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JP2024151824A - 車両用内装材、及び該車両用内装材の製造方法 - Google Patents

車両用内装材、及び該車両用内装材の製造方法 Download PDF

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JP2024151824A
JP2024151824A JP2023065549A JP2023065549A JP2024151824A JP 2024151824 A JP2024151824 A JP 2024151824A JP 2023065549 A JP2023065549 A JP 2023065549A JP 2023065549 A JP2023065549 A JP 2023065549A JP 2024151824 A JP2024151824 A JP 2024151824A
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design
fabric
roll
vehicle interior
interior material
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JP2023065549A
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大輔 澤田
Daisuke Sawada
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Suminoe Teijin Techno Co Ltd
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Suminoe Teijin Techno Co Ltd
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Abstract

Figure 2024151824000001
【課題】本発明は、エンボス加工が施されても、布帛の持つ触感や柔軟性といった風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材、及び車両用内装材の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る車両用内装材1は、熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛2であって、布帛2の表面に第一意匠部3と第二意匠部4を有し、第一意匠部3は、前記織編地由来の組織による模様を含む意匠であり、第二意匠部4は、エンボス加工によって布帛2の裏面に形成された凹部5の表面側に形成された微細な凹凸模様を含む意匠であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用内装材に関する。
車両用内装用布帛には、近年、従来にはない差別化できる高い商品性が要望されている。一方、自動車向けに限らず布帛の意匠性を高める試みとして、従来から様々な布帛の加工が行われている。
例えば、特許文献1には、表面に凹凸模様を有する柄ロールと周面の平滑な熱ロールとを布帛の厚さより狭い間隔で平行に配置し、布帛の裏面側を柄ロールに押接させながら両ロールの間を挿通し、柄ロールの凸部によって突出した布帛表面に熱ロールを接触させてこの接触部を平滑に変形させ、布帛の表面に光沢模様を形成する方法が開示されている。これにより、風合を阻害することがなく、布帛の表面だけに光沢模様を安価に形成することができる方法とされている。しかしながら、熱ロールを接触させてこの接触部を平滑に変形させているため、接触部以外は風合いが阻害されないものの、平滑に変形した接触部では高級感の低下は免れない。
また、特許文献2には、特殊な凹凸模様を布帛に付与する方法として、熱可塑性合成繊維よりなる布帛を凹部と凸部の高低差が1mm以上になるようにエンボスカレンダー加工し、後に布帛の凸面を100℃以上に加熱された鏡面ロール面に当ててフリクションカレンダー加工する加工方法が開示されている。これにより、耐久性のある特殊な凹凸と強い光沢をもつ布帛が得られるとされている。しかしながら、エンボスカレンダー加工とフリクションカレンダー加工といった2つの工程を要していた。
