本発明の目的は、現在のアゴメラチン投与の上記の欠点を克服するアゴメラチンTTSを提供することである。
したがって、本発明の目的は、治療的に有効な用量を達成するのに十分な透過速度を提供するアゴメラチンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
本発明のさらなる目的は、急速な初期増加を伴う薬物放出プロファイルを提供し、例えば就寝直前の投与に適切な一晩の適用、及び朝のTTSの除去を可能にする、アゴメラチンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
本発明の目的はまた、活性剤の安定性ならびに組成物及び/または薬物放出プロファイルの安定性に関して、特に活性物質の(再)結晶化を防ぐ、十分な貯蔵安定性を有するアゴメラチンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
本発明の別の目的は、アゴメラチンの経皮投与のためのTTSを提供することであり、ここで、経口投与と比較した場合、肝毒性及び個体間変動が減少し、生物学的利用能が増加する。
本発明のさらなる目的は、サイズ及び厚さを考慮して便利な用途の要求に応じる、良好な患者コンプライアンスを提供する、及び/または製造が容易で製造コスト効率の高い、アセナピンの経皮投与のためのTTSを提供することである。
これら及び他の目的は、一態様によれば、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関する本発明によって達成され、当該自己接着性層構造は、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;及び
iii) 少なくとも1重量%の、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される結晶化抑制剤を含むアゴメラチン含有層と
を含み、
ここで、
疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
別の態様によれば、本発明は、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関し、当該自己接着性層構造は、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;及び
ii) 疎水性ポリマーを含むアゴメラチン含有層と
を含み、
ここで、
疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され、
アゴメラチン含有層はマイクロリザーバタイプである。
本発明の特定の実施形態によれば、本発明による経皮治療システムは、治療方法で使用するためのものであり、好ましくは、大うつ病を治療する方法で使用するためのものである。
他の実施形態によれば、本発明は、治療方法、特に、本発明による経皮治療システム をヒト患者の皮膚に適用することを含む、大うつ病を治療する方法に関する。
さらに他の実施形態によれば、本発明は、治療のための、好ましくは大うつ病を治療するための薬剤の製造における本発明の経皮治療システムの使用に関する。
さらに別の態様によれば、本発明は、以下のステップ:
i) 少なくともアゴメラチン、疎水性ポリマー、ならびに、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される結晶化抑制剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得るステップと、
ii) 前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間層にコーティングするステップと、
iii) コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップと
を含むアゴメラチン含有層の製造プロセスに関し、
ここで、
疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、及びポリシロキサンをベースとする感圧接着剤からなる群から選択される。
ある特定の実施形態によれば、本発明はまた、かかる製造プロセスによって得られるアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
特定の実施態様によれば、本発明はまた、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関し、当該自己接着性層構造は、
A) バッキング層と、
B) i) 2~6重量%のアゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;
iii) 2~7重量%のポリビニルピロリドン;及び
iv) レブリン酸及びポリエチレングリコールエーテルから選択される2~7重量%の透過促進剤を含むアゴメラチン含有層と
を含み、
ここで、
疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量は、35~70g/m2の範囲である。
他の実施態様によれば、本発明は、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関し、当該自己接着性層構造は、
A) バッキング層と、
B) i) 2~6重量%のアゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;及び
iii) 7~15重量%のポリビニルピロリドンを含むアゴメラチン含有層と
を含み、
ここで、
疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量は、35~70g/m2の範囲である。
本発明の意味の範囲内で、「経皮治療システム」(TTS)という用語は、活性剤(アゴメラチン)が経皮送達により体循環に投与されるシステムを指し、患者の皮膚に適用され、自己接着性層構造中に治療有効量のアゴメラチンを含み、任意に、アセナピン含有自己接着性層構造の上部に追加の接着剤オーバーレイを含む、個別の投薬ユニット全体を指す。自己接着性層構造は、剥離ライナー(取り外し可能な保護層)上に配置され得、それ故に、TTSは、剥離ライナーをさらに含み得る。本発明の意味の範囲内で、「TTS」という用語は、具体的には、例えば、イオントフォレーシスまたはマイクロポレーションを含む方法と同様の能動的輸送を除く受動的経皮送達を提供するシステムを指す。
本発明の意味の範囲内で、「アゴメラチン含有自己接着性層構造」または「治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造」という用語は、投与中にアゴメラチンの放出面積を提供する活性剤含有構造を指す。接着剤オーバーレイはTTSの全体的なサイズを増加させるが、放出面積は増加させない。アゴメラチン含有自己接着性層構造は、バッキング層及び少なくとも1つのアゴメラチン含有層を含む。
本発明の意味の範囲内で、「治療有効量」という用語は、TTSによって患者に投与された場合、25mgの経口アゴメラチンの1回投与で得られる血中レベルと比較して同様の範囲(例えば、AUCとして測定される約10%~約1000%)のアゴメラチン血中レベルを提供するのに十分なTTS中の活性剤の量を指す。TTSは、通常、皮膚及び体循環に実際に提供される活性物質よりも多くの活性物質をシステム中に含んでいる。この過剰量の活性剤は、通常、TTSから体循環への受動的輸送に十分な駆動力を提供するために必要である。
本発明の意味の範囲内で、「活性物質」及び「活性剤」等の用語、ならびに「アゴメラチン」という用語は、任意の薬学的に許容される化学的及び形態学的形態ならびに物理的状態のアゴメラチンを指す。これらの形態には、その遊離、解離、または水和物、溶媒和物などの任意の関連形態のアゴメラチン、ならびに微粉化形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、及び/またはアモルファス形態にあり得る粒子の形態、及び前述の形態のいずれかの任意のハイブリッド型形態またはそれらの混合形態のアゴメラチンが含まれるが、これらに限定されない。アゴメラチンは、溶媒等の媒体中に含まれる場合、溶解もしくは分散し得るか、または部分的に溶解し、部分的に分散し得る。
アゴメラチンがTTSの製造時に特定の形態で使用されると述べられる場合、これは、この形態のアゴメラチンとアゴメラチン含有自己接着性層構造の他の成分との間の相互作用を除外しないため、活性物質は最終的にTTSに別の形態で存在する。これは、アゴメラチンが遊離の解離した形態で含まれている場合でも、水和物または溶媒和物の形態で最終的なTTSに存在し得ること、またはその多形形態の1つに含まれている場合は最終的なTTSにアモルファス形態で存在し得ることを意味する。特に明記しない限り、特に自己接着性層構造中のアゴメラチンの量は、TTSの製造中にTTSに含まれるアゴメラチンの量に関連し、遊離形態のアゴメラチンに基づいて計算される。つまり、アゴメラチンが0.1mmоlの量で含まれる場合、自己接着性層構造中のアゴメラチンの量は、アゴメラチンがその遊離形態または任意の関連形態で製造中にTTSに含まれていたかどうかに関係なく、本発明の意味の範囲内で、24.3mgと考えられる(アゴメラチンの分子量は243g/mоlである)。
TTSの製造中にTTS中に含まれるアゴメラチン出発材料は、粒子の形態であり得る。アゴメラチンは、例えば、粒子の形態で自己接着性層構造中に存在し得る、及び/または溶解し得る。
本発明の意味の範囲内で、「粒子」という用語は、個別の粒子を含む固体の粒子状物質であり、その寸法がその物質と比較してごくわずかであるものを指す。具体的には、粒子は、非晶質及び結晶質物質を含む、プラスチック/変形可能な固体を含む固体である。
本発明の意味の範囲内で、「分散させる」という用語は、出発材料(例えば、アゴメラチン)が完全に溶解していないステップまたはステップの組み合わせを指す。本発明の意味での分散は、出発材料の溶解度(例えば、コーティング組成物中のアゴメラチンの溶解度)に応じて、出発材料(例えば、アゴメラチン粒子)の一部の溶解を含む。
受動的活性剤送達を使用するTTSには、2つの主なタイプ、すなわち、マトリックスタイプのTTS及びリザーバタイプのTTSがある。マトリックスタイプのTTSでは、活性剤はマトリックスに含まれ、リザーバタイプのTTSでは、活性剤は液体または半液体リザーバに含まれる。いわゆるマイクロリザーバタイプのTTSは、当技術分野では、マトリックスタイプのTTSとリザーバタイプのTTSとの混合物であると考えられている。マトリックスタイプのTTS中の活性剤の放出は、活性剤自体を含むマトリックスによって主に制御される。これとは対照的に、リザーバタイプのTTSは、活性剤の放出を制御する速度制御膜を必要とする。マトリックスタイプのTTSは、リザーバタイプのTTSと比較して、通常、速度決定膜が不要であり、膜の破断による用量ダンピングが起こり得ないという点で有利である。要約すれば、マトリックスタイプの経皮治療システム(TTS)は、製造がより単純であり、患者が容易に使用することができ、患者に便利なものある。マイクロリザーバタイプのTTSも速度決定膜を必要としないが、「古典的な」マトリックスタイプのTTSとは対照的に、薬物放出プロファイルは、多くの場合、より速い開始とより高い活性の利用によって特徴付けられ、これはしばしば有利である。
本発明の意味の範囲内で、「マトリックスタイプのTTS」とは、活性物質がポリマー担体、すなわち、マトリックス内に均質に溶解及び/または分散しているシステムまたは構造であり、活性剤及び任意に残存する成分とともにマトリックス層を形成するものを指す。かかるシステムでは、マトリックス層は、TTSからの活性剤の放出を制御する。マトリックスタイプのTTSも速度制御膜も含み得る。マトリックスタイプのTTSは、具体的には、活性物質が感圧接着剤マトリックス中に均質に溶解及び/または分散しているシステムを指す「接着剤中薬物」タイプのTTSの形態であり得る。
TTSからの活性剤の放出が速度制御膜によって制御される、速度制御膜及び液体または半液体活性剤含有リザーバを有するTTSは、「リザーバタイプのTTS」という用語で言及される。リザーバタイプのTTSは、本発明の意味の範囲内で、マトリックスタイプのTTSと理解されるべきではない。
本発明の意味の範囲内で、「マイクロリザーバタイプTTS」とは、活性剤含有層が、外部マトリックス相に内部活性含有相を有する二相層であるシステムまたは構造を指す。本明細書において、「二相性」という用語は、2つの識別可能な、例えば、視覚的に識別可能な領域、外相及び内相のシステムを指し、内相は、外相内の分散堆積物の形態である。かかる堆積物は、例えば、固溶体液滴である。視覚的に識別可能な堆積物は、顕微鏡を使用して識別できる。
本発明の意味の範囲内で、「マトリックス層」または「マトリックスタイプの層」という用語は、ポリマー担体中に均一に溶解及び/または分散している活性物質を含む任意の層を指す。典型的には、マトリックス層は、活性剤含有層としてマトリックスタイプのTTS中に存在する。リザーバタイプのTTSは、リザーバ層及び速度制御膜に加えて、皮膚接触層として機能する追加の接着剤層を含み得る。かかるリザーバタイプのTTSでは、追加の接着剤層は、多くの場合、活性剤を含まない層として製造される。しかしながら、濃度勾配のため、活性剤は、平衡に達するまで、リザーバから追加の接着剤層に経時的に移動する。したがって、かかるリザーバタイプのTTSでは、しばらく平衡した後、追加の接着剤層が活性剤を含み、本発明の意味での活性剤含有層とみなされるべきである。
活性剤含有層は、例えば、溶媒含有コーティング組成物をコーティングして乾燥させた後に得られる最終固化層である。活性剤含有層はまた、所望の面積重量を提供するために、同じ組成物の2つ以上のそのような固化層(例えば、乾燥層)を積層することによって製造され得る。活性剤含有層は、自己接着性(感圧接着剤層の形態)であり得るか、またはTTSは、十分な粘着を提供するために感圧接着剤の追加の皮膚接触層を含み得る。特に、活性剤含有層は感圧接着剤層である。
本発明の意味の範囲内で、「二相層」という用語は、例えば溶媒含有コーティング混合物を乾燥するか、またはホットメルトコーティング混合物を冷却することによってコーティング混合物をコーティングした後に固化したマイクロリザーバタイプTTSの最終二相層を指す。本発明によれば、溶媒含有コーティング混合物が好ましい。二相層は、所望の面積重量を提供するために同じ組成の2つ以上の層(例えば、乾燥層)を積層することによっても製造され得る。
本発明の意味の範囲内で、「乾燥二相層」という用語は、フィルム上にコーティングし、溶媒を蒸発させた後、溶媒含有コーティング混合物から得られる二相層(溶媒ベースの層)を指し、ホットメルトコーティング混合物から得られた二相層(ホットメルトベースの層)と区別されるべきである。
本発明の意味の範囲内で、「感圧接着剤」という用語は、特に指圧で接着し、永久的に粘着性であり、強い保持力を発揮し、残留物を残すことなく滑らかな表面から除去可能であるべき材料を指す。感圧接着剤層は、皮膚と接触したときに、「自己接着性」である、すなわち、典型的には皮膚への固定のためにさらなる補助が必要とされないように皮膚に接着力を提供する。「自己接着性」層構造は、感圧接着剤活性剤含有層の形態または追加の層の形態で提供され得る皮膚接触用の感圧接着剤層、すなわち、感圧接着剤皮膚接触層を含む。接着剤オーバーレイは、接着力を向上させるために依然として用いられ得る。
本発明の意味の範囲内で、「皮膚接触層」という用語は、投与中に患者の皮膚と直接接触するTTS中に含まれる層を指す。TTSが追加の皮膚接触層を含む場合、他の層は、皮膚と接触せず、必ずしも自己接着特性を有しない。上で概説されるように、皮膚接触層は、活性剤の一部を経時的に吸収し得、その結果、活性剤含有層とみなされ得る。放出面積は、活性剤含有層の面積によって提供される。皮膚接触層を使用して、接着を増強することができる。追加の皮膚接触層及び活性剤含有層のサイズは通常、同延であり、放出領域に相当する。
本発明の意味の範囲内で、「面積重量」という用語は、g/m2で提供される、特定の層、例えば、活性剤含有層の乾燥重量を指す。面積重量値は、製造時の変動のため、±10%、好ましくは±7.5%の許容誤差の対象となる。
別途指示されない場合、「%」は、重量%を指す。
本発明の意味の範囲内で、「ポリマー」という用語は、1つ以上のモノマーを重合することによって得られるいわゆる繰り返し単位からなる任意の物質を指し、1種類のモノマーからなるホモポリマー及び2種類以上のモノマーからなるコポリマーを含む。ポリマーは、線状ポリマー、星形ポリマー、櫛形ポリマー、ブラシ形ポリマー等の任意の構造のもの、コポリマーの場合には任意のモノマー配列のもの、例えば、交互、統計的、ブロックコポリマー、またはグラフトポリマーであり得る。最小分子量は、ポリマーの種類に応じて変化し、当業者に既知である。ポリマーは、例えば、2,000ダルトン超、好ましくは5,000ダルトン超、より好ましくは10,000ダルトン超の分子量を有し得る。これに対応して、2,000ダルトン未満、好ましくは5,000ダルトン未満、またはより好ましくは10,000ダルトン未満の分子量を有する化合物は、通常、オリゴマーと称される。
本発明の意味の範囲内で、「架橋剤」という用語は、ポリマー中に含まれている官能基を架橋することができる物質を指す。
本発明の意味の範囲内で、「接着剤オーバーレイ」という用語は、活性剤を含まず、活性剤含有構造よりも面積が大きく、かつ皮膚に接着する追加の面積を提供するが、活性剤の放出面積を提供しない自己接着性層構造を指す。それにより、TTSの全体的な接着特性が増強される。接着剤オーバーレイは、バッキング層及び接着剤層を含む。
本発明の意味の範囲内で、「バッキング層」という用語は、例えば、アゴメラチン含有層を支持するか、または接着剤オーバーレイのバッキングを形成する層を指す。TTS中の少なくとも1つのバッキング層、及び通常、アゴメラチン含有層のバッキング層は、貯蔵及び投与期間中、層中に含まれている活性剤に対して閉塞性である、すなわち、実質的に不透過性であり、それ故に、規制要件に従って活性物質損失または交差汚染を防止する。
本発明によるTTSは、インビトロ皮膚透過試験で測定されるある特定のパラメータによって特徴付けられ得る。
インビトロ浸透試験は、ヒトまたは動物皮膚、好ましくは、800μmの厚さ及び無傷の表皮を有する採皮された分層ヒト皮膚と、受容培地(受容培地が、例えば、60体積%のリン酸緩衝液(pH5.5)、30体積%のジプロピレングリコール、及び10体積%のアセトニトリルを含み得るように、最大40体積%の有機溶媒、例えば、エタノール、アセトニトリル、イソプロパノール、ジプロピレングリコール、PEG400が添加されたものまたは添加されていないもの)としてpH5.5または7.4のリン酸緩衝液(32℃、0.1%生理食塩水アジドを有する)とを用いてフランツ拡散セルで行われる。
別途指示されない場合、インビトロ透過試験は、800μmの厚さ及び無傷の表皮を有する採皮された分層ヒト皮膚と、受容培地としてpH5.5のリン酸緩衝液(32℃、0.1%生理食塩水アジドを有する)とを用いて行われる。受容培地に透過した活性物質の量は、試料体積を取り込むことによってUV光度検出器を用いた有効なHPLC法を使用して規則的間隔で決定される。受容培地は、試料体積を取り込む際に新鮮な培地で完全にまたは部分的に置き換えられ、透過した活性物質の測定された量は、最後の2つの試料採取時点の間で透過した量に関連し、それまでに透過した総量には関連しない。
したがって、本発明の意味の範囲内で、「透過量」というパラメータは、μg/cm2で提供され、ある特定の経過時間での試料間隔で透過した活性物質の量に関連する。例えば、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上述のインビトロ透過試験において、活性物質の「透過量」は、例えば、8時間~12時間の試料間隔にわたって提供され得、12時間時点での測定結果に相当する。
透過量は、ある特定の時点で透過した活性物質の累積量に相当する「累積透過量」としても提供され得る。例えば、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上述のインビトロ透過試験において、12時間時点での活性物質の「累積透過量」は、0時間~2時間、2時間~4時間、4時間~8時間、及び8時間~12時間の透過量の合計に相当する。
本発明の意味の範囲内で、ある特定の経過時間でのある特定の試料間隔にわたる「皮膚透過速度」というパラメータは、μg/(cm2時間)で提供され、μg/cm2で上述のインビトロ透過試験によって測定される当該試料間隔での透過量を当該試料間隔の時間で割ることによって計算される。例えば、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば、0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上述のインビトロ透過試験における皮膚透過速度では、12時間時点での「皮膚透過速度」は、8時間~12時間の試料間隔での透過量を4時間で割ったものとして計算される。
「累積皮膚透過速度」は、累積透過量を経過時間で割ることによってそれぞれの累積透過量から計算され得る。例えば、受容培地に透過した活性物質の量が、例えば0、2、4、8、12、及び24時間時点で測定された上述のインビトロ透過試験において、12時間時点での「累積皮膚透過速度」は、12時間にわたる累積透過量(上記参照のこと)を12時間で割ったものとして計算される。
本発明の意味の範囲内で、透過量及び皮膚透過速度(ならびに累積透過量及び累積皮膚透過速度)という上記のパラメータは、少なくとも3回のインビトロ透過試験実験から計算された平均値を指す。
本発明によるTTSは、インビトロ臨床研究で測定されるある特定のパラメータによって特徴付けられ得る。
本発明の意味の範囲内で、「投与」という用語は、剤形、すなわちTTSを患者の皮膚に適用することを指し、その後、それは一定期間皮膚上に維持される。
