JP2025028610A - 下地処理剤組成物および塗装品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面に錆を有する鋼材に、清掃程度の4種ケレン相当の下地処理で塗布する場合であっても、鋼材の錆層に充分に浸透し、さらなる錆の発生を防いで長期の防食性を付与することができ、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性が優れ、上塗塗料の適用性も優れる、下地処理剤組成物および塗装品の製造方法を提供する。
【解決手段】表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される下地処理剤組成物であり、エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含み、エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む、下地処理剤組成物。
【選択図】図1
【解決手段】表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される下地処理剤組成物であり、エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含み、エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む、下地処理剤組成物。
【選択図】図1
Description
本発明は、下地処理剤組成物および塗装品の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、表面に錆を有する鋼材に、清掃程度の4種ケレン相当の下地処理で塗布する場合であっても、鋼材の錆層に充分に浸透し、さらなる錆の発生を防いで長期の防食性を付与することができ、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性が優れ、上塗塗料の適用性も優れる、下地処理剤組成物および塗装品の製造方法に関する。
従来、表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される下地処理剤組成物が開発されている。特許文献1には、主剤および硬化剤を含み、有機溶剤が20質量%以下である二液混合型の素地調整剤組成物が開示されている。特許文献2には、樹脂成分と顔料とを含み、得られる塗膜の水蒸気透過量が1.5g/(m2・24h)以下となる錆面用塗料が開示されている。特許文献3には、主剤としてエポキシポリオール樹脂またはエポキシ樹脂を含み、硬化剤としてイソシアネート樹脂またはアミン樹脂を含む錆浸透剤であって、温度23℃における粘度が0.1Pa・s以下である錆浸透剤を塗装した後に、上塗り塗料を塗装する、補修塗装方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の素地調整剤組成物は、造膜性に課題が残る。また、得られる塗膜は、防錆性が懸念され、上から塗料を塗工して複層とした場合でも、長期の防食性に課題が残る。特許文献2に記載の塗料は、顔料(鱗片状顔料)によって目詰まりが起きやすく、錆層への浸透性に課題がある。特許文献3の補修塗装方法は、特に垂直面での塗装作業時に垂れ落ちやすく、塗装作業が困難である。
本発明は、このような従来の発明に鑑みてなされたものであり、表面に錆を有する鋼材に、清掃程度の4種ケレン相当の下地処理で塗布する場合であっても、鋼材の錆層に充分に浸透し、さらなる錆の発生を防いで長期の防食性を付与することができ、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性が優れ、上塗塗料の適用性も優れる、下地処理剤組成物および塗装品の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の下地処理剤組成物および塗装品の製造方法には、以下の構成が主に含まれる。
(1)表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される下地処理剤組成物であり、エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含み、前記エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む、下地処理剤組成物。
このような構成によれば、下地処理剤組成物は、鋼材表面の錆への浸透性がよく、錆内部において、充分にアミン化合物と硬化することにより、さらなる錆の発生を抑制することができる。また、下地処理剤組成物は、錆面上でも、アミン化合物と充分に硬化し、造膜性がよく、上塗塗料との付着性も優れる。さらに、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での錆の発生を抑制し得るため、長期の防食性が優れる。加えて、下地処理剤組成物は、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性がよい。
(2)前記アミン化合物(B)は、脂肪族アミン(B-1)と、ポリアミドアミン(B-2)とを含む、(1)記載の下地処理剤組成物。
このような構成によれば、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での硬化性がより優れる。
(3)さらに、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)を含む、(1)または(2)記載の下地処理剤組成物。
このような構成によれば、下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂の溶解性が向上し、アミン化合物との反応性が向上する。また、下地処理剤組成物は、有機溶剤量を適切に調整することができ、錆中での有機溶剤の揮発時に発生する泡を抜けやすくし得る。さらに、下地処理剤組成物は、浸透性および塗装作業性がより優れる。
(4)さらに、平均粒子径3μm以下である防錆顔料(E)を含む、(1)~(3)のいずれかに記載の下地処理剤組成物。
このような構成によれば、下地処理剤組成物は、防錆性がさらに優れる。
(5)前記有機溶剤(C)は、有機溶剤中毒予防規則に非該当であるか、または、前記有機溶剤中毒予防規則の第3種有機溶剤等に該当する有機溶剤を含む、(1)~(4)のいずれかに記載の下地処理剤組成物。
このような構成によれば、下地処理剤組成物は、有機溶剤の揮発が速すぎず、硬化速度を適宜調整し得る。また、下地処理剤組成物は、錆中に充分に浸透しやすい。さらに、下地処理剤組成物は、環境や法規制に配慮され得る。
(6)(1)~(5)のいずれかに記載の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する下地処理工程と、前記下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、を含む、塗装品の製造方法。
このような構成によれば、得られる塗装品は、防錆性に加え、耐候性、耐水性にも優れる。
(7)前記塗布工程は、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布して第1塗料層を形成する第1塗布工程と、前記第1塗料層上に第2塗料層を形成する第2塗布工程とを含む、(6)記載の塗装品の製造方法。
このような構成によれば、得られる塗装品は、防錆性がより優れ、かつ、耐候性、耐水性もより優れる。
本発明によれば、表面に錆を有する鋼材に、清掃程度の4種ケレン相当の下地処理で塗布する場合であっても、鋼材の錆層に充分に浸透し、さらなる錆の発生を防いで長期の防食性を付与することができ、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性が優れ、上塗塗料の適用性も優れる、下地処理剤組成物および塗装品の製造方法を提供することができる。
