JP2025036256A - 燃料ポンプおよび燃料噴射システム - Google Patents
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Abstract
【課題】複数種類の燃料を加圧することを簡素な構造で実現可能な燃料ポンプおよび燃料噴射システムを提供すること。
【解決手段】燃料ポンプ10は、第1ピストン16、第1昇圧室11、第2ピストン21および第2昇圧室12aを備える。第1ピストン16は、カム13で押し動かされて往復動する。第1昇圧室11は、第1ピストン16によって加圧される第1の燃料を収容し、第1の燃料を吐出する第1吐出孔18を有する。第2ピストン21は、第1ピストン16によって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する。第2昇圧室12aは、第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、第2の燃料を吐出する第2吐出孔23を有する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料ポンプ10は、第1ピストン16、第1昇圧室11、第2ピストン21および第2昇圧室12aを備える。第1ピストン16は、カム13で押し動かされて往復動する。第1昇圧室11は、第1ピストン16によって加圧される第1の燃料を収容し、第1の燃料を吐出する第1吐出孔18を有する。第2ピストン21は、第1ピストン16によって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する。第2昇圧室12aは、第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、第2の燃料を吐出する第2吐出孔23を有する。
【選択図】図1
Description
この明細書における開示は、燃料ポンプおよび燃料噴射システムに関する。
特許文献1は、燃料噴射装置を開示している。この燃料噴射装置は、2種類の燃料を1つの噴射弁から噴射するように構成されている。
特許文献1に記載の燃料噴射装置では、2種類の燃料を別々の経路で噴射弁へ供給するために、2つの燃料ポンプを必要とする。ここで、2つの燃料ポンプを搭載するために、燃料噴射システム装置の構造が複雑化する可能性がある。
開示されるひとつの目的は、複数種類の燃料を加圧することを簡素な構造で実現可能な燃料ポンプおよび燃料噴射システムを提供することにある。
ここに開示された燃料ポンプは、
カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)と、
第1ピストンによって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)と、を備える。
カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)と、
第1ピストンによって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)と、を備える。
開示された燃料ポンプによれば、1つのピストンで燃料を加圧すると、その加圧された燃料によって異なる別の燃料も加圧される。この結果、1種類の燃料を加圧することで2種類の燃料を加圧できるので、簡素な構造の燃料ポンプを提供することができる。
ここに開示された燃料噴射システムは、
カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)を形成する第1本体部(31)と、
第1ピストンによって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)を形成する第2本体部(32)と、を備える燃料ポンプ(10)と、
第1昇圧室から吐出された第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室(4a)を形成する第1レール(4b)と、
第2昇圧室から吐出された第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室(4c)を形成する第2レール(4d)と、
第1蓄圧室から分配される第1の燃料および第2蓄圧室から分配される第2の燃料を噴射する噴射弁(8)と、を備える。
カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)を形成する第1本体部(31)と、
第1ピストンによって加圧された第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)を形成する第2本体部(32)と、を備える燃料ポンプ(10)と、
第1昇圧室から吐出された第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室(4a)を形成する第1レール(4b)と、
第2昇圧室から吐出された第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室(4c)を形成する第2レール(4d)と、
第1蓄圧室から分配される第1の燃料および第2蓄圧室から分配される第2の燃料を噴射する噴射弁(8)と、を備える。
開示された燃料噴射システムによれば、1つのポンプを用いて1つの燃料を加圧すると、その加圧された燃料によって異なる別の燃料も加圧される。この結果、1種類の燃料を加圧することで2種類の燃料を加圧し、噴射できるので、簡素な構造の燃料噴射システムを提供することができる。
この明細書における開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
以下、図面に基づいて複数の実施形態を説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
本開示の実施形態による燃料ポンプ10は、図1に示す燃料噴射システム1に用いられている。燃料噴射システム1は、車両のディーゼルエンジンの気筒内にアルコールおよび軽油の2種類の燃料を噴射するシステムである。図1に示すように、燃料噴射システム1は、第1燃料タンク2、第2燃料タンク3、燃料ポンプ10、コモンレール4、減圧弁7、圧力センサ6、噴射弁8と制御装置5を備えている。
本開示の実施形態による燃料ポンプ10は、図1に示す燃料噴射システム1に用いられている。燃料噴射システム1は、車両のディーゼルエンジンの気筒内にアルコールおよび軽油の2種類の燃料を噴射するシステムである。図1に示すように、燃料噴射システム1は、第1燃料タンク2、第2燃料タンク3、燃料ポンプ10、コモンレール4、減圧弁7、圧力センサ6、噴射弁8と制御装置5を備えている。
燃料ポンプ10は、コモンレール4に2種類の燃料を供給する。燃料ポンプ10から供給された各々の燃料は、コモンレール4で蓄圧された後に噴射弁8へ分配され、噴射弁8から図示しない各気筒の燃焼室へ直接噴射される。図1に示す燃料噴射システム1は、1つの気筒に1つの噴射弁8が設けられた気筒直噴エンジンを想定している。燃焼により得られた内燃機関の出力トルクの一部は、燃料ポンプ10の駆動に用いられる。
<第1燃料タンク2と第2燃料タンク3>
第1燃料タンク2は第1の燃料を収容する。本実施形態では第1の燃料は液体であり、例えばアルコールである。アルコールは、ディーゼルエンジンの主燃料である。第1燃料タンク2は第1フィードポンプ2aを備える。第1フィードポンプ2aは電動モータによって駆動される。第1フィードポンプ2aは、燃料通路A1を介して、第1の燃料を燃料ポンプ10へ供給する。なお、第1フィードポンプ2aは、第1燃料タンク2の外部に配置されていてもよい。例えば、燃料ポンプ10が第1フィードポンプ2aを内蔵していてもよい。
第1燃料タンク2は第1の燃料を収容する。本実施形態では第1の燃料は液体であり、例えばアルコールである。アルコールは、ディーゼルエンジンの主燃料である。第1燃料タンク2は第1フィードポンプ2aを備える。第1フィードポンプ2aは電動モータによって駆動される。第1フィードポンプ2aは、燃料通路A1を介して、第1の燃料を燃料ポンプ10へ供給する。なお、第1フィードポンプ2aは、第1燃料タンク2の外部に配置されていてもよい。例えば、燃料ポンプ10が第1フィードポンプ2aを内蔵していてもよい。
