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JP2023096741A - タイヤ - Google Patents

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JP2023096741A
JP2023096741A JP2021212688A JP2021212688A JP2023096741A JP 2023096741 A JP2023096741 A JP 2023096741A JP 2021212688 A JP2021212688 A JP 2021212688A JP 2021212688 A JP2021212688 A JP 2021212688A JP 2023096741 A JP2023096741 A JP 2023096741A
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rubber
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tire
tread
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JP2021212688A
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真也 中野
Shinya Nakano
幸伸 河村
Yukinobu Kawamura
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

【課題】タイヤに長時間、大きな力が加わる状況下での早期摩耗を抑制し、耐摩耗性を向上し得るタイヤ用ゴム組成物、および、当該タイヤ用ゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤを提供すること。【解決手段】イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす、タイヤ用ゴム組成物。A/B>3.0 (1)B/D<3.0 (2)C/E>4.0 (3)【選択図】なし

Description

本開示は、タイヤゴム組成物および当該ゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤに関する。
従来から、トレッドの早期摩耗を抑制することが検討されている。例えば、特許文献1には主溝の深さおよび陸部の踏面の形状を規定することによりミドル陸部の早期摩耗を抑制し、耐摩耗性能を向上させることが記載されている。
特開2020-117020号公報
しかし、トレッドに長時間、大きな力が加わる状況下で、トレッドが期待していたレベルより早く摩耗してしまう状態の早期摩耗を抑制することについてはなお課題があった。
本開示は、トレッドに、長時間、大きな力が加わる状況下での早期摩耗を抑制することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討の結果、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、所定量のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤゴム組成物において、イソプレン系ゴムの量、スチレンブタジエンゴムの量、シリカの量、樹脂および液状ゴムの量、および可塑剤の量を所定の関係を満たすように調整することによって上記課題を解決し得ることを見出し、さらに検討を重ねて本開示を完成させた。
すなわち、本開示は、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、
ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、
ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、
AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす、タイヤ用ゴム組成物に関する。
A/B>3.0 (1)
B/D<3.0 (2)
C/E>4.0 (3)
本開示によれば、タイヤに長時間、大きな力が加わる状況下での早期摩耗を抑制し、耐摩耗性を向上し得るタイヤ用ゴム組成物、および、当該タイヤ用ゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤを提供することができる。
本開示の一実施形態に係るタイヤの、回転軸を含む面での断面図である。 本開示の一実施形態に係るタイヤにおいて、トレッド接地面を示した図である。同図中の囲われた領域がトレッド接地面である。
以下、本開示について説明する。但し、以下の記載は本開示を説明するための例示であり、本開示の技術的範囲をこの記載範囲にのみ限定する趣旨ではない。なお、本明細書において、「~」を用いて数値範囲を示す場合、その両端の数値を含むものとする。
本開示に係るゴム組成物は、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす、タイヤ用ゴム組成物である。
A/B>3.0 (1)
B/D<3.0 (2)
C/E>4.0 (3)
理論に拘束されることは意図しないが、本開示のタイヤ用ゴム組成物が本開示の効果を発揮するメカニズムとしては、以下が考えられる。すなわち、タイヤに長時間、大きな力が加わる状況下ではき裂進展による摩耗が支配的になるが、本開示のタイヤ用ゴム組成物においては、(a)樹脂や液状ゴムが配合されているため、ゴム組成物のtanδが上昇し、き裂先端でのエネルギーロスが大きくなるため、き裂の進展が抑制されること、(b)樹脂や液状ゴムの配合により、イソプレン系ゴムのマトリックス中に点在するスチレンブタジエンゴム相が柔軟化され、その結果、応力集中が低減されることでき裂の進展が抑制されること、(c)シリカの配合により、シリカがイソプレン系ゴム相に優先的に分散し、これを補強すること、などが考えられる。そして、これら(a)~(c)が協働することで、タイヤに長時間、大きな力が加わる状況下でも早期摩耗を抑制し、耐摩耗性が向上するものと考えられる。
前記樹脂は、スチレン系樹脂およびクマロン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記液状ゴムは液状スチレンブタジエンゴムであることが好ましい。
これらの樹脂や液状ゴムは、スチレンブタジエンゴムとの相溶性が高いため、より本開示の効果を発揮し易いと考えられる。
前記式(3)の右辺は5.0であることが好ましい。
シリカによる上記(c)の効果がより発揮され易いと考えられるからである。
前記Dは5以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましい。
樹脂や液状ゴムによる上記(a)および(b)の効果がより発揮され易いと考えられるからである。
前記Cは55以上であるであることがより好ましい。
シリカによる上記(c)の効果がより発揮され易いと考えられるからである。
前記Aは50超であることがより好ましい。
イソプレン系ゴムのマトリックスによって、本開示の効果が発揮されやすいと考えられるからである。
前記シリカの平均一次粒子径は、30nm未満であることがより好ましい。
シリカによる補強効果が発揮され易くなるからと考えられるからである。
本開示に係るタイヤは、外面がトレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に位置する第二層とからなるトレッド、または、前記第一層と前記第二層との間にさらに一層もしくは二層の中間層を備えるトレッドを有するタイヤであって、前記第一層が前記タイヤ用ゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤである。
前記本開示のタイヤ用ゴム組成物を、直接路面に接するトレッド第一層に用いることで、上記(a)~(c)が協働することによる耐摩耗性能がより得られやすくなると考えられることに加えて、(d)トレッドを、いわゆるキャップトレッドとベーストレッドとからなる二層構造とすること、さらにはキャップトレッドとベーストレッドとの間に一層または二層の中間層を形成して多層構造とすることにより衝撃吸収性が良くなり、これによりさらに耐摩耗性に寄与することが考えられる。この(d)の寄与は、トレッドが2層から多層に増えるにつれて大きくなるものと期待できる。そして、これら(a)~(d)が協働することで、タイヤに長時間、大きな力が加わる状況下でも早期摩耗を抑制し、耐摩耗性が向上するものと考えられる。