<下地処理剤組成物>
本発明の一実施形態の下地処理剤組成物は、表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される。下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含む。エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む。以下、それぞれについて説明する。
本発明の一実施形態の下地処理剤組成物は、表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される。下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含む。エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む。以下、それぞれについて説明する。
(エポキシ樹脂(A))
エポキシ樹脂(A)は、種々の条件で乾燥させることで、硬化し、塗膜を形成する成分となる。エポキシ樹脂(A)は特に限定されない。エポキシ樹脂(A)は、有機溶剤に溶解するエポキシ樹脂であればよい。一例を挙げると、エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等である。なお、「有機溶剤に溶解する」とは、典型的な有機溶剤であるトルエン100gに25℃にて1g以上溶解することを指す。
エポキシ樹脂(A)は、種々の条件で乾燥させることで、硬化し、塗膜を形成する成分となる。エポキシ樹脂(A)は特に限定されない。エポキシ樹脂(A)は、有機溶剤に溶解するエポキシ樹脂であればよい。一例を挙げると、エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等である。なお、「有機溶剤に溶解する」とは、典型的な有機溶剤であるトルエン100gに25℃にて1g以上溶解することを指す。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等およびこれらの臭素化物、水素添加物等が例示される。ノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。芳香族エポキシ樹脂は、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等が例示される。
脂環族エポキシ樹脂は、3,4-エポキシシクロへキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシシクロヘキサノン-メタ-ジオキサン、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル等が例示される。
脂肪族エポキシ樹脂は、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-へキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2~9のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等が例示される。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、へキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル-p-オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル-グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等が例示される。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’-ジグリシジル誘導体、p-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体、m-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体等が例示される。
本実施形態のエポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む。なお、本実施形態において、「液状」とは、23℃において、流動性を示す性状をいい、ゲル特性を示す半固形の性状も含む。「固体」とは、23℃において、固形の性状を保つ性状をいう。
・低分子エポキシ樹脂(A-1)
低分子エポキシ樹脂(A-1)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が例示され、錆層への浸透性の観点から、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂である。
低分子エポキシ樹脂(A-1)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が例示され、錆層への浸透性の観点から、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂である。
低分子エポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は、性状が液状である限りにおいては、特に限定されない。一例を挙げると、低分子エポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は、100以上であることが好ましく、170以上であることがより好ましい。また、低分子エポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は、400以下であることが好ましく、250以下であることがより好ましい。低分子エポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量が、上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、塗装作業性、浸透性に優れるという利点がある。
低分子エポキシ樹脂(A-1)の粘度は、23℃において、0.5Pa・s以上であることが好ましく、1Pa・s以上であることがより好ましい。また、低分子エポキシ樹脂(A-1)の粘度は、23℃において、100Pa・s以下であることが好ましく、30Pa・s以下であることがより好ましい。低分子エポキシ樹脂(A-1)の粘度が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、浸透性が優れる。
低分子エポキシ樹脂(A-1)の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、低分子エポキシ樹脂(A-1)の含有量は、下地処理剤組成物中、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、低分子エポキシ樹脂(A-1)の含有量は、下地処理剤組成物中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。下地処理剤組成物(A-1)の含有量が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、浸透性が優れる。
・高分子エポキシ樹脂(A-2)
高分子エポキシ樹脂(A-2)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が例示される。
高分子エポキシ樹脂(A-2)は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が例示される。
