゲンからの血液因子の分離である。
様々な実施形態において、本発明は、濾過ケーキからフィブリノーゲンを回収するためのステップをさらに含む。例示的な方法は、適切な溶出液で濾過ケーキからフィブリノーゲンを溶出させることと、そのように溶出されたフィブリノーゲンを収集することとを含む。
例示的な実施形態において、本明細書に記載されるものによれば、血液凝固因子は、FVIIIである。
図1は、本発明の例示的なプロセスを実行するための例示的な装置を示す。クリオ沈殿物懸濁液は、塩添加タンクと流体連通しているSiO、例えば、Aerosil、処理タンクに含有される。クリオ沈殿物懸濁液をシリカで処理した後、得られた懸濁液は濾過手段を介して第2のタンク、塩添加タンクに移される。塩添加タンクでは、ナトリウム濃度は約0.8Mに調整され、カルシウム濃度は約0.05Mに調整される。得られた懸濁液は、任意選択で、清澄化濾過手段を介して塩添加タンクから溶媒/洗剤タンクに移され、そこでウイルス減少ステップに出される。例示的なウイルス減少ステップは、リン酸トリ-(n-ブチル)(例えば、約1%)及びオクトキシノール9(例えば、約0.3%)で溶液を形成することを含む。プロセスはここで完了されてもよく、または、FVIIIに特異的に結合するMAbを固定化することを含む親和性カラムに溶液をロードする前に、溶媒/洗剤処理タンクから粒子を除去するために、任意選択のプレ濾過デバイスを有する装置において継続されてもよい。当業者には理解されるように、プロセス中に装置内で生成された溶液及び懸濁液は、1つ以上のポンプ、例えば、蠕動ポンプを用いて段階間で便利に移送される。
本発明の方法の例示的なプロセススキームは、図2に記載されている。例示的な既知のプロセスを図2に示す。血漿クリオ沈殿物ペーストを注射用水中に1(kg):3.5(L)クリオ沈殿物ペースト:水の比率で懸濁させ、試料Aを形成する。試料AのCa2+濃度をCaClで0.04Mに調整し、シリカ及び濾過助剤を混合物に添加し、25℃で約30分間攪拌し、濾過してバルク濾液を生成し、そのpHを7.2~7.6に調整して、試料Bを形成する。試料Bを塩添加及び清澄化に出し、NaClを使用して、試料BのNa含有量を0.8Mに調整し、CaClを使用して試料BのCa2+濃度を0.05Mに調整し、あらゆる凝集物を濾過によって除去し、清澄化バルクを生じ、この溶液を溶媒/洗剤処理を使用してウイルス減少ステップに出す。溶媒(リン酸トリ-(n-ブチル))及び洗剤(オクトキシノール9)を、清澄化バルクにそれぞれ1.0%(v/v)及び0.3%(v/v)の最終濃度まで添加し、試料Cを形成する。このプロセスはここで完了してもよく、またはいくつかの実施形態では、試料Cを、FVIIIを特異的に結合するMAbカラム上にロードし、親和性クロマトグラフィーによって精製してもよい。
B.組成物
例示的な実施形態では、本発明は、血液凝固因子、例えば、本明細書に記載の方法に従って調製されるFVIII調製物を提供する。例示的な血液凝固因子調製物は、その因子が薬学的に許容される担体と組み合わされる薬学的製剤として製剤化される。例示的な調製物及び/または製剤は、例えば、溶媒/洗剤処理によって不活性化される病原体である。薬学的製剤は、一般に、そのような注入を必要とする対象への注入のために適している。例示的な製剤は、単位用量製剤としてフォーマットされ、治療有効量の因子を含む。本発明はまた、本発明の方法によって産生される因子の安定な薬学的製剤を提供する。
例示的な実施形態では、調製及び/または製剤は、本明細書に記載される方法以外の方法によって産生される因子の調製及び/または製剤のものと本質的に同一である1つ以上のパラメータによって特徴付けられる。例示的な実施形態では、調製及び/または製剤は、1つ以上の規制当局(例えば、FDA、EMAなど)からの市販承認を得た製品の医薬品または前駆体である。
例示的な因子はFVIIIである。米国特許第5,763,401号(EP818 204)は、15~60mMのスクロース、最大50mMのNaCl、最大5mMの塩化カルシウム、65~400mMのグリシン、及び最大50mMのヒスチジンを含む、アルブミンを含まない治療用FVIII製剤を記載している。