第2燃料タンク3は第2の燃料を収容する。本実施形態では第2の燃料は液体であり、例えば軽油である。軽油は、着火用の燃料として用いられる。第2燃料タンク3は第2フィードポンプ3aを備える。第2フィードポンプ3aは電動モータによって駆動される。第2フィードポンプ3aは、燃料通路B1を介して、第2の燃料を燃料ポンプ10へ供給する。なお、第2フィードポンプ3aは、第2燃料タンク3の外部に配置されていてもよい。例えば、燃料ポンプ10が第2フィードポンプ3aを内蔵していてもよい。
<コモンレール4>
コモンレール4は、燃料ポンプ10から圧送された第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室4aを形成する第1レール4bと、燃料ポンプ10から圧送された第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室4cを形成する第2レール4dとを備える。コモンレール4の材質は金属である。また、第1レール4bと第2レール4dは一体で成形される。コモンレール4は、蓄圧した第1の燃料と第2の燃料を噴射弁8に分配する。噴射弁8は、内燃機関に設けられた複数の気筒毎に一つずつ配置されている。噴射弁8は、各気筒内の燃焼室へ向けて、高圧燃料を噴孔から噴射する。第1レール4bと第2レール4dの各々の延伸方向は並行である。なお、第1レール4bと第2レール4dは別体でもよい。
コモンレール4は、燃料ポンプ10から圧送された第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室4aを形成する第1レール4bと、燃料ポンプ10から圧送された第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室4cを形成する第2レール4dとを備える。コモンレール4の材質は金属である。また、第1レール4bと第2レール4dは一体で成形される。コモンレール4は、蓄圧した第1の燃料と第2の燃料を噴射弁8に分配する。噴射弁8は、内燃機関に設けられた複数の気筒毎に一つずつ配置されている。噴射弁8は、各気筒内の燃焼室へ向けて、高圧燃料を噴孔から噴射する。第1レール4bと第2レール4dの各々の延伸方向は並行である。なお、第1レール4bと第2レール4dは別体でもよい。
<燃料ポンプ10>
図1に示す燃料ポンプ10は、車両に搭載されたものであり、2種類の燃料を加圧して吐出する高圧ポンプである。燃料ポンプ10は、吸入調量弁15、第1本体部31、第2本体部32、カム13、回転軸14、第1ピストン16、第2ピストン21、連通路26、第1吐出弁19、第2吐出弁25および吸入弁20等を備える。第1本体部31は、第1の燃料を収容する第1昇圧室11を形成する。第2本体部32は、第2の燃料、第2ピストン21および第1の燃料を収容する収容空間12を形成する。収容空間12は、第2ピストン21によって、第2の燃料を収容する第2昇圧室12aと、第1の燃料を収容する加圧室12bに仕切られる。第1本体部31と第2本体部32は一体に形成されている。第1本体部31と第2本体部32の材質は金属である。
図1に示す燃料ポンプ10は、車両に搭載されたものであり、2種類の燃料を加圧して吐出する高圧ポンプである。燃料ポンプ10は、吸入調量弁15、第1本体部31、第2本体部32、カム13、回転軸14、第1ピストン16、第2ピストン21、連通路26、第1吐出弁19、第2吐出弁25および吸入弁20等を備える。第1本体部31は、第1の燃料を収容する第1昇圧室11を形成する。第2本体部32は、第2の燃料、第2ピストン21および第1の燃料を収容する収容空間12を形成する。収容空間12は、第2ピストン21によって、第2の燃料を収容する第2昇圧室12aと、第1の燃料を収容する加圧室12bに仕切られる。第1本体部31と第2本体部32は一体に形成されている。第1本体部31と第2本体部32の材質は金属である。
吸入調量弁15は、燃料通路A1に設けられ、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通と遮断を切り替えるものである。吸入調量弁15は、吸入量を調節する電磁弁であって、制御装置5により開閉作動するよう構成されている。吸入調量弁15は、吸入期間には調量弁を開弁作動させて、燃料通路A1を介して、第1昇圧室11へ第1の燃料を吸入させる。一方、加圧期間には、所望のタイミングで閉弁作動させることで、実際に第1の燃料が圧縮を開始するタイミングを制御する。吸入調量弁15は、第1蓄圧室4a内の燃料圧力が目標圧となるように、第1蓄圧室4a内の燃料圧力の値と噴射弁8で消費される燃料量から必要となる燃料量を推定し、必要量が吸入されるように調整される。
ここで、吸入調量弁15は、流路を絞ることにより導入量を制御する方式でも良いし、多めに第1の燃料を吸入してから第1ピストン16上昇時に第1昇圧室11内の燃料量が適切量になるように吸入調量弁15上流に吐き戻す方式でも良い。
第1ピストン16は、第1本体部31内を往復移動することで、第1昇圧室11へ第1の燃料を吸入するとともに、吸入した第1の燃料を圧縮して加圧する。具体的には、第1ピストン16とカム13の間にはタペット33が配置されており、カム13がタペット33を介して第1ピストン16を押し動かすことで、第1ピストン16は、燃料を圧縮する向きに移動(つまりリフトアップ)する。ここで、タペット33には第1弾性部材17が接続されている。第1弾性部材17は、タペット33に対して、第1ピストン16の燃料を圧縮する方向とは反対方向に弾性力を与えるように配置されている。第1弾性部材17から付与される弾性力により、タペット33を介して、第1ピストン16は燃料を吸入する向きに移動(つまりリフトダウン)する。
回転軸14には、カム13および従動歯車(図示せず)が固定されており、カム13および従動歯車は回転軸14と一体となって回転する。従動歯車は、駆動歯車(図示せず)と係合して回転し、回転軸14を回転させる。つまり、駆動歯車の回転駆動力は、従動歯車および回転軸14を介してカム13へ伝達され、第1ピストン16をリフトアップさせる駆動力となる。
駆動歯車は、内燃機関の出力トルクを駆動源として回転する。したがって、内燃機関の運転期間中には駆動歯車は常時回転する。また、内燃機関の出力軸の回転速度の変動に応じて駆動歯車の回転速度も変動し、ひいてはカム13の回転速度も変動する。
第1昇圧室11には第1の燃料が吐出される孔である第1吐出孔18が設けられる。第1吐出孔18から吐出された第1の燃料は、燃料通路A2を介して、コモンレール4に設けられる第1蓄圧室4aへ流入する。ここで、燃料通路A2において、第1吐出孔18と第1蓄圧室4aの間に、逆止弁である第1吐出弁19が設けられる。
以下の説明では、下記のように記載する。燃料通路B1内の第2の燃料の圧力は、第2ポンプ圧力と記載される。第1昇圧室11内の第1の燃料の圧力は、第1昇圧圧力と記載される。第2昇圧室12a内の第2の燃料の圧力は、第2昇圧圧力と記載される。第1蓄圧室4a内の第1の燃料の圧力は、第1レール圧力と記載される。第2蓄圧室4c内の第2の燃料の圧力は、第2レール圧力と記載される。
第1吐出弁19は、第1昇圧圧力が所定の開弁圧以上である場合に開弁し、開弁圧未満であれば閉弁する逆止弁である。第1吐出弁19は、弾性部材が弁体に閉弁側へ弾性力を付与することで弁体を閉弁させる機械式バルブである。第1吐出弁19の弁体は、第1昇圧圧力と第1レール圧力との差圧が所定の開弁圧以上である場合に弾性力(セット荷重)に抗して開弁し、開弁圧未満であれば弾性力により閉弁する。第1昇圧室11における第1の燃料が圧縮されて、第1昇圧圧力と第1レール圧力との差圧が設定値を超えて高くなると、逆止弁が開弁し、圧縮された高圧燃料は第1蓄圧室4aへ供給される。つまり、第1昇圧圧力と第1レール圧力の差圧が第1吐出弁19の所定の開弁圧以上である場合に、第1吐出弁19は開弁し、第1の燃料は第1蓄圧室4aへ供給される。
