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JP2025042263A - 射出成形機 - Google Patents

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JP2025042263A
JP2025042263A JP2023149166A JP2023149166A JP2025042263A JP 2025042263 A JP2025042263 A JP 2025042263A JP 2023149166 A JP2023149166 A JP 2023149166A JP 2023149166 A JP2023149166 A JP 2023149166A JP 2025042263 A JP2025042263 A JP 2025042263A
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敦矢 大場
Atsuya Oba
治幸 松林
Haruyuki Matsubayashi
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Shibaura Machine Co Ltd
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Shibaura Machine Co Ltd
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
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    • B29C45/17Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
    • B29C45/76Measuring, controlling or regulating
    • B29C45/77Measuring, controlling or regulating of velocity or pressure of moulding material

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Abstract

Figure 2025042263000001
【課題】金型の設計自由度を損なうことなく、金型内に射出された樹脂材料の圧力制御を行うこと。
【解決手段】内側にスクリュ20が配置される加熱バレル11を有する射出装置10と、樹脂材料の成形を行う金型75と、スクリュ20の射出速度Sを検出するエンコーダ52と、スクリュ20に作用する射出圧力Pを検出するロードセル60と、スクリュ20の移動制御を行うことにより金型75内における樹脂材料の圧力の制御を行う制御装置100と、を備え、制御装置100は、圧力損失モデルMとエンコーダ52で検出した射出速度Sとに基づいて射出装置10での圧力損失を求める圧力損失算出部111と、射出圧力Pから圧力損失を減算して仮想型内圧Vを求める仮想型内圧算出部112と、樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行うと共に、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vに基づいて移動制御を行う移動制御部120と、を有する。
【選択図】図5

Description

本発明は、射出成形機に関する。
溶融した樹脂を金型内に射出することにより成形を行う射出成形機では、適切な成形を行うためには、樹脂の圧力を適正な値にしながら成形をすることが重要となる。このため、従来の射出成形機では、溶融した樹脂の圧力の値を様々な手法で得ながら成形を行っている。例えば、特許文献1に記載された射出成形機の射出圧力検査装置では、パージングを行ったときに検出された樹脂の圧力と通常の成形を行ったときに検出された樹脂の圧力に基づいて射出ノズル内の樹脂の圧力を算出することにより、加熱シリンダ内の圧損の影響を受けることなくキャビティ内の樹脂の圧力を正確に検出している。
また、特許文献2に記載された成形条件作成方法では、樹脂流入口または成形機ノズル端部での樹脂圧力カーブと、ノズルを金型から離脱させた状態での射出圧力カーブとを得ることにより、射出成形機の機械要素による時間遅れや圧力ロスを補い、量産成形の成形条件を得ている。また、特許文献3に記載された射出成形機を用いた樹脂評価方法では、樹脂温度、射出速度を変えて射出を行うことによって設定スクリュ位置における射出圧力を検出し、N個の射出圧力、射出速度、樹脂温度の組み合わせデータを用いて最小2乗法によって、圧力、速度、温度の相互依存関係関数を求めることが記載されている。
また、特許文献4に記載された射出成形機の圧力制御装置では、保圧工程で、射出圧力を制御する射出圧力制御工程と、射出圧力制御工程を実行した後で、推定した型内圧力が設定型内圧力になるように制御する型内圧制御工程を実行することにより、金型内部の圧力の成形サイクル間におけるバラつきを抑制し、安定した品質の成形品の成形を可能としている。また保圧工程で、推定した型内圧力が設定型内圧力になるように制御することで、金型内部の圧力を高応答に制御できるため、成形品の応力変形を防止している。
特開平11-115023号公報 特開2000-355033号公報 特開2002-331558号公報 特開2016-159589号公報
ここで、射出成形機による射出成形では、目的の成形品に応じて樹脂材料の種類を変更したり、金型を変更したりすることがあるが、樹脂材料の種類や金型を変更した場合でも、金型内の樹脂材料の圧力を適切に制御することが重要である。金型内の樹脂材料の圧力を適切に制御するためには、樹脂材料の圧力を取得する必要があるが、樹脂材料の圧力の検出は、例えば、圧力を検知するセンサを金型に配置することにより、金型内に射出された樹脂材料の圧力を検出することができる。しかし、圧力センサを金型に配置する場合、金型の設計自由度が損なわれるため、成形品の形状が制限されたり、金型における、成形品を成形するためのキャビティのレイアウトが制限されたりすることがある。
一方で、金型に圧力センサを配置することなく射出成形を行う場合、金型内に射出された樹脂材料の圧力を高い精度で検出して圧力の制御を行うことが難しくなる。この場合、例えば、金型における一部のゲートに詰まりが発生した際に、ゲートの詰まりに起因する金型内における樹脂材料の圧力の上昇を検出することが困難になるため、樹脂材料の圧力が高くなることに伴ってバリが発生してしまうことがある。これらのため、金型の設計自由度を損なうことなく、金型内に射出された樹脂材料の圧力制御を行うことは困難なものとなっていた。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、金型の設計自由度を損なうことなく、金型内に射出された樹脂材料の圧力制御を行うことのできる射出成形機を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る射出成形機は、内側にスクリュが配置される加熱バレルで樹脂材料を溶融し、溶融した前記樹脂材料を射出するノズルが位置する側に向けて前記スクリュを移動させることにより前記樹脂材料を前記ノズルから射出する射出装置と、前記ノズルから射出した前記樹脂材料が充填されるキャビティを有し、前記キャビティで前記樹脂材料の成形を行う金型と、前記樹脂材料を射出する際における前記スクリュの移動速度である射出速度を検出する射出速度検出部と、前記樹脂材料を射出する際に前記スクリュに作用する圧力である射出圧力を検出する射出圧力検出部と、前記スクリュの移動制御を行うことにより前記金型内における前記樹脂材料の圧力の制御を行う制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記樹脂材料を射出する際における前記射出速度ごとの圧力損失を示す圧力損失モデルと、前記射出速度検出部で検出した前記射出速度とに基づいて、前記樹脂材料を射出する際における前記射出装置での圧力損失を求める圧力損失算出部と、前記射出圧力検出部で検出した前記射出圧力から前記圧力損失算出部で求めた前記圧力損失を減算した圧力を、前記金型内における前記樹脂材料の圧力である仮想型内圧として求める仮想型内圧算出部と、前記樹脂材料を射出する際における前記スクリュの移動制御を行うと共に、前記仮想型内圧算出部で求めた前記仮想型内圧に基づいて前記移動制御を行う移動制御部と、を有する。
本発明に係る射出成形機は、金型の設計自由度を損なうことなく、金型内に射出された樹脂材料の圧力制御を行うことができる、という効果を奏する。
図1は、実施形態に係る射出成形機の構成例を示す模式図である。 図2は、図1に示す射出装置の詳細図である。 図3は、図2に示す加熱バレルの詳細図である。 図4は、図3に示すチェックリングの詳細図である。 図5は、図1に示す制御装置の説明図である。 図6は、圧力損失モデルの一例を示す説明図である。 図7は、移動制御部が有する各コントローラと射出装置との関係を示す説明図である。 図8は、良品の成形時における、射出速度、射出圧力、仮想型内圧の変化を示す説明図である。 図9は、制御装置が仮想型内圧判定部を有さず、仮想型内圧が上限値に達したか否の判定を行わない場合において、射出圧力の上限値に達した状態を示す説明図である。 図10は、制御装置が仮想型内圧判定部を有し、仮想型内圧が上限値に達した状態を示す説明図である。 図11は、チェックリングの応答にばらつきがある場合における、射出速度、射出圧力、仮想型内圧の変化を示す説明図である。 図12は、チェックリングの応答にばらつきがある場合において仮想型内圧が上限値に達した状態を示す説明図である。 図13は、仮想型内圧が上限値に達したか否の判定を行わずにふかし成形を行う場合の射出速度、射出圧力、仮想型内圧を示す説明図である。 図14は、仮想型内圧が上限値に達したか否の判定を行いながらふかし成形を行う場合の射出速度、射出圧力、仮想型内圧を示す説明図である。
