JP2025019646A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、空気入りタイヤに関し、より詳しくは、タイヤ周方向に延びる主溝を備え、車両に対する装着方向が指定されたタイヤに関する。
従来、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、主溝により区画されたリブ状のブロックとを備える空気入りタイヤが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のタイヤは、ブロックに形成された横溝およびサイプを有し、溝幅が大きな第2の周方向溝に連通する横溝およびサイプの溝幅の合計値が、溝幅が小さな第1の周方向溝に連通する横溝およびサイプの溝幅の合計値よりも小さいことを特徴とする。特許文献1には、ウェット性能、雪上性能、ノイズ性能が向上する、との効果が記載されている。
ところで、車両に対する装着方向が指定されたタイヤは、一般的に、装着方向が指定されないタイヤと比べてハイパフォーマンスであるが、その分、求められる性能レベルも高い。特に、ウェット性能とドライ性能を両立することは重要な課題である。なお、特許文献1のタイヤは、ウェット性能とドライ性能の両立について未だ改良の余地が大きい。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッドを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤであって、トレッドは、タイヤ周方向に延びる4本の主溝と、各主溝により区画された複数のブロックとを有し、各主溝の幅は、車両内側に配置される第1方向側から車両外側に配置される第2方向側に向かって次第に狭くなることを特徴とする。
本発明に係る空気入りタイヤによれば、ウェット性能とドライ性能の両立を図ることができる。本発明に係る空気入りタイヤは、例えば、スノー性能にも優れ、オールシーズンタイヤに好適である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る空気入りタイヤの実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本発明は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する実施形態の各構成要素を選択的に組み合わせてなる形態は本発明に含まれている。
図1は、実施形態の一例である空気入りタイヤ1の平面図である。空気入りタイヤ1は、路面に接地する部分であるトレッド10を備え、車両に対する装着方向が指定されたタイヤである。即ち、空気入りタイヤ1は、車両の右側と左側とで車両に装着する向きが反対になる。トレッド10は、タイヤ赤道CLの左右で異なったトレッドパターンを有する。赤道CLとは、トレッド10のタイヤ軸方向中央を通るタイヤ周方向に沿った仮想線である。なお、本実施形態では、図1の矢印αで示す方向を空気入りタイヤ1の主回転方向(車両の前進時に回転する方向)とする。
トレッド10は、タイヤ周方向に延びる4本の主溝と、各主溝により区画された複数のブロックとを有する。4本の主溝には、車両内側に配置される第1方向側から順に、第1の主溝11、第2の主溝12、第3の主溝13、および第4の主溝14が含まれる。各主溝は、タイヤ周方向に沿って互いに平行に延びる周方向溝であって、互いに異なる幅で形成されている。詳しくは後述するが、各主溝の幅は、車両内側に配置される第1方向側から車両外側に配置される第2方向側に向かって次第に狭くなっている。この構成を採用することにより、ウェット性能とドライ性能が高度に両立される。
複数のブロックには、センターブロック20と、赤道CLよりも車両内側に配置される第1のショルダーブロック30と、赤道CLよりも車両外側に配置される第2のショルダーブロック40とが含まれる。複数のブロックには、さらに、センターブロック20とショルダーブロック30との間に配置される第1のメディエイトブロック50と、センターブロック20とショルダーブロック40との間に配置される第2のメディエイトブロック60とが含まれる。各ブロックは、タイヤ周方向に延びたリブ状のブロックである。ブロックは、タイヤ径方向外側に向かって突出した凸部であって、タイヤ業界では陸と呼ばれる場合がある。
センターブロック20およびショルダーブロック30,40には、主溝と交差する方向に延びる横溝として、幅1.5mm以上のスリット21,31,41,42と、幅1.5mm未満のサイプ22,23,32,43とがそれぞれ形成されている。メディエイトブロック50についても同様に、横溝として、スリット51と、サイプ52とが形成されている。メディエイトブロック60には、横溝として、サイプ61,62だけが形成され、幅が1.5mm以上のスリットは形成されていない。
各ブロックの横溝は、主溝よりも幅が狭いタイヤ軸方向に延びる溝であって、主溝に対して交差する方向に延び、ブロック毎に異なるパターンで形成されている。本明細書では、幅が1.5mm以上の横溝をスリット、幅が1.5mm未満の横溝をサイプとそれぞれ定義する。スリットの幅は、好ましくは2.0mm以上4.0mm以下である。サイプの幅は、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
詳しくは後述するが、空気入りタイヤ1は、多数の横溝を有し、スノー性能にも優れる。このため、空気入りタイヤ1は、オールシーズンタイヤに好適である。適切に配置された横溝は、タイヤの接地圧を効果的に分散させ、またエッジ効果を高めて、制動性能、コーナリングパワー特性(以下、「CP特性」とする)、およびスノー性能を向上させる。
空気入りタイヤ1は、タイヤ軸方向外側に膨らんだ一対のサイドウォール2と、一対のビードとを備える。サイドウォール2は、トレッド10の左右両端からタイヤ径方向内側に延び、空気入りタイヤ1の側面を形成している。本実施形態では、タイヤ側面の上部に、外側に向かって小さく突出したサイドリブ3がタイヤ周方向に沿って環状に形成され、このサイドリブ3がトレッド10とサイドウォール2の境界位置となる。ビードは、ホイールのリムに固定される部分である。
空気入りタイヤ1の接地端E1,E2、又はその近傍から左右のサイドリブ3までの部分は、ショルダー又はバットレス領域とも呼ばれる。接地端E1は空気入りタイヤ1が車両に装着されたときに車両内側に位置する第1の接地端、接地端E2は車両外側に位置する第2の接地端であり、それぞれショルダーブロック40,50に位置する。また、以下では、接地端E1と赤道CLの間の領域を第1領域R1、接地端E2と赤道CLの間の領域を第2領域R2とそれぞれ定義する。
