JP2023158726A - ボールねじ用ナットの製造方法及びボールねじ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、ボールねじ用ナットの製造方法及びボールねじに関する。
ボールねじは、内部に形成される無限循環路内を複数のボールが循環することで、回転運動を直線運動に変換する装置であり、工作機械、射出成形機、半導体製造装置などに広く用いられている。ボールねじのボールの循環方式としては、例えば、こま式、エンドキャップ方式、エンドデフレクタ方式、チューブ方式などが挙げられる。
こま式のボールねじでは、こまに隣接するリード間を連結するボール戻し通路が形成されており、ボールがねじ軸の外径を乗り越えながらボール戻し通路を通り循環する。また、ボールねじのナットは、一般的に、金属や樹脂などを用いて製作され、ボール戻し通路を有するこまを、ナットに組み付けて接着剤などで固定してボールを循環させており、構造上、ナットの外径をコンパクトにできる。
一方、こま式のボールねじでは、こまのボール戻し通路とナットのボール溝との境界部の段差が大きくなる場合があり、該段差をボールが通過するときに振動が発生したり、トルクが局所的に上昇したりするなどの問題が懸念されている。また、こまが接着材などで固定されるため、段差の調整や、こまの再組み付けなども困難である課題があった。
そこで、この組付け誤差を解消するために様々な形状が考えられてきた。
特許文献1に記載のこま式ボールねじでは、溝に嵌合する治具を用いて循環こまの位置決めを行い、位置決め状態にて接着剤を塗布することで、循環こまの固定を行っている。しかしここでは、治具を当てた状態で循環こまを固定する際の作業性の悪さ、また循環こまを挿入するナットの穴がザグリ形状となり加工コストがアップになるなどの問題点があった。
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ボールがナットとこまとの間の境界部を通過する際に発生する振動や騒音を抑制することができる、ボールねじ用ナットの製造方法及びボールねじを提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
(1) 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通穴に循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
前記貫通穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
を備え、
前記循環こまは、前記挿入治具との当接面の嵌合部を、前記挿入治具の前記循環こまとの当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記挿入治具は、前記基準治具との当接面の嵌合部を、前記基準治具の前記挿入治具との当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記基準治具は、当接部が前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定することを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
(2) 前記ナットの貫通穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内に前記接着剤が充填されていることを特徴とする(1)に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(3) 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通長穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通長穴に嵌合し圧入される循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通長穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記貫通長穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
を備えることを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
(4) 前記ナットの貫通長穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内には、前記接着剤が充填されていることを特徴とする(3)に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(5) 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(1) 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通穴に循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
前記貫通穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
を備え、
前記循環こまは、前記挿入治具との当接面の嵌合部を、前記挿入治具の前記循環こまとの当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記挿入治具は、前記基準治具との当接面の嵌合部を、前記基準治具の前記挿入治具との当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記基準治具は、当接部が前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定することを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
(2) 前記ナットの貫通穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内に前記接着剤が充填されていることを特徴とする(1)に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(3) 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通長穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通長穴に嵌合し圧入される循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通長穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記貫通長穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
