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JP2025049830A - 直流電圧による接触帯電用電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

直流電圧による接触帯電用電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

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JP2025049830A
JP2025049830A JP2023158284A JP2023158284A JP2025049830A JP 2025049830 A JP2025049830 A JP 2025049830A JP 2023158284 A JP2023158284 A JP 2023158284A JP 2023158284 A JP2023158284 A JP 2023158284A JP 2025049830 A JP2025049830 A JP 2025049830A
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layer
group
charge transport
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JP2023158284A
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English (en)
Inventor
聡 溝口
昌記 平方
秀弥 勝原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
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Publication of JP2025049830A publication Critical patent/JP2025049830A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

【課題】摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を提供すること。
【解決手段】導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
【選択図】図1

Description

本発明は、直流電圧による接触帯電用電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
特許文献1には、導電性支持体上に少なくとも1層の感光層を有する電子写真感光体において、感光層のうち少なくとも最表面層が、下記一般式(A)で表される化合物(I)、及び下記一般式(B)で表される置換基を複数有する化合物(II)、から形成される架橋硬化膜からなり、前記架橋硬化膜が、下記式(1)で定義される残留OH基含有比Aが2.0以下であり、かつ、下記式(2)で定義される残留OH基含有比Bが0.3以下であることを特徴とする電子写真感光体が開示されている。
・一般式(A)
F-D-Si(R(3-a)(OR
(式中、Fは光電特性サブユニット表し、Dは可撓性サブユニット表し、Rは水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Rは水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表し、aは1~3の整数を表す。)
・一般式(B)
-Si(R(3-b)(OR
(式中、Rは水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Rは水素、アルキル基、トリアルキルシリル基を表し、bは1~3の整数を表す。)
A=x1/y ・・・(1)
B=x2/y ・・・(2)
(式中、x1はOH伸縮振動に基づく3500~3300cm-1における赤外吸収ピークの吸光度を表し、x2はOH伸縮振動に基づく955~890cm-1における赤外吸収ピークの吸光度を表し、yはカルボニル結合のCO伸縮振動に基づく1740~1700cm-1における赤外吸収ピークの吸光度を表す。)
特開2000-314980号公報
本発明の課題は、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜である電子写真感光体を直流電圧により接触帯電する際において、赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05以下又は0.36超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を提供することである。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
<1> 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<2> 前記表面保護層が、ヒドロキシ基を有する化合物、及び、ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物を含む組成物の硬化膜である<1>に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<3> 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、前記反応性電荷輸送材料である<2>に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<4> 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である<2>又は<3>に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<5> 前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である<2>乃至<4>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<6> 前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値が、5以上20以下である<2>乃至<5>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<7> 前記表面保護層が、カルボキシ基を有しない<1>乃至<6>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<8> 前記表面保護層が、ケイ素原子を有しない<1>乃至<7>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
<9> <1>乃至<8>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱し、直流電圧により前記電子写真感光体を接触帯電するプロセスカートリッジ。
<10> <1>乃至<8>のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を直流電圧により接触帯電する帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える画像形成装置。
<1>又は<2>に係る発明によれば、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜である電子写真感光体を直流電圧により接触帯電する際において、赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05以下又は0.36超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<3>に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物のみが、前記反応性電荷輸送材料である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<4>に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有さず、モノ又はジアリールアミン構造を有する化合物である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<5>に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有さず、モノ又はジアリールアミン構造を有する化合物である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<6>に係る発明によれば、前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値が、5未満又は20超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<7>に係る発明によれば、前記表面保護層が、カルボキシ基を有する場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<8>に係る発明によれば、前記表面保護層が、ケイ素原子を有する場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
<9>又は<10>に係る発明によれば、直流電圧により接触帯電する電子写真感光体が、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05以下又は0.36超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す概略部分断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の別の一例を示す概略構成図である。
