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JP2023117893A5 - - Google Patents

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JP2023117893A5
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本発明は、使い捨ておむつ、生理用ナプキンを含む吸収性物品に関するものである。
この種の吸収性物品の多くは尿等の排泄液をより広く拡散させることにより、より多くの排泄液を吸収することが可能となる。例えば、吸収体にスリットを設けることにより、吸収体の最上面に股間部から後方に延びる溝を設けることにより、排泄液を後方に誘導し、吸収体をより広く吸収に使用することは良く行われている(例えば特許文献1、2参照)。
しかし、吸収体にこのような溝を設けると、2回目以降の排泄時、溝による排泄液の誘導が強く促されることにより、後漏れ(排泄液が製品後端から漏れ出すこと)が発生しやすくなる、という問題点があった。
特開2019-217185号公報 特開2017-158690号公報
そこで、本発明の主たる課題は、2回目以降の排泄時における後漏れを抑制することにある。
本発明者は、複数回の排泄による後漏れの原因を研究した結果、次のような現象が一つの要因となっていることを知見した。すなわち、吸収体が一般的な高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である場合、排泄液を吸収したとき吸収体における溝の幅方向の両側に隣接する部分が厚み方向に膨張することにより、溝が深くなり、溝による排泄液の誘導が強く促されるようになるのである。この結果、2回目以降の排泄では、排泄液の後方誘導が過度になり、後漏れを起こしやすくなる。上記課題を解決した以下に述べる吸収性物品は、このような知見に基づくものである。
<第1の態様>
股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分と、
前記股間部及び前記後側部分にわたる吸収体と、
前記吸収体の表側に設けられた液透過性のトップシートと、
前記吸収体の最上面に設けられた、前記股間部及び前記後側部分にわたり前後方向延びる溝とを有し、
前記吸収体における前記溝を有する領域は、前記吸収体における前記溝の幅方向の両側に隣接する部分よりも目付けが低く、
前記吸収体は、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である、
使い捨ておむつにおいて、
前記トップシートと前記吸収体の最上面との間に、吸収シートが設けられ、
前記吸収シートは、液透過性を有する上シート及び下シートと、前記上シート及び前記下シートの間に高吸収性ポリマー粒子が収容された収容部と、この収容部の周りを囲むように配置された接合部とを有し、
少なくとも1つの前記収容部は、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝と重なっており、
未吸収の展開状態で、前記溝を深さ方向に上部、中間部及び底部に三等分したとき、前記吸収シートは前記溝の上部以上に位置している、
ことを特徴とする吸収性物品。
(作用効果)
本吸収性物品は、トップシートと吸収体の最上面(吸収体が一層の場合にはその吸収体の上面、吸収体が二層の場合には上層吸収体の上面)との間に吸収シートを備えており、未吸収の展開状態で、溝を深さ方向に上部、中間部及び底部に三等分したとき、吸収シートは溝の上部以上に位置している。したがって、1回目の排泄時には、排泄液の一部は吸収シートを透過して吸収シートと溝との間の空間に流れ込み、この空間を介して後方に誘導される。また、吸収シートは、収容部内の高吸収性ポリマー粒子が排泄液により膨潤(排泄液を吸収保持するとともに膨張すること)して収容部内に充満し、収容部が膨張して厚みが増加する。この際、収容部の幅が溝よりも狭く、その大部分が溝と重なっているので、膨張した収容部の一部又は全部が膨張前よりも深く溝内に入り込む。この結果、溝の幅方向両側に位置する部分が厚み方向に膨張して溝の深さが増加したとしても、膨張した収容部が溝の横断面積を減少させるため、そうでない場合と比較して、2回目以降の排泄時における溝の横断面積の増加、つまり排泄液の誘導促進が抑制される(第1の作用)。また、膨潤した高吸収性ポリマー粒子が充満した収容部は厚み方向の液透過性が低下するため、2回目以降の排泄時における溝内への排泄液の導入が抑制される。よって、この点でも溝による排泄液の誘導促進が抑制される(第2の作用)。したがって、これらの結果として、2回目以降の排泄による後漏れを抑制することができるようになる。
<第2の態様>
前記吸収シートは、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝の上に位置している前記収容部を、前後方向に間隔を空けて複数有している、
第1の態様の吸収性物品。
(作用効果)
溝内に入り込むように膨張する収容部が前後方向に間隔を空けて複数列設けられていると、2回目以降の排泄時でも、溝上で前後方向に隣接する収容部の間の部分から溝内へ排泄液が導入されるため、溝を通じた吸収作用や排泄液の誘導作用も確実に維持されるため好ましい。
<第3の態様>
前記吸収シートは、前後方向に間隔を空けて連なる前記収容部の列を、幅方向に間隔を空けて3列以上有しており、
前記列のうちの幅方向の中間に位置する少なくとも1列に属する複数の収容部が、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝と重なっており、それ以外の収容部は溝と重なっていない、
第2の態様の吸収性物品。
(作用効果)
このように、溝と重ならない(つまり溝内に入り込まない)収容部を有していると、この収容部の膨張によりトップシート表面に隆起部が形成され、この隆起部がトップシート表面における排泄液の後方移動を阻むことにより拡散を促すため、2回目以降の排泄時における排泄液の後方移動が抑制される。
<第4の態様>
前記収容部の形状及び容積がすべて同一であり、
前後方向の最後部に位置する前記収容部に収容された前記高吸収性ポリマー粒子の量が、前後方向の最前部に位置する前記収容部に収容された前記高吸収性ポリマー粒子の量よりも多く、