吸入弁20は、燃料通路B1に設けられ、第2昇圧室12aと第2フィードポンプ3aとの連通と遮断を切り替えるものである。吸入弁20は、第2ポンプ圧力と第2昇圧圧力との差圧が所定の開弁圧以上である場合に開弁し、開弁圧未満であれば閉弁する逆止弁である。吸入弁20は、一例として、弾性部材が弁体に閉弁側へ弾性力を付与することで弁体を閉弁させる機械式バルブである。第2吐出弁25の弁体は、第2昇圧圧力と第2レール圧力との差圧が所定の開弁圧以上である場合に弾性力に抗して開弁し、開弁圧未満であれば弾性力により閉弁する。第2ポンプ圧力と第2昇圧圧力の差圧が吸入弁20の所定の開弁圧以上である場合に、吸入弁20は開弁し、第2の燃料が第2昇圧室12aへ吸入される。
第2昇圧室12aには第2弾性部材22、第2吐出孔23が設けられる。第2昇圧室12aに、第2フィードポンプ3aにより昇圧された第2の燃料が吸入される。第2昇圧室12aは第1昇圧室11よりも体積が小さい。第2本体部32により、加圧室12bの底面に底壁としてストッパ24が設けられる。
燃料ポンプ10には、第1昇圧室11内の第1の燃料を加圧室12bへ流入する連通路26が設けられる。加圧室12bに、連通路26を通じて第1昇圧室11から第1の燃料が流入する。
第2ピストン21は、連通路26から加圧室12bへ流入する第1の燃料によって押圧され、第2の燃料を圧縮する向きに移動(つまりリフトアップ)する。つまり、第1ピストン16がリフトアップすることで昇圧された第1の燃料により、第2ピストン21は収容空間12内を往復移動する。第2ピストン21は、収容空間12内を往復移動することで、第2昇圧室12aへ第2の燃料を吸入するとともに、吸入した第2の燃料を圧縮して加圧する。
第2ピストン21の往復移動方向は、第1ピストン16の往復移動方向と一致している。また、第2ピストン21の中心軸線と第1ピストン16の中心軸線とが重なるように、両ピストンは同軸上に配置されている。さらに、第2ピストン21の加圧面の面積は、第1ピストン16の加圧面の面積より小さく設定されている。
連通路26は、第1ピストン16と第2ピストン21の少なくとも一方と同軸上に配置されている。また、連通路26の通路断面積は、第2ピストン21の加圧面の面積より小さく設定されている。連通路26の通路断面積は、第1吐出孔18の開口面積より小さく設定されている。連通路26の通路断面積は、第2吐出孔23の開口面積より小さくてもよいし、大きくてもよい。また、連通路26の一端は、加圧室12bのうち第2ピストン21の端面と対向する部分に接続されている。連通路26の他端は、第1昇圧室11のうち第1ピストン16の端面と対向する部分に接続されている。連通路26は、一直線に延びる形状である。
第2弾性部材22は、第2ピストン21に対向する第2本体部32の内壁に設けられる。第2弾性部材22は第2昇圧室12aに配置される。第2弾性部材22は、第2ピストン21の燃料を圧縮する方向とは反対方向に、第2ピストン21に対して弾性力を与えるように配置される。第2弾性部材22から付与される弾性力により、第2ピストン21は燃料を吸入する向きに移動(つまりリフトダウン)する。第2ピストン21は、ストッパ24に当接するまでリフトダウンする。ストッパ24は、第2ピストン21を所定位置よりリフトダウンさせないために設けられる。
第2昇圧室12aには第2の燃料が吐出される孔である第2吐出孔23が設けられる。第2吐出孔23から吐出された第2の燃料は、燃料通路B2を介して、コモンレール4に設けられる第2蓄圧室4cへ流入する。ここで、燃料通路B2において、第2吐出孔23と第2蓄圧室4cの間に、逆止弁である第2吐出弁25が設けられる。
第2吐出弁25は、第2昇圧圧力が所定の開弁圧以上である場合に開弁し、開弁圧未満であれば閉弁する逆止弁である。第2吐出弁25は、弾性部材が弁体に閉弁側へ弾性力を付与することで弁体を閉弁させる機械式バルブである。第2吐出弁25の弁体は、第2昇圧圧力と第2レール圧力との差圧が所定の開弁圧以上である場合に弾性力(セット荷重)に抗して開弁し、開弁圧未満であれば弾性力により閉弁する。第2昇圧室12aにおける第2の燃料が圧縮されて、第2昇圧圧力と第2レール圧力との差圧が設定値を超えて高くなると、逆止弁が開弁し、圧縮された高圧燃料は第2蓄圧室4cへ供給される。つまり、第2昇圧圧力と第2レール圧力との差圧が第2吐出弁25の所定の開弁圧以上である場合に、第2吐出弁25は開弁し、第2の燃料が第2蓄圧室4cへ吸入される。本実施形態では、第1吐出弁19の開弁圧の値を、第2吐出弁25のものよりも大きな値となるように設定する。
<制御装置5>
制御装置5は、演算処理装置であるCPU5bと、記憶媒体であるメモリ5aを主体に構成されている。制御装置5は、吸入調量弁15、圧力センサ6、減圧弁7および各噴射弁8と電気的に接続されている。制御装置5は、圧力センサ6による検出値および目標圧に応じて、吸入調量弁15および減圧弁7の作動を制御する。
制御装置5は、演算処理装置であるCPU5bと、記憶媒体であるメモリ5aを主体に構成されている。制御装置5は、吸入調量弁15、圧力センサ6、減圧弁7および各噴射弁8と電気的に接続されている。制御装置5は、圧力センサ6による検出値および目標圧に応じて、吸入調量弁15および減圧弁7の作動を制御する。
<圧力センサ6>
圧力センサ6は、第1蓄圧室4aに蓄圧された燃料の圧力を検出する。圧力センサ6による検出信号は、制御装置5に取り込まれる。圧力センサ6が検出した値は、吸入調量弁15の制御に使用される。
圧力センサ6は、第1蓄圧室4aに蓄圧された燃料の圧力を検出する。圧力センサ6による検出信号は、制御装置5に取り込まれる。圧力センサ6が検出した値は、吸入調量弁15の制御に使用される。
<減圧弁7>
減圧弁7は、第1レール圧力を調整するように、第1レール4bに設けられる電磁弁である。減圧弁7が開弁すると、第1蓄圧室4a内の燃料を余剰燃料配管(図示せず)へ排出して第1レール圧力が所定値以上に上昇することを防ぐ。排出された燃料は、余剰燃料配管を介して第1燃料タンク2へ流入する。圧力センサ6で検出した圧力の値が所定以上であると制御装置5が判断した場合、制御装置5が減圧弁7を開弁させる。
減圧弁7は、第1レール圧力を調整するように、第1レール4bに設けられる電磁弁である。減圧弁7が開弁すると、第1蓄圧室4a内の燃料を余剰燃料配管(図示せず)へ排出して第1レール圧力が所定値以上に上昇することを防ぐ。排出された燃料は、余剰燃料配管を介して第1燃料タンク2へ流入する。圧力センサ6で検出した圧力の値が所定以上であると制御装置5が判断した場合、制御装置5が減圧弁7を開弁させる。
第1レール4bの方が、第2レール4dよりも体積が大きく、その大きい方である第1レール4bに減圧弁7が接続される。同様に、圧力センサ6も大きい方である第1レール4bに接続される。
<噴射弁8>
噴射弁8は、複数の気筒毎に一つずつ配置される。各噴射弁8は、各気筒内の燃焼室へ向けて、第1の燃料と第2の燃料を噴射する。噴射弁8から気筒内に噴射する噴射口は1つであり、噴射弁8の先端に設けられる。第1の燃料と第2の燃料は、噴射口の近傍で混合され、その混合された状態で噴射口から噴射される。
噴射弁8は、複数の気筒毎に一つずつ配置される。各噴射弁8は、各気筒内の燃焼室へ向けて、第1の燃料と第2の燃料を噴射する。噴射弁8から気筒内に噴射する噴射口は1つであり、噴射弁8の先端に設けられる。第1の燃料と第2の燃料は、噴射口の近傍で混合され、その混合された状態で噴射口から噴射される。
<第1実施形態の動作>
以下、本実施形態の第1ピストン16が上死点から下死点まで下がり、再び上死点へ上るまでの作動について、図2のタイムチャートを用いて詳細に説明する。
以下、本実施形態の第1ピストン16が上死点から下死点まで下がり、再び上死点へ上るまでの作動について、図2のタイムチャートを用いて詳細に説明する。
図2の各グラフの横軸は、経過時間を表している。(a)のグラフは、縦軸はカム13のリフト量を示す。(b)~(e)のグラフは、第1昇圧圧力、第1レール圧力、第2昇圧圧力、第2レール圧力の値を示しており、縦軸が圧力の値を示す。(f)~(i)のグラフは、吸入調量弁15、第1吐出弁19、吸入弁20、第2吐出弁25の開閉状態を示す。図2の各グラフの実線は通常動作の場合を、破線は減圧弁7が動作する場合を示す。
<通常動作の場合>
