JP2023069907A - モータ制御装置 - Google Patents
モータ制御装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2023069907A JP2023069907A JP2021182118A JP2021182118A JP2023069907A JP 2023069907 A JP2023069907 A JP 2023069907A JP 2021182118 A JP2021182118 A JP 2021182118A JP 2021182118 A JP2021182118 A JP 2021182118A JP 2023069907 A JP2023069907 A JP 2023069907A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- command value
- steering
- torque
- dead zone
- unit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02T—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
- Y02T10/00—Road transport of goods or passengers
- Y02T10/60—Other road transportation technologies with climate change mitigation effect
- Y02T10/72—Electric energy management in electromobility
Landscapes
- Power Steering Mechanism (AREA)
- Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
Abstract
【課題】運転モードに応じて適切な協調制御を行えるようになる、モータ制御装置を提供する。【解決手段】モータ制御装置は、操舵トルクとアシストトルク指令値とを用いて、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、手動操舵指令値生成部に入力する操舵トルク、手動操舵指令値生成部に入力するアシストトルク指令値およびアシストトルク指令値演算部に入力する前記操舵トルクのうちの少なくとも1つに設けられた不感帯処理部と、運転モードに応じて、不感帯処理部の少なくとも1つの不感帯処理部の不感帯幅を変更する不感帯幅変更部とを含む。【選択図】図2
Description
この発明は、舵角制御用の電動モータを制御するモータ制御装置に関する。
下記特許文献1には、操舵トルクを用いて手動操舵指令値を演算する手動操舵指令値演算部と、自動操舵指令値に手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、統合角度指令値に基づいて、電動モータを角度制御する制御部とを含むモータ制御装置が開示されている。
特許文献1に記載のモータ制御装置では、運転モードが自動運転モードである場合に、自動操舵指令値に手動操舵指令値が加算された統合角度指令値に基づいて電動モータが制御される。これにより、手動操舵制御と自動操舵制御との間で切り替えを行うことなく、自動操舵制御主体での操舵制御を行いながら手動操舵が可能な協調制御を行える。
この発明の一実施形態の目的は、運転モードに応じて適切な協調制御を行えるようになる、モータ制御装置を提供することである。
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、前記操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を設定するアシストトルク指令値設定部と、前記操舵トルクと前記アシストトルク指令値とを用いて、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記操舵トルク、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記アシストトルク指令値および前記アシストトルク指令値演算部に入力する前記操舵トルクのうちの少なくとも1つに設けられた不感帯処理部と、運転モードに応じて、前記不感帯処理部の少なくとも1つの不感帯処理部の不感帯幅を設定する不感帯幅設定部とを含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転モードに応じて適切な協調制御を行えるようになる。
本発明における上述の、またはさらに他の目的、特徴および効果は、添付図面を参照して次に述べる実施形態の説明により明らかにされる。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、前記操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を設定するアシストトルク指令値設定部と、前記操舵トルクと前記アシストトルク指令値とを用いて、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記操舵トルク、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記アシストトルク指令値および前記アシストトルク指令値演算部に入力する前記操舵トルクのうちの少なくとも1つに設けられた不感帯処理部と、運転モードに応じて、前記不感帯処理部の少なくとも1つの不感帯処理部の不感帯幅を設定する不感帯幅設定部とを含む、モータ制御装置を提供する。
