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JP2023104105A - 結合体及びその製造方法 - Google Patents

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JP2023104105A
JP2023104105A JP2022004903A JP2022004903A JP2023104105A JP 2023104105 A JP2023104105 A JP 2023104105A JP 2022004903 A JP2022004903 A JP 2022004903A JP 2022004903 A JP2022004903 A JP 2022004903A JP 2023104105 A JP2023104105 A JP 2023104105A
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清 山内
Kiyoshi Yamauchi
淳 佐藤
Jun Sato
涼太 佐藤
Ryota Sato
良 奥寺
Makoto Okudera
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Tokin Corp
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Abstract

Figure 2023104105000001
【課題】結合界面を溶接などせずに、TiNi系形状記憶合金材料とそれとは異なる金属材料とを結合してなる新たな構造の結合体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】結合体1は、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材10と、被固定部材10とは異なる金属材料からなる中実の基部材20とを備えている。被固定部材10は、管状部12を有している。基部材20は、主部22と、主部22から延びる被挿入部24を有している。管状部12は、被挿入部24に対して被固定部材10の超弾性を利用して締め付け固定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、TiNi系形状記憶合金材料とそれとは異なる金属材料とを結合してなる結合体であって例えばカテーテルガイドワイヤーに利用可能な結合体と、その製造方法に関する。
TiNi系形状記憶合金は外力による変形がその解放と同時に元の形状に回復する超弾性と加熱することで回復する形状記憶効果を示す。この場合、前者は形状回復温度より高い温度のオーステナイト相(高温相)で利用する場合に起き、後者は低温のマルテンサイト相(低温相)の場合に起きる。
例えば、医療の分野では、前述の効果に基づいて超弾性を発現するTiNi系形状記憶合金が血管内治療用カテーテルデバイスの基幹部材として使用されている。カテーテルはシリコーン、ポリウレタン、フッ素樹脂などから構成される柔らかい管で、消化管や尿管、血管などに挿入し、体液の排出、薬液や造影剤などの注入に用いられる。
血管内治療は血管に導入されたカテーテルを経由して疾患の診断や治療を行うもので、動脈硬化などの原因で生じた狭窄血管を拡張したり、動脈瘤への血流を止めたりするものである。その際、ガイドワイヤーはカテーテルの先導役として疾患部位に真っ先に送られる。
心疾患の場合、ガイドワイヤーは1.8mに及ぶ血管の中を多くの分岐血管を選択しながら目的部位に挿入される。その機能は、先端部の屈曲した血管を自在に通過できるしなやかさと血管を傷付けない柔軟性、及び基部の手元操作を先端部に伝える高剛性バネ特性を有することが必要となる。
TiNi系形状記憶合金からなる超弾性ガイドワイヤーは、基部の剛性に若干の不満は残るものの先端部の復元性としなやかさでは他の金属の置き換えを許さないものであり、今日では疾患部の診断・治療に広く使われている。
このような特性を発現するデバイスとして、特許文献1には超弾性金属ワイヤーを芯材としたガイドワイヤーにおいて、本体側内芯部の断面積を比較的大とし先端側内芯部の断面積を比較的小とすることによって、本体側内芯部を有してなる本体部を比較的剛性の高いものとし、先端側内芯部を有してなる先端部を比較的柔軟なものとすることが開示されている。
また、特許文献2には熱弾性型マルテンサイト変態を示すTiNi系形状記憶合金からなる芯線を外周部材でコーティングすることにより、ひずみ特性を改善した繰り返し使用可能なカテーテル用ガイドワイヤーが開示されている。
一方で先端部の柔軟性と基部の剛性を改善するために、先端部をTiNi系形状記憶合金で構成し基部をステンレス鋼などのバネ材とした組み込み技術、即ち異種金属の突合せ部を溶着、圧接する技術が開示されている。
