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JP2025011541A - フィルムおよび積層体 - Google Patents

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JP2025011541A
JP2025011541A JP2023113719A JP2023113719A JP2025011541A JP 2025011541 A JP2025011541 A JP 2025011541A JP 2023113719 A JP2023113719 A JP 2023113719A JP 2023113719 A JP2023113719 A JP 2023113719A JP 2025011541 A JP2025011541 A JP 2025011541A
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一裕 中島
Kazuhiro Nakajima
紗也加 山下
Sayaka Yamashita
廉人 太田
Yasuhito Ota
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Nitto Denko Corp
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Abstract

Figure 2025011541000001
【課題】密着性に優れるフィルム、および、そのフィルムを備える積層体を提供すること。
【解決手段】フィルム1は、基材層3と硬化樹脂層4とを厚み方向一方側に向かって順に備える。硬化樹脂層4の厚み方向一方側に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、下記式(1)および下記式(2)を満足する。
COO/ICC>0.5 (1)
/ICC>1.2 (2)
【選択図】図1

Description

本発明は、フィルムおよび積層体に関し、詳しくは、フィルム、および、そのフィルムを備える積層体に関する。
エレクトロニクス製品において、軽量化および高機能化の観点から、有機材と無機材とが複合化された複合化材が開発されている。複合化材としては、例えば、有機材製の基材フィルムと、基材フィルム上の無機物層とを備える積層フィルムが知られている。
このような積層フィルムとして、例えば、フィルム基材およびハードコート層を順に備えるハードコートフィルムと、無機酸化物プライマー層と、反射防止層とを順に備える反射防止フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1では、ハードコート層上にプライマー層を形成する前に、ハードコート層に対して、プラズマ処理が施されている。このような処理によれば、ハードコートフィルム(ハードコート層)の表面の汚れおよび水分を除去することができ、ハードコートフィルムと反射防止層との密着性を向上させることができる。
特開2022-65437号公報
しかし、特許文献1の基材フィルム(ハードコートフィルム)では、密着性が不十分であるという不具合がある。そのため、基材フィルム(ハードコートフィルム)には、より一層優れた密着性が要求される。
本発明は、密着性に優れるフィルム、および、そのフィルムを備える積層体を提供する。
本発明[1]は、基材層と硬化樹脂層とを厚み方向一方側に向かって順に備え、前記硬化樹脂層の厚み方向一方側に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、下記式(1)および下記式(2)を満足する、フィルムである。
COO/ICC>0.5 (1)
/ICC>1.2 (2)
本発明[2]は、前記硬化樹脂層は、アクリレート樹脂の硬化物を含む、上記[1]に記載のフィルムを含んでいる。
本発明[3]は、上記[1]または[2]に記載のフィルムと、無機物層とを厚み方向一方側に向かって順に備える、積層体を含んでいる。
本発明[4]は、前記無機物層は、反射防止層であり、前記反射防止層は、厚み方向に沿って、互いに異なる屈折率を有する複数の層を備える、上記[3]に記載の積層体を含んでいる。
本発明[5]は、前記無機物層は、導電層である、上記[3]に記載の積層体を含んでいる。
本発明のフィルムは、硬化樹脂層の厚み方向一方面に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、下記式(1)および下記式(2)を満足する。そのため、密着性を向上させることができる。
COO/ICC>0.5 (1)
/ICC>1.2 (2)
本発明の積層体は、本発明のフィルムと無機物層とを厚み方向一方側に向かって順に備える。そのため、フィルムと無機物層との間において、密着性に優れる。
図1は、本発明のフィルムの一実施形態を示す。 図2は、低インダクタンスアンテナおよび中間積層体の位置関係を表す斜視図を示す。 図3は、低インダクタンスアンテナおよび中間積層体の位置関係を表す断面図である。 図4は、本発明の積層体の一実施形態を示す。 図5は、無機物層が反射防止層である積層体の一実施形態を示す。
図1を参照して、本発明のフィルムの一実施形態を説明する。
図1において、紙面上下方向は、上下方向(厚み方向)である。また、紙面上側が、上側(厚み方向一方側)である。また、紙面下側が、下側(厚み方向他方側)である。また、紙面左右方向および奥行き方向は、上下方向に直交する面方向である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
フィルム1は、所定の厚みを有するフィルム形状(シート形状を含む。)を有する。フィルム1は、厚み方向と直交する面方向に延びる。フィルム1は、平坦な上面および平坦な下面を有する。フィルム1は、好ましくは、可撓性を有する。
フィルム1は、好ましくは、透明性を有する。具体的には、フィルム1の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