まず、通常動作の場合について説明する。時刻t1は第1ピストン16が上死点に到達した時点である。時刻t1以降、第1ピストン16は第1弾性部材17によりリフトダウンする。これに伴い、第1昇圧圧力は低下する。第1昇圧圧力が低下するため、連通路26から加圧室12bへ流入する第1の燃料が減少し、第2ピストン21は第2弾性部材22によりリフトダウンする。第2ピストン21は、ストッパ24に当接するまでリフトダウンする。これにより、第2昇圧圧力も低下する。
まず、通常動作の場合について説明する。時刻t1は第1ピストン16が上死点に到達した時点である。時刻t1以降、第1ピストン16は第1弾性部材17によりリフトダウンする。これに伴い、第1昇圧圧力は低下する。第1昇圧圧力が低下するため、連通路26から加圧室12bへ流入する第1の燃料が減少し、第2ピストン21は第2弾性部材22によりリフトダウンする。第2ピストン21は、ストッパ24に当接するまでリフトダウンする。これにより、第2昇圧圧力も低下する。
第1昇圧圧力が低下すると、第1吐出弁19が閉弁する。これに伴い、第1レール圧力は変化せず、一定に保たれる。同様に、第2昇圧圧力が低下すると、第2吐出弁25が閉弁する。これに伴い、第2レール圧力は変化せず、一定に保たれる。
第1ピストン16がリフトダウンしている間に、吸入調量弁15が開弁する(時刻t2)。これにより、第1燃料タンク2から第1フィードポンプ2aにより昇圧された第1の燃料が、第1昇圧室11に吸入される。吸入調量弁15は、第1レール圧力が目標圧となるように、燃料が必要な量だけ吸入されるように、電磁弁により調整される。必要な量は、圧力センサ6の値と噴射弁8で消費される第1の燃料量に基づいて、制御装置5が推定する。
第2昇圧圧力が低下し、第2フィードポンプ3aにより昇圧された第2の燃料の圧力が、吸入弁20の開弁圧と第2昇圧圧力の合計値を上回ると、吸入弁20が開弁する(時刻t2)。これにより、第2昇圧室12aに第2の燃料が吸入され、第2昇圧圧力が上昇する。第2昇圧圧力が上昇し、第2フィードポンプ3aにより昇圧された第2の燃料の圧力から吸入弁20の開弁圧を差し引いた値を上回ると、吸入弁20は閉弁する。これにより、第2昇圧室12aへの第2の燃料の吸入は停止する。
インジェクタにより第1の燃料と第2の燃料が噴射されると、第1レール圧力と第2レール圧力は低下する(時刻t3)。
カム13が回転し、カム13の作動点が最下点を過ぎると第1ピストン16がリフトアップする。第1ピストン16がリフトアップし、余分な第1の燃料量が吸入調量弁15から逆流して排出され、必要な燃料量が第1昇圧室11に残ったと判断されたタイミングで吸入調量弁15が閉弁し、第1昇圧圧力が上昇する(時刻t4)。第1昇圧圧力が上昇するため、連通路26から流入する第1の燃料が増加し、第2ピストン21もリフトアップする。これにより、第2昇圧圧力も上昇する。
以下の式は、第1の燃料と第2の燃料が、それぞれ第1吐出弁19、第2吐出弁25から吐出している状態での式である。
Pa=Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbp・・・(1)
ここで、Paは第1昇圧圧力、Parは第1レール圧力、Fkavは第1吐出弁19のセット荷重、Savは第1吐出弁19の受圧面積、Pbrは第2レール圧力、Fkbvは第2吐出弁25のセット荷重、Fkbpは第2ピストン21のセット荷重、Frbpは第2ピストン21の摺動抵抗、Sbvは第2吐出弁25の受圧面積、Sbpは第2ピストン21の断面積を表す。
Pa=Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbp・・・(1)
ここで、Paは第1昇圧圧力、Parは第1レール圧力、Fkavは第1吐出弁19のセット荷重、Savは第1吐出弁19の受圧面積、Pbrは第2レール圧力、Fkbvは第2吐出弁25のセット荷重、Fkbpは第2ピストン21のセット荷重、Frbpは第2ピストン21の摺動抵抗、Sbvは第2吐出弁25の受圧面積、Sbpは第2ピストン21の断面積を表す。
第1昇圧圧力Paが、Par+Fkav/Sav(第1吐出弁19の開弁圧)を超えると、第1吐出弁19が開弁する(時刻t5)。これにより、第1の燃料が第1蓄圧室4aに向けて吐出され、Parが上昇を始める。
一方、第1昇圧圧力PaがPbr+Fkbv/Sbv(第2吐出弁25の開弁圧)+Fkbp/Sbp(第2ピストン21の作動差圧)+Frbp(第2ピストン21の摺動抵抗)を超えると、第2吐出弁25が開弁する(時刻t5)。これにより、第2の燃料が第2蓄圧室4cに向けて吐出され、Pbrが上昇を始める。
カム13が回転し、カム13の作動点が最上点を過ぎると、第1ピストン16がリフトダウンし、時刻t1の状態となる。
このように、本実施形態では、第1昇圧室内の昇圧された第1の燃料が第2昇圧室内の第2の燃料を昇圧するため、第1昇圧圧力の昇圧に連動して第2昇圧圧力も昇圧する。さらに、第1昇圧圧力の昇圧に連動して第2昇圧圧力も昇圧するため、第1レール圧力の昇圧に連動して第2レール圧力も昇圧する。
<減圧弁7が動作する場合>
続いて、減圧弁7が動作する場合について説明する。前述した通常動作と同じ点については記載を省略する。ここで、第1レール圧力が所定値を超えたと制御装置5が判断した場合に減圧弁7を開弁するが、その所定値を図2において減圧弁作動圧として記載している。また、図2における減圧弁作動期間とは、減圧弁7が開弁している期間を示す。
続いて、減圧弁7が動作する場合について説明する。前述した通常動作と同じ点については記載を省略する。ここで、第1レール圧力が所定値を超えたと制御装置5が判断した場合に減圧弁7を開弁するが、その所定値を図2において減圧弁作動圧として記載している。また、図2における減圧弁作動期間とは、減圧弁7が開弁している期間を示す。
本例では、グラフ(f)の時刻t2以降の破線のように、吸入調量弁15の閉弁タイミングが通常時よりも早くなってしまった場合を説明する。この場合、通常動作の場合よりも吸入調量弁15の閉弁タイミングが早いため、第1昇圧圧力が通常動作の場合よりも早く昇圧開始されてしまう(時刻t4a)。第1昇圧圧力の昇圧に伴って、第2昇圧圧力、第1レール圧力、第2レール圧力も昇圧する。
第1レール圧力が減圧弁作動圧を超えたとき、減圧弁7が作動し、第1レール圧力が所定値以上昇圧しなくなる(時刻t6)。第1レール圧力の昇圧が停止すると、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、式(1)の関係より、第1昇圧圧力、第2レール圧力も所定値以上昇圧しなくなる。
このように、本実施形態では、第1蓄圧室4aに減圧弁7が1つ設けられることで、第1レール圧力のみならず、第2レール圧力の過昇圧も抑制することができる。
<第1実施形態のまとめ>
本実施形態の燃料ポンプ10によれば、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力とは、Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbpの関係となる。ここで、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)、第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)については設計時にメカニカルに調整が可能である。したがって、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差を、メカニカルに容易に調整することが可能となる。
本実施形態の燃料ポンプ10によれば、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力とは、Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbpの関係となる。ここで、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)、第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)については設計時にメカニカルに調整が可能である。したがって、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差を、メカニカルに容易に調整することが可能となる。