そのような事例として、特許文献3にはTiNi系形状記憶合金とそれとは異なる金属とを加熱と加圧により接合する技術、また特許文献4にはチタンを含まない合金から作られたガイドワイヤー芯線を対象として、溶接継ぎ手、ロウ付け継ぎ手、又は接着継ぎ手のうち、一つ以上によって相互に接合する技術が示されている。詳しくは、特許文献3には、TiNi系形状記憶合金部材とそれとは異なる金属部材とを接合するにあたり、両部材の被接合面を互いに接触させ、その接合部を局部的に反応溶融し、その溶融部に接する部分の両部材を高温軟化せしめ、同時に接合部を高圧力で圧縮加工することにより接合界面に熱間鍛造組織を形成させる技術が示されている。
特開昭60-007862号公報 特開昭61-106173号公報 特開平05-185251号公報 特表2015-511833公報
一般的な異種金属同士の接合としては、電極に電流を流した状態で被接合体と接触し引き離す時に起こるアーク放電で接触界面を溶融して押し付ける手法が知られている。しかし、TiNi系形状記憶合金では合金中のTiは酸素との親和力が強く、界面融解と同時に酸化被膜を生じるため、接合境界は酸化物に阻まれて所要の接合強度を得ることが困難である。
そこで、本発明は、結合界面を溶接などせずに、TiNi系形状記憶合金材料とそれとは異なる金属材料とを結合してなる新たな構造の結合体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、第1の結合体の製造方法として、
TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材であって管状部を有する被固定部材を冷却してマルテンサイト相の状態にし、
前記管状部に対して前記TiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる中実の基部材の被挿入部を挿入し、
室温下において前記被固定部材をオーステナイト相に戻すことにより、前記被固定部材の超弾性を利用して前記管状部を前記被挿入部に対して締め付け固定する
結合体の製造方法を提供する。
本発明は、第2の結合体の製造方法として、第1の結合体の製造方法であって、
前記挿入前の状態において、前記被挿入部の外周のうち最も大きいものは、前記管状部の内周より大きく、前記挿入の際には、前記被挿入部が前記管状部の内腔を少なくとも一時的に拡張する
結合体の製造方法を提供する。
本発明は、第3の結合体の製造方法として、第1又は第2の結合体の製造方法であって、
前記締め付け固定の後に、前記被固定部材の前記管状部を含む部分を伸線ダイスを用いて伸線加工する
結合体の製造方法を提供する。
本発明は、第4の結合体の製造方法として、第1から第3までのいずれかの結合体の製造方法であって、
前記被挿入部は、先端にかけて先細るテーパ形状を有しており、
前記被固定部材の冷却は、前記管状部に対して前記被挿入部の一部が仮挿入された状態で行われ、
前記被固定部材の冷却後に前記被挿入部を前記管状部内に更に押し込むことで前記被挿入部全体を前記管状部に対して挿入する
結合体の製造方法を提供する。
本発明は、第1の結合体として、
金属材料からなる中実の基部材であって主部と前記主部から延びる被挿入部を有する基部材と、前記金属材料とは異なるTiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材であって前記基部材の前記被挿入部に対して前記被固定部材の超弾性を利用して締め付け固定された管状部を有する被固定部材とを備える結合体を提供する。
本発明は、第2の結合体として、第1の結合体であって、
前記基部材は、線状のばね材からなる
結合体を提供する。
本発明は、第3の結合体として、第2の結合体であって、
前記結合体は、ガイドワイヤであり、
前記基部材は、前記ばね材からなるワイヤである
結合体を提供する。
本発明は、第4の結合体として、第1から第3までのいずれかの結合体であって、
前記管状部内には、前記被挿入部の先端より先に空洞が存在する
結合体を提供する。
本発明は、第5の結合体として、第1から第4までのいずれかの結合体であって、
前記基部材の前記主部は、所定径を有しており、
前記管状部の肉厚は、前記所定径の20%以上40%以下のサイズを有している
結合体を提供する。
本発明は、第6の結合体として、第1から第5までのいずれかの結合体であって、
前記被挿入部は、先端にかけて先細るテーパ形状を有している
結合体を提供する。
本発明は、第7の結合体として、第1から第6までのいずれかの結合体であって、
前記基部材は、突出部を更に備えており、
前記被挿入部は、前記主部から所定方向に沿って先細るように延びており、
前記突出部は、前記所定方向と直交する断面において前記主部を越えないように、前記被挿入部から突出している
結合体を提供する。
