JP2024168254A - ポリアミド組成物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】成型時の耐熱性と剛性に優れ、吸湿時の剛性と靭性の低下を抑制し、表面外観性に優れるポリアミド組成物を提供すること。
【解決手段】脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である、ポリアミド組成物。
【選択図】なし
【解決手段】脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である、ポリアミド組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミド組成物及び成形品に関する。
近年、環境意識への高まりから、走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車が注目されている。環境負荷の更なる低減のため新規技術開発が進んでおり、軽量化による電力効率化のために、各部品は小型化が求められる一方で更なる高出力が求められている。特に、モーターを支持する転がり軸受にはこれまで以上の高速回転性能が要求されている。
転がり軸受は、外輪、内輪、ボールおよび保持器によって構成されるが、その保持器には、高い耐熱性と靭性が要求されている。
耐熱性と靭性に優れる材料としてポリアミド樹脂が広く用いられる。一般に用いられている脂肪族ポリアミドの融点は200℃~280℃程度であり、上記の使用環境での耐熱性を有していない。剛性と高温物性に優れた半芳香族ポリアミドとして、特許文献1に開示されたような半芳香族ポリアミドが知られている。さらに、耐熱性と靭性を両立するため、剛性と耐熱性を有する半芳香族ポリアミドにエラストマーを添加することで、耐熱性に加えて靭性を付与する試みがされている(特許文献2)。
高速回転性能のより優れた転がり軸受を得るには、高速回転時に遠心力によって保持器が変形しても、外輪に接触することを防止するための剛性と、摩擦熱により保持器が融解して外輪に焼き付くことを防止するための耐熱性がさらに求められる。一方、保持器にボールをはめ込む際には大きな歪みが発生するため、常温での靭性も求められる。
しかし、特許文献2に開示された技術においては、エラストマーを添加することにより、弾性率が低下するため十分な結果とはいえない。
そこで本発明では、成型時の耐熱性と剛性に優れ、吸湿時の剛性と靭性の低下を抑制し、表面外観性に優れるポリアミド組成物、及び、ポリアミド組成物を成形してなる成形品を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
[1]
脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である、ポリアミド組成物。
[2]
前記芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸単位のみからなる、[1]に記載のポリアミド組成物。
[3]
前記脂肪族ポリアミドおよび前記半芳香族ポリアミドの合計質量に対する、前記脂肪族ポリアミドの質量の割合が、30~50質量%である、[1]または[2]に記載のポリアミド組成物。
[4]
前記脂肪族ジカルボン酸単位がアジピン酸単位のみからなる、[1]~[3]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[5]
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[6]
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、テトラメチレンジアミン単位を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[7]
酸変性エラストマーを、ポリアミド組成物の合計質量に対して、1~20mol%含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[8]
充填材をさらに含み、前記充填材が、繊維状充填材である、[1]~[7]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[9]
前記繊維状充填材が、ガラス繊維、または炭素繊維を含む、[8]に記載のポリアミド組成物。
[10]
前記繊維状充填材が、炭素繊維を含む、[8]に記載のポリアミド組成物。
[11]
前記融解ピーク温度Tm2が300℃以上である、[1]~[10]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[12]
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定におけるtanδピーク温度が100~140℃である、[1]~[11]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[13]
[1]~[12]のいずれかに記載のポリアミド組成物を成形してなる成形品。
[14]
前記成形品が、転がり軸受である、[13]に記載の成形品。
[1]
脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である、ポリアミド組成物。
[2]
前記芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸単位のみからなる、[1]に記載のポリアミド組成物。
[3]
前記脂肪族ポリアミドおよび前記半芳香族ポリアミドの合計質量に対する、前記脂肪族ポリアミドの質量の割合が、30~50質量%である、[1]または[2]に記載のポリアミド組成物。
[4]
前記脂肪族ジカルボン酸単位がアジピン酸単位のみからなる、[1]~[3]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[5]
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[6]
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、テトラメチレンジアミン単位を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[7]
酸変性エラストマーを、ポリアミド組成物の合計質量に対して、1~20mol%含む、[1]~[6]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[8]
充填材をさらに含み、前記充填材が、繊維状充填材である、[1]~[7]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[9]
前記繊維状充填材が、ガラス繊維、または炭素繊維を含む、[8]に記載のポリアミド組成物。
[10]
前記繊維状充填材が、炭素繊維を含む、[8]に記載のポリアミド組成物。
[11]
前記融解ピーク温度Tm2が300℃以上である、[1]~[10]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[12]
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定におけるtanδピーク温度が100~140℃である、[1]~[11]のいずれかに記載のポリアミド組成物。
[13]
[1]~[12]のいずれかに記載のポリアミド組成物を成形してなる成形品。
[14]
前記成形品が、転がり軸受である、[13]に記載の成形品。
本発明のポリアミド組成物によれば、成形品としたときの耐熱性、剛性、成型時の表面外観、吸湿時の剛性低下抑制に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施することができる。
本明細書中、ポリアミドとは主鎖中にアミド結合(-NHCO-)を有する重合体を意味する。
本明細書に記載の材料、成分、化合物、樹脂および溶媒は、別段の記載がない限り、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書において、数値範囲は、別段の記載がない限り、その範囲の上限値および下限値を含むことを意図している。例えば、1~20mol%は、1mol%以上20mol%以下の範囲を意味する。
ポリアミド組成物
本実施形態のポリアミド組成物は、
脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である。
本実施形態のポリアミド組成物は、
脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である。
ポリアミド組成物の特性
本実施形態のポリアミド組成物のtanδピーク温度は、下記構成とすることができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のポリアミド組成物のtanδピーク温度は、下記構成とすることができ、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ポリアミド組成物のtanδピーク温度
ポリアミド組成物の、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定におけるtanδピーク温度は、80~160℃であり、90~150℃が好ましく、90~140℃がより好ましく、100~140℃がより好ましく、100~130℃がさらに好ましく、110~130℃が特に好ましい。一般に成型金型には、導入のしやすさから水媒体の温度調節器が用いられ、最高100~120℃に加熱して使用される。このため、ポリアミド組成物のtanδピーク温度が80~160℃の範囲内にあることにより、成型品の外観が向上する。
ポリアミド組成物の、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定におけるtanδピーク温度は、80~160℃であり、90~150℃が好ましく、90~140℃がより好ましく、100~140℃がより好ましく、100~130℃がさらに好ましく、110~130℃が特に好ましい。一般に成型金型には、導入のしやすさから水媒体の温度調節器が用いられ、最高100~120℃に加熱して使用される。このため、ポリアミド組成物のtanδピーク温度が80~160℃の範囲内にあることにより、成型品の外観が向上する。
ポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2と結晶化ピーク温度Tc
ポリアミド組成物の、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcの差(Tm2-Tc)は35℃以上45℃未満であり、35℃以上40℃未満であることが好ましい。Tm2-Tcが35℃以上45℃未満の範囲内にあることにより、成型品の外観が向上する。
ポリアミド組成物の、JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcの差(Tm2-Tc)は35℃以上45℃未満であり、35℃以上40℃未満であることが好ましい。Tm2-Tcが35℃以上45℃未満の範囲内にあることにより、成型品の外観が向上する。
一実施形態では、ポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2は、290℃以上、300℃以上または310℃以上である。別の実施形態では、ポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2は、360℃以下、350℃以下または340℃以下である。さらに別の実施形態では、ポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2は、300~335℃である。
以下、本実施形態のポリアミド組成物の各構成成分の詳細について説明する
ポリアミド
本実施形態のポリアミド組成物は、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含む。
本実施形態のポリアミド組成物は、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含む。
脂肪族ポリアミド
脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含む。
脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含む。
脂肪族ジカルボン酸単位
脂肪族ジカルボン酸単位を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、炭素数3~20の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。炭素数3~20の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、ジメチルマロン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸単位を構成する脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、炭素数3~20の直鎖状又は分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。炭素数3~20の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、ジメチルマロン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,3-ジエチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸が好ましい。炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。炭素数6以上の直鎖状飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸又はドデカン二酸が好ましい。一実施形態では、脂肪族ジカルボン酸単位がアジピン酸単位のみからなる。
脂肪族ジアミン単位
脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミン、又は、炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等が挙げられる。炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、2-メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミン、又は、炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等が挙げられる。炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、2-メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
脂肪族ポリアミドは、本実施形態のポリアミド組成物の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、3価以上の多価脂肪族アミンに由来する単位を更に含んでもよい。3価以上の多価脂肪族アミンとしては、例えば、ビスヘキサメチレントリアミン等が挙げられる。
一実施形態では、脂肪族ポリアミドは、ポリアミド66を含む。別の実施形態では、脂肪族ポリアミドは、ポリアミド66である。ポリアミド66は、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸の共重合体である。
脂肪族ポリアミドの重量平均分子量Mw
脂肪族ポリアミドの重量平均分子量Mwは、10000~50000が好ましく、17000~45000がより好ましく、20000~45000がさらに好ましく、25000~45000がよりさらに好ましく、30000~45000が特に好ましく、35000~40000が最も好ましい。
脂肪族ポリアミドの重量平均分子量Mwは、10000~50000が好ましく、17000~45000がより好ましく、20000~45000がさらに好ましく、25000~45000がよりさらに好ましく、30000~45000が特に好ましく、35000~40000が最も好ましい。
半芳香族ポリアミド
半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含む。
半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含む。
芳香族ジカルボン酸単位
