JP2025006593A - 積層体、光学部材、及び光学装置 - Google Patents
積層体、光学部材、及び光学装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2025006593A JP2025006593A JP2023107488A JP2023107488A JP2025006593A JP 2025006593 A JP2025006593 A JP 2025006593A JP 2023107488 A JP2023107488 A JP 2023107488A JP 2023107488 A JP2023107488 A JP 2023107488A JP 2025006593 A JP2025006593 A JP 2025006593A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- laminate
- void
- void layer
- adhesive layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B27/00—Layered products comprising a layer of synthetic resin
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B3/00—Layered products comprising a layer with external or internal discontinuities or unevennesses, or a layer of non-planar shape; Layered products comprising a layer having particular features of form
- B32B3/26—Layered products comprising a layer with external or internal discontinuities or unevennesses, or a layer of non-planar shape; Layered products comprising a layer having particular features of form characterised by a particular shape of the outline of the cross-section of a continuous layer; characterised by a layer with cavities or internal voids ; characterised by an apertured layer
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B7/00—Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
- B32B7/02—Physical, chemical or physicochemical properties
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B32—LAYERED PRODUCTS
- B32B—LAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
- B32B7/00—Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
- B32B7/02—Physical, chemical or physicochemical properties
- B32B7/022—Mechanical properties
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J201/00—Adhesives based on unspecified macromolecular compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J7/00—Adhesives in the form of films or foils
- C09J7/20—Adhesives in the form of films or foils characterised by their carriers
- C09J7/22—Plastics; Metallised plastics
- C09J7/26—Porous or cellular plastics
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C09—DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- C09J—ADHESIVES; NON-MECHANICAL ASPECTS OF ADHESIVE PROCESSES IN GENERAL; ADHESIVE PROCESSES NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE; USE OF MATERIALS AS ADHESIVES
- C09J7/00—Adhesives in the form of films or foils
- C09J7/20—Adhesives in the form of films or foils characterised by their carriers
- C09J7/29—Laminated material
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
Abstract
Description
本開示は、積層体、光学部材、及び光学装置に関する。
光学デバイスにおいては、例えば、全反射層として、低屈折率層を用いることが提案されている。例えば、特許文献1では、導光板と反射板との間に導光板よりも低屈折率である層を挿入した積層体が開示されている。低屈折率層としては、例えば、屈折率をなるべく空気に近い低屈折率とするために、空隙を有する空隙層が用いられる。
空隙層を含む光学部材は、粘着層又は接着層(以下、まとめて「粘接着層」という場合がある。)により貼り合わせた積層構造(積層体)で用いることが一般的である。
ここで、空隙層及び粘接着層が直接積層された積層体である場合、粘接着層が柔らかければ、積層体における層間のピール強度は高くなる傾向にある。一方で、粘接着層が柔らかいために空隙層の空隙に粘接着層が染み込む結果、空隙層の空隙率が低下し、積層体に含まれる空隙層の屈折率が高くなる傾向にある。他方、粘接着層が硬ければ、空隙層の空隙に粘接着層が染み込みにくいため積層体に含まれる空隙層の屈折率は低い状態を維持できるが、積層体における層間のピール強度(機械的強度)は低くなる傾向にある。このように、空隙層及び粘接着層を含む積層体において、積層体に含まれる空隙層の屈折率と、積層体における層間のピール強度はトレードオフの関係にある。したがって、低屈折率であっても機械的強度の高い積層体の実現が望まれる。
そこで、本開示は、低屈折率であり、かつ、機械的強度に優れた積層体、光学部材、及び光学装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本開示の積層体は、
空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されており、
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率が、1.30以下であり、
ナノインデンターを用いて前記粘接着層に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上であり、
引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上である。
空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されており、
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率が、1.30以下であり、
ナノインデンターを用いて前記粘接着層に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上であり、
引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上である。
本開示の光学部材は、本開示の積層体を含む。
本開示の光学装置は、本開示の光学部材を含む。
本開示によれば、低屈折率であり、かつ、機械的強度に優れた積層体、光学部材、及び光学装置を提供することができる。
つぎに、本開示について、例をあげてさらに具体的に説明する。ただし、本開示は、以下の説明により、なんら限定されない。
本開示において、「粘接着層」は、粘着剤及び接着剤の少なくとも一方により形成された層をいう。本開示において、「粘接着層」は、特に断らない限り、粘着剤により形成された「粘着剤層」であってもよく、接着剤により形成された「接着剤層」であってもよく、粘着剤及び接着剤の両方を含む層であってもよい。また、本開示において、粘着剤と接着剤とをまとめて「粘接着剤」という場合がある。一般的に、粘着力又は接着力が比較的弱い剤(例えば、被接着物の再剥離が可能な剤)を「粘着剤」と呼び、粘着力又は接着力が比較的強い剤(例えば、被接着物の再剥離が不可能であるか、又はきわめて困難な剤)を「接着剤」と呼んで区別する場合がある。本開示において、粘着剤と接着剤とに明確な区別は無い。また、本開示において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
本開示において、「上に」又は「面上に」は、上に、又は面上に直接接触した状態でもよいし、他の層等を介した状態でもよい。
本開示において、「層間」は、一方の層と他の層との間に含まれる、前記一方の層と前記他の層を含む任意の部分を意味する。すなわち、例えば、一方の層と他の層との層間という場合、前記一方の層の任意の部分であってもよく、前記他の層の任意の部分であってもよく、前記一方の層と前記他の層との間に含まれる別の層の任意の部分であってもよい。また、前記一方の層、前記他の層、及び前記別の層のうちのいずれか2つの層との境界部分であってもよい。
[1.積層体]
本開示の積層体は、前述のとおり、空隙層と、粘接着層とを含む。前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されている。本開示において、前記粘接着層が前記空隙層に「直接積層され」は、例えば、前記粘接着層が前記空隙層に直接接触していてもよいし、前記粘接着層が、前記中間層を介して前記空隙層に積層されていてもよい。
本開示の積層体は、前述のとおり、空隙層と、粘接着層とを含む。前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されている。本開示において、前記粘接着層が前記空隙層に「直接積層され」は、例えば、前記粘接着層が前記空隙層に直接接触していてもよいし、前記粘接着層が、前記中間層を介して前記空隙層に積層されていてもよい。
図1(a)の断面図に、本開示の積層体における構成の一例を示す。図示のとおり、この積層体10は、空隙層11の片面に粘接着層12が直接積層されている。ここで、ナノインデンターを用いて粘接着層12に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さ(以下、「ナノインデンテーション硬さ」と言うことがある。)は、0.5MPa以上である。また、引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される空隙層11と粘接着層12との層間のピール強度が3N/25mm以上である。さらに、積層体10として測定される空隙層11の屈折率は、1.30以下である。
また、図1(b)の断面図に、本開示の積層体における構成の別の一例を示す。図示のとおり、この積層体10aは、空隙層11の両面に粘接着層12が直接積層されている。
また、本開示の積層体は、前述のとおり、前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層であってもよい。図2に、そのような本開示の積層体の例を示す。図2(a)の積層体10bは、図示のとおり、空隙層11の片面に粘接着層12が直接積層されている。この積層体10bは、空隙層11と粘接着層12との間に中間層13が存在していること以外は、図1(a)の積層体10と同じである。中間層13は、空隙層11と粘接着層12との合一によって形成された層である。図2(b)の積層体10cは、図示のとおり、空隙層11の両面に粘接着層12が直接積層されている。この積層体10cは、空隙層11とそれぞれの粘接着層12との間に中間層13が存在していること以外は、図1(b)の積層体10aと同じである。中間層13は、図2(a)と同様に、空隙層11と粘接着層12との合一によって形成された層である。
また、本開示の積層体は、前記空隙層、前記粘接着層、及び前記中間層以外の他の構成要素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の構成要素も特に限定されないが、例えば、基材等であってもよい。前記基材も特に限定されないが、例えば、後述するように、フィルム(例えば樹脂フィルム)、ガラス板等であってもよい。図3に、そのような本開示の積層体の例を示す。図3(a)の積層体10dは、図示のとおり、空隙層11における粘接着層12と反対側の面上に、及び、粘接着層12における空隙層11と反対側の面上に、それぞれ基材14が直接接触して設けられていること以外は図2(a)の積層体10bと同じである。図3(b)の積層体10eは、図示のとおり、両側の粘接着層12における空隙層11と反対側の面上に、それぞれ基材14が直接接触して設けられていること以外は図3(b)の積層体10cと同じである。図3(a)及び図3(b)では積層体の両側に基材14が設けられている。しかし、本開示はこれに限定されず、例えば、いずれか一方の側のみに基材14が設けられていてもよい。また、図3(a)及び図3(b)では、基材14が空隙層11又は粘接着層12に直接接触するように設けられている。しかし、本開示はこれに限定されず、例えば、基材14と空隙層11又は粘接着層12との間に他の構成要素が存在していてもよい。前記他の構成要素も特に限定されないが、例えば、光学機能層でもよい。前記光学機能層も特に限定されず、例えば、一般的な光学フィルムに用いられる光学機能層でもよく、例えば、マイクロレンズフィルム、プリズムフィルム、拡散フィルム、偏光反射フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、高屈折率層等であってもよい。
