エンドソーム脱出ビヒクル(EEV)
細胞膜を横切ってカーゴを輸送するために、例えば、カーゴを細胞のサイトゾル又は核に送達するために使用することができるエンドソーム脱出ビヒクル(EEV)が本明細書において提供される。カーゴとしては、高分子、例えば、ペプチド若しくはオリゴヌクレオチド、又は小分子を含み得る。EEVは、細胞透過性ペプチド(CPP)、例えば、環外ペプチド(EP)にコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)を含み得る。EPを、互換的に調節ペプチド(MP)と呼ぶ場合がある。EPは、核局在化シグナル(NLS)の配列を含み得る。EPはカーゴに結合することができる。EPはcCPPに結合することができる。EPはカーゴ及びcCPPに結合することができる。EP、カーゴ、cCPP、又はそれらの組合せの間のカップリングは、非共有結合又は共有結合であり得る。EPはペプチド結合を介してcCPPのN末端に結合することができる。EPはペプチド結合を介してcCPPのC末端に結合することができる。EPはcCPP中のアミノ酸の側鎖を介してcCPPに結合することができる。EPは、cCPP中のグルタミンの側鎖にコンジュゲートされ得るリジンの側鎖を介してcCPPに結合することができる。EPは、オリゴヌクレオチドカーゴの5’又は3’末端にコンジュゲートされ得る。EPはリンカーに結合することができる。環外ペプチドは、リンカーのアミノ基にコンジュゲートされ得る。EPは、cCPP及び/又はEP上の側鎖を通して、EP及びcCPPのC末端を介してリンカーにカップリングされ得る。例えば、EPは末端リジンを含んでいてもよく、リジンはその後、アミド結合を介してグルタミンを含有するcCPPにカップリングされ得る。EPが末端リジンを含有し、リジンの側鎖を用いてcCPPを結合し得る場合、C末端又はN末端は、カーゴ上のリンカーに結合し得る。
環外ペプチド
環外ペプチド(EP)は、2から10個のアミノ酸残基、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10個のアミノ酸残基(これらの間の全ての範囲及び値を含む)を含み得る。EPは、6から9個のアミノ酸残基を含み得る。EPは、4から8個のアミノ酸残基を含み得る。
環外ペプチド中の各アミノ酸は、天然又は非天然アミノ酸であってよい。「非天然アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸の構造及び反応性を模倣するように、天然アミノ酸に類似した構造を有するという点で、天然アミノ酸の同族体である有機化合物を指す。非天然アミノ酸は、20種の一般的な天然アミノ酸又は希少な天然アミノ酸であるセレノシステイン若しくはピロリシンのうちの1つではない修飾アミノ酸及び/又はアミノ酸類似体であり得る。非天然アミノ酸は、天然アミノ酸のD-異性体であってもよい。適切なアミノ酸の例としては、アラニン、アロソロイシン(allosoleucine)、アルギニン、シトルリン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ナフチルアラニン、フェニルアラニン、プロリン、ピログルタミン酸、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらのアミノ酸及び他のアミノ酸を、本明細書で使用されるそれらの略語と共に表1に列挙する。例えば、アミノ酸は、A、G、P、K、R、V、F、H、Nal、又はシトルリンであり得る。
EPは、少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基、例えば、グアニジン基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を含む少なくとも1個のリジン残基及び/又は少なくとも1個のアミン酸残基を含み得る。EPは、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を含む1個又は2個のアミノ酸残基を含み得る。グアニジン基を含む側鎖を含むアミノ酸残基は、アルギニン残基であり得る。プロトン化形態は、本開示全体を通してその塩を意味する場合がある。
EPは、少なくとも2個、少なくとも3個又は少なくとも4個以上のリジン残基を含み得る。EPは、2、3、又は4個のリジン残基を含み得る。各リジン残基の側鎖上のアミノ基は、例えば、トリフルオロアセチル(-COCF3)基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル(Dde)基、又は(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン-3)-メチルブチル(ivDde)基などの保護基で置換され得る。各リジン残基の側鎖上のアミノ基は、トリフルオロアセチル(-COCF3)基で置換され得る。保護基は、アミドコンジュゲーションを可能にするために含めることができる。保護基は、EPがcCPPにコンジュゲートされた後に除去することができる。
EPは、疎水性側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸残基を含み得る。疎水性側鎖を有するアミノ酸残基は、バリン、プロリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、及びメチオニンから選択することができる。疎水性側鎖を有するアミノ酸残基は、バリン又はプロリンであり得る。
EPは、少なくとも1個の正に荷電したアミノ酸残基、例えば、少なくとも1個のリジン残基及び/又は少なくとも1個のアルギニン残基を含み得る。EPは、少なくとも2個、少なくとも3個又は少なくとも4個又はそれ以上のリジン残基及び/又はアルギニン残基を含み得る。
EPは、KK、KR、RR、HH、HK、HR、RH、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKH、KHK、HKK、HRR、HRH、HHR、HBH、HHH、HHHH、KHKK、KKHK、KKKH、KHKH、HKHK、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、HBHBH、HBKBH、RRRRR、KKKKK、KKKRK、RKKKK、KRKKK、KKRKK、KKKKR、KBKBK、RKKKKG、KRKKKG、KKRKKG、KKKKRG、RKKKKB、KRKKKB、KKRKKB、KKKKRB、KKKRKV、RRRRRR、HHHHHH、RHRHRH、HRHRHR、KRKRKR、RKRKRK、RBRBRB、KBKBKB、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV又はPKKKRKGを含み得、式中、Bはベータアラニンである。EPにおけるアミノ酸は、D又はL立体化学を有し得る。
EPは、KK、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV又はPKKKRKGを含み得る。EPは、PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHを含み得、式中、Bはベータアラニンである。EPにおけるアミノ酸は、D又はL立体化学を有し得る。
EPは、KK、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV又はPKKKRKGからなり得る。EPは、PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHからなり得、式中、Bはベータアラニンである。EPにおけるアミノ酸は、D又はL立体化学を有し得る。
EPは、核局在化配列(NLS)として当技術分野で同定されたアミノ酸配列を含み得る。EPは、核局在化配列(NLS)として当該技術分野において同定されたアミノ酸配列からなり得る。EPは、アミノ酸配列PKKKRKVを含むNLSを含み得る。EPは、アミノ酸配列PKKKRKVを含むNLSからなり得る。EPは、NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK及びRKCLQAGMNLEARKTKKから選択されるアミノ酸を含むNLSを含み得る。EPは、NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK及びRKCLQAGMNLEARKTKKから選択されるアミノ酸を含むNLSからなり得る。
全ての環外配列はまた、N末端アセチル基を含有し得る。したがって、例えば、EPは構造:Ac-PKKKRKVを有し得る。
細胞透過性ペプチド(CPP)
細胞透過性ペプチド(CPP)は、6から20個のアミノ酸残基を含み得る。細胞透過性ペプチドは、環状細胞透過性ペプチド(cCPP)であり得る。cCPPは細胞膜を透過することができる。環外ペプチド(EP)をcCPPにコンジュゲートさせることができ、得られた構築物をエンドソーム脱出ビヒクル(EEV)と呼ぶことができる。cCPPは、カーゴ(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド又は小分子などの治療部分(TM))を移動させて、細胞の膜を透過させることができる。cCPPは、カーゴを細胞の細胞質ゾルに送達することができる。cCPPは、標的(例えば、pre-mRNA)が位置する細胞位置にカーゴを送達することができる。cCPPをカーゴ(例えば、ペプチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子)にコンジュゲートするために、cCPP上の少なくとも1つの結合又は孤立電子対を置換することができる。
cCPP中のアミノ酸残基の総数は、6から20個のアミノ酸残基の範囲、例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個のアミノ酸残基であり、これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む。cCPPは6から13個のアミノ酸残基を含み得る。本明細書に開示されるcCPPは、6から10個のアミノ酸を含み得る。例として、6~10個のアミノ酸残基を含むcCPPは、式I-AからI-E:
のいずれかによる構造を有することができ、式中、AA1、AA2、AA3、AA4、AA5、AA6、AA7、AA8、AA9及びAA10はアミノ酸残基である。
cCPPは6から8個のアミノ酸を含み得る。cCPPは8個のアミノ酸を含み得る。
cCPP中の各アミノ酸は、天然又は非天然アミノ酸であってもよい。「非天然アミノ酸」という用語は、天然アミノ酸の構造及び反応性を模倣するように、天然アミノ酸に類似した構造を有するという点で、天然アミノ酸の同族体である有機化合物を指す。非天然アミノ酸は、20種の一般的な天然アミノ酸又は希少な天然アミノ酸であるセレノシステイン若しくはピロリシンのうちの1つではない修飾アミノ酸及び/又はアミノ酸類似体であり得る。非天然アミノ酸は、天然アミノ酸のD-異性体であってもよい。適切なアミノ酸の例としては、アラニン、アロソロイシン(allosoleucine)、アルギニン、シトルリン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、ナフチルアラニン、フェニルアラニン、プロリン、ピログルタミン酸、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、それらの誘導体、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。これらのアミノ酸及び他のアミノ酸を、本明細書で使用されるそれらの略語と共に表1に列挙する。
*一文字略語:本明細書において大文字で示される場合、それはL-アミノ酸形態を示し、本明細書において小文字で示される場合、それはD-アミノ酸形態を示す。
cCPPは、4から20個のアミノ酸を含み得、ここで、(i)少なくとも1個のアミノ酸は、グアニジン基若しくはそのプロトン化形態を含む側鎖を有し、(ii)少なくとも1個のアミノ酸は、側鎖を有さないか、又は
を含む側鎖若しくはそのプロトン化形態を有し、(iii)少なくとも2個のアミノ酸は、独立して、芳香族基若しくはヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する。
少なくとも2個のアミノ酸は、側鎖を有さなくてもよく、又は
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。本明細書で使用される場合、側鎖が存在しない場合、アミノ酸は、炭素原子上にアミンとカルボン酸とを連結する2個の水素原子を(例えば、-CH2-)有する。
側鎖を有さないアミノ酸は、グリシン又はβ-アラニンであり得る。
cCPPは、cCPPを形成する6から20個のアミノ酸残基を含み得、ここで、(i)少なくとも1個のアミノ酸はグリシン、β-アラニン、又は4-アミノ酪酸残基であり得、(ii)少なくとも1個のアミノ酸は、アリール又はヘテロアリール基を含む側鎖を有し得、(iii)少なくとも1個のアミノ酸は、グアニジン基
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する。
cCPPは、cCPPを形成する6から20個のアミノ酸残基を含み得、ここで、(i)少なくとも2個のアミノ酸残基は独立してグリシン、β-アラニン、又は4-アミノ酪酸残基であり得、(ii)少なくとも1個のアミノ酸は、アリール又はヘテロアリール基を含む側鎖を有し得、(iii)少なくとも1個のアミノ酸は、グアニジン基、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する。
cCPPは、cCPPを形成する6から20個のアミノ酸残基を含み得、ここで、(i)少なくとも3個のアミノ酸は、独立して、グリシン、β-アラニン、又は4-アミノ酪酸残基であり得、(ii)少なくとも1個のアミノ酸は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有し得、(iii)少なくとも1個のアミノ酸は、グアニジン基、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。
グリシン及び関連アミノ酸残基
cCPPは、(i)1、2、3、4、5又は6個のグリシンβ-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)2個のグリシンβ-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)4個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)5個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)6個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3、4又は5個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3又は4個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。
cCPPは、(i)1、2、3、4、5、又は6個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)2個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)4個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)5個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)6個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3、4、又は5個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3個又は4個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)2個又は3個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)1個又は2個のグリシン残基を含み得る。
cCPPは、(i)3、4、5又は6個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)4個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)5個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)6個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3、4又は5個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。cCPPは、(i)3又は4個のグリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸残基、又はそれらの組み合わせを含み得る。
cCPPは、少なくとも3個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3、4、5、又は6個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)4個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)5個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)6個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3、4、又は5個のグリシン残基を含み得る。cCPPは、(i)3又は4個のグリシン残基を含み得る。
実施形態では、cCPP中のグリシン、β-アラニン、又は4-アミノ酪酸残基のいずれも隣接していない。2個又は3個のグリシン、β-アラニン、4-又はアミノ酪酸残基は隣接していてもよい。2個のグリシンβ-アラニン、又は4-アミノ酪酸残基は隣接していてもよい。
実施形態では、cCPP中のグリシン残基のいずれも隣接していない。cCPP中の各グリシン残基は、グリシンであり得ないアミノ酸残基によって隔てられ得る。2個又は3個のグリシン残基が隣接していてもよい。2個のグリシン残基は隣接していてもよい。
芳香族基又はヘテロ芳香族基を有するアミノ酸側鎖
cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する2、3、4、5又は6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する2個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する3個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する5個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する2、3又は4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を独立して有する2又は3個のアミノ酸残基を含み得る。
cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する2、3、4、5又は6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する2個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する3個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する5個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する2、3、又は4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(ii)芳香族基を含む側鎖を独立して有する2又は3個のアミノ酸残基を含み得る。
芳香族基は、6から14員アリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル又はアントラセニルであり得、これらは各々任意選択で置換されている。アリールは、フェニル又はナフチルであり得、これらは各々任意選択で置換されている。ヘテロ芳香族基は、N、O、及びSから選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、又はイソキノリルであり得る。
芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、ビス(ホモナフチルアラニン)、ホモナフチルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、ビス(ホモフェニルアラニン)、ホモフェニルアラニン、フェニルアラニン、トリプトファン、3-(3-ベンゾチエニル)-アラニン、3-(2-キノリル)-アラニン、O-ベンジルセリン、3-(4-(ベンジルオキシ)フェニル)-アラニン、S-(4-メチルベンジル)システイン、N-(ナフタレン-2-イル)グルタミン、3-(1,1’-ビフェニル-4-イル)-アラニン、3-(3-ベンゾチエニル)-アラニン又はチロシンであり得、これらは各々任意選択で1つ以上の置換基で置換される。芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸は、各々独立して、
から選択され得、式中、N末端上のH及び/又はC末端上のHは、ペプチド結合によって置き換えられている。
芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、ホモナフチルアラニン、ビス(ホモフェニルアラニン)、ビス-(ホモナフチルアラニン)、トリプトファン、又はチロシンの残基であり得、これらは各々任意選択で1つ以上の置換基で置換される。芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、チロシン、フェニルアラニン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、トリプトファン、3-ベンゾチエニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、3,4-ジフルオロフェニルアラニン、4-トリフルオロメチルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、4-tert-ブチル-フェニルアラニン、4-ピリジニルアラニン、3-ピリジニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、3-(9-アントリル)-アラニンの残基であり得る。芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、ホモフェニルアラニン、又はホモフェニルアラニンの残基であり得、これらは各々任意選択で1つ以上の置換基で置換される。芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、フェニルアラニン、ナフチルアラニン、ホモフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、ビス(ホモナフチルアラニン)、又はビス(ホモナフチルアラニン)の残基であり得、これらは各々任意選択で1つ以上の置換基で置換される。芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基は、各々独立して、フェニルアラニン又はナフチルアラニンの残基であり得、これらは各々任意選択で1つ以上の置換基で置換される。芳香族基を含む側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸残基は、フェニルアラニンの残基であり得る。芳香族基を含む側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸残基は、フェニルアラニンの残基であり得る。芳香族基を含む側鎖を有する各アミノ酸残基は、フェニルアラニンの残基であり得る。
実施形態では、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸はいずれも隣接していない。芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する2個のアミノ酸は、隣接していてもよい。2個の隣接するアミノ酸は、反対の立体化学を有し得る。2個の隣接するアミノ酸は、同じ立体化学を有し得る。芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する3個のアミノ酸は、隣接していてもよい。3個の隣接するアミノ酸は、同じ立体化学を有し得る。3個の隣接するアミノ酸は、互い違いの立体化学を有し得る。
芳香族基又はヘテロ芳香族基を含むアミノ酸残基は、L-アミノ酸であり得る。芳香族基又はヘテロ芳香族基を含むアミノ酸残基は、D-アミノ酸であり得る。芳香族基又はヘテロ芳香族基を含むアミノ酸残基は、D-アミノ酸及びL-アミノ酸の混合物であり得る。
任意選択の置換基は、例えば、置換基を有さない以外の点では同一の配列と比較して、cCPPの細胞質送達効率を有意に(例えば、50%を超えて)低下させない任意選択の原子又は基であり得る。任意選択の置換基は、疎水性置換基又は親水性置換基であり得る。任意選択の置換基は疎水性置換基であり得る。置換基は、疎水性アミノ酸の溶媒接触表面積(本明細書で定義される)を増加させることができる。置換基は、ハロゲン、アルキル、アルケニル、アルキニレン、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アルキルカルバモイル、アルキルカルボキサミジル、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、又はアリールチオであり得る。置換基はハロゲンであり得る。
理論にも拘束されることを望むものではないが、より高い疎水性値を有する芳香族基又はヘテロ芳香族基を有するアミノ酸(すなわち、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸)は、より低い疎水性値を有するアミノ酸と比較して、cCPPの細胞質送達効率を改善することができると考えられる。各疎水性アミノ酸は、独立して、グリシンの疎水性値よりも大きい疎水性値を有し得る。各疎水性アミノ酸は、独立して、アラニンの疎水性値より大きい疎水性値を有する疎水性アミノ酸であり得る。各疎水性アミノ酸は、独立して、フェニルアラニン以上の疎水性値を有し得る。疎水性は、当技術分野で公知の疎水性スケールを用いて測定することができる。表2は、Eisenberg及びWeissによって報告された種々のアミノ酸についての疎水性値を列挙する(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1984;81(1):140-144)、Engleman et al.(Ann.Rev.of Biophys.Biophys.Chem.1986;1986(15):321-53)、Kyte and Doolittle(J.Mol.Biol.1982;157(1):105-132)、Hoop and Woods(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.1981;78(6):3824-3828)、及びJanin(Nature.1979;277(5696):491-492)(これらの各々の全体は、参照により本明細書に組み込まれる)。疎水性は、Englemanらに報告されている疎水性スケールを用いて測定することができる。
芳香族基又はヘテロ芳香族基のサイズは、cCPPの細胞質送達効率を改善するように選択することができる。理論に束縛されることを望むものではないが、アミノ酸の側鎖上のより大きな芳香族基又はヘテロ芳香族基は、より小さな疎水性アミノ酸を有する以外の点では同一の配列と比較して、細胞質送達効率を改善し得ると考えられる。疎水性アミノ酸のサイズは、疎水性アミノ酸の分子量、疎水性アミノ酸の立体効果、側鎖の溶媒接触表面積(SASA)、又はそれらの組合せに関して測定することができる。疎水性アミノ酸のサイズは、疎水性アミノ酸の分子量に関して測定することができ、より大きな疎水性アミノ酸は、少なくとも約90g/mol、又は少なくとも約130g/mol、又は少なくとも約141g/molの分子量を有する側鎖を有する。アミノ酸のサイズは、疎水性側鎖のSASAに関して測定することができる。疎水性アミノ酸は、アラニン以上、又はグリシン以上のSASAを有する側鎖を有し得る。より大きな疎水性アミノ酸は、アラニンより大きい、又はグリシンより大きいSASAを有する側鎖を有し得る。疎水性アミノ酸は、約ピペリジン-2-カルボン酸以上、約トリプトファン以上、約フェニルアラニン以上、又は約ナフチルアラニン以上のSASAを有する芳香族基又はヘテロ芳香族基を有し得る。第1の疎水性アミノ酸(AAH1)は、少なくとも約200Å2、少なくとも約210Å2、少なくとも約220Å2、少なくとも約240Å2、少なくとも約250Å2、少なくとも約260Å2、少なくとも約270Å2、少なくとも約280Å2、少なくとも約290Å2、少なくとも約300Å2、少なくとも約310Å2、少なくとも約320Å2、又は少なくとも約330Å2のSASAを有する側鎖を有し得る。第2の疎水性アミノ酸(AAH2)は、少なくとも約200Å2、少なくとも約210Å2、少なくとも約220Å2、少なくとも約240Å2、少なくとも約250Å2、少なくとも約260Å2、少なくとも約270Å2、少なくとも約280Å2、少なくとも約290Å2、少なくとも約300Å2、少なくとも約310Å2、少なくとも約320Å2、又は少なくとも約330Å2のSASAを有する側鎖を有し得る。AAH1及びAAH2の側鎖は、少なくとも約350Å2、少なくとも約360Å2であり少なくとも約370Å2、少なくとも約380Å2、少なくとも約390Å2であり少なくとも約400Å2、少なくとも約410Å2であり少なくとも約420Å2、少なくとも約430Å2であり少なくとも約440Å2であり少なくとも約450Å2、少なくとも約460Å2であり少なくとも約470Å2、少なくとも約480Å2であり少なくとも約490Å2、約500Å2より大きい、少なくとも約510Å2、少なくとも約520Å2、少なくとも約530Å2、少なくとも約540Å2、少なくとも約550Å2、少なくとも約560Å2、少なくとも約570Å2、少なくとも約580Å2、少なくとも約590Å2、少なくとも約600Å2、少なくとも約610Å2、少なくとも約620Å2、少なくとも約630Å2、少なくとも約640Å2、約650Å2より大きい、少なくとも約660Å2、少なくとも約670Å2、少なくとも約680Å2、少なくとも約690Å2、又は少なくとも約700Å2の合計SASAを有し得る。AAH2は、AAH1の疎水性側鎖のSASA以下であるSASAを有する側鎖を有する疎水性アミノ酸残基であり得る。例として、限定するものではないが、Nal-Argモチーフを有するcCPPは、Phe-Argモチーフを有する以外の点では同一のcCPPと比較して、改善された細胞質送達効率を示し得る。Phe-Nal-Argモチーフを有するcCPPは、Nal-Phe-Argモチーフを有する以外の点では同一のcCPPと比較して、改善された細胞質送達効率を示すことができ、phe-Nal-Argモチーフは、nal-Phe-Argモチーフを有する以外の点では同一のcCPPと比較して、改善された細胞質送達効率を示すことができる。
本明細書で使用される場合、「疎水性表面積」又は「SASA」は、溶媒接触可能なアミノ酸側鎖の表面積(平方オングストロームとして報告される)であり、例えば、SASAは、Shrake & Rupleyによって開発された「ローリングボール」アルゴリズムを使用して計算することができ(J Mol Biol.79(2):351-71)、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。このアルゴリズムは、分子の表面を調べるために特定の半径の溶媒の「球」を使用する。球の典型的な値は1.4Åであり、これは水分子の半径に近似する。
特定の側鎖のSASA値を以下の表3に示す。本明細書に記載されるSASA値は、Tienら(PLOS ONE 8(11):e80635.https://doi.org/10.1371/journal.pone.0080635)によって報告されているように、以下の表3に列挙される理論値に基づき、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
グアニジン基、グアニジン置換基、又はそれらのプロトン化形態を含む側鎖を有するアミノ酸残基
本明細書で使用される場合、グアニジンは、構造:
を指す。
本明細書で使用される場合、グアニジンのプロトン化形態は、構造:
を指す。
グアニジン置換基は、生理学的pH以上で正に荷電するアミノ酸の側鎖上の官能基、又はグアニジニウム基の水素結合供与及び受容活性を再現することができる官能基を指す。
グアニジン置換基は、グアニジン基又はそのプロトン化形態に関連する毒性を低減しながら、治療剤の細胞透過及び送達を促進する。cCPPは、グアニジン又はグアニジニウム置換基を含む側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸を含み得る。cCPPは、グアニジン又はグアニジニウム置換基を含む側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸を含み得る。cCPPは、グアニジン又はグアニジニウム置換基を含む側鎖を有する少なくとも3個のアミノ酸を含み得る。
グアニジン又はグアニジニウム基は、グアニジン又はグアニジニウムの同配体であり得る。グアニジン又はグアニジニウム置換基は、グアニジンよりも塩基性が低い場合がある。
本明細書で使用される場合、グアニジン置換基は、
又はそのプロトン化形態を指す。
本開示は、4から20個のアミノ酸残基を含むcCPPであって、(i)少なくとも1個のアミノ酸が、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し、(ii)少なくとも1個のアミノ酸残基が、側鎖を有さないか、又は
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し、(iii)少なくとも2個のアミノ酸残基が、独立して、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する。
少なくとも2個のアミノ酸残基は、側鎖を有さなくてもよく、又は
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。本明細書で使用される場合、側鎖が存在しない場合、アミノ酸残基は、アミンとカルボン酸とを連結する炭素原子上に2個の水素原子を有する(例えば、-CH2-)。
cCPPは、以下の部分:
又はそのプロトン化形態のうちの1つを含む側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸を含み得る。
cCPPは、少なくとも2個のアミノ酸を含み得、各アミノ酸は独立して、以下の部分
又はそのプロトン化形態のうちの1つを含む。少なくとも2個のアミノ酸は、
又はそのプロトン化形態から選択される同じ部分を含む側鎖を有し得る。少なくとも1個のアミノ酸は
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。少なくとも2個のアミノ酸は
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。1個、2個、3個、又は4個のアミノ酸は、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。1個のアミノ酸は、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。2個のアミノ酸は、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。
又はそのプロトン化形態は、アミノ酸側鎖の末端に結合することができる。
は、アミノ酸側鎖の末端に結合することができる。
cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する2、3、4、5又は6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する2個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する3個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそれらのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する5個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する6個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する2、3、4、又は5個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する2、3、又は4個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有する2又は3個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する2個のアミノ酸残基を含み得る。cCPPは、(iii)グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する3個のアミノ酸残基を含み得る。
アミノ酸残基は、独立して、隣接していないグアニジン基、グアニジン置換基、又はそれらのプロトン化形態を含む側鎖を有し得る。2個のアミノ酸残基は、独立して、グアニジン基、グアニジン置換基を含む側鎖を有し得、又はそれらのプロトン化形態が隣接し得る。3個のアミノ酸残基は、独立して、グアニジン基、グアニジン置換基を含む側鎖を有し得、又はそれらのプロトン化形態が隣接し得る。4個のアミノ酸残基は、独立して、グアニジン基、グアニジン置換基を含む側鎖を有し得、又はそれらのプロトン化形態が隣接し得る。隣接するアミノ酸残基は、同じ立体化学を有し得る。隣接するアミノ酸は、互い違い立体化学を有し得る。
グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有するアミノ酸残基は、L-アミノ酸であり得る。グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有するアミノ酸残基は、D-アミノ酸であり得る。グアニジン基、グアニジン置換基、又はそのプロトン化形態を含む側鎖を独立して有するアミノ酸残基は、L又はD-アミノ酸の混合物であり得る。
グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する各アミノ酸残基は、独立して、アルギニン、ホモアルギニン、2-アミノ-3-プロピオン酸、2-アミノ-4-グアニジノ酪酸又はそのプロトン化形態の残基であり得る。グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する各アミノ酸残基は、独立して、アルギニン又はそのプロトン化形態の残基であり得る。
グアニジン置換基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する各アミノ酸は、独立して
又はそのプロトン化形態であり得る。
理論に束縛されるものではないが、グアニジン置換基は、アルギニンと比較して低減された塩基性を有し、場合によっては、生理的pHで非荷電であり(例えば、-N(H)C(O))、効果的な膜結合性及びその後の内在化を促進すると考えられる原形質膜上のリン脂質との二座水素結合相互作用を維持することができると仮定される。正電荷の除去はまた、cCPPの毒性を減少させると考えられる。
当業者は、上記非天然香料疎水性アミノ酸のN末端及び/又はC末端が、本明細書に開示されるペプチドへの組み込みの際に、アミド結合を形成することを理解するであろう。
cCPPは、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する第1のアミノ酸と、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する第2のアミノ酸とを含み得、ここで、第1のグリシンのN末端は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する第1のアミノ酸とペプチド結合を形成し、第1のグリシンのC末端は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する第2のアミノ酸とペプチド結合を形成する。慣例により、「第1のアミノ酸」という用語は、ペプチド配列のN末端アミノ酸を指すことが多いが、本明細書で使用される場合、「第1のアミノ酸」は、参照アミノ酸をcCPP中の別のアミノ酸(例えば、「第2のアミノ酸」)と区別するために使用され、したがって、「第1のアミノ酸」という用語は、ペプチド配列のN末端に位置するアミノ酸を指す場合がある。
cCPPは、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸とペプチド結合を形成する第2のグリシンのN末端を含み得、第2のグリシンのC末端は、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有するアミノ酸とペプチド結合を形成する。
cCPPは、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する第1のアミノ酸と、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する第2のアミノ酸とを含み得、第3のグリシンのN末端は、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する第1のアミノ酸とペプチド結合を形成し、第3のグリシンのC末端は、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する第2のアミノ酸とペプチド結合を形成する。
cCPPは、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、又はホモグルタミンの残基を含み得る。cCPPはアスパラギン残基を含み得る。cCPPはグルタミン残基を含み得る。
cCPPは、各々独立して、チロシン、フェニルアラニン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、トリプトファン、3-ベンゾチエニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、3,4-ジフルオロフェニルアラニン、4-トリフルオロメチルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、4-tert-ブチル-フェニルアラニン、4-ピリジニルアラニン、3-ピリジニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、3-(9-アントリル)-アラニンの残基を含み得る。
理論に束縛されることを望むものではないが、cCPP中のアミノ酸のキラリティは、細胞質取り込み効率に影響を与え得ると考えられる。cCPPは、少なくとも1個のDアミノ酸を含み得る。cCPPは、1から15個のDアミノ酸を含み得る。cCPPは、1から10個のDアミノ酸を含み得る。cCPPは、1、2、3、又は4個のDアミノ酸を含み得る。cCPPは、D及びLキラリティを互い違いに有する2、3、4、5、6、7、又は8個の隣接アミノ酸を含み得る。cCPPは、同じキラリティを有する3個の隣接するアミノ酸を含み得る。cCPPは、同じキラリティを有する2個の隣接するアミノ酸を含み得る。少なくとも2個のアミノ酸は、反対のキラリティを有し得る。反対のキラリティを有する少なくとも2個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。少なくとも3個のアミノ酸は、互いに対して互い違いの立体化学を有し得る。互いに対して互い違いのキラリティを有する少なくとも3個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。少なくとも4個のアミノ酸は、互いに対して互い違いの立体化学を有する。互いに対して互い違いのキラリティを有する少なくとも4個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。少なくとも2個のアミノ酸は、同じキラリティを有し得る。同じキラリティを有する少なくとも2個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。少なくとも2個のアミノ酸は同じキラリティを有し、少なくとも2個のアミノ酸は反対のキラリティーを有する。反対のキラリティを有する少なくとも2個のアミノ酸は、同じキラリティを有する少なくとも2個のアミノ酸に隣接し得る。したがって、cCPP中の隣接アミノ酸は、以下の配列のいずれかを有し得る:D-L、L-D、D-L-L-D、L-D-D-L、L-D-L-L-D、D-L-D-D-L、D-L-L-D-L、又はL-D-D-L-D。cCPPを形成するアミノ酸残基は、全てL-アミノ酸であり得る。cCPPを形成するアミノ酸残基は、全てD-アミノ酸であり得る。
少なくとも2個のアミノ酸は、異なるキラリティを有し得る。異なるキラリティを有する少なくとも2個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。少なくとも3個のアミノ酸は、隣接するアミノ酸に対して異なるキラリティを有し得る。少なくとも4個のアミノ酸は、隣接するアミノ酸に対して異なるキラリティを有し得る。少なくとも2個のアミノ酸は同じキラリティを有し、少なくとも2個のアミノ酸は異なるキラリティを有する。cCPPを形成する1つ以上のアミノ酸残基はアキラルであり得る。cCPPは、3、4、又は5アミノ酸のモチーフを含み得、そのうち、同じキラリティを有する2個のアミノ酸は、アキラルアミノ酸によって隔てられ得る。cCPPは以下の配列を含み得る:D-X-D、D-X-D-X、D-X-D-X-D、L-X-L、L-X-L-X、又はL-X-L-X-L(式中、Xはアキラルアミノ酸である)。アキラルアミノ酸は、グリシンであり得る。
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有するアミノ酸は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸に隣接し得る。
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有するアミノ酸は、グアニジン又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも1個のアミノ酸に隣接し得る。グアニジン又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有するアミノ酸は、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸に隣接し得る。
又はプロトン化形態を含む側鎖を有する2個のアミノ酸は、互いに隣接し得る。グアニジン又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する2個のアミノ酸は、互いに隣接している。cCPPは、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含み得る側鎖を有する少なくとも2個の隣接するアミノ酸と、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも2個の隣接しないアミノ酸とを有し得る。cCPPは、芳香族基又はヘテロ芳香族基を含む側鎖を有する少なくとも2個の隣接するアミノ酸と、
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも2個の隣接しないアミノ酸とを有し得る。隣接するアミノ酸は、同じキラリティを有し得る。隣接するアミノ酸は、反対のキラリティを有し得る。アミノ酸の他の組合せは、D及びLアミノ酸の任意の配置、例えば、前段落に記載された配列のいずれかを有し得る。
又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸は、グアニジン基又はそのプロトン化形態を含む側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸と互い違いになっている。
cCPPは、式(A):
又はそのプロトン化形態の構造を含み得、
式中、
R1、R2及びR3は、各々独立して、H又はアミノ酸の芳香族若しくはヘテロ芳香族側鎖であり、
R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、アミノ酸の芳香族又はヘテロ芳香族側鎖であり、
R4、R5、R6、R7は独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
R4、R5、R6、R7のうちの少なくとも1つは、3-グアニジノ-2-アミノプロピオン酸、4-グアニジノ-2-アミノブタン酸、アルギニン、ホモアルギニン、N-メチルアルギニン、N,N-ジメチルアルギニン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノブタン酸、リジン、N-メチルリジン、N,N-ジメチルリジン、N-エチルリジン、N,N,N-トリメチルリジン、4-グアニジノフェニルアラニン、シトルリン、N,N-ジメチルリジン、β-ホモアルギニン、3-(1-ピペリジル)アラニンの側鎖であり、
AASCはアミノ酸側鎖であり、
qは、1、2、3又は4であり、
式(A)の環状ペプチドは、FfΦRrRrQではない。
cCPPは、式(I):
又はそのプロトン化形態の構造を含み得、
式中、
R1、R2及びR3は、各々独立して、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であってもよく、
R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、アミノ酸の芳香族又はヘテロ芳香族側鎖であり、
R4及びR7は、独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
AASCは、アミノ酸側鎖であり、
qは、1、2、3又は4であり、
各mは、独立して、整数0、1、2、又は3である。
R1、R2、及びR3は、各々独立して、H、-アルキレン-アリール、又は-アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R1、R2、及びR3は、各々独立して、H、-C1~3アルキレン-アリール、又は-C1~3アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又は-アルキレン-アリールであり得る。R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又は-C1~3アルキレン-アリールであり得る。C1~3アルキレンはメチレンであり得る。アリールは、6から14員アリールであり得る。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。アリールは、フェニル又はナフチルであり得る。アリールはフェニルであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルであり得る。R1、R2及びR3は、各々独立して、H、-C1~3アルキレン-Ph又は-C1~3アルキレン-ナフチルであり得る。R1、R2、及びR3は、各々独立して、H、-CH2Ph、又は-CH2ナフチルであり得る。R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又は-CH2Phであり得る。
R1、R2、及びR3は、各々独立して、チロシン、フェニルアラニン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、トリプトファン、3-ベンゾチエニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、3,4-ジフルオロフェニルアラニン、4-トリフルオロメチルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、4-tert-ブチル-フェニルアラニン、4-ピリジニルアラニン、3-ピリジニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、3-(9-アントリル)-アラニンの側鎖であり得る。
R1は、チロシンの側鎖であり得る。R1は、フェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、1-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R1は、2-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R1は、トリプトファンの側鎖であり得る。R1は、3-ベンゾチエニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-フェニルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、3,4-ジフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-トリフルオロメチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、β-ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-tert-ブチル-フェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、3-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-メチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-フルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、4-クロロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R1は、3-(9-アントリル)-アラニンの側鎖であり得る。
R2は、チロシンの側鎖であり得る。R2は、フェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、1-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R1は、2-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R2は、トリプトファンの側鎖であり得る。R2は、3-ベンゾチエニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-フェニルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、3,4-ジフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-トリフルオロメチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、β-ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-tert-ブチル-フェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、3-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-メチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-フルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、4-クロロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R2は、3-(9-アントリル)-アラニンの側鎖であり得る。
R3は、チロシンの側鎖であり得る。R3は、フェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、1-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R3は、2-ナフチルアラニンの側鎖であり得る。R3は、トリプトファンの側鎖であり得る。R3は、3-ベンゾチエニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-フェニルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、3,4-ジフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-トリフルオロメチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、β-ホモフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-tert-ブチル-フェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、3-ピリジニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-メチルフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-フルオロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、4-クロロフェニルアラニンの側鎖であり得る。R3は、3-(9-アントリル)-アラニンの側鎖であり得る。