高分子エポキシ樹脂(A-1)のエポキシ当量は、性状が固体である限りにおいては、特に限定されない。一例を挙げると、高分子エポキシ樹脂(A-2)のエポキシ当量は、430以上であることが好ましく、600以上であることがより好ましい。また、高分子エポキシ樹脂(A-2)のエポキシ当量は、4200以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。高分子エポキシ樹脂(A-2)のエポキシ当量が、上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、塗装作業性が優れる。
高分子エポキシ樹脂(A-2)の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、高分子エポキシ樹脂(A-2)の含有量は、下地処理剤組成物中、2質量%以上であることが好ましく、4質量%以上であることがより好ましい。また、高分子エポキシ樹脂(A-2)の含有量は、下地処理剤組成物中、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。下地処理剤組成物(A-1)の含有量が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、錆表面での硬化性が優れる。
(アミン化合物(B))
アミン化合物(B)は、エポキシ樹脂(A)を硬化させるために配合される。アミン化合物(B)は特に限定されない。一例を挙げると、アミン化合物(B)は、トリメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族アミン;メンタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン;ピペリジン、ピペラジン、メチルモルホリンおよびエチルモルホリン等の複素環式アミン;フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m-キシレンジアミンおよびピリジン等の芳香族アミン;エポキシ化合物付加ポリアミン等の変性アミン;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸およびダイマー酸等のカルボン酸化合物と、脂肪族ポリアミンやポリオキシアルキレン鎖を有するポリアミン等とを反応させて得られるもの等のポリアミドアミン;等である。
アミン化合物(B)は、エポキシ樹脂(A)を硬化させるために配合される。アミン化合物(B)は特に限定されない。一例を挙げると、アミン化合物(B)は、トリメチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族アミン;メンタンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環式アミン;ピペリジン、ピペラジン、メチルモルホリンおよびエチルモルホリン等の複素環式アミン;フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルメチルアミン、ジメチルベンジルアミン、m-キシレンジアミンおよびピリジン等の芳香族アミン;エポキシ化合物付加ポリアミン等の変性アミン;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等の脂肪族ジカルボン酸、脂肪酸およびダイマー酸等のカルボン酸化合物と、脂肪族ポリアミンやポリオキシアルキレン鎖を有するポリアミン等とを反応させて得られるもの等のポリアミドアミン;等である。
これらの中でも、アミン化合物(B)は、脂肪族アミン(B-1)およびポリアミドアミン(B-2)を含むことが好ましい。これにより、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での硬化性がより優れる。
アミン化合物(B)の含有量は特に限定されない。アミン化合物(B)の含有量は、エポキシ樹脂(A)との配合割合により適宜調整される。アミン化合物(B)の配合割合は、エポキシ樹脂(A)の1のエポキシ基に対するアミン化合物(B)の活性水素量で表される当量比で、0.5~1.0の範囲が好ましく、0.8~1.0の範囲がより好ましい。エポキシ樹脂(A)の1のエポキシ基に対するアミン化合物(B)の活性水素量の当量比が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、造膜性、耐水性が優れる。
脂肪族アミン(B-1)およびポリアミドアミン(B-2)が含まれる場合、脂肪族アミン(B-1)とポリアミドアミン(B-2)との配合量比は、10:0.1~10:10が好ましく、10:1~10:5がより好ましい。脂肪族アミン(B-1)とポリアミドアミン(B-2)との配合量比が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での硬化性がより優れる。
(有機溶剤(C))
有機溶剤(C)は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤(C)は、ヘキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素系;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤等である。有機溶剤は、2種以上を併用されてもよい。
有機溶剤(C)は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤(C)は、ヘキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素系;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系;1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤等である。有機溶剤は、2種以上を併用されてもよい。
これらの中でも、有機溶剤(C)は、有機溶剤中毒予防規則に非該当であるか、または、有機溶剤中毒予防規則の第3種有機溶剤等に該当する有機溶剤を含むことが好ましい。具体的には、有機溶剤(C)は、1-メトキシ-2-プロパノール、石油ナフサ、ミネラルスピリット、n-ヘキサン、シクロヘキサン、スチレン等であることが好ましい。これにより、下地処理剤組成物は、有機溶剤の揮発が速すぎず、硬化速度を適宜調整し得る。また、下地処理剤組成物は、錆中に充分に浸透しやすい。さらに、下地処理剤組成物は、臭気を低減でき、環境や法規制に配慮され得る。なお、「有機溶剤中毒予防規則」によれば、有機溶剤は、毒性と蒸発速度とから有害度が決定され、有害度の高いものが第一種有機溶剤、中程度のものが第二種有機溶剤、低度のものが第三種有機溶剤に区分される。「有機溶剤中毒予防規則」において、「第三種有機溶剤等」は、有機溶剤等のうち第一種有機溶剤等および第二種有機溶剤等以外の物をいう。
有機溶剤(C)の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤(C)の含有量は、下地処理剤組成物中、1質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、有機溶剤(C)の含有量は、下地処理剤組成物中、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。有機溶剤(C)の含有量が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、樹脂の溶解性、浸透性、塗装作業性が優れる。
(エポキシ基を有する反応性希釈剤(D))