前記空隙層は、例えば、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層である。前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物を使用することで、前記ゲル状ケイ素化合物の三次元構造が破壊され、前記ゲル状ケイ素化合物とは異なる新たな三次元構造が形成されている。このように、前記空隙層は、前記ゲル状ケイ素化合物から形成される層では得られない新たな孔構造(新たな空隙構造)が形成された層となったことで、空隙率が高いナノスケールの空隙層を形成することができる。また、前記空隙層は、例えば、ゲル状ケイ素化合物である場合、前記ゲル状ケイ素化合物のシロキサン結合官能基数を調整しつつ、前記粉砕物同士を化学的に結合する。ここで、「ゲル状ケイ素化合物」はシロキサン結合を含む高分子多孔体のことであり、例えば、シルセスキオキサンを構成単位として含む多孔体を含む。また、前記空隙層の前駆体として新たな三次元構造が形成された後に、結合工程で化学結合(例えば、架橋)されるため、前記空隙層は、例えば、前記空隙層が機能性多孔体である場合、空隙を有する構造であるが、十分な強度と可撓性とを維持できる。したがって、本開示によれば、容易且つ簡便に、空隙層を、様々な対象物に付与することができる。
前記空隙層において、前記粉砕物が化学的に結合している形態(化学結合の形態)は、特に制限されず、前記化学結合の具体例は、例えば、共有結合、イオン結合、金属結合等があげられる。例えば、前記粉砕物同士が共有結合により架橋(架橋結合)されていてもよい。また、前記粉砕物の化学結合 (例えば、前述の架橋結合)の形態は、例えば、前記粉砕物同士が直接結合する形態であってもよく、前記粉砕物同士が架橋補助剤、リンカー、スペーサー等の他の物質を介して間接的に結合する形態であってもよい。なお、前記粉砕物を化学的に結合させる方法は、後述する空隙層の製造方法において、説明するとおりである。
前記架橋結合は、例えば、シロキサン結合である。シロキサン結合は、例えば、以下に示す、T2の結合、T3の結合、T4の結合が例示できる。前記ゲル状ケイ素化合物がシロキサン結合を有する場合、例えば、いずれか一種の結合を有してもよいし、いずれか二種の結合を有してもよいし、三種全ての結合を有してもよい。前記シロキサン結合のうち、T2及びT3の比率が多いほど、可撓性に富み、ゲル本来の特性を期待できるが、膜強度が脆弱になる。一方で、前記シロキサン結合のうちT4比率が多いと、膜強度が発現しやすいが、空隙サイズが小さくなり、可撓性が脆くなる。このため、例えば、用途に応じて、T2、T3、T4比率を変えることが好ましい。
前記空隙層が前記シロキサン結合を有する場合、T2、T3及びT4の割合は、例えば、T2を「1」として相対的に表した場合、T2:T3:T4=1:[1~100]:[0~50]、1:[1~80]:[1~40]、1:[5~60]:[1~30]である。
前記空隙層において、前記ゲル状ケイ素化合物は、例えば、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物である。前記縮合は、例えば、脱水縮合などがあげられる。また、前記部分的に縮合した状態とは、例えば、前記シラン化合物に含まれる縮合性官能基(例えば、アルコキシ基等)のうち、一部の官能基が縮合しており、その他の官能基は縮合せずに縮合性官能基が残留している状態をいう。言い換えれば、例えば、前記シラン化合物のうち、一部のシラン化合物がシロキサン結合し、その他のシラン化合物が未結合の状態であるともいえる。前記未結合のシラン化合物の割合は、例えば、50%未満、30%以下、15%以下、である。
前記シラン化合物として、例えば、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含んでもよい。前記シラン化合物として、例えば、1~3官能シラン化合物の中から少なくとも一つのシラン化合物を含み、さらに4官能シラン化合物を含むものであってもよい。前記1~3官能シラン化合物としては、例えば、1~3官能アルコキシシランがあげられる。前記4官能シラン化合物としては、例えば、4官能アルコキシシランがあげられる。前記1官能シラン化合物としては、例えば、トリメチルメトキシシラン(TMMS)、トリメチルエトキシシラン(TMES)、トリメチルプロポキシシラン(TMPS)等があげられる。前記2官能シラン化合物としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン(DDMS)、ジメチルジエトキシシラン(DDES)、ジメチルジプロポキシシラン(DDPS)等があげられる。前記3官能シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン(MTMS)、メチルトリエトキシシラン(MTES)、メチルトリプロポキシシラン(MTPS)、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-ビニルブチルトリメトキシシラン、4-ビニルブチルトリエトキシシラン、8-ビニルオクチルトリメトキシシラン、8-ビニルオクチルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン等があげられる。前記4官能シラン化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン(TMOS)、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラプロポキシシラン(TPOS)等があげられる。
前記1~3官能シラン化合物の物質量に対する前記4官能シラン化合物の含有割合は、例えば、1~25mol%である。前記含有割合は、その下限が、例えば、2mol%以上、3mol%以上、又は3.5mol%以上であり、その上限が、例えば、20mol%以下、15mol%以下、又は10mol%以下であり、その範囲が、例えば、2~20mol%、3~15mol%、3.5~15mol%、又は3.5~10mol%である。なお、前記含有割合は、例えばゲル粉砕工程における粉砕の容易さの観点から高すぎないことが好ましい。また、前記含有割合は、例えば低屈折率層の強度改善の観点から低すぎないことが好ましい。
前記空隙層は、例えば、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層である。前記添加剤として、例えば、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を含んでもよい。前記架橋反応促進剤は、例えば、酸性物質であってもよく、塩基性物質であってもよい。前記架橋反応促進剤は、例えば、前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物同士の化学的な結合(架橋結合)を促進する触媒ということもできる。また、前記架橋反応促進剤の前駆体は、例えば、光又は熱により前記架橋反応促進剤を発生する物質(架橋促進剤発生剤)ということもできる。
前記ゲル状ケイ素化合物同士を化学的に結合させる化学反応としては、シリカゾル分子に含まれる残留シラノール基の脱水縮合反応を利用することが好ましい。シラノール基の水酸基同士の反応を前記架橋反応促進剤で促進することで、短時間で空隙構造を硬化させる連続成膜が可能である。前記架橋反応促進剤としては、例えば、光活性触媒及び熱活性触媒があげられる。前記光活性触媒によれば、例えば、後述する結合工程において、加熱によらずに前記ゲル状ケイ素化合物同士を化学的に結合(例えば架橋結合)させることができる。これによれば、例えば、前記結合工程において、結合させる前記粉砕物の収縮が起こりにくいため、より高い空隙率を維持できる。例えば、前記光活性触媒に加え、又はこれに代えて、光により触媒を発生する物質(光触媒発生剤)を用いてもよいし、前記熱活性触媒に加え、又はこれに代えて、熱により触媒を発生する物質(熱触媒発生剤)を用いてもよい。前記光触媒発生剤としては、特に限定されないが、例えば、光塩基発生剤(光照射により塩基性触媒を発生する物質)、光酸発生剤(光照射により酸性触媒を発生する物質)等があげられ、光塩基発生剤が好ましい。前記光塩基発生剤としては、例えば、9-アントリルメチル N,N-ジエチルカルバメート(9-anthrylmethyl N,N-diethylcarbamate、商品名WPBG-018)、(E)-1-[3-(2-ヒドロキシフェニル)-2-プロペノイル]ピペリジン((E)-1-[3-(2-hydroxyphenyl)-2-propenoyl]piperidine、商品名WPBG-027)、1-(アントラキノン-2-イル)エチル イミダゾールカルボキシレート(1-(anthraquinon-2-yl)ethyl imidazolecarboxylate、商品名WPBG-140)、2-ニトロフェニルメチル 4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート(商品名WPBG-165)、1,2-ジイソプロピル-3-〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム 2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート(商品名WPBG-266)、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5-テトラメチルビグアニジウム n-ブチルトリフェニルボラート(商品名WPBG-300)、及び2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(東京化成工業株式会社)、4-ピペリジンメタノールを含む化合物(商品名HDPD-PB100:ヘレウス社製)等があげられる。なお、前記「WPBG」を含む商品名は、いずれも和光純薬工業株式会社の商品名である。前記光酸発生剤としては、例えば、芳香族スルホニウム塩(商品名SP-170:ADEKA社)、トリアリールスルホニウム塩(商品名CPI101A:サンアプロ社)、芳香族ヨードニウム塩(商品名Irgacure250:チバ・ジャパン社)等があげられる。また、前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物同士を化学的に結合させる架橋反応促進剤は、前記光活性触媒及び前記光触媒発生剤に限定されず、例えば、熱活性触媒又は尿素のような熱触媒発生剤でもよい。前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物同士を化学的に結合させる架橋反応促進剤は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム等の塩基触媒、塩酸、酢酸、シュウ酸等の酸触媒等があげられる。これらの中で、塩基触媒が好ましい。前記架橋反応促進剤及びその前駆体は、例えば、前記粉砕物(ゲル状ケイ素化合物)を含むゾル粒子液(例えば懸濁液)に、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を塗工直前に添加して使用する、又は前記架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を溶媒に混合した混合液として使用することができる。前記混合液は、例えば、前記ゾル粒子液に直接添加して溶解した塗工液、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を溶媒に溶解した溶液、又は、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を溶媒に分散した分散液でもよい。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、水、緩衝液等があげられる。前記架橋反応促進剤及びその前駆体の添加量は、特に限定されないが、例えば、前記ゲル状ケイ素化合物の重量に対し、例えば、0.01~20重量%、0.05~10重量%、又は0.1~5重量%である。
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合は、その下限が、例えば、1mol%以上、1.5mol%以上、2mol%以上、又は2.5mol%以上であり、その上限が、例えば、5mol%以下、4mol%以下、3.5mol%以下、又は3mol%以下である。
なお、前記空隙層において、前記シラン化合物として前記4官能シラン化合物を含まない場合、前記シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合は、その下限が、例えば、1.5mol%以上、2mol%以上、又は2.5mol%以上であり、その上限が、例えば、5mol%以下、4mol%以下、3.5mol%以下、又は3mol%以下である。
また、前記添加剤として、例えば、架橋補助剤を含んでもよい。前記架橋補助剤は、例えば、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物と前記架橋補助剤との化学的な結合により、前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物同士を間接的に結合させるための媒体ということもできる。前記架橋補助剤が、前記粉砕物同士の間に入り込み、前記粉砕物と前記架橋補助剤が各々相互作用もしくは結合することで、距離的に多少離れた前記粉砕物同士も結合させることが可能であり、効率よく強度を上げることが可能となる。
前記架橋補助剤としては、多架橋シランモノマーが好ましい。前記多架橋シランモノマーは、具体的には、例えば、2以上3以下のアルコキシシリル基を有し、アルコキシシリル基間の鎖長が炭素数1以上10以下であってもよく、炭素以外の元素も含んでもよい。前記架橋補助剤としては、例えば、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)プロパン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、ビス(トリエトキシシリル)ブタン、ビス(トリメトキシシリル)ブタン、ビス(トリエトキシシリル)ペンタン、ビス(トリメトキシシリル)ペンタン、ビス(トリエトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリメトキシシリル)-N-ブチル-N-プロピル-エタン-1,2-ジアミン、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス-(3-トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート等があげられる。前記架橋補助剤の添加量は、特に限定されないが、例えば、前記ゲル状ケイ素化合物の重量に対し、0.01~20重量%、0.05~15重量%、又は0.1~10重量%である。