フィルム1の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、より好ましくは、35μm以上、また、後述するロールトゥロール方式における取り扱い性の観点から、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、60μm以下である。
フィルム1の厚みは、ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、「DG-205」)を用いて測定できる。
フィルム1は、基材層3と硬化樹脂層4とを厚み方向一方側に向かって順に備える。具体的には、フィルム1は、基材層3と、基材層3の上面(厚み方向一方面)に直接配置される硬化樹脂層4とを備える。フィルム1は、好ましくは、基材層3と硬化樹脂層4とからなる。
<基材層>
基材層3は、フィルム1の機械強度を確保するための基材である。
基材層3は、フィルム形状を有する。基材層3は、好ましくは、可撓性を有する。
基材層3としては、例えば、高分子フィルムが挙げられる。
高分子フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアリレート樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂、および、ポリスチレン樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、および、ポリエチレンナフタレートが挙げられる。(メタ)アクリル樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレートが挙げられる。オレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、および、シクロオレフィンポリマーが挙げられる。セルロース樹脂としては、例えば、トリアセチルセルロースが挙げられる。
高分子フィルムの材料として、好ましくは、セルロース樹脂が挙げられる。高分子フィルムの材料として、より好ましくは、トリアセチルセルロースが挙げられる。
基材層3の厚みは、機械的強度を確保する観点から、例えば、10μm以上、好ましくは、20μm以上、より好ましくは、30μm以上、また、後述するロールトゥロール方式における取り扱い性の観点から、例えば、200μm以下、好ましくは、150μm以下、より好ましくは、100μm以下、さらに好ましくは、50μm以下である。また、フィルム1の背面には、ロールトゥロール方式のプロセスにおける基材層3の搬送性および取り扱い性を確保するために、キャリアフィルムが貼合されていてもよい。
基材層3の厚みは、ダイヤルゲージ(PEACOCK社製、「DG-205」)を用いて測定できる。
基材層3は、好ましくは、透明性を有する。具体的には、基材層3の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
<硬化樹脂層>
硬化樹脂層4は、フィルム形状を有する。硬化樹脂層4は、基材層3の上面全面に、基材層3の上面に接触するように、配置されている。硬化樹脂層4は、フィルム1における最上層である。
硬化樹脂層4として、例えば、ハードコート層、易接着層、およびアンチブロッキング(AB)層が挙げられる。硬化樹脂層4として、好ましくは、ハードコート層が挙げられる。ハードコート層は、フィルム1に擦り傷を生じ難くするための擦傷保護層である。
ハードコート層は、アクリレート樹脂を含有するハードコート組成物の硬化物である。つまり、ハードコート層(硬化樹脂層4)は、アクリレート樹脂の硬化物を含む。
ハードコート層(硬化樹脂層4)が、アクリレート樹脂の硬化物を含めば、285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC(後述)、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO(後述)、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度I(後述)が、後述する式(1)および後述する式(2)を確実に満足するよう調整できる。
アクリレート樹脂の硬化物は、硬化成分の硬化物である。
硬化成分は、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマー、および、多官能(メタ)アクリルモノマーを含む。
多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、および、ジメチロールプロパントテトラアクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリルモノマーとして、好ましくは、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能(メタ)アクリルモノマーとして、より好ましくは、ペンタエリスリトールトリアクリレートが挙げられる。
硬化成分が、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーと、多官能(メタ)アクリルモノマーとを含む場合には、ウレタン(メタ)アクリレートおよび/またはウレタン(メタ)アクリレートのオリゴマーの含有割合は、硬化成分に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。また、多官能(メタ)アクリルモノマーの含有割合は、硬化成分に対して、例えば、30質量%以上、好ましくは、40質量%以上、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
アクリレート樹脂としては、例えば、紫外線硬化性アクリレート樹脂および熱硬化型アクリレート樹脂が挙げられる。アクリレート樹脂は、好ましくは、紫外線硬化性アクリレート樹脂である。アクリレート樹脂が紫外線硬化性アクリレート樹脂であれば、加熱によらず、硬化させることができるため、フィルム1の製造効率を向上できる。
