JP2024061935A - プラーク形成抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全性に優れた天然物由来成分の中からプラーク形成抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とするプラーク形成抑制剤を提供する。【解決手段】プラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する。【選択図】なし
Description
本発明は、プラーク形成抑制剤に関するものである。
う蝕の発生には、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)等の口腔内の微生物が関与している。すなわち、口腔内に残った飲食物中のショ糖の一部が、水不溶性で付着性の強いグルカンに変化し、それが口腔内微生物と共に歯の表面に付着してプラーク(歯垢)を形成する。そして、歯垢内の微生物が飲食物中の糖を代謝して酸を生成し、この酸が歯のエナメル質を脱灰し侵食するのがう蝕である。
したがって、う蝕を防止するには、歯の表面に付着したプラーク(歯垢)を歯磨き等によって除去するだけでなく、プラークを形成させないことが最も有効である。プラーク形成を抑制する成分として、ピーナッツ渋皮の抽出物(特許文献1参照)、ノブドウ抽出物(特許文献2参照)等が知られている。
本発明は、安全性に優れた天然物由来成分の中からプラーク形成抑制作用を有するものを見出し、それを有効成分とするプラーク形成抑制剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のプラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する。
本発明によれば、優れたプラーク形成抑制作用を有し、安全性の高いプラーク形成抑制剤を提供することができる。
本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るプラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する。
本実施形態に係るプラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有する。
本実施形態における有効成分としての各種抽出物を得るために使用される抽出原料は、クジン(生薬名)、ユキノシタ(学名:Saxifraga stolonifera)、ハマメリス(学名:Hamamelis virginiana L.)、オトギリソウ(学名:Hypericum perforatum)、サンザシ(学名:Crataegus cuneata Sieb. et Zucc.)、アセンヤク(生薬名)、ソウハクヒ(生薬名)及びジュウヤク(学名:Houttuynia cordata Thunberg)である。
クジン(生薬名)は、日本、韓国、中国各地に分布しているマメ科クララ属に属する多年生草本であるクララ(学名:Sophora flavescens Aiton)の根部であり、これらの地域から容易に入手することができる。クジンは、従来、健胃、利尿、解熱、鎮痛薬等として使用されている。
ユキノシタ(Saxifraga stolonifera)は、日本の本州、四国及び九州、並びに中国等に分布するユキノシタ科ユキノシタ属に属する常緑の多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、種子部、根部、地上部、これらの混合物、又は全草等が挙げられ、これらの中でも全草が好ましい。
ハマメリス(Hamamelis virginiana L.,別名:アメリカマンサク)は、北米原産のマンサク科マンサク属に属する落葉小高木であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉部、枝部、樹皮部、根部又はこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも葉部が好ましい。
オトギリソウ(セイヨウオトギリソウ,Hypericum perforatum)は、本州、四国、九州等に自生しているオトギリソウ科オトギリソウ属に属する多年生草本であって、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉部、茎部、根部、花部、地上部又はこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも地上部が好ましい。
サンザシ(Crataegus cuneata Siebold et Zucc.)は、中国原産のバラ科サンザシ属に属する落葉低木であって、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉部、茎部、花部、蕾部、果実部、果皮部、果核部、種子部、地上部又はこれらの混合物等が挙げられ、これらの中でも果実部が好ましい。
アセンヤク(生薬名)は、東南アジア等で栽培されているアカネ科カギカズラ属に属するガンビールノキ(学名:Uncaria gambir)の葉部及び若枝部であり、これらの地域から容易に入手することができる。アセンヤクは、従来、口腔清涼剤、止瀉剤、整腸薬等として使用されている。
ソウハクヒ(生薬名)は、日本各地に自生又は栽培されているクワ(学名:Morus alba)の根皮部を乾燥したものであり、これらの地域から容易に入手することができる。ソウハクヒは、従来、消炎、利尿、解熱、鎮痛薬等として使用されている。
ジュウヤク(Houttuynia cordata Thunberg)は、日本の陰湿地に多く野生するドクダミ科ドクダミ属に属する多年生草本であり、これらの地域から容易に入手することができる。抽出原料として使用し得る部位としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、葉部、枝部、樹皮部、幹部、茎部、果実部、種子部、花部等の地上部、根茎部又はこれらの部位の混合物が挙げられるが、これらの中でも地上部が好ましい。
上記抽出原料からの抽出物に含まれるプラーク形成抑制作用を有する物質の詳細は不明であるが、植物の抽出等に一般に用いられている抽出方法によって、上記抽出原料からプラーク形成抑制作用を有する抽出物を得ることができる。なお、抽出物には、抽出処理によって抽出原料から得られる抽出液、抽出液の希釈液若しくは濃縮液、抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
上記抽出物は、抽出原料をそのまま抽出溶媒による抽出に供することにより、又は抽出原料を乾燥した後、そのまま若しくは粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。抽出原料の乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、植物の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
