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JP6815680B1 - 車両用内装材、車両用内装材の製造方法、及びエンボスロール - Google Patents

車両用内装材、車両用内装材の製造方法、及びエンボスロール Download PDF

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JP6815680B1
JP6815680B1 JP2020145309A JP2020145309A JP6815680B1 JP 6815680 B1 JP6815680 B1 JP 6815680B1 JP 2020145309 A JP2020145309 A JP 2020145309A JP 2020145309 A JP2020145309 A JP 2020145309A JP 6815680 B1 JP6815680 B1 JP 6815680B1
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Abstract

【課題】繊維布帛層とクッション層とが積層一体化された車両用内装材であって、繊維布帛層の質感が良好に保持されているとともに、明瞭なエンボス模様が形成された車両用内装材を提供する。【解決手段】繊維布帛層4とクッション層3とが積層一体化された複合シートにエンボス模様が形成された車両用内装材1であって、表層側の前記繊維布帛層4の表面には、構成繊維の外観形状が表出されており、前記エンボス模様のエンボス凹部12の底部には、該エンボス凹部12より微細な微細エンボス凹部13が形成されており、エンボス凸部11におけるグロス値と前記エンボス凹部12におけるグロス値との差が±1.0以内である。【選択図】図1

Description

本発明は、エンボス模様が形成された車両用内装材、エンボス模様が形成された車両用内装材の製造方法、及びエンボスロールに関する。
車両用内装材として、近年、デザイン性が高く高級感のあるものが要望されている。そのような車両用内装材として、合成樹脂製の布帛の表面にエンボス模様を形成したものが広く知られている。特許文献1には、織物、編物、不織布等の繊維布帛からなる表地と、ポリウレタンフォーム材等からなるクッション層とを積層一体化した複合シートを、エンボスロールとヒートロールとの間でエンボス加工することにより、車両用の座席用表皮材を製造することが記載されている。座席用表皮材として使用する場合、使用中の摩耗によってエンボス模様が消失し易くなるため、エンボス加工では、高温に加熱したエンボスロールで複合シートを加熱圧縮することによって、深くはっきりとしたエンボス模様を形成している。
特開2007−276285号公報
ところで、近年の自動運転技術の進歩に伴って、車室内にホームインテリア調のくつろぎ感を付与することが要望されている。そのため、車両用内装材に対して、ふっくらとした素材感や、杢調の色合いを有するものを利用したいといった要請が高まっている。
しかし、従来のような高温に加熱したエンボスロールによるエンボス加工では、高温で加熱圧縮されることによって繊維布帛層の表面が平坦になり易く、繊維布帛の有する素材感、組織感等の質感が損なわれてしまう場合がある。また、エンボス模様の凹部に、強い光沢感が付与されて、良好な質感が得られない場合もある。一方、こうした事態を回避すべくエンボスロールをより低温に設定すると、明瞭な凹凸形状を有するエンボス模様を賦形することができないといった問題が生じる。
本発明は従来のこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、繊維布帛層とクッション層とが積層一体化され車両用内装材であって、繊維布帛層の質感が良好に保持されているとともに、明瞭なエンボス模様が形成された車両用内装材を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明の車両用内装材は、繊維布帛層とクッション層とが積層一体化された複合シートにエンボス模様が形成された車両用内装材であって、表層側の前記繊維布帛層の表面には、構成繊維の外観形状が表出されており、前記エンボス模様のエンボス凹部の底部には、該エンボス凹部より微細な微細エンボス凹部が形成されており、エンボス凸部におけるグロス値と前記エンボス凹部におけるグロス値との差が±1.0以内である。
上記の構成によれば、エンボス模様のエンボス凹部の底部には、エンボス凹部より微細な微細エンボス凹部が形成されており、エンボス凹部とエンボス凸部とのグロス値の変動が少なくなっている。これは、微細エンボス凹部が形成されることにより、エンボス凹部での繊維布帛層の組織の潰れが抑制されて、繊維布帛層の表面に表出された構成繊維の外観形状が残存した状態となっているためであると考えられる。そのため、繊維布帛層の表面に明瞭なエンボス模様が形成されていても、繊維布帛層に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。
上記課題を解決するため、本発明の車両用内装材の製造方法は、表面に構成繊維の外観形状が表出されている繊維布帛層とクッション層とが積層一体化された複合シートにエンボス模様が形成された車両用内装材の製造方法であって、エンボスロールとバックアップロールとの間に前記複合シートを搬送して、前記繊維布帛層側を前記エンボスロールで加熱押圧する加熱押圧工程を備え、前記加熱押圧工程では、前記エンボスロールとして、表面に前記エンボス模様のエンボス凹部を形成するための型押し凸部が形成されているとともに、前記型押し凸部の表面に該型押し凸部より微細な複数の微細凸部が形成されており、前記微細凸部の表面が、該エンボスロールの回動中心軸線を中心とする仮想円筒面を仮定したとき、前記仮想円筒面と非平行な面で構成されているものを使用する。