アクリレート樹脂の含有割合は、ハードコート組成物に対して、例えば、80質量%以上、好ましくは、90質量%以上、また、例えば、99質量%以下、好ましくは、96質量%以下である。
ハードコート組成物は、必要により、他の硬化性樹脂(例えば、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、および、メラミン樹脂)、粒子、開始剤(熱重合開始剤、光重合開始剤)、レベリング剤および充填材(例えば、合成スメクタイト)を含む。
粒子としては、例えば、無機粒子および有機粒子が挙げられる。無機粒子としては、例えば、無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化カルシウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、および酸化アンチモンが挙げられる。有機粒子の材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル・スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、シリコーン、および、ポリカーボネートが挙げられる。有機粒子の材料として、好ましくは、ポリスチレン、シリコーンが挙げられる。
無機粒子の含有割合は、少ない方が好ましい。無機粒子の含有割合が少ないほど、無機粒子に起因する光の散乱抑制でき、また、製造コストを低減できる。無機粒子の含有割合は、ハードコート組成物において、視認性(後述)の観点から、例えば、20質量%以下、好ましくは、10質量%以下、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、1質量%以下、とりわけ好ましくは、0.5質量%以下、最も好ましくは、0.2質量%以下、さらには、0.1質量%以下、さらには、0.0質量%である。
ハードコート組成物は、必要により、溶剤で希釈することができる。溶剤としては、例えば、酢酸ブチル、酢酸エチル、トルエン、およびシクロペンタノンが挙げられる。
ハードコート組成物を溶剤で希釈する場合には、その固形分濃度は、例えば、10質量%以上、好ましくは、30質量%以上、また、例えば、70質量%以下、好ましくは、60質量%以下である。
そして、詳しくは後述するが、ハードコート層は、基材層3の厚み方向一方面に、ハードコート組成物を塗布し、必要により乾燥させ、硬化させることにより形成される。
ハードコート層は、好ましくは、透明性を有する。具体的には、ハードコート層の全光線透過率(JIS K 7375-2008)は、例えば、80%以上、好ましくは、85%以上である。
硬化樹脂層4の厚みは、例えば、0.5μm以上、好ましくは、2μm以上、より好ましくは、3μm以上、また、例えば、30μm以下、好ましくは、25μm以下、より好ましくは、20μm以下である。
<285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度I
フィルム1は、硬化樹脂層4の厚み方向一方側に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、下記式(1)および下記式(2)を満足する。
COO/ICC>0.5 (1)
/ICC>1.2 (2)
上記式(1)および上記式(2)を満足すれば、密着性を向上させることができる。
一方、上記式(1)および/または上記式(2)を満足しなければ、密着性が低下する。
上記式(1)および上記式(2)を満足させるには、硬化樹脂層4の表面を酸素-LAICP処理(後述)する。そして、その酸素-LAICP処理において、例えば、搬送速度(後述)、LA21(後述)の種類、酸素-LAICP処理中の真空チャンバーの酸素濃度(後述)、酸素-LAICP処理中の真空チャンバー内の圧力(後述)、酸素-LAICP処理中にLA21に印加される高周波電力の周波数および高周波電力の大きさ(後述)、および、酸素-LAICP処理中のプラズマ電流密度(後述)を調整する。
<フィルムの製造方法>
フィルムの製造方法は、基材層3を準備する第1工程と、基材層3の厚み方向一方面に、硬化樹脂層4を配置する第2工程と、硬化樹脂層4の厚み方向一方面にプラズマ処理を施す第3工程とを備える。この方法では、好ましくは、ロールトゥロール方式で、実施される。このような場合には、搬送速度は、例えば、0.1m/分以上、また、例えば、20.0m/分以下である。なお、以下の説明では、硬化樹脂層4がハードコート層である場合について、詳述する。
[第1工程]
第1工程では、基材層3を準備する。
[第2工程]
第2工程では、基材層3の厚み方向一方面にハードコート層(硬化樹脂層4)を配置する。基材層3の厚み方向一方面にハードコート層を配置するには、基材層3の厚み方向一方面に、ハードコート組成物を塗布し、必要により乾燥させ、硬化させることにより、形成される。
乾燥条件として、乾燥温度は、例えば、50℃以上、また、例えば、120℃以下である。乾燥時間は、例えば、10秒以上、また、例えば、10分以下である。
ハードコート組成物が紫外線硬化性アクリレート樹脂を含む場合には、紫外線照射によって紫外線硬化性アクリレート樹脂を硬化させる。紫外線照射の光源としては、例えば、高圧水銀ランプおよびLEDライトが挙げられる。紫外線の積算照射光量は、例えば、100mJ/cm以上、また、例えば、500mJ/cm以下である。
ハードコート組成物が熱硬化性アクリレート樹脂を含む場合には、加熱によって熱硬化性アクリレート樹脂を硬化させる。加熱温度は、例えば、100℃以上、また、例えば、150℃以下である。加熱時間は、例えば、10秒以上、また、例えば、10分以下である。
これにより、基材層3の厚み方向一方面にハードコート層(硬化樹脂層4)を配置し、基材層3と、ハードコート層(硬化樹脂層4)とを順に備える中間積層体2を製造する。
[第3工程]
第2工程では、ハードコート層(硬化樹脂層4)の厚み方向一方面にプラズマ処理を施す。
