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JP2024033025A - フィルタ用基材 - Google Patents

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JP2024033025A JP2021007819A JP2021007819A JP2024033025A JP 2024033025 A JP2024033025 A JP 2024033025A JP 2021007819 A JP2021007819 A JP 2021007819A JP 2021007819 A JP2021007819 A JP 2021007819A JP 2024033025 A JP2024033025 A JP 2024033025A
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隆之 中村
Takayuki Nakamura
元道 福田
Motomichi Fukuda
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

【解決手段】多孔質膜を熱融着により貼り合わせてフィルタ用濾材として使用するためのフィルタ用基材において、フィルタ用濾材が、非バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、熱融着性バインダー繊維の配合比率が20~90質量%であり、非バインダー繊維の配合比率が10~80質量%であることを特徴とするフィルタ用基材。
【効果】高捕集効率と低圧力損失を両立し、且つ、多孔質膜とフィルタ用基材との間で高い剥離強度が得られるフィルタ用基材が得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルタ用基材に関するものである。
従来から、エアフィルタ用濾材、液体フィルタ用濾材として、多孔質膜が使用されている。多孔質膜の素材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE);ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;等が挙げられる。特に、これらの多孔質膜は高い捕集効率と低い圧力損失を達成できるため、高い捕集効率が求められるクリーンルーム用フィルタやサイクロン式掃除機用フィルタ等において、エアフィルタ用濾材として使用されている。また、高い耐薬品性を備えていることから、水酸化ナトリウム等の強アルカリにより清浄作業が行われることがある浄水処理用フィルタ、産業廃水、工業用水等の濾過用フィルタにおいて、液体フィルタ用濾材としても広く使用されている。しかしながら、非特許文献1にあるように、多孔質膜は機械的強度が低く、寸法安定性にも問題があることから、多孔質膜単体で使用することが難しい。そのため、フィルタ用基材と多孔質膜とを複合化したフィルタ用濾材が必要とされている。しなやかさや気孔率の観点から、フィルタ用基材として不織布が使用されることが多い。以下、「フィルタ用基材」を「基材」と略記する場合があり、「フィルタ用濾材」を「濾材」と略記する場合がある。
基材と多孔質膜との複合化は、熱融着による貼り合わせ、接着剤による貼り合わせ等によって行われる。接着剤による貼り合わせは、接着剤が多孔質膜の孔を塞ぐことから、圧力損失の上昇や捕集効率の低下が懸念されるため好ましくない。そのため、熱融着による貼り合わせによって複合化することが好ましい。熱融着による貼り合わせは、熱圧処理によるラミネート加工が施されるが、熱圧処理によって基材が高密度となるため、圧力損失が上昇する場合があった。また、熱圧処理による剥離強度が不十分であることにより、フィルタ使用中に、多孔質膜が基材から剥離する問題が生ずる場合があった。そのため、フィルタ用基材には、熱融着による貼り合わせの際に高密度となりにくく、且つ高い剥離強度が求められる。