R4は、H、-アルキレン-アリール、-アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R4は、H、-C1~3アルキレン-アリール、又は-C1~3アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R4は、H又は-アルキレン-アリールであり得る。R4は、H又は-C1~3アルキレン-アリールであり得る。C1~3アルキレンは、メチレンであり得る。アリールは、6から14員アリールであり得る。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。アリールは、フェニル又はナフチルであり得る。アリールは、フェニルであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルであり得る。R4は、H、-C1~3アルキレン-Ph又は-C1~3アルキレン-ナフチルであり得る。R4は、H又は表1若しくは表3のアミノ酸の側鎖であり得る。R4は、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であり得る。R4は、H、-CH2Ph、又は-CH2ナフチルであり得る。R4は、H又は-CH2Phであり得る。
R5は、H、-アルキレン-アリール、-アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R5は、H、-C1~3アルキレン-アリール、又は-C1~3アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R5は、H又は-アルキレン-アリールであり得る。R5は、H又は-C1~3アルキレン-アリールであり得る。C1~3アルキレンは、メチレンであり得る。アリールは、6から14員アリールであり得る。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。アリールは、フェニル又はナフチルであり得る。アリールは、フェニルであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルであり得る。R5は、H、-C1~3アルキレン-Ph又は-C1~3アルキレン-ナフチルであり得る。R5は、H又は表1若しくは表3のアミノ酸の側鎖であり得る。R4は、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であり得る。R5は、H、-CH2Ph、又は-CH2ナフチルであり得る。R4は、H又は-CH2Phであり得る。
R6は、H、-アルキレン-アリール、-アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R6は、H、-C1~3アルキレン-アリール、又は-C1~3アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R6は、H又は-アルキレン-アリールであり得る。R6は、H又は-C1~3アルキレン-アリールであり得る。C1~3アルキレンはメチレンであり得る。アリールは、6から14員アリールであり得る。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。アリールは、フェニル又はナフチルであり得る。アリールは、フェニルであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルであり得る。R6は、H、-C1~3アルキレン-Ph又は-C1~3アルキレン-ナフチルであり得る。R6は、H又は表1若しくは表3のアミノ酸の側鎖であり得る。R6は、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であり得る。R6は、H、-CH2Ph、又は-CH2ナフチルであり得る。R6は、H又は-CH2Phであり得る。
R7は、H、-アルキレン-アリール、-アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R7は、H、-C1~3アルキレン-アリール、又は-C1~3アルキレン-ヘテロアリールであり得る。R7は、H又は-アルキレン-アリールであり得る。R7は、H又は-C1~3アルキレン-アリールであり得る。C1~3アルキレンは、メチレンであり得る。アリールは、6から14員アリールであり得る。ヘテロアリールは、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。アリールは、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。アリールは、フェニル又はナフチルであり得る。アリールは、フェニルであり得る。ヘテロアリールは、ピリジル、キノリル、及びイソキノリルであり得る。R7は、H、-C1~3アルキレン-Ph又は-C1~3アルキレン-ナフチルであり得る。R7は、H又は表1若しくは表3のアミノ酸の側鎖であり得る。R7は、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であり得る。R7は、H、-CH2Ph、又は-CH2ナフチルであり得る。R7は、H又は-CH2Phであり得る。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの1個、2個、又は3個は、-CH2Phであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの1つは、-CH2Phであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの2個は、-CH2Phであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの3個は、-CH2Phであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、-CH2Phであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの4個以下は、-CH2Phであり得る。
R1、R2、R3及びR4のうちの1個、2個又は3個は、-CH2Phである。R1、R2、R3、及びR4のうちの1つは、-CH2Phである。R1、R2、R3、及びR4のうちの2個は、-CH2Phである。R1、R2、R3、及びR4のうちの3個は、-CH2Phである。R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、-CH2Phである。
R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの1、2又は3個は、Hであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7うち1つは、Hであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの2個は、Hである。R1、R2、R3、R5、R6、及びR7のうちの3個は、Hであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、Hであり得る。R1、R2、R3、R4、R5、R6、及びR7のうちの3個以下は、-CH2Phであり得る。
R1、R2、R3、及びR4のうちの1、2又は3個は、Hである。R1、R2、R3、及びR4のうちの1つは、Hである。R1、R2、R3、及びR4のうちの2個は、Hである。R1、R2、R3、及びR4のうちの3個は、Hである。R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、Hである。
R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、3-グアニジノ-2-アミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、4-グアニジノ-2-アミノブタン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、アルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N-メチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N,N-ジメチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、2,3-ジアミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、2,4-ジアミノブタン酸、リジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N-メチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N,N-ジメチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N-エチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N,N,N-トリメチルリジン、4-グアニジノフェニルアラニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、シトルリンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、N,N-ジメチルリジン、β-ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも1つは、3-(1-ピペリジニル)アラニンの側鎖であり得る。
R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、3-グアニジノ-2-アミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、4-グアニジノ-2-アミノブタン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、アルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N-メチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N,N-ジメチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、2,3-ジアミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、2,4-ジアミノブタン酸、リジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N-メチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N,N-ジメチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N-エチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N,N,N-トリメチルリジン、4-グアニジノフェニルアラニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6及びR7の少なくとも2個は、シトルリンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、N,N-ジメチルリジン、β-ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも2個は、3-(1-ピペリジニル)アラニンの側鎖であり得る。
R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、3-グアニジノ-2-アミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、4-グアニジノ-2-アミノブタン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、アルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N-メチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N,N-ジメチルアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、2,3-ジアミノプロピオン酸の側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、2,4-ジアミノブタン酸、リジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N-メチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N,N-ジメチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N-エチルリジンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N,N,N-トリメチルリジン、4-グアニジノフェニルアラニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個はシトルリンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、N,N-ジメチルリジン、β-ホモアルギニンの側鎖であり得る。R4、R5、R6、及びR7のうちの少なくとも3個は、3-(1-ピペリジニル)アラニンの側鎖であり得る。
AASCは、アスパラギン、グルタミン、又はホモグルタミンの残基の側鎖であり得る。AASCは、グルタミン残基の側鎖であり得る。cCPPは、AASC、例えば、アスパラギン、グルタミン、又はホモグルタミンの残基にコンジュゲートしたリンカーを更に含み得る。したがって、cCPPは、アスパラギン、グルタミン、又はホモグルタミンの残基にコンジュゲートされたリンカーを更に含み得る。cCPPは、グルタミン残基に結合したリンカーを更に含み得る。
qは、1、2又は3であり得る。qは1又は2であり得る。qは1であり得る。qは2であり得る。qは3であり得る。qは4であり得る。
mは1~3であり得る。mは1又は2であり得る。mは0であり得る。mは1であり得る。mは2であり得る。mは3であり得る。
式(A)のcCPPは、式(I)
の構造又はそのプロトン化形態を含み得、式中、AASC、R1、R2、R3、R4-、R7、m及びqは、本明細書に定義されるとおりである。
式(A)のcCPPは、式(I-a)又は式(I-b):
の構造、
又はそのプロトン化形態を含み得、AASC、R1、R2、R3、R4、及びmは本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-1)、(I-2)、(I-3)又は(I-4):
の構造、
又はそのプロトン化形態を含み得、式中、AASC及びmは、本明細書に定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-5)又は(I-6):
の構造又はそのプロトン化形態を含み得、式中、AASCは本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-1):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、AASC及びmは、本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-2):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、AASC及びmは、本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-3):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、AASC及びmは、本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-4):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、AASC及びmは、本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-5):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、AASC及びmは、本明細書で定義される通りである。
式(A)のcCPPは、式(I-6):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、式中、AASC及びmは、本明細書に定義されるとおりである。
cCPPは、以下の配列:FGFGRGR、GfFGrGr、FfΦGRGR、FfFGRGR、又はFfΦGrGrのうちの1つを含み得る。cCPPは、以下の配列:FGFΦ、GfFGrGrQ、FfΦGRGRQ、FfFGRGRQ、又はFfΦGrGrQのうちの1つを有し得る。
本開示はまた、式(II):
の構造を有するcCPPに関し、
式中、
AASCはアミノ酸側鎖であり、
R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、6から14員アリール又は6から14員ヘテロアリールであり、
R2a、R2b、R2c及びR2dは、独立してアミノ酸側鎖であり、
R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは、
又はそのプロトン化形態であり、
R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは、グアニジン又はそのプロトン化形態であり、
各n”は、独立して、整数0、1、2、3、4、又は5であり、
各n’は、独立して、0、1、2、又は3からの整数であり、
n’が0である場合、R2a、R2b、R2b又はR2dは存在しない。
R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも2個は、
又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの2個又は3個は、
又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの1つは、
又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは、
又はそのプロトン化形態であり得、R2a、R2b、R2c及びR2dの残りは、グアニジン又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも2個は、
又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dの残りは、グアニジン又はそのプロトン化形態であり得る。
R2a、R2b、R2c及びR2dの全ては、
又はそのプロトン化形態であり得る。R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは
又はそのプロトン化形態であり得、R2a、R2b、R2c及びR2dの残りは、グアニニド(guaninide)又はそのプロトン化形態であり得る。少なくとも2個のR2a、R2b、R2c及びR2d基は、
又はそのプロトン化形態であり得、R2a、R2b、R2c及びR2dの残りは、グアニジン又はそのプロトン化形態である。
R2a、R2b、R2c及びR2dの各々は、独立して、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノ酪酸側鎖、オルニチン、リジン、メチルリジン、ジメチルリジン、トリメチルリジン、ホモ-リジン、セリン、ホモ-セリン、スレオニン、アロ-スレオニン、ヒスチジン、1-メチルヒスチジン、2-アミノブタン二酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、又はホモ-グルタミン酸であり得る。
AASCは
であり得、式中、tは0から5の整数であり得る。AASCは
式中、tは0から5の整数であり得る。tは1から5であり得る。tは2又は3である。tは2であり得る。tは3であり得る
R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、6から14員アリールであり得る。R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、N、O、又はSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する6から14員ヘテロアリールであり得る。R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、フェニル、ナフチル、アントラセニル、ピリジル、キノリル、又はイソキノリルから選択され得る。R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、フェニル、ナフチル、又はアントラセニルから選択され得る。R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、フェニル又はナフチルであり得る。R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、ピリジル、キノリル、又はイソキノリルから選択され得る。
各n’は、独立して1又は2であり得る。各n’は、1であり得る。各n’は、2であり得る。少なくとも1つのn’は、0であり得る。少なくとも1つのn’は、1であり得る。少なくとも1つのn’は、2であり得る。少なくとも1つのn’は、3であり得る。少なくとも1つのn’は、4であり得る。少なくとも1つのn’は、5であり得る。
各n”は、独立して、1から3の整数であり得る。各n”は、独立して2又は3であり得る。各n”は、2であり得る。各n”は、3であり得る。少なくとも1つのn”は、0であり得る。少なくとも1つのn”は、1であり得る。少なくとも1つのn”は、2であり得る。少なくとも1つのn”は、3であり得る。
各n”は独立して1又は2であり得、各n’は独立して2又は3であり得る。各n”は1であり得、各n’は独立して2又は3であり得る。各n”は1であり得、各n’は2であり得る。各n”は1であり、各n’は3である。
式(II)のcCPPは、式(II-1):
の構造を有し得、
式中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、AASC、n’及びn”は、本明細書で定義される通りである。
式(II)のcCPPは、式(IIa):
の構造を有し得、
式中、R1a、R1b、R1c、R2a、R2b、R2c、R2d、AASC及びn’は、本明細書で定義される通りである。
式(II)のcCPPは、式(IIb):
の構造を有し得、
式中、R2a、R2b、AASC及びn’は本明細書で定義される通りである。
cCPPは、式(IIb):
の構造、又はそのプロトン化形態を有し得、
式中、
AASC及びn’は、本明細書で定義される通りである。
式(IIa)のcCPPは、以下の構造:
のうちの1つを有し、式中、AASC及びnは本明細書で定義される通りである。
式(IIa)のcCPPは、以下の構造:
のうちの1つを有し、式中、AASC及びnは本明細書に定義される通りである。
式(IIa)のcCPPは、以下の構造:
のうちの1つを有し、式中、AASC及びnは本明細書で定義される通りである。
式(II)のcCPPは、構造:
を有し得る。
式(II)のcCPPは、構造:
を有し得る。
cCPPは、式(III)の構造:
を有し得、
式中、
AASCはアミノ酸側鎖であり、
R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、6から14員アリール又は6から14員ヘテロアリールであり、
R2a及びR2cは、各々独立して、H、
又はそのプロトン化形態であり、
R2b及びR2dは、各々独立して、グアニジン又はそのプロトン化形態であり、
各n”は、独立して、1から3の整数であり、
各n’は、独立して、1から5の整数であり、
各p’は、独立して、0から5の整数である。
式(III)のcCPPは、式(III-1):
の構造を有し得、
式中、
AASC、R1a、R1b、R1c、R2a、R2c、R2b、R2d、n’、n”及びp’は、本明細書で定義される通りである。
式(III)のcCPPは、式(IIIa):
の構造を有し得、
式中、
AASC、R2a、R2c、R2b、R2d、n’、n”、及びp’は、本明細書で定義される通りである。
式(III)、(III-1)、及び(IIIa)において、Ra及びRcはHであり得る。Ra及びRcはHであり得、Rb及びRdは、各々独立して、グアニジン又はそのプロトン化形態であり得る。RaはHであり得る。RbはHであり得る。p’は0であり得る。Ra及びRcはHであり得、各p’は0であり得る。
式(III)、(III-1)及び(IIIa)において、Ra及びRcはHであり得、Rb及びRdは、各々独立して、グアニジン又はそのプロトン化形態であり得、n”は2又は3であり得、各p’は0であり得る。
p’は0であり得る。p’は1であり得る。p’は2であり得る。p’は3であり得る。p’は4であり得る。p’は5であり得る。
cCPPは構造:
を有し得る。
式(A)のcCPPは、以下から選択することができる。
式(A)のcCPPは、以下から選択することができる。
AASCはリンカーにコンジュゲートされ得る。
リンカー
本開示のcCPPはリンカーにコンジュゲートされ得る。リンカーは、カーゴをcCPPに連結することができる。リンカーは、cCPPのアミノ酸の側鎖に結合することができ、カーゴは、リンカー上の適切な位置に結合することができる。
リンカーは、cCPPを1つ以上の更なる部分、例えば、環外ペプチド(EP)及び/又はカーゴにコンジュゲートすることができる任意の適切な部分であり得る。cCPP及び1つ以上の更なる部分への結合の前に、リンカーは2個以上の官能基を有し、これらは各々独立してcCPP及び1つ以上の更なる部分への共有結合を形成することができる。カーゴがオリゴヌクレオチドである場合、リンカーはカーゴの5’末端又はカーゴの3’末端に共有結合することができる。リンカーは、カーゴの5’末端に共有結合することができる。リンカーは、カーゴの3’末端に共有結合することができる。カーゴがペプチドである場合、リンカーはカーゴのN末端又はC末端に共有結合することができる。リンカーは、オリゴヌクレオチド又はペプチドカーゴの骨格に共有結合することができる。リンカーは、本明細書に記載されるcCPPをオリゴヌクレオチド、ペプチド又は小分子などのカーゴにコンジュゲートする任意の適切な部分であり得る。
リンカーは炭化水素リンカーを含み得る。
リンカーは切断部位を含み得る。切断部位は、ジスルフィド又はカスパーゼ切断部位(例えば、Val-Cit-PABC)であり得る。
リンカーは、(i)1つ以上のD又はLアミノ酸であって、これらは各々任意選択で置換されているアミノ酸、(ii)任意選択で置換されているアルキレン、(iii)任意選択で置換されているアルケニレン、(iv)任意選択で置換されているアルキニレン、(v)任意選択で置換されているカルボシクリル、(vi)任意選択で置換されているヘテロシクリル、(vii)1つ以上の-(R1-J-R2)z”-サブユニットであって、式中、R1及びR2の各々が、各場合において、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリル、及びヘテロシクリルから独立して選択され、各Jが、独立して、C、NR3、-NR3C(O)-、S、及びOであり、式中、R3が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、及びヘテロシクリルから独立して選択され、これらは各々任意選択で置換されており、z”が1から50の整数である、サブユニット、(viii)-(R1(J)z-又は-(J-R1)z-であって、式中、各R1が、各場合において、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり、各Jが、独立して、C、NR3、-NR3C(O)-、S、又はOであり、式中、R3が、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり、これらは各々任意選択で置換されており、z”が1から50の整数であるもの、を含み得、あるいは、(ix)リンカーは、(i)~(x)のうちの1つ以上を含み得る。
リンカーは、1つ以上のD若しくはLアミノ酸及び/又は-(R1-J-R2)z”-であって、式中、R1及びR2の各々が、各場合において、独立してアルキレンであり、各Jが、独立して、C、NR3、-NR3C(O)-、S、及びOであり、式中、R4が、独立して、H及びアルキルから選択され、z”が、1から50の整数であるもの、又はそれらの組み合わせを含み得る。
リンカーは、-(OCH2CH2)z’-を(例えば、スペーサーとして)含み得、z’は、1から23の整数、例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23である。「-(OCH2CH2)z」は、ポリエチレングリコール(PEG)と呼ぶこともできる。
リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含み得る。リンカーはペプチドを含み得る。リンカーは、-(OCH2CH2)z’-(式中、z’は1から23の整数である)、及びペプチドを含み得る。ペプチドは、2から10個のアミノ酸を含み得る。リンカーは、クリックケミストリーを介して反応することができる官能基(FG)を更に含み得る。FGはアジド又はアルキンであってもよく、カーゴがリンカーにコンジュゲートされるとトリアゾールが形成される。
リンカーは、(i)βアラニン残基及びリジン残基、(ii)-(J-R1)z-、又は(iii)それらの組み合わせを含み得る。各R1は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり得、各Jは、独立して、C、NR3、-NR3C(O)-、S、又はOであり、式中、R3は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり、これらは各々任意選択で置換されており、z”は、1から50の整数であり得る。各R1はアルキレンであってよく、各JはOであってよい。
リンカーは、(i)β-アラニン、グリシン、リジン、4-アミノ酪酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸又はそれらの組み合わせの残基、及び(ii)-(R1-J)z”-又は-(J-R1)z”-を含み得る。各R1は、独立して、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり得、各Jは、独立して、C、NR3、-NR3C(O)-、S、又はOであり、式中、R3は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり、これらは各々任意選択で置換されており、z”は、1から50の整数であり得る。各R1はアルキレンであり得、各JはOであり得る。リンカーは、グリシン、ベータアラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、又はそれらの組み合わせを含み得る。
リンカーは、三価リンカーであり得る。リンカーは、構造:
を有し得、式中、A1、B1及びC1は、独立して、炭化水素リンカー(例えば、NRH-(CH2)n-COOH)、PEGリンカー(例えば、NRH-(CH2O)n-COOH、式中、Rは、H、メチル又はエチルである)、又は1つ以上のアミノ酸残基であり得、Zは、独立して、保護基である。リンカーはまた、ジスルフィド[NH2-(CH2O)n-S-S-(CH2O)n-COOH]、又はカスパーゼ切断部位(Val-Cit-PABC)などの切断部位を組み込むことができる。
炭化水素は、グリシン又はベータアラニンの残基であり得る。
リンカーは二価であり、cCPPをカーゴに連結することができる。リンカーは二価であり、cCPPを環外ペプチド(EP)に連結することができる。
リンカーは三価であり得、cCPPをカーゴ及びEPに連結することができる。
リンカーは、二価又は三価のC1~C50アルキレンであり得、ここで、1~25個のメチレン基は、任意選択で、かつ独立して、-N(H)-、-N(C1-C4アルキル)-、-N(シクロアルキル)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2N(C1-C4アルキル)-、-S(O)2N(シクロアルキル)-、-N(H)C(O)-、-N(C1-C4アルキル)C(O)-、-N(シクロアルキル)C(O)-、-C(O)N(H)-、-C(O)N(C1-C4アルキル)、-C(O)N(シクロアルキル)、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はシクロアルケニルによって置き換えられている。リンカーは、二価又は三価のC1~C50アルキレンであり得、ここで、1~25個のメチレン基は、任意選択で、かつ独立して、-N(H)-、-O-、-C(O)N(H)-、又はこれらの組み合わせによって置換される。
リンカーは、構造:
を有し得、各AAは独立してアミノ酸残基であり、*はAASCへの結合点であり、AASCはcCPPのアミノ酸残基の側鎖であり、xは1~10の整数であり、yは1~5の整数であり、zは1~10の整数である。xは1~5の整数であり得る。xは1~3の整数であり得る。xは1であり得る。yは2~4の整数であり得る。yは4であり得る。zは1~5の整数であり得る。zは1~3の整数であり得る。zは1であり得る。各AAは、独立して、グリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノペンタン酸、及び6-アミノヘキサン酸から選択され得る。
cCPPはリンカー(「L」)を介してカーゴに結合することができる。リンカーは、結合基(「M」)を介してカーゴにコンジュゲートされ得る。
リンカーは、構造:
を有し得、式中、xは1~10の整数であり、yは1~5の整数であり、zは1~10の整数であり、各AAは独立してアミノ酸残基であり、*はAASCへの結合点であり、AASCはcCPPのアミノ酸残基の側鎖であり、Mは本明細書で定義される結合基である。
リンカーは、構造:
を有し得、
x’は1~23の整数であり、yは1~5の整数であり、z’は1~23の整数であり、*はAASCへの結合点であり、AASCはcCPPのアミノ酸残基の側鎖であり、Mは本明細書で定義される結合基である。
リンカーは、構造:
を有し得、
x’は1~23の整数であり、yは1~5の整数であり、z’は1~23の整数であり、*はAASCへの結合点であり、AASCはcCPPのアミノ酸残基の側鎖であり、Mは本明細書で定義される結合基である。
リンカーは、構造:を有し得、
式中、x’は1~23の整数であり、yは1~5の整数であり、z’は1~23の整数であり、*はAASCへの結合点であり、AASCはcCPPのアミノ酸残基の側鎖である。
xは、1~10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であり得る。
x’は、1~23の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であり得る。x’は、5~15の整数であり得る。x’は、9~13の整数であり得る。x’は、1~5の整数であり得る。x’は1であり得る。
yは、1~5の整数、例えば、1、2、3、4、又は5(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であり得、yは、2~5の整数であり得る。yは3~5の整数であり得る。yは3又は4であり得る。yは4又は5であり得る。yは3であり得る。yは4であり得る。yは5であり得る。
zは、1~10の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であり得る。
z’は、1~23の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、又は23(これらの間の全ての範囲及び部分範囲を含む)であり得る。z’は5~15の整数であり得る。z’は9~13の整数であり得る。z’は11であり得る。
上記のように、リンカー又はM(ここで、Mはリンカーの一部である)は、カーゴ上の任意の適切な位置でカーゴに共有結合することができる。リンカー又はM(ここで、Mはリンカーの一部である)は、オリゴヌクレオチドカーゴの3’末端又はオリゴヌクレオチドカーゴの5’末端に共有結合され得る。リンカー又はM(ここで、Mはリンカーの一部である)は、ペプチドカーゴのN末端又はC末端に共有結合され得る。リンカー又はM(ここで、Mはリンカーの一部である)は、オリゴヌクレオチド又はペプチドカーゴの骨格に共有結合され得る。
リンカーは、cCPP上のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、若しくはリジンの側鎖、又はグルタミン若しくはアスパラギンの修飾側鎖(例えば、アミノ基を有する還元側鎖)に結合することができる。リンカーは、cCPP上のリジンの側鎖に結合することができる。
リンカーは、ペプチドカーゴ上のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、若しくはリジンの側鎖、又はグルタミン若しくはアスパラギンの修飾側鎖(例えば、アミノ基を有する還元側鎖)に結合することができる。リンカーは、ペプチドカーゴ上のリジンの側鎖に結合することができる。
リンカーは、構造:
を有し得、
式中、
Mは、Lをカーゴ、例えば、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートする基であり、
AAsは、cCPP上のアミノ酸の側鎖又は末端であり、
各AAxは、独立してアミノ酸残基であり、
oは、0から10の整数であり、
pは、0から5の整数である。
リンカーは、構造:
を有し得、
式中、
Mは、Lをカーゴ、例えば、オリゴヌクレオチドにコンジュゲートする基であり、
AAsは、cCPP上のアミノ酸の側鎖又は末端であり、
各AAxは独立してアミノ酸残基であり、
oは、0から10の整数であり、
pは、0から5の整数である。
Mは、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、カルボシクリル、又はヘテロシクリルを含み得、これらは各々、任意選択で置換されている。Mは、
から選択することができ、式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルである。
Mは、
から選択することができ、
R10は、アルキレン、シクロアルキル、又は
であり、式中、aは0から10である。
Mは
であり得、R10は
であり得、aは0から10である。Mは、
であり得る。
Mは、ヘテロ二官能性架橋剤、例えば、
であり得、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Williams et al.Curr.Protoc Nucleic Acid Chem.2010,42,4.41.1-4.41.20に開示されている。
Mは、-C(O)-であり得る。
AAsは、cCPP上のアミノ酸の側鎖又は末端であり得る。AAsの非限定的な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、若しくはリジン、又はグルタミン若しくはアスパラギンの修飾された側鎖(例えば、アミノ基を有する還元側鎖)が挙げられる。AAsは、本明細書で定義されるAASCであり得る。
各AAxは、独立して、天然又は非天然アミノ酸である。1つ以上のAAxは、天然アミノ酸であり得る。1つ以上のAAxは、非天然アミノ酸であり得る。1つ以上のAAxは、β-アミノ酸であり得る。β-アミノ酸は、β-アラニンであり得る。
oは、0から10の整数、例えば、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、及び10であり得る。oは、0、1、2、又は3であり得る。oは0であり得る。oは1であり得る。oは2であり得る。oは3であり得る。
pは、0から5、例えば、0、1、2、3、4、又は5であり得る。pは0であり得る。pは1であり得る。pは2であり得る。pは3であり得る。pは4であり得る。pは5であり得る。
リンカーは、構造:
を有し得、
式中、M、AAs、各-(R1-J-R2)z”-、o及びz”は、本明細書で定義されている。rは、0又は1であり得る。
rは、0であり得る。rは1であり得る。
リンカーは、構造:
を有し得、式中、M、AAs、o、p、q、r及びzの各々は、本明細書で定義される通りであり得る。
zは、1から50の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、及び50(これらの間の全ての範囲及び値を含む)であり得る。z”は、5~20の整数であり得る。z”は、10~15の整数であり得る。
リンカーは、構造:
を有し得、
式中、
M、AAs及びoは、本明細書で定義される通りである。
好適なリンカーの他の非限定的な例としては、
が挙げられ、式中、M及びAAsは、本明細書で定義される通りである。
本明細書では、cCPPと、pre-mRNA配列中の標的に相補的なACとを含む化合物であって、Lを更に含み、リンカーが結合基(M)を介してACにコンジュゲートされており、Mが
である、化合物が提供される。
本明細書では、cCPPと、アンチセンス化合物(AC)、例えば、pre-mRNA配列中の標的に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドを含むカーゴとを含む化合物であって、Lを更に含み、リンカーは結合基(M)を介してACにコンジュゲートされており、Mは、
から選択され、R1は、アルキレン、シクロアルキル、又は
であり、式中、t’は0から10であり、各Rは独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルであり、R1は
t’は2である、化合物が提供される。
リンカーは、構造:
を有し得、
式中、AAsは本明細書で定義される通りであり、m’は0~10である。
リンカーは、式:
のものであり得る。
リンカーは、式:
のものであり得、式中、「塩基」は、カーゴホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーの3’末端の核酸塩基に対応する。
リンカーは、式:
のものであり得、式中、「塩基」は、カーゴホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーの3’末端の核酸塩基に対応する。
リンカーは、式:
のものであり得、式中、「塩基」は、カーゴホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーの3’末端の核酸塩基に対応する。
リンカーは、式:
のものであり得、式中、「塩基」は、カーゴホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーの3’末端の核酸塩基に対応する。
リンカーは、式:
のものであり得る。
リンカーcは、カーゴ上の任意の適切な位置でカーゴに共有結合することができる。リンカーは、カーゴの3’末端又はオリゴヌクレオチドカーゴの5’末端に共有結合される。リンカーは、カーゴの骨格に共有結合され得る。
リンカーは、cCPP上のアスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、若しくはリジンの側鎖、又はグルタミン若しくはアスパラギンの修飾側鎖(例えば、アミノ基を有する還元側鎖)に結合することができる。リンカーは、cCPP上のリジンの側鎖に結合することができる。
cCPP-リンカーコンジュゲート
cCPPは、本明細書で定義されるリンカーにコンジュゲートされ得る。リンカーは、本明細書で定義されるcCPPのAASCにコンジュゲートされ得る。
リンカーは、-(OCH2CH2)z’サブユニットを(例えば、スペーサーとして)含み得、式中、z’は、1から23の整数、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22又は23である。「-(OCH2CH2)z’は、PEGとも呼ばれる。cCPP-リンカーコンジュゲートは、表4から選択される構造を有し得る。
リンカーは、-(OCH2CH2)z’-サブユニット(式中、z’は1から23の整数である)及びペプチドサブユニットを含み得る。ペプチドサブユニットは、2から10個のアミノ酸を含み得る。cCPP-リンカーコンジュゲートは、表5から選択される構造を有し得る。
cCPP-リンカーコンジュゲートは、図1に示される構造(例えば、化合物1a、化合物1b、化合物2a、又は化合物3a)又は表4に列挙される配列を有し得る。
cCPP-リンカーコンジュゲートは、表5に列挙される配列を有し得る。
cCPP-リンカーコンジュゲートは、Ac-PKKKRKV-K(シクロ[FfΦGrGrQ])-PEG12-K(N3)-NH2であり得る。透過性ペプチド(cCPP)、リンカー及び環外ペプチド(EP)を含むEEVが提供される。EEVは、式(B):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、
式中、
R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又はアミノ酸の芳香族若しくはヘテロ芳香族側鎖であり、
R4及びR7は、独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
EPは、本明細書で定義される環外ペプチドであり、
各mは、独立して、0~3の整数であり、
nは、0~2の整数であり、
x’は、1~20の整数であり、
yは、1~5の整数であり、
qは、1~4であり、
z’は、1~23の整数である。
R1、R2、R3、R4、R7、EP、m、q、y、x’、z’は、本明細書に記載される通りである。
nは0であり得る。nは1であり得る。nは2であり得る。
EEVは、式(B-a)又は(B-b):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、式中、EP、R1、R2、R3、R4、m及びz’は、式(B)において上で定義された通りである
EEVは、式(B-c):
構造又はそのプロトン化形態を含み得、式中、EP、R1、R2、R3、R4、及びmは、式(B)において上で定義された通りであり、AAは、本明細書で定義されるアミノ酸であり、Mは、本明細書で定義される通りであり、nは、0~2の整数であり、xは、1~10の整数であり、yは、1~5の整数であり、zは1~10の整数である。
EEVは、式(B-1)、(B-2)、(B-3)、又は(B-4):
の構造又はプロトン化形態を有し得、式中、EPは、式(B)において上で定義されている通りである。
EEVは、式(B)を含み得、構造:Ac-PKKKRKVAEEA-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH又はAc-PK-KKR-KV-AEEA-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OHを有し得る。
EEVは、式:のcCPPを含み得る。
EEVは、式:Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(FfFGRGRQ)-miniPEG2-K(N3)を含み得る。
EEVは、であり得る。
EEVは、
であり得る。
EEVは、Ac-P-K(Tfa)-K(Tfa)-K(Tfa)-R-K(Tfa)-V-miniPEG-K(シクロ-Ff-Nal-GrGrQ)-PEG12-OHであり得る。
EEVは、
であり得る。
EEVは、Ac-P-K-K-K-R-K-V-miniPEG-K(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ)-PEG12-OHであり得る。
EEVは、
EEVは、
であり得る。EEVは、であり得る。
EEVは、
EEVは、
であり得る。
EEVは、
EEVは、であり得る。
EEVは、であり得る。
EEVは、であり得る。
であり得る。
EEVは、であり得る。
EEVは、
であり得る。
EEVは、
Ac-rr-miniPEG2-Dap[シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ)]-PEG12-OH
Ac-frr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rfr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbfbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbhbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbhbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-frr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rfr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbfbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rrr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbrbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbhbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbhbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbrbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-KKKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KGKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKGK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KGK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBKBK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KR-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBR-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PGKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKGKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKGRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKGKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRGV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKG-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKKRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2及び
Ac-KRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2、から選択することができる。
EEVは、から選択され得る。
EEVは、から選択され得る。
EEVは、から選択され得る。
EEVは、から選択され得る。
カーゴはタンパク質であり得、EEVは、
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH、及び
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
から選択され得、式中、bはベータアラニンであり、環外配列はD又はL立体化学であり得る。
カーゴ
細胞透過性ペプチド(CPP)、例えば、環状細胞透過性ペプチド(例えば、cCPP)は、カーゴにコンジュゲートされ得る。カーゴは治療部分であり得る。カーゴは、リンカーの末端カルボニル基にコンジュゲートされ得る。環状ペプチドの少なくとも1つの原子は、カーゴによって置換され得、又は少なくとも1つの孤立電子対がカーゴへの結合を形成し得る。カーゴは、リンカーによってcCPPにコンジュゲートされ得る。カーゴは、リンカーによってAASCにコンジュゲートされ得る。cCPPの少なくとも1個の原子を治療部分で置換され得、又はcCPPの少なくとも1個の孤立電子対が治療部分への結合を形成する。cCPPのアミノ酸側鎖上のヒドロキシル基は、カーゴへの結合によって置き換えることができる。cCPPのグルタミン側鎖上のヒドロキシル基は、カーゴへの結合によって置き換えることができる。カーゴは、リンカーによってcCPPにコンジュゲートされ得る。カーゴは、リンカーによってAASCにコンジュゲートすることができる。
カーゴは、1つ以上の検出可能な部分、1つ以上の治療部分、1つ以上の標的化部分、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。カーゴは、ペプチド、オリゴヌクレオチド、又は小分子であり得る。カーゴは、ペプチド配列又は非ペプチジル治療剤であり得る。カーゴは、抗体又はその抗原結合性フラグメント、例えば、限定するものではないが、scFv又はナノボディであり得る。
カーゴは、1つ以上の追加のアミノ酸(例えば、K、UK、TRV)、リンカー(例えば、二官能性リンカーLC-SMCC)、補酵素A、ホスホクマリンアミノプロピオン酸(pCAP)、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(miniPEG)、L-2,3-ジアミノプロピオン酸(Dap又はJ)、L-β-ナフチルアラニン、L-ピペコリン酸(Pip)、サルコシン、トリメシン酸、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、L-2-ナフチルアラニン、ノルロイシン、2-アミノ酪酸、ローダミンB(Rho)、デキサメタゾン(DEX)、又はそれらの組み合わせを含み得る。
カーゴは、表6に列挙されるもののいずれか、又はそれらの誘導体若しくは組み合わせを含み得る。
*pCAP、ホスホクマリンアミノプロピオン酸、Ω、ノルロイシン、U、2-アミノ酪酸、D-pThrはD-ホスホトレオニンであり、PipはL-ピペリジン-2-カルボキシレートである。
検出可能部分
本化合物は検出可能な部分を含み得る。検出可能部分は、細胞透過性ペプチド(CPP)の任意のアミノ酸のアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖で(例えば、cCPP中の任意のアミノ酸のアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖で)CPPに結合することができる。検出可能な部分は、cCPP中の任意のアミノ酸の側鎖で環状細胞透過性ペプチド(cCPP)に結合することができる。カーゴは、検出可能な部分を含み得る。カーゴは、治療剤及び検出可能な部分を含み得る。検出可能な部分は、任意の検出可能な標識を含み得る。適切な検出可能な標識の例としては、UV-Vis標識、近赤外標識、発光基、リン光基、磁気スピン共鳴標識、光増感剤、光切断可能部分、キレート中心、重原子、放射性同位体、同位体検出可能スピン共鳴標識、常磁性部分、発色団、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。標識は、更なる試薬を添加することなく検出できる場合がある。
検出可能な部分は、本化合物が種々の生物学的適用における使用に適切であり得るように、生体適合性の検出可能な部分であり得る。「生体適合性」及び「生物学的に適合性」は、本明細書で使用される場合、一般に、細胞及び組織に対して一般に非毒性の化合物(その任意の代謝産物又はその分解産物と共に)であって、細胞及び組織がそれらの存在下でインキュベートされる(例えば、培養される)場合に、細胞及び組織に対していかなる有意な有害作用も引き起こさない化合物を指す。