本発明の一実施形態は、操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、前記操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を設定するアシストトルク指令値設定部と、前記操舵トルクと前記アシストトルク指令値とを用いて、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記操舵トルク、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記アシストトルク指令値および前記アシストトルク指令値演算部に入力する前記操舵トルクのうちの少なくとも1つに設けられた不感帯処理部と、運転モードに応じて、前記不感帯処理部の少なくとも1つの不感帯処理部の不感帯幅を設定する不感帯幅設定部とを含む、モータ制御装置を提供する。
この構成では、運転モードに応じて適切な協調制御を行えるようになる。
本発明の一実施形態では、車速を検出する車速検出部をさらに含み、前記不感帯幅設定部は、前記車速を考慮して、前記不感帯処理部の不感帯幅を設定するように構成されている。
本発明の一実施形態では、前記運転モードは、車両が車線を逸脱するのを防止する車線維持支援モードと、他車両等との衝突を自動的に回避するための自動緊急回避モードと、車両を自動的に駐車させるための自動駐車モードとを含む。
[本発明の実施形態の詳細な説明]
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
[1]電動パワーステアリングシステムの概略構成
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るモータ制御装置が適用された電動パワーステアリングシステムの概略構成を示す模式図である。
電動パワーステアリングシステム1は、車両を操向するための操舵部材としてのステアリングホイール(ハンドル)2と、このステアリングホイール2の回転に連動して転舵輪3を転舵する転舵機構4と、ドライバの操舵を補助するための操舵補助機構5とを備えている。ステアリングホイール2と転舵機構4とは、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して機械的に連結されている。
ステアリングシャフト6は、ステアリングホイール2に連結された入力軸8と、中間軸7に連結された出力軸9とを含む。入力軸8と出力軸9とは、トーションバー10を介して相対回転可能に連結されている。
トーションバー10の近傍には、トルクセンサ(トルク検出部)12が配置されている。トルクセンサ12は、入力軸8および出力軸9の相対回転変位量に基づいて、ステアリングホイール2に与えられた操舵トルク(トーションバートルク)Ttbを検出する。この実施形態では、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbは、例えば、左方向への操舵のためのトルクが正の値として検出され、右方向への操舵のためのトルクが負の値として検出され、その絶対値が大きいほど操舵トルクTtbの大きさが大きくなるものとする。
転舵機構4は、ピニオン軸13と、転舵軸としてのラック軸14とを含むラックアンドピニオン機構からなる。ラック軸14の各端部には、タイロッド15およびナックルアーム(図示略)を介して転舵輪3が連結されている。ピニオン軸13は、中間軸7に連結されている。ピニオン軸13は、ステアリングホイール2の操舵に連動して回転するようになっている。ピニオン軸13の先端には、ピニオン16が連結されている。
ラック軸14は、車両の左右方向に沿って直線状に延びている。ラック軸14の軸方向の中間部には、ピニオン16に噛み合うラック17が形成されている。このピニオン16およびラック17によって、ピニオン軸13の回転がラック軸14の軸方向移動に変換される。ラック軸14を軸方向に移動させることによって、転舵輪3を転舵することができる。
ステアリングホイール2が操舵(回転)されると、この回転が、ステアリングシャフト6および中間軸7を介して、ピニオン軸13に伝達される。そして、ピニオン軸13の回転は、ピニオン16およびラック17によって、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。
操舵補助機構5は、操舵補助力(アシストトルク)を発生するための電動モータ18と、電動モータ18の出力トルクを増幅して転舵機構4に伝達するための減速機19とを含む。減速機19は、ウォームギヤ20と、このウォームギヤ20と噛み合うウォームホイール21とを含むウォームギヤ機構からなる。減速機19は、伝達機構ハウジングとしてのギヤハウジング22内に収容されている。以下において、減速機19の減速比(ギヤ比)をNで表す場合がある。減速比Nは、ウォームホイール21の回転角θwwに対するウォームギヤ20の回転角θwgの比θwg/θwwとして定義される。