前記トレッド面のランド比(%)をFとするとき、前記Cと前記EとFとは、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
(C/E)×F<10000 (4)
式(3)のC/Eの値は大きくなることでタイヤ用ゴム組成物の耐摩耗性を高める方向に働くものであり、一方、トレッド面のランド比(%)は値が大きくなることでタイヤ剛性を高める方向に働くものであるところ、両者が式(4)の如くに互いに他を律する形で調和することで、最適な耐摩耗性が達成されると考えられる。
前記トレッドの厚み(mm)をGとするとき、前記Aと前記BとGとが、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
(A/B)/G<1.00 (5)
式(1)のA/Bの値は大きくなることでタイヤ用ゴム組成物の耐摩耗性を高める方向に働くものであり、一方、トレッドの厚みは値が大きくなることでタイヤ剛性を高める方向に働くものであるところ、両者が式(5)の如くに互いに他を律する形で調和することで、最適な耐摩耗性が達成されると考えられる。
前記タイヤは重荷重用であることが好ましい。
トラックやバスなどの積載量の多い重荷重用の車両の場合には、本開示の効果が顕著に表れるものと考えられる。
[定義]
「タイヤの各部の寸法等」は、特に断りがない限り、は、正規リムにリム組みされかつ正規内圧が充填された無負荷の正規状態において特定される値とする。
「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMA(日本自動車タイヤ協会)であれば「JATMA YEAR BOOK」に記載されている適用サイズにおける標準リム、ETRTO(The European Tyre and Rim Technical Organisation)であれば「STANDARDS MANUAL」に記載されている「Measuring Rim」、TRA(The Tire and Rim Association, Inc.)であれば「YEAR BOOK」に記載されている「Design Rim」を指す。そして、規格に定められていないタイヤの場合には、リム組み可能であって、内圧が保持できるリム、即ちリム/タイヤ間からエア漏れを生じさせないリムの内、最もリム径が小さく、次いでリム幅が最も狭いものを指す。
「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば「最高空気圧」、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、ETRTOであれば「INFLATION PRESSURE」とする。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最大負荷能力」、TRA規格における表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、およびETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
「トレッドの厚さ」とは、タイヤを回転軸を含む面で切断し、これを正規リムに保持させた状態で計測される、タイヤ中心線上でのトレッドの厚さである。例えば、図1において、Hがトレッドの厚さに相当する。トレッド中心線上のトレッド面が溝を有するものであるときは、該溝は埋められたものとして、トレッドの厚さが計測される。トレッドの第一層の厚さおよび他の層の厚さも同様にして計測される。
「ランド比」とは、正規状態のタイヤに、正規荷重を負荷した場合のトレッドの接地面において、当該接地面に存在する溝およびサイプをすべて埋めた接地面の全面積に対する、当該溝およびサイプの面積を除いた接地面の面積の割合(%)である。例えば、図2において、枠囲いされた部分が、正規状態のタイヤに正規荷重を負荷した場合のトレッドの接地面を表している。したがって、当該接地面に存在する溝およびサイプをすべて埋めた接地面の全面積に対する、当該溝およびサイプの面積を除いた接地面の面積の割合(%)がランド比となる。
[測定方法]
「スチレン含量」は、1H-NMR測定により算出される。
「ビニル結合量(1,2-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017によって測定される。
「重量平均分子量(Mw)」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
「シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)」は、JIS K 6239-2:2017によって測定される。
「シリカの平均一次粒子径」は、透過型電子顕微鏡によって視野内に観察された一次粒子を400個以上測定し、その平均により求めることができる。
「カーボンブラックのN2SA」は、JIS K 6217-2:2017によって求められる値である。
「シリカのN2SA」は、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
「軟化点」は、JIS K 6220-1:2015に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
[ゴム組成物]
以下、本開示のゴム組成物について説明する。本開示のゴム組成物は、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)A、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)B、ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)C、樹脂および液状ゴムの量(質量部)D、および可塑剤の量(質量部)Eが所定の関係式を満たす、タイヤ用ゴム組成物である。
<ゴム成分>
本開示のゴム組成物は、ゴム成分として、イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴム(SBR)を含む。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。このうち、天然ゴムが好ましく、より好ましくは非改質天然ゴム(NR)である。これらのイソプレン系ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
NRとしては、特に限定されず、タイヤ業界において一般的なものを用いることができ、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等が挙げられる。
イソプレン系ゴムのゴム成分中の含有量は、50質量%超が好ましく、60質量%超がより好ましく、70質量以上%がさらに好ましく、70質量%超がさらに好ましい。一方、イソプレン系ゴムの含有量は、100質量%未満であり、95質量%未満であることが好ましく、90質量%未満であることがより好ましく、85質量%未満であることがさらに好ましい。
(SBR)
SBRとしては特に限定はなく、溶液重合SBR(S-SBR)、乳化重合SBR(E-SBR)、これらの変性SBR(変性S-SBR、変性E-SBR)等が挙げられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性されたSBR、スズ、ケイ素化合物等でカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するもの等)等が挙げられる。なかでもS-SBRおよび変性SBRが好ましい。さらに、これらSBRの水素添加物(水素添加SBR)等も使用することができる。これらのSBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRとしては油展SBRを用いることもできるし、非油展SBRを用いることもできる。油展SBRを用いる場合、SBRの油展量、すなわち、SBRに含まれる油展オイルの含有量は、SBRのゴム固形分100質量部に対して、10~50質量部であることが好ましい。
本開示で使用できるS-SBRとしては、JSR(株)、住友化学(株)、宇部興産(株)、旭化成(株)、ZSエラストマー(株)、ARLANXEO社等より市販されているものを使用することができる。
変性SBRとしては、主鎖および/または末端が変性剤により変性されたものであってもよいし、例えば、四塩化スズ、四塩化ケイ素等の多官能型の変性剤により変性されて一部に分岐構造を有するものであってもよいが、主鎖および/または末端がシリカと相互作用する官能基を有する変性剤で変性されたSBR(シリカ用変性BR)が好ましい。特に第一層および/または第二層に変性SBRを含有することが好ましい。