以下に、本開示に係る射出成形機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、且つ、容易に想到できるもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
[実施形態]
図1は、実施形態に係る射出成形機1の構成例を示す模式図である。なお、以下の説明では、射出成形機1の通常の使用状態における上下方向を、射出成形機1における上下方向Zとして説明し、射出成形機1の通常の使用状態における上側を、射出成形機1における上側とし、射出成形機1の通常の使用状態における下側を、射出成形機1における下側として説明する。また、以下の説明では、射出成形機1の長手方向Yを、射出成形機1を有する各部においても長手方向Yとして説明し、射出成形機1の上下方向Zと長手方向Yとの双方に直交する方向を、射出成形機1における幅方向Xとして説明する。
<射出成形機1>
本実施形態に係る射出成形機1は、射出装置10と、型締装置70とを有しており、射出装置10と型締装置70とは、射出成形機1における下端に配置されるフレーム5上に載置されている。射出成形機1は、射出装置10で樹脂材料を溶融して可塑化材料にし、射出装置10から射出された可塑化材料を、型締装置70によって冷却・固化することにより、所望の各種の成形品を製造することが可能になっている。
射出装置10は、加熱バレル11と、スクリュ20と、回転機構40と、前後進機構50と、推進機構30とを備えている。加熱バレル11は、内部で樹脂材料を加熱して溶融し、可塑化材料にすることが可能になっている。また、加熱バレル11は、可塑化材料を射出するノズル12を一端側に備え、他端側が原料投入用のホッパ15に接続されている。スクリュ20は、加熱バレル11の内側に配置されており、加熱バレル11の内部で軸心方向に移動可能になっている。
回転機構40は、加熱バレル11内でスクリュ20を回転させることにより、樹脂材料をホッパ15から加熱バレル11内に導入することが可能になっている。
前後進機構50は、加熱バレル11内でスクリュ20を長手方向Yに移動させることが可能になっている。また、前後進機構50は、加熱バレル11内において、溶融された樹脂材料が、ノズル12が位置する端部側の部分に貯えられた状態で、スクリュ20をノズル12が位置する側に向けて移動させることにより、樹脂材料をノズル12から押し出すことができる。これにより、加熱バレル11内で溶融した樹脂材料をノズル12から射出させることができる。
型締装置70は、固定盤71と、移動盤72と、金型75と、型締駆動機構80と、押出機構85とを有している。固定盤71は、フレーム5上に配置されてフレーム5に固定されており、移動盤72は、フレーム5上における固定盤71に対して射出装置10が位置する側の反対側に配置され、固定盤71に対して移動自在に配置されている。
金型75は、射出装置10が有する加熱バレル11のノズル12から射出された樹脂材料が充填されるキャビティ75aを有しており、キャビティ75aで樹脂材料の成形を行うことが可能になっている。このように樹脂材料の成形を行う金型75は、固定金型76と移動金型77とを有している。固定金型76は、固定盤71における移動盤72が位置する側の面に取り付けられており、移動金型77は、移動盤72における固定盤71が位置する側の面に取り付けられている。移動盤72に取り付けられる移動金型77は、固定盤71に取り付けられる固定金型76に対向しており、移動盤72が固定盤71に接近した際には、固定金型76へ接近して固定金型76に組み合わされる。
型締駆動機構80は、移動盤72を固定盤71に対して相対移動させることが可能になっており、移動盤72を固定盤71に対して相対移動させることにより、移動金型77と固定金型76との型閉を行ったり、移動金型77と固定金型76との型開を行ったりすることができる。本実施形態では、型締駆動機構80は、いわゆるトグル機構81を備えており、トグル機構81により、移動盤72を固定盤71に対して相対移動させることができる。
押出機構85は、移動金型77の内面に付着した成形後の成形品を押し出す押出部材86を備えており、成形後の成形品を移動金型77から取り外すことが可能になっている。
<射出装置10>
以下の説明では、長手方向Yにおいて射出装置10に対して型締装置70が位置する側を前方、或いは前側とし、長手方向Yにおいて射出装置10に対して型締装置70が位置する側の反対側を後方、或いは後ろ側として説明する。
図2は、図1に示す射出装置10の詳細図である。射出装置10は、推進機構30を介してフレーム5に配置されている。推進機構30は駆動用電動機31を有しており、駆動用電動機31で発生する駆動力により、射出装置10をフレーム5に対して長手方向Yに移動させることが可能になっている。
射出装置10が有する加熱バレル11は、長手方向Yにおける前側に延び、その先端、即ち、加熱バレル11の前側の端部には、金型75に密接するノズル12が配置されている。詳しくは、加熱バレル11は、略円筒状の形状で形成されると共に、軸心方向が長手方向Yに沿った向きで配置されており、バンドヒータ等のヒータ13が設けられている。これにより、加熱バレル11は、内部で樹脂材料を溶融可能になっている。つまり、加熱バレル11は、ヒータ13によって加熱バレル11の温度を上昇させることができ、内部で樹脂材料を加熱して溶融し、可塑化材料である溶融樹脂にすることが可能になっている。
スクリュ20は、加熱バレル11の内部に配置されており、軸心方向が加熱バレル11の軸心方向と沿った方向になる螺旋形状を有しており、即ち、スクリュ20は、外周面に螺旋状の溝を有している。このように、螺旋形状を有して形成されるスクリュ20は、加熱バレル11内で、軸心を中心として回転可能になっている。また、スクリュ20は、加熱バレル11内で回転の軸方向に移動可能になっている。換言すると、スクリュ20は、加熱バレル11内に、加熱バレル11の形状である円筒の中心軸と、スクリュ20の回転軸とが略一致して配置されており、且つ、加熱バレル11の軸方向に移動可能に配置されている。加熱バレル11内に回転可能に配置されるスクリュ20は、加熱バレル11の内部で回転をすることにより、溶融樹脂を混練することが可能になっており、このため、加熱バレル11は、内部で溶融樹脂の混練が可能なバレルになっている。
加熱バレル11における後ろ側の端部寄りの位置には、ホッパ15が配置されている。ホッパ15は、加熱バレル11内に連通し、粒状の樹脂材料であるペレット(図示省略)を加熱バレル11に供給することが可能になっている。
回転機構40は、長手方向Yにおいて加熱バレル11よりも後ろ側に配置されており、加熱バレル11の内部に配置されるスクリュ20を、中心軸周りに回転させることが可能になっている。スクリュ20を回転させる回転機構40は、回転機構本体部41と、駆動用電動機43と、伝動ベルト44と、プーリ45とを有している。
駆動用電動機43は、例えば、回転機構本体部41の上側に配置されている。プーリ45は、回転機構本体部41の前方に配置されて軸受46を介して回転機構本体部41に対して回転自在に配置されている。また、プーリ45は、伝動ベルト44を介して駆動用電動機43の駆動軸に連結されており、これにより、プーリ45は、伝動ベルト44を介して伝達される駆動用電動機43の駆動力により回転することが可能になっている。このように、駆動用電動機43から伝達される駆動力により回転可能なプーリ45は、スクリュ20に対して同軸に一体に固定されている。換言すると、スクリュ20は、長手方向Yにおける後端側が、プーリ45に連結されている。これにより、加熱バレル11内に配置されるスクリュ20は、駆動用電動機43からプーリ45に伝達される駆動力により、プーリ45と一体に回転することが可能になっている。
長手方向Yにおける回転機構本体部41の後方には、前後進機構50が配置されている。前後進機構50は、加熱バレル11内に配置されるスクリュ20を、スクリュ20の軸心方向に移動させることが可能になっている。即ち、スクリュ20を長手方向Yに前進させたり後退させたりすることが可能になっている。詳しくは、前後進機構50は、駆動用電動機51と、伝動ベルト53と、プーリ54と、ボールねじ機構56とを有している。
駆動用電動機51は、駆動用電動機51の回転位置や回転速度を検出するエンコーダ52を有しており、駆動用電動機51の駆動軸は、伝動ベルト53を介してプーリ54に連結されている。駆動用電動機51が有するエンコーダ52は、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動方向における位置を、駆動用電動機51の回転位置を介して検出することができる。また、駆動用電動機51が有するエンコーダ52は、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動速度である射出速度Sを、駆動用電動機51の回転速度を検出することを介して検出することができる。駆動用電動機51が有するエンコーダ52は、このようにスクリュ20の射出速度Sを検出する射出速度検出部としても用いられる。