前記最後部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みが、前記最前部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みよりも厚い、
第2又は3の態様の吸収性物品。
(作用効果)
このように収容部の最大膨張時の厚みに変化を付けると、より効果的に前述の第1及び第2の作用が発揮される。
<第5の態様>
前記上シート及び前記下シートの少なくとも一方における前記収容部の部位に、外側に窪む凹部がエンボス加工により形成されており、
最後部に位置する収容部の凹部の深さが、最前部に位置する収容部の凹部の深さよりも深く、
前記最後部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みが、前記最前部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みよりも厚い、
第2又は3の態様の吸収性物品。
(作用効果)
本態様のように収容部の最大膨張時の厚みに変化を付けると、より効果的に前述の第1及び第2の作用が発揮される。
<第6の態様>
前記溝の幅は15~40mmであり、
前記収容部の幅は、前記溝の幅の0.8~0.95倍であり、
前記収容部の前後の方向の長さは、前記収容部の幅の1.5~3.5倍である、
第1~5のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
溝の幅や収容部の寸法は適宜定めることができるが、通常の場合、この範囲内であることが好ましい。
<第7の態様>
前記収容部は後側に向かうにつれて徐々に幅が広くなる形状を有している、
第1~6のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
収容部の形状は適宜定めることができるが、本態様のような形状を有していると、膨張した収容部に対して前方から衝突する排泄液は幅方向両側に向きを変えつつ後方に移動することになる。よって、溝内に位置する収容部においては溝内において後方に移動する排泄液を幅方向両側に拡散させることができ、また、溝外に位置する収容部においてはトップシート表面上を後方に移動する排泄液を幅方向両側に拡散させることができるため、2回目以降の排泄時における排泄液の後方移動、つまり後漏れを抑制することができる。
<第8の態様>
前記吸収体は、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である下層吸収体と、その表側に設けられた、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である上層吸収体とからなり、
前記股間部を含む前後方向の中間領域に、上層吸収体のみ又は上層吸収体及び下層吸収体を厚み方向に貫通する所定幅のスリットが前後方向に延びており、
前記上層吸収体は、短繊維及び高吸収性ポリマー粒子の総目付けが200~700g/m、かつ短繊維に対する高吸収性ポリマー粒子の重量比率が50~200%である、
第1~7のいずれか1つの態様の吸収性物品。
(作用効果)
吸収体は、パルプ繊維などの短繊維と高吸収性ポリマー粒子とを混合したものが現在でも広く採用されている。このような吸収体を用いて複数回の吸収を行う場合、本態様のように吸収体を二層構造とし、上層吸収体における高吸収性ポリマー粒子の重量比率を高くすることが好ましい。しかし、この場合、排泄液を吸収したときの溝の深さの増加量が大きくなるため、溝による排泄液の誘導が特に強く促されるようになる。よって、前述の吸収シートの採用は、このような場合に特に技術的意義が大きいものである。
以上のとおり本発明によれば、2回目以降の排泄時における後漏れが抑制されるようになる、等の利点がもたらされる。
パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 要部のみを示す平面図である。 図1のY-Y断面図である。 図1のX-X断面図である。 図1のZ-Z断面図である。 吸収シートを示す(a)平面図、(b)断面図である。 吸収体の前後方向に沿う断面図である。 吸収後の要部を拡大して示す断面図である。 図1のZ-Z断面に相当する断面図である。 図1のZ-Z断面に相当する断面図である。 パッドタイプ使い捨ておむつの展開状態の内面側を示す平面図である。 要部のみを示す平面図である。 図11のZ-Z断面図である。 要部のみを示す平面図である。 吸収シートを示す平面図である。 吸収シートを示す(a)平面図、(b)断面図である。 収容部の各種配列例を示す平面図である。 吸収シートを示す平面図である。
以下、添付図面を参照しながら吸収性物品の例について詳説する。なお、用語のうち「股間部C2」とは使用時に身体の股間と対応させる部分を意味し、製品によって、図示形態のように物品の前後方向LDの中央若しくはその近傍から前側の所定部位までの範囲であったり、物品の前後方向LDの中央の所定範囲であったりするものである。物品の前後方向LDの中間あるいは吸収体23の前後方向LDの中間に幅の狭いくびれ部分23nを有する場合は、いずれか一方又は両方のくびれ部分23nの最小幅部位を前後方向LD中央とする所定の前後方向LD範囲を意味する。また、「前側部分F2(腹側部分)」は股間部C2よりも前側の部分を意味し、「後側部分B2(背側部分)」は股間部C2よりも後側の部分を意味する。
厚み方向に隣接する各構成部材は、以下に述べる固定又は接合部分以外も、必要に応じて公知のおむつと同様に固定又は接合される。断面図における点模様部分は、この固定又は接合手段としてのホットメルト接着剤等の接着剤を示している。ホットメルト接着剤は、スロット塗布、連続線状又は点線状のビード塗布、スパイラル状、Z状、波状等のスプレー塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)等、公知の手法により塗布することができる。これに代えて又はこれとともに、弾性部材の固定部分では、ホットメルト接着剤を弾性部材の外周面に塗布し、弾性部材を隣接部材に固定することができる。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、ポリオレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する固定又は接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。厚み方向の液の透過性が要求される部分では、厚み方向に隣接する構成部材は間欠的なパターンで固定又は接合される。例えば、ホットメルト接着剤によりこのような間欠的な固定又は接合を行う場合、スパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を好適に用いることができ、一つのノズルによる塗布幅以上の範囲に塗布する場合には、幅方向に間隔を空けて又は空けずにスパイラル状、Z状、波状等の間欠パターン塗布を行うことができる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