エンボスロールとバックアップロールとの間で複合シートを搬送してエンボスロールで複合シートの繊維布帛層側を加熱押圧すると、繊維布帛層の表面は型押し凸部で加熱押圧される。上記の構成によれば、エンボスロールの型押し凸部の表面には、エンボスロールの回動中心軸線を中心とする仮想円筒面とは非平行な面で構成された複数の微細凸部が形成されていることから、繊維布帛層の表面に表出された構成繊維が、型押し凸部によって平面状に加熱押圧されることが抑制される。また、微細凸部が仮想円筒面と非平行な面で構成されているため、微細凸部で押圧された部分の周囲の繊維が引っ張り上げられるように盛り上がり、ふっくらとした質感が残存する。そのため、エンボスロールの表面温度を低く抑えなくても、繊維布帛層の組織の過度な圧縮が抑制されて、繊維布帛層の表面に表出された構成繊維の外観形状が残存した状態となる。これにより、繊維布帛層の表面に明瞭なエンボス模様を形成しつつ、繊維布帛層に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。
上記の構成において、前記加熱押圧工程では、前記エンボスロールの前記型押し凸部と前記バックアップロールとの間に第1のクリアランスが形成されるとともに、前記エンボスロールの凹部と前記繊維布帛層との間に第2のクリアランスが形成されるように、前記エンボスロールと前記バックアップロールの位置を調整することが好ましい。
上記の構成によれば、エンボスロールの型押し凸部によって複合シートが過度に圧縮されることが抑制されるとともに、エンボスロールの型押し凸部以外の部分である凹部が繊維布帛層に接触することが抑制される。そのため、型押し凸部での圧縮部分での複合シートの質感を良好に保持することができる。また、繊維布帛層の表面に表出した構成繊維の加熱圧縮が抑制され、型押し凸部での圧縮部分だけでなく、型押し凸部以外の凹部に対応する部分でも、繊維布帛層の構成繊維の外観形状が残存した状態となる。繊維布帛層が完全に圧縮されることが抑制されて、繊維組織を程よく残すことができる。車両用内装材全体で、繊維布帛層に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。
上記課題を解決するため、本発明のエンボスロールは、表面に構成繊維の外観形状が表出されている繊維布帛層とクッション層とが複合一体化された複合シートにエンボス模様を形成するためのエンボスロールであって、表面に前記エンボス模様のエンボス凹部を形成するための型押し凸部が形成されているとともに、前記型押し凸部の表面に該型押し凸部より微細な複数の微細凸部が形成されており、前記エンボスロールの回動中心軸線を中心とする仮想円筒面を仮定したとき、前記微細凸部の表面は、前記仮想円筒面と非平行な面で構成されている。
上記の構成によれば、繊維布帛層の表面に表出された構成繊維が、型押し凸部によって平面状に加熱押圧されることが抑制される。そのため、上記の構成のエンボスロールを使用してエンボス加工を行った場合に、繊維布帛層の組織の過度な圧縮が抑制されて、繊維布帛層の表面に表出された構成繊維の外観形状が残存した状態となる。これにより、繊維布帛層の表面に明瞭なエンボス模様を形成しつつ、繊維布帛層に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。また、繊維布帛層の表面に意図しない光沢が付与されることを抑制するために、エンボスロールの表面温度を低く抑えなくてもよく、エンボスロールの表面温度を高く設定することによって明瞭なエンボス模様を付与することができる。繊維布帛の有する素材感、組織感等の質感と、明瞭なエンボス模様の付与とを両立させることができる。
上記の構成において、隣接する前記微細凸部における最も突出した部分同士の間隔は、前記構成繊維の幅より広く、かつ、2mm以下であることが好ましい。
車両用内装材として使用する場合の繊維布帛層では、繊維布帛を構成する繊維の繊維幅が概ね0.1〜0.5mm程度である。上記の構成によれば、隣接する微細凸部における最も突出した部分同士の間隔が、車両布帛の構成繊維の幅より広く、かつ、2mm以下であることから、型押し凸部での加熱押圧によって車両布帛の構成繊維が平坦状に押し潰されることが抑制される。これにより、構成繊維の外観形状が保持され、繊維布帛の質感が良好に保持される。
上記の構成において、前記微細凸部における最も突出した部分の高さは、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
上記の構成によれば、微細凸部によって繊維布帛層の構成繊維が押し潰されることが抑制される。これにより、構成繊維の外観形状が保持され、繊維布帛の質感が良好に保持される。
本発明によれば、繊維布帛層の質感が良好に保持されているとともに、明瞭なエンボス模様が形成された車両用内装材が得られる。
車両用内装材であるシート材の部分拡大断面図。 エンボスロールについて説明する図であり、(a)はエンボスロールの径方向断面図、(b)はエンボスロールの径方向断面の拡大図。 エンボスロールの型押し凸部に形成された微細凸部の形状について説明する図であり、(a)は微細凸部を上面視した図、(b)は(a)のB−B線断面図。 エンボス加工の加熱押圧工程について説明する図。 (a)は本実施形態のシート材の表面拡大写真、(b)は従来のシート材の表面拡大写真。