を備えることを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。
(4) 前記ナットの貫通長穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内には、前記接着剤が充填されていることを特徴とする(3)に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(5) 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のボールねじ用ナットの製造方法。
(6) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは径方向に貫通する貫通穴を有し、
前記循環こまは挿入治具と基準治具によって前記貫通穴内に圧入され、前記貫通穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通穴内の接着剤により前記ナットに固着され、
前記循環こまは、前記貫通穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、前記挿入治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記挿入治具は、前記循環こまと当接する面に前記循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部を備えるとともに、前記基準治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記基準治具は、前記挿入治具と当接する面に前記挿入治具の嵌合部と嵌合する嵌合受部を備え、
前記基準治具は、前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定する当接部を備えることを特徴とするボールねじ。
(7) 前記ナットの貫通穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする前記循環こまは前記挿入治具と当接する面に嵌合部を備え、前記挿入治具は前記循環こまと当接する面に前記循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部を備えていることを特徴とする(6)に記載のボールねじ。
(8) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは、径方向に貫通する貫通長穴を有し、
前記循環こまは、前記貫通長穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、挿入治具と基準治具によって前記貫通長穴に圧入され、前記貫通長穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通長穴内の接着剤により前記ナットに固着されることを特徴とするボールねじ。
(9) 前記ナットの貫通長穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする(8)に記載のボールねじ。
(10) 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする(6)~(9)のいずれかに記載のボールねじ。
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは径方向に貫通する貫通穴を有し、
前記循環こまは挿入治具と基準治具によって前記貫通穴内に圧入され、前記貫通穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通穴内の接着剤により前記ナットに固着され、
前記循環こまは、前記貫通穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、前記挿入治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記挿入治具は、前記循環こまと当接する面に前記循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部を備えるとともに、前記基準治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記基準治具は、前記挿入治具と当接する面に前記挿入治具の嵌合部と嵌合する嵌合受部を備え、
前記基準治具は、前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定する当接部を備えることを特徴とするボールねじ。
(7) 前記ナットの貫通穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする前記循環こまは前記挿入治具と当接する面に嵌合部を備え、前記挿入治具は前記循環こまと当接する面に前記循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部を備えていることを特徴とする(6)に記載のボールねじ。
(8) 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは、径方向に貫通する貫通長穴を有し、
前記循環こまは、前記貫通長穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、挿入治具と基準治具によって前記貫通長穴に圧入され、前記貫通長穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通長穴内の接着剤により前記ナットに固着されることを特徴とするボールねじ。
(9) 前記ナットの貫通長穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする(8)に記載のボールねじ。
(10) 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする(6)~(9)のいずれかに記載のボールねじ。
本発明によれば、ボールがナットとこまとの間の境界部を通過する際に発生する振動や騒音を抑制することができる、ボールねじ用ナットの製造方法及びボールねじを提供し得る。
以下、本発明によるボールねじ用ナットの製造方法およびボールねじの一実施形態について説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施形態に過ぎず何等限定解釈されるものではなく本発明の範囲内で適宜設計変更可能である。
(第1実施形態)
ボールねじ1は、周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸(図示せず)と、前記ねじ軸に所定の隙間をもって外嵌し、内周面27に螺旋状のねじ溝21が形成された略円筒状のナット20(図1(a))と、対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボール(図示せず)とからなる。