以下に、本実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、1つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本明細書において、組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、主成分とは主要な成分を意味する。主成分は、例えば、複数種類の成分の混合物において混合物の全質量の30質量%以上を占める成分をいう。
(直流電圧による接触帯電用電子写真感光体)
本実施形態に係る直流電圧による接触帯電用電子写真感光体(以下、単に「電子写真感光体」又は「感光体」ともいう。)は、導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である。
従来の長期的に品質を保つために最表面に表面保護層を有する電気写真感光体では、直流電圧による接触帯電を行う場合、表面保護層を硬くすると摩耗しにくくなるが、放電生成物付着を掻き取る量が少なくなって像流れの欠陥が発生しやすくなるため、摩耗をある程度以上させることとなり、摩耗抑制性と像流れ抑制性との両立が困難であった。
本実施形態に係る直流電圧による接触帯電用電子写真感光体においては、前記表面保護層の赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下であることにより、前記表面保護層におけるヒドロキシ基を架橋して減らし、硬度を向上させ摩耗を減らすとともに、親水性基であるヒドロキシ基が少ないことから電子写真感光体表面の水の付着を抑制し、水と放電生成物とが合わさり電子写真感光体表面に付着することを抑制し、放電生成物付着量が減少し、水及び放電生成物に起因する像流れの発生が抑制され、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れると推定している。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す模式断面図である。
図1に示す感光体7Aは、導電性基体4上に、下引層1、電荷発生層2、電荷輸送層3及び表面保護層5が、この順序で積層された構造を有する。電荷発生層2及び電荷輸送層3が、感光層を構成している。表面保護層5は、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である。
本実施形態に係る電子写真感光体において、感光層は、図1に示す感光体7Aのように電荷発生層2と電荷輸送層3とが分離した機能分離型の感光層である。電子写真感光体は、これらの層以外の層を含んでいてもよい。
以下、本実施形態に係る電子写真感光体について、層別に詳細を説明する。
<表面保護層>
表面保護層は、電荷輸送層上に設けられる。
表面保護層は、反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜である。
また、表面保護層は、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である。
表面保護層は、ヒドロキシ基を有する。ヒドロキシ基は、アルコール性ヒドロキシ基(=脂肪族基に直接結合するヒドロキシ基)であっても、フェノール性ヒドロキシ基(=芳香族基に直接結合するヒドロキシ基)であってもよいが、表面保護層は、ヒドロキシ基の求核性が高くよりヒドロキシ基の存在量を減少させる観点から、アルコール性ヒドロキシ基を有することが好ましい。
表面保護層は、ベンゼン環構造を有する。ベンゼン環上の置換基は、特に制限はなく、また、ビフェニル構造のように、ベンゼン環同士が結合いていてもよい。
表面保護層は、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析(FT-IR分析)の全反射測定法(ATR法)におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値は、0.05を超え0.36以下であり、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、0.07以上0.36以下であることが好ましく、0.10以上0.30以下であることがより好ましく、0.12以上0.25以下であることが特に好ましい。
赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積は、以下に示す方法により測定する。
赤外分光分析の測定条件
装置:PerkinElmer社製Frontier
ATRクリスタル:Ge
分解能:4cm-1
スキャン回数:32回
スペクトルはATR補正する。
-ピーク位置-
OH基:3450cm-1
ベースライン:3705cm-1乃至3257cm-1で引く。
ベンゼン環構造:820cm-1
ベースライン:882cm-1乃至776cm-1で引く。
ベースラインで囲まれた箇所の面積を算出する。
OH基エリア面積/ベンゼン環構造エリア面積を残留OH基量の指標とする。
表面保護層は、反応性基及び電荷輸送性骨格を同一分子内に有する反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜で構成された層(つまり前記反応性電荷輸送材料の重合体又は架橋体を含む層)である。
また、表面保護層は、非反応性の電荷輸送材料を更に含んでいてもよい。
反応性電荷輸送材料の反応性基としては、連鎖重合性基、エポキシ基、-OH、-OR〔但し、Rはアルキル基を表す。〕、-NH、-SH、-COOH、-SiRQ1 3-Qn(ORQ2Qn〔但し、RQ1は水素原子、アルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表し、RQ2は水素原子、アルキル基、トリアルキルシリル基を表す。Qnは1以上3以下の整数を表す。〕等の周知の反応性基が挙げられる。なお、反応性基含有非電荷輸送材料における反応性基としても、前記公知の反応性基が挙げられる。
連鎖重合性基としては、ラジカル重合しうる官能基であれば特に限定されるものではなく、例えば、少なくとも炭素二重結合を含有する基を有する官能基である。具体的には、ビニル基、ビニルエーテル基、ビニルチオエーテル基、スチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基等が挙げられる。なかでも、その反応性に優れることから、連鎖重合性基としては、ビニル基、スチリル基(ビニルフェニル基)、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びそれらの誘導体から選択される少なくとも一つを含有する基であることが好ましい。
中でも、反応性電荷輸送材料の反応性基としては、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、連鎖重合性基、エポキシ基、-OH、-OR、-NH、又は、-SHであることが好ましく、-OH、-OR、-NH、又は、-SHであることがより好ましく、-OH、又は、-ORであることが更に好ましく、-OHであることが特に好ましい。
電荷輸送性骨格としては、像保持体における公知の構造であれば特に限定されるものではなく、例えば、トリアリールアミン系化合物(トリアリールアミン骨格を有する化合物)、ベンジジン系化合物(ベンジジン骨格を有する化合物)、ヒドラゾン系化合物(ヒドラゾン骨格を有する化合物)等の含窒素の正孔輸送性化合物に由来する骨格であって、窒素原子と共役している構造が挙げられる。これらの中でも、電荷輸送性、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、電荷輸送性骨格として、トリアリールアミン骨格を含むことが好ましい。
これら反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性電荷輸送材料、非反応性の電荷輸送材料、反応性非電荷輸送材料は、周知の材料から選択すればよい。
反応性電荷輸送材料は、反応性基としてヒドロキシ基を有する反応性電荷輸送材料(以下、「特定の反応性電荷輸送材料(a)」ともいう。)であってもよい。反応性非電荷輸送材料は、1種単独で用いても、2種以上を併用していてもよい。
特定の反応性電荷輸送材料(a)としては、下記式(A)で表される化合物であることが、電荷輸送性に優れることから、好ましい。
前記式(A)中、Ar乃至Arはそれぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示し、Arは置換若しくは未置換のアリール基、又は、置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、Dはヒドロキシ基を有する有機基を表し、c1乃至c5はそれぞれ独立に、0以上2以下の整数を表し、kは0又は1を表し、dは0以上5以下の整数を表し、eは0又は1を示し、Dの総数は4以上である。
一般式(A)において、Ar乃至Arはそれぞれ独立に、置換若しくは未置換のアリール基を示す。Ar乃至Arは、それぞれ、同一でもあってもよいし、異なっていてもよい。
ここで、置換アリール基における置換基としては、D:ヒドロキシ基を有する有機基以外のものとして、炭素数1乃至4のアルキル基若しくはアルコキシ基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のアリール基等が挙げられる。
Ar乃至Arとしては、下記式(1)乃至(7)のうちのいずれかであることが好ましい。なお、下記式(1)乃至(7)は、Ar乃至Arの各々に連結され得る「-(D)C1」乃至「-(D)C4」を総括的に示した「-(D)」と共に示す。
前記式(1)乃至(7)中、Rは、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基及び炭素数7以上10以下のアラルキル基よりなる群から選ばれる1種を表し、R乃至Rはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる1種を表し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を表し、Dはヒドロキシ基を有する有機基を表し、cは1又は2を表し、sは0又は1を表し、tは0以上3以下の整数を表す。
ここで、式(7)中のArとしては、下記構造式(8)又は(9)で表されるものが好ましい。
前記式(8)及び(9)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる1種を表し、t’はそれぞれ0以上3以下の整数を表す。