以下に、本発明を具体化した車両用内装材としての車両用シート材1(以下、シート材1という。)について説明する。車両用内装材は、車両用シートの表面を被覆して車両用シートに意匠性を付与するためのものである。
図1に示すように、本実施形態のシート材1は、基材層2、クッション層3、繊維布帛層4がこの順に積層されて一体化されている。車両用内装材として使用されるシート材1は、後に説明する複合シート5にエンボス加工を施すことにより製造される。複合シート5としては、その最大厚みが概ね3.0〜10.0mm程度のものが使用される。以下では、基材層2側をシート材1の裏面、繊維布帛層4側をシート材1の表面と言うものとする。本実施形態のシート材1は、繊維布帛層4がシート材1の最表層に積層されて、シート材1の意匠面を構成する。
基材層2は、織物、編物、不織布等のシートで構成されており、シート材1に剛性を付与する。その材質は特に限定されないが、例えば、合成繊維、天然繊維、再生繊維等を挙げることができる。合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル等を挙げることができる。天然繊維としては、木綿、麻、絹、リンネル、モヘヤ、カシミヤ等を挙げることができる。再生繊維としては、キュプラ、レーヨン、ポリノジック、アセテート、フリース等を挙げることができる。これらは1種類のみからなるものでもよく、2種類以上を混合して織物、編物、不織布等を形成したものでもよい。
クッション層3は、シート材1に弾性、クッション性を付与するものである。その材質は特に限定されないが、例えば、合成樹脂を発泡させた発泡プラスチック等を挙げることができる。発泡プラスチックとしては、発泡ポリウレタンフォーム材、発泡ポリエチレンフォーム材、発泡ポリスチレンフォーム材等を挙げることができる。
繊維布帛層4は、熱可塑性樹脂繊維で形成された織物、編物、不織布等のシートで構成されている。繊維布帛層4を形成する熱可塑性樹脂の材質は特に限定されず、従来公知の熱可塑性樹脂を1種、或いは、混紡、混繊、交織、交編等の手法によって2種以上組み合わせて使用することができる。車両用内装材に適用する熱可塑性樹脂としては、耐久性、耐熱性、耐光性等の観点から、ポリエステル繊維であることが好ましい。
また、織物、編物の組織も特に限定されず、従来公知のものを使用することができる。織組織としては、例えば、平織、斜文織、朱子織、ドビー織、ジャカード織等を挙げることができる。編組織としては、例えば、ダブルトリコット編、ダブルラッセル編等の経編地、平編、リブ編、ガーター編等の緯編地、または丸編地等を挙げることができる。
繊維布帛層4がシート材1の最表面に積層されていることにより、シート材1の表面には、繊維布帛層4を構成する繊維の外観形状が表出されている。一般的に車両用内装材に使用される繊維布帛層4では、その構成繊維の繊維幅は概ね0.1〜0.5mm程度であることから、シート材1の表面には、繊維由来の概ね0.1〜0.5mm程度の細かな凹凸形状が視認される。
図4に示すように、シート材1は、基材層2、クッション層3、繊維布帛層4が積層一体化された複合シート5にエンボス加工を施すことによって製造される。そのため、シート材1の表面には、図1に示すように、複数のエンボス凹部12と複数のエンボス凸部11を有するエンボス模様が形成されている。また、シート材1の裏面には、エンボス凹部12に対応する位置に、凹部14が形成されている。
エンボス凹部12は、後に説明するエンボス加工(加熱押圧工程)により、エンボスロール20に形成された型押し凸部21によって加熱押圧される部分である。また、エンボス凸部11は、エンボスロール20によって加熱押圧されない部分であり、エンボス凹部12が形成されることによって相対的に凸部として形成される部分である。シート材1の厚みが3.0mm以上の場合、エンボス凹部12の底部12aとエンボス凸部11の頂部11aとの差、つまり、エンボス凹部12の深さD1は、1.5mm以上であることが好ましく、2.0mm以上であることがより好ましい。エンボス凹部12の深さD1がこの範囲であると、エンボス模様が明瞭となって車両用内装材としての意匠性が向上する。また、使用時の摩擦によってエンボス模様が消失し難い。なお、エンボス凹部12の底部12aやエンボス凸部11の頂部11aが平坦面でない場合、深さD1は、隣接するエンボス凹部12に挟まれたエンボス凸部11の頂部11aとエンボス凹部12の底部12aとの差の最大値を言うものとする。
図1に示すように、エンボス凹部12の底部12aには、エンボス凹部12より微細な複数の微細エンボス凹部13が形成されている。微細エンボス凹部13は、エンボス凹部12の底部12a全体に形成されている。微細エンボス凹部13は、規則的に並んだ形状であっても不規則に並んだ形状であってもよい。隣り合う微細エンボス凹部13の間隔は、約0.2〜1.8mm程度である。
微細エンボス凹部13が形成されていることで、エンボス凹部12の底部12aは微細なエンボス模様を有している。これにより、図5(a)に示すように、エンボス凹部12でも、繊維布帛層4を構成する繊維の形状が保持されており、その形状を明瞭に視認することができる。エンボス凸部11とエンボス凹部12とで繊維の形状の変化が少なく、エンボス凹部12においても繊維布帛層4特有の繊維の質感が保持されている。
次に、シート材1の製造方法について作用とともに説明する。
図4に示すように、シート材1は、所定温度に加熱されたエンボスロール20とバックアップロール30との間に複合シート5を搬送して、エンボスロール20に形成された型押し凸部21で複合シート5の繊維布帛層4側を加熱押圧することにより製造する。