芳香族ジカルボン酸単位としては、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位が挙げられ、テレフタル酸単位が好ましい。一実施形態では、芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸単位のみからなる。
芳香族ジカルボン酸単位としては、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位が挙げられ、テレフタル酸単位が好ましい。一実施形態では、芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸単位のみからなる。
テレフタル酸単位以外の芳香族ジカルボン酸単位を構成する芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基を有するジカルボン酸が挙げられる。芳香族ジカルボン酸の芳香族基は、無置換でもよく、置換基を有していてもよい。
置換基としては、例えば、炭素数1~4のアルキル基、炭素数6~10のアリール基、炭素数7~10のアリールアルキル基、炭素数7~10のアルキルアリール基、ハロゲン基、炭素数1~6のシリル基、スルホン酸基及びその塩(ナトリウム塩等)等が挙げられる。
炭素数1~4のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
炭素数6~10のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
炭素数7~10のアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。
炭素数7~10のアルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基等が挙げられる。
ハロゲン基としては、例えば、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基等が挙げられる。
炭素数1~6のシリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。
イソフタル酸単位以外の芳香族ジカルボン酸単位を構成する芳香族ジカルボン酸としては、無置換又は所定の置換基で置換された炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
無置換又は所定の置換基で置換された炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸として、例えば、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2-クロロテレフタル酸、2-メチルテレフタル酸、5-メチルイソフタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸は、上述した芳香族ジカルボン酸単位を形成できればよく、ジカルボン酸の無水物、ジカルボン酸のハロゲン化物でもよい。
半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよいし、含まなくてもよい。芳香族ジカルボン酸単位以外のジカルボン酸単位としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸単位、脂環族ジカルボン酸単位が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸単位
脂環族ジカルボン酸単位を構成する脂環族ジカルボン酸としては、例えば、脂環構造の炭素数が3~10の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸単位を構成する脂環族ジカルボン酸としては、例えば、脂環構造の炭素数が3~10の脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、脂環構造の炭素数が5~10の脂環族ジカルボン酸が好ましい。このような脂環族ジカルボン酸としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸の脂環族基は、無置換でもよく、置換基を有していてもよい。置換基としては、芳香族ジカルボン酸単位で説明した置換基と同様である。
また、半芳香族ポリアミドは、本実施形態のポリアミド組成物の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、3価以上の多価カルボン酸に由来する単位をさらに含んでもよい。3価以上の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ジカルボン酸単位としては、ジカルボン酸単位の全モル数に対して、テレフタル酸単位を50モル%以上含むことが好ましく、65~100モル%、75~100モル%、80~100モル%または100モル%含むことが好ましい。
脂肪族ジアミン単位
半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含む。一実施形態では、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、ヘキサメチレンジアミン単位をさらに含む。別の実施形態では、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、テトラメチレンジアミン単位を含む。エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位、ペンタメチレンジアミン単位およびヘキサメチレンジアミン単位は、それぞれ、-NH(CH2)2NH-、-NH(CH2)3NH-、-NH(CH2)4NH-、-NH(CH2)5NH-、-NH(CH2)6NH-を指す。
半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含む。一実施形態では、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、ヘキサメチレンジアミン単位をさらに含む。別の実施形態では、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、テトラメチレンジアミン単位を含む。エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位、ペンタメチレンジアミン単位およびヘキサメチレンジアミン単位は、それぞれ、-NH(CH2)2NH-、-NH(CH2)3NH-、-NH(CH2)4NH-、-NH(CH2)5NH-、-NH(CH2)6NH-を指す。
その他、半芳香族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位は、脂肪族ポリアミドの脂肪族ジアミン単位と同様である。
半芳香族ポリアミドは、半芳香族ポリアミドの全構成単位に対して、20~80モル%、30~70モル%または40~60モル%の芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
半芳香族ポリアミドは、半芳香族ポリアミドの全構成単位に対して、20~80モル%、30~70モル%または40~60モル%の芳香族ジカルボン酸単位を含むことが好ましい。
半芳香族ポリアミドは、半芳香族ポリアミドの全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、炭素数4~10のジアミン単位を含むジアミン単位とを含有するポリアミドであることが好ましい。このとき、半芳香族ポリアミド中のテレフタル酸単位及び炭素数4~10のジアミン単位の合計含有量は、半芳香族ポリアミドの全構成単位に対して、50モル%以上が好ましく、80~100モル%がより好ましく、90~100モル%がさらに好ましく、100モル%が特に好ましい。
半芳香族ポリアミドを構成する所定の単量体単位の割合は、核磁気共鳴分光法(NMR)等により測定することができる。
ジアミン単位
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン単位は、脂肪族ジアミン単位、脂環族ジアミン単位等が挙げられる。
半芳香族ポリアミドを構成するジアミン単位は、脂肪族ジアミン単位、脂環族ジアミン単位等が挙げられる。
脂肪族ジアミン単位
脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミン、又は、炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含む。
脂肪族ジアミン単位を構成する脂肪族ジアミンとしては、例えば、炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミン、又は、炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミン等が挙げられる。脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含む。
炭素数2~20の直鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等が挙げられる。
炭素数3~20の分岐鎖状飽和脂肪族ジアミンとしては、例えば、2-メチルペンタメチレンジアミン(2-メチル-1,5-ジアミノペンタンともいう)、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン(2-メチルオクタメチレンジアミンともいう)、2,4-ジメチルオクタメチレンジアミン等が挙げられる。
脂環族ジアミン単位
半芳香族ポリアミドは、脂肪族ジアミン単位を含めばよく、脂環族ジアミン単位をさらに含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
半芳香族ポリアミドは、脂肪族ジアミン単位を含めばよく、脂環族ジアミン単位をさらに含んでいてもよいし、含まなくてもよい。
脂環族ジアミン単位を構成する脂環族ジアミンとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
半芳香族ポリアミドとしては、テレフタル酸と、テトラメチレンジアミンとを主原料に用いたポリアミド4T(PA4T)が好ましい。一実施形態では、半芳香族ポリアミドは、ポリアミド4T/6Tである。ポリアミド4T/6Tは、テトラメチレンジアミン単位、ヘキサメチレンジアミン単位およびテレフタル酸単位を有する。
脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドの合計質量に対する、脂肪族ポリアミド割合は、例えば、10~60質量%、15~50質量%、20~50質量%または30~50質量%である。脂肪族ポリアミドおよび半芳香族ポリアミドの合計質量に対する、脂肪族ポリアミドの割合を10~60質量%とすることにより、表面外観性に優れた成型品を得ることができる。
末端封止剤
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミドの末端は、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよい。このような末端封止剤は、ジカルボン酸とジアミンとから、又は、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から、ポリアミドを製造する際に、分子量調節剤としても添加することができる。
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミドの末端は、公知の末端封止剤により末端封止されていてもよい。このような末端封止剤は、ジカルボン酸とジアミンとから、又は、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種から、ポリアミドを製造する際に、分子量調節剤としても添加することができる。
末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、酸無水物(無水フタル酸等)、モノイソシアネート、モノエステル類、モノアルコール類等が挙げられる。末端封止剤としては、モノカルボン酸、又は、モノアミンが好ましい。ポリアミドの末端が末端封止剤で封鎖されていることにより、ポリアミド組成物から得られる成形品の熱安定性がより優れる傾向にある。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、ポリアミドの末端に存在し得るアミノ基との反応性を有するものであればよい。モノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等が挙げられる。脂環族モノカルボン酸としては、例えば、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。芳香族モノカルボン酸としては、例えば、安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等が挙げられる。特に、半芳香族ポリアミドの末端は、流動性及び機械的強度の観点から、酢酸によって封止されていることが好ましい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、ポリアミドの末端に存在し得るカルボキシル基との反応性を有するものであればよい。モノアミンとしては、例えば、脂肪族モノアミン、脂環族モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。
脂肪族モノアミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等が挙げられる。
脂環族モノアミンとしては、例えば、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
芳香族モノアミンとしては、例えば、アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等が挙げられる。
末端封止剤により末端封止されたポリアミドを含有するポリアミド組成物は、耐熱性、流動性、靭性、低吸水性、及び、剛性により優れる傾向にある。
ポリアミドの製造方法
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミド(脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミド)を製造する際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9~1.2が好ましく、0.95~1.1がより好ましく、0.98~1.05がさらに好ましい。
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミド(脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミド)を製造する際に、ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量とは、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1に対して、ジアミン全体のモル量は、0.9~1.2が好ましく、0.95~1.1がより好ましく、0.98~1.05がさらに好ましい。
ポリアミドの製造方法としては、例えば、以下の(1)又は(2)の重合工程を含む。
(1)ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸と、ジアミン単位を構成するジアミンとの組み合わせを重合して重合体を得る工程。
(2)ラクタム単位を構成するラクタム、及び、アミノカルボン酸単位を構成するアミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を重合して重合体を得る工程。
(1)ジカルボン酸単位を構成するジカルボン酸と、ジアミン単位を構成するジアミンとの組み合わせを重合して重合体を得る工程。
(2)ラクタム単位を構成するラクタム、及び、アミノカルボン酸単位を構成するアミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を重合して重合体を得る工程。
また、ポリアミドの製造方法としては、重合工程の後に、ポリアミドの重合度を上昇させる上昇工程を、更に含むことが好ましい。また、必要に応じて、重合工程及び上昇工程の後に、得られた重合体の末端を末端封止剤により封止する封止工程を含んでいてもよい。
ポリアミドの具体的な製造方法としては、例えば、以下の第1~第4に例示するように種々の方法が挙げられる。