また、前記式(7)中、Z’は2価の有機連結基を示すが、下記式(10)乃至(17)のうちのいずれかで表されるものが好ましい。また、前記式(7)中、sはそれぞれ0又は1を表す。
前記式(10)乃至(17)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基若しくは炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれる1種を表し、Wは2価の基を表し、q及びrはそれぞれ独立に、1以上10以下の整数を表し、t”はそれぞれ独立に、0以上3以下の整数を表す。
前記式(16)乃至(17)中のWとしては、下記式(18)乃至(26)で表される2価の基のうちのいずれかであることが好ましい。ただし、式(25)中、uは0以上3以下の整数を表す。
また、式(A)中、Arは、kが0の時は置換若しくは未置換のアリール基であり、このアリール基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基と同様のものが挙げられる。また、Arは、kが1の時は置換若しくは未置換のアリーレン基であり、このアリーレン基としては、Ar乃至Arの説明で例示されたアリール基から、-N(Ar-(D)C3)(Ar-(D)C4)が置換する位置の水素原子を1つ除いたアリーレン基が挙げられる。
反応性電荷輸送材料の含有量は、表面保護層を形成する際に用いられる組成物(固形分)に対して30質量%以上100質量%以下が好ましく、より好ましくは40質量%以上100質量%以下、更に好ましくは50質量%以上100質量%以下である。この範囲とすることで、硬化膜の電気特性に優れ、硬化膜を厚膜化し得る。
非反応性の電荷輸送材料としては、例えば、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物も挙げられる。非反応性の電荷輸送材料は、1種単独で用いても、2種以上を併用していてもよい。
中でも、非反応性の電荷輸送材料としては、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、トリアリールアミン系化合物が好ましく挙げられる。
表面保護層は、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、ヒドロキシ基を有する化合物、及び、ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物を含む組成物の硬化膜であることが好ましく、ヒドロキシ基を有しかつベンゼン環構造を有する化合物、及び、ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物を含む組成物の硬化膜であることがより好ましい。
前記ヒドロキシ基を有する化合物は、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性電荷輸送材料であることが好ましく、ヒドロキシ基及び電荷輸送性骨格を有する反応性電荷輸送材料であることがより好ましい。
また、前記ヒドロキシ基を有する化合物は、電荷輸送性、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、トリアリールアミン構造を有する化合物であることが好ましい。
前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物は、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、反応性基及び電荷輸送性骨格を有する反応性電荷輸送材料であることが好ましく、アルコキシ基及び電荷輸送性骨格を有する反応性電荷輸送材料であることがより好ましい。
前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物は、電荷輸送性、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、トリアリールアミン構造を有する化合物であることが好ましい。
前記硬化膜を形成する前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値は、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、2以上30以下であることが好ましく、3以上25以下であることがより好ましく、5以上20以下であることが更に好ましく、5以上10以下であることが特に好ましい。
前記表面保護層は、摩耗抑制性、及び、吸湿性を低下させ像流れ抑制性を向上させる観点から、カルボキシ基を有しないことが好ましい。
また、前記表面保護層は、摩耗抑制性、及び、吸湿性を低下させ像流れ抑制性を向上させる観点から、ケイ素原子を有しないことが好ましく、カルボキシ基及びケイ素原子を有しないことがより好ましい。
反応性非電荷輸送材料としては、熱硬化性樹脂、硬化剤等が挙げられる。反応性基含有非電荷輸送材料は、1種単独で用いても、2種以上を併用していてもよい。
熱硬化性樹脂としては、グアナミン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂等が挙げられる。
硬化剤としては、グアナミン構造を有する化合物(以下、「グアナミン化合物」とも称する。)及びメラミン構造を有する化合物(以下、「メラミン化合物」とも称する。)等が挙げられる。
表面保護層が、例えば、反応性電荷輸送材料と、熱硬化性樹脂(より好ましくはグアナミン樹脂、メラミン樹脂等)、グアナミン化合物及びメラミン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種との架橋体(架橋物)を含んで構成される硬化膜である場合、熱硬化性樹脂(より好ましくはグアナミン樹脂、メラミン樹脂等)、グアナミン化合物及びメラミン化合物を含まない場合に比べて、硬化度の高い硬化膜が得られやすく、摩耗抑制性により優れる。
表面保護層は、フッ素樹脂粒子を更に含んでいてもよい。
フッ素樹脂粒子を更に含むと、表面保護層の外周面に適度に凹凸が形成され、摩耗抑制性により優れる。
表面保護層には、表面保護層の全固形分に対し、フッ素樹脂粒子が5質量%以上15質量%以下の含有量で含有されている。
フッ素樹脂粒子の含有量は、層全構成成分(固形分全量)に対して、5質量%以上15質量%以下が好ましく、より好ましくは7質量%以上12質量%以下である。
フッ素樹脂粒子としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE、別名「四フッ化エチレン樹脂」)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリジクロロジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルコキシエチレン共重合体などの粒子が挙げられる。
中でも、電子写真感光体の摩耗抑制性とクリーニング性の観点から、ポリテトラフルオロエチレン、及びテトラフルオロエチレンとパーフルオロアルコキシエチレンとの共重合体が望ましい。
フッ素樹脂粒子は、1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。
フッ素樹脂粒子を構成するフッ素樹脂の重量平均分子量は、例えば、3,000以上500万以下が好ましい。
フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、例えば、0.05μm以上10μm以下であることが好ましく、0.1μm以上5μm以下であることがより好ましい。
なお、フッ素樹脂粒子の平均一次粒径は、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-920(株式会社堀場製作所製)を用いて、フッ素樹脂粒子が分散された分散液と同じ溶剤に希釈した測定液を屈折率1.35で測定した値をいう。
フッ素樹脂粒子の市販品としては、例えば、ルブロン(登録商標)シリーズ(ダイキン工業株式会社製)、テフロン(登録商標)シリーズ(デュポン社製)、ダイニオンシリーズ(3Mジャパン株式会社製)等が挙げられる。
-表面保護層の形成方法-
表面保護層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた表面保護層形成用塗布液(=前記組成物)の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱等の硬化処理することで行うことが好ましい。
塗膜乾燥時の乾燥温度は、塗膜強度、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、150℃以上であることが好ましく、150℃以上200℃以下がより好ましく、150℃以上180℃以下が更に好ましく、155℃以上170℃未満が特に好ましい。
また、塗膜乾燥時の乾燥時間は、乾燥温度とも関連するが、塗膜強度、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の観点から、10分以上であることが好ましく、20分以上であることがより好ましく、20分以上120分以下であることが更に好ましく、20分以上60分以下であることが特に好ましい。
表面保護層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ系溶剤;イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
溶剤の含有量は、表面保護層形成用塗布液の全質量に対し、30質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることが特に好ましい。
表面保護層形成用塗布液を感光層(例えば電荷輸送層)上に塗布する方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
-膜厚-
表面保護層の膜厚は、例えば、好ましくは1μm以上20μm以下、より好ましくは2μm以上10μm以下の範囲内に設定される。
<導電性基体>