MDDの典型的な継続治療では、薬物投与の頻度は、治療有効血漿濃度を維持するのに十分に高く保たれる。投薬間隔とも呼ばれる2つの剤形投与間の間隔は、適宜に調整される必要がある。本発明の意味の範囲内で、「投薬間隔」という用語は、2つの連続するTTS投与間の期間、すなわち、TTSが患者の皮膚に適用される2つの連続する時点間の間隔を指す。血漿濃度を治療レベルに維持するために、TTSは、通常、全投薬間隔にわたって患者の皮膚上で維持され、投薬間隔の終了時にのみ除去され、その時点で新たなTTSが皮膚に適用される。例えば、投薬間隔が168時間または7日間である場合、TTSは、患者の皮膚に適用され、患者の皮膚上で168時間または7日間維持される。168時間または7日後、TTSが皮膚から除去され、新たなTTSが適用される。したがって、168時間または7日間の投薬間隔により、24時間治療で週1回のTTS交換モードが可能になる。
アゴメラチンによる継続的な治療の場合、TTSは通常1日1回(24時間の投与間隔)、好ましくは就寝時に投与される。TTSは、特に、薬物の開始の遅延を考慮するために、就寝の少し前(例えば、1~2時間)に患者の皮膚に適用され得、そして24時間まで皮膚上に維持され得る。TTSが24時間皮膚上に維持されている場合、TTSを除去し、同時に新たなTTSを適用することができる。アゴメラチンの場合、治療レベルでの血漿濃度の24時間維持は不要であるか、概日リズムの再同期には禁忌である可能性があるため、日中にTTSを除去することが可能である。その結果、患者は日中TTSを持たない。一晩のみの適用では、TTSは、患者の睡眠の長さに応じて、夜間にのみ、例えば4~12時間、6~10時間、または睡眠中に皮膚に維持され、その後、朝に除去される。
本発明の意味の範囲内で、「室温」という用語は、実験が行われる実験室内で見られる修正されていない温度を指し、通常、15~35℃、好ましくは約18~25℃の範囲内である。
本発明の意味の範囲内で、「患者」という用語は、治療の必要性を示唆する特定の症状(単数または複数)の臨床兆候を呈した対象、病態に対して防止的または予防的に治療される対象、または治療すべき病態の診断を受けた対象を指す。
本発明による臨床研究とは、医薬品規制調和国際会議(ICH)ならびに全ての適用可能な地域の良き臨床上の基準(GCP)及び規制機関に完全に準拠して行われた研究を指す。
本発明の意味の範囲内で、「コーティング組成物」という用語は、バッキング層または剥離ライナー上にコーティングされて乾燥時に薬物含有層を形成することができる、溶媒中の薬物含有層の全ての成分を含む組成物を指す。
本発明の意味の範囲内で、「溶解する」という用語は、肉眼で確認できる透明でいかなる粒子も含有しない溶液を得るプロセスを指す。
本発明の意味の範囲内で、「溶媒」という用語は、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、酢酸エチル、塩化メチレン、ヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、及びそれらの混合物等の揮発性有機液体である任意の液体物質を指す。
本発明の意味の範囲内で、別途特定されない限り、「約」という用語は、開示される量の±10%の量を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、開示される量の±5%の量を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、開示される量の±2%の量を指す。
TTS構造
本発明は、アゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムに関する。
自己接着性層構造は、治療有効量のアゴメラチンを含有し、A)バッキング層と、B)i)アゴメラチン及びii)疎水性ポリマーを含むアゴメラチン含有層とを含む。
したがって、アゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムは、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;及び
ii) 疎水性ポリマーを含むアゴメラチン含有層と
を含む。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、結晶化抑制剤をさらに含むか、または少なくとも1重量%の結晶化抑制剤を含む。
したがって、特定の実施形態では、アゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムは、治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含み、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;及び
iii) 少なくとも1重量%の結晶化抑制剤を含むアゴメラチン含有層と
を含む。
バッキング層は、特に、実質的にアゴメラチン不透過性である。
本発明によるTTSは、特に、マトリックスタイプのTTSまたはマイクロリザーバタイプのTTSであり得、より好ましくはマイクロリザーバタイプのTTSである。
かかるマトリックスタイプまたはマイクロリザーバタイプのTTSでは、治療有効量のアゴメラチンがアゴメラチン含有層に含まれている。かかるマトリックスタイプまたはマイクロリザーバタイプのTTS中の自己接着性層構造は、皮膚接触層等の1つ以上のさらなる層を含み得る。かかるさらなる層には、活性剤が含まれる場合も含まれない場合もある。上で概説されるように、皮膚接触層は、活性剤を含まない層として製造されたとしても、平衡後、アゴメラチンを含み、その結果、追加のアゴメラチン含有マトリックスタイプまたはマイクロリザーバタイプの層ともみなされ得る。さらなる層及びアゴメラチン含有層は、同じ疎水性ポリマーまたは異なるポリマーを含み得る。アゴメラチン含有層及びさらなる層(複数可)のうちのいずれかが互いに直接接触し得るか、または速度制御膜等の膜によって分離され得る。アゴメラチン含有層が、実質的に同じ組成の2つの層を積層することによって調製される場合、結果として得られる二重層は、1つ層とみなされるべきである。
リザーバタイプのTTSでは、活性剤は液体または半液体リザーバに含まれる。かかるリザーバタイプのTTS中の自己接着性層構造は、皮膚接触層等の1つ以上のさらなる層を含み得る。かかるさらなる層には、活性剤が含まれる場合も含まれない場合もある。上で概説されるように、皮膚接触層は、活性剤を含まない層として製造されたとしても、平衡後、アゴメラチンを含み、その結果、本発明の意味でのアゴメラチン含有層ともみなされ得る。リザーバタイプのTTSは、リザーバと皮膚接触層を分離する速度制御膜をさらに含む。
したがって、ある特定の実施形態では、自己接着性層構造は、バッキング層とアゴメラチン含有層との間に位置する追加のリザーバ層と、追加のリザーバ層とアゴメラチン含有層との間に位置するさらなる速度制御膜とを含む。
特定の実施形態では、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含む。追加の皮膚接触層は自己接着性であり、投与中、自己接着性層構造と患者の皮膚との間に接着力を提供する。
かかる実施形態では、自己接着性層構造は、アゴメラチン含有層と追加の皮膚接触層との間に位置する膜を含む場合も含まない場合もあり、この膜は、好ましくは速度制御膜である。
別の実施形態では、本発明による自己接着性層構造は、追加の皮膚接触層を含まない。その後、投与中の自己接着性層構造と患者の皮膚との間の十分な接着力が、他の手段、例えば、アゴメラチン含有層及び/または接着層によって提供される。特に、自己接着性層構造は、バッキング層及びアゴメラチン含有層からなり得る。
したがって、本発明のある特定の実施形態によれば、TTSは、接着剤オーバーレイをさらに含み得るか、または接着剤オーバーレイを含まず、好ましくは接着剤オーバーレイを含まない。この接着剤オーバーレイは、特に、アゴメラチン含有自己接着性層構造よりも大きく、経皮治療システム全体の接着特性を増強するためにそれに付着され得る。当該接着剤オーバーレイは、バッキング層も含む。当該接着剤オーバーレイの面積はTTSの全体的なサイズを増加させるが、放出面積を増加させない。接着剤オーバーレイは、アクリルポリマー、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、ポリシロキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択される自己接着性ポリマーまたは自己接着性ポリマー混合物を含み、これらは、活性剤含有自己接着性層構造中に含まれる任意の(例えば、疎水性)ポリマーまたはポリマー混合物と同一であり得るか、または異なり得る。
本発明による自己接着性層構造は通常、取り外し可能な保護層(剥離ライナー)上に位置し、これは、患者の皮膚の表面に適用される直前に除去される。したがって、TTSは、剥離ライナーをさらに含み得る。このように保護されたTTSは、通常、継ぎ目密封パウチ内に保管される。この包装は、小児にとって安全であり得る、及び/または高齢者にとって使い勝手の良いものであり得る。
アゴメラチン含有層
上でより詳細に概説したように、本発明の特定の実施形態によるTTSは、アゴメラチン含有層を含む自己接着性層構造を含む。
これらの実施形態では、アゴメラチン含有層は、
i) アゴメラチンと、
ii) 疎水性ポリマーと
を含む。
上で概説したように、アゴメラチン含有層は、結晶化抑制剤、または少なくとも1重量%の結晶化抑制剤をさらに含み得る。
いくつかの特定の実施形態において、アゴメラチン含有層は、マイクロリザーバタイプまたはマトリックスタイプのものであり、好ましくは、マイクロリザーバタイプのものである。かかる実施形態において、アゴメラチンは、完全に溶解し得るか、または分散した形態であり得る。
すでに示したように、マイクロリザーバタイプのTTS中の活性剤含有層は、外側マトリックス相に内側活性物含有相を有する二相層であり、内側相は、外側相内に分散した堆積物の形態である。
アゴメラチン含有層が結晶化抑制剤を含む場合、アゴメラチンは結晶化抑制剤とともに内相に均一な形態で存在し、疎水性ポリマーは別の相として存在し、二相層の外相を形成すると推測される。
したがって、本発明の特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、
a) 疎水性ポリマーを含む感圧接着剤組成物を有する外相、及び
b) アゴメラチンを含む組成物を有する内相を有する乾燥二相層であり、
ここで、内相は外相に分散した堆積物を形成する。
すでに概説したように、結晶化阻害剤は、アゴメラチン含有層に含まれる場合、内相の液滴内にアゴメラチンと共に存在し、均質な相を形成すると想定され、これは、例えば、粘稠な液体もしくはアモルファス相、または、結晶化抑制剤に溶解したアゴメラチンのいわゆる固溶体、及び可溶化剤などの任意選択のさらなる賦形剤であり得る。したがって、かかる実施形態では、内相の組成物は結晶化抑制剤を含み、好ましくは外相の感圧接着剤組成物は実質的に結晶化抑制剤を含まず、具体的には、外相の感圧接着剤組成物は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、またはより好ましくは1重量%以下の結晶化抑制剤を含み得る。
一方、疎水性ポリマーは外相に存在するはずである。したがって、これらの実施形態では、内相の組成物は、疎水性ポリマーを実質的に含まず、具体的には、内相の組成物は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、またはより好ましくは1重量%以下の疎水性ポリマーを含む。
「マイクロリザーバ」という用語が示すように、分散堆積物はマイクロメートルサイズであり、すなわち、特定の実施形態では、分散堆積物は、0.1から100μm、または0.5から50μmの平均粒子サイズを有する。
マイクロリザーバシステムには、実際の接着剤層、すなわち外相の薬物溶解度を増加させる(薬物放出が不十分になる可能性がある)必要がなく、十分な量の活性物質を内相に溶解できるという利点がある。理論に拘束されることを望まないが、内相における十分な量の活性物質と外相における低い薬物溶解度とのバランスが、本発明のTTSの良好な透過プロファイルにつながると想定される。かかるシステムには、貯蔵安定性に対する活性及び関連する制限の(再)結晶化を防ぐことができるという利点もある。
また、一般に、アゴメラチン含有層がマイクロリザーバタイプであるかどうかに関係なく、本発明の特定の実施形態では、アゴメラチン含有層はアゴメラチン結晶を含まない。
さらに、アゴメラチン含有層の面積重量は、活性物質の量を決定する要因の1つである。十分な量の活性物質を得るためには一定の厚さが必要であり、特に非常に薄い層を十分な精度でコーティングすることも困難である。一方、非常に厚い層は、着用が不快で皮膚から剥がれやすいだけでなく、製造が困難であり、最大24時間以上の活性物質の連続放出につながる傾向があり、これは、アゴメラチンの場合は、望ましい放出プロファイルではない。結局、アゴメラチン含有層は、面積重量が好ましくは少なくとも25g/m2、より好ましくは少なくとも35g/m2、最も好ましくは少なくとも40g/m2、または面積重量が好ましくは150g/m2以下、より好ましくは120g/m2以下、最も好ましくは90g/m2以下、または面積重量が好ましくは25~150g/m2、より好ましくは35~120g/m2、最も好ましくは40~90g/m2である。
放出面積が有効な用量を制御するため、放出面積に関して特定の最小サイズが必要であるが、放出面積が大きすぎると、TTSのサイズが大きくなり、着用が不快になり、患者のコンプライアンスが低下する。これを考慮して、本発明の特定の実施形態において、経皮治療システムは、放出面積が少なくとも1cm2、好ましくは少なくとも5cm2、より好ましくは少なくとも10cm2であり、または放出面積が100cm2以下、好ましくは60cm2以下、より好ましくは50cm2以下であり、または放出面積が1~100cm2、好ましくは5~60cm2、より好ましくは10~50cm2である。
上でも概説したように、理論に拘束されることを望まないが、TTSに含まれる十分な量の活性剤は、良好なインビトロ皮膚透過など、本発明によるTTSの特定の有利な特徴を達成するために必要であると考えられる。一方、活性物質の量が多すぎると、活性物質の再結晶化などの望ましくない貯蔵安定性の問題につながる可能性があるが、薬物濃度が高すぎるために皮膚に刺激を与える可能性もある。TTSに含有されるアゴメラチンの量は、アゴメラチン含有層の濃度及び/または面積重量を調整することで双方向に制御できる。面積重量に関する詳細は上記のとおりである。濃度に関して、アゴメラチン含有層は、少なくとも0.5重量%のアゴメラチン、好ましくは少なくとも1重量%のアゴメラチン、より好ましくは少なくとも1.5重量%のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、8重量%以下のアゴメラチン、好ましくは6重量%以下のアゴメラチン、より好ましくは5重量%以下のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、0.5~8重量%のアゴメラチン、好ましくは1~6重量%のアゴメラチン、より好ましくは1.5~5重量%のアゴメラチンを含む。
したがって、本発明の特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、放出面積あたり、少なくとも0.04mg/cm2、好ましくは少なくとも0.06mg/cm2、より好ましくは少なくとも0.08mg/cm2、最も好ましくは少なくとも0.1mg/cm2のアゴメラチンを含むか、またはアゴメラチン含有層は、0.4mg/cm2以下、好ましくは0.3mg/cm2以下、より好ましくは0.25mg/cm2以下、最も好ましくは0.2mg/cm2以下のアゴメラチンを含む。
TTSあたりの活性物質量に関して、経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量は、少なくとも0.5mg、好ましくは少なくとも1mg、より好ましくは少なくとも2mgであるか、または経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量は、15mg以下、好ましくは10mg以下、より好ましくは8mg以下であるか、または経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量は、0.5~15mg、好ましくは1~10mg、より好ましくは2~8mgである。
本発明のある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、感圧接着剤組成物である。
以下でさらに詳細に理解されるように、特定の実施形態では、アゴメラチン含有層を調製するためのコーティング組成物は、溶媒としてエタノールを使用するが、水は使用しないことが好ましい。したがって、本発明による経皮治療システムは、好ましくは、アゴメラチン、疎水性ポリマー、任意選択で結晶化抑制剤、ポリビニルピロリドン、及びエタノールを含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得ることができる(及び/または得られる)。また、本発明による経皮治療システムは、好ましくは、実質的に水を含まない、例えば、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得ることができる(及び/または得られる)。
アゴメラチン含有層の組成に対する安定性を考慮すると、アゴメラチン含有層は、貯蔵時に蒸発して組成を変化させるリスクを負う揮発性成分を含まないことが好ましい。したがって、特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、実質的に揮発性溶媒を含まない。この意味での揮発性溶媒は、C1からC3の直鎖及び分岐アルコール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、ならびにそれらの任意の混合物からなる群から選択することができる。特に、アゴメラチン含有層は、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下の揮発性溶媒を含む。特に、アゴメラチン含有層は、実質的にイソプロパノールを含まなくてもよく、例えば、5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下のイソプロパノールを含む。
アゴメラチンの溶解度が高すぎる可能性があり、またマイクロリザーバタイプ層を形成する傾向の低下に関しても、アゴメラチン含有層は限られた量のアクリルポリマーのみを含むことが好ましい。したがって、特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、アゴメラチン含有層の70重量%を超える、好ましくは50重量%を超える、より好ましくは30重量%を超える量のアクリルポリマーを含まない。
アゴメラチン
本発明によれば、自己接着性層構造は、治療有効量のアゴメラチンを含有し、自己接着性層構造は、アゴメラチン含有層を含む。
本発明によれば、活性剤アゴメラチンは、TTS、特にアゴメラチン含有層に任意の形態、すなわち、その遊離、解離、または水和物、溶媒和物などの任意の関連形態、ならびに微粉化形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、及び/またはアモルファス形態にあり得る粒子の形態、及び前述の形態のいずれかの任意のハイブリッド型形態またはそれらの混合形態で存在し得、好ましくは、アゴメラチンは遊離の解離形態で存在する。
さらに、特定の実施形態では、アゴメラチンは、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態で前記アゴメラチン含有層に含まれる。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層組成物は、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態での前記アゴメラチンを組み込むことによって得ることができる(及び/または得られる)。
アゴメラチン含有層中のアゴメラチンは(完全に)溶解され得るか、またはアゴメラチン含有層は、好ましくはその遊離の解離形態のアゴメラチンから構成されるアゴメラチン粒子を含み得、その結果、アゴメラチンは分散形態で存在する。言うまでもなく、アゴメラチンが分散形態で存在する場合、それにもかかわらず、アゴメラチン含有層は、アゴメラチン含有層(例えば、飽和または過飽和)における活性物質の溶解度に応じて、溶解形態のアゴメラチンをも含み得る。
好ましい実施形態において、アゴメラチンは完全に溶解され、例えば、アゴメラチン含有層中のアゴメラチンの少なくとも90mol%、好ましくは少なくとも95mol%、より好ましくは少なくとも98mol%、最も好ましくは少なくとも99mol%が溶解した形で存在する。
上で概説されるように、TTS中のアゴメラチンの量は、活性物質の良好な放出にとって重要であると考えられており、例えば、アゴメラチン濃度によって調整され得る。したがって、特定の実施形態では、アゴメラチン含有層中のアゴメラチンの濃度は、アゴメラチン含有層の0.5~8重量%、好ましくは1~6重量%、より好ましくは1.5~5重量%である。
ある特定の実施形態では、アゴメラチンは、定量的HPLCによって決定される、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する。定量的HPLCは、UV検出を伴う逆相HPLCで行われ得る。具体的には、HPLCが均一濃度で行われる場合、以下の条件が使用され得る。
カラム: RPオクタデシル相