プーリ54は、ボールねじ機構56のねじ部57に一体に連結されている。ボールねじ機構56のねじ部57は、スクリュ20と同軸に配置されており、回転機構本体部41が有するプーリ45に対しても、同軸に配置されている。前後進機構50が有するボールねじ機構56のナット部58は、略円筒形の形状で形成されており、ボールねじ機構56のねじ部57は、当該ナット部58に螺合している。
長手方向Yにおける、前後進機構50が有するボールねじ機構56のナット部58と、回転機構40が有する回転機構本体部41との間には、ロードセル60が配置されている。ロードセル60は、回転機構40が有する回転機構本体部41の後ろ側で、前後進機構50が有するボールねじ機構56のナット部58の前側に配置されている。
ロードセル60は、軸方向に加えられた荷重を計測する荷重計測器で、起歪体と起歪体に取り付けられた歪みセンサ(いずれも図示省略)などから構成されている。本実施形態では、ロードセル60は、軸方向が長手方向Yとなる向きで配置され、且つ、長手方向Yに偏平な略円筒形の形状で形成されており、円筒の内径は、前後進機構50が有するボールねじ機構56のねじ部57の外径よりも大きくなっている。このように形成されるロードセル60は、長手方向Yにおける前側の面は回転機構40が有する回転機構本体部41に一体に固定され、長手方向Yにおける後ろ側の面は前後進機構50が有するボールねじ機構56のナット部58に一体に固定されている。
回転機構40の回転機構本体部41と、前後進機構50が有するボールねじ機構56のナット部58との間に配置されるロードセル60は、回転機構本体部41とナット部58との間で長手方向Yに作用する荷重を検出することが可能になっている。ロードセル60は、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際にスクリュ20に作用する圧力である射出圧力Pを、回転機構本体部41とナット部58との間で作用する荷重を検出することを介して検出する射出圧力検出部として用いられる。
図3は、図2に示す加熱バレル11の詳細図である。加熱バレル11は、図3に示すように、略円筒状の形状で形成され、外周面にバンドヒータ等のヒータ13が配置されている。加熱バレル11における、長手方向Yの前端に配置されるノズル12は、内径が加熱バレル11の内径よりも小さな略円筒状の形状で形成され、長手方向Yの前側に開口して配置されている。加熱バレル11内に配置されるスクリュ20は、スクリュ20の径方向における外側に突出し、且つ、スクリュ20の軸心を中心とする螺旋状に形成されるフライト21を有している。これにより、スクリュ20は、螺旋状に形成されるフライト21における隣り合う周回部分同士に間に、螺旋状の溝状の部分を有している。
このように形成されるスクリュ20には、長手方向Yにおける前側の端部付近に、チェックリング25が配置されている。チェックリング25は、スクリュ20における長手方向Yの前側の端部付近に形成される溝部22に配置されている。溝部22は、溝幅方向がスクリュ20の軸心方向となり、スクリュ20の周方向における1周に亘って形成される溝になっている。
図4は、図3に示すチェックリング25の詳細図である。チェックリング25は、略円筒状の形状で形成され、軸心がスクリュ20の軸心に略一致する形態で、スクリュ20の溝部22に配置される。略円筒状に形成されるチェックリング25は、外径が加熱バレル11の内径と同程度で加熱バレル11の内径よりも僅かに小さな径になっている。また、チェックリング25の内径は、スクリュ20の溝部22の溝底の径よりも大きな径になっており、チェックリング25の内周面とスクリュ20の溝部22の溝底との間には、空隙が形成されている。また、チェックリング25の軸心方向における幅は、スクリュ20の溝部22の溝幅よりも小さくなっている。このため、チェックリング25は、溝部22内で溝幅方向に移動することが可能になっている。
また、スクリュ20には、溝部22よりも長手方向Yにおける前側の部分と溝部22内とを連通する連通部24が形成されている。連通部24は、溝部22の溝幅方向における前側の溝壁23に開口している。
<制御装置100>
射出成形機1は、射出成形機1の各種制御を行う制御装置100と、オペレータが射出成形機1への入力操作を行う入力部160と、各種情報を表示する表示部170とを有している。入力部160と表示部170とは、共に制御装置100に接続されており、入力部160は、入力操作された情報を制御装置100に伝達する。また、表示部170は、制御装置100から伝達された情報を表示する。入力部160と表示部170とは、別体で構成されていてもよく、または、いわゆるタッチパネル式のディスプレイによって構成されることにより、一体に形成されていてもよい。
制御装置100には、射出成形機1における動作の動力源となるモータ等の各種アクチュエータや、射出成形機1の動作時における情報を取得する各種センサ等が接続されている。これにより、制御装置100は、センサによって射出成形機1の動作時における情報を取得しつつ、射出成形機1のアクチュエータに対して制御信号を送信することにより、射出成形機1の制御をすることが可能になっている。制御装置100は、例えば、溶融した樹脂材料を加熱バレル11のノズル12から射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行うことにより、金型75内における樹脂材料の圧力の制御を行うことが可能になっている。
図5は、図1に示す制御装置100の説明図である。制御装置100は、処理部110と、記憶部140と、入出力部150とを有している。処理部110は、演算処理を行うCPU(Central Processing Unit)と、各種情報を記憶するメモリとして機能するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを有している。処理部110の各機能の全部または一部は、ROMに保持されるアプリケーションプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって、RAMやROMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
記憶部140は、処理部110と電気的に接続され、情報を記憶する記憶装置である。制御装置100による射出成形機1の制御時は、処理部110によって射出成形機1から取得した情報や処理部110によって演算した情報を記憶部140に記憶したり、記憶部140に記憶されている情報を処理部110で呼び出して射出成形機1の制御に用いたりする。
なお、処理部110により実現される各機能は、プログラムとして予め記憶部140に記憶されていてもよい。この場合、処理部110は、記憶部140に記憶されているプログラムを処理部110で呼び出し、プログラムに沿った動作を処理部110で実行することにより、各機能を実行する。また、記憶部140は、制御装置100に一体に備えられていてもよく、制御装置100に対して着脱自在に構成されていてもよい。
入出力部150は、制御装置100の外部の機器との間で信号の入出力を行う、いわゆるインターフェイスになっている。即ち、制御装置100に接続される射出成形機1の各種アクチュエータ類や各種センサ類、入力部160、表示部170は、入出力部150に接続される。入出力部150に接続されるアクチュエータ類や各種センサ類としては、例えば、射出装置10が有する加熱バレル11のヒータ13や、推進機構30の駆動用電動機31、回転機構40の駆動用電動機43、前後進機構50の駆動用電動機51とエンコーダ52、ロードセル60等が挙げられる。制御装置100が有する処理部110は、入出力部150を介して、これらの外部の機器との間で信号の送受信を行う。
処理部110は、機能的に圧力損失算出部111と、仮想型内圧算出部112と、射出圧力判定部113と、仮想型内圧判定部114と、移動制御部120とを有している。
このうち、圧力損失算出部111は、予め設定される圧力損失モデルMと、前後進機構50の駆動用電動機51が有するエンコーダ52で検出したスクリュ20の射出速度Sとに基づいて、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際における射出装置10での圧力損失を求めることが可能になっている。圧力損失モデルMは予め設定されて記憶部140に記憶されている。圧力損失モデルMについては後述する。
仮想型内圧算出部112は、溶融した樹脂材料を加熱バレル11から金型75のキャビティ75aに対して射出した際の、金型75内における樹脂材料の圧力である仮想型内圧Vを求めることが可能になっている。仮想型内圧算出部112は、スクリュ20を移動させることによって加熱バレル11から樹脂材料を射出する際にロードセル60で検出した射出圧力Pから、圧力損失算出部111で求めた圧力損失を減算した圧力を、金型75内におけるにおける樹脂材料の仮想型内圧Vとして求める。