また、凹凸模様の凹部に光沢が生じず意匠性や風合いを損なわない加工方法として、特許文献3には、布帛に水溶性高分子化合物を付着させ、乾燥させた後、加熱したエンボス型を布帛に押圧することにより、凹凸模様を付与し、その後洗浄し水溶性高分子化合物を除去するエンボス加工方法が開示されている。これにより、意匠性や風合いを損なうことなく、耐久性のある凹凸模様を布帛に付与することができるとされている。しかしながら、水溶性高分子化合物が必要なことはもちろんのこと、布帛に水溶性高分子化合物を付着させる工程、洗浄、除去する工程が必要で、加工工数の増加を招いていた。
特開平7-145553号公報 特開昭55-107574号公報 特開2010-7211号公報
ところで、自動車用布帛には原料に主にポリエステルなどの熱可塑性樹脂が用いられていることから、布帛に凹凸模様を形成し保持するためには、加熱した平板や熱ロールを使用し、エンボス加工を施す必要がある。エンボス加工を施した布帛には凹部が形成されるとともに、この凹部は、布帛が硬化したことのよる強い光沢が付与されている。したがって、従来技術を適用すると、布帛に凹凸模様を形成することができるものの、布帛の持つ本来の触感の低下や柔軟性が損なわれてしまう、すなわち商品価値の低下といった問題があった。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであり、布帛の持つ触感や柔軟性といった風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材、及び車両用内装材の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛であって、
前記布帛の表面に第一意匠部と第二意匠部を有し、
前記第一意匠部は、前記織編地由来の組織による模様を含む意匠であり、
前記第二意匠部は、エンボス加工によって前記布帛の裏面に形成された凹部の表面側に形成された微細な凹凸模様を含む意匠であることを特徴とする車両用内装材。
[2]前記第一意匠部の布帛の厚さが、前記第二意匠部の布帛の厚さより厚い前項1に記載の車両用内装材。
[3]前項1又は2に記載の車両用内装材の製造方法であって、
熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛を意匠ロールAと意匠ロールBとの間で加熱押圧する工程を備え、
前記意匠ロールAは、ロール表面に高さが一定ではない頂部を有するとともに、深度が一定ではない深部を有し、
前記頂部からの前記深部までの平均距離が、5μm~500μmの範囲であり、
前記意匠ロールBは、直径が200mm以上で、
ロール表面に突設した凸部を有し、前記布帛の裏面側に配置され、
表面温度が120℃以上であることを特徴とする車両用内装材の製造方法。
[4]前記凸部の高さが、1mm~10mmの範囲である前項3に記載の車両用内装材の製造方法。
[5]前記意匠ロールAの直径と前記意匠ロールBの直径の比が、1/1~1/1.8の範囲で、かつ
前記意匠ロールBの直径が200mm~400mmの範囲である前項3又は4に記載の車両用内装材の製造方法。
[6]前記布帛はポリエステル製の織編地からなり、前記加熱押圧する工程では、前記意匠ロールBの表面温度を120℃~230℃の範囲で加熱する前項3~5のいずれか1項に記載の車両用内装材の製造方法。
[1]の発明では、熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛の表面に第一意匠部と第二意匠部を有し、前記第一意匠部は、前記織編地由来の組織による模様を含む意匠であり、前記第二意匠部は、エンボス加工によって前記布帛の裏面に形成された凹部の表面側に形成された微細な凹凸模様を含む意匠であるので、前記布帛の表面のどの方向からでも微細な凹凸模様を視認することができ、布帛の持つ風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材を提供できる。
[2]の発明では、前記第一意匠部の布帛の厚さが、前記第二意匠部の布帛の厚さより厚いので、前記第二意匠部の触感は、触れたときに沈み込み独特の風合いとなり、車両用内装材を座席の表皮材として使用し、この座席に人が着座した際には摩擦や体圧が前記第二意匠部では裏面側に分散するので、前記第二意匠部の意匠が崩れたり、消えたりしてしまう恐れは少ない車両用内装材を提供できる。
[3]の発明では、熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛を意匠ロールAと意匠ロールBとの間で加熱押圧する工程を備え、前記意匠ロールAは、ロール表面に高さが一定ではない頂部を有するとともに、深度が一定ではない深部を有し、前記頂部からの前記深部までの平均距離が、5μm~500μmの範囲であり、前記意匠ロールBは、直径が200mm以上で、ロール表面に突設した凸部を有し、前記布帛の裏面側に配置され、表面温度が120℃以上であるので、前記布帛の持つ風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材を製造できる。より詳しくは、前記意匠ロールBのロール表面に突設した凸部によって前記布帛の裏面に凹部を形成するとともに、前記意匠ロールAのロール表面の高さが一定ではない頂部と深度が一定ではない深部によって前記布帛の表面側の表層部に微細な凹凸模様を形成する、すなわち前記第二意匠部を形成することができる。前記意匠ロールAのロール表面の前記頂部からの前記深部までの平均距離を5μm~500μmの範囲とすることで、前記第二意匠部の触感を低下させてしまうこともなく、微細な凹凸模様の光沢感を調整できる。