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋補助剤の合計含有割合は、その下限が、例えば、1mol%以上、2mol%以上、2.5mol%以上、又は3mol%以上であり、その上限が、例えば、6mol%以下、5.5mol%以下、5mol%以下、4.5mol%以下、又は3.5mol%以下である。
なお、前記空隙層において、前記シラン化合物として前記4官能シラン化合物を含まない場合、前記シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋補助剤の合計含有割合は、その下限が、例えば、2mol%以上、又は2.5mol%以上であり、その上限が、例えば、6mol%以下、5mol%以下、4mol%以下、3.5mol%以下、又は3mol%以下である。
前記空隙層は、例えば、孔構造を有している。前記空隙層における、孔の空隙サイズは、空隙(孔)の長軸の直径及び短軸の直径のうち、前記長軸の直径を指すものとする。空孔サイズは、例えば、5nm~200nmである。前記空隙サイズは、例えば、5nm以上、10nm以上、20nm以上であり、その上限が、例えば、200nm以下、150nm以下、100nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下であり、その範囲が、例えば、5nm~200nm、10nm~100nmである。前記空隙サイズは、空隙構造を用いる用途に応じて好ましい空隙サイズが決まるため、例えば、目的に応じて、所望の空隙サイズに調整する必要がある。前記空隙サイズは、例えば、以下の方法により評価できる。
(空隙層の断面SEM観察)
本開示において、空隙層の形態は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察及び解析できる。具体的には、例えば、前記空隙層を、冷却下でFIB加工(加速電圧:30kV)し、得られた断面サンプルについてFIB-SEM(FEI社製:商品名Helios NanoLab600、加速電圧:1kV)により、観察倍率100,000倍にて断面電子像を得ることができる。
本開示において、空隙層の形態は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察及び解析できる。具体的には、例えば、前記空隙層を、冷却下でFIB加工(加速電圧:30kV)し、得られた断面サンプルについてFIB-SEM(FEI社製:商品名Helios NanoLab600、加速電圧:1kV)により、観察倍率100,000倍にて断面電子像を得ることができる。
(空隙サイズの評価)
本開示において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)のキャピラリに、サンプル(前記空隙層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行って、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで、BETプロット及びBJHプロット、吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
本開示において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)のキャピラリに、サンプル(前記空隙層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行って、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで、BETプロット及びBJHプロット、吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
前記空隙層は、例えば、前述のように孔構造(多孔質構造)を有していてもよく、例えば、前記孔構造が連続した連泡構造体であってもよい。前記連泡構造体とは、例えば、前記空隙層において、三次元的に、孔構造が連なっていることを意味し、前記孔構造の内部空隙が連続している状態ともいえる。多孔質体が連泡構造を有する場合、これにより、バルク中に占める空隙率を高めることが可能であるが、中空シリカのような独泡粒子を使用する場合は、連泡構造を形成できない。これに対して、前記空隙層は、ゾル粒子(ゾルを形成する多孔体ゲルの粉砕物)が三次元の樹状構造を有するために、塗工膜(前記多孔体ゲルの粉砕物を含むゾルの塗工膜)中で、前記樹状粒子が沈降・堆積することで、容易に連泡構造を形成することが可能である。また、前記空隙層は、より好ましくは、連泡構造が複数の細孔分布を有するモノリス構造を形成することが好ましい。前記モノリス構造は、例えば、ナノサイズの微細な空隙が存在する構造と、同ナノ空隙が集合した連泡構造として存在する階層構造を指すものとする。前記モノリス構造を形成する場合、例えば、微細な空隙で膜強度を付与しつつ、粗大な連泡空隙で高空隙率を付与し、膜強度と高空隙率とを両立することができる。それらのモノリス構造を形成するには、例えば、まず、前記粉砕物に粉砕する前段階の前記多孔体ゲルにおいて、生成する空隙構造の細孔分布を制御することが重要である。また、例えば、前記多孔体ゲルを粉砕する際、前記粉砕物の粒度分布を、所望のサイズに制御することで、前記モノリス構造を形成させることができる。
前記空隙層において、透明性を示すヘイズは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.1%以上、0.2%以上、又は0.3%以上であり、その上限が、例えば、10%以下、5%以下、3%以下であり、その範囲が、例えば、0.1~10%、0.2~5%、又は0.3~3%である。
前記ヘイズは、例えば、以下のような方法により測定できる。
(ヘイズの評価)
空隙層(前記空隙層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
空隙層(前記空隙層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
屈折率は、一般に、真空中の光の波面の伝達速度と、媒質内の伝播速度との比を、その媒質の屈折率という。なお、本開示において、前記屈折率は、特に断らない限り、波長550nmにおいて測定した屈折率をいう。また、屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
前記空隙層のみを測定した場合における前記空隙層の屈折率は、例えば、1.30以下である。前記空隙層のみを測定した場合における前記空隙層の屈折率は、その上限が、例えば、1.30以下、1.30未満、1.26以下、1.25以下、1.25未満、1.24以下、1.23以下、又は1.22以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.10以上、1.15以上、1.16以上、1.17以上、1.18以上、又は1.19以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上1.30以下、1.05以上1.30未満、1.10以上1.25以下、1.15以上1.25未満、又は1.19以上1.25未満である。前記空隙層のみを測定した場合における前記空隙層の屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
前記空隙層の空隙率は、その下限が、例えば、30体積%以上、又は50体積%以上であり、その上限が、例えば、90体積%以下、75体積%以下、又は60体積%以下であり、その範囲が、例えば、30~90体積%、50~75体積%、又は50~60体積%である。
(空隙層のみを測定した場合における空隙層の屈折率の評価)
アクリルフィルムに空隙層(本開示の積層体における空隙層)を形成した後に、50mm×50mmのサイズにカットし、これを粘着層でガラス板(厚み:3mm)の表面に貼合する。前記ガラス板の裏面中央部(直径20mm程度)を黒インクで塗りつぶして、前記ガラス板の裏面で反射しないサンプルを調製する。エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製:VASE)に前記サンプルをセットし、550nmの波長、入射角50~80度の条件で、屈折率を測定し、その平均値を屈折率とする。
アクリルフィルムに空隙層(本開示の積層体における空隙層)を形成した後に、50mm×50mmのサイズにカットし、これを粘着層でガラス板(厚み:3mm)の表面に貼合する。前記ガラス板の裏面中央部(直径20mm程度)を黒インクで塗りつぶして、前記ガラス板の裏面で反射しないサンプルを調製する。エリプソメーター(J.A.Woollam Japan社製:VASE)に前記サンプルをセットし、550nmの波長、入射角50~80度の条件で、屈折率を測定し、その平均値を屈折率とする。
温度85℃、湿度85%RHで500時間保持する加熱加湿耐久性試験後の、前記空隙層の空隙残存率は、例えば、その下限が、10体積%以上、20体積%以上、30体積%以上、40体積%以上、50体積%以上、60体積%以上、70体積%以上、80体積%以上、85体積%以上、又は85体積%を超える。前記空隙層のみを測定した場合における前記空隙層の屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(空隙層の空隙残存率の評価)
作製した積層体を、温度85℃、湿度85%RHのオーブンに投入し、500時間の加熱加湿耐久性試験を行なう。前記加熱加湿耐久性試験後の空隙層の空隙箇所の埋まり度合をSEMで確認し、空隙率の残存率を算出することができる。
作製した積層体を、温度85℃、湿度85%RHのオーブンに投入し、500時間の加熱加湿耐久性試験を行なう。前記加熱加湿耐久性試験後の空隙層の空隙箇所の埋まり度合をSEMで確認し、空隙率の残存率を算出することができる。
前記空隙層の厚みは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.05μm以上、又は0.1μm以上であり、その上限が、例えば、1000μm以下、100μm以下、10μm以下、5μm以下、又は2μm以下であり、その範囲が、例えば、0.05~1000μm、又は0.1~100μmである。
前記空隙層の形態は、特に制限されず、例えば、フィルム形状でもよいし、ブロック形状等でもよい。
前記空隙層の製造方法は、特に制限されないが、例えば、後述する空隙層の製造方法、又は国際公開第2019/065999号、国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
本開示において、前記粘接着層は、特に限定されない。本開示において、前記粘接着層を形成する粘着剤又は接着剤は特に限定されず、例えば、一般的な粘着剤又は接着剤等が使用できる。前記粘着剤又は接着剤としては、例えば、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤、ゴム系接着剤等があげられる。また、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸等のビニルアルコール系ポリマーの水溶性架橋剤等から構成される接着剤等もあげられる。これら粘着剤及び接着剤は、1種類のみ用いても、複数種類を併用(例えば、混合、積層等)してもよい。前記粘接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1~100μm、5~50μm、10~30μm、又は12~25μmである。
本開示の積層体の前記粘接着層において、前記ナノインデンテーション硬さは、前述のとおり、0.5MPa以上である。前記ナノインデンテーション硬さは、その下限が、例えば、0.55MPa以上、0.6MPa以上、又は0.65MPa以上であってもよく、その上限が、例えば、2.0MPa以下、1.5MPa以下、1.3MPa以下、又は1.1MPa以下であってもよい。前記ナノインデンテーション硬さの測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(ナノインデンテーション硬さの評価)
測定用サンプルを1cm角程度に切り出して所定の支持体に固定し、本開示の積層体における粘接着層のナノインデーション硬さを下記条件にて測定する。ナノインデンテーション硬さは、ナノインデンテーション法により測定することができる。
・分析装置:Hysitron Inc.製、Triboindenter
・使用圧子:Conical(球形:直径20μm)
・測定方法:単一押し込み測定
・測定温度:室温
・押し込み深さ:2000nm
測定用サンプルを1cm角程度に切り出して所定の支持体に固定し、本開示の積層体における粘接着層のナノインデーション硬さを下記条件にて測定する。ナノインデンテーション硬さは、ナノインデンテーション法により測定することができる。
・分析装置:Hysitron Inc.製、Triboindenter
・使用圧子:Conical(球形:直径20μm)
・測定方法:単一押し込み測定
・測定温度:室温
・押し込み深さ:2000nm
測定によって得られる最大荷重(Pmax)と接触投影面積(A)から、下記式によってナノインデンテーション硬さを算出する。
ナノインデンテーション硬さ=Pmax/A
ナノインデンテーション硬さ=Pmax/A
なお、前記ナノインデンテーション硬さは、粘着層表面及び粘着層断面のいずれのナノインデンテーション硬さであってもよい。
本開示の積層体において、引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度は、前述のとおり、3N/25mm以上である。前記ピール強度は、その下限が、例えば、3.5N/25mm以上、4.0N/25mm以上、又は5.0N/25mm以上であってもよい。本開示の積層体の層間の機械的強度は、前記ピール強度が高いほど向上するため、前記ピール強度の上限値は特に限定されないが、例えば、20N/25mm以下、15N/25mm以下、又は10N/25mm以下である。前記ピール強度は、例えば、前記空隙層の凝集破壊に起因して測定されるピール強度である。前記ピール強度の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(層間のピール強度の評価)