図2(a)に示すように、加熱押圧工程で使用するエンボスロール20の表面には、複数の型押し凸部21が形成されている。複数の型押し凸部21が形成されていることによって、型押し凸部21の間には、型押し凸部21と比較して相対的に凹んだ凹部22が形成されている。型押し凸部21の形状、型押し凸部21同士の間隔は特に限定されない。型押し凸部21の形状としては、例えば、エンボスロール20の上面視約5mm×20mm程度の矩形状が挙げられる。また、隣接する型押し凸部21同士の間隔は、例えば、約2〜5cm程度である。こうした形状、間隔で型押し凸部21が形成されていると、クッション層3による膨らみ感を維持しつつ、適度な間隔で凹凸形状が形成されて、車両用内装材として高級感のあるシート材1を得ることができる。
図2(b)に示すように、型押し凸部21の凹部22からの高さH1は、シート材1の総厚み以上であることが好ましい。具体的には、シート材1の総厚みに約1.0〜3.0mm程度を加えた値であることが好ましい。型押し凸部21の高さH1がこの範囲であると、加熱押圧工程で、エンボスロール20の凹部22と複合シート5の表面との間に十分なクリアランス(後に説明するクリアランスC2)を取ることが可能であり、複合シート5に対して不要な光沢感を付与することが抑制される。なお、高さH1は、型押し凸部21と凹部22との差の最大値を言うものとする。
図2(b)に示すように、すべての型押し凸部21の表面には、型押し凸部21より微細な複数の微細凸部23が形成されている。微細凸部23は、型押し凸部21の天面の全体に形成されている。複数の微細凸部23が形成されていることによって、微細凸部23の間には、微細凸部23と比較して相対的に凹んだ凹部24が形成されている。
図2(a)及び(b)に示すように、エンボスロール20の回動中心軸線Nを中心とする仮想円筒面Sを仮定したとき、微細凸部23の表面は、仮想円筒面Sとは非平行な面で形成されている。本実施形態の微細凸部23は、図3(b)に示すように、幅方向の断面視が左右対称の山形状に形成されており、仮想円筒面Sに対して非平行な面が連設されたような形状に形成されている。また、図3(a)に示すように、本実施形態の微細凸部23は、複数本が直交して延びる両バイアス形状に形成されている。なお、図3(a)では、微細凸部23における最も突出した部分を線状に示している。
図3(b)に示すように、微細凸部23における最も突出した部分同士の間隔L1は、繊維布帛層4を構成する繊維の幅より広く、かつ、2mm以下となるように形成されていることが好ましく、繊維布帛層4を構成する繊維の幅より広く、かつ、1.5mm以下となるように形成されていることがより好ましい。間隔L1がこの範囲であることにより、型押し凸部21での加熱押圧時に、繊維布帛層4を構成する繊維が平坦状に押し潰されることが抑制される。また、微細凸部23における最も突出した部分の高さH2は、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましいく、0.1mm以上0.7mm以下であることがより好ましい。高さH2がこの範囲であることにより、微細凸部23によって繊維布帛層4を構成する繊維が押し潰されることが抑制される。
図4に示すように、所定温度に加熱されたエンボスロール20とバックアップロール30との間に複合シート5を搬送してエンボス加工を施す加熱押圧工程では、繊維布帛層4側がエンボスロール20側となるように複合シート5を搬送する。複合シート5の搬送中、複合シート5の繊維布帛層4に対して、エンボスロール20の型押し凸部21から押圧力を作用させる。複合シート5の搬送速度、エンボスロール20からの押圧力は、適宜調整することができる。エンボスロール20からの押圧力は、例えば、約3〜250kgf/cm程度に設定すればよい。また、複合シート5の搬送速度、つまり、エンボスロール20の回転速度は、エンボスロール20の外周面と複合シート5との接触時間に基づいて設定すればよく、例えば、約1.0〜5.0m/min程度となるように設定すればよい。
エンボスロール20及びバックアップロール30の加熱温度は、複合シート5を構成する基材層2、クッション層3、及び繊維布帛層4を構成する材質によって適宜調整することができる。例えば、基材層2及び繊維布帛層4がポリエステル製であり、クッション層3が発泡ポリウレタンフォームである場合、エンボスロール20は、その表面温度が170〜210℃程度となるように加熱することが好ましい。また、バックアップロール30は、その表面温度が180〜240℃程度となるように加熱することが好ましい。エンボスロール20及びバックアップロール30の表面温度をこの範囲に調整することにより、複合シート5に対して、使用時の摩耗によって消失し難い明瞭なエンボス模様をしっかりと賦形することができる。
図4に示すように、エンボスロール20とバックアップロール30は、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間にクリアランスC1が形成されるようにして配置する。クリアランスC1は、0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.15mm以上0.35mm以下であることがより好ましい。クリアランスC1がこの範囲であることにより、複合シート5に対して明瞭で摩耗し難いエンボス模様を賦形すると同時に、エンボス凹部12の織編組織を程よく残すことができる。