一例として本実施形態では、第1吐出弁19の開弁圧は第2吐出弁25の開弁圧よりも大きく設定されている。第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差は、Par-Pbr=Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbp-Fkav/Savの関係となる。つまり、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)を第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)よりも大きくすることで、第1レール圧力と第2レール圧力を同等の圧力にすることを容易に実現できる。
一例として本実施形態では、第1レール4bに燃料を減圧する減圧弁7が設けられる。これにより、第1レール圧力を減圧弁7により減圧でき、過剰に昇圧されることを抑制できる。ここで、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Fkbp/Sbp+Frbpの関係より、一方の蓄圧室における燃料の圧力を減圧して過昇圧を抑制すると、他方の蓄圧室における燃料の圧力の過昇圧も抑制できる。そのため、他方のレールについては減圧弁7を設けなくても過昇圧を抑制でき、両方のレールに減圧弁7を設ける場合に比べて部品点数を低減できる。
一例として本実施形態では、第1レール4bに燃料を減圧する減圧弁7が設けられる。第2レール圧力は、第2ピストン21の摺動不良により過昇圧しない場合が考えられる。そのため、第2レール4dに減圧弁7を設けて第1レール4bを減圧弁7レスにすると、第1レール圧力の過昇圧を防止できなくなる懸念が生じる。一方、第1蓄圧室4aにおける第1の燃料ではそのような場合は生じない。そこで、第1レール4bに減圧弁7を設けることで、第1レール圧力の過昇圧を確実に防止することができる。
<変形例>
本実施形態では、圧力センサ6は第1レール圧力を検出するが、第2レール圧力を検出するようにしてもよい。また、圧力センサ6は、第1レール圧力と第2レール圧力の両方を検出するように、各々に設けられてもよい。
本実施形態では、圧力センサ6は第1レール圧力を検出するが、第2レール圧力を検出するようにしてもよい。また、圧力センサ6は、第1レール圧力と第2レール圧力の両方を検出するように、各々に設けられてもよい。
減圧弁7はメカニカルに所定圧で開弁する弁であってもよい。この場合、第1レール圧力の値が所定以上となった場合、減圧弁7が開弁し、第1レール圧力が所定値以上に昇圧することを防ぐことができる。
本実施形態では、第1吐出弁19の開弁圧の値を第2吐出弁25のものよりも大きな値となるように設定したが、第1吐出弁19の開弁圧の値を第2吐出弁25のものよりも小さな値に設定してもよいし、等しい値に設定してもよい。
本実施形態では、減圧弁7は第1レール4bに設けられるが、第2蓄圧室4cの圧力を調整するように、第2レール4dに設けてもよい。また、減圧弁7は、第1レール4bと第2レール4dの各々に、両方に設けられてもよい。
本実施形態では、吸入調量弁15は、所望のタイミングで閉弁作動させ、第1の燃料が圧縮を開始するタイミングを制御することで、第1ピストン16で加圧される第1の燃料の量を調整するようにしたが、これに限らない。吸入調量弁15は、弁の開口面積を調整することで、第1ピストン16で加圧される第1の燃料の量を調整してもよい。
本実施形態では、第2ピストン21の往復移動方向は、第1ピストン16の往復移動方向と一致しているが、一致しなくともよい。また、本実施形態では、第2ピストン21の中心軸線と第1ピストン16の中心軸線とが重なるように、両ピストンは同軸上に配置したが、同軸上に設けなくともよい。
図3は、燃料ポンプ10において、第1ピストン16と第2ピストン21が、第1ピストン16の往復移動方向と第2ピストン21の往復移動方向とが異なるように配置される変形例である。図3の変形例では、第2ピストン21の中心軸線と第1ピストン16の中心軸線とは垂直となる。さらに、連通路26は、第2ピストン21と同軸上に配置される。
図3の変形例では、第1ピストン16の往復移動方向と第2ピストン21の往復移動方向とは垂直である。そのため、本変形例に反して第2ピストン21の往復移動方向が第1ピストン16の往復移動方向と一致している場合よりも、第1ピストン16の往復移動方向に燃料ポンプ10を小型化することが可能となる。
(第2実施形態)
本開示の実施形態による燃料ポンプ10は、図4に示す燃料噴射システム1に用いられている。燃料噴射システム1は、車両のディーゼルエンジンの気筒内にバイオ燃料および軽油の2種類の燃料を噴射するシステムである。以下、本実施形態に係る燃料噴射システム1について、上記第1実施形態との違いを中心に説明する。
本開示の実施形態による燃料ポンプ10は、図4に示す燃料噴射システム1に用いられている。燃料噴射システム1は、車両のディーゼルエンジンの気筒内にバイオ燃料および軽油の2種類の燃料を噴射するシステムである。以下、本実施形態に係る燃料噴射システム1について、上記第1実施形態との違いを中心に説明する。
<第1燃料タンク2と第2燃料タンク3>
第2燃料タンク3に収容される第2の燃料が、先述したバイオ燃料であり、ディーゼルエンジンの主燃料である。バイオ燃料の具体例としては、アルコール等のバイオエタノールが挙げられる。第1燃料タンク2に収容される第1の燃料が、先述した軽油であり、着火用燃料である。エンジンの燃焼室へ供給されるバイオ燃料に軽油を混合させることで、混合気の自着火を可能にさせている。要するに、上記第1実施形態では、第1の燃料をアルコール、第2の燃料を軽油としているのに対し、本実施形態では、第1の燃料を軽油、第2の燃料をアルコールとしている。
第2燃料タンク3に収容される第2の燃料が、先述したバイオ燃料であり、ディーゼルエンジンの主燃料である。バイオ燃料の具体例としては、アルコール等のバイオエタノールが挙げられる。第1燃料タンク2に収容される第1の燃料が、先述した軽油であり、着火用燃料である。エンジンの燃焼室へ供給されるバイオ燃料に軽油を混合させることで、混合気の自着火を可能にさせている。要するに、上記第1実施形態では、第1の燃料をアルコール、第2の燃料を軽油としているのに対し、本実施形態では、第1の燃料を軽油、第2の燃料をアルコールとしている。
<コモンレール4>
上記第1実施形態では、第1蓄圧室4aで蓄圧させる第1の燃料をアルコール、第2蓄圧室4cで蓄圧させる第2の燃料を軽油としている。そのため、第1蓄圧室4aの方が、第2蓄圧室4cよりも大きい体積に設定されている。これに対し本実施形態では、第1蓄圧室4aで蓄圧させる第1の燃料を軽油、第2蓄圧室4cで蓄圧させる第2の燃料をアルコールとしている。そのため、第1蓄圧室4aの方が、第2蓄圧室4cよりも小さい体積に設定されている。
上記第1実施形態では、第1蓄圧室4aで蓄圧させる第1の燃料をアルコール、第2蓄圧室4cで蓄圧させる第2の燃料を軽油としている。そのため、第1蓄圧室4aの方が、第2蓄圧室4cよりも大きい体積に設定されている。これに対し本実施形態では、第1蓄圧室4aで蓄圧させる第1の燃料を軽油、第2蓄圧室4cで蓄圧させる第2の燃料をアルコールとしている。そのため、第1蓄圧室4aの方が、第2蓄圧室4cよりも小さい体積に設定されている。
<燃料ポンプ10>
上記第1実施形態では、吸入調量弁15は、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通と遮断を切り替える電磁弁である。そして、その切り替えるタイミングを調整することで、第1昇圧室11への第1燃料の吸入量が調節される。これに対し本実施形態では、吸入調量弁15は、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通開度を無段階で連続的に調整可能な電磁弁である。そして、その連通開度を調整することで、第1昇圧室11への第1燃料の吸入量が調節される。