射出圧力判定部113は、加熱バレル11から樹脂材料を射出する際にロードセル60で検出した射出圧力Pが、射出圧力Pに対して設定される上限値に達したか否かを判定することが可能になっている。この場合における射出圧力Pに対して設定される上限値は、例えば、射出成形機1で成形する成形品の種類や、成形品の成形に用いる樹脂材料の種類等に応じて予め設定されたものの中から実際に成形する成形品や樹脂材料の種類等に基づいて選択されることにより設定されたり、オペレータによって上限値が直接入力されることにより設定されたりする。設定された射出圧力Pの上限値は、記憶部140に記憶される。
仮想型内圧判定部114は、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vが、仮想型内圧Vに対して設定される上限値に達したか否かを判定することが可能になっている。この場合における仮想型内圧Vに対して設定される上限値は、例えば、射出成形機1で成形する成形品の種類や、成形品の成形に用いる樹脂材料の種類等に応じて予め設定されたものの中から実際に成形する成形品や樹脂材料の種類等に基づいて選択されることにより設定されたり、オペレータによって上限値が直接入力されることにより設定されたりする。また、仮想型内圧Vの上限値は、射出圧力Pが上限値PLに達した場合における仮想型内圧Vよりも低い値で設定される。具体的には、仮想型内圧Vの上限値は、キャビティ75aに樹脂材料が充填された金型75で良品となる成形品を成形した際における、金型75内での樹脂材料の圧力の最大値と同程度の大きさで設定される。設定された仮想型内圧Vの上限値は、記憶部140に記憶される。
移動制御部120は、射出装置10の加熱バレル11から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行うことが可能になっている。移動制御部120は、前後進機構50が有する駆動用電動機51の制御を行うことにより、前後進機構50を作動させてスクリュ20の移動制御を行う。
また、移動制御部120は、スクリュ20の移動制御を行う際には、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vを制御時における判断要素に含んで移動制御を行う。つまり、移動制御部120は、スクリュ20の移動制御を行う際には、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vに基づいて移動制御を行う。
具体的には、移動制御部120は、射出装置10の加熱バレル11から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行う際には、基本的にはスクリュ20の移動方向における位置に対して設定される射出速度Sに基づいて移動制御を行う。また、移動制御部120は、射出圧力Pに対して設定される上限値に射出圧力Pが達したと射出圧力判定部113で判定した場合、または仮想型内圧Vに対して設定される上限値に仮想型内圧Vが達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合は、ロードセル60で検出する射出圧力Pまたは仮想型内圧算出部112で求める仮想型内圧Vに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。
図6は、圧力損失モデルMの一例を示す説明図である。圧力損失算出部111で圧力損失を算出する際に用いる圧力損失モデルMは、加熱バレル11内でスクリュ20を移動させて溶融した樹脂材料をノズル12から射出する際における、スクリュ20の射出速度Sごとの圧力損失を示すモデルになっている。この場合における圧力損失は、溶融した樹脂材料を加熱バレル11から射出する際に、加熱バレル11で損失する圧力になっている。具体的には、この場合における圧力損失は、加熱バレル11内でスクリュ20を移動させて加熱バレル11から樹脂材料を射出する際における、樹脂材料がノズル12を通る際の抵抗と、加熱バレル11に対するスクリュ20の摺動抵抗とに起因して損失する圧力になっている。
圧力損失モデルMは、加熱バレル11から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の射出速度Sと、加熱バレル11で損失する圧力とを対応させたモデルとして予め設定される。圧力損失モデルMは、例えば、図6に示すように、樹脂材料の種類ごとに設定される。図6に示す圧力損失モデルMは、樹脂A、樹脂B、樹脂Cの3種類の樹脂材料についての圧力損失モデルMが示されている。圧力損失モデルMは、加熱バレル11から樹脂材料を射出する際の圧力損失をスクリュ20の射出速度Sごとに予め実測で測定することによって設定してもよく、圧力損失を樹脂材料の流動解析より算出することによって設定してもよい。
加熱バレル11から樹脂材料を射出する際の圧力損失を実測によって測定する際には、加熱バレル11のノズル12を金型75から離し、溶融した樹脂材料を金型75の外に射出した際における、ロードセル60で検出した値を、加熱バレル11で損失する圧力として用いる。つまり、ノズル12を金型75から離した状態で樹脂材料を射出した場合、樹脂材料を押し出すスクリュ20には、金型75内での樹脂材料の圧力は作用せず、加熱バレル11から樹脂材料を射出する際の抵抗に基づく圧力のみが作用する。
このため、ノズル12を金型75から離した状態で樹脂材料を加熱バレル11から金型75の外に射出した際に、ロードセル60で検出した値は、樹脂材料の射出時に加熱バレル11で損失する圧力として用いることができる。圧力損失モデルMを、加熱バレル11から樹脂材料を射出する際の圧力損失の実測に基づいて設定する際には、スクリュ20の射出速度Sごとにロードセル60の値を測定し、スクリュ20の射出速度Sとロードセル60の値とを対応させることにより設定する。圧力損失モデルMは、予めこれらのように設定されて記憶部140に記憶される。
また、樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行う移動制御部120は、位置制御コントローラ121と、速度制御コントローラ122と、電流制御コントローラ123と、圧力制御コントローラ124と、仮想型内圧コントローラ125とを有している。
図7は、移動制御部120が有する各コントローラと射出装置10との関係を示す説明図である。位置制御コントローラ121は、前後進機構50の駆動用電動機51が有するエンコーダ52で検出するスクリュ20の移動方向における位置に基づいて、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動方向における位置の制御を行う。即ち、位置制御コントローラ121は、駆動用電動機51が有するエンコーダ52からスクリュ20の移動方向における位置についてのフィードバックを受けながら、スクリュ20の位置制御を行う。位置制御コントローラ121は、エンコーダ52で検出したスクリュ20の移動方向における位置に対応した速度指令を、速度制御コントローラ122に対して送信する。
位置制御コントローラ121から速度制御コントローラ122に対して送信する速度指令は、記憶部140に記憶される速度指令に基づいて行う。記憶部140には、例えば、オペレータが入力部160によって入力した速度指令が記憶部140に記憶される。記憶部140に記憶される速度指令は、スクリュ20の射出速度Sの上限値になっており、位置制御コントローラ121は、最終的なスクリュ20の射出速度Sが上限値の速度になるように、スクリュ20の移動方向における位置に対応した速度指令を速度制御コントローラ122に対して送信する。
速度制御コントローラ122は、位置制御コントローラ121から送信された速度指令と、前後進機構50の駆動用電動機51が有するエンコーダ52で検出するスクリュ20の射出速度Sとに基づいて、加熱バレル11のノズル12から樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の射出速度Sの制御を行う。即ち、速度制御コントローラ122は、駆動用電動機51が有するエンコーダ52からスクリュ20の射出速度Sについてのフィードバックを受けながら、スクリュ20の射出速度Sの制御を行う。速度制御コントローラ122は、スクリュ20の移動方向における位置に対応した射出速度Sでスクリュ20を移動させることができる、前後進機構50の駆動用電動機51を駆動させるための電流値を電流制御コントローラ123に送信する。
電流制御コントローラ123は、速度制御コントローラ122から送信された電流値に基づいて、前後進機構50の駆動用電動機51の駆動制御を行う。電流制御コントローラ123は、電流制御コントローラ123から出力する電流値をフィードバックし、速度制御コントローラ122から送信された電流値と比較しながら、前後進機構50の駆動用電動機51の駆動制御を行う。電流制御コントローラ123による駆動用電動機51の駆動制御は、駆動用電動機51に供給する電力を増幅するアンプ180を介して行う。
圧力制御コントローラ124は、射出圧力Pが上限値に達したと射出圧力判定部113で判定した場合に、射出圧力Pが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。射出圧力Pに対して設定される上限値と、射出圧力Pが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、圧力指令として予め設定されて記憶部140に記憶される。圧力指令は、例えば、オペレータによって入力部160から入力された値が記憶部140に記憶される。