ウォームギヤ20は、電動モータ18によって回転駆動される。また、ウォームホイール21は、出力軸9に一体回転可能に連結されている。
電動モータ18によってウォームギヤ20が回転駆動されると、ウォームホイール21が回転駆動され、ステアリングシャフト6にモータトルクが付与されるとともにステアリングシャフト6(出力軸9)が回転する。そして、ステアリングシャフト6の回転は、中間軸7を介してピニオン軸13に伝達される。ピニオン軸13の回転は、ラック軸14の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪3が転舵される。すなわち、電動モータ18によってウォームギヤ20を回転駆動することによって、電動モータ18による操舵補助や転舵輪3の転舵が可能となる。電動モータ18には、電動モータ18のロータの回転角を検出するための回転角センサ23が設けられている。
出力軸9(電動モータ18の駆動対象の一例)に加えられるトルクとしては、電動モータ18によるモータトルクと、モータトルク以外の外乱トルクとがある。モータトルク以外の外乱トルクTlcには、操舵トルクTtb、路面負荷トルク(路面反力トルク)Trl、摩擦トルクTf等が含まれる。
操舵トルクTtbは、ドライバによってステアリングホイール2に加えられる力(ドライバトルク)や、ステアリング慣性によって発生する力等によって、ステアリングホイール2側から出力軸9に加えられるトルクである。
路面負荷トルクTrlは、タイヤに発生するセルフアライニングトルク、サスペンションやタイヤホイールアライメントによって発生する力、ラックアンドピニオン機構の摩擦力等によって、転舵輪3側からラック軸14を介して出力軸9に加えられるトルクである。
車両には、車両の進行方向前方の道路を撮影するCCD(Charge Coupled Device)カメラ25、自車位置を検出するためのGPS(Global Positioning System)26、道路形状や障害物を検出するためのレーダー27、地図情報を記憶した地図情報メモリ28および車速Vを検出するため車速センサ(車速検出部)29が搭載されている。
CCDカメラ25、GPS26、レーダー27、地図情報メモリ28および車速センサ29は、自動運転制御(運転支援制御を含む)を行うための上位ECU(ECU:Electronic Control Unit)201に接続されている。上位ECU201は、CCDカメラ25、GPS26、レーダー27および車速センサ29によって得られる情報および地図情報を元に、周辺環境認識、自車位置推定、経路計画等を行い、操舵や駆動アクチュエータの制御目標値の決定を行う。
この実施形態では、運転モードとして、通常モードと、車線維持支援モードと、自動緊急回避モードと、自動駐車モードとがある。通常モードは、後述する手動操舵指令値θ*
c,mdまたはアシストトルク指令値T*
m,mdに基づいて操舵が行われるモードである。車線維持支援モードは、車両が車線を逸脱するのを防止するための運転支援が行われるモードである。例えば、レーンキープアシスト(LKA)は、車線維持支援モード時に実行されるアプリケーションの一例である。
自動緊急回避モードは、他車両等との衝突を自動的に回避するための自動緊急回避操舵が行われるモードである。自動駐車モードは、駐車スペースに車両を自動的に駐車させるための自動駐車操舵が行われるモードである。例えば、インテリジェントパーキングアシスト(IPA)は、自動駐車モード時に実行されるアプリケーションの一例である。
車線維持支援モード時には、上位ECU201は、車線逸脱防止のための自動操舵指令値θ*
c,adを設定する。自動緊急回避モード時には、上位ECU201は、緊急回避のための自動操舵指令値θ*
c,adを設定する。自動駐車モード時には、上位ECU201は、自動駐車のための自動操舵指令値θ*
c,adを設定する。このような自動操舵指令値θ*
c,adを設定する処理は、周知であるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、通常モード時には、上位ECU201は、自動操舵指令値θ*
c,adを零に設定する。
また、上位ECU201は、運転モードを示すモード信号Smodeを出力する。モード信号Smode、上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θ*
c,adおよび車速Vは、車載ネットワークを介して、モータ制御用ECU202に与えられる。トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtb、回転角センサ23の出力信号は、モータ制御用ECU202に入力される。モータ制御用ECU202は、これらの入力信号および上位ECU201から与えられる情報に基づいて、電動モータ18を制御する。
[2]モータ制御用ECU202
図2は、モータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
図2は、モータ制御用ECU202の電気的構成を説明するためのブロック図である。
モータ制御用ECU202は、マイクロコンピュータ40と、マイクロコンピュータ40によって制御され、電動モータ18に電力を供給する駆動回路(インバータ回路)31と、電動モータ18に流れる電流(以下、「モータ電流Im,int」という)を検出するための電流検出回路32とを備えている。