本明細書において、接地端E1,E2は、未使用の空気入りタイヤ1を正規リムに装着して正規内圧となるように空気を充填した状態で所定の荷重を加えたときに、平坦な路面に接地する領域(接地面)のタイヤ軸方向両端と定義される。乗用車用タイヤの場合、所定の荷重は正規荷重の88%に相当する荷重である。
ここで、「正規リム」とは、タイヤ規格により定められたリムであって、JATMAであれば「標準リム」、TRAおよびETRTOであれば「Measuring Rim」である。「正規内圧」は、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」である。正規内圧は、乗用車用タイヤの場合は通常180kPaであるが、Extra Load、又はReinforcedと記載されたタイヤの場合は220kPaとする。「正規荷重」は、JATMAであれば「最大負荷能力」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」である。
空気入りタイヤ1は、例えば、カーカス、ベルト、およびキャッププライを備える。カーカスは、ゴムで被覆されたコード層であって、荷重、衝撃、空気圧等に耐えるタイヤの骨格となる。カーカスは、2枚のカーカスプライにより構成され、タイヤ周方向に対して直交する方向にカーカスコードが配置されたラジアル構造を有する。カーカスの内側には、一般的に、空気圧を保持するためのゴム層であるインナーライナーが設けられている。ベルトは、トレッド10を構成するゴムとカーカスとの間に配置される補強帯である。
空気入りタイヤ1は、車両に対する装着方向が指定されたタイヤとして使用されるため、車両に対する装着方向を示すための表示を有することが好ましい。装着方向を示す表示は、車両内側又は外側を示す文字、記号、イラスト等であってもよく、その構成は特に限定されない。一般的に、サイドウォール2にはセリアルと呼ばれる記号が設けられているが、装着方向を示す表示としてセリアルを用いてもよい。
セリアルには、例えば、サイズコード、製造時期(製造年週)、製造場所(製造工場コード)などの情報が含まれる。車両の外側を向くサイドウォール2のみにセリアルを設ける、或いは車両の外側を向くサイドウォール2と、内側を向くサイドウォール2とで異なるセリアルを設けることにより、車両に対する空気入りタイヤ1の装着方向を特定してもよい。具体例としては、両方のサイドウォール2に製造工場コードおよびサイズコードを設け、車両の外側を向くサイドウォール2のみに製造年週を設けることが挙げられる。
以下、図2を参照しながら、4本の主溝の構成について詳説する。
図2は、図1中のAA線断面の一部を示す図である。4本の主溝は、上記のように、互いに異なる幅を有する。4本の主溝の幅は、車両内側の接地端E1側から車両外側の接地端E2側に向かって次第に狭くなっている。即ち、4本の主溝において、最も接地端E1の近くに位置する主溝11の幅W1が最大となり、最も接地端E2の近くに位置する主溝14の幅W4が最小となる。そして、4本の主溝の幅について、主溝11の幅W1>主溝12の幅W2>主溝13の幅W3>主溝14の幅W4の条件を満たす。
空気入りタイヤ1によれば、上記4本の主溝を備えることにより、車両内側の第1領域R1で良好な排水性能が発揮され、ウェット路面での優れた制動性能が得られる。また、車両外側の第2領域R2では、路面に接地する面積が大きくなり、ドライ路面での優れたCP特性が得られる。このため、空気入りタイヤ1は、ウェット性能とドライ性能が高度に両立されたハイパフォーマンスタイヤとなる。
本明細書において、主溝の幅とは、トレッド10のプロファイル面に沿った溝幅、言い換えると、溝の開口部における溝幅を意味する。プロファイル面は、トレッド10の表面に沿った面である。横溝についても同様であるが、後述する切開部の幅は溝幅に含めない。空気入りタイヤ1の総幅は、特に限定されないが、一例としては205mm以上275mm以下である。また、空気入りタイヤ1の接地幅は、例えば、165mm以上222mm以下である。
第1の主溝11は、第1のショルダーブロック30と第1のメディエイトブロック50を分断する周方向溝である。主溝11は、タイヤ周方向に真っ直ぐ延び、全長にわたって実質的に一定の幅で環状に形成されている。また、主溝11の深さは、例えば、摩耗インジケータが形成された部分を除き、全長にわたって実質的に一定である。主溝11の幅W1は、4本の主溝において最大であり、好適な一例としては、2番目に大きな主溝12の幅W2の1.05倍以上1.10倍以下である。
第2の主溝12は、センターブロック20と第1のメディエイトブロック50を分断する周方向溝である。主溝12は、タイヤ周方向に真っ直ぐ延び、全長にわたって実質的に一定の幅で環状に形成されている。主溝12の幅W2は、4本の主溝において2番目に大きく、本実施形態では、最も大きな主溝11の幅W1よりも3番目に大きな主溝13の幅W3に近い大きさとなっている。主溝12の幅W2は、例えば、主溝13の幅W3の1.05倍以上1.10倍以下である。
第3の主溝13は、センターブロック20と第2のメディエイトブロック60を分断する周方向溝である。主溝13は、タイヤ周方向に真っ直ぐ延び、全長にわたって実質的に一定の幅で環状に形成されている。主溝13の幅W3は、4本の主溝において3番目に大きく、本実施形態では、最も小さな主溝14の幅W4よりも2番目に大きな主溝12の幅W2に近い大きさとなっている。主溝13の幅W3は、例えば、主溝14の幅W4の1.01倍以上1.05倍以下、又は1.02倍以上1.04倍以下である。
第4の主溝14は、第2のショルダーブロック40と第2のメディエイトブロック60を分断する周方向溝である。主溝14は、タイヤ周方向に真っ直ぐ延び、全長にわたって実質的に一定の幅で環状に形成されている。主溝14の幅W4は、上記の通り、4本の主溝において最小である。本実施形態では、各主溝の幅の差が、主溝13の幅W3と主溝14の幅W4との間で最も大きくなっている。主溝14の幅W4は、例えば、主溝11の幅W1の0.5倍以上0.8倍以下、又は0.6倍以上0.7倍以下である。
空気入りタイヤ1の総幅が205mm以上275mm以下である場合、各主溝の幅の好適な一例は、下記の通りである。
W1:13.4mm±0.5mm
W2:12.6mm±0.5mm
W3:12.2mm±0.5mm
W4:8.9mm±0.3mm
W1:13.4mm±0.5mm
W2:12.6mm±0.5mm
W3:12.2mm±0.5mm
W4:8.9mm±0.3mm
4本の主溝は、それぞれ上記の幅で、互いに平行に形成されている。上記のように、主溝12の幅W2と主溝13の幅W3を近似する幅とすることにより、トレッド10のセンター領域における排水性能が安定化し、良好なウェット制動性能が得られる。また、主溝13の幅W3と主溝14の幅W4の差(W3-W4)を大きくすることにより、第2領域R2の接地面積を大きくでき、CP特性の改善効果がより顕著になる。
