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JP2024140457A - 粘着シートの製造方法、粘着シート - Google Patents

粘着シートの製造方法、粘着シート Download PDF

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JP2024140457A
JP2024140457A JP2023051594A JP2023051594A JP2024140457A JP 2024140457 A JP2024140457 A JP 2024140457A JP 2023051594 A JP2023051594 A JP 2023051594A JP 2023051594 A JP2023051594 A JP 2023051594A JP 2024140457 A JP2024140457 A JP 2024140457A
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printed resin
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JP2023051594A
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野乃花 大島
Nonoka Oshima
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Toppan Holdings Inc
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Abstract

Figure 2024140457000001
【課題】意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シートの製造方法と、粘着シートを提供する。
【解決手段】
粘着シート1が、透明性を有する伸展性フィルムで形成された基材層11と、基材層11の一方の面に積層され、且つ基材層11と対向する面と反対側の面に形成された溝部131を有する粘着剤層13と、溝部131を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない印刷樹脂被膜14と、粘着剤層13の基材層11と対向する面と反対側の面に積層され、且つ粘着剤層13の基材層11と対向する面と、溝部131と、印刷樹脂被膜14とを覆う剥離性シート20を備え、消泡剤を使用せずに印刷樹脂被膜14を形成し、印刷樹脂被膜14の内部には気泡が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シートの製造方法と、粘着シートに関する。
従来、建装材として、基材層の一方の面に粘着剤層が設けられた粘着シートが用いられているが、粘着剤層が設けられた粘着シートは、被着体と粘着シートとの境界に空気が閉じ込められ易いため、意匠性が低下する可能性がある。このため、例えば、特許文献1に開示されているように、粘着シートが有する粘着剤層に、空気を周囲へ流出させるための溝部を形成し、粘着シートの施工時には、空気を逃しながら貼り付けを行うことが可能な粘着シートが提案されている。
特許第6856163号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術では、例えば、被着体に付与された絵柄模様を粘着シートの表面から視認可能とするために粘着シートの基材を透明とした場合に、溝部が透けて見えてしまうため、意匠性が低下するという問題があった。
本発明は、上述した問題点を鑑み、意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シートの製造方法と、粘着シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、基材層と、粘着剤層と、印刷樹脂被膜と、剥離性シートを備える粘着シートの製造方法である。基材層は、透明性を有する伸展性フィルムで形成されている。粘着剤層は、基材層の一方の面に積層され、且つ基材層と対向する面と反対側の面に形成された溝部を有する。印刷樹脂被膜は、溝部を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない。剥離性シートは、粘着剤層の基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ粘着剤層の基材層と対向する面と、溝部と、印刷樹脂被膜を覆う。そして、印刷樹脂被膜を、消泡剤を使用せずに形成する。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、基材層と、粘着剤層と、印刷樹脂被膜と、剥離性シートを備える粘着シート。基材層は、透明性を有する伸展性フィルムで形成されている。粘着剤層は、基材層の一方の面に積層され、且つ基材層と対向する面と反対側の面に形成された溝部を有する。印刷樹脂被膜は、溝部を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない。剥離性シートは、粘着剤層の基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ粘着剤層の基材層と対向する面と、溝部と、印刷樹脂被膜を覆う。そして、印刷樹脂被膜の内部には、気泡が形成されている。