マイクロコンピュータ40は、CPUおよびメモリ(ROM、RAM、不揮発性メモリなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。この複数の機能処理部には、回転角演算部41と、減速比除算部42と、第1不感帯処理部43と、アシストトルク指令値設定部44と、第2不感帯処理部45と、手動操舵指令値生成部46と、統合角度指令値演算部47と、角度制御部48と、トルク制御部49と、第1不感帯幅設定部51と、第2不感帯幅設定部52とが含まれる。
回転角演算部41は、回転角センサ23の出力信号に基づいて、電動モータ18のロータ回転角θm,intを演算する。減速比除算部42は、ロータ回転角θm,intを減速比Nで除算することにより、ロータ回転角θm,intを出力軸9の回転角(実操舵角)θc,intに変換する。
第1不感帯処理部43には、操舵トルクTtbが入力される。第1不感帯処理部43は、第1不感帯幅をW1とすると、操舵トルクTtbが-W1/2以上でW1/2以下の範囲(第1不感帯領域)内である場合には、零を、第1不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する(後述する図10参照)。
操舵トルクTtbが-W1/2よりも小さい領域では、第1不感帯処理部43は、[Ttb+(W1/2)]を、第1不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する。操舵トルクTtbがW1/2よりも大きい領域では、第1不感帯処理部43は、[Ttb-(W1/2)]を、第1不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する。第1不感帯幅W1は、第1不感帯幅設定部51によって設定される。
アシストトルク指令値設定部44は、手動操作に必要なアシストトルクの目標値であるアシストトルク指令値T*
m,mdを設定する。アシストトルク指令値設定部44は、車速Vとトルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbに基づいて、アシストトルク指令値T*
m,mdを設定する。操舵トルクTtbに対するアシストトルク指令値T*
m,mdの設定例は、図3に示されている。
アシストトルク指令値T*
m,mdは、電動モータ18から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、電動モータ18から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。アシストトルク指令値T*
m,mdは、操舵トルクTtbの正の値に対しては正をとり、操舵トルクTtbの負の値に対しては負をとる。そして、アシストトルク指令値T*
m,mdは、操舵トルクTtbの絶対値が大きくなるほど、その絶対値が大きくなるように設定される。アシストトルク指令値T*
m,mdは、車速Vが大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定される。
なお、アシストトルク指令値設定部44は、操舵トルクTtbに予め設定された定数を乗算することによって、アシストトルク指令値T*
m,mdを演算してもよい。
第2不感帯処理部45には、アシストトルク指令値T*
m,mdが入力される。第2不感帯処理部45は、第2不感帯幅をW2とすると、アシストトルク指令値T*
m,mdが-W2/2以上でW2/2以下の範囲(第2不感帯領域)内である場合には、零を、第2不感帯処理後のアシストトルク指令値T*
m,md,deとして出力する。
アシストトルク指令値T*
m,mdが-W2/2よりも小さい領域では、第2不感帯処理部45は、[T*
m,md+(W2/2)]を、第2不感帯処理後のアシストトルク指令値T*
m,md,deとして出力する。アシストトルク指令値T*
m,mdがW2/2よりも大きい領域では、第2不感帯処理部45は、[T*
m,md-(W2/2)]を、第2不感帯処理後のアシストトルク指令値T*
m,md,deとして出力する。第2不感帯幅W2は、第2不感帯幅設定部52によって設定される。
手動操舵指令値生成部46は、ドライバがステアリングホイール2を操作した場合に、当該ステアリングホイール操作に応じた操舵角を手動操舵指令値θ*
c,mdとして設定するために設けられている。手動操舵指令値生成部46は、第1不感帯処理後の操舵トルクTtb,deと、第2不感帯処理後のアシストトルク指令値T*
m,md,deとを用いて手動操舵指令値θ*
c,mdを生成する。手動操舵指令値生成部46は、この実施形態では、リファレンスEPSモデルを用いて、手動操舵指令値θ*
c.mdを設定する。
図4は、手動操舵指令値生成部46で用いられるリファレンスEPSモデルの一例を示す模式図である。
このリファレンスEPSモデルは、ロアコラムを含む単一慣性モデルである。ロアコラムは、出力軸9およびウォームホイール21に対応する。図4において、Jcは、ロアコラムの慣性であり、θcはロアコラムの回転角であり、Ttb,deは、第1不感帯処理後の操舵トルクである。このリファレンスEPSモデルは、第1不感帯処理後の操舵トルクTtb,deと、第2不感帯処理後のアシストトルク指令値T*
m,md,deに基づき電動モータ18から出力軸9に作用するトルクN・T*