更に、本発明は、第8の結合体として、第6又は第7の結合体であって、
前記被挿入部のテーパ形状の傾斜角は、10度以下である
結合体を提供する。
本発明においては、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材を相変化させることで、溶接等することなく、被固定部材の超弾性を利用して被固定部材の管状部をTiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる基部材の被挿入部に対して締め付け固定させて結合体を製造することとしている。従って、本発明によれば、結合界面における酸化被膜形成を抑制し高い結合強度を有する結合体を得ることができる。
図1(a)は本発明の実施の形態による結合体を模式的に示す斜視図であり、図1(b)は図1(a)の結合体を示す断面図である。 図1の結合体の分解斜視図である。 図1の結合体の製造途中の状態を示す図である。 第1変形例による結合体を模式的に示す斜視図である。 図4の結合体の製造途中の状態を示す図である。 第2変形例による結合体を模式的に示す断面図である。 図6の結合体に含まれる基部材を模式的に示す斜視図である。 図8(a)は第3変形例による結合体を模式的に示す斜視図であり、図8(b)は図8(a)の結合体を示す断面図である。 図8の結合体に含まれる先端部材を模式的に示す斜視図である。 図8の結合体の製造途中の状態を示す図である。 図8の先端部材としてTi-51at%Ni合金を500℃で処理したワイヤーを用いた場合の引っ張り試験結果を示すグラフである。 図1の基部材としてピアノ線を用いた場合の引っ張り試験結果を示すグラフである。
図1及び図2を参照すると、本発明の実施の形態による結合体1は、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材10と、TiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる中実の基部材20とを備えている。本実施の形態において、基部材20は、線状のばね材からなるワイヤであり、結合体1は、カテーテル用のガイドワイヤである。但し、本発明はガイドワイヤに限定されるわけではなく、ガイドワイヤ以外の結合体にも適用可能である。また、本発明は、基部材20が線状のばね材からなる場合に適用しやすいが、後述するようにして被固定部材10を基部材20に対して結合可能な限り、基部材20は線状でなくてもよいし、ばね材でなくてもよい。
被固定部材10は、管状部12を有している。基部材20は、主部22と、主部から延びる被挿入部24とを有している。加工性・作業性を考慮すると、基部材20の主部22の径を所定径とした場合、後述する製造前の状態の管状部12の肉厚は、その所定径の20%以上40%以下のサイズを有していることが好ましい。
被固定部材10の管状部12は、基部材20の被挿入部24に対して被固定部材10の超弾性を利用して締め付け固定され、それによって、被固定部材10は溶接等することなく基部材20に対して結合されている。管状部12の内部には、この結合の方法に起因して、被挿入部24の先端より先に空洞40が存在している。
特に、本実施の形態による被挿入部24は、先端にかけて先細るテーパ形状を有している。ここで、本実施の形態の被挿入部24のテーパ形状の傾斜角は、10度以下である。挿入性を考慮すると、傾斜角が小さい方がよく、また傾斜角を小さくし且つ被挿入部24の長さを長くした方が挿入後の被挿入部24と管状部12との接触面積も大きくとることができる。
上述した本実施の形態の結合体は、次のようにして製造される。まず、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材10を冷却してマルテンサイト相の状態にする。その状態において、被固定部材10の管状部12に対してTiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる基部材20の被挿入部24を挿入する。管状部12に被挿入部24が挿入された状態において、冷却下から室温下に環境を変え、それによって被固定部材10をオーステナイト相に戻すことにより、被固定部材10の超弾性を利用して管状部12を被挿入部24に対して締め付け固定する。
本実施の形態においては、被固定部材10を冷却してマルテンサイト相の状態にして被挿入部24を管状部12に挿入する前の状態において、被挿入部24の外周のうち最も大きいものは、管状部12の内周より大きく、挿入の際には、被挿入部24が管状部12の内腔を少なくとも一時的に拡張する。これにより、オーステナイト相に戻したときに、管状部12が被挿入部24に対してより強固に締め付け固定される。