プラズマ処理とは、具体的には、低インダクタンスアンテナに対する高周波電力の印加によって発生する、酸素含有ガスの誘導導結合プラズマによる処理(酸素-LAICP処理)が挙げられる。
低インダクタンスアンテナとは、7.5μH以下の低いインダクタンスを有し、かつ、高周波電力の印加によって誘導結合プラズマを発生できる、アンテナを意味する。
低インダクタンスアンテナ21(LA21)は、図2および図3に示すように、取付具22に支持され、かつ、カバーブロック23(図3では省略)で覆われた状態で配置されている(LA21の数が4である場合を、例示的に図示する)。複数のLA21は、中間積層体2の走行方向と、走行方向と直交する方向(中間積層体2の幅方向)とに並ぶように、整列して配置されている。
LA21は、導体によって形成されている。導体としては、例えば、銅および銀が挙げられ、好ましくは、銅が挙げられる。LA21は、絶縁体によって覆われていてもよい。絶縁体としては、例えば、ガラスおよび石英が挙げられる。
LA21は、インピーダンス整合器を介して高周波電源(RF電源)と電気的に接続されている。
LA21は、開ループ形状を有する。LA21が開ループ形状を有することは、LA21のインダクタンスを低くできる。そのため、開ループ形状のLA21によると、LA21に対する印加電力の増大による電圧の増大を抑制できる。これにより、プラズマ処理時の異常放電を抑制できる。異常放電の抑制により、プラズマ処理される中間積層体2に対するダメージを抑制できる。
LA21は、具体的には、2つの遊端部を有するU字形状を有する。LA21ごとに、2つの遊端部が、中間積層体2の幅方向に並ぶように取付具22に固定されている。詳しくは、LA21は、図3に示すように、フィールドスルー24を介して取付具22に固定されている。
また、LA21は、2つ遊端部とは反対側に延び部21aを有する。延び部21aは、中間積層体2の幅方向に延びる。各延び部21aは、中間積層体2の走行方向に延びていてもよい(そのように2つのLA21が配置されてもよい)。
LA21は、取付具22から中間積層体2に向かって延出する。LA21は、取付具22に対して垂直方向に延出する。取付具22からのLA21の延出長さdは、例えば、30mm以上、また、例えば、150mm以下である。
中間積層体2の面方向におけるLA21の最大長さdは、例えば、50mm以上、また、例えば、150mm以下である。
LA21と中間積層体2との間の離隔距離dは、例えば、50mm以上、また、例えば、200mm以下である。
好ましくは、延出長さdと離隔距離dとは同じである。
延出長さdに対する離隔距離dの比率(d/d)は、例えば、0.5以上、また、例えば、3.5以下である。
中間積層体2の走行方向において、隣り合うLA21の中心間距離dは、例えば、100mm以上、また、例えば、500mm以下である。中間積層体2の走行方向に離隔して配置されるLA21の個数(列数)は、中間積層体2の走行速度(即ちプラズマ処理時間)に応じて、1であってもよいし、2または3であってもよいし、必要であれば4以上であってもよい。
中間積層体2の幅方向において、隣り合うLA21の中心間距離dは、例えば、200mm以下、また、例えば、500mm以下である。中間積層体2の幅方向におけるプラズマ密度の均一性を制御できる。
好ましくは、中心間距離dと中心間距離dとは同じである。
4つのLA21の延び部21aの中心点は、好ましくは、頂点として正方形を形成する。このような一組のLA21によると、面内均一性が高く且つ高密度のプラズマを発生できる。LA21としては、例えば、特開2013-258153号公報に記載のプラズマ発生用の高周波アンテナを用いてこともできる。
また、LA21は、開ループ形状に代えてコイル形状を有してもよい。
カバーブロック23は、ブロック本体23Aと、複数の仕切りプレート23Bとを備える。ブロック本体23Aは、複数の収容スペース23aを有する。収容スペース23aごとに、一のLA21が収容されている。仕切りプレート23Bは、収容スペース23aを閉じるように配置されている。収容スペース23a内は、密閉空間である。カバーブロック23において、ブロック本体23Aは、例えば、アルミニウム製である。アルミニウムとしては、例えば、アルミニウムA5052が挙げられる。仕切りプレート23Bは、絶縁材料からなる。絶縁材料としては、例えば、石英およびガラスが挙げられる。走行する中間積層体2とカバーブロック23との離隔距離d’(図3に示す)は、例えば、50mm以上、また、例えば、200mm以下である。このようなカバーブロック23は、LA21に対する印加電力に因るプラズマ変換効率を過度には低減させずに、プラズマ処理によるLA21の損傷および汚染を回避するのに役立ち、また、プラズマ処理される中間積層体2に対するダメージを抑制するのに役立つ。
そして、酸素-LAICP処理では、真空チャンバー内に、LA21を配置するとともに、中間積層体2を搬送して、真空チャンバー内に、酸素を供給する。
真空チャンバーの酸素濃度は、密着性の向上の観点から、例えば、30体積%以上、より好ましくは、50体積%以上、さらに好ましくは、80体積%以上、また、密着性の向上の観点から、例えば、100体積%以下、好ましくは、95体積%以下、より好ましくは、90体積%以下である。
また、真空チャンバー内には、酸素以外の不活性ガスもしくは活性ガスが導入されていてもよい。不活性ガスとしては、例えば、希ガス(アルゴン、クリプトンおよびキセノン)が挙げられる。活性ガスとしては、例えば、窒素、水蒸気が挙げられる。
また、酸素-LAICP処理中の真空チャンバー内の圧力は、例えば、0.1Pa以上、好ましくは、0.2Pa以上、より好ましくは、0.3Pa以上、また、例えば、7.0Pa以下、好ましくは、5.0Pa以下、より好ましくは、3.0Pa以下、さらに好ましくは、1.0Pa以下である。上記圧力は、真空チャンバーへの酸素の供給量によって調整することができる。