本実施形態の下地処理剤組成物は、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)を好適に含む。これにより、下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂の溶解性が向上し、アミン化合物との反応性が向上する。また、下地処理剤組成物は、有機溶剤量を適切に調整することができ、錆中での有機溶剤の揮発時に発生する泡を抜けやすくし得る。さらに、下地処理剤組成物は、浸透性および塗装作業性がより優れる。
本実施形態の下地処理剤組成物は、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)を好適に含む。これにより、下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂の溶解性が向上し、アミン化合物との反応性が向上する。また、下地処理剤組成物は、有機溶剤量を適切に調整することができ、錆中での有機溶剤の揮発時に発生する泡を抜けやすくし得る。さらに、下地処理剤組成物は、浸透性および塗装作業性がより優れる。
エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)は、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1~15、好ましくは11~15)、バーサティック酸(Versatic acid)グリシジルエステル(R1R2R3C-COO-Gly、R1+R2+R3=C8~C10のアルキル基、Gly:グリシジル基)、ビス(オキシラン-2-イルメチル)=シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート、α-オレフィンエポキサイド(CH3-(CH2)n-Gly、n=11~13、Gly:同上)、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(Gly-O-(CH2)6-O-Gly、Gly:同上)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(Gly-O-CH2-C(CH3)2-CH2-O-Gly、Gly:同上)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(CH3-CH2-C(CH2-O-Gly)3、Gly:同上)、アルキルフェニルグリシジルエーテル(アルキル基の炭素数1~20、好ましくは1~5、例:メチルフェニルグリシジルエーテル、エチルフェニルグリシジルエーテル、プロピルフェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル)等のエポキシ基を有する反応性希釈剤等である。
エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)が含まれる場合、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の粘度は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の粘度は、23℃において、0.5Pa・s未満であることが好ましく、0.2Pa・s以下であることがより好ましい。エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の粘度が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、有機溶剤量を適切に調整することができ、浸透性がより優れる。
エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)が含まれる場合、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の含有量は、下地処理剤組成物中、1質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の含有量は、下地処理剤組成物中、40質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)の含有量が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、エポキシ樹脂の溶解性が向上し、アミン化合物との反応性が向上する。また、下地処理剤組成物は、有機溶剤量を適切に調整することができ、錆中での有機溶剤の揮発時に発生する泡を抜けやすくし得る。さらに、下地処理剤組成物は、浸透性および塗装作業性がより優れる。
(平均粒子径3μm以下である防錆顔料(E))
本実施形態の下地処理剤組成物は、平均粒子径3μm以下である防錆顔料(E)を好適に含む。これにより、下地処理剤組成物は、防錆性がさらに優れる。
本実施形態の下地処理剤組成物は、平均粒子径3μm以下である防錆顔料(E)を好適に含む。これにより、下地処理剤組成物は、防錆性がさらに優れる。
防錆顔料(E)は特に限定されない。一例を挙げると、防錆顔料(E)は、得られる塗装品の防錆性がより優れ、耐久性を向上させることができる点から、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、マンガン、ストロンチウム、バリウム、鉄、ジルコニウム、セリウム等から選ばれる1種以上の金属元素の金属酸化物および/または硝酸金属塩、炭酸金属塩、リン酸金属塩、フッ素含有金属化合物、アンモニウム錯塩や亜鉛末を含むことが好ましく、リン酸カルシウム、ストロンチウム亜鉛末ホスホシリケートを含むことがより好ましい。防錆顔料は併用されてもよい。
防錆顔料(E)の平均粒子径(メジアン径D50)は、3μm以下であることが好ましく、2μm以下であることがより好ましい。例えば、ジェットミル分散で、上記平均粒子径に微粒化した防錆顔料が好ましい。防錆顔料(E)の平均粒子径が上記範囲内であることにより、防錆顔料(E)は、錆層で目詰まりを起こしにくい。その結果、下地処理剤組成物は、浸透性が優れる。
防錆顔料(E)が含まれる場合、防錆顔料(E)の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、防錆顔料(E)の含有量は、下地処理剤組成物中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、防錆顔料(E)の含有量は、下地処理剤組成物中、8質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましい。防錆顔料(E)の含有量が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、防錆性がさらに優れる。
下地処理剤組成物全体の説明に戻り、本実施形態の下地処理剤組成物は、必要に応じて、着色顔料、体質顔料、染料、増粘剤、分散剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、ワックス、シランカップリング剤等が配合されてもよい。
下地処理剤組成物の粘度は、23℃において、0.1Pa・s以上であることが好ましく、0.4Pa・s以上であることがより好ましい。また、下地処理剤組成物の粘度は、23℃において、0.8Pa・s以下であることが好ましく、0.6Pa・s以下であることがより好ましい。下地処理剤組成物の粘度が上記範囲内であることにより、下地処理剤組成物は、塗装作業性、浸透性が優れる。なお、本実施形態において、粘度は、たとえば、東機産業(株)製TVB-10形粘度計を使用し、23℃、60rpmでローターNo.23を用いて測定し得る。
下地処理剤組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、下地処理剤組成物は、上記した各成分を混合、攪拌することにより調製し得る。