4本の主溝は、互いに同じ深さを有していてもよく、互いに異なる深さを有していてもよい。本実施形態では、主溝12,13の深さが実質的に同じであり、主溝11は、主溝12,13よりもやや浅くなっている。主溝14の深さは、例えば、主溝11の深さと実質的に同じである。なお、摩耗インジケータは、全ての主溝に形成されてもよく、一部の主溝だけに形成されてもよい。本実施形態では、各主溝の深さは、全長にわたって実質的に一定(但し、摩耗インジケータが存在する場合はその部分を除く)である。
主溝12,13の深さの一例は、主溝11の深さの1.01倍以上1.15倍以下であり、7.7mm±9.0mmである。各主溝の壁は、溝底に向かって次第に溝体積が小さくなるように傾斜している。主溝の壁はブロックの測壁を構成するため、言い換えると、ブロックは接地面から離れるほどブロック幅が広くなるように側壁が傾斜している。本明細書において、溝の深さとは、プロファイル面から最深部の溝底までの長さを意味する。
本実施形態では、センターブロック20およびメディエイトブロック50,60の接地端E1側の端に、主溝11,12,13に沿って斜面26,55,65がそれぞれ形成されている。斜面26,55,65は、例えば、各ブロックの接地面から主溝11,12,13の深さの20%以内の深さ範囲において、プロファイル面に対して20°以上50°以下の角度で傾斜し、タイヤ周方向に沿って一定の幅で形成される。主溝11,12,13は、当該斜面により開口部近傍で拡幅の程度が大きくなっている。
以下、図3を参照しながら、トレッドパターンの全体構成について説明する。
図3は、トレッド10の一部の拡大図(平面図)である。トレッド10は、上記のように、接地端E1側から順に、第1のショルダーブロック30、第1のメディエイトブロック50、センターブロック20、第2のショルダーブロック40、および第2のメディエイトブロック60を有する。センターブロック20は赤道CL上に配置され、例えば、ブロックの幅方向中央は赤道CLよりも僅かに接地端E2側に位置する。
トレッド10の車両内側に配置される第1領域R1のボイド比は、車両外側に配置される第2領域R2のボイド比よりも大きいことが好ましい。ここで、ボイド比とは、各領域のプロファイル面の面積(接地面積+ボイドに対応する面積)に占めるボイドに対応する面積の割合を意味する。なお、主溝、スリット、およびサイプの面積をカウントする場合のボイド比を「ボイド比A」、サイプの面積をカウントしない場合のボイド比を「ボイド比B」とする。
第1領域R1には、幅が最大の主溝11、および幅が2番目に大きな主溝12が配置され、さらに、第2領域R2よりも多くのスリットが形成される。このため、第1領域R1のボイド比は第2領域R2のボイド比よりも大きくなる。トレッド10のボイド比を第1領域R1>第2領域R2とすることにより、ウェット性能とドライ性能を両立することが容易になる。
第1領域R1のボイド比は、第2領域R2のボイド比の1.05倍以上1.10倍以下が好ましい。第1領域R1において、ボイド比Aは38%以上43%以下が好ましく、ボイド比Bは36%以上41%以下が好ましい。第2領域R2において、ボイド比Aは32%以上37%以下が好ましく、ボイド比Bは30%以上35%以下が好ましい。
センターブロック20およびメディエイトブロック50,60は、互いに同じ幅を有していてもよく、互いに異なる幅を有していてもよい。本実施形態では、この3つのブロックが実質的に同じ幅を有する。空気入りタイヤ1の総幅が205mm以上275mm以下である場合、センターブロック20およびメディエイトブロック50,60の接地面の幅の一例は、20.5mm以上28.5mm以下である。
第2のショルダーブロック40の接地面の幅は、第1のショルダーブロック30の接地面の幅よりも大きい。この場合、ウェット性能とドライ性能を両立することが容易になる。ショルダーブロック40の接地面の幅は、ショルダーブロック30の接地面の幅の1.01倍以上1.10倍以下が好ましい。
センターブロック20および第1のメディエイトブロック50には、接地端E1側の端、即ち車両内側に配置される当該各ブロックの幅方向第1端からスリット21,51がそれぞれ形成されている。スリット21は、主溝12につながり、センターブロック20内で終端している。また、スリット51は、主溝11につながり、ブロック内で終端している。スリット51の本数は、スリット21の本数よりも多く、本実施形態ではスリット21の本数の2倍である。
センターブロック20および第1のメディエイトブロック50には、接地端E2側の端、即ち車両外側に配置される当該各ブロックの幅方向第2端からサイプ22,52がそれぞれ形成されている。サイプ22は、主溝13につながり、センターブロック20内で終端している。また、サイプ52は、主溝12につながり、メディエイトブロック50内で終端している。センターブロック20には、さらに、当該ブロックを横切るサイプ23が形成されている。
本実施形態において、センターブロック20のスリット21およびサイプ22は、当該ブロックの幅の50%以上の長さでそれぞれ形成され、スリット21およびサイプ22は、タイヤ周方向に交互に配置され、当該各ブロック内で終端している。第1のメディエイトブロック50についても同様に、スリット51およびサイプ52は、当該ブロックの幅の50%以上の長さでそれぞれ形成され、スリット51およびサイプ52は、タイヤ周方向に交互に配置され、当該各ブロック内で終端している。なお、スリット21,51を各ブロックの接地端E2側の端から形成し、サイプ22,52を各ブロックの接地端E1側の端から形成することも可能であるが、本実施形態の構成の方がCP特性の改善効果がより顕著である。
センターブロック20および第1のメディエイトブロック50に形成されるスリットとサイプは、接地圧を分散させると共に、ブロックにエッジ効果を付与し、特にウェット性能とスノー性能の向上に寄与する。当該スリットとサイプは、例えば、互いに平行に配置されている。本実施形態では、センターブロック20に形成されたスリット21とサイプ22,23の本数の合計と、メディエイトブロック50に形成されたスリット51とサイプ52の本数の合計とが同数となっている。
第2のメディエイトブロック60には、接地端E1側の端、即ち車両内側に配置される当該ブロックの幅方向第1端から延びる第1のサイプ61と、接地端E2側の端、即ち車両外側に配置される当該ブロックの幅方向第2端から延びる第2のサイプ62とがタイヤ周方向に交互に形成されている。一方、メディエイトブロック60には、幅が1.5mm以上のスリットは形成されていない。さらに、メディエイトブロック60における横溝の本数は、メディエイトブロック50における横溝の本数よりも少ない。サイプ61,62を形成することでメディエイトブロック60の接地圧を分散させつつ、スリットを形成しないことでブロックの高い剛性を確保できる。