また、酸素-LAICP処理中にLA21に印加される高周波電力の周波数は、例えば、1MHz以上、好ましくは、3MHz以上、より好ましくは、5MHz以上、さらに好ましくは、10MHz以上、また、例えば、100MHz以下、好ましくは、80MHz以下、より好ましくは、60MHz以下である。
また、高周波電力は、例えば、1.0kW以上、好ましくは、1.5kW以上、より好ましくは、1.8kW以上、また、例えば、10kW以下、好ましくは、8kW以下、より好ましくは、6kW以下である。
また、酸素-LAICP処理において、LA21と中間積層体2との間の中間位置でのプラズマ電流密度は、例えば、1.0mA/cm以上、好ましくは、2.0mA/cm以上、より好ましくは、3.0mA/cm以上、さらに好ましくは、4.0mA/cm以上、また、例えば、10mA/cm以下、好ましくは、8mA/cm以下、より好ましくは、5mA/cm以下である。
なお、上記プラズマ電流密度は、上記酸素の導入量、上記高周波電力の周波数および上記高周波電力によって、調整することができる。
これにより、ハードコート層(硬化樹脂層4)の厚み方向一方面にプラズマ処理を施し、フィルム1を製造する。
<積層体>
図4に示すように、積層体10は、フィルム1(具体的には、上記第1実施形態のフィルム1または上記第2実施形態のフィルム1)と、無機物層11とを厚み方向一方側に向かって順に備える(なお、図4では、フィルム1が、上記第2実施形態のフィルム1である場合を示す。)。具体的には、積層体10は、フィルム1と、フィルム1の上面(厚み方向一方面)に直接配置される無機物層11とを備える。積層体10は、好ましくは、フィルム1と無機物層11とからなる。
[フィルム]
フィルム1は、無機物層11の下面に接触するように、無機物層11の下面全面に、配置されている。フィルム1は、積層体10における最下層である。
[無機物層]
無機物層11は、フィルム形状を有する。無機物層11は、フィルム1の上面全面に、フィルム1の上面に接触するように、配置されている。無機物層11は、積層体10における最上層である。
無機物層11としては、例えば、反射防止層、導電層が挙げられる。以下、無機物層11が、反射防止層または導電層である場合について、それぞれ、詳述する。
(無機物層が反射防止層である場合)
図5を参照して、無機物層11が反射防止層である場合について、詳述する。
無機物層11が、反射防止層である場合には、積層体10は、反射防止フィルムである。
反射防止層は、厚み方向に沿って、互いに異なる屈折率を有する複数の層を備える。具体的には、反射防止層は、相対的に屈折率が大きな高屈折率層と、相対的に屈折率が小さな低屈折率層とを、厚み方向に交互に有する。反射防止層では、それに含まれる複数の薄層(高屈折率層、低屈折率層)における複数の界面での反射光間の干渉作用により、正味の反射光強度が減衰される。また、反射防止層では、各薄層の光学膜厚(屈折率と厚みとの積)の調整により、反射光強度を減衰させる干渉作用を発現させることができる。このような反射防止層は、高屈折率層12と、低屈折率層13とを厚み方向一方側に向かって順に交互に備える。
反射防止層(具体的には、高屈折率層12および低屈折率層13)は、好ましくは、金属、合金、金属酸化物、金属窒化物、および、金属フッ化物からなる群から選択される1種を含み、より好ましくは、金属、金属酸化物、および、金属窒化物からなる群から選択される1種を含む。これにより、反射防止層は、外光の反射強度を抑制できる。
金属としては、例えば、ケイ素、ニッケル、クロム、アルミニウム、錫、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、ジルコニウム、ニオブ、および、パラジウムが挙げられる。合金としては、例えば、上記金属の合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、上記金属の金属酸化物が挙げられる。金属窒化物としては、例えば、上記金属の金属窒化物が挙げられる。金属フッ化物としては、例えば、上記金属の金属フッ化物の金属窒化物が挙げられる。
とりわけ、反射防止層に用いられる材料は、所望する屈折率に応じて選択される。
具体的には、高屈折率層12を構成する高屈折率材料としては、例えば、酸化ニオブ(Nb)、酸化チタン、酸化ジルコニウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、および、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)が挙げられる。高屈折率材料として、好ましくは、インジウムスズ酸化物(ITO)が挙げられる。
また、低屈折率層13を構成する低屈折率材料としては、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、および、フッ化マグネシウムが挙げられる。低屈折率材料として、好ましくは、二酸化ケイ素(SiO)が挙げられる。
また、反射防止層において、高屈折率層12の厚みは、例えば、1nm以上、好ましくは、3nm以上、また、例えば、15nm以下、好ましくは、10nm以下である。
また、低屈折率層13の厚みは、高屈折率層12の厚みよりも厚く、例えば、15nmを超過、また、例えば、50nm以下、好ましくは、30nm以下である。
高屈折率層12の厚みに対する低屈折率層13の厚みの比(低屈折率層13の厚み/高屈折率層12の厚み)は、例えば、1超過、好ましくは、2以上、より好ましくは、3以上、また、例えば、10以下、好ましくは、5以下である。
反射防止層の厚みは、例えば、20nm以上、また、例えば、300nm以下、好ましくは、250nm以下、より好ましくは、200nm以下である。
そして、無機物層11が反射防止層である場合には、フィルム1の厚み方向一方面に対して、公知のスパッタリング法により、反射防止層を配置することによって、積層体10を製造することができる。
なお、上記反射防止層において、高屈折率層および低屈折率層の数は、特に限定されない。
(無機物層が導電層である場合)
無機物層11が、導電層である場合には、積層体10は、透明導電性フィルムである。