XTerra RP18 100mmx3.9mm;3.5μmまたは同等品
移動相: 0.06モルKH2PO4バッファー/アセトニトリル(60:40;v:v);pH2.5
勾配: 均一濃度
フラックス: 1.0mL
注入体積: 20μL
カラム温度: 23℃
波長: 229nm及び275nm
実行時間: 5分間
本発明によるTTSは、アゴメラチン含有量ならびにアゴメラチン分解に関して改善された安定性を有利に示す。
したがって、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、初期に(すなわち、製造直後、例えば、1週間以内に)、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含む。アゴメラチンの理論量は、コーティング組成物に使用されるアゴメラチンの量、ならびに試験されたTTSの、コーティングして乾燥したアゴメラチン含有層の(実際の)面積重量から計算される。
アゴメラチン含有層は、初期に、0.5%未満、好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.2%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の総アゴメラチン関連分解物質量も含有し得る。
ある特定の他の実施形態では、本発明によるTTSは、貯蔵時に安定している、すなわち、それらは、以下のように、初期のアゴメラチン含有量値を維持するか、または少量の分解産物を提示し得る。
かかる実施形態のうちの1つの実施形態では、アゴメラチン含有層は、25℃及び60%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含有する。
アゴメラチン含有層は、25℃及び60%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、1.0%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.2%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の総アゴメラチン関連分解物質量も含有し得る。
かかる実施形態のうちの1つの実施形態では、アゴメラチン含有層は、30℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、さらにより好ましくは少なくとも99%の量のアゴメラチンを含有する。
アゴメラチン含有層は、30℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、1.0%未満、好ましくは0.5%未満、より好ましくは0.2%未満、さらにより好ましくは0.1%未満の総アゴメラチン関連分解物質量も含有し得る。
かかる実施形態のうちの1つの実施形態では、アゴメラチン含有層は、40℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間貯蔵された後、アゴメラチン含有層中に含まれるアゴメラチンの理論量の少なくとも95%、好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、さらにより好ましくは少なくとも98%の量のアゴメラチンを含有する。
アゴメラチン含有層は、40℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間貯蔵された後、1.0%未満、好ましくは0.7%未満、より好ましくは0.5%未満、さらにより好ましくは0.4%未満の総アゴメラチン関連分解物質量も含有し得る。
本発明によるTTSはまた、剥離ライナーからのアゴメラチン含有層の接着及び除去可能性に関して、貯蔵時に有利に安定であり、すなわち、それらは、接着力及び剥離力を経時的に維持し得る。
したがって、特定の実施形態では、アゴメラチン含有層の接着力は、25℃及び60%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、25%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満減少する。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層の接着力は、30℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、25%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満減少する。
アゴメラチン含有層の接着力も、40℃/75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間貯蔵された後、20%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは3%未満減少する。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層の剥離力は、25℃及び60%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、150%未満、好ましくは100%未満、より好ましくは30%未満増加する。
特定の実施形態では、アゴメラチン含有層の剥離力は、30℃及び75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間、より好ましくは少なくとも9ヶ月間、最も好ましくは少なくとも12か月間貯蔵された後、250%未満、好ましくは150%未満、より好ましくは100%未満増加する。
アゴメラチン含有層の剥離力も、40℃/75%相対湿度で少なくとも3ヶ月間、好ましくは少なくとも6ヶ月間貯蔵された後、250%未満、好ましくは100%未満、より好ましくは60%未満増加する。
アゴメラチン含有量及び総アゴメラチン関連分解物質量、ならびに接着力及び剥離力を決定するための方法は、好ましくは、実施例8b及び8dについて記載されたように実施する。
疎水性ポリマー
上で概説したように、本発明によるTTSは、疎水性ポリマーを含むアゴメラチン含有層を含む自己接着性層構造を含む。
この疎水性ポリマーは、アゴメラチン含有層の十分な粘着力を提供する。ある特定の実施形態によれば、疎水性ポリマーは、十分な接着力も提供し得る。かかる実施形態において、また一般的に、疎水性ポリマーは感圧接着性ポリマーから選択され得る。
好ましい実施形態では、疎水性ポリマーの量が少なくとも75重量%、好ましくは少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも75重量%であり、及び/または疎水性ポリマーの量が98重量%以下、好ましくは94重量%以下、より好ましくは90重量%以下であり、特に、疎水性ポリマーの量がアゴメラチン含有層の75~98重量%、好ましくは80~94重量%、より好ましくは85~90重量%である。
本発明による疎水性ポリマーとして好適なポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される。
疎水性ポリマーはアゴメラチン含有層に存在するが、オプションの接着剤オーバーレイに含まれる場合もある。
疎水性ポリマーは通常、n-ヘプタンや酢酸エチルなどの溶媒で供給及び使用される。感圧接着剤の固形分含有量は通常、30%~80%である。
本発明による好適な疎水性ポリマーは、例えば、Oppanol(商標)(ポリイソブチレン)、JSR-SIS(スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー)、SilAcハイブリッドPSA(シリコーンアクリルハイブリッドポリマー)またはBIO-PSA(ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤)のブランド名で市販されている。
好ましい実施形態では、疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤ポリマーである。
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤はまた、シリコーンベースの感圧接着剤、またはシリコーン感圧接着剤と称され得る。それらは、活性物質及び全体的なリリースプロファイルの利用の点で有利である。
これらのシロキサンをベースとする感圧接着剤は、湿潤肌を含む様々な肌の種類に好適なタック及び迅速な結合、好適な接着及び凝集の質、肌への長期接着性、高い柔軟度、水分に対する透過性、ならびに多くの活性物質及びフィルム基材への相溶性を提供する。それらに十分なアミン抵抗性、及びそのため、アミンの存在下での向上した安定性を提供することが可能である。そのような感圧接着剤は、シラノールで末端ブロックされたポリジメチルシロキサンとシリカ樹脂(シリケート樹脂とも呼ばれる)との縮合反応によって、アミン安定性のために残存シラノール官能基がトリメチルシロキシ基で追加的に封止されているポリシロキサンをベースとする感圧接着剤が調製されるポリマー中樹脂(resin-in-polymer)コンセプトをベースとする。シラノールで末端ブロックされたポリジメチルシロキサンの含有量は、粘弾性挙動の粘性要素に寄与し、接着剤の湿潤及び拡散性特性に影響を与える。その樹脂は、粘着剤及び強化剤として作用し、弾性要素に関与する。シラノールで末端ブロックされたポリジメチルシロキサンと樹脂との的確なバランスは、的確な接着特性を提供する。
上記を考慮して、シリコーンベースの感圧接着剤は、一般に、シラノール末端ブロックされたポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との重縮合によって得られる。言い換えれば、好ましい実施形態では、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である。アミン適合性シリコーンベースのポリマー、特にアミン適合性シリコーンベースの感圧接着剤は、ポリマーのシラノール含有量を減らすようにシリコーンベースのポリマー、特にシリコーンベースの感圧接着剤をトリメチルシリル(例えば、ヘキサメチルジシラザン)と反応させることによって得ることができる。結果として、残存シラノール官能基は、少なくとも部分的に、好ましくは大部分または完全にトリメチルシロキシ基で封止されている。したがって、特定の実施形態では、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂であり、可溶性シリケート樹脂に結合していないポリジメチルシロキサンのシラノール基は、遊離シラノール基であるか、またはトリメチルシリル化されている。
上に示したように、シリコーンベースのポリマーの粘着性は、樹脂対ポリマーの比、すなわち、シラノール末端ブロックされたポリジメチルシロキサンとシリケート樹脂との比によって変更され得、好ましくは70:30から50:50、好ましくは65:35から55:45である。樹脂に比べてポリジメチルシロキサンの量が増えると、粘着性が増加する。高粘着性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、樹脂対ポリマーの比が55:45であり、中程度の粘着性のシリコーンベースのポリマーは、好ましくは、樹脂対ポリマーの比が60:40であり、低粘着性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、樹脂対ポリマーの比が65:35である。好ましい実施形態では、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、65:35、60:40、または55:45の樹脂対ポリマー比を有する、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である。高粘着性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x106ポアズであり、中程度の粘着性のシリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x107ポアズであり、低粘着性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x108ポアズである。高粘着性アミン適合性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x106ポアズであり、中程度の粘着性のアミン適合性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x108ポアズであり、低粘着性アミン適合性シリコーンベースのポリマーは、好ましくは、0.01rad/s及び30℃での複素粘度が約5x109ポアズである。
市販されているシリコーンベースのPSA組成物の例には、典型的にはDow Corningによって製造され、n-ヘプタンまたは酢酸エチル中で供給される標準的なBIO-PSAシリーズ(7-4400、7-4500及び7-4600シリーズ)、アミン適合性(末端封止された)BIO-PSAシリーズ(7-4100、7-4200及び7-4300シリーズ)、及びSoft Skin Adhesivesシリーズ(7-9800)が含まれる。例えば、BIO-PSA7-4201は、25℃及びヘプタン中約60%の固形分含有量で450mPasの溶液粘度ならびに30℃において0.01rad/sで1×108ポアズの複素粘度を特徴とする。BIO-PSA7-4301は、25℃及びヘプタン中約60%の固形分含有量で500mPasの溶液粘度ならびに30℃において0.01rad/sで5×106ポアズの複素粘度を有する。
ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、n-ヘプタン、酢酸エチルまたは他の揮発性シリコーン流体のような溶媒中で供給され、使用される。溶媒中のポリシロキサンをベースとする感圧接着剤の固形分含有量は通常、60~85%、好ましくは70~80%、または60~75%である。当業者は、固形分含有量が、好適な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
例えば、Dow Corningから入手可能な、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、以下のスキームに従って得ることができる。
ポリシロキサンをベースとするそのような感圧接着剤は、例えば、溶媒n-ヘプタン(コード「01」で示される)で提供されるBIO-PSA7-4401、BIO-PSA-7-4501、またはBIO-PSA7-4601の商品名、または溶媒酢酸エチル(コード「02」で示される)で提供されるBIO-PSA7-4402、BIO-PSA7-4502、及びBIO7-4602の商品名で市販されている。溶媒中の典型的な固形分は60から75%の範囲である。コード「44」は、樹脂対ポリマーの比が65:35で粘着性が低いことを示し、コード「45」は、樹脂対ポリマーの比が60:40で中程度の粘着性が得られることを示し、コード「46」は、樹脂対ポリマーの比が55:45で粘着性が高いことを示す。
例えば、Dow Corningから入手可能な、ポリシロキサンをベースとするアミン適合性感圧接着剤は、以下のスキームに従って得ることができる。
ポリシロキサンをベースとするそのようなアミン適合性感圧接着剤は、例えば、溶媒n-ヘプタン(コード「01」で示される)で提供されるBIO-PSA7-4101、BIO-PSA-7-4201、またはBIO-PSA7-4301の商品名、または溶媒酢酸エチル(コード「02」で示される)で提供されるBIO-PSA7-4102、BIO-PSA7-4202、及びBIO7-4302の商品名で市販されている。溶媒中の典型的な固形分は60から75%の範囲である。コード「41」は、樹脂対ポリマーの比が65:35で粘着性が低いことを示し、コード「42」は、樹脂対ポリマーの比が60:40で中程度の粘着性が得られることを示し、コード「43」は、樹脂対ポリマーの比が55:45で粘着性が高いことを示す。
特定の実施形態では、本発明によるポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、好ましくは50rpmでスピンドル番号5を備えたBrookfieldRVT粘度計を使用して測定した場合、25°C及びn-ヘプタン中の60%固形分での溶液粘度が約150mPa sを超える、もしくは約200mPa sから約700mPa sであることによって特徴付けられる。これらは、0.01rad/s及び30℃での複雑な粘度が約1x109ポイズ未満、または約1x105から約9x108ポイズであることによっても特徴付けられ得る。また、特定の実施形態では、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤は、好ましくは50rpmでスピンドル番号5を備えたBrookfieldRVT粘度計を使用して測定した場合、25°C及び酢酸エチル中の60%固形分での溶液粘度が約350mPa sを超える、もしくは約400mPa sから約1500mPa sであることによって特徴付けられ、または30°Cにおいて0.01rad/sで約1x105から約1x107ポアズもしくは約5x106ポアズの複素粘度によって特徴付けられる。
別の実施形態では、疎水性ポリマーはポリイソブチレンである。
本発明による好適なポリイソブチレンは、Oppanol(登録商標)の商品名で入手可能である。高分子量ポリイソブチレン(B100/B80)及び低分子量ポリイソブチレン(B10、B11、B12、B13)の組み合わせが使用され得る。低分子量ポリイソブチレン及び高分子量ポリイソブチレンの好適な比は、100:1~1:100、特に95:5~40:60、好ましくは90:10~80:20または60:40~20:80、好ましくは50:50~30:70の範囲である。ポリイソブチレンの組み合わせの好ましい例は、85/15の比、または40/60の比のB10/B100である。Oppanol(登録商標)B100は、1,110,000の粘度平均分子量Mv、及び1,550,000の重量平均分子量Mw、ならびに2.9の平均分子量分布Mw/Mnを有する。Oppanol(登録商標)B10は、40,000の粘度平均分子量Mv、及び53,000の重量平均分子量Mw、ならびに3.2の平均分子量分布Mw/Mnを有する。所定の実施形態では、ポリイソブチレンにポリブテンが添加され得る。溶媒中のポリイソブチレンの固形分含有量は通常30~50%、好ましくは35~40%である。当業者は、固形分含有量が、好適な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
さらに別の実施形態では、疎水性ポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである。
疎水性ポリマーはまた、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーであり得る。
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は通常、n-ヘプタン及び酢酸エチルのような溶媒中で供給され、使用される。感圧接着剤の固形分含有量は通常、30%~80%である。当業者は、固形分含有量が、好適な量の溶媒を添加することによって変更され得ることを認識している。
好ましくは、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤中のシリコーンのアクリレートに対する重量比は、5:95~95:5、または20:80~80:20、より好ましくは40:60~60:40であり、最も好ましくはシリコーンのアクリレートに対する比は、約50:50である。
市販されている好適なシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤には、Dow Corningによってn-ヘプタンまたは酢酸エチル中で製造され、供給されるPSAシリーズ7-6100及び7-6300(7-610X及び7-630X;X=1 n-ヘプタンベース/X=2 酢酸エチルベース)が含まれる。例えば、50/50のシリコーン/アクリレート比を有する7-6102シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中約50%の固形分含有量で2,500cPの溶液粘度及び30℃において0.1rad/sで1.0e7ポアズの複素粘度を特徴とする。50/50のシリコーン/アクリレート比を有する7-6302シリコーンアクリルハイブリッドPSAは、25℃及び酢酸エチル中約50%の固形分含有量で1,500cPの溶液粘度及び30℃において0.1rad/sで4.0e6ポアズの複素粘度を有する。
シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が供給される溶媒に応じて、シリコーンまたはアクリルの連続的な外部相及び対応する不連続的な内部相を提供するシリコーン相及びアクリル相の配置が異なる。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤がn-ヘプタン中で提供される場合、組成物は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が酢酸エチル中で提供される場合、組成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有する。シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤が提供される溶媒を蒸発させた後、得られる感圧接着剤フィルムまたは層の相配置は、溶媒含有接着剤コーティング組成物の相配置に対応する。例えば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤組成物中の相配置の反転を誘発し得る物質が存在しない場合、n-ヘプタン中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製された感圧接着剤層は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を提供し、酢酸エチル中のシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤から調製された感圧接着剤層は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を提供する。組成物の相配置は、例えば、シリコーン化された離型ライナーに付着したシリコーンアクリルハイブリッドPSA組成物から調製された感圧接着剤フィルムまたは層を用いた剥離力試験において決定され得る。感圧接着剤フィルムは、シリコーン化された離型ライナーが、2つのシリコーン表面のブロッキングにより感圧接着剤フィルム(裏地フィルムに積層されている)から除去できないか、またはほとんど除去できない場合、連続的なシリコーン外部相を含有する。ブロッキングは、同様の表面エネルギーを含む2つのシリコーン層の接着から生じる。シリコーン接着剤は、シリコーン化されたライナー上で良好な広がりを示し、そのため、ライナーに対して良好な接着性を生み出し得る。シリコーン化された離型ライナーが容易に取り除かれ得る場合、感圧接着剤フィルムは、連続したアクリル外部相を含有する。アクリル接着剤は、異なる表面エネルギーのため、良好な広がりを有さず、よって、シリコーン化されたライナーに対する接着性が低いか、またはほとんどない。
本発明の好ましい実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物から得ることができるシリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤である。アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物は、アクリレート官能基のみ、メタクリレート官能基のみ、またはアクリレート官能基及びメタクリレート官能基の両方を含み得ることを理解されたい。
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)開始剤との反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物である。特に、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)(メタ)アクリレートモノマーと、(c)開始剤(すなわち、開始剤の存在下)との反応生成物を含む。すなわち、シリコーンアクリルハイブリッド感圧接着剤は、これらの反応物((a)、(b)、及び(c))間の化学反応の生成物を含む。
(a)アクリレートまたはメタクリレート官能基を含むケイ素含有感圧接着剤組成物と、(b)エチレン性不飽和モノマーと、(c)開始剤との反応生成物は、連続的なシリコーン外部相及び不連続的なアクリル内部相を含有し得るか、または(a)、(b)、及び(c)の反応生成物は、連続的なアクリル外部相及び不連続的なシリコーン内部相を含有し得る。
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、アクリルポリマーは、共有結合で自己架橋しており、シリコーンポリマー及び/またはシリコーン樹脂に共有結合している。
本発明の所定の他の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーの反応生成物を含み、シリコーン樹脂は、トリオルガノシロキシ単位R3SiO1/2(Rは有機基である)、及び4官能性シロキシ単位SiO4/2を、各SiO4/2に対して0.1~0.9のR3SiO1/2単位のモル比で含有する。
アクリルポリマーは、少なくともアルコキシシリル官能性モノマー、ポリシロキサン含有モノマー、ハロシリル官能性モノマーまたはアルコキシハロシリル官能性モノマーを含み得る。好ましくは、アクリルポリマーは、トリアルコキシシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシアルキルシリル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物からなる群から選択されるアルコキシシリル官能性モノマーから調製されるか、または末端封止されたアルコキシシリル官能基を含む。アルコキシシリル官能基は好ましくは、トリメトキシシリル基、ジメトキシメチルシリル基、トリエトキシシリル、ジエトキシメチルシリル基及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
アクリルポリマーはまた、ポリシロキサン含有モノマーを含む混合物、好ましくはポリジメチルシロキサンモノ(メタ)アクリレートを含む混合物から調製され得る。
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーンポリマーをシリコーン樹脂と反応させて、結果生成物を形成し、b)a)の結果生成物を反応性官能基を含有するアクリルポリマーと反応させることによって調製され得、この場合、これらの成分は、有機溶媒中で反応させる。
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーン樹脂を反応性官能基を含有するアクリルポリマーと反応させて、結果生成物を形成し、b)a)の結果生成物をシリコーンポリマーと反応させることによって調製され得、この場合、これらの成分は、有機溶媒中で反応させる。
本発明の所定の実施形態によれば、シリコーンアクリルハイブリッドポリマーは、a)シリコーンポリマーを反応性官能基を含有するアクリルポリマーと反応させて、結果生成物を形成し、b)a)の結果生成物をシリコーン樹脂と反応させることによって調製され得、この場合、これらの成分は、有機溶媒中で反応させる。
シリコーンポリマー、シリコーン樹脂及びアクリルポリマーを一緒に化学的に反応させて先の段落によるシリコーンアクリルハイブリッドポリマーを提供するために使用され得るさらなる好適なアクリルポリマー、シリコーン樹脂、及びシリコーンポリマーは、WO2010/124187に詳述されている。
結晶化抑制剤及び可溶化剤
上に概説したように、本発明の特定の態様及び実施形態によれば、アゴメラチン含有層は、結晶化抑制剤を含む。
本発明の意味の範囲内で、「結晶化抑制剤」は、TTS、特に本発明のアゴメラチン含有層における活性剤アゴメラチンの再結晶化を防ぐことができる任意の物質である。当業者は、好適な結晶化抑制剤を知っている。
上記の再結晶防止効果だけでなく、透過プロファイルへの有利な効果(下記参照)のためにも、一定量の結晶化抑制剤が必要である。一方、大量に配合すると、薬物の溶解度が高すぎるため、透過速度に悪影響を与える可能性がある。したがって、アゴメラチン含有層は、好ましくは、少なくとも1重量%の結晶化抑制剤を含む。好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は、少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%のかかる結晶化抑制剤を含み、他方、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下の結晶化抑制剤を含み、例えば、アゴメラチン含有層は、1.5~30重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは4~20重量%、最も好ましくは5~15重量%の結晶化抑制剤を含み得る。
結晶化抑制剤として特に興味深いのは、水を吸収する能力が強化されたポリマーである。これは、より高い吸水及び/または吸湿は、アゴメラチン含有層の接着特性を維持/改善するのに役立ち、そのような物質は、マイクロリザーバシステムの良好な皮膚透過挙動に寄与すると考えられているからである。すなわち、いかなる理論にも拘束されることを望まず、マイクロリザーバシステムにおいて、活性剤と共に内相に存在する結晶化抑制剤は、活性剤よりも水に対してより高い親和性を有し、その結果、患者の皮膚へのTTSの適用中に吸収された皮膚の水は、溶解した活性剤を置換する。置換された活性剤の分子は、TTSから皮膚へと皮膚内へと拡散するための高い駆動力の影響を受ける。
したがって、ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、アゴメラチン含有層の改善された吸水及び/または吸湿を提供するポリマーから選択される結晶化抑制剤を含む。かかるポリマーは当該技術分野で周知である。それらのうち、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーが特に好適であり、好ましい。ポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーは、例えば、BASFによって供給されるKollidon(登録商標)VA64のブランド名で市販されている。
特定の実施形態において、結晶化抑制剤は、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される。好ましくは、結晶化抑制剤はポリビニルピロリドンであり、特に結晶化抑制剤は可溶性ポリビニルピロリドンから選択される。
本発明の意味の範囲内で、「可溶性ポリビニルピロリドン」という用語は、少なくともエタノール中、好ましくは水、ジエチレングリコール、メタノール、n-プロパノール、2-プロパノール、n-ブタノール、クロロホルム、塩化メチレン、2-ピロリドン、マクロゴール400、1,2プロピレングリコール、1,4ブタンジオール、グリセロール、トリエタノールアミン、プロピオン酸、及び酢酸中でも10%超可溶性であるポリビニルピロリドン、別名、ポビドンを指す。市販のポリビニルピロリドンの例には、BASFによって供給されるKollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)17PF、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90F、またはポビドンK90Fが挙げられる。Kollidon(登録商標)の異なるグレードが、ポリビニルピロリドングレードの平均分子量を反映するK値に関して定義されている。Kollidon(登録商標)12PFは、公称K値12に相当するK値範囲10.2~13.8を特徴とする。Kollidon(登録商標)17PFは、公称K値17に相当するK値範囲15.3~18.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)25は、公称K値25に相当するK値範囲22.5~27.0を特徴とし、Kollidon(登録商標)30は、公称K値30に相当するK値範囲27.0~32.4を特徴とする。Kollidon(登録商標)90Fは、公称K値90に相当するK値範囲81.0~97.2を特徴とする。好ましいKollidon(登録商標)グレードは、Kollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)30、及びKollidon(登録商標)90Fである。ポリビニルピロリドンの全てのグレード及びタイプについて、過酸化物の量がある特定の制限範囲内であることが好ましく、具体的には、過酸化物の量は、500ppm以下、より好ましくは150ppm以下、最も好ましくは100ppm以下である。
本発明の意味の範囲内で、「K値」という用語は、「ポビドン」についての欧州薬局方(Ph.Eur.)及びUSPモノグラフに従って水中のポリビニルピロリドンの相対粘度から計算された値を指す。
したがって、特定の実施形態では、結晶化阻害剤は、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2
からなる範囲の群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンまたはそれらの任意の混合物であり、より好ましくは、27.0~32.4または81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドン及びそれらの任意の混合物であり、最も好ましくは、81.0~97.2の範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンである。
本発明の特定の実施形態において、アゴメラチン含有層は、可溶化剤を含む。
本発明の意味の範囲内で、「可溶化剤」という用語は、アゴメラチン含有層におけるアゴメラチンの溶解度を実質的に、例えば、アゴメラチン含有層に添加した可溶化剤10重量%あたり、好ましくは5重量%あたり、より好ましくは1重量%あたり、最も好ましくは0.5重量%あたり、少なくとも1パーセントポイント(アゴメラチン含有層中のアゴメラチンの量に対して、重量%)増加させることができる任意の物質を指す。
特定の好ましい実施形態において、可溶化剤は、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物からなる群から選択され、これらは、例えば、プロピレングリコールモノカプリレート(タイプII)、90%を超えるモノエステルと10%未満のジエステルの比率でのプロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物である、ブランド名Capryolで市販されている。ここで、脂肪酸は主にカプリル酸(Gattefosseによって供給されるCapryol(商標)90として市販されている)、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、特にポリエチレングリコール脂肪アルコールエーテル(Brij(登録商標)として市販されているものなど)、例えばBrij(登録商標)L4として市販されている平均分子量Mnが約362のポリエチレングリコールドデシルエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテル(transcutol(登録商標)として市販されている)からなる。
ある最小量の可溶化剤は、それがアゴメラチン含有層における活性剤の再結晶化を防ぐのに寄与するという点で有利である。一方、可溶化剤の量が多すぎると、アゴメラチン含有層の凝集性が損なわれる可能性があるため、バランスをとる必要がある。これらの要因を考慮して、特定の好ましい実施形態では、アゴメラチン含有層は、少なくとも1.5重量%、好ましくは少なくとも2.5重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%の可溶化剤を含み、他方、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下の可溶化剤を含み、例えば、アゴメラチン含有層は、1.5~30重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは4~20重量%、最も好ましくは5~15重量%の可溶化剤を含み得る。別の実施形態において、アゴメラチン含有層は、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される可溶化剤を含まない。
また、アゴメラチンの再結晶を防止するという有利な効果については、結晶化抑制剤と可溶化剤が互いに補完し合う可能性がある。したがって、特定の実施形態において、特に結晶化抑制剤が十分な量で存在する場合、アゴメラチン含有層は、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、及びポリエチレングリコールエーテルからなる群から選択される可溶化剤を含まない。また、好ましくは、アゴメラチン含有層に存在する結晶化抑制剤及び可溶化剤の総量は、少なくとも2.5重量%、好ましくは少なくとも3.5重量%、より好ましくは少なくとも4重量%、最も好ましくは少なくとも5重量%であり、及び/または、30重量%以下、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下、最も好ましくは15重量%以下であり、例えば、1.5~30重量%、好ましくは2.5~25重量%、より好ましくは4~20重量%、最も好ましくは5~15重量%である。
最後に、アゴメラチンの再結晶化を効果的に防止するために必要な結晶化抑制剤及び/または可溶化剤の量は、アゴメラチン含有層に存在するアゴメラチンの量にも依存する。したがって、アゴメラチン含有層に存在する結晶化抑制剤及び可溶化剤の総量と、アゴメラチン含有層に存在するアゴメラチンの量との比は、好ましくは少なくとも1:2、より好ましくは少なくとも1:1、最も好ましくは少なくとも2:1である。この総量は、可溶化剤が存在しない場合の結晶化抑制剤の量を指す。
さらなる添加剤
本発明によるTTSのアゴメラチン含有層は、架橋剤、さらに可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、浸透促進剤、すなわち、活性剤の透過性を増加させるという意味で角質層のバリア特性に影響を与える物質、pH調節剤、及び防腐剤からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含み得る。
特に好ましい添加剤は、安定剤である。かかる添加剤は、1添加剤あたりアゴメラチン含有層の0.001~15重量%の量でアゴメラチン含有層中に存在し得る。ある特定の実施形態では、全ての添加剤の総量は、アゴメラチン含有層の0.001~25重量%である。以下、特定の添加剤の量の範囲が提供される場合、かかる範囲は、個々の添加剤あたりの量を指す。
薬学的製剤において、製剤成分が、それらの物理化学的及び生理学的特性に従って、かつそれらの機能に従ってカテゴリー化されることに留意されたい。これは、特に、あるカテゴリーに分類される物質または化合物が、製剤成分の別のカテゴリーへの分類から除外されないことを意味する。例えば、ある特定のポリマーは、結晶化抑制剤のみならず、粘着付与剤でもあり得る。いくつかの物質は、例えば、典型的な軟化剤であり得ると同時に、浸透促進剤としても作用する。当業者であれば、自身の一般知識に基づいて、ある特定の物質または化合物が製剤成分のどのカテゴリー(複数可)に属するかを決定することができる。以下に賦形剤及び添加剤の詳細が提供されるが、これらが排他的であると理解されるべきではない。本明細書に明確に列記されていない他の物質も本発明に従って使用され得、製剤成分の1つのカテゴリーに明確に列記されている物質及び/または化合物は、本発明の意味で別の製剤成分としての使用から除外されない。
架橋剤は、アルミニウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、またはポリブチルチタネート等のアルミニウム及びチタン架橋剤からなる群から選択され得る。架橋剤の量は、アゴメラチン含有層の0.005~1重量%、好ましくは0.01~0.1重量%の範囲であり得る。アゴメラチン含有層は、自己架橋性ポリマー、すなわち、加熱時に反応するグリシジル基等の架橋性官能基を含むポリマーも含み得る。さらに特定の実施形態によれば、アゴメラチン含有層は、上記の架橋剤及び自己架橋性ポリマーを含む。
アゴメラチン含有層は、前述の可溶化剤に加えて、さらなる可溶化剤を含み得る。好ましいさらなる可溶化剤には、例えば、中鎖及び/または長鎖脂肪酸のグリセロール、ポリグリセロール、プロピレングリコール、及びポリオキシエチレンエステル、例えば、モノリノール酸グリセリル、中鎖グリセリド及び中鎖トリグリセリド、ヒマシ油をエチレンオキシドと反応させることによって作製される非イオン性可溶化剤、及び脂肪酸または脂肪アルコールをさらに含み得るそれらの任意の混合物;セルロース及びメチルセルロース及びそれらの誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及び酢酸コハク酸ヒプロメロース;様々なシクロデキストリン及びその誘導体;ポロキサマーとして既知のポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレンの中央疎水性鎖を有する非イオン性トリブロックコポリマー;PVAc-PVCap-PEGと略され、Soluplus(登録商標)としても既知のポリエチレングリコール、ポリ酢酸ビニル、及びポリビニルカプロラクタムベースのグラフトコポリマー;天然由来のヒマシ油、ポリエチレングリコール400、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80等)、またはプロピレングリコールの精製グレード;ジエチレングリコールモノエチルエーテル;ならびに以下に記載の可溶性ポリビニルピロリドンのうちのいずれか、ならびにKollidon(登録商標)CL、Kollidon(登録商標)CL-M、及びKollidon(登録商標)CL-SF等のクロスポビドンとしても既知の不溶性/架橋ポリビニルピロリドンが含まれる。
しかしながら、以下に記載の透過促進剤もさらなる可溶化剤として作用することができる。
シリカゲル、二酸化チタン、及び酸化亜鉛等の充填剤がポリマーと併用されて、粘着力及び結合強度等のある特定の物理的パラメータに望ましい方法で影響を与えることができる。
アゴメラチン含有層が自己接着特性を有する必要があり、十分な自己接着特性を提供しない疎水性ポリマーが選択される場合、粘着付与剤が添加される。粘着付与剤は、トリグリセリド、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びそれらの誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテン、ならびにそれらの混合物から選択され得る。特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、アゴメラチン含有層の5~15%の量の粘着付与剤を含む。