検出可能な部分は、蛍光標識又は近赤外標識などの発光団を含有し得る。好適な発光団の例としては、金属ポルフィリン、ベンゾポルフィリン、アザベンゾポルフィリン、ナトポルフィリン(napthoporphyrin)、フタロシアニン、多環式芳香族炭化水素(ジイミン、ピレンなど)、アゾ染料、キサンテン染料、ホウ素ジピロメテン、アザ-ホウ素ジピロメテン、シアニン色素、金属配位子錯体(ビピリジン、ビピリジル、フェナントロリン、クマリンなど)、並びにルテニウム及びイリジウムのアセチルアセトネート、アクリジン、オキサジン誘導体(ベンゾフェノキサジンなど)、アザ-アヌレン、スクアライン、8-ヒドロキシキノリン、ポリメチン、発光生成ナノ粒子(量子ドット、ナノ結晶など)、カルボスチリル、テルビウム錯体、無機蛍光体、イオノフォア(クラウンエーテル系列又は誘導体化色素など)、又はそれらの組み合わせ、が挙げられるが、これに限定されない。好適な発光団の具体例としては、Pd(II)オクタエチルポルフィリン、Pt(II)-オクタエチルポルフィリン、Pd(II)テトラフェニルポルフィリン、Pt(II)テトラフェニルポルフィリン、Pd(II)meso-テトラフェニルポルフィリンテトラベンゾポルフィン、Pt(II)メソ-テトラフェニルメトリルベンゾポルフィリン(Pt(II)meso-tetraphenyl metrylbenzoporphyrin)、Pd(II)オクタエチルポルフィリンケトン、Pt(II)オクタエチルポルフィリンケトン、Pd(II)メソ-テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、Pt(II)メソ-テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリン、Ru(II)トリス(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)(Ru(dpp)3)、Ru(II)トリス(1,10-フェナントロリン)(Ru(phen)3)、トリス(2,2’-ビピリジン)ルテニウム(II)クロリド六水和物(Ru(bpy)3)、エリスロシンB、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、エオシン、イリジウム(III)((N-メチル-ベンズイミダゾール-2-イル)-7-(ジエチルアミノ)-クマリン))、
(エンゾチアゾール(enzothiazole))((ベンゾチアゾール-2-イル)-7-(ジエチルアミノ)-クマリン))-2-(アセチルアセトネート)、ルモゲン色素、Macroflex蛍光赤色、Macrolex蛍光黄色、テキサスレッド、ローダミンB、ローダミン6G、硫黄ローダミン、m-クレゾール、チモールブルー、キシレノールブルー、クレゾールレッド、クロロフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロムクレゾールレッド、ブロモチモールブルー、Cy2、Cy3、Cy5、Cy5.5、Cy7、4-ニチロフェノール、アリザリン、フェノールフタレイン、o-クレゾールフタレイン、クロロフェノールレッド、カルマガイト、ブロモ-キシレノール、フェノールレッド、ニュートラルレッド、ニトラジン、3,4,5,6-テトラブロムフェノールフタレイン、コンゴレッド、fluor’sc’in、エオシン、2’,7’-ジクロロフルオレセイン、5(6)-カルボキシ-フルオレセイン、カルボキシナフトフルオレセイン、8-ヒドロキシピレン-1,3,6-トリスルホン酸、セミナフトホルホダフロア、セミナフトフルオレセイン、トリス(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)ジクロリド、(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)ルテニウム(II)テトラフェニルホウ素、白金(II)オクタエチルポルフィイン、ジアルキルカルボシアニン、ジオクタデシルシクロオキサカルボシアニン、フルオレニルメチルオキシカルボニルクロリド、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、及びそれらの誘導体又は組み合わせ、が挙げられるが、これらに限定されない。
検出部分は、ローダミンB(Rho)、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、7-アミノ-4-メチルクマリン(Amc)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、又はそれらの誘導体若しくは組み合わせを含み得る。
検出可能部分は、細胞透過性ペプチド(CPP)の任意のアミノ酸のアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖で(例えば、cCPP中の任意のアミノ酸のアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖で)細胞透過性ペプチドに結合することができる。
治療部分
本開示の化合物は、治療部分を含み得る。カーゴは、治療部分を含み得る。検出可能な部分は、治療部分に連結され得、又は検出可能な部分はまた治療部分としても機能し得る。治療部分とは、対象に投与した場合に、疾患又は障害の1つ以上の症状を軽減する基を指す。治療部分は、ペプチド、タンパク質(例えば、酵素、抗体又はそのフラグメント)、小分子、又はオリゴヌクレオチドを含み得る。
治療部分は、アンタゴニスト(例えば、酵素阻害剤)及びアゴニスト(例えば、所望の遺伝子産物の発現の増加を生じる転写因子(当業者によって理解されるように、アンタゴニスト性転写因子もまた使用され得る))などの多岐にわたる種々の薬物を含み得、全てが含まれる。更に、治療部分には、毒性を誘導することができ、かつ/又は体内の健康な細胞及び/又は不健康な細胞に対して毒性を誘導することができる薬剤が含まれる。また、治療部分は、潜在的病原体に対する免疫系を誘導及び/又はプライミングすることが可能な場合がある。
治療部分は、例えば、抗がん剤、抗ウイルス剤、抗菌剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、麻酔剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
治療部分は、抗がん剤を含み得る。抗がん剤の例としては、13-cis-レチノイン酸、2-アミノ-6-メルカプトプリン、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-フルオロウラシル、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、アキュタン、アクチノマイシン-D、アドリアマイシン、アドルシル、アグリリン、Ala-Cort、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルカバン-AQ、アルケラン、全トランス型レチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナンドロン、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Aranesp、Aredia、アロマシン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ATRA、アバスチン、BCG、BCNU、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU、ブレノキサン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブスルフェックス、C225、ロイコボリンカルシウム、カンパス、カンプトサール、カンプトテシン-11、カペシタビン、カーラック、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウェーハ、カソデックス、CCNU、CDDP、CeeNU、セルビジン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、コスメゲン、CPT-11、シクロホスファミド、シタドレン、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome、デカドロン、Delta-Cortef、デルタゾン、デニロイキンジフチトクス、デポサイト、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、Dexasone、デクスラゾキサン、DHAD、DIC、Diodex、ドセタキセル、ドキシル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、Droxia、DTIC、DTIC-Dome、Duralone、Efudex、エリガード、Ellence、エロキサチン、Elspar、Emcyt、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビタックス、エルビニアL-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、Ethyol、Etopophos、エトポシド、エトポシドホスフェート、Evulexin、エビスタ、エキセメスタン、フェアストン、フェソロデックス、フェマーラ、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラ、フルダラビン、フルオロプレックス、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR、フルベストラント、G-CSF、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムザール、グリベック、ルプロン、ルプロンデポー、Matulane、マキシデックス、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、メドラロン、メドロール、メグレス、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メネクス、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、ミロセル、レトロゾール、ネオサール、ニューラスタ、ヌメガ、ネプゲン、Nilandron、ニルタミド、ナイトロジェン・マスタード、Novaldex、ノバントロン、オクトレオチド、オクトレオチド酢酸塩、Oncospar、オンコビン、Ontak、Onxal、Oprevelkin、Orpred、Orasone、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、Panretin、パラプラチン、Pediapred、PEGインターフェロン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON、PEG-L-アスパラギナーゼ、フェニルアラニンマスタード、Platinol、Platinol-AQ、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン、プロカルバジン、プロクリット、Proleukin、カルムスチンインプラントを有するProlifegroprolife 20、Purinethol、ラロキシフェン、リウマトレックス、リツキサン、リツキシマブ、Roveron-A(インターフェロンアルファ-2a)、ルベックス、ルビドマイシン塩酸塩、サンドスタチン、サンドスタチンLAR、サルグラモスチム、ソル・コーテフ、ソルメドロール、STI-571、ストレプトゾシン、タモキシフェン、Targetretin、タキソール、タキソテール、テモダール、テモゾロマイド、テニポシド、TESPA、サリドマイド、サロミド、TheraCys、チオグアニン、チオグアニンTabloid、チオホスホアミド、Thioplex、チオテパ、TICE、Toposar、トポテカン、トレミフェン、トラスツブマブ、トレチノイン、Trexall、トリセノックス、TSPA、VCR、Velban、ベルケイド、ベプシド、ベサノイド、Viadur、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPfs、ビンクリスチン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、VLB、VP-16、Vumon、ゼローダ、ザノサー、ゼバリン、Zinecard、ゾラデックス、ゾレドロン酸、ゾメタ、ギリアデルウェハー、グリベック、GM-CSF、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、ハロテスチン、ハーセプチン、ヘキサドロール、Hexalen、ヘキサメチルメラミン、HMM、ハイカムチン、ハイドレア、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルトン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダマイシン、イダルビシン、イフェックス、IFN-アルファ、イホスファミド、IL 2、IL-11、メシル酸イマチニブ、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)、インターロイキン2、インターロイキン-11、イントロンA(インターフェロンアルファ-2b)、ロイコボリン、ロイケラン、Leukine、ロイプロリド、ロイロクリスチン、ロイスタチン、リポソームAra-C、Liquid Pred、ロムスチン、L-PAM、L-サルコリシン、メチコルテン、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、M-プレドニゾール、MTC、MTX、ムスターゲン、ムスチン、ムタマイシン、マイレラン、イレッサ、イリノテカン、イソトレチノイン、キドロラーゼ、ラナコート、L-アスパラギナーゼ、及びLCR、が挙げられる。治療部分はまた、例えば、抗体などの生物薬剤を含み得る。
治療部分は、ガンシクロビル、アジドチミジン(AZT)、ラミブジン(3TC)などの抗ウイルス剤を含み得る。
治療部分は、アセダプゾン、アセトスルホンナトリウム、アラメシン、アレキシジン、アムジノシリン、アミジノシリンピボキシル、アミシクリン、アミフロキサシン、アミフロキサシンメシレート、アミカシン、アミカシン硫酸塩、アミノサリチル酸、アミノサリチル酸ナトリウム、アモキシシリン、アンホマイシン、アンピシリン、アンピシリンナトリウム、アパルシリンナトリウム、アプラマイシン、アスパルトシン、アストロマイシン硫酸塩、アビラマイシン、アボパルシン、アジスロマイシン、アズロシリン、アズロシリンナトリウム、バカンピシリン塩酸塩、バシトラシン、バシトラシンメチレンジサリチレート、バシトラシン亜鉛、バベルマイシン、ベンゾイルパスカルシウム、ベリスロマイシン、ベタマイシンスルファート、ビアペネム、ビニラマイシン、ビフェナミン塩酸塩、ビスピリチオンマグスルフェクス、ブチカシン、ブチロシン硫酸塩、硫酸カプレオマイシン、カルバドックス、カルベニシリン二ナトリウム、カルベニシリンインダニルナトリウム、カルベニシリンフェニルナトリウム、カルベニシリンカリウム、カルモナムナトリウム、セファクロル、セファドロキシル、セファマンドール、セファマンドールナフェート、セファマンドールナトリウム、セファパロール、セファトリジン、セフアザフルルナトリウム、セファゾリン、セファゾリンナトリウム、セフブペラゾン、セフジニル、セフェピム、セフェピム塩酸塩、セフェテコール、セフィキシム、セフメノキシム塩酸塩、セフメタゾール、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドモノナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフォペラゾンナトリウム、セフォラニド、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン、セフォテタンジナトリウム、セフォチアム塩酸塩、セフォキシチン、セフォキシチンナトリウム、セフピミゾール、セフピミゾールナトリウム、セフピラミド、セフピラミドナトリウム、セフピロム硫酸塩、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフロキサジン、セフスロジンナトリウム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシム、セフロキシムアキセチル、セフロキシムピボセチル、セフロキシムナトリウム、アセセトリルナトリウム、セファレキシン、塩酸セファレキシン、セファログリシン、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファピリンナトリウム、セフラジン、セトシクリン塩酸塩、セトフェニコール、クロラムフェニコール、クロラムフェニコールパルミチン酸エステル、パントテン酸クロラムフェニコール錯体、クロラムフェニコールコハク酸エステルナトリウム、クロロヘキシジンホスファニラート、クロロキシレノール、重硫酸クロルテトラサイクリン、塩酸クロルテトラサイクリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、シプロフロキサシン塩酸塩、シロレマイシン、クラリスロマイシン、塩酸クリナフロキサシン、クリンダマイシン、クリンダマイシン塩酸塩、塩酸パルミチン酸クリンダマイシン、クリンダマイシンリン酸エステル、クロファジミン、クロキサシリンベンザチン、クロキサシリンナトリウム、クロキシキン、コリスチンメタナトリウム、コリスチン硫酸塩、クーママイシン、クーママイシンナトリウム、シクラシリン、シクロセリン、ダルホプリスチン、ダプソン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、デメクロサイクリン塩酸塩、デメサイクリン、デノフンギン、ジアベリジン、ジクロキサシリン、ジクロキサシリンナトリウム、硫酸ジヒドロストレプトマイシン、ジピリチオン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、ドキシサイクリンカルシウム、ドキシサイクリンフォスファテックス、ドキシサイクリンヒクラート、ドロキサシンナトリウム、エノキサシン、エピシリン、塩酸エピテトラサイクリン、エリスロマイシン、エリスロマイシンアシストレート、エリスロマイシンエストラート、エリスロマイシンエチルコハク酸エステル、エリスロマイシングルセプテート、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、プロピオン酸エリスロマイシン、エリスロマイシンステアリン酸塩、エタンブトール塩酸塩、エチオナミド、フレロキサシン、フロキサシリン、フルダラニンフルメキン、ホスホマイシン、ホスホマイシントロメタミン、フモキシシリン、フラゾリウムクロリド、酒石酸フラゾリウム、フシジン酸ナトリウム、フシジン酸、硫酸ゲンタマイシン、グロキシモナム、グラミシジン、ハロプロジン、ヘタシリン、ヘタシリンカリウム、ヘキセジン、イバフロキサシン、イミペネム、イソコナゾール、イセパマイシン、イソニアジド、ジョサマイシン、カナマイシン硫酸塩、キタサマイシン、レボフラルタドン、レボプロピルシリンカリウム、レキシスロマイシン、リンコマイシン、リンコマイシン塩酸塩、ロメフロキサシン、塩酸ロメフロキサシン、メシル酸ロメフロキサシン、ロラカルベフ、マフェニド、メクロサイクリン、メクロサイクリンスルホサリチル酸塩、メガロミシンリン酸カリウム、メキドクス、メロペネム、メタサイクリン、塩酸メタサイクリン、メテナミン、ヒプル酸メテナミン、マンデル酸メテナミン、メチシリンナトリウム、メチオプリム、メトロニダゾール塩酸塩、メトロニダゾールリン酸塩、メズロシリン、メズロシリンナトリウム、ミノサイクリン、ミノサイクリン塩酸塩、ミルカマイシン塩酸塩、モネンシン、モネンシンナトリウム、ナフシリンナトリウム、ナリジクス酸ナトリウム、ナリジクス酸、ナタマイシン、ネブラマイシン、パルミチン酸ネオマイシン、硫酸ネオマイシン、ウンデシレン酸ネオマイシン、ネチルマイシン硫酸塩、ニュートマイシン、ニフラデン、ニフラルデゾン、ニフラテル、ニフラトロン、ニフルダジル、ニフリミド、ニフルピリノール、ニフルキナゾール、ニフルチアゾール、ニトロシクリン、ニトロフラントイン、ニトロミド、ノルフロキサシン、ノボビオシンナトリウム、オフロキサシン、オンネトプリム、オキサシリン、オキサシリンナトリウム、オキシモナム、オキシモナムナトリウム、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、オキシテトラサイクリンカルシウム、オキシテトラサイクリン塩酸塩、パルジマイシン、パラクロロフェノール、パウロマイシン、ペフロキサシン、ペフロキサシンメシレート、ペナメシリン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンGナトリウム、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペニシリンVカリウム、ペンチジドンナトリウム、フェニルアミノサリチル酸、ピペラシリンナトリウム、ピルベニシリンナトリウム、ピリジシリンナトリウム、ピルリマイシン塩酸塩、ピバンピシリン塩酸塩、パモ酸ピバンピシリン、ピバンピシリンプロベナート、硫酸ポリミキシンB、ポルフィロマイシン、プロピカシン、ピラジナミド、ピリチオン亜鉛、酢酸キンデカミン、キヌプリスチン、ラセフェニコール、ラモプラニン、ラニマイシン、レロマイシン、レプロマイシン、リファブチン、リファメタン、リファメキシル、リファアミド、リファンピン、リファペンチン、リファキシミン、ロリテトラサイクリン、硝酸ロリテトラサイクリン、ロサラマイシン、酪酸ロサラマイシン、ロサラマイシンプロピオネート、ロサラマイシンナトリウムホスフェート、ステアリン酸ロサラマイシン、ロソキサシン、ロキサルソン、ロキシスロマイシン、サンサイクリン、サンフェトリネムシナトリウム、サルモキシシリン、サルピシリン、スコパフンギン、シソマイシン、シソマイシン硫酸塩、スパルフロキサシン、塩酸スペクチノマイシン、スピラマイシン、スタリマイシン塩酸塩、ステフィマイシン、硫酸ストレプトマイシン、ストレプトニコジド、スルファベンズ、スルファベンズアミド、スルファセタミド、スルファセタミドナトリウム、スルアシチン、スルファジアジン、スルファジアジンナトリウム、スルファドキシン、スルファレン、スルファメラジン、スルファメーター、スルファメタジン、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファモノメトキシン、スルファモキソール、スルファニル酸亜鉛、スルファニトラン、スルファサラジン、スルファソミゾール、スルファチアゾール、スルファザメト、スルフイソキサゾール、スルフイソキサゾールアセチル、スルフイソキサゾールジオールアミン、スルホミキシン、スロペネム、スルタミシリン、サンシリンナトリウム、タランピシリン塩酸塩、テイコプラニン、塩酸テマフロキサシン、テモシリン、テトラサイクリン、テトラサイクリン塩酸塩、テトラサイクリンリン酸錯体、テトロキソプリム、チアンフェニコール、チフェンシリンカリウム、チカルシリンクレシルナトリウム、チカルシリンジナトリウム、チカルシリンモノナトリウム、チクラトン、塩化チオドニウム、トブラマイシン、硫酸トブラマイシン、トスフロキサシン、トリメトプリム、トリメトプリム硫酸塩、トリスルファピリミジン、トロレアンドマイシン、硫酸トロスペマイシン、チロスリシン、バンコマイシン、バンコマイシン塩酸塩、バージニアマイシン、又はゾルバマイシン、などの抗菌剤を含み得る。
治療部分は、抗炎症剤を含み得る。
治療部分は、デキサメタゾン(Dex)を含み得る。
治療部分は、治療タンパク質を含み得る。例えば、一部の人々は、特定の酵素に欠損を有する(例えば、リソソーム蓄積症)。そのような酵素/タンパク質は、本明細書に開示される環状細胞透過性ペプチド(cCPP)に酵素/タンパク質を連結することによってヒト細胞に送達することができる。本開示のcCPPは、タンパク質(例えば、GFP、PTP1B、アクチン、カルモジュリン、トロポニンC)で試験され、機能することがわかっている。
治療部分は、抗感染薬であり得る。「抗感染薬」という用語は、感染性病原体を死滅させる、阻害する、又はそうでなければその増殖を遅らせることができる薬剤を指す。「感染性因子」という用語は、病原性微生物例えば、細菌、ウイルス、真菌、及び細胞内寄生生物又は細胞外寄生生物を指す。感染症は感染因子によって引き起こされるので、抗感染薬を用いて感染症を治療することができる。
感染因子はグラム陰性細菌であり得る。グラム陰性細菌は、Escherichia、Proteus、Salmonella、Klebsiella、Providencia、Enterobacter、Burkholderia、Pseudomonas、Acinetobacter、Aeromonas、Haemophilus、Yersinia、Neisseria、Erwinia、Rhodopseudomonas及びBurkholderiaから選択される属のものであり得る。感染因子は、グラム陽性菌であり得る。グラム陽性菌は、Lactobacillus、Azorhizobium、Streptococcus、Pediococcus、Photobacterium、Bacillus、Enterococcus、Staphylococcus、Clostridium、Butyrivibrio、Sphingomonas、Rhodococcus及びStreptomycesから選択される属のものであり得る。感染因子は、マイコバクテリウム属の抗酸菌、例えば、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、ウシ型結核菌(Mycobacterium bovis)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)及びライ菌(Mycobacterium leprae)であり得る。感染因子は、ノカルジア属のものであり得る。感染因子は、以下の種、ノカルディア・アステロイデス(Nocardia asteroides)、ノカルディア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)、ノカルジア・ブラジリエンシス(Nocardia brasiliensis)及びノカルジア・キャビエ(Nocardia caviae)のいずれか1つから選択することができる。
感染因子は真菌であり得る。真菌は、ムコール(Mucor)属由来であり得る。真菌は、Crytococcus属由来であり得る。真菌は、カンジダ(Candida)属由来であり得る。真菌は、Mucor racemosus、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、Crytococcus neoformans、又はアスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)のいずれか1つから選択することができる。
感染因子は原生動物であり得る。原生動物は、プラスモジウム(Plasmodium)属(例えば、P.falciparum、P.vivax、P.ovale、又はP.malariae)のものであり得る。原虫はマラリアを引き起こす。
例示的な生物としては、バチルス(Bacillus)、バルトネラ(Bartonella)、ボルデテラ(Bordetella)、ボレリア(Borrelia)、ブルセラ(Brucella)、キャンピロバクター(Campylobacter)、クラミディア(Chlamydia)、クラミドフィラ(Chlamydophila)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、レクレルシア(Escherichia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィラス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピラ(Leptospira)、リステリア(Listeria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、マイコプラズマ(Mycoplasma)、ナイセリア(Neisseria)、シュードモナス(Pseudomonas)、リケッチア(Rickettsia)、サルモネラ(Salmonella)、シゲラ(Shigella)、スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、トレポネーマ(Treponema)、ウレアプラズマ(Ureaplasma)、ビブリオ(Vibrio)、及びエルシニア(Yersinia)が挙げられる。
感染因子は、寄生生物であり得る。寄生生物は、クリプトスポリジウム(cryptosporidium)であり得る。寄生生物は、内部寄生生物であり得る。内部寄生生物は、イヌ糸状虫、サナダムシ、又は扁形動物であり得る。寄生生物は、epiparasiteであり得る。寄生生物は、acanthamoebiasis、バベシア症、バランチジウム症、blastocystosis、コクシジウム症、アメーバ赤痢、ジアルジア症、イソスポリア症、cystosporiasis、リーシュマニア症、一次アメーバ髄膜脳炎、マラリア、ライノウイルス症、トキソプラズマ症、トリコモナス症、トリパノソーマ、シャーガス病、又は疥癬から選択される病気を引き起こす。
感染因子は、ウイルスであり得る。ウイルスの非限定的な例としては、突発性急性呼吸器コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、突発性急性呼吸器コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器ウイルス(MERS)、インフルエンザ、C型肝炎ウイルス、デングウイルス、西ナイルウイルス、エボラウイルス、B型肝炎、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、単純ヘルペス、帯状ヘルペス、及びラッサウイルスが挙げられる。
抗感染剤は、抗ウイルス剤であり得る。抗ウイルス剤の非限定的な例としては、ヌクレオシド又はヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(例えば、ジドブジン(AZT)、ジダノシン(ddl)、ザルシタビン(ddC)、スタブジン(d4T)、ラミブジン(3TC)、エムトリシタビン、コハク酸アバカビル、エルブシタビン、アデホビルジピボキシル、ロブカビル(BMS-180194)、ロデノシン(FddA)、及びテノホビル(テノホビルジソプロキシル及びテノホビルジソプロキシルフマル酸塩など))、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(例えば、ネビラピン、デラビラジン、エファビレンツ、エトラビリン及びリルピビリン)、プロテアーゼ阻害剤(例えば、リトナビル、チプラナビル、サキナビル、ネルフィナビル、インジナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、アタザナビル、ロピナビル、ダルナビル(TMC-114)、ラサナビル及びブレカナビル(VX-385))、細胞侵入阻害剤(例えば、CCR5アンタゴニスト(例えば、マラビロク、ビクリビロク、INCB9471及びTAK-652)及びCXCR4アンタゴニスト(AMD-11070))、融合阻害剤(例えば、エンフビルチド)、インテグラーゼ阻害剤(例えば、ラルテグラビル、BMS-707035及びエルビテグラビル)、Tat阻害剤(例えば、ジデヒドロコルチスタチンA(dCA))、成熟阻害剤(例えば、berivimat)、免疫調節剤(例えば、レバミゾール)、及び、他の抗ウイルス剤(例えば、ヒドロキシ尿素、リバビリン、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン12(IL-12)、pensafuside、ペラミビル、ザナミビル、オセルタミビルリン酸塩、baloxavir marboxil)、が挙げられる。
抗感染薬は、抗生物質であり得る。抗生物質の非限定的な例としては、アミノグリコシド(例えば、アミカシン、ゲンタミシン、カナマイシン、ネオマイシン耐性、ネチルマイシン、ストレプトマイシ及びトブラマイシン)、cabecephem類(例えば、ロラカルベフ)、カルバペネム類(例えば、エルタペネム、イミペネム/シラスタチン及びメロペネム)、セファロスポリン類(例えば、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファクロル、セファマンドール、セファレキシン、セフォキシチン、セフプロジル、セフロキシム、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフチゾキシム、セフトリアキソン及びセフェピム)、マクロライド類(例えば、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン及びトロレアンドマイシン)、モノバクタム、ペニシリン類(例えば、アモキシリン、アンピシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン及びチカルシリン)、ポリペプチド類(例えば、バシトラシン、コリスチン及びポリミキシンB)、キノロン類(例えば、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン及びトロバフロキサシン)、スルホンアミド類(例えば、マフェニド、スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファサラジン、スルフイソキサゾール及びトリメトプリム-スルファメトキサゾール)、テトラサイクリン類(例えば、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、オキシテトラサイクリン及びテトラサイクリン)、及びバンコマイシン、が挙げられる。抗感染薬は、ステロイド性抗炎症薬であり得る。ステロイド系抗炎症剤の非限定的な例としては、フルオシノロン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、ジフルコルトロン、フルチカゾン、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、モメタゾン、メチルプレドニソロン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、クロベタゾール、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、ブデゾニド、及びデキサメタゾンが挙げられる。抗感染薬は、非ステロイド性抗炎症薬であり得る。非ステロイド系抗炎症剤の非限定的な例としては、セロコキシブ、ニメスリド、ロフェコキシブ、メクロフェナム酸、メクロフェナム酸ナトリウム、フルニキシン、フルプロフェン、フルルビプロフェン、スリンダク、メロキシカム、ピロキシカム、エトドラク、フェノプロフェン、フェンブプロフェン、ケトプロフェン、スプロフェン、ジクロフェナック、ブロムフェナクナトリウム、フェニルブタゾン、サリドマイド及びインドメタシンが挙げられる。
抗感染薬は、抗真菌薬であり得る。抗真菌剤の非限定的な例としては、アンホテリシンB、カスポファンギン、フルコナゾール、フルシトシン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、アムロールフィン、ブテナフィン、ナフチフィン、テルビナフィン、エルビオール、エコナゾール、エノキソール、イトラコナゾール、イソコナゾール、イミダゾール、ミコナゾール、スルコナゾール、クロトリマゾール、エニルコナゾール、オキシコナゾール、チオコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チアベンダゾール、ボリコナゾール、サペルコナゾール、セルタコナゾール、フェンチコナゾール、ポサコナゾール、ビフォナゾール、フルトリマゾール、ナイスタチン、ピマリシン、ナタマイシン、トルナフタート、マフェニド、ダプソン、actofunicone、グリセオフルビン、ヨウ化カリウム、クリスタルバイオレット、シクロピロックス、シクロピロクスオラミン、ハロプロジン、ウンデシレネート、スルファジアジン銀、ウンデシレン酸、ウンデシレン酸アルカノールアミド、及びカルボール-フクシンが挙げられる。
治療部分は、鎮痛剤又は痛み緩和剤であり得る。鎮痛剤又は鎮痛剤の非限定的な例としては、アスピリン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、プロカイン、リドカイン、テトラカイン、ジブカイン、ベンゾカイン、p-ブチルアミノ安息香酸2-(ジエチルアミノ)エチルエステルHCI、メピバカイン、ピペロカイン、及びジクロニンが挙げられる。
治療部分は、抗体又は抗原結合性フラグメントであり得る。抗体及び抗原結合性フラグメントは、ヒト、マウス、ラクダ科動物(例えば、ラクダ、アルパカ、ラマ)、ラット、有蹄動物、又は非ヒト霊長類(例えば、サル、アカゲザル)などの任意の適切な供給源に由来し得る。
更に、本明細書に記載される抗感染薬及び他の治療部分を含むカーゴは、それらの可能な塩を含み、その薬学的に許容される塩は、治療用途に特に関連することを理解すべきである。塩としては、酸付加塩及び塩基性塩が挙げられる。酸付加塩の例は、塩酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩などである。塩基性塩の例は、(残りの)対イオンが、ナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属、カルシウム塩、カリウム塩などのアルカリ土類金属、及びアンモニウムイオン(+N(R’)4(式中、R’は、独立して、任意選択で置換されるC1~6-アルキル、任意選択で置換されるC2~6-アルケニル、任意選択で置換されるアリール、又は任意選択で置換されるヘテロアリールを指す))から選択される塩類である。
治療部分は、オリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物(AC)であり得る。オリゴヌクレオチドとしては、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、免疫刺激核酸、アンタゴmir、アンチmir、マイクロRNA模倣物、スーパーmir、Ulアダプター、CRISPR機構及びアプタマーを挙げることができるが、これらに限定されない。「アンチセンスオリゴヌクレオチド」又は単に「アンチセンス」という用語は、標的ポリヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドを含むことを意味する。デュシェンヌ型筋ジストロフィーを治療するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの非限定的な例は、米国特許出願公開第2019/0365918号明細書、米国特許出願公開第2020/0040336号明細書、米国特許第9,499,818号明細書、及び米国特許第9,447,417号明細書に見られ、これらは各々、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
治療部分は、以下の疾患:神経筋疾患、ポンペ病、β-サラセミア、ジストロフィン神戸、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、ベッカー型筋ジストロフィー、糖尿、アルツハイマー疾患、がん、嚢胞性繊維症、メロシン欠損先天性筋ジストロフィー1A型(MDC1A)、近位脊髄性筋萎縮症(SMA)、ハンチントン舞踏病、ハンチントン舞踏病様2(HDL2)、筋緊張性ジストロフィー、脊髄小脳変性症、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)、筋萎縮性側索硬化症、前頭側頭型認知症、脆弱X症候群、脆弱X精神遅滞1(FMR1)、脆弱X精神遅滞2(FMR2)、脆弱XE精神遅滞(FRAXE)、フリードライヒ運動失調症(FRDA)、脆弱X関連振せん/運動失調症候群(FXTAS)、ミオクローヌスてんかん、眼筋咽頭型筋ジストロフィー(OPMD)、症候性又は非症候性X連鎖精神遅滞、筋緊張性ジストロフィー、筋緊張性ジストロフィー1型、筋緊張性ジストロフィー2型、てんかん、ドラベ症候群、又はアルツハイマー疾患のいずれか1つを治療するために使用することができる。治療部分は、グリオーマ、急性骨髄白血病、甲状腺がん、肺がん、結腸直腸がん、頭頸部がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、尿路上皮がん、前立腺がん、精巣がん、乳がん、子宮頸がん、子宮内膜がん、卵巣がん、又はメラノーマから選択されるがんを治療するために使用することができる。治療部分は、眼疾患を治療するために使用することができる。眼疾患の非限定的な例としては、屈折異常、黄斑変性症、白内障症、糖尿病性網膜症、緑内症、弱視、又は斜視が挙げられる。
治療部分は、標的化部分を含み得る。標的部分は、例えば、1つ以上の酵素ドメインを標的化し得るアミノ酸の配列を含み得る。標的化部分は、疾患、例えば、がん、嚢胞性線維症、糖尿病、肥満、又はそれらの組み合わせにおいて役割を果たすことができる酵素に対する阻害剤を含み得る。標的化部分は、以下の遺伝子:FMR1、AFF2、FXN、DMPK、SCA8、PPP2R2B、ATN1、DRPLA、HTT、AR、ATXN1、ATXN2、ATXN3、CACNA1A、ATXN7、TBP、ATP7B、HTT、SCN1A、BRCA1、LAMA2、CD33、VEGF、ABCA4、CEP290、RHO、USH2A、OPA1、CNGB3、PRPF31、GYS1、又はRPGRの1つ以上を標的化する。治療部分は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2019/0365918号明細書に記載されているアンチセンス化合物(AC)であり得る。例えば、標的化部分は、表7に列挙する配列のいずれかを含み得る。
*Fpa,Σ:L-4-フルオロフェニルアラニン;Pip、θ:L-ホモプロリン;Nle、Ω:L-ノルロイシン;Phg、ΨL-フェニルグリシン;F
2Pmp,Λ:L-4-(ホスホノジフルオロメチル)フェニルアラニン;Dap、L-2,3-ジアミノプロピオン酸;Nal,Φ’:L-β-ナフチルアラニン;Pp、θ:L-ピペコリン酸;Sar、Ξ:サルコシン;Tm、トリメシン酸。
標的化部分と細胞透過性ペプチドは重複し得る。すなわち、細胞透過性ペプチドを形成する残基は、同じく標的化部分を形成する配列の一部である場合があり、逆もまた同様である。
治療部分は、細胞透過性ペプチドの任意のアミノ酸のアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖で(例えば、cCPPのアミノ基、カルボキシレート基、又は側鎖若しくはアミノ酸のいずれかで)細胞透過性ペプチドに結合することができる。治療部分は、検出可能部分に結合され得る。
治療部分は、Ras(例えば、K-Ras)、PTP1B、Pin1、Grb2 SH2、CAL PDZなど、又はそれらの組み合わせに対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る。
Rasは、ヒトにおいてRAS遺伝子によってコードされるタンパク質である。正常なRasタンパク質は正常な組織シグナル伝達において必須の機能を果たし、Ras遺伝子の変異は多くのがんの発生に関与している。Rasは分子オン/オフスイッチとして作用することができ、オンになると、Rasは増殖因子及び他の受容体のシグナルの伝播に必要なタンパク質を動員し、活性化する。Rasの変異型は、肺がん、結腸がん、膵臓がん、及び種々の白血病などの様々ながんに関与している。
タンパク質-チロシンホスファターゼ1B(PTP1B)は、PTPスーパーファミリーの原型メンバーであり、真核細胞シグナル伝達中に多くの役割を果たす。PTP1Bは、インスリンシグナル伝達経路の負の調節因子であり、特に、II型糖尿病の治療のための有望な治療標的の候補と考えられている。PIP1Bは、乳がんの発症にも関与している。
Pin1は、タンパク質のサブセットに結合し、タンパク質機能の調節においてリン酸化後制御としての役割を果たす酵素である。Pin1活性は、プロリン指向性キナーゼシグナル伝達の結果を調節することができ、その結果、細胞増殖及び細胞生存を調節することができる。Pin1の調節解除は、様々な疾患において役割を果たし得る。Pin1の上方制御は特定のがんに関与し得、Pin1の下方制御はアルツハイマー病に関与し得る。Pin1の阻害剤は、がん及び免疫障害の治療的との関連を有し得る。
Grb2は、シグナル伝達及び細胞コミュニケーションに関与するアダプタータンパク質である。Grb2タンパク質は、チロシンリン酸化配列に結合することができる1つのSH2ドメインを含む。Grb2は広く発現されており、複数の細胞機能に必須である。Grb2機能の阻害は、発生過程を損なう可能性があり、様々な細胞型の形質転換及び増殖を遮断する可能性がある。
近年、嚢胞性繊維症(CF)患者において変異した塩素イオンチャネルタンパクである嚢胞性繊維症膜コンダクタンス調節因子(CFTR)の活性が、CFTR関連リガンド(CAL)によってそのPDZドメイン(CAL-PDZ)を介して負に調節されることが報告された(Wolde,M et al.Biol.Chem.2007,282,8099)。CFTR/CAL-PDZ相互作用の阻害は、CFTR変異の最も一般的な形態であるΔPhe508-CFTRの活性を改善することがわかっており(Cheng,SH et al.Cell 1990,63,827、Kerem,BS et al.Science 1989,245,1073)、それは、そのプロテアソーム媒介分解を低減することによる(Cushing,PR et al.Angew.J.Chem.Int.Ed.2010,49,9907)。したがって、有効量の本明細書に開示される化合物又は組成物を投与することによって、嚢胞性線維症を有する対象を治療するための方法が本明細書に開示される。対象に投与される本化合物又は組成物は、CAL PDZに対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る治療部分を含み得る。また、本明細書に開示される組成物又は組成物は、CFTR機能を修正する分子と共に投与され得る。
治療部分は、アミノ基若しくはカルボキシレート基で、又は環状ペプチドのアミノ酸のいずれかの側鎖で(例えば、環状ペプチドのアミノ酸の側鎖上のアミノ基又はカルボキシレート基で)環状ペプチドに結合することができる。いくつかの例において、治療部分は、検出可能部分に結合され得る。
本明細書に記載の化合物を含む組成物も本明細書に開示される。
本開示の化合物の薬学的に許容される塩及びプロドラッグも本明細書に開示される。薬学的に許容される塩は、本化合物上に見出される特定の置換基に応じて、酸又は塩基を用いて調製される本開示の化合物の塩を含む。本明細書に開示される化合物が、安定な非毒性の酸性塩又は塩基性塩を形成するのに十分に塩基性又は酸性である条件下では、本化合物を塩として投与することが適切な場合がある。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、又はマグネシウム塩が挙げられる。生理学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、炭酸、硫酸や、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、フマル酸、マンデル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、アスコルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸、アルファ-糖リン酸、マレイン酸、トシル酸、メタンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。したがって、本明細書に開示されるのは、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、アスコルビン酸塩、アルファ-ケトグルタル酸塩、アルファ-グリコリン酸塩、マレイン酸塩、トシル酸塩、及びメシル酸塩である。本化合物の薬学的に許容される塩は、当該分野で周知の標準的な手順を使用して(例えば、アミンのような十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容されるアニオンを与える適切な酸と反応させることによって)得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)塩又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製することができる。
治療部分は、治療ポリペプチド、オリゴヌクレオチド又は小分子を含み得る。治療用ポリペプチドは、ペプチド阻害剤を含み得る。治療用ポリペプチドは、目的の標的に特異的に結合する結合試薬を含み得る。結合試薬は、目的の標的に特異的に結合する抗体又はその抗原結合性フラグメントを含み得る。抗原結合性フラグメントは、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fvフラグメント、miniボディ、ダイアボディ、ナノボディ、単一ドメイン抗体(dAb)、一本鎖可変フラグメント(scFv)、又は多重特異性抗体を含み得る。
オリゴヌクレオチドは、アンチセンス化合物(AC)を含み得る。ACは、目的のタンパク質標的をコードする標的ヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列を含み得る。
治療部分(TM)は、cCPPのアミノ酸の化学的に反応性の側鎖にコンジュゲートされ得る。共有結合を形成することができるか、又はそのように修飾され得るcCPP上の任意のアミノ酸側鎖を用いて、TMをcCPPに連結することができる。cCPP上のアミノ酸は、天然又は非天然アミノ酸であり得る。化学反応性側鎖は、アミン基、カルボン酸、アミド、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、グアニジニル基、フェノール基、チオエーテル基、イミダゾリル基、又はインドリル基を含み得る。TMがコンジュゲートされるcCPPのアミノ酸には、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、アルギニン、チロシン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン又はそれらの類似体が含まれ得る。TMをコンジュゲートするために使用されるcCPP上のアミノ酸は、オルニチン、2,3-ジアミノプロピオン酸、又はその類似体であり得る。アミノ酸は、リジン又はその類似体であり得る。アミノ酸は、グルタミン酸又はその類似体であり得る。アミノ酸は、アスパラギン酸又はその類似体であり得る。側鎖は、TMへの結合又はリンカーで置換され得る。
TMは治療用ポリペプチドを含み得、cCPPは治療用ポリペプチドのアミノ酸の化学反応性側鎖にコンジュゲートされ得る。共有結合を形成することができるか、又はそのように修飾され得るTM上の任意のアミノ酸側鎖を用いて、cCPPをTMに連結することができる。TM上のアミノ酸は、天然又は非天然アミノ酸であり得る。化学反応性側鎖は、アミン基、カルボン酸、アミド、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、グアニジニル基、フェノール基、チオエーテル基、イミダゾリル基、又はインドリル基を含み得る。cCPPがコンジュゲートされるTMのアミノ酸には、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、アルギニン、チロシン、メチオニン、ヒスチジン、トリプトファン又はそれらの類似体が含まれ得る。cCPPをコンジュゲートするために使用されるTM上のアミノ酸は、オルニチン、2,3-ジアミノプロピオン酸、又はその類似体であり得る。アミノ酸は、リジン又はその類似体であり得る。アミノ酸は、グルタミン酸又はその類似体であり得る。アミノ酸は、アスパラギン酸又はその類似体であり得る。TMの側鎖は、cCPPへの結合又はリンカーで置換することができる。
TMは、オリゴヌクレオチドの5’又は3’末端がcCPPのアミノ酸の化学反応性側鎖にコンジュゲートされているオリゴヌクレオチドを含むアンチセンス化合物(AC)であり得る。ACは、ACの5’又は3’末端上の部分を介してcCPPに化学的にコンジュゲートされ得る。cCPPの化学反応性側鎖は、アミン基、カルボン酸、アミド、ヒドロキシル基、スルフヒドリル基、グアニジニル基、フェノール基、チオエーテル基、イミダゾリル基、又はインドリル基を含み得る。ACがコンジュゲートされるcCPPのアミノ酸には、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、アルギニン、チロシン、メチオニン、ヒスチジン、又はトリプトファンが含まれ得る。ACがコンジュゲートされるcCPPのアミノ酸は、リジン又はシステインを含み得る。
オリゴヌクレオチド
本化合物は、治療部分としてアンチセンス化合物(AC)にコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)を含み得る。ACは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、マイクロRNA、アンタゴmir、アプタマー、リボザイム、免疫刺激性オリゴヌクレオチド、デコイオリゴヌクレオチド、スーパーmir、miRNA模倣物、miRNA阻害剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチド
治療部分は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。「アンチセンスオリゴヌクレオチド」又は単に「アンチセンス」という用語は、標的ポリヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドを指す。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、選択された配列、例えば、標的遺伝子mRNAに相補的なDNA又はRNAの一本鎖を含み得る。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸とのアンチセンスオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを介して、タンパク質の転写、翻訳、並びに発現及び機能のうちの1つ以上の態様を調節し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的配列へのハイブリダイゼーションは、標的タンパク質の発現を抑制することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的配列へのハイブリダイゼーションは、1つ以上の標的タンパク質アイソフォームの発現を抑制することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的配列へのハイブリダイゼーションは、標的タンパク質の発現を上方制御することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドのその標的配列へのハイブリダイゼーションは、標的タンパク質の発現を下方制御することができる。
アンチセンス化合物は、相補的mRNAに結合することによって遺伝子発現を阻害することができる。標的mRNAへの結合は、それに結合することによって相補的mRNA鎖の翻訳を妨げることによって、又は標的mRNAの分解をもたらすことによって、遺伝子発現の阻害をもたらし得る。アンチセンスDNAを使用して、特定の相補的(コード又は非コード)RNAを標的化することができる。結合が起こる場合、このDNA/RNAハイブリッドは、酵素RNase Hによって分解され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10から約50ヌクレオチド、約15から約30ヌクレオチド、又は約20から約25ヌクレオチドを含み得る。この用語はまた、所望の標的遺伝子に完全に相補的でなくてもよいアンチセンスオリゴヌクレオチドを包含する。したがって、本明細書に開示される化合物は、非標的特異的活性がアンチセンスで見出される場合、又は標的配列との1つ以上のミスマッチを含むアンチセンス配列が所望される場合に利用することができる。
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タンパク質合成の有効かつ標的化された阻害剤であることが実証されており、したがって、標的遺伝子によるタンパク質合成を特異的に阻害するために使用され得る。タンパク質合成を阻害するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドの有効性は十分に証明されている。
アンチセンスオリゴヌクレオチドを産生する方法は、当該分野で公知であり、目的の任意のポリヌクレオチド配列を標的化するアンチセンスオリゴヌクレオチドを産生するために容易に適合させることができる。所与の標的配列に特異的なアンチセンスオリゴヌクレオチド配列の選択は、選択された標的配列の分析と、二次構造、Tm、結合エネルギー及び相対安定性の決定とに基づく。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、宿主細胞における標的mRNAへの特異的結合を減少させるか又は妨げる二量体、ヘアピン又は他の二次構造を形成することが相対的に不可能であることに基づいて選択され得る。mRNAの標的領域には、AUG翻訳開始コドン又はその付近の領域、及びmRNAの5’領域に実質的に相補的な配列が含まれる。これらの二次構造解析及び標的部位選択の検討は、例えば、OLIGOプライマー解析ソフトウェアのバージョン4(Molecular Biology Insights)及び/又はBLASTN 2.0.5アルゴリズムソフトウェア(Altschul et al,Nucleic Acids Res.1997,25(17):3389-402)を使用して行うことができる。
RNA干渉核酸
治療部分は、RNA干渉(RNAi)分子又は低分子干渉RNA分子であり得る。RNAi又はsiRNA分子を使用するRNA干渉法を使用して、目的の遺伝子又はポリヌクレオチドの発現を阻害することができる。