導電性基体としては、例えば、金属(アルミニウム、銅、亜鉛、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等)又は合金(ステンレス鋼等)を含む金属板、金属ドラム、及び金属ベルト等が挙げられる。また、導電性基体としては、例えば、導電性化合物(例えば導電性ポリマー、酸化インジウム等)、金属(例えばアルミニウム、パラジウム、金等)又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、樹脂フイルム、ベルト等も挙げられる。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性基体の表面は、電子写真感光体がレーザプリンタに使用される場合、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を抑制する目的で、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化されていることが好ましい。なお、非干渉光を光源に用いる場合、干渉縞防止の粗面化は、特に必要ないが、導電性基体の表面の凹凸による欠陥の発生を抑制するため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、例えば、研磨剤を水に懸濁させて導電性基体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、回転する砥石に導電性基体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理等が挙げられる。
粗面化の方法としては、導電性基体の表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、導電性基体の表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も挙げられる。
陽極酸化による粗面化処理は、金属製(例えばアルミニウム製)の導電性基体を陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することにより導電性基体の表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、陽極酸化により形成された多孔質陽極酸化膜は、そのままの状態では化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、多孔質陽極酸化膜に対して、酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい。)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、例えば、0.3μm以上15μm以下が好ましい。この膜厚が上記範囲内にあると、注入に対するバリア性が発揮される傾向があり、また繰り返し使用による残留電位の上昇が抑えられる傾向にある。
導電性基体には、酸性処理液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。
酸性処理液による処理は、例えば、以下のようにして実施される。先ず、リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液を調製する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、例えば、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲がよい。処理温度は例えば42℃以上48℃以下が好ましい。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。
ベーマイト処理は、例えば90℃以上100℃以下の純水中に5分から60分間浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分から60分間接触させて行う。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これを更にアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
<下引層>
下引層は、例えば、無機粒子と結着樹脂とを含む層である。
無機粒子としては、例えば、粉体抵抗(体積抵抗率)10Ωcm以上1011Ωcm以下の無機粒子が挙げられる。
これらの中でも、上記抵抗値を有する無機粒子としては、例えば、酸化錫粒子、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化ジルコニウム粒子等の金属酸化物粒子がよく、特に、酸化亜鉛粒子が好ましい。
無機粒子のBET法による比表面積は、例えば、10m/g以上がよい。
無機粒子の体積平均粒径は、例えば、50nm以上2,000nm以下(好ましくは60nm以上1,000nm以下)がよい。
無機粒子の含有量は、例えば、結着樹脂に対して、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。
無機粒子は、表面処理が施されていてもよい。無機粒子は、表面処理の異なるもの、又は、粒子径の異なるものを2種以上混合して用いてもよい。
表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、界面活性剤等が挙げられる。特に、シランカップリング剤が好ましく、アミノ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
アミノ基を有するシランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
シランカップリング剤は、2種以上混合して使用してもよい。例えば、アミノ基を有するシランカップリング剤と他のシランカップリング剤とを併用してもよい。この他のシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面処理剤による表面処理方法は、公知の方法であればいかなる方法でもよく、乾式法又は湿式法のいずれでもよい。
表面処理剤の処理量は、例えば、無機粒子に対して0.5質量%以上10質量%以下が好ましい。
ここで、下引層は、無機粒子と共に電子受容性化合物(アクセプター化合物)を含有することが、電気特性の長期安定性、キャリアブロック性が高まる観点からよい。
電子受容性化合物としては、例えば、クロラニル、ブロモアニル等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物;2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物;キサントン系化合物;チオフェン化合物;3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチルジフェノキノン等のジフェノキノン化合物;等の電子輸送性物質等が挙げられる。
特に、電子受容性化合物としては、アントラキノン構造を有する化合物が好ましい。アントラキノン構造を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシアントラキノン化合物、アミノアントラキノン化合物、アミノヒドロキシアントラキノン化合物等が好ましく、具
体的には、例えば、アントラキノン、アリザリン、キニザリン、アントラルフィン、プルプリン等が好ましい。
電子受容性化合物は、下引層中に無機粒子と共に分散して含まれていてもよいし、無機粒子の表面に付着した状態で含まれていてもよい。
電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着させる方法としては、例えば、乾式法、又は、湿式法が挙げられる。
乾式法は、例えば、無機粒子をせん断力の大きなミキサ等で攪拌しながら、直接又は有機溶媒に溶解させた電子受容性化合物を滴下、乾燥空気や窒素ガスとともに噴霧させて、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。電子受容性化合物の滴下又は噴霧するときは、溶剤の沸点以下の温度で行うことがよい。電子受容性化合物を滴下又は噴霧した後、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に制限されない。
湿式法は、例えば、攪拌、超音波、サンドミル、アトライター、ボールミル等により、無機粒子を溶剤中に分散しつつ、電子受容性化合物を添加し、攪拌又は分散した後、溶剤除去して、電子受容性化合物を無機粒子の表面に付着する方法である。溶剤除去方法は、例えば、ろ過又は蒸留により留去される。溶剤除去後には、更に100℃以上で焼き付けを行ってもよい。焼き付けは電子写真特性が得られる温度、時間であれば特に限定されない。湿式法においては、電子受容性化合物を添加する前に無機粒子の含有水分を除去してもよく、その例として溶剤中で攪拌加熱しながら除去する方法、溶剤と共沸させて除去する方法が挙げられる。
なお、電子受容性化合物の付着は、表面処理剤による表面処理を無機粒子に施す前又は後に行ってよく、電子受容性化合物の付着と表面処理剤による表面処理と同時に行ってもよい。
電子受容性化合物の含有量は、例えば、無機粒子に対して0.01質量%以上20質量%以下がよく、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の公知の高分子化合物;ジルコニウムキレート化合物;チタニウムキレート化合物;アルミニウムキレート化合物;チタニウムアルコキシド化合物;有機チタニウム化合物;シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。
下引層に用いる結着樹脂としては、例えば、電荷輸送性基を有する電荷輸送性樹脂、導電性樹脂(例えばポリアニリン等)等も挙げられる。
これらの中でも、下引層に用いる結着樹脂としては、上層の塗布溶剤に不溶な樹脂が好適であり、特に、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂;ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂及びポリビニルアセタール樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂と硬化剤との反応により得られる樹脂が好適である。
これら結着樹脂を2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
下引層には、電気特性向上、環境安定性向上、画質向上のために種々の添加剤を含んでいてもよい。