本発明の一態様によれば、意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シートの製造方法と、粘着シートを提供することが可能となる。
本発明の第一実施形態における粘着シートの構成を示す断面図である。
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
(第一実施形態)
以下、図1を参照して、粘着シート1の構成について説明する。
図1に示すように、粘着シート1は、基材層11と、表面保護層12と、粘着剤層13と、印刷樹脂被膜14と、剥離性シート20を備える。
<基材層>
基材層11は、粘着シート1の基材となるシート状の部材であり、透明性を有する伸展性フィルムで形成されている。
基材層11を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体のような機械的強度に優れた樹脂等を用いることが好ましい。また、基材層11を形成する材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート又はアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体のような、耐熱性及び耐火性に優れた樹脂等を用いることがより好ましい。
基材層11が有する透明性は、基材層11よりも、印刷樹脂被膜14を視認可能な程度の透明性であればよい。
基材層11の厚さは、粘着シート1の基材として十分な強度等の諸物性を有しつつ、粘着シート1の貼り付け時に、貼り付け施工を容易にする程度のコシを持たせる厚さであればよい。具体的に、基材層11の厚さは、50[μm]以上であることが好ましい。また、基材層11の厚さが増すと透明性が低下することや、防火性能等の諸物性を考慮することから、基材層11の厚さは、150[μm]以下であることが好ましい。
<表面保護層>
表面保護層12は、粘着シート1に耐候性、耐傷性、耐汚染性、意匠性等の機能を付与し、基材層11を保護するための層である。
表面保護層12は、基材層11の粘着剤層13が積層された面と反対側の面(図1では、基材層11の上面)に積層されている。なお、表面保護層12は、一層で構成されていてもよく、二層以上で構成されていてもよい。
表面保護層12は、透明性を有するとともに、保護に必要な十分な強度、耐汚染性及び耐候性等の物性を有する。表面保護層12が有する透明性は、粘着シート1の貼り付け対象の物品(被着体)の意匠及び印刷樹脂被膜14のどちらか片方、もしくは両方を視認可能な程度の透明性を有していれば良い。
表面保護層12は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂等の電子線硬化型樹脂等、少なくとも一種の樹脂材料を含んでいることが好ましい。また、表面保護層12を形成する樹脂材料としては、例えば、アクリル系樹脂等を用いてもよい。
表面保護層12における樹脂材料の塗布量は、1.5[g/m]以上7.0[g/m]以下の範囲内とすることが好ましい。ここで、「塗布量」とは、コート剤をそれぞれ適した手法により乾燥させた後の坪量を示す。
表面保護層12における樹脂材料の塗布量を、上述した範囲内に設定した理由は、表面保護層12における樹脂材料の塗布量が1.5[g/m]未満である場合、表面保護層12の表面保護機能が十分となるためである。これに加え、表面保護層12における樹脂材料の塗布量が7.0[g/m]を超えている場合、製造コストが上昇し防火性が低下する等の観点から好ましいためである。
また、表面保護層12は、抗ウイルス剤を含んでいてもよい。
抗ウイルス剤は、銀系材料であることが好ましい。抗ウイルス剤としては、無機化合物のゼオライト、アパタイト、ジルコニア等の物質に、銀イオン、銅イオン、亜鉛イオンのいずれかを取り込んで形成した抗菌性ゼオライト、抗菌性アパタイト、抗菌性ジルコニア等の無機系抗菌剤を用いることが可能である。
また、抗ウイルス剤としては、例えば、ジンクピリジオン2-(4-チアゾリル)-ベンゾイミダゾール、10、10-オキシビスフェノキサノジン、有機チツソイオウハロゲン系、ピリジン-2-チオール-オキシド等を使用することが可能である。この中では、抗ウイルス効果の点で、銀系抗ウイルス剤が優れている。
表面保護層12における抗ウイルス剤の添加量は、0.2質量[%]以上20質量[%]以下の範囲内であることが好ましい。
表面保護層12における抗ウイルス剤の添加量を、上述した範囲内に設定した理由は、抗ウイルス剤の添加量が0.2質量[%]以上である場合、表面保護層12の抗ウイルス効果が向上するためである。これに加え、抗ウイルス剤の添加量が20質量[%]以下である場合、表面保護層12における耐傷性が向上するためである。
抗ウイルス剤の平均粒径は、1[μm]以上10[μm]以下の範囲内であることが好ましい。
抗ウイルス剤の平均粒径を、上述した範囲内に設定した理由は、抗ウイルス剤の平均粒径が1[μm]以上10[μm]の範囲内である場合、表面保護層12と抗ウイルス剤との接触面積が向上して、抗ウイルス性が良好になるためである。
抗ウイルス剤の粒径には、複数のピークが存在することが好ましい。具体的には、抗ウイルス剤の粒径は、0.5[μm]以上5[μm]未満の範囲内である第1ピークと、5[μm]以上15[μm]以下の範囲内である第2ピークとを含んでいることがより好ましい。抗ウイルス剤の粒径において、ピークが分散することにより、抗ウイルス剤の充填密度がより向上し、抗ウイルス剤をより多く添加することが可能となる。このため、樹脂材料と抗ウイルス剤との接触面積が拡大し、また、抗ウイルス剤自体の表面積も拡大することで、抗ウイルス性が向上することとなる。