樹脂フィルム基材上に空隙層(本開示の積層体における空隙層)と粘接着層(本開示の積層体における粘接着層)が形成されたものを用意し、前記樹脂フィルム基材において前記空隙層と反対側にアクリル粘着層(厚み20μm)を貼合する。貼り合わせたサンプルを、50mm×25mmにカットして粘着テープ片を作製する。つぎに、空隙層側の粘接着層(厚み10μm)を、25mm×100mmの短冊状にカットしたPETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)に貼合し、前記樹脂フィルム基材側のアクリル粘着層をガラスとラミネートして固定する。このように作製したサンプルを、チャック間距離が100mmになるように引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフ(登録商標)AG-Xplus)にチャッキングした後、0.3m/minの引張速度で180°ピール試験を行う。50mmピール試験をN=3回実施し、その平均試験力を、前記層間のピール強度とする。
樹脂フィルム基材上に空隙層(本開示の積層体における空隙層)と粘接着層(本開示の積層体における粘接着層)が形成されたものを用意し、前記樹脂フィルム基材において前記空隙層と反対側にアクリル粘着層(厚み20μm)を貼合する。貼り合わせたサンプルを、50mm×25mmにカットして粘着テープ片を作製する。つぎに、空隙層側の粘接着層(厚み10μm)を、25mm×100mmの短冊状にカットしたPETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)に貼合し、前記樹脂フィルム基材側のアクリル粘着層をガラスとラミネートして固定する。このように作製したサンプルを、チャック間距離が100mmになるように引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名:オートグラフ(登録商標)AG-Xplus)にチャッキングした後、0.3m/minの引張速度で180°ピール試験を行う。50mmピール試験をN=3回実施し、その平均試験力を、前記層間のピール強度とする。
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率は、前述のとおり、1.30以下である。前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率は、その上限が、例えば、1.30以下、1.30未満、1.26以下、1.25以下、1.25未満、1.24以下、1.23以下、又は1.22以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.10以上、1.15以上、1.16以上、1.17以上、1.18以上、又は1.19以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上1.30以下、1.05以上1.30未満、1.10以上1.25以下、1.15以上1.25未満、又は1.19以上1.25未満である。前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(積層体の状態で測定される空隙層の屈折率の評価)
空隙層上に粘接着層を設けた積層体(ガラス/粘接着層/空隙層/アクリル基材)の基材面側に、プリズムカプラ(メトリコン社製)のプリズムを密着させ、レーザーを用いて全反射臨界角を測定する。測定した臨界角の値から屈折率を算出することができる。
空隙層上に粘接着層を設けた積層体(ガラス/粘接着層/空隙層/アクリル基材)の基材面側に、プリズムカプラ(メトリコン社製)のプリズムを密着させ、レーザーを用いて全反射臨界角を測定する。測定した臨界角の値から屈折率を算出することができる。
本開示の積層体は、例えば、前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(1)を満たすものであってもよい。図4に、条件(1)におけるピール強度と屈折率の関係を示すグラフを示す。なお、図4において、横軸は屈折率であり、縦軸はピール強度(N/25mm)を示す。
条件(1):Y≧80X-93.8
条件(1):Y≧80X-93.8
また、本開示の積層体は、例えば、前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(2)を満たすものであってもよい。図4に、条件(2)におけるピール強度と屈折率の関係を示すグラフを示す。
条件(2):Y≧100X-117
条件(2):Y≧100X-117
前記条件(1)又は前記条件(2)を満たす場合、例えば、低屈折率でありながらピール強度が高い(すなわち、機械的強度に優れる)積層体を得ることができる。前記条件(1)及び前記条件(2)を満たすために、特に限定されないが、例えば、前記4官能シラン化合物や前記添加剤の種類、含有割合等を適宜調整してもよい。
本開示において、前記中間層は、特に限定されないが、例えば、前述のとおり、前記空隙層の一部が前記粘接着層の一部と合一することにより形成された層である。前記中間層の厚みは、特に制限されないが、例えば、1~1500nm、5~1000nm、10~800nm、又は20~500nmである。
本開示の積層体の形態は、特に制限されないが、フィルム形状が通常である。
本開示の積層体は、例えば、ロール体である。また、本開示の積層体は、例えば、前述のように、さらに樹脂フィルムを含み、長尺な前記樹脂フィルム上に、前記空隙層が形成されてもよい。この場合、本開示の積層体には別の長尺フィルムが積層されていてもよく、前記樹脂フィルムと前記空隙層とを含む本開示の積層体に、別の長尺樹脂フィルム(例えば、合紙、離型フィルム、表面保護フィルム等)を積層した後、ロール体に巻かれた形態であってもよい。
本開示の積層体の製造方法は、特に制限されないが、例えば、以下に示す本開示の製造方法により製造することができる。また、樹脂フィルムを含まない本開示の光学積層体の製造方法については、特に断らない限り、樹脂フィルムを用いない以外は本開示の積層体の製造方法と同様にして行うことができる。
[2.積層体の製造方法]
本開示の積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下に説明する製造方法により行うことができる。ただし、以下の説明は例示であり、本開示をなんら限定しない。
本開示の積層体を製造する方法は、特に限定されないが、例えば、以下に説明する製造方法により行うことができる。ただし、以下の説明は例示であり、本開示をなんら限定しない。
本開示の積層体の製造方法は、前述のとおり、前記空隙層を形成する空隙層形成工程、及び、前記空隙層上に前記粘接着層を形成する粘接着層形成工程を含む。本開示の積層体の製造方法は、さらに、前記空隙層を、前記粘接着層と反応させて前記中間層を形成する中間層形成工程を含んでもよい。
前記空隙層形成工程(前記空隙層の製造方法)は、さらに、ゲル状シリカ合成工程、ゲル粉砕工程、及び結合工程を含んでもよい。前記空隙層形成工程(本開示の空隙層の製造方法)は、前記ゲル状シリカ合成工程、前記ゲル粉砕工程、及び前記結合工程以外の他の工程を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の工程としては、特に限定されないが、例えば、後述する塗工工程、乾燥工程等があげられる。
前記ゲル状シリカ合成工程は、例えば、前記シラン化合物を縮合又は部分的に縮合させてゲル状ケイ素化合物を合成する工程を含む。前記ゲル状シリカ合成工程は、例えば、塊状の多孔体を溶媒中でゲル化してゲルとする工程を含んでもよい。この場合、例えば、後述する複数段階の粉砕段階のうち最初の粉砕段階(例えば、後述する第1の粉砕段階)において、前記ゲル状シリカ合成工程によりゲル化した前記ゲルを使用する。
前記空隙層の製造方法は、例えば、ゲル化した前記ゲルを溶媒中で熟成する熟成工程を含む。この場合、例えば、前記複数段階の粉砕段階のうち最初の粉砕段階(例えば、前記第1の粉砕段階)において、前記熟成工程後の前記ゲルを使用する。
前記ゲル粉砕工程は、例えば、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕して粉砕物を得る工程を含む。前記ゲル粉砕工程は、1段階でもよいが、複数の粉砕段階に分けて行うことが好ましい。前記粉砕段階数は、特に限定されず、例えば、2段階でもよいし、3段階以上でもよい。
前記第1の粉砕段階後の前記ゲルの体積平均粒子径は、例えば、0.5~100μm、1~100μm、1~50μm、2~20μm、又は3~10μmであってもよい。前記第2の粉砕段階後の前記ゲルの体積平均粒子径は、例えば、10~1000nm、100~500nm、又は200~300nmであってもよい。前記体積平均粒子径は、前記ゲルを含む液(ゲル含有液)における前記粉砕物の粒度バラツキを示す。前記体積平均粒子径は、例えば、動的光散乱法、レーザー回折法等の粒度分布評価装置、及び走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡等により測定することができる。
前記空隙層の製造方法は、例えば、前記ゲル状シリカ合成工程の後、前記溶媒を他の溶媒に置換する前記溶媒置換工程を行う。この場合、例えば、前記複数段階の粉砕段階のうち最初の粉砕段階(例えば、前記第1の粉砕段階)において、前記他の溶媒中の前記ゲルを使用する。
前記空隙層の製造方法の前記複数段階の粉砕段階の少なくとも一つ(例えば、前記第1の粉砕段階及び前記第2の粉砕段階の少なくとも一方)において、例えば、前記液のせん断粘度を測定しながら前記多孔体の粉砕を制御する。
前記空隙層の製造方法の前記複数段階の粉砕段階の少なくとも一つ(例えば、前記第1の粉砕段階及び前記第2の粉砕段階の少なくとも一方)を、例えば、高圧メディアレス粉砕により行う。
なお、以下、前記空隙層の製造方法において、前記ゲル粉砕工程を含む工程により得られるゲル粉砕物含有液を、単に「ゲル粉砕物含有液」ということがある。
前記ゲル粉砕物含有液によれば、例えば、その塗工膜を形成し、結合工程により前記塗工膜中の前記粉砕物を化学的に結合させることで、機能性多孔体としての前記空隙層を形成できる。前記ゲル粉砕物含有液によれば、例えば、前記空隙層を、様々な対象物に付与することができる。したがって、前記ゲル粉砕物含有液及びその製造方法は、例えば、前記空隙層の製造において有用である。
前記ゲル粉砕物含有液は、例えば、極めて優れた均一性を有しているため、例えば、前記空隙層を、光学部材等の用途に適用した場合、その外観を良好にすることができる。
前記ゲル粉砕物含有液は、例えば、前記ゲル粉砕物含有液を基板上に塗工(コーティング)し(塗工工程)、さらに乾燥することで(乾燥工程)、高い空隙率を有する層(空隙層)を得るための、ゲル粉砕物含有液であってもよい。
前記塗工工程において、前記ゲル粉砕物含有液の塗工方法は特に限定されず、一般的な塗工方法を採用できる。前記塗工方法としては、例えば、スロットダイ法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法(マイクログラビアコート法)、ディップ法(ディップコート法)、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、リバースコート法等があげられる。これらの中で、生産性、塗膜の平滑性等の観点から、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ロールコート法、マイクログラビアコート法等が好ましい。前記ゲル粉砕物含有液の塗工量は、特に限定されず、例えば、前記空隙層の厚みが適切になるように、適宜設定可能である。前記空隙層の厚みは、特に限定されず、例えば、前述のとおりである。
前記乾燥工程において、前記ゲル粉砕物含有液を乾燥し(すなわち、前記ゲル粉砕物含有液に含まれる分散媒を除去し)、前記乾燥後の塗工膜(空隙層の前駆体)を形成する。前記乾燥工程における乾燥処理の温度は、例えば、50~250℃、60~150℃、70~130℃であり、前記乾燥処理の時間は、例えば、0.1~30分、0.2~10分、0.3~3分である。乾燥処理温度、及び時間については、例えば、連続生産性や高い空孔率の発現の関連では、より低く短いほうが好ましい。条件が厳しすぎると、例えば、基材が樹脂フィルムの場合、前記基材のガラス転移温度に近づくことで、前記基材が乾燥炉の中で伸展してしまい、塗工直後に、形成された空隙構造にクラック等の欠点が発生する可能性がある。一方で、条件が緩すぎる場合、例えば、ロールトゥロール加工において乾燥炉を出たタイミングで残留溶媒を含むため、次工程でロールと擦れた際に、スクラッチ傷が入る等の外観上の不具合が発生する可能性がある。
前記乾燥処理の方法は、例えば、自然乾燥でもよいし、加熱乾燥でもよいし、減圧乾燥でもよい。前記乾燥方法は、特に制限されず、例えば、一般的な加熱手段が使用できる。前記加熱手段は、例えば、熱風器、加熱ロール、遠赤外線ヒーター等があげられる。中でも、工業的に連続生産することを前提とした場合は、加熱乾燥を用いることが好ましい。
前記結合工程は、前記粉砕物を化学的に結合させる工程を含む。前記結合工程は、例えば、事前に前記ゲル粉砕物含有液に添加された触媒もしくは触媒発生剤を含む前記塗工膜に対し光照射もしくは加熱、又は、前記塗工膜に、前記触媒を吹き付けてから光照射もしくは加熱、又は、前記触媒もしくは前記触媒発生剤を吹き付けながら光照射もしくは加熱することによって、行うことができる。前記触媒は、例えば、前記架橋反応促進剤でもよく、前記空隙層の強度を向上させる強度向上剤であってもよく、前記架橋促進剤が前記硬度向上剤を兼ねていてもよい。
前記光照射における、光照射の積算光量は、特に限定されないが、@360nm換算で、例えば、200~800mJ/cm2、250~600mJ/cm2、又は300~400mJ/cm2である。照射量が十分でなく触媒発生剤の光吸収による分解が進まず効果が不十分となることを防止する観点からは、200mJ/cm2以上の積算光量がよい。また、空隙層下の基材にダメージがかかり、熱ジワが発生することを防止する観点からは、800mJ/cm2以下の積算光量がよい。
前記加熱における、加熱温度及び加熱時間は特に限定されず、前記加熱処理の条件は、特に制限されず、前記加熱温度は、例えば、50~250℃、60~150℃、70~130℃であり、前記加熱時間は、例えば、0.1~30分、0.2~10分、0.3~3分である。又は、前述のとおり塗工された前記ゲル粉砕物含有液を乾燥する工程が、前記触媒存在下での化学反応を行う工程を兼ねていてもよい。すなわち、塗工された前記ゲル粉砕物含有液(例えば懸濁液)を乾燥する工程において、前記触媒存在下での化学反応により、前記粉砕物同士を化学的に結合させてもよい。この場合において、前記乾燥工程後に前記塗工膜をさらに加熱することにより、前記粉砕物(微細孔粒子)同士をさらに強固に結合させてもよい。さらに、前記触媒存在下での化学反応は、前記微細孔粒子含有液(例えば懸濁液)を作製する工程、及び、前記微細孔粒子含有液を塗工する工程においても起こる場合があると推測される。しかしながら、この推測は、本発明を何ら限定しない。