また、ナット20の一端部にはフランジ25が設けられ、フランジ25と結合された案内対象をナット20の直線運動とともに案内する。
ボールねじ1は、周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸(図示せず)と、前記ねじ軸に所定の隙間をもって外嵌し、内周面27に螺旋状のねじ溝21が形成された略円筒状のナット20(図1(a))と、対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボール(図示せず)とからなる。
また、ナット20の一端部にはフランジ25が設けられ、フランジ25と結合された案内対象をナット20の直線運動とともに案内する。
さらに、ナット20は、外周面26から内周面27へと径方向に貫通する正円形の貫通穴23を複数備え、その複数の貫通穴23には、それぞれ循環こま40が圧入されている。
循環こま40は、図4に示すように、前記ナット20の正円形の貫通穴23の穴周面に接する径を有する外周面43を備えた円盤状に形成され、その内面41(ナット20の貫通穴23に圧入された際にナット20の内径側となる面)に略S字型のボール戻し通路44が形成されている。
循環こま40は、その外面42(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)に嵌合部45を備える。
嵌合部45は、前記外面42から一体かつ、前記外周面43よりも小径に延出して形成される。
さらに、嵌合部45の周面45dには切り欠いて並行に配される一対の平面部45a,45bを備えるとともに、小径部の端面45cから前記外面42の方向に刻設された溝45eを備える。また、前記一対の平面部45a,45bの位置は、後述する挿入治具50の嵌合受部53と嵌合して圧入された場合に、内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるように設定されている。
循環こま40は、図4に示すように、前記ナット20の正円形の貫通穴23の穴周面に接する径を有する外周面43を備えた円盤状に形成され、その内面41(ナット20の貫通穴23に圧入された際にナット20の内径側となる面)に略S字型のボール戻し通路44が形成されている。
循環こま40は、その外面42(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)に嵌合部45を備える。
嵌合部45は、前記外面42から一体かつ、前記外周面43よりも小径に延出して形成される。
さらに、嵌合部45の周面45dには切り欠いて並行に配される一対の平面部45a,45bを備えるとともに、小径部の端面45cから前記外面42の方向に刻設された溝45eを備える。また、前記一対の平面部45a,45bの位置は、後述する挿入治具50の嵌合受部53と嵌合して圧入された場合に、内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるように設定されている。
循環こま40は前記ナット20の貫通穴23に圧入され、循環こま40のボール戻し通路44がナット20の内径面と連続して、ナット20の内径面のネジ溝(転動路)の一端と一巻き手前のネジ溝(転動路)の他端とを連結する。
このように構成されることで、ねじ軸の外周面の転動路(図示せず)とナット20の内周面の転動路(図示せず)との間で転動するボールは、循環こま40のボール戻し通路44によりすくい上げられ、一巻き手前(一リード手前)の転動路に戻ることで無限に循環可能となり、ナット20とねじ軸とが軸方向に相対的に直線運動することが可能となる。
すなわち、ナット20とねじ軸が滑らかに直線運動をするためには、ナットを製造する際に、循環こま40のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続するように、循環こま40を前記ナット20の貫通穴23の所定の深さかつ所定の向きに位置決めすることが要求される。
このように構成されることで、ねじ軸の外周面の転動路(図示せず)とナット20の内周面の転動路(図示せず)との間で転動するボールは、循環こま40のボール戻し通路44によりすくい上げられ、一巻き手前(一リード手前)の転動路に戻ることで無限に循環可能となり、ナット20とねじ軸とが軸方向に相対的に直線運動することが可能となる。
すなわち、ナット20とねじ軸が滑らかに直線運動をするためには、ナットを製造する際に、循環こま40のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続するように、循環こま40を前記ナット20の貫通穴23の所定の深さかつ所定の向きに位置決めすることが要求される。
挿入治具50は、前記ナット20の貫通穴23の穴径よりも僅かに小径の円柱状に形成されている(図3)。
その内面51(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)には径方向(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の径方向となる方向)に嵌合受部53が凹設されている。また、嵌合受部53の刻設深さは、前記前記循環こま40の嵌合部45の延出高さよりも深くなるように設定される。
嵌合受部53は、さらに、互いに並行に形成された一対の直線状の内壁53a,53bを備えている。また、内壁53aと内壁53bとの間隔は、前記循環こま40の嵌合部45の平面部45aと平面部45bとの間隔よりも僅かに大きい寸法となるように設定される。
挿入治具50の外面51(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)には嵌合部54を備える。
嵌合部54は、外面51から一体かつ板状に延出して形成される。また、板状の嵌合部54の板面の向きは、後述する基準治具60の溝形受部64と嵌合した場合に、循環こま40の内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるように設定されている。
その内面51(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)には径方向(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の径方向となる方向)に嵌合受部53が凹設されている。また、嵌合受部53の刻設深さは、前記前記循環こま40の嵌合部45の延出高さよりも深くなるように設定される。
嵌合受部53は、さらに、互いに並行に形成された一対の直線状の内壁53a,53bを備えている。また、内壁53aと内壁53bとの間隔は、前記循環こま40の嵌合部45の平面部45aと平面部45bとの間隔よりも僅かに大きい寸法となるように設定される。