表面保護層12は、曲げ加工性、耐候性、耐傷性、耐汚染性等に関して、優劣を左右する重要な役割を有する。このため、表面保護層12には、必要に応じて、耐候添加剤、可塑剤、安定剤、充填剤、分散剤、染料、顔料等の着色剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、触媒捕捉剤、光散乱剤、蛍光剤、発光材及び艶調整剤等の各種添加剤等を含んでいてもよい。
表面保護層12は、抗ウイルス剤以外にも、様々な機能性を有する薬剤を添加することが可能である。機能性としては、抗菌性、抗アレルゲン性、消臭性、赤外線反射等の様々な選択肢が考えられ、複数種の機能を有するものであってもよい。
以上のような表面保護層12を形成する際には、グラビア方式、オフセット方式、フレキソ印刷、インクジェット印刷等、目的に合わせた塗工方式を選択して樹脂材料を塗工することが可能である。表面保護層12は、樹脂材料の種類に応じた既知のコーティング装置、熱乾燥装置、紫外線照射装置及び電子線照射装置を用いて樹脂材料の塗布及び塗膜の硬化を行うことで形成される。例えば、表面保護層12は、基材層11の粘着剤層13が設けられた面と反対側の面に、メチルエチルケトン等の溶媒と、ウレタン系樹脂と、イソシアネート系の硬化剤を含むコート剤を、塗布・乾燥させた後に、紫外線を照射して硬化させることで形成される。
<粘着剤層>
粘着剤層13は、基材層11に粘着性を保持させるための層であり、基材層11の一方の面(表面保護層12が形成されている面と反対側の面、図1では、基材層11の下面)に積層されている。
粘着剤層13を構成する粘着剤組成物としては、一般的な粘着シートに用いられる材料であれば、いずれも使用可能であるが、一例として、アクリル酸又はアクリル酸エステルを出発原料とするアクリル系感圧接着剤を用いることが好ましい。
粘着剤層13の厚さは、施工性及び十分な粘着力を付与するために20[μm]以上であることが好ましく、40[μm]以上であることがより好ましい。なお、「粘着剤層13の厚さ」とは、粘着剤組成物の塗布後に乾燥を経た段階における、粘着剤層13の最も厚い部分の厚さを示す。
また、粘着剤層13は、基材層11と対向する面と反対側の面に形成された複数の溝部131を有する。
(溝部)
溝部131の形状は、印刷樹脂被膜14の形状に合わせた凹部である
また、溝部131は、粘着剤層13の外周部分で終端するか、粘着剤層13の外周部分で終端する他の溝部131と連通していてもよい。これにより、粘着シート1を被着体に貼り付けるときに、粘着剤層13と被着体との間に閉じ込められた空気を、粘着シート1の周囲へ流出可能となっている。そして、空気が周囲に流出した後、溝部131の底部を被着体の表面と密着させることで、粘着シート1の耐衝撃性及び接着強度を向上させることが可能である。これに加え、施工後の最終仕上がり時における粘着シート1の意匠性を向上させることが可能である。
溝部131の断面形状は、粘着剤層13と被着体との間に閉じ込められた空気を、粘着シート1の周囲へ流出可能であればどのような形状であってもよいが、例えば、V字形状、U字形状、長方形状、台形状、直線形状等とすることが可能である。
溝部131の深さは、粘着剤層13と被着体との間に閉じ込められた空気を、粘着シート1の周囲へ流出可能であればどのような深さであってもよい。具体例としては、1[μm]以上且つ粘着剤層13の厚さよりも1[μm]以上小さい深さであることが好ましく、1[μm]以上且つ粘着剤層13の厚さよりも10[μm]以上小さい深さであることがより好ましい。
したがって、例えば、溝部131の深さは、1[μm]以上30[μm]以下の範囲内であることが好ましい。
溝部131の深さを、上述した範囲内に設定した理由は、溝部131の深さが1[μm]以上である場合、空気を粘着シート1の周囲へ流出させるための流路が十分に確保されるためである。また、溝部131の深さが粘着剤層13の厚さよりも10[μm]以上小さい場合、粘着剤層13の基材層11への密着性を高くすることが可能であるためである。さらに、溝部131の深さが30[μm]以下である場合、粘着剤層13の基材層11への密着性を高くするとともに、空気が流出した後に溝部131の底部を被着体の表面と密着させ易くなるためである。
溝部131を形成する際には、例えば、基材層11の裏面(図1では、基材層11の下面)に粘着剤組成物を塗布する。その後、溝部131の凹凸形状を有する印刷樹脂被膜14が設けられた剥離性シート20を粘着剤層13へ貼り付けた後に、粘着剤組成物を乾燥させることで形成することが好ましい。これにより、溝部131を形成するためだけに行う工程が不要となり、容易且つ簡易な方法で、溝部131を形成することが可能である。
他にも、例えば、基材層11の裏面に粘着剤組成物を均一に塗布した後、溝部131を形成するための凹凸を有する型を用いて型押しすることで、溝部131を形成してもよい。
<印刷樹脂被膜>
印刷樹脂被膜14は、剥離性シート20の粘着剤層13と対向する面と反対側の面に配置されており、溝部131を埋める形状(凸部)に形成されている。このため、粘着剤層13が被着体と接着されているとともに、印刷樹脂被膜14が被着体と接着されていない状態では、印刷樹脂被膜14が被着体の上に配置される。