特定の実施形態において、アゴメラチン含有層は、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸及びそのエステル誘導体、ブチル化ヒドロキシトルエン、トコフェロール及びそのエステル誘導体、例えば酢酸トコフェリル及びリノール酸トコフェリルから選択される安定剤、好ましくはトコフェロール及びそのエステル誘導体、ならびにアスコルビン酸及びそのエステル誘導体、特にパルミチン酸アスコルビルなどの脂肪酸のアスコルビルエステル、及びα-トコフェロールから選択される安定剤を含む。アゴメラチン含有層が安定剤を含む場合、安定剤の量は、アゴメラチン含有層の0.001~2重量%である。
一実施形態では、アゴメラチン含有層は、軟化剤/可塑剤をさらに含む。例示的な軟化剤/可塑剤には、6~20個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状飽和または不飽和アルコール、トリグリセリド、及びポリエチレングリコールが含まれる。
特定の実施形態において、アゴメラチン含有層は、カプリル酸、グリセロール、2,5-ジメチルイソソルビド、ジメチルエチレン尿素、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノカプリラット、2-メトキシ-4-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、乳酸及びラウロカプラムから選択される透過促進剤を含む。
ある特定の実施形態では、アゴメラチン含有層は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジイソプロピルアジペート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、乳酸、ジメチルエチレン尿素及びジメチルプロピレン尿素から選択される透過促進剤を含まない。
本発明によるアゴメラチン含有層は、pH調節剤を含み得る。好ましくは、pH調節剤は、アミン誘導体、無機アルカリ誘導体、それぞれ塩基性官能性及び酸性官能性を有するポリマーから選択される。
放出特性
本発明によるTTSは、特に夜間に、一定量のアゴメラチンを体循環に経皮投与するために設計されている。
本発明のTTSの投与は、一般に、好ましくは、経皮治療システムをヒト患者の皮膚に適用し、皮膚上で少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間、より好ましくは少なくとも6時間、及び/または24時間以下、好ましくは18時間以下、より好ましくは14時間以下、及び/または2~24時間、好ましくは4~18時間、より好ましくは6~14時間維持することからなる。
本発明の特定の実施形態では、上記の本発明によるTTSは、採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される、
2時間目に0.5μg/cm2-hrから15μg/cm2-hr、
4時間目に1μg/cm2-hrから20μg/cm2-hr、
8時間目に2μg/cm2-hrから25μg/cm2-hr、及び
16時間目に1μg/cm2-hrから15μg/cm2-hrのアゴメラチンの皮膚透過速度を提供する。
特定の実施形態では、本発明による経皮治療システムは、採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される、8時間目に少なくとも0.01mg/cm2、好ましくは少なくとも0.015mg/cm2、より好ましくは少なくとも0.02mg/cm2、及び/または0.2mg/cm2以下、好ましくは0.15mg/cm2以下、より好ましくは0.1mg/cm2以下、及び/または0.01mg/cm2~0.2mg/cm2、好ましくは0.015mg/cm2~0.15mg/cm2、より好ましくは0.02mg/cm2~0.1mg/cm2のアゴメラチンの累積透過量を提供する。
特定の実施形態では、本発明による経皮治療システムは、採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される8時間後の少なくとも10%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも20%のアゴメラチン利用率を提供する。
治療方法/医学的使用
本発明の特定の態様によれば、本発明によるTTSは、治療方法、具体的には、ヒト患者を治療する方法で使用するためのものである。別の態様によれば、本発明は、本発明による経皮治療システムを皮膚、特にヒト患者の皮膚に適用する治療方法に関する。さらに別の態様では、本発明は、治療のための、好ましくはヒト患者を治療するための薬剤の製造における本発明の経皮治療システムの使用に関する。
古典的な気分障害(大うつ病、双極性障害のうつ病期、または全般性不安障害)に苦しむ80%を超える患者の大多数は、睡眠-覚醒サイクルと睡眠構造の混乱を示している。特徴的に、入眠困難(入眠潜時の増加)とそれに続く適切な睡眠は、日中の顕著な眠気をもたらし、日常生活で適切に機能する能力をさらに損ない、悪循環を確立する。うつ病に関しては、特定の治療ガイドラインはないが、利用可能なオプションは一般に、うつ病と睡眠障害が双方向の関係を共有するという前提に基づいているため、一方の状態の治療が成功すると、もう一方の状態に相互に利益がもたらされる。
近年、概日リズムの乱れ、つまり、体温や血圧などの主要な生理学的機能だけでなく、非常に複雑な神経伝達物質の反応を1日の時間に固定する「体内時計」の調整不良及び機能障害は、治療上の注意を必要とする大うつ病性障害の主な要因であることがますます明らかになっている。視交叉上核、松果体、及びそれが生成する神経ホルモン(メラトニン)の間のリンクの機能不全が、これらの現象の主な原因として示唆されている。メラトニンは、交代制勤務に関連する時差ぼけや不眠症を治療するための「非光性概日リズム再同期剤」として強く支持され(そして販売され)、メラトニンの抗うつ作用と抗不安作用について多くの発表がある。メラトニンの経口バイオアベイラビリティは低いため、合成メラトニン受容体アゴニストが調査されている。その中で最も顕著なのはアゴメラチンである。
アゴメラチンはうつ病の治療に承認されているが、双極性障害、全般性不安障害、スミス・マゲニス症候群、脳室周囲白質軟化症、OCDなどの他の適応症の治療が提案されている。
したがって、特定の実施形態では、本発明によるTTSは、好ましくは、大うつ病を治療する方法で使用するためのものである。同様に、特定の他の実施形態では、本発明は、大うつ病を治療する方法に関するものであり、本発明による経皮治療システムは、皮膚、特にヒト患者の皮膚に適用される。さらに他の実施形態において、本発明は、大うつ病を治療するための薬剤の製造における本発明の経皮治療システムの使用に関する。
うつ病、または大うつ病性障害とも呼ばれる大うつ病の治療は、うつ病/MDD患者の、大うつ病エピソード、不安症状、睡眠覚醒サイクル障害、日中の眠気及び不眠症(MDD患者の大多数、すなわち80%以上が不眠症と組み合わされたうつ病に苦しんでいる)などの状態の治療を含む。他の実施形態では、一般的な治療は、双極性障害、全般性不安障害、スミス・マゲニス症候群、脳室周囲白質軟化症、またはOCDの治療を指すこともある。
上で概説したように、経皮送達は初回通過効果を回避し、したがって、本発明によるTTSは、経口アゴメラチン剤形とは異なり、肝毒性のリスクが低い。したがって、治療される患者グループに関して制限はない。したがって、治療は、少なくとも軽度または少なくとも中等度の肝機能障害を有する患者を含む、肝機能障害を伴うまたは伴わないヒト患者の治療を含む。
また、特定の実施形態において、本発明の経皮治療システムによる治療は、同等の経口用量のアゴメラチンと比較して、少なくとも1つのアゴメラチン関連の副作用の低減を提供する。上で概説したように、特定の実施形態では、そのようなアゴメラチン関連の副作用は肝毒性である。同等経口用量のアゴメラチンとの比較は、同じアゴメラチン血漿曝露を実質的にもたらす経皮及び経口アゴメラチンの用量を使用する際の臨床研究における副作用の発生率及び強度の比較として理解されるべきである。同等経口用量のアゴメラチンと比較した少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の発生率は、少なくとも約30%、好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約70%、最も好ましくは少なくとも約80%低下し得る、及び/または同等経口用量のアゴメラチンと比較した少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の強度は低下し得る。副作用の強度は、例えば、「軽度」、「中程度」、または「重度」の強度を示すスケールで副作用を分類することによって決定され得、強度の低下は、強度中央値を比較することによって定量化され得る。
上記の態様及び実施形態について概説した治療のいずれにおいても、経皮治療システムは、好ましくはヒト患者の皮膚に適用し、皮膚上で少なくとも2時間、好ましくは少なくとも4時間、より好ましくは少なくとも6時間、及び/または24時間以下、好ましくは18時間以下、より好ましくは14時間以下、及び/または2~24時間、好ましくは4~18時間、より好ましくは6~14時間維持する。
別の実施形態では、本発明によるTTSは、同等経口用量のアゴメラチンと比較して患者における少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用を軽減する方法で使用するためのものでもあり得る。
本発明は、経口アゴメラチン療法で治療されている患者における少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用を軽減する方法にも関し、この方法は、
a) 経口アゴメラチン療法を中止することと
b) 患者の皮膚に本発明による経皮治療システムを投与することであって、経皮治療システムが、同等経口用量のアゴメラチンと比較して少なくとも1つのアゴメラチン関連副作用の軽減を提供する、投与することと、を含む。
かかる方法では、経皮治療システムは、経口アゴメラチン療法によって本来提供されるアゴメラチンの量と同等の量のアゴメラチンを送達することができる。
製造プロセス
本発明はさらに、経皮治療システムで使用するためのアゴメラチン含有層の製造プロセス、ならびにアゴメラチン含有層及び対応するTTSを含む対応する自己接着性層構造に関する。
本発明の一態様によれば、経皮治療システムで使用するためのアゴメラチン含有層の製造プロセスは、
i) 少なくともアゴメラチン、疎水性ポリマー、ならびに、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される結晶化抑制剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得るステップと、
ii) 前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間層にコーティングするステップと、
iii) コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップと
を含む。
本発明の他の一態様によれば、経皮治療システムで使用するためのアゴメラチン含有層の製造プロセスは、
i) 少なくともアゴメラチンと疎水性ポリマーを溶媒中で組み合わせてコーティング組成物を得るステップと、
ii) 前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間層にコーティングするステップと、
iii) コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、マイクロリザーバタイプのアゴメラチン含有層を形成するステップと
を含む。
かかるプロセスでは、前記疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、及びポリシロキサンをベースとする感圧接着剤からなる群から選択される。
この製造プロセスでは、好ましくは、ステップi)において、アゴメラチンが溶解するか、または分散し、より好ましくは溶解して、コーティング組成物が得られる。
アゴメラチンは水に溶けにくく、再結晶化する恐れがあるため、水を使用しないことが好ましい。
したがって、上記のプロセスでは、溶媒は、アルコール溶媒、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びそれらの混合物、ならびに非アルコール溶媒、具体的には、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、ヘプタン、石油エーテル、トルエン、及びそれらの混合物から選択され得る。好ましくは、溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物から選択されるアルコール溶媒を含み、より好ましくは、溶媒は、エタノールを含むか、またはエタノールからなる。
さらに、溶媒は実質的に水を含まず、例えば、溶媒は1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の水を含む。
アゴメラチン含有層の疎水性ポリマー、結晶化抑制剤、及び他の成分の優先順位は、上記のとおりである。したがって、いくつかの実施形態では、ステップi)は、少なくともアゴメラチン、疎水性ポリマー、ポリビニルピロリドン、ならびに、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される可溶化剤を溶媒中で組み合わせてコーティング組成物を得ることからなる。また、ステップi)において、アゴメラチンは、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態で組み合わされる。
ステップiii)において、乾燥は、好ましくは、室温で、及び/または40~90℃、より好ましくは50~70℃の温度で、1回以上のサイクルで行われる。
アゴメラチン含有層及び対応するTTSを含む自己接着性層構造は、上記に概説されたプロセスにしたがって、自己接着性層構造を得るためにバッキング層と積層するなどのさらなる製造ステップを使用し、個々のTTSを打抜いてパッケージングし、例えば、熟練者に知られているように、一次包装材料のポーチに密封することによって製造することができる。かかるさらなるステップは、好ましくは、前の章で説明されたように、自己接着性層構造またはTTSをもたらす。
本発明は、特に、アゴメラチン含有層、ならびに上記のプロセスによって得ることができる(及び/または得られる)自己接着性層構造及び経皮治療システムに関する。
これより、添付の実施例を参照して本発明をより完全に説明する。しかしながら、以下の説明が例証にすぎず、決して本発明を制限するものと解釈されるべきはないことを理解されたい。組成物中の成分の量または面積重量に関して実施例で提供される数値は、製造時の変動のため、わずかに変化し得る。
実施例1A~1C
コーティング組成物
実施例1a~1cのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表1.1に要約する。表1.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例1aの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。アクリル系接着剤Duro-Tak(商標)(3)87-4098を添加し、その後、透明な溶液が得られるまで(約30分間)混合物を撹拌した。
実施例1bの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。アクリル系接着剤Duro-Tak(商標)(3)87-2353を添加し、その後、粘稠な混合物が得られるまで(約14分間)混合物を撹拌した。次に、酢酸エチルを撹拌しながら加え、均質で透明な混合物を約2.5時間撹拌した。
実施例1cの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。シリコーン感圧接着剤Q7-4302を添加し、混合物を撹拌した(約10分間)。最初に0.6gのエタノールを攪拌しながら加え、約10分後にさらに0.2gのエタノールを加えた。次に、Povidone K90を攪拌しながら添加し、それにより粘度を増加させた。わずかに不透明で均質な混合物が得られた。
コーティング組成物のコーティング
得られたアゴメラチン含有コーティング組成物をポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ100μm、実施例1a及び1bの剥離ライナーとして機能し得、厚さ74μm、実施例1cのフルオロポリマーコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間、60°C(実施例1a)及び70°C(実施例1b及び1c)でそれぞれ約10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ46.6g/m2(実施例1a)、49.5g/m2(実施例1b)、及び50.7g/m2(実施例1c)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
TTSの調製(全ての実施例に関する)
次いで、個々のシステム(TTS)をアゴメラチン含有自己接着性層構造から打ち抜いた。特定の実施形態では、上述のTTSは、好ましくは角部が丸みを帯びており、活性成分を含まない感圧接着剤マトリックス層を含む、より大きい表面面積を有するさらなる自己接着性層を備え得る。これは、TTSが、その物理的特性のみに基づいて、皮膚に十分に接着しない場合に、及び/またはアゴメラチン含有マトリックス層が、無駄を避ける目的のために、顕著な角部を有する(正方形または長方形形状)場合に有利である。その後、TTSを打ち抜き、当該技術分野で慣行されているように、すなわち、保護雰囲気下で、窒素ガスを流すことによって、一次包装材料のポーチ内に密封する。
例として本明細書に記載されているすべてのTTSは、明示的に示されない限り、調製直後に肉眼で観察されたように結晶を含まなかった。
皮膚透過速度の測定
実施例1a~1cに従って調製したTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度を、7.0mLのフランツ拡散セルを用いて行ったOECDガイドライン(2004年4月13日に採用)に従うインビトロ実験によって決定した。美容外科手術からの分層ヒト皮膚(腹部)を使用した。採皮刀を使用して、全てのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに調製した。1.156cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。32±1℃の温度でフランツセルの受容培地(抗菌剤として0.1%生理食塩水アジドを有するリン酸緩衝液pH5.5)中のアゴメラチン透過量を測定し、対応する皮膚透過速度を計算した。結果を表1.2及び図1aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び24時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表1.3及び1.4、ならびに図1b及び1cに示す。
インビトロ実験は、本発明の特定の態様及び実施形態による、アゴメラチン含有層が疎水性ポリマーとしてのシリコーンベースのPSA及び結晶化抑制剤としてのPVPを含む実施例1cが、接着剤としてのアクリルポリマーに基づく実施例1a及び1bと比較した場合に、優れた皮膚透過速度を提供することを示している。
実施例2A~2E
コーティング組成物
実施例2a~2eのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表2.1に要約する。表2.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例2a~2dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。溶剤(実施例2a及び2bの場合はエタノール、実施例2c及び2dの場合は酢酸エチル)、感圧接着剤(実施例2a及び2bの場合はSilAcハイブリッドPSA 7-6301、実施例2c及び2dの場合はDuro-Tak(商標)(3)87-2516)、及びラウリルラクテート(実施例2a及び2c)またはCapryol90(実施例2b及び2d)をそれぞれ加えた。次いで、混合物を撹拌した。使用する場合、ポリビニルピロリドンを撹拌しながら添加して(実施例2a及び2b)、約2時間撹拌した後、白色の均質な混合物を得た。
実施例2eの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。感圧シリコーン接着剤Q7-4302、ラウリルラクテート、及びエタノールを加えて攪拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌しながら添加して、約2時間撹拌した後、不透明で均質な混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
実施例2a、2b、及び2eのコーティングプロセスについては、実施例1cを参照されたい。コーティングの厚さは、それぞれ47.9g/m2(実施例2a)、45.7g/m2(実施例2b)、及び55.9g/m2(実施例2e)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