上記シリカと相互作用する官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、炭化水素基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、シリカの分散性を向上させる観点から、アミノ基、エポキシ基、水酸基、アルコキシ基、およびアルコキシシリル基が好ましく、アミノ基およびアルコキシシリル基がより好ましい。
SBRのスチレン含量は、ウェットグリップ性能および耐摩耗性能の観点から、10質量%超が好ましく、15質量%超がより好ましく、20質量%超がさらに好ましい。また、グリップ性能の温度依存性および耐ブロー性能の観点からは、60質量%未満が好ましく、55質量%未満がより好ましく、50質量%未満がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのスチレン含量は前記方法により算出される。
SBRのビニル含量は、シリカとの反応性の担保、ウェットグリップ性能、ゴム強度、および耐摩耗性能の観点から、10モル%超が好ましく、13モル%超がより好ましく、15モル%超がさらに好ましい。また、SBRのビニル含量は、温度依存性の増大防止、破断伸び、および耐摩耗性能の観点から、70モル%未満が好ましく、60モル%未満がより好ましく、40モル%未満がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRのビニル含量(1,2-結合ブタジエン単位量)は前記方法よって測定される。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、ウェットグリップ性能の観点から、20万超が好ましく、25万超がより好ましく、30万超がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点から、重量平均分子量は200万未満が好ましく、150万未満がより好ましく、100万未満がさらに好ましい。なお、本明細書において、SBRの重量平均分子量は前記方法により求めることができる。
SBRのゴム成分中の含有量は、0質量%超であることが好ましく、5質量%超であることがより好ましく、10質量%超であることがさらに好ましい。一方SBRの含有量は、50質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましく、30質量%未満がさらに好ましく、25質量%未満がさらに好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
(その他のゴム成分)
本開示に係るゴム成分として、前記のイソプレン系ゴムおよびSBR以外のゴム成分を含有してもよい。他のゴム成分としては、タイヤ工業で一般的に用いられる架橋可能なゴム成分を用いることができ、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)、スチレン-イソブチレン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、シリコーンゴム、塩化ポリエチレンゴム、フッ素ゴム(FKM)、アクリルゴム(ACM)、ヒドリンゴム等が挙げられる。これらその他のゴム成分は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(BR)
BRとしては特に限定されるものではなく、例えば、シス含量が50モル%未満のBR(ローシスBR)、シス含量が90モル%以上のBR(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR(SPB含有BR)、変性BR(ハイシス変性BR、ローシス変性BR)等タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。これらのBRは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ハイシスBRとしては、例えば、日本ゼオン(株)、宇部興産(株)、JSR(株)等より市販されているものを使用することができる。シス含量は、好ましくは94モル%超、より好ましくは95モル%超、さらに好ましくは96モル%以上、さらに好ましくは98質量%以上である。なお、本明細書において、シス含量(シス-1,4-結合ブタジエン単位量)は前記方法により算出される値である。
希土類系BRとしては、希土類元素系触媒を用いて合成され、ビニル含量が、好ましくは1.8モル%未満、より好ましくは1.0モル%未満、さらに好ましくは0.8%モル未満であり、シス含量が、好ましくは94モル%超、より好ましくは95モル%超、さらに好ましくは96モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上である。希土類系BRとしては、例えば、ランクセス(株)、ARLANXEO社等より市販されているものを使用することができる。
SPB含有BRは、1,2-シンジオタクチックポリブタジエン結晶が、単にBR中に結晶を分散させたものではなく、BRと化学結合したうえで分散しているものが挙げられる。このようなSPB含有BRとしては、宇部興産(株)等より市販されているものを使用することができる。
変性BRとしては、リチウム開始剤により1,3-ブタジエンの重合を行ったのち、スズ化合物を添加することにより得られ、さらに変性BR分子の末端がスズ-炭素結合で結合されているもの(スズ変性BR)や、ブタジエンゴムの主鎖および/または末端が上記のシリカと相互作用する官能基を有する変性剤で変性されたブタジエンゴム(シリカ用変性BR)等が挙げられる。また、変性BRは、水素添加されていないもの、水素添加されているもののいずれであってもよい。
BRの重量平均分子量(Mw)は、耐摩耗性能の観点から、30万超が好ましく、35万超がより好ましく、40万超がさらに好ましい。また、架橋均一性の観点からは、200万未満が好ましく、150万未満がより好ましく、100万未満がさらに好ましい。なお、BRの重量平均分子量は前記方法により求めることができる。
BRのゴム成分中の含有量は、20質量%未満が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%未満がさらに好ましい。
第一層を構成するゴム組成物において、BRの含有量は、0質量%超であることが好ましく、5質量%超であることがより好ましく、10質量%超であることがさらに好ましい。中間層を構成するゴム組成物において、BRの含有量は、0質量%超であることが好ましく、3質量%超であることがより好ましく、7質量%超であることがさらに好ましい。第二層を構成するゴム組成物において、BRの含有量は、0質量%超であることが好ましく、0.5質量%超であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。
ゴム成分の好ましい態様としては、例えば、イソプレン系ゴムおよびSBRのみからなるものが好ましい。この場合において、両者の配合比率は、上記でそれぞれ説明したいずれか一方の含有量が定まれば、残りのイソプレン系ゴムまたはスSBRの含有量は、それらの差分として自ずと定まる。
<充填剤>
本開示のゴム組成物は、所定量のシリカを含む。
(シリカ)
シリカとしては、特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水シリカ)、湿式法により調製されたシリカ(含水シリカ)等、タイヤ工業において一般的なものを使用することができる。なかでもシラノール基が多いという理由から、湿式法により調製された含水シリカが好ましい。これらのシリカは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐チッピング性能の観点から、120m2/g超が好ましく、140m2/g超がより好ましく、160m2/g超がさらに好ましく、170m2/g超がさらに好ましく、180m2/g超がさらに好ましく、190m2/g超がさらに好ましく、200m2/g超がさらに好ましく、210m2/g超がさらに好ましく、220m2/g超がさらに好ましく、230m2/g以上がさらに好ましい。また、低燃費性能および加工性の観点からは、350m2/g未満が好ましく、300m2/g未満がより好ましく、280m2/g未満がさらに好ましく、250m2/g未満がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、前記方法により測定される値である。