また、印刷樹脂被膜14は、空気の流路となるエア抜き溝の機能を有する溝部131を被覆するエア抜き溝コート層として機能する。すなわち、印刷樹脂被膜14は、空気を粘着シート1の周囲へ流出させるための流路を残した状態で、溝部131の内壁面を覆うように形成されている。
粘着シート1の貼り付け施工時において、粘着シート1と被着体との界面に閉じ込められた空気を周囲へ逃す際に、印刷樹脂被膜14の内側に極微細な空気が残留すると、粘着シート1の被着体との接着強度が低下する可能性がある。また、粘着シート1を表面から見た際の意匠性を低下させる可能性がある。
このため、印刷樹脂被膜14の形状を、流体力学的に空気の流れを向上させる形状とすることにより、溝部131の目立ちを低減させ、粘着シート1の最終仕上がり時の意匠性を向上させることが可能である。
したがって、空気の流れを向上させるために、印刷樹脂被膜14の形状は、空気の流路と直交する方向の断面視において、例えば、印刷樹脂被膜14の粘着剤層13と対向する面の端部が階調を有し、印刷樹脂被膜14の端部を除く部分が曲面を有する形状とすることが好ましい。より具体的には、印刷樹脂被膜14の端部を除く部分の形状は、断面視でなだらかなカーブを描く形状であることが好ましい。
第一実施形態では、一例として、印刷樹脂被膜14を、粘着剤層13と剥離性シート20とを積層させた方向と直交する方向から見た断面形状が、二つの端部と、二つの端部の間に配置される中央部とを有する形状に形成した場合について説明する。これに加え、端部を、中央部から離れるにつれて剥離性シート20へ近づくように傾斜する面を有する形状に形成し、中央部を、粘着剤層13と対向する面が曲面となる形状に形成した場合について説明する。なお、図1では、印刷樹脂被膜14の形状を簡略化して図示している。
印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料としては、剥離性シート20との接着性が弱い材料であれば、特に限定されるものではない。また、剥離性シート20をロール状で保管している際に自然に剥がれ落ちない程度の密着性を可能とし、且つ剥離性シート20に連続的な開口部を有するパターンを印刷することが可能である材料であれば、特に限定されるものではない。
また、印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料としては、例えば、粘着剤層13を構成する粘着剤組成物のアクリルやトルエン等の溶媒に侵されることなく、長期間に亘って印刷樹脂被膜14を維持することが可能な材料を用いる。
したがって、印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料としては、例えば、メチルエチルケトン等の溶媒に混合したアクリル系樹脂を用いることが可能である。これは、印刷樹脂被膜14を構成する印刷樹脂の印刷性や、粘着シート1から剥離性シート20を剥がす際における、印刷樹脂被膜14の剥離性シート20からの離型性が高いためである。
また、印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料は、少なくともアクリル系樹脂を含むことが好ましい。アクリル系樹脂を含むことにより、印刷樹脂被膜14の耐溶剤性が向上するため、粘着剤層13と接触した状態で保管された場合であっても、印刷樹脂被膜14が劣化しにくくなるとともに、印刷樹脂の乾燥性が向上してブロッキングやトラレ現象が生じにくくなる。また、印刷樹脂被膜14の形成時に、残留溶剤の揮発に起因する気泡の発生が抑制される。このため、粘着シート1の意匠性が向上する。
また、印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料は、粘着剤層13の屈折率と近い、すなわち、粘着剤層13の屈折率との差が0.70以内の屈折率を有する樹脂材料を選定することが好ましい。さらに、粘着剤層13の屈折率との差が0.30以内の屈折率を有する樹脂材料を選定することがより好ましい。これにより、印刷樹脂被膜14と粘着剤層13との界面における屈折率差を低減させて、粘着シート1の表面から見た際の溝部131の目立ちを低減させることで、粘着シート1の施工仕上がり時における意匠性を向上させることが可能である。
印刷樹脂被膜14は、溝部131の形状に合わせて粘着剤層13(又は剥離性シート20)の外周部分で終端するか、粘着剤層13(又は剥離性シート20)の外周部分で終端する他の印刷樹脂被膜14と連通している。印刷樹脂被膜14を外周部分で終端させることで、界面に気泡を侵入させずに粘着シート1を被着体に接着させることが可能である。また、印刷樹脂被膜14を外周部分で終端させることで、粘着シート1の接着後長期間経過した場合であっても、粘着シート1を剥がした際の剥がし痕が残らないようにすることが可能である。
具体的に、複数の印刷樹脂被膜14のうち少なくとも一つが有する端部の縁は、粘着剤層13又は剥離性シート20の外周部分に配置されている。また、複数の印刷樹脂被膜14のうち少なくとも一つが有する端部は、粘着剤層13又は剥離性シート20の外周部分に縁が配置されている端部と連続している。なお、図1では、印刷樹脂被膜14と粘着剤層13及び剥離性シート20との位置関係を、簡略化して図示している。
印刷樹脂被膜14は、顔料、染料又はパール等を添加した樹脂材料により形成されていても良い。印刷樹脂被膜14が着色されることで、粘着シート1の表面側から印刷樹脂被膜14の形状が視認可能となる、これにより、既存の被着体では表現できなかった新しい質感の意匠を表現することが可能となる。例えば、印刷樹脂被膜14は、立体感を有する意匠、輝度感を有する意匠、貼り替えにより簡便に最終仕上がり意匠を変更・交換等可能な意匠を実現することが可能である。