m,md,deと、路面負荷トルクTrlとがロアコラムに与えられたときのロアコラムの回転角θcを生成(推定)するためのモデルである。路面負荷トルクTrlは、ばね定数kおよび粘性減衰係数cを用いて、次式(1)で表される。
Trl=-k・θc-c(dθc/dt) …(1)
この実施形態では、ばね定数kおよび粘性減衰係数cとし、予め実験・解析等で求められた所定値が設定されている。
この実施形態では、ばね定数kおよび粘性減衰係数cとし、予め実験・解析等で求められた所定値が設定されている。
リファレンスEPSモデルの運動方程式は、次式(2)で表される。
Jc・d2θc/dt2=Ttb,de+N・T*
m,md,de-k・θc-c(dθc/dt) …(2)
手動操舵指令値生成部46は、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θcを演算する。そして、手動操舵指令値生成部46は、得られたロアコラムの回転角θcを手動操舵指令値θ* c,mdとして設定する。
手動操舵指令値生成部46は、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θcを演算する。そして、手動操舵指令値生成部46は、得られたロアコラムの回転角θcを手動操舵指令値θ* c,mdとして設定する。
統合角度指令値演算部47は、上位ECU201によって設定される自動操舵指令値θ*
c,adに手動操舵指令値θ*
c,mdを加算して、統合角度指令値θ*
c,intを演算する。
角度制御部48は、統合角度指令値θ*
c,intに基づいて、電動モータ18のモータトルクの目標値であるモータトルク指令値T*
m,intを演算する。トルク制御部49は、電動モータ18のモータトルクがモータトルク指令値T*
m,intに近づくように駆動回路31を駆動する。つまり、角度制御部48およびトルク制御部49からなる制御部は、実操舵角θc,int(出力軸9の回転角θc,int)が統合角度指令値θ*
c,intに近づくように、駆動回路31を駆動制御する。角度制御部48およびトルク制御部49の動作の詳細については、後述する。
第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52は、それぞれ、モード信号Smode(運転モード)に基づいて、第1不感帯幅W1および第2不感帯幅W2を設定する。第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52の動作の詳細については後述する。
図5は、角度制御部48の構成を示すブロック図である。
角度制御部48は、統合角度指令値θ*
c,intに基づいてモータトルク指令値T*
m,intを演算する。角度制御部48は、ローパスフィルタ(LPF)61と、フィードバック制御部62と、フィードフォワード制御部63と、外乱トルク推定部64と、トルク加算部65と、外乱トルク補償部66と、減速比除算部67と、減速比乗算部68とを含む。
減速比乗算部68は、減速比除算部67によって演算されるモータトルク指令値T*
m,intに減速機19の減速比Nを乗算することにより、モータトルク指令値T*
m,intを出力軸9に作用する出力軸トルク指令値T*
c,int(=N・T*
m,int)に換算する。
ローパスフィルタ61は、統合角度指令値θ*
c,intに対してローパスフィルタ処理を行う。ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θ*
c,intfは、フィードバック制御部62およびフィードフォワード制御部63に与えられる。
フィードバック制御部62は、減速比除算部42(図2参照)によって演算される実操舵角θc,intを、ローパスフィルタ処理後の統合角度指令値θ*
c,intfに近づけるために設けられている。フィードバック制御部62は、角度偏差演算部62Aと、PD制御部62Bとを含む。角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θ*
c,intfと、減速比除算部42によって演算される実操舵角θc,intとの偏差Δθc,int(=θ*
c,intf-θc,int)を演算する。なお、角度偏差演算部62Aは、統合角度指令値θ*
c,intfと、外乱トルク推定部64によって演算される操舵角推定値^θc,intとの偏差(θ*
c,intf-^θc,int)を、角度偏差Δθc,intとして演算するようにしてもよい。
PD制御部62Bは、角度偏差演算部62Aによって演算される角度偏差Δθc,intに対してPD演算(比例微分演算)を行うことにより、フィードバック制御トルクTfb,intを演算する。フィードバック制御トルクTfb,intは、トルク加算部65に与えられる。
フィードフォワード制御部63は、電動パワーステアリングシステム1の慣性による応答性の遅れを補償して、制御の応答性を向上させるために設けられている。フィードフォワード制御部63は、角加速度演算部63Aと慣性乗算部63Bとを含む。角加速度演算部63Aは、統合角度指令値θ*
c,intfを二階微分することにより、目標角加速度d2θ*
c,intf/dt2を演算する。
慣性乗算部63Bは、角加速度演算部63Aによって演算された目標角加速度d2θ*
c,intf/dt2に、電動パワーステアリングシステム1の慣性Jを乗算することにより、フィードフォワード制御トルクTff,int(=J・d2θ*