Osterbergへの米国特許第5,733,873号(EP627 924)(Pharmacia & Upjohnに譲渡)は、0.01~1mg/mlの界面活性剤を含む製剤を開示している。他の製剤もまた記載されている。米国特許第4,877,608号(EP315 968)、米国特許第5,605,884号(EP0 314 095)は、比較的高濃度の塩化ナトリウムを有する製剤の使用を教示している、WO2010/054238、EP1 712 223、WO2000/48635、WO96/30041、WO96/22107、WO2011/027152、EP2 361 613、EP0 410 207、EP0 511 234、米国特許第5,565,427、EP0 638 091、EP0 871 476、EP0 819 010、米国特許第5,874,408号、US2005/0256038、US2008/0064856、WO2005/058283、WO2012/037530、WO2014/026954及びUS2017/0252412。本発明のFVIII調製物は、これらまたは他の参考文献に開示されている製剤に組み込むことができる。
C.治療の方法
様々な実施形態において、本発明は、止血の機能不全に関連する疾患を治療する方法を提供する。例示的な治療は、制御されていない出血事象の間に投与される。本発明は、例として、FVIIIへの言及を通して説明されるが、そのように限定されるものではない。
例示的な実施形態において、対象に必要な治療(または予防)は、約30IU/kg~50IU/kgの、本開示の方法によって産生されるFVIIIの用量を投与される。
本明細書に記載の状態を治療するための方法に関与する投与レジメンは、薬物の作用を変更する様々な要因、例えば、患者の年齢、状態、体重、性別及び食生活、任意の感染の重症度、投与時間、及び他の臨床要因を考慮して、主治医によって決定される。一態様において、本開示の製剤は、最初のボーラス、続いて、薬物製品の治療的循環レベルを維持するための連続注入によって投与される。別の例として、本発明の化合物は、1回投与量として投与される。当業者は、良好な医療行為及び個々の患者の臨床状態によって決定されるような、有効投与量及び投与レジメンを容易に最適化する。投与頻度は、薬剤の薬物動態パラメータ及び投与の経路に依存する。最適な薬学的製剤は、投与の経路及び所望の投与量に応じて、当業者によって決定される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.(1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.18042)1435-1712ページを参照、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。このような製剤は、投与される薬剤の物理的状態、安定性、インビボ放出の速度、及びインビボクリアランスの速度に影響を及ぼす。投与経路に応じて、適切な用量は、体重、体表面積または臓器サイズに従って計算される。適切な投薬量は、適切な用量反応データと併せて血中レベル投薬量を決定するための確立されたアッセイの使用を通して確認され得る。最終投薬レジメンは、薬物の作用を改変する様々な要因、例えば、薬物の特異的活性、損傷の重症度、及び患者の応答性、患者の年齢、状態、体重、性別及び食生活、任意の感染の重症度、投与の時間、ならびに他の臨床要因を考慮して、主治医によって決定される。研究が行われるにつれて、様々な疾患及び状態のための適切な投与量レベル及び治療の期間に関するさらなる情報が出現するであろう。
以下の実施例は、本発明の例示的な実施形態を例証するために提供され、その範囲を規定または限定するものではない。
実施例1
凍結クリオ沈殿物を、20~32℃の水中に、1:3.5対1:5のクリオ沈殿物と水との比率で懸濁させた。塩化カルシウムを40μmの濃度で添加した。懸濁液1kg当たり10~20gの親水性コロイド酸化ケイ素(Aerosil(登録商標)380等)及び懸濁液1kg当たり4~8gの濾過助剤(Celpure(登録商標)C300等)を添加し、完全に均質化するまで混合した。均質化された懸濁液を、100~400μmの孔径のメッシュスクリーンを使用して濾過した。濾過の最後に、ケーキを生理食塩水で後洗浄して、回収を最大化した。塩化ナトリウム及び塩化カルシウムを濾液に加えて、それぞれ0.8Mと0.05Mの最終濃度を得、次いで、溶液を0.2μmのフィルターを通して濾過して清澄化した。
上記プロセスの生成物のさらなる精製を以下のように行った。均質な溶媒/洗剤混合物を調製し、混合しながら、溶液にゆっくりと添加した。最終濃度1.0%±0.1%(v/v)のオクトキシノール9及び0.3%±0.03%(v/v)のリン酸トリ(n-ブチル)を混合物中に得る。その後、懸濁液を、MAb平衡化緩衝液を用いて平衡化されたMAbカラムにロードする前に、凝集除去フィルターを通して濾過した。その後、MAbカラムをMAb洗浄緩衝液によって洗浄し、次いで、第VIII因子を、MAb溶出緩衝液を用いてカラムから溶出させた。