第1のショルダーブロック30には、1種類のスリット31と、2種類のサイプ32,33とが形成されている。スリット31は、細溝33を介して主溝11につながっている。また、サイプ32は、隣り合う2本のスリット31の間に配置されている。なお、ショルダーブロック30のスリットは、その全てが細溝33を介して主溝11につながり、主溝11に直接つながるものは存在しない。この場合、良好な排水性能を確保しつつ、ショルダーブロック30の高い剛性を確保でき、ウェット、ドライの両方の路面において優れた制動性能が得られる。
第2のショルダーブロック40には、2種類のスリット41,42と、2種類のサイプ43,44とが形成されている。第1のスリット41は主溝14に直接つながり、第2のスリット42はサイプ44を介して主溝14につながっている。スリット41,42はタイヤ周方向に交互に配置され、隣り合うスリット41,42の間にサイプ43が配置されている。スリット41,42を交互に配置することで、良好な排水性能を確保しつつ、ショルダーブロック40の高い剛性を確保でき、優れたCP特性が得られる。
ショルダーブロック30,40には、上記のように、主溝につながるスリットが複数配置され、各スリットの間にサイプが配置されている。ショルダーブロック30のスリット31の本数は、ショルダーブロック40のスリット41,42の合計の本数、およびメディエイトブロック50のスリット51の本数と同数となっている。また、ブロックの周長に対する、各スリットの間に配置されたサイプの本数は、第2のショルダーブロック40よりも第1のショルダーブロック30において多い。ショルダーブロック30におけるサイプ32の本数は、ショルダーブロック40におけるサイプ43の本数よりも多く、好ましくはサイプ43の本数の2倍である。なお、サイプ32,43はいずれも、主溝から接地端まで延びるサイプである。
一般的な車両の多くにはキャンバー角が設定されるため、トレッド10の第1領域R1では第2領域R2と比較して接地圧が高くなり接地長も長くなる。このため、第1領域R1にサイプを多く形成することにより、接地圧を分散させると共に、エッジ効果および雪柱せん断力を高めることで、摩擦係数が低いアイス路面や雪上路面でのトラクション性能、制動性能を向上させることができる。センターブロック20および第1のメディエイトブロック50には、スリットを形成しつつも、スリットと逆の方向からサイプを形成することで、ブロック剛性の低下を抑制しながらトラクション性能と制動性能を向上させることができる。
以下、図4~図6を適宜参照しながら、各ブロックの構成について詳説する。
[センターブロック]
図4および図5に示すように、センターブロック20には、接地端E1側の端からスリット21が、接地端E2側の端からサイプ22がそれぞれ形成され、さらに、ブロックを横切るサイプ23が形成されている。サイプ23の幅は1.5mm未満であり、好ましくは0.3mm以上1.0mmである。センターブロック20は、幅が1.5mm以上の横溝(スリット)により分断されず、タイヤの全周にわたって実質的に連続した陸である。タイヤ業界では、このような陸を慣習的にリブと呼ぶ場合があり、センターブロック20はリブと言える。
図4および図5に示すように、センターブロック20には、接地端E1側の端からスリット21が、接地端E2側の端からサイプ22がそれぞれ形成され、さらに、ブロックを横切るサイプ23が形成されている。サイプ23の幅は1.5mm未満であり、好ましくは0.3mm以上1.0mmである。センターブロック20は、幅が1.5mm以上の横溝(スリット)により分断されず、タイヤの全周にわたって実質的に連続した陸である。タイヤ業界では、このような陸を慣習的にリブと呼ぶ場合があり、センターブロック20はリブと言える。
スリット21、サイプ22、およびサイプ23の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。センターブロック20の構成は、特に直進走行時の制動性能に大きく影響するが、本実施形態では、ブロックの接地圧が効果的に分散されると共に、エッジ効果も発揮され、CP特性およびスノー性能の向上にも十分に寄与するように設計されている。
スリット21、サイプ22、およびサイプ23は、タイヤ周方向および軸方向に対して交差する方向に直線状に延び、タイヤ軸方向に対する傾きが10°以上30°以下となっている。また、いずれの横溝も、互いに平行に形成され、接地端E1側の長さ方向の第1端部が、接地端E2側の長さ方向の第2端部よりもタイヤ主回転方向後方に位置するように、タイヤ軸方向に対して上記角度で傾いている。
スリット21、サイプ22、およびサイプ23の本数は、同じであってもよいが、本実施形態では異なっており、サイプ22の本数が最も多くなっている。スリット21とサイプ23の本数は同じである。この3種類の横溝は、タイヤ周方向に、サイプ22、スリット21、サイプ22、サイプ23の順で配置されている。即ち、スリット21とサイプ23の間にはサイプ22が配置される。
スリット21、サイプ22、およびサイプ23の深さは、最も深い部分において、例えば、主溝12,13の深さの50%以上90%以下、又は60%以上80%以下である。本実施形態では、主溝13につながるサイプ22,23の長さ方向の第2端部が、サイプ22,23の他の部分よりも浅くなっている。この構成は、主溝13側においてブロックの剛性を向上させ、CP特性の改善に寄与する。サイプ22,23の幅は、全長にわたって実質的に一定であり、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
スリット21は、主溝12から赤道CLおよびブロックの幅方向中央を超えて、主溝13に至らない長さで形成されている。また、サイプ22は、主溝13からブロックの幅方向中央および赤道CLを超えて、主溝13に至らない長さで形成されている。スリット21とサイプ22のタイヤ軸方向に沿った長さは、例えば、センターブロック20の幅の50%以上90%以下、又は55%以上80%以下である。スリット21とサイプ22の長さは同じであってもよいが、本実施形態では、スリット21がサイプ22よりもやや長く形成されている。
スリット21は、先端(接地端E2側の端)に向かって溝幅が次第に小さくなった先細り形状を有する。但し、溝幅が次第に小さくなる部分は、スリット21の先端近傍のみであり、その他の部分は実質的に同じ幅で形成されている。スリット21の幅は、最も大きな部分において、2.0mm以上4.0mm以下であることが好ましい。スリット21の深さは、全長にわたって一定であってもよく、先端の近傍が浅くなっていてもよい。