特に、本実施の形態のように、被挿入部24が先端にかけて先細るテーパ形状を有している場合には、図3に示されるように、まず、室温下において、管状部12に対して被挿入部24の一部を仮挿入することとしてもよい。この状態において、スエージング加工等により管状部12及び被挿入部24を更に縮径することとしてもよい。
図3に示される被固定部材10及び基部材20においては、管状部12に対して被挿入部24が挿入できるだけ挿入されており、その状態において主部22と被挿入部24の境界部分B1から管状部12の一端(後端)まで距離L1だけ離れている。このように、管状部12に対して被挿入部24の一部が仮挿入された状態で、被固定部材10の冷却が行われる。被固定部材10を冷却してマルテンサイト相の状態にすると、被固定部材10は変形容易な柔軟組織となるため、被挿入部24を管状部12内に更に押し込むことができる。具体的には、管状部12の一端が主部22と被挿入部24の境界部分B1に達するまで、被挿入部24を管状部12内に押し込み、それによって、被挿入部24全体を管状部12に対して挿入することができる。その後、室温環境下に放置すると、管状部12はオーステナイト相に戻り形状回復しようとして収縮するので、管状部12が被挿入部24に対して締め付け固定される。この説明から明らかなように、マルテンサイト相の状態において管状部12に押し込んだ被挿入部24の長さが距離L1となる。距離L1が長ければ長いほど、管状部12がオーステナイト相に戻った際に、被挿入部24上に締め付け固定される総接触面積が増える。従って、距離L1が長いほど、基部材20に対する被固定部材10の結合の信頼性を高めることができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材10を相変化させることで、溶接等することなく、被固定部材10の超弾性を利用して被固定部材10の管状部12をTiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる基部材20の被挿入部24に対して締め付け固定させて結合体1を製造することとしている。従って、本実施の形態によれば、結合界面における酸化被膜形成を抑制し高い結合強度を有する結合体1を得ることができる。
上述した本発明の実施の形態による結合体1は、以下に例示するように、種々変形可能である。以下においては、上述した実施の形態と同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付すこととし、説明を省略する。また、上述した実施の形態と同様の構成要素に対しては同様の参照符号を付すこととし、説明を簡略化する。
図4を参照すると、第1変形例による結合体1Aの被固定部材10Aは、管状部12Aに加え、管状部12Aから更に前方に延びる伸長部14Aを有している。第1変形例による結合体1Aは、例えば、長めの管状部12Aを有する被固定部材10Aを用意し、上述した実施の形態のように基部材20の被挿入部24に対して管状部12Aを締め付け固定した後(図1参照)、更に、図5に示されるように、管状部12Aの先端を伸線ダイス50に挿入して伸線加工し、それによって先細った伸長部14Aより先を切断して得られる。この方法によると、伸線加工時に管状部12Aの被挿入部24に対する締め付けが強化され、結合の信頼性を高めることができる。
図6及び図7を参照すると、第2変形例による結合体1Bの基部材20Bは、突出部26Bを更に有している。被挿入部24Bは、主部22から所定方向に沿って先細るように延びており、突出部26Bは、所定方向と直交する断面において主部22を越えないように、被挿入部24Bから突出している。このような突出部26Bが設けられていると、管状部12を被挿入部24Bに締め付け固定した際、突出部26が管状部12に食い込むことになるので、被固定部材10の基部材20Aに対する結合の信頼性を高めることができる。但し、突出部26Bが主部22を越えて突出するほど大きい場合、管状部12の突出部26Bに対応する部分が突出部26Bに起因して極端に外側に突出することになる。このように、表面に大きな凹凸が形成されると、例えば、カテーテルガイドワイヤ用途としては適当でない。従って、突出部26Bは、所定方向と直交する断面において主部22を越えないことが好ましい。
図8を参照すると、第3変形例による結合体1Cは、上述した図1の実施の形態による結合体1に対して、先端部材30を更に結合したものである。図8及び図9に示されるように、先端部材30は、前側部32と後側部34とを備えている。前側部32は、前方に向かって先細った後、更に細径化した形状を有するものであり、後側部34は、後方に向かって先細った形状を有するものである。本実施の形態による先端部材30は、被固定部材10と同一材料からなるが、本発明はこれに限定されるわけではない。