射出圧力Pが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、射出圧力Pが上限値に達していない場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sよりも遅い速度で設定される。圧力制御コントローラ124は、ロードセル60から射出圧力Pについてのフィードバックを受けながら射出圧力判定部113で射出圧力Pと上限値とを比較し、射出圧力Pが上限値に達したと判定した場合に、圧力制御コントローラ124でスクリュ20の移動制御を行う。
仮想型内圧コントローラ125は、仮想型内圧Vが上限値に達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合に、仮想型内圧Vが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。仮想型内圧Vに対して設定される上限値と、仮想型内圧Vが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、仮想型内圧指令として予め設定されて記憶部140に記憶される。仮想型内圧指令は、例えば、オペレータによって入力部160から入力された値が記憶部140に記憶される。
仮想型内圧Vが上限値に達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、仮想型内圧Vが上限値に達していない場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sよりも遅い速度で設定される。仮想型内圧コントローラ125は、駆動用電動機51が有するエンコーダ52からのスクリュ20の射出速度Sのフィードバックと圧力損失モデルMとに基づいて仮想型内圧判定部114で仮想型内圧Vと上限値とを比較し、仮想型内圧Vが上限値に達したと判定した場合に、仮想型内圧コントローラ125でスクリュ20の移動制御を行う。
<射出成形機1の作用>
本実施形態に係る射出成形機1は、以上のような構成を含み、以下、その作用について説明する。射出成形機1は、1回の射出・成形動作を1サイクルとして、この射出・成形動作のサイクルを繰り返し実行する。各サイクルは、成形材料の射出、及び製品の成形のために複数の工程を含む。各サイクルは、例えば、型閉工程、充填工程、保圧工程、型開工程、取出工程を含む。
型閉工程は、型締装置70が有する移動盤72を固定盤71に近付ける方向に移動させることにより、移動金型77と固定金型76とを組み合わせ、移動金型77と固定金型76との間に製品形状に対応したキャビティ75aを形成する工程である。
充填工程は、射出装置10の加熱バレル11によって溶融された樹脂材料である溶融樹脂を、型締装置70に取り付けられる移動金型77と固定金型76とにより形成されるキャビティ75a内に注入する工程である。
保圧工程は、型締装置70に取り付けられる移動金型77と固定金型76とにより形成されるキャビティ75a内に注入された樹脂材料である成形樹脂の圧力を維持する状態で待機し、成形樹脂の温度が低下して固化することによって成形樹脂が成形品となるまで一定の時間待機をする工程である。また、保圧工程では、次のサイクルにおいて射出される樹脂材料を、射出装置10が有する加熱バレル11におけるノズル12が位置する端部側に送り、次のサイクルで用いる樹脂材料を準備する、樹脂材料の計量も保圧工程中に併せて行われる。
型開工程は、型締装置70に取り付けられる固定金型76と移動金型77によって成形された成形品を取り出すために、移動盤72を固定盤71から離れる方向に移動させ、移動金型77を固定金型76から離す工程になっている。
取出工程は、移動金型77を固定金型76から離した後、移動金型77にくっ付いた状態の成形品を、押出機構85が有する押出部材86によって押し出すことにより、成形品を金型75から取り出す工程である。
射出成形機1で成形品を成形する際には、これらの射出・成形動作のサイクルを繰り返し実行することにより、成形品の成形を連続的に行う。ここで、充填工程で金型75内に溶融した樹脂材料を射出する場合、金型75内での樹脂材料の圧力を適切に制御することが必要になる。次に、充填工程で金型75内での樹脂材料を射出する際における圧力制御について説明する。
図8は、良品の成形時における、射出速度S、射出圧力P、仮想型内圧Vの変化を示す説明図である。充填工程で射出装置10の加熱バレル11から金型75内に樹脂材料を射出する際には、制御装置100の移動制御部120は、射出時に移動するスクリュ20の位置を前後進機構50が有する駆動用電動機51のエンコーダ52の検出結果を位置制御コントローラ121で検知しながら、スクリュ20に位置に応じて速度制御を速度制御コントローラ122によって行う。
速度制御コントローラ122によってスクリュ20の速度制御を行う際には、スクリュ20の移動位置に基づいて速度制御を行う際における、射出速度Sの設定値に沿ってスクリュ20の射出速度Sの制御を行う。射出速度Sの設定値は、例えば、オペレータによって射出速度Sの設定値が直接入力されることにより設定される。射出速度Sの設定値は、射出成形機1で成形する成形品の種類や、成形品の成形に用いる樹脂材料の種類等に応じて予め設定されたものの中から実際に成形する成形品や樹脂材料の種類等に基づいて選択されることにより設定されてもよい。
設定された射出速度Sの設定値は、制御装置100が有する記憶部140に記憶される。スクリュ20の速度制御を行う際には、記憶部140に記憶される射出速度Sの設定値を目標値として、位置制御コントローラ121によってスクリュ20の位置に応じた速度指令を速度制御コントローラ122に送信し、速度制御コントローラ122によって速度制御を行う。速度制御コントローラ122は、前後進機構50が有する駆動用電動機51のエンコーダ52から射出速度Sのフィードバックを受けながら、位置制御コントローラ121から送信される速度指令に基づいてスクリュ20の速度制御を行う。
これらのため、位置制御コントローラ121と速度制御コントローラ122は、充填工程ではスクリュ20の射出速度Sが、射出速度Sの目標値である設定値となるように速度制御を行い、スクリュ20の射出速度Sが設定値に到達したら、その射出速度Sを維持する。この場合、金型75内には、時間の経過に伴って樹脂材料が充填されていくため、金型75内では時間の経過に伴って樹脂材料の圧力が上昇していく。このため、加熱バレル11内での樹脂材料の圧力も上昇し、樹脂材料を射出する際にスクリュ20に作用する射出圧力Pも、金型75内に樹脂材料が充填されて金型75内での樹脂材料の圧力が上昇するのに伴って上昇する。
なお、金型75のキャビティ75aに対しては、キャビティ75aにつながるランナーに樹脂材料が充填された後、キャビティ75aに樹脂材料が充填される。このため、射出圧力Pは、ノズル12が位置する側にスクリュ20の移動が開始した後でも、射出圧力Pはすぐには上昇せず、ランナーに樹脂材料が充填された後に射出圧力Pは上昇する。充填工程では、このように上昇する射出圧力Pが、射出圧力Pに対して設定される上限値PLに達したか否かを射出圧力判定部113で継続的に判定する。
ここで、充填工程でスクリュ20の移動制御を行う際には、制御装置100が有する圧力損失算出部111で、前後進機構50が有する駆動用電動機51のエンコーダ52で検出した射出速度Sと、記憶部140に記憶される圧力損失モデルMとに基づいて、樹脂材料を射出する際における射出装置10での圧力損失を求める。記憶部140に、樹脂材料の種類等に応じて複数の圧力損失モデルMが記憶されている場合には、現在の射出成形における樹脂材料の種類等の条件に合致する圧力損失モデルMを用いる。
圧力損失算出部111で射出装置10での圧力損失を求めたら、制御装置100が有する仮想型内圧算出部112で、ロードセル60で検出した射出圧力Pから圧力損失算出部111で求めた圧力損失を減算した圧力を、金型75内における樹脂材料の圧力である仮想型内圧Vとして求める。充填工程でスクリュ20の移動制御を行う際には、継続的にこれらのように圧力損失算出部111と仮想型内圧算出部112とで仮想型内圧Vを求める。充填工程では、このように求める仮想型内圧Vも射出圧力Pと同様に、金型75内に樹脂材料が充填されて金型75内での樹脂材料の圧力が上昇するのに伴って上昇する。
なお、金型75のキャビティ75aに対しては、キャビティ75aにつながるランナーに樹脂材料が充填された後、キャビティ75aに樹脂材料が充填されるため、仮想型内圧Vも射出圧力Pと同様に、ノズル12が位置する側にスクリュ20の移動が開始してランナーに樹脂材料が充填された後に、仮想型内圧Vは上昇する。充填工程では、このように上昇する仮想型内圧Vが、仮想型内圧Vに対して設定される上限値に達したか否を仮想型内圧判定部114で継続的に判定する。
これらのようにスクリュ20の射出速度Sを設定値で維持しながら加熱バレル11内でスクリュ20を移動させ、スクリュ20の位置が、充填工程と保圧工程とを切り替える基準となる位置である切替位置Hに到達したら、射出速度Sを低下させる。保圧工程で射出速度Sを低下させるとことにより、スクリュ20に作用する射出圧力Pと、金型75内の仮想型内圧Vも、射出速度Sの低下に伴って低下する。