スリット21の縁には、スリット21の長さ方向に沿って切開部24,25が形成されている。切開部24,25は、スリット21の開口部の幅方向両縁を面取りして切り開いたように形成される。切開部24,25は、大きな接地面積を確保しつつ接地圧を分散させる機能を有し、制動性能の向上に寄与する。切開部24,25は、センターブロック20の接地面から深さ2mmまでの範囲に形成されることが好ましい。スリット21の縁には、幅方向片側だけに切開部が形成されてもよいが、幅方向両側に切開部24,25を形成することで上記効果がより顕著になる。
切開部24,25は、例えば、スリット21の長さ方向の第1端部から先端(長さ方向の第2端部)又はその近傍にわたって形成され、スリット21の先端に向かって次第に縮幅している。切開部24,25の幅は、スリット21の幅より小さいことが好ましく、一例としては、幅が最大となる部分で1.0mm以上2.0mm以下である。スリット21の幅方向両縁には、切開部24,25により斜面が形成される。トレッド10のプロファイル面に対する当該斜面の傾斜角度の一例は、15°以上60°以下である。
[第1のショルダーブロック]
図4に示すように、第1のショルダーブロック30には、細溝33を介して主溝11につながったスリット31が形成されている。細溝33を介してスリット31を主溝11に連通させることで、良好な排水性能を確保しつつ、ショルダーブロック30の高い剛性を確保できる。また、ショルダーブロック30には、隣り合う2本のスリット31の間に、2本のサイプ32が形成されている。即ち、サイプ32の本数は、スリット31の本数の2倍である。スリット31およびサイプ32の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。
図4に示すように、第1のショルダーブロック30には、細溝33を介して主溝11につながったスリット31が形成されている。細溝33を介してスリット31を主溝11に連通させることで、良好な排水性能を確保しつつ、ショルダーブロック30の高い剛性を確保できる。また、ショルダーブロック30には、隣り合う2本のスリット31の間に、2本のサイプ32が形成されている。即ち、サイプ32の本数は、スリット31の本数の2倍である。スリット31およびサイプ32の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。
細溝33は、スリット31よりも幅が細い横溝であって、幅が1.5mmのスリット、又は幅が1.5mm未満のサイプのいずれであってもよい。ショルダーブロック30は、幅が1.5mm以上のスリットにより分断されず、タイヤの全周にわたって実質的に連続したリブであってもよい。或いは、ショルダーブロック30は、幅が1.5mm以上のスリットにより分断されていてもよいが、この場合も、細溝33の幅は2.0mm以下であることが好ましい。
スリット31は、主溝11の近傍から接地端E1を超えてサイドリブ3まで形成されている。スリット31は、タイヤ軸方向に沿うように形成されてもよく、サイドリブ3側の長さ方向の第1端部が、主溝11側の長さ方向の第2端部よりもタイヤ主回転方向前方に位置するように、タイヤ軸方向に対して緩やかに傾いていてもよい。スリット31は、例えば、平面視略直線状に形成され、タイヤ軸方向に対する傾きが15°以下である。また、スリット31は、長さ方向の第2端部の近傍で縮幅し、その他の部分は実質的に一定の幅を有する。スリット31の幅は、最も大きな部分において、3.1mm以上5.1mm以下であることが好ましい。
サイプ32は、タイヤ軸方向に沿って真っ直ぐに形成されてもよく、緩やかに湾曲していてもよい。本実施形態において、サイプ32は、主溝11から接地端E1を超えてサイドリブ3に至らない長さで、スリット31と実質的に平行に形成されている。また、サイプ32は、主溝11の近傍において、タイヤ軸方向に対する傾きが大きくなるように屈曲している。サイプ32の曲がりが最大となる屈曲部37は、スリット31および細溝33の交点とタイヤ周方向に並ぶように形成されている。
スリット31およびサイプ32の深さは、最も深い部分において、例えば、主溝11の深さの50%以上90%以下、又は60%以上80%以下である。また、主溝11につながるサイプ32の長さ方向の第2端部、具体的には主溝11から屈曲部37までの範囲の少なくとも一部が、サイプ32の屈曲部37から接地端E1までの部分よりも浅くなっていてもよい。この構成は、ショルダーブロック30の剛性を向上させ、制動性能およびCP特性の改善に寄与する。サイプ32の幅は、全長にわたって実質的に一定であり、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
スリット31の縁には、スリット31の長さ方向に沿って切開部34,35が形成されている。切開部34,35の幅は、スリット31の幅より小さいことが好ましく、一例としては、幅が最大となる部分で1.0mm以上1.5mm以下である。また、サイプ32の主溝11から屈曲部37までの部分の縁には、サイプ32の幅方向片側に切開部36が形成されている。切開部36は、主溝11に近づくほど次第に拡幅し、幅が最大となる部分ではサイプ32の幅よりも幅広に形成される。
切開部34,35,36は、ショルダーブロック30の接地面から深さ2mmまでの範囲に形成されることが好ましい。切開部34,35,36は、横溝の開口縁を面取りして切り開いたように形成され、大きな接地面積を確保しつつ接地圧を分散させる機能を有する。スリット31およびサイプ32の縁には、切開部により斜面が形成される。プロファイル面に対する当該斜面の傾斜角度の一例は、15°以上60°以下である。
細溝33は、主溝11とスリット31をつなぐ短い横溝であって、サイプ32の主溝11から屈曲部37までの部分と実質的に平行に形成されている。細溝33の幅は、排水性等の観点から、サイプ32の幅よりも大きく、スリット31の幅よりも小さい。好ましくは、1.3mm以上1.7mm以下である。細溝33の深さは、ブロック剛性の確保等の観点から、スリット31の最深部よりも浅いことが好ましい。なお、細溝33の縁には、切開部は形成されていない。
[第1のメディエイトブロック]
図4に示すように、第1のメディエイトブロック50には、接地端E1側の端からスリット51が、赤道CL側の端からサイプ52がそれぞれ形成されている。スリット51およびサイプ52の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。スリット51とサイプ52は、互いに平行に同じ本数で形成され、タイヤ周方向に交互に千鳥状に配置されている。