また、以下の説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となった繊維を含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等を含む)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
図1~図4は、吸収性物品の一例としてのパッドタイプ使い捨ておむつ200を示している。このパッドタイプ使い捨ておむつ200は、股間部C2と、その前後両側に延在する前側部分F2及び後側部分B2とを有するものである。各部の寸法は適宜定めることができ、例えば、物品全長(前後方向長さ)Lは350~700mm程度、全幅W1は130~400mm程度(ただし、おむつの吸収面の幅より広い)とすることができ、この場合における股間部C2の前後方向長さは10~150mm程度、前側部分F2の前後方向長さは50~350mm程度、及び後側部分B2の前後方向長さは50~350mm程度とすることができる。また、股間部C2の幅W3は、例えば大人用の場合、150mm以上、特に200~260mm程度とすることができる。
本パッドタイプ使い捨ておむつ200は、液不透過性シート21と、液透過性を有するトップシート22との間に、吸収体23を含む基本構造を有している。
吸収体23の裏側には、液不透過性シート21が吸収体23の周縁より若干はみ出すように設けられている。液不透過性シート21としては、ポリエチレンフィルム等の他、ムレ防止の点から遮水性を損なわずに透湿性を備えたシートも用いることができる。この遮水・透湿性シートは、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを用いることができる。
また、液不透過性シート21の外面は、不織布からなる外装シート27により覆われており、この外装シート27は、所定のはみ出し幅をもって液不透過性シート21の周縁より外側にはみ出している。外装シート27としては各種の不織布を用いることができる。外装シート27は省略することもできる。
吸収体23の表側は、液透過性を有するトップシート22により覆われている。図示形態ではトップシート22の側縁から吸収体23が一部はみ出しているが、吸収体23の側縁がはみ出さないようにトップシート22の幅を広げることもできる。トップシート22としては各種の不織布を用いることができる。トップシート22として好ましい不織布の一つは、熱可塑性合成繊維を熱風接着してなるエアスルー不織布である。
トップシート22の裏面に接するように、図示しない中間シートを介在させることができる。この中間シートは、吸収体23により吸収した尿の逆戻りを防止するために設けられるものであり、保水性が低く、かつ液透過性の高い素材、例えば各種の不織布やメッシュフィルム等を用いるのが望ましい。トップシート22の前端を0%としトップシート22の後端を100%としたとき、中間シートの前端は0~11%の範囲に位置しているのが好ましく、中間シートの後端は92~100%の範囲に位置しているのが好ましい。また、中間シートの幅は吸収体23の全幅W3の50~100%程度であるのが好ましい。中間シートは省略することもできる。
パッドタイプ使い捨ておむつ200の前後方向LDの両端部では、液不透過性シート21、外装シート27及びトップシート22が吸収体23の前後端よりも前後両側にそれぞれ延在されて貼り合わされ、吸収体23の存在しないエンドフラップ部EFが形成されている。パッドタイプ使い捨ておむつ200の両側部では、液不透過性シート21及び外装シート27が吸収体23の側縁よりも外側にそれぞれ延在され、この延在部からトップシート22の側部までの部分の内面には、立体ギャザー24を形成するギャザーシート24sの幅方向WDの外側の部分24xが前後方向LDの全体にわたり貼り付けられ、吸収体23の存在しないサイドフラップ部SFを構成している。これら貼り合わせ部分は、図1では点模様で示されており、ホットメルト接着剤、ヒートシール、超音波シールにより形成できる。外装シート27を設けない場合、外装シート27に代えて液不透過性シート21をサイドフラップ部SFまで延在させ、サイドフラップ部SFの外面側を形成することができる。
ギャザーシート24sの素材としては、プラスチックシートやメルトブローン不織布を使用することもできるが、肌への感触性の点で、不織布にシリコーンなどにより撥水処理をしたものが好適に使用される。
ギャザーシート24sの幅方向中央側の部分24cはトップシート22上にまで延在しており、その幅方向中央側の端部には、細長状弾性部材24Gが前後方向に沿って伸張状態でホットメルト接着剤等により固定されている。この細長状弾性部材24Gとしては、糸状、紐状、帯状等に形成された、スチレン系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等、通常使用される素材を用いることができる。
また、両ギャザーシート24sは、幅方向外側の部分24xが前後方向全体にわたり物品内面(図示形態ではトップシート22表面及び外装シート27内面)に貼り合わされて固定されるとともに、幅方向中央側の部分24cが、前後方向の両端部では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に貼り合わされて固定され、かつ前後方向の両端部間では物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に固定されていない。この非固定部分は、物品内面(図示形態ではトップシート22表面)に対して弾力的に起立する漏れ防止壁となる部分であり、その起点24bはギャザーシート24sにおける幅方向外側の固定部分24xと内側の部分24cとの境に位置する。