[4]の発明では、前記凸部の高さが1mm~10mmの範囲なので、前記布帛の裏面に凹部が形成される部分以外は加熱押圧されないので、前記布帛の持つ触感の低下や柔軟性や伸度の低下も抑えることができる。
[5]の発明では、前記意匠ロールAの直径と前記意匠ロールBの直径の比が、1/1~1/1.8の範囲で、かつ前記意匠ロールBの直径が200mm~400mmの範囲なので、車両用内装材を例えば、シート表皮材とする場合にリピートサイズのより大きな意匠にすることができるとともに、前記意匠ロールBのロール表面に突設した凸部による布帛への急激な当たりをより抑制することができることから、前記第一意匠部と前記第二意匠部の境界には大きな段差を生じさせる恐れがなく、微細な凹凸模様の形成に支障をきたす恐れもなく車両用内装材を製造できる。
[6]の発明では、前記布帛はポリエステル製の織編地からなり、前記加熱押圧する工程では前記意匠ロールBの表面温度を120℃~230℃の範囲で加熱することで、前記布帛の裏面に十分に凹部を形成することができ、ポリエステル製の織編地が溶融することもなく、触感の低下をより抑えるとともに、前記凹部が前記布帛の裏面において部分的であることから、前記布帛の柔軟性の低下も抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る車両用内装材の説明図(平面図)である。 図1におけるa―a線の断面図である。 加熱押圧する工程についての説明図である。 加熱押圧する工程における意匠ロールAの部分拡大断面図の一例である。 加熱押圧する工程における意匠ロールBの部分拡大断面図の一例である。
次に、本発明に係る車両用内装材の一実施形態について図1~図5をもとに説明する。
図1において、車両用内装材1は、熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛2であって、布帛2の表面に第一意匠部3と第二意匠部4を有し、第一意匠部3は、前記織編地由来の組織による模様を含む意匠であり、第二意匠部4は、エンボス加工によって布帛2の裏面に形成された凹部5の表面側に形成された微細な凹凸模様を含む意匠であることを特徴とする。このような構成を採用することで、より詳しくは、布帛2の表面のどの方向からでも微細な凹凸模様を視認することができ、布帛2の持つ風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材1を提供できる。なお、第一意匠部3と第二意匠部4の境界には、従来のエンボス加工のような大きな段差もなく、スムースな触感と繊細な光沢感を有する。
布帛2は、熱可塑性樹脂製の織編地、すなわち織物又は編物である。前記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂を1種又は複数用いてもよい。熱可塑性樹脂を複数用いるには、織物又は編物を構成する糸として熱可塑性樹脂からなる繊維を混繊して用い方法、あるいは、交織、交編する方法を挙げることができる。車両内装用の布帛2に適用する熱可塑性樹脂しては、耐久性、耐熱性等の観点からポリエステル系樹脂が好ましい。なお、織編地の組織、すなわち織組織又は編組織の種類は特に限定されず、従来公知の組織を使用することができる。織組織としては、ドビー織物、ジャカード織物等を挙げることができる。編組織としては、経編、緯編、丸編等を挙げることができる。
布帛2の表面に第一意匠部3と第二意匠部4を有する。第一意匠部3は、先に説明した織編地由来の組織による模様を含む意匠(図1では省略)である。ここで、織編地由来の組織による模様には、布帛2の表面に現れる糸の太さの組み合わせ、現れる頻度や連続度合いなどによる細かな凹凸も含まれる。第二意匠部4は、エンボス加工、すなわち後に説明する製造方法における加熱押圧工程によって、意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9で加熱押圧されることにより布帛2の裏面に形成された凹部5の表面側に形成され、布帛2の表面は、高さが一定ではない頂部と深度が一定ではない深部を有する意匠ロールAに当たることにより布帛2の表面側の表層部に形成された微細な凹凸模様を含む意匠である。第二意匠部4として図1には平面視で複数の菱形の例を示しているが、特に菱形に限定されず、円形、三角形、四角形、多角形や幾何学、直線や曲線、又はこれらの組合せたものなど任意に設定できる。意匠ロールBの凸部9の頂面10の形によるものである。