図4に示すように、第1のメディエイトブロック50には、接地端E1側の端からスリット51が、赤道CL側の端からサイプ52がそれぞれ形成されている。スリット51およびサイプ52の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。スリット51とサイプ52は、互いに平行に同じ本数で形成され、タイヤ周方向に交互に千鳥状に配置されている。
スリット51およびサイプ52は、タイヤ周方向および軸方向に対して交差する方向に直線状に延び、タイヤ軸方向に対する傾きが10°以上30°以下となっている。また、スリット51とサイプ52は、スリット51がショルダーブロック30のスリット31又は細溝33と同一直線上に位置し、サイプ52がサイプ32と同一直線上に位置している。この場合、第1領域R1の赤道CLの近傍におけるブロック剛性のバランスが良好になり、接地圧の分散効果が向上する。
スリット51およびサイプ52の深さは、最も深い部分において、例えば、主溝12の深さの50%以上90%以下、又は60%以上80%以下である。本実施形態では、主溝12につながるサイプ52の長さ方向の第2端部が、サイプ52の他の部分よりも浅くなっている。この構成は、主溝12側においてブロックの剛性を向上させ、CP特性の改善に寄与する。サイプ52の幅は、全長にわたって実質的に一定であり、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
スリット51は、主溝11からメディエイトブロック50の幅方向中央を超えて、主溝12に至らない長さで形成されている。また、サイプ52は、主溝12からブロックの幅方向中央を超えて、主溝11に至らない長さで形成されている。スリット51とサイプ52のタイヤ軸方向に沿った長さは、例えば、メディエイトブロック50の幅の50%以上90%以下、又は55%以上80%以下である。スリット51とサイプ52は、実質的に同じ長さであってもよい。
スリット51およびサイプ52は、互いに交わらず、メディエイトブロック50内で終端している。メディエイトブロック50には幅方向に横断するスリットおよびサイプが形成されておらず、メディエイトブロック50はタイヤの全周にわたって連続している。メディエイトブロック50は、慣習上、リブと言える。
スリット51は、ショルダーブロック30のスリット31と同様の形状であり、先端(接地端E2側の端)の近傍は先端に向かって溝幅が次第に小さくなった先細り形状を有する。スリット51の幅と深さは、スリット31の場合と同様である。また、スリット51の縁には、スリット51の長さ方向に沿って切開部53,54が形成されている。切開部53,54は、センターブロック20の切開部24,25と同様に、ブロックの接地面から深さ2mmまでの範囲において、スリット51の幅より小さな幅で形成されることが好ましい。切開部53,54により形成される斜面のプロファイル面に対する傾斜角度は、例えば、15°以上60°以下である。
[第2のショルダーブロック]
図5に示すように、第2のショルダーブロック40には、主溝14に直接つながったスリット41、およびサイプ44を介して主溝14につながったスリット42が形成されている。サイプ44を介してスリット42を主溝14に連通させることで、良好な排水性能を維持しつつ、ショルダーブロック40の高い剛性を確保できる。また、ショルダーブロック40には、隣り合うスリット41,42の間に、1本のサイプ43が形成されている。スリット41,42、およびサイプ43の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。
図5に示すように、第2のショルダーブロック40には、主溝14に直接つながったスリット41、およびサイプ44を介して主溝14につながったスリット42が形成されている。サイプ44を介してスリット42を主溝14に連通させることで、良好な排水性能を維持しつつ、ショルダーブロック40の高い剛性を確保できる。また、ショルダーブロック40には、隣り合うスリット41,42の間に、1本のサイプ43が形成されている。スリット41,42、およびサイプ43の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。
スリット41は、主溝14から接地端E2を超えてサイドリブ3まで形成されている。また、スリット42は、主溝14の近傍から接地端E2を超えてサイドリブ3に至らない長さで形成されている。スリット41,42は、タイヤ軸方向に沿うように形成されてもよく、主溝14側の長さ方向の第1端部が、サイドリブ3側の長さ方向の第2端部よりもタイヤ主回転方向前方に位置するように、タイヤ軸方向に対して緩やかに傾いていてもよい。スリット41,42は、例えば、平面視略直線状に形成され、タイヤ軸方向に対する傾きが15°以下である。また、スリット41,42は、主溝14の近傍で縮幅し、その他の部分は実質的に一定の幅を有する。スリット41,42の幅は、最も大きな部分において、4.5mm以上7.0mm以下であることが好ましい。
サイプ43は、タイヤ軸方向に沿って真っ直ぐに形成されてもよく、緩やかに湾曲していてもよい。本実施形態において、サイプ43は、主溝14から接地端E2を超えてサイドリブ3に至らない長さで、スリット41,42と実質的に平行に形成されている。また、サイプ43は、主溝14の近傍において、タイヤ軸方向に対する傾きが大きくなるように、ショルダーブロック30のサイプ32と反対の方向に屈曲している。サイプ43の曲がりが最大となる屈曲部48は、スリット41およびサイプ44の交点とタイヤ周方向に並ぶように形成されている。
スリット41,42およびサイプ43の深さは、最も深い部分において、例えば、主溝14の深さの50%以上90%以下、又は60%以上80%以下である。本実施形態では、スリット41の主溝14側の長さ方向の第1端部で溝底が隆起して浅くなっている。また、サイプ43の主溝14から屈曲部48までの部分は、屈曲部48から接地端E2までの部分よりも浅くなっていてもよい。この構成は、ショルダーブロック40の剛性を向上させ、特にCP特性の改善に寄与する。サイプ43の幅は、全長にわたって実質的に一定であり、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。
スリット41,42の縁には、各スリットの長さ方向に沿って切開部45,46がそれぞれ形成されている。切開部45,46の幅は、スリットの幅より小さいことが好ましく、一例としては、幅が最大となる部分で1.0mm以上1.5mm以下である。スリット41の縁に形成される切開部45,46の最大幅と、スリット42の縁に形成される切開部45,46の最大幅とは、同じであってもよい。また、サイプ43の主溝14から屈曲部48までの部分の縁には、サイプ43の幅方向片側に切開部47が形成されている。切開部47は、主溝14に近づくほど次第に拡幅し、幅が最大となる部分ではサイプ43の幅よりも幅広に形成される。