抽出に用いられる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、又はこれらの混合物等が挙げられ、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。抽出原料に含まれるプラーク形成抑制作用を有する成分は、極性溶媒を抽出溶媒とする抽出処理によって容易に抽出することができる。
抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2~5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1~90容量部を混合することが好ましい。水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1~40容量部を混合することが好ましい。水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール1~90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で抽出することができる。例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料を投入し、必要に応じて撹拌しながら、30分~4時間静置して可溶性成分を溶出した後、濾過して固形物を除去することにより抽出物を得ることができる。得られた抽出液から抽出溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥することにより乾燥物が得られる。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には50~95℃で1~4時間程度であればよい。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、40~80℃で30分~4時間程度であればよい。
以上のようにして得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
なお、得られた抽出液はそのままでもプラーク形成抑制剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が好ましい。乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。
また、上記抽出物は特有の匂いと味を有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、化粧料等に添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。精製は、例えば活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
以上のようにして得られるクジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物は、プラーク形成抑制作用を有しているため、その作用を利用してプラーク形成抑制剤の有効成分として用いられ得る。
本実施形態に係るプラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種のみからなるものであってもよいし、上記抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を製剤化したものであってもよい。
クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、液状等の任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、安定剤、矯臭剤等を用いることができる。クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種は、他の組成物(例えば、口腔用剤等)に配合して使用することができる。
なお、本実施形態のプラーク形成抑制剤は、必要に応じて、プラーク形成抑制作用を有する他の天然抽出物を、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種とともに配合して有効成分として用いることができる。
本実施形態のプラーク形成抑制剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物が有するプラーク形成抑制作用を通じて、プラークの形成を抑制し、う蝕等を予防、治療又は改善することができる。ただし、本実施形態のプラーク形成抑制剤は、これらの用途以外にもプラーク形成抑制作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
本実施形態のプラーク形成抑制剤は、優れたプラーク形成抑制作用を有するので、この作用機構に関する研究のための試薬としても好適に利用することができる。なお、本実施形態のプラーク形成抑制剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
また、本実施形態のプラーク形成抑制剤は、優れたプラーク形成抑制作用を有するため、例えば、口腔用剤に配合するのに好適である。この場合に、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種をそのまま口腔用剤に配合してもよいし、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種から製剤化したプラーク形成抑制剤を配合してもよい。これらを配合することで、口腔用剤にプラーク形成抑制作用を付与することができる。
クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種、又はプラーク形成抑制剤を配合し得る口腔用剤の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、各種歯磨き類、マウスウォッシュ、トローチ、口腔用パスタ、歯肉マッサージクリーム、うがい剤、口中清涼剤等が挙げられる。
クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種、又はプラーク形成抑制剤を口腔用剤に配合する場合、その配合量は、口腔用剤の種類に応じて適宜調整することができるが、好適な配合率は、約0.0001~10質量%であり、特に好適な配合率は、標準的な抽出物に換算して約0.001~1質量%である。
本実施形態の口腔用剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物が有するプラーク形成抑制作用を妨げない限り、通常の口腔用剤の製造に用いられる主剤、助剤又はその他の成分を併用することができ、例えば、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、アルミノシリケート、無水ケイ酸、レジン等の研磨剤;長鎖アルキル硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、ラウリルジエタノールアマイド、ショ糖脂肪酸エステル等の界面活性剤;カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸塩、カラゲナン、アラビアガム、ポリビニルアルコール等の粘結剤;ポリエチレングリコール、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール等の粘稠剤;サッカリン、ステビオサイド類、グリチルリチン酸、ソーマチン等の甘味剤;デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム等の防腐剤;メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジンジャー油、アニス油等の香料;各種色素等を併用することができる。このように併用することで、口腔用剤をより一般性のある製品とすることができる。