実施例2
ヒト血漿から得られた凍結クリオ沈殿物を、24±1℃でMili-Q水中に、クリオ沈殿物(Kg):Mili-Q水(L))の1:3.5の比率で懸濁させた。40μmの最小カルシウム濃度を得るために、十分な塩化カルシウムを添加した。17.5gの量の親水性コロイド酸化ケイ素、Aerosil(登録商標)380、及び8gの濾過助剤、Celpure(登録商標)C300をそれぞれ1Kgの懸濁液に添加し、室温で400rpmで30分間混合した。
均質化された懸濁液をステンレス鋼メッシュスクリーン、150~250μm孔径を支持体として濾過し、次いで形成されたケーキを生理食塩水で洗浄した。塩化ナトリウム及び塩化カルシウムを濾液に加えて、それぞれ最終濃度を0.8Mと0.05Mにし、次いで溶液を0.2μmフィルターの清澄化を通して濾過した。
オクトキシノール9及びリン酸トリ(n-ブチル)の均質な溶媒/洗剤混合物を調製し、混合しながら、溶液にゆっくりと添加した。タンパク質溶液に添加された溶媒/洗剤混合物の量を計算して、最終濃度1.0%±0.1%(v/v)のオクトキシノール9及び0.3%±0.03%(v/v)のリン酸トリ(n-ブチル)を混合物中に得る。クリオ洗剤溶液を60分間完全に混合して、均質性及びウイルス不活性化を保証する。その後、懸濁液を、MAb平衡化緩衝液を用いて平衡化されたMAbカラム上にロードする前に、凝集除去フィルターを通して濾過した。その後、MAbカラムを最低40カラム体積のMAb洗浄緩衝液で洗浄し、次いで第VIII因子をMAb溶出緩衝液を用いてカラムから溶出した。
本明細書に使用される専門用語は、特定の実装のみを説明する目的のためであり、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。本実装の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他に明確に示さない限り、同様に複数形をも含むことが意図される。本発明を、様々な例示的な実施形態及び実施例を参照することによって例証した。当業者には明白であるように、本発明の他の実施形態及び変形例は、本発明の真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって考案され得る。添付の特許請求の範囲は、全てのそのような実施形態及び同等の変形例を含むように解釈されるべきである。
本明細書で引用されるありとあらゆる特許、特許出願、及び刊行物の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (38)

  1. 血液凝固因子及びフィブリノーゲンを含む血漿クリオ沈殿物を、血液凝固因子単離物を含む第1の画分とフィブリノーゲンを含有する第2の画分とに分離する方法であって、
    (a)前記血漿クリオ沈殿物を固体SiOと接触させ、それによって前記フィブリノーゲンを前記固体SiO上に吸着させることと、
    (b)前記固体SiO上に吸着された前記フィブリノーゲンを前記血液因子から分離させ、それによって前記第1の画分及び前記第2の画分を形成することと、を含む、前記方法。
  2. 前記SiOがヒュームドSiOである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ヒュームドSiOが親水性コロイドSiOである、請求項2に記載の方法。
  4. (a)の前に、(c)前記クリオ沈殿物を水中に懸濁させて、クリオ沈殿物懸濁液を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記水が、約15℃~約37℃である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記水が、約20℃~約32℃である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記クリオ沈殿物及び水が、前記クリオ沈殿物懸濁液中で約1:2~約1:7の比率である、請求項4に記載の方法。
  8. 前記クリオ沈殿物及び水が、前記クリオ沈殿物懸濁液中で、約1:3.5~約1:5の比率である、請求項7に記載の方法。
  9. 前記クリオ沈殿物懸濁液が、CaClをさらに含む、請求項4に記載の方法。
  10. 前記CaClが、前記クリオ沈殿物懸濁液中に約40μM~約50mMで存在する、請求項9に記載の方法。
  11. 前記CaClが、前記クリオ沈殿物懸濁液中に約0.045M~約0.055Mで存在する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記SiOが、前記懸濁液1キログラム当たり約5g~約30gのSiOで前記懸濁液中に存在する、請求項4に記載の方法。