挿入治具50の外面51(ナット20の貫通穴23に挿入された際にナット20の外径側となる面)には嵌合部54を備える。
嵌合部54は、外面51から一体かつ板状に延出して形成される。また、板状の嵌合部54の板面の向きは、後述する基準治具60の溝形受部64と嵌合した場合に、循環こま40の内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるように設定されている。
基準治具60は、図2に示すように、略直方体に形成され、その下面61には、前記ナット20の外周面26の曲率と同様の曲率を有した凹部62が刻設されている。
さらに基準治具60の凹部62の最深部62aに嵌合受部65が刻設されている。
嵌合受部65は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設される円形受部63と、その円形受部63と上面65とを貫通して形成される溝形受部64とからなる。
円形受部63は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設され、その径は前記挿入治具50の径よりも僅かに大径な周壁面63aとなるように設定される。
さらに基準治具60の凹部62の最深部62aに嵌合受部65が刻設されている。
嵌合受部65は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設される円形受部63と、その円形受部63と上面65とを貫通して形成される溝形受部64とからなる。
円形受部63は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設され、その径は前記挿入治具50の径よりも僅かに大径な周壁面63aとなるように設定される。
また、溝形受部64の大きさは、前記挿入治具50の板状の嵌合部54よりも僅かに大きな溝穴となるように設定される。
また、循環こま40と挿入治具50の長さ(ナット20の径方向となる長さ)は、循環こま40の嵌合部45と挿入治具50の嵌合受部53とが嵌め合わされ、挿入治具50の嵌合部54と基準治具60の嵌合受部65とが嵌め合わされた状態で、ナット20の貫通穴23の所定の深さ(循環こま40の内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さ)となるように設定されている。
また、循環こま40と挿入治具50の長さ(ナット20の径方向となる長さ)は、循環こま40の嵌合部45と挿入治具50の嵌合受部53とが嵌め合わされ、挿入治具50の嵌合部54と基準治具60の嵌合受部65とが嵌め合わされた状態で、ナット20の貫通穴23の所定の深さ(循環こま40の内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さ)となるように設定されている。
次に、ナット20の貫通穴23への循環こま40を固着する工程について説明する。
本実施形態では、挿入治具50と基準治具60が使用され、循環こま40が挿入治具50に押し込まれるとともに、基準治具60によって、循環こま40が挿入される深さを決定することで、循環こま40がナット20の貫通穴23の所定の深さに圧入される(図1)。
具体的には、前記ナット20を準備する第1工程と、循環こま40を貫通穴23に挿入する第2工程と、挿入治具50を循環こま40が挿入された貫通穴23に挿入する第3工程と、基準治具60を循環こま40と挿入治具50が挿入された貫通穴23に押し当てる第4工程と、前記基準治具60と挿入治具50を前記ナット20から取り外す第5工程と、前記貫通穴23に接着剤Gを流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する第6工程とからなる。
本実施形態では、挿入治具50と基準治具60が使用され、循環こま40が挿入治具50に押し込まれるとともに、基準治具60によって、循環こま40が挿入される深さを決定することで、循環こま40がナット20の貫通穴23の所定の深さに圧入される(図1)。
具体的には、前記ナット20を準備する第1工程と、循環こま40を貫通穴23に挿入する第2工程と、挿入治具50を循環こま40が挿入された貫通穴23に挿入する第3工程と、基準治具60を循環こま40と挿入治具50が挿入された貫通穴23に押し当てる第4工程と、前記基準治具60と挿入治具50を前記ナット20から取り外す第5工程と、前記貫通穴23に接着剤Gを流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する第6工程とからなる。
前記第1工程において準備されるナット20は貫通穴23に循環こま40が固着されておらず未完成の状態である(図1(a)参照)。
次に第2工程において、循環こま40をその内面41がナット20の内周面27方向となるように前記貫通穴23に挿入する(図1(a))。このとき、循環こま40の外径は前記ナット20の正円形の貫通穴23の穴周面に接する径に設定されているため、貫通穴23を通過して落下することはなく、貫通穴23に押し込まれてはいるが所定の位置には到達しない。
次に第2工程において、循環こま40をその内面41がナット20の内周面27方向となるように前記貫通穴23に挿入する(図1(a))。このとき、循環こま40の外径は前記ナット20の正円形の貫通穴23の穴周面に接する径に設定されているため、貫通穴23を通過して落下することはなく、貫通穴23に押し込まれてはいるが所定の位置には到達しない。
次に第3工程において、挿入治具50をその内面51がナット20の内周面27方向となるように前記貫通穴23に挿入する(図1(a))。このとき、挿入治具50の内面51に備える嵌合受部53の内壁53a,53bが、循環こま40の外面42に備える嵌合部45の一対の平面部45a,45bと嵌め合うようにセットする。このように嵌め合わされることによって、循環こま40は挿入治具50と周方向(ナット20の正円形の貫通穴23の周方向)に回転不能に一体となる。
このとき、循環こま23は未だ所定の位置にセットされていないため、循環こま40と嵌め合わされた挿入治具50の外面52は、循環こま23が所定の位置にセットされたときと較べて、ナット20の外周面26から多く突出した状態となっている。
このとき、循環こま23は未だ所定の位置にセットされていないため、循環こま40と嵌め合わされた挿入治具50の外面52は、循環こま23が所定の位置にセットされたときと較べて、ナット20の外周面26から多く突出した状態となっている。
次に第4工程において、基準治具60をナット20の外周面43に乗せるようにして重ね合わせ、基準治具60の下面61の嵌合受部65が前記挿入治具50と嵌め合うようにセットする。
このとき、基準治具60の円形受部63には、前記挿入治具50の外面52側の周面が嵌め合い、基準治具60の溝形受部64には、前記挿入治具50の外面52から板状に延出した嵌合部54が嵌め合う。このように嵌め合わされることによって、挿入治具50は基準治具60と周方向(ナット20の正円形の貫通穴23の周方向)に回転不能に一体となる。