第1:ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上の水溶液又は水懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と称する場合がある)。
第2:熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と称する場合がある)。
第3:ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と称する場合がある)。
第4:ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(以下、「溶液法」と称する場合がある)。
第1:ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上の水溶液又は水懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」と称する場合がある)。
第2:熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」と称する場合がある)。
第3:ジカルボン酸-ジアミン塩、ジカルボン酸とジアミンとの混合物、ラクタム、及び、アミノカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」と称する場合がある)。
第4:ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分と、ジアミン成分とを用いて重合させる方法(以下、「溶液法」と称する場合がある)。
ポリアミドの具体的な製造方法としては、熱溶融重合法を含む製造方法が好ましい。また、熱溶融重合法によりポリアミドを製造する際には、重合が終了するまで、溶融状態を保持することが好ましい。溶融状態を保持するためには、ポリアミド組成物に適した重合条件で製造することが必要となる。重合条件としては、例えば、以下に示す条件等が挙げられる。まず、熱溶融重合法における重合圧力を14~25kg/cm2(ゲージ圧)に制御し、加熱を続ける。次いで、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm2)になるまで30分以上かけながら降圧する。
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、特に限定されず、バッチ式でもよく、連続式でもよい。ポリアミドの製造に用いる重合装置としては、公知の装置を用いることができる。重合装置として具体的には、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、押出機型反応器(ニーダー等)等が挙げられる。
以下、ポリアミドの製造方法として、バッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造する方法を具体的に例示する。
まず、ポリアミドの原料成分(ジカルボン酸とジアミンとの組み合わせ、並びに、必要に応じて、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種)を、
約40~60質量%含有する水溶液を調製する。次いで、当該水溶液を110~180℃の温度、及び。約0.035~0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65~90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、得られた濃縮溶液をオートクレーブに移し、オートクレーブにおける圧力が約1.2~2.2MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。次いで、オートクレーブにおいて、水及びガス成分のうち少なくともいずれかを抜きながら圧力を約1.2~2.2MPa(ゲージ圧)に保つ。次いで、温度が約220~260℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。オートクレーブ内の圧力を大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。次いで、オートクレーブを窒素等の不活性ガスで加圧し、オートクレーブからポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。押し出されたストランドを、冷却、カッティングすることにより、ポリアミドのペレットを得る。
約40~60質量%含有する水溶液を調製する。次いで、当該水溶液を110~180℃の温度、及び。約0.035~0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65~90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、得られた濃縮溶液をオートクレーブに移し、オートクレーブにおける圧力が約1.2~2.2MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。次いで、オートクレーブにおいて、水及びガス成分のうち少なくともいずれかを抜きながら圧力を約1.2~2.2MPa(ゲージ圧)に保つ。次いで、温度が約220~260℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。オートクレーブ内の圧力を大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。次いで、オートクレーブを窒素等の不活性ガスで加圧し、オートクレーブからポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。押し出されたストランドを、冷却、カッティングすることにより、ポリアミドのペレットを得る。
ポリアミドの特性
ポリアミドのポリマー末端
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミドのポリマー末端としては、特に限定されないが、以下の第1~第4に分類し、定義することができる。すなわち、第1:アミノ末端、第2:カルボキシ末端、第3:封止剤による末端、第4:その他の末端である。
第1:アミノ末端は、アミノ基(-NH2基)を有するポリマー末端であり、ジアミン単位に由来する。
第2:カルボキシル末端は、カルボキシ基(-COOH基)を有するポリマー末端であり、ジカルボン酸単位に由来する。
第3:封止剤による末端は、重合時に封止剤を添加した場合に形成される末端である。封止剤としては、上述した末端封止剤が挙げられる。
第4:その他の末端は、上述した第1~第3に分類されないポリマー末端である。その他の末端として具体的には、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
ポリアミドのポリマー末端
本実施形態のポリアミド組成物に含まれるポリアミドのポリマー末端としては、特に限定されないが、以下の第1~第4に分類し、定義することができる。すなわち、第1:アミノ末端、第2:カルボキシ末端、第3:封止剤による末端、第4:その他の末端である。
第1:アミノ末端は、アミノ基(-NH2基)を有するポリマー末端であり、ジアミン単位に由来する。
第2:カルボキシル末端は、カルボキシ基(-COOH基)を有するポリマー末端であり、ジカルボン酸単位に由来する。
第3:封止剤による末端は、重合時に封止剤を添加した場合に形成される末端である。封止剤としては、上述した末端封止剤が挙げられる。
第4:その他の末端は、上述した第1~第3に分類されないポリマー末端である。その他の末端として具体的には、アミノ末端が脱アンモニア反応して生成した末端、カルボキシル末端から脱炭酸反応して生成した末端等が挙げられる。
酸変性エラストマー
本実施形態のポリアミド組成物は、ポリアミドに加えて、酸変性エラストマーをさらに含んでいてもよい。酸変性エラストマーを含むことにより、靭性、外観により優れるポリアミド組成物とすることができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、ポリアミドに加えて、酸変性エラストマーをさらに含んでいてもよい。酸変性エラストマーを含むことにより、靭性、外観により優れるポリアミド組成物とすることができる。