図2に示すように、布帛2の表面に第一意匠部3と第二意匠部4があり、第一意匠部3の布帛2の厚さが、第二意匠部4の布帛2の厚さより厚いのが好ましい。このような構成を採用することで、第一意匠部3の厚みと第二意匠部4の厚みが異なり、第一意匠部3の布帛の厚さが第二意匠部4の布帛の厚さより厚いので、第二意匠部4の触感は、触れたときに沈み込み独特の風合いとなり、車両用内装材1を座席の表皮材として使用し、この座席に人が着座した際には摩擦や体圧が第二意匠部4では裏面側に分散するので、第二意匠部4の意匠が崩れたり、消失してしまう恐れは少ない車両用内装材1を提供できる。また、第一意匠部3は、加熱や加圧による触感や柔軟性の低下もない。また、図2には図示していないが、より立体的になることから、凹部5は底部に微細な凹凸模様があっても良い。この場合、後に説明する製造方法における意匠ロールBの凸部9の頂面10に凹凸を設けるのが好ましい。なお、凹部5の底部の微細な凹凸模様は、第一意匠部3の織編地由来の組織による模様には相当しない。
次に、車両用内装材1の製造方法について説明する。車両用内装材1の製造方法は、熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛2を意匠ロールAと意匠ロールBとの間で加熱押圧する工程を備えている。意匠ロールAは、ロール表面に高さが一定ではない頂部6を有するとともに、深度が一定ではない深部7を有している。頂部6からの深部7までの距離dの平均が、5μm~500μmの範囲である。意匠ロールBは、直径が200mm以上であり、ロール表面8に突設した凸部9を有し、布帛2の裏面側に配置され、表面温度が120℃以上である。なお、凸部9の高さhは1mm~10mmの範囲が好ましく、凸部9が加熱押圧する周りの布帛2を徒に加熱、圧縮してしまうこともなく第二意匠部4を設けることができる。
加熱押圧工程では、意匠ロールAと意匠ロールBとの間で、布帛2を加熱押圧することで、布帛2の裏面に凹部5を形成するとともに、布帛2の表面には第二意匠部4を形成する。すなわち、第二意匠部4は、布帛2の裏面側に配置された表面温度が120℃以上の意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9で加熱押圧されることにより布帛2の裏面に凹部5が形成される際に、布帛2の表面が、高さが一定ではない頂部と深度が一定ではない深部を有する意匠ロールAに当たることにより布帛2の表面側の表層部に形成された微細な凹凸模様を含む意匠である。なお、第一意匠部3は布帛2の裏面に凹部5が形成されていない部分の布帛2の表面に有る意匠である。布帛2の表面は意匠ロールAに接するが、第一意匠部3は意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9によって裏面から加熱押圧されないので、織編地由来の組織による模様が維持される。こうして、布帛2の表面に、織編地由来の組織による模様を含む意匠の第一意匠部3と、表層部に微細な凹凸模様がある第二意匠部4を有し、布帛2の持つ風合いの低下が抑えられた商品価値の高い車両用内装材1を製造できる。より詳しくは、意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9によって布帛2の裏面に凹部5を形成するとともに、意匠ロールAのロール表面8の高さが一定ではない頂部6と深度が一定ではない深部7によって布帛2の表面側の表層部に微細な凹凸模様を形成する、すなわち第二意匠部4を形成することができる。しかも、加工工数の増加も招かない。
加熱押圧する工程で用いる装置として、例えば図3に示すようにロール11とロール12が対向して回転可能に設けられ、図示していないがロール11とロール12にはそれぞれ加熱手段を備えた装置を挙げることができる。ロール11として意匠ロールAをロール12として意匠ロールBをそれぞれ配置し、加熱されたロール11とロール12との間に布帛2の表面を上(図3のロール11側)にして布帛2を通過させることで加熱押圧する。図3では、布帛2をロール12の円周の4分の1ほど沿わせてからを加熱押圧している。布帛2を図3の水平方向に通過させてもよいが、布帛2の裏面を予熱できることから好ましい。
図3では、ロール11として配置した意匠ロールAの表面の頂部6、深部7、ロール12として配置した意匠ロールBの凸部9等は図示していないが、図4に意匠ロールAの部分拡大断面図の一例を、図5に意匠ロールBの部分拡大断面図の一例をそれぞれ示す。