上記第1実施形態では、吸入調量弁15は、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通と遮断を切り替える電磁弁である。そして、その切り替えるタイミングを調整することで、第1昇圧室11への第1燃料の吸入量が調節される。これに対し本実施形態では、吸入調量弁15は、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通開度を無段階で連続的に調整可能な電磁弁である。そして、その連通開度を調整することで、第1昇圧室11への第1燃料の吸入量が調節される。
吸入調量弁15の連通開度は、制御装置5によって制御される。なお、制御装置5は、第1ピストン16が1往復する間に連通開度を変更させることはせず、連通開度を固定させる。そして、次回以降に第1ピストン16が往復動する際の連通開度を、目標圧力と実圧力との差に応じて変更させる。
本実施形態に係る燃料ポンプ10は、吸入弁20(第2吸入弁)とは別の吸入弁20x(第1吸入弁)を追加して備えている。吸入弁20xは、燃料通路A1のうち吸入調量弁15と第1昇圧室11との間の部分に設けられている。
吸入弁20xは、第1昇圧室11と第1フィードポンプ2aとの連通と遮断を切り替えるものである。吸入弁20xは、吸入調量弁15の下流側圧力と第1昇圧圧力との差圧が所定の開弁圧以上である場合に開弁し、開弁圧未満であれば閉弁する逆止弁である。吸入弁20xは、一例として、弾性部材が弁体に閉弁側へ弾性力を付与することで弁体を閉弁させる機械式バルブである。吸入弁20xの機能は、第1昇圧室11の燃料が第1フィードポンプ2aの側へ逆流することを防止することである。
上記第1実施形態に係る第2弾性部材22は、本実施形態では廃止されている。第2ピストン21は、第2昇圧室12aのアルコールの圧力と、加圧室12bの軽油の圧力との圧力差によって作動する。
具体的には、第1ピストン16がリフトダウンして第1昇圧室11の圧力が低下すると、吸入弁20が閉弁した状態であれば加圧室12bの圧力も低下して、第2ピストン21はリフトダウンする。その結果、第2昇圧室12aの圧力が低下して、吸入弁20は開弁することになる。その後、第2ピストン21がリフトダウンを続けてストッパ24に当接すると、第2昇圧室12aへの燃料流入に伴い第2昇圧室12aの圧力が上昇する。その結果、吸入弁20は閉弁することになる。
第1ピストン16がリフトアップして第1昇圧室11の圧力が上昇すると、吸入弁20が閉弁した状態であれば加圧室12bの圧力も上昇して、第2ピストン21はリフトアップする。その結果、第2昇圧室12aの圧力が上昇して、第2吐出弁25は開弁することになる。つまり、燃料ポンプ10で加圧されたアルコールが第2蓄圧室4cへ圧送される。
<リーク部7x>
図4に示すように、本実施形態に係る燃料ポンプ10では、第1実施形態に係る減圧弁7が廃止され、リーク部7xが新たに備えられている。減圧弁7が第1レール4bに設けられていたのに対し、リーク部7xは第2レール4dに設けられている。減圧弁7が電磁弁であり制御装置5によって駆動制御されるのに対し、リーク部7xは、第2蓄圧室4c内の燃料を常時リークさせる絞り弁であり、制御装置5によって駆動制御されるものではない。リーク部7xからリークされた燃料は、第2燃料タンク3へ戻される。
図4に示すように、本実施形態に係る燃料ポンプ10では、第1実施形態に係る減圧弁7が廃止され、リーク部7xが新たに備えられている。減圧弁7が第1レール4bに設けられていたのに対し、リーク部7xは第2レール4dに設けられている。減圧弁7が電磁弁であり制御装置5によって駆動制御されるのに対し、リーク部7xは、第2蓄圧室4c内の燃料を常時リークさせる絞り弁であり、制御装置5によって駆動制御されるものではない。リーク部7xからリークされた燃料は、第2燃料タンク3へ戻される。
リーク部7xは、微小量の燃料をリークするように設定されている。よって、エンジンおよび燃料ポンプ10の通常運転時には、リークによる第2蓄圧室4cの圧力低下は無視できる程度である。一方、エンジンおよび燃料ポンプ10の停止時には、微小量のリークによって時間をかけて第2蓄圧室4cの圧力が低下していく。
<燃料ポンプの動作>
以下、本実施形態の第1ピストン16が上死点から下死点まで下がり、再び上死点へ上るまでの作動について、図5のタイムチャートを用いて詳細に説明する。
以下、本実施形態の第1ピストン16が上死点から下死点まで下がり、再び上死点へ上るまでの作動について、図5のタイムチャートを用いて詳細に説明する。
図5の各グラフの横軸は、経過時間を表している。(a)のグラフは、カム13のリフト量を示す。(b)のグラフは、第2ピストン21のリフト量を示す。(c)のグラフは、第1昇圧圧力および第2昇圧圧力を示す。(d)のグラフは、第1レール圧力および第2レール圧力を示す。(e)~(h)のグラフは、吸入調量弁15、第1吸入弁(吸入弁20x)、第2吸入弁(吸入弁20)、第1吐出弁19および第2吐出弁25の開閉状態を示す。
第1ピストン16が上死点に到達した時刻t1以降、第1ピストン16は第1弾性部材17によりリフトダウンする。これに伴い、第1昇圧圧力は低下する。第1昇圧圧力が低下するため、連通路26から加圧室12bへ流入する第1の燃料が逆流し、第2ピストン21はリフトダウンする。第2ピストン21は、ストッパ24に当接するまでリフトダウンして、第2昇圧圧力も低下する。
第1昇圧圧力が低下すると第1吐出弁19が閉弁する。これに伴い、第1レール圧力は変化せず一定に保たれる。同様に、第2昇圧圧力が低下すると第2吐出弁25が閉弁する。これに伴い、第2レール圧力は変化せず一定に保たれる。
第1ピストン16がリフトダウンしている間に、第1燃料タンク2から第1フィードポンプ2aにより昇圧された第1の燃料が、吸入調量弁15を通じて第1昇圧室11に吸入される。吸入調量弁15は、第1レール圧力が目標圧となるように、燃料が必要な量だけ吸入されるように、電磁弁により調整される。必要な量は、圧力センサ6の値と噴射弁8で消費される燃料量に基づいて、制御装置5が推定する。なお、制御装置5は、第1ピストン16が1往復する間に電磁弁の開度を変更させることはせず、開度を固定させる。
第2昇圧圧力が低下し、第2フィードポンプ3aにより昇圧された第2の燃料の圧力が、吸入弁20の開弁圧と第2昇圧圧力の合計値を上回ると、吸入弁20が開弁する(時刻t2)。これにより、第2昇圧室12aに第2の燃料が吸入され、第2昇圧圧力が上昇する。第2昇圧圧力が上昇し、第2フィードポンプ3aにより昇圧された第2の燃料の圧力から吸入弁20の開弁圧を差し引いた値を上回ると、吸入弁20は閉弁する。これにより、第2昇圧室12aへの第2の燃料の吸入は停止する。
噴射弁8により第1の燃料と第2の燃料が噴射されると、第1レール圧力と第2レール圧力は低下する(時刻t3)。
カム13が回転し、カム13の作動点が最下点を過ぎると第1ピストン16がリフトアップする。第1ピストン16がリフトアップし、第1昇圧室11内の負圧によって発生した気泡が潰されると、第1昇圧圧力が上昇する(時刻t4)。第1昇圧圧力が上昇するため、連通路26から流入する第1の燃料が増加し、第2ピストン21もリフトアップする。これにより、第2昇圧圧力も上昇する。
以下の式は、第1の燃料と第2の燃料が、それぞれ第1吐出弁19、第2吐出弁25から吐出している状態での式である。
Pa=Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Frbp・・・(1)
ここで、Paは第1昇圧圧力、Parは第1レール圧力、Fkavは第1吐出弁19のセット荷重、Savは第1吐出弁19の受圧面積、Pbrは第2レール圧力、Fkbvは第2吐出弁25のセット荷重、Frbpは第2ピストン21の摺動抵抗、Sbvは第2吐出弁25の受圧面積を表す。
Pa=Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Frbp・・・(1)
ここで、Paは第1昇圧圧力、Parは第1レール圧力、Fkavは第1吐出弁19のセット荷重、Savは第1吐出弁19の受圧面積、Pbrは第2レール圧力、Fkbvは第2吐出弁25のセット荷重、Frbpは第2ピストン21の摺動抵抗、Sbvは第2吐出弁25の受圧面積を表す。
第1昇圧圧力Paが、Par+Fkav/Sav(第1吐出弁19の開弁圧)を超えると、第1吐出弁19が開弁する(時刻t5)。これにより、第1の燃料が第1蓄圧室4aに向けて吐出され、Parが上昇を始める。