前記粘接着層形成工程は、例えば、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する粘接着剤塗工液塗布工程と、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含んでいてもよい。例えば、基材上に前記粘接着層が積層された粘着テープ等の、前記粘接着層側を、前記空隙層の上に貼り合せることにより、前記空隙層上に前記粘接着層を形成してもよい。この場合、前記粘着テープ等の基材は、そのまま貼り合せたままにしてもよいし、前記粘接着層から剥離してもよい。特に、基材を剥離して、基材を有しない(基材レスの)積層体とすることで、厚みを大幅に低減することができ、デバイス等の厚み増加を抑制できる。本開示において、前記粘接着層は、例えば、前述のとおり、前記粘接着剤塗工液を用いて製造することができる。
前記粘接着層形成工程は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、前記粘接着剤塗工液の全成分を混合する混合工程により、前記粘接着剤塗工液を製造する。前記粘接着剤塗工液は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよく、また、例えば、さらに架橋剤(例えばイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤)を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記粘接着剤塗工液は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーと、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーと架橋剤と、有機過酸化物とを含んでいてもよい。このとき、前記粘接着剤塗工液が、他の成分を含む場合は、前記他の成分も一緒に混合してもよい。例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー製造時の重合溶媒を除去せずに、そのまま前記粘接着剤塗工液の成分として混合してもよい。また、前記粘接着剤塗工液の製造方法は、前記混合工程以外の他の工程を含んでいてもよいが、含んでいなくてもよく、単に前記混合工程により前記粘接着剤塗工液の全成分を混合するのみでもよい。
つぎに、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する(粘接着剤塗工液塗布工程)。前記基材は、特に制限されず、例えば、フィルム等の基材であってもよい。前記基材は、例えば、熱可塑性樹脂製の基材、ガラス製の基材、シリコンに代表される無機基板、熱硬化性樹脂等で成形されたプラスチック、半導体等の素子、カーボンナノチューブに代表される炭素繊維系材料等が好ましく使用できるが、これらに限定されない。前記基材の形態は、例えば、フィルム、プレート等があげられる。前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等があげられる。また、前記粘接着剤塗工液塗布工程において、前記粘接着剤塗工液の塗布厚みは、特に限定されないが、例えば、乾燥後の粘接着層の厚みが所定の厚みになるように適宜調整すればよい。乾燥後の粘接着層の厚みも特に限定されないが、例えば、後述のとおりである。
つぎに、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する(加熱乾燥工程)。この加熱乾燥工程において、加熱乾燥の温度は、特に限定されないが、例えば、50℃以上、80℃以上、100℃以上、又は155℃以上であってもよく、例えば、200℃以下、180℃以下、又は160℃以下であってもよい。加熱乾燥の時間は、特に限定されないが、例えば、0.5分以上、1分以上、又は3分以上であってもよく、例えば、60分以下、30分以下、20分以下、又は10分以下であってもよい。この加熱乾燥工程において、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーと架橋剤との間で、架橋反応及びグラフト重合が起こる。これにより、例えば、前述のとおり、前記粘接着剤塗工液中に存在する半高分子ポリマーの量が減少し、前記粘接着層が前記第1の光学シートの前記凹部中に侵入しにくくなる。以上のようにして、本開示の積層体に用いる前記粘接着層を製造できる。
つぎに、前述のとおり、前記粘接着層と前記空隙層とを貼り合せる(貼合工程)。この方法は特に限定されないが、例えば、前述のとおり、基材上に前記本開示の粘接着層が積層された粘着テープ等の、前記粘接着層側を、前記空隙層の上に貼り合せることにより、前記空隙層上に前記粘接着層を形成してもよい。以上のようにして、前記本開示の積層体を製造できる。
前記粘接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1~100μm、5~50μm、10~30μm、又は12~25μmである。
前記本開示の積層体の製造方法において、例えば、さらに、前記貼合工程後に前記粘接着層及び前記空隙層を加熱する加熱工程を行ってもよい。以下において、この加熱工程を「エージング工程」という場合がある。前記加熱工程(エージング工程)において、加熱温度は、特に限定されないが、例えば、40℃以上、45℃以上、又は50℃以上であってもよく、例えば、80℃以下、70℃以下、60℃以下、又は55℃以下であってもよい。加熱時間は、特に限定されないが、例えば、1分以上、10分以上、60分以上、又は1800分以上であってもよく、例えば、3000分以下、2800分以下、2500分以下、又は2000分以下であってもよい。このエージング工程において、例えば、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって前記中間層が形成される。そして、例えば、前記中間層がストッパーとなり、前記空隙層の空隙が粘着剤によって埋まることによる空隙率の減少を抑制できる。なお、前記空隙層と前記粘接着層との合一は、前記粘接着層が前記空隙層の空隙に埋まり込んで且つ化学的に結合したものであってもよいし、前記粘接着層が前記空隙層の空隙に埋まり込んだものであってもよい。
前記粘接着層により、前記空隙層を、物理的ダメージ(特に擦傷)から保護することが可能である。また、前記粘接着層は、基材を有しない(基材レスの)空隙層含有粘接着シートとしても前記空隙層が潰れないように、耐圧性に優れたものが好ましいが、特に限定されない。
このようにして得られる本開示の積層体は、例えば、前述のとおり、さらに、他のフィルム(層)と積層して、前記空隙層(多孔質構造)を含む積層構造体としてもよい。この場合、前記積層構造体において、各構成要素は、例えば、前記粘接着層(粘着剤又は接着剤)を介して積層させてもよい。
前記各構成要素の積層は、例えば、効率的であることから、長尺フィルムを用いた連続処理(いわゆるRoll to Roll等)により積層を行ってもよく、基材が成形物・素子等の場合はバッチ処理を行ったものを積層してもよい。
[3.光学部材]
本開示の光学部材は、前述のように、本開示の積層体を含む。本開示の光学部材は、本開示の積層体を含むことが特徴であって、その他の構成は何ら制限されない。本開示の光学部材は、例えば、前記積層体の他に、他の層をさらに含んでもよい。本開示の光学部材は、例えば、ロール状である。
本開示の光学部材は、前述のように、本開示の積層体を含む。本開示の光学部材は、本開示の積層体を含むことが特徴であって、その他の構成は何ら制限されない。本開示の光学部材は、例えば、前記積層体の他に、他の層をさらに含んでもよい。本開示の光学部材は、例えば、ロール状である。
[4.光学装置]
本開示の光学装置は、前述のように、本開示の光学部材を含む。本開示の光学装置は、特に限定されないが、例えば、画像表示装置でも照明装置でもよい。前記画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等があげられる。前記照明装置としては、例えば、有機EL照明等があげられる。
本開示の光学装置は、前述のように、本開示の光学部材を含む。本開示の光学装置は、特に限定されないが、例えば、画像表示装置でも照明装置でもよい。前記画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等があげられる。前記照明装置としては、例えば、有機EL照明等があげられる。
つぎに、本開示の実施例について説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されない。
なお、以下の参考例、実施例及び比較例において、各物質の部数(相対的な使用量)は、特に断らない限り、質量部(重量部)である。以下の参考例、実施例及び比較例において、粘接着剤としては、後述する粘着剤(粘着剤組成物)を用いた。以下の参考例、実施例及び比較例において、「粘着剤層」は、「粘接着層」に該当する。すなわち、以下の参考例、実施例及び比較例においては、特に断らない限り、「粘着剤層」と「粘接着層」とは同義である。
また、以下の参考例、実施例及び比較例において、ナノインデンテーション硬さ、積層体の状態で測定される空隙層の屈折率(屈折率(積層体))、及び空隙層のみを測定した場合における屈折率(屈折率(空隙層))、ピール強度、及び空隙残存率は、それぞれ、実施形態に記載した方法により測定した。
なお、以下の各参考例、実施例及び比較例における粘接着層においては、塗工した粘着剤の加熱乾燥によって、ポリマー(アクリル系ポリマー)が架橋剤により架橋され、架橋構造が形成されたと推測されるが、架橋構造については確認していない。
[参考例1:粘接着層(粘着剤1)の形成]
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例1)の粘接着層を形成した。
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例1)の粘接着層を形成した。
(1)アクリル系ポリマー溶液の調製
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコ内に、ブチルアクリレート90.7部、N-アクリロイルモルホリン6部、アクリル酸3部、2-ヒドロキシブチルアクリレート0.3部、及び、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を、酢酸エチル100gと共に入れた。つぎに、前記4つ口フラスコ内の内容物を緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、前記4つ口フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液を調製した。
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコ内に、ブチルアクリレート90.7部、N-アクリロイルモルホリン6部、アクリル酸3部、2-ヒドロキシブチルアクリレート0.3部、及び、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を、酢酸エチル100gと共に入れた。つぎに、前記4つ口フラスコ内の内容物を緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、前記4つ口フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液を調製した。
(2)アクリル系粘着剤組成物の調製
前記(1)で得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体)0.2部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)0.3部、γ-グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM-403」)0.1部を配合したアクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤溶液)を調製した。
前記(1)で得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体)0.2部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)0.3部、γ-グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM-403」)0.1部を配合したアクリル系粘着剤組成物(アクリル系粘着剤溶液)を調製した。
(3)粘接着層の形成
前記(2)で得られたアクリル系粘着剤組成物を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmになるように塗布し、150℃で3分間乾燥を行い、粘着剤層(粘接着層)である粘着剤1を形成した。
前記(2)で得られたアクリル系粘着剤組成物を、シリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム社製、厚さ:38μm)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmになるように塗布し、150℃で3分間乾燥を行い、粘着剤層(粘接着層)である粘着剤1を形成した。
[参考例2:粘接着層(粘着剤2)の形成]
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例2)の粘接着層を形成した。
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例2)の粘接着層を形成した。
(1)(メタ)アクリル系ポリマー(A1)溶液の調製
撹持羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート79.5部、N-アクリロイルモルホリン15部、アクリル酸5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.5部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル70部と共に仕込み、緩やかに撹枠しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って2時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)300万、Mw/Mn=2.5の(メタ)アクリル系ポリマー(A1) の溶液を調製した。
撹持羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート79.5部、N-アクリロイルモルホリン15部、アクリル酸5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.5部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル70部と共に仕込み、緩やかに撹枠しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って2時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)300万、Mw/Mn=2.5の(メタ)アクリル系ポリマー(A1) の溶液を調製した。