切開部45,46,47は、ショルダーブロック40の接地面から深さ2mmまでの範囲に形成されることが好ましい。切開部45,46,47は、横溝の開口縁を面取りして切り開いたように形成され、大きな接地面積を確保しつつ接地圧を分散させる機能を有する。スリット41,42およびサイプ43の縁には、切開部により斜面が形成される。プロファイル面に対する当該斜面の傾斜角度の一例は、15°以上60°以下である。
サイプ44は、主溝14とスリット42をつなぐ短いサイプであって、サイプ43の主溝14から屈曲部48までの部分と実質的に平行に形成されている。サイプ44の幅は、排水性等の観点から、サイプ43の幅よりも大きく、好ましくは0.8mm以上1.5mm未満である。サイプ44の深さは、ブロック剛性の確保等の観点から、スリット41の最深部よりも浅いことが好ましい。なお、サイプ44の縁には、切開部は形成されていない。
図6は、スリット41およびその近傍を拡大して示す斜視図である。図6に示すように、主溝14に直接つながるスリット41の縁には、主溝14から離れた始端位置45aより接地端E2を超える位置にわたって切開部45が形成されている。始端位置45aは切開部45の主溝14側の端であり、切開部45は始端位置45aから接地端E2を超える位置まで途切れることなく連続している。切開部46についても同様に、主溝14から離れた始端位置46aより接地端E2を超える位置にわたって形成される。始端位置45a,46aは、例えば、タイヤ周方向に並ぶ位置にある。
ショルダーブロック40は、CP特性向上の観点から高いブロック剛性を有することが好ましい。一方、大きな接地面積を確保しつつ接地圧を効果的に分散させる必要がある。本発明者の検討の結果、切開部45,46を主溝14から所定長さ離すことでブロックの剛性低下を抑えることができ、偏摩耗が効果的に抑制されることが分かった。主溝14の近傍はブロックの剛性が低くなるため、主溝14と連続して切開部を形成すると、ブロック剛性が大きく低下して偏摩耗が発生し易くなると考えられる。主溝14から所定長さの範囲に切開部が存在しない部分を設けることにより、偏摩耗が特異的に抑制され、ひいてはタイヤの乗り心地性能、耐久性、CP特性等が改善される。
主溝14から始端位置45aまでのタイヤ軸方向に沿った長さLは、例えば、スリット41の幅より短く、切開部45の最大幅より長い、或いは切開部45の最大幅と実質的に同じ長さである。具体的には、長さLの下限値は、0.5mmが好ましく、0.8mmがより好ましく、1.0mmが特に好ましい。長さLの上限値は、3.0mmが好ましく、2.5mmがより好ましく、2.0mmが特に好ましい。長さLが当該範囲内であれば、ショルダーブロック40の偏摩耗を効果的に抑制しつつ、切開部45の導入による効果を十分に得ることができる。長さLの好適な範囲の一例は、0.5mm~3.0mm、0.8mm~2.0mm、又は1.0mm~2.0mmである。
スリット41には、主溝14と隣接する領域に、溝底が盛り上がった隆起部41aが形成されている。隆起部41aが形成された部分のスリット41の深さは、例えば、スリット41の最深部の深さの40%~70%である。隆起部41aを設けることにより、良好な排水性とCP特性を両立することが容易になる。隆起部41aは、主溝14から所定長さ離れた位置P1まで実質的に一定の高さを有し、位置P1から次第に低くなるように形成されている。主溝14から位置P1までのタイヤ軸方向に沿った長さは、例えば、5mm~15mmである。
切開部45は、幅が変化する第1領域45bと、幅が実質的に一定である第2領域45cとを含む。第1領域45bは始端位置45aから離れるほど次第に拡幅し、第1領域45bには平面視三角形状の斜面が形成される。第1領域45bは、例えば、始端位置45aから位置P1にわたって形成される。第1領域45bを設けることにより、偏摩耗の抑制効果がより顕著になる。第2領域45cは、位置P1から接地端E2を超える位置にわたって形成される。切開部46についても同様に、幅が変化する第1領域46bと、幅が実質的に一定である第2領域46cとを含む。
[第2のメディエイトブロック]
図5に示すように、第2のメディエイトブロック60には、赤道CL側の端からサイプ61が、接地端E2側の端からサイプ62がそれぞれ形成されている。サイプ61,662の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。サイプ61,62は、互いに平行に同じ本数で形成され、タイヤ周方向に交互に千鳥状に配置されている。
図5に示すように、第2のメディエイトブロック60には、赤道CL側の端からサイプ61が、接地端E2側の端からサイプ62がそれぞれ形成されている。サイプ61,662の各々は、例えば、タイヤ周方向に所定本数単位で僅かに間隔を変化させたバリアブルピッチで形成される。サイプ61,62は、互いに平行に同じ本数で形成され、タイヤ周方向に交互に千鳥状に配置されている。
サイプ61,62は、タイヤ周方向および軸方向に対して交差する方向に直線状に延び、タイヤ軸方向に対する傾きが25°以上55°以下となっている。サイプ61,62は、主溝13側の長さ方向の第1端部が、主溝14側の長さ方向の第2端部よりもタイヤ主回転方向前方に位置するように、タイヤ軸方向に対して上記角度で傾いている。即ち、サイプ61,62は、センターブロック20および第1のメディエイトブロック50の横溝が延びる方向と交差する方向に延びている。
サイプ61,62の深さは、最も深い部分において、例えば、主溝13の深さの50%以上90%以下、又は60%以上80%以下である。サイプ61,62の幅は、全長にわたって実質的に一定であり、好ましくは0.3mm以上1.0mm以下である。また、サイプ61は、主溝13からメディエイトブロック60の幅方向中央を超えて、主溝14に至らない長さで形成されている。同様に、サイプ62は、主溝14からメディエイトブロック60の幅方向中央を超えて、主溝13に至らない長さで形成されている。サイプ61,62のタイヤ軸方向に沿った長さは、例えば、実質的に同じであり、メディエイトブロック50の幅の60%以上90%以下、又は70%以上85%以下である。
サイプ61,62は、互いに交わらず、メディエイトブロック60内で終端している。メディエイトブロック60には幅方向に横断するスリットおよびサイプが形成されておらず、メディエイトブロック60はタイヤの全周にわたって連続している。メディエイトブロック60は、慣習上、リブと言える。