以上、本実施形態の下地処理剤組成物は、鋼材表面の錆への浸透性がよく、錆内部において、充分にアミン化合物と硬化することにより、さらなる錆の発生を抑制することができる。また、下地処理剤組成物は、錆面上でも、アミン化合物と充分に硬化し、造膜性がよく、上塗塗料との付着性も優れる。さらに、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での錆の発生を抑制し得るため、長期の防食性が優れる。加えて、下地処理剤組成物は、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性がよい。
<塗装品の製造方法>
本発明の一実施形態の塗装品の製造方法は、上記した実施形態の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する下地処理工程と、下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程とを含む。以下、それぞれについて説明する。なお、以下の説明において、下地処理剤組成物の実施形態に関連して上記した事項は、適宜説明が省略される。また、本実施形態の塗装品の製造方法は、下地処理工程および塗布工程を含むことを特徴とする。そのため、本実施形態の塗装品の製造方法は、下地処理工程および塗布工程以外に、適宜、他の工程(たとえば乾燥工程等)が採用されてもよい。
本発明の一実施形態の塗装品の製造方法は、上記した実施形態の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する下地処理工程と、下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程とを含む。以下、それぞれについて説明する。なお、以下の説明において、下地処理剤組成物の実施形態に関連して上記した事項は、適宜説明が省略される。また、本実施形態の塗装品の製造方法は、下地処理工程および塗布工程を含むことを特徴とする。そのため、本実施形態の塗装品の製造方法は、下地処理工程および塗布工程以外に、適宜、他の工程(たとえば乾燥工程等)が採用されてもよい。
(下地処理工程)
下地処理工程は、上記した実施形態の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する工程である。
下地処理工程は、上記した実施形態の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する工程である。
表面に錆を有する鋼材を構成する鋼材は特に限定されない。一例を挙げると、鋼材は、冷延鋼、溶融亜鉛めっき鋼、電気亜鉛めっき鋼、鉄-亜鉛合金めっき鋼、ニッケル-亜鉛合金めっき鋼、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼(例えば、「ガルバリウム」、「ガルファン」という商品名で販売されている合金めっき鋼板)、アルミニウムめっき鋼、アルミニウム、ステンレス鋼等である。また、鋼材は、無処理であってもよく、クロム酸塩処理、リン酸亜鉛処理、複合酸化膜処理などの化成処理を施したものであってもよい。
表面に錆を有する鋼材は、その表面の一部に旧塗膜を有していてもよい。ここで旧塗膜とは、錆の生成以前に鋼材に塗布された塗料の層を表す。すなわち本実施形態の下地処理剤は、構造物を形成する鋼材上の旧塗膜の一部が剥離し、表面が露出した箇所に生成した錆を有する鋼材に好適に適用し得る。構造物は、鉄塔、橋梁、タンク、プラント等が挙げられる。本実施形態の下地処理剤は、旧塗膜が除去された後に塗装されてもよく、旧塗膜を残したまま塗装されてもよい。下地処理剤を塗布する前工程として、清掃程度の素地調整が行われることが好ましい。素地調整は、一般的には、塗装前に、鋼材の表面に発生した錆や、付着した油類、ほこり、ごみ、ヤニなどの汚れや、旧塗膜などを除去する処理を指す。具体的には、素地調整は、その作業内容・方法によって、1種ケレン(ブラスト法を用いて、さび、旧塗膜を全て除去し鋼材の表面を露出させる)、2種ケレン(動力工具と手工具を併用して、旧塗膜、さびを除去し鋼材の表面を露出させる)、3種ケレン(動力工具と手工具を併用して、健全な塗膜は残すが、それ以外の塗膜の割れ、膨れ、さびなどの不良部は除去する)、4種ケレン(動力工具と手工具を併用して、粉化物、汚れなどを除去する)が挙げられる。上記した清掃程度の素地調整は、4種ケレン程度の処理に相当する。
鋼材に下地処理剤を塗布する方法は特に限定されない。一例を挙げると、塗布方法は、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の公知の手法を採用できる。
下地処理剤は、湿度85%以下、5~35℃で12~48時間程度の塗装条件により、適宜塗布され、乾燥される。
下地処理層の乾燥膜厚は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥膜厚は、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、乾燥膜厚は、70μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、浸透性、造膜性、防錆性が優れる。
得られた下地処理層には、続く塗布工程により、各種塗料が塗布され得る。
(塗布工程)
塗布工程は、下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する工程である。
塗布工程は、下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する工程である。
塗布工程において塗布する塗料や、塗布回数等は特に限定されない。一例を挙げると、塗布工程は、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布して第1塗料層を形成する第1塗布工程と、第2塗料層を形成する第2塗布工程とを含むことが好ましい。これにより、得られる塗装品は、防錆性がより優れ、かつ、耐候性、耐水性もより優れる。
・第1塗布工程
第1塗布工程は、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布して第1塗料層を形成する工程である。
第1塗布工程は、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布して第1塗料層を形成する工程である。
鱗片状顔料は特に限定されない。一例を挙げると、鱗片状顔料は、タルク、マイカ、クレー等の鉱物系顔料、金属系顔料、ガラスフレーク、プラスチックフレーク等である。
鱗片状顔料の大きさは、特に制限されない。一例を挙げると、鱗片状顔料は、平均厚さが0.1~15μm、平均長径が0.01~2mm、粒度分布のピークが0.01~2mmであるものが好ましい。鱗片状顔料の大きさが上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、防錆性が優れる。
鱗片状顔料のアスペクト比は、特に制限されない。一例を挙げると、鱗片状顔料のアスペクト比は、1~750である。鱗片状顔料のアスペクト比は、平均粒径(D)と平均厚み(T)との比(D/T)で表される。鱗片状顔料の平均厚み(T)は、SEM(走査電子顕微鏡)または光学顕微鏡を用いて、鱗片状顔料の厚み(長径と短径とに垂直な方向の長さ)を測定し、任意の50個の粒子の厚みの平均値として算出することができる。
鱗片状顔料の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、鱗片状顔料の含有量は、エポキシ樹脂系塗料中、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。また、鱗片状顔料の含有量は、エポキシ樹脂系塗料中、35質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。鱗片状顔料の含有量が上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、錆層への水分等の侵入を防ぐことができ、さらなる錆の発生を防ぐことができる。