一方、第1昇圧圧力PaがPbr+Fkbv/Sbv(第2吐出弁25の開弁圧)+Frbp(第2ピストン21の摺動抵抗)を超えると、第2吐出弁25が開弁する(時刻t5)。これにより、第2の燃料が第2蓄圧室4cに向けて吐出され、Pbrが上昇を始める。
なお、第2吐出弁25の開弁圧を第1吐出弁19の開弁圧より大きくしている場合、時刻t3から時刻t5に期間において、第1レール圧力は第2レール圧力より大きくなる。しかし、この圧力差は無視できるほどに微小なため、図5中の(d)のグラフでは表現されていない。
カム13が回転し、カム13の作動点が最上点を過ぎると、第1ピストン16がリフトダウンし、時刻t1の状態となる。
このように、本実施形態では、第1昇圧室内の昇圧された第1の燃料が第2昇圧室内の第2の燃料を昇圧するため、第1昇圧圧力の昇圧に連動して第2昇圧圧力も昇圧する。さらに、第1昇圧圧力の昇圧に連動して第2昇圧圧力も昇圧するため、第1レール圧力の昇圧に連動して第2レール圧力も昇圧する。
<噴射弁8>
図6に示すように、噴射弁8は、ボデー81、弁体82および摺動シール83を備える。さらに噴射弁8は、図4に示す電磁弁84等を備える。噴射弁8は、エンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、第1の燃料(軽油)および第2の燃料(アルコール)を燃焼室へ噴射する。噴射弁8は、2種類の燃料を混合した状態で燃焼室へ噴射する。
図6に示すように、噴射弁8は、ボデー81、弁体82および摺動シール83を備える。さらに噴射弁8は、図4に示す電磁弁84等を備える。噴射弁8は、エンジンのシリンダヘッドに取り付けられ、第1の燃料(軽油)および第2の燃料(アルコール)を燃焼室へ噴射する。噴射弁8は、2種類の燃料を混合した状態で燃焼室へ噴射する。
ボデー81は、内部に燃料通路を形成するとともに、内部に弁体82を収容する。ボデー81は、中心軸線C1を中心とした概略円筒の形状である。弁体82は、中心軸線C1に沿う方向に移動可能な状態でボデー81内部に収容されている。弁体82のリフトアップ移動が噴射弁8の開弁作動に相当し、リフトダウンが閉弁作動に相当する。摺動シール83は、ボデー81に組付けられたリング形状である。摺動シール83は、弁体82とボデー81の間に配置されており、移動する弁体82に対してボデー81との間をシールする。
ボデー81内部に形成される燃料通路には、軽油通路R11、アルコール通路R21、アルコール環状通路R22および混合通路R30が含まれる。弁体82の内部にも燃料通路が形成されており、その燃料通路には、連通路R12、メイン通路R13および絞りR14が含まれる。なお、アルコール環状通路R22および混合通路R30は、ボデー81の内周面と弁体82の外周面との間で形成される。
第2蓄圧室4cから噴射弁8の供給口R20(図8参照)へ供給されたアルコールは、アルコール通路R21、アルコール環状通路R22および混合通路R30を順に流れて、噴孔R31から噴射される。第1蓄圧室4aから噴射弁8の供給口R10へ供給された軽油は、軽油通路R11、連通路R12、メイン通路R13、絞りR14および混合通路R30を順に流れて、噴孔R31から噴射される。つまり、アルコールおよび軽油は、混合通路R30で混合され、混合された状態で噴孔R31から噴射される。なお、摺動シール83は、アルコール環状通路R22と軽油通路R11との間を仕切る。
弁体82の先端にはシート面82aが形成され、ボデー81のうちシート面82aに対向する部分には弁座81aが形成されている。図7に示すように、弁体82がリフトダウンしてシート面82aが弁座81aに着座すると、混合通路R30は閉鎖されて燃料の噴射が停止される。一方、図6に示すように弁体82がリフトアップしてシート面82aが弁座81aから離座すると、混合通路R30は開放されて燃料が噴射される。
図8に示すように、コモンレール4には、第1蓄圧室4aに連通する凹部41と、第2蓄圧室4cに連通する凹部42が形成されている。噴射弁8のボデー81のうち軽油の供給口R10が形成される部分は、凹部41へ挿入される。ボデー81のうちアルコールの供給口R20が形成される部分は、凹部42へ挿入される。凹部41および凹部42の各々にはOリング43が配置されている。Oリング43は、ボデー81とコモンレール4との間をシールする。
さらにボデー81は、図示しない制御室を内部に形成する。制御室には、軽油通路R11から分岐した通路を通じて軽油が流入する。制御室内の軽油の圧力は制御圧と呼ばれる。制御圧は、弁体82を閉弁させる向きに弁体82へ付与される。このように閉弁側へ作用する制御圧を生じさせる軽油は、閉弁作動流体に相当する。
一方、アルコール通路R21から分岐したアルコールの一部は、弁体82を開弁させる向きに弁体82へ付与される。このように開弁側へ作用する圧力(開弁圧)を生じさせるアルコールは、開弁作動流体に相当する。
閉弁作動流体と開弁作動流体との差圧が所定値以上の場合に、制御圧によって弁体82は閉弁作動する。制御圧が低下して上記差圧が所定値未満になった場合に、開弁圧によって弁体82は開弁作動する。
図4に示す電磁弁84は、制御室の軽油の流入または流出を制御することで、制御圧を制御する。例えば、制御室から軽油を流出させる通路を電磁弁84が開閉する。制御装置5が電磁弁84を開弁駆動させると、制御室から軽油が流出して制御圧は低下する。これにより、弁体82は開弁作動する。制御装置5が電磁弁84を閉弁駆動させると、制御室からの軽油の流出は停止される一方で、軽油通路R11から制御室への軽油の流入によって制御圧は上昇する。これにより、弁体82は閉弁作動する。
<第2実施形態のまとめ>
本実施形態の燃料ポンプ10によれば、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力とは、Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Frbpの関係となる。ここで、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)、第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)については設計時にメカニカルに調整が可能である。したがって、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差を、メカニカルに容易に調整することが可能となる。
本実施形態の燃料ポンプ10によれば、第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力とは、Par+Fkav/Sav=Pbr+Fkbv/Sbv+Frbpの関係となる。ここで、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)、第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)については設計時にメカニカルに調整が可能である。したがって、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差を、メカニカルに容易に調整することが可能となる。
一例として本実施形態では、第2吐出弁25の開弁圧は第1吐出弁19の開弁圧よりも大きく設定されている。第1の燃料および第2の燃料の吐出中において、第1レール圧力と第2レール圧力との圧力差は、Par-Pbr=Fkbv/Sbv+Frbp-Fkav/Savの関係となる。つまり、第1吐出弁19の開弁圧(Fkav/Sav)を第2吐出弁25の開弁圧(Fkbv/Sbv)よりも小さくすることで、第1レール圧力を第2レール圧力より大きい圧力にすることを容易に実現できる。
さらに本実施形態では、閉弁作動流体と開弁作動流体との差圧が所定値以上の場合に閉弁作動し、上記差圧が所定値未満の場合に開弁作動するように構成されている。ここで、本実施形態に反した以下の比較構造について説明する。比較構造では、電磁アクチュエータの力を弁体82へ直接作用させて、弁体82を開閉弁作動させる。この場合、噴射弁8へ供給される燃料の圧力が高い場合には、電磁アクチュエータに要求される力が大きくなる。そのため、電磁アクチュエータの大型化を招き、噴射弁8の大型化を招く。これに対し本実施形態では、作動流体の圧力差で弁体82を開閉作動させるので、燃料圧力が大きい場合であっても噴射弁8の大型化を抑制できる。