本例のパッドタイプ使い捨ておむつ200は、排泄物の液分を吸収・保持する吸収体23として、最も表側に位置する上吸収体23Aと、その裏側に設けられた下吸収体23Bとを有している。吸収体23の層数は特に限定されず、図9に示すように単層としたり、図示しないが三層以上としたりすることができる。吸収体23は、パルプ繊維等の親水性の短繊維と高吸収性ポリマー粒子を混合集積してなるものを好適に用いることができる。
吸収体23に含有される高吸収性ポリマー粒子としては、この種の吸収性物品に使用されるものをそのまま使用でき、例えば、500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)、及びこのふるい分けふるい下に落下する粒子について180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)を行ったときに、500μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下で、180μmの標準ふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。上吸収体23A及び下吸収体23Bを有する場合のように、複数の吸収体を積層する場合には各吸収体で異なる粒度分布の高吸収性ポリマー粒子を用いることができる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、特に限定されるものではないが、吸水速度が20~50秒で、吸水量50~80g/gのものを好適に用いることができる。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、アクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。
吸収体23は、必要に応じて形状及び高吸収性ポリマー粒子保持等のため、クレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート26により包み、一体的な吸収要素とすることができる。上吸収体23A及び下吸収体23Bを有する場合のように、複数の吸収体を積層する場合には、各吸収体個別に包装シートで包む他、複数の吸収体を一体的に包装シートで包むことができる。場合により、包装シート26は省略することもできる。
吸収体23は、その少なくとも一つが股間部及び後側部分にわたる限り、その前後方向の寸法や幅方向の寸法は適宜定めることができる。通常の場合、吸収体23は、前側部分F2から後側部分B2にかけて延在されていると好ましい。二層構造の吸収体を有する場合、上吸収体23Aは下吸収体23Bと同じ寸法とすることもできるが、図示例のように上吸収体23Aの全長及び全幅は下吸収体23Bのそれよりも短いことが望ましい。通常の場合、上吸収体23Aの全長は下吸収体23Bの全長の60~90%程度とすることができ、上吸収体23Aの全幅は下吸収体23Bの全幅の60~90%程度とすることができる。
吸収体23の総目付け(短繊維及び高吸収性ポリマー粒子の合計)は適宜定めることができる。一例として、単層の吸収体23の場合、その総目付けは500~2000g/m程度とすることができ、二層の吸収体23の場合、上吸収体23Aの総目付けは200~700g/m程度とすることができ、下吸収体23Bの総目付けは200~700g/m程度とすることができる。
吸収体23における高吸収性ポリマー粒子の割合は適宜定めることができる。一例として、単層の吸収体23の場合、短繊維の0.4~1.5倍(重量比)の高吸収性ポリマー粒子を含むことができ、二層の吸収体23の場合、上吸収体23Aは、短繊維の0.5~2.0倍(重量比)の高吸収性ポリマー粒子を含むことができ、下吸収体23Bは短繊維の0.2~1.0倍(重量比)の高吸収性ポリマー粒子を含むことができる。吸収体23の厚み(後述する溝を有する領域を除く)は特に限定されない。一例として、単層の吸収体23の場合、その厚みは5~30mm程度とすることができ、二層の吸収体23の場合、上吸収体23Aの厚みは2.5~20mm程度とすることができ、下吸収体23Bの厚みは2.5~20mm程度とすることができる。
吸収体23の全体としての形状は適宜定めることができ、長方形状とすることもできるが、股間部C2を含む前後方向LDの中間に幅の狭いくびれ部分23nを有していると好ましい。二層構造の吸収体を有する場合、少なくとも大きい方の吸収体23(図示例では下吸収体23B)は、股間部C2を含む前後方向中間の所定部分が幅の狭いくびれ部分23nとして形成されていると好ましい。このくびれ部分23nの最小幅W5は、くびれ部分23nの前後に位置する非くびれ部分の幅W3の50~65%程度であるのが好ましい。また、物品前端を0%とし物品後端を100%としたとき、くびれ部分23nの前端は10~25%の範囲に位置しているのが好ましく、くびれ部分23nの後端は40~65%の範囲に位置しているのが好ましく、くびれ部分23nの最小幅W5となる部位(最小幅部位)は25~30%の範囲に位置しているのが好ましい。
吸収体23の最上面には、股間部C2及び後側部分B2にわたり前後方向LD延びる溝23Dが設けられる。この溝23Dは、吸収体23の溝23Dを有する領域の目付けを、それ以外の部分よりも低くすることにより形成するものであり、吸収体23の上面にエンボス加工等の圧縮加工により凹部を設けるものではない。例えば、図3~図5及び図7に示すように、上吸収体23Aの上面から下面まで厚み方向に貫通するスリットを設け、下吸収体23Bにはスリットを設けずに、上吸収体23A及び下吸収体23Bの全体として、溝23Dを有する領域の目付けを、それ以外の部分よりも低くすることができる。この場合、溝23Dの底面は下吸収体23Bの上面により形成される。また、図10に示すように、上吸収体23Aの上面から下吸収体23Bの下面まで厚み方向に貫通するスリットを設けることにより、上吸収体23A及び下吸収体23Bの全体として、溝23Dを有する領域の目付けを、それ以外の部分よりも低くすることもできる。この場合、溝23Dの底面は液不透過性シート21により形成される。同様に、単層の吸収体23の場合、図9に示すように、吸収体23の上面から下面まで厚み方向に貫通するスリットを設けることにより、吸収体23における溝23Dを有する領域の目付けを、それ以外の部分よりも低くすることもできる。この場合も、溝23Dの底面は液不透過性シート21により形成される。以上の例は、吸収体23にスリットを設ける例であるが、スリットに代えて、短繊維及び高吸収性ポリマー粒子を集積するものの集積量を周囲よりも低くすることにより溝23Dを形成することもできる。この場合、溝23Dの底面は、溝23Dを有する吸収体23の表面により形成される。