エポキシ樹脂系塗料のその他の成分は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂系塗料は、エポキシ樹脂および有機溶剤を含む。エポキシ樹脂系塗料は、エポキシ基を分子内に1個以上有するエポキシ樹脂を含む主剤と、アミン系化合物を含む硬化剤とから構成される2液型の塗料組成物であることが好ましい。このような塗料組成物は、塗装時に主剤と硬化剤とを混合することで使用されるものであり、常温乾燥型の塗料組成物として容易に使用可能である。なお、エポキシ樹脂系塗料組成物として、1液型の塗料組成物が使用されてもよい。
エポキシ樹脂は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および、脂環族エポキシ樹脂等である。エポキシ樹脂は、アルキルフェノールや脂肪酸によって変性された変性エポキシ樹脂であってもよく、アルキルフェノールをエピクロルヒドリンと反応させたアルキルフェニルグリシジルエーテル、ノボラック型アルキルフェノール樹脂をエピクロルヒドリンと反応させたアルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂等であってもよい。
硬化剤は、アミン系化合物を含むことが好ましく、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族ポリアミン類、メタキシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン等の芳香族ポリアミン類、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン類や、これらポリアミン類に対して公知の方法によりポリアミド化、エポキシアダクト化、マンニッヒ化、ケチミン化等の変性反応を行って得られる変性ポリアミン等が挙げられる。
エポキシ樹脂系塗料は、湿度85%以下、0~35℃で4~24時間程度の塗装条件により、適宜塗布され、乾燥される。
第1塗料層の乾燥膜厚は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥膜厚は、30μm以上であることが好ましく、45μm以上であることがより好ましい。また、乾燥膜厚は、120μm以下であることが好ましく、90μm以下であることがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、防錆性がより優れ、かつ、耐候性、耐水性もより優れる。
本実施形態では、このように、鱗片状顔料を含む第1塗料層が形成されることにより、鱗片状顔料が錆層への水分等の侵入が遮断される。これにより、得られる塗装品は、防錆性がさらに優れる。
・第2塗布工程
第2塗布工程は、第2塗料層を形成する工程である。第2塗料層は、単層(たとえば上塗り層のみ)であってもよく、複層(たとえば下塗り層および上塗り層)であってもよい。第1塗布工程が省略される場合には、下地処理層上に、第2塗料層が形成されてもよい。以下、一例として、下塗り層および上塗り層の2層からなる第2塗料層が形成される態様について示す。
第2塗布工程は、第2塗料層を形成する工程である。第2塗料層は、単層(たとえば上塗り層のみ)であってもよく、複層(たとえば下塗り層および上塗り層)であってもよい。第1塗布工程が省略される場合には、下地処理層上に、第2塗料層が形成されてもよい。以下、一例として、下塗り層および上塗り層の2層からなる第2塗料層が形成される態様について示す。
下塗り層は、下塗り塗料を塗布することにより、第1塗料層上に形成される層である。下塗り塗料は特に限定されない。一例を挙げると、下塗り塗料は、エポキシ樹脂塗料、変性エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂系ガラスフレーク塗料、エポキシ樹脂被覆材料、超厚膜形エポキシ樹脂塗料、エポキシ樹脂ジンクリッチペイント、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料、エポキシエステル樹脂塗料等が挙げられ、中塗り塗料の例として、エポキシ樹脂系塗料、ポリウレタン系塗料、エポキシ樹脂MIO塗料、フェノール樹脂系MIO塗料、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料等である。
下塗り層の塗布方法は特に限定されない。一例を挙げると、塗布方法は、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の公知の手法を採用できる。
下塗り塗料は、湿度85%以下、5~35℃で12~48時間程度の塗装条件により、適宜塗布され、乾燥される。
下塗り層の乾燥膜厚は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥膜厚は、30μm以上であることが好ましく、45μm以上であることがより好ましい。また、乾燥膜厚は、200μm以下であることが好ましく、180μm以下であることがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、防錆性がより優れ、かつ、耐候性、耐水性もより優れる。
上塗り層は、上塗り塗料を塗布することにより、下塗り層上に形成される層である。なお、第2塗料層が単層であり、下塗り層が省略される場合には、上塗り層は、第1塗料層上に形成されてもよい。
上塗り塗料は特に限定されない。一例を挙げると、上塗り塗料は、アクリル樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、エポキシ樹脂系塗料、塩素化ポリオレフィン系塗料、シリコーン樹脂系塗料、ふっ素樹脂系塗料、塩化ゴム樹脂系塗料、フタル酸樹脂系塗料、エポキシ樹脂MIO塗料、フェノール樹脂系MIO塗料等である。
上塗り層の塗布方法は特に限定されない。一例を挙げると、塗布方法は、スプレー塗り、ローラー塗り、刷毛塗り、流し塗り等の公知の手法を採用できる。
上塗り塗料は、湿度85%以下、0~35℃で4~48時間程度の塗装条件により、適宜塗布され、乾燥される。
上塗り層の乾燥膜厚は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥膜厚は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、乾燥膜厚は、100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましい。乾燥膜厚が上記範囲内であることにより、得られる塗装品は、防錆性がより優れ、かつ、耐候性、耐水性もより優れる。
以上、本実施形態の塗装品の製造方法によれば、上記した下地処理剤組成物が用いられる。下地処理剤組成物は、鋼材表面の錆への浸透性がよく、錆内部において、充分にアミン化合物と硬化することにより、さらなる錆の発生を抑制することができる。また、下地処理剤組成物は、錆面上でも、アミン化合物と充分に硬化し、造膜性がよく、上塗塗料との付着性も優れる。さらに、下地処理剤組成物は、錆中および錆表面での錆の発生を抑制し得るため、長期の防食性が優れる。加えて、下地処理剤組成物は、垂直面に塗装する際にも垂れにくく塗装作業性がよい。その結果、得られる塗装品は、防錆性に加え、耐候性、耐水性にも優れる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味する。
使用した原料を以下に示す。
・エポキシ樹脂(A)