図4に示すように、意匠ロールAの外周面には、ロール表面に高さが一定ではない複数の頂部6とともに、深度が一定ではない深部7が形成されている。なお、いずれも一定ではないが、おおむね一様であってもよく、頂部6からの深部7までの距離dの平均は5μm~500μmの範囲である。この範囲にすることで、第二意匠部4の触感を低下させてしまうこともなく、微細な凹凸模様の光沢感を調整できる。距離dの平均が5μm未満では、微細な凹凸模様とならずに平坦となり、テカリが生じてしまうことになり、500μmを超えると凹凸が大きくなり触感を阻害する要因となる。
図5に示すように、意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9が形成されている。凸部9の高さhは1mm~10mmの範囲が好ましい。高さhが1mm未満では、布帛2の全面を押圧することになり布帛2の触感や柔軟性といった風合いや伸度が低下する恐れがあり、10mmを超えるとロールの製造コストが増加するし、ロールの肉厚が薄くなるので強度の低下を招くこととなる。高さhは、上記の範囲で布帛2の厚さ以上に設定すればよい。意匠ロールBの凸部9の頂面10の形は特に限定されず、円形、三角形、四角形、多角形や幾何学、直線や曲線、又はこれらの組合せたものなど任意に設定できる。なお、意匠ロールBにおいて、凸部9は複数設けられ、各凸部9の高さhが一定であるのが好ましいが、布帛2の表面側の表層部の微細な凹凸模様に強弱をつけるために、布帛2の裏面に凹部5を形成できる範囲で、適宜異なる高さhの凸部9を設けてもよい。また、意匠ロールBの凸部9によって布帛2の裏面に凹部5が形成される部分以外は加熱押圧されないので、布帛2の持つ風合いの低下を抑えることができる。
意匠ロールAと意匠ロールBは表面が金属製で、熱伝導性が良好なことから材質は炭素鋼でS25C又はS45Cが好ましい。
意匠ロールAの直径と意匠ロールBの直径の比が、1/1~1/1.8の範囲で、かつ意匠ロールBの直径が200mm~400mmの範囲であるのが好ましい。このような構成を採用することで、車両用内装材1を例えば、シート表皮材とする場合にリピートサイズのより大きな意匠にすることができるとともに、意匠ロールBのロール表面8に突設した凸部9による布帛2への急激な当たりをより抑制することができることから、第一意匠部3と第二意匠部4の境界には大きな段差を生じさせる恐れがなく、微細な凹凸模様の形成に支障をきたす恐れもなく車両用内装材1を製造できる。なお、意匠ロールBの直径は、400mmを超えると、ロールの重量が増大しコスト高となる恐れがあることから、200mm~350mmの範囲がより好ましく、上述の関係が成り立つ範囲で、意匠ロールAの直径は、200mm~250mmの範囲がさらに好ましい。
布帛2はポリエステル製の織編地からなり、前記加熱押圧する工程では、意匠ロールBの表面温度を120℃~230℃の範囲で加熱するのが好ましい。このような構成を採用することで、布帛2の裏面に十分に凹部9を形成することができ、ポリエステル製の織編地が溶融することもなく、風合いの低下をより抑えるとともに、凹部5が布帛2の裏面において部分的であることから、布帛2の柔軟性の低下も抑えることができる。
意匠ロールAの温度と意匠ロールBの温度は、熱可塑性樹脂の種類によって適宜設定できる。熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高い温度で、例えば、布帛1がポリエステル系樹脂の場合は、140℃~210℃の範囲が好ましく、160℃~190℃の範囲がより好ましい。なお、意匠ロールAの温度よりも意匠ロールBの温度の方が10℃~20℃程高いのが好ましい。
また、意匠ロールAと意匠ロールBとの間での押圧は、例えば約20~60Kg/cmの条件の範囲で、加工速度は布帛2の通過速度で、約0.1~5m/分に設定するのが好ましい。この範囲にすることで、布帛2の表面に表層部に微細な凹凸模様を安定して形成できるとともに、布帛2の持つ風合いの低下が抑えられることから好ましい。
なお、上記実施形態では、布帛2として熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛であったが、本発明の技術思想から逸脱しない範囲であれば、熱可塑性樹脂製の織編地にクッション層を積層したものでもよい。クッション層としては、ポリウレタンフォーム、繊維クッション材や不織布を例示でき、厚さは1mm~12mm程が好ましい。
次に、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。なお、表1に各実施例、比較例の内容、及び評価結果を示す。
<実施例1>