導電層の材料としては、例えば、金属および金属酸化物が挙げられる。金属としては、例えば、銅、銀、金、ニッケル、クロム、および、これらの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えば、インジウム含有導電性酸化物およびアンチモン含有導電性酸化物が挙げられる。インジウム含有導電性酸化物としては、例えば、インジウムスズ複合酸化物(ITO)、インジウム亜鉛複合酸化物(IZO)、インジウムガリウム複合酸化物(IGO)、およびインジウムガリウム亜鉛複合酸化物(IGZO)が挙げられる。アンチモン含有導電性酸化物としては、例えば、アンチモンスズ複合酸化物(ATO)が挙げられる。
導電層の厚みは、例えば、1nm以上、好ましくは、5nm以上、また、例えば、100nm以下である。
そして、無機物層11が導電層である場合には、フィルム1の厚み方向一方面に対して、公知のスパッタリング法により、導電層を配置することによって、積層体10を製造することができる。
<作用効果>
フィルム1は、硬化樹脂層4の厚み方向一方面に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、上記式(1)および上記式(2)を満足する。そのため、密着性を向上させることができる。
詳しくは、上記ピーク強度ICOOは、COO結合に帰属されるピークの強度であり、また、上記ピーク強度Iは、O1sスペクトルのピークの強度である。これらは、ともに、酸素を含む結合に由来するピークである。
一方、上記ピーク強度ICCは、C-C結合に帰属されるであり、酸素を含まない結合に由来するピークである。
また、上記ピーク強度ICC、上記ピーク強度ICOO、および、上記ピーク強度Iは、X線光電子分光法を用いて、硬化樹脂層4の厚み方向一方面に対して、測定されることから、硬化樹脂層4の厚み方向一方面に由来するピーク強度である。
そして、上記式(1)または上記式(2)を満足するということは、硬化樹脂層4の厚み方向一方面において、酸素を含まない結合よりも、酸素を含む結合の割合が高いことを意味する。
酸素を含む結合の割合が高いことから、硬化樹脂層4の表面において、酸素修飾が施されていることが推認される。これにより、酸素を介して、フィルム1(硬化樹脂層4)と、無機物層11とが化学結合し、密着性が向上する。
積層体10は、フィルム1と無機物層11とを厚み方向一方側に向かって順に備える。そのため、フィルム1と無機物層11との間において、密着性に優れる。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。また、以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替できる。
実施例1
<フィルムの製造>
[第1工程]
第1工程では、基材層を準備した。具体的には、まず、基材層として、長尺のTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム、長さ100m、幅340mm、厚さ40μm)を準備した。
[第2工程]
第2工程では、基材層の厚み方向一方面にハードコート層(硬化樹脂層)を配置した。具体的には、まず、ウレタンアクリレートの酢酸ブチル溶液(品名「ルクシディア17-806」,固形分濃度80質量%,DIC社製)100質量部(固形分換算値)と、光重合開始剤(品名「Omnirad907」、IGM Resins社製)5質量部と、レベリング剤(品名「GRANDIC PC4100」、DIC社製)0.03質量部と、溶剤としての酢酸ブチルとを混合して、固形分濃度を75質量%に調製した。次いで、溶剤としてシクロペンタノンを加えて、ハードコート組成物(固形分濃度50質量%)を調製した。
次いで、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、加熱によって乾燥させた後、紫外線照射によって硬化させた。これにより、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート層(厚み5μm)を配置した。
なお、加熱の温度を100℃とし、加熱の時間を60秒間とした。紫外線照射では、光源として高圧水銀ランプを用い、波長365nmの紫外線を塗膜に照射し、積算照射光量を300mJ/cmとした。
以上により、基材層とハードコート層(硬化樹脂層)と順に備える中間積層体を製造した。
[第3工程]
第3工程では、ハードコート層の厚み方向一方面にプラズマ処理を施した。
具体的には、真空下においてロールトゥロール方式で、中間積層体を、真空チャンバーに、搬送速度は、1.0m/分で搬送して、中間積層体に対するプラズマ処理を実施した。
プラズマ処理としては、酸素-LAICP処理を実施した。図2および図3に示す低インダクタンスアンテナを用いた。
低インダクタンスアンテナにおいて、延出長さdは88mmであり、最大長さdは100mmであり、離隔距離dは112mmであり、中心間距離dは290mmであり、中心間距離dは280mmであり、離間距離d´は、100mmである。各低インダクタンスアンテナは、インピーダンス整合器を介して高周波電源(RF電源,周波数13.56MHz)と電気的に接続されている。
真空チャンバーの到達真空度が1.0×10-4Paに至るまで装置内を真空排気した後、真空チャンバー内に、酸素ガス(酸素濃度100体積%)を導入し、真空チャンバー内の気圧を0.5Paとした。4本の低インダクタンスアンテナに対して高周波電源によって高周波電力5.0kWを印加することにより、このアンテナの周辺に、酸素含有ガスの誘導結合プラズマを形成した(このプラズマによって、ハードコート層を処理した)。低インダクタンスアンテナと中間積層体との間の中間位置でのプラズマ電流密度を4.2mA/cmとした。
これにより、フィルムを製造した。
<積層体の製造>
フィルムの厚み方向一方面に、スパッタリング法により、反射防止層を配置した。