(2)(メタ)アクリル系粘着剤組成物の調製
得られた前記(メタ)アクリル系ポリマー(A1)の溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体)0.2部、エポキシ架橋剤1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
得られた前記(メタ)アクリル系ポリマー(A1)の溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体)0.2部、エポキシ架橋剤1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
(3)粘接着層の形成
次いで、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層(粘接着層)である粘着剤2を形成した。
次いで、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層(粘接着層)である粘着剤2を形成した。
[参考例3:粘接着層(粘着剤3)の形成]
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例3)の粘接着層を形成した。
下記(1)~(3)の手順により、本参考例(参考例3)の粘接着層を形成した。
(1)アクリル系ポリマー溶液の調製
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコ内に、ブチルアクリレート99部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1部、及び、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を、酢酸エチル100部と共に入れた。つぎに、前記4つ口フラスコ内の内容物を緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、前記4つ口フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行 い、アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコ内に、ブチルアクリレート99部、4-ヒドロキシブチルアクリレート1部、及び、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を、酢酸エチル100部と共に入れた。つぎに、前記4つ口フラスコ内の内容物を緩やかに撹拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した。その後、前記4つ口フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行 い、アクリル系ポリマーの溶液を調製した。
(2)アクリル系粘着剤組成物の調製
前記(1)で得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル社製の商品名「タケネートD110N」、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート)0.1部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)0.1部、γ-グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM-403」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
前記(1)で得られたアクリル系ポリマー溶液の固形分100部に対して、イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル社製の商品名「タケネートD110N」、トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート)0.1部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)0.1部、γ-グリシドキシプロピルメトキシシラン(信越化学工業社製の商品名「KBM-403」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。
(3)粘接着層の形成
前記(2)で得られたアクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名「MRF38」)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に厚さが20μmの粘着剤層(粘接着層)である粘着剤3を形成した。
前記(2)で得られたアクリル系粘着剤組成物の溶液を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製、商品名「MRF38」)の片面に塗布し、150℃で3分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に厚さが20μmの粘着剤層(粘接着層)である粘着剤3を形成した。
[実施例1~9、比較例1~3:積層体の製造]
以下の方法により、実施例1~9、比較例1~3の積層体を製造した。
以下の方法により、実施例1~9、比較例1~3の積層体を製造した。
(実施例1)
(1)ケイ素化合物のゲル化(ゲル状シリカ合成工程)
4.4gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を1.90gとテトラエトキシシラン(TEOS)を0.1g溶解させて混合液Aを調製した。この混合液Aに、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を1.0g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシラン及びテトラ(ヒドロキシ)シランを含む混合液Bを生成した。5.5gのDMSOに、28重量%のアンモニア水0.38g、及び純水0.2gを添加した後、さらに、上記混合液Bを追添し、室温で15分撹拌することで、トリス(ヒドロキシ)メチルシラン及びテトラ(ヒドロキシ)シランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを得た。
(1)ケイ素化合物のゲル化(ゲル状シリカ合成工程)
4.4gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を1.90gとテトラエトキシシラン(TEOS)を0.1g溶解させて混合液Aを調製した。この混合液Aに、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を1.0g添加し、室温で30分撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシラン及びテトラ(ヒドロキシ)シランを含む混合液Bを生成した。5.5gのDMSOに、28重量%のアンモニア水0.38g、及び純水0.2gを添加した後、さらに、上記混合液Bを追添し、室温で15分撹拌することで、トリス(ヒドロキシ)メチルシラン及びテトラ(ヒドロキシ)シランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを得た。
(2)熟成処理
上記のように調製したゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行った。
上記のように調製したゲル状ケイ素化合物を含む混合液Cを、そのまま、40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行った。
(3)粉砕処理(ゲル粉砕工程)
つぎに、上記のように熟成処理したゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cmサイズの顆粒状に砕いた。次いで、混合液Cにイソプロピルアルコール(IPA)を40g添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒及び触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回行うことにより、溶媒置換し、混合液Dを得た。次いで、混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)は、ホモジナイザー(エスエムテー社製、商品名「UH-50」)を使用し、5ccのスクリュー瓶に、混合液D中のゲル状化合物1.85g及びIPAを1.15g秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕で行った。
つぎに、上記のように熟成処理したゲル状ケイ素化合物を、スパチュラを用いて数mm~数cmサイズの顆粒状に砕いた。次いで、混合液Cにイソプロピルアルコール(IPA)を40g添加し、軽く撹拌した後、室温で6時間静置して、ゲル中の溶媒及び触媒をデカンテーションした。同様のデカンテーション処理を3回行うことにより、溶媒置換し、混合液Dを得た。次いで、混合液D中のゲル状ケイ素化合物を粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)した。粉砕処理(高圧メディアレス粉砕)は、ホモジナイザー(エスエムテー社製、商品名「UH-50」)を使用し、5ccのスクリュー瓶に、混合液D中のゲル状化合物1.85g及びIPAを1.15g秤量した後、50W、20kHzの条件で2分間の粉砕で行った。
この粉砕処理によって、上記混合液D中のゲル状ケイ素化合物が粉砕されたことにより、混合液Dは、粉砕物のゾル液Eとなった。ゾル液Eに含まれる粉砕物の粒度バラツキを示す体積平均粒子径を、動的光散乱式ナノトラック粒度分析計(日機装社製、UPA-EX150型)にて確認したところ、0.50~0.70μmであった。さらに、0.75gのゾル液Eに対し、架橋反応促進剤の前駆体である光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社、商品名:WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.124g、架橋補助剤(ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン)の5%濃度MEK溶液を0.036gの比率で添加し、低屈折率層形成用塗工液1を得た。
低屈折率層形成用塗工液を、アクリル基材上に塗工・乾燥し、膜厚約850nmの空隙層(空隙率59体積%)を形成した。なお、ワイヤーバーにより塗工し、乾燥温度及び乾燥時間はそれぞれ100℃及び2分とした。つぎに、空隙層面からUV照射(300mJ)を行ない、前記ゲル状化合物の粉砕物同士を結合させた(結合工程)。なお、結合工程による前記ゲル状化合物の粉砕物同士の結合には、前記粉砕物同士が架橋補助剤を介さずに直接結合した架橋結合(共有結合)、及び前記架橋補助剤を介した架橋結合(共有結合)の少なくとも一方が含まれると推察される。その後、厚み10μmの粘着剤1を前記空隙層面上に貼り合わせし、50℃で30hエージングを行ない、本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて、本実施例の積層体を製造した。
(実施例2)
実施例1における光塩基発生剤及び架橋補助剤の添加量を、0.75gのゾル液Eに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社、商品名:WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.186g、架橋補助剤(1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン) の5%濃度MEK溶液を0.054gの比率に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1における光塩基発生剤及び架橋補助剤の添加量を、0.75gのゾル液Eに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社、商品名:WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.186g、架橋補助剤(1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン) の5%濃度MEK溶液を0.054gの比率に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(実施例3)
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の積層体を製造した。
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の積層体を製造した。
(実施例4)
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更した以外は実施例2と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更した以外は実施例2と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(実施例5)
実施例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤2を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤2を使用したこと以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(実施例6)
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.3gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.3gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(実施例7)