結果として得られた実施例2c及び2dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(片面シリコン処理、厚さ75μm、剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間及び70℃で10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ49.1g/m2(実施例2c)及び47.8g/m2(実施例2b)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例2aから2eに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例1のように決定した。美容外科手術からの分層ヒト皮膚(腹部)を使用した。1.154cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。結果を表2.2及び図2aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び24時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表2.3及び2.4、ならびに図2b及び2cに示す。
インビトロ実験は、本発明の特定の態様及び実施形態による、アゴメラチン含有層が疎水性ポリマーとしてのシリコーンアクリルハイブリッドポリマー及び結晶化抑制剤としてのPVP、ならびに可溶化剤としてのCapryol90またはラウリルラクテートを含む実施例2a及び2bが、接着剤としてのアクリルポリマーに基づく実施例2c及び2dと比較した場合に、優れた皮膚透過速度を提供することを示している。実施例2eは、疎水性ポリマーとしてのシリコーンベースのPSA及び結晶化抑制剤としてのPVP及び可溶化剤としてのラウリルラクテートに基づいており、さらに良好な皮膚透過速度を提供する。
実施例2a~2eのすべては、実施例1a~1cの8重量%ではなく4重量%の活性濃度に基づいており、面積重量は同じレベルに維持されている。これは、放出面積あたりの総活性含有量が実施例2a~2eにおいてより低い(実施例1a~1cの総活性含有量の約半分)理由であり、これは、実施例1a~1cとは対照的に、実施例2a~2eの有利な放出プロファイルが8時間目から24時間目への透過速度の減少を示す理由である可能性がある。
実施例3A~3D
コーティング組成物
実施例3a~3dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表3.1に要約する。表3.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例3a~3dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール、トランスクトール(実施例3b)またはジプロピレングリコール(実施例3c)またはレブリン酸(実施例3d)、及び感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌しながら添加して、約3時間撹拌した後、不透明で均質な混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
結果として得られた実施例3a~3dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(厚さ74μm、フルオロポリマーによってコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間及び70℃で10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ63.4g/m2(実施例3a)、63.5g/m2(実施例3b)、63.3g/m2(実施例3c)、及び76.8g/m2(実施例3d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
顕微鏡観察
実施例3a~3dのアゴメラチン含有層は、製造直後及び4週間の貯蔵後に、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。観察されたすべての例の層は、液滴(約5μmのおよそ最大液滴サイズ)を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。図3dは、4週間の貯蔵後の実施例3dのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示す。実施例3dもまた、2年間の貯蔵後に観察され、わずかに大きい液滴(約10μmのおよそ最大液滴サイズ)を有する結晶のないマイクロリザーバを依然として提示した。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例2e及び3a~3dに従って調製したTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度を、7.0mLのフランツ拡散セルを用いて行ったOECDガイドライン(2004年4月13日に採用)に従うインビトロ実験によって決定した。分層ミニブタ皮膚(メス腹部)を使用した。採皮刀を使用して、全てのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を800μmの厚さに調製した。1.154cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。32±1℃の温度でフランツセルの受容培地(抗菌剤として0.1%生理食塩水アジドを有するリン酸緩衝液pH5.5)中のアゴメラチン透過量を測定し、対応する皮膚透過速度を計算した。結果を表3.2及び図3aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び24時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表3.3及び3.4、ならびに図3b及び3cに示す。
インビトロ実験は、良好な皮膚透過速度を示し、有利な放出プロファイルは、透過速度が8時間目から24時間目に減少することを示し、ならびに結晶化抑制剤としてのPVP及び可溶化剤としての様々な物質を含む製剤を例示するすべての試験例の利用率を満足する。
実施例4A~4E
コーティング組成物
実施例4a~4eのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表4.1に要約する。表4.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例4aの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。酢酸エチルと感圧接着剤(Q7-4302)を加えた。次に、混合物を撹拌して、約2時間後に透明な混合物を得た。
実施例4b~4eの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。溶剤(実施例4bでは酢酸エチル、実施例4c~4eではエタノール)、ジプロピレングリコール(実施例4b及び4d)またはレブリン酸(実施例4e)、及び感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。使用した場合、ポリビニルピロリドンを撹拌しながら添加して(実施例4c~4e)、約1~2時間撹拌した後、不透明で均質な混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
結果として得られた実施例4a~4eのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(厚さ74μm、フルオロポリマーによってコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間、60℃で10分間(実施例4a及び4b)、及び70℃で10分間(実施例4c~4e)乾燥させた。必要に応じて、コーティング及び乾燥を繰り返して、所望のコーティング厚さを達成した。コーティング厚さは、それぞれ41.9g/m2(実施例4a)、41.9g/m2(実施例4b)、45.3g/m2(実施例4c)、52.2g/m2(実施例4d)、及び46.7g/m2(実施例4e)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
顕微鏡観察
実施例4b及び4cのアゴメラチン含有層は、製造直後、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。これらの層は、液滴(約10及び15μmのおよそ最大液滴サイズ)を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。図4dは、製造1日後の実施例4cのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示す。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例4a~4eに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例3のように決定した。結果を表4.2及び図4aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び24時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表4.3及び4.4、ならびに図4b及び4cに示す。
これらの実施例は、結晶化抑制剤としてのPVPをアゴメラチン含有層に含む実施例4c、4d及び4eでは、実施例4a及び4bと比較した場合、インビトロ実験によって決定されたアゴメラチン利用率及び放出プロファイルが、透過の速い開始、ならびに絶対透過速度及び透過の8時間目から24時間目への減少の両方の点ではるかに優れていることを示している。
実施例5A~5D
コーティング組成物
実施例5a~5dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表5.1に要約する。表5.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例5a及び5cの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。ジプロピレングリコール、感圧接着剤(SilAc PSA 7-6301)、及び使用する場合はポリビニルピロリドン(実施例5c)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。エタノールを撹拌しながら加えた。約1~2時間後に白色の均質な混合物(実施例5a及び5c)を得た。
実施例5bの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。ポリビニルピロリドン、ジプロピレングリコール、及び接着剤(Oppanol B10/B100 85/15)を加え、次に混合して、約3時間後に不透明で均質な混合物を得た。
実施例5dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドン及びエタノールを撹拌しながら添加して、約1時間後に不透明で均質な混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
得られた実施例5a~5dのアゴメラチン含有コーティング組成物をポリエステルフィルム(厚さ74μm、実施例5a、5c及び5dのフルオロポリマーコーティングされた剥離ライナーとして機能し得、ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、実施例5bの剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、それぞれ、室温で約10分間、70°C(実施例5a、5c及び5d)で10分間、及び90°C(実施例5b)で10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ37.4g/m2(実施例5a)、64.6g/m2(実施例5b)、52.8g/m2(実施例5c)、及び60.6g/m2(実施例5d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
顕微鏡観察
実施例5a~5dのアゴメラチン含有層は、製造直後(3~4日、実施例5a及び5d)及び約32ヶ月後(実施例5b及び5c)、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。すべての例の層は、液滴を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。実施例5d(疎水性ポリマーとしてのシリコーンベースのPSAに基づく)は、約15μmの最大液滴サイズを示したが、実施例5b(疎水性ポリマーとしてのポリイソブチレンに基づく)の液滴サイズは、比較的大きかった(約60μmの最大液滴サイズ)。実施例5a及び5c(疎水性ポリマーとしてのシリコーンアクリルハイブリッドPSAに基づく)の液滴サイズは非常に小さかったので、液滴は顕微鏡下で肉眼で区別することが困難であった。図5c及び5dは、それぞれ、実施例5b及び5dのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示している。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例5a~5dに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例3のように決定した。結果を表5.2及び図5aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表5.3及び図5bに示す。
これらの実施例は、疎水性ポリマーとしてのシリコーンベースのPSAをベースとする実施例5dでは、疎水性ポリマーとしてのシリコーンアクリルハイブリッドポリマーまたはポリイソブチレンをベースとする実施例5a~5cと比較した場合、インビトロ実験によって決定されたアゴメラチン利用率及び放出プロファイルが、透過の速い開始及び絶対透過速度の両方の点ではるかに優れていることを示している。
実施例6A~6D
コーティング組成物
実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表6.1に要約する。表6.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例6aの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填し、エタノールに溶解した。感圧接着剤(Q7-4202)、ポリビニルピロリドン及びジプロピレングリコールを撹拌しながら加えた。約3時間後に不透明な混合物を得た。
実施例6bの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。イソプロピルアルコール及び感圧接着剤(Q7-4402及びDuro-Tak(商標)(3)87-4287)を添加した。次に、混合物を撹拌して、約2時間後に不透明な混合物を得た。
実施例6c及び6dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール及び感圧接着剤(SIS-Arkon)を加えた。次いで、混合物を撹拌した。ヘプタン、ポリビニルピロリドン(実施例6c)、及びジプロピレングリコール(実施例6d)をそれぞれ撹拌しながら添加して、約1時間後に不透明で均質な混合物を得た(実施例6c及び6d)。
さらに、上記の表3.1に要約されているようなアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤に従って、使用される製剤成分の量のわずかな違いを伴って、実施例3cの新しいバッチを調製した。
コーティング組成物のコーティング
得られた実施例6a~6dのアゴメラチン含有コーティング組成物をポリエステルフィルム(厚さ74μm、実施例6a及び6dのフルオロポリマーコーティングされた剥離ライナーとして機能し得、ポリエチレンテレフタレートフィルム、片面シリコン処理、厚さ75μm、実施例6c及び6dの剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、それぞれ、室温で約10分間、70°Cで10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ61.2g/m2(実施例6a)、57.5g/m2(実施例6b)、58.6g/m2(実施例6c)、及び65.6g/m2(実施例6d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
実施例3cの新しいバッチのコーティングについては、上で概説した実施例3cの最初のバッチのコーティングの手順を参照されたい。コーティングの厚さは64.5g/m2の面積重量を与え、257.5μg/cm2のアゴメラチン含有量をもたらした。
顕微鏡観察
実施例6a、6c及び6dのアゴメラチン含有層は、製造直後(数日から2週間まで)、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。すべての例の層は、液滴を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。実施例6c及び6d(疎水性ポリマーとしてのスチレンイソプレンスチレン接着剤に基づく)は、それぞれ約30及び60μmの最大液滴サイズを有する比較的大きな液滴を示したが、実施例6a(疎水性ポリマーとしてのシリコーンベースのPSAに基づく)の液滴サイズは、それに比べて小さかった(最大液滴サイズは約15μm)。図6c及び6dは、それぞれ、実施例6a及び6cのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示している。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例6a~6d及び実施例3cの新しいバッチに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例3のように決定した。1.151cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。結果を表6.2及び図6aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び12時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表6.3、6.4、及び図6bに示す。
実施例6bでは、アクリレートポリマー及びシリコーンベースのPSAの混合物と組み合わせた透過促進剤としてのイソプロピルアルコールの効果が調査された。驚くべきことに、疎水性ポリマーとしてシリコーンベースのPSAに基づき、本発明の特定の実施形態による結晶化抑制剤としてのPVP及び可溶化剤としてのジプロピレングリコールを含む実施例6a及び3cは、はるかに優れた透過挙動を示した。また、疎水性ポリマーとしてスチレンイソプレンスチレン接着剤に基づく実施例6c及び6dは、実施例6a及び3cほどではないが、はるかに優れた透過挙動及び利用率を示した。
実施例7A~7D
コーティング組成物
実施例7a~7d及び3d’のアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表7.1に要約する。表7.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例7a及び7bの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。感圧接着剤(Q7-4302)、Brij L4(実施例7a)、及びレブリン酸(実施例7b)をそれぞれ添加した。次いで、混合物を撹拌した。ポリビニルピロリドン及びエタノールを攪拌しながら加えた。約1~2時間の撹拌後に透明な混合物を得た。
実施例7cの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール、Capryol90、及び感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。撹拌しながらポリビニルピロリドンを添加した。約1時間の撹拌後に不透明な混合物を得た。
実施例7dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。感圧接着剤及びエタノール(Q7-4302)を加えた。次いで、混合物を撹拌した。撹拌しながらポリビニルピロリドンを添加した。約1時間の撹拌後に不透明で均質な混合物を得た。
さらに、上記の表3.1に要約されているようなアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤に従って、使用される製剤成分の量のわずかな違いを伴って、実施例3dの新しいバッチを調製した。
コーティング組成物のコーティング
結果として得られた実施例7a~7dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(厚さ74μm、実施例7a~7dではフルオロポリマーによってコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間及び70℃で10分間乾燥させた(実施例7a~7d)。コーティングの厚さは、それぞれ51.4g/m2(実施例7a)、51.6g/m2(実施例7b)、42.7g/m2(実施例7c)、及び53.4g/m2(実施例7d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(実施例7a及び7bでは厚さ19μm、実施例7c及び7dでは23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