さらに本実施形態では、第1レール4bおよび第2レール4dのうち開弁作動流体を蓄圧するレールには、開弁作動流体をリークさせるリーク部7xが設けられている。そのため、エンジンおよび燃料ポンプ10の停止時には、微小量のリークによって時間をかけて開弁作動流体の蓄圧室(第2蓄圧室4c)の圧力が低下していく。そのため、エンジン停止時に、作動流体の圧力差が低下して弁体82が開弁するといった、意図しない燃料噴射の懸念を低減できる。例えば、本実施形態に反してリーク部7xが廃止された場合には、エンジン停止直後に、アルコール圧力よりも軽油圧力の方が迅速に低下するおそれがある。その場合には、作動流体の圧力差が低下して弁体82が開弁し、意図しない燃料噴射が懸念される。この懸念を、リーク部7xを備えることで低減させている。
さらに本実施形態では、リーク部7xは、燃料ポンプ10が作動中であるか否かに拘わらず、開弁作動流体を常時リークさせる。そのため、電磁弁を用いることなく簡素な構成で開弁作動流体のリークを実現できる。
さらに本実施形態では、第1レール4bおよび第2レール4dのうち閉弁作動流体を蓄圧するレール(第1レール4b)に、燃料圧力を検出する圧力センサ6が設けられている。そのため、閉弁作動流体が目標圧力に対して大きく低下する事態を迅速に検知できる。そのため、上記事態に伴い作動流体の圧力差が低下して弁体82が開弁するといった不具合を、未然に防ぐことができる。
ここで、第1の燃料は第1ピストン16によって直接加圧されるため、第2の燃料に比べて迅速かつ確実に昇圧される。この点を鑑み、本実施形態では、第1の燃料が閉弁作動流体として機能するように噴射弁8は構成されている。そのため、作動流体の圧力差が低下して弁体82が開弁するといった意図しない燃料噴射の懸念を、より一層低減できる。
<変形例>
リーク部7xは、常時リークさせる構造に限定されず、燃料が設定圧力以上になった場合に開弁する逆止弁であってもよいし、電磁弁であってもよい。リーク部7xは、コモンレール4に設けられることに限定されず、噴射弁8に設けられてもよいし、燃料ポンプ10に設けられてもよい。
リーク部7xは、常時リークさせる構造に限定されず、燃料が設定圧力以上になった場合に開弁する逆止弁であってもよいし、電磁弁であってもよい。リーク部7xは、コモンレール4に設けられることに限定されず、噴射弁8に設けられてもよいし、燃料ポンプ10に設けられてもよい。
圧力センサ6は、第1レール4bに設けられることに限定されず、第2レール4dに設けられていてもよい。上記各実施形態では、1つの噴射弁8から2種類の燃料を噴射させている。これに対し、第1の燃料を噴射する噴射弁と、第2の燃料を噴射する噴射弁とを別々に設けてもよい。
噴射弁8は、第1の燃料が閉弁作動流体として機能する構成に限定されず、第2の燃料が閉弁作動流体として機能する構成であってもよい。また、噴射弁8は、作動流体の差圧で弁体82を開閉させる構成に限定されず、電磁アクチュエータの力を弁体82へ直接作用させて開閉させる直動式であってもよい。
明細書および図面等における開示は、請求の範囲の記載によって限定されない。明細書および図面等における開示は、請求の範囲に記載された技術的思想を包含し、さらに請求の範囲に記載された技術的思想より多様で広範な技術的思想に及んでいる。よって、請求の範囲の記載に拘束されることなく、明細書および図面等の開示から、多様な技術的思想を抽出することができる。
1…燃料噴射システム、2…第1燃料タンク、2a…第1フィードポンプ、3…第2燃料タンク、3a…第2フィードポンプ、4…コモンレール、5…制御装置、6…圧力センサ、7…減圧弁、7x…リーク部、8…噴射弁、10…燃料ポンプ、11…第1昇圧室、12…収容空間
Claims (11)
- カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
前記第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された前記第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)と、
前記第1ピストンによって加圧された前記第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
前記第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された前記第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)と、
を備える燃料ポンプ。 - 前記第1吐出孔から吐出された前記第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室(4a)と前記第1吐出孔との間に設けられ、逆止弁として機能する第1吐出弁(19)と、
前記第2吐出孔から吐出された前記第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室(4c)と前記第2吐出孔との間に設けられ、逆止弁として機能する第2吐出弁(25)と、を備える請求項1に記載の燃料ポンプ。 - 前記第1吐出弁の開弁圧は前記第2吐出弁の開弁圧よりも大きい、請求項2に記載の燃料ポンプ。
- カム(13)で押し動かされて往復動する第1ピストン(16)と、
前記第1ピストンによって加圧される第1の燃料を収容し、加圧された前記第1の燃料を吐出する第1吐出孔(18)を有する第1昇圧室(11)を形成する第1本体部(31)と、
前記第1ピストンによって加圧された前記第1の燃料により押圧されて往復動する第2ピストン(21)と、
前記第2ピストンによって加圧される第2の燃料を収容し、加圧された前記第2の燃料を吐出する第2吐出孔(23)を有する第2昇圧室(12a)を形成する第2本体部(32)と、を備える燃料ポンプ(10)と、
前記第1昇圧室から吐出された前記第1の燃料を蓄圧する第1蓄圧室(4a)を形成する第1レール(4b)と、
前記第2昇圧室から吐出された前記第2の燃料を蓄圧する第2蓄圧室(4c)を形成する第2レール(4d)と、
前記第1蓄圧室から分配される前記第1の燃料および前記第2蓄圧室から分配される前記第2の燃料を噴射する噴射弁(8)と、
を備える燃料噴射システム。 - 前記第1レールと前記第2レールのいずれか一方に、燃料を減圧する減圧弁(7)を設ける、請求項4に記載の燃料噴射システム。
- 前記減圧弁は、前記第1レールに設けられている、請求項5に記載の燃料噴射システム。
- 前記第1の燃料および前記第2の燃料のいずれか一方の燃料を開弁作動流体とし、他方の燃料を閉弁作動流体とし、
前記噴射弁は、前記閉弁作動流体と前記開弁作動流体との差圧が所定値以上の場合に閉弁作動し、前記差圧が所定値未満の場合に開弁作動するように構成されている、請求項4に記載の燃料噴射システム。 - 前記第1レールおよび前記第2レールのうち前記開弁作動流体を蓄圧するレールには、前記開弁作動流体をリークさせるリーク部(7x)が設けられている、請求項7に記載の燃料噴射システム。
- 前記リーク部は、前記燃料ポンプが作動中であるか否かに拘わらず、前記開弁作動流体を常時リークさせる、請求項8に記載の燃料噴射システム。
- 前記第1レールおよび前記第2レールのうち前記閉弁作動流体を蓄圧するレールには、燃料圧力を検出する圧力センサ(6)が設けられている、請求項7に記載の燃料噴射システム。
- 前記噴射弁は、前記第1の燃料が閉弁作動流体として機能するように構成されている、請求項7~10のいずれか1つに記載の燃料噴射システム。
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JP2024144449A Pending JP2025036256A (ja) | 2023-08-30 | 2024-08-26 | 燃料ポンプおよび燃料噴射システム |
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