また、本実施形態の口腔用剤を製造する場合、他のプラーク形成抑制剤を併用してもよい。また、例えば、任意の抗炎症剤、抗菌剤、消臭剤等を添加してもよく、これらの抗炎症剤、抗菌剤、消臭剤等を添加することにより、口腔用剤として一層すぐれたものを提供することもできる。
添加可能な抗炎症剤としては、例えば、カンゾウ、ウワウルシ、オウゴン、コウキ、サイコ、シソ、シャクヤク、キョウニン、タイソウ、チョウジ、トウニン、ニクズク、ボタンピ等の抽出物;アズレン、アラントイン、ウルソール酸、オレアノール酸、グリチルリチン酸、グリチルレチン酸又はその誘導体;トコフェロール、トラネキサム酸等が挙げられる。また、添加可能な抗菌剤としては、例えば、ゴバイシ、サイシン、サンショ、ショウキョウ、ディル、タイム、ローズマリー、油溶性甘草エキス等の抽出物;アスコルビン酸、ムタスティン、フミン酸、リノール酸、リノレン酸等が挙げられる。さらに、添加可能な消臭剤としては、例えば、アマチャ、ウイキョウ、ウラジロガシ、ケイヒ、コショウ、メース、セージ、シソ、イチョウ、カキ葉、緑茶、ウーロン茶、トウガラシ、タマリンドハスク等の抽出物;ロジン、カキ渋、アクチゾル、クロロフィリン誘導体、クロルヘキシジン、メイラード反応物等が挙げられる。
本実施形態の口腔用剤は、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物が有するプラーク形成抑制作用を通じて、プラークの形成を抑制し、う蝕を予防、治療又は改善することができる。
クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物は、優れたプラーク形成抑制作用を有しているため、経口組成物(飲食品)に配合するのに好適である。
ここで、経口組成物とは、人の健康に危害を加えるおそれが少なく、通常の社会生活において、経口又は消化管投与により摂取されるものをいい、行政区分上の食品、医薬品、医薬部外品等の区分に制限されるものではない。したがって、本実施形態における「経口組成物」は、経口的に摂取される一般食品、飼料、健康食品、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品、医薬品等を幅広く含むものである。本実施形態における経口組成物は、当該経口組成物又はその包装に、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物が有する好ましい作用を表示することのできる経口組成物であることが好ましく、保健機能食品(特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品)、医薬部外品又は医薬品であることが特に好ましい。
経口組成物におけるクジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物の配合量は、使用目的、症状、性別等を考慮して適宜変更することができるが、添加対象となる経口組成物の一般的な摂取量を考慮して、成人1日あたりの抽出物摂取量が約1~1000mgになるようにするのが好ましい。なお、添加対象経口組成物が顆粒状、錠剤状又はカプセル状の場合、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物の添加量は、添加対象経口組成物に対して通常0.0001~10質量%であり、好ましくは0.001~1質量%である。
本実施形態の経口組成物は、上記抽出物の活性を妨げないような任意の経口組成物に、上記抽出物又は上記抽出物から製剤化したプラーク形成抑制剤を配合したものであってもよいし、上記抽出物を主成分とする栄養補助食品であってもよい。
本実施形態の経口組成物を製造する際には、例えば、デキストリン、デンプン等の糖類;ゼラチン、大豆タンパク、トウモロコシタンパク等のタンパク質;アラニン、グルタミン、イソロイシン等のアミノ酸類;セルロース、アラビアゴム等の多糖類;大豆油、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の油脂類などの任意の助剤を添加して任意の形状の経口組成物とすることができる。
上記抽出物を配合可能な経口組成物は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等が挙げられる。これらの経口組成物に上記抽出物を配合するときには、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
以下、製造例、試験例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の試験例等に何ら限定されるものではない。なお、下記の試験例における試料であるクジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物としては、製造例1~8で得られた各抽出物を使用した。
[製造例1]クジン抽出物の製造
クジン(クララの根部)100gに90容量%エタノール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥してクジン抽出物(12g,試料1)を得た。
クジン(クララの根部)100gに90容量%エタノール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥してクジン抽出物(12g,試料1)を得た。
[製造例2]ユキノシタ抽出物の製造
ユキノシタの全草100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ユキノシタ抽出物(10g,試料2)を得た。
ユキノシタの全草100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ユキノシタ抽出物(10g,試料2)を得た。
[製造例3]ハマメリス抽出物の製造
ハマメリスの葉部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ハマメリス抽出物(8g,試料3)を得た。
ハマメリスの葉部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ハマメリス抽出物(8g,試料3)を得た。
[製造例4]オトギリソウ抽出物の製造
セイヨウオトギリソウ又はオトギリソウの地上部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、オトギリソウ抽出物(15g,試料4)を得た。
セイヨウオトギリソウ又はオトギリソウの地上部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、オトギリソウ抽出物(15g,試料4)を得た。