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.4gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.4gに変更した以外は実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(実施例8)
実施例1において、2.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させた、テトラエトキシシラン(TMOS)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の積層体を製造した。
実施例1において、2.2gのジメチルスルホキシド(DMSO)に、ケイ素化合物の前駆体であるメチルトリメトキシシラン(MTMS)を0.95g溶解させた、テトラエトキシシラン(TMOS)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の積層体を製造した。
(実施例9)
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更し、光塩基発生剤及びビス架橋促進剤の添加量を、0.75gのゾル液Eに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社、商品名:WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.062g、ビス架橋促進剤((トリメトキシシリル)ヘキサン)の5%濃度MEK溶液を0.018gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
実施例1におけるテトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0.2gに変更し、光塩基発生剤及びビス架橋促進剤の添加量を、0.75gのゾル液Eに対し、光塩基発生剤(和光純薬工業株式会社、商品名:WPBG266)の1.5重量%濃度MEK(メチルエチルケトン)溶液を0.062g、ビス架橋促進剤((トリメトキシシリル)ヘキサン)の5%濃度MEK溶液を0.018gに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行って本実施例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本実施例の積層体を製造した。
(比較例1)
実施例9において、テトラエトキシシラン(TEOS)を添加しなかったこと以外は、実施例9と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
実施例9において、テトラエトキシシラン(TEOS)を添加しなかったこと以外は、実施例9と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
(比較例2)
比較例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤2を使用したこと以外は比較例1と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
比較例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤2を使用したこと以外は比較例1と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
(比較例3)
比較例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤3を使用したこと以外は比較例1と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
比較例1で使用した粘着剤1に代えて、粘着剤3を使用したこと以外は比較例1と同様の操作を行って本比較例の空隙層を製造した。また、製造した空隙層を用いて本比較例の積層体を製造した。
前記表1に示したとおり、実施例の積層体は、層間のピール強度が3N/25mm以上であり、良好であった。一方で、比較例の積層体は、いずれも層間のピール強度が3N/25mm未満となった。
また、図4に、積層体とした際にナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上となる実施例及び比較例の、ピール強度と屈折率の関係を示すグラフを示す。図4において、式「Y=80.409x-93.718」は、4官能シラン化合物を配合せず、かつ、架橋補助剤及び架橋反応促進剤を発生する物質の添加量のみを変えた比較例1と実施例8の2点の平均をとった一次関数式である。式「Y=136.4x-159.92」は、4官能シラン化合物を3官能シラン化合物に対して3.5mol%配合し、かつ、架橋補助剤及び架橋反応促進剤を発生する物質の添加量のみを変えた、実施例1、2の2点の平均をとった一次関数式である。式「Y=141.37x-165.06」は、4官能シラン化合を3官能シラン化合物に対して6.9モル%配合し、かつ、架橋補助剤及び架橋反応促進剤を発生する物質の添加量のみを変えた、実施例3、4、9の3点の平均をとった一次関数式である。
図4のとおり、すべての実施例は、空隙層と粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上となった。また、すべての実施例の積層体は、実施形態記載の条件(1)(Y≧80X-93.8)を満たす結果となった。さらに、実施例の積層体は、シラン化合物として4官能シラン化合物を含むことにより、同じ屈折率を有する4官能シラン化合物を含まない空隙層と比べて、ピール強度が大きくなることがわかった。すなわち、実施形態記載の条件(2)(Y≧100X-117)を満たす結果となった。また、架橋補助剤及び架橋反応促進剤(架橋反応促進剤の前駆体)の含有割合を増やすことで、よりピール強度が向上する結果となった。
本開示は、例えば、以下の付記のように記載することも可能である。ただし、以下の付記は例示であり、本開示はこれらの形態のみに限定されない。
(付記1)
積層体であって、
前記積層体は、空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されており、
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率が、1.30以下であり、
ナノインデンターを用いて前記粘接着層に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上であり、
引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上である、
積層体。
(付記2)
前記ピール強度が3.5N/25mm以上である、付記1記載の積層体。
(付記3)
前記屈折率が1.25以下である、付記1又は2記載の積層体。
(付記4)
前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(1)を満たす、付記1から3のいずれかに記載の積層体。
条件(1):Y≧80X-93.8
(付記5)
前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(2)を満たす、付記1から3のいずれかに記載の積層体。
条件(2):Y≧100X-117
(付記6)
前記ナノインデンテーション硬さが1.2MPa以下である、付記1から5のいずれかに記載の積層体。
(付記7)
温度85℃、湿度85%RHで500時間保持する加熱加湿耐久性試験後に、前記空隙層の空隙残存率が10体積%以上である、付記1から6のいずれかに記載の積層体。
(付記8)
前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、
前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層である付記1から7のいずれかに記載の積層体。
(付記9)
前記空隙層が、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物を含む、付記1から8のいずれかに記載の積層体。
(付記10)
前記シラン化合物として、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含む、付記9に記載の積層体。
(付記11)
前記1~3官能シラン化合物の物質量に対する前記4官能シラン化合物の含有割合が、1~25mol%である、
付記10記載の積層体。
(付記12)
前記空隙層が、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層であり、
前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が、前記シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物である、
付記9から11のいずれかに記載の積層体。
(付記13)
前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を含み、
前記前駆体が、光又は熱により前記架橋反応促進剤を発生する物質である、
付記12記載の積層体。
(付記14)
前記架橋反応促進剤が、酸性物質又は塩基性物質である、付記13記載の積層体。
(付記15)
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合が、1mol%以上である、付記13又は14記載の積層体。
(付記16)
前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋補助剤を含む、
付記12から15のいずれかに記載の積層体。
(付記17)
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋補助剤の合計含有割合が、1mol%以上である、付記16記載の積層体。
(付記18)
前記空隙層が、添加剤の共存条件においてゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層であり、
前記ゲル状ケイ素化合物は、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物であり、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方、並びに架橋補助剤を含み、
前記シラン化合物の合計の物質量に対して、
前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合が、1.5mol%以上であり、
前記架橋補助剤の合計含有割合が、2.0mol%以上である、
付記1から8のいずれかに記載の積層体。
(付記19)
前記空隙層を形成する空隙層形成工程、及び、
前記空隙層上に前記粘接着層を形成する粘接着層形成工程、
を含む、
付記1から18のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(付記20)
前記空隙層形成工程は、さらに、ゲル状シリカ合成工程、ゲル粉砕工程、及び結合工程を含み、
前記ゲル状シリカ合成工程は、シラン化合物を縮合又は部分的に縮合させてゲル状ケイ素化合物を合成する工程を含み、
前記シラン化合物は、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含み、
前記ゲル粉砕工程は、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕して粉砕物を得る工程を含み、
前記結合工程は、前記粉砕物を化学的に結合させる工程を含む、
付記19記載の積層体の製造方法。
(付記21)
前記空隙層形成工程は、さらに、ゲル状シリカ合成工程、ゲル粉砕工程、及び結合工程を含み、
前記ゲル状シリカ合成工程は、シラン化合物を縮合又は部分的に縮合させてゲル状ケイ素化合物を合成する工程を含み、
前記ゲル粉砕工程は、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕して粉砕物を得る工程を含み、
前記結合工程は、添加剤の共存条件において前記粉砕物を化学的に結合させる工程を含み、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方、並びに架橋補助剤を含む、
付記19記載の積層体の製造方法。
(付記22)
付記1から18のいずれかに記載の積層体を含む、光学部材。
(付記23)
付記22記載の光学部材を含む、光学装置。
(付記24)
画像表示装置、又は照明装置である、付記23記載の光学装置。
積層体であって、
前記積層体は、空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されており、
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率が、1.30以下であり、
ナノインデンターを用いて前記粘接着層に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上であり、
引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上である、
積層体。
(付記2)
前記ピール強度が3.5N/25mm以上である、付記1記載の積層体。
(付記3)
前記屈折率が1.25以下である、付記1又は2記載の積層体。
(付記4)
前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(1)を満たす、付記1から3のいずれかに記載の積層体。
条件(1):Y≧80X-93.8
(付記5)
前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(2)を満たす、付記1から3のいずれかに記載の積層体。
条件(2):Y≧100X-117
(付記6)
前記ナノインデンテーション硬さが1.2MPa以下である、付記1から5のいずれかに記載の積層体。
(付記7)
温度85℃、湿度85%RHで500時間保持する加熱加湿耐久性試験後に、前記空隙層の空隙残存率が10体積%以上である、付記1から6のいずれかに記載の積層体。
(付記8)
前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、
前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層である付記1から7のいずれかに記載の積層体。
(付記9)
前記空隙層が、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物を含む、付記1から8のいずれかに記載の積層体。
(付記10)
前記シラン化合物として、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含む、付記9に記載の積層体。