溝23Dの幅W2は適宜定めることができるが、通常の場合、15~40mmであると好ましく、20~30mmであると特に好ましい。溝23Dの全長は適宜定めることができるが、通常の場合、吸収体23の全長Y1の0.2~0.75倍であると好ましく、0.35~0.6倍であると特に好ましい。溝23Dの深さD2は適宜定めることができるが、未吸収の展開状態で、吸収体23の厚み23t(複数層の吸収体23を有する場合には全吸収体23の厚みの総和)の0.4~1倍であると好ましく、0.5~0.7倍であると特に好ましい。
特徴的には、図5等に示すように、トップシート22と吸収体23の最上面との間には、液透過性を有する上シート51及び下シート52と、上シート51及び下シート52の間に高吸収性ポリマー粒子53が収容された収容部55と、この収容部55の周りを囲むように配置された接合部54とを有する吸収シート50が設けられている。上シート51及び下シート52における収容部55に位置する部分は接合されていない。収容部55の数は一つであってもよいが、少なくとも接合部54の分の間隔を空けて複数配列されていると好ましい。このように、多数の収容部55に高吸収性ポリマー粒子53を分配保持させることにより、吸収シート50における高吸収性ポリマー粒子53の偏在を防止できる。
製造時の高吸収性ポリマー粒子53の配置を容易にするため、及び吸収膨張後の容積確保のために、図16に示すように収容部55における上シート51及び下シート52の少なくとも一方が、展開状態で収容部55の外側に窪む凹部50cとなっていてもよいが、図6に示すように凹部50cを有せず、単に上シート51及び下シート52の間に高吸収性ポリマー粒子53が挟まっているだけでもよい。
凹部50cは、対象シートにエンボス加工等の賦形加工を施すことにより形成できるものである。また、このエンボス加工により、対象シートにおける各収容部55に位置する部分には、外側に膨らむ凸部が形成されることとなる。例えば、エンボス加工により上シート51に凹部50cを形成すると、上シート51における各収容部55に位置する部分が上側に押し出されて、上側に膨らむ凸部が形成される。凹部50cの深さは特に限定されないが、1.0~7.0mm、特に1.0~5.0mm程度とすることが好ましい。
上シート51及び下シート52は、トップシート22と同様に液透過性素材であれば特に限定されるものではない。上シート51及び下シート52は吸収速度に対して影響するものであるため、親水性繊維、特に綿・パルプ等の天然繊維を原料とする乾式不織布、中でもパルプ70重量%以上(100重量%未満の場合における残量は適宜の合成繊維とすることができる)のエアレイドパルプ不織布は上シート51及び下シート52に特に好適なものの一つである。不織布のウエブ形成方法は特に限定されないが、高吸収性ポリマー粒子53の離脱を防止するため、スパンボンド法、メルトブローン法のように繊維密度が高くなる方法が好ましい。また、不織布の繊度、目付け及び厚みはそれぞれ2.0~7.0dtex程度、18~50g/m程度、0.10~0.60mm程度であると好ましい。
吸収シート50における高吸収性ポリマー粒子53の目付けは、収容部55の最大容積、つまり膨張後の収容部55の厚みや収容部55内の高吸収性ポリマー粒子53の充満の度合いを考慮して適宜定めることができる。すなわち、接合部54を基本的に剥離しないものとするために、各収容部55の最大容積(接合部54が剥離せず収容部55が維持される範囲で、上シート51及び下シート52が破れずに伸長した状態の容積を含む)に対して、各収容部55に含まれる高吸収性ポリマー粒子53の飽和吸収時の体積が同じか又は小さくなるように、各収容部55内に配置される高吸収性ポリマー粒子53の種類及び量を定めることができる。一例として、上シート51及び下シート52の両方が、展開状態で収容部55の外側に窪む凹部50cを有せず、単に上シート51及び下シート52の間に高吸収性ポリマー粒子53が挟まっているだけの場合、各収容部55の高吸収性ポリマー粒子53の目付けは例えば100~300g/mとすることができる。
収容部55の平面形状は適宜定めることができ、六角形、菱形、正方形、長方形、円形、楕円形等とすることができる。隣り合う収容部55の間の領域は全体にわたり接合部54となっていてもよいが、接合部54は液透過性が低い又は無いため、隣り合う収容部55の間の領域のうち収容部55の縁に沿う位置のみ接合部54を設け、それ以外の部分は上シート51及び下シート52が接合されていない部分となっていてもよい。収容部55は、同一平面形状及び同一寸法のものを配列する他、図示しないが形状及び寸法の少なくとも一方が異なる複数種の収容部55を組み合わせて配列することもできる。
収容部55(つまり高吸収性ポリマー粒子53の群も同様)の平面配列は適宜定めることができるが、規則的に繰り返される平面配列が好ましい。例えば、図6等に示すように収容部55が前後方向LDに間隔を空けて列をなす配列や、図12に示すように収容部55が前後方向LDに間隔を空けて並ぶ列が幅方向WDに所定の間隔を空けて複数列設けられた配列(図示例のような千鳥状配列の他、行列状配列等を含む)を採用するのは好ましい。収容部55は、接合部54を境界として隙間なく配置することができる。この場合、収容部55の配列としては、図17(a)に示すような斜方格子状や、図17(b)に示すような六方格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、図17(c)に示すような正方格子状、図17(d)に示すような矩形格子状、図17(e)に示すような平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等(これらが伸縮方向に対して90度未満の角度で傾斜したものを含む)を例示することができる。