[製造例5]サンザシ抽出物の製造
サンザシの果実部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、サンザシ抽出物(5g,試料5)を得た。
サンザシの果実部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、サンザシ抽出物(5g,試料5)を得た。
[製造例6]アセンヤク抽出物の製造
ガンビールノキの葉部及び若枝部からの水抽出物100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、アセンヤク抽出物(20g,試料6)を得た。
ガンビールノキの葉部及び若枝部からの水抽出物100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、アセンヤク抽出物(20g,試料6)を得た。
[製造例7]ソウハクヒ抽出物の製造
クワの根皮部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ソウハクヒ抽出物(7g,試料7)を得た。
クワの根皮部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ソウハクヒ抽出物(7g,試料7)を得た。
[製造例8]ジュウヤク抽出物の製造
ドクダミの開花期の地上部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ジュウヤク抽出物(4g,試料8)を得た。
ドクダミの開花期の地上部100gに50容量%1,3-ブチレングリコール1500mLを加え、還流抽出器で80~90℃にて2時間加熱抽出を行い熱時濾過した。得られた抽出液を乾燥し、ジュウヤク抽出物(4g,試料8)を得た。
[試験例1]プラーク形成抑制作用試験
う蝕関連菌であるストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)を0.1%スクロース含有ブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で嫌気培養(37℃、20時間)し、回収した菌体をマクファーランド標準濁度2となるように調整した。菌液を100倍希釈して96ウェルプレートに1ウェル当り90μL播種し、菌体を含まないウェルをブランクとして設定した。さらにブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で希釈した被験試料(試料1~8,試料濃度は表1を参照)を90μL添加し、バイオフィルム形成量・形成阻害測定キット(Biofilm Formation Assay Kit,同仁化学研究所社製)の96-peg Lidを被せ、37℃嫌気条件下で24時間培養した。培養後、ブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で希釈した被験試料(試料1~8)180μLが入った、菌体を含まない96ウェルプレートに96-peg Lidを被せ、さらに37℃嫌気条件下で72時間培養した。培養後、プラークの付着した96-peg Lidを生理食塩水で2回洗浄後、クリスタルバイオレット溶液200μLに入れて染色し、さらに生理食塩水で2回洗浄し、その後エタノール200μLで抽出した。抽出後、波長590nmにおける吸光度を測定し、下記式によりプラーク形成抑制率(%)を算出した。
う蝕関連菌であるストレプトコッカス・ソブリヌス(Streptococcus sobrinus)を0.1%スクロース含有ブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で嫌気培養(37℃、20時間)し、回収した菌体をマクファーランド標準濁度2となるように調整した。菌液を100倍希釈して96ウェルプレートに1ウェル当り90μL播種し、菌体を含まないウェルをブランクとして設定した。さらにブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で希釈した被験試料(試料1~8,試料濃度は表1を参照)を90μL添加し、バイオフィルム形成量・形成阻害測定キット(Biofilm Formation Assay Kit,同仁化学研究所社製)の96-peg Lidを被せ、37℃嫌気条件下で24時間培養した。培養後、ブレインハートインフュージョン(Brain Heart Infusion)培地で希釈した被験試料(試料1~8)180μLが入った、菌体を含まない96ウェルプレートに96-peg Lidを被せ、さらに37℃嫌気条件下で72時間培養した。培養後、プラークの付着した96-peg Lidを生理食塩水で2回洗浄後、クリスタルバイオレット溶液200μLに入れて染色し、さらに生理食塩水で2回洗浄し、その後エタノール200μLで抽出した。抽出後、波長590nmにおける吸光度を測定し、下記式によりプラーク形成抑制率(%)を算出した。
プラーク形成抑制率(%)={1-(A-B)/(C-D)}×100
式中、Aは「被験試料溶液の波長590nmにおける吸光度」を表し、Bは「被験試料溶液ブランクの波長590nmにおける吸光度」を表し、Cは「コントロール溶液の波長590nmにおける吸光度」を表し、Dは「コントロール溶液ブランクの波長590nmにおける吸光度」を表す。
結果を表1に示す。
式中、Aは「被験試料溶液の波長590nmにおける吸光度」を表し、Bは「被験試料溶液ブランクの波長590nmにおける吸光度」を表し、Cは「コントロール溶液の波長590nmにおける吸光度」を表し、Dは「コントロール溶液ブランクの波長590nmにおける吸光度」を表す。
結果を表1に示す。
表1に示すように、クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物は、優れたプラーク形成抑制作用を有することが確認された。
本実施形態に係るプラーク形成抑制剤は、う蝕の予防、治療又は改善等に大きく貢献することができる。
Claims (1)
- クジン抽出物、ユキノシタ抽出物、ハマメリス抽出物、オトギリソウ抽出物、サンザシ抽出物、アセンヤク抽出物、ソウハクヒ抽出物及びジュウヤク抽出物からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とするプラーク形成抑制剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022169585A JP2024061935A (ja) | 2022-10-24 | 2022-10-24 | プラーク形成抑制剤 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=90970408
Family Applications (1)
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-
2022
- 2022-10-24 JP JP2022169585A patent/JP2024061935A/ja not_active Withdrawn
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