この先端部材30は、前述の基部材20と同様にして被固定部材10の管状部12内に挿入され、締め付け固定される。具体的には、図10に示されるように、まず、室温下において、管状部12に対して後側部34の一部を仮挿入する。ここで、スエージング加工等により管状部12及び後側部34を更に縮径することとしてもよい。図10に示される被固定部材10及び先端部材30においては、管状部12に対して後側部34が挿入できるだけ挿入されており、その状態において前側部32と後側部34の境界部分B2から管状部12の他端(前端)まで距離L2だけ離れている。このように、管状部12に対して後側部34の一部が仮挿入された状態で、被固定部材10の冷却が行われる。被固定部材10を冷却してマルテンサイト相の状態にすると、被固定部材10は変形容易な柔軟組織となるため、後側部34を管状部12内に更に押し込むことができる。具体的には、管状部12の一端が前側部32と後側部34の境界部分B2に達するまで、後側部34を管状部12内に押し込み、それによって、後側部34全体を管状部12に対して挿入することができる。その後、室温環境下に放置すると、管状部12はオーステナイト相に戻り形状回復しようとして収縮するので、管状部12が後側部34に対して締め付け固定される。この説明から明らかなように、マルテンサイト相の状態において管状部12に押し込んだ後側部34の長さが距離L2となる。距離L2が長ければ長いほど、管状部12がオーステナイト相に戻った際に、後側部34上に締め付け固定される総接触面積が増える。従って、距離L2が長いほど、先端部材30に対する被固定部材10の結合の信頼性を高めることができる。
(実施例1及び比較例1~3)
図1に示される実施の形態による結合体1の評価を行うため、試料1~4を製造した。試料1が比較例1であり、試料2が比較例2であり、試料3が実施例1であり、試料4が比較例3である。
詳しくは、被固定部材10としてTi-51at%Ni合金を用い、その合金バー材をガンドリルによってくり抜き、外径20mm×肉厚2.5mm×長さ200mmの中空にした後、ロール圧延及びダイス引き伸線によって外径0.5mm×肉厚0.1mmのチューブ状とし、700℃溶体化処理後約100mm長さの管状部12を構成した。
一方、基部材20としては、高強度炭素鋼SW-Aの市販ピアノ線径0.3mmを用い、一端をテーパー加工して被挿入部24を形成した。
次いで、図3に示されるように、被固定部材10(管状部12)の一端に、基部材20の被挿入部24の一部を仮挿入した。この時点において、実施例1においては、基部材20の主部22と被挿入部24との境界部分B1から被固定部材10(管状部12)までの距離L1を50mmとし、比較例1,2においては、距離L1を夫々0mm,20mmとした。更に、比較例3においては、距離L1を0mmとしたが、管状部12にシリコーン樹脂系接着剤を注入した。
次に、500℃超弾性処理を行い、全長真直とした。続いて、被固定部材10(管状部12)と基部材20の被挿入部24をドライアイスで氷点下に冷却した。この冷却により被固定部材10(管状部12)と基部材20の被挿入部24との間には、夫々の金属材料の熱による膨張収縮効果によって緩みが生じた。
被固定部材10(管状部12)は、ドライアイスを用いた冷却により柔軟な形状記憶組織となっている。その状態において、仮挿入時には距離L1であったところを0mmとなるまで管状部12の内腔を拡げつつ被挿入部24を更に管状部12内に押し込んだ。なお、比較例1及び比較例3は、もともと距離L1が0mmであるので、更なる押し込みはしていない。次いで、室温下に放置することで、被固定部材10の形状回復収縮と基部材20の熱膨張によって、管状部12と被挿入部24を結合した。
(実施例2及び比較例4)
図8に示される第3変形例による結合体の評価を行うため、試料5,6を製造した。試料5が比較例4であり、試料6が実施例2である。
詳しくは、被固定部材10としてTi-51at%Ni合金を用い、その合金バー材をガンドリルによってくり抜き、外径20mm×肉厚2.5mm×長さ200mmの中空にした後、ロール圧延及びダイス引き伸線によって外径0.5mm×肉厚0.1mmのチューブ状とし、700℃溶体化処理後約100mm長さの管状部12を構成した。
また、基部材20として、高強度炭素鋼SW-Aの市販ピアノ線径0.3mmを用い、一端をテーパー加工して被挿入部24を形成した。
更に、先端部材30として、被固定部材10と同様の合金バー材を熱間ロール及び伸線・焼鈍の繰り返しによって、最大径0.3mmを有すると共に一端から50mm程度を径0.1mm程度に細径化したテーパー形状を有する前側部32を形成する一方、被固定部材10に挿入される他端にもテーパー形状を有する後側部34を形成した。