各収容部55の寸法は適宜定めることができ、例えば幅方向WDの寸法55xは14~38mm程度とすることができる。また前後方向LDの寸法55yは15~200mm程度とすることができる。各収容部55の面積は210~7600mm程度とすることができる。前後方向に隣り合う収容部の間隔55d(変化する場合は最小間隔)は5~30mm程度とすることができる。図1に示すように、幅方向に複数の収容部の列を有する場合、幅方向に隣り合う収容部の列の間隔55e(変化する場合は最小間隔)は5~30mm程度とすることができる。
接合部54は、高吸収性ポリマー粒子53の膨張圧等により剥離しないように接合されていればよく、例えば、超音波溶着やヒートシールのように上シート51及び下シート52の溶着された溶着部とするほか、ホットメルト接着剤を介して接合された接着部とすることもできる。
接合部54は、各収容部55を取り囲むように配置され、隣接する収容部55間の境界となる限り、連続線状に形成する他、点線状(各収容部55を取り囲む方向に断続的)に形成することもできる。隣り合う収容部55の間の領域には、高吸収性ポリマー粒子53が存在しないか又は存在するとしても収容部55内よりも少ないことが好ましい。
接合部54の寸法は適宜定めることができるが、面積が大きいと肌触りが硬くなる等のおそれがあるため、断続的な接合部54の場合には個々の接合部54が小さいことが好ましく、連続的な接合部54の場合には個々の接合部54の幅が狭いことが好ましい。
特徴的には、図5及び図7に示すように、吸収シート50における少なくとも1つの収容部55は、溝23Dの幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上(より好ましくは90%以上、特に好ましくは図示例のように全体)が溝23Dの上に位置しており、未吸収の展開状態で、溝23Dを深さ方向に上部、中間部及び底部に三等分したとき、吸収シート50は溝23Dの上部以上に位置している。この場合、1回目の排泄時には、排泄液の一部は吸収シート50を透過して吸収シート50と溝23Dとの間の空間に流れ込み、この空間を介して後方に誘導される。また、吸収シート50は、収容部55内の高吸収性ポリマー粒子53が排泄液により膨潤(排泄液を吸収保持するとともに膨張すること)して収容部55内に充満し、図8に示すように収容部55が膨張して厚みが増加する。この際、収容部55の幅が溝23Dよりも狭く、その大部分が溝23Dと重なっているので、膨張した収容部55の一部又は全部が膨張前よりも深く溝23D内に入り込む。この結果、溝23Dの幅方向WD両側に位置する部分が厚み方向に膨張して溝23Dの深さが増加したとしても、膨張した収容部55が溝23Dの横断面積を減少させるため、そうでない場合と比較して、2回目以降の排泄時における溝23Dの横断面積の増加、つまり排泄液の誘導促進が抑制される(第1の作用)。また、膨潤した高吸収性ポリマー粒子53が充満した収容部55は厚み方向の液透過性が低下するため、2回目以降の排泄時における溝23D内への排泄液の導入が抑制される。よって、この点でも溝23Dによる排泄液の誘導促進が抑制される(第2の作用)。したがって、これらの結果として、2回目以降の排泄による後漏れを抑制することができるようになる。
特に、溝内に入り込むように膨張する収容部が前後方向に間隔を空けて連なる列が複数列設けられていると、2回目以降の排泄時でも、溝上で前後方向に隣接する収容部の間の部分から溝内へ排泄液が導入されるため、溝を通じた吸収作用や排泄液の誘導作用も確実に維持されるため好ましい。このような観点からも、収容部の間隔に相当する前述の接合部は、収容部の間の部分全体に設けられるよりも、断続的に設けられている方が好ましい。
また、収容部55は膨潤した高吸収性ポリマー粒子53の充満により溝23D側だけでなくトップシート22側にも膨張する。ここで、溝23Dの深さよりも膨張後の収容部55の厚みが大きい場合、図8に示すように、トップシート22表面に隆起部が形成され、この隆起部がトップシート22表面における排泄液の後方移動を阻むことにより拡散を促すため、2回目以降の排泄時における排泄液の後方移動が抑制される。よって、この点でも、溝23Dによる排泄液の誘導促進が抑制される。
図1、図2及び図5に示すように、吸収シート50は、溝23D内に入り込むように膨張する収容部55のみ有していてもよいが、図11~図13に示すように、前後方向LDに間隔を空けて連なる収容部55の列を、幅方向WDに間隔を空けて3列以上設けるとともに、溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の列と、溝23D内に入り込まない収容部55の列を有しているのも好ましい。このように、溝23Dと全く重ならない収容部55を有していると、この収容部55の膨張によりトップシート22表面に隆起部が形成され、この隆起部がトップシート22表面における排泄液の後方移動を阻むことにより拡散を促すため、2回目以降の排泄時における排泄液の後方移動が抑制される。なお、図示例は一本の溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の列が一列となっているが、一本の溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の列が複数列であってもよい。
吸収シート50における各収容部55の膨張の程度はほぼ一定(つまり各収容部55の容積及び高吸収性ポリマー粒子53の収容量がほぼ一定)であってもよいが、最後部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みを、最前部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みよりも厚くしたり、溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の最大膨張時の厚みが、溝23D内に入り込まない収容部55の最大膨張時の厚みよりも厚くしたりする等、部位によって異なっていてもよい。最大膨張時の厚みは収容部55の形状や容積とそこに収容される高吸収性ポリマー粒子53の量により定めることができる。