なお、保圧工程に切り替わった後も、スクリュ20は射出速度Sを低速にしてノズル12が位置する側に移動させて樹脂材料を僅かに金型75のキャビティ75aに送り込む。これにより、保圧工程で冷却されて樹脂材料が僅かに収縮するキャビティ75a内に対して、保圧工程においても樹脂材料を送り込むことができるので、成形品のヒケを抑制することができる。
図9は、制御装置100が仮想型内圧判定部114を有さず、仮想型内圧Vが上限値に達したか否の判定を行わない場合において、射出圧力Pの上限値PLに達した状態を示す説明図である。充填工程では、これらのように加熱バレル11内でスクリュ20を移動させることにより、金型75のキャビティ75aに樹脂材料を充填するが、樹脂材料を充填時には、部分的に詰まりが発生することがある。このように、樹脂材料を充填時に部分的に詰まりが発生した場合、射出圧力Pは上昇し易くなる。
例えば、金型75に成形品を成形することのできるキャビティ75aが複数形成されている場合において、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合、樹脂材料は、詰まりが発生したキャビティ75aに対して充填することができなくなる。この場合、金型75における樹脂材料を充填することができる空間が小さくなるため、スクリュ20を移動させることによって加熱バレル11から金型75に対して樹脂材料を送り込む際に、スクリュ20に作用する射出圧力Pは上昇し易くなる。
充填工程では、射出圧力Pに対して設定される上限値PLに射出圧力Pが達したか否かを射出圧力判定部113で継続的に判定するため、射出圧力Pが上昇することによって上限値PLに達した場合には、射出圧力Pが上限値PLに達したとの判定を射出圧力判定部113で行う。制御装置100の移動制御部120は、ロードセル60で検出する射出圧力Pが上限値PLに達したと射出圧力判定部113で判定した場合は、射出圧力Pが上限値PLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。つまり、射出圧力Pが、予め設定されて記憶部140に記憶される上限値PLに達したと射出圧力判定部113で判定した場合は、移動制御部120は、圧力制御コントローラ124によってスクリュ20の移動制御を行う。
圧力制御コントローラ124は、射出圧力Pが上限値PLに達したと射出圧力判定部113で判定した場合は、射出速度Sが0になるようにスクリュ20の移動制御を行う。即ち、射出圧力Pが上限値PLに達した場合は、圧力制御コントローラ124は、射出速度Sを徐々に低下させ、ノズル12が位置する側へのスクリュ20の移動を停止させる。これにより、加熱バレル11から金型75への樹脂材料の充填を停止させる。
しかし、充填工程では、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した後、射出圧力Pが上限値PLに達したと判定されるまでは、加熱バレル11から金型75への樹脂材料の充填は継続される。このため、詰まりが発生したゲートに繋がれるキャビティ75aとは異なるキャビティ75aに対しては、樹脂材料の充填が継続される。この状態で、射出圧力Pが上限値PLに達したということは、樹脂材料が充填されるキャビティ75a内での樹脂材料の圧力も上昇していることになる。
このため、樹脂材料が充填されるキャビティ75aでは、樹脂材料の圧力に伴って当該キャビティ75aで成形する成形品にバリが発生することがある。また、キャビティ75aにつながるランナーにもバリが発生することがある。バリが発生した成形品は不良品となるため、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合は、詰まりが発生したキャビティ75aで成形する成形品のみでなく、その他のキャビティ75aで成形する成形品も不良品として処分することになる。
図10は、制御装置100が仮想型内圧判定部114を有し、仮想型内圧Vが上限値VLに達した状態を示す説明図である。本実施形態では、制御装置100は、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かの判定を行う仮想型内圧判定部114を有している。このため、充填工程において一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合でも、その他のキャビティ75aで成形する成形品に不具合が発生することを抑制することができる。
つまり、充填工程において一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合、詰まりが発生したキャビティ75aに対して充填することができなくなるため、加熱バレル11から金型75に対して送り込む樹脂材料は、それ以外のキャビティ75aに充填される。その際に、樹脂材料を充填できないキャビティ75aが発生している状態では、金型75における樹脂材料を充填することができる空間が小さくなるのに対し、加熱バレル11から送り込む樹脂材料の量は通常時と変わらないため、詰まりが発生していないキャビティ75aでは樹脂材料の圧力が高くなり易くなる。
本実施形態では、エンコーダ52で検出した射出速度Sと圧力損失モデルMとに基づいて射出装置10での圧力損失を圧力損失算出部111で求め、仮想型内圧算出部112で、ロードセル60で検出した射出圧力Pから圧力損失算出部111で求めた圧力損失を減算することにより仮想型内圧Vを求める。
さらに、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vが、仮想型内圧Vに対して設定される上限値VLに達したか否かを仮想型内圧判定部114で判定し、仮想型内圧Vが上限値VLに達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合は、移動制御部120は、仮想型内圧Vに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。即ち、制御装置100の移動制御部120は、仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vが上限値VLに達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合は、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。
仮想型内圧判定部114での判定に用いる仮想型内圧Vの上限値VLは、射出圧力Pが上限値PLに達した場合における仮想型内圧Vよりも低い値で設定されており、金型75で良品を成形した際における、金型75内での樹脂材料の圧力の最大値と同程度の大きさで設定されている。仮想型内圧算出部112で求めた仮想型内圧Vが、予め設定されて記憶部140に記憶される上限値VLに達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合は、移動制御部120は、仮想型内圧コントローラ125によってスクリュ20の移動制御を行う。
仮想型内圧コントローラ125は、仮想型内圧Vが上限値VLに達したと仮想型内圧判定部114で判定した場合は、射出速度Sが0になるようにスクリュ20の移動制御を行う。即ち、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合は、仮想型内圧コントローラ125は、射出速度Sを徐々に低下させ、ノズル12が位置する側へのスクリュ20の移動を停止させる。これにより、加熱バレル11から金型75への樹脂材料の充填を停止させる。この場合、仮想型内圧算出部112で求める仮想型内圧Vは、ロードセル60で検出した射出圧力Pに基づいて算出するものであるため、射出圧力Pが上昇する際には、射出圧力Pの上昇に伴って仮想型内圧Vも上昇する。
一方で、仮想型内圧Vの上限値VLは、射出圧力Pが上限値PLに達した場合における仮想型内圧Vよりも低い値になっており、金型75で良品を成形した際における、金型75内での樹脂材料の圧力の最大値と同程度の大きさで設定されている。このため、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生することによって射出圧力Pが上昇する状況において、仮想型内圧Vが上限値VLに達することにより金型75への樹脂材料の充填を停止した際には、詰まりが発生したキャビティ75a以外の金型75内の樹脂材料の圧力は、良品の成形時における樹脂材料の圧力と同程度になる。
これにより、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合でも、それ以外のキャビティ75aやランナーでは、樹脂材料の圧力は良品の成形時と同程度になるため、バリが発生することなく、良品を成形することができる。従って、一部のキャビティ75aに繋がるゲートに詰まりが発生した場合でも、詰まりが発生したキャビティ75a以外のキャビティ75aでは、良品を成形することができるため、不良品の発生を抑えることができる。
<実施形態の効果>
以上の実施形態に係る射出成形機1は、樹脂材料を射出する際における圧力損失モデルMとエンコーダ52で検出したスクリュ20の射出速度Sとに基づいて求めた射出装置10での圧力損失と、ロードセル60で検出した射出圧力Pとから仮想型内圧Vを求め、樹脂材料を射出する際におけるスクリュ20の移動制御を行う際には、仮想型内圧Vを制御時における判断要素に含み、仮想型内圧Vに基づいて移動制御を行っている。このため、充填工程で金型75内の一部に詰まりが発生した場合でも、充填工程でのスクリュ20の移動を、仮想型内圧Vを制御時の判断要素に含んで判断することにより、詰まりが発生した部分以外の部分で、金型75内の樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。従って、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を適切に行うことができる。