低分子エポキシ樹脂(A-1)(23℃、液状):KER828S、KUMUHO P&G CHEMICALS.INC製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量215
高分子エポキシ樹脂(A-2)(23℃、固形):KER3003F、KUMUHO P&G CHEMICALS.INC製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量780
・反応性希釈剤(D)
反応性希釈剤1:ME704、KUKDO FINECHEM Co.,Ltd.製、ブチルフェニルグリシジルエーテル
反応性希釈剤2:ES 602、KUKDO FINECHEM Co.,Ltd.製、ビス(オキシラン-2-イルメチル)=シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート
・防錆顔料(E)
微粒子防錆剤1:HALOX430JM、ICL ADVANCED ADDITIVES-HAMMOND社製、平均粒子径2μm、ジェットミル分散、リン酸カルシウム系
微粒子防錆剤2:HALOX SZP-391JM、ICL ADVANCED ADDITIVES-HAMMOND社製、平均粒子径2μm、ジェットミル分散、ストロンチウム亜鉛末ホスホシリケート
・その他添加剤
消泡剤:フローレンAC326F、共栄社化学(株)製
シランカップリング剤:KBM-403、信越化学工業(株)製、
・有機溶剤(C)
1-メトキシ-2-プロパノール:(株)クラレ製 強溶剤:キシレン、トルエン、ブタノールの混合溶剤
・アミン化合物(B)
脂肪族アミン(B-1):変性脂肪族アミン化合物、ダイトクラールD-677、大都産業(株)製
ポリアミドアミン(B-2):変性ポリアミドアミン化合物、ダイトクラールP-6266、大都産業(株)製
変性脂環式アミン:変性脂環式アミン、ダイトクラールHD-Q、大都産業(株)製
・エポキシ樹脂(A)
低分子エポキシ樹脂(A-1)(23℃、液状):KER828S、KUMUHO P&G CHEMICALS.INC製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量215
高分子エポキシ樹脂(A-2)(23℃、固形):KER3003F、KUMUHO P&G CHEMICALS.INC製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量780
・反応性希釈剤(D)
反応性希釈剤1:ME704、KUKDO FINECHEM Co.,Ltd.製、ブチルフェニルグリシジルエーテル
反応性希釈剤2:ES 602、KUKDO FINECHEM Co.,Ltd.製、ビス(オキシラン-2-イルメチル)=シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシラート
・防錆顔料(E)
微粒子防錆剤1:HALOX430JM、ICL ADVANCED ADDITIVES-HAMMOND社製、平均粒子径2μm、ジェットミル分散、リン酸カルシウム系
微粒子防錆剤2:HALOX SZP-391JM、ICL ADVANCED ADDITIVES-HAMMOND社製、平均粒子径2μm、ジェットミル分散、ストロンチウム亜鉛末ホスホシリケート
・その他添加剤
消泡剤:フローレンAC326F、共栄社化学(株)製
シランカップリング剤:KBM-403、信越化学工業(株)製、
・有機溶剤(C)
1-メトキシ-2-プロパノール:(株)クラレ製 強溶剤:キシレン、トルエン、ブタノールの混合溶剤
・アミン化合物(B)
脂肪族アミン(B-1):変性脂肪族アミン化合物、ダイトクラールD-677、大都産業(株)製
ポリアミドアミン(B-2):変性ポリアミドアミン化合物、ダイトクラールP-6266、大都産業(株)製
変性脂環式アミン:変性脂環式アミン、ダイトクラールHD-Q、大都産業(株)製
<実施例1>
表1に記載の原料をディスパーで混合、撹拌し、下地処理剤組成物を作製した。
表1に記載の原料をディスパーで混合、撹拌し、下地処理剤組成物を作製した。
<実施例2~8、比較例1~2>
表1に記載の処方および条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、下地処理剤組成物を作製した。
表1に記載の処方および条件に変更した以外は、実施例1と同様の方法により、下地処理剤組成物を作製した。
得られた下地処理剤組成物について、以下の評価方法により、粘度、乾燥性、塗装作業性、単膜での付着性およびサイクル腐食性、複層膜での付着性およびサイクル腐食性を評価した。結果を表2に示す。
<試験板の作成条件>
試験板:70mm×150mm×3.2mmのSS400グリットブラスト板を、沖縄県うるま市で6か月間暴露し腐食させた。腐食した試験板を、塗装前に4種ケレン程度に素地調整し、使用した。
単膜:試験板に、それぞれの下地処理剤組成物を、膜厚15~20μmで刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。
複層膜:単膜の試験板の上に、下塗塗料を膜厚90~150μmで刷毛で塗布し、さらに上塗塗料を膜厚20~60μm刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。下塗塗料は、エポキシ樹脂系下塗塗料(株)トウペ製「ニューエポ21HBプライマー」、上塗塗料は、フッ素樹脂系上塗塗料(株)トウペ製「ニューフッソHB上塗」を使用した。実施例5のみ、実施例5の下地処理剤組成物を塗布後、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系の塗料(鱗片状顔料:タルク22%含有)を塗布し、下塗塗料、上塗塗料を順に刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。
<粘度>
東機産業(株)製TVB-10形粘度計を使用し、23℃、60rpmでローターNo.23を用いて、粘度を測定した。
<乾燥性>
単膜作製時の半硬化時間を、以下の評価基準に従って評価した。半硬化とは、塗った面の中央を指でかるくこすって塗面にすり跡が付かない状態をいう。
(評価基準)
○:23℃にて、半硬化時間は、24時間以内であった。
×:23℃にて、半硬化時間は、24時間を超えた。
<塗装作業性>
単膜作製時の塗装作業性を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:下地処理剤組成物は、伸びが非常に良く、垂直面から垂れ落ちにくく、塗装が容易にできた。
○:下地処理剤組成物は、伸びが良く、垂直面から垂れ落ちにくく、問題なく塗装できた。
×:下地処理剤組成物は、伸びが非常に悪く、塗装時に刷毛がひっかかって塗装が困難であった。
<付着性>
単膜および複層膜の試験板について、JIS K 5600-5-6に従い、付着性(クロスカット法)を確認し、試験結果をJIS K 5600-5-6に定義されている分類(分類0~分類5)により評価した。なお、表2中の「初期」は、試験板作成後に評価し、「CCT 166サイクル」、「CCT 500サイクル」は、以下のサイクル腐食性の評価において得られた付着性の評価結果である。
<長期耐久性(サイクル腐食性)>
単膜および複層膜の試験板について、JIS K 5600-7-9に従い、サイクル腐食性試験(スガ試験機(株)製CYP-90L複合サイクル試験機)のサイクルDで、166サイクル後および500サイクル後のサイクル腐食性を確認し、付着性、膨れの幅、膨れの等級、さびの等級を評価した。膨れ幅の評価に用いた試験板は、JIS K 5400;1990 8.5.3 Xカットテープ法に準拠し、Xカットのスクラッチを入れた試験板を準備し、サイクル腐食性試験を実施した。比較例1および比較例2は、乾燥性または塗装作業性で不合格となり、長期耐久性は評価できなかった。なお、表中において、「一般部」とは、クロスカットを入れていない部分である。付着性の評価は、上記の付着性の評価方法と同様である。膨れ幅の評価は、スクラッチからの膨れ幅の長さを測定した。