(付記11)
前記1~3官能シラン化合物の物質量に対する前記4官能シラン化合物の含有割合が、1~25mol%である、
付記10記載の積層体。
(付記12)
前記空隙層が、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層であり、
前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が、前記シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物である、
付記9から11のいずれかに記載の積層体。
(付記13)
前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を含み、
前記前駆体が、光又は熱により前記架橋反応促進剤を発生する物質である、
付記12記載の積層体。
(付記14)
前記架橋反応促進剤が、酸性物質又は塩基性物質である、付記13記載の積層体。
(付記15)
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合が、1mol%以上である、付記13又は14記載の積層体。
(付記16)
前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋補助剤を含む、
付記12から15のいずれかに記載の積層体。
(付記17)
前記1~3官能シラン化合物及び前記4官能シラン化合物の合計の物質量に対して、前記架橋補助剤の合計含有割合が、1mol%以上である、付記16記載の積層体。
(付記18)
前記空隙層が、添加剤の共存条件においてゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層であり、
前記ゲル状ケイ素化合物は、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物であり、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方、並びに架橋補助剤を含み、
前記シラン化合物の合計の物質量に対して、
前記架橋反応促進剤及びその前駆体の合計含有割合が、1.5mol%以上であり、
前記架橋補助剤の合計含有割合が、2.0mol%以上である、
付記1から8のいずれかに記載の積層体。
(付記19)
前記空隙層を形成する空隙層形成工程、及び、
前記空隙層上に前記粘接着層を形成する粘接着層形成工程、
を含む、
付記1から18のいずれかに記載の積層体の製造方法。
(付記20)
前記空隙層形成工程は、さらに、ゲル状シリカ合成工程、ゲル粉砕工程、及び結合工程を含み、
前記ゲル状シリカ合成工程は、シラン化合物を縮合又は部分的に縮合させてゲル状ケイ素化合物を合成する工程を含み、
前記シラン化合物は、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含み、
前記ゲル粉砕工程は、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕して粉砕物を得る工程を含み、
前記結合工程は、前記粉砕物を化学的に結合させる工程を含む、
付記19記載の積層体の製造方法。
(付記21)
前記空隙層形成工程は、さらに、ゲル状シリカ合成工程、ゲル粉砕工程、及び結合工程を含み、
前記ゲル状シリカ合成工程は、シラン化合物を縮合又は部分的に縮合させてゲル状ケイ素化合物を合成する工程を含み、
前記ゲル粉砕工程は、前記ゲル状ケイ素化合物を粉砕して粉砕物を得る工程を含み、
前記結合工程は、添加剤の共存条件において前記粉砕物を化学的に結合させる工程を含み、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方、並びに架橋補助剤を含む、
付記19記載の積層体の製造方法。
(付記22)
付記1から18のいずれかに記載の積層体を含む、光学部材。
(付記23)
付記22記載の光学部材を含む、光学装置。
(付記24)
画像表示装置、又は照明装置である、付記23記載の光学装置。
以上、説明したとおり、本開示によれば、低屈折率であり、かつ、機械的強度に優れた積層体、光学部材、及び光学装置を提供することができる。本開示の用途は特に限定されない。例えば、本開示の光学装置は、特に限定されず、画像表示装置、照明装置等があげられる。前記画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等があげられる。前記照明装置としては、例えば、有機EL照明等があげられる。さらに、本開示の積層体の用途は、本開示の光学部材及び光学装置に限定されず任意であり、広範な用途に使用可能である。
10、10a、10b、10c、10d、10e 積層体
11 空隙層
12 粘接着層
13 中間層
14 基材
11 空隙層
12 粘接着層
13 中間層
14 基材
Claims (17)
- 積層体であって、
前記積層体は、空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面又は両面に直接積層されており、
前記積層体の状態で測定される前記空隙層の屈折率が、1.30以下であり、
ナノインデンターを用いて前記粘接着層に対して圧子を2000nm押し込んで測定されるナノインデンテーション硬さが0.5MPa以上であり、
引張試験機を用いて引張速度0.3m/minで測定される前記空隙層と前記粘接着層との層間のピール強度が3N/25mm以上である、
積層体。 - 前記ピール強度が3.5N/25mm以上である、請求項1記載の積層体。
- 前記屈折率が1.25以下である、請求項1記載の積層体。
- 前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(1)を満たす、請求項1記載の積層体。
条件(1):Y≧80X-93.8 - 前記屈折率をX、前記ピール強度をYとしたときに、下記条件(2)を満たす、請求項1記載の積層体。
条件(2):Y≧100X-117 - 前記ナノインデンテーション硬さが1.2MPa以下である、請求項1記載の積層体。
- 温度85℃、湿度85%RHで500時間保持する加熱加湿耐久性試験後に、前記空隙層の空隙残存率が10体積%以上である、請求項1記載の積層体。
- 前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、
前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層である請求項1記載の積層体。 - 前記空隙層が、シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物を含む、請求項1記載の積層体。
- 前記シラン化合物として、1~3官能シラン化合物及び4官能シラン化合物を含む、請求項9に記載の積層体。
- 前記1~3官能シラン化合物の物質量に対する前記4官能シラン化合物の含有割合が、1~25mol%である、
請求項10記載の積層体。 - 前記空隙層が、ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合している空隙層であり、
前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が、前記シラン化合物が縮合又は部分的に縮合した化合物である、
請求項9記載の積層体。 - 前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋反応促進剤及びその前駆体の少なくとも一方を含み、
前記前駆体が、光又は熱により前記架橋反応促進剤を発生する物質である、
請求項12記載の積層体。 - 前記架橋反応促進剤が、酸性物質又は塩基性物質である、請求項13記載の積層体。
- 前記空隙層が、添加剤の共存条件において前記ゲル状ケイ素化合物の粉砕物が化学的に結合した空隙層であり、
前記添加剤として、架橋補助剤を含む、
請求項12記載の積層体。 - 請求項1から15のいずれか一項に記載の積層体を含む、光学部材。
- 請求項16記載の光学部材を含む、光学装置。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2023107488A JP2025006593A (ja) | 2023-06-29 | 2023-06-29 | 積層体、光学部材、及び光学装置 |
PCT/JP2024/017666 WO2025004562A1 (ja) | 2023-06-29 | 2024-05-13 | 積層体、光学部材、及び光学装置 |
TW113122667A TW202504756A (zh) | 2023-06-29 | 2024-06-19 | 積層體、光學構件及光學裝置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2023107488A JP2025006593A (ja) | 2023-06-29 | 2023-06-29 | 積層体、光学部材、及び光学装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2025006593A true JP2025006593A (ja) | 2025-01-17 |
Family
ID=93938170
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023107488A Pending JP2025006593A (ja) | 2023-06-29 | 2023-06-29 | 積層体、光学部材、及び光学装置 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2025006593A (ja) |
TW (1) | TW202504756A (ja) |
WO (1) | WO2025004562A1 (ja) |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017064954A (ja) * | 2015-09-28 | 2017-04-06 | 日東電工株式会社 | 積層フィルムの製造方法および画像表示装置の製造方法 |
JP7182358B2 (ja) * | 2017-01-31 | 2022-12-02 | 日東電工株式会社 | 低屈折率層含有粘接着シート、低屈折率層含有粘接着シートの製造方法、および光学デバイス |
JP7423181B2 (ja) * | 2017-09-29 | 2024-01-29 | 日東電工株式会社 | 積層体、光学部材および光学装置 |
JP6580101B2 (ja) * | 2017-09-29 | 2019-09-25 | 日東電工株式会社 | 空隙層、積層体、空隙層の製造方法、光学部材および光学装置 |
JP2022155373A (ja) * | 2021-03-30 | 2022-10-13 | 日東電工株式会社 | 光学積層体、光学積層体の製造方法、光学部材、光学装置、光学部材の製造方法、及び光学装置の製造方法 |
JP2023051690A (ja) * | 2021-09-30 | 2023-04-11 | 日東電工株式会社 | 積層体、光学部材、及び光学装置 |
-
2023
- 2023-06-29 JP JP2023107488A patent/JP2025006593A/ja active Pending
-
2024
- 2024-05-13 WO PCT/JP2024/017666 patent/WO2025004562A1/ja unknown
- 2024-06-19 TW TW113122667A patent/TW202504756A/zh unknown
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2025004562A1 (ja) | 2025-01-02 |
TW202504756A (zh) | 2025-02-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI825064B (zh) | Led照明器具用薄膜、led照明器具 | |
KR102477728B1 (ko) | 실리콘 다공체 및 그 제조 방법 | |
US11396614B2 (en) | Void-containing layer, laminate, method for producing void-containing layer, optical member, and optical apparatus | |
JP7182358B2 (ja) | 低屈折率層含有粘接着シート、低屈折率層含有粘接着シートの製造方法、および光学デバイス | |
US11402569B2 (en) | Optical sheet for light guide plate type liquid crystal display, backlight unit for light guide plate type liquid crystal display, and light guide plate type liquid crystal display | |
TWI756341B (zh) | 含低折射率層之黏接著片材、含低折射率層之黏接著片材之製造方法及光學組件 | |
TWI871274B (zh) | 積層體、光學構件及光學裝置 | |
JP7662735B2 (ja) | 積層体、光学部材および光学装置 | |
JP6563750B2 (ja) | 塗料およびその製造方法 | |
TWI876001B (zh) | 雙面附黏著劑層之光學積層體及光學裝置 | |
JP2018123233A (ja) | 空隙層、空隙層含有粘接着シート、空隙層の製造方法、空隙層含有粘接着シートの製造方法、および光学デバイス | |
CN115398292A (zh) | 光学构件、以及使用了该光学构件的背光灯单元及图像显示装置 | |
CN112771413A (zh) | 双面带粘合剂层的光学层叠体 | |
JP6609721B1 (ja) | 空隙層、積層体、空隙層の製造方法、光学部材および光学装置 | |
JP2025006593A (ja) | 積層体、光学部材、及び光学装置 | |
JP2025006592A (ja) | 空隙層、空隙層の製造方法、積層体、光学部材、及び光学装置 | |
WO2016104765A1 (ja) | 塗料およびその製造方法 | |
CN112771414A (zh) | 双面带粘合剂层的光学层叠体 | |
TW202243866A (zh) | 空隙層、積層體、空隙層之製造方法、光學構件及光學裝置 | |
KR20230163378A (ko) | 광학 적층체, 광학 적층체의 제조 방법, 광학 부재, 광학 장치, 광학 부재의 제조 방법, 및 광학 장치의 제조 방법 |