また、印刷樹脂被膜14は、消泡剤を使用せずに形成されており、印刷樹脂被膜14の内部には、気泡が形成されている。なお、図1では、印刷樹脂被膜14の内部に形成されている気泡の図示を省略している。
これに加え、印刷樹脂被膜14は、アクリルビーズやウレタンビーズ等の有機系粒子を使用せずに形成されている。さらに、印刷樹脂被膜14は、無機系粒子を使用せずに形成されている。
以下、印刷樹脂被膜14を、消泡剤、有機系粒子、無機系粒子を使用せずに形成した理由について説明する。
印刷樹脂被膜14の構成を、アクリルビーズやウレタンビーズ等の有機系粒子を含む構成した場合、不燃性が求められる部材においては、不燃性が低下してしまう。また、無機系粒子を印刷樹脂被膜14に添加すると、透明な粘着シート1では、粘着シート1の表面から、ビーズやビーズが添加されている印刷樹脂被膜14が明瞭に見えてしまい、意匠性を著しく損なう可能性がある。
したがって、不燃性を向上させつつ、被着体との界面に残留した空気を外へ逃がす為には、印刷樹脂被膜14にビーズを添加する以外の手法が求められる。
そこで、印刷樹脂被膜14を形成する際に、消泡効果のある物質である消泡剤を使用せずに、微細な気泡を含んだ印刷樹脂被膜14を形成する。このため、印刷樹脂被膜14が含む微細な気泡により、印刷樹脂被膜14の形状安定性は損なわず、また、被着体との界面に残留した空気の通り道は確保しつつ、不燃性を低下させずに済む。また、印刷樹脂被膜14が微細な気泡を有する事で、乾燥性等の印刷適性が向上するため、印刷樹脂被膜14のブロッキング現象が生じにくくなる。
印刷樹脂被膜14を有することで、粘着シート1は、面積が大きな被着体への施工や、耐水性の無い被着体への施工を可能としつつ、意匠性が向上する。また、粘着シート1は、貼り付け施工時に、粘着シート1と被着体との界面に閉じ込められた空気を周囲へ逃すための穴を開けずに施工することが可能である。このため、粘着シート1に形成された穴から粘着シート1と被着体との界面に水や汚染物質が入り込むことを抑制することが可能となり、耐水性、耐汚染性、耐傷性や耐候性等を向上させることが可能となる。
印刷樹脂被膜14を形成する方法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、ロータリー印刷、インクジェット印刷等の印刷手法を用いることが可能である。また、ローラー状の金型を用いて印刷樹脂被膜14を型押しする方法、ローラー状の金型と流動性の樹脂組成物とを用いて、プラスチックフィルム等の表面に樹脂製の印刷樹脂被膜14を形成する方法も採用することが可能である。
また、印刷樹脂被膜14を形成する樹脂材料の硬化方法は、紫外線や電子線を用いた硬化方法であることが好ましい。これは、熱硬化型樹脂を用いないことで、加熱乾燥により発生することが予測される温室効果ガスを削減することが可能となり、環境に配慮した製品造りが可能となるためである。
<剥離性シート>
剥離性シート20は、粘着剤層13の基材層11と対向する面と反対側の面(図1では、粘着剤層13の下面)に積層された状態で、粘着剤層13に貼り付けられるシート状の部材である。
また、剥離性シート20は、粘着シート1使用前の状態において粘着剤層13を露出させないようにするための部材である。
剥離性シート20を粘着剤層13に貼り付けた状態では、剥離性シート20が、粘着剤層13の基材層11と対向する面と、溝部131と、印刷樹脂被膜14を覆う状態となる。粘着剤層13を剥離性シート20で覆うことで、粘着シート1の使用前に、粘着シート1以外に粘着剤層13が接触することを回避することや、粘着シート1の表面に粘着剤層13が接触しない状態で粘着シート1の積層や巻回をすることが可能となる。
また、剥離性シート20は、粘着シート1の使用時(粘着シート1の被着体への貼付け時)には、粘着剤層13から剥離される。
剥離性シート20としては、例えば、プラスチックフィルムや紙等の適宜な基材の表面に、シリコーン樹脂等を主体とする剥離性層を積層した積層体を用いることが可能である。また、例えば、ポリエチレンフィルム等のポリオレフィン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いることが可能である。
また、剥離性シート20には、一般的に、剥離性を良くするためのシリコーンコートやフッ素コート等によるコート層が表面に形成されていることが多いが、このようなコート層を有する剥離性シート20は価格が高い。このため、コート層に代えて、印刷樹脂被膜14に用いる材料に離型剤等の添加剤を添加する手法や、表面にコロナ処理やオゾン処理等の表面処理をしない剥離性シート20を用いることで、剥離性シート20の表面にコート層を形成していなくとも、印刷樹脂被膜14と剥離性シート20との接着性と、保管時の密着性をコントロールすることが可能となる。
また、剥離性シート20は、貼り付け施工時には不要となり廃棄されるが、コート層を形成しない剥離性シート20は、CO排出量等の観点から廃棄物を減らすことにも寄与することが可能となり、環境に配慮した製品造りが可能となる。
<粘着シートの製造方法>
粘着シート1の製造方法について説明する。
粘着シート1を製造する際には、消泡剤を使用せずに印刷樹脂被膜14を形成することで、印刷樹脂被膜14の内部に気泡を形成する。
また、印刷樹脂被膜14を形成する際には、微細な振動を生じるポンプで樹脂材料を攪拌して形成する。