また、基準治具60と挿入治具50との嵌め合い、及び、挿入治具50と循環こま40との嵌め合いによって、循環こま40は周方向(ナット20の正円形の貫通穴23の周方向)に回転不能に保持される。
このとき、基準治具60の円形受部63には、前記挿入治具50の外面52側の周面が嵌め合い、基準治具60の溝形受部64には、前記挿入治具50の外面52から板状に延出した嵌合部54が嵌め合う。このように嵌め合わされることによって、挿入治具50は基準治具60と周方向(ナット20の正円形の貫通穴23の周方向)に回転不能に一体となる。
また、基準治具60と挿入治具50との嵌め合い、及び、挿入治具50と循環こま40との嵌め合いによって、循環こま40は周方向(ナット20の正円形の貫通穴23の周方向)に回転不能に保持される。
さらに、第4工程において、基準治具60をリール2の貫通穴23に押し当てるように、リール2の内周面27方向に圧力を加えていき、基準治具60の凹曲面62bがリール2の外周面26に当接するまで押し込む(図1(b)参照)。
このとき、凹曲面62bが前記循環こま40を圧入する位置を決定する当接部として機能し、リール20の貫通穴23に押し当てられ、基準治具60の押し込みに倣って、循環こま40が挿入治具50に押されることにより、循環こま40が貫通穴23の所定位置まで圧入される。
これにより、循環こま40のボール戻し通路44が、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さに圧入され、ボール戻し通路44の向きは、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセットされている。
このとき、凹曲面62bが前記循環こま40を圧入する位置を決定する当接部として機能し、リール20の貫通穴23に押し当てられ、基準治具60の押し込みに倣って、循環こま40が挿入治具50に押されることにより、循環こま40が貫通穴23の所定位置まで圧入される。
これにより、循環こま40のボール戻し通路44が、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さに圧入され、ボール戻し通路44の向きは、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセットされている。
第5工程において、前記基準治具60をナット20から取り外すとともに、前記挿入治具50をナット20の貫通穴23から抜き出す。
さらに第6工程において、接着剤Gを貫通穴23にナット20の外周面43と略同一面となるまで流し込んで硬化させる。これにより、前記循環こま40が貫通穴23の所定の位置に固着される(図1(c))。
さらに第6工程において、接着剤Gを貫通穴23にナット20の外周面43と略同一面となるまで流し込んで硬化させる。これにより、前記循環こま40が貫通穴23の所定の位置に固着される(図1(c))。
このとき、循環こま40の外周面43がナット20の貫通穴23に圧入されているため、外周面43と貫通穴23の間に隙間がなく、流し込まれた接着剤Gがナット20の内周面27に滲み出すことがなく、従って、ナット20のらせん状のネジ溝21や循環こま40のボール戻し通路44が接着剤Gで損なわれることもない。
なお、本実施形態では、接着剤Gとして、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などを想定しており、これにより貫通穴23に流し込んだ接着剤が任意のタイミングで硬化可能となり、作業の効率化を図ることができる。
なお、本実施形態では、接着剤Gとして、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などを想定しており、これにより貫通穴23に流し込んだ接着剤が任意のタイミングで硬化可能となり、作業の効率化を図ることができる。
本実施形態では、循環こま40の嵌合部45が挿入治具50の嵌合受部53と嵌め合い、挿入治具50の嵌合部54が基準治具60の嵌合受部(円形受部63及び溝形受部64)と嵌め合う構成を説明したが、嵌合部と嵌合受部の配置はこれに限定されるものではなく、循環こま40を周方向に回転不能に保持し、貫通穴20の所定の位置に圧入可能であれば、他の配置となっていても良い。例えば、挿入治具50側に循環こま40と嵌め合う嵌合部が備えられていても良いし、基準治具60側に挿入治具50と嵌め合う嵌合部が備えられている場合であっても本発明の範囲である。
(変形例)
本実施形態の変形例として、ナット20の貫通穴23には、その穴周面23a(貫通穴23の筒状壁面)に凹溝28を備えていても良い。凹溝28は、例えば図5に示すように、穴周面23aから穴径方向に拡開する一対の凹溝28a,28bが対向して備えられていても良い。
このように対向する一対の凹溝28a,28bが備えられることによって、貫通穴23に流し込んだ接着剤Gが凹溝28a,28bにも流れ込む。接着剤Gが硬化することで凹部凹溝28a,28bに硬化した接着剤Gの鍔部が形成され、接着剤Gが貫通穴23から動いて外れることを防止する効果が強化される。
また、凹溝28a,28bの深さについては、それぞれの凹溝深さが貫通穴23の径に対して2頭配以上、すなわち貫通穴23の穴径の半分以上に設定されていることが好ましい。
本実施形態の変形例として、ナット20の貫通穴23には、その穴周面23a(貫通穴23の筒状壁面)に凹溝28を備えていても良い。凹溝28は、例えば図5に示すように、穴周面23aから穴径方向に拡開する一対の凹溝28a,28bが対向して備えられていても良い。
このように対向する一対の凹溝28a,28bが備えられることによって、貫通穴23に流し込んだ接着剤Gが凹溝28a,28bにも流れ込む。接着剤Gが硬化することで凹部凹溝28a,28bに硬化した接着剤Gの鍔部が形成され、接着剤Gが貫通穴23から動いて外れることを防止する効果が強化される。
また、凹溝28a,28bの深さについては、それぞれの凹溝深さが貫通穴23の径に対して2頭配以上、すなわち貫通穴23の穴径の半分以上に設定されていることが好ましい。
(第2実施形態)
本実施形態では、ナット20の貫通穴23に挿入治具50と基準治具60を使用して循環こま40を圧入する大略構成は同一であるため、ここでは同一の構成についての詳細な説明を省略し、相違する構成を重点的に説明する。
第1実施形態では、ナット20は正円形の貫通穴(図1参照)が形成されていたが、本実施形態のナット20は貫通長孔23(図6参照)が形成されている。
本実施形態では、ナット20の貫通穴23に挿入治具50と基準治具60を使用して循環こま40を圧入する大略構成は同一であるため、ここでは同一の構成についての詳細な説明を省略し、相違する構成を重点的に説明する。
第1実施形態では、ナット20は正円形の貫通穴(図1参照)が形成されていたが、本実施形態のナット20は貫通長孔23(図6参照)が形成されている。