例えば、収容部55の形状及び容積をすべて同一とする場合、最後部に位置する収容部55に収容された高吸収性ポリマー粒子53の量を、最前部に位置する収容部55に収容された高吸収性ポリマー粒子53の量よりも多くし、最後部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みを、最前部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みよりも厚くすることができる。また、上シート51及び下シート52の少なくとも一方における収容部55の部位に、外側に窪む凹部50cをエンボス加工により形成する場合、図16に示すように、最後部に位置する収容部55の凹部50cの深さを、最前部に位置する収容部55の凹部50cの深さよりも深くし、最後部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みが、最前部に位置する収容部55の最大膨張時の厚みよりも厚くすることもできる。これらのように収容部55の最大膨張時の厚みに変化を付けると、より効果的に前述の第1及び第2の作用が発揮される。
溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の最大膨張状態において、溝23Dと吸収シート50との間に実質的に隙間を生じないようにしてもよいが、図8に示すように、溝23Dの底部の角や、溝23Dの底面又は側面と溝23D内に入り込んだ吸収シート50との間に、ある程度(例えば25~250mm)の隙間28が残るようにすると、溝23Dによる後方への排泄液の誘導作用が残るため好ましい。
溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の寸法と、溝23D内に入り込まない収容部55の寸法とは同じで合ってもよいし、異なっていてもよい。特に溝23D内に入り込むように膨張する収容部55の幅55xは、溝23Dの幅W2の0.5~0.7倍であると、溝23Dへの入り込みやすさ及び溝23D内の排泄液の移動抑制の点で好ましい。また、収容部55の縦横比が大きくなり過ぎると高吸収性ポリマー粒子53が偏在しやすくなるため、収容部55は前後方向LDの寸法55yが幅55xの1.5~3.5倍であると好ましい。
収容部55の形状は前述のとおり適宜定めることができるが、図18に示すように、後側に向かうにつれて徐々に幅が広くなる形状であると、膨張した収容部55に対して前方から衝突する排泄液は幅方向WD両側に向きを変えつつ後方に移動することになる。よって、溝23D内に位置する収容部55においては溝23D内において後方に移動する排泄液を幅方向WD両側に拡散させることができ、また、溝23D外に位置する収容部55においてはトップシート22表面上を後方に移動する排泄液を幅方向WD両側に拡散させることができるため、2回目以降の排泄時における排泄液の後方移動、つまり後漏れを抑制することができる。なお、図18(a)に示す例の収容部55は、後側に向かうにつれて徐々に幅が広くなる部分が直線の三角形状となっており、図18(b)に示す例の収容部55は、後側に向かうにつれて徐々に幅が広くなる部分が半円状の形状となっているが、これに限定されるものではない。
吸収シート50は、トップシート22と吸収体23との間に配置される限り、トップシート22と包装シート26との間に配置するほか、包装シート26と吸収体23との間に配置してもよい。また、中間シートを有する場合には吸収シート50は中間シートと吸収体23との間に配置してもよい。吸収シート50(の上シート51)は、その上面に接する部材に接合されていると好ましいが、接合されていなくてもよい。吸収シート50(の下シート52)は、溝23Dと重なる位置では下面に接する部材に接合されていない方が好ましいが、吸収シート50を溝23Dの上部以上に位置させることができるのであれば接合されていてもよい。なお、吸収シート50とその上面又は下面に接する部材との接合は、ホットメルト接着剤の他、溶着により行うことができる。図示例では、吸収シート50の上面はこれに接するトップシート22に接合されているが、吸収シート50の下面に接する部材(包装シート26)が溝23Dの内面に沿っているため、吸収シート50の下面は溝23Dと重なる位置では包装シート26に接合されていない。また、この例からも分かるように、吸収シート50と吸収体23との間に介在するシートは、吸収体23の溝23Dの内面に沿って配置されていても、溝23D内に入らないように平坦に配置されていてもよい。
吸収シート50は溝23Dの前後方向LDの全体を覆うように配置してもよいが、溝23D内への排泄液の導入が過度に制限されないように、後側の一部のみ(例えば溝23Dの前端を0%とし、後端を100%としたとき、50~100%)を覆うように配置するのが好ましい。また、未吸収の展開状態で溝23Dと吸収シート50とが重なる領域に占める収容部55の面積率は10~30%程度であることが好ましい。また、吸収シート50の幅50xは、溝23Dの幅W2より短くてもよいが、長い方が好ましく、特に吸収シート50の両端は、吸収体23の両側縁と溝23Dとの間に位置していると好ましい。
<明細書中の用語の説明>
明細書中で以下の用語が使用される場合、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「MD方向(機械方向又はライン流れ方向)」及び「CD方向(MD方向と直交する横方向)」とは、加工設備の「MD方向」及び「CD方向」を意味し、いずれか一方が前後方向となるものであり、他方が幅方向となるものである。また、製品におけるMD方向は、不織布の繊維配向の方向である。繊維配向とは、不織布の繊維が沿う方向であり、例えば、TAPPI標準法T481の零距離引張強さによる繊維配向性試験法に準じた測定方法や、前後方向及び幅方向の引張強度比から繊維配向方向を決定する簡易的測定方法により判別することができる。図示形態は、殆ど多くの使い捨ておむつの製品と同様に、前後方向がMD方向となり、幅方向がCD方向となるものである。