また、エンボスロール20とバックアップロール30をこのように配置すると、エンボスロール20の凹部22の表面と、複合シート5の繊維布帛層4の表面との間には、クリアランスC2が形成される。クリアランスC2は、約1.0〜3.5mm程度であることが好ましい。クリアランスC2がこの範囲であると、エンボスロール20の凹部22の表面が、複合シート5の繊維布帛層4の表面に接触することが抑制される。これにより、シート材1のエンボス凸部11の表面で、繊維布帛層4を構成する繊維が潰れることが抑制されるとともに、エンボス凸部11の表面に光沢感が付与されることが抑制されて、繊維布帛層4が有する質感が保持される。
加熱押圧工程により、複合シート5にエンボス模様を賦形することによってシート材1が製造される。シート材1の表面には、型押し凸部21による押圧によりエンボス凹部12が賦形される。また、シート材1の裏面には、型押し凸部21とバックアップロール30との間で加熱されることによる複合シート5の収縮により凹部14が形成される。
シート材1のエンボス凹部12には、エンボスロール20の微細凸部23によって微細エンボス凹部13が形成される。エンボスロール20の隣接する微細凸部23の幅は、繊維布帛層4を構成する繊維の幅より広く、かつ、2mm以下に形成されていることから、エンボス凹部12の底部12aでは、繊維布帛層4が平面状に過度に圧縮されることが抑制され、繊維布帛層4を構成する繊維がその外観形状を残存させた状態で保持される。また、微細凸部23の表面は、エンボスロール20の回動中心軸線Nを中心とする仮想円筒面Sを仮定したとき、仮想円筒面Sと非平行な面で構成されている。そのため、エンボス凹部12の底部12aでは、繊維布帛層4を構成する繊維が微細凸部23の押圧力によって、微細凸部23で押圧された部分の周囲が引っ張り上げられるように盛り上がる。これにより、エンボスロール20を高温に加熱し、型押し凸部21による押圧力を強く作用させて深いエンボス凹部12を形成したとしても、エンボス凹部12の底部12aは平滑とならず、光沢感が付与され難い。エンボス凹部12でのグロス値の上昇が抑制されて、エンボス凸部11におけるグロス値とエンボス凹部12におけるグロス値との差が±1.0以内となる。エンボス凹部12とエンボス凸部11とのグロス値差が大きくなることが抑制されて、繊維布帛層4が有する質感が良好に保持される。
本実施形態のシート材1及びその製造方法によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)シート材1は、基材層2、クッション層3、繊維布帛層4が積層一体化された複合シート5にエンボス模様が形成されている。繊維布帛層4に形成されたエンボス凹部12の底部12aには、エンボス凹部12より微細な微細エンボス凹部13が形成されている。
そのため、エンボス凹部12での繊維布帛層4の組織の潰れが抑制されて、繊維布帛層4の表面に表出された繊維の外観形状が残存した状態となり、繊維の外観形状が表出されている。これにより、エンボス凸部11におけるグロス値とエンボス凹部12におけるグロス値との差が±1.0以内となっている。繊維布帛層の表面に明瞭なエンボス模様が形成されていても、繊維布帛層に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。
(2)シート材1を製造するために使用するエンボスロール20には、シート材1にエンボス凹部12を賦形するための型押し凸部21が形成されており、型押し凸部21の表面には、型押し凸部21より微細な両バイアス形状の微細凸部23が形成されている。
そのため、シート材1に賦形されたエンボス凹部12の底部12aでは、繊維布帛層4を構成する繊維が微細凸部23の押圧力によって、微細凸部23で押圧された部分の周囲が引っ張り上げられるように盛り上がる。これにより、繊維布帛層4を構成する繊維の潰れが抑制され、エンボス凹部12の底部12aで繊維の外観形状が保持される。エンボス凹部12とエンボス凸部11とのグロス値差が変動することが抑制されて、繊維布帛層4が有する質感がシート材1全体で良好に保持される。
(3)エンボスロール20の微細凸部23は、隣接する微細凸部23における最も突出した部分同士の間隔L1が、繊維布帛層4を構成する繊維の幅より広く、かつ、2mm以下となるように形成されている。
そのため、型押し凸部21での加熱押圧によって繊維布帛層4の構成繊維が平坦状に押し潰されることが抑制され、構成繊維の外観形状が保持されて、繊維布帛層4の質感が良好に保持される。
(4)エンボスロール20の微細凸部23における最も突出した部分の高さH2は、0.1mm以上1.0mm以下である。
そのため、微細凸部23によって繊維布帛層4を構成する繊維が押し潰されることが抑制されて、繊維布帛層4の質感が良好に保持される。
(5)加熱押圧工程では、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間にクリアランスC1が形成されるように、エンボスロール20とバックアップロール30の位置を調整している。最大厚みが概ね3.0〜10.0mm程度の複合シート5に対して、クリアランスC1は、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下に設定される。
そのため、複合シート5が型押し凸部21によって過度に圧縮されることが抑制されて、エンボス凹部12での複合シート5の質感を良好に保持することができる。また、クリアランスC1が上記範囲であることにより、複合シート5に対して明瞭で摩耗し難いエンボス模様を賦形することができる。
(6)加熱押圧工程では、エンボスロール20の凹部22と繊維布帛層4の表面との間にクリアランスC2が設けられるように、エンボスロール20とバックアップロール30との位置を調整している。