  13. 前記SiOが、前記懸濁液1キログラム当たり約10g~約20gのSiOで前記懸濁液中に存在する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記クリオ沈殿物懸濁液が、前記クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり約2g~約10gの濾過助剤をさらに含む、請求項4に記載の方法。
  15. 前記濾過助剤が、前記クリオ沈殿物懸濁液1キログラム当たり約4g~約8gで前記クリオ沈殿物懸濁液中に存在する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記クリオ沈殿物懸濁液が均質まで混合される、請求項4に記載の方法。
  17. (d)前記クリオ沈殿物懸濁液を濾過デバイスに通過させ、それによって濾過ケーキ及び濾液を形成することをさらに含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記濾過デバイスがメッシュスクリーンである、請求項17に記載の方法。
  19. 前記メッシュスクリーンが、直径約100μm~約400μmの細孔を有する、請求項18に記載の方法。
  20. (d)に続いて、(e)水性洗浄液で前記濾過ケーキを洗浄することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
  21. 前記水性洗浄液が塩化ナトリウム溶液である、請求項18に記載の方法。
  22. (e)前記濾液を、0.2μmのフィルターを通して濾過し、第1の濾液を形成することをさらに含む、請求項21に記載の方法。
  23. (e)の前に、(f)前記第1の濾液に塩化ナトリウムを添加することをさらに含む、請求項20に記載の方法。
  24. 前記塩化ナトリウムが、約100mM~約200mMの最終濃度まで前記第1の濾液に添加される、請求項23に記載の方法。
  25. 前記塩化ナトリウムが、約150mMの最終濃度まで前記第1の濾液に添加される、請求項22に記載の方法。
  26. (e)の前に、(g)塩化カルシウムを約0.45M~約0.55Mの最終濃度まで前記第1の濾液に添加することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
  27. 前記塩化カルシウムが、約0.050Mの最終濃度まで前記第1の濾液に添加される、請求項23に記載の方法。
  28. (e)の前に、(h)塩化カルシウムを前記第1の濾液に添加することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  29. (i)前記(e)の第1の濾液を均質な溶媒/洗剤混合物と接触させ、第1の濾液懸濁液を形成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  30. 前記均質な溶媒/洗剤混合物が、オクトキシノール及びリン酸トリ(n-ブチル)である、請求項29に記載の方法。
  31. 前記均質な溶媒/洗剤混合物が、1.0%±0.1%(v/v)のオクトキシノール及び0.3%±0.03%(v/v)のリン酸トリ(n-ブチル)である、請求項30に記載の方法。
  32. (j)前記第1の濾液懸濁液を、凝集除去フィルターを通して濾過し、第2の濾液を形成することをさらに含む、請求項29に記載の方法。
  33. 前記血液凝固因子が第VIII因子である、請求項1に記載の方法。
  34. 前記血液因子から前記固体SiOまたはAl(OH)上に吸着された前記フィブリノーゲンを分離し、前記第1の画分及び前記第2の画分を形成する際に遠心分離が使用されない、請求項1に記載の方法。
  35. 前記血液因子から前記固体SiO上に吸着された前記フィブリノーゲンを分離し、前記第1の画分及び前記第2の画分を形成する際に遠心分離が使用される、請求項1に記載の方法。
  36. 請求項1に記載の方法によって調製される血液凝固因子単離物。
  37. 前記血液凝固因子単離物が、前記血漿クリオ沈殿物よりも少ないフィブリノーゲンを含有する、請求項1に記載の方法によって調製される血液凝固因子単離物。
  38. 前記血液凝固因子がFVIIIである、請求項1に記載の方法によって調製される血液凝固因子単離物。
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