なお、上述した第一実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第一実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(第一実施形態の効果)
第一実施形態の粘着シート1の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)溝部131を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない印刷樹脂被膜14を、消泡剤を使用せずに形成する。
このため、印刷樹脂被膜14に、粒子等に依存しない空洞を形成することが可能となる。
その結果、印刷樹脂被膜14に形成された空洞(印刷樹脂被膜14が含む微細な気泡)により、印刷樹脂被膜14の形状安定性が損なわれず、また、被着体との界面に残留した空気の通り道を確保することが可能となる。
これにより、粘着シート1を被着体へ貼り付ける際に、溝部131及び印刷樹脂被膜14を介して、粘着シート1と被着体との境界に残された空気を周囲へ流出させることが可能となり、溝部131が粘着シート1の表面から視認されにくくなる。したがって、意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シート1の製造方法を提供することが可能となる。
また、透明な粘着シート1であっても、面積の大きな領域への貼り付けや、耐水性の低い被着体への貼り付けが可能となり、施工性を向上させることが可能となる。
さらに、印刷樹脂被膜14が消泡剤を含有していないため、不燃性を向上させることが可能となる。
また、印刷樹脂被膜14の表面に粗さを保持させることが可能となり、印刷樹脂被膜14を形成した後に、粘着シート1を巻き取った場合であっても、ブロッキングの発生や、印刷樹脂被膜14の剥離等を抑制することが可能となる。
また、印刷樹脂被膜14に添加する粒子に依存せずに、印刷樹脂被膜14を形成する条件(印刷条件)の調整によって、印刷樹脂被膜14に形成する空洞の大きさを調整することが可能となる。
(2)印刷樹脂被膜14を、有機系粒子を使用せずに形成する。
その結果、粘着シート1の不燃性を向上させることが可能となる。
(3)印刷樹脂被膜14を、無機系粒子を使用せずに形成する。
その結果、粘着シート1に対し、意匠性の低下を抑制することが可能となる。
(4)印刷樹脂被膜14を、粘着剤層13と剥離性シート20とを積層させた方向と直交する方向から見た断面形状が、二つの端部と、二つの端部の間に配置される中央部と、を有する形状に形成する。これに加え、端部を、中央部から離れるにつれて剥離性シート20へ近づくように傾斜する面を有する形状に形成し、中央部を、粘着剤層13と対向する面が曲面となる形状に形成する。
このため、印刷樹脂被膜14の構成を、端部が階調を有し、中央部が曲面を有する構成とすることが可能となる。
その結果、印刷樹脂被膜14で内壁が覆われた溝部131の内部に空気が残留しにくくなり、粘着シート1の表面から溝部131が視認しにくくなるため、意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シート1の製造方法を提供することが可能となる。
(5)複数の印刷樹脂被膜14のうち少なくとも一つが有する端部の縁が、粘着剤層13又は剥離性シート20の外周部分に配置されている。
このため、印刷樹脂被膜14の構成を、粘着剤層13の外周部分又は剥離性シート20の外周部分で終端する構成とすることが可能となる。
その結果、粘着シート1の施工時に、粘着シート1と被着体との間に入った空気を周囲に逃がすことが可能となる。
(6)複数の印刷樹脂被膜14のうち少なくとも一つが有する端部が、粘着剤層13又は剥離性シート20の外周部分に縁が配置されている端部と連続している。
このため、印刷樹脂被膜14の構成を、粘着剤層13の外周部分又は剥離性シート20の外周部分で終端する他の印刷樹脂被膜14と連通している構成とすることが可能となる。
その結果、粘着シート1の施工時に、粘着シート1と被着体との間に入った空気を周囲に逃がすことが可能となる。
(7)印刷樹脂被膜14を、アクリル系樹脂を含む樹脂材料を用いて形成する。
その結果、印刷樹脂被膜14を形成する印刷樹脂の印刷性及び印刷樹脂被膜14の離型性を向上させることが可能となり、粘着シート1の使用時に、所望の形状に形成された印刷樹脂被膜14を、粘着シート1に残しやすくなる。
第一実施形態の粘着シート1であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(8)溝部131を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない印刷樹脂被膜14の内部に、気泡が形成されている。
このため、印刷樹脂被膜14に、粒子等に依存しない空洞を形成することが可能となる。
その結果、印刷樹脂被膜14に形成された空洞(印刷樹脂被膜14が含む微細な気泡)により、印刷樹脂被膜14の形状安定性が損なわれず、また、被着体との界面に残留した空気の通り道を確保することが可能となる。
これにより、粘着シート1を被着体へ貼り付ける際に、溝部131及び印刷樹脂被膜14を介して、粘着シート1と被着体との境界に残された空気を周囲へ流出させることが可能となり、溝部131が粘着シート1の表面から視認されにくくなる。したがって、意匠性の低下を抑制することが可能な粘着シート1を提供することが可能となる。