添加剤としては、多環縮合系、アゾ系等の電子輸送性顔料、ジルコニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、アルミニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤等の公知の材料が挙げられる。シランカップリング剤は前述のように無機粒子の表面処理に用いられるが、添加剤として更に下引層に添加してもよい。
添加剤としてのシランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピル-トリス(2-メトキシエトキシ)シラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ジルコニウムキレート化合物としては、例えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
チタニウムキレート化合物としては、例えば、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
アルミニウムキレート化合物としては、例えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
下引層は、ビッカース硬度が35以上であることがよい。
下引層の表面粗さ(十点平均粗さ)は、モアレ像抑制のために、使用される露光用レーザ波長λの1/(4n)(nは上層の屈折率)から1/2までに調整されていることがよい。
表面粗さ調整のために下引層中に樹脂粒子等を添加してもよい。樹脂粒子としてはシリコーン樹脂粒子、架橋型ポリメタクリル酸メチル樹脂粒子等が挙げられる。また、表面粗さ調整のために下引層の表面を研磨してもよい。研磨方法としては、バフ研磨、サンドブラスト処理、湿式ホーニング、研削処理等が挙げられる。
下引層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた下引層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。
下引層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、公知の有機溶剤、例えば、アルコール系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ケトン系溶剤、ケトンアルコール系溶剤、エーテル系溶剤、エステル系溶剤等が挙げられる。
これらの溶剤として具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。
下引層形成用塗布液を調製するときの無機粒子の分散方法としては、例えば、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等の公知の方法が挙げられる。
下引層形成用塗布液を導電性基体上に塗布する方法としては、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
下引層の膜厚は、例えば、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上50μm以下の範囲内に設定される。
<中間層>
図示は省略するが、下引層と電荷発生層との間に中間層を更に設けてもよい。
中間層は、例えば、樹脂を含む層である。中間層に用いる樹脂としては、例えば、アセタール樹脂(例えばポリビニルブチラール等)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、カゼイン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子化合物が挙げられる。
中間層は、有機金属化合物を含む層であってもよい。中間層に用いる有機金属化合物としては、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、ケイ素等の金属原子を含有する有機金属化合物等が挙げられる。
これらの中間層に用いる化合物は、単独で又は複数の化合物の混合物若しくは重縮合物として用いてもよい。
これらの中でも、中間層は、ジルコニウム原子又はケイ素原子を含有する有機金属化合物を含む層であることが好ましい。
中間層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた中間層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
中間層を形成する塗布方法としては、浸漬塗布法、突き上げ塗布法、ワイヤーバー塗布
法、スプレー塗布法、ブレード塗布法、ナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が用いられる。
中間層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上3μm以下の範囲に設定される。なお、中間層を下引層として使用してもよい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、例えば、電荷発生材料と結着樹脂とを含む層である。また、電荷発生層は、電荷発生材料の蒸着層であってもよい。電荷発生材料の蒸着層は、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(Electro-Luminescence)イメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合に好適である。
電荷発生材料としては、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料;ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;ペリレン顔料;ピロロピロール顔料;フタロシアニン顔料;酸化亜鉛;三方晶系セレン等が挙げられる。
これらの中でも、近赤外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、金属フタロシアニン顔料、又は無金属フタロシアニン顔料を用いることが好ましい。具体的には、例えば、ヒドロキシガリウムフタロシアニン;クロロガリウムフタロシアニン;ジクロロスズフタロシアニン;チタニルフタロシアニンがより好ましい。
一方、近紫外域のレーザ露光に対応させるためには、電荷発生材料としては、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料;チオインジゴ系顔料;ポルフィラジン化合物;酸化亜鉛;三方晶系セレン;ビスアゾ顔料等が好ましい。
450nm以上780nm以下に発光の中心波長があるLED,有機ELイメージアレー等の非干渉性光源を用いる場合にも、上記電荷発生材料を用いてもよいが、解像度の観点より、感光層を20μm以下の薄膜で用いるときには、感光層中の電界強度が高くなり、基体からの電荷注入による帯電低下、いわゆる黒点と呼ばれる画像欠陥を生じやすくなる。これは、三方晶系セレン、フタロシアニン顔料等のp-型半導体で暗電流を生じやすい電荷発生材料を用いたときに顕著となる。
これに対し、電荷発生材料として、縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料等のn-型半導体を用いた場合、暗電流を生じ難く、薄膜にしても黒点と呼ばれる画像欠陥を抑制し得る。
なお、n-型の判定は、通常使用されるタイムオブフライト法を用い、流れる光電流の極性によって判定され、正孔よりも電子をキャリアとして流しやすいものをn-型とする。
電荷発生層に用いる結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択され、また、結着樹脂としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択してもよい。
結着樹脂としては、例えば、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等が挙げられる。ここで、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ωcm以上であることをいう。
これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
なお、電荷発生材料と結着樹脂の配合比は、質量比で10:1から1:10までの範囲内であることが好ましい。
電荷発生層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷発生層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷発生層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥し、必要に応じて加熱することで行う。なお、電荷発生層の形成は、電荷発生材料の蒸着により行ってもよい。電荷発生層の蒸着による形成は、特に、電荷発生材料として縮環芳香族顔料、ペリレン顔料を利用する場合に好適である。
電荷発生層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n-ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロロベンゼン、トルエン等が挙げられる。これら溶剤は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いる。
電荷発生層形成用塗布液中に粒子(例えば電荷発生材料)を分散させる方法としては、例えば、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、横型サンドミル等のメディア分散機や、攪拌、超音波分散機、ロールミル、高圧ホモジナイザー等のメディアレス分散機が利用される。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、高圧状態で分散液を液-液衝突や液-壁衝突させて分散する衝突方式や、高圧状態で微細な流路を貫通させて分散する貫通方式等が挙げられる。
なお、この分散の際、電荷発生層形成用塗布液中の電荷発生材料の平均粒径を0.5μm以下、好ましくは0.3μm以下、更に好ましくは0.15μm以下にすることが有効である。