酸変性エラストマーは、例えば、エチレン酢酸ビニル(EVA)、エチレンアクリレート共重合体(EEA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのエラストマー、またはスチレン系エラストマー(スチレン・エチレンブチレン・スチレン共重合体:SEBS、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体:SEPSなど)を無水マレイン酸により変性したものである。耐熱性の観点から、ポリオレフィン、SEBSまたはSEPSを酸変性したものが特に好ましい。一実施形態では、酸変性エラストマーは、EVA、EEA、PE、PP、SEBSおよびSEPSからなる群より選択されるエラストマーの酸変性体の1種以上である。別の実施形態では、酸変性エラストマーは、EVA、EEA、PE、PP、SEBSおよびSEPSからなる群より選択されるエラストマーの無水マレイン酸変性体の1種以上である。
酸変性エラストマーの含有量は、ポリアミド組成物全体の合計質量に対して、1~20mol%が好ましく、2~10mol%がより好ましく、2~6mol%がさらに好ましく、2~5mol%が特に好ましい。酸変性エラストマーの含有量を1mol%以上とすることにより、過度な吸湿を抑制したポリアミド組成物を得ることができる。一方、酸変性エラストマーの含有量を20mol%以下とすることにより、表面外観性により優れた成型品を得ることができる。
充填材
本実施形態のポリアミド組成物は、ポリアミドと酸変性エラストマーに加えて、充填材をさらに含んでいてもよい。充填材を含むことにより、靭性及び剛性等の機械物性により優れるポリアミド組成物とすることができる。
本実施形態のポリアミド組成物は、ポリアミドと酸変性エラストマーに加えて、充填材をさらに含んでいてもよい。充填材を含むことにより、靭性及び剛性等の機械物性により優れるポリアミド組成物とすることができる。
本実施形態のポリアミド組成物に含まれる充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維状充填材が挙げられる。この他、例えば、特開2023-035802号に記載の充填材を用いてもよい。充填材としては、ガラス繊維又は炭素繊維が好ましい。
充填材の数平均繊維径及び重量平均繊維長は、特開2023-035802号に記載の方法を用いて測定することができる。
ポリアミド組成物中の充填材の含有量は、ポリアミド組成物の総質量に対して、1~80質量%が好ましく、5~70質量%がより好ましく、10~60質量%がさらに好ましく、15~55質量%が特に好ましく、20~50質量%が最も好ましい。充填材の含有量が1質量%以上であることにより、ポリアミド組成物の強度及び剛性等の機械物性がより向上する傾向にある。一方、充填材の含有量が80質量%以下であることにより、より成型性に優れるポリアミド組成物を得ることができる傾向にある。
その他添加剤
本実施形態のポリアミド組成物には、本実施形態のポリアミド組成物の効果を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられるその他添加剤を含んでもよい。その他添加剤としては、例えば、成形性改良剤、劣化抑制剤、造核剤、熱安定剤等が挙げられる。
本実施形態のポリアミド組成物には、本実施形態のポリアミド組成物の効果を損なわない範囲で、ポリアミドに慣用的に用いられるその他添加剤を含んでもよい。その他添加剤としては、例えば、成形性改良剤、劣化抑制剤、造核剤、熱安定剤等が挙げられる。
成形性改良剤
成形性改良剤としては、例えば、特開2022-115097号に記載の成形性改良剤が挙げられる。
成形性改良剤としては、例えば、特開2022-115097号に記載の成形性改良剤が挙げられる。
劣化抑制剤
劣化抑制剤としては、例えば、特開2021-050323号に記載の劣化抑制剤が挙げられる。
劣化抑制剤としては、例えば、特開2021-050323号に記載の劣化抑制剤が挙げられる。
造核剤
造核剤としては、例えば、特開2021-050323号に記載の造核剤が挙げられる。
造核剤としては、例えば、特開2021-050323号に記載の造核剤が挙げられる。
熱安定剤
熱安定剤としては、例えば、特開2023-028935号、特開2021-050323号に記載の熱安定剤が挙げられる。
熱安定剤としては、例えば、特開2023-028935号、特開2021-050323号に記載の熱安定剤が挙げられる。
ポリアミド組成物の製造方法
本実施形態のポリアミド組成物の製造方法としては、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドと、任意成分とを混合する方法であれば、特に限定されない。例えば、特開2023-035802号に記載の方法が挙げられる。本実施形態のポリアミド組成物を製造する際の各成分の配合量は、上述したポリアミド組成物における各成分の含有量と同様である。
本実施形態のポリアミド組成物の製造方法としては、脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドと、任意成分とを混合する方法であれば、特に限定されない。例えば、特開2023-035802号に記載の方法が挙げられる。本実施形態のポリアミド組成物を製造する際の各成分の配合量は、上述したポリアミド組成物における各成分の含有量と同様である。
溶融混練の温度は、半芳香族ポリアミドの融点より1℃以上100℃以下程度高い温度が好ましく、半芳香族ポリアミドの融点より10℃以上50℃以下程度高い温度がより好ましい。混練機での剪断速度は100sec-1以上程度が好ましい。また、混練時の平均滞留時間は0.5分間以上5分間以下程度が好ましい。溶融混練を行う装置としては、公知の装置であればよく、例えば、特開2023-028935号に記載の方法が挙げられる。
成形品
本実施形態の成形品は、上記実施形態のポリアミド組成物を成形してなる。つまり、本実施形態の成形品は、本実施形態のポリアミド組成物を用いた成形体である。
本実施形態の成形品は、上記実施形態のポリアミド組成物を成形してなる。つまり、本実施形態の成形品は、本実施形態のポリアミド組成物を用いた成形体である。
成形品を得る方法としては、特に限定されず、公知の成形方法を用いることができる。公知の成形方法としては、例えば、特開2022-115097号に記載の方法が挙げられる。
用途
本実施形態の成形品は、上記実施形態のポリアミド組成物を含み、耐熱性、靭性、成型品の外観、吸湿時の剛性保持に優れ、様々な用途に用いることができる。本実施形態の成形品の用途としては、例えば、自動車分野、電気及び電子分野、機械及び工業分野、事務機器分野、航空及び宇宙分野において、好適に用いることができる。本実施形態の成形品は、転がり軸受に好適に用いることができる。一実施形態では、成形品は、転がり軸受である。
本実施形態の成形品は、上記実施形態のポリアミド組成物を含み、耐熱性、靭性、成型品の外観、吸湿時の剛性保持に優れ、様々な用途に用いることができる。本実施形態の成形品の用途としては、例えば、自動車分野、電気及び電子分野、機械及び工業分野、事務機器分野、航空及び宇宙分野において、好適に用いることができる。本実施形態の成形品は、転がり軸受に好適に用いることができる。一実施形態では、成形品は、転がり軸受である。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例及び比較例に用いたポリアミド組成物の各構成成分について説明する。
ポリアミド
ポリアミド4T/6T、後述する方法で合成、表中「4T/6T」と表記
ポリアミド9T/2Me8T(クラレ社製、GenestarTMN1000、表中「9T/2Me8T」と表記
ポリアミド6T/6I(三井化学社製、アーレン A3000)、表中「6T/6I」と表記
ポリアミド6I、後述する方法で合成、表中「6I」と表記
ポリアミド66、後述する方法で合成、表中「66」と表記
ポリアミド4T/6T、後述する方法で合成、表中「4T/6T」と表記
ポリアミド9T/2Me8T(クラレ社製、GenestarTMN1000、表中「9T/2Me8T」と表記
ポリアミド6T/6I(三井化学社製、アーレン A3000)、表中「6T/6I」と表記
ポリアミド6I、後述する方法で合成、表中「6I」と表記
ポリアミド66、後述する方法で合成、表中「66」と表記
酸変性エラストマー
酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製、型番:タフマー(登録商標)MH5020)、表中、「MH5020」と表記