多孔質膜と複合化させるための基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂またはポリエステル系樹脂からなり、目付量が40g/m~120g/m、厚みが0.3mm~0.9mm、破裂強さが199kPa~600kPa、突刺強さが8N~24N、気孔率が65%~90%である不織布が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1で開示されている基材では、熱融着による貼り合わせの際に基材が高密度となり圧力損失が上昇する懸念や、多孔質膜と基材との剥離強度が十分ではないため、多孔質膜が基材から剥離するなどの問題が発生する懸念があった。
特許文献2では、基材として、ポリエステル/ポリエチレンの芯鞘複合繊維からなるスパンボンド不織布が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献2の基材においても、熱融着による貼り合わせの際に基材が高密度となり、圧力損失が上昇する懸念や、基材と多孔質膜との剥離強度が十分でなく、多孔質膜が基材から剥離するなどの問題が発生する懸念があった。
そのため、熱融着による貼り合わせの際に、圧力損失が上昇し難く、且つ、多孔質膜と基材との間で高い剥離強度が得られるフィルタ用基材が求められている。
北島 賢宏著、「ふっ素樹脂フィルムとその高機能化」、バルカー技術誌、Winter、2015、No.28、第6頁
特開2014-240047号公報 特開平10-211409号公報
本発明は、高捕集効率と低圧力損失を両立し、且つ、多孔質膜とフィルタ用基材との間で高い剥離強度が得られるフィルタ用基材を得ることを課題としている。
本発明者らは、この課題を解決するため研究を行い、以下の発明を見出した。
<1>多孔質膜を熱融着により貼り合わせてフィルタ用濾材として使用するためのフィルタ用基材において、フィルタ用濾材が、非バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、熱融着性バインダー繊維の配合比率が20~90質量%であり、非バインダー繊維の配合比率が10~80質量%であることを特徴とするフィルタ用基材。
<2>非バインダー繊維が木材パルプを含む<1>記載のフィルタ用基材。
<3>非バインダー繊維が合成繊維を含む<1>又は<2>記載のフィルタ用基材。
<4>多孔質膜の素材がポリテトラフルオロエチレンである<1>~<3>のいずれか記載のフィルタ用基材。
本発明によれば、高捕集効率と低圧力損失を両立し、且つ、多孔質膜とフィルタ用基材との間で高い剥離強度が得られるフィルタ用基材が得られる。
以下に詳細に説明する。本発明のフィルタ用基材は、多孔質膜を熱融着により貼り合わせてフィルタ用濾材として使用するためのフィルタ用基材であり、フィルタ用濾材が、非バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、熱融着性バインダー繊維の配合比率が20~90質量%であり、非バインダー繊維の配合比率が10~80質量%であることを特徴とする。
湿式不織布は、均一な地合いが得られる湿式抄紙法で製造された不織布である。湿式抄紙法では、各繊維を水に分散させスラリーを調成する。スラリーは抄紙機を用いて抄造され、湿式不織布が得られる。
抄造の際に配合する薬品として、湿紙状態での断紙対策として湿潤強度剤やヤンキードライヤーからの剥離を安定させるため、内添サイズ剤を使用してもよい。
湿式抄紙法では、例えば、長網式、円網式、傾斜ワイヤー等の抄紙方式を用いることができる。本発明のフィルタ用基材は、これらの抄紙方式から選択される同種又は異種の2機以上の抄紙方式がオンラインで設置されているコンビネーション抄紙機を使用して製造することもできる。均一性に優れたフィルタ用基材を製造するには、長網式、傾斜ワイヤー式のように、緩やかに、ワイヤー上のスラリーから脱水することができる抄紙方式を使用することが好ましい。
本発明において、非バインダー繊維とは、熱融着性バインダー繊維の融点又は軟化温度においても、繊維の断面形状が変化しないか、又は断面形状が変化しても、繊維形状は維持するという特徴を有し、主体繊維の役割を果たす繊維である。なお、一般的に、非バインダー繊維としての合成繊維の融点又は軟化点は、熱融着性バインダー繊維の融点又は軟化点よりも高いという特徴を有する。また、本発明における非バインダー繊維は、好ましくは有機繊維である。