・「表側」とは着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは部材の、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域における対象部分(例えば未吸収の吸収シートにおける収容部が形成された部分)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が3個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J-B(測定範囲0~35mm)又は型式K-4(測定範囲0~50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm、及び加圧面積:2cmの条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「人工尿」は、尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したものであり、特に記載の無い限り、温度40度で使用される。
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、上記例のようなパッドタイプ使い捨ておむつの他、テープタイプ使い捨ておむつ、パンツタイプ使い捨ておむつ等、形態を問わず利用でき、また、生理用ナプキン等、使い捨ておむつ以外の吸収性物品にも利用できるものである。
21…液不透過性シート、22…トップシート、23…吸収体、23A…上吸収体、23B…下吸収体、23D…溝、24…立体ギャザー、24s…ギャザーシート、26…包装シート、27…外装シート、50…吸収シート、51…上シート、52…下シート、53…高吸収性ポリマー粒子、54…接合部、55…収容部、200…パッドタイプ使い捨ておむつ、B2…後側部分、C2…股間部、F2…前側部分、LD…前後方向、WD…幅方向。

Claims (8)

  1. 股間部と、股間部の前側及び後側にそれぞれ延出する前側部分及び後側部分と、
    前記股間部及び前記後側部分にわたる吸収体と、
    前記吸収体の表側に設けられた液透過性のトップシートと、
    前記吸収体の最上面に設けられた、前記股間部及び前記後側部分にわたり前後方向延びる溝とを有し、
    前記吸収体における前記溝を有する領域は、前記吸収体における前記溝の幅方向の両側に隣接する部分よりも目付けが低く、
    前記吸収体は、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である、
    使い捨ておむつにおいて、
    前記トップシートと前記吸収体の最上面との間に、吸収シートが設けられ、
    前記吸収シートは、液透過性を有する上シート及び下シートと、前記上シート及び前記下シートの間に高吸収性ポリマー粒子が収容された収容部と、この収容部の周りを囲むように配置された接合部とを有し、
    少なくとも1つの前記収容部は、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝と重なっており、
    未吸収の展開状態で、前記溝を深さ方向に上部、中間部及び底部に三等分したとき、前記吸収シートは前記溝の上部以上に位置している、
    ことを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記吸収シートは、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝の上に位置している前記収容部を、前後方向に間隔を空けて複数有している、
    請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収シートは、前後方向に間隔を空けて連なる前記収容部の列を、幅方向に間隔を空けて3列以上有しており、
    前記列のうちの幅方向の中間に位置する少なくとも1列に属する複数の収容部が、前記溝の幅よりも狭い幅を有するとともに、その幅の80%以上が前記溝と重なっており、それ以外の収容部は溝と重なっていない、
    請求項2記載の吸収性物品。
  4. 前記収容部の形状及び容積がすべて同一であり、
    前後方向の最後部に位置する前記収容部に収容された前記高吸収性ポリマー粒子の量が、前後方向の最前部に位置する前記収容部に収容された前記高吸収性ポリマー粒子の量よりも多く、
    前記最後部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みが、前記最前部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みよりも厚い、
    請求項2又は3記載の吸収性物品。
  5. 前記上シート及び前記下シートの少なくとも一方における前記収容部の部位に、外側に窪む凹部がエンボス加工により形成されており、
    最後部に位置する収容部の凹部の深さが、最前部に位置する収容部の凹部の深さよりも深く、
    前記最後部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みが、前記最前部に位置する前記収容部の最大膨張時の厚みよりも厚い、
    請求項2又は3記載の吸収性物品。
  6. 前記溝の幅は15~40mmであり、
    前記収容部の幅は、前記溝の幅の0.8~0.95倍であり、
    前記収容部の前後の方向の長さは、前記収容部の幅の1.5~3.5倍である、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  7. 前記収容部は後側に向かうにつれて徐々に幅が広くなる形状を有している、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の吸収性物品。
  8. 前記吸収体は、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である下層吸収体と、その表側に設けられた、高吸収性ポリマー粒子及び短繊維の混合集積体である上層吸収体とからなり、
    前記股間部を含む前後方向の中間領域に、上層吸収体のみ又は上層吸収体及び下層吸収体を厚み方向に貫通する所定幅のスリットが前後方向に延びており、
    前記上層吸収体は、短繊維及び高吸収性ポリマー粒子の総目付けが200~700g/m、かつ短繊維に対する高吸収性ポリマー粒子の重量比率が50~200%である、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の吸収性物品。
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