また、透明な粘着シート1であっても、面積の大きな領域への貼り付けや、耐水性の低い被着体への貼り付けが可能となり、施工性を向上させることが可能となる。
さらに、印刷樹脂被膜14が消泡剤を含有していないため、不燃性を向上させることが可能となる。
また、印刷樹脂被膜14の表面に粗さを保持させることが可能となり、印刷樹脂被膜14を形成した後に、粘着シート1を巻き取った場合であっても、ブロッキングの発生や、印刷樹脂被膜14の剥離等を抑制することが可能となる。
また、印刷樹脂被膜14に添加する粒子に依存せずに、印刷樹脂被膜14を形成する条件(印刷条件)の調整によって、印刷樹脂被膜14に形成する空洞の大きさを調整することが可能となる。
(第一実施形態の変形例)
(1)第一実施形態では、基材層11の上に表面保護層12が積層されている構成について説明したが、これに限定するものではなく、基材層11と表面保護層12との間に、他の層が配置されている構成としてもよい。この場合、例えば、基材層11と表面保護層12との間に、絵柄模様層が配置されている構成としてもよい。これにより、粘着シート1に所望の意匠を付与することが可能である。
(2)第一実施形態では、基材層11が一層構造である場合について説明したが、これに限定するものではなく、基材層11が、二層以上の構造であってもよい。
(3)第一実施形態では、粘着シート1の表面(上面)が平坦な構造の一例を示したが、これに限定するものではない。すなわち、例えば、表面保護層12のみ、又は、基材層11及び表面保護層12に、エンボスによる凹凸部が形成されていても良い。これにより、粘着シート1に立体的な意匠性を付与することが可能となる。
(4)第一実施形態では、表面保護層12が一層構造の場合の一構成例を示したが、これに限定するものではなく、表面保護層12が複数の層で形成されている構成としてもよい。
第一実施形態を参照しつつ、以下、実施例1の粘着シートと、比較例1から6の粘着シートについて説明する。
(実施例1)
剥離性シートとして、表面にシリコーンコートやフッ素コート等の塗工膜が形成されていない厚さ70[μm]のポリプロピレン(PP)ラミネート紙を用いた。
また、消泡剤を使用せずに、剥離性シートの上に、アクリル系樹脂(DIC社製)をグラビア印刷により印刷し、乾燥及び硬化させて複数の印刷樹脂被膜を形成した。
以上により、実施例1の粘着シートを形成した。
(比較例1)
印刷樹脂被膜を、透明ビーズ(有機系粒子)を添加して形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例1の粘着シートを形成した。
(比較例2)
印刷樹脂被膜を、消泡剤を使用して形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例2の粘着シートを形成した。
(比較例3)
印刷樹脂被膜を、ウレタン系混合樹脂を添加して形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例3の粘着シートを形成した。
(比較例4)
印刷樹脂被膜を、アクリル系樹脂を用いずに、ウレタン系樹脂に透明ビーズ(有機系粒子)を添加して形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例4の粘着シートを形成した。
(比較例5)
印刷樹脂被膜を、アクリル系樹脂の代わりにウレタン系樹脂を用いて形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例5の粘着シートを形成した。
(比較例6)
印刷樹脂被膜を、無機ビーズ(無機系粒子)を添加して形成した点を除き、実施例1と同様に形成して、比較例6の粘着シートを形成した。
(性能評価、評価結果)
実施例1の粘着シートと、比較例1から6の粘着シートに対し、それぞれ、印刷適性、離型性、耐溶剤性、乾燥条件、印刷樹脂被膜の低視認性、エア抜き効果、不燃性の性能評価を行った。
<印刷適性>
印刷樹脂被膜を、印刷用原紙及び塩ビ原反にグラビア印刷で印刷し、版設計通りに印刷されるか目視で確認することで、印刷適性を評価した。
印刷適性は、版設計通りに印刷樹脂被膜が印刷用原紙及び塩ビ原反へ印刷された場合を「〇」と評価し、版設計では印刷されるはずの部分に抜けや欠けが生じた場合を「△」と評価し、全く印刷できなかった場合を「×」と評価した。
<離型性>
剥離性シートにポリプロピレンラミネート紙を用い、各主剤をグラビア印刷して硬化させた後、セロテープ(登録商標)を貼り付けて圧着後に剥がし、印刷樹脂被膜が全てきれいに剥離性シートから剥離するか、目視にて確認することで、離型性を評価した。
離型性は、全てきれいにセロテープ側へ剥離した場合を「〇」と評価し、一回では印刷樹脂被膜が剥離し切らなかったが、数回繰り返すと剥離した場合を「△」と評価し、全く剥離しなかった場合を「×」と評価した。
<耐溶剤性>
剥離性シートにポリプロピレンラミネート紙を用い、グラビア印刷した印刷樹脂被膜を、エタノール、メチルエチルケトンを浸した布で軽くラビング試験し、印刷樹脂被膜の剥がれ、艶変化、溶解等が生じないか目視にて確認することで、耐溶剤性を評価した。
耐溶剤性は、各種溶剤でも、印刷樹脂被膜に著しい変化は生じなかった場合を「〇」と評価し、どちらか一方の溶剤にて、印刷樹脂被膜の艶変化がわずかに生じた場合を「△」と評価し、どちらの溶剤でも、印刷樹脂被膜が剥がれた場合を「×」と評価した。
<乾燥条件>
グラビア印刷機にて印刷樹脂被膜を印刷した際に、印刷物がブロッキングしない程度に乾燥できたか、印刷機のロールへ樹脂トラレがないか、目視にて確認することで、乾燥条件を評価した。