シリカの平均一次粒子径は、30nm未満が好ましく、より好ましくは25nm未満、さらに好ましくは20nm未満、さらに好ましくは19nm未満、さらに好ましくは18nm未満、さらに好ましくは17nm未満、さらに好ましくは16nm未満、さらに好ましくは15nm以下である。該平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、1nm超であってもよいし、3nm超であってもよいし、5nm超であってもよいし、10nm超であってもよい。なお、シリカの平均一次粒子径は前記方法により測定することができる。
ゴム成分100質量部に対するシリカの含有量は、50質量部超が好ましく、55質量部以上がより好ましく、60質量部超がさらに好ましく、65質量部超がさらに好ましく、70質量部超がさらに好ましい。一方、該シリカの含有量は、200質量部未満が好ましく、150質量部未満がより好ましく、120質量部未満がさらに好ましく、110質量部以下がさらに好ましく、100質量部未満がさらに好ましい。
(その他の充填剤)
充填剤としては、上記シリカ以外に、さらにその他の充填剤を用いてもよい。そのような充填剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム、タルク、クレー等この分野で一般的に使用される充填剤をいずれも用いることができる。これらの充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、タイヤ工業で通常使用されているものを適宜利用することができる、カーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等、タイヤ工業において一般的なものを使用でき、具体的にはN110、N115、N120、N125、N134、N135、N219、N220、N231、N234、N293、N299、N326、N330、N339、N343、N347、N351、N356、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N660、N683、N754、N762、N765、N772、N774、N787、N907、N908、N990、N991等を好適に用いることができ、これ以外にも自社合成品等も好適に用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、耐候性や補強性の観点から、50m2/g超が好ましく、80m2/g超がより好ましく、100m2/g超がさらに好ましい。また、分散性、低燃費性能、破壊特性および耐久性能の観点からは、250m2/g未満が好ましく、220m2/g未満がより好ましく、200m2/g未満がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、前記測定方法により測定される。
カーボンブラックとしては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。
ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量は、1質量部超が好ましく、3質量部超がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。一方、該カーボンブラックの含有量は、150質量部未満が好ましく、100質量部未満がより好ましく、50質量部未満がさらに好ましく、30質量部未満がさらに好ましく、20質量部未満がさらに好ましく、15質量部未満がさらに好ましく、10質量部未満がさらに好ましい。
シリカとカーボンブラックのゴム成分100質量部に対する合計含有量は、55質量部超が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部超がさらに好ましく、80質量部超がさらに好ましい。また、該合計含有量は、200質量部未満が好ましく、150質量部未満がより好ましく、110質量部未満がさらに好ましく、100質量部未満がさらに好ましい。
充填剤は、シリカとカーボンブラックのみからなるものが好ましい一態様として挙げられる。この場合において、シリカとガーボンブラックの含有量は、上記でそれぞれ説明したものである他、上記合計含有量といずれか一方の含有量が上記から定まれば、残りのシリカまたはカーボンブラックの含有量は、それらの差分として自ずと定まる。
(シランカップリング剤)
本開示のゴム組成物にはシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤としては、特に限定されず、タイヤ工業において、従来シリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができるが、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド系シランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル系シランカップリング剤;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤;γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系シランカップリング剤;3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系シランカップリング剤;3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系シランカップリング剤;メルカプト系シランカップリング剤等が挙げられる。なかでも、スルフィド系シランカップリング剤および/またはメルカプト系シランカップリング剤が好ましい。これらのシランカップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
メルカプト系シランカップリング剤は、下記化学式(1)で表される化合物、および/または下記化学式(2)で表される結合単位Aと下記化学式(3)で表される結合単位Bとを含む化合物であることが好ましい。
Figure 2023096741000001
(式中、R101、R102、およびR103は、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル、炭素数1~12のアルコキシ、または-O-(R111-O)z-R112(z個のR111は、それぞれ独立して、炭素数1~30の2価の炭化水素基を表し;R112は、炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、炭素数6~30のアリール、または炭素数7~30のアラルキルを表し;zは、1~30の整数を表す。)で表される基を表し;R104は、炭素数1~6のアルキレンを表す。)
Figure 2023096741000002
Figure 2023096741000003
(式中、xは0以上の整数を表し;yは1以上の整数を表し;R201は、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシルもしくはカルボキシルで置換されていてもよい炭素数1~30のアルキル、炭素数2~30のアルケニル、または炭素数2~30のアルキニルを表し;R202は、炭素数1~30のアルキレン、炭素数2~30のアルケニレン、または炭素数2~30のアルキニレンを表し;ここにおいて、R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
式(1)で表される化合物としては、例えば、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシランや、下記化学式(4)で表される化合物(エボニックデグサ社製のSi363)等が挙げられ、下記化学式(4)で表される化合物を好適に使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2023096741000004
式(2)で示される結合単位Aと式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社等より製造販売されているものが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、シリカの分散性を高める観点から、1.0質量部超が好ましく、3.0質量部超がより好ましく、5.0質量部超がさらに好ましい。また、コストおよび加工性の観点からは、20質量部未満が好ましく、15質量部未満がより好ましく、12質量部未満がさらに好ましい。
<可塑剤>