そのため、加熱押圧工程時にエンボスロール20の凹部22が繊維布帛層4の表面に接触することが抑制される。エンボスロール20の表面温度を高く設定しても、シート材1のエンボス凸部11の頂部11aの表面で、繊維布帛層4の表面に表出した繊維が加熱圧縮されることが抑制される。エンボス凹部12の底部12aだけでなく、エンボス凸部11の頂部11aでも、繊維布帛層4の構成繊維の外観形状が残存した状態となる。シート材1全体で、繊維布帛層4に特有な素材感等の質感を良好に保持することができる。
(変更例)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、複合シート5は、基材層2、クッション層3、繊維布帛層4が積層一体化されたものとして構成されているが、層構成はこれに限定されない。基材層2を備えておらず、クッション層3と繊維布帛層4から構成されていてもよい。また、これらの層構成以外に他の層を備えていてもよい。例えば、上記実施形態では繊維布帛層4が最表層として構成されているが、繊維布帛層4の表層側に色材がプリントされたような色材層が設けられていてもよい。この場合、これらが積層一体化された複合シートとして、繊維布帛層4を構成する繊維の外観形状が複合シート5の表面に出現しているものであればよい。
・上記実施形態のエンボスロール20は、すべての型押し凸部21の表面に、微細な複数の微細凸部23が形成されているが、必ずしもすべての型押し凸部21に微細凸部23が形成されていなくてもよい。一部の型押し凸部21では、微細凸部23が形成されておらず、その表面が平坦面として形成されていてもよい。
・上記実施形態の微細凸部23は、複数本が直交して延びる両バイアス形状に形成されているが、微細凸部23の形状はこれに限定されない。例えば、複数本が一方向に平行に延びるボーダー形状に形成されていてもよい。また、一つの型押し凸部21に、両バイアス状の微細凸部23とボーダー形状の微細凸部23が混在していてもよい。
・上記実施形態の微細凸部23は規則的に並ぶように形成されているが、不規則に並ぶように形成されていてもよい。
・微細凸部23の形状は特に限定されない。例えば、幅方向の断面視が左右非対称であってもよい。微細凸部23の表面が、エンボスロール20の回動中心軸線Nを中心とする仮想円筒面Sと非平行な面で構成されていればよい。グロス値の変動を抑制して繊維布帛層4の質感を保持する観点からは、隣接する微細凸部23における最も突出した部分同士の間隔は、繊維布帛層4を構成する繊維の幅より広く、かつ、2mm以下であることが好ましい。また、微細凸部23における最も突出した部分の高さが、0.1mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
以下、上記実施形態のシート材1について、実施例により詳述する。
(実施例1)
<シート材1の調製>
実施例1のシート材1は、基材層2として目付量40g/mでポリエステル製の丸編地、クッション層3として発泡ポリウレタンフォーム、繊維布帛層4としてポリエステル製の長繊維を使用した織物をフレームラミ加工して積層一体化された複合シートを使用して調製した。基材層2の厚みは約1.0mm、クッション層3の厚みは約5.0mm、繊維布帛層4の厚みは約1.0mmであり、シート材1の総厚みは約7.0mmであった。以下、実施例2〜5、比較例1〜5のそれぞれで使用した複合シートは実施例1と同様である。
エンボス加工には、図3に示すような、型押し凸部21の頂面に両バイアス形状の微細凸部23を形成されたエンボスロール20を使用した。エンボスロール20は、微細凸部23を形成した後、JIS R6001−1998で規定する研磨材粒度F180の研磨材を使用してサンドブラスト加工を施し、表面に電解メッキ処理をしている。型押し凸部21の高さH1は8.0mm、微細凸部23の高さH2は200μm、微細凸部23の間隔L1は500μmである。
エンボス加工は、エンボスロール20の表面温度が200℃、バックアップロール30の表面温度が230℃となるように調整した。また、エンボスロール20とバックアップロール30とは、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間に、約0.15mmのクリアランスC1が形成されるように配置した。エンボス加工は、エンボスロール20から複合シートに掛かる押圧力が50kgf/cmとなるように調整し、エンボスロール20とバックアップロール30との間を2m/minの加工スピードで通過するように複合シートを搬送した。
<グロス値の測定>
得られた実施例1のシート材1について、エンボス凹部12の深さD1、エンボス凹部12のグロス値、エンボス凸部11のグロス値をそれぞれ測定した。グロス値の測定は、日本電色工業株式会社製のハンディ型光沢計PGIIを使用して、単角度60゜で行った。これらの測定値をもとに、エンボス加工後のエンボス凸部11とエンボス凹部12のグロス値差を算出した。その結果を表1に示した。また、実施例1のシート材1の表面拡大写真を図5(a)に示した。
<エンボス模様の評価>
エンボス模様の明瞭性については、繊維布帛層4の表面に表出された繊維組織の潰れ具合を目視で評価し、次の指標によりシート材1の組織感を評価した。
5級;エンボス凹部での織編物の組織がエンボス加工前後で全く変化がない。
4級;エンボス凹部での織編物の組織がエンボス加工後にもはっきり見える。
3級;エンボス凹部での織編物の組織がエンボス加工後にも見える。
2級;エンボス凹部での織編物の組織がエンボス加工後に圧縮されて見え難い。
1級;エンボス凹部での織編物の組織がエンボス加工後に圧縮されて見えない。
その結果を表1に示した。
(実施例2)
使用したエンボスロール20は実施例1と同様である。