低分子干渉RNA(siRNA)は、RNAi誘導サイレンシング複合体(RISC)として知られる細胞質多タンパク質複合体と会合することができる、通常約16から約30ヌクレオチド長のRNA二本鎖である。siRNAがロードされたRISCは、相同なmRNA転写物の分解を媒介するので、siRNAは、高い特異性でタンパク質発現をノックダウンするように設計することができる。他のアンチセンス技術とは異なり、siRNAは、非コードRNAを介して遺伝子発現を制御するように進化した天然の機構を介して機能する。例えば、de Fougerolles,A.et al,Nature Reviews 6:443-453(2007)に記載されているように、臨床的に関連する標的を標的化するsiRNAなどの様々なRNAi試薬が、現在医薬開発中である。
最初に記載されたRNAi分子は、RNAセンス鎖とRNAアンチセンス鎖の両方を含むRNA:RNAハイブリッドであったが、今では、DNAセンス:RNAアンチセンスハイブリッド、RNAセンス:DNAアンチセンスハイブリッド、及びDNA:DNAハイブリッドは、RNAiを媒介することができることが立証されている(Lamberton,J.S.and Christian,A.T.,(2003)J.Molecular Biotechnology 24:111-119)。これらの異なるタイプの二本鎖分子のいずれかを含むRNAi分子を使用することができる。更に、RNAi分子は、様々な形態で使用され、細胞に導入され得ることが理解される。RNAi分子は、細胞においてRNAi応答を誘導することができるありとあらゆる分子、例えば、限定するものではないが、2本の別々の鎖(すなわちセンス鎖及びアンチセンス鎖)を含む二本鎖オリゴヌクレオチド(例えば、低分子干渉RNA(siRNA));非ヌクレオチジルリンカーによって互いに連結された2本の別個の鎖を含む二本鎖オリゴヌクレオチド;二本鎖領域を形成する相補的配列のヘアピンループを含むオリゴヌクレオチド(例えば、shRNAi分子)、及び、単独で又は別のポリヌクレオチドと組み合わせて二本鎖ポリヌクレオチドを形成することができる1つ以上のポリヌクレオチドを発現する発現ベクター、を包含することができる。
本明細書で使用される「一本鎖siRNA化合物」は、単一分子から構成されるsiRNA化合物である。それは、鎖内対合によって形成される二本鎖領域を含み得、例えば、それは、ヘアピン又はパンハンドル構造であるか、又はそれを含み得る。一本鎖siRNA化合物は、標的分子に関してアンチセンスであり得る。
一本鎖siRNA化合物は、RISCに入り、標的mRNAのRISC媒介性切断に関与することができるほど十分に長くてもよい。一本鎖siRNA化合物は、少なくとも約14、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、又は最大で約50のヌクレオチド長である。一本鎖siRNAは、約200未満、約100未満、又は約60未満のヌクレオチド長である。
ヘアピンsiRNA化合物は、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25の、又は、少なくとも約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24若しくは約25のヌクレオチド対の二重鎖領域を有し得る。二本鎖領域は、約200以下、約100以下、又は約50以下のヌクレオチド対長であり得る。二本鎖領域の範囲は、約15から約30、約17から約23、約19から約23、及び約19から約21のヌクレオチド対長である。ヘアピンは、一本鎖オーバーハング又は末端不対領域を有し得る。オーバーハングは、約2から約3ヌクレオチド長であり得る。オーバーハングは、ヘアピンのセンス側又はヘアピンのアンチセンス側にあり得る。
「二本鎖siRNA化合物」は、本明細書で使用される場合、鎖間ハイブリダイゼーションが二本鎖構造の領域を形成することができる2本以上の(場合によっては2本の)鎖を含むsiRNA化合物である。
二本鎖siRNA化合物のアンチセンス鎖は、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、若しくは60の、又は、少なくとも約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約25、約30、約40、若しくは約60のヌクレオチド長であり得る。それは、約200以下、約100以下、又は約50以下のヌクレオチド長であり得る。範囲は、約17から約25、約19から約23、及び約19から約21のヌクレオチド長であり得る。本明細書で使用される場合、「アンチセンス鎖」という用語は、標的分子(例えば、標的RNA)に十分に相補的であるsiRNA化合物の鎖を意味する。
二本鎖siRNA化合物のセンス鎖は、長さが少なくとも約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約25、約30、約40、又は約60のヌクレオチドであり得る。それは、約200以下、約100以下、又は約50以下のヌクレオチド長であり得る。範囲は、約17から約25、約19から約23、及び約19から約21のヌクレオチド長であり得る。
二本鎖siRNA化合物の二本鎖部分は、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、40、若しくは60の、又は、少なくとも約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約30、約40、又は約60のヌクレオチド対長であり得、それは、約200以下、約100以下、又は約50のヌクレオチド対長であり得る。範囲は、約15から約30、約17から約23、約19から約23、及び約19から約21のヌクレオチド対長であり得る。
siRNA化合物は、内因性分子によって(例えば、Dicerによって)切断されて、より小さいsiRNA化合物(例えば、siRNA剤)を産生することができるほど十分に大きくてもよい。
センス鎖及びアンチセンス鎖は、二本鎖siRNA化合物が分子の一端又は両端に一本鎖又は不対領域を含むように選択することができる。したがって、二本鎖siRNA化合物は、オーバーハング、例えば、1若しくは2個の5’若しくは3’オーバーハング、又は1から3個のヌクレオチドの3’オーバーハングを含有するように対合されたセンス鎖及びアンチセンス鎖を含有し得る。オーバーハングは、一方の鎖が他方の鎖よりも長いことの結果であり得、又は同じ長さの2個の鎖がずれていることの結果であり得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの3’オーバーハングを有することができる。実施形態では、siRNA分子の両末端は、3’オーバーハングを有することができる。オーバーハングは、2個のヌクレオチドであり得る。
二重鎖化領域の長さは、約15から約30、又は約18、約19、約20、約21、約22、又は約23のヌクレオチド長、例えば、上記のssiRNA(粘着性オーバーハングを有するsiRNA)化合物の範囲であり得る。ssiRNA化合物は、長さが類似する場合があり、長いdsiRNAからの天然のDicer処理産物を構築することができる。ssiRNA化合物の2本の鎖が連結される(例えば、共有結合される)実施形態も含まれる。ヘアピン、又は二本鎖領域を提供する他の一本鎖構造、及び3’オーバーハングが含まれる。
本明細書に記載されるsiRNA化合物、例えば、二本鎖siRNA化合物や一本鎖siRNA化合物は、標的RNA、例えばmRNA、例えばタンパク質をコードする遺伝子の転写物のサイレンシングを媒介することができる。本明細書では、便宜上、このようなmRNAはまた、サイレンシングされるmRNAとも呼ばれる。このような遺伝子は、標的遺伝子とも呼ばれる。一般に、サイレンシングされるRNAは内因性遺伝子である。
本明細書で使用される場合、「RNAiを媒介する」という語句は、配列特異的な態様で、標的RNAをサイレンシングする能力をいう。理論に束縛されることを望むものではないが、サイレンシングは、RNAi機構又はプロセス及びガイドRNA、例えば、約21から約23ヌクレオチドのssiRNA化合物を使用すると考えられる。
標的RNA(例えば標的mRNA)に「十分に相補的」であるsiRNA化合物は、標的mRNAによってコードされるタンパク質の産生をサイレンシングすることができる。目的のタンパク質をコードするRNAに「十分に相補的」であるsiRNA化合物は、mRNAによってコードされる目的のタンパク質の産生をサイレンシングすることができる。siRNA化合物は、標的RNAに対して「正確に相補的」であり得、例えば、標的RNA及びsiRNA化合物がアニールして、例えば、厳密に相補的な領域においてワトソン-クリック塩基対のみからなるハイブリッドを形成する。「十分に相補的な」標的RNAは、標的RNAに厳密に相補的な(例えば、少なくとも約10ヌクレオチドの)内部領域を含み得る。実施形態では、siRNA化合物は、単一ヌクレオチドの差異を特異的に識別する。この場合、siRNA化合物は、厳密な相補性が単一ヌクレオチド差異の領域(例えば、その7ヌクレオチド以内)に見出される場合にのみRNAiを媒介する。
マイクロRNA
治療部分は、マイクロRNA分子であり得る。マイクロRNA(miRNA)は、植物及び動物のゲノム中のDNAから転写されるが、タンパク質に翻訳されない低分子RNA分子の高度に保存されたクラスである。プロセシングされたmiRNAは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に組み込まれる一本鎖17~25ヌクレオチド(nt)RNA分子であり、発生、細胞増殖、アポトーシス及び分化の重要な調節因子として同定されている。それらは、特定のmRNAの3’非翻訳領域に結合することによって遺伝子発現の調節において役割を果たすと考えられている。RISCは、翻訳阻害、転写切断、又はその両方を介して遺伝子発現の下方制御を媒介する。RISCはまた、様々な真核生物の核における転写サイレンシングにも関与している。
アンタゴmir
治療部分はアンタゴmirであり得る。アンタゴmirは、RNase保護及び薬理学的特性(例えば、組織及び細胞の取り込みの増強)のための様々な修飾を有するRNA様オリゴヌクレオチドである。それらは、例えば、糖の完全2’-0-メチル化、ホスホロチオエート骨格、及び、例えば、3’末端のコレステロール部分に関して、正常なRNAとは異なる。アンタゴmirは、アンタゴmir及び内因性miRNAを含む二重鎖を形成し、それによってmiRNA誘導性遺伝子サイレンシングを防止することによって、内因性miRNAを効率的にサイレンシングするために使用することができる。アンタゴmir媒介性miRNAサイレンシングの例は、Krutzfeldt et al.,Nature,2005,438:685-689(参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる)に記載されているmiR-122のサイレンシングである。アンタゴmirRNAは、標準的な固相オリゴヌクレオチド合成プロトコルを用いて合成することができる。米国特許出願第11/502,158号及び同第11/657,341号(これらの各々の開示は、参照により本明細書に取り込まれる)を参照されたい。
アンタゴmirは、リガンド結合モノマーサブユニット及びオリゴヌクレオチド合成のためのモノマーを含み得る。モノマーは、2004年8月10日に出願された米国特許出願第10/916,185号に記載されている。アンタゴmirは、2004年3月8日に出願されたPCT出願第PCT/US2004/07070号に記載されているようなZXY構造を有し得る。アンタゴmirは、両親媒性部分と複合体化され得る。オリゴヌクレオチド剤と共に使用するための両親媒性部分は、2004年3月8日に出願されたPCT出願第PCT/US2004/07070号に記載されている。
アプタマー
治療部分はアプタマーであり得る。アプタマーは、高い親和性及び特異性で目的の特定の分子に結合する核酸分子又はペプチド分子である(Tuerk and Gold,Science 249:505(1990);Ellington and Szostak,Nature 346:818(1990))。大きなタンパク質から小さな有機分子に至る多くの異なる実体に結合するDNAアプタマー又はRNAアプタマーが成功裏に産生されている。Eaton,Curr.Opin.Chem.Biol.1:10-16(1997),Famulok,Curr.Opin.Struct.Biol.9:324-9(1999)、及びにHermann and Patel,Science 287:820-5(2000)を参照されたい。アプタマーは、RNA又はDNAベースであってもよく、リボスイッチを含んでもよい。リボスイッチは、小標的分子に直接結合することができ、その標的の結合が遺伝子の活性に影響を及ぼすmRNA分子の一部である。したがって、リボスイッチを含むmRNAは、その標的分子の有無に応じて、それ自体の活性の調節に直接的に関与する。一般に、アプタマーは、小分子、タンパク質、核酸、更には細胞、組織及び生物などの様々な分子標的に結合するように、インビトロ選択、すなわち、SELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)の反復ラウンドを通して操作される。アプタマーは、合成法、組換え法、及び精製法をなどの任意の公知の方法によって調製することができ、単独で、又は同じ標的に特異的な他のアプタマーと組み合わせて使用することができる。更に、「アプタマー」という用語は、2つ以上の既知のアプタマーを所与の標的と比較することから導かれるコンセンサス配列を含有する「二次アプタマー」も含む。アプタマーは、細胞内標的を特異的に認識する「細胞内アプタマー」又は「intramer」であり得る。Famulok et al.,Chem Biol.2001,Oct,8(10):931-939、Yoon and Rossi,Adv Drug Deliv Rev.2018,Sep,134:22-35(各々参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
リボザイム
治療部分は、リボザイムであり得る。リボザイムは、エンドヌクレアーゼ活性を有する特定の触媒ドメインを有するRNA分子複合体である(Kim and Cech,Proc Natl Acad Sci U S A.1987 Dec;84(24):8788-92;Forster and Symons,Cell.1987 Apr 24;49(2):211-20)。例えば、多数のリボザイムは、高度の特異性でリン酸エステル転移反応を加速し、多くの場合、オリゴヌクレオチド基質中のいくつかのリン酸エステルのうちの1つのみを切断する(Cech et al.,Cell.1981 Dec;27(3 Pt 2):487-96、Michel and Westhof,J Mol Biol.1990 Dec 5;216(3):585-610、Reinhold-Hurek and Shub,Nature.1992 May 14;357(6374):173-6)。この特異性は、基質が化学反応の前に特異的塩基対合相互作用を介してリボザイムの内部ガイド配列(「IGS」)に結合するという要件に起因している。
天然に存在する酵素RNAの少なくとも6つの基本的な変種が現在知られている。各々は、生理学的条件下で、トランスのRNAホスホジエステル結合の加水分解を触媒することができる(したがって、他のRNA分子を切断することができる)。一般に、酵素的核酸は、最初に標的RNAに結合することによって作用する。このような結合は、標的RNAを切断するように作用する分子の酵素部分に近接して保持される酵素的核酸の標的結合部分を介して生じる。したがって、酵素的核酸は、まず標的RNAを認識し、次いで相補的塩基対形成を介して標的RNAに結合し、そして一旦正しい部位に結合すると、酵素的に作用して標的RNAを切断する。このような標的RNAの戦略的切断によって、コードされたタンパク質の合成を指示するその能力が破壊される。酵素的核酸がそのRNA標的に結合して切断した後、それは別の標的を探すためにそのRNAから放出され、新しい標的に繰り返し結合して切断することができる。
酵素的核酸分子は、例えば、ハンマーヘッド、ヘアピン、δ型肝炎ウイルス、グループIイントロン又はRNaseP RNA(RNAガイド配列と会合している)又はNeurospora VS RNAモチーフにおいて形成され得る。ハンマーヘッドモチーフの具体例は、Rossi et al.Nucleic Acids Res.1992 Sep 11;20(17):4559-65に記載されている。ヘアピンモチーフの例は、Hampelら(欧州特許出願公開第0360257号)、Hampel and Tritz,Biochemistry 1989 Jun 13;28(12):4929-33、Hampel et al,Nucleic Acids Res.1990 Jan 25;18(2):299-304及び米国特許第5,631,359号に記載されている。肝炎ウイルスモチーフの例は、Perrotta and Been,Biochemistry.1992 Dec 1;31(47):11843-52に記載されており、RNasePモチーフの例は、Guerrier-Takada et al,Cell.1983 Dec;35(3 Pt 2):849~57に記載されており、Neurospora VS RNAリボザイムモチーフは、Collins(Saville and Collins,Cell.1990 May 18;61(4):685-96、Saville and Collins,Proc Natl Acad Sci U S A.1991 Oct l;88(19):8826-30;Collins and Olive,Biochemistry.1993 Mar 23;32(11):2795-9)に記載されており、グループIイントロンの例は、米国特許第4,987,071号に記載されている。酵素核酸分子は、標的遺伝子DNA又はRNA領域の1つ以上に相補的な特異的基質結合部位を有することができ、その基質結合部位内又はその周囲に、RNA切断活性を分子に付与するヌクレオチド配列を有する。したがって、リボザイム構築物は、本明細書で言及される特定のモチーフに限定される必要はない。
ポリヌクレオチド配列を標的とするリボザイムを産生する方法は当技術分野で公知である。リボザイムは、各々が参照により本明細書に具体的に組み込まれる国際公開第93/23569号及び国際公開第94/02595号に記載されるように設計し、これらに記載されているように合成してインビトロ及びインビボで試験することができる。
リボザイム活性は、リボザイム結合アームの長さを変化させるか、又は血清リボヌクレアーゼによるそれらの分解を防止する修飾を有するリボザイムを化学的に合成することによって増加させることができる(例えば、国際公開第92/07065号、国際公開第93/15187号、国際公開第91/03162、欧州特許出願公開第92110298.4号、米国特許第5,334,711号、及び米国特許第94/13688号(酵素RNA分子の糖部分に対して行うことができる様々な化学修飾、細胞におけるそれらの有効性を増強する修飾、及びRNA合成時間を短縮し、化学的必要条件を減らすためのステムΠ塩基の除去を記載する)を参照されたい)。
免疫刺激性オリゴヌクレオチド
治療部分は、免疫刺激性オリゴヌクレオチドであり得る。免疫刺激性オリゴヌクレオチド(ISS;一本鎖又は二本鎖)は、哺乳動物又は他の患者であり得る患者に投与された場合に免疫応答を誘導することができる。ISSは、例えば、ヘアピン二次構造をもたらす特定のパリンドローム(Yamamoto S.,et al.(1992)J.Immunol.148:4072-4076を参照されたい)、又はCpGモチーフ、並びに他の公知のISS特徴(例えば、マルチGドメイン、国際公開第96/11266号を参照されたい)を含む。
免疫応答は、自然免疫応答又は適応免疫応答であり得る。免疫系は、より自然な免疫系と、脊椎動物の獲得適応免疫系とに分けられ、後者は更に体液性細胞成分に分けられる。免疫応答は粘膜性であり得る。
免疫刺激核酸は、免疫応答を誘発するために標的ポリヌクレオチドに特異的に結合し、その発現を減少させることが必要とされない場合、非配列特異的であると考えられる。したがって、特定の免疫刺激核酸は、天然に存在する遺伝子又はmRNAの領域に対応する配列を含み得るが、それらは依然として、非配列特異的免疫刺激核酸とみなされ得る。
免疫刺激性核酸又はオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含み得る。オリゴヌクレオチド又はCpGジヌクレオチドは、メチル化されていなくてもよく、メチル化されていてもよい。免疫刺激性核酸は、メチル化シトシンを有する少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含み得る。核酸は、単一のCpGジヌクレオチドを含み得、当該CpGジヌクレオチド中のシトシンはメチル化されている。核酸は、配列5’TAACGTTGAGGG’CAT 3’を含み得る。核酸は、少なくとも2個のCpGジヌクレオチドを含み得、CpGジヌクレオチド中の少なくとも1つのシトシンはメチル化されている。配列中に存在するCpGジヌクレオチド中の各シトシンはメチル化することができる。核酸は、複数のCpGジヌクレオチドを含み得、当該CpGジヌクレオチドの少なくとも1つはメチル化シトシンを含む。
本組成物及び方法における使用に適したオリゴヌクレオチド(ODN)の更なる特定の核酸配列は、Raney et al,Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics,298:1185-1192(2001)に記載されている。本組成物及び方法において使用されるODNは、ホスホジエステル(「PO」)骨格若しくはホスホロチオエート(「PS」)骨格、及び/又はCpGモチーフ中の少なくとも1つのメチル化シトシン残基を有し得る。
デコイオリゴヌクレオチド
治療部分は、デコイオリゴヌクレオチドであり得る。転写因子は、それらの比較的短い結合配列を認識するので、周囲のゲノムDNAが存在しない場合でも、特定の転写因子のコンセンサス結合配列を有する短いオリゴヌクレオチドは、生細胞における遺伝子発現を操作するためのツールとして使用され得る。この戦略は、そのような「デコイオリゴヌクレオチド」の細胞内送達を含み、次いで標的因子によって認識され結合される。転写因子のDNA結合部位がデコイによって占有されると、転写因子はその後標的遺伝子のプロモーター領域に結合することができなくなる。デコイは、転写因子によって活性化される遺伝子の発現の阻害、又は転写因子の結合によって抑制される遺伝子の上方制御のいずれかのために、治療剤として使用することができる。デコイオリゴヌクレオチドの利用の例は、Mann et al.,J.Clin.Invest,2000,106:1071-1075に見出すことができ、これは参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
スーパーmir
治療部分は、スーパーmirであり得る。スーパーmirは、miRNAと実質的に同一であり、その標的に対してアンチセンスであるヌクレオチド配列を有する、リボ核酸(RNA)若しくはデオキシリボ核酸(DNA)若しくはその両方の一本鎖、二本鎖若しくは部分的に二本鎖のオリゴマー若しくはポリマー、又はそれらの修飾物を指す。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖及び共有ヌクレオシド間(骨格)結合から構成され、同様に機能する少なくとも1つの天然に存在しない部分を含有するオリゴヌクレオチドを含む。そのような修飾又は置換オリゴヌクレオチドは、例えば、細胞取り込みの増強、核酸標的に対する親和性の増強、及びヌクレアーゼの存在下での安定性の増加などの望ましい特性を有する。スーパーmirは、センス鎖を含まない場合がある。スーパーmirは、かなりの程度まで自己ハイブリダイズしない場合がある。スーパーmirは二次構造を有し得るが、生理学的条件下では実質的に一本鎖である。実質的に一本鎖であるスーパーmirは、スーパーmirの約50%未満(例えば、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、又は約5%未満)がそれ自体と二本鎖化される程度に一本鎖である。スーパーmirは、ヘアピンセグメント(例えば、配列)を含み得、例えば、「3」末端で自己ハイブリダイズして、二重鎖領域(例えば、少なくとも約1、約2、約3、若しくは約4、個のヌクレオチドからなる、又は約8個未満、約7個未満、約6個未満、若しくは約5個未満のヌクレオチドからなる、又は約5個のヌクレオチドからなる二重鎖領域)を形成することができる。二重鎖化領域は、リンカー、例えば、ヌクレオチドリンカー、例えば、約3、約4、約5又は約6dTs、例えば、修飾dTsによって連結され得る。スーパーmirは、例えば、約5、約6、約7、約8、約9、又は約10ヌクレオチド長のより短いオリゴと、例えば、3’及び5’末端の一方若しくは両方で、又はスーパーmirの一方の末端及び非末端若しくは中央で二本鎖化することができる。
miRNA模倣物
治療部分は、miRNA模倣物であり得る。miRNA模倣物は、1つ以上のmiRNAの遺伝子サイレンシング能力を模倣するために使用することができる分子のクラスを表す。したがって、「マイクロRNA模倣物」という用語は、RNAi経路に入り、遺伝子発現を調節することができる合成非コードRNA(すなわち、miRNAは、内因性miRNAの供給源から精製によって得られない)を指す。miRNA模倣物は、成熟分子(例えば、一本鎖)又は模倣前駆体(例えば、以前のpre-miRNA)として設計することができる。miRNA模倣物は、限定されないが、RNA、修飾RNA、DNA、修飾DNA、ロックド核酸、若しくは2’-0,4’-C-エチレン架橋核酸(ENA)、又は上記の任意の組合せ(DNA-RNAハイブリッドを含む)を含むオリゴヌクレオチドなどの核酸(修飾又は修飾核酸)を含み得る。加えて、miRNA模倣物は、送達、細胞内区画化、安定性、特異性、機能性、鎖使用、及び/又は効力に影響を及ぼし得るコンジュゲートを含み得る。1つの設計において、miRNA模倣物は、二本鎖分子(例えば、約16~約31ヌクレオチド長の二本鎖領域を有する)であり、所与のmiRNAの成熟鎖と同一性を有する1つ以上の配列を含有する。修飾は、分子の一方又は両方の鎖上の2’修飾(2’-0メチル修飾及び2’F修飾を含む)、並びに核酸安定性及び/又は特異性を増強するヌクレオチド間修飾(例えば、ホスホロチオエート修飾)を含み得る。加えて、miRNA模倣物はオーバーハングを含み得る。オーバーハングは、いずれかの鎖の「3」又は5’末端のいずれかに約1から約6個のヌクレオチドを含み得、安定性又は機能性を高めるために修飾することができる。miRNA模倣物は、約16から約31個のヌクレオチドからなる二本鎖領域を含み得、以下の化学修飾パターンのうちの1つ以上を含み得る。すなわち、センス鎖は、(センスオリゴヌクレオチドの5’末端から数えて)ヌクレオチド1及び2の2’-0-メチル修飾、並びにC及びUの全てを含有し、アンチセンス鎖修飾は、C及びUの全ての2’F修飾、オリゴヌクレオチドの5’末端のリン酸化、並びに2ヌクレオチド3’オーバーハングに関連する安定化されたヌクレオチド間結合を含み得る。
miRNA阻害剤
治療部分は、miRNA阻害剤であり得る。「抗mir」、「マイクロRNA阻害剤」、「miR阻害剤」、又は「miRNA阻害剤」という用語は、同義であり、特定のmiRNAの能力に妨げるオリゴヌクレオチド又は修飾オリゴヌクレオチドを指す。一般に、阻害剤は、天然の核酸又は修飾核酸であり、例えば、RNA、修飾RNA、DNA、修飾DNA、ロックド核酸(LNA)、又は上記の任意の組み合わせなどのオリゴヌクレオチドである。
修飾には、送達、安定性、特異性、細胞内区画化、又は効力に影響を及ぼし得る2’修飾(2’-0アルキル修飾及び2’F修飾を含む)及びヌクレオチド間修飾(例えば、ホスホロチオエート修飾)が含まれる。加えて、miRNA阻害剤は、送達、細胞内区画化、安定性、及び/又は効力に影響を及ぼし得るコンジュゲートを含み得る。阻害剤は、一本鎖、二本鎖(RNA/RNA又はRNA/DNA二重鎖)、及びヘアピン設計などの様々な構成を採用することができ、一般に、マイクロRNA阻害剤は、標的とされるmiRNAの(1つ又は複数の)成熟鎖と相補的又は部分的に相補的である1つ以上の配列又は配列の一部を含み、更に、miRNA阻害剤は、成熟miRNAの逆相補体である配列に対して5’及び3’に位置する追加の配列も含み得る。追加の配列は、成熟miRNAが由来するpri-miRNA中の成熟miRNAに隣接する配列の逆相補体であってもよく、又は追加の配列は(A、G、C、又はUの混合物を有する)任意の配列であってもよい。追加の配列の一方又は両方は、ヘアピンを形成することができる任意の配列であり得る。miRNAの逆相補体である配列は、5’側及び3’側において、ヘアピン構造に隣接し得る。マイクロRNA阻害剤は、二本鎖の場合、反対の鎖上のヌクレオチド間にミスマッチを含み得る。更に、マイクロRNA阻害剤は、細胞への阻害剤の取り込みを促進するために、コンジュゲート部分に連結され得る。例えば、マイクロRNA阻害剤は、細胞内へのマイクロRNA阻害剤の受動的取り込みを可能にするコレステリル5-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-3-ヒドロキシペンチルカルバメート)に連結され得る。ヘアピンmiRNA阻害剤を含むマイクロRNA阻害剤は、Vermeulen et al.,「Double-Stranded Regions Are Essential Design Components Of Potent Inhibitors of RISC Function,」RNA 13:723-730(2007)、並びに国際公開第2007/095387号及び国際公開第2008/036825号に詳細に記載されており、これらは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。当業者は、所望のmiRNAについてデータベースから配列を選択し、本明細書に開示される方法に有用な阻害剤を設計することができる。
アンチセンス化合物(AC)
治療部分は、標的遺伝子の翻訳又は発現の1つ以上の態様を変化させることができるアンチセンス化合物(AC)を含む。アンチセンス技術の背後にある原理は、標的核酸にハイブリダイズするアンチセンス化合物が、いくつかのアンチセンス機構のうちの1つを介して翻訳などの遺伝子発現活性を調節することである。アンチセンス技術は、1つ以上の特異的遺伝子産物の発現を変化させるための有効な手段であり、したがって、いくつかの治療、診断、及び研究用途において有用であることが明らかになる可能性がある。
本明細書に記載される化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得、ひいては、エナンチオマー、ジアステレオマー、及び絶対立体化学に関して、(R)若しくは(S)、α若しくはβ、又はD若しくはLとして定義され得る他の立体異性配置を生じ得る。本明細書で提供されるアンチセンス化合物には、全てのそのような可能な異性体、並びにそれらのラセミ形態及び光学的に純粋な形態が含まれる。
アンチセンス化合物ハイブリダイゼーション部位
アンチセンス機構は、標的核酸へのアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションに依存する。
ACは、約5から約50核酸長の配列とハイブリダイズすることができ、これは、ACの長さとみなすこともできる。ACは、約5から約10、約10から約15、約15から約20、約20から約25、約25から約30、約30から約35、約35から約40、約40から約45、又は約45から約50の核酸長であり得る。ACは、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、又は約50の核酸長であり得る。ACは、約10核酸長であり得る。ACは、約15核酸長であり得る。ACは、約20核酸長であり得る。ACは、約25核酸長であり得る。ACは、約30核酸長であり得る。
ACは、標的核酸配列に対して約100パーセント未満の相補性を有し得る。本明細書で使用される場合、「相補性パーセント」という用語は、オリゴマー化合物又は核酸の対応する核酸塩基との核酸塩基相補性を有するACの核酸塩基の数を、ACの全長(核酸塩基の数)で割ったものを指す。当業者は、ミスマッチの包含が、アンチセンス化合物の活性を排除することなく可能であることを理解している。ACは、標的核酸に対するACの塩基対合を阻害する最大約20%のヌクレオチドを含有し得る。ACは、約15%以下、約10%以下、5%以下のミスマッチを含み得、又はミスマッチを含まない場合がある。ACは、標的核酸に対して、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%又は約100%の相補性を有し得る。オリゴヌクレオチドの相補性パーセントは、相補的核酸塩基の数をオリゴヌクレオチドの核酸塩基の総数で割ることによって計算される。オリゴヌクレオチドの領域の相補性パーセントは、領域中の相補的核酸塩基の数を核酸塩基領域の総数で割ることによって計算される。
ヌクレオチド親和性修飾の組み込みは、非修飾化合物と比較して、より多数のミスマッチを可能にし得る。同様に、特定のオリゴヌクレオチド配列は、他のオリゴヌクレオチド配列よりもミスマッチに対してより寛容であり得る。当業者は、オリゴヌクレオチド間、又はオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチの適切な数を、例えば、融解温度(Tm)を決定することによって決定することができる。Tm又はΔTmは、当業者によく知られている技術によって計算することができる。例えば、Freierら(Nucleic Acids Research,1997,25,22:4429-4443)に記載される技術は、当業者が、RNA:DNA二本鎖の融解温度を上昇させるそれらの能力についてヌクレオチド修飾を評価することを可能にする。
アンチセンス機構
本開示によるACは、タンパク質の転写、翻訳、及び発現の1つ以上の態様を調節し得る。
ACは、立体ブロッキングを介して転写、翻訳、又はタンパク質発現を調節することができる。以下の総説、すなわち、Roberts et al.Nature Reviews Drug Discovery(2020)19:673-694は、立体遮断の機構及びその適用を記載しており、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
アンチセンス機構は、アンチセンス化合物と標的核酸とのハイブリダイゼーションを介して機能する。ACは、その標的配列にハイブリダイズし、標的タンパク質の発現を下方制御することができる。ACは、その標的配列にハイブリダイズして、1つ以上の標的タンパク質異性体の発現を下方制御することができる。ACは、その標的配列にハイブリダイズして、標的タンパク質の発現を上方制御することができる。ACは、その標的配列にハイブリダイズして、1つ以上の標的タンパク質異性体の発現を増加させることができる。
ACの有効性は、それらの投与によってもたらされるアンチセンス活性を評価することによって評価することができる。本明細書で使用される場合、「アンチセンス活性」という用語は、アンチセンス化合物のその標的核酸へのハイブリダイゼーションに起因する任意の検出可能及び/又は測定可能な活性を指す。そのような検出及び/又は測定は、直接的又は間接的であってもよい。実施形態では、アンチセンス活性は、標的タンパク質の量を検出及び/又は測定することによって評価される。アンチセンス活性は、標的核酸の量を検出及び/又は測定することによって評価することができる。
アンチセンス化合物の設計
本開示によるACの設計は、標的とされる配列に依存する。ACを特定の標的核酸分子に標的化することは、多段階プロセスであり得る。このプロセスは、通常、その発現が調節される標的核酸の同定から始まる。本明細書で使用される場合、「標的核酸」及び「標的遺伝子をコードする核酸」という用語は、選択された標的遺伝子をコードするDNA、このようなDNAから転写されるRNA(pre-mRNA及びmRNAなど)、及びこのようなRNAに由来するcDNAもまた包含する。
当業者は、アンチセンス活性をもたらす配列を同定するために、異なる核酸塩基配列のアンチセンス化合物を設計し、合成し、スクリーニングすることができるであろう。例えば、標的タンパク質の発現を阻害するアンチセンス化合物を設計することができる。予め選択された標的核酸に対するアンチセンス活性についてアンチセンス化合物を設計、合成及びスクリーニングする方法は、例えば、Stanley T.Crooke、CRC Press、Boca Raton、Floridaによって編集された「Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications」に見出すことができ、これは任意の目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
約8から約30個の連結ヌクレオシドを含むアンチセンス化合物が提供される。アンチセンス化合物は、修飾ヌクレオシド、修飾ヌクレオシド間結合及び/又はコンジュゲート基を含み得る。
アンチセンス化合物は、「トリシクロ-DNA(tc-DNA)」であってもよく、これは、各ヌクレオチドがシクロプロパン環の導入によって修飾されて骨格の立体配座の柔軟性を制限し、ねじれ角γの骨格形状を増強する、拘束されたDNA類似体のクラスを指す。ホモ塩基性アデニン及びチミン含有tc-DNAは、相補的RNAに対して非常に安定なA-T塩基対を形成する。
ヌクレオシド
アンチセンス化合物は、連結ヌクレオシドを含み得る。ヌクレオシドの一部又は全部が修飾ヌクレオシドであってもよい。1つ以上のヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含み得る。1つ以上のヌクレオシドは、修飾糖を含み得る。化学的に修飾されたヌクレオシドは、ヌクレアーゼ耐性、薬物動態又は標的RNAに対する親和性などの1つ以上の特性を増強するために、アンチセンス化合物への組み込みに日常的に使用される。ヌクレオシドの非限定的な例は、Khvorova et al.Nature Biotechnology(2017)35:238-248に提供されており、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
一般に、核酸塩基は、別の核酸の塩基に水素結合することができる1つ以上の原子又は原子群を含有する任意の基である。プリン核酸塩基アデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン核酸塩基チミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)などの「非修飾」又は「天然」核酸塩基に加えて、当業者に公知の多くの修飾核酸塩基又は核酸塩基模倣物が、本明細書に記載の化合物に適している。修飾核酸塩基及び核酸塩基模倣物という用語は重複し得るが、一般に、修飾核酸塩基は、例えば、7-デアザプリン、5-メチルシトシン、又はG-クランプなどの親核酸塩基に構造がかなり類似している核酸塩基を指すのに対して、核酸塩基模倣物は、例えば、三環式フェノキサジン核酸塩基模倣物などのより複雑な構造を含む。上記修飾核酸塩基の調製方法は、当業者に周知である。
ACは、修飾された糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含み得る。天然ヌクレオシドのフラノシル糖環は、限定するものではないが、置換基の付加、二環式核酸(BNA)を形成するための2個の非ジェミナル環原子の架橋、及び4’位の環酸素の-S-、-N(R)-又は-C(R1)(R2)などの原子又は基の置換などの、いくつかの方法で修飾することができる。修飾糖部分は、周知であり、アンチセンス化合物のその標的に対する親和性を変化させ(典型的には増加させ)、かつ/又はヌクレアーゼ耐性を増加させるために使用することができる。修飾糖の代表的なリストには、非二環式置換糖、特に2’-F、2’-OCH3又は2’-O(CH2)2-OCH3置換基を有する非二環式2’-置換糖、及び4’-チオ修飾糖が含まれるが、これらに限定されない。糖はまた、とりわけ糖模倣基で置換され得る。修飾糖の調製方法は、当業者に周知である。このような修飾糖の調製を教示するいくつかの代表的な特許及び刊行物としては、米国特許第4,981,957号、同第5,118,800号、同第5,319,080号、同第5,359,044号、同第5,393,878号、同第5,446,137号、同第5,466,786号、同第5,514,785号、同第5,519,134号、同第5,567,811号、同第5,576,427号、同第5,591,722号、同第5,597,909号、同第5,610,300号、同第5,627,053号、同第5,639,873号、同第5,646,265号、同第5,658,873号、同第5,670,633号、同第5,792,747号、同第5,700,920号、及び同第6,600,032号、並びに国際公開第2005/121371号、が挙げられるが、これらに限定されない。
ヌクレオシドは、二環式修飾糖(BNA)、例えば、LNA(4’-(CH2)-O-2’架橋)、2’-チオ-LNA(4’-(CH2)-S-2’架橋)、2’-アミノ-LNA(4’-(CH2)-NR-2’架橋)、ENA(4’-(CH2)2-O-2’架橋)、4’-(CH2)3-2’架橋BNA、4’-(CH2CH(CH3))-2’架橋BNA、cEt(4’-(CH(CH3)-O-2’架橋)、及びcMOE BNA(4’-(CH(CH2OCH3)-O-2’架橋)を含み得る。特定のこのようなBNAが調製されており、特許文献並びに科学文献に開示されている(例えば、Srivastava,et al.J.Am.Chem.Soc.2007,ACS Advanced online publication,10.1021/ja071106y,Albaek et al.J.Org.Chem.,2006,71,7731-7740,Fluiter,et al.Chembiochem 2005,6,1104-1109,Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630、Wahlestedt et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638、Kumar et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222、国際公開第94/14226号、国際公開第2005/021570号、Singh et al.,J.Org.Chem.,1998,63,10035-10039、国際公開第2007/090071号を参照されたい)。BNAを開示する発行済み米国特許及び公開出願の例としては、例えば、米国特許第7,053,207号、同第6,268,490号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第7,034,133号、及び同第6,525,191号、並びに米国公開特許公報第2004-0171570号、同第2004-0219565号、同第2004-0014959号、同第2003~0207841号、同第2004-0143114号、及び同第20030082807号、が挙げられる。
リボシル糖環の2’-ヒドロキシル基が糖環の4’炭素原子に連結され、それによって2’-C,4’-C-オキシメチレン連結を形成して二環式糖部分を形成する「ロックド核酸」(LNA)も本明細書において提供される(Eayadi et al.Opinion Invens.Drugs,2001,2,558-561、Braasch et al.,Chem.Biol.,2001,8 1-7、及びOrum et al.,Curr.Opinion Mol.Ther.,2001,3,239-243に概説されており、米国特許第6,268,490号及び同第6,670,461号も参照されたい)。結合は、2’酸素原子と4’炭素原子とを架橋するメチレン(-CH2-)基であり得、二環式部分に対してLNAという用語が使用され、この位置のエチレン基の場合、ENA(商標)という用語が使用される(Singh et al.,Chem.Commun.,1998,4,455-456、ENA(商標):Morita et al.,Bioorganic Medicinal Chemistry,2003,11,2211-2226)。LNA及び他の二環式糖類似体は、相補的DNA及びRNAに対する非常に高い二本鎖熱安定性(Tm=+3から+10℃)、3’-エキソヌクレアーゼ分解に対する安定性、及び良好な溶解特性を示す。LNAを含有する強力で非毒性のアンチセンスオリゴヌクレオチドが記載されている(Wahlestedt et al.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,2000,97,5633-5638)。
同様に研究されているLNAの異性体は、3’-エキソヌクレアーゼに対して優れた安定性を有することがわかっているアルファ-L-LNAである。アルファ-L-LNAは、強力なアンチセンス活性を示すアンチセンスギャップマー及びキメラに組み込まれた(Frieden et al.,Nucleic Acids Research,2003,21,6365-6372)。
LNAモノマーアデニン、シトシン、グアニン、5-メチル-シトシン、チミン及びウラシルの合成及び調製、並びにそれらのオリゴマー化、及び核酸認識特性が記載されている(Koshkin et al.,Tetrahedron,1998,54,3607-3630)。LNA及びその調製は、国際公開第98/39352号及び国際公開第99/14226号にも記載されている。
LNAの類似体、ホスホロチオエート-LNA及び2’-チオ-LNAも調製されている(Kumar et al.Med.Chem.Lett.,1998,8,2219-2222)。核酸ポリメラーゼの基質としてオリゴデオキシリボヌクレオチド二本鎖を含有するロックドヌクレオシド類似体の調製も記載されている(Wengelら、国際公開第99/14226号)。更に、新規な立体構造的に制限された高親和性オリゴヌクレオチド類似体である2’-アミノ-LNAの合成が、当該技術分野において記載されている(Singh et al.Chem.,1998,63,10035-10039)。更に、2’-アミノ及び2’-メチルアミノ-LNAが調製されており、相補的なRNA鎖及びDNA鎖とのそれらの二重鎖の熱的安定性が以前に報告されている。
ヌクレオシド間結合
ヌクレオシド又はそうでなければ修飾モノマー単位を一緒に連結し、それによってアンチセンス化合物を形成するヌクレオシド間連結基が本明細書に記載される。ヌクレオシド間連結基の2つの主要なクラスは、リン原子の有無によって定義される。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合としては、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホルアミデート、及びホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。代表的な非リン含有ヌクレオシド間結合基としては、メチレンメチルイミノ(-CH2-N(CH3)-O-CH2-)、チオジエステル(-O-C(O)-S-)、チオノカルバメート(-O-C(O)(NH)-S-)、シロキサン(-O-Si(H)2-O-)、及びN,N’-ジメチルヒドラジン(-CH2-N(CH3)-N(CH3)-)が挙げられるが、これらに限定されない。非リンヌクレオシド間結合基を有するアンチセンス化合物は、オリゴヌクレオシドと呼ばれる。修飾ヌクレオシド間結合を用いて、天然のホスホジエステル結合と比較して、アンチセンス化合物のヌクレアーゼ耐性を変化させる(典型的には増加させる)ことができる。キラル原子を有するヌクレオシド間結合は、ラセミ、キラル、又は混合物として調製することができる。代表的なキラルヌクレオシド間結合としては、アルキルホスホネート及びホスホロチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。リン含有及び非リン含有結合の調製方法は、当業者に周知である。
リン酸基は、糖の2’、3’又は5’ヒドロキシル部分に連結され得る。オリゴヌクレオチドの形成において、リン酸基は、隣接するヌクレオシドを互いに共有結合して、直鎖状ポリマー化合物を形成する。オリゴヌクレオチド内で、リン酸基は、一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間骨格を形成するとみなされている。RNA及びDNAの通常の結合又は骨格は、3’-5’ホスホジエステル結合である。
共役基
カーゴは、1つ以上のコンジュゲート基の共有結合によって修飾することができる。一般に、コンジュゲート基は、限定するものではないが、薬力学、薬物動態学、結合、吸収、細胞分布、細胞取り込み、電荷及びクリアランスなどの、カーゴの1つ以上の特性を改変する。コンジュゲート基は化学分野で日常的に使用されており、直接又は任意選択の連結部分若しくは連結基を介して親化合物に連結される。コンジュゲート基としては、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、葉酸、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び色素が挙げられるが、これらに限定されない。共役基は、ポリエチレングリコール(PEG)を含み得る。PEGは、カーゴ又はcCPPのいずれかにコンジュゲートされ得る。カーゴは、ペプチド、オリゴヌクレオチド又は小分子を含み得る。
コンジュゲート基は、脂質部分、例えば、コレステロール部分(Letsinger et al.Natl.Acad.Sci.USA,1989,86,6553)、コール酸(Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Lett.,1994,4,1053)、チオエーテル、例えば、ヘキシル-S-トリチルチオール(Manoharan et al.,Ann.N.Y.Acad.Sci.,1992,660,306、Manoharan et al.,Bioorg.Med.Chem.Let.,1993,3,2765)、チオコレステロール(Oberhauser et al.,Nucl.Acids Res.,1992,20,533)、脂肪族鎖、例えば、ドデカンジオール又はウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al.,EMBO J.,1991,10,111、Kabanov et al.,FEBS Lett.,1990,259,327、Svinarchuk et al.,Biochimie,1993,75,49)、リン脂質、例えば、ジ-ヘキサデシル-rac-グリセロール又はトリエチルアンモニウム-1,2-ジ-O-ヘキサデシル-rac-グリセロ-3-H-ホスホネート(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651、Shea et al.,Nucl.Acids Res.,1990,18,3777)、ポリアミン又はポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al.,Nucleosides & Nucleotides,1995,14,969)、アダマンタン酢酸(Manoharan et al.,Tetrahedron Lett.,1995,36,3651)、パルミチル部分(Mishra et al.,Biochim.Biophys.Acta,1995,1264,229)、又はオクタデシルアミン若しくはヘキシルアミノ-カルボニル-オキシコレステロール部分(Crookeら、J.Pharmacol.Exp.Ther.,1996,277,923)を含み得る。
連結基又は二官能性連結部分、例えば、当技術分野で公知のものは、本明細書で提供される化合物に適している。結合基は、化学官能基、コンジュゲート基、レポーター基及び他の基を、例えば、ACなどの親化合物中の選択的部位に結合させるのに有用である。一般に、二官能性連結部分は、2個の官能基を有するヒドロカルビル部分を含む。官能基の一方は、目的の親分子又は化合物に結合するように選択され、他方は、化学官能基又は共役基などの本質的に任意の選択された基に結合するように選択される。本明細書に記載されるリンカーのいずれかが使用され得る。リンカーは、エチレングリコール又はアミノ酸単位などの反復単位の鎖構造又はオリゴマーを含み得る。二官能性連結部分において慣用的に使用される官能基の例としては、求核基と反応するための求電子剤及び求電子基と反応するための求核剤が挙げられるが、これらに限定されない。二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重又は三重結合)などを含み得る。二官能性連結部分のいくつかの非限定的な例としては、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)及び6-アミノヘキサン酸(AHEX又はAHA)が挙げられる。他の連結基としては、限定するものではないが、置換C1~C10アルキル、置換若しくは非置換C2~C10アルケニル又は置換若しくは非置換C2~C10アルキニルが挙げられ、置換基の非限定的なリストとしては、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが挙げられる。
ACは、約5から約50ヌクレオチド長であり得る。ACは、約5から約10ヌクレオチド長であり得る。ACは、約10から約15ヌクレオチド長であり得る。ACは、約15から約20ヌクレオチド長であり得る。ACは、約20から約25ヌクレオチド長であり得る。ACは、約25から約30ヌクレオチド長であり得る。ACは、約30から約35ヌクレオチド長であり得る。ACは、約35から約40ヌクレオチド長であり得る。ACは、約40から約45ヌクレオチド長であってもよい。ACは、約45から約50ヌクレオチド長であり得る。
クラスター化して規則的に配置された短い回文配列リピート(CRISPR)遺伝子編集機構
本化合物は、CRISPR遺伝子編集機構にコンジュゲートされた1つ以上のcCPP(又はcCPP)を含み得る。本明細書で使用される場合、「CRISPR遺伝子編集機構」は、ゲノムを編集するために使用され得る、タンパク質、核酸、又はそれらの組み合わせを指す。遺伝子編集機構の非限定的な例としては、gRNA、ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、並びにそれらの組み合わせ及び複合体が挙げられる。以下の特許文献、すなわち、米国特許第8,697,359号、米国特許第8,771,945号、米国特許第8,795,965号、米国特許第8,865,406号、米国特許第8,871,445号、米国特許第8,889,356号、米国特許第8,895,308号、米国特許第8,906,616号、米国特許第8,932,814号、米国特許第8,945,839号、米国特許第8,993,233号、米国特許第8,999,641号、米国特許出願第14/704,551号、及び米国特許出願第13/842,859号には、CRISPR遺伝子編集機構が記載されている前述の特許文献の各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
リンカーは、cCPPをCRISPR遺伝子編集機構にコンジュゲートすることができる。本開示に記載されるか、又は当業者に公知である任意のリンカーが利用され得る。
gRNA
本化合物は、gRNAにコンジュゲートしたcCPPを含み得る。gRNAは、原核細胞又は真核細胞中のゲノム遺伝子座を標的とする。
gRNAは、単一分子ガイドRNA(sgRNA)であり得る。sgRNAは、スペーサー配列及び足場配列を含む。スペーサー配列は、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)を目的の特定のヌクレオチド領域(例えば、切断されるゲノムDNA配列)に標的化するために使用される短い核酸配列である。スペーサーは、約17~24塩基対長、例えば、約20塩基対長であり得る。スペーサーは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30塩基対長であり得る。スペーサーは、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、又は少なくとも30塩基対長であり得る。スペーサーは、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、又は約30塩基対長であり得る。スペーサー配列は、約40%~約80%のGC含有量を有し得る。
スペーサーは、5’プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)の直前の部位を標的化することができる。PAM配列は、所望のヌクレアーゼに基づいて選択することができる。例えば、PAM配列は、以下の表に示されるPAM配列のいずれか1つであり得、式中、Nは任意の核酸を指し、RはA又はGを指し、YはC又はTを指し、WはA又はTを指し、VはA又はC又はGを指す。
スペーサーは、ヒト遺伝子などの哺乳動物遺伝子の配列を標的化し得る。スペーサーは、変異遺伝子を標的化し得る。スペーサーは、コード配列を標的化し得る。
足場配列は、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9)結合に関与するsgRNA内の配列である。足場配列は、スペーサー/標的化配列を含まない。実施形態では、足場は、約1から約10、約10から約20、約20から約30、約30から約40、約40から約50、約50から約60、約60から約70、約70から約80、約80から約90、約90から約100、約100から約110、約110から約120、又は約120から約130ヌクレオチド長であり得る。足場は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約101、約102、約103、約104、約105、約106、約107、約108、約109、約110、約111、約112、約113、約114、約115、約116、約117、約118、約119、約120、約121、約122、約123、約124、又は約125ヌクレオチド長であり得る。足場は、少なくとも10、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも120、又は少なくとも125ヌクレオチド長であり得る。