本開示のタイヤ用ゴム組成物は、樹脂および液状ゴムの少なくともいずれかを含む可塑剤を含む。前記可塑剤は、樹脂および液状ゴムの少なくともいずれかのみからなるものであってもよい。また、前記可塑剤は、本開示の効果の観点から、SBRと相溶性を有するものであることが好ましい。なお、可塑剤とは、ゴムを軟化させる作用を有する薬品であり、前記樹脂および液状ゴムの他、タイヤ工業で慣用されるもの、例えば、オイル、エステル系可塑剤等を含むものである。
(樹脂)
樹脂は、タイヤ工業で慣用される樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂、C5C9系樹脂、テルペン系樹脂等が挙げられる。なかでも、SBRとの相溶性の観点から、スチレン系樹脂、クマロン系樹脂が好ましい。樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪スチレン系樹脂≫
スチレン系樹脂としては、α-メチルスチレンのホモポリマー(ポリ-α-メチルスチレン)、α-メチルスチレンと芳香族化合物やフェノール系化合物を含む他の化合物とのコポリマーが挙げられる。このコポリマーを構成し得る他の化合物としては、スチレン、メチルスチレン、メトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。スチレン系樹脂としては、例えば、α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体などが挙げられる。スチレン系樹脂は、クレイトン社製のものなどが好適に用いられる。スチレン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪クマロン系樹脂≫
クマロン系樹脂は、クマロンを主成分する樹脂であり、例えば、クマロン樹脂、クマロンインデン樹脂、クマロンとインデンとスチレンを主成分とする共重合樹脂等が挙げられる。クマロン系樹脂は、日塗化学(株)製のものなどが好適に用いられる。クマロン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪C5C9系樹脂≫
C5C9系石油樹脂は、いわゆるC5留分とC9留分を共重合することにより得られる樹脂をいい、それらを水素添加したものや変性したものであってもよい。C5留分は、炭素数4~5個相当の石油留分であり、イソプレンやシクロペンタジエンなどの不飽和モノマーである。C9留分は、炭素数8~10個相当の石油留分であり、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンなどである。C5C9系樹脂は、東ソー(株)、LUHUA社製のものなどが好適に用いられる。C5C9系石油樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪テルペン系樹脂≫
テルペン系樹脂としては、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペンスチレン樹脂等が挙げられる。ポリテルペン樹脂は、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ジペンテン等のテルペン化合物から選ばれる少なくとも1種を原料とする樹脂である。テルペンフェノール樹脂は、前記テルペン化合物およびフェノール系化合物を原料とする樹脂である。テルペンスチレン樹脂は、前記テルペン化合物およびスチレンを原料とする樹脂である。ポリテルペン樹脂およびテルペンスチレン樹脂は、水素添加処理を行った樹脂(水添ポリテルペン樹脂、水添テルペンスチレン樹脂)であってもよい。テルペン系樹脂への水素添加処理は、公知の方法で行うことができる。テルペン系樹脂は、クレイトン社、ヤスハラケミカル(株)製のものなどが好適に用いられる。テルペン系樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪樹脂の軟化点≫
樹脂の軟化点は、本開示の効果の観点から、160℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましい。また、軟化点は、グリップ性能の観点から、20℃以上が好ましく、35℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましく、80℃以上がさらに好ましい。なお、樹脂の軟化点は前記測定方法で求められる。
(液状ゴム)
液状ゴムは、常温(25℃)で液体状態のポリマーであれば特に限定されないが、例えば、液状ブタジエンゴム(液状BR)、液状スチレンブタジエンゴム(液状SBR)、液状イソプレンゴム(液状IR)、液状スチレンイソプレンゴム(液状SIR)、液状ファルネセンゴム等が挙げられる。このうち、SBRとの相溶性の観点から、液状SBRが好ましい。液状ゴムは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(その他の可塑剤)
前記樹脂および液状ゴム以外の可塑剤としては、タイヤ工業で慣用されるものを用いることができ、例えば、オイル、エステル系可塑剤などが挙げられる。
≪オイル≫
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、動物油脂等が挙げられる。前記プロセスオイルとしてはパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルを使用することもできる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族系抽出物(TDAE)、重ナフテン系オイル等が挙げられる。オイルは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
≪エステル系可塑剤≫
エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジブチル(DBA)、アジピン酸ジイソブチル(DIBA)、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジブチル(DBS)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、フタル酸ジエチル(DEP)、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジウンデシル(DUP)、フタル酸ジブチル(DBP)、セバシン酸ジオクチル(DOS)、リン酸トリブチル(TBP)、リン酸トリオクチル(TOP)、リン酸トリエチル(TEP)、リン酸トリメチル(TMP)、チミジントリリン酸(TTP)、リン酸トリクレシル(TCP)、リン酸トリキシレニル(TXP)等が挙げられる。エステル系可塑剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(含有量)
樹脂のゴム成分100質量部に対する含有量は、本開示の効果の観点から、1質量部超が好ましく、5質量超がより好ましく、7質量超がさらに好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能およびグリップ性能の観点からは、50質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましく、20質量部未満がさらに好ましく、15質量部未満がさらに好ましい。
液状ゴムのゴム成分100質量部に対する含有量は、本開示の効果の観点から、1質量部超が好ましく、5質量超がより好ましく、7質量超がさらに好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能およびグリップ性能の観点からは、50質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましく、20質量部未満がさらに好ましく、15質量部未満がさらに好ましい。
樹脂および液状ゴムを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、本開示の効果の観点から、5質量部超が好ましく、7質量超がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能およびグリップ性能の観点からは、50質量部未満が好ましく、30質量部未満がより好ましく、20質量部未満がさらに好ましく、15質量部未満がさらに好ましい。
可塑剤のゴム成分100質量部に対する含有量(複数の可塑剤を併用する場合は全ての合計量)は、本開示の効果の観点から、5質量部超が好ましく、7質量超がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、耐摩耗性能およびグリップ性能の観点からは、70質量部未満が好ましく、50質量部未満がより好ましく、40質量部未満がさらに好ましく、30質量部未満がさらに好ましく、20質量部未満がさらに好ましく、15質量部未満がさらに好ましい。