次いで、図3に示されるように、被固定部材10(管状部12)の一端に、基部材20の被挿入部24の一部を仮挿入する一方で、図10に示されるように、被固定部材10の他端に、先端部材30の後側部34の一部を仮挿入した。この時点において、実施例2及び比較例4においては、いずれも基部材20の主部22と被挿入部24との境界部分B1から被固定部材10(管状部12)までの距離L1を50mmとした。一方、実施例2においては、先端部材30の前側部32と後側部34との境界部分B2から被固定部材10(管状部12)までの距離L2を50mmとし、比較例4においては、距離L2を20mmとした。
次に、500℃超弾性処理を行い、全長真直とした。続いて、被固定部材10(管状部12)、基部材20の被挿入部24及び先端部材30の後側部34をドライアイスで氷点下に冷却した。この冷却により被固定部材10(管状部12)と被挿入部24との間には、各金属材料の熱による膨張収縮効果によって緩みが生じた。
被固定部材10(管状部12)は、ドライアイスを用いた冷却により柔軟な形状記憶組織となっている。この状態において、仮挿入時には距離L1であったところを0mmとなるまで管状部12の内腔を拡げつつ被挿入部24を更に管状部12内に押し込む一方で、距離L2であったところを0mmとなるまで管状部12の内腔を拡げつつ後側部34を更に管状部12内に押し込んだ。次いで、室温下に放置することで、被固定部材10(管状部12)及び先端部材30の形状回復収縮と基部材20の熱膨張によって、管状部12と被挿入部24及び後側部34とを結合した。
このようにして製造した各試料1~6(比較例1,2,実施例1,比較例3,4及び実施例2)と使用した金属材料について引っ張り試験(組み込み完了後の引抜試験)を行った。試料7は、先端部材30に用いたTi-51at%Ni合金線、試料No.8は、基部材20に用いたピアノ線である。
表1にその結果を示す。また、図11に試料7のTi-51at%Ni合金500℃処理ワイヤーの引っ張り試験の結果を、図12に試料8のピアノ線の引っ張り試験の結果を示す。
Figure 2023104105000002
表1の評価欄には、特許文献3に開示されている事項を参考にして引抜耐力が300N/mm以上のものを○、200N/mm以上のものを△、200N/mm未満のものを×として判定した結果を示した。
試料1(比較例1)は、距離L1が0mmであることから、冷却下における押し込みがなく、十分な耐力を付与することができなかったが、例えば、試料4(比較例3)のように、シリコーン樹脂系接着剤等の接着剤を注入すれば十分な引抜耐力を付与することができた。また、距離L1が20mmの試料2(比較例2)や距離L2が20mmの試料5(比較例4)の引抜耐力は200N/mm以上を示し、距離L1が50mmの試料3(実施例1)及び距離L1及び距離L2の双方が50mmの試料6(実施例2)の引抜耐力は300N/mm以上であった。
以上により、仮挿入時の距離L1や距離L2を長くすることで、その後の処理での被固定部材10の形状記憶効果によって基部材20や先端部材30に対する締め付け力を高めることができることが理解される。上述した評価においては、距離L1及び距離L2を実用上50mmで十分としたが、その長さはデバイスに用いる部材性状や構成などによって適宜選択することができる。
上述した実施の形態等において、被固定部材10及び基部材20の表面粗さは、メッシュ♯500以下であることが好ましいが、例えばメッシュ♯100以下とすればその引き抜き強度はより高まるので、必要に応じて表面粗さを調整することとしてもよい。
上述した実施の形態等において、被固定部材10及び先端部材30に用いるTiNi系形状記憶合金材料として、Ti-51at%Ni合金を例示したが、より加工性に優れるTi-50at%Ni合金を用いてもよく、Ti40at%以上60at%以下、残部NiであるTi-Ni合金、又は前記Ti-Ni合金のNi若しくはTiの一部をCu、Fe、Cr、Al、V、Pd、Ag、Mn、Co、Nb、Hf,Zrの内の一種若しくは二種以上で置換したTi-Ni-X合金のいずれかを用いてもよい。また、被固定部材10と先端部材30で、異なるTiNi系合金を用いてもよい。
例えば、被固定部材10や先端部材30のような、ガイドワイヤーの先端となる部分をTi-50at%Ni合金とすることで、ガイドワイヤー使用者が必要に応じて、先端となる部分に曲げクセを施す等、自在に変形することが容易な柔軟超弾性を持つガイドワイヤーを提供することができる。
なお、例えばTi-51at%Ni合金は減面加工率30~40%毎の焼鈍繰り返しと、その後の500℃処理で室温超弾性にできる。一方、Ti-50at%Ni合金は通常の加工/処理では室温形状記憶であるが、加工率60%強加工とその後の300℃~400℃処理によって室温超弾性となる。
上述した実施の形態等において、仮挿入後のTi-51at%Ni合金材料の超弾性処理温度は500℃としたが1000℃以下であれば良く、好ましくはTi-50at%Ni合金を含め300℃から500℃であればよい。