非バインダー繊維の配合比率は、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、10~80質量%であり、20~75質量%であることがより好ましく、30~70質量%であることがさらに好ましい。非バインダー繊維の配合比率が10質量%未満である場合、熱融着による貼り合わせの際に厚みが下がり過ぎて、密度が高過ぎる基材となることから、濾材の圧力損失が高くなり過ぎて、フィルタとして適さない。一方、非バインダー繊維の配合比率が80質量%超である場合、熱融着性バインダー繊維が少ないため、基材から繊維が脱落しやすく、フィルタとして使用した際に、脱落繊維が下流に流出して悪影響を与えるという問題が発生する。
本発明において、非バインダー繊維が木材パルプを含むことが好ましい。木材パルプは、NBKP、LBKP、NBSP、LBSPその他いずれの種類のパルプでも限定はされない。木材パルプの繊維が細かいと、圧力損失が高くなる傾向があるため、特に限定はされないが、木材パルプの繊維径は大きいほうが好ましい。
非バインダー繊維が木材パルプを含む場合、木材パルプの配合比率は、特に限定されないが、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、50質量%未満であることが好ましく、40質量%未満であることがより好ましく、30質量%未満であることがさらに好ましい。木材パルプの配合比率が50質量%以上である場合、木材パルプが基材の孔を塞ぐため、圧力損失が高くなる場合があり、また、木材パルプが多孔質膜との接着を阻害するため、剥離強度が小さくなる場合がある。
本発明において、非バインダー繊維が合成繊維を含んでも良い。非バインダー繊維としての合成繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維等のポリエステル繊維;ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維等のポリオレフィン繊維;ポリスチレン又はこれらポリマーの変性ポリマー及びコポリマーからなる繊維;アクリル繊維;ポリアクリロニトリル繊維;ポリビニルアルコール繊維;ポリアミド繊維;ウレタン繊維;レーヨン繊維、再生セルロース繊維、溶剤紡糸セルロース繊維等のセルロース繊維;コラーゲン、アルギン酸、キチン質等を溶液にしたものを紡糸した繊維;等が挙げられる。非バインダー繊維としての合成繊維は、上述したように、熱融着性バインダー繊維の融点又は軟化温度においても、繊維の断面形状が変化しないか、又は断面形状が変化しても、繊維形状は維持するという特徴を有する。そのため、合成繊維を配合することにより、熱融着による貼り合わせの際に厚みが下がり難く、基材が高密度になり難いという効果が得られる。
非バインダー繊維としての合成繊維の繊度は、0.1~6.0デシテックスが好ましく、より好ましくは0.6~3.3デシテックスである。合成繊維の繊度が0.1デシテックス未満である場合、抄紙性が悪く、地合いが悪くなる傾向があり、コストアップにもなる。一方、合成繊維の繊度が6.0デシテックス超である場合、地合いが悪くなる傾向がある。合成繊維の繊維長は2~20mmが好ましく、より好ましくは3~10mmである。合成繊維の繊維長が2mm未満である場合、湿式抄紙法でワイヤーから繊維が抜け易く、歩留りが低下する場合がある。一方、合成繊維の繊維長が20mmを超えると、湿式抄紙法において、スクリーンで繊維が詰まり、抄紙が困難となる場合がある。
本発明において、熱融着性バインダー繊維の融点は軟化温度以上に不織布の温度を上げる工程を製造工程に組み入れることで、機械的強度が向上する。
熱融着性バインダー繊維の繊度は、0.1~6.0デシテックスが好ましく、より好ましくは0.2~3.3デシテックスである。熱融着性バインダー繊維の繊度が0.1デシテックス未満である場合、厚みが小さく、密度が高い不織布となることから、圧力損失が高くなる場合がある。一方、熱融着性バインダー繊維の繊度が6.0デシテックス超である場合、不織布の地合いが悪くなり、フィルタ用基材として適さない場合がある。熱融着性バインダー繊維の繊維長は2~20mmが好ましく、より好ましくは3~10mmである。熱融着性バインダー繊維の繊維長が2mm未満である場合、湿式抄紙法でワイヤーから繊維が抜けやすく、歩留まりが低下する場合がある。一方、熱融着性バインダー繊維の繊維長が20mmを超えると、湿式抄紙法においてスクリーンで繊維が詰まり、抄紙が困難となる場合がある。