電荷発生層形成用塗布液を下引層上(又は中間層上)に塗布する方法としては、例えばブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷発生層の膜厚は、例えば、好ましくは0.1μm以上5.0μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下の範囲内に設定される。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、例えば、電荷輸送材料と結着樹脂とを含む層である。電荷輸送層は、高分子電荷輸送材料を含む層であってもよい。
電荷輸送材料としては、p-ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物;テトラシアノキノジメタン系化合物;2,4,7-トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物;キサントン系化合物;ベンゾフェノン系化合物;シアノビニル系化合物;エチレン系化合物等の電子輸送性化合物が挙げられる。電荷輸送材料としては、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送化合物も挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上で用いられるが、これらに限定されるものではない。
電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び下記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体が好ましい。
構造式(a-1)中、ArT1、ArT2、及びArT3は、それぞれ独立に置換若しくは無置換のアリール基、-C-C(RT4)=C(RT5)(RT6)、又は-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)を示す。RT4、RT5、RT6、RT7、及びRT8はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
構造式(a-2)中、RT91及びRT92はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を示す。RT101、RT102、RT111及びRT112はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは無置換のアリール基、-C(RT12)=C(RT13)(RT14)、又は-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)を示し、RT12、RT13、RT14、RT15及びRT16はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。Tm1、Tm2、Tn1及びTn2はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。
上記各基の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基が挙げられる。また、上記各基の置換基としては、炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基も挙げられる。
ここで、構造式(a-1)で示されるトリアリールアミン誘導体、及び前記構造式(a-2)で示されるベンジジン誘導体のうち、特に、「-C-CH=CH-CH=C(RT7)(RT8)」を有するトリアリールアミン誘導体、及び「-CH=CH-CH=C(RT15)(RT16)」を有するベンジジン誘導体が、電荷移動度の観点で好ましい。
高分子電荷輸送材料としては、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものが用いられる。特に、ポリエステル系の高分子電荷輸送材は特に好ましい。なお、高分子電荷輸送材料は、単独で使用してよいが、結着樹脂と併用してもよい。
電荷輸送層に用いる結着樹脂は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等が挙げられる。これらの中でも、結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレート樹脂が好適である。これらの結着樹脂は1種を単独で又は2種以上で用いる。
なお、電荷輸送材料と結着樹脂との配合比は、質量比で10:1から1:5までが好ましい。
電荷輸送層には、その他、周知の添加剤が含まれていてもよい。
電荷輸送層の形成は、特に制限はなく、周知の形成方法が利用されるが、例えば、上記成分を溶剤に加えた電荷輸送層形成用塗布液の塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥、必要に応じて加熱することで行う。
電荷輸送層形成用塗布液を調製するための溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;アセトン、2-ブタノン等のケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状又は直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上混合して用いる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層の上に塗布する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法が挙げられる。
電荷輸送層の膜厚は、例えば、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下の範囲内に設定される。
(画像形成装置(及びプロセスカートリッジ))
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を直流電圧により接触帯電する帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える。そして、電子写真感光体として、本実施形態に係る直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段を備える装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー像の転写後、帯電前の電子写真感光体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー像の転写後、帯電前に電子写真感光体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;電子写真感光体の温度を上昇させ、相対温度を低減させるための電子写真感光体加熱部材を備える装置等の周知の画像形成装置が適用される。
中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー像が転写される中間転写体と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、乾式現像方式の画像形成装置、湿式現像方式(液体現像剤を利用した現像方式)の画像形成装置のいずれであってもよい。
なお、本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、電子写真感光体を備える部分が、画像形成装置に対して着脱され、直流電圧により前記電子写真感光体を接触帯電するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。なお、プロセスカートリッジには、電子写真感光体以外に、例えば、帯電手段、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段からなる群から選択される少なくとも一つを備えてもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。なお、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
本実施形態に係る画像形成装置100は、図2に示すように、電子写真感光体7を備えるプロセスカートリッジ300と、露光装置9(静電潜像形成手段の一例)と、転写装置40(一次転写装置)と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置9はプロセスカートリッジ300の開口部から電子写真感光体7に露光し得る位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体7に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体7に接触して配置されている。図示しないが、中間転写体50に転写されたトナー像を記録媒体(例えば用紙)に転写する二次転写装置も有している。なお、中間転写体50、転写装置40(一次転写装置)、及び二次転写装置(不図示)が転写手段の一例に相当する。
図2におけるプロセスカートリッジ300は、ハウジング内に、電子写真感光体7、帯電装置8(帯電手段の一例)、現像装置11(現像手段の一例)、及びクリーニング装置13(クリーニング手段の一例)を一体に支持している。クリーニング装置13は、クリーニングブレード(クリーニング部材の一例)131を有しており、クリーニングブレード131は、電子写真感光体7の表面に接触するように配置されている。なお、クリーニング部材は、クリーニングブレード131の態様ではなく、導電性又は絶縁性の繊維状部材であってもよく、これを単独で、又はクリーニングブレード131と併用してもよい。
なお、図2には、画像形成装置として、潤滑材14を電子写真感光体7の表面に供給する繊維状部材132(ロール状)、及び、クリーニングを補助する繊維状部材133(平ブラシ状)を備えた例を示してあるが、これらは必要に応じて配置される。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の各構成について説明する。
-帯電装置-
帯電装置8としては、例えば、導電性又は半導電性の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電フイルム、帯電ゴムブレード、帯電チューブ等を用いた接触型帯電器が使用される。