<その他の配合剤>
本開示に係るトレッドの各層を構成するゴム組成物には、前記成分以外にも、従来タイヤ工業で一般に使用される配合剤、例えば、ワックス、加工助剤、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(ワックス)
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐候性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましい。また、ブルームによるタイヤの白色化防止の観点からは、10質量部未満が好ましく、5質量部未満がより好ましい。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。これらの加工助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。加工助剤としては、例えば、Schill+Seilacher社、パフォーマンスアディティブス社等より市販されているものを使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の改善効果を発揮させる観点から、0.5質量部超が好ましく、1質量部超がより好ましい。また、耐摩耗性および破壊強度の観点からは、10質量部未満が好ましく、8質量部未満がより好ましい。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アミン系、キノリン系、キノン系、フェノール系、イミダゾール系の各化合物や、カルバミン酸金属塩等の老化防止剤が挙げられ、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系老化防止剤、および2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン等のキノリン系老化防止剤が好ましい。これらの老化防止剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、ゴムの耐オゾンクラック性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能やウェットグリップ性能の観点からは、10.0質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
(ステアリン酸)
ステアリン酸を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、加硫速度の観点からは、10.0質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、加工性の観点から、0.5質量部超が好ましく、1.0質量部超がより好ましく、1.5質量部超がさらに好ましい。また、耐摩耗性能の観点からは、10.0質量部未満が好ましく、5.0質量部未満がより好ましい。
(加硫剤)
加硫剤としては硫黄が好適に用いられる。硫黄としては、粉末硫黄、油処理硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄等を用いることができる。
加硫剤として硫黄を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、十分な加硫反応を確保する観点から、0.1質量部超が好ましく、0.3質量部超がより好ましく、0.5質量部超がさらに好ましい。また、劣化防止の観点からは、3.0質量部未満が好ましく、2.5質量部未満がより好ましく、2.0質量部未満がさらに好ましい。なお、加硫剤として、オイル含有硫黄を使用する場合の加硫剤の含有量は、オイル含有硫黄に含まれる純硫黄分の合計含有量とする。
硫黄以外の加硫剤としては、例えば、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン等が挙げられる。これらの硫黄以外の加硫剤は、田岡化学工業(株)、ランクセス(株)、フレクシス社等より市販されているものを使用することができる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド-アミン系若しくはアルデヒド-アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤等が挙げられる。これら加硫促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、スルフェンアミド系、グアニジン系、およびチアゾール系加硫促進剤からなる群から選ばれる1以上の加硫促進剤が好ましく、スルフェンアミド系加硫促進剤がより好ましい。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DCBS)等が挙げられる。なかでも、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)、1,3-ジ-o-トリルグアニジン、1-o-トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ-o-トリルグアニジン塩、1,3-ジ-o-クメニルグアニジン、1,3-ジ-o-ビフェニルグアニジン、1,3-ジ-o-クメニル-2-プロピオニルグアニジン等が挙げられる。なかでも、1,3-ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
チアゾール系加硫促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。なかでも、2-メルカプトベンゾチアゾールが好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1.0質量部超が好ましく、1.5質量部以上がより好ましい。また、加硫促進剤のゴム成分100質量部に対する含有量は、8.0質量部未満が好ましく、6.0質量部未満がより好ましく、3.0質量部未満がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、破壊強度および伸びが確保できる傾向がある。
<A/B、B/D、およびC/Eについて>
本開示のゴム組成物は、ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす。
A/B>3.0 (1)
B/D<3.0 (2)
C/E>4.0 (3)
(式(1))
式(1)において、右辺の値は好ましくは3.5、より好ましくは4.0である。A/Bの値の上限は、特に限定されないが、例えば、15.0未満程度であり、好ましくは10.0未満、より好ましくは8.0未満、さらに好ましくは6.0未満である。
(式(2))
式(2)において、右辺の値は好ましくは2.9、より好ましくは2.8、より好ましくは2.6、さらに好ましくは2.4、さらに好ましくは2.2、さらに好ましくは2.1である。B/Dの値の下限は、特に限定されないが、例えば、0.5超程度であり、好ましくは0.7超、より好ましくは0.9超、さらに好ましくは1.0超である。
(式(3))
式(3)において、右辺の値は好ましくは4.5、より好ましくは5.0、さらに好ましくは5.4である。C/Eの値の上限は、特に限定されないが、例えば、20.0未満程度であり、好ましくは15.0未満、より好ましくは10.0未満、さらに好ましくは8.0未満である。
[タイヤ]
本開示のタイヤは、外面がトレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に位置する第二層とからなるトレッド、または、前記第一層と前記第二層との間にさらに一層もしくは二層の中間層を備えるトレッドを有するタイヤであって、前記第一層が、前記本開示のゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤである。ここで、前記第二層は、図1に示されるように、ベルト層6のタイヤ半径方向外側にあって、当該ベルト層6に隣接している。
<式(4)>
本開示のタイヤにおいて、前記トレッド面のランド比(%)をFとするとき、前記Cと前記EとFとが、以下の式(4)を満たすことが好ましい。
(C/E)×F<10000 (4)
上記式(4)において、右辺の値は好ましくは5000、より好ましくは1000、さらに好ましくは900、さらに好ましくは800、さらに好ましくは700、さらに好ましくは600である。一方、(C/E)×Fの値の下限は、特に限定されないが、例えば、100超であり、好ましくは100超、より好ましくは200超、さらに好ましくは300超である。