サイプ61,62の縁には、サイプ61,62の長さ方向に沿って切開部63,64がそれぞれ形成されている。切開部63,64は、他の横溝の切開部と同様に、メディエイトブロック60の接地面から深さ2mmまでの範囲に形成されることが好ましいが、切開部63,64により形成される面がプロファイル面と実質的に平行である点で、他の切開部と異なる。切開部63,64は、例えば、サイプ61,62の長さの50%以上90%の長さで、かつサイプ61,62の幅よりも広い幅で形成され、主溝13,14に近づくほど次第に拡幅している。
本実施形態では、各ブロックの全てのスリットの縁に切開部が形成されている。また、ショルダーブロック30,40およびメディエイトブロック60のサイプの縁にも切開部が形成されている。このため、トレッド10の全体において大きな接地面積を確保しつつ、接地圧をバランス良く効果的に分散できる。
以上のように、上記構成を備えた空気入りタイヤ1によれば、ウェット性能とドライ性能を高度に両立できる。車両内側の第1領域R1から車両外側の第2領域R2に向かって溝幅が次第に狭くなる4本の主溝11,12,13,14を備えることにより、第1領域R1では良好な排水性能が発揮されてウェット路面での優れた制動性能が得られ、かつ第2領域R2では路面に接地する面積が大きくなってドライ路面での優れたCP特性が得られる。
空気入りタイヤ1は、さらに、適切に配置された多くのスリットとサイプにより、接地圧が効果的に分散されると共に、良好なエッジ効果が得られる。このため、空気入りタイヤ1は、ウェット性能とドライ性能が高度に両立され、かつ優れたスノー性能を有する。空気入りタイヤ1は、オールシーズンタイヤとして好適である。
なお、上記実施形態は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。トレッド10の各ブロックに形成されたスリットおよびサイプの構成は、タイヤのウェット性能、ドライ性能、およびスノー性能をバランス良く向上させる上で好適であるが、一部のスリット又はサイプを省略することや、その形状、長さ、幅、深さ等を変更することが可能である。
1 空気入りタイヤ、2 サイドウォール、3 サイドリブ、10 トレッド、11 第1の主溝、12 第2の主溝、13 第3の主溝、14 第4の主溝、20 センターブロック、21 スリット、22,23 サイプ、24,25 切開部、26 斜面、30 第1のショルダーブロック、31 スリット、32 サイプ、33 細溝、34,35,36 切開部、37 屈曲部、40 第2のショルダーブロック、41,42 スリット、41a 隆起部、43,44 サイプ、45,46,47 切開部、45a,46a 始端位置、45b,46b 第1領域、45c,46c 第2領域、48 屈曲部、50 第1のメディエイトブロック、51 スリット、52 サイプ、53,54 切開部、55 斜面、60 第2のメディエイトブロック、61,62 サイプ、63,64 切開部、65 斜面、CL 赤道、E1,E2 接地端
Claims (11)
- トレッドを備え、車両に対する装着方向が指定された空気入りタイヤであって、
前記トレッドは、
タイヤ周方向に延びる4本の主溝と、
前記各主溝により区画された複数のブロックと、
を有し、
前記各主溝の幅は、車両内側に配置される第1方向側から車両外側に配置される第2方向側に向かって次第に狭くなっている、空気入りタイヤ。 - 前記複数のブロックには、センターブロックと、タイヤ赤道よりも車両内側に配置される第1のショルダーブロックと、タイヤ赤道よりも車両外側に配置される第2のショルダーブロックとが含まれ、
前記センターブロック、前記第1のショルダーブロック、および前記第2のショルダーブロックには、横溝として、幅1.5mm以上のスリットと、幅1.5mm未満のサイプとが形成されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。 - ブロックの周長に対する、前記各スリットの間に配置された前記サイプの本数は、前記第2のショルダーブロックよりも前記第1のショルダーブロックにおいて多い、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記複数のブロックには、前記センターブロックと前記第1のショルダーブロックとの間に配置される第1のメディエイトブロックと、前記センターブロックと前記第2のショルダーブロックとの間に配置される第2のメディエイトブロックとがさらに含まれ、
前記センターブロックおよび前記第1のメディエイトブロックには、前記第1方向側の端から前記スリットが形成され、前記スリットはブロック内で終端している、請求項2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第2のメディエイトブロックには、前記サイプとして、前記第1方向側の端から延びる第1のサイプと、前記第2方向側の端から延びる第2のサイプとがタイヤ周方向に交互に形成され、
前記第2のメディエイトブロックにおける横溝の本数は、前記第1のメディエイトブロックにおける横溝の本数よりも少ない、請求項4に記載の空気入りタイヤ。 - 前記第1のメディエイトブロックにおける前記スリットの本数は、前記第1のショルダーブロックにおける前記スリットの本数と同じであり、かつ前記センターブロックにおける前記スリットの本数の2倍である、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2のショルダーブロックの接地面の幅は、前記第1のショルダーブロックの接地面の幅よりも大きい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2のショルダーブロックには、前記スリットとして、前記主溝に直接つながった第1のスリットと、前記サイプを介して前記主溝につながった第2のスリットとがタイヤ周方向に交互に形成され、
前記第1のショルダーブロックの前記スリットは、その全てが当該スリットよりも幅が狭い第3のスリット、又は前記サイプを介して前記主溝につながっている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。 - 前記スリットの縁には、切開部が形成されている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記センターブロックには、当該ブロックを横切る前記サイプが形成されている、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 車両内側に配置される第1の接地端とタイヤ赤道の間の領域を第1領域、車両外側に配置される第2の接地端とタイヤ赤道の間の領域を第2領域とそれぞれ定義した場合に、
前記第1領域のボイド比は、前記第2領域のボイド比よりも大きい、請求項2に記載の空気入りタイヤ。
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