布帛2としてポリエステル繊維の糸を製織した織物(目付量400g/m、厚み1.0mm)を準備した。図4に示すようなロール表面に形成された複数の頂部6と深部7の頂部6からの深部7までの距離dの平均が6.3μmの革シボ柄の意匠ロールA(直径203mm)を用意した。また、意匠ロールAに対向するロールとして、複数の凸部9(頂面が正方形、高さhが1.5mm)からなる正方形ドット柄の意匠ロールB(直径203mm)を用意した。図3に示すような装置を用いて、ロール11として意匠ロールAを織物の表面側に、ロール12として意匠ロールBを織物の裏面側にそれぞれ配置し、意匠ロールAの表面を温度190℃、意匠ロールBの表面を温度210℃になるように加熱し、2m/分の速度で通過させた。意匠ロールAと意匠ロールBの間で織物に掛かる接圧は、50Kg/cmに設定した。こうして、織物の表層に部分的に革シボ模様のある車両用内装材を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が3級、触感の評価は「◎」、柔軟性評価は「〇」であった。
<実施例2>
実施例1において、距離dの平均が6.3μmの革シボ柄の意匠ロールAに替えて距離dの平均が450μmの交差ダイヤ柄の意匠ロールA(直径203mm)を用い、正方形ドット柄の意匠ロールBに替えて直径だけを350mmとした意匠ロールBを用いた以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が4級、触感の評価は「◎」、柔軟性評価は「〇」であった。
<実施例3>
実施例1において、布帛2として織物に替えて編物(ポリエステル繊維、目付量350g/m、厚み0.8mm)を用い、距離dの平均が6.3μmの革シボ柄の意匠ロールAに替えて柄だけを交差ダイヤ柄とした意匠ロールA(直径203mm)を用い、正方形ドット柄の凸部9の高さh1.5mmの意匠ロールBに替えて正方形ドット柄の凸部9の高さhが8mmで直径を270mmとした意匠ロールBを用いた以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が3級、触感の評価は「◎」、柔軟性評価は「〇」であった。
<実施例4>
実施例1において、革シボ柄の距離dの平均6.3μmの意匠ロールAに替えて距離dの平均だけを350μmとした革シボ柄の意匠ロールA(直径203mm)を用い、正方形ドット柄の凸部9の高さh1.5mmの意匠ロールBに替えてダイヤ形ドット柄の高さhが2.5mmで直径を270mmとした意匠ロールBを用いた以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が4級、触感の評価は「○」、柔軟性評価は「〇」であった。
<比較例1>
実施例1において、革シボ柄の距離dの平均6.3μmの意匠ロールAに替えてロール表面に柄の無い鏡面のロール(直径203mm)を用いた以外は実施例1と同様にして布帛を得た。得られた布帛の評価は、摩耗性評価が2級、触感の評価は「◎」、柔軟性評価は「×」であった。
<比較例2>
実施例1において、装置に配置する2本のロールを相互に入れ替えた。すなわち、ロール11として意匠ロールBを織物の表面側に、ロール12として意匠ロールAを織物の裏面側にそれぞれ配置し、意匠ロールBの表面を温度190℃、意匠ロールAの表面を温度210℃になるように加熱した以外は実施例1と同様にして布帛を得た。得られた布帛の評価は、摩耗性評価が5級、触感の評価は「×」、柔軟性評価は「〇」であった。
<比較例3>
実施例1において、革シボ柄の距離dの平均6.3μmの意匠ロールAに替えて距離dの平均だけを650μmとした革シボ柄のロール(直径203mm)を用いた以外は実施例1と同様にして布帛を得た。得られた布帛の評価は、摩耗性評価が4級、触感の評価は「×」、柔軟性評価は「〇」であった。
<比較例4>
実施例1において、意匠ロールBの表面温度210℃に替えて100℃になるように加熱した以外は実施例1と同様にして布帛を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が2級、触感の評価は「◎」、柔軟性評価は「〇」であった。
<比較例5>
実施例1において、正方形ドット柄の意匠ロールB(直径203mm)に替えて直径だけを100mmとしたロールを用いた以外は実施例1と同様にして布帛を得た。得られた車両用内装材の評価は、摩耗性評価が4級、触感の評価は「×」、柔軟性評価は「〇」であった。
Figure 2024151824000002