循環こま40は、図9に示すように、前記ナット20の貫通長穴23の穴周面に接する形状を有する外周面43を備えた小判型に形成され、その内面41(ナット20の貫通長穴23に圧入された際にナット20の内径側となる面)に略S字型のボール戻し通路44が形成されている。なお、ボール戻し通路44が形成される向きについては、循環こま40をナット20の貫通長穴23の所定位置にセットした際に、内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となるように設定されている。
循環こま40の外面42は、第1実施形態では嵌合部が形成されていたが(図1参照)、本実施形態では嵌合部は形成されず、外面42側の外周面43にテーパー部43aが形成されている。テーパー部43aは外面42が僅かに広がった袴形状となっている。
循環こま40の外面42は、第1実施形態では嵌合部が形成されていたが(図1参照)、本実施形態では嵌合部は形成されず、外面42側の外周面43にテーパー部43aが形成されている。テーパー部43aは外面42が僅かに広がった袴形状となっている。
挿入治具50は、内面51から外面52まで同一径を有する円筒形に形成されている。また、第1実施形態の挿入治具は循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部や基準治具の嵌合受部と嵌合する嵌合部を備えていたが(図1参照)、本実施形態では嵌合部や嵌合受部は備えられていない。
基準治具60は、第1実施形態と同様に略直方体に形成され、その下面61には、前記ナット20の外周面26の曲率と同様の曲率を有した凹部62が刻設されている。
さらに基準治具60の凹部62の最深部62aには円形受部63が刻設されている。
円形受部63は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設され、その径は前記挿入治具50の径よりも僅かに大径な周壁面63aとなるように設定される。また、第1実施形態の基準治具は溝形受部を備えていたが(図2参照)、本実施形態の基準治具60は溝形受部は備えていない。
基準治具60は、第1実施形態と同様に略直方体に形成され、その下面61には、前記ナット20の外周面26の曲率と同様の曲率を有した凹部62が刻設されている。
さらに基準治具60の凹部62の最深部62aには円形受部63が刻設されている。
円形受部63は、凹部62の凹曲面62bから上面65に向けて所定深さで円形の穴として刻設され、その径は前記挿入治具50の径よりも僅かに大径な周壁面63aとなるように設定される。また、第1実施形態の基準治具は溝形受部を備えていたが(図2参照)、本実施形態の基準治具60は溝形受部は備えていない。
また、循環こま40と挿入治具50の長さ(ナット20の径方向となる長さ)は、循環こま40と挿入治具50が貫通長穴23に挿入され、基準治具60で押し込まれた状態で、循環こま40、ナット20の貫通長穴23の所定の深さ(循環こま40の内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さ)となるように設定されている。
次に、ナット20の貫通長穴23への循環こま40を固着する工程について説明する。
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に挿入治具50と基準治具60が使用され、循環こま40が挿入治具50に押し込まれるとともに、基準治具60によって、循環こま40が挿入される深さを決定することで、循環こま40がナット20の貫通長穴23の所定の深さに圧入される(図6)。
具体的には、前記ナット20を準備する第1工程と、循環こま40を貫通長穴23に挿入する第2工程と、挿入治具50を循環こま40が挿入された貫通長穴23に挿入する第3工程と、基準治具60を循環こま40と挿入治具50が挿入された貫通長穴23に押し当てる第4工程と、前記基準治具60と挿入治具50を前記ナット20から取り外す第5工程と、前記貫通長穴23に接着剤Gを流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する第6工程とからなる。
本実施形態においても、前記第1実施形態と同様に挿入治具50と基準治具60が使用され、循環こま40が挿入治具50に押し込まれるとともに、基準治具60によって、循環こま40が挿入される深さを決定することで、循環こま40がナット20の貫通長穴23の所定の深さに圧入される(図6)。
具体的には、前記ナット20を準備する第1工程と、循環こま40を貫通長穴23に挿入する第2工程と、挿入治具50を循環こま40が挿入された貫通長穴23に挿入する第3工程と、基準治具60を循環こま40と挿入治具50が挿入された貫通長穴23に押し当てる第4工程と、前記基準治具60と挿入治具50を前記ナット20から取り外す第5工程と、前記貫通長穴23に接着剤Gを流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する第6工程とからなる。
前記第1工程において準備されるナット20は貫通長穴23に循環こま40が固着されておらず未完成の状態である。
次に第2工程において、循環こま40をその内面41がナット20の内周面27方向となるように前記貫通長穴23に挿入する。
このとき、循環こま40の外周面43が前記ナット20の貫通長穴23の穴周面に接する小判型に形成されているため、循環こま40を貫通長穴23に挿し込むだけで、循環こま40の向きを内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなり、作業時に循環こま40の向きをセットする必要が無い。
また、循環こま40の外周面43は前記ナット20の貫通長穴23の穴周面に接する径に設定され、さらに、テーパー部43a(図9(b)参照)を備えているため、貫通長穴23を通過して落下することはなく、貫通長穴23に押し込まれてはいるが所定の位置には到達しない。
次に第2工程において、循環こま40をその内面41がナット20の内周面27方向となるように前記貫通長穴23に挿入する。
このとき、循環こま40の外周面43が前記ナット20の貫通長穴23の穴周面に接する小判型に形成されているため、循環こま40を貫通長穴23に挿し込むだけで、循環こま40の向きを内面41のボール戻し通路44がナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなり、作業時に循環こま40の向きをセットする必要が無い。
また、循環こま40の外周面43は前記ナット20の貫通長穴23の穴周面に接する径に設定され、さらに、テーパー部43a(図9(b)参照)を備えているため、貫通長穴23を通過して落下することはなく、貫通長穴23に押し込まれてはいるが所定の位置には到達しない。