エンボス加工は、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間に、約0.25mmのクリアランスC1が形成されるようにして、エンボスロール20とバックアップロール30を配置した以外は実施例1と同様である。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表1に示した。
(実施例3)
使用したエンボスロール20は実施例1と同様である。
エンボス加工は、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間に、約0.35mmのクリアランスC1が形成されるようにして、エンボスロール20とバックアップロール30を配置した以外は実施例1と同様である。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表1に示した。
(実施例4)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面にボーダー形状の微細凸部23が形成されたエンボスロール20を使用した。型押し凸部21の高さH1は8.0mm、微細凸部23の高さH2は200μm、微細凸部23の間隔L1は500μmである。
エンボス加工は、実施例2と同様に行った。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表1に示した。
(実施例5)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面に両バイアス形状の微細凸部23が形成されたエンボスロール20を使用した。型押し凸部21の高さH1は8.0mm、微細凸部23の高さH2は500μm、微細凸部23の間隔L1は500μmである。
エンボス加工は、エンボスロール20の表面温度が180℃、バックアップロール30の表面温度が230℃となるように調整して行った。また、エンボスロール20とバックアップロール30とは、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間に、約0.25mmのクリアランスC1が形成されるように配置した。
エンボス加工の圧力、加工スピードは実施例1と同様である。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表1に示した。
(比較例1)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面をサンドブラスト加工した後、表面に電解メッキ処理を施したエンボスロール20を使用した。サンドブラスト加工は、JIS R6001−1998で規定する研磨材粒度F150の研磨材を使用して行った。型押し凸部21の高さH1は8.0mmであり、型押し凸部21の頂面には、サンドブラスト加工による擦過傷が形成されている。
エンボス加工は、実施例2と同様に行った。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。また、比較例1のシート材1の表面拡大写真を図5(b)に示した。
(比較例2)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面が平坦面として形成されたエンボスロール20を使用した。エンボスロール20の表面には電解メッキ処理を施した。型押し凸部21の高さH1は8.0mmである。
エンボス加工は、実施例2と同様に行った。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。
(比較例3)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面を比較例1と同様にサンドブラスト加工したエンボスロール20を使用した。型押し凸部21の高さH1は8.0mmであり、型押し凸部21の頂面には、サンドブラスト加工による擦過傷が形成されている。
エンボス加工は、実施例5と同様に行った。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。
(比較例4)
エンボス加工には、型押し凸部21の頂面が平坦面として形成されたエンボスロール20を使用した。型押し凸部21の高さH1は8.0mmである。
エンボス加工は、比較例3と同様に行った。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。
(比較例5)
エンボス加工に使用したエンボスロール20は、型押し凸部21の頂面が平坦面として形成されたものを使用した。型押し凸部21の高さH1は8.0mmである。
エンボス加工は、エンボスロール20の表面温度が160℃、バックアップロール30の表面温度が230℃となるように調整して行った。また、エンボスロール20とバックアップロール30とは、エンボスロール20の凹部22の底面と複合シートの表面との間に、約0.25mmのクリアランスC1が形成されるように配置した。エンボス加工の圧力、加工スピードは実施例1と同様である。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。
(比較例6)
使用したエンボスロール20は実施例1と同様である。
エンボス加工は、エンボスロール20の型押し凸部21の天面とバックアップロール30の表面との間に、クリアランスC1が形成されないようにして(クリアランスC1=0mm)、エンボスロール20とバックアップロール30を配置した以外は実施例1と同様である。
グロス値の測定結果、エンボス模様の評価の結果を表2に示した。