gRNAは、二重分子ガイドRNA、例えば、crRNA及びtracrRNAであり得る。gRNAは、ポリAテールを更に含み得る。
化合物は、gRNAを含む核酸にコンジュゲートされたcCPPを含む。核酸は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、又は約20個のgRNAを含み得る。gRNAは、同じ標的を認識することができる。gRNAは、異なる標的を認識することができる。gRNAを含む核酸は、プロモーターをコードする配列を含み、当該プロモーターは、gRNAの発現を駆動する。
ヌクレアーゼ
本化合物は、ヌクレアーゼにコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)を含み得る。ヌクレアーゼは、II型、V-A型、V-B型、VC型、V-U型、又はVI-B型ヌクレアーゼであり得る。ヌクレアーゼは、転写、アクチベーター様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、メガヌクレアーゼ、又はジンクフィンガーヌクレアーゼであり得る。ヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a(Cpf1)、Cas12b、Cas12c、Tnp-B様、Cas13a(C2c2)、Cas13b、又はCas14ヌクレアーゼであり得る。ヌクレアーゼは、Cas9ヌクレアーゼ又はCpf1ヌクレアーゼであり得る。
ヌクレアーゼは、Cas9、Cas12a(Cpf1)、Cas12b、Cas12c、Tnp-B様、Cas13a(C2c2)、Cas13b、又はCas14ヌクレアーゼの修飾形態又は変異体であり得る。ヌクレアーゼは、TALヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、又はジンクフィンガーヌクレアーゼの修飾形態又は変異体であり得る。「改変された」又は「変異体」ヌクレアーゼは、例えば、切断されたもの、別のタンパク質(別のヌクレアーゼなど)に融合されたもの、触媒的に不活性化されたものなどである。ヌクレアーゼは、天然に存在するCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas12b、Cas12c、Tnp-B様、Cas13a(C2c2)、Cas13b、Cas14ヌクレアーゼ、又はTALEN、メガヌクレアーゼ、若しくはジンクフィンガーヌクレアーゼと、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、又は約100%の配列同一性を有し得る。ヌクレアーゼは、S.ピオゲネス(SpCas9)に由来するCas9ヌクレアーゼであり得る。ヌクレアーゼは、S.ピオゲネス(SpCas9)由来のCas9ヌクレアーゼに対して、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。ヌクレアーゼは、黄色ブドウ球菌由来のCas9(SaCas9)であってもよい。ヌクレアーゼは、黄色ブドウ球菌由来のCas9(SaCas9)に対して、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。Cpf1は、アシダミノコッカス(種BV3L6、UniProtアクセッション番号U2UMQ6)由来のCpf1酵素であり得る。ヌクレアーゼは、アシダミノコッカス(種BV3L6、UniProtアクセッション番号U2UMQ6)由来のCpf1酵素に対して、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。
Cpf1は、ラクノスピラ科(種ND2006、UniProtアクセッション番号A0A182DWE3)由来のCpf1酵素であり得る。ヌクレアーゼは、ラクノスピラ科由来のCpf1酵素に対して、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、又は少なくとも約99%の配列同一性を有し得る。ヌクレアーゼをコードする配列は、哺乳動物細胞における発現のためにコドン最適化することができる。ヌクレアーゼをコードする配列は、ヒト細胞又はマウス細胞における発現のためにコドン最適化することができる。
本化合物は、ヌクレアーゼにコンジュゲートされたcCPPを含み得る。ヌクレアーゼは、可溶性タンパク質であり得る。
本化合物は、ヌクレアーゼをコードする核酸にコンジュゲートしたcCPPを含み得る。ヌクレアーゼをコードする核酸は、プロモーターをコードする配列を含み得、当該プロモーターはヌクレアーゼの発現を駆動する。
gRNA及びヌクレアーゼの組み合わせ
本化合物は、gRNA及びヌクレアーゼにコンジュゲートされた1つ以上のcCPPを含み得る。1つ以上のcCPPは、gRNA及び/又はヌクレアーゼをコードする核酸にコンジュゲートされ得る。ヌクレアーゼ及びgRNAをコードする核酸は、プロモーターをコードする配列を含み得、当該プロモーターは、ヌクレアーゼ及びgRNAの発現を駆動する。ヌクレアーゼ及びgRNAをコードする核酸は、2個のプロモーターを含み得、第1のプロモーターはヌクレアーゼの発現を制御し、第2のプロモーターはgRNAの発現を制御する。gRNA及びヌクレアーゼをコードする核酸は、約1から約20個のgRNA、又は約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、若しくは約19個から最大で約20個のgRNAをコードし得る。gRNAは、異なる標的を認識することができる。gRNAは、同じ標的を認識することができる。
本化合物は、gRNA及びヌクレアーゼを含むリボ核タンパク質(RNP)にコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(又はcCPP)を含み得る。
(a)gRNAにコンジュゲートされたcCPP及び(b)ヌクレアーゼを含む組成物を細胞に送達することができる。(a)ヌクレアーゼにコンジュゲートされたcCPP及び(b)gRNAを含む組成物を細胞に送達することができる。
(a)gRNAにコンジュゲートされた第1のcCPP及び(b)ヌクレアーゼにコンジュゲートされた第2のcCPPを含む組成物を細胞に送達することができる。第1のcCPP及び第2のcCPPは同じであってもよい。第1のcCPP及び第2のcCPPは異なっていてもよい。
目的の遺伝子エレメント
本化合物は、目的の遺伝子エレメントにコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)を含み得る。目的の遺伝子エレメントは、ヌクレアーゼによって切断されたゲノムDNA配列を置き換えることができる。目的の遺伝子エレメントの非限定的な例としては、遺伝子、一塩基多型、プロモーター、又はターミネーターが挙げられる。
ヌクレアーゼ阻害剤
本化合物は、ヌクレアーゼの阻害剤(例えば、Cas9阻害剤)にコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)を含み得る。遺伝子編集の限界は、潜在的なオフターゲット編集である。ヌクレアーゼ阻害剤の送達は、オフターゲット編集を制限し得る。ヌクレアーゼ阻害剤は、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、又は小分子であり得る。ヌクレアーゼ阻害剤は、米国特許出願公開第2020/087354号、国際公開第2018/085288号、米国特許出願公開第2018/0382741号、国際公開第2019/089761号、国際公開第2020/068304号、国際公開第2020/041384号、及び国際公開第2019/076651号に記載されており、これら参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
治療用ポリペプチド
抗体
治療部分は、抗体又は抗原結合性フラグメントを含み得る。抗体及び抗原結合性フラグメントは、ヒト、マウス、ラクダ科動物(例えば、ラクダ、アルパカ、ラマ)、ラット、有蹄動物、又は非ヒト霊長類(例えば、サル、アカゲザル)などの任意の適切な供給源に由来し得る。
「抗体」という用語は、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、又はポリペプチドなどの特定の標的に、Ig分子の可変領域に位置する少なくとも1つのエピトープ認識部位を介して結合することができる免疫グロブリン(Ig)分子を指す。本明細書で使用される場合、この用語は、インタクトなポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体及びその抗原結合性フラグメントを包含する。天然免疫グロブリン分子は、一般に、2個の重鎖ポリペプチド及び2個の軽鎖ポリペプチドを含む。重鎖ポリペプチドの各々は、重鎖ポリペプチドと軽鎖ポリペプチドとの間の鎖間ジスルフィド結合によって軽鎖ポリペプチドと会合して、2個のヘテロ二量体タンパク質又はポリペプチド(すなわち、2個の異種ポリペプチド鎖からなるタンパク質)を形成する。次いで、2個のヘテロ二量体タンパク質は、重鎖ポリペプチド間の更なる鎖間ジスルフィド結合によって会合して、免疫グロブリンタンパク質又はポリペプチドを形成する。
本明細書で使用される「抗原結合性フラグメント」という用語は、目的の抗原の少なくとも1つのエピトープに結合する免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含有するポリペプチドフラグメントを指す。抗原結合性フラグメントは、標的分子に特異的に結合する抗体由来の可変重鎖(VH)配列の1個、2個、又は3個のCDRを含み得る。抗原結合性フラグメントは、標的分子に特異的に結合する抗体由来の可変軽鎖(VL)配列の1個、2個、又は3個のCDRを含み得る。抗原結合性フラグメントは、標的分子に特異的に結合する抗体由来の可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)配列の1個、2個、3個、4個、5個、又は6個全てのCDRを含み得る。抗原結合性フラグメントは、全長抗体の一部、一般的には、その抗原結合領域又は可変領域、例えば、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fvフラグメント、miniボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(dAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)、ナノボディ、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体、及び、抗原結合部位又は必要な特異性のフラグメントを含み得る免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された立体配置を含むタンパク質を含む。
「F(ab)」という用語は、酵素パパインによるIgG分子のタンパク質分解性切断から生じるタンパク質フラグメントのうちの2個を指す。各F(ab)は、VH鎖及びVL鎖からなる共有結合性ヘテロ二量体を含み得、インタクトな抗原結合部位を含む。各F(ab)は、一価の抗原結合性フラグメントであり得る。「Fab’」という用語は、F(ab’)2に由来するフラグメントを指し、Fcの小部分を含有し得る。各Fab’フラグメントは、一価の抗原結合性フラグメントであり得る。
「F(ab’)2」という用語は、酵素ペプシンによるタンパク質分解切断によって生成されるIgGのタンパク質フラグメントを指す。各F(ab’)2フラグメントは、2個のF(ab’)フラグメントを含み得、したがって、二価抗原結合性フラグメントであり得る。
「Fvフラグメント」は、天然抗体分子の抗原認識及び結合能力の多くを保持するが、Fab内に含まれるCH1及びCLドメインを欠く抗原結合部位を含む、非共有結合VH:VLヘテロ二量体を指す。Inbar et al.(1972)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 69:2659-2662、Hochman et al.(1976)Biochem 15:2706-2710、及びEhrlich et al.(1980)Biochem 19:4091-4096。
二重特異性抗体(BsAb)は、2個の別個の固有の抗原(又は同じ抗原の異なるエピトープ)に同時に結合することができる抗体である。治療部分は、目的の2個の異なる標的に同時に結合することができる二重特異性抗体を含み得る。BsAbは、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC)及びエフェクター細胞によって媒介される他の細胞傷害機構による腫瘍細胞の死滅の増強のために、細胞傷害性免疫エフェクター細胞をリダイレクトすることができる。
組換え抗体操作によって、親モノクローナル抗体(mab)の可変重鎖(VH)ドメイン及び可変軽鎖(VL)ドメインを含む組換え二重特異性抗体フラグメントの作製が可能になった。非限定的な例としては、scFv(一本鎖可変フラグメント)、BsDb(二重特異性ダイアボディ)、scBsDb(一本鎖二重特異性ダイアボディ)、scBsTaFv(一本鎖二重特異性タンデム可変ドメイン)、DNL-(Fab)3(ドック・アンド・ロック三価Fab)、sdAb(単一ドメイン抗体)、及びBssdAb(二重特異性単一ドメイン抗体)が挙げられる。
Fc領域を有するBsAbは、ADCC及びCDCなどのFc媒介性エフェクター機能を実行するのに有用である。それらは正常なIgGの半減期を有する。一方、Fc領域を含まないBsAb(二重特異性フラグメント)は、治療活性を達成するためにそれらの抗原結合能力のみに依存する。それらのより小さいサイズのために、これらのフラグメントは、より良好な固形腫瘍透過率を有する。BsAbフラグメントは、グリコシル化を必要とせず、細菌細胞中で産生され得る。用途に適合するBsAbのサイズ、価数、柔軟性及び半減期
組換えDNA技術を使用して、二重特異性IgG抗体を、同じ細胞株において発現される2個の異なる重鎖及び軽鎖から構築することができる。異なる鎖のランダムアセンブリは、非機能的分子及び望ましくないHCホモ二量体の形成をもたらす。この問題に対処するために、第2の結合部分(例えば、単鎖可変フラグメント)をH鎖又はL鎖のN末端又はC末端に融合させて、各抗原に対して2個の結合部位を含有する四価BsAbを得ることができる。LC-HC誤対合及びHCホモ二量体化に対処するための更なる方法を以下に示す。
ノブ・イントゥ・ホールBsAb IgG H鎖ヘテロ二量体化は、2個のCH3ドメインに異なる変異を導入することによって強制され、非対称抗体をもたらす。具体的には、一方のHCに「ノブ」変異を生じさせ、他方のHCに「ホール」変異を生じさせてヘテロ二量体化を促進する。
Ig-scFv融合体全長IgGへの新たな抗原結合部分の直接付加は、四価を有する融合タンパク質をもたらす。例としては、IgG C末端scFv融合物及びIgG N末端scFv融合物が挙げられる。
ダイアボディ-Fc融合体これは、IgGのFabフラグメントを二重特異性ダイアボディ(scFvの誘導体)で置き換えることを伴う。
二重可変ドメイン-IgG(DVD-IgG)1つの特異性を有するIgGのVL及びVHドメインを、それぞれ、リンカー配列を介して異なる特異性のIgGのVL及びVHのN末端に融合させて、DVD-IgGを形成した。
「ダイアボディ」という用語は、同じ鎖上の2個のドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーを使用して、VH及びVLドメインが単一ポリペプチド鎖中で発現され、それによってドメインを別の鎖の相補的ドメインと対合させ、2個の抗原結合部位を作り出す二重特異性抗体を指す(例えば、Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48(1993)及びPoljak et al.,Structure 2:1121-23(1994)を参照されたい)。ダイアボディは、2個の異なる抗原に結合するように設計することができ、二重特異性抗原結合構築物である。
「ナノボディ」又は「単一ドメイン抗体」という用語は、重鎖抗体の1つの可変ドメイン(VH)を含む単一モノマー可変抗体ドメインの抗原結合性フラグメントを指す。それらは、より小さいサイズ(15kD)、還元細胞内環境における安定性、及び細菌系における産生の容易さなどの、伝統的なモノクローナル抗体(mAb)を超えるいくつかの利点を有する(Schumacher et al.,(2018)Nanobodies:Chemical Functionalization Strategies and Intracellular Applications.Angew.Chem.Int.Ed.57,2314;Siontorou,(2013)Nanobodies as novel agents for disease diagnosis and therapy.International Journal of Nanomedicine,8,4215-27)。これらの特徴は、ナノボディを遺伝的及び化学的修飾に対して修正可能にし(Schumacher et al.,(2018)Nanobodies:Chemical Functionalization Strategies and Intracellular Applications.Angew.Chem.Int.Ed.57,2314)、研究ツール及び治療剤としてのそれらの適用を容易にする(Bannas et al.,(2017)Nanobodies and nanobody-based human heavy chain antibodies as antitumor therapeutics.Frontiers in Immunology,8,1603)。過去10年間にわたって、ナノボディはタンパク質固定化(Rothbauer et al.,(2008)A Versatile Nanotrap for Biochemical and Functional Studies with Fluorescent Fusion Proteins.Mol.Cell.Proteomics,7,282-289)、イメージング(Traenkle et al.,(2015)Monitoring Interactions and Dynamics of Endogenous Beta-catenin With Intracellular Nanobodies in Living Cells.Mol.Cell.Proteomics,14,707-723)、タンパク質-タンパク質相互作用の検出(Herce et al.,(2013)Visualization and targeted disruption of protein interactions in living cells.Nat.Commun.,4,2660、Massa et al.,(2014)Site-Specific Labeling of Cysteine-Tagged Camelid Single-Domain Antibody-Fragments for Use in Molecular Imaging.Bioconjugate Chem,25,979-988)のために、また高分子阻害剤として(Truttmann et al.,(2015)HypE-specific Nanobodies as Tools to Modulate HypE-mediated Target AMPylation.J.Biol.Chem.290,9087-9100)使用されてきた。
治療部分は、目的の標的に結合する抗原結合性フラグメントであり得る。目的の標的に結合する抗原結合性フラグメントは、目的の標的に特異的に結合する抗体由来の可変重鎖(VH)配列の1個、2個、又は3個のCDRを含み得る。目的の標的に結合する抗原結合性フラグメントは、目的の標的に特異的に結合する抗体由来の可変軽鎖(VL)配列の1個、2個、又は3個のCDRを含み得る。目的の標的に結合する抗原結合性フラグメントは、目的の標的に特異的に結合する抗体由来の可変重鎖(VH)及び/又は可変軽鎖(VL)配列の1個、2個、3個、4個、5個、又は6個全てのCDRを含み得る。標的に結合する抗原結合性フラグメントは、完全長抗体の一部、例えば、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fvフラグメント、miniボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体(dAb)、単鎖可変フラグメント(scFv)、ナノボディ、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体、又は必要な特異性の抗原結合部位若しくはフラグメントを含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾された構造であり得る。
治療部分は、二重特異性抗体を含み得る。二重特異性抗体(BsAb)は、2個の別個の固有の抗原(又は同じ抗原の異なるエピトープ)に同時に結合することができる抗体である。
治療部分は、「ダイアボディ」を含み得る。
治療部分は、ナノボディ又は単一ドメイン抗体(本明細書ではsdAb又はVHHと呼ぶ場合がある)を含み得る。
治療部分は、「miniボディ」を含み得る。miniボディ(Mb)は、抗原結合性フラグメントに融合又は連結されたCH3ドメイン(例えば、scFv、ドメイン抗体などに融合又は連結されたCH3ドメイン)を含む。「Mb」という用語は、CH3単一ドメインを意味する場合がある。CH3ドメインは、miniボディを意味する場合がある。(S.Hu et al.,Cancer Res.,56,3055-3061,1996)。例えば、Ward,E.S.et al.,Nature 341,544-546(1989)、Bird et al.,Science,242,423-426,1988、Huston et al.,PNAS USA,85,5879-5883,1988)、国際出願PCT/US92/09965号、国際公開第94/13804号、P.Holliger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90 6444-6448,1993、Y.Reiter et al.,Nature Biotech,14,1239-1245,1996、S.Hu et al.,Cancer Res.,56,3055-3061,1996、を参照のこと。
治療部分は、「モノボディ」を含み得る。「モノボディ」という用語は、フィブロネクチンIII型ドメイン(FN3)を分子足場として用いて構築された合成結合タンパク質を指す。
治療部分は、抗体模倣物であり得る。抗体模倣物は、抗体と同様に、抗原に特異的に結合することができるが、抗体に構造的に関連しない化合物である。それらは、通常、(約150kDaの抗体のモル質量に対して)約3から20kDのモル質量を有する人工ペプチド又はタンパク質である。抗体模倣物の例としては、アフィボディ分子(プロテインAのドメインの足場上に構築される、Nygren(June 2008).FEBS J.275(11):2668-76)、アフィリン(ガンマ-B結晶性又はユビキチンの足場上に構築される、Ebersbach H et al.(September 2007).J.Mol.Biol.372(1):172-85を参照されたい)、アフィマー(Crystatin足場上に構築される、Johnson A et al.,(Aug 7,2012).Anal.Chem.84(15):6553-60を参照されたい)、アフィチン(S.アシドカルダリウス足場由来のSac7d上に構築される、Krehenbrink M et al.,(November 2008).J.Mol.Biol.383(5):1058-68を参照されたい)、アルファボディー(三重らせんコイルドコイル足場上に構築される、Desmet,J et al.,(5 Feb 2014).Nature Communications.5:5237を参照されたい)、アンチカリン(リポカリンの足場上の構築物、Skerra A(June 2008).FEBS J.275(11):2677-83を参照されたい)、アビマー(様々な膜受容体の足場上に構築された、Silverman J et al.(December 2005).Nat.Biotechnol.23(12):1556-61を参照されたい)、DARPin(アンキリンリピートモチーフの足場上に構築された、Stumpp et al.,(August 2008).Drug Discov.Today.13(15-16):695-701を参照されたい)、フィノマー(FynのSH3ドメインの足場上に構築された、Grabulovski et al.,(2007).J Biol Chem.282(5):3196-3204を参照されたい)、クニッツドメインペプチド(様々なプロテアーゼ阻害剤のクニッツドメインの足場上に構築された、Nixon et al(March 2006).Curr Opin Drug Discov Dev.9(2):261-8を参照されたい)、及びモノボディ(ファイブロネクチンのIII型ドメインの足場上に構築された、Koide et al(2007).Methods Mol.Biol.352:95-109を参照されたい)が挙げられる。
治療部分は、「設計されたアンキリンリピート」又は「DARPin」を含み得る。DARPinは、少なくとも3個の反復モチーフタンパク質から構成される天然アンキリンタンパク質に由来し、通常、4個又は5個の反復から構成される。
治療部分は、「二重可変ドメイン-IgG」又は「DVD-IgG」を含み得る。DVD-IgGは、1つの特異性を有するIgGのVL及びVHドメインを、それぞれ異なる特異性のIgGのVL及びVHのN末端にリンカー配列を介して融合させることによって、2個の親モノクローナル抗体から生成される。
治療部分は、F(ab)フラグメントを含み得る。
治療部分は、F(ab’)2フラグメントを含み得る。
治療部分は、Fvフラグメントを含み得る。
抗原結合性フラグメントは、「一本鎖可変フラグメント」又は「scFv」を含み得る。scFvは、10から約25アミノ酸の短いリンカーペプチドで連結された、免疫グロブリンの重鎖(VH)及び軽鎖(VL)の可変領域の融合タンパク質を指す。Huston et al.(1988)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 85(16):5879-5883。リンカーは、VHのN末端をVLのC末端と接続することができ、又はその逆も可能である。抗体V領域由来の天然に凝集しているが化学的に分離されている軽鎖及び重鎖ポリペプチド鎖を、抗原結合部位の構造に実質的に類似した三次元構造に折り畳まれるscFv分子に変換するための化学構造を識別するための多くの方法が記載されている。例えば、Hustonらの米国特許第5,091,513号及び同第5,132,405号、及びLadnerらの米国特許第4,946,778号を参照されたい。
抗原結合構築物は、2つ以上の抗原結合部分を含み得る。抗原結合性構築物は、2つの別個の固有の抗原に、又は同じ抗原の異なるエピトープに結合することができる。ノブ・イントゥ・ホールBsAb IgG H鎖ヘテロ二量体化は、2個のCH3ドメインに異なる変異を導入することによって強制され、非対称抗体をもたらす。具体的には、一方のHCに「ノブ」変異を生じさせ、他方のHCに「ホール」変異を生じさせてヘテロ二量体化を促進する。
ペプチド阻害剤
治療部分はペプチドを含み得る。このペプチドは、アゴニストとして作用し、標的タンパク質の活性を増加させることができる。このペプチドは、アンタゴニストとして作用し得、標的タンパク質の活性を減少させる。このペプチドは、タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)を阻害するように構成され得る。タンパク質-タンパク質相互作用(PPI)は、核酸の転写及び翻訳されたタンパク質の様々な翻訳後修飾などの多くの生化学的プロセスにおいて重要である。PPIは、X線結晶学、NMR分光法、表面プラズマ共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(BLI)、等温滴定熱量測定(ITC)、放射性リガンド結合、分光光度アッセイ及び蛍光分光法などの生物物理学的手法によって実験的に決定することができる。タンパク質-タンパク質相互作用を阻害するペプチドは、ペプチド阻害剤と呼ばれる場合がある。
治療部分は、ペプチド阻害剤を含み得る。ペプチド阻害剤は、約5から約100個のアミノ酸、約5から約50個のアミノ酸、約15から約30個のアミノ酸、又は約20から約40個のアミノ酸を含み得る。ペプチド阻害剤は、例えば、タンパク質分解を減少させるために、かつ/又はインビボ半減期を改善するために、1つ以上の化学修飾を含み得る。ペプチド阻害剤は、1つ以上の合成アミノ酸及び/又は骨格修飾を含み得る。ペプチド阻害剤は、α-らせん構造を有し得る。
ペプチド阻害剤は、目的のホモ二量体又はヘテロ二量体標的タンパク質の二量体化ドメインを標的とすることができる。
小分子
治療部分は、小分子を含み得る。治療部分は、小分子キナーゼ阻害剤を含み得る。治療部分は、目的の標的をリン酸化するキナーゼを阻害する小分子を含み得る。目的の標的のリン酸化を阻害することによって、目的の標的の核移行を遮断することができる。治療部分は、MyD88の小分子阻害剤を含み得る。
組成物
本明細書に記載される化合物を含む組成物が提供される。
本開示の化合物の薬学的に許容される塩及び/又はプロドラッグが提供される。薬学的に許容される塩は、本化合物上に見出される特定の置換基に応じて、酸又は塩基を用いて調製される本開示の化合物の塩を含む。本明細書に開示される化合物が、安定な非毒性の酸性塩又は塩基性塩を形成するのに十分に塩基性又は酸性である条件下では、本化合物を塩として投与することが適切な場合がある。薬学的に許容される塩基付加塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、又はマグネシウム塩が挙げられる。生理学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸、炭酸、硫酸や、酢酸、プロピオン酸、安息香酸、コハク酸、フマル酸、マンデル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、マロン酸、アスコルビン酸、アルファ-ケトグルタル酸、アルファ-糖リン酸、マレイン酸、トシル酸、メタンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。したがって、本明細書に開示されるのは、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、マロン酸塩、アスコルビン酸塩、アルファ-ケトグルタル酸塩、アルファ-グリコリン酸塩、マレイン酸塩、トシル酸塩、及びメシル酸塩である。本化合物の薬学的に許容される塩は、当該分野で周知の標準的な手順を使用して(例えば、アミンのような十分に塩基性の化合物を、生理学的に許容されるアニオンを与える適切な酸と反応させることによって)得ることができる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)塩又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製することができる。
オリゴヌクレオチド治療剤及び標的分子の機構
多くのタイプのオリゴヌクレオチドは、細胞における遺伝子転写、翻訳及び/又はタンパク質機能を調節することができる。このようなオリゴヌクレオチドの非限定的な例としては、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、プラスミド、免疫刺激核酸、アンチセンス、アンタゴmir、アンチmir、マイクロRNA模倣物、スーパーmir、Ulアダプター、及びアプタマーが挙げられる。更なる例としては、DNA標的化、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、鎖侵入オリゴヌクレオチド、及びCRISPR/Casのための合成ガイド鎖が挙げられる。これらの核酸は、様々な機構を介して作用する。参照により本明細書に組み込まれるSmith and Zain,Annu Rev Pharmacol Toxicol.2019,59:605-630を参照されたい。
スプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチドは、pre-mRNAと塩基対を形成し、スプライシング機構の成分とpre-mRNAとの間に生じるRNA-RNA塩基対形成又はタンパク質RNA結合相互作用を遮断することによって転写物の正常なスプライシングレパートリーを妨げる、短い合成アンチセンス修飾核酸である。pre-mRNAのスプライシングは、大多数のタンパク質コード遺伝子の適切な発現に必要であり、ひいては、プロセスを標的化することは、遺伝子からのタンパク質産生を操作する手段を提供する。スプライシング調節は、正常なスプライシングの阻害をもたらす変異によって引き起こされる疾患の場合に、又は遺伝子転写物の正常なスプライシングプロセスを妨げることが治療的であり得る場合に、特に価値がある。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、治療的な態様でスプライシングを標的化し、改変するための有効かつ特異的な方法を提供する。参照により本明細書に組み込まれるHavens and Hastings,Nucleic Acids Res.2016 Aug 19;44(14):6549-6563を参照されたい。
siRNA又はmiRNAの場合、これらの核酸は、RNA干渉(RNAi)と呼ばれるプロセスを介して特定のタンパク質の細胞内レベルを下方制御することができる。siRNA又はmiRNAの細胞質への導入後、これらの二本鎖RNA構築物は、RISCと呼ばれるタンパク質に結合することができる。siRNA又はmiRNAのセンス鎖は、RISC複合体から置換され、結合したsiRNA又はmiRNAの配列に相補的な配列を有するmRNAを認識して結合することができるRISC内の鋳型を提供する。相補的mRNAに結合すると、RISC複合体はmRNAを切断し、切断された鎖を放出する。RNAiは、タンパク質合成をコードする対応するmRNAの特異的破壊を標的とすることによって、特定のタンパク質の下方制御を可能にすることができる。
siRNA及びmiRNA構築物は、標的タンパク質に対する任意のヌクレオチド配列を用いて合成することができるので、RNAiの治療用途は極めて広い。今日まで、siRNA構築物は、インビトロ及びインビボモデルの両方において、並びに臨床研究において、標的タンパク質を特異的に下方制御する能力を示している。
アンチセンスオリゴヌクレオチド及びリボザイムはまた、mRNAのタンパク質への翻訳を阻害し得る。アンチセンス構築物の場合、これらの一本鎖デオキシ核酸は、標的タンパク質mRNAの配列に相補的な配列を有し、ワトソン-クリック塩基対形成によってmRNAに結合することができる。この結合は、標的mRNAの翻訳を妨げ、かつ/又はmRNA転写物のRNase H分解を引き起こし、結果として、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、作用の特異性(すなわち、特定の疾患関連タンパク質の下方制御)について非常に大きな可能性を有する。今日まで、これらの化合物は、炎症性疾患、がん、及びHIVのモデルなどのいくつかのインビトロ及びインビボモデルにおいて有望であることがわかっている(Agrawal,Trends in Biotech.14:376-387(1996)に概説されている)。アンチセンスはまた、染色体DNAと特異的にハイブリダイズすることによって細胞活性に影響を及ぼし得る。
免疫刺激核酸は、デオキシリボ核酸及びリボ核酸を含む。デオキシリボ核酸の場合、特定の配列又はモチーフが、哺乳動物において免疫刺激を誘発することがわかっている。これらの配列又はモチーフは、CpGモチーフ、ピリミジンリッチ配列及びパリンドローム配列を含む。デオキシリボ核酸中のCpGモチーフは、エンドソーム受容体、toll様受容体9(TLR-9)によって特異的に認識され、次いで、これが先天性及び後天性免疫刺激経路の両方を誘発すると考えられている。特定の免疫刺激リボ核酸配列も報告されている。これらのRNA配列は、toll様受容体6及び7(TLR-6及びTLR-7)に結合することによって免疫活性化を誘発すると考えられている。更に、二本鎖RNAはまた、免疫刺激性であることが報告されており、TLR-3への結合を介して活性化すると考えられている。
遺伝子転写、翻訳及び/又はタンパク質機能を調節するためのアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)の機構及び標的の非限定的な例を表9A及び表9Bに示す。
クラスター化して規則的に配置された短い回文配列リピート(CRISPR)及び関連するCasタンパク質は、CRISPR-Cas系を構成する。CRISPR-Casは、遺伝子編集の機構である。RNAガイド(例えば、gRNA)Cas9エンドヌクレアーゼは、配列依存的にDNAを特異的に標的とし、切断する。Cas9エンドヌクレアーゼは、本開示の任意のヌクレアーゼで置換することができる。gRNAは、ヌクレアーゼ(例えば、Cas9ヌクレアーゼ)を目的の特定のヌクレオチド領域(例えば、切断されるゲノムDNA配列)に標的化し、ゲノムDNAを切断する。次いで、ゲノムDNAを目的の遺伝要素で置き換えることができる。
組織分布及び/又は保持の調節方法
本明細書では、対象における治療剤の組織分布及び/又は保持を調節するための化合物及び方法が提供される。治療剤の組織分解を調節する化合物は、環状細胞透過性ペプチド(cCCP)及び環外ペプチド(EP)を含み得る。組織分布を調節するための方法は、対象に、環状細胞透過性ペプチド(cCPP)及び環外ペプチド(EP)を含む化合物を投与することを含み得る。化合物の組織分布又は保持の調節は、異なる組織におけるインビボでの化合物の量、発現、機能又は活性の測定によって評価することができる。組織は、同じ生物系の異なる組織、例えば、異なるタイプの筋肉組織又は中枢神経系内の異なる組織であり得る。組織は筋肉組織であってもよく、少なくとも1つの他のタイプの筋肉組織(例えば、横隔膜、前脛骨筋及び三頭筋を含むがこれらに限定されない骨格筋、又は平滑筋)と比較して、心筋組織における本化合物の分布又は保持の調節が存在する。組織はCNS組織であり得、少なくとも1つの他のタイプのCNS組織と比較して、少なくとも1つのCNS組織における本化合物の分布又は保持の調節が存在する。
本明細書に記載されるEPのいずれも、本方法で使用される化合物に含めるのに適している。EPは、PKKKRKVであり得る。EPは、KK、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV及びPKKKRKGであり得る。EPは、KK、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PGKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV及びPKKKRKGであり得る。
EPは、PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHを含み得、式中、Bはベータアラニンである。EPにおけるアミノ酸は、D又はL立体化学を有し得る。EPは、PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHであり得、式中、Bはベータアラニンである。EPにおけるアミノ酸は、D又はL立体化学を有し得る。
EPは、核局在化配列(NLS)として当技術分野で同定されたアミノ酸配列を含み得る。EPは、核局在化配列(NLS)として当該技術分野において同定されたアミノ酸配列からなり得る。EPは、アミノ酸配列PKKKRKVを含むNLSを含み得る。EPは、アミノ酸配列PKKKRKVを含むNLSからなり得る。EPは、NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK及びRKCLQAGMNLEARKTKKから選択されるアミノ酸を含むNLSを含み得る。EPは、NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK及びRKCLQAGMNLEARKTKKから選択されるアミノ酸を含むNLSからなり得る。
本化合物の量、発現、機能又は活性は、第2の組織と比較して、少なくとも1つの組織において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%増加し得る。
本化合物の量、発現、機能又は活性は、第2の組織と比較して、少なくとも1つの組織において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%減少し得る。
本化合物の量又は発現は、当技術分野で公知の方法(限定するものではないが、実施例に記載される方法論がなど)によって、異なる組織型において評価することができる。組織は、標準的な方法によって調製することができる。異なる組織における本化合物の量又は発現は、当技術分野で十分に確立された手法によって、例えば、LC-MS/MS、ウェスタンブロット分析又はELISAによって測定することができる。異なる組織における本化合物の機能又は活性は、関連する機能又は活性を評価するために確立された手法、例えば、オリゴヌクレオチドベースの治療部分の活性を評価するためのRT-PCRの使用によって測定することができる。例えば、目的の標的mRNAにおいてエクソンスキッピングを誘導する治療部分(TM)として使用されるアンチセンス化合物(AC)については、RT-PCRを使用して、異なる組織におけるエクソンスキッピングのレベルを定量化することができる。
中枢神経系(CNS)の組織における治療剤の組織分布及び/又は保持は、環状細胞透過性ペプチド(cCPP)及び環外ペプチド(EP)を含む化合物で調節することができる。本化合物は、対象に髄腔内投与することができ、本化合物は、中枢神経系(CNS)の組織における治療剤の組織分布及び/又は保持を調節することができる。CNSの組織の非限定的な例としては、小脳、皮質、海馬、嗅球、脊髄、後根神経節(DRG)及び脳脊髄液(CSF)が挙げられる。cCPP及びEPを含む本化合物は、髄腔内投与することができ、治療剤の発現、活性又は機能のレベルは、別のCNS組織と比較して少なくとも1つのCNS組織においてより高くなり得る。cCPP及びEPを含む本化合物は、髄腔内投与することができ、治療剤の発現、活性又は機能のレベルは、別のCNS組織と比較して少なくとも1つのCNS組織においてより低くなり得る。治療剤は、CD33標的化治療剤(例えば、CD33標的化アンチセンス化合物)を含み得、本化合物は髄腔内に投与される。cCPP及びEPを含む本化合物は、少なくとも1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg又は50mg/kgの用量で髄腔内投与することができる。
対象の中枢神経系(CNS)における治療剤の組織分布又は保持を調節する方法は、
(a)環状細胞透過性ペプチド(cCPP)と、
(b)上記治療剤を含む治療部分(TM)と、
(c)少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基を含む環外ペプチド(EP)とを含む化合物を対象に髄腔内投与することを含み、上記治療剤の量、発現、機能又は活性が、対象のCNSの第2の組織と比較して、対象のCNSの少なくとも1つの組織において、少なくとも10%調節される、方法。
治療剤の量、発現、機能又は活性は、対象のCNSの第2の組織と比較して、対象のCNSの少なくとも1つの組織において、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%調節され得る。
CNS関連疾患又は障害について本明細書に記載される治療薬のいずれも、本方法で使用される化合物に含めるのに適している。治療剤は、CD33標的治療剤、例えば、本明細書に記載されるCD33標的アンチセンス化合物のいずれかを含み得る。
本明細書に記載されるCPPのいずれも、本方法で使用される化合物に含めるのに適している。CPPは、環状CPP(cCPP)であり得る。
本化合物は、中枢神経系疾患若しくは障害又は神経炎症性疾患若しくは障害を有する対象を治療するために使用することができる。実施形態では、対象は、アルツハイマー病又はパーキンソン病を有する。
異なるタイプの筋肉組織における治療剤の組織分布及び/又は保持を調節することができる。筋肉組織の非限定的な例としては、横隔膜、心筋(心臓)筋、前脛骨筋、三頭筋、他の骨格筋及び平滑筋が挙げられる。cCPP、EP及び治療剤を含む化合物を投与することができ、治療剤の発現、活性又は機能のレベルは、別の筋組織と比較して少なくとも1つの筋組織においてより高くなり得る。cCPP、EP及び治療剤を含む化合物を投与することができ、治療剤の発現、活性又は機能のレベルは、少なくとも1つの筋組織において、別の筋組織と比較して低くなり得る。治療剤は、ジストフィン標的化治療剤(例えば、DMD標的化アンチセンス化合物)であり得る。本化合物は、少なくとも1mg/kg、5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg又は50mg/kgの投与量で投与することができる。
対象の筋系における治療剤の組織分布又は保持を調節する方法であって、
(a)環状細胞透過性ペプチド(cCPP)と、
(b)上記治療剤を含む治療部分(TM)と、
(c)少なくとも1つの正に荷電したアミノ酸残基を含む環外ペプチド(EP)とを含む化合物を対象に投与することを含み、上記治療剤の量、発現、機能又は活性が、対象の筋系の第2の組織と比較して、対象の筋系の少なくとも1つの組織において、少なくとも10%調節される、方法。
治療剤の量、発現、機能又は活性は、対象の筋系の第2の組織と比較して、対象の筋系の少なくとも1つの組織において、少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%又は500%調節され得る。
筋系に関連する疾患又は障害のための本明細書に記載される治療剤のいずれも、本方法において使用される本化合物に含めるのに適している。治療剤は、DMD標的化アンチセンス化合物などのDMD標的化治療剤であり得る。
本明細書に記載されるCPPのいずれも、本方法で使用される本化合物に含めるのに適している。実施形態では、CPPは、環状CPP(cCPP)である。
実施形態では、対象は、神経筋障害又は筋骨格障害を有する。実施形態では、対象は、デュシェンヌ型筋ジストロフィーを有する。
異常スプライシング関連する疾患及び例示的な標的遺伝子
ヒトゲノムは40,000を超える遺伝子を含み、そのおよそ半分がタンパク質コード遺伝子に対応する。しかしながら、ヒトタンパク質種の数は、単一アミノ酸多型、翻訳後修飾、及び重要なことには選択的スプライシングのために、桁違いに多いと予測される。一般に核内で起こるRNAスプライシングは、非コード領域(イントロン)を除去し、残りのコード領域(エクソン)を一緒に結合することによって、前駆体メッセンジャーRNA(pre-mRNA)が成熟メッセンジャーRNA(mRNA)に変換されるプロセスである。次いで、得られたmRNAは、核から輸送され、タンパク質に翻訳され得る。選択的スプライシング又は差次的スプライシングは、複数のタンパク質をコードする単一の遺伝子をもたらす遺伝子発現における調節されたプロセスである。このプロセスにおいて、遺伝子の特定のエキソンは、その遺伝子から産生される最終的なプロセシングされたmRNA内に含まれ得るか、又はそれから除外され得る。選択的スプライシングは真核生物における正常な現象であり、ゲノムによってコードされるタンパク質の生体多様性に寄与するが、スプライシングにおける異常な変異は疾患に大きく関与している。ヒト遺伝子疾患の大部分は、スプライシング変異体に起因する。異常なスプライシング変異体は、がんの発生に寄与し、スプライシング因子遺伝子は、異なるタイプのがんにおいて頻繁に変異する。
ヒト遺伝子変異データベース(HGMD)において報告されている約80,000個の変異の約10%が、スプライス部位に影響を及ぼす。HGMDでは、+1ドナースプライス部位で生じる3390の疾患を引き起こす変異が存在する。これらの変異は、901個の遺伝子中の2754個のエキソンに影響を及ぼす。有病率は、筋肉構造タンパク質をコードする遺伝子の異常に大きなサイズ及びマルチエクソン構造に起因して、神経筋障害(NMD)について更に高く、NMDにおけるこれらの変異の重要性を更に強調する。
これまで、点変異、例えば、スプライス部位変異の修正は、相同組換え修復(HDR)経路を介して試みられてきたが、これは、骨格筋などの有糸分裂後組織において極めて非効率的であり、NMDにおけるその治療的有用性を妨げている。更に、修正されたコード領域をゲノムに再導入するための標準的な遺伝子治療アプローチは、例えば、筋肉構造タンパク質をコードする大きなサイズの遺伝子によって妨げられる。更に、多くの既存の療法は、疾患細胞への治療化合物の非効率的な導入に依存しており、その結果、インビボ治療は非実用的であり、より高い毒性が現れる。
本開示の標的遺伝子は、1つ以上のイントロン及び1つ以上のエクソンを含む任意の真核生物遺伝子であり得る。標的遺伝子は、哺乳動物遺伝子であり得る。哺乳動物は、ヒト、マウス、ウシ、ラット、ブタ、ウマ、ニワトリ、ヒツジなどであり得る。標的遺伝子は、ヒト遺伝子であり得る。
標的遺伝子は、異常スプライシングをもたらす変異を含む遺伝子であり得る。標的遺伝子は、1つ以上の変異を含む遺伝子であり得る。標的遺伝子は、標的遺伝子の転写及び翻訳が機能タンパク質をもたらさないように、1つ以上の変異を含む遺伝子であり得る。標的遺伝子は、標的遺伝子の転写及び翻訳が、野生型標的タンパク質よりも活性が低い又は機能的でない標的タンパク質をもたらすように、1つ以上の変異を含む遺伝子であり得る。
標的遺伝子は、遺伝的障害の基礎となる遺伝子であり得る。標的遺伝子は、中枢神経系において異常な遺伝子発現を有し得る。標的遺伝子は、神経筋障害(NMD)の病因に関与する遺伝子であり得る。標的遺伝子は、筋骨格障害(NMD)の病因に関与する遺伝子であり得る。神経筋疾患はポンペ病であってよく、標的遺伝子はGYS1であってよい。
アンチセンス化合物は、スプライシングをリダイレクトして所望のスプライス産物を得るために、遺伝子疾患の基礎となる異常なスプライシングをもたらす変異を含む遺伝子を標的とするために使用され得る(Kole,Acta Biochimica Polonica,1997,44,231-238)。
CRISPR遺伝子編集機構は、除去のために異常遺伝子を標的化するために、又は遺伝子転写及び翻訳を調節するために使用され得る。
疾患には、β-サラセミアが含まれ得る(Dominski and Kole,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1993,90,8673-8677、Sierakowska et al.,Nucleosides & Nucleotides,1997,16,1173-1182、Sierakowska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,1996,93,12840-44、Lacerra et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2000,97,9591-9596)。
疾患には、ジストロフィン神戸が含まれ得る(Takeshima et al.,J.Clin.Invest.,1995,95,515-520)。
疾患には、デュシェンヌ型筋ジストロフィーが含まれ得る(Dunckley et al.Nucleosides & Nucleotides,1997,16,1665-1668、Dunckley et al.Human Mol.Genetics,1998,5,1083-90)。標的遺伝子は、ジストロフィンをコードするDMD遺伝子であり得る。タンパク質は、アクチンフィラメントに結合するN末端ドメイン、中心ロッドドメイン、及びジストロフィン-糖タンパク質複合体に結合するC末端システインリッチドメインからなる(Hoffman et al.1987、Koenig et al.1988、Yoshida and Ozawa 1990)。リーディングフレームを中断するDMD遺伝子における変異は、ジストロフィン機能の完全な喪失をもたらし、これは重度のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)[MIM 310200]を引き起こす。一方、より軽度のベッカー型筋ジストロフィー(BMD[MIM300376])は、フレームシフトではない同じ遺伝子における変異の結果であり、内部欠失しているが、部分的に機能的な、そのN末端及びC末端を保持しているジストロフィンをもたらす(Koenig et al.1989、Di Blasi et al.1996)。DMD及びBMDを有する患者の3分の2超が、2個以上のエクソンの欠失を有する(den Dun-nen et al.1989)。注目すべきことに、非常に軽度のBMDを示し、中心ロッドドメインの最大67%を欠く患者が記載されている(England et al.1990、Winnard et al.1993、Mirabella et al.1998)。これは、大きな欠失にもかかわらず、欠失が転写産物をインフレームにするという条件で、部分的に機能的なジストロフィンが生成され得ることを示唆する。これらの観察結果から、オープンリーディングフレームが回復し、重度のDMD表現型がより軽度のBMD表現型に変換されるように、スプライシングを変更するためにACを使用するという考えが導かれた。いくつかの研究は、mdxマウスモデルに由来する細胞における治療的AC誘導性単一エクソンスキッピング(Dunckley et al.1998、Wilton et al.1999、Mann et al.2001,2002、Lu et al.2003)及び様々なDMD患者(Takeshima et al.2001、van Deutekom et al.2001、Aartsma-Rus et al.2002,2003、De Angelis et al.2002)を示している。ACは、DMDのエクソン2、8、11、17、19、23、29、40、41、42、43、44、45、46、48、49、50、51、52、53、55、及び59から選択される1つ以上のエクソンをスキップするために使用され得る。参照により本明細書に組み込まれるAartsma-Rus et al.2002を参照されたい。ACは、DMDのエクソン8、11、43、44、45、50、51、53、及び55から選択される1つ以上のエクソンをスキップするために使用され得る。DMDを有する全ての患者のうち、約75%が、これらのエクソンのスキッピングから生じる。フレーム外欠失に隣接するエクソン又はナンセンス変異を含有するフレーム内エクソンのスキップは、リーディングフレームを回復させ、処置細胞においてBMD様ジストロフィンの合成を誘導することができる。(van Deutekom et al.2001、Aartsma-Rus et al.2003)。標的DMD pre-mRNA内のその標的配列にハイブリダイズするACは、1つ以上のエクソンのスキッピングを誘導することができる。ACは、ジストロフィンの活性断片を含む再スプライシングされた標的タンパク質の発現を誘導することができる。エクソン52に対するACの非限定的な例は、米国特許出願公開第2019/0365918号に記載されており、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み込まれる化合物は、EP、cCPP、及びDMD遺伝子を標的とするカーゴを含み得る。
カーゴ部分にコンジュゲートされた環状細胞透過性ペプチド(cCPP)
環状細胞透過性ペプチド(cCPP)は、カーゴ部分にコンジュゲートされ得る。
カーゴ部分は、リンカーを介してcCPPにコンジュゲートされ得る。カーゴ部分は、治療部分を含み得る。治療部分は、オリゴヌクレオチド、ペプチド又は小分子を含み得る。オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含み得る。カーゴ部分は、末端カルボニル基でリンカーにコンジュゲートされて、以下の構造:
を提供することができ、式中、
EPは環外ペプチドであり、M、AASC、Cargo、x’、y及びz’は上に定義される通りであり、*はAASCへの結合点である。x’は1であり得る。yは4であり得る。z’は11であり得る。-(OCH2CH-2)x’-及び/又は-(OCH2CH-2)z’-は、独立して、例えば、グリシン、ベータアラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノペンタン酸、6-アミノヘキサン酸、又はこれらの組み合わせなどの1つ以上のアミノ酸で置き換えることができる。
エンドソーム脱出ビヒクル(EEV)は、環状細胞透過性ペプチド(cCPP)、環外ペプチド(EP)及びリンカーを含み得、カーゴにコンジュゲートして、式(C)の構造:
又はそのプロトン化形態を含むEEV-コンジュゲートを形成することができ、
式中、
R1、R2及びR3は、各々独立して、H又は芳香族基を含む側鎖を有するアミノ酸残基であってもよく、
R4は、H又はアミノ酸側鎖であり、
EPは、本明細書で定義される環外ペプチドであり、
カーゴは、本明細書で定義される部分であり、
各mは、独立して、0~3の整数であり、
nは、0~2の整数であり、
x’は、2~20の整数であり、
yは、1~5の整数であり、
qは、1~4の整数であり、
z’は、2~20の整数である。
R1、R2、R3、R4、EP、カーゴ、m、n、x’、y、q、及びz’は、本明細書で定義される通りである。
EEVはカーゴにコンジュゲートされ得、EEV-コンジュゲートは、式(C-a)又は(C-b)の構造:
又はそのプロトン化形態を含み得、式中、EP、m及びzは、式(C)において先に定義された通りである。
EEVはカーゴにコンジュゲートされ得、EEV-コンジュゲートは式(C-c):