熱融着性バインダー繊維としては、単繊維の他、芯鞘繊維(コアシェルタイプ)、並列繊維(サイドバイサイドタイプ)などの複合繊維が挙げられる。単繊維としては、ポリエチレン、未延伸ポリエステル等の繊維を挙げることができる。複合繊維は、不織布表面に皮膜が形成されない状態で、機械的強度を向上させることができる。芯鞘繊維としては、例えばポリプロピレン(芯)と、ポリエチレン(鞘)の組み合わせ、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせが挙げられる。また、ポリエチレン等の低融点樹脂のみで構成される全融タイプの単繊維は、乾燥工程で皮膜を形成しやすく、圧力損失が高くなる場合があるが、特性を阻害しない範囲であれば使用することができる。本検討においては、芯部分があることから、熱融着による貼り合わせの際に厚みが下がり難い芯鞘繊維が熱融着性バインダー繊維として好ましい。
熱融着性バインダー繊維の含有率は、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、20~90質量%であり、25~80質量%であることがより好ましく、30~70質量%であることがさらに好ましい。熱融着性バインダー繊維の含有率が10質量%未満である場合、非バインダー繊維を止める成分が足りず、脱落繊維が多く発生するという問題が発生する。一方、熱融着性バインダー繊維の含有率が90質量%超である場合、厚みが小さく、密度が高い不織布となることから、熱融着による貼り合わせの際に厚みが下がることで圧力損失が上がり、フィルタとして適さないという問題が発生する。
熱融着性バインダー繊維の融点は、180℃未満であることが好ましく、170℃未満であることが好ましく、160℃未満であることがさらに好ましい。熱融着性バインダー繊維の融点が180℃よりも高い場合、熱融着による貼り合わせの際に高い温度をかける必要があり、それにより非バインダー繊維としての合成繊維が潰れやすくなることで圧力損失が高くなる場合がある。
本発明において、バインダー繊維として、熱融着性バインダー繊維の他に、湿熱接着性バインダー繊維を用いることもできる。湿熱接着性バインダー繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)系繊維のような熱水可溶性の繊維を使用することができる。湿熱接着性バインダー繊維は、常温の水ではほとんど溶解しないで、繊維形態を保っているが、湿式抄紙法のドライヤー面で加熱されると、容易に溶解し始め、その瞬間にタッチロールのような加圧設備で加圧し、その後の脱水乾燥を経ることによって、再凝固し、バインダー効果が得られる。
この湿熱接着性バインダー繊維の接着力に及ぼす影響は、水中軟化点から考えることができる。水中軟化点は、湿式抄紙法において、湿紙がドライヤーにより熱を受け、湿熱接着性バインダーが溶解し始めて接着機能を示す温度を大体示している。水中軟化点の低い湿熱接着性バインダーを使用するほど、接着の前提条件である湿熱接着性バインダー繊維の溶解が容易となり、接着効果が大きくなる。しかし、水中軟化点があまりに低くなり過ぎると、ドライヤーへの付着が起こり易いという問題が生じる。湿熱接着性バインダーが溶解するためには、その水中軟化点以上に湿紙の温度が高くなる必要があり、従って乾燥温度が高いほど接着効果が大きく、強度は向上する。湿紙の温度が湿熱接着性バインダー繊維の水中軟化点以下では、湿熱接着性バインダーの溶解が起こらず、従って、バインダー効果はまったく失われる。ヤンキードライヤーの場合、ドライヤーのスチーム温度は130~160℃程度で、これに接触している湿紙の温度は60~90℃と考えられるから、十分なバインダー効果を得るためには、湿熱接着性バインダー繊維の水中軟化点が65~85℃であることが好ましい。ただし、湿熱接着性バインダー繊維は皮膜を形成することで、基材の孔を塞ぎ、また水分の無い状態で熱圧処理を行っても多孔質膜との接着には寄与しないことから、配合比率は特に限定されないが、湿熱接着性バインダー繊維を用いる場合には、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、20質量%未満であることが好ましい。
また、湿熱接着性バインダー繊維の繊度は特に限定されないが、0.3~5.0デシテックスであることが好ましく、より好ましくは1.0~3.0デシテックスである。繊度が0.3デシテックス未満である場合、抄紙ワイヤーから脱落する場合がある。一方、5.0デシテックスを超えた場合、比表面積が少ないことから、十分な強度が得難いことがある。繊維長は、地合い、分散性の観点を考慮すると、3~6mmが適当である。