膨れの等級は、JIS K 5600-8-2に従い、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:膨れが確認できなかった。
△:ごく一部に膨れがあった。
×:明確な膨れがあった。
さびの等級は、JIS K 5600-8-3に従って評価した。
<浸透性>
実施例3および実施例8の下地処理剤組成物について、日本電子(株)製走査型電子顕微鏡で、下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面を測定し、下地処理剤組成物の浸透性を反射電子像(BED)で確認した。図1は、実施例3の下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面写真である。図2は、実施例8の下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面写真である。なお、参照符号1は下地処理剤組成物の下地処理層、参照符号2は錆層、参照符号3は上塗り塗料層、参照符号4は微粒子防錆剤、参照符号5は試験板基材である。
試験板:70mm×150mm×3.2mmのSS400グリットブラスト板を、沖縄県うるま市で6か月間暴露し腐食させた。腐食した試験板を、塗装前に4種ケレン程度に素地調整し、使用した。
単膜:試験板に、それぞれの下地処理剤組成物を、膜厚15~20μmで刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。
複層膜:単膜の試験板の上に、下塗塗料を膜厚90~150μmで刷毛で塗布し、さらに上塗塗料を膜厚20~60μm刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。下塗塗料は、エポキシ樹脂系下塗塗料(株)トウペ製「ニューエポ21HBプライマー」、上塗塗料は、フッ素樹脂系上塗塗料(株)トウペ製「ニューフッソHB上塗」を使用した。実施例5のみ、実施例5の下地処理剤組成物を塗布後、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系の塗料(鱗片状顔料:タルク22%含有)を塗布し、下塗塗料、上塗塗料を順に刷毛で塗布し、23℃で7日間養生した。
<粘度>
東機産業(株)製TVB-10形粘度計を使用し、23℃、60rpmでローターNo.23を用いて、粘度を測定した。
<乾燥性>
単膜作製時の半硬化時間を、以下の評価基準に従って評価した。半硬化とは、塗った面の中央を指でかるくこすって塗面にすり跡が付かない状態をいう。
(評価基準)
○:23℃にて、半硬化時間は、24時間以内であった。
×:23℃にて、半硬化時間は、24時間を超えた。
<塗装作業性>
単膜作製時の塗装作業性を、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
◎:下地処理剤組成物は、伸びが非常に良く、垂直面から垂れ落ちにくく、塗装が容易にできた。
○:下地処理剤組成物は、伸びが良く、垂直面から垂れ落ちにくく、問題なく塗装できた。
×:下地処理剤組成物は、伸びが非常に悪く、塗装時に刷毛がひっかかって塗装が困難であった。
<付着性>
単膜および複層膜の試験板について、JIS K 5600-5-6に従い、付着性(クロスカット法)を確認し、試験結果をJIS K 5600-5-6に定義されている分類(分類0~分類5)により評価した。なお、表2中の「初期」は、試験板作成後に評価し、「CCT 166サイクル」、「CCT 500サイクル」は、以下のサイクル腐食性の評価において得られた付着性の評価結果である。
<長期耐久性(サイクル腐食性)>
単膜および複層膜の試験板について、JIS K 5600-7-9に従い、サイクル腐食性試験(スガ試験機(株)製CYP-90L複合サイクル試験機)のサイクルDで、166サイクル後および500サイクル後のサイクル腐食性を確認し、付着性、膨れの幅、膨れの等級、さびの等級を評価した。膨れ幅の評価に用いた試験板は、JIS K 5400;1990 8.5.3 Xカットテープ法に準拠し、Xカットのスクラッチを入れた試験板を準備し、サイクル腐食性試験を実施した。比較例1および比較例2は、乾燥性または塗装作業性で不合格となり、長期耐久性は評価できなかった。なお、表中において、「一般部」とは、クロスカットを入れていない部分である。付着性の評価は、上記の付着性の評価方法と同様である。膨れ幅の評価は、スクラッチからの膨れ幅の長さを測定した。
膨れの等級は、JIS K 5600-8-2に従い、以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
○:膨れが確認できなかった。
△:ごく一部に膨れがあった。
×:明確な膨れがあった。
さびの等級は、JIS K 5600-8-3に従って評価した。
<浸透性>
実施例3および実施例8の下地処理剤組成物について、日本電子(株)製走査型電子顕微鏡で、下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面を測定し、下地処理剤組成物の浸透性を反射電子像(BED)で確認した。図1は、実施例3の下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面写真である。図2は、実施例8の下地処理剤組成物を塗布した試験板の断面写真である。なお、参照符号1は下地処理剤組成物の下地処理層、参照符号2は錆層、参照符号3は上塗り塗料層、参照符号4は微粒子防錆剤、参照符号5は試験板基材である。
表2に示されるように、本発明の下地処理剤組成物は、垂直面に塗装する際にも垂れにくく、塗布しやすく、造膜性、付着性が優れ、長期の防食性も優れた。また、図1~図2に示されるように、下地処理剤組成物の下地処理層1は、50μm以上の錆層2へも浸透していた。すなわち、本発明の下地処理剤組成物は、鋼材表面の錆への浸透性がよく、錆内部において、充分にアミン化合物と硬化することにより、さらなる錆の発生を抑制することができると考えられた。
1 下地処理層
2 錆層
3 上塗り塗料層
4 微粒子防錆剤
5 試験板基材
2 錆層
3 上塗り塗料層
4 微粒子防錆剤
5 試験板基材
Claims (7)
- 表面に錆を有する鋼材に塗布して使用される下地処理剤組成物であり、
エポキシ樹脂(A)と、アミン化合物(B)と、有機溶剤(C)とを含み、
前記エポキシ樹脂(A)は、23℃で液状である低分子エポキシ樹脂(A-1)と、23℃で固体である高分子エポキシ樹脂(A-2)とを含む、下地処理剤組成物。 - 前記アミン化合物(B)は、脂肪族アミン(B-1)と、ポリアミドアミン(B-2)とを含む、請求項1記載の下地処理剤組成物。
- さらに、エポキシ基を有する反応性希釈剤(D)を含む、請求項1または2記載の下地処理剤組成物。
- さらに、平均粒子径3μm以下である防錆顔料(E)を含む、請求項1または2記載の下地処理剤組成物。
- 前記有機溶剤(C)は、有機溶剤中毒予防規則に非該当であるか、または、前記有機溶剤中毒予防規則の第3種有機溶剤等に該当する有機溶剤を含む、請求項1または2記載の下地処理剤組成物。
- 請求項1または2記載の下地処理剤組成物を、表面に錆を有する鋼材に塗布し、下地処理層を形成する下地処理工程と、
前記下地処理層上に、塗料を塗布して塗料層を形成する塗布工程と、を含む、塗装品の製造方法。 - 前記塗布工程は、鱗片状顔料を含むエポキシ樹脂系塗料を塗布して第1塗料層を形成する第1塗布工程と、前記第1塗料層上に第2塗料層を形成する第2塗布工程とを含む、請求項6記載の塗装品の製造方法。
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