の構造、又はそのプロトン化形態を含み得、式中、EP、R1、R2、R3、R4、及びmは、式(III)において先に定義された通りであり、AAは、本明細書で定義されるアミノ酸であり得、nは0~2の整数であり得、xは1~10の整数であり得、yは1~5の整数であり得、zは1~10の整数であり得る。
EEVは、オリゴヌクレオチドカーゴにコンジュゲートされ得、EEV-オリゴヌクレオチドコンジュゲートは、式(C-1)、(C-2)、(C-3)、又は(C-4)の構造:
を含み得る。
EEVは、オリゴヌクレオチドカーゴにコンジュゲートされ得、EEVコンジュゲートは、構造:
を含み得る。
細胞質送達効率
環状細胞透過性ペプチド(cCPP)への修飾は、細胞質送達効率を改善し得る。改善された細胞質取り込み効率は、修飾配列を有するcCPPの細胞質送達効率を対照配列と比較することによって測定することができる。制御配列は、修飾配列中に特定の置換アミノ酸残基(限定するものではないが、アルギニン、フェニルアラニン、及び/又はグリシンなど)を含まないが、それ以外の点では同一である。
本明細書で使用される場合、細胞質送達効率は、細胞膜を横断して細胞の細胞質に入るcCPPの能力を指す。cCPPの細胞質送達効率は、受容体又は細胞型に必ずしも依存しない。細胞質送達効率は、絶対的細胞質送達効率又は相対的細胞質送達効率を指す場合がある。
絶対細胞質送達効率は、増殖培地中のcCPP(又はcCPP-カーゴコンジュゲート)の濃度に対するcCPP(又はcCPP-カーゴコンジュゲート)の細胞質ゾル濃度の比である。相対的細胞質送達効率は、細胞質ゾル中の対照cCPPの濃度と比較した細胞質ゾル中のcCPPの濃度を指す。定量化は、cCPPを蛍光標識し(例えば、FITC色素で)、当技術分野で周知の技術を用いて蛍光強度を測定することによって達成することができる。
相対的細胞質送達効率は、(i)細胞型(例えば、HeLa細胞)によって内在化された本発明のcCPPの量を、(ii)同じ細胞型によって内在化された対照cCPPの量と比較することによって求められる。相対的な細胞質送達効率を測定するために、細胞型は、特定の期間(例えば、30分、1時間、2時間など)、cCPPの存在下でインキュベートしてもよく、その後、細胞によって内在化されたcCPPの量が、当技術分野で公知の方法、例えば、蛍光顕微鏡法を用いて定量される。別個に、同じ濃度の対照cCPPを同じ期間にわたって細胞型の存在下でインキュベートし、細胞によって内在化された対照cCPPの量を定量する。
相対的な細胞質送達効率は、細胞内標的に対する修飾配列を有するcCPPのIC50を測定し、修飾配列を有するcCPPのIC50を対照配列と比較することによって求めることができる(本明細書に記載のとおり)。
cCPPの相対的な細胞質送達効率は、シクロ(FfΦRrRrQ)と比較して、約50%から約450%の範囲、例えば、約60%、約70%、約80%、約90%、約100%、200%、約110%、210%、約120%、220%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約300%、約310%、約320%、約230%、330%、約240%、約250%、約260%、約270%、約280%、約290%、約400%、約410%、約420%、約430%、約340%、約350%、約360%、約370%、約、約380%、約390%、約、約、約440%、約450%、約460%、約470%、約480%、約490%、約500%、約510%、約520%、約530%、約540%、約550%、約560%、約580%、約570%、約580%又は約590%(その間の全ての値及び部分範囲を含む)の範囲であり得る。cCPPの相対的細胞質送達効率は、環状(FfφRrRrQ)を含む環状ペプチドと比較して約600%を超えて改善され得る。
絶対細胞質送達効率は、約40%から約100%、例えば、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%(これらの間の全ての値及び部分範囲を含む)である。
本開示のcCPPは、他の点では同一の配列と比較して、細胞質送達効率を、約1.1倍から約30倍、例えば、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2.0倍、約2.5倍、約3.0倍、約3.5倍、約4.0倍、約4.5倍、約5.0倍、約5.5倍、約6.0倍、約6.5倍、約7.0倍、約7.5倍、約8.0倍、約8.5倍、約9.0倍、約10倍、約10.5倍、約11.0倍、約11.5倍、約12.0倍、約12.5倍、約13.0倍、約13.5倍、約14.0倍、約14.5倍、約15.0倍、約15.5倍、約16.0倍、約16.5倍、約17.0倍、約17.5倍、約18.0倍、約18.5倍、約19.0倍、約19.5倍、約20倍、約20.5倍、約21.0倍、約21.5倍、約22.0倍、約22.5倍、約23.0倍、約23.5倍、約24.0倍、約24.5倍、約25.0倍、約25.5倍、約26.0倍、約26.5倍、約27.0倍、約27.5倍、約28.0倍、約28.5倍、約29.0倍、又は約29.5倍(これらの間の全ての値及び部分範囲を含む)改善し得る。
製造方法
本明細書に記載の化合物は、有機合成の当業者に公知の様々な方法、又は当業者によって理解されるようなその変形で調製することができる。本明細書に記載される化合物は、容易に入手可能な出発物質から調製することができる。最適な反応条件は、使用される特定の反応物又は溶媒によって変化し得るが、当業者は、このような条件を決定することができる。
本明細書に記載される化合物の変形は、各化合物について記載されるような種々の構成要素の付加、除去、又は移動を含む。同様に、1つ以上のキラル中心が分子中に存在する場合、分子のキラリティを変化させることができる。更に、化合物の合成は、種々の化学基の保護及び脱保護を含み得る。当業者は、保護及び脱保護の使用、並びに適切な保護基の選択を決定することができる。保護基の化学は、例えば、Wuts and Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,4 th Ed.,Wiley & Sons,2006に見出すことができ、これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
本開示の化合物及び組成物を調製する際に使用される出発材料及び試薬は、アルドリッチ化学コーポレーション(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、アクロスオーガニクス(モリス・プレインズ、ニュージャージー州)、フィッシャーサイエンティフィック(ピッツバーグ、ペンシルベニア州)、シグマ(セントルイス、ミズーリ州)、ファイザー(ニューヨーク、ニューヨーク州)、グラクソ・スミスクライン(ローリー、ノースカロライナ州)、メルク(ホワイトハウス駅、ニュージャージー州)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(ニューブランズウィック、ニュージャージー州)、アベンティス(ブリッジウォーター、ニュージャージー州)、アストラゼネカ(ウィルミントン、デラウェア州)、ノバルティス社(バーゼル、スイス)、ワイエス(マディソン、ニュージャージー州)、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ社(ニューヨーク、ニューヨーク州)、ロシュ(バーゼル、スイス)、リリー(インディアナポリス、インディアナ州)、アボット(アボットパーク、イリノイ州)、シェーリング・プラウ(ケニルワース、ニュージャージー州)、若しくはベーリンガーインゲルハイム(インゲルハイム、ドイツ)などの商業的供給業者から入手可能であるか、又はFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,Volumes 1-17(John Wiley and Sons,1991)、Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds,Volumes 1-5 and Supplementals(Elsevier Science Publishers,1989)、Organic Reactions,Volumes 1-40(John Wiley and Sons,1991)、March’s Advanced Organic Chemistry,(John Wiley and Sons,4th Edition)、及びLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989)などの参考文献に記載される手順に従って当業者に公知の方法によって調製されるかのいずれかである。本明細書に開示される医薬担体などの他の材料は、商業的供給源から得ることができる。
本明細書に記載の化合物を生成するための反応は、有機合成の当業者によって選択され得る溶媒中で行うことができる。溶媒は、反応が行われる条件、すなわち、温度及び圧力下で、出発物質(反応物)、中間体、又は生成物と実質的に非反応性であり得る。反応は、1種の溶媒又は2種以上の溶媒の混合物中で行うことができる。生成物又は中間体の形成は、当技術分野で公知の任意の適切な方法に従ってモニタリングすることができる。例えば、生成物の形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴分光法(例えば、1H又は13C)赤外分光法、分光光度法(例えば、UV-可視)、又は質量分析によって、あるいはクロマトグラフィー、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)又は薄層クロマトグラフィーによってモニタリングすることができる。
本開示の化合物は、アミノ酸α-N末端が酸又は塩基保護基によって保護される固相ペプチド合成によって調製することができる。そのような保護基は、成長中のペプチド鎖の破壊又はその中に含まれるキラル中心のいずれかのラセミ化を伴うことなく容易に除去することが可能でありながら、ペプチド結合形成の条件に対して安定であるという特性を有するべきである。好適な保護基は、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、o-ニトロフェニルスルフェニル、2-シアノ-t-ブチルオキシカルボニルなどである。9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基は、本開示の化合物の合成に特に好ましい。他の好ましい側鎖保護基は、リジン及びアルギニンのような側鎖アミノ基については、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(pmc)、ニトロ、p-トルエンスルホニル、4-メトキシベンゼンスルホニル、Cbz、Boc、及びアダマンチルオキシカルボニルであり、チロシンについては、ベンジル、o-ブロモベンジルオキシ-カルボニル、2,6-ジクロロベンジル、イソプロピル、t-ブチル(t-Bu)、シクロヘキシル、シクロペニル及びアセチル(Ac)であり、セリンについては、t-ブチル、ベンジル及びテトラヒドロピラニルであり、ヒスチジンについては、トリチル、ベンジル、Cbz、p-トルエンスルホニル及び2,4-ジニトロフェニルであり、トリプトファンについては、ホルミルであり、アスパラギン酸及びグルタミン酸については、ベンジル及びt-ブチルであり、システインについては、トリフェニルメチル(トリチル)である。
固相ペプチド合成法において、α-C末端アミノ酸は、適切な固体支持体又は樹脂に結合される。上記の合成に有用な適切な固体支持体は、段階的縮合-脱保護反応の試薬及び反応条件に対して不活性であり、かつ、使用される媒体に不溶性である材料である。α-C-末端カルボキシペプチドの合成のための固体支持体は、アプライド・バイオシステムズ(フォスターシティ、カリフォルニア州)から入手可能な4-ヒドロキシメチルフェノキシメチル-コポリ(スチレン-1%ジビニルベンゼン)又は4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂である。α-C-末端アミノ酸は、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)又はO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)を用いて、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)又はビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCl)を用いて又は用いずに、ジクロロメタン又はDMFなどの溶媒中、10℃~50℃の温度で約1から約24時間、媒介カップリングにより樹脂にカップリングされる。固体支持体が4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)フェノキシ-アセトアミドエチル樹脂である場合、Fmoc基は、上記のようにα-C-末端アミノ酸とカップリングする前に、第二級アミン、好ましくはピペリジンで切断される。脱保護された4(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)フェノキシ-アセトアミドエチル樹脂へのカップリングのための1つの方法は、DMF中のO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1当量)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)である。連続する保護アミノ酸のカップリングは、自動ポリペプチド合成装置で行うことができる。一例において、成長するペプチド鎖のアミノ酸におけるα-N末端は、Fmocで保護される。成長するペプチドのα-N末端側からのFmoc保護基の除去は、第二級アミン、好ましくはピペリジンでの処理によって達成される。次いで、各保護アミノ酸を約3倍モル過剰で導入し、カップリングを好ましくはDMF中で実施する。カップリング剤は、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、1当量)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT、1当量)であり得る。固相合成の最後に、ポリペプチドを樹脂から除去し、連続的に又は単一の操作で脱保護する。ポリペプチドの除去及び脱保護は、樹脂に結合したポリペプチドを、チオアニソール、水、エタンジチオール及びトリフルオロ酢酸を含む切断試薬で処理することによって、単一の操作で達成され得る。ポリペプチドのα-C-末端がアルキルアミドである場合、樹脂は、アルキルアミンによるアミノリシスによって切断される。あるいは、ペプチドは、例えば、メタノールとのエステル交換と、それに続くアミノ分解又は直接アミド交換によって除去することができる。保護されたペプチドは、この時点で精製することができ、又は次の工程に直接持ち込むことができる。側鎖保護基の除去は、上記の切断カクテルを用いて達成することができる。完全に脱保護されたペプチドは、以下のタイプのいずれか又は全てを用いる一連のクロマトグラフィー工程によって精製することができる。弱塩基性樹脂(アセテート形態)によるイオン交換、誘導体化されていないポリスチレン-ジビニルベンゼン(例えば、Amberlite XAD)による疎水性吸着クロマトグラフィー、シリカゲル吸着クロマトグラフィー、カルボキシメチルセルロースによるイオン交換クロマトグラフィー、例えば、Sephadex G-25、LH-20又は向流分配による分配クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、特にオクチル又はオクタデシルシリル-シリカ結合相カラム充填剤による逆相HPLC。
使用方法
本明細書に記載の化合物又は組成物の使用方法も本明細書で提供される。それを必要とする対象の疾患又は病状を治療する方法であって、有効量の本明細書に記載の化合物又は組成物のいずれかを対象に投与することを含む方法も本明細書において提供される。組成物の化合物は、本明細書に開示される治療部分による治療に修正可能な任意の疾患又は状態を治療するために使用することができる。
対象のがんを治療する方法も本明細書で提供される。本方法は、有効量の本明細書に記載の化合物若しくは組成物又はその薬学的に許容される塩のうちの1つ以上を対象に投与することを含む。本明細書に記載の化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩は、ヒトの、例えば、小児及び老人集団のがんの治療、並びに動物の、例えば、獣医学的用途において有用である。本開示の方法は、任意選択で、がんの治療を必要としている、又は必要とし得る患者を特定することを含み得る。本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療可能ながんタイプの例としては、膀胱がん、脳がん、乳がん、結腸直腸がん、子宮頸がん、胃腸がん、泌尿生殖器がん、頭頸部がん、肺がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、腎臓がん、皮膚がん、及び精巣がんが挙げられる。更なる例としては、肛門、胆管、骨、骨髄、腸(結腸及び直腸を含む)、眼、胆嚢、腎臓、口、喉頭、食道、胃、精巣、子宮頸部、中皮腫、神経内分泌、陰茎、皮膚、脊髄、甲状腺、膣、外陰部、子宮、肝臓、筋肉、血液細胞(リンパ球及び他の免疫系細胞を含む)のがん及び/又は腫瘍が挙げられる。本明細書に記載の化合物及び組成物によって治療可能ながんの更なる例としては、がん腫、カポジ肉腫、黒色腫、中皮腫、軟部組織肉腫、膵臓がん、肺がん、白血病(急性リンパ芽球性、急性骨髄性、慢性リンパ球性、慢性骨髄性など)、及びリンパ腫(ホジキン及び非ホジキン)、及び多発性骨髄腫が挙げられる。
本明細書に記載されるがんの治療又は予防の方法は、1つ以上の追加の薬剤(例えば、抗がん剤又は電離放射線)による治療を更に含み得る。本明細書に記載される1つ以上の追加の薬剤並びに化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩は、任意の順序で、例えば、同時投与、並びに最大で数日の時間間隔を空けた順序で投与することができる。本方法はまた、本明細書に記載の1つ以上の追加の薬剤並びに/又は化合物及び組成物若しくは薬学的に許容されるその塩の1回を超える投与を含み得る。本明細書に記載される1つ以上の追加の薬剤並びに化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩の投与は、同じ経路又は異なる経路によるものであり得る。1つ以上の追加の薬剤で治療する場合、本明細書に記載の化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩を組み合わせて、1つ以上の追加の薬剤を含む医薬組成物にすることができる。
例えば、本明細書に記載の化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩を組み合わせて追加の抗がん剤、例えば、13-cis-レチノイン酸、2-アミノ-6-メルカプトプリン、2-CdA、2-クロロデオキシアデノシン、5-フルオロウラシル、6-チオグアニン、6-メルカプトプリン、アキュタン、アクチノマイシン-D、アドリアマイシン、アドルシル、アグリリン、Ala-Cort、アルデスロイキン、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アルカバン-AQ、アルケラン、全トランス型レチノイン酸、アルファインターフェロン、アルトレタミン、アメトプテリン、アミフォスチン、アミノグルテチミド、アナグレリド、アナンドロン、アナストロゾール、アラビノシルシトシン、Aranesp、Aredia、アロマシン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、ATRA、アバスチン、BCG、BCNU、ベバシズマブ、ベキサロテン、ビカルタミド、BiCNU、ブレノキサン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブスルファン、ブスルフェックス、C225、ロイコボリンカルシウム、カンパス、カンプトサール、カンプトテシン-11、カペシタビン、カーラック、カルボプラチン、カルムスチン、カルムスチンウェーハ、カソデックス、CCNU、CDDP、CeeNU、セルビジン、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、シトロボラム因子、クラドリビン、コルチゾン、コスメゲン、CPT-11、シクロホスファミド、シタドレン、シタラビン、シタラビンリポソーム、Cytosar-U、サイトキサン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダルベポエチンアルファ、ダウノマイシン、ダウノルビシン、塩酸ダウノルビシン、ダウノルビシンリポソーム、DaunoXome、デカドロン、Delta-Cortef、デルタゾン、デニロイキンジフチトクス、デポサイト、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、Dexasone、デクスラゾキサン、DHAD、DIC、Diodex、ドセタキセル、ドキシル、ドキソルビシン、ドキソルビシンリポソーム、Droxia、DTIC、DTIC-Dome、Duralone、Efudex、エリガード、Ellence、エロキサチン、Elspar、Emcyt、エピルビシン、エポエチンアルファ、エルビタックス、エルビニアL-アスパラギナーゼ、エストラムスチン、Ethyol、Etopophos、エトポシド、エトポシドホスフェート、Evulexin、エビスタ、エキセメスタン、フェアストン、フェソロデックス、フェマーラ、フィルグラスチム、フロクスウリジン、フルダラ、フルダラビン、フルオロプレックス、フルオロウラシル、フルオロウラシル(クリーム)、フルオキシメステロン、フルタミド、フォリン酸、FUDR、フルベストラント、G-CSF、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲムツズマブオゾガマイシン、ゲムザール、グリベック、ルプロン、ルプロンデポー、Matulane、マキシデックス、メクロレタミン、メクロレタミン塩酸塩、メドラロン、メドロール、メグレス、メゲストロール、酢酸メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メネクス、メトトレキサート、メトトレキサートナトリウム、メチルプレドニゾロン、ミロセル、レトロゾール、ネオサール、ニューラスタ、ヌメガ、ネプゲン、Nilandron、ニルタミド、ナイトロジェン・マスタード、Novaldex、ノバントロン、オクトレオチド、オクトレオチド酢酸塩、Oncospar、オンコビン、Ontak、Onxal、Oprevelkin、Orpred、Orasone、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、Panretin、パラプラチン、Pediapred、PEGインターフェロン、ペグアスパルガーゼ、ペグフィルグラスチム、PEG-INTRON、PEG-L-アスパラギナーゼ、フェニルアラニンマスタード、Platinol、Platinol-AQ、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン、プロカルバジン、プロクリット、Proleukin、カルムスチンインプラントを有するProlifegroprolife 20、Purinethol、ラロキシフェン、リウマトレックス、リツキサン、リツキシマブ、Roveron-A(インターフェロンアルファ-2a)、ルベックス、ルビドマイシン塩酸塩、サンドスタチン、サンドスタチンLAR、サルグラモスチム、ソル・コーテフ、ソルメドロール、STI-571、ストレプトゾシン、タモキシフェン、Targetretin、タキソール、タキソテール、テモダール、テモゾロマイド、テニポシド、TESPA、サリドマイド、サロミド、TheraCys、チオグアニン、チオグアニンTabloid、チオホスホアミド、Thioplex、チオテパ、TICE、Toposar、トポテカン、トレミフェン、トラスツブマブ、トレチノイン、Trexall、トリセノックス、TSPA、VCR、Velban、
ベルケイド、ベプシド、ベサノイド、Viadur、ビンブラスチン、硫酸ビンブラスチン、ビンカサールPfs、ビンクリスチン、ビノレルビン、酒石酸ビノレルビン、VLB、VP-16、Vumon、ゼローダ、ザノサー、ゼバリン、Zinecard、ゾラデックス、ゾレドロン酸、ゾメタ、ギリアデルウェハー、グリベック、GM-CSF、ゴセレリン、顆粒球コロニー刺激因子、ハロテスチン、ハーセプチン、ヘキサドロール、Hexalen、ヘキサメチルメラミン、HMM、ハイカムチン、ハイドレア、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルトン、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、イダマイシン、イダルビシン、イフェックス、IFN-アルファ、イホスファミド、IL 2、IL-11、メシル酸イマチニブ、イミダゾールカルボキサミド、インターフェロンアルファ、インターフェロンアルファ-2b(PEGコンジュゲート)、インターロイキン2、インターロイキン-11、イントロンA(インターフェロンアルファ-2b)、ロイコボリン、ロイケラン、Leukine、ロイプロリド、ロイロクリスチン、ロイスタチン、リポソームAra-C、Liquid Pred、ロムスチン、L-PAM、L-サルコリシン、メチコルテン、マイトマイシン、マイトマイシン-C、ミトキサントロン、M-プレドニゾール、MTC、MTX、ムスターゲン、ムスチン、ムタマイシン、マイレラン、イレッサ、イリノテカン、イソトレチノイン、キドロラーゼ、ラナコート、L-アスパラギナーゼ、及びLCR、を含む医薬組成物にすることができる。追加の抗がん剤は、例えば、抗体などの生物製剤も含み得る。
多くの腫瘍及びがんは、腫瘍又はがん細胞に存在するウイルスゲノムを有する。例えば、エプスタイン-バーウイルス(EBV)は、いくつかの哺乳動物悪性腫瘍に関連する。本明細書に開示される化合物はまた、細胞形質転換を引き起こし得るウイルスに感染した患者を治療するために、かつ/又は細胞中のウイルスゲノムの存在に関連する腫瘍若しくはがんを有する患者を治療するために、単独で、又はがんシクロビル、アジドチミジン(AZT)、ラミブジン(3TC)などの抗がん剤若しくは抗ウイルス剤と組み合わせて使用することができる。本明細書に開示される化合物は、腫瘍性疾患のウイルスベースの治療と組み合わせて使用することもできる。
対象の腫瘍細胞を死滅させる方法も本明細書に記載される。本方法は、腫瘍細胞を有効量の本明細書に記載の化合物又は組成物と接触させることを含み、任意選択で、腫瘍細胞に有効量の電離放射線を照射する工程を含む。更に、本明細書では、腫瘍の放射線療法の方法が提供される。本方法は、腫瘍細胞を有効量の本明細書に記載の化合物又は組成物と接触させること、及び腫瘍を有効量の電離放射線で照射することを含む。本明細書で使用される場合、電離放射線という用語は、イオン化を生じるのに十分なエネルギーを有するか、又は核相互作用を介して十分なエネルギーを生成することができる粒子又は光子を含む放射線を指す。電離放射線の例は、X線である。電離放射線の有効量は、本明細書に記載される化合物と組み合わせて投与された場合に、細胞の損傷又は死の増加をもたらす電離放射線の線量を指す。電離放射線は、放射性標識抗体及び放射性同位体を投与することなどの、当技術分野で公知の方法に従って加えることができる。
本明細書に記載の方法及び化合物は、予防的処置及び治療的処置の両方に有用である。本明細書で使用される場合、治療又は治療という用語は予防、発症の遅延、発症後の徴候又は症状の増悪の減退、根絶又は遅延、及び再発の予防を含む。予防的使用のために、治療有効量の本明細書に記載される化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩は、発症前に(例えば、がんの明らかな徴候の前に)、早期発症中に(例えば、がんの初期徴候及び症状の際に)、又はがんの発症が確立した後に対象に投与される。予防的投与は、感染の症状が現れる前に数日から数年にわたって行うことができる。予防的投与は、例えば、前がん病変を呈する対象、初期段階の悪性腫瘍と診断された対象、及び特定のがんに対する感受性を有するサブグループ(例えば、家族、人種、及び/又は職業)の化学予防的治療において使用することができる。治療的処置は、がんが診断された後に、治療有効量の本明細書に記載の化合物及び組成物又はその薬学的に許容される塩を対象に投与することを含む。
対象のがん又は腫瘍を処置する方法のいくつかの例において、対象に投与される本化合物又は組成物は、Ras(例えば、K-Ras)、PTP1B、Pin1、Grb2 SH2、又はそれらの組み合わせに対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る治療部分を含み得る。
本開示の主題はまた、代謝障害又は状態を有する対象を治療するための方法に関する。有効量の本明細書に開示される1つ以上の化合物又は組成物は、代謝障害を有し、その治療を必要とする対象に投与することができる。いくつかの例において、代謝障害は、II型糖尿病を含み得る。対象の代謝障害を治療する方法のいくつかの例において、対象に投与される本化合物又は組成物は、PTP1Bに対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る治療部分を含み得る。この方法の1つの特定の例では、対象は肥満であり、本方法は、本明細書に開示される組成物を投与することによって対象を肥満について治療することを含み得る。
本開示の主題はまた、免疫障害又は状態を有する対象を治療するための方法に関する。有効量の本明細書に開示される1つ以上の化合物又は組成物は、免疫障害を有し、その治療を必要とする対象に投与される。対象の免疫障害を治療する方法のいくつかの例において、対象に投与される本化合物又は組成物は、Pin1に対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る治療部分を含み得る。
本開示の主題はまた、炎症性障害又は状態を有する対象を治療するための方法に関する。本明細書に開示される1つ以上の化合物又は組成物の有効量は、炎症性障害を有し、その治療を必要とする対象に投与することができる。
本開示の主題はまた、嚢胞性線維症を有する対象を治療するための方法に関する。有効量の本明細書に開示される1つ以上の化合物又は組成物は、嚢胞性線維症を有し、その治療を必要とする対象に投与することができる。対象の嚢胞性線維症を処置する方法のいくつかの例において、対象に投与される化合物又は組成物は、CAL PDZに対する阻害剤として作用し得る標的化部分を含み得る治療部分を含み得る。
本明細書に開示される化合物は、対象の疾患又は状態を検出又は診断するために使用することができる。例えば、cCPPは、標的、例えば、腫瘍と相互作用することができる標的化部分及び/又は検出可能部分を含み得る。
組成物、製剤及び投与方法
本開示の化合物及びそれらを含有する組成物のインビボ適用は、当業者に現在又は将来的に知られる任意の適切な方法及び技術によって達成することができる。例えば、本開示の化合物は、生理学的又は薬学的に許容される形態で製剤化され、例えば、経口、経鼻、直腸、局所、及び非経口投与経路などの当技術分野で公知の任意の好適な経路を介して投与され得る。本明細書で使用される場合、非経口という用語は、注射などによる、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、腹腔内、及び胸骨内投与を含む。本開示の化合物又は組成物の投与は、単回投与であってもよく、又は当業者によって容易に決定され得るような連続的な若しくは異なる間隔をおいたものであってもよい。
本明細書に開示される化合物及びそれらを含む組成物は、リポソーム技術、徐放性カプセル、埋め込み型ポンプ及び生分解性容器を利用して投与することもできる。これらの送達方法は、有利なことに、長期間にわたって均一な投与量を提供することができる。本化合物はまた、それらの塩誘導体形態又は結晶形態で投与され得る。
本明細書に開示される化合物は、薬学的に許容される組成物を調製するための既知の方法に従って製剤化することができる。製剤化は、周知であり、当業者が容易に入手することができるいくつかの情報源に詳細に記載されている。例えば、Remington’s Pharmaceutical Science by E.W.Martin(1995)は、本開示の方法に関連して使用され得る製剤化について記載する。一般に、本明細書に開示される化合物は、本化合物の有効な投与を容易にするために、有効量の本化合物が適切な担体と組み合わされるように製剤化することができる。使用される組成物はまた、様々な形態であり得る。これらとしては、例えば、固体、半固体、及び液体の投薬形態、例えば、錠剤、丸剤、散剤、液体溶液又は懸濁液、坐剤、注射可能及び注入可能な溶液、並びにスプレーが挙げられる。好ましい形態は、意図される投与様式及び治療用途に依存する。本組成物はまた、好ましくは、当業者に公知である従来の薬学的に許容されるキャリア及び希釈剤を含む。本化合物と共に使用するための担体又は希釈剤の例としては、エタノール、ジメチルスルホキシド、グリセロール、アルミナ、デンプン、生理食塩水、並びに同等の担体及び希釈剤が挙げられる。所望の治療処置のためのそのような投与量の投与を可能にするために、本明細書に開示される組成物は、有利には、担体又は希釈剤を含む組成物全体の重量に基づいて、1つ以上の主題の化合物の総量を、約0.1重量%~100重量%含むことができる。
投与に適した製剤としては、例えば、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る水性滅菌注射溶液、並びに懸濁化剤及び増粘剤を含み得る水性及び非水性滅菌懸濁液が挙げられる。製剤は、単位用量又は複数用量容器、例えば、密封アンプル及びバイアルで提供することができ、使用前に滅菌液体担体(例えば、注射用水)の状態にするだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即時注射溶液及び懸濁液は、滅菌粉末、顆粒、錠剤などから調製することができる。先に特に言及した成分に加えて、本明細書に開示される組成物は、問題の製剤の種類を考慮して、当技術分野で標準的な他の薬剤を含み得ることを理解されたい。
本明細書に開示される化合物、及びそれらを含む組成物は、細胞との直接接触、又は担体手段のいずれかを介して細胞に送達され得る。化合物及び組成物を細胞に送達するための担体手段は、当該分野で公知であり、例えば、リポソーム部分中に組成物をカプセル化することを含む。本明細書に開示される化合物及び組成物を細胞に送達するための別の手段は、標的細胞への送達のために標的化されるタンパク質又は核酸に化合物を結合させることを含み得る。米国特許第6,960,648号及び米国特許出願公開第20030032594号及び同第20020120100号は、別の組成物に結合させることができ、その組成物が生体膜を横切って移行することを可能にするアミノ酸配列を開示している。米国特許出願公開第20020035243号にはまた、細胞内送達のために細胞膜を横切って生物学的部分を輸送するための組成物が記載されている。化合物はポリマーに組み込むこともでき、その例としては、頭蓋内腫瘍用のポリ(D-Lラクチド-コ-グリコリド)ポリマー、20:80のモル比のポリ[ビス(p-カルボキシフェノキシ)プロパン:セバシン酸](GLIADELにおいて使用される)、コンドロイチン、キチン、及びキトサンが挙げられる。
腫瘍学的障害の治療のために、本明細書に開示される化合物は、他の抗腫瘍若しくは抗がん物質及び/又は放射線及び/又は光力学療法及び/又は腫瘍を除去するための外科的処置と組み合わせて、治療を必要とする患者に投与され得る。これらの他の物質又は処置は、本明細書に開示される化合物と同時に又は異なる時点に与えられ得る。例えば、本明細書に開示される化合物は、タキソール若しくはビンブラスチンなどの有糸分裂阻害剤、シクロホスファミド若しくはイホスファミドなどのアルキル化剤、5-フルオロウラシル若しくはヒドロキシ尿素などの代謝拮抗剤、アドリアマイシン若しくはブレオマイシンなどのDNA挿入剤、エトポシド若しくはカンプトテシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤、アンギオスタチンなどの抗血管新生剤、タモキシフェンなどの抗エストロゲン、並びに/又は、他の抗がん剤若しくは抗体、例えば、それぞれGLEEVEC(ノバルティス・ファーマシューティカルズ・コーポレーション)及びHERCEPTIN(ジェネンテック社)など、又はイピリムマブ及びボルテゾミブなどの免疫療法剤と組み合わせて使用することができる。
特定の例では、本明細書に開示される化合物及び組成物は、任意選択で不活性希釈剤などの薬学的に許容される担体と組み合わせて、望ましくない細胞増殖の部位などの1つ以上の解剖学的部位に局所投与することができる(例えば、腫瘍部位又は良性皮膚成長、例えば、腫瘍又は皮膚成長に注射又は局所適用される)。本明細書に開示される化合物及び組成物は、任意選択で、不活性希釈剤などの薬学的に許容される担体、又は経口送達のための吸収可能な食用担体と組み合わせて、静脈内又は経口などで全身投与することができる。それらは、ハード又はソフトシェルゼラチンカプセルに包含することができ、錠剤に圧縮することができ、又は患者の食事の食物に直接組み込むことができる。経口治療投与のために、活性化合物を1つ以上の賦形剤と組み合わせて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハー、エアロゾルスプレーなどの形態で使用することができる。
本開示の組成物は生物学的に利用可能であり、経口的に送達することができる。経口組成物は、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤などであってもよく、以下のものも含有し得る。トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチ又はゼラチンなどの結合剤、リン酸二カルシウムなどの賦形剤、コーンスターチ、バレイショデンプン、アルギン酸などの崩壊剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、及びスクロース、フルクトース、ラクトース若しくはアスパルテームなどの甘味剤又はペパーミント、冬緑油若しくはチェリー香料などの香味剤を添加することができる。単位剤形がカプセル剤である場合、それは、上記タイプの材料に加えて、植物油又はポリエチレングリコールなどの液体担体を含有し得る。様々な他の材料が、コーティングとして、又はそうでなければ固体単位剤形の物理的形態を改変するために存在し得る。例えば、錠剤、丸剤、又はカプセル剤は、ゼラチン、ワックス、シェラック、又は糖などでコーティングすることができる。シロップ剤又はエリキシル剤は、活性化合物、甘味剤としてのスクロース又はフルクトース、保存剤としてのメチル及びプロピルパラベン、色素及びチェリー又はオレンジフレーバーなどの香味剤を含有し得る。当然のことながら、任意の単位剤形の調製に使用される任意の材料は、使用される量で薬学的に許容されるものであって、実質的に非毒性でなければならない。更に、活性化合物は、徐放性製剤及びデバイスに組み込むことができる。
本明細書に開示される化合物及び組成物は、その薬学的に許容される塩又はプロドラッグを含めて、注入又は注射によって静脈内、筋肉内、又は腹腔内に投与することができる。活性薬剤又はその塩の溶液は、水中で調製することができ、任意選択で、非毒性界面活性剤と混合することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、及びそれらの混合物中、並びに油中で調製することができる。保存及び使用の通常の条件下で、これらの調製物は、微生物の増殖を防止するために保存剤を含有し得る。
注射又は注入に適した医薬剤形は、活性成分を含む滅菌水溶液若しくは分散液又は滅菌粉末を含み得、これらは、滅菌注射用又は注入用の溶液又は分散液の即時調製に適合され、任意選択でリポソーム中にカプセル化される。最終的な剤形は、滅菌され、流動性であり、製造及び貯蔵の条件下で安定であるべきである。液体担体又はビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は液体分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によって、分散液の場合には必要な粒子サイズの維持によって、又は界面活性剤の使用によって維持することができる。任意選択で、微生物の活動の防止は、種々の他の抗菌剤及び抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなど)によってもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝剤又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
滅菌注射用溶液は、本明細書に開示される化合物及び/又は薬剤を、必要な量で、上記に列挙される種々の他の成分と共に適切な溶媒中に組み込み、必要に応じて、その後濾過滅菌することによって調製される。滅菌注射可能溶液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、真空乾燥法及び凍結乾燥法であり、これにより、活性成分に加えて、先に滅菌濾過された溶液中に存在する任意の更なる所望の成分の粉末が得られる。
局所投与のために、本明細書に開示される化合物及び薬剤は、液体又は固体として適用することができる。しかしながら、固体又は液体であり得る皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物として皮膚に局所的にそれらを投与することが一般には望ましい。本明細書に開示される化合物及び薬剤及び組成物は、悪性又は良性増殖のサイズを減少させる(及び完全な除去を含み得る)ために、又は感染部位を処置するために、対象の皮膚に局所的に塗布することができる。本明細書に開示される化合物及び薬剤は、成長又は感染部位に直接塗布することができる。好ましくは、本化合物及び薬剤は、軟膏、クリーム、ローション、溶液、チンキ剤などの製剤の形で増殖又は感染部位に塗布される。
有用な固体担体としては、タルク、クレイ、微結晶セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、アルコール若しくはグリコール又は水-アルコール/グリコールブレンドが挙げられ、この中で、本化合物は、任意選択で非毒性界面活性剤の助けを借りて、有効なレベルで溶解又は分散され得る。香料及び追加の抗菌剤などの補助剤を添加して、所与の用途に関して特性を最適化することができる。得られた液体組成物は、吸収パッドから塗布することができ、これを使用して包帯及び他の包帯を含浸させることができ、又は例えばポンプ型若しくはエアロゾル噴霧器を使用して患部に噴霧することができる。
増粘剤、例えば、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩及びエステル、脂肪アルコール、変性セルロース又は変性鉱物材料も液体担体と共に使用して、使用者の皮膚に直接塗布するための展延性ペースト、ゲル、軟膏、石鹸などを形成することができる。
本明細書に開示される化合物及び薬剤並びに医薬組成物の有用な投与量は、それらのインビトロ活性と動物モデルにおけるインビボ活性を比較することによって決定することができる。マウス及び他の動物における有効用量をヒトに外挿する方法は、当技術分野で公知である。
本組成物の投与のための用量範囲は、症状又は障害に作用する所望の効果をもたらすのに十分な量である。投与量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応などの有害な副作用を引き起こすほど多くすべきではない。一般に、投与量は、患者の年齢、状態、性別及び疾患の程度によって異なり、当業者が決定することができる。投与量は、何らかの禁忌がある場合には個々の医師が調整することができる。投与量は変動する場合があり、1日1回以上の投与で、1日又は数日間投与することができる。
薬学的に許容される担体と組み合わせて本明細書に開示される化合物を含む医薬組成物も開示される。ある量の化合物を含む、経口、局所又は非経口投与に適合した医薬組成物は、好ましい態様を構成する。患者、特にヒトに投与される用量は、致死毒性を伴わずに、好ましくは許容可能なレベル以下の副作用又は病的状態を引き起こすことなく、妥当な時間枠にわたって患者において治療応答を達成するのに十分でなければならない。当業者は、投与量が、対象の状態(健康)、対象の体重、もしあれば併用治療の種類、治療の頻度、治療可能比、並びに病理学的状態の重症度及びステージなどの様々な因子に依存することを理解するであろう。
1つ以上の容器の中に本明細書に開示される化合物を含むキットも開示される。本開示のキットは、薬学的に許容される担体及び/又は希釈剤を任意選択で含み得る。キットは、本明細書に記載される1つ以上の他の成分、補助剤、又はアジュバントを含み得る。キットは、本明細書に記載される薬剤などの1つ以上の抗がん剤を含む。キットは、キットの化合物又は組成物を投与する方法を記載する説明書又は包装材料を含み得る。キットの容器は、任意の適切な材料、例えば、ガラス、プラスチック、金属などからなるものであってもよく、任意の好適なサイズ、形状、又は構成のものである。本明細書に開示される化合物及び/又は薬剤は、錠剤、丸剤、又は粉末形態などの固体の形でキットの中に設けることができる。本明細書に開示される化合物及び/又は薬剤は、液体又は溶液の形でキットの中に設けることができる。キットは、本明細書に開示される化合物及び/又は薬剤を液体又は溶液の形態で含有するアンプル又はシリンジを含み得る。
特定の定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「組成物(a composition)」への言及は、2個以上のそのような組成物の混合物を含み、「薬剤(an agent)」への言及は、2個以上のそのような薬剤の混合物を含み、「成分(the component)」への言及は、2個以上のそのような成分の混合物を含む、などである。
「約」という用語は、それが数値の直前にある場合は、ある範囲(例えば、その値のプラス又はマイナス10%)を意味する。本開示の文脈がそうでないことを示さない限り、又はそのような解釈と矛盾しない限り、例えば、「約50」は45から55を意味する場合があり、「約25,000」は22,500から27,500を意味する場合がある、などである。例えば、「約49、約50、約55、...」などの数値のリストにおいて、「約50」は、先行する値と後続の値との間の間隔の半分未満に及ぶ範囲、例えば、49.5超~52.5未満を意味する。更に、「約」値未満又は「約」値より大きいという語句は、本明細書で提示される「約」という用語の定義を考慮して理解されるべきである。同様に、一連の数値又は値の範囲に先行する場合の「約」という用語(例えば、「約10、20、30」又は「約10~30」)は、それぞれ、一連の値又は範囲の終点を指す。
本明細書で使用される場合、「環状細胞透過性ペプチド」又は「cCPP」という用語は、カーゴ(例えば、治療部分)の細胞への送達を促進するペプチドを指す。
本明細書で使用される場合、「エンドソーム脱出ビヒクル」(EEV)という用語は、化学結合(すなわち、共有結合又は非共有相互作用)によってリンカー及び/又は環外ペプチド(EP)にコンジュゲートされたcCPPを指す。EEVは、式(B)のEEVであり得る。
本明細書で使用される場合、「EEVコンジュゲート」という用語は、化学結合(すなわち、共有結合又は非共有相互作用)によってカーゴにコンジュゲートされた、本明細書で定義されるエンドソーム脱出ビヒクルを指す。カーゴは、EEVによって細胞内に送達され得る治療部分(例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド又は小分子)であり得る。EEV-コンジュゲートは、式(C)のEEV-コンジュゲートであり得る。
本明細書で使用される場合、「環外ペプチド」(EP)及び「調節ペプチド」(MP)という用語は、本明細書で開示される環状細胞透過性ペプチド(cCPP)にコンジュゲートされ得るペプチド結合によって連結された2個以上のアミノ酸残基を指すために互換的に使用され得る。EPは、本明細書に開示される環状ペプチドにコンジュゲートされた場合、本化合物の組織分布及び/又は保持を変化させ得る。典型的には、EPは、少なくとも1個の正に荷電したアミノ酸残基、例えば、少なくとも1個のリジン残基及び/又は少なくとも1個のアルギニン残基を含む。EPの非限定的な例は本明細書に記載されている。EPは、当技術分野において「核局在化配列」(NLS)として同定されているペプチドであり得る。核局在化配列の非限定的な例としては、その最小機能単位が7個のアミノ酸配列PKKKRKVであるSV40ウイルスのラージT抗原の核局在化配列、配列NLSKRPAAIKKAGQAKKKKを有するヌクレオプラスミンバイパータイトNLS、アミノ酸配列PAAKRVKLD又はRQRRNELKRSFを有するc-myc核局在化配列、インポーチン-アルファ由来のIBBドメインの配列RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELRKAKKDEQILKRRNV、筋腫Tタンパク質の配列VSRKRPRP及びPPKKARED、ヒトp53の配列PQPKKKPL、マウスc-abl IVの配列SALIKKKKKMAP、インフルエンザウイルスNS1の配列DRLRR及びPKQKKRK、肝炎ウイルスデルタ抗原の配列RKLKKKIKKL及びマウスMxlタンパク質の配列REKKKFLKRR、ヒトポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの配列KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK、及びステロイドホルモン受容体(ヒト)グルココルチコイドの配列RKCLQAGMNLEARKTKK、が挙げられる。国際公開第2001/038547号には、NLSの追加の例が記載されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用される場合、「リンカー」又は「L」は、1つ以上の部分(例えば、環外ペプチド(EP)及びカーゴ、例えば、オリゴヌクレオチド、ペプチド又は小分子)を、環状細胞透過性ペプチド(cCPP)に共有結合する部分を指す。リンカーは、天然又は非天然のアミノ酸又はポリペプチドを含み得る。リンカーは、cCPPをカーゴ部分に結合させ、それによって本明細書に開示される化合物を形成するのに適した2個以上の適切な官能基を含有する合成化合物であり得る。リンカーは、ポリエチレングリコール(PEG)部分を含み得る。リンカーは、1つ以上のアミノ酸を含み得る。cCPPは、リンカーを介してカーゴに共有結合され得る。
本明細書で使用される場合、「オリゴヌクレオチド」という用語は、複数の連結されたヌクレオチド又はヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を指す。オリゴヌクレオチドの1つ以上のヌクレオチドを修飾することができる。オリゴヌクレオチドは、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)を含み得る。オリゴヌクレオチドは、天然及び/又は修飾核酸塩基、糖及び共有ヌクレオシド間結合から構成され得、更に非核酸結合体を含み得る。
「ペプチド」、「タンパク質」、及び「ポリペプチド」という用語は、一方のアミノ酸のカルボキシル基が他方のアミノ酸のアルファアミノ基に連結した2個以上のアミノ酸を含む天然又は合成分子を指すために互換的に使用される。2個以上のアミノ酸残基は、一方のアミノ酸のカルボキシル基によってαアミノ基に連結され得る。ポリペプチドの2個以上のアミノ酸は、ペプチド結合によって連結され得る。ポリペプチドは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合以外の結合によって共有結合しているペプチド骨格修飾を含み得る。ポリペプチドは、1つ以上の非天然アミノ酸、アミノ酸類似体、又はポリペプチドに組み込むことができる他の合成分子を含み得る。ポリペプチドという用語は、天然に存在するアミノ酸及び人工的に存在するアミノ酸を含む。ポリペプチドという用語は、例えば、約2から約100個のアミノ酸残基を含むペプチド、並びに、約100個を超えるアミノ酸残基又は約1000個を超えるアミノ酸残基、例えば、限定するものではないが、抗体、酵素、受容体、可溶性タンパク質などの治療用タンパク質などのタンパク質を含む。
「治療用ポリペプチド」という用語は、治療的、予防的又は他の生物学的活性を有するポリペプチドを指す。治療用ポリペプチドは、任意の適切な様式で産生することができる。例えば、治療用ポリペプチドは、天然に存在する環境から単離若しくは精製することができ、化学的に合成することができ、組換えにより産生させることができ、又はそれらの組合せであり得る。
「小分子」という用語は、薬理活性及び約2000ダルトン未満、又は約1000ダルトン未満、又は約500ダルトン未満の分子量を有する有機化合物を指す。小分子治療薬は、典型的には化学合成によって製造される。
本明細書で使用される場合、「隣接する」という用語は、共有結合によって接続されている2個のアミノ酸を指す。例えば、以下のような代表的な環状細胞透過性ペプチド(cCPP)との関連において、例えば、
AA1/AA2、AA2/AA3、AA3/AA4、及びAA5/AA1は、隣接アミノ酸の対を例示する。
化学種の残基は、本明細書で使用する場合、特定の生成物中に存在する化学種の誘導体を指す。生成物を形成するために、化学種の少なくとも1つの原子は、生成物が化学種の誘導体又は残基を含有するように、別の部分への結合によって置き換えられる。例えば、本明細書に記載される環状細胞透過性ペプチド(cCPP)は、1つ以上のペプチド結合の形成を介してその中に組み込まれたアミノ酸(例えば、アルギニン)を有する。cCPPに組み込まれるアミノ酸を、残基、又は単にアミノ酸と呼ぶ場合がある。したがって、アルギニン又はアルギニン残基は、
を指す。
「そのプロトン化形態」という用語は、アミノ酸のプロトン化形態を指す。例えば、アルギニンの側鎖上のグアニジン基は、プロトン化されてグアニジニウム基を形成し得る。アルギニンのプロトン化形態の構造は、
である。
本明細書で使用される場合、「キラリティ」という用語は、原子の3次元空間配置が異なる2つ以上の立体異性体を有する分子をいい、ここで、一方の立体異性体は、他方の重ね合わせることができない鏡像である。グリシンを除くアミノ酸は、カルボキシル基に隣接するキラル炭素原子を有する。「エナンチオマー」という用語は、キラルである立体異性体を指す。キラル分子は、「D」及び「L」鏡像異性体を有するアミノ酸残基であり得る。グリシンなどのキラル中心を持たない分子を「アキラル」と呼ぶ場合がある。
本明細書で使用される場合、「疎水性」という用語は、水に溶解しないか、又は水への溶解度が最小である部分を指す。一般に、中性部分及び/若しくは非極性部分、又は主に中性及び/若しくは非極性である部分は疎水性である。疎水性は、本明細書において以下に開示される方法のうちの1つを用いて測定することができる。
本明細書で使用される場合、「芳香族」は、4n+2個のπ電子を有する不飽和環状分子を指し、式中、nは任意の整数である。「非芳香族」という用語は、芳香族の定義に含まれない任意の不飽和環状分子を指す。
「アルキル」、「アルキル鎖」又は「アルキル基」は、1から40個の炭素原子を有し、単結合によって分子の残りの部分に結合している、完全飽和の直鎖又は分岐鎖炭化水素鎖ラジカルを指す。1から40個の任意の数の炭素原子を含むアルキルが含まれる。40個までの炭素原子を含むアルキルはC1~C40アルキルであり、10個までの炭素原子を含むアルキルはC1~C10アルキルであり、6個までの炭素原子を含むアルキルはC1~C6アルキルであり、5個までの炭素原子を含むアルキルはC1~C5アルキルである。C1~C5アルキルは、C5アルキル、C4アルキル、C3アルキル、C2アルキル及びC1アルキル(すなわち、メチル)を含む。C1~C6アルキルは、C1~C5アルキルについて上記した全ての部分を含むが、C6アルキルも含む。C1~C10アルキルは、C1~C5アルキル及びC1~C6アルキルについて上記した全ての部分を含むが、C7、C8、C9及びC10アルキルも含む。同様に、C1~C12アルキルは、前述した全ての部分を含むが、C11及びC12アルキルも含む。C1~C12アルキルの非限定的な例としては、メチル、エチルn-プロピル、i-プロピル、sec-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、t-アミル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、及びn-ドデシルが挙げられる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキル基は任意選択で置換され得る。
「アルキレン」、「アルキレン鎖」又は「アルキレン基」は、1から40個の炭素原子を有する、完全飽和の、直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖ラジカルを指す。C2~C40アルキレンの非限定的な例としては、ブチレンエチレン、プロピレン、n-ブチレン、エテニレン、プロペニレン、n-ブテニレン、プロピニレン、n-ブチニレンなどが挙げられる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキレン鎖は、任意選択で置換され得る。