次に第3工程において、挿入治具50をその内面51がナット20の内周面27方向となるように前記貫通長穴23に挿入する(図6)。なお、本実施形態の循環こま40と挿入治具50は、前記第1実施形態のような嵌め合い構造を備えていないため、本工程の作業としては、挿入治具50をその内面51を循環こま40の外面42に当接するように押し込むのみである。
このとき、循環こま23は未だ所定の位置にセットされていないため、挿入治具50の外面52は、循環こま23が所定の位置にセットされたときと較べて、ナット20の外周面26から多く突出した状態となっている。
このとき、循環こま23は未だ所定の位置にセットされていないため、挿入治具50の外面52は、循環こま23が所定の位置にセットされたときと較べて、ナット20の外周面26から多く突出した状態となっている。
次に第4工程において、基準治具60をナット20の外周面43に乗せるようにして重ね合わせ、基準治具60の下面61の凹曲面62bに形成された円形受部63に挿入治具50の外面52に嵌まるようにセットする。
このとき、凹曲面62bが前記循環こま40を圧入する位置を決定する当接部として機能し、リール20の貫通長穴23に押し当てられ、基準治具60の押し込みに倣って、循環こま40が挿入治具50に押されることにより、循環こま40が貫通長穴23の所定位置まで圧入される。
これにより、循環こま40のボール戻し通路44が、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さに圧入され、ボール戻し通路44の向きは、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセットされている。
このとき、凹曲面62bが前記循環こま40を圧入する位置を決定する当接部として機能し、リール20の貫通長穴23に押し当てられ、基準治具60の押し込みに倣って、循環こま40が挿入治具50に押されることにより、循環こま40が貫通長穴23の所定位置まで圧入される。
これにより、循環こま40のボール戻し通路44が、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する状態となる深さに圧入され、ボール戻し通路44の向きは、ナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセットされている。
第5工程において、前記基準治具60をナット20から取り外すとともに、前記挿入治具50をナット20の貫通長穴23から抜き出す。
さらに第6工程において、接着剤Gを貫通長穴23にナット20の外周面43と略同一面となるまで流し込んで硬化させる。これにより、前記循環こま40が貫通長穴23の所定の位置に固着される。
さらに第6工程において、接着剤Gを貫通長穴23にナット20の外周面43と略同一面となるまで流し込んで硬化させる。これにより、前記循環こま40が貫通長穴23の所定の位置に固着される。
このとき、循環こま40の外周面43がナット20の貫通長穴23に圧入されているため、外周面43と貫通長穴23の間に隙間がなく、流し込まれた接着剤Gがナット20の内周面27に滲み出すことがなく、従って、ナット20のらせん状のネジ溝21や循環こま40のボール戻し通路44が接着剤Gで損なわれることもない。
なお、本実施形態では、接着剤Gとして、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などを想定しており、これにより貫通長穴23に流し込んだ接着剤が任意のタイミングで硬化可能となり、作業の効率化を図ることができる。
なお、本実施形態では、接着剤Gとして、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤などを想定しており、これにより貫通長穴23に流し込んだ接着剤が任意のタイミングで硬化可能となり、作業の効率化を図ることができる。
本実施形態では、ナット20に貫通長穴23を備え、その貫通長穴23の穴周面に接する形状を有する外周面43を備えた小判型の循環こま40を使用することで、循環こま40のボール戻し通路44の向きをナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセットするようにしたが、ナット20の貫通穴の形状はこれに限定されず、環こま40のボール戻し通路44の向きをナット20の内周面27のらせん状のネジ溝21と連続する向きとなるようにセット可能であれば、他の形状であっても良い。
例えばナット20にひし形形状の貫通穴を備え、そのひし形形状の貫通穴に接する外周面形状を備えた循環こま40との組み合わせであっても本発明と同様の作用効果を得ることができる。
例えばナット20にひし形形状の貫通穴を備え、そのひし形形状の貫通穴に接する外周面形状を備えた循環こま40との組み合わせであっても本発明と同様の作用効果を得ることができる。
(変形例)
本実施形態の変形例として、前記第1実施形態の変形例と同様に、ナット20の貫通長穴23には、その穴周面23a(貫通長穴23の筒状壁面)に凹溝28を備えていても良い。凹溝28は、例えば図10に示すように、穴周面23aから穴径方向に拡開する一対の凹溝28a,28bが対向して備えられていても良い。
このように対向する一対の凹溝28a,28bが備えられることによって、貫通長穴23に流し込んだ接着剤Gが凹溝28a,28bにも流れ込み、接着剤Gの硬化によって外れることを防止する効果が強化される。
また、凹溝28a,28bの深さについては、それぞれの凹溝深さが貫通長穴23の径に対して2頭配以上、すなわち貫通長穴23の穴径の半分以上に設定されていることが好ましい。
本実施形態の変形例として、前記第1実施形態の変形例と同様に、ナット20の貫通長穴23には、その穴周面23a(貫通長穴23の筒状壁面)に凹溝28を備えていても良い。凹溝28は、例えば図10に示すように、穴周面23aから穴径方向に拡開する一対の凹溝28a,28bが対向して備えられていても良い。
このように対向する一対の凹溝28a,28bが備えられることによって、貫通長穴23に流し込んだ接着剤Gが凹溝28a,28bにも流れ込み、接着剤Gの硬化によって外れることを防止する効果が強化される。
また、凹溝28a,28bの深さについては、それぞれの凹溝深さが貫通長穴23の径に対して2頭配以上、すなわち貫通長穴23の穴径の半分以上に設定されていることが好ましい。
本発明は、ボールねじ用ナットの製造方法全般及びボールねじ全般に利用可能である。
1 ボールねじ
20 ナット
21 らせん状のネジ溝
23 貫通穴
23a 穴周面
25 フランジ
26 外周面
27 内周面
28a,28b 凹溝
40 循環こま
41 内面
42 外面
43 外周面
43a 第2実施例のテーパー部
44 ボール戻し通路
45 嵌合部
45a,45b 平面部(嵌合部)
45c 小径部の端面
45d 小径部の周面
45e 嵌合溝
50 挿入治具
51 内面
52 外面
53 嵌合受け部
53a,53b 内壁(嵌合受け部)
54 嵌合部
60 基準治具
61 下面
62 凹部
62a 最深部
62b 凹曲面(当接部)
63 円形受部(嵌合受部)