-露光装置-
露光装置9としては、例えば、電子写真感光体7表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光を、定められた像様に露光する光学系機器等が挙げられる。光源の波長は電子写真感光体の分光感度領域内とする。半導体レーザの波長としては、780nm付近に発振波長を有する近赤外が主流である。しかし、この波長に限定されず、600nm台の発振波長レーザや青色レーザとして400nm以上450nm以下に発振波長を有するレーザも利用してもよい。また、カラー画像形成のためにはマルチビームを出力し得るタイプの面発光型のレーザ光源も有効である。
-現像装置-
現像装置11としては、例えば、現像剤を接触又は非接触させて現像する一般的な現像装置が挙げられる。現像装置11としては、上述の機能を有している限り特に制限はなく、目的に応じて選択される。例えば、一成分系現像剤又は二成分系現像剤をブラシ、ローラ等を用いて電子写真感光体7に付着させる機能を有する公知の現像器等が挙げられる。中でも現像剤を表面に保持した現像ローラを用いるものが好ましい。
現像装置11に使用される現像剤は、トナー単独の一成分系現像剤であってもよいし、トナーとキャリアとを含む二成分系現像剤であってもよい。また、現像剤は、磁性であってもよいし、非磁性であってもよい。これら現像剤は、周知のものが適用される。
-クリーニング装置-
クリーニング装置13は、クリーニングブレード131を備えるクリーニングブレード方式の装置が用いられる。
なお、クリーニングブレード方式以外にも、ファーブラシクリーニング方式、現像同時クリーニング方式を採用してもよい。
-転写装置-
転写装置40としては、例えば、ベルト、ローラ、フイルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等のそれ自体公知の転写帯電器が挙げられる。
-中間転写体-
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等を含むベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いてもよい。
図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置120は、プロセスカートリッジ300を4つ搭載したタンデム方式の多色画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ300がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
以下に実施例を挙げて、本実施形態に係る電子写真感光体を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理手順等は、本実施形態の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本実施形態に係る電子写真感光体の範囲は、以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきではない。
(実施例1乃至8、及び、比較例1乃至6)
<感光体の作製>
〔感光体の作製〕
-下引層の作製-
酸化亜鉛:(平均粒子径70nm:テイカ社製:比表面積値15m/g)100質量部をトルエン500質量部と撹拌混合し、シランカップリング剤(KBM503:信越化学工業(株)製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後トルエンを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
表面処理を施した酸化亜鉛110質量部を500質量部のテトラヒドロフランと撹拌混合し、アリザリン0.6質量部を50質量部のテトラヒドロフランに溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、更に60℃で減圧乾燥を行いアリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と硬化剤(ブロック化イソシアネート、スミジュール3175、住友バイエルンウレタン(株)製):13.5質量部とブチラール樹脂(エスレックBM-1、積水化学工業(株)製)15質量部とをメチルエチルケトン85質量部に溶解した溶液38質量部とメチルエチルケトン:25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い分散液を得た。
得られた分散液に触媒としてジオクチルスズジラウレート:0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(トスパール145、GE東芝シリコーン(株)製):40質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。
導電性基体として直径30mm、長さ340mm、肉厚1mmの円筒状アルミニウム基体を準備し、得られた下引層形成用塗布液を浸漬塗布法にて、円筒状アルミニウム基体上に塗布し、170℃、40分の乾燥硬化を行い、厚さ18.7μmの下引層を得た。
-電荷発生層の作製-
電荷発生物質としてのCukα特性X線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.3゜,16.0゜,24.9゜,28.0゜の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15質量部、結着樹脂としての塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー(株)製)10質量部、及びn-酢酸ブチル200質量部からなる混合物を、直径1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液にn-酢酸ブチル175質量部、及びメチルエチルケトン180質量部を添加し、攪拌して電荷発生層形成用塗布液を得た。
得られた電荷発生層形成用塗布液を先に円筒状アルミニウム基体に形成した下引層上に浸漬塗布し、常温(25℃)で乾燥して、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
-電荷輸送層の作製-
まず、次のようにして、ポリカーボネート共重合体(1)を得た。
ホスゲン吹込管、温度計及び攪拌機を備えたフラスコに窒素雰囲気下にて1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下「Z」と称する)106.9g(0.398モル)、4,4’-ジヒドロキシビフェニル(以下「BP」と称する)24.7g(0.133モル)、ハイドロサルファイト0.41g、9.1%水酸化ナトリウム水溶液825ml(水酸化ナトリウム2.018モル)、塩化メチレン500mlを仕込んで溶解し、攪拌下18℃以上21℃以下の範囲に保持し、ホスゲン76.2g(0.770モル)を75分要して吹込みホスゲン化反応させた。ホスゲン化反応終了後p-tert-ブチルフェノール1.11g(0.0075モル)及び25%水酸化ナトリウム水溶液54ml(水酸化ナトリウム0.266モル)を加え撹拌し、途中トリエチルアミン0.18mL(0.0013モル)を添加し、30℃以上35℃以下の温度で2.5時間反応させた。分離した塩化メチレン相を無機塩類及びアミン類がなくなるまで酸洗浄及び水洗した後、塩化メチレンを除去してポリカーボネート共重合体(1)を得た。このポリカーボネートは、ZとBPとの構成単位の比がモル比で75:25であった。
次に、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’]ビフェニル-4,4’-ジアミン(TPD)25質量部、構造式(A)で示される化合物20質量部、及び結着樹脂としてポリカーボネート共重合体(1)(粘度平均分子量:5万)55質量部をテトラヒドロフラン560質量部、トルエン240質量部に加えて溶解し、電荷輸送層用塗布液を得た。この塗布液を電荷発生層上に塗布し、135℃、45分の乾燥を行って膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
-保護層の作製-
反応性電荷輸送材料かつヒドロキシを有する化合物として、表1に記載の化合物を表1に記載の量と、ヒドロキシを有さずかつベンゼン環を有する化合物として、表1に記載の化合物を表1に記載の量と、反応性基含有非電荷輸送材料である硬化性樹脂:ベンゾグアナミン樹脂(三和ケミカル社製ニカラックBL-60)4.4質量部を、表1に記載の溶剤220質量部に加え、混合して溶解させた後、硬化触媒としてNACURE5225(キングインダストリー社製)0.1質量部を加えて、表面保護層形成用塗布液を得た。
この表面保護層形成用塗布液を電荷輸送層の上に浸漬塗布し、室温(25℃)で30分風乾した後、窒素気流下、酸素濃度110ppmで、室温から表1に示す乾燥温度(到達温度)まで加熱し、これを表1に示す乾燥時間(保持時間)で保持して加熱処理し、硬化させた。そして、膜厚が10μmの表面保護層を形成した。以上の様にして、各電子写真感光体を得た。
<像流れ抑制性評価>
画像形成装置として、静電荷像現像剤を収容した富士フイルムビジネスイノベーション製DocuCentreVC2263を用意し、作製した電子写真感光体をセットし、A4紙を10万枚通紙後、高温高湿(28℃85%RH)で12時間以上放置した。放置後、ハーフトーン画像(画像濃度30%)を10枚画出し、像流れ(トナー白抜け)を評価。評価基準を以下に示す。
A:画像流れ全くなし
B:画質上問題となる画像流れなし
C:画質上問題となる画像流れが発生
<摩耗抑制性評価>
作製した電子写真感光体の膜厚を、前記像流れ抑制性評価におけるA4紙10万枚通紙前後で、渦電流膜厚計で測定し、通紙前後の平均膜厚差を走行量で割り、平均摩耗レートを算出した。
平均摩耗レート(nm/kcyc、A4紙千枚通紙当たりの摩耗量)の値が小さいほど、摩耗抑制性に優れる。また、平均摩耗レートの値が、4.0nm/kcyc未満であることが好ましく、3.0nm/kcyc未満であることがより好ましい。
以下、各例の詳細、評価結果を表1にまとめて示す。
表1に記載の略記の詳細を以下に示す。
H-1:下記化合物
H-2:下記化合物
H-3:下記化合物
B-1:下記化合物