実施例3dの新しいバッチのコーティングについては、上で概説した実施例3dの最初のバッチのコーティングの手順を参照されたい。コーティングの厚さは65.3g/m2の面積重量を与え、260.5μg/cm2のアゴメラチン含有量をもたらした。
顕微鏡観察
実施例7dのアゴメラチン含有層ならびに実施例7a及び7b(新しいバッチ)と同様に調製されたアゴメラチン含有層を、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を備えたライカDM6000M顕微鏡)を使用して2週間~4週間(実施例7a及び実施例7dの新しいバッチ)、及び21ヶ月(実施例7bの新しいバッチ)の貯蔵後に観察した。これらの層は、液滴を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。液滴サイズは比較的均一であり、サイズは数マイクロメートルであった。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例7a~7d及び実施例3dの新しいバッチに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例3のように決定した。1.188cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。結果を表7.2及び図7aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8及び24時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表7.3及び7.4、ならびに図7b及び7cに示す。
インビトロ実験は、すべての実施例について良好な皮膚透過速度及び放出プロファイルを示しているが、結晶化阻害剤としてのPVP及び可溶化剤としてのレブリン酸と組み合わせて4重量%のアゴメラチンを使用する実施例3dの新しいバッチの皮膚透過速度及び利用率は、同じ製剤及び2重量%のアゴメラチンのみを使用した実施例7bと比較した場合、はるかに優れている。皮膚透過速度及び放出プロファイルは、実施例7a、7c及び7d、ならびに実施例7bのそれらと実施例3dの新しいバッチとの間で同等である。ただし、可溶化剤を含まない実施例7dは、4重量%のアゴメラチンを使用し、実施例7a及び7cは2重量%のアゴメラチンのみを含むが、可溶化剤としてBrijまたはCapryolを含む。
ゲッチンゲンミニブタを使用したインビボ研究
アゴメラチンの局所耐性を評価するために、ゲッチンゲンミニブタ(雌、約6~7ヶ月、研究開始時の体重は13.8~14.3kg)を使用したインビボ実験を実施した。上記の実施例3d(新しいバッチ)、7a、7b及び7cに従って調製したTTS、ならびにさらに2つのアゴメラチン-TTS及び6つの対応するプラセボTTSから、10cm2の面積を有するダイカットを打ち抜いた。ミニブタごとに、6つの薬物含有及び6つのプラセボTTS(合計12のTTS)のそれぞれ1つのダイカット(それぞれ10cm2)を使用した。TTSは40cm2(6.3*6.3cm)のカバーパッチで固定し、パッチを所定の位置に保ち、動物がパッチに干渉するのを防ぐために、適用部位をガーゼドレッシングでさらに覆った。4つのミニブタを使用した。ミニブタごとに12のパッチすべて(6つの活性物質及び6つのプラセボ)の合計着用時間は、動物No.1及び2では12時間、動物No.3及び4では24時間であった。
研究中、ミニブタは21±3°Cに保ち、午前6時から午後6時まで点灯し、特別食餌サービスからのSDSミニブタ食餌(SMP(E)SQC)は1日2回、動物1匹あたり約175gで、水を自由に摂取させた。
上で概説したように総着用時間に従ってTTSを除去した後、剥離をパーセンテージ(0%~100%)で定量化し、一般的な接着(良好な接着、容易な、完全な剥離)を定性的に決定した。
さらに、皮膚の状態を肉眼で測定し、2015年7月28日に採択されたOECD化学物質試験ガイドラインNo.404:「急性皮膚刺激性/腐食」に準拠して以下のスコアスキームに基づいて、TTSの除去直後、及び除去後12時間後のドレイズスコアを取得した。
投与部位(パッチで覆われた完全な部位)からの皮膚を収集し(部位1~12)、組織病理学的検査の参照として、未治療領域から動物ごとに1つの皮膚サンプルを採取した。すべての動物からのサンプルをトリミングし、組織学的処理のために代表的な標本を採取した。標本をパラフィンに包埋し、公称厚さ5μmに切断し、ヘマトキシリン及びエオシンで染色し、光学顕微鏡で検査した。表皮及び真皮の組織病理学的検査では、アゴメラチンまたはTTSに関連する所見は見られなかった。
12/24時間後のTTS接着力(接着面積パーセント)は、すべての製剤で34%から76%の間であった(表7.5を参照)。実施例3dによるTTSのパッチ接着面積が34%と低い理由は、ミニブタの四肢の隣に位置するTTS適用部位であると考えられている。これが、他の製剤と比較して接着力が低いように見える理由である。実施例7aから7cの接着力は、60%~76%の範囲である。
TTS除去の12時間後に皮膚刺激を示した製剤はなかった。TTSの除去及び適用部位の洗浄の直後にのみ、実施例7a及び7bによるTTSの適用部位の皮膚は、ドレイズスコア1で非常にわずかな皮膚刺激を示す(表7.5)。投与領域を含む薬物のその後の組織病理学的評価(TTS除去の12時間後)は、API/TTS関連の所見を示さなかった。記録された所見は、この年齢のゲッチンゲンミニブタの皮膚に見られる背景の変化の範囲内であり、治療に関連していないと見なされた。これらの結果は、本発明のTTSの皮膚刺激の可能性のリスクが低いことを示している。
実施例8A~8D
コーティング組成物
実施例8a~8dのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表8.1に要約する。表8.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例8aの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール、レブリン酸、及び感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。撹拌しながらポリビニルピロリドンを添加した。約4時間(実施例8a)の撹拌後に透明な混合物を得た。
実施例8bの場合、ステンレス鋼の容器にアゴメラチンを装填した。エタノール、レブリン酸、及び感圧接着剤(Q7-4302)を添加した。次いで、混合物を撹拌した。撹拌しながらポリビニルピロリドンを添加した。約3時間(実施例8b)の撹拌後に透明な混合物を得た。
実施例8c及び8dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。感圧接着剤(Q7-4302)及びエタノールを加えた。次いで、混合物を撹拌した。撹拌しながらポリビニルピロリドンを添加した。それぞれ約2時間(実施例8c)及び5時間(実施例8d)の撹拌後に、透明な混合物を得た。
コーティング組成物のコーティング
結果として得られた実施例8a~8dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(厚さ74μm、フルオロポリマーによってコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間及び70℃で10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ50.1g/m2(実施例8a)、50.0g/m2(実施例8b)、49.2g/m2(実施例8c)、及び52.0g/m2(実施例8d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(実施例8a~8dでは厚さ19μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
顕微鏡観察
実施例8b及び8dのアゴメラチン含有層は、4~5ヶ月間の貯蔵後に、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。これらの層は、液滴を示したため、マイクロリザーバタイプであると判断された。液滴サイズは比較的均一であり、サイズは数マイクロメートルであった(最大液滴サイズは約10μm)。図8c及び8dは、それぞれ、実施例8b及び8dのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示している。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
皮膚透過速度の測定
実施例8a~8dに従って調製されたTTSの透過量及び対応する皮膚透過速度は、上記の実施例1のように決定した。美容外科手術からの分層ヒト皮膚(女性腹部、出生1976年)を使用した。採皮刀を使用して、全てのTTSのために無傷の表皮を有する皮膚を500μmの厚さに調製した。1.157cm2の面積を有するダイカットをTTSから打ち抜いた。結果を表8.2及び図8aに示す。
アゴメラチンの利用率
8時間時点でのアゴメラチンの利用率を、8時間時点での累積透過量及び初期アゴメラチン含有量に基づいて計算した。結果を表8.3及び図8bに示す。
インビトロ実験は、両方の製剤では良好な皮膚透過速度及び利用率を示しているが、実施例8a/8bにおけるレブリン酸の添加は、より大量のPVPを含むが可溶化剤を含まない実施例8c/8dの製剤と比較した場合、より有利であるようである。
貯蔵安定性の測定
実施例8b及び8dの長期貯蔵安定性試験を、異なる試験条件下、すなわち、25℃及び60%相対湿度(RH)、30℃及び75%RH、ならびに40℃及び75%RHでの貯蔵下で行った。25℃及び60%RHで3、6、9及び12ヶ月の貯蔵後、30℃及び75%RHで9及び12ヶ月の貯蔵後、ならびに40℃及び75%RHで3及び6ヶ月の貯蔵後に試料をTTSから採取し、アゴメラチンの量、及び様々な可能な分解物質も、試験したTTSの(実際の)面積重量から計算されたアゴメラチン含有量に基づいて、特定の定量的HPLC法により測定した。鋼板への接着剤層の接着力及び剥離ライナーからの接着剤層の剥離力を、45.0mmx45.0mmの試料を使用して、角度90°、試験速度300mm/分で接着力を測定し、150mm/分で剥離力を測定した。さらに、剥離ライナーからの接着剤層の除去性が保証されているかどうかをテストし、適合を記録した。また、コールドフローの発生の可能性を視覚的に検査し、コールドフローの許容範囲への適合を記録した。結果を表8.4~8.9及び図8e~8hに示す。
安定性データは、実施例8b及び8dでは、初期安定性及び貯蔵安定性が、アゴメラチンの量(特に貯蔵後に残っているアゴメラチンの量に関して)及び可能な分解物質の合計の両方の点で優れていることを示している。
接着力も、わずかな減少で、時間の経過とともに良好なレベルに維持される。
剥離力は時間の経過とともにわずかに増加するが、その増加は許容範囲内であり、剥離ライナーからの除去可能性が常に保証されている。剥離ライナーのブロッキングや接着剤層の層間剥離は予想されない。
全体として、例えば12ヶ月または24ヶ月以上の長い貯蔵寿命を想定できる。
実施例9A~9E
コーティング組成物
実施例9a~9gのアゴメラチン含有コーティング組成物の製剤を以下の表9.1に要約する。表9.1にも示されるように、製剤は重量パーセントに基づく。
コーティング組成物の調製
実施例9aの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール及びポリビニルピロリドンを加え、混合物を3時間静置した。シリコーンアクリルハイブリッドPSA接着剤を添加し、混合物を1000rpmで撹拌した。白色の均質な混合物を得た。
実施例9bの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。エタノール及び感圧接着剤(Q7-4202)を加え、混合物を攪拌した。ポリビニルピロリドンを撹拌しながら加え、混合物をさらに撹拌した。濁った均質な溶液を得た。
実施例9cの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。ポリイソブチレン接着剤及び酢酸エチルを加え、混合物を1時間静置した。ポリビニルピロリドンを加え、混合物を250rpmで撹拌し、0.5時間後にエタノールを加えた。目に見える小さな気泡を伴う透明な溶液を得た。
実施例9dの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填し、1.5gのエタノールに溶解した。ポリビニルピロリドンを加え、混合物を約1時間静置した。スチレンイソプレンスチレン接着剤を加え、混合物を200rpmで撹拌した。最後に、残りのエタノール及びn-ヘプタンを加え、混合物を200rpmで撹拌した。目に見える結晶のないわずかに濁った溶液を得た。
実施例9eの場合、ビーカーにアゴメラチンを装填した。ジプロピレングリコールを添加し、混合物を撹拌した。酢酸エチルと感圧接着剤(Q7-4301)を加えた。次いで、混合物をさらに撹拌した。約2.5時間撹拌した後、透明な溶液を得た。
コーティング組成物のコーティング
結果として得られた実施例9a~9dのアゴメラチン含有コーティング組成物を、ポリエステルフィルム(厚さ74μm、フルオロポリマーによってコーティングされた剥離ライナーとして機能し得る)上にコーティングし、室温で約10分間及び70℃で10分間乾燥させた。コーティングの厚さは、それぞれ45.5g/m2(実施例9a)、47.0g/m2(実施例9b)、57.6g/m2(実施例9c)、及び50.4g/m2(実施例9d)の面積重量を与えた。乾燥させたフィルムにポリエチレンテレフタレートバッキング層(実施例9a、9b、9c及び9dでは厚さ23μm)を積層して、アゴメラチン含有自己接着性層構造を得た。
顕微鏡観察
実施例9a~9eのアゴメラチン含有層は、製造直後(1~3日)(実施例9a及び9b)、または約2週間の貯蔵後(実施例9c)、3週間の貯蔵後(実施例9d)、または2.5ヶ月間の貯蔵後(実施例9e)に、顕微鏡(デジタルカメラDFC450及びライカアプリケーションスイートバージョン4.5を搭載したライカDM6000M顕微鏡)を使用して観察した。これらの層はすべて結晶を含んでいた。図9a~9eは、それぞれ、実施例9a~9eのアゴメラチン含有層の顕微鏡写真を示している。
TTSの調製
実施例1を参照されたい。
本発明は、具体的には、以下のさらなる項目に関する。
1.治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;及び
iii) 少なくとも1重量%の、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される結晶化抑制剤を含むアゴメラチン含有層と
を含み、
前記疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、前記経皮治療システム。
2.治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) アゴメラチン;及び
ii) 疎水性ポリマーを含むアゴメラチン含有層と
を含み、
前記疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択され、
前記アゴメラチン含有層はマイクロリザーバタイプである、前記経皮治療システム。
3.前記アゴメラチン含有層は、結晶化抑制剤をさらに含むか、または少なくとも1重量%の結晶化抑制剤を含む、項2に記載の経皮治療システム。
4.前記結晶化抑制剤は、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される、項3に記載の経皮治療システム。
5.前記アゴメラチン含有層は、少なくとも1.5重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%の前記結晶化抑制剤を含む、項1、3、及び4のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
6.前記結晶化抑制剤は、ポリビニルピロリドンであるか、または
前記結晶化抑制剤は、可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、項1及び3~5のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
7.前記結晶化抑制剤は、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2の範囲からなる群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項1及び3~6のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
8.前記アゴメラチン含有層は、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される可溶化剤を含む、項1~7のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
9.前記アゴメラチン含有層は、少なくとも1.5重量%、少なくとも2.5重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%の前記可溶化剤を含むか、または
前記アゴメラチン含有層は、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される可溶化剤を含まない、項8に記載の経皮治療システム。
10.前記アゴメラチン含有層は結晶化抑制剤を含み、前記アゴメラチン含有層に存在する結晶化抑制剤及び可溶化剤の総量は少なくとも2.5重量%、少なくとも3.5重量%、少なくとも4重量%、または少なくとも5重量%であるか、または
前記アゴメラチン含有層に存在する結晶化抑制剤及び可溶化剤の総量と、前記アゴメラチン含有層に存在するアゴメラチンの量との比は、少なくとも1:2、少なくとも1:1、または少なくとも2:1である、項1及び3~9のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
11.前記アゴメラチン含有層は、少なくとも0.5重量%のアゴメラチン、少なくとも1重量%のアゴメラチン、もしくは少なくとも1.5重量%のアゴメラチンを含むか、または
前記アゴメラチン含有層は、8重量%以下のアゴメラチン、6重量%以下のアゴメラチン、もしくは5重量%以下のアゴメラチンを含むか、または
前記アゴメラチン含有層は、0.5~8重量%のアゴメラチン、1~6重量%のアゴメラチン、もしくは1.5~5重量%のアゴメラチンを含む、項1~10のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
12.前記疎水性ポリマーが、感圧接着剤ポリマーから選択される、項1~11のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
13.前記疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤である、項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
14.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である、項13に記載の経皮治療システム。
15.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、65:35、60:40、または55:45の樹脂対ポリマー比を有する、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である、項14に記載の経皮治療システム。
16.前記可溶性シリケート樹脂に結合していない前記ポリジメチルシロキサンのシラノール基は、遊離シラノール基であるか、またはトリメチルシリル化されている、項15に記載の経皮治療システム。
17.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、好ましくは50rpmでスピンドル番号5を備えたBrookfieldRVT粘度計を使用して測定した場合、25°C及びn-ヘプタン中の60%固形分での溶液粘度が約150mPa sを超える、もしくは約200mPa sから約700mPa sであることによって特徴付けられ、または30°Cで0.01rad/sで約1x109ポアズ未満もしくは約1x105から約9x108ポアズの複素粘度によって特徴付けられるか、または
ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、好ましくは50rpmでスピンドル番号5を備えたBrookfieldRVT粘度計を使用して測定した場合、25°C及び酢酸エチル中の60%固形分での溶液粘度が約350mPa sを超える、もしくは約400mPa sから約1500mPa sであることによって特徴付けられ、または30°Cで0.01rad/sで約1x105から約1x107ポアズもしくは約5x106ポアズの複素粘度によって特徴付けられる、項13~16のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
18.前記疎水性ポリマーはポリイソブチレンである、項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
19.前記疎水性ポリマーは、粘度平均分子量Mvが1,110,000、重量平均分子量Mwが1,550,000、平均分子量分布Mw/Mnが2.9の高分子量ポリイソブチレン、または粘度平均分子量Mvが40,000、重量平均分子量Mw が53,000、平均分子量分布Mw/Mnが3.2の低分子量ポリイソブチレン、またはそれらの混合物であるか、または