「アルケニル」、「アルケニル鎖」又は「アルケニル基」は、2から40個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。各アルケニル基は、単結合によって分子の残りに結合している。2から40個の任意の数の炭素原子を含むアルケニル基が含まれる。40個までの炭素原子を含むアルケニル基はC2~C40アルケニルであり、10個までの炭素原子を含むアルケニルはC2~C10アルケニルであり、6個までの炭素原子を含むアルケニル基はC2~C6アルケニルであり、5個までの炭素原子を含むアルケニルはC2~C5アルケニルである。C2~C5アルケニルは、C5アルケニル、C4アルケニル、C3アルケニル、及びC2アルケニルを含む。C2~C6アルケニルは、C2~C5アルケニルについて上記した全ての部分を含むが、C6アルケニルも含む。C2~C10アルケニルは、C2~C5アルケニル及びC2~C6アルケニルについて上記した全ての部分を含むが、C7、C8、C9及びC10アルケニルも含む。同様に、C2~C12アルケニルは、前述した全ての部分を含むが、C11及びC12アルケニルも含む。C2~C12アルケニルの非限定的な例としては、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル(アリル)、イソ-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、1-ヘキセニル、2-ヘキセニル、3-ヘキセニル、4-ヘキセニル、5-ヘキセニル、1-ヘプテニル、2-ヘプテニル、3-ヘプテニル、4-ヘプテニル、5-ヘプテニル、6-ヘプテニル、1-オクテニル、2-オクテニル、3-オクテニル、4-オクテニル、5-オクテニル、6-オクテニル、7-オクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、4-ノネニル、5-ノネニル、6-ノネニル、7-ノネニル、8-ノネニル、1-デセニル、2-デセニル、3-デセニル、4-デセニル、5-デセニル、6-デセニル、7-デセニル、8-デセニル、9-デセニル、1-ウンデセニル、2-ウンデセニル、3-ウンデセニル、4-ウンデセニル、5-デセニル、6-ウンデセニル、7-ウンデセニル、8-ウンデセニル、9-ウンデセニル、10-ウンデセニル、1-ドデセニル、2-ドデセニル、3-ドデセニル、4-ドデセニル、5-ドデセニル、6-ドデセニル、7-ドデセニル、8-ドデセニル、9-ドデセニル、10-ドデセニル及び11-ドデセニルが挙げられる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキル基は任意選択で置換され得る。
「アルケニレン」、「アルケニレン鎖」又は「アルケニレン基」は、2から40個の炭素原子を有し、1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の二価炭化水素鎖ラジカルを指す。C2~C40アルケニレンの非限定的な例としては、エテン、プロペン、ブテンなどが挙げられる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルケニレン鎖は任意選択であり得る。
「アルコキシ」又は「アルコキシ基」は、-OR基を指し、式中、Rは、本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、又はヘテロシクリルである。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルコキシ基は、任意選択で置換され得る。
「アシル」又は「アシル基」は、-C(O)R基を指し、式中、Rは、本明細書で定義される水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、又はヘテロシクリルである。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アシルは、任意選択で置換され得る。
「アルキルカルバモイル」又は「アルキルカルバモイル基」は、-O-C(O)-NRaRb基を指し、式中、Ra及びRbは、同じか又は異なり、独立して、本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、アルケニル、アリール、ヘテロアリールであるか、あるいはRaRbは、一緒になって、本明細書で定義されるシクロアルキル基又はヘテロシクリル基を形成し得る。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキルカルバモイル基は、任意選択で置換され得る。
「アルキルカルボキサミジル」又は「アルキルカルボキサミジル基」は、-C(O)-NRaRb基を指し、式中、Ra及びRbは、同じか又は異なり、独立して、本明細書で定義されるアルキル基、アルケニル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、又はヘテロシクリル基であるか、又はRaRbは一緒になって、本明細書で定義されるシクロアルキル基を形成することができる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、アルキルカルボキサミジル基は、任意選択で置換され得る。
「アリール」は、水素、6から18個の炭素原子及び少なくとも1個の芳香環を含む炭化水素環系ラジカルを指す。本発明においては、アリールラジカルは、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり得、これは、縮合環系又は架橋環系を含み得る。アリールラジカルとしては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレン、及びトリフェニレンから誘導されるアリールラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、「アリール」という用語は、任意選択で置換されているアリールラジカルを含むことを意味する。
「ヘテロアリール」は、水素原子、1から13個の炭素原子、窒素、酸素及び硫黄から選択される1から6個のヘテロ原子、並びに少なくとも1個の芳香環を含む5から20員環系ラジカルを指す。本発明においては、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式又は四環式環系であり得、これは、縮合環系又は架橋環系を含み得、ヘテロアリールラジカル中の窒素原子、炭素原子又は硫黄原子は、任意選択で酸化され得る。窒素原子は任意選択で四級化され得る。例としては、限定するものではないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンズインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリジニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、及びチオフェニル(すなわちチエニル)が挙げられる。本明細書において具体的に別段の定めがない限り、ヘテロアリール基は、任意選択で置換され得る。
本明細書で使用される「置換された」という用語は、上記の基(すなわち、アルキル、アルケニル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アルキルカルバモイル、アルキルカルボキサミジル、アルコキシカルボニル、アルキルチオ、又はアリールチオ)のいずれかであって、いずれか少なくとも1つの原子が非水素原子、例えば、限定するものではないが、F、Cl、Br、及びIなどのハロゲン原子;水酸基、アルコキシ基、エステル基などの基中の酸素原子;チオール基、チオアルキル基、スルホン基、スルホニル基、スルホキシド基などの基中の硫黄原子;アミン、アミド、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン、ジアリールアミン、N-オキシド、イミド、及びエナミンなどの基中の窒素原子;トリアルキルシリル基、ジアルキルアリールシリル基、アルキルジアリールシリル基、及びトリアリールシリル基などの基中のケイ素原子;並びに様々な他の基中の他のヘテロ原子によって置き換えられている基を意味する。「置換された」はまた、1つ以上の原子が、オキソ、カルボニル、カルボキシル、及びエステル基中の酸素、並びにイミン、オキシム、ヒドラゾン、及びニトリルなどの基中の窒素などのヘテロ原子への高次結合(例えば、二重又は三重結合)によって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。例えば、「置換された」は、1つ以上の原子が-NRgRh、-NRgC(=O)Rh、-NRgC(=O)NRgRh、-NRgC(=O)ORh、-NRgSO2Rh、-OC(=O)NRgRh、-ORg、-SRg-SORg、-SO2Rg、-OSO2Rg、-SO2ORg、=NSO2Rg、及び-SO2NRgRhで置き換えられている上記の基のいずれかを含む。「置換されている」はまた、1つ以上の水素原子が-C(=O)Rg、-C(=O)ORg、-C(=O)NRgRh、-CH2SO2Rg、-CH2SO2NRgRhで置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。上記において、Rg及びRhは、同じか又は異なり、独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキルである。「置換された」は更に、1個以上の原子がアミノ、シアノ、ヒドロキシル、イミノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルアミノ、チオアルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、シクロアルキルアルキル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヘテロシクリル、N-ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、N-ヘテロアリール及び/又はヘテロアリールアルキル基によって置き換えられている上記の基のいずれかを意味する。「置換された」はまた、側鎖上の1つ以上の原子が、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、アルキルカルボキサミジル、アルコキシカルボニル、カルボシクリル、ヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリールによって置換されているアミノ酸を意味し得る。更に、前述の置換基の各々はまた、任意選択で1つ以上の上記置換基で置換され得る。
本明細書で使用される場合、「対象」とは、個体を意味する。したがって、「対象」は、飼育動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモットなど)、及び鳥類を含み得る。「対象」はまた、哺乳動物(例えば、霊長類又はヒト)を含み得る。したがって、対象は、ヒト又は獣医学的患者であり得る。「患者」という用語は、臨床医、例えば、内科医の治療を受けている対象を指す。
「阻害する」という用語は、活性、応答、状態、疾患、又は他の生物学的パラメータの減少を指す。これには、活性、応答、状態、又は疾患の完全な除去が含まれ得るが、これらに限定されない。これはまた、例えば、天然又は対照レベルと比較して、活性、応答、状態、又は疾患の10%の低減を含み得る。したがって、この低減は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の低減であり得る。
「低減する」又はこの単語の他の形態、例えば、「低減すること」若しくは「低減」は、ある事象又は特徴(例えば、腫瘍増殖)の低減を意味する。これは、典型的には、何らかの標準値又は期待値に関連しており、言い換えれば、それは相対的なものであり、ただし、標準値又は相対値が参照されることは必ずしも必要ではないことが理解される。例えば、「腫瘍増殖を低減する」は、標準又は対照(例えば、未処置腫瘍)と比較して腫瘍の増殖速度を低減することを意味する。
「治療」という用語は、疾患、病的状態、又は障害を治癒、改善、安定化、又は予防する意図を有する患者の医学的管理を指す。この用語は、積極的治療、すなわち、疾患、病的状態、又は障害の改善を具体的に目指す治療を含み、原因治療、すなわち、関連する疾患、病的状態、又は障害の原因の除去を目指す治療も含む。加えて、この用語は、対症療法、すなわち、疾患、病的状態、又は障害の治癒ではなく症状の軽減のために設計された治療、予防的治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の発症を最小限に抑えるか、又は部分的若しくは完全に阻害することを対象とする治療、及び補助的治療、すなわち、関連する疾患、病理学的状態、又は障害の改善を対象とする別の特定の療法を補うために用いられる治療、を含む。
「治療上有効な」という用語は、使用される組成物の量が、疾患又は障害の1つ以上の原因又は症状を改善するのに十分な量であることを指す。このような改善は、低減又は変化のみを必要とし、必ずしも排除を必要としない。
「薬学的に許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は合理的な利益/リスク比に見合った他の問題若しくは合併症を伴うことなく、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに適した化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
「担体」という用語は、化合物又は組成物と組み合わせた場合に、その意図される使用又は目的に関して、その化合物又は組成物の調製、貯蔵、投与、送達、有効性、選択性、又は任意の他の特徴を補助又は促進する化合物、組成物、物質、又は構造を意味する。例えば、担体は、有効成分の分解を最小限に抑え、対象における有害な副作用を最小限に抑えるように選択することができる。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という用語は、滅菌水性又は非水性の溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョン、並びに使用直前に滅菌注射溶液又は分散液に再構成するための滅菌粉末をいう。適切な水性及び非水性担体、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース及びそれらの適切な混合物、植物油(オリーブ油など)、並びにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散液の場合には必要な粒径の維持によって、また界面活性剤の使用によって維持することができる。これらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤などのアジュバントを含有することもできる。微生物の活動は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤及び抗真菌剤を含めることによって確実に防止することができる。等張剤、例えば、糖、塩化ナトリウムなどを含むことも望ましい。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルターを通す濾過によって、又は使用直前に滅菌水若しくは他の滅菌注射用媒体に溶解若しくは分散させることができる滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌することができる。適切な不活性担体は、ラクトースなどの糖を含むことができる。
実施例1.アルギニン誘導体及びそのコンジュゲートを含有するcCPPの設計及び合成
材料及び一般的方法ペプチド合成のための試薬及びRinkアミド樹脂(100~200メッシュ、0.54mmol/g)を商業的供給業者から購入した。ペプチドの純度を分析用HPLCによって評価し、同一性をESI質量分析によって確認した。
cCPP設計アルギニンは、細胞透過性ペプチドの全身臓器毒性への重要な寄与因子として関与している。アルギニン残基は、側鎖上のグアニジニウム官能基によってプロトン化され、生理学的pHで正電荷を有する。この正電荷は、細胞質にカーゴモダリティを送達するためのエンドサイトーシス及びエンドソームエスケープを可能にする、原形質膜及びエンドリソソーム膜の両方との相互作用を促進する。生理学的pHで正に荷電し得る代替的な残基を環状足場に組み込み、表11及び図1に列挙されるように調製した。グアニジニウム官能基はまた、原形質膜上のリン脂質と二座水素結合相互作用を形成することができ、これが有効な膜結合性及びその後の内在化に必須であることが理解される。正電荷数の増加は全身毒性の増加をもたらすので、正電荷なしで二座水素結合相互作用を形成することができるアルギニン置換は、表11及び図1に列挙されるように、毒性を低減しながら活性を保持することが提案された。
Φ=3-(2-ナフチル)-L-アラニン、Agp=L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、Agb=L-2-4-グアニジノブタン酸、hR=L-ホモアルギニン、4gp=4-グアニジノ-L-フェニルアラニン、Cit=シトルリン、Pia=3-(4-ピペリジニル)-L-アラニン、Dml=N-ジメチル-L-リジン、B=ベータアラニン。小文字はD-アミノ酸を示す。
オリゴヌクレオチド設計アンチセンス化合物(AC)は、マウスジストロフィンpre-mRNA中のエクソン23をスキップするように設計し、その結果、ジストロフィンの内部切断型の形成をもたらして、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)のmdxマウスモデルにおける疾患状態に対処するために組成物を利用することの実現可能性を評価した。ACは、コンジュゲートされた1つの配列が5’-GGCCAAACCTCGGCTTACCTGAAAT-3’であるホスホロジアミデートモルホリノ塩基のみから構成されるホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(PMO)である。
細胞透過性ペプチド配列アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-PEG2-Lys(シクロ[Phe-D-Phe-2-Nal-Cit-D-Arg-Cit-D-Arg-γ-Glu)-PEG12-Lys(N3)-NH2(「化合物1b」)をTFA塩として製剤化した。
合成標準的なFmoc化学を用いてペプチドを合成した。
1.RinkアミドMBHA樹脂(0.3mmol、0.87g、sub:0.35mmol/g)の入った容器にDMFを添加し、2時間膨潤させる。
2.排液し、次いでDMF洗浄30秒間を3回行う。
3.20%ピペリジン/DMFを添加し、30分間混合する。
4.排液し、次いでDMFで30秒間、5回洗浄する。
5.Fmoc-アミノ酸溶液を添加し、30秒間混合し、次いでN2バブリングを30分間行いながらカップリング試薬を添加する。
6.次のアミノ酸カップリングのために工程2から5を繰り返す。
7.カップリング後、樹脂をMeOHで3回洗浄し、減圧下で乾燥させた。
DMF中の20%ピペリジンを30分間のFmoc脱保護に使用した。Ddeを3%NH2NH2/DMFにより30分間にわたって2回除去した。アリルをPd(PPh3)4及びPhSiH3によって除去した。カップリング反応をニンヒドリン試験によってモニタリングし、樹脂をDMFで5回洗浄した。
ペプチド切断及び精製:
1.切断緩衝液(95%TFA/2.5%TIS/2.5%H2O)を、側鎖保護ペプチドが入ったフラスコに室温で添加し、2.0時間撹拌する。
2.ペプチドを冷イソプロピルエーテルで沈殿させ、遠心分離する(3000rpmで3分間)。
3.イソプロピルエーテルで更に2回洗浄する。
4.粗ペプチドを真空下で2時間乾燥させる。
5.分取HPLC(A:H2O中0.075%TFA、B:ACN)によって粗ペプチドを精製して、最終生成物(145.6mg、純度97.4%、収率15.1%)を得る。純度及び同一性を分析用UPLC/MSによって確認した。
cCPP-PMOコンジュゲートの調製ペプチド-PMOを、歪み促進アルキン-アジド付加環化を介して3’コンジュゲートとして調製した。簡潔に述べると、ヌクレアーゼを含まない水(1mM)中のペプチド-アジドの溶液を、PMO-3’-シクロオクチン又はシクロオクチン-5’-PMO固体に添加した。混合物をボルテックスしてペプチド-PMOコンジュゲートを溶解し、遠心分離して溶液を沈降させ、LCMS(Q-TOF)によって確認される完了を目指して、室温で8~12時間インキュベートした。精製のために、粗混合物をDMSOで希釈し、20mL/分の流速でC18逆相カラム(150mm×21.2mm)に充填し、0.05%TFAを含む水及びアセトニトリルを溶媒として使用して適切な勾配で精製した。所望の画分をプールし、溶液のpHを1N NaOHで5~6に調整し、この溶液を凍結乾燥して白色粉末を得た。インビトロ及びインビボ製剤のために、コンジュゲートを、適切な量の滅菌PBS又は滅菌生理食塩水において所望の濃度(2~10mg/mL)に再構成した。全ての材料を使用するまで-80℃で保存した。
実施例2.クロロアルカン透過アッセイを用いた細胞透過活性の決定
アッセイ計画細胞質ゾルへの曝露を伴うミトコンドリア外膜への融合タンパク質局在化を確実にするHaloTag-ActA融合タンパク質(「HEK293-HaloTag」)を安定に発現するHEK293細胞を作製した。HaloTagタンパク質は、短いクロロアルカン含有化合物と共有結合的に迅速に反応し、活性部位を占有して、更なる反応を妨げる。クロロアルカン透過アッセイは、パルス-チェイスアッセイにおいてこの反応性を利用し、このアッセイでは、細胞を最初に目的のcCPP-クロロアルカンで処理し、続いて細胞透過性蛍光色素テトラメチルローダミン-クロロアルカン(「TMR-ct」)と共にインキュベートする。cCPPが細胞質ゾルに接近した場合、それらはHaloTagと反応し、HaloTagがTMR-ctと反応するのを妨げる。したがって、化合物の相対的細胞透過効率は、ウォッシュアウト期間後に細胞TMR蛍光を減少させるそれらの能力によって決定することができ、この値はIC50として表される。
細胞透過性ペプチド表13に示される配列を有する細胞透過性ペプチドを、配列N1-(2-(2-((5-クロロヘキシル)オキシ)エトキシ)エチル-N4-(2-(2-(2-オキソエトキシ)エトキシ)エチル)スクシンアミドのクロロアルカンタグ(表13において「クロロアルカン」と称される)を用いてリジン残基上で官能化し、精製し、A280又は適用できる場合は重量によって決定される濃度を有するDMSO中のストック溶液として調製した。
細胞透過効率の決定評価される化合物をDMSO中のストック溶液として調製し、PBSで希釈した後、30μMから0.5nMの段階希釈の形でHEK293-HaloTag細胞に添加した。細胞を、所与の濃度の本化合物と共に、FBSの存在下、37℃で24時間インキュベートした。インキュベーション後、細胞をPBSで十分に洗浄し、細胞に5μMのTMR-ctを含有する新鮮な無血清培地を添加し、30分間インキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄し、新鮮培地中でインキュベートして未反応のTMR-ctを洗い流した。次いで、細胞を画像化し、高含有量画像化を使用して細胞蛍光について定量化した。値をビヒクル処理細胞に対して正規化し、GraphPad PRISM v.8における4パラメータ対数フィットを使用してIC50を計算する。
結果HaloTag実験から得られたデータは、シトルリンなどの中性残基を含む複数のアルギニン誘導体(図1を参照されたい)が、哺乳動物細胞におけるcCPPの細胞透過及び細胞質送達を可能にすることに関して、アルギニンと同等であるか、又はアルギニンより優れていることを裏付けている(表13)。
実施例3.アルギニン誘導体cCPPのインビトロ細胞毒性及び膜溶解活性
細胞株ヒト線維芽細胞(「WI38」)、ヒト初代腎近位尿細管上皮細胞(「RPTEC」)、ヒト臍帯静脈内皮細胞(「HUVEC」)、及びヒト末梢血単核細胞(「PBMC」)の混合物を利用した。
細胞生存率化合物を前述のように合成し、DMSO中のストック溶液として調製した。化合物を滅菌生理食塩水中で所望の濃度に連続希釈し、10%FBSを含有する完全増殖培地中に播種したWI38、RPTEC、HUVEC、又はPBMCに添加し、37℃で24時間インキュベートした。24時間後、製造業者のプロトコルにしたがって、CellTiter-Glo 2.0(WI38)又はCyQuant Green(RPTEC、HUVEC、PBMC)を使用して細胞生存率を評価した。生存率について与えられた値は、100%生存であるビヒクル処理対照に対して与えられる。
LDH放出cCPPが原形質膜を破壊し、LDH放出を引き起こす能力を評価した。WI38、RPTEC、及びHUVEC細胞を、10%FBSを補充した完全増殖培地中で維持し、37℃、5%CO2で1時間、PBS中のDMSOストック溶液から指定された濃度に連続希釈した化合物で処理した。1時間後、各ウェルから50μLの細胞培養培地を透明な96ウェルプレートに移し、50μLのLDH反応混合物と合わせ、室温で30分間インキュベートした。30分後、50μLの停止溶液で反応を停止させ、490nMで吸光度を測定し、680nMでの吸光度を用いてバックグラウンドを補正した。与えられた値は、100%LDH活性を表す1%Triton-X100で溶解した細胞に対するものである。
結果化合物1b(Ac-PKKKRKV-PEG2-Lys(シクロ[Ffφ-Cit-r-Cit-r-Q]-PEG12-K(N3)-NH2)での処理は、検出可能なLDH放出がなく、化合物処理時に測定可能な膜損傷がないことが示唆されるなど、WI38、HUVEC及びhPBMCにおける細胞生存率の損失が有意ではないという結果となった。アルギニン残基をアルギニン類似体シトルリンで置換すると、環外残基のためにより全体的に正電荷を有する分子の状況においてさえ、RPTECに対する毒性が低下した(化合物1b対EEV12)。結果を図3~図8に示す。
実施例4.アルギニン誘導体を含有するcCPPのインビボ忍容性及び有効性
マウス雄C57BL/6マウスを忍容性実験に使用した。有効性実験では、X染色体上のジストロフィン遺伝子(Dmd)のエクソン23内の位置2983に終止コドンをもたらすCからTへの変異を含むC57BL/10 ScSn-Dmdmdx/J(MDX)マウスを使用した。この変異対立遺伝子を発現するマウスは、最小のジストロフィンmRNA産物及びジストロフィンタンパク質を産生し、したがって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(「DMD」)のモデルである。
実験設計CPP及びcCPP-ACコンジュゲートを、表6に列挙される配列及び図3に示される構造を使用して、実施例2に記載されるように調製し、キャラクタライズした。C57BL/6マウスにおける忍容性実験のために、cCPPをコンジュゲーションなしで使用した。mdxマウスにおける有効性実験のために、cCPP-ACコンジュゲートは、表6からの配列及び配列5’-GGCCAAACCTCGGCTTACCTGAAAT-3’を有するACを含んだ。得られたコンジュゲートは、EEV12及びAC(「EEV-MDX-PMO-1」)又は化合物1b(Ac-PKKKRKV-PEG2-Lys(シクロ[FfФ-Cit-r-Cit-r-Q]-PEG12-K(N3)-NH2及びAC(「EEV1-PMO-MDX-2」)を含んでいた。忍容性実験のために、化合物を滅菌生理食塩水(pH7.2)中で製剤化し、動物の体重に基づいて5mg/kg、10mg/kg、20mg/kg、及び40mg/kgの用量でIV注射によってC57BL/6マウスに投与した。血清を注射の15分後に採取し、液体窒素中で急速凍結し、更なる分析のために-80℃で保存した。有効性実験のために、コンジュゲートを滅菌生理食塩水(pH7.2)中で製剤化し、動物の体重に基づいて15mg/kg、30mg/kg及び40mg/kgの用量でIV注射によってmdxマウスに投与した。注射の7日後、動物を屠殺し、指定された組織を採取し、液体窒素中で急速凍結し、将来の処理のために-80℃で保存した。
ヒスタミンレベルの定量化化合物投与後の血清ヒスタミンレベルの増加は、全身性アレルギー反応を示し得、又は有害な臨床観察として現れるため、化合物開発の成功を妨げる可能性がある。C57BL/6マウスにおけるIV化合物投与の15分後に得られた血清試料中のヒスタミンを、フェニルイソチオシアネート(PITC):エタノール:ピリジンの0.1:1:10混合物中のPITCを用いてエタノール室温で10分間誘導体化して、フェニルチオカルバミル(PTC)ヒスタミンを生成させた。試料を乾燥させ、アセトニトリル中0.1%ギ酸中で再構成した後、クロマトグラフィー分離し、247.1~154.1m/zのMRM遷移を使用するESI-MSを使用して検出した。内部PTC-ヒスタミン対照を用いて定量を行い、値をng/mL血清ヒスタミンとして表した。
RT-PCRによるスプライシング修正の検出PMOの送達は、スプライシングを変化させ、エクソン23スキッピング後に切断型ジストロフィンmRNAをもたらし得る。スプライシング修正プロセスの検出は、RT-PCRによって測定され、この場合、組織から抽出されたRNAは、最初にcDNAに逆転写され、2個のプライマーセット、すなわち、第1ラウンドのPCRのためのフォワードプライマー5’-CAGAATTCTGCCAATTGCTGAG-3’及びリバースプライマー5’-TTCTTCAGCTTGTGTCATCC-3’(アウタープライマーセット)、並びに第2ラウンドのPCRのためのフォワードプライマー5’-CCCAGTCTACCACCCTATCAGAGC-3’及びリバースプライマー5’-CCTGCCTTTAAGGCTTCCTT-3’(インナープライマーセット)を使用するネステッドPCRによって更に分析される。スプライシング修正を伴わない組織のRT-PCR読み出しでは、901bp遺伝子フラグメントが得られ、スプライシング修正後に新しい689bp遺伝子フラグメントが現れる。RT-PCRによって検出されたスプライシング修正の程度(パーセンテージ)を、以下の式:修正%=(689bpフラグメントバンドの強度)/(901bpフラグメントバンドの強度+689bpフラグメントバンドの強度)を使用して計算した。
ウェスタンブロットによるジストロフィン発現の検出溶解緩衝液(9%SDS、4%グリセロール、5mMトリス、及び5%ベータメルカプトエタノール、並びにHALTプロテアーゼ阻害剤)を、マウスの心臓、腹横、四頭筋、又は横隔膜のいずれかから得られた細かく切り刻んだマウス組織に添加した。金属ビーズをQiagen Tissuelyserと共に使用して、組織を機械的にホモジナイズした。溶解物を遠心分離によって清澄化し、上清を、3~8%Tris酢酸塩ゲルを使用してSDS-PAGEに供し、続いてニトロセルロース膜に移してウェスタンブロッティングを行い、続いてLICORシステムを使用して蛍光イメージングを行うか、又は、66~440kDaのキャピラリーマトリックスを使用するJess単純ウェスタンシステムに供するかのいずれかとした。ジストロフィンは、Abcam製の抗ジストロフィン抗体(Ab52777又はAb154168)を使用して検出した。アルファアクチニンは、R&D Systems(MAB8279)又はAbcam(ab68167)製の抗α-アクチニン抗体を使用して検出した。伝統的なウェスタンブロットバンドを、LICORソフトウェアを使用して定量化した。Jessシンプルウェスタンピークをフィッティングし、シンプルウェスタンソフトウェアを用いてピーク下面積を計算した。各実行は、それぞれの組織由来の異なる量のmdxマウス溶解物で希釈した野生型マウス溶解物を使用する標準曲線を含んでいた。各試料中で検出されたジストロフィンを、ローディング対照としてのアルファ-アクチニンに対して正規化し、標準曲線について線形回帰を行い、これを使用して、各試料中のジストロフィンの量を野生型ジストロフィンレベルのパーセンテージとして求めた。
結果アルギニン残基をアルギニン類似体で置換すると、図9に示すように、IV投与後の血清ヒスタミンレベルを有意に低下させることができた。5mg/kgの化合物1bで処理した後のヒスタミン放出は、化合物1bが7個の総正電荷を有するが、cCPPモチーフ内のアルギニン残基が2個少ないにもかかわらず、5mg/kgのEEV12の約1/3倍であった。5mg/kgのEEV12に匹敵するヒスタミン放出を見込むためには、20mg/kgの用量の化合物1bが必要であった。化合物1bは、アルギニン残基を正に荷電していないシトルリン残基で置換することにより、有意に増強された忍容性を有する。この忍容性により、有害反応を伴うことなくより多量の投薬が可能になる。アルギニン残基の取り込みはまた、mdxマウスにおけるRT-PCRによって確認されるように、インビボ有効性を保持又は増強した。40mg/kgのEEV-MDX-PMO-2(PMO濃度に基づく)での処置によって、図10A~図10Eに示されるように、横腹部、心臓、横隔膜、前脛骨筋、及び四頭筋などの評価された全ての組織において、30mg/kgのEEV-MDX-PMO-1と比較して、エクソン23スキッピングが有意に増強された。mdxマウスにおけるエクソンスキッピング効率は更に、ウェスタンブロットによって決定されて図11に示されるように、横腹部、心臓、横隔膜、前脛骨筋、及び四頭筋の至るところでロバストなジストロフィン産物に変換された。これらの知見は、アルギニンの固有の水素結合能力を保持するが、正電荷を有さない代替残基によるアルギニン置換が、cCPPを、細胞透過性にして、インビボでカーゴモダリティを細胞質ゾル及び核に首尾よく送達できるようにし得ることを示している。
実施例5:グリシンを含有するcCPPのインビボ有効性
上記のように有効性実験では、X染色体上のジストロフィン遺伝子(Dmd)のエクソン23内の位置2983に終止コドンをもたらすCからTへの変異を含むC57BL/10 ScSn-Dmdmdx/J(MDX)マウスを使用した。この変異対立遺伝子を発現するマウスは、最小のジストロフィンmRNA産物及びジストロフィンタンパク質を産生し、したがって、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(「DMD」)のモデルである。
実験設計mdxマウスにおける有効性実験のために、図2及び図12に示される構造を用いて、実施例2に記載されるように、cCPP及びcCPP-ACコンジュゲートを調製し、キャラクタライズした。ACは、配列5’-GGCCAAACCTCGGCTTACCTGAAAT-3’を有していた。化合物4bは、配列Ac-PKKKRKV-Lys(FfΦ-G-r-G-rQ)-PEG12-K(N3)-NH2を有していた。得られたコンジュゲートはEEV-MDX-PMO-3であった。
コンジュゲートを滅菌生理食塩水(pH7.2)中で製剤化し、動物の体重に基づいて40mg/kgの用量でIV注射によってmdxマウスに投与した。注射の3日後、動物を屠殺し、指定された組織を採取し、液体窒素中で急速凍結し、将来の処理のために-80℃で保存した。
RT-PCRによるスプライシング修正の検出PMOの送達は、スプライシングを変化させ、エクソン23スキッピング後に切断型ジストロフィンmRNAをもたらし得る。スプライシング修正プロセスの検出は、RT-PCRによって測定され、この場合、組織から抽出されたRNAは、最初にcDNAに逆転写され、2個のプライマーセット、すなわち、第1ラウンドのPCRのためのフォワードプライマー5’-CAGAATTCTGCCAATTGCTGAG-3’及びリバースプライマー5’-TTCTTCAGCTTGTGTCATCC-3’(アウタープライマーセット)、並びに第2ラウンドのPCRのためのフォワードプライマー5’-CCCAGTCTACCACCCTATCAGAGC-3’及びリバースプライマー5’-CCTGCCTTTAAGGCTTCCTT-3’(インナープライマーセット)を使用するネステッドPCRによって更に分析される。スプライシング修正を伴わない組織のRT-PCR読み出しでは、901bp遺伝子フラグメントが得られ、スプライシング修正後に新しい689bp遺伝子フラグメントが現れる。RT-PCRによって検出されたスプライシング修正の程度(パーセンテージ)を、以下の式:修正%=(689bpフラグメントバンドの強度)/(901bpフラグメントバンドの強度+689bpフラグメントバンドの強度)を使用して計算した。
ウェスタンブロットによるジストロフィン発現の検出溶解緩衝液(9%SDS、4%グリセロール、5mMトリス、及び5%ベータメルカプトエタノール、並びにHALTプロテアーゼ阻害剤)を、マウスの心臓、腹横、四頭筋、又は横隔膜のいずれかから得られた細かく切り刻んだマウス組織に添加した。金属ビーズをQiagen Tissuelyserと共に使用して、組織を機械的にホモジナイズした。溶解物を遠心分離によって清澄化し、上清を、3~8%Tris酢酸塩ゲルを使用してSDS-PAGEに供し、続いてニトロセルロース膜に移してウェスタンブロッティングを行い、続いてLICORシステムを使用して蛍光イメージングを行うか、又は、66~440kDaのキャピラリーマトリックスを使用するJess単純ウェスタンシステムに供するかのいずれかとした。ジストロフィンは、Abcam製の抗ジストロフィン抗体(Ab52777又はAb154168)を使用して検出し、HSP90は、Cell Signaling Technology製のHSP90抗体(4877)を使用して検出した。伝統的なウェスタンブロットバンドを、LICORソフトウェアを使用して定量化した。Jessシンプルウェスタンピークをフィッティングし、シンプルウェスタンソフトウェアを用いてピーク下面積を計算した。各実行は、それぞれの組織由来の異なる量のmdxマウス溶解物で希釈した野生型マウス溶解物を使用する標準曲線を含んでいた。各試料において検出されたジストロフィンを、ローディング対照であるHSP90に対して正規化した。
結果アルギニン残基のグリシンによる置換は、mdxマウスにおけるRT-PCRによって確認されるように、インビボ有効性を保持又は増強した。40mpkのEEV-MDX-PMO-2及び40mpkのEEV-MDX-PMO-3を静脈内注射した3日後のmdxマウスにおけるエクソン23スキッピングについてのPCRアガロースゲル画像を図13に示す。40mg/kgのEEV-MDX-PMO-3(PMO濃度に基づく)による処置は、図14A~図14Cに示されるように、四頭筋、横隔膜、及び心臓をなどの、評価された全ての組織において、エクソン23スキッピングによって測定したときに、40mg/kgのEEV-MDX-PMO-2(PMO濃度に基づく)と比較して、同様のレベルの有効性をもたらした。mdxマウスにおけるエクソンスキッピング効率は、ウェスタンブロットによって決定されて図15A~図15Dに示されるように、これらの組織にわたってロバストなジストロフィン産物に更に変換された。これらの知見は、グリシン残基によるアルギニン置換が、cCPPを細胞透過性にし、忍容性を増強しながらインビボでカーゴモダリティを細胞質ゾル及び核インビボに首尾よく送達できるようにし得ることを示している。
実施例6:hDMD及びCD1マウスモデル並びに非ヒト霊長類(NHP)におけるDMDのエクソン44のスプライシング修正のためのオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた細胞透過性ペプチドの使用
目的:この実験は、hDMD及びCD1マウスモデル並びにNHPモデルを用いて、アンチセンス化合物及び細胞透過性ペプチドを含む化合物の効果を調べる。各化合物は、環外配列PKKKRKVを含んでいた。
評価した化合物:この実験で評価した化合物を表14に示す。
EEV-PMO-DMD44-1、2、及び3の構造を以下に示す。EEV-PMO-DMD44-1、2、及び3は、図18A(EEV-PMO-DMD44-1)、図18B(EEV-PMO-DMD44-2)、及び図18C(EEV-PMO-DMD44-3)のスキームに従って合成される。
化合物の合成及び精製:以下の手順に従って化合物を合成した。TFA-リジンを保護したcCPPを表14のACと反応させ、続いて脱保護して、cCPP-ACコンジュゲートを得た。簡単に説明すると、cCPPを、DMSO(10mM、1.8mL)中のHATU(2.0当量)及びDIPEA(2.0当量)と反応させることによって予備活性化した。室温で10分後、予備活性化した溶液をDMSO中のACの溶液(10mM、1.8mL)と合わせ、十分に混合した。反応物を室温で2時間インキュベートした。反応を、BEH C18カラム(130Å、1.7μm、2.1mm×50mm)、緩衝液A:水(0.1%FA)、緩衝液B:アセトニトリル(0.1%FA)、流速:0.4mL/分を使用し、2%緩衝液Bで開始し、3.4分かけて98%まで上昇させて、LCMS(Q-TOF)によってモニタリングした。完了後、反応混合物を0.2M KCl(水溶液)pH12(36mL)で希釈することによって、TFA保護リシンのin situ脱保護を開始した。上記の分析方法を使用して、反応をLCMS(Q-TOF)によってモニタリングした。粗混合物をC18逆相カラム(Oligo clarityカラム、150mm×21.2mm)に直接充填した。次いで、粗生成物を、溶媒として0.1%FAを含む水及びアセトニトリルを用い、流速20mL/分で60分間かけて5~20%の勾配を用いて精製した。所望の生成物を含有する画分をプールし、0.5M NaOHを用いて溶液のpHを7に調整した。溶液を凍結し、凍結乾燥して白色粉末を得た。水中1M NaClの中でcCPP-ACコンジュゲートを再構成し、3-kD MWカットオフアミコンチューブを通して繰り返し洗浄することによって(3500rpmで20~40分間遠心分離)、ギ酸塩を塩化物と交換した。このプロセスを、1M NaClで3回、生理食塩水(0.9%NaCl、滅菌、エンドトキシンフリー)で3回行った。最後の濾液の導電率を評価して、適切な塩濃度を確認した。溶液を更に生理食塩水で希釈して所望の製剤濃度とし、バイオセーフティキャビネット内で滅菌濾過した。各製剤の濃度を濾過後に再測定した。
EEV-PMO-DMD44-1を74%の収率で得た。各製剤の純度及び同一性を、液体クロマトグラフィー-質量分析四重極飛行時間型質量分析(QTOF-LCMS)によって評価した。EEV-PMO-DMD44-1は、RP-FAによって99%純粋であることが、また、CEXによって78%純粋であることが確認された。C411H661N173O130P24のMW計算値は、10849.26であった。QTOF-LCMSにより同定されたMWは10850.95であった。製剤を更に、それらのエンドトキシン量、残留遊離ペプチド、FA含量及びpHについてアッセイした。
EEV-PMO-DMD44-2を70%の収率で得た。各製剤の純度及び同一性をQTOF-LCMSによって評価した。EEV-PMO-DMD44-2は、RP-FAによれば99%純粋であり、CEXによれば78%純粋であった。C411H661N173O130P24のMW計算値は、10849.26であった。QTOF-LCMSにより同定されたMWは、10850.88であった。
EEV-PMO-DMD44-3を68%の収率で得た。各製剤の純度及び同一性をQTOF-LCMSによって評価した。EEV-PMO-DMD44-3は、RP-FAによれば86.3%純粋であった(不純物は未反応ACであった)。C422H669N173O130P24のMW計算値は、10989.45であった。QTOF-LCMSにより同定されたMWは、10990.07であった。
方法:
hDMDマウスモデル:hDMDマウスをJackson Labに発注し(STOCK Tg(DMD)72Thoen/J;ストック番号:018900)、自家飼育した。ヘミ接合マウスを更にTransnetyxで遺伝子型を解析した。全ての群に、静脈内(iv)注射によって動物1匹当たり5mL/kgを投与し、注射の5日後に屠殺した。全ての動物をCO2窒息により安楽死させ、続いて心臓穿刺により終末血液を採取した。取得可能な全血の最大量をリチウムヘパリンチューブに採取し、血漿に処理した。血漿の一部を試験施設(IDEXX)で臨床化学について分析し、残りを名目上-70℃で凍結保存した。組織(三頭筋、TA、横隔膜、心臓、腎臓、肝臓、脳)を採取し、液体窒素中で急速冷凍し、エクソンスキッピング及び薬物濃度測定の更なる評価のために-80℃で保存した。動物の年齢を一致させて、表15に従って8つの処置群に割り当てた。群1-1(3匹のホモhDMDマウス、6週齢)、1-2(3匹のホモhDMDマウス、6週齢)、1-3(1匹の雄、1匹の雌、ヘミhDMD、11週齢)、1-4(1匹の雄、1匹の雌、ヘミDMD、11週齢)に、EEV-PMO-DMD44-1を、それぞれ体重1キログラム当たり10、20、40及び80ミリグラム(mpk)投与した。群2-1(3匹のホモhDMDマウス、6週齢)、群2-2(3匹のホモhDMDマウス、6週齢)、群2-3(1匹の雄、1匹の雌、ヘミhDMD、11週齢)、群2-4(1匹の雄、1匹の雌、ヘミDMD、11週齢)に、EEV-PMO-DMD44-2を、それぞれ10、20、40及び80mpk投与した。全ての動物は、予定された安楽死時間まで生存した。プロトコルごとに組織を採取した。様々な組織試料中のAC及びcCPP-ACの量をLC-MSによって定量した。異なる組織におけるエクソンスキッピングを、RT-PCR及びエクソン44修正の定量化によって分析した。
CD1マウスモデル:7週齢のCD1雄マウスを用いて、EEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2の忍容性を評価した。それらをCharles River Labに発注し、受け取り次第、それらを注射前に5日間順化させた。動物の年齢を一致させ、表16のグループ1(3匹のマウス、生理食塩水)に従って9つの処置群に割り当て、グループ2-1(3匹のマウス)、2-2(マウス2匹)、2-3(マウス2匹)、2-4(マウス2匹)、2-5(マウス3匹)、2-6(マウス3匹)に、EEV-PMO-DMD44-1を、それぞれ80、100、120、160、200及び300mpk投与した。グループ3-1(3匹のマウス)、3-2(マウス2匹)、3-3(マウス2匹)、3-4(マウス2匹)、3-5(マウス3匹)、3-6(マウス3匹)に、EEV-PMO-DMD44-2を、それぞれ80、100、120、160、200及び300mpk投与した。
NHPモデル:表17にしたがって、化合物(EEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2)を、雌動物1匹当たり10mL/kgの投与量で60分間のIV注入を施した。各試験物質を生理食塩水中に4mg/mLで製剤化した。更なるPK分析のために、表18に示した時点で血液及び尿を採取した。注射2日後の生検を二頭筋に対して行った。注射後7日目に動物を屠殺し、骨格筋(四頭筋、横隔膜、二頭筋、三角筋、前脛骨筋(Tia)、平滑筋(食道、大動脈、結腸)及び心筋(心室、心房)を採取し、粉砕し、エクソンスキッピング及び組織における生体内分布の評価のために-80℃で保存した。
生体分析試料分析:組織を解凍し、秤量し、1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(ThermoFisher Scientific、参照番号1860932)を添加したRIPA緩衝液でホモジナイズした(w/v、1/5)。ホモジネートを4℃で5分間、5000rpmで遠心分離した。上清をH2O、アセトニトリル及びMeOHの混合物で沈殿させ、15000rpm、4℃で15分間遠心分離した。Triple Quad Sciex 4500装置と統合されたShimadzu UPLCを使用するLC-MS/MS分析のために、上清を注入プレートに移した。LC-MS/MSアッセイのダイナミックレンジは、25~50,000ng/g組織であった。LC-MS/MS法の詳細は、本明細書及び表19に概説されている。簡単に説明すると、Waters Acquity UPLC BEH C4、300Å、1.7 um、2.1×150mm、緩衝液A:H2O、0.2%FA、緩衝液B:H2O中95%アセトニトリル、0.2%FA、流速(0.3mL/分)及び50℃のカラム温度を使用して、UPLCを操作した。10分間の実行は、2%緩衝液Bで開始し、3.5分間にわたって35%まで上昇させ、続いて1分間にわたって90%まで上昇させ、2.5分間にわたって90%勾配を維持し、最後に2分間にわたって2%勾配で実行した。MRM法は、表19にしたがって、7.5分間にわたって、正の極性、ターボスプレーイオン源、カーテンガス:25、衝突ガス:6、イオンスプレー電圧:5500、温度:500、イオン源ガス1:60、イオン源ガス2:60、で確立された。表21の下線を引いた行は、インタクトな対応する代謝産物(AC-PEG12)の定量化に使用される。
RT-PCRによるエクソンスキッピング分析:hDMDマウス及びNHPは、全長ヒトジストロフィンmRNAを発現する。ACの送達はスプライシングを変化させ、エクソン44スキッピング後に短縮されたジストロフィンmRNAをもたらし得る。組織を、1mLのRLT溶解緩衝液(Qiagen、カタログ番号79216)を使用してホモジナイズした。スプライシング修正プロセスの検出をRT-PCRによって測定し、この場合、組織から抽出されたRNAをまずcDNAに逆転写し、更に以下のプライマーセット:順方向プライマー5’-GCTCAGGTCGGATTGACATT-3’及び逆方向プライマー5’-GGGCAACTCTTCCACCAGTA-3’を用いるワンステップRT-PCRによって分析した。スプライシング修正を伴わない組織のRT-PCR読み出しでは、641bp遺伝子フラグメントが得られ、スプライシング修正後に新たな493bp遺伝子フラグメントが現れた。スキッピングされた転写物及びスキッピングされていない転写物に対応するバンドの相対強度の定量化を実施して、AC誘導性エクソン44スキッピング有効性を評価した。RT-PCRによって検出されたスプライシング修正の程度(パーセンテージ)を、以下の式:修正%=(493bpフラグメントバンドの強度)/(493bpフラグメントバンドの強度+641bpフラグメントバンドの強度)を使用して計算した。
結果:患者筋管におけるEEV-PMO-DMD44-1、2、及び3の有効性:各々ヒトジストロフィン(DMD)エクソン44を標的とするEEV-PMO-DMD44-1、2、及び3を、DMD患者由来筋細胞におけるDMDエクソン44スキッピングについて評価した。簡単に説明すると、エクソン45欠失を有する患者由来筋芽細胞(DMDΔ45)を、2%ウマ血清及び1%ニワトリ胚抽出物を補充したPromoCell骨格筋細胞増殖培地中、1μM、3μM及び10μMのEEV-PMO-DMD44-1、2及び3で24時間処理した。24時間後、化合物含有増殖培地をDMEM/2%ウマ血清と交換し、5日間インキュベートして筋芽細胞の融合及び筋管への分化を促進した。細胞を洗浄し、エクソン44スキッピングを評価するためのRNA抽出のために回収し、又はタンパク質抽出及びジストロフィンタンパク質回復のシンプルウェスタン分析のために、プロテアーゼ阻害剤を含有するRIPA緩衝液中に回収した。結果を図19に示す。ジストロフィンレベルをHSP90に対して正規化し、未処置の健常試料と比較して表した。データは、平均±SD、n=3~4として表す。未処置のDMDΔ45患者由来細胞は、ベースラインで約10%の自発的DMDエクソン44スキッピング及び約4%のジストロフィンタンパク質を発現する。3個の化合物は全て、用量依存的にロバストなエクソンスキッピング及びジストロフィンタンパク質の回復をもたらした。
図20A~図20Bは、IV注射によってEEV-PMO-DMD44-1(図201A)及びEEV-PMO-DMD44-2(図20B)を投与したhDMDマウスにおけるエクソンスキッピングを示す。重篤な副作用は観察されなかった。マウスは全て、注射後、注射の24時間後及び屠殺日前に正常であった。肝臓及び腎臓毒性(アルカリホスファターゼ(ALP)、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルブミン、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、カルシウム、リン、塩化物、カリウム、ナトリウム、BUN/クレアチニン、マグネシウム)並びに溶血及び脂肪血指数を測定する臨床化学を、IV注射の5日後に評価する。EEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2処置マウスにおいて、臨床化学評価によって有意な毒性は検出されなかった。様々な筋肉群における組織濃度及びエクソンスキッピングを、10、20、40、及び80mpkのIV投薬の5日後に評価した。心臓/三頭筋/TiA/横隔膜組織でそれぞれEEV-PMO-DMD44-1の各用量について以下のエクソンスキッピングを達成した:10mpk(0%、6%、12%、6%)、20mpk(0%、22、36%、33%)、40mpk(20%、94%、99%、82%)、80mpk(79%、97%、99%、98%)。心臓/三頭筋/TiA/横隔膜組織でそれぞれEEV-PMO-DMD44-2の各用量について以下のエクソンスキッピングを達成した:10mpk(0%、17%、22%、14%)、20mpk(2%、44、58%、35%)、40mpk(17%、92%、95%、83%)、80mpk(79%、98%、99%、99%)。フルサイズのヒトDMD遺伝子を有するトランスジェニックマウスモデルの心筋及び骨格筋において、EEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2の両方で強い用量依存的蓄積及び強力なエキソンスキッピングが観察された。より低い用量(10mpk及び20mpk)では、EEV-PMO-DMD44-2薬物の曝露及び有効性は、EEV-PMO-DMD44-1よりもわずかに高かった。しかしながら、この効果は40mpk用量で減少し始め、両化合物は全ての骨格筋において同じ高レベルのエクソンスキッピング(80%超)をもたらした。EEV-PMO-DMD44-1の対応する組織濃度は、100~300ng/g組織の範囲であったが、EEV-PMO-DMD44-2については、この範囲は、わずかにより高い数値、300~500ng/g組織の濃度にシフトした。興味深いことに、心臓におけるEEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2の両方についての最小有効用量は、それぞれ、組織1g当たり170ng及び350ngの濃度に相当する40mpkで達成された。
図20A及び図20Bは、IV注射によってEEV-PMO-DMD44-1(図20A)及びEEV-PMO-DMD44-2(図20B)で処置したhDMDマウスの心臓、三頭筋、前脛骨筋及び横隔膜組織におけるエクソンスキッピング及び薬物濃度を示す。
EEV-PMO-DMD44-1は、80、100、160、200及び300mpk用量でCD1マウスに投与された全ての用量で非常に忍容性が高かった。一過性の症状のみが観察され、それは注射1時間後に完全に消散した。注射の1日後及び7日後にバイオマーカー異常は観察されなかった。EEV-PMO-DMD44-2は、忍容性が低かった。最高用量のEEV-PMO-DMD44-2(300mpk)では、3匹のマウスのうち1匹が注射後1~3時間以内に死亡した。より低い用量のEEV-PMO-DMD44-2(200mpk)では、3匹のマウスのうち1匹が重度の症状を有していた(刺激に対して反応しない、耳が垂れ下がる、呼吸が遅い、自己を正そうともがく)。これらの症状は次第に悪化し、筋肉攣縮を併発した。160及び80mpkの低用量では、症状は観察されなかった。驚くべきことに、100mpkでは、3匹のマウスのうち1匹が注射2時間後に遅延症状を示したが、それらは注射の1日後及び7日後には完全に正常であった。
cCPP-ACコンジュゲートのエクソンスキッピングの有効性を更に実証するために、NHPを利用した。具体的には、インタクトな筋肉組織を有するカニクイザルに、忍容性の良好なEEV-PMO-DMD44-1又はEEV-PMO-DMD44-2を40mg/kgで60分間にわたってIV注入を施した。より具体的には、動物は、処置の45分で生じる吐き気を経験し、これは、処置のおよそ3時間後に有意に解消され、動物は、より機敏になり、猫背でなくなり、提供された農産物を食べた。投与の約20時間後、動物は(明るく、機敏で、動物が表現型的に「正常」であるように反応する)(BAR)であり、ケージ内にはビスケットが全く残っておらず、農産物を食べることが観察された。
注射の2日後及び7日後に臨床化学パネルにおいて異常は観察されなかった。異なる組織におけるエクソン44スキッピングパーセンテージを、標準的なプロトコルに従って分析した。図21A~図21Bは、EEV-PMO-DMD44-1についてのエクソンスキッピング(図21A)及び薬物曝露(図21B)を示す。図21C~図21Dは、EEV-PMO-DMD44-2についてのエクソンスキッピング(図21C)及び薬物曝露(図21D)を示す。両化合物は、注射の7日後にIVによって40mpkで、異なる筋肉群にわたって優れたエクソンスキッピングレベルを示した。EEV-PMO-DMD44-1は、有効性の観点から、TIa、横隔膜において優れており、心室及び心房においてはあまり顕著ではなかった。全ての骨格筋において、78%を超えるエクソンスキッピングが達成され、横隔膜においては最大98.4%であった。心臓組織では、40mpkでのEEV-PMO-DMD44-1は、心室及び心房においてそれぞれ31.9%及び23.4%をもたらした。平滑筋において、食道は、57.1%という最も高い有効性を示した。EEV-PMO-DMD44-1及びEEV-PMO-DMD44-2の両方は、薬理学的に適切な濃度で種々の組織に分布していた。いくつかの場合、例えば、心臓組織における心室及び心房や、より顕著には食道及び結腸においては、同じ組織濃度が同じ機能的送達に転じることはなかった。これは、異なる組織におけるエンドソーム脱出レベルが異なる可能性があることを示しているのかもしれない。それにもかかわらず、骨格筋では、組織1g当たり約200ngの濃度が80%を超える強いエクソンスキッピングに相関する一方で、心臓組織では、組織1g当たり800~1000ngの濃度が、心房及び心室におけるおよそ合わせて50%のエクソンスキッピングに相関していた。心臓組織は送達がより困難な組織であり、DMDなどの神経筋障害の治療に重要な組織であるので、40mpkのcCPP-ACコンジュゲートの単回用量のみによる50%エクソンスキッピングは非常に有望である。