また、本発明において、非バインダー繊維として、木綿パルプ、ワラパルプ、竹パルプ、エスパルトパルプ、バガスパルプ、麻パルプを使用することもできる。また、ガラス繊維や炭素繊維等の無機繊維を用いることもできるが、熱融着による貼り合わせの際に砕け、基材の強度が著しく下がることがあるため、含有しないほうが好ましく、無機繊維は、広義には、非バインダー繊維に含まれるが、本発明における非バインダー繊維は無機繊維を除いた繊維である。
本発明のフィルタ用基材と多孔質膜とを熱融着により貼り合わせることによって、フィルタ用濾材となる。貼り合わせは、熱圧処理によって行うことができる。熱圧処理は、熱プレス機を用いてシートの積層加工や、熱カレンダーを用いて巻き取り同士の積層加工により行うことができる。湿式不織布と多孔質膜の十分な剥離強度を得るために、熱圧処理時の温度は熱融着性バインダー繊維の融点を上回る160℃以上であることが好ましい。
本発明において、多孔質膜は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート;ポリウレタン;ポリイミド;ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の多孔質膜を用いることができる。耐熱温度の低い多孔質膜を用いると、熱圧処理を行った際に多孔質膜が軟化し、孔が閉塞してフィルタとして使用するために十分なフラジール通気度を得ることができない恐れがあることから、耐熱性に優れたポリテトラフルオロエチレンを用いることが好ましい。
本発明のフィルタ用基材は、特に限定されないが、坪量が30~120g/mの範囲であることが好ましい。坪量が30g/mよりも小さくなると、基材の強度が弱く、フィルタとして使用している最中に破損する場合がある。120g/mよりも大きい場合、圧力損失が高くなり、フィルタとして使用するには適さない場合がある。
本発明のフィルタ用基材の密度は、特に限定されないが、0.1~0.5g/cmであることが好ましい。該密度は、湿式抄紙の際の抄紙条件の調整、繊維の種類、繊維の配合比率、坪量や厚みの調整で適宜調整することができる。密度が0.1g/cmよりも小さくなると、熱融着による貼り合わせの際に繊維が脱落してトラブルとなる場合がある。密度が0.5g/cmを超えると、圧力損失が高くなるため、フィルタ用基材として適さない場合がある。
本発明において、低圧力損失を得るために、フィルタ用濾材のフラジール通気度を高くすることが好ましい。フラジール通気度は、JIS L1096:2010に記載のA法(フラジール形法)で規定される通気度である。本発明において、フィルタ用濾材のフラジール通気度は、10cm/cm・s以上であることが好ましく、より好ましくは20cm/cm・s以上である。10cm/cm・sよりもフラジール通気度が低いと、圧力損失が高くなり、フィルタ用濾材として適さない場合がある。
本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。
<熱融着性バインダー繊維>
・PET-低融点PET芯鞘繊維(芯鞘バインダー、繊度2.2デシテックス、繊維長5mm、鞘部の融点120℃)
<木材パルプ:非バインダー繊維>
・NBKPチヌーク(濾水度680mlCSF)
<合成繊維:非バインダー繊維>
・PET繊維(通常PET繊維、繊度1.7デシテックス、繊維長5mm)
<無機繊維>
・ガラス繊維(繊維径9μm、繊維長6mm)
〔フィルタ用濾材〕
実施例1~10、比較例1~6
表1記載の繊維配合になるように、各繊維をパルパーで分散し、円網抄紙機で抄紙後、シリンダードライヤーにて乾燥し、湿式不織布からなるフィルタ用基材を得た。フィルタ用基材とPP多孔質膜を、熱ロールにより線圧20kgf/cm、温度160℃で熱圧処理することによって、熱融着による貼り合わせを行って積層して、実施例1~5及び比較例1~3のフィルタ用濾材を作製した。また、フィルタ用基材にPTFE多孔質膜を熱ロールにより線圧20kgf/cm、温度160℃で熱圧処理することによって、熱融着による貼り合わせを行って積層して、実施例6~10及び比較例4~6のフィルタ用濾材をそれぞれ作製した。