<式(5)>
本開示のタイヤにおいて、前記トレッドの厚み(mm)をGとするとき、前記Aと前記BとGとが、以下の式(5)を満たすことが好ましい。
(A/B)/G<1.00 (5)
上記式(5)において、右辺の値は好ましくは0.80、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40、さらに好ましくは0.35である。(A/B)/Gの値の下限は、特に限定されないが、例えば、0.08超であり、好ましくは0.09超、より好ましくは0.10超、さらに好ましくは0.11超、さらに好ましくは0.12超である。
<ランド比>
本開示のタイヤにおいて、前記ランド比(%)Fは、好ましくは60%超、より好ましくは70%超、さらに好ましくは80%超、さらに好ましくは85%超である。また、当該Cは93%未満であることが好ましく、91%未満であることが好ましい。
<トレッドの厚さ>
本開示のタイヤのトレッドの厚さについて説明する。例えば、本開示のタイヤが第一層と、第二層とからなるトレッドを備えるものである場合、第一層の厚さは、好ましくは16mm超であり、より好ましくは18mm超、さらに好ましくは20mm超である。一方、該第一層の厚さは、好ましくは28mm未満、より好ましくは26mm未満、さらに好ましくは24mm未満である。また、第二層の厚さは、好ましくは0.5mm超であり、より好ましくは1.0mm超、さらに好ましくは1.5mm超である。一方、該第二層の厚さは、好ましくは3.5mm未満、より好ましくは3.0mm未満、さらに好ましくは2.5mm未満である。
本開示のタイヤが第一層と、中間層と、第二層とからなるトレッドを備えるものである場合、第一層の厚さは、好ましくは8mm超であり、より好ましくは9mm超、さらに好ましくは10mm超である。一方、該第一層の厚さは、好ましくは14mm未満、より好ましくは13mm未満、さらに好ましくは12mm未満である。また、中間層の厚さは、好ましくは8mm超であり、より好ましくは9mm超、さらに好ましくは10mm超である。一方、該中間層の厚さは、好ましくは14mm未満、より好ましくは13mm未満、さらに好ましくは12mm未満である。さらに、第二層の厚さは、好ましくは0.5mm超であり、より好ましくは1.0mm超、さらに好ましくは1.5mm超である。一方、該第二層の厚さは、好ましくは3.5mm未満、より好ましくは3.0mm未満、さらに好ましくは2.5mm未満である。
本開示のタイヤが第一層と、2層の中間層と、第二層とからなるトレッドを備えるものである場合、第一層の厚さおよび第二層の厚さは、中間層が1層の場合と同様であることができる。一方、2層の中間層は、上記1層の中間層を、所望の比率で二分したものであってよい。例えば、上記1層の中間層を等分の厚さに分割したものであってもよいし、上記1層の中間層をトレッド面の側から2:1の割合の厚さに分割したものであっても、あるいは、1:2の厚さに分割したものであってもよい。
本開示のタイヤのトレッドの厚み(mm)Gは、トレッド全体の厚みを意味する。例えば、図1においては、Hに相当する。当該Gは、好ましくは16.5mm超であり、より好ましくは18mm超、さらに好ましくは20mm超、さらに好ましくは22mm超である。一方、該第一層の厚さは、好ましくは31.5mm未満、より好ましくは30.0mm未満、さらに好ましくは28mm未満、さらに好ましくは26mm未満である。
[用途]
本開示に係るタイヤは、2層、3層または4層のゴム層からなるトレッドを備えるものであり、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わないが、空気入りタイヤとして、好適に使用することができる。また、本開示のタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バスなどの重荷重用タイヤ、二輪車用タイヤ、高性能タイヤ等さまざまな用途に使用することができ、特に重荷重用タイヤとして好適に使用される。
[製法]
<ゴム組成物の製造>
本開示のゴム組成物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記の各成分をオープンロール、密閉式混練機(バンバリーミキサー、ニーダー等)等のゴム混練装置を用いて混練りすることにより製造できる。混練り工程は、例えば、加硫剤および加硫促進剤以外の配合剤および添加剤を混練りするベース練り工程と、ベース練り工程で得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加して混練りするファイナル練り(F練り)工程とを含んでなるものである。さらに、前記ベース練り工程は、所望により、複数の工程に分けることもできる。混練条件としては特に限定されるものではないが、例えば、ベース練り工程では、排出温度150~170℃で3~10分間混練りし、ファイナル練り工程では、50~110℃で1~5分間混練りする方法が挙げられる。
<タイヤの製造>
上記成分を配合したゴム組成物は、未加硫の段階で、所望のトレッドの各層の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤとすることができる。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧(加硫)することにより、本開示のタイヤを得ることができる。加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150~200℃で5~30分間加硫する方法が挙げられる。
本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示は、実施例のみに限定されるものではない。
以下、実施例および比較例において用いた各種薬品をまとめて示す。
NR:TSR20
SBR:ARLANXEO社製のSBR1502(E-SBR、スチレン含量:23.5質量%、ビニル含量:18モル%、Mw:42万)
BR:ARLANXEO社製のBUNA CB24(Nd系触媒を用いて合成したBR、シス量:96モル%、ビニル含量:0.7モル%、Mw:50万)
カーボンブラック:Birla Carbon Brasil Ltda製のN220(N2SA:115m2/g)
シリカ:エボニックデグサ社製のウルトラシル9100GR(N2SA:230m2/g、平均一次粒子径:15nm)
シランカップリング剤:エボニックデグサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
オイル:出光興産(株)製のダイアナプロセスオイルPA32
樹脂1:クレイトン社製のSylvares SA85(α-メチルスチレンとスチレンを共重合したスチレン系樹脂、軟化点:85℃)
樹脂2:日塗化学(株)製のクマロンV-120(クマロンとインデンを共重合したクマロン系樹脂、軟化点:120℃)
樹脂3:東ソー(株)製のペトロタック100V(C5C9系石油樹脂、軟化点:96℃)
樹脂4:クレイトン社製のSYLVATARAXX4150(テルペン化合物を重合したテルペン系樹脂(ポリテルペン樹脂)、軟化点:115℃)
樹脂5:ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターT115(テルペン化合物とフェノール(水酸基を一つ有する)を共重合したテルペン系樹脂(テルペンフェノール樹脂)、軟化点:110~120℃)
液状ゴム:Cray valley社製のRICON100(液状SBR、ランダム共重合体、スチレン含量:25質量%、ビニル含量:70%、Mn:4500)
老化防止剤1:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製のノクラックRD(ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン))
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸つばき
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5%オイル含有粉末硫黄)
加硫促進剤1:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS-P(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン(DPG))
[実施例および比較例]