また、圧力損失モデルMとスクリュ20の射出速度Sとに基づいて射出装置10での圧力損失を求め、求めた圧力損失とロードセル60で検出した射出圧力Pとから仮想型内圧Vを求めるため、金型75に圧力センサを配置することなく、金型75に充填された樹脂材料の圧力を適切に求めることができる。これにより、金型75に圧力センサを配置することに起因して、金型75の設計が制限されることを抑制することができる。これらの結果、金型75の設計自由度を損なうことなく、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を行うことができる。
また、仮想型内圧Vは、圧力損失モデルMを用いて射出速度Sに応じた圧力損失から仮想型内圧Vを算出するため、成形条件を変更した場合でも、成形条件に対応する仮想型内圧Vを算出するためのデータを再収集することなく、成形条件に対応する仮想型内圧Vを算出することがきる。これにより、成形条件を変更した場合でも、充填工程で金型75内の一部に詰まりが発生した際に、詰まりが発生した部分以外の部分で金型75内の樹脂材料の圧力が高くなったことを検知することができ、詰まりが発生した部分以外の部分で樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。この結果、成形条件を変更した場合でも、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を容易に行うことができる。
また、スクリュ20の移動制御を行う移動制御部120は、スクリュ20の移動方向における位置に対して設定される射出速度Sに基づいて移動制御を行い、射出圧力Pが上限値PLに達した場合、または仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合は、射出圧力Pまたは仮想型内圧Vに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。このため、充填工程では射出圧力Pのみならず、仮想型内圧Vも含めて異常判定を行い、スクリュ20の移動制御を行うため、金型75内に充填した樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを、より確実に抑制することができる。この結果、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を、より適切に行うことができる。
また、移動制御部120は、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合は、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行うため、金型75内に充填した樹脂材料の圧力が、仮想型内圧Vに基づいて高くなったと判断できる場合には、樹脂材料の圧力がそれ以上高くならないようにスクリュ20の移動制御を行うことができる。これにより、金型75内に充填した樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを、より確実に抑制することができる。この結果、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を、より適切に行うことができる。
また、仮想型内圧Vの上限値VLは、射出圧力Pが上限値PLに達した場合における仮想型内圧Vよりも低い値で設定されるため、金型75内の一部に詰まりが発生することに起因して樹脂材料の圧力が上昇する際に、金型75のキャビティ75a内での圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。これにより、金型75内において詰まりが発生した部分以外の部分で圧力が高くなり過ぎることを抑制することができ、詰まりが発生した部分以外の部分の圧力制御を適切に行うことができる。従って、金型75内において詰まりが発生した部分以外の部分で成形する成形品に不良品が発生することを、極力抑えることができる。この結果、金型75内に射出された樹脂材料の圧力制御を、より適切に行うことができる。
また、実施形態に係る射出成形機1では、仮想型内圧算出部112で仮想型内圧Vを求め、仮想型内圧Vも判断要素に含めてスクリュ20の移動制御を行うため、チェックリング25(図4参照)に応答のばらつきがある場合でも、充填工程で金型75に充填した樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。
つまり、加熱バレル11内でスクリュ20を後ろ側に移動させて樹脂材料をスクリュ20の前側に送ることによって、充填工程で射出する樹脂材料の計量を行う際には、チェックリング25は、樹脂材料に押されてスクリュ20に形成される溝部22(図4参照)内で前側に移動して前側の溝壁23に当接する。スクリュ20には、溝部22における前側の溝壁23に、スクリュ20の前側の部分に連通する連通部24が形成されており、チェックリング25の内周面と溝部22の溝底との間には空隙が形成されている。このため、チェックリング25が溝部22における前側の溝壁23に当接する状態では、樹脂材料は、チェックリング25の内周面と溝部22の溝底との間の空隙と連通部24を通って、チェックリング25の後ろ側の部分からスクリュ20の前側の部分に移動することができる。
一方、充填工程で加熱バレル11内の樹脂材料を射出するために、スクリュ20を前側に移動させる場合には、チェックリング25は、樹脂材料に押されてスクリュ20に形成される溝部22内で後ろ側に移動して後ろ側の溝壁23に当接する。この場合、チェックリング25の内周面と溝部22の溝底との間には空隙は、溝部22の後ろ側の溝壁23とチェックリング25とによって閉塞されるため、樹脂材料は、チェックリング25の前側の部分からスクリュ20の後ろ側の部分に移動することができなくなる。
チェックリング25は、このように加熱バレル11内でスクリュ20を後ろ側に移動させたり、前側に移動させたりすることに応じて、チェックリング25も溝部22内で前側に移動したり後ろ側に移動することにより、樹脂材料の流れを一方向に制御することができる。しかし、チェックリング25は、加熱バレル11内でスクリュ20を前後方向に移動させた際における、樹脂材料からの抵抗によって溝部22内で移動をするため、チェックリング25の移動は、チェックリング25付近の樹脂材料の状態に委ねられることになる。このため、充填工程でスクリュ20を前側に移動させる際に、溝部22内でのチェックリング25の移動、即ち、チェックリング25の応答にはばらつきが発生することがある。
実施形態に係る射出成形機1では、このようにチェックリング25の応答にはばらつきが発生する場合でも、充填工程でのスクリュ20の移動制御時に、仮想型内圧Vも判断要素に含めてスクリュ20の移動制御を行うため、充填工程で金型75に充填した樹脂材料の圧力が高くなり過ぎることを抑制することができる。
図11は、チェックリング25の応答にばらつきがある場合における、射出速度S、射出圧力P、仮想型内圧Vの変化を示す説明図である。チェックリング25の応答にばらつきがある場合には、樹脂材料の計量時にスクリュ20の前側に送る樹脂材料にばらつきが発生したり、充填工程でのチェックリング25の後ろ側への樹脂材料の移動の規制にばらつきが発生したりするため、図11に示すように射出圧力Pにばらつきが発生することがある。また、射出圧力Pにばらつきが発生した場合には、射出圧力Pのばらつきに伴って、図11に示すように仮想型内圧Vにもばらつきが発生する。
このような場合において、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かの判定を行わずに充填工程の制御を行う場合、充填工程での金型75内への樹脂材料の充填量にばらつきが発生するため、樹脂材料の充填量が多い場合は成形品にバリが発生したり、樹脂材料の充填量が少ない場合は成形品にショートが発生したりする。このため、チェックリング25の応答にばらつきがある場合には、成形品に不良品が発生し易くなることが考えられる。
これに対し、本実施形態では、充填工程で仮想型内圧Vを求めて、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かの判定を行うため、チェックリング25の応答にばらつきがある場合における成形不良を抑制することができる。
図12は、チェックリング25の応答にばらつきがある場合において仮想型内圧Vが上限値VLに達した状態を示す説明図である。本実施形態では、仮想型内圧Vを求めて仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かの判定を行うため、チェックリング25の応答にばらつきがあることに起因して仮想型内圧Vにばらつきがある場合でも、図12に示すように、仮想型内圧Vにばらつきに関わらず仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かを判定することができる。