乾燥条件は、ブロッキングもロールトラレも発生しなかった場合を「〇」と評価し、やや未硬化があり、ブロッキング気味であった場合を「△」と評価し、明らかに乾燥が不足し、著しいブロッキングがみられた場合を「×」と評価した。
<印刷樹脂被膜の低視認性>
各種の印刷樹脂被膜を有する基材層が透明な粘着シートを黒色板に貼り付け、印刷樹脂被膜の形状等が明瞭に見えないか、目視で確認することで、印刷樹脂被膜の低視認性(低視認性)を評価した。
低視認性は、極わずかに見える部分もあるものの、意匠性を損なうまでの違和感はない場合を「〇」と評価し、印刷樹脂被膜の形状が、よく見れば分かる程度に見える場合を「△」と評価し、印刷樹脂被膜の形状が明瞭に見える場合を「×」と評価した。
<エア抜き効果>
粘着シートを剥離性シートから剥がして被着体へ貼り付けた際、被着体との間に残留した空気を、粘着シートを圧着させることで外へ逃がす事が出来るかどうかを確認することで、エア抜き効果を評価した。
エア抜き効果は、圧着させると残留した空気は外へ逃がせた場合を「〇」と評価し、圧着させると、残留した空気は外へ逃がせるものの、一部逃げづらいところや、微細なエア残りがある場合を「△」と評価した。さらに、圧着させても、残留した空気は全く逃がせなかった場合を「×」と評価した。
<不燃性>
ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、要件1~3を満たしているか否か確認することで、不燃性を評価した。なお、不燃性基材としては、石こうボードを用いた。
要件1:総発熱量が、8[MJ/m]以下。
要件2:最高発熱速度が、10秒以上継続して200[kW/m]を超えない。
要件3:防炎上有害な、裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない。
不燃性は、要件1~3全てを満たす場合を「〇」と評価し、要件1~3のうち、満たさないものが一つ又は二つある場合を「△」と評価し、要件1~3の全てを満たさない場合を「×」と評価した。
Figure 2024140457000002
上述した方法を用いて、各種の性能を評価した結果、実施例1の粘着シートは、全ての評価試験に対して、優れた性能を示した。一方、比較例1から6の粘着シートは、全ての評価試験に対しては、優れた性能を示すことが不可能であった。
1…粘着シート、11…基材層、12…表面保護層、13…粘着剤層、131…溝部、14…印刷樹脂被膜、20…剥離性シート

Claims (8)

  1. 透明性を有する伸展性フィルムで形成された基材層と、
    前記基材層の一方の面に積層され、且つ前記基材層と対向する面と反対側の面に形成された溝部を有する粘着剤層と、
    前記溝部を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない印刷樹脂被膜と、
    前記粘着剤層の前記基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ前記粘着剤層の前記基材層と対向する面と、前記溝部と、前記印刷樹脂被膜と、を覆う剥離性シートと、を備える粘着シートの製造方法であって、
    前記印刷樹脂被膜を、消泡剤を使用せずに形成する粘着シートの製造方法。
  2. 前記印刷樹脂被膜を、有機系粒子を使用せずに形成する請求項1に記載した粘着シートの製造方法。
  3. 前記印刷樹脂被膜を、無機系粒子を使用せずに形成する請求項1又は請求項2に記載した粘着シートの製造方法。
  4. 前記印刷樹脂被膜を、前記粘着剤層と前記剥離性シートとを積層させた方向と直交する方向から見た断面形状が、二つの端部と、前記二つの端部の間に配置される中央部と、を有する形状に形成し、
    前記端部を、前記中央部から離れるにつれて前記剥離性シートへ近づくように傾斜する面を有する形状に形成し、
    前記中央部を、前記粘着剤層と対向する面が曲面となる形状に形成する請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した粘着シートの製造方法。
  5. 複数の前記印刷樹脂被膜を形成し、
    前記複数の印刷樹脂被膜のうち少なくとも一つが有する端部の縁は、前記粘着剤層又は前記剥離性シートの外周部分に配置されている請求項4に記載した粘着シートの製造方法。
  6. 前記複数の印刷樹脂被膜のうち少なくとも一つが有する端部は、前記粘着剤層又は前記剥離性シートの外周部分に前記縁が配置されている端部と連続している請求項5に記載した粘着シートの製造方法。
  7. 前記印刷樹脂被膜を、アクリル系樹脂を含む樹脂材料を用いて形成する請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した粘着シートの製造方法。
  8. 透明性を有する伸展性フィルムで形成された基材層と、
    前記基材層の一方の面に積層され、且つ前記基材層と対向する面と反対側の面に形成された溝部を有する粘着剤層と、
    前記溝部を埋める形状に形成され、且つ粘着性を有していない印刷樹脂被膜と、
    前記粘着剤層の前記基材層と対向する面と反対側の面に積層され、且つ前記粘着剤層の前記基材層と対向する面と、前記溝部と、前記印刷樹脂被膜と、を覆う剥離性シートと、を備える粘着シートであって、
    前記印刷樹脂被膜の内部には、気泡が形成されている粘着シート。
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