酸変性ポリオレフィン樹脂(三井化学社製、型番:タフマー(登録商標)MH5020)、表中、「MH5020」と表記
充填材
炭素繊維(帝人社製、商品名「HT C413」)、表中、「HT C413」と表記
炭素繊維(帝人社製、商品名「HT C413」)、表中、「HT C413」と表記
ポリアミドの製造
半芳香族ポリアミドの各製造方法について以下に詳細を説明する。下記製造方法によって得られた脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドは、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.2質量%に調整してから、後述の実施例及び比較例におけるポリアミド組成物の原料として用いた。
半芳香族ポリアミドの各製造方法について以下に詳細を説明する。下記製造方法によって得られた脂肪族ポリアミド及び半芳香族ポリアミドは、窒素気流中で乾燥し、水分率を約0.2質量%に調整してから、後述の実施例及び比較例におけるポリアミド組成物の原料として用いた。
合成例1:ポリアミド4T/6Tの合成
特表2020-513438号の段落[0052]のPA-2を参考に加熱時間等を調整し、半芳香族ポリアミド(ポリアミド4T/6T)を得た。得られたポリアミド4T/6Tのジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の含有量は100モル%であった。
特表2020-513438号の段落[0052]のPA-2を参考に加熱時間等を調整し、半芳香族ポリアミド(ポリアミド4T/6T)を得た。得られたポリアミド4T/6Tのジカルボン酸単位中のテレフタル酸単位の含有量は100モル%であった。
合成例2:ポリアミド6Iの合成
特開2023-011541号の段落[0247]のポリアミド6Iの合成と同様に行い、半芳香族ポリアミド(ポリアミド6I)を得た。得られたポリアミド6Iのジカルボン酸単位中のイソフタル酸単位の含有量は100モル%であった。
特開2023-011541号の段落[0247]のポリアミド6Iの合成と同様に行い、半芳香族ポリアミド(ポリアミド6I)を得た。得られたポリアミド6Iのジカルボン酸単位中のイソフタル酸単位の含有量は100モル%であった。
合成例3:ポリアミド66の合成
特開2020-056003号の段落[0147]のポリアミド66の合成と同様に行い、脂肪族ポリアミド(ポリアミド66)を得た。
特開2020-056003号の段落[0147]のポリアミド66の合成と同様に行い、脂肪族ポリアミド(ポリアミド66)を得た。
物性及び評価
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットを、窒素気流中で乾燥し、ポリアミド組成物中の水分量を500ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド組成物のペレットを用いて下記の方法を用いて、各種物性の測定及び各種評価を実施した。
実施例及び比較例で得られたポリアミド組成物のペレットを、窒素気流中で乾燥し、ポリアミド組成物中の水分量を500ppm以下にした。次いで、水分量を調整した各ポリアミド組成物のペレットを用いて下記の方法を用いて、各種物性の測定及び各種評価を実施した。
ポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm1及びTm2(℃)
JIS-K 7121に準じて、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、ポリアミド組成物約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点(Tm)に応じて280℃以上370℃以下まで昇温したとき(1回目の昇温時)に現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最も高温側に現れた融解ピーク温度をTm1(℃)とした。また、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2は次のようにして測定した。1回目の昇温後、昇温の最高温度の溶融状態で温度を1分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で1分間保持した。その後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したとき(2回目の昇温時)に現れる吸熱ピークの最も高温側に現れた吸熱ピーク温度をポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2とした。
JIS-K 7121に準じて、PERKIN-ELMER社製Diamond-DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、ポリアミド組成物約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点(Tm)に応じて280℃以上370℃以下まで昇温したとき(1回目の昇温時)に現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の最も高温側に現れた融解ピーク温度をTm1(℃)とした。また、ポリアミドの融解ピーク温度Tm2は次のようにして測定した。1回目の昇温後、昇温の最高温度の溶融状態で温度を1分間保った後、降温速度20℃/minで30℃まで降温し、30℃で1分間保持した。その後、昇温速度20℃/minで同様に昇温したとき(2回目の昇温時)に現れる吸熱ピークの最も高温側に現れた吸熱ピーク温度をポリアミド組成物の融解ピーク温度Tm2とした。
ΔT
上記と同様の条件において、降温速度20℃/minで降温したときに現れる発熱ピーク(結晶化ピーク)の温度を結晶化ピーク温度Tc(℃)とし、Tm2とTcの差をΔTとした。
上記と同様の条件において、降温速度20℃/minで降温したときに現れる発熱ピーク(結晶化ピーク)の温度を結晶化ピーク温度Tc(℃)とし、Tm2とTcの差をΔTとした。
tanδピーク温度
日精工業社製PS40E射出成形機を用い、シリンダー温度340℃、金型温度を120℃に設定し、射出10秒、冷却10秒の射出成形条件で、JIS-K7139に準じた成形品を成形した。この成形品を、動的粘弾性評価装置(GABO社製、EPLEXOR500N)を用いて、以下の条件で測定した。
日精工業社製PS40E射出成形機を用い、シリンダー温度340℃、金型温度を120℃に設定し、射出10秒、冷却10秒の射出成形条件で、JIS-K7139に準じた成形品を成形した。この成形品を、動的粘弾性評価装置(GABO社製、EPLEXOR500N)を用いて、以下の条件で測定した。
(測定条件)
測定モード:引張
測定周波数:8.00Hz
昇温速度:3℃/分
温度範囲:-100℃以上250℃以下
測定モード:引張
測定周波数:8.00Hz
昇温速度:3℃/分
温度範囲:-100℃以上250℃以下
貯蔵弾性率E1及び損失弾性率E2の比(E2/E1)をtanδとし、最も高い温度をtanδピーク温度とした。
評価1:表面光沢性
東芝機械社製IS150E射出成形機を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度120℃で、充填時間が約1.5秒になるように射出圧力、及び速度を適宜調整し、100×90×3mmの射出成形板を得た。この平板を用い、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS-K7150に準じて60度グロスを測定した。
東芝機械社製IS150E射出成形機を用いて、シリンダー温度330℃、金型温度120℃で、充填時間が約1.5秒になるように射出圧力、及び速度を適宜調整し、100×90×3mmの射出成形板を得た。この平板を用い、光沢計(HORIBA製IG320)を用いてJIS-K7150に準じて60度グロスを測定した。
評価2:曲げ弾性率
多目的試験片(A型)を切削し、曲げ試験片(80mm×10mm×4mm短冊)を作成した。曲げ弾性率は、ASTM D790に準じて、試験片を曲げ試験機(東洋精機製:UTM25)で、23℃、クロスヘッドスピード5mm/minの条件で測定した。