具体的には、真空チャンバー内を排気した後、1.0×10-4Paまで減圧し、スパッタリングガスとしてのアルゴンガスを導入して、ITOターゲット(SnO比率10質量%、長さ600mm×幅150mm×厚み5mm、シングルカソード方式)をターゲットとして、高屈折率層(ITO膜、厚み5nm)を配置した(投入電力1.0kW, 成膜室気圧:0.3Pa、DC放電)。次いで、純Siターゲット(長さ600mm×幅50mm×厚み5mm、デュアルカソード方式)をターゲットとして、低屈折率層(SiO膜、厚み20nm)を配置した(投入電力:3.0kW、成膜気圧0.3Pa,O/Ar=0.3,MFAC電源60kHz)。
これにより、積層体を製造した。
比較例1
<フィルムの製造>
実施例1の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。
第3工程では、ハードコート層の厚み方向一方面に、アルゴンイオンによるボンバード処理を実施した。
具体的には、真空下においてロールトゥロール方式で、中間積層体を、真空チャンバーに搬送速度は、1.0m/分で搬送した。
真空チャンバーは、プラズマ発生用の一対の平面電極としてのカソード電極およびアノード電極(いずれもSUS304製の矩形電極)を備える。一対の平面電極は、50mmの間隔を空けて、真空チャンバー内を通過する中間積層体に対して平行に配置されている。アノード電極は、真空チャンバー内を通過する中間積層体が接触し続けるように配置され、真空チャンバー外で接地されている。カソード電極は、中間積層体から35mm離れた位置となるように配置され、インピーダンス整合器を介して高周波電源(RF電源,13.56MHz)に電気的に接続されている。各電極の、フィルム走行方向の長さは110mmであり、幅方向の長さは430mmである。
真空チャンバーの到達真空度が1.0×10-4Paに至るまで装置内を真空排気した後、真空チャンバー内に、不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、真空チャンバー内の気圧を0.5Paとした。平面電極間に対して高周波電源によって電力550Wを印加することにより、容量結合プラズマ(CCP)を発生させた。このプラズマ環境下においてハードコート層の表面に対して、アルゴンイオンによるボンバード処理を実施した。
<積層体の製造>
実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
比較例2
実施例1の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。その後、第3工程を実施しなかった。その後、実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を準備した。
実施例2
<フィルムの製造>
[第1工程]
実施例1と同様の手順に基づいて、基材層を準備した。
[第2工程]
第2工程では、基材層の厚み方向一方面にハードコート層(硬化樹脂層)を配置した。具体的には、まず、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)50質量部と、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)50質量部と、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」、重量平均粒径:3μm、屈折率:1.42)3.5質量部と、合成スメクタイト(有機粘土、コープケミカル社製、商品名「ルーセンタイトSAN」)2質量部と、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)3質量部と、レベリング剤(DIC社製、商品名「PC4100」、固形分濃度10%)0.2質量部とを混合し、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(質量比70/30)で希釈して、ハードコート組成物(固形分濃度35質量%)を調製した。なお、合成スメクタイトは、トルエンで固形分濃度が6質量%になるよう希釈して用いた。
次いで、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、加熱によって乾燥させた後、紫外線照射によって硬化させた。これにより、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート層(厚み6.3μm)を配置した。
なお、加熱の温度を80℃とし、加熱の時間を60秒間とした。紫外線照射では、光源として高圧水銀ランプを用い、波長365nmの紫外線を塗膜に照射し、積算照射光量を300mJ/cmとした。
以上により、基材層とハードコート層(硬化樹脂層)と順に備える中間積層体を製造した。
[第3工程]
第3工程では、実施例1と同様の手順に基づいて、ハードコート層の厚み方向一方面にプラズマ処理を施した。
<積層体の製造>
実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
比較例3
<フィルムの製造>
実施例2の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。
第3工程では、比較例1と同様の手順に基づいて、ハードコート層の厚み方向一方面に、アルゴンイオンによるボンバード処理を実施した。
<積層体の製造>
実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
比較例4
実施例2の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。その後、第3工程を実施しなかった。その後、実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
実施例3
<フィルムの製造>
[第1工程]
実施例1と同様の手順に基づいて、基材層を準備した。
[第2工程]