表1、表2の結果より、エンボス凹部12に微細エンボス凹部13が形成された実施例1〜5のシート材1では、エンボス凸部11のグロス値とエンボス凹部12のグロス値との差が、±1.0の範囲内であり、シート材1全体でのグロス値の変動幅が小さかった。これは、車両用内装材として使用する場合の繊維布帛層4では、繊維布帛層4を構成する繊維の繊維幅が概ね0.1〜0.5mm程度であるのに対し、エンボスロール20の微細凸部23における最も突出した部分同士の間隔L1が500μmであることによると考えられる。つまり、微細凸部23が形成されていることによって、繊維布帛層4が平面状に過度に圧縮されることが抑制され、繊維布帛層4の構成繊維がその外観形状を残存させた状態で保持されるからである。これにより、エンボスロール20を高温に加熱してエンボス加工することによって、繊維布帛層4の表面に明瞭なエンボス模様を賦形した場合であっても、エンボス凹部12に意図しない光沢が付与されることが抑制される。
エンボス凹部12での構成繊維の状態は、エンボス模様の評価による組織感評価からも裏付けられた。具体的には、微細エンボス凹部13が形成された実施例1〜5のシート材1では、エンボス凹部12での織編物の組織がエンボス加工前後でほぼ変化がなく、繊維布帛層4の構成繊維の外観形状が良好に残存していた。その一方で、エンボスロール20の型押し凸部21に微細凸部23が形成されていない比較例1〜5のシート材1では、繊維布帛層4の構成繊維が型押し凸部21によって平面状に圧縮されてしまい、エンボス凹部12での織編物の組織がエンボス加工後に見え難いか、見えない状態になっていた。
なお、微細凸部23が形成されたエンボスロール20を使用し、クリアランスC1が形成されないようにしてエンボス加工を行った比較例6では、エンボス凸部11のグロス値とエンボス凹部12のグロス値との差が、±1.0の範囲内ではあったものの、エンボス凹部12での織編物の組織が見え難かった。
図5(a)と図5(b)を比較すると、実施例1のシート材1では、エンボス凸部11だけでなくエンボス凹部12でも繊維布帛層4由来の繊維の外観形状がはっきりと観察された。一方で、比較例1のシート材1では、エンボス凹部12の底部12aが平坦面となっていた。エンボス凹部12では、エンボス凸部11と比較して、繊維布帛層4由来の繊維の外観形状はほぼ観察されない状態となっていた。
C1、C2…クリアランス
S…仮想円筒面
1…シート材(車両用内装材)
3…クッション層
4…繊維布帛層
11…エンボス凸部
11a…頂部
12…エンボス凹部
12a…底部
13…微細エンボス凹部
20…エンボスロール
21…型押し凸部
23…微細凸部
30…バックアップロール

Claims (5)

  1. 繊維布帛層とクッション層とが積層一体化された複合シートにエンボス模様が形成された車両用内装材であって、
    表層側の前記繊維布帛層の表面には、構成繊維の外観形状が表出されており、
    前記エンボス模様のエンボス凹部の底部全体には、該エンボス凹部より微細な微細エンボス凹部が形成されており、
    前記エンボス凹部では、前記構成繊維の外観形状が保持されており、
    エンボス凸部におけるグロス値と前記エンボス凹部におけるグロス値との差が±1.0以内であることを特徴とする車両用内装材。
  2. 表面に構成繊維の外観形状が表出されている繊維布帛層とクッション層とが積層一体化された複合シートにエンボス模様が形成された車両用内装材の製造方法であって、
    エンボスロールとバックアップロールとの間に前記複合シートを搬送して、前記繊維布帛層側を前記エンボスロールで加熱押圧する加熱押圧工程を備え、
    前記加熱押圧工程では、前記エンボスロールとして、表面に前記エンボス模様のエンボス凹部を形成するための型押し凸部が形成されているとともに、前記型押し凸部の表面に該型押し凸部より微細な複数の微細凸部が形成されているものを使用し、
    前記エンボスロールの回動中心軸線を中心とする仮想円筒面を仮定したとき、前記微細凸部の表面は、前記仮想円筒面と非平行な面で構成されているとともに、隣接する前記微細凸部における最も突出した部分同士の間隔は、前記構成繊維の幅より広く、かつ、2mm以下となるように形成されていることを特徴とする車両用内装材の製造方法。
  3. 前記加熱押圧工程では、前記エンボスロールの前記型押し凸部と前記バックアップロールとの間に第1のクリアランスが形成されるとともに、前記エンボスロールの凹部と前記繊維布帛層との間に第2のクリアランスが形成されるように、前記エンボスロールと前記バックアップロールの位置を調整することを特徴とする請求項2に記載の車両用内装材の製造方法。
  4. 表面に構成繊維の外観形状が表出されている繊維布帛層とクッション層とが複合一体化された複合シートにエンボス模様を形成するためのエンボスロールであって、
    表面に前記エンボス模様のエンボス凹部を形成するための型押し凸部が形成されているとともに、前記型押し凸部の表面に該型押し凸部より微細な複数の微細凸部が形成されており、
    前記エンボスロールの回動中心軸線を中心とする仮想円筒面を仮定したとき、前記微細凸部の表面は、前記仮想円筒面と非平行な面で構成されているとともに、隣接する前記微細凸部における最も突出した部分同士の間隔は、前記構成繊維の幅より広く、かつ、2mm以下となるように形成されていることを特徴とするエンボスロール。
  5. 前記微細凸部における最も突出した部分の高さは、0.1mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項に記載のエンボスロール。
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