EEV-PMO-DMD44-1をDMD患者由来の筋細胞に添加し、完全長ヒトジストロフィン遺伝子を発現するhDMDトランスジェニックマウスに投与して、DMD転写物補正のためのヒト配列特異的PMOについて試験した。マウスの様々な筋肉群におけるエクソンスキッピング及び組織濃度を、10、20、40及び80mg/kgのIV投薬の5日後に評価した。図23Aは、EEV-PMO-DMD44-1で処理したDMD患者由来筋細胞におけるジストロフィンのロバストな用量依存的エクソンスキッピング及び回復を示す。EEV-PMO-DMD44-1で処理したDMD患者由来筋細胞において、非処理患者由来細胞及び健常細胞の両方と比較して、用量依存的エクソン44スキッピング及びジストロフィンタンパク質回復が観察された(それぞれ最大100%及び43.7%)。次いで、EEV-PMO-DMD44-1をヒト化マウスモデルにおいて試験して、組織における取り込み及びエクソンスキッピング能を評価した。
図23Bは、10mg/kgから80mg/kgの範囲の様々なレベルで漸増IV用量のEEV-PMO-DMD44-1を投与した後の、完全長ヒトDMD遺伝子の組み込まれたコピーを有するトランスジェニックマウスにおける心筋及び骨格筋における用量依存的組織曝露及びエクソンスキッピングを示す。エクソンスキッピング及び組織曝露を各々投与の5日後に評価した。翻訳に関連する用量では、最大80%の組織曝露及び最大100%のエクソンスキッピングの用量依存的レベルが観察された。
図24A~図24Cは、完全長ヒトDMD遺伝子を保有するトランスジェニックマウスにおける、心臓(図24A)、前脛骨筋(図24B)及び横隔膜(図24C)におけるEEV-PMO-DMD44-1についてのエクソンスキッピングの組織濃度及びパーセントを示す。
図25は、EEV-PMO-DMD44-1の循環半減期の延長がNHPにおいて観察されたことを示す。EEV-PMO-DMD44-1の循環半減期の延長が、NHPの血漿中で最大50時間観察された(図24A)。この薬物動態プロファイルは、意図された組織曝露、標的結合及び薬力学的効果の好機を示唆する。
図26は、EEV-PMO-DMD44-1の単回30mg/kg IV用量が、NHPの骨格筋及び心臓の両方において有意なレベルのエクソンスキッピングをもたらした、これにより、翻訳能の信頼性がもたらされることを示す。30mg/kgでの1時間のIV注入の7日後に、EEV-PMO-DMD44-1処置NHPから単離された異なる筋肉群にわたってロバストなエクソン44スキッピングが観察された。
これらの結果は、翻訳データのロバストなセットを表す。エクソンスキッピングは、心臓及び骨格筋における有望なジストロフィン産生につながる。ジストロフィン産生は、機能的改善をもたらすのに十分である。ジストロフィン産生は、単回注射後4週間以上にわたって持続した。
実施例7:DM1由来の筋芽細胞におけるCTG反復を標的化するためのオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた細胞透過性ペプチドの使用
評価した化合物:この実験で評価した化合物を表21に示す。
細胞培養DM1由来の不死化筋芽細胞(ASA308DM1s)及び非罹患個体由来の不死化筋芽細胞(KM1421;AB1190)は、フランスのMyologie研究所からフランスの法律に従って入手した。DM1患者筋芽細胞は、DMPKの3’UTR中に2600個のCTG反復を有する。筋芽細胞を、骨格筋細胞増殖培地(PomoCell)、2%ウマ血清(Gibco)、1%ニワトリ胚抽出物(USB)及び0.5mg/mLペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco)の増殖培地中で培養した。筋原性分化のために、コンフルエント培養物を、2%ウマ血清を補充したDMEMの分化培地に切り替え、4時間培養した(DM1)。
方法DM1については、2個の処理条件を評価し、各条件を三連で行った。第1の条件では、筋芽細胞を75~80%コンフルエンスでプレーティングし、表14の化合物を増殖培地中で連続希釈し、細胞を個別に各化合物に24時間浸して、本化合物の自由取り込みを可能にした。本化合物を含有する培地を除去し、筋芽細胞を1×DPBS(Gibco)で洗浄し、回収前に4日間分化させた。並行して行った第2の条件では、筋芽細胞を処理の3日前に分化させた。本化合物を分化培地で連続希釈し、24時間後に分析のために筋管を採取した。
RNA単離及びPCR全RNAを、製造業者の説明書に従ってQiagen RNeasy Mini Kitを用いて単離した。エキソン包含のために、100ngのRNAを逆転写し、PCR(OneStep RT-PCRキット、Qiagen)に使用した。試料を、HT DNA高感度アッセイキットを用いてLabChip(PerkinElmer)によって分析した。
図22A~図22Fは、Mbnl1(エクソン5包含について、図22A)、Bin1(エクソン11包含について、図22B)、IR(エクソン11包含について、図22C)、DMD(エクソン78包含について、図22D)、LDB3(エクソン11包含について、図22E)及びSos1(エクソン25包含について、図22F)についてのRNAスプライシング測定を示す。データは、全体的に、本明細書に記載の化合物を使用した少なくとも部分的な回復を示している。
実施例8.MDXマウスモデルにおけるDMDのエクソン23のスプライシング修正のための電荷低減環状細胞透過性ペプチドの有効性
以下の表22の化合物は、化合物の更なる非限定的な例を含む。化合物を先の実施例に記載したように調製した。
cCPP化学構造の非限定的な例を示す。
実施例4に記載のMDXモデルにおいて化合物を試験した。マウスを、1日目に20mg/kgの単回静脈内投与で処置した。注射後5日目に、動物を屠殺し、特定の組織を採取し、急速冷凍した。横隔膜(図39A)、心臓(図39B)、前脛骨筋(図39C)及び三頭筋(図39D)において以前に記載されたように、RNAを抽出し、エクソンスキッピングをRT-PCRによって定量した。結果は、EEV-PMO-MDX-4、5、6及び7による処置が、試験した3個のタイプの筋肉組織と比較して、心臓組織においてより低いレベルのエクソンスキッピングをもたらしたことを示した。更に、注射後5日目に、横隔膜(図40A)、心臓(図40B)及び前脛骨筋(図40C)におけるジストロフィンレベルをベステルブロット分析によって定量した。結果は、NLS含有化合物(EEV-PMO-MDX-8、EEV-PMO-MDX-5)による処置もまた、横隔膜組織と比較して、心臓組織及び前脛骨筋組織においてより低いレベルのジストロフィン発現をもたらすことを示した。
実施例9.エクソンスキッピングによるGYS1発現のノックダウン
図31Aは、エクソンスキッピングを使用してGYS1の発現をノックダウンするための概略図を示す。EEV-PMOを使用して、エクソン6のエクソンスキップを誘導する。使用したEEVは、Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-K(N3)-NH2、又はAc-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG2-K(N3)-NH2のいずれかであった。エクソン6をスキップすることは、リーディングフレームをシフトさせ、早すぎる終止コドンの読み取りを含む。次いで、GYS1 mRNAは、ナンセンス媒介崩壊機構を介して分解され、それによって完全なGYS1タンパク質の発現を妨げる。
GAA単一ノックアウトマウスと比較した場合、GYS1/GAA二重ノックアウトマウスは、心臓及び骨格筋におけるグリコーゲンの量の著しい減少と、リソソーム膨潤及びオートファジー構築の有意な減少を示した。これらの細胞レベルの変化は、心臓肥大の矯正、糖代謝の正常化、及び筋萎縮の矯正をもたらす。GAAの不在にもかかわらず、GYS1の排除は、グリコーゲン代謝において重要な役割を果たし得る。
実験
GAAノックアウトマウス(GAA-/-)に、13.5mg/kgのEEV-PMO-GYS1-1、27mg/kgのEEV-PMO-GYS1-1、27mg/kgのPMO、又は陰性対照(ビヒクル)のいずれかの単回IV用量を注射した。GYS1 mRNA及びタンパク質レベルを注射の1週間後に測定した。GYS1のレベルもまた、13.5mg/kgのEEV-PMO-GYS1-2のIV投与の1週間後、2週間後、4週間後、及び8週間後にアクセスした。結果
図32A~図32Dは、EEV-PMO-GYS1-1及び-2処置群の両方の横隔膜及び心筋における有意なノックダウンGYS1発現を示すが、PMOのみの処置群では示さない。この薬力学的結果は、これが非常に低用量で投与される単回用量実験であることを考慮すると注目に値するものであり、GYS1がアドレッサブルな標的であることを示唆する。
図33A~図33Dは、低下したGYS1タンパク質レベルが、心臓、横隔膜、四頭筋、及び三頭筋において注射後最大8週間持続することを示す。
実施例10.エクソンスキッピングによるIRF5発現のノックダウン
図31Bは、エクソンスキッピングを使用してIRF5の発現をノックダウンするための概略図を示す。EEV-PMOを使用して、エクソン4のエクソンスキッピングを誘導する。エクソン4をスキップすることは、リーディングフレームをシフトさせ、早すぎる終止コドンの読み取りを含む。次いで、IRF5 mRNAは、ナンセンス媒介崩壊機構を介して分解され、それによって完全なIRF5タンパク質の発現を妨げる。
実験
インビボ実験のために、野生型マウスを、0日目及び3日目に2用量のEEV-PMO-IRF5-1で処置した。qPCRのために試料を7日目に採取して、mRNAレベルを測定した。インビトロ実験のために、EEV-PMO-IRF5-1、又は2μMのEEV-PMO-IRF5-1、2、3、若しくは4で4時間前処理した後、toll様受容体(TLR)7/8の特異的活性化因子であるイミダゾキノリン化合物であるR848で一晩刺激した。処理の24時間後、細胞を回収し、ウェスタンブロットによって評価した。
EEV-PMO-IRF5-1、2、3、4の各々について、PMOは、以下の配列5’-AGA ACG TAA TCA TCA GTG GGT TGG C-3’の278であった。
EEV-PMO-IRF5-1、2、3及び4についてのEEVを図37A~図37Eに示す。
結果
図34A~図34Cは、肝臓(A)、小腸(B)、及び前脛骨(C)の有意なノックダウンIRF5レベルを示す。全ての組織において、ノックダウンは用量依存的であった。
図35は、EEV-PMO-IRF5-2、EEV-PMO-IRF5-3、及びEEV-PMO-IRF5-4が、IRF5タンパク質発現によって測定した場合、EEV-PMO-IRF5-1と比較して、相対的有効性が有意に改善されたことを示す。
図36は、EEV-PMO-IRF5-1で処置されたマウスマクロファージ細胞において、30μM、10μM及び3μMの用量でIRF5タンパク質レベルが統計的に有意に低減したことを示す。
実施例11:インビトロでのIRF-5標的化PMOについてのEEVのスクリーニング
RAW 264.7単球/マクロファージ細胞を使用して、図37A~図37Eに示される様々なEEV-PMO構築物の処置後のIRF-5発現及びエクソンスキッピングを評価した。
簡単に説明すると、150K細胞/ウェルを、0.5mlのDMEM中の24ウェルプレートに播種した。4時間後、EEV-PMO-IRF5-1、2、3、4化合物を細胞に添加して、500μLの総体積を得た。次いで、細胞を24時間インキュベートした。EEV-PMO-IRF5-1、2、3、4化合物とのインキュベーション後、細胞を新鮮な培地で洗浄し、次いで一晩インキュベートした。2回目のインキュベーション後、RNAを回収し、IRF-5遺伝子中のエキソン5スキッピングを検出するプライマーを用いてRT-PCRを行った。
IRF5発現レベルを、β-チューブリンと比較して求めた。
IRF-5発現実験では、細胞をEEV-PMO-IRF5-1、2、3、4化合物で前処理し、続いてR848で一晩刺激した。R484はToll様受容体アゴニストであり、IRF-5発現の誘導をもたらす。総処理時間は24時間であった。
図38~図39は、本実施例のスクリーニング実験の結果を示す。
図38及び図40は、様々な濃度の様々な化合物で処理した後のIRF-5発現のレベルを示す。R848は、RAW264.7細胞におけるIRF5タンパク質発現を有意に増加させる。全ての試験濃度での全てのEEV-PMO-IRF5-1、2、3、4処理試料は、R848で刺激した細胞と比較して、IRF-5タンパク質発現の有意な減少を示した。EEV-PMO-IRF5-2、3、4は、平均してEEV-PMO-IRF5-1よりも5倍有効であり、R848による細胞刺激におけるIRF-5レベルと比較して、2μMという低い濃度で約80%のIRF-5タンパク質が低減した。
図39は、様々な濃度の様々な化合物で処理した後のエクソンスキッピングのレベルを示す。化合物EEV-PMO-IRF5-2、3、及び4は、5μMでEEV-PMO-IRF5-1よりも高いエクソンスキッピングを示した。EEV-PMO-IRF5-2、3及び4の相互間でエクソンスキッピングの実質的な差は観察されなかった。エクソンスキッピングによるIRF5発現のノックダウン
実施例12:EEV-PMO-DM1-3についての7日間の単一用量範囲探索実験
この実験で評価した化合物は、EEV-PMO-DM1-3であり、その配列は、実施例7、表21に見出すことができる。
9週齢のHSA-LRマウス及び対照FVBマウスを、単回用量範囲実験の1週間後に使用した。HSA-LRマウスを5群に分けた。1つの群に生理食塩水を静脈内投与し、他の群にEEV-PMO-DM1~3を、15、30、60又は90mpkのEEV-PMO-DM1~3で投与した。7日後に組織を採取した。RT-PCRを使用して、特定の遺伝子(Atp2a1、Clcn1、Nfix、MBNL1)の選択的スプライシングを特定した。LC-massを使用して、四頭筋、胃、TA、三頭筋、横隔膜、心臓、腎臓、肝臓、脳、血漿中の薬物レベルを求めた。RNA-seqを使用して、処置疾患モデル、未処置疾患モデル及び野生型の間の転写レベル変化を調べた。蛍光イメージングを使用して、EEV-オリゴ化合物による処理後のRNAフォーカスの減少を調べた。EEV-PMO-DM1~3による処置の7日後に、筋強直症の低減を記録した。Q-PCRを使用して、処置後のアクチン-HSAのmRNAレベルの減少を調べた。
図41A~図41Dは、HSA-LRマウスにEEV-PMO-DM1-3を注射した1週間後の大腿四頭筋におけるMBNL1下流遺伝子の用量依存的修正を示し、図41AはAtp2a1を、図41BはNfixを、図41CはClcn1を、図41DはMbnl1を示す。
図42A~図42Dは、HSA-LRマウスにEEV-PMO-DM1-3を注射した1週間後の腓腹筋におけるMBNL1下流遺伝子の用量依存的修正を示し、図42AはAtp2a1を、図42BはNfixを、図42CはClcn1を、図42DはMbnl1を示す。
図43A~図43Dは、HSA-LRマウスにEEV-PMO-DM1-3を注射した1週間後の前脛骨筋におけるMBNL1下流遺伝子の用量依存的修正を示し、図43AはAtp2a1を、図43BはNfixを、図43CはClcn1を、図43DはMbnl1を示す)。
図44A~図44Dは、HSA-LRマウスにEEV-PMO-DM1-3を注射した1週間後の前三頭筋におけるMBNL1下流遺伝子の用量依存的修正を示し、図44AはAtp2a1を、図44BはNfixを、図44CはClcn1を、図44DはMbnl1を示す)。
図45A~図45Dは、図41A~図41D、図42A~図42D、図43A~図43D及び図44A~図44Dに示されるデータのオーバーレイを示す。
図46A~図46Dは、EEV-PMO-DM1-3の投与が、HSA-LRマウスの骨格筋において約50~70%のHSA mRNAノックダウンをもたらしたことを示し、図46Aは四頭筋を、図46Bは腓腹筋を、図46Cは三頭筋を、図46Dは前脛骨筋を示す。統計的有意性は、HSALRビヒクル処置群(n=3)に対する一元配置ANOVAによって計算される。用量は、PMOに基づく。
図47A~図47Fは、EEV-PMO-DM1-3を投与されたマウスにおける様々な筋肉組織における薬物レベルの用量依存的応答を示すグラフである。図47Aは大腿四頭筋であり、図47Bは三頭筋であり、図47Cは心臓であり、図47Dは腓腹筋であり、図47Eは前脛骨筋であり、図47Fは横隔膜である。
図48は、インビボで検出された主要な代謝産物であるPMO-DM1を示す。
図49A~図49Cは、15、30、60及び90mpkで投与した後の、脳(図49A)、肝臓(図49B)及び腎臓(図49C)におけるEEV-PMO-DM1-3曝露を示す。
図50は、EEV-PMO処置が、1週間後にHSA-LRマウスTA筋におけるCUG病巣を減少させることを示す。
図51は、EEV-PMO-DM処置が、1週間後にHSA-LRマウスTA筋におけるCUG病巣を減少させることを示すグラフである。
図52は、15、30、60及び90mpkでEEV-PMO-DM1-3によって処置した7日後のHSA-LRマウスにおける用量依存的な筋強直症の低減を示す。
筋強直症は、EEV-PMO-DM1-3による処置の1週間後に改善される可能性が高い。90mg/kgのEEV-PMO-DM1-3の単回用量で処置したHSA-LRマウスは、誘導後に後肢筋強直症の明らかな徴候を示さなかった。
実施例13:EEV-PMO-DM1-3を使用した最大8週間の80mpk持続効果
この実験で評価した化合物は、EEV-PMO-DM1-3であり、その配列は、実施例7、表21に見出すことができる。
7週齢のHSALRマウスに80mpkのEEV-PMO-DM1-3を静脈内投与し、1週間から8週間後に組織を採取した。RT-PCRを使用して、特定の遺伝子(Atp2a1、Clcn1、Nfix、MBNL1)の選択的スプライシングを特定した。LC-massを使用して、四頭筋、胃、TA、三頭筋、横隔膜、心臓、腎臓、肝臓、脳、血漿中の薬物レベルを求めた。RNA-seqを使用して、処置疾患モデル、未処置疾患モデル及び野生型の間の転写レベル変化を調べた。蛍光イメージングを使用して、EEV-オリゴ化合物による処理後のRNAフォーカスの減少を調べた。EEV-オリゴ化合物による処置の7日後に筋強直症の低減を記録した。Q-PCRを使用して、処置後のアクチン-HSAのmRNAレベルの減少を調べた。
図53A~図53Cは、HSA-LRマウスにおけるAtp2a1エクソン22包含に対する80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。前脛骨筋(図53A)、三頭筋(図53B)、及び大腿四頭筋(図53C)
図54A~図54Cは、HSA-LRマウスにおけるNfixエクソン7包含に対する80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。前脛骨筋(図54A)、三頭筋(図54B)、及び大腿四頭筋(図54C)。
図55A~図55Cは、HSA-LRマウスにおけるMbnl1エクソン5包含に対する80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。前脛骨筋(図55A)、三頭筋(図55B)、及び大腿四頭筋(図55C)。
図56A~図56Cは、HSA-LRマウスの腓腹筋におけるエクソン22包含に対する80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。Atp2a1(図56A)、Nfix(図56B)、及びMbnl1(図56C)。
図57は、HSA-LRマウスの腓腹筋、三頭筋、前脛骨筋及び四頭筋における80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続期間を示す。
図58A~図58Dは、HSA-LRマウスの筋組織における80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。図58A(四頭筋)、図58B(腓腹筋)、図58C(三頭筋)、及び図58(前脛骨筋)。
図59A~図59Dは、HSA-LRマウスにおけるClcn1エクソン7a包含に対する80mpk EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ)の効果の持続時間を示す。図59A(前脛骨筋)、図59B(三頭筋)、図59C(大腿四頭筋)及び図59D(腓腹筋)。
図60A~図60Dは、EEV-PMO-DM1-3が、注射後1週間及び4週間でHSA mRNAノックダウン傾向を示したことを示す。図60A(前脛骨筋)、図60B(三頭筋)、図60C(大腿四頭筋)、及び図60D(腓腹筋)。
図61A~図61Dは、筋組織における1週間から4週間後の80mpk EEV-PMO-DM1-3による薬物レベルの減少を示す。図61A(前脛骨筋)、図61B(腓腹筋)、図61C(三頭筋)、及び図61D(腓腹筋)。EEV-PMO-DM1-3(60mpkオリゴ、80mpk全薬物)は、1週間の処置後に腓腹筋、三頭筋、前脛骨筋及び四頭筋におけるミススプライシングを完全に補正する。
図62A~図62Bは、肝臓及び腎臓において1週間~4週間後に80mpk用量のEEV-PMO-DM1-3で薬物レベルの減少が観察されたことを示す。
同様の実験を実施して、EEV-PMO-DM1-3のより長い期間及びより高い用量での静脈内投与を評価した。8週齢のHSALRマウスに、40、60、80又は120mpkのEEV-PMO-DM1-3を静脈内投与し、4から12週間後に組織を採取した。RT-PCRを使用して、特定の遺伝子(Atp2a1、Clcn1、Nfix、MBNL1)の選択的スプライシングを特定した。LC-massを使用して、四頭筋、胃、TA、三頭筋、横隔膜、心臓、腎臓、肝臓、脳、血漿中の薬物レベルを求めた。RNA-seqを使用して、処置疾患モデル、未処置疾患モデル及び野生型の間の転写レベル変化を調べた。蛍光イメージングを使用して、EEV-PMO-DM1-3による処理後のRNAフォーカスの減少を調べた。EEV-PMO-DM1~3による処置の7日後に、筋強直症の低減を記録した。Q-PCRを使用して、処置後のアクチン-HSAのmRNAレベルの減少を調べた。データにおいて同様の傾向が観察された(データは示さず)。
実施例14:EEV-PMO-DM1-3による患者由来DM1細胞の処置
この実験で評価した化合物は、EEV-PMO-DM1-3であり、その配列は、実施例7、表21に見出すことができる。
患者の筋芽細胞を、分化の4日間にわたって30マイクロモルのEEV-オリゴで処理した。スプライシング修正をワンステップRT-PCRによって評価した。HCR-FISH及び隔離MBNL1タンパク質検出アッセイを使用して、RNAフォーカスを検出した。結果:EEV-PMO-DM1-3は、DM1患者由来の筋細胞における有意なバイオマーカースプライシング修正及び核フォーカスの減少を促進する。
患者筋芽細胞は、DMPK3’UTR内に2600個のCTG反復を有する。30μM EEV-PMO-DM1-3の自由取り込みは、分化の4日間を通してあった。スプライシング修正を、ワンステップRT-PCR及びLabchip分析によって評価した。プロットされた平均±SD、n=4 CUGフォーカス検出のためのHCR-FISHアッセイ。
図63A~図63Cは、EEV-PMO-DM1-3が、DM1患者由来筋細胞における有意なバイオマーカースプライシング修正を促進することを示す。
図64A~図64Cは、EEV-PMO-DM1-3が、DM1患者由来筋細胞における核フォーカスを減少させることを示す。
実施例15:腎細胞におけるEEV-PMO-DM1-3の細胞毒性スクリーニング
この実験で評価した化合物は、PMO-DM1又はEEV-PMO-DM1-3であり、これらの配列は、実施例7、表21に見出すことができる。
ヒト初代腎近位尿細管上皮細胞(RPTEC)を、様々な濃度(約6から約800マイクロモルの4倍の最終希釈係数を有する生理食塩水中1:2段階希釈)のPMO-DM1及びEEV-PMO-DM1-3に24時間曝露し、生存率についてスクリーニングした。メリチンを陽性対照として16.6uMで使用した。
図65A~図65Bは、PMO-DM1又はそのコンジュゲートされたEEV-PMO-DM1-3が、それぞれ817uM又は797uMの最高濃度であっても、いかなる毒性も示さなかったことを示す。
番号付き実施形態
実施形態1は、式(A):
の環状ペプチド,又はそのプロトン化形態若しくは塩に関し、
式中、
R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又はアミノ酸の芳香族若しくはヘテロ芳香族側鎖であり、
R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、アミノ酸の芳香族又はヘテロ芳香族側鎖であり、
R4、R5、R6、R7は独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
R4、R5、R6、R7のうちの少なくとも1つは、3-グアニジノ-2-アミノプロピオン酸、4-グアニジノ-2-アミノブタン酸、アルギニン、ホモアルギニン、N-メチルアルギニン、N,N-ジメチルアルギニン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,4-ジアミノブタン酸、リジン、N-メチルリジン、N,N-ジメチルリジン、N-エチルリジン、N,N,N-トリメチルリジン、4-グアニジノフェニルアラニン、シトルリン、N,N-ジメチルリジン、β-ホモアルギニン、3-(1-ピペリジル)アラニンの側鎖であり、
AASCはアミノ酸側鎖であり、
qは、1、2、3又は4であり、
式(A)の環状ペプチドは、FfΦRrRrEではない。
実施形態2は、実施形態1の環状ペプチドに関し、環状ペプチドが式(I):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩であり、
式中、各mは、独立して、0~3の整数である。
実施形態3は、実施形態1又は2の環状ペプチドに関し、式中、R1、R2及びR3は、独立して、H又はアリール基を含む側鎖である。
実施形態4は、実施形態1~3のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、アリール基を含む側鎖が、チロシン、フェニルアラニン、1-ナフチルアラニン、2-ナフチルアラニン、トリプトファン、3-ベンゾチエニルアラニン、4-フェニルフェニルアラニン、3,4-ジフルオロフェニルアラニン、4-トリフルオロメチルフェニルアラニン、2,3,4,5,6-ペンタフルオロフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、β-ホモフェニルアラニン、4-tert-ブチル-フェニルアラニン、4-ピリジニルアラニン、3-ピリジニルアラニン、4-メチルフェニルアラニン、4-フルオロフェニルアラニン、4-クロロフェニルアラニン、3-(9-アントリル)-アラニンの側鎖である。
実施形態5は、実施形態1~4のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、アリール基を含む側鎖がフェニルアラニンの側鎖である。
実施形態6は、実施形態1~5のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、R1、R2、及びR3のうちの2つがフェニルアラニンの側鎖である。
実施形態7は、実施形態1~6のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、R1、R2、R3、及びR4のうちの2つがHである。
実施形態8は、実施形態1~7のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-1)、
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態9は、実施形態1~8のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-2):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態10は、実施形態1~9のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-3):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態11は、実施形態1~10のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-4):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態12は、実施形態1~11のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-5):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態13は、実施形態1~12のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(I-6):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態14は、式(II):
の環状ペプチドに関し、式中、
AASCは、アミノ酸側鎖であり、
R1a、R1b、及びR1cは、各々独立して、6から14員アリール又は6から14員ヘテロアリールであり、
R2a、R2b、R2c及びR2dは、独立してアミノ酸側鎖であり、
R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは、
又はそのプロトン化形態若しくは塩であり、
R2a、R2b、R2c及びR2dのうちの少なくとも1つは、グアニジン又はそのプロトン化形態若しくは塩であり、
各n”は、独立して、0から5の整数であり、
各n’は、独立して、0から3の整数であり、
n’が0である場合、R2a、R2b、R2b又はR2dは存在しない。
実施形態15は、実施形態14の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(II-1):
のものである。
実施形態16は、実施形態14又は15の環状ペプチドに関し、式中、R1a、R1b及びR1cは、各々独立して、フェニル、ナフチル及びアントラセニルからなる群から選択される。
実施形態17は、実施形態14又は15の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(IIa):
のものである。
実施形態18は、実施形態14~17のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、R2a、R2b、R2c、又はR2dの少なくとも1つは、
であり、残りのR2a、R2b、R2c、又はR2dは、グアニジン、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態19は、実施形態14~18のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、少なくとも2つのR2a、R2b、R2c又はR2dは、
であり、残りのR2a、R2b、R2c又はR2dは、グアニジン又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態20は、実施形態14~19のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(IIb):
のものである。
実施形態21は、実施形態14~20のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、R2a及びR2cは、各々、
である。
実施形態22は、実施形態14~21のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、環状ペプチドは、式(IIc):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩である。
実施形態23は、実施形態1~22のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、AASCは、アスパラギン残基、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ホモグルタミン酸残基、又はホモグルタミン酸残基の側鎖である。
実施形態24は、実施形態1~23のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、AASCは、グルタミン酸残基の側鎖である。
実施形態25は、実施形態1~24のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、AASCは、
であり、式中、tは0から5の整数である。
実施形態26は、実施形態1~25のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、構造:
又はそのプロトン化形態若しくは塩を有する。
実施形態27は、実施形態1~26のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、構造:
又はそのプロトン化形態若しくは塩を有する。
実施形態28は、実施形態1~27のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、AASC上の少なくとも1つの原子がカーゴ部分によって置き換えられているか、又は少なくとも1つの孤立電子対がカーゴ部分への結合を形成している。
実施形態29は、実施形態1~28のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、AASCがリンカーにコンジュゲートされている。
実施形態30は、実施形態1~29のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、コンジュゲート形態において、AASCがアスパラギン残基、グルタミン残基、又はホモグルタミン残基の側鎖である。
実施形態31は、実施形態1~30のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、コンジュゲート形態において、AASCがグルタミン残基の側鎖である。
実施形態32は、実施形態1~31のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、カーゴ部分がリンカーによってAASCにコンジュゲートされている。
実施形態33は、実施形態1~32のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーは、-(OCH2CH2z-サブユニットを含み、式中、z’は、1から23の整数である。
実施形態34は、実施形態1~33のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーは、
(i)-(OCH2CH2)zサブユニット(式中、z’は1から23の整数である)、
(ii)1つ以上のアミノ酸残基、例えば、グリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノペント酸若しくは6-アミノヘキサン酸、又はそれらの組み合わせの残基、又は
(iii)(i)及び(ii)の組み合わせ、を含む。
実施形態35は、実施形態1~34のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーは、
(i)-(OCH2CH2)zサブユニット(式中、zは2から20の整数である)、
(ii)グリシン、β-アラニン、4-アミノ酪酸、5-アミノペント酸、6-アミノヘキサン酸、又はそれらの組み合わせの1つ以上の残基、又は
(iii)(i及び(ii))の組合せ、を含む。
実施形態36は、実施形態1~35のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーは、二価又は三価のC1~C50アルキレンであり得、ここで、1~25個のメチレン基は、任意選択で、かつ独立して、-N(H)-、-N(C1-C4アルキル)-、-N(シクロアルキル)-、-O-、-C(O)-、-C(O)O-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2N(C1-C4アルキル)-、-S(O)2N(シクロアルキル)-、-N(H)C(O)-、-N(C1-C4アルキル)C(O)-、-N(シクロアルキル)C(O)-、-C(O)N(H)-、-C(O)N(C1-C4アルキル)、-C(O)N(シクロアルキル)、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、又はシクロアルケニルによって置き換えられている。
実施形態37は、実施形態1~36のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーが構造:
を有し、
式中、
x’は、1~23の整数であり、yは、1~5の整数であり、z’は、1~23の整数であり、*はAASCへの結合点であり、AASCは環状ペプチドのアミノ酸残基の側鎖であり、Mは結合基である。
実施形態38は、実施形態1~37のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、リンカーは、構造:
を有する。
実施形態39は、実施形態1~38のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、z’が11である。
実施形態40は、実施形態1~39のいずれか1つに記載の環状ペプチドに関し、式中、x’が1である。
実施形態41は、請求項29~31及び請求項33~40のいずれか1つに記載の環状ペプチドと、リンカーのアミノ末端でリンカーにコンジュゲートされた環外ペプチドとを含むエンドソーム脱出ビヒクル(EEV)に関する。
実施形態42は、実施形態41のEEVに関し、環状ペプチドが式(B):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩であり、
式中、
R1、R2、及びR3は、各々独立して、H又はアミノ酸の芳香族若しくはヘテロ芳香族側鎖であり、
R4及びR7は独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
EPは、環外ペプチドであり、
各mは、独立して、0~3の整数であり、
nは、0~2の整数であり、
x’は、1~20の整数であり、
yは、1~5の整数であり、
qは、1~4であり、
z’は、1~23の整数である。
実施形態43は、実施形態41又は42のEEVに関し、環状ペプチドは、式(B-1)~(B-4):
のものである。
実施形態44は、実施形態41~43のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、2から10個のアミノ酸残基を含む。
実施形態45は、実施形態41~44のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、4から8個のアミノ酸残基を含む。
実施形態46は、実施形態41~45のいずれか1つに記載のEEVに関し、環外ペプチドは、グアニジン基又はそのプロトン化形態若しくは塩を含む側鎖を含む1個又は2個のアミノ酸残基を含む。
実施形態47は、実施形態41~46のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、2、3、又は4個のリジン残基を含む。
実施形態48は、実施形態41~47のいずれか1つのEEVに関し、各リジン残基の側鎖上のアミノ基は、トリフルオロアセチル(-COCF3)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル(Dde)、又は(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン-3)-メチルブチル(ivDde)基で置換されている。
実施形態49は、実施形態41~48のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、疎水性側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸残基を含む。
実施形態50は、実施形態41~49のいずれか1つのEEVに関し、疎水性側鎖を有するアミノ酸残基は、バリン、プロリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、及びメチオニンから選択される。
実施形態51は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:KK、KR、RR、HH、HK、HR、RH、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKH、KHK、HKK、HRR、HRH、HHR、HBH、HHH、HHHH、KHKK、KKHK、KKKH、KHKH、HKHK、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、HBHBH、HBKBH、RRRRR、KKKKK、KKKRK、RKKKK、KRKKK、KKRKK、KKKKR、KBKBK、RKKKKG、KRKKKG、KKRKKG、KKKKRG、RKKKKB、KRKKKB、KKRKKB、KKKKRB、KKKRKV、RRRRRR、HHHHHH、RHRHRH、HRHRHR、KRKRKR、RKRKRK、RBRBRB、KBKBKB、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV又はPKKKRKGのうちの1つを含む。
実施形態52は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHのうちの1つを含み、式中、Bはベータアラニンである。
実施形態53は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:KK、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PKKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV又はPKKKRKGのうちの1つを含む。
実施形態54は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:PKKKRKV、RR、RRR、RHR、RBR、RBRBR、RBHBR、又はHBRBHのうちの1つを含み、式中、Bはベータアラニンである。
実施形態55は、実施形態41~50のいずれか1つに記載のEEVに関し、環外ペプチドは、PKKKRKVを含む。
実施形態56は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:Ac-PKKKRKVのうちの1つを含む。
実施形態57は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK又はRKCLQAGMNLEARKTKKのうちの1つを含む。
実施形態58は、実施形態41~50のいずれか1つのEEVに関し、環外ペプチドは、以下の配列:NLSKRPAAIKKAGQAKKKK、PAAKRVKLD、RQRRNELKRSF、RMRKFKNKGKDTAELRRRRVEVSVELR、KAKKDEQILKRRNV、VSRKRPRP、PPKKARED、PQPKKKPL、SALIKKKKKMAP、DRLRR、PKQKKRK、RKLKKKIKKL、REKKKFLKRR、KRKGDEVDGVDEVAKKKSKK又はRKCLQAGMNLEARKTKKのうちの1つを含む。
実施形態59は、カーゴ部分にコンジュゲートされた実施形態41~58のいずれか1つのEEVを含む化合物であって、EEVの末端カルボン酸基の-OHがカーゴ部分によって置き換えられている化合物に関する。
実施形態60は、カーゴ部分が小分子、ペプチド、オリゴヌクレオチド、タンパク質、抗体又はその誘導体である、実施形態59の化合物に関する。
実施形態61は、実施形態59又は60の化合物に関し、本化合物は、式(C):
のもの、又はそのプロトン化形態若しくは塩であり、
式中、
R1、R2、及びR3は、各々独立して、Hであるか、又はアリール若しくはヘテロアリール基を含む側鎖であり、式中、R1、R2、及びR3のうちの少なくとも1つは、アリール若しくはヘテロアリール基を含む側鎖であり、
R4及びR7は、独立して、H又はアミノ酸側鎖であり、
EPは、環外ペプチドであり、
各mは、独立して、0~3の整数であり、
nは、0~2の整数であり、
x’は、1~23の整数であり、
yは、1~5の整数であり、
qは、1~4の整数であり、
z’は、1~23の整数である。
実施形態62は、実施形態61の化合物に関し、式中、R1、R2、及びR3は、H又はアリール基を含む側鎖である。
実施形態63は、実施形態61又は62の化合物に関し、アリール基を含む側鎖は、フェニルアラニンの側鎖である。
実施形態64は、実施形態61~63のいずれか1つに記載の化合物に関し、式中、R1、R2及びR3のうちの2つがフェニルアラニンの側鎖である。
実施形態65は、実施形態61~64のいずれか1つの化合物に関し、式中、R1、R2、R3及びR4のうちの2つがHである。
実施形態66は、実施形態61~65のいずれか1つの化合物に関し、式中、z’が11である。
実施形態67は、実施形態61~66のいずれか1つの化合物に関し、式中、x’が1である。
実施形態68は、実施形態61~67のいずれか1つの化合物に関し、EPが2から10個のアミノ酸残基を含む。
実施形態69は、実施形態61~68のいずれか1つの化合物に関し、EPが4から8個のアミノ酸残基を含む。
実施形態70は、実施形態61~69のいずれか1つの化合物に関し、EPは、グアニジン基、又はそのプロトン化形態若しくは塩を含む側鎖を含む1個又は2個のアミノ酸残基を含む。
実施形態71は、実施形態61~70のいずれか1つの化合物に関し、EPは、少なくとも1個のリジン残基を含む。
実施形態72は、実施形態61~71のいずれか1つの化合物に関し、EPは、2、3、又は4個のリジン残基を含む。
実施形態73は、実施形態61~72のいずれか1つの化合物に関し、EPは、疎水性側鎖を有する少なくとも2個のアミノ酸を含む。
実施形態74は、実施形態61~73のいずれか1つの化合物に関し、疎水性側鎖を有するアミノ酸残基が、バリン、プロリン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、及びメチオニン残基から選択される。
実施形態75は、実施形態61~74のいずれか1つの化合物に関し、EPは、以下の配列:PKKKRKV、KR、RR、KKK、KGK、KBK、KBR、KRK、KRR、RKK、RRR、KKKK、KKRK、KRKK、KRRK、RKKR、RRRR、KGKK、KKGK、KKKKK、KKKRK、KBKBK、KKKRKV、PGKKRKV、PKGKRKV、PKKGRKV、PKKKGKV、PKKKRGV、又はPKKKRKGのうちの1つを含む。
実施形態76は、実施形態62~75のいずれか1つの化合物に関し、EPは、構造:Ac-PKKKRKVを有する。
実施形態77は、実施形態61~76のいずれか1つの化合物に関し、EEVは、オリゴヌクレオチド、ペプチド及び小分子から選択される治療用部分を含むカーゴ部分にコンジュゲートされている。
実施形態78は、実施形態61~77のいずれか1つの化合物に関し、式(C-1)、(C-2)、(C-3)、又は(C-4):
の構造、又はそのプロトン化形態若しくは塩を含む。
実施形態79は、式:
Ac-PKKKRKVAEEAK(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH、又は
Ac-PKKKRKVAEEAK(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OHの化合物に関する。
実施形態80は、式:
のカーゴ、リンカー、及び環状ペプチドに関する。
実施形態81は、式:
Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(FfFGRGRQ)-miniPEG2-K(N3)のEEVに関する。
実施形態82は、式:
Ac-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-Lys(シクロ[Phe-D-Phe-Nal-Gly-D-Arg-Gly-D-Arg-Gly-Gln])-PEG12-Lys(アジド)-NH2のEEVに関する。
実施形態83は、式:
のEEVに関する。
実施形態84は、式:Ac-P-K(Tfa)-K(Tfa)-K(Tfa)-R-K(Tfa)-V-miniPEG-K(シクロ-Ff-Nal-GrGrQ)-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態85は、式:
のEEVに関する。
実施形態86は、式:Ac-P-K-K-K-R-K-V-miniPEG-K(シクロ-Ff-Nal-GrGrQ)-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態87は、式:
アセチル-Pro-Lys(Tfa)-Lys(Tfa)-Arg-Lys(Tfa)-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Gly-Arg-Gly-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態88は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Gly-Arg-Gly-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態89は、式:
Ac-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-D-Phe-Nal-Cit-D-Arg-Cit-D-Arg-Gln])-PEG12-Lys(アジド)-NH2のEEVに関する。
実施形態90は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-D-Phe-Phe-Gly-Arg-Gly-Arg-Gln])-AEEA-Lys(アジド)-NH2のEEVに関する。
実施形態91は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-D-Phe-Nal-Gly-D-Arg-Gly-D-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態92は、式:
アセチル-Pro-Lys(Tfa)-Lys(Tfa)-Arg-Lys(Tfa)-Val-AEEA-Lys(シクロ[Gly-D-Phe-Phe-Gly-D-Arg-Gly-D-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態93は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Gly-D-Phe-Phe-Gly-D-Arg-Gly-D-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態94は、式:
アセチル-Pro-Lys(Tfa)-Lys(Tfa)-Lys(Tfa)-Arg-Lys(Tfa)-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Gly-Arg-Arg-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態95は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Gly-Arg-Arg-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態96は、式:
アセチル-Pro-Lys(Tfa)-Lys(Tfa)-Arg-Lys(Tfa)-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Arg-Arg-Arg-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態97は、式:
アセチル-Pro-Lys-Lys-Lys-Arg-Lys-Val-AEEA-Lys(シクロ[Phe-Gly-Phe-Arg-Arg-Arg-Arg-Gln])-PEG12-OHのEEVに関する。
実施形態98は、
Ac-rr-miniPEG2-Dap[シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ)]-PEG12-OH
Ac-frr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rfr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbfbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbhbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rbhbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-PEG12-OH
Ac-rr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-frr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rfr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbfbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rrr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbrbr-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbhbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-rbhbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-hbrbh-Dap(シクロ(FfΦ-Cit-r-Cit-rQ))-b-OH
Ac-KKKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KGKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKGK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KGK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBKBK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KR-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KBR-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PGKKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKGKRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKGRKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKGKV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRGV-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-PKKKRKG-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKKRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2
Ac-KKRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2及び
Ac-KRK-miniPEG2-Lys(シクロ(Ff-Nal-GrGrQ))-miniPEG2-K(N3)-NH2、から選択されるEEVに関する。
実施形態99は、以下から選択されるEEVに関する。
実施形態100は、以下から選択されるEEVに関する。
実施形態101は、以下から選択されるEEVに関する。
実施形態102は、
実施形態103は、カーゴに関し、カーゴは、タンパク質と、
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-PKKKRKV-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rrr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rhr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbrbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-rbhbr-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-GrGrQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[Ff-Nal-Cit-r-Cit-rQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FfF-GRGRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFGRGRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[GfFGrGrQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFGRRRQ])-PEG12-OH
Ac-hbrbh-PEG2-K(シクロ[FGFRRRRQ])-PEG12-OH、から選択されるEEVとである。