前記疎水性ポリマーは、低分子量ポリイソブチレンと高分子量ポリイソブチレンの混合物であり、前記低分子量ポリイソブチレンと前記高分子量ポリイソブチレンの比率は、100:1から1:100、または60:40から20:80、または50:50から30:70である、項18に記載の経皮治療システム。
20.前記疎水性ポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
21.前記疎水性ポリマーはシリコーンアクリルハイブリッドポリマーである、項1~12のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
22.前記アゴメラチン含有層は、実質的にイソプロパノールを含まない、項1~21のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
23.前記アゴメラチン含有層は、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下のイソプロパノールを含む、項22に記載の経皮治療システム。
24.前記アゴメラチン含有層は、揮発性溶媒を実質的に含まなく、
前記揮発性溶媒は、C1からC3の直鎖及び分岐アルコール、酢酸エチル、ヘキサン、n-ヘプタン、及びそれらの任意の混合物からなる群から選択される、項1~23のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
25.前記アゴメラチン含有層は、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下の揮発性溶媒を含む、項24に記載の経皮治療システム。
26.前記アゴメラチン含有層は、前記アゴメラチン含有層の70重量%を超える、50重量%を超える、または30重量%を超える量のアクリルポリマーを含まない、項1~25のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
27.前記アゴメラチン含有層は、マイクロリザーバタイプまたはマトリックスタイプのものであり、
前記アゴメラチンは完全に溶解しているか、または分散した形になっている、項1~26のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
28.前記アゴメラチン含有層は、
a) 前記疎水性ポリマーを含む感圧接着剤組成物を有する外相と、
b) 前記アゴメラチンを含む組成物を有する内相と
を有する乾燥二相層であり、
前記内相は前記外相に分散した堆積物を形成する、項1~26のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
29.前記内相の組成物は、結晶化抑制剤を含み、及び/または
前記外相の前記感圧接着剤組成物は、実質的に結晶化抑制剤を含まない、項28に記載の経皮治療システム。
30.前記外相の前記感圧接着剤組成物は、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下の結晶化抑制剤を含む、項29に記載の経皮治療システム。
31.前記内相の組成物は、疎水性ポリマーを実質的に含まない、項28に記載の経皮治療システム。
32.前記内相の組成物は、5重量%以下、3重量%以下、または1重量%以下の疎水性ポリマーを含む、項31に記載の経皮治療システム。
33.前記分散した堆積物の平均粒子サイズは、0.1~100μm、または0.5~50μmである、項28~32のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
34.前記アゴメラチン含有層は、アゴメラチン結晶を含まない、項1~33のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
35.前記アゴメラチン含有層は、面積重量が少なくとも25g/m2、少なくとも35g/m2、もしくは少なくとも40g/m2であり、または面積重量が150g/m2以下、120g/m2以下、もしくは90g/m2以下であり、または面積重量が25~150g/m2、35~120g/m2、もしくは40~90g/m2である、項1~34のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
36.前記経皮治療システムは、放出面積が少なくとも1cm2、少なくとも5cm2、もしくは少なくとも10cm2であり、または放出面積が100cm2以下、60cm2以下、もしくは50cm2以下であり、または放出面積が1~100cm2、5~60cm2、もしくは10~50cm2である、項1~35のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
37.前記アゴメラチン含有層は少なくとも0.04mg/cm2、少なくとも0.06mg/cm2、少なくとも0.08mg/cm2、もしくは少なくとも0.1mg/cm2のアゴメラチンを含み、または前記アゴメラチン含有層が0.4mg/cm2以下、0.3mg/cm2以下、0.25mg/cm2以下、もしくは0.2mg/cm2以下のアゴメラチンを含む、項1~36のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
38.前記アゴメラチン含有層は、前記アゴメラチン、前記疎水性ポリマー、任意選択で前記結晶化抑制剤、及びエタノールを含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得ることができる、項1~37のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
39.前記アゴメラチン含有層は、1重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満の水を含むコーティングされたコーティング組成物を乾燥させることによって得ることができる、項1~38のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
40.前記アゴメラチンは、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態で前記アゴメラチン含有層に含まれる、項1~39のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
41.前記アゴメラチン含有層は、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態での前記アゴメラチンを組み込むことによって得ることができる、項1~40のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
42.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンは、溶解しているか、または分散した形で存在している、項1~41のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
43.前記アゴメラチン含有層中の前記アゴメラチンの少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、少なくとも98mol%、または少なくとも99mol%が溶解した形で存在する、項1~42のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
44.前記アゴメラチンが、定量的HPLCによって決定される、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の純度を有する、項1~43のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
45.前記アゴメラチン含有層は感圧接着剤層である、項1~44のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
46.前記疎水性ポリマーの量が少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、もしくは少なくとも75重量%であるか、または前記疎水性ポリマーの量が98重量%以下、94重量%以下、もしくは90重量%以下であるか、または前記疎水性ポリマーの量が前記アゴメラチン含有層の75~98重量%、80~94重量%、もしくは85~90重量%である、項1~45のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
47.前記経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量が少なくとも0.5mg、少なくとも1mg、もしくは少なくとも2mgであるか、または前記経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量が15mg以下、10mg以下、もしくは8mg以下、または前記経皮治療システムに含まれるアゴメラチンの量が、0.5~15mg、もしくは1~10mg、もしくは2~8mgである、項1~46のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
48.前記アゴメラチン含有層が、架橋剤、さらなる可溶化剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、軟化剤、スキンケア用物質、透過促進剤、pH調節剤、及び防腐剤からなる群から選択されるさらなる賦形剤または添加剤を含む、項1~47のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
49.前記粘着付与剤が、トリグリセリド、ジプロピレングリコール、樹脂、樹脂エステル、テルペン及びその誘導体、エチレン酢酸ビニル接着剤、ジメチルポリシロキサン、及びポリブテンから選択される、項48に記載の経皮治療システム。
50.前記安定剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム、トコフェロール及そのエステル誘導体、例えば、酢酸トコフェロール及びリノール酸トコフェロール、アスコルビン酸及びそのエステル誘導体、特にパルミチン酸アスコルビルなどの脂肪酸のアスコルビルエステル、ブチル化ヒドロキシトルエン、ならびにそれらの任意の組み合わせから選択される、項48に記載の経皮治療システム。
51.前記透過促進剤は、カプリル酸、グリセロール、2,5-ジメチルイソソルビド、ジメチルエチレン尿素、N,N-ジエチル-メタ-トルアミド、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールモノカプリラット、2-メトキシ-4-(プロプ-2-エン-1-イル)フェノール、乳酸及びラウロカプラムから選択される、項48に記載の経皮治療システム。
52.採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される、
2時間目に0.5μg/cm2-hrから15μg/cm2-hr、
4時間目に1μg/cm2-hrから20μg/cm2-hr、
8時間目に2μg/cm2-hrから25μg/cm2-hr、及び
16時間目に1μg/cm2-hrから15μg/cm2-hrのアゴメラチンの皮膚透過速度を提供する、項1~51のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
53.採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される、8時間目に少なくとも0.01mg/cm2、少なくとも0.015mg/cm2、もしくは少なくとも0.02mg/cm2、または0.2mg/cm2以下、0.15mg/cm2以下、もしくは0.1mg/cm2以下、または0.01mg/cm2~0.2mg/cm2、0.015mg/cm2~0.15mg/cm2、もしくは0.02mg/cm2~0.1mg/cm2のアゴメラチンの累積透過量を提供する、項1~52のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
54.8時間後に、採皮されたヒト皮膚を用いてフランツ拡散セルで測定される、少なくとも10%、または少なくとも15%、または少なくとも20%のアゴメラチン利用率を提供する、項1~53のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
55.剥離ライナー、接着剤オーバーレイ、またはその両方をさらに含む、項1~54のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
56.前記バッキング層が、実質的にアゴメラチン不透過性である、項1~55のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
57.前記自己接着性層構造が、追加の皮膚接触層を含まない、項1~56のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
58.前記自己接着性層構造は、前記バッキング層及び前記アゴメラチン含有層からなる、項1~57のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
59.前記自己接着性層構造が、追加の皮膚接触層を含む、項1~56のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
60.治療方法で使用するための項1~59のいずれか1項に記載の経皮治療システム。
61.大うつ病を治療する方法で使用するための項60に記載の経皮治療システム。
62.前記経皮治療システムは、ヒト患者の皮膚に適用され、皮膚上で少なくとも2時間、少なくとも4時間もしくは少なくとも6時間、または24時間以下、18以下、もしくは14時間以下、または2~24時間、4~18時間、もしくは6~14時間維持される、治療方法で使用するための項60または61に記載の経皮治療システム。
63.項1~59のいずれか1項に記載の経皮治療システムをヒト患者の皮膚に適用する、治療方法。
64.項1~59のいずれか1項に記載の経皮治療システムをヒト患者の皮膚に適用する、大うつ病を治療する方法。
65.項1~61のいずれか1項に記載の経皮治療システムは、ヒト患者の皮膚に適用され、皮膚上で少なくとも2時間、少なくとも4時間もしくは少なくとも6時間、または24時間以下、18以下、もしくは14時間以下、または2~24時間、4~18時間、もしくは6~14時間維持される、項63または64に記載の治療方法。
66.以下のステップ:
i) 少なくともアゴメラチン、疎水性ポリマー、ならびに、ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドン-ポリ酢酸ビニルコポリマーからなる群から選択される結晶化抑制剤を溶媒中で組み合わせて、コーティング組成物を得るステップと、
ii) 前記コーティング組成物をバッキング層または剥離ライナーまたは任意の中間層にコーティングするステップと、
iii) コーティングされたコーティング組成物を乾燥させて、アゴメラチン含有層を形成するステップと
を含む、ゴメラチン含有層の製造プロセスであって、
前記疎水性ポリマーは、ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー、シリコーンアクリルハイブリッドポリマー、及びポリシロキサンをベースとする感圧接着剤からなる群から選択される、前記製造プロセス。
67.ステップi)において、前記アゴメラチンは溶解しているか、または分散している、項70に記載のプロセス。
68.前記溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物から選択されるアルコール溶媒を含む、項70または71に記載のプロセス。
69.前記溶媒はエタノールを含むか、またはエタノールからなる、項72に記載のプロセス。
70.前記溶媒は実質的に水を含まない、項66~69のいずれか1項に記載のプロセス。
71.前記溶媒は、1重量%未満、0.5重量%未満、または0.1重量%未満の水を含む、項66~70のいずれか1項に記載のプロセス。
72.乾燥は40~90℃、または50~70℃の温度で行われる、項66~71のいずれか1項に記載のプロセス。
73.前記結晶化抑制剤は、ポリビニルピロリドンであるか、または
前記結晶化抑制剤は、可溶性ポリビニルピロリドンから選択される、項66~72のいずれか1項に記載のプロセス。
74.前記結晶化抑制剤は、
9~15、好ましくは10.2~13.8、
15~20、好ましくは15.3~18.4、
20~27、好ましくは22.5~27.0、
27~35、好ましくは27.0~32.4、及び
75~110、好ましくは81.0~97.2の範囲からなる群から選択される範囲内のK値を有するポリビニルピロリドンから選択される、項66~73のいずれか1項に記載のプロセス。
75.ステップi)は、少なくともアゴメラチン、疎水性ポリマー、ポリビニルピロリドン、ならびに、ジプロピレングリコール、ラウリルラクテート、プロピレングリコールモノエステルと脂肪酸のジエステルとの混合物、レブリン酸、ポリエチレングリコールエーテル、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルからなる群から選択される可溶化剤を溶媒中で組み合わせてコーティング組成物を得ることからなる、項66~74のいずれか1項に記載のプロセス。
76.前記疎水性ポリマーが、感圧接着剤ポリマーから選択される、項66~75のいずれか1項に記載のプロセス。
77.前記疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤である、項66~76のいずれか1項に記載のプロセス。
78.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である、項77に記載のプロセス。
79.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、65:35、60:40、または55:45の樹脂対ポリマー比を有する、シラノール末端ポリジメチルシロキサンと重縮合した可溶性シリケート樹脂である、項78に記載のプロセス。
80.前記可溶性シリケート樹脂に結合していない前記ポリジメチルシロキサンのシラノール基は、遊離シラノール基であるか、またはトリメチルシリル化されている、項79に記載のプロセス。
81.ポリシロキサンをベースとする前記感圧接着剤は、好ましくは50rpmでスピンドル番号5を備えたBrookfieldRVT粘度計を使用して測定した場合、25°C及びn-ヘプタン中の60%固形分での溶液粘度が約150mPa sを超える、もしくは約200mPa sから約700mPa sであることによって特徴付けられ、または30°Cで0.01rad/sで約1x109ポアズ未満もしくは約1x105から約9x108ポアズの複素粘度によって特徴付けられる、項77~80のいずれか1項に記載のプロセス。
82.前記疎水性ポリマーはポリイソブチレンである、項66~76のいずれか1項に記載のプロセス。
83.前記疎水性ポリマーは、粘度平均分子量Mvが1,110,000、重量平均分子量Mwが1,550,000、平均分子量分布Mw/Mnが2.9の高分子量ポリイソブチレン、または粘度平均分子量Mvが40,000、重量平均分子量Mwが53,000、平均分子量分布Mw/Mnが3.2の低分子量ポリイソブチレン、またはそれらの混合物である、項82に記載のプロセス。
84.前記疎水性ポリマーは、低分子量ポリイソブチレンと高分子量ポリイソブチレンの混合物であり、前記低分子量ポリイソブチレンと前記高分子量ポリイソブチレンの比率は、100:1から1:100、または60:40から20:80、または50:50から30:70である、項83に記載のプロセス。
85.前記疎水性ポリマーは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーである、項66~76のいずれか1項に記載のプロセス。
86.前記疎水性ポリマーはシリコーンアクリルハイブリッドポリマーである、項66~76のいずれか1項に記載のプロセス。
87.ステップi)において、前記アゴメラチンは、溶解形態、分散形態、結晶形態、特にその多形形態の1つ、アモルファス形態、水和物、溶媒和物、前記形態のいずれかのハイブリッドタイプ形態、またはそれらの混合形態で組み合わされる、項66~86のいずれか1項に記載のプロセス。
88.項66~87のいずれか1項に記載の製造プロセスによって得ることができる、アゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システム。
89.治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) 2~6重量%のアゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;
iii) 2~7重量%のポリビニルピロリドン;及び
iv) レブリン酸及びポリエチレングリコールエーテルから選択される2~7重量%の透過促進剤を含むアゴメラチン含有層と
を含み、
前記疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量は、35~70g/m2の範囲である、前記経皮治療システム。
90.治療有効量のアゴメラチンを含有する自己接着性層構造を含むアゴメラチンの経皮投与のための経皮治療システムであって、前記自己接着性層構造が、
A) バッキング層と、
B) i) 2~6重量%のアゴメラチン;
ii) 疎水性ポリマー;及び
iii) 7~15重量%のポリビニルピロリドンを含むアゴメラチン含有層と
を含み、
前記疎水性ポリマーは、ポリシロキサンをベースとする感圧接着剤から選択され、
前記アゴメラチン含有層の面積重量は、35~70g/m2の範囲である、前記経皮治療システム。