63a 周壁面
64 溝形受部(嵌合受部)
65 嵌合受部
20 ナット
21 らせん状のネジ溝
23 貫通穴
23a 穴周面
25 フランジ
26 外周面
27 内周面
28a,28b 凹溝
40 循環こま
41 内面
42 外面
43 外周面
43a 第2実施例のテーパー部
44 ボール戻し通路
45 嵌合部
45a,45b 平面部(嵌合部)
45c 小径部の端面
45d 小径部の周面
45e 嵌合溝
50 挿入治具
51 内面
52 外面
53 嵌合受け部
53a,53b 内壁(嵌合受け部)
54 嵌合部
60 基準治具
61 下面
62 凹部
62a 最深部
62b 凹曲面(当接部)
63 円形受部(嵌合受部)
63a 周壁面
64 溝形受部(嵌合受部)
65 嵌合受部
Claims (10)
- 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通穴に循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
前記貫通穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
を備え、
前記循環こまは、前記挿入治具との当接面の嵌合部を、前記挿入治具の前記循環こまとの当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記挿入治具は、前記基準治具との当接面の嵌合部を、前記基準治具の前記挿入治具との当接面の嵌合受部に嵌合し、
前記基準治具は、当接部が前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定することを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。 - 前記ナットの貫通穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内に前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項1に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
- 内周面に螺旋状のねじ溝が形成されるナットに、該ねじ溝に接続されるボール戻し通路を有する循環こまを設置するボールねじ用ナットの製造方法であって、
前記ボール戻し通路が設けられる位置に形成される、径方向に貫通する貫通長穴を有する前記ナットを準備する工程と、
前記貫通長穴に嵌合し圧入される循環こまを挿入する工程と、
前記循環こまを押し込む挿入治具を挿入する工程と、
前記挿入治具を押し込む基準治具を前記ナットの貫通長穴に押し当てて前記循環こまを圧入する工程と、
前記貫通長穴に接着剤を流し込んで硬化させて、前記循環こまを前記ナットに固着する工程と、
前記基準治具と挿入治具を前記ナットから取り外す工程と、
を備えることを特徴とするボールねじ用ナットの製造方法。 - 前記ナットの貫通長穴の穴周面には凹溝を備え、凹溝内には、前記接着剤が充填されていることを特徴とする請求項3に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
- 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のボールねじ用ナットの製造方法。
- 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは径方向に貫通する貫通穴を有し、
前記循環こまは挿入治具と基準治具によって前記貫通穴内に圧入され、前記貫通穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通穴内の接着剤により前記ナットに固着され、
前記循環こまは、前記貫通穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、前記挿入治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記挿入治具は、前記循環こまと当接する面に前記循環こまの嵌合部と嵌合する嵌合受部を備えるとともに、前記基準治具と当接する面に嵌合部を備え、
前記基準治具は、前記挿入治具と当接する面に前記挿入治具の嵌合部と嵌合する嵌合受部を備え、
前記基準治具は、前記ナットの外周面に当接して前記循環こまの圧入位置を決定する当接部を備えることを特徴とするボールねじ。 - 前記ナットの貫通穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする請求項6に記載のボールねじ。
- 外周面に螺旋状のねじ溝が形成されたねじ軸と、
前記ねじ軸の周囲に配置され、内周面に螺旋状のねじ溝が形成されたナットと、
対向する両ねじ溝により形成される転走路内に収容される複数のボールと、
前記ナットに取り付けられ、前記転走路を循環させるためのボール戻し通路を有する循環こまと、
を備えるボールねじであって、
前記ナットは、径方向に貫通する貫通長穴を有し、
前記循環こまは、前記貫通長穴の穴周面に嵌合する外周面を備えるとともに、挿入治具と基準治具によって前記貫通長穴に圧入され、前記貫通長穴内に留置された前記循環こまが、前記貫通長穴内の接着剤により前記ナットに固着されることを特徴とするボールねじ。 - 前記ナットの貫通長穴の穴周面には、前記接着剤が充填される凹溝を備えていることを特徴とする請求項8に記載のボールねじ。
- 前記接着剤は、湿気硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、エポキシ系接着剤であることを特徴とする請求項6~請求項9のいずれか1項に記載のボールねじ。
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---|---|---|---|
JP2022068670A JP2023158726A (ja) | 2022-04-19 | 2022-04-19 | ボールねじ用ナットの製造方法及びボールねじ |
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Cited By (1)
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CN118669409A (zh) * | 2024-08-26 | 2024-09-20 | 福建省华盖机械制造有限公司 | 一种长寿命耐腐蚀螺母及其加工工艺 |
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2022
- 2022-04-19 JP JP2022068670A patent/JP2023158726A/ja active Pending
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