表1に示す配合処方にしたがい、1.7Lの密閉型バンバリーミキサーを用いて、硫黄および加硫促進剤以外の薬品を排出温度150~160℃になるまで1~10分間混練りし、混練物を得た。次に、2軸オープンロールを用いて、得られた混練物に硫黄および加硫促進剤を添加し、4分間、105℃になるまで練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を用いて、表2に従い、トレッドの第一層、中間層、および第二層の形状に合わせて成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、170℃で加硫して、各試験用タイヤ(サイズ:12R22.5、トラック・バス用タイヤ)を得た。
<耐摩耗性能>
上記で得た各試験タイヤをリム(22.5×7.50)にリム組みし、内圧を900kPaに調整した。このタイヤを、試験車両(2-D4トラック)のドライブ輪に装着した。この試験車両(積載荷重:8トン)に、タイヤ1本あたり3450kgの荷物を積み、で、日本国内の一般道路および高速道路を走行し、耐摩耗性を評価した。走行距離が4万5000km(摩耗率30%に相当)に達した時点で、摩耗量を計測した。摩耗量の逆数を、基準例(比較例2)を100として指数表示した。数値が大きいほど、摩耗量が少なく、耐摩耗性に優れる。
Figure 2023096741000005
Figure 2023096741000006
表2の結果より、本開示のタイヤでは、長時間、大きな力が加わる状況下での早期摩耗が抑制され、耐摩耗性能が改善されていることがわかる。
<実施形態>
以下に、好ましい実施形態を示す。
[1]イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、
ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、
ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、
AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす、好ましくは式(1)の右辺が3.5、より好ましくは4.0である、好ましくは式(2)の右辺が2.9、より好ましくは2.8、さらに好ましくは2.6、さらに好ましくは2.4、さらに好ましくは2.2、さらに好ましくは2.1である、好ましくは式(3)の右辺が4.5である、タイヤ用ゴム組成物。
A/B>3.0 (1)
B/D<3.0 (2)
C/E>4.0 (3)
[2]前記樹脂が、スチレン系樹脂およびクマロン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記液状ゴムが液状スチレンブタジエンゴムである、上記[1]記載のタイヤ用ゴム組成物、
[3]前記式(3)の右辺が5.0である、上記[1]または[2]記載のタイヤ用ゴム組成物、
[4]前記Dが5以上、好ましくは5超、より好ましくは7超である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
[5]前記Dが10以上である、上記[1]~[3]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
[6]前記Cが55以上、好ましくは60超、より好ましくは65超、さらに好ましくは70超である、上記[1]~[5]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
[7]前記Aが50超、好ましくは60超、より好ましくは70以上、さらに好ましくは70超である、上記[1]~[6]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
[8]前記シリカの平均一次粒子径が、30nm未満、好ましくは25nm未満、より好ましくは20nm未満、さらに好ましくは19nm未満、さらに好ましくは18nm未満、さらに好ましくは17nm未満、さらに好ましくは16nm未満、さらに好ましくは15nm以下である、上記[1]~[7]のいずれかに記載のタイヤ用ゴム組成物、
[9]外面がトレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に位置する第二層とからなるトレッド、または、前記第一層と前記第二層との間にさらに一層もしくは二層の中間層を備えるトレッドを有するタイヤであって、
前記第一層が、上記[1]~[8]のいずれかに記載のゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤ、
[10]前記トレッド面のランド比(%)をFとするとき、前記Cと前記EとFとが、以下の式(4)を満たす、好ましくは右辺が5000、より好ましくは1000、さらに好ましくは900である、さらに好ましくは800である、さらに好ましくは700である、さらに好ましくは600である、上記[9]記載のタイヤ、
(C/E)×F<10000 (4)
[11]前記トレッドの厚み(mm)をGとするとき、前記Aと前記BとGとが、以下の式(5)を満たす、好ましくは右辺が0.80、より好ましくは右辺が0.60、さらに好ましくは右辺が0.50、さらに好ましくは右辺が0.40、さらに好ましくは右辺が0.35である、上記[9]または[10]記載のタイヤ、
(A/B)/G<1.00 (5)
[12]重荷重用である、上記[9]~[11]のいずれかに記載のタイヤ。
1・・・タイヤ
2・・・トレッド面
3・・・トレッド
4・・・第一層
5・・・第二層
6・・・ブレーカー
H・・・トレッドの厚さ
H1・・トレッドの第一層の厚さ
H2・・トレッドの第二層の厚さ
C・・・タイヤ中心線

Claims (12)

  1. イソプレン系ゴムおよびスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分と、ゴム成分100質量部に対し50質量部超のシリカと、樹脂および液状ゴムの少なくとも一つを含む可塑剤とを含むタイヤ用ゴム組成物であって、
    ゴム成分中のイソプレン系ゴムの量(質量%)をA、スチレンブタジエンゴムの量(質量%)をBとし、
    ゴム成分100質量部に対するシリカの量(質量部)をC、樹脂および液状ゴムの量(質量部)をD、可塑剤の量(質量部)をEとするとき、
    AとBとCとDとEとが下記式(1)、式(2)および式(3)を満たす、タイヤ用ゴム組成物。
    A/B>3.0 (1)
    B/D<3.0 (2)
    C/E>4.0 (3)
  2. 前記樹脂が、スチレン系樹脂およびクマロン系樹脂からなる群から選択される少なくとも一つであり、前記液状ゴムが液状スチレンブタジエンゴムである、請求項1記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 前記式(3)の右辺が5.0である、請求項1または2記載のタイヤ用ゴム組成物。
  4. 前記Dが5以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  5. 前記Dが10以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  6. 前記Cが55以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  7. 前記Aが50超である、請求項1~6のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  8. 前記シリカの平均一次粒子径が、30nm未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  9. 外面がトレッド面を構成する第一層と、前記第一層のタイヤ半径方向内側に位置する第二層とからなるトレッド、または、前記第一層と前記第二層との間にさらに一層もしくは二層の中間層を備えるトレッドを有するタイヤであって、
    前記第一層が、請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物で構成されているトレッドを有するタイヤ。
  10. 前記トレッド面のランド比(%)をFとするとき、前記Cと前記EとFとが、以下の式(4)を満たす、請求項9記載のタイヤ。
    (C/E)×F<10000 (4)
  11. 前記トレッドの厚み(mm)をGとするとき、前記Aと前記BとGとが、以下の式(5)を満たす、請求項9または10記載のタイヤ。
    (A/B)/G<1.00 (5)
  12. 重荷重用である、請求項9~11のいずれか1項に記載のタイヤ。
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