多目的試験片(A型)を切削し、曲げ試験片(80mm×10mm×4mm短冊)を作成した。曲げ弾性率は、ASTM D790に準じて、試験片を曲げ試験機(東洋精機製:UTM25)で、23℃、クロスヘッドスピード5mm/minの条件で測定した。
評価3:弾性率保持率
多目的試験片(A型)をJISK-7143に準じて調湿し、記載の方法で曲げ試験測定を行った。弾性率保持率は下記式を用いて求めた。
曲げ弾性率保持率(%)=(吸湿時試験片曲げ弾性率/絶乾時試験片曲げ弾性率)×100
多目的試験片(A型)をJISK-7143に準じて調湿し、記載の方法で曲げ試験測定を行った。弾性率保持率は下記式を用いて求めた。
曲げ弾性率保持率(%)=(吸湿時試験片曲げ弾性率/絶乾時試験片曲げ弾性率)×100
評価4:曲げ歪み保持率
多目的試験片(A型)をJISK-7143に準じて調湿し、記載の方法で曲げ試験測定を行った。弾性率保持率は下記式を用いて求めた。
曲げ歪み保持率(%)=(吸湿時試験片曲げ歪み/絶乾時試験片曲げ歪み)×100
多目的試験片(A型)をJISK-7143に準じて調湿し、記載の方法で曲げ試験測定を行った。弾性率保持率は下記式を用いて求めた。
曲げ歪み保持率(%)=(吸湿時試験片曲げ歪み/絶乾時試験片曲げ歪み)×100
ポリアミド組成物の製造
実施例1
東芝機械社製、TEM35mm2軸押出機(設定温度:350℃、スクリュー回転数300rpm)を用いて、押出機最上流部に設けられたトップフィード口より、ポリアミドを供給した。また、押出機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より充填材を供給した。次いで、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド組成物のペレットを得た。配合量は表1に示すとおりとした。
実施例1
東芝機械社製、TEM35mm2軸押出機(設定温度:350℃、スクリュー回転数300rpm)を用いて、押出機最上流部に設けられたトップフィード口より、ポリアミドを供給した。また、押出機下流側(トップフィード口より供給された樹脂が充分溶融している状態)のサイドフィード口より充填材を供給した。次いで、ダイヘッドより押し出された溶融混練物をストランド状で冷却し、ペレタイズして、ポリアミド組成物のペレットを得た。配合量は表1に示すとおりとした。
また、得られたポリアミド組成物の水分量を調整したペレットを、射出成形機(PS-40E、日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO3167に準拠して、多目的試験片(A型、ダンベル形引張試験片)を成形した。なお、多目的試験片の寸法は、全長≧170mm、タブ部間距離109.3±3.2mm、平行部の長さ80±2mm、肩部の半径24±1mm、端部の幅20±0.2mm、中央の平行部の幅10±0.2mm、厚さ4±0.2mmである。具体的な射出成形時の条件としては、射出及び保圧の時間:5秒、冷却時間:5秒、金型温度:120℃、シリンダー温度:350℃に設定した。
製造した成形品の各種物性の測定及び評価を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2~4、比較例1~6
表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した。評価結果を表1に示す。
表1に示す組成としたこと以外は、実施例1と同様の方法で製造した。評価結果を表1に示す。
表1から、実施例1~3のPA4T/6TおよびPA66を含むポリアミド組成物では、良好なグロス値、曲げ弾性率、吸湿時の曲げ弾性率、曲げ歪みの保持率を有する成形品が得られた。
実施例4の酸変性エラストマーを含むポリアミド組成物では、さらにグロス値が向上した成形品が得られた。
ポリアミド成分のうち、テレフタル酸:脂肪族ジカルボン酸の比が7:3~5:5であるポリアミド組成物のうち、実施例2では、グロス値・吸湿時の曲げ弾性率保持率、吸湿時の曲げ歪み保持率が向上し、実施例3ではグロス値、曲げ弾性率、吸湿時の曲げ歪み保持率が向上した。
一方、PA66を含まない組成物(比較例1~3)では、靭性、グロス値、吸湿時の弾性率保持率において良好な結果は得られなかった。また、酸変性エラストマーのみを添加した比較例2では実施例4のようなグロス値の向上は見られなかった。
テレフタル酸と脂肪族ジカルボン酸の合計質量に対する脂肪族ジカルボン酸の割合が30~50質量%の範囲外にある比較例4では吸湿時の曲げ弾性率保持率が低下した。
比較例5~6から、芳香族ポリアミド中にテトラメチレンジアミンを含まない骨格ではテレフタル酸:脂肪族ジカルボン酸の比が7:3-5:5にあっても良好な結果は得られなかった。
以上のことから、本実施形態のポリアミド組成物によれば、耐熱性、剛性、吸湿時の剛性・靭性低下抑制、成型時の表面外観性に優れる成型品が得られることが明らかとなった。
本実施形態のポリアミド組成物によれば、成形品としたときの耐熱性、剛性、吸湿時の剛性・靭性低下抑制、成型時の表面外観性に優れるポリアミド組成物を提供することができる。そのため、本実施形態の成形品は、転がり軸受等に用いることができる。
Claims (14)
- 脂肪族ポリアミドと、半芳香族ポリアミドとを含み、
前記脂肪族ポリアミドは、脂肪族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドは、芳香族ジカルボン酸単位と、脂肪族ジアミン単位とを含み、
前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位は、エチレンジアミン単位、トリメチレンジアミン単位、テトラメチレンジアミン単位及びペンタメチレンジアミン単位からなるより選択される1種以上の単位を少なくとも含み、
JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定における昇温速度20℃/minで測定した融解ピーク温度Tm2と結晶化温度Tcとの差(Tm2-Tc)が35℃以上45℃未満である、ポリアミド組成物。 - 前記芳香族ジカルボン酸単位が、テレフタル酸単位のみからなる、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記脂肪族ポリアミドおよび前記半芳香族ポリアミドの合計質量に対する、前記脂肪族ポリアミドの質量の割合が、30~50質量%である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記脂肪族ジカルボン酸単位がアジピン酸単位のみからなる、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、ヘキサメチレンジアミン単位をさらに含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記半芳香族ポリアミドの前記脂肪族ジアミン単位が、テトラメチレンジアミン単位を含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 酸変性エラストマーを、ポリアミド組成物の合計質量に対して、1~20mol%含む、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 充填材をさらに含み、前記充填材が、繊維状充填材である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 前記繊維状充填材が、ガラス繊維、または炭素繊維を含む、請求項8に記載のポリアミド組成物。
- 前記繊維状充填材が、炭素繊維を含む、請求項8に記載のポリアミド組成物。
- 前記融解ピーク温度Tm2が300℃以上である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- JIS-K7121に準じた示差走査熱量測定におけるtanδピーク温度が100~140℃である、請求項1に記載のポリアミド組成物。
- 請求項1~12のいずれか一項に記載のポリアミド組成物を成形してなる成形品。
- 前記成形品が、転がり軸受である、請求項13に記載の成形品。
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JP2023084761A JP2024168254A (ja) | 2023-05-23 | 2023-05-23 | ポリアミド組成物及び成形品 |
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