これにより、ばらつく仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合には、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行うため、充填工程における金型75内への樹脂材料の充填量を適切な量にすることができる。従って、チェックリング25の応答にばらつきに起因して充填工程での射出圧力Pがばらつく場合でも、金型75内の樹脂材料の圧力を一定に保つことができるため、成形品の成形不良を抑制することができる。
[変形例]
なお、成形品の成形は、射出圧力Pの上限値PLを下げることによりバリ等の成形不良の発生を抑える成形である、いわゆるふかし成形により行ってもよい。ふかし成形においても、仮想型内圧Vを求めて仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かに基づいてスクリュ20の移動制御を行うことにより、ふかし成形によってより確実にバリ等の成形不良の発生を抑制することができる。
図13は、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否の判定を行わずにふかし成形を行う場合の射出速度S、射出圧力P、仮想型内圧Vを示す説明図である。ふかし成形では、射出圧力Pの上限値PLを低く設定するため、充填工程では、比較的早い段階で射出圧力Pが上限値PLに達する。これにより、移動制御部120は、スクリュ20の移動制御を、射出圧力Pが上限値PLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいてスクリュ20の移動制御を行う。射出圧力Pが上限値PLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、射出圧力Pが上限値PLに達していない場合の射出速度Sよりも遅い速度になっているため、射出圧力Pが上限値PLに達した場合には、図13に示すように、射出速度Sを低下させる。
射出速度Sを低下させた場合には、金型75の内部への樹脂材料の充填量が低下するため、金型75内の樹脂材料の圧力の上昇が抑えられ、バリ等の成形不良の発生が抑えられる。しかし、射出圧力Pが上限値PLに達した場合における射出速度Sの低下が不十分である場合には、金型75内の樹脂材料の圧力の上昇を効果的に抑えられないことがある。この場合、ふかし成形を行っても、金型75内の樹脂材料の圧力が高くなることがあるため、バリ等の成形不良の発生を効果的に抑えられないことがある。
図14は、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否の判定を行いながらふかし成形を行う場合の射出速度S、射出圧力P、仮想型内圧Vを示す説明図である。ふかし成形を行う場合でも、仮想型内圧Vの上限値VLを設定し、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否の判定を行いながらふかし成形を行う場合には、仮想型内圧Vが上限値VLに達したら、図14に示すように、射出速度Sを低下させる。つまり、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sは、仮想型内圧Vが上限値VLに達していない場合の射出速度Sよりも遅い速度になっているため、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合には、射出速度Sを低下させる。
スクリュ20の移動制御を、仮想型内圧Vが上限値VLに達した場合の射出速度Sとして設定される射出速度Sに基づいて行うことにより、仮想型内圧Vが上限値VLを超えることを抑制でき、仮想型内圧Vを上限値VLの圧力で一定に維持することができる。これにより、金型75内の樹脂材料の圧力を、良品となる成形品を成形することのできる圧力で維持することができる。従って、成形不良の発生を抑えることを目的としてふかし成形を行う際に、より確実に成形品にバリ等の成形不良が発生することを抑制することができる。
また、仮想型内圧Vを求めて仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かに基づいてスクリュ20の移動制御を行うことにより、型締装置70での型締力を低くした成形方法である、いわゆる低圧成形においても、バリ等の成形不良の発生を抑えて適切な成形を行うことができる。つまり、低圧成形では、型締装置70での型締力を低くするため、金型75に樹脂材料を充填する際に、樹脂材料がキャビティ75aからはみ出てバリが発生し易くなる。これに対し、仮想型内圧Vが上限値VLに達したか否かに基づいてスクリュ20の移動制御を行う場合には、金型75内の樹脂材料の圧力を精度よく管理することができるため、バリの発生を抑えることができる。これにより、型締装置70での型締力を低くして成形を行った際における成形不良を抑制することができ、より適切に低圧成形を行うことができる。
1…射出成形機、5…フレーム、10…射出装置、11…加熱バレル、12…ノズル、13…ヒータ、15…ホッパ、20…スクリュ、21…フライト、22…溝部、23…溝壁、24…連通部、25…チェックリング、30…推進機構、31…駆動用電動機、40…回転機構、41…回転機構本体部、43…駆動用電動機、44…伝動ベルト、45…プーリ、46…軸受、50…前後進機構、51…駆動用電動機、52…エンコーダ、53…伝動ベルト、54…プーリ、56…ボールねじ機構、57…ねじ部、58…ナット部、60…ロードセル、70…型締装置、71…固定盤、72…移動盤、75…金型、75a…キャビティ、76…固定金型、77…移動金型、80…型締駆動機構、81…トグル機構、85…押出機構、86…押出部材、100…制御装置、110…処理部、111…圧力損失算出部、112…仮想型内圧算出部、113…射出圧力判定部、114…仮想型内圧判定部、120…移動制御部、121…位置制御コントローラ、122…速度制御コントローラ、123…電流制御コントローラ、124…圧力制御コントローラ、125…仮想型内圧コントローラ、140…記憶部、150…入出力部、160…入力部、170…表示部、180…アンプ

Claims (4)

  1. 内側にスクリュが配置される加熱バレルで樹脂材料を溶融し、溶融した前記樹脂材料を射出するノズルが位置する側に向けて前記スクリュを移動させることにより前記樹脂材料を前記ノズルから射出する射出装置と、
    前記ノズルから射出した前記樹脂材料が充填されるキャビティを有し、前記キャビティで前記樹脂材料の成形を行う金型と、
    前記樹脂材料を射出する際における前記スクリュの移動速度である射出速度を検出する射出速度検出部と、
    前記樹脂材料を射出する際に前記スクリュに作用する圧力である射出圧力を検出する射出圧力検出部と、
    前記スクリュの移動制御を行うことにより前記金型内における前記樹脂材料の圧力の制御を行う制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、
    前記樹脂材料を射出する際における前記射出速度ごとの圧力損失を示す圧力損失モデルと、前記射出速度検出部で検出した前記射出速度とに基づいて、前記樹脂材料を射出する際における前記射出装置での圧力損失を求める圧力損失算出部と、
    前記射出圧力検出部で検出した前記射出圧力から前記圧力損失算出部で求めた前記圧力損失を減算した圧力を、前記金型内における前記樹脂材料の圧力である仮想型内圧として求める仮想型内圧算出部と、
    前記樹脂材料を射出する際における前記スクリュの移動制御を行うと共に、前記仮想型内圧算出部で求めた前記仮想型内圧に基づいて前記移動制御を行う移動制御部と、
    を有することを特徴とする射出成形機。
  2. 前記制御装置は、
    前記射出圧力検出部で検出した前記射出圧力が、前記射出圧力に対して設定される上限値に達したか否かを判定する射出圧力判定部と、
    前記仮想型内圧算出部で求めた前記仮想型内圧が、前記仮想型内圧に対して設定される上限値に達したか否かを判定する仮想型内圧判定部と、
    を有し、
    前記移動制御部は、
    前記スクリュの移動方向における位置に対して設定される前記射出速度に基づいて前記スクリュの前記移動制御を行い、
    前記射出圧力が前記上限値に達したと前記射出圧力判定部で判定した場合、または前記仮想型内圧が前記上限値に達したと前記仮想型内圧判定部で判定した場合は、前記射出圧力または前記仮想型内圧に基づいて前記スクリュの前記移動制御を行う請求項1に記載の射出成形機。
  3. 前記移動制御部は、
    前記射出圧力が前記上限値に達したと前記射出圧力判定部で判定した場合は、前記射出圧力が前記上限値に達した場合の前記射出速度として設定される前記射出速度に基づいて前記スクリュの前記移動制御を行い、
    前記仮想型内圧が前記上限値に達したと前記仮想型内圧判定部で判定した場合は、前記仮想型内圧が前記上限値に達した場合の前記射出速度として設定される前記射出速度に基づいて前記スクリュの前記移動制御を行う請求項2に記載の射出成形機。
  4. 前記仮想型内圧の前記上限値は、前記射出圧力が前記上限値に達した場合における前記仮想型内圧よりも低い値で設定される請求項2または3に記載の射出成形機。
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