上述した実施の形態等において、基部材20としてピアノ線を用いたが、被固定部材10を構成する材料を除くステンレス、Fe基合金、Ni基合金、Ti基合金、Cu基合金から選択されてなるバネ材料であれば、いずれを用いてもよい。
以上説明したように、本発明によれば、チューブ状に加工したTiNi系形状記憶合金材料が持つ形状記憶効果と超弾性機能を活用することで、TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材とそれとは異なる金属材料からなる基部材との結合が容易になる。
また、本発明によれば、従来の接合界面溶融に伴い生成される酸化物等による、特性劣化要因を考慮した設計を必要としない。
以上、本発明について、実施の形態等を掲げて具体的に説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、当業者には明らかなように、本発明の精神を逸脱しない範囲で実施の形態を変形することが可能であり、そのような実施の形態は本発明の範囲に属するものである。
1,1A,1B,1C 結合体
10,10A 被固定部材
12,12A 管状部
14A 伸長部
20,20B 基部材
22 主部
24,24B 被挿入部
26B 突出部
30 先端部材
32 前側部
34 後側部
40 空洞
50 伸線ダイス

Claims (12)

  1. TiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材であって管状部を有する被固定部材を冷却してマルテンサイト相の状態にし、
    前記管状部に対して前記TiNi系形状記憶合金材料とは異なる金属材料からなる中実の基部材の被挿入部を挿入し、
    室温下において前記被固定部材をオーステナイト相に戻すことにより、前記被固定部材の超弾性を利用して前記管状部を前記被挿入部に対して締め付け固定する
    結合体の製造方法。
  2. 請求項1記載の結合体の製造方法であって、
    前記挿入前の状態において、前記被挿入部の外周のうち最も大きいものは、前記管状部の内周より大きく、前記挿入の際には、前記被挿入部が前記管状部の内腔を少なくとも一時的に拡張する
    結合体の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2記載の結合体の製造方法であって、
    前記締め付け固定の後に、前記被固定部材の前記管状部を含む部分を伸線ダイスを用いて伸線加工する
    結合体の製造方法。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の結合体の製造方法であって、
    前記被挿入部は、先端にかけて先細るテーパ形状を有しており、
    前記被固定部材の冷却は、前記管状部に対して前記被挿入部の一部が仮挿入された状態で行われ、
    前記被固定部材の冷却後に前記被挿入部を前記管状部内に更に押し込むことで前記被挿入部全体を前記管状部に対して挿入する
    結合体の製造方法。
  5. 金属材料からなる中実の基部材であって主部と前記主部から延びる被挿入部を有する基部材と、前記金属材料とは異なるTiNi系形状記憶合金材料からなる被固定部材であって前記基部材の前記被挿入部に対して前記被固定部材の超弾性を利用して締め付け固定された管状部を有する被固定部材とを備える結合体。
  6. 請求項5記載の結合体であって、
    前記基部材は、線状のばね材からなる
    結合体。
  7. 請求項6記載の結合体であって、
    前記結合体は、ガイドワイヤであり、
    前記基部材は、前記ばね材からなるワイヤである
    結合体。
  8. 請求項5から請求項7までのいずれかに記載の結合体であって、
    前記管状部内には、前記被挿入部の先端より先に空洞が存在する
    結合体。
  9. 請求項5から請求項8までのいずれかに記載の結合体であって、
    前記基部材の前記主部は、所定径を有しており、
    前記管状部の肉厚は、前記所定径の20%以上40%以下のサイズを有している
    結合体。
  10. 請求項5から請求項9までのいずれかに記載の結合体であって、
    前記被挿入部は、先端にかけて先細るテーパ形状を有している
    結合体。
  11. 請求項5から請求項8までのいずれかに記載の結合体であって、
    前記基部材は、突出部を更に備えており、
    前記被挿入部は、前記主部から所定方向に沿って先細るように延びており、
    前記突出部は、前記所定方向と直交する断面において前記主部を越えないように、前記被挿入部から突出している
    結合体。
  12. 請求項10又は請求項11記載の結合体であって、
    前記被挿入部のテーパ形状の傾斜角は、10度以下である
    結合体。
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