(評価方法)
実施例及び比較例で作製したフィルタ用基材及びフィルタ用濾材に対して、下記の方法で測定及び評価を行った。
1)坪量
JIS P 8124:2011及び8118:2014に準じ、フィルタ用基材の坪量及び厚さを測定した。
2)捕集効率(単位:%)
JIS第8種粉体とJIS第11種粉体を1:1の比率で混合し、濃度0.05質量%になるように水に希釈したものを試験用液体として用い、フィルタ用濾材を水で湿潤した後、試験用液体100mlをフィルタ濾材の多孔質膜面を上流側にセットして濾過面積14cm、差圧△P=320mmHgでの条件で濾過し、濾過前後液の0.3~1.0μm粒子数をリオン社製の液中微粒子計数器(商品名:KL-01)で測定し、捕集効率を算出した。
3)フラジール通気度
フィルタ用濾材をフィルタとして使用したときの低圧力損失を得るために必要な通気度は、JIS L1096:2010に記載のA法(フラジール形法)にて、フラジール通気度を測定した。
4)ライフ試験
上記2)の試験用液体を用いてフィルタ用濾材の補修効率を繰り返し評価し、3)の方法で測定したフラジール通気度が10cm/cm・sを下回るまでの繰り返し評価回数で、ライフ(寿命)を評価した。
5)剥離強度
剥離強度はフィルタ用濾材を巾方向25mm流れ方向150mmにカットし、テンシロン万能試験機を用い、湿式不織布と多孔質膜をそれぞれ治具に挟み、引っ張った時の様子を以下のとおりに目視判定した。
○ :多孔質膜が基材より剥がれることは全くなかった。
△ :強い力がかけることで、多孔質膜が基材より剥がれる様子が見られた
× :△よりも小さい力をかけることで、多孔質膜が基材より容易に剥がれる様子が見られた。
- :評価不能
6)熱圧処理時の強度
熱圧処理時のフィルタ用基材の様子を確認して評価を行った。
〇:熱圧処理時にフィルタ用基材の破れ等の破損は確認されなかった
×:熱圧処理時にフィルタ用基材に破れ等の破損が確認された。
上記評価結果を表2に示す。表2において、「-」は評価不能であったことを示している。
実施例1~10のフィルタ用基材は、多孔質膜を熱融着により貼り合わせてフィルタ用濾材として使用するためのフィルタ用基材であり、フィルタ用濾材が、非バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、熱融着性バインダー繊維の配合比率が20~90質量%であり、非バインダー繊維の配合比率が10~80質量%であるフィルタ用基材である。多孔質膜と実施例1~10のフィルタ用基材を各々熱融着により貼り合わせたフィルタ用濾材は、高い剥離強度が得られた。これに対し、多孔質膜と比較例1又は比較例4のフィルタ用基材は、熱圧処理時にフィルタ用基材に破損は確認されなかったものの、熱融着によって貼り合わせることができなかった。
また、多孔質膜と比較例2又は比較例5のフィルタ用基材を熱融着により貼り合わせたフィルタ用濾材よりも、高いフラジール通気度及びライフが得られていることが分かる。また、比較例3及び比較例6では、ガラス繊維を用いているため、熱圧処理時に基材が破損した。
実施例1~5に使用したPP多孔質膜は、実施例6~10に使用したPTFE多孔質膜に比べ、耐熱温度が低いため、熱圧処理時に軟化が発生し、孔の一部が閉塞された。実施例6~10の方が、実施例1~5に比べ、より好ましいフラジール通気度のフィルタ用濾材を得ることができた。
本発明のフィルタ用基材は、多孔質膜を貼り合わせてフィルタ用濾材として好適に使用できる。

Claims (4)

  1. 多孔質膜を熱融着により貼り合わせてフィルタ用濾材として使用するためのフィルタ用基材において、フィルタ用濾材が、非バインダー繊維と熱融着性バインダー繊維を含む湿式不織布であり、湿式不織布に含まれる全繊維成分に対して、熱融着性バインダー繊維の配合比率が20~90質量%であり、非バインダー繊維の配合比率が10~80質量%であることを特徴とするフィルタ用基材。
  2. 非バインダー繊維が木材パルプを含む請求項1記載のフィルタ用基材。
  3. 非バインダー繊維が合成繊維を含む請求項1又は2記載のフィルタ用基材。
  4. 多孔質膜の素材がポリテトラフルオロエチレンである請求項1~3のいずれか記載のフィルタ用基材。
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