第2工程では、基材層の厚み方向一方面にハードコート層(硬化樹脂層)を配置した。具体的には、まず、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学社製、商品名「ビスコート♯300」)50重量部と、ウレタンアクリレートプレポリマー(新中村化学工業社製、商品名「UA-53H-80BK」)50重量部と、シリコーン粒子(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名「トスパール130」、重量平均粒径:3μm、屈折率:1.42)1.7重量部と、ポリスチレン粒子(積水化成品工業社製、商品名「テクポリマー」、重量平均粒径:3μm、屈折率:1.59)2.3重量部と、合成スメクタイト(有機粘土、コープケミカル社製、商品名「ルーセンタイトSAN」)2重量部と、光重合開始剤(BASF社製、商品名「イルガキュア907」)3重量部と、レベリング剤(DIC社製、商品名「PC4100」、固形分濃度10%)0.2重量部とを混合し、トルエン/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比70/30)で希釈して、ハードコート組成物(固形分濃度35質量%)を調製した。なお、合成スメクタイトは、トルエンで固形分濃度が6質量%になるよう希釈して用いた。
次いで、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート組成物を塗布して塗膜を形成した。次に、この塗膜を、加熱によって乾燥させた後、紫外線照射によって硬化させた。これにより、基材層の厚み方向一方面に、ハードコート層(厚み6.3μm)を配置した。
なお、加熱の温度を80℃とし、加熱の時間を60秒間とした。紫外線照射では、光源として高圧水銀ランプを用い、波長365nmの紫外線を塗膜に照射し、積算照射光量を300mJ/cmとした。
以上により、基材層とハードコート層(硬化樹脂層)と順に備える中間積層体を製造した。
[第3工程]
第3工程では、実施例1と同様の手順に基づいて、ハードコート層の厚み方向一方面にプラズマ処理を施した。
<積層体の製造>
実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
比較例5
<フィルムの製造>
実施例3の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。
第3工程では、比較例1と同様の手順に基づいて、ハードコート層の厚み方向一方面に、アルゴンイオンによるボンバード処理を実施した。
<積層体の製造>
実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
比較例6
実施例3の第1工程および第2工程と同様の手順に基づいて、中間積層体を準備した。その後、第3工程を実施しなかった。その後、実施例1と同様の手順に基づいて、積層体を製造した。
<評価>
[X線光電子分光法]
各実施例および各比較例のフィルムについて、下記条件に基づいて、ハードコート層の表面に対して、C1sスペクトル、O1sスペクトル近傍のナロースキャン測定を実施し、スペクトルを得た。
{条件}
装置:アルバック・ファイ製、Quantera SXM
X線源:モノクロAl Kα
X-Ray Setting : 100μmφ[15kV、25W]
光電子取り出し角:試料表面に対して45°
中和条件:中和銃とArイオン銃(中和モード)の併用
結合エネルギーの補正:C1sスペクトルのC-C結合由来のピークを285.0eVに補正
なお、フィルムを、幅方向(340mm幅)の中央部分を1cm角程度の大きさに切り出しもの試料として用いた。
285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iを、表1に示す。
[密着性]
各実施例および各比較例の積層体を、50mm×50mmサイズに切り出し、試料とした。次いで、試料の処理面に1mm間隔で切り目を入れ、100マスの碁盤目を作成した後、耐候試験機に以下条件にて投入した。
{条件}
SUV照射条件
温度湿度条件:85℃45%Rh
使用光源:メタルハライドランプ
照射条件:150mW/cm(290-450nm)
次いで、反射防止層の表面が乾燥しないように、イソプロピルアルコール2mLを連続的に滴下し、20mm角のSUS製治具に固定したポリエステルワイパー(サンプラテック製「アンティコンゴールド」)を碁盤目上で摺動させた(荷重:1.5kg, 1000往復)。反射防止層がマスの面積の1/4以上の領域で剥離している碁盤目は「剥れ」としてカウントした。密着性について、以下の基準に基づいて、評価した。その結果を表1に示す。
{基準}
〇:「剥れ」が5マス以下であった。
×:「剥れ」が5マスを超過した。
Figure 2025011541000002
1 フィルム
3 基材層
4 硬化樹脂層
10 積層体
11 無機物層

Claims (5)

  1. 基材層と硬化樹脂層とを厚み方向一方側に向かって順に備え、
    前記硬化樹脂層の厚み方向一方側に対して、X線光電子分光法を用いて測定される285eVのC-C結合に帰属されるピーク強度ICC、289eVのCOO結合に帰属されるピーク強度ICOO、および、532eVに位置するO1sスペクトルのピーク強度Iが、下記式(1)および下記式(2)を満足する、フィルム。
    COO/ICC>0.5 (1)
    /ICC>1.2 (2)
  2. 前記硬化樹脂層は、アクリレート樹脂の硬化物を含む、請求項1に記載のフィルム。
  3. 請求項1または2に記載のフィルムと、無機物層とを厚み方向一方側に向かって順に備える、積層体。
  4. 前記無機物層は、反射防止層であり、
    前記反射防止層は、厚み方向に沿って、互いに異なる屈折率を有する複数の層を備える、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記無機物層は、導電層である、請求項3に記載の積層体。
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