表1に示す通り、実施例の電子写真感光体は、比較例の電子写真感光体に比べて、摩耗抑制性及び像流れ抑制性の両方に優れる。
(((1))) 導電性基体と、前記導電性基体上に設けられた下引層と、前記下引層上に設けられた電荷発生層と、前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、前記電荷輸送層上に設けられた表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((2))) 前記表面保護層が、ヒドロキシ基を有する化合物、及び、ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物を含む組成物の硬化膜である(((1)))に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((3))) 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、前記反応性電荷輸送材料である(((2)))に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((4))) 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である(((2)))又は(((3)))に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((5))) 前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である(((2)))乃至(((4)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((6))) 前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値が、5以上20以下である(((2)))乃至(((5)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((7))) 前記表面保護層が、カルボキシ基を有しない(((1)))乃至(((6)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((8))) 前記表面保護層が、ケイ素原子を有しない(((1)))乃至(((7)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
(((9))) (((1)))乃至(((8)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を備え、画像形成装置に着脱し、直流電圧により前記電子写真感光体を接触帯電するプロセスカートリッジ。
(((10))) (((1)))乃至(((8)))のいずれか1つに記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体と、前記電子写真感光体の表面を直流電圧により接触帯電する帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、を備える画像形成装置。
(((1)))又は(((2)))に係る発明によれば、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜である電子写真感光体を直流電圧により接触帯電する際において、赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05以下又は0.36超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((3)))に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物のみが、前記反応性電荷輸送材料である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((4)))に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有さず、モノ又はジアリールアミン構造を有する化合物である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((5)))に係る発明によれば、前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有さず、モノ又はジアリールアミン構造を有する化合物である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((6)))に係る発明によれば、前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値が、5未満又は20超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((7)))に係る発明によれば、前記表面保護層が、カルボキシ基を有する場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((8)))に係る発明によれば、前記表面保護層が、ケイ素原子を有する場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性により優れる直流電圧による接触帯電用電子写真感光体が提供される。
(((9)))又は(((10)))に係る発明によれば、直流電圧により接触帯電する電子写真感光体が、導電性基体と、下引層と、電荷発生層と、電荷輸送層と、表面保護層と、を有し、前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05以下又は0.36超である場合に比べ、摩耗抑制性及び像流れ抑制性に優れるプロセスカートリッジ又は画像形成装置が提供される。
1 下引層、2 電荷発生層、3 電荷輸送層、4 導電性基体、5 表面保護層、7A、7 電子写真感光体、8 帯電装置、9 露光装置、11 現像装置、13 クリーニング装置、14 潤滑剤、40 転写装置、50 中間転写体、100 画像形成装置、120 画像形成装置、131 クリーニングブレード、132 繊維状部材(ロール状)、133 繊維状部材(平ブラシ状)、300 プロセスカートリッジ

Claims (10)

  1. 導電性基体と、
    前記導電性基体上に設けられた下引層と、
    前記下引層上に設けられた電荷発生層と、
    前記電荷発生層上に設けられた電荷輸送層と、
    前記電荷輸送層上に設けられた表面保護層と、を有し、
    前記表面保護層が、反応性電荷輸送材料を含む組成物の硬化膜であり、ヒドロキシ基とベンゼン環構造とを有し、かつ赤外分光分析の全反射測定法におけるヒドロキシ基のピーク面積/ベンゼン環構造のピーク面積の値が、0.05を超え0.36以下である
    直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  2. 前記表面保護層が、ヒドロキシ基を有する化合物、及び、ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物を含む組成物の硬化膜である請求項1に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  3. 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、前記反応性電荷輸送材料である請求項2に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  4. 前記ヒドロキシ基を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である請求項2に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  5. 前記ヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物が、トリアリールアミン構造を有する化合物である請求項2に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  6. 前記組成物におけるヒドロキシ基を有する化合物の含有量MHとヒドロキシ基を有さずかつベンゼン環構造を有する化合物の含有量MBとの質量比MH/MBの値が、5以上20以下である請求項2に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  7. 前記表面保護層が、カルボキシ基を有しない請求項1に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  8. 前記表面保護層が、ケイ素原子を有しない請求項1に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体。
  9. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体を備え、
    画像形成装置に着脱し、直流電圧により前記電子写真感光体を接触帯電するプロセスカートリッジ。
  10. 請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の直流電圧による接触帯電用電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体の表面を直流電圧により接触帯電する帯電装置と、
    帯電した前記電子写真感光体の表面に静電潜像を形成する静電潜像形成装置と、
    トナーを含む現像剤により、前記電子写真感光体の表面に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する現像装置と、
    前記トナー像を記録媒体の表面に転写する転写装置と、
    を備える画像形成装置。
JP2023158284A 2023-09-22 2023-09-22 直流電圧による接触帯電用電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Pending JP2025049830A (ja)

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