実施例1~4の車両用内装材は、柔軟性があり、布帛の持つ触感の低下が抑えられた商品価値の高い高級感のあるものであった。すなわち、実施例1の車両用内装材は、柔軟性があり、表層には部分的に微細な凹凸模様があり、柄際の表層に大きな凹を感じることはなくスムースな触感を有していた。また、実施例2の車両用内装材は、意匠ロールBの径が大きいため、加工の際のロール凸部の当たりがマイルドになり、柄際の段差はスムースであった。実施例2と実施例4の車両用内装材は、摩耗試験後においてそれぞれ交差ダイヤ柄、革シボ柄が明瞭であった。また、実施例3の車両用内装材は、実施例1と同様に高級感のあるものであった。一方、比較例1~5の布帛は、摩耗性、触感及び柔軟性を同時にすべて満たすものでなかった。
<摩耗性の評価>
ASTMD38846.1項に規定されるテーバー試験機を用いて次の条件で試験を行い、試験片表面の摩耗による意匠(柄)の消失の程度について調べて評価した。すなわち、表面を上にして机に置き、斜め45度~60度の方向から目視で観察し、次の判定基準に基づいて評価した。判定が、3級以上を合格とした。
(試験条件)
使用摩耗輪No:CS#10、荷重:4.9N、試験回転数:1,000回、回転摩擦速度:60rpm/分
(判定基準)
5級:意匠に変化が認められない。
4級:意匠に摩耗痕が認められる。
3級:意匠に薄れが認められる。
2級:意匠の一部が消失していると認められる。
1級:意匠の全てが消失していると認められる。
<触感の評価>
試験片の柄際の凹凸を感じるか否かについて表面を指で触って評価した。すなわち、試験片の表面を上にして机に置き指で触ることで、次の判定基準に基づいて評価した。判定が、「〇」以上を合格とした。
(判定基準)
◎:柄際の凹凸を感じない。
〇:柄際の凹凸を僅かだが感じる。
×:柄際の凹凸を感じる。
<柔軟性の評価>
JIS L1096 2010 8.21 剛軟度 A法(45°カンチレバー法)にて測定し、タテ・ヨコの平均値が60mm以下を「〇」で合格、60mm超を「×」で不合格とした。A法(45°カンチレバー法)は、次による。
a) 手順A法は、箇条6によって調整した試料から、20mm×約150mmの試験片をたて方向及びよこ方向又はウェール方向及びコース方向にそれぞれ5枚採取し、一端が45°の斜面をもつ表面の滑らかな水平台の上に試験片の短辺をスケール基線に合わせて置く。次に、適切な方法によって試験片を斜面の方向に緩やかに滑らせて、試験片の一端の中央点が斜面Aと接したとき他端の位置をスケールによって読む。剛軟度は、試験片が移動した長さ(mm)で示され、それぞれ5枚の表裏を測る。
b)計算は、たて方向及びよこ方向又はウェール方向及びコース方向それぞれの平均値を算出し、整数位に丸める。
本発明に係る車両用内装材は、高い商品性が求められる鉄道、バス、自動車などの車両に好適に用いられる。
1・・・車両用内装材
2・・・布帛
3・・・第一意匠部
4・・・第二意匠部
5・・・凹部
6・・・頂部
7・・・深部
8・・・ロール表面
9・・・凸部
10・・・頂面
11・・・ロール
12・・・ロール
d・・・距離
h・・・高さ

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛であって、
    前記布帛の表面に第一意匠部と第二意匠部を有し、
    前記第一意匠部は、前記織編地由来の組織による模様を含む意匠であり、
    前記第二意匠部は、エンボス加工によって前記布帛の裏面に形成された凹部の表面側に形成された微細な凹凸模様を含む意匠であることを特徴とする車両用内装材。
  2. 前記第一意匠部の布帛の厚さが、前記第二意匠部の布帛の厚さより厚い請求項1に記載の車両用内装材。
  3. 請求項1又は2に記載の車両用内装材の製造方法であって、
    熱可塑性樹脂製の織編地からなる布帛を意匠ロールAと意匠ロールBとの間で加熱押圧する工程を備え、
    前記意匠ロールAは、ロール表面に高さが一定ではない頂部を有するとともに、深度が一定ではない深部を有し、
    前記頂部からの前記深部までの平均距離が、5μm~500μmの範囲であり、
    前記意匠ロールBは、直径が200mm以上で、
    ロール表面に突設した凸部を有し、前記布帛の裏面側に配置され、
    表面温度が120℃以上であることを特徴とする車両用内装材の製造方法。
  4. 前記凸部の高さが、1mm~10mmの範囲である請求項3に記載の車両用内装材の製造方法。
  5. 前記意匠ロールAの直径と前記意匠ロールBの直径の比が、1/1~1/1.8の範囲で、かつ
    前記意匠ロールBの直径が200mm~400mmの範囲である請求項3又は4に記載の車両用内装材の製造方法。
  6. 前記布帛はポリエステル製の織編地からなり、
    前記加熱押圧する工程では、前記意匠ロールBの表面温度を120℃~230℃の範囲で加熱する請求項3~5のいずれか1項に記載の車両用内装材の製造方法。
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