c,intf/dt2)を演算する。慣性Jは、例えば、後述する電動パワーステアリングシステム1の物理モデル(図6参照)から求められる。フィードフォワード制御トルクTff,intは、慣性補償値として、トルク加算部65に与えられる。
トルク加算部65は、フィードバック制御トルクTfb,intにフィードフォワード制御トルクTff,intを加算することにより、基本トルク指令値(Tfb,int+Tff,int)を演算する。
外乱トルク推定部64は、プラント(電動モータ18の制御対象)に外乱として発生する非線形なトルク(外乱トルク:モータトルク以外のトルク)を推定するために設けられている。外乱トルク推定部64は、プラントへの入力値である出力軸トルク指令値T*
c,int(=N・T*
m,int)と、プラントの出力である実操舵角θc,intとに基づいて、外乱トルク(外乱負荷)Tlc、操舵角θc,intおよび操舵角微分値(角速度)dθc,int/dtを推定する。外乱トルクTlc、操舵角θc,intおよび操舵角微分値(角速度)dθc,int/dtの推定値を、それぞれ^Tlc、^θc,intおよびd^θc,int/dtで表す。外乱トルク推定部64の詳細については、後述する。
外乱トルク推定部64によって演算された外乱トルク推定値^Tlcは、外乱トルク補償値として外乱トルク補償部66に与えられる。
外乱トルク補償部66は、基本トルク指令値(Tfb,int+Tff,int)から外乱トルク推定値^Tlcを減算することにより、出力軸トルク指令値T*
c,int(=Tfb,int+Tff,int-^Tlc)を演算する。これにより、外乱トルクが補償された出力軸トルク指令値T*
c,int(出力軸9に対するトルク指令値)が得られる。
出力軸トルク指令値T*
c,intは、減速比除算部67に与えられる。減速比除算部67は、出力軸トルク指令値T*
c,intを減速比Nで除算することにより、モータトルク指令値T*
m,intを演算する。このモータトルク指令値T*
m,intが、トルク制御部49(図2参照)に与えられる。
外乱トルク推定部64について詳しく説明する。外乱トルク推定部64は、例えば、図6に示す電動パワーステアリングシステム1の物理モデル101を使用して、外乱トルクTlc、操舵角θc,intおよび角速度dθc,int/dtを推定する外乱オブザーバから構成されている。
この物理モデル101は、出力軸9および出力軸9に固定されたウォームホイール21を含むプラント(モータ駆動対象の一例)102を含む。プラント102には、ステアリングホイール2からトーションバー10を介して操舵トルクTtbが与えられるとともに、転舵輪3側から路面負荷トルクTrlが与えられる。
さらに、プラント102には、ウォームギヤ20を介して出力軸トルク指令値T*
c,int(=N・T*
m,int)が与えられるとともに、ウォームホイール21とウォームギヤ20との間の摩擦によって摩擦トルクTfが与えられる。
プラント102の慣性をJとすると、物理モデル101の慣性についての運動方程式は、次式(3)で表される。
図6の物理モデル101に対する状態方程式は、次式(4)で表わされる。
前記状態方程式を、未知入力ベクトルu2を状態の1つとして含めた系に拡張する。拡張系の状態方程式(拡張状態方程式)は、次式(5)で表される。
前記式(5)の拡張状態方程式から、次式(7)の方程式で表される外乱オブザーバ(拡張状態オブザーバ)が構築される。
外乱トルク推定部64は、前記式(7)の方程式に基づいて状態変数ベクトル^xeを演算する。
図7は、外乱トルク推定部64の構成を示すブロック図である。
外乱トルク推定部64は、入力ベクトル入力部81と、出力行列乗算部82と、第1加算部83と、ゲイン乗算部84と、入力行列乗算部85と、システム行列乗算部86と、第2加算部87と、積分部88と、状態変数ベクトル出力部89とを含む。
減速比乗算部68(図5参照)によって演算される出力軸トルク指令値T*
c,int(=N・T*
m,int)は、入力ベクトル入力部81に与えられる。入力ベクトル入力部81は、入力ベクトルu1を出力する。
積分部88の出力が状態変数ベクトル^xe(前記式(8)参照)となる。演算開始時には、状態変数ベクトル^xeとして初期値が与えられる。状態変数ベクトル^xeの初期値は、たとえば0である。
システム行列乗算部86は、状態変数ベクトル^xeにシステム行列Aeを乗算する。出力行列乗算部82は、状態変数ベクトル^xeに出力行列Ceを乗算する。
第1加算部83は、減速比除算部42(図2参照)によって演算された実操舵角θc,intである出力ベクトル(測定値)yから、出力行列乗算部82の出力(Ce・^xe)を減算する。つまり、第1加算部83は、出力ベクトルyと出力ベクトル推定値^y(=Ce・^xe)との差(y-^y)を演算する。ゲイン乗算部84は、第1加算部83の出力(y-^y)にオブザーバゲインL(前記式(7)参照)を乗算する。
入力行列乗算部85は、入力ベクトル入力部81から出力される入力ベクトルu1に入力行列Beを乗算する。第2加算部87は、入力行列乗算部85の出力(Be・u1)と、システム行列乗算部86の出力(Ae・^xe)と、ゲイン乗算部84の出力(L(y-^y))とを加算することにより、状態変数ベクトルの微分値d^xe/dtを演算する。積分部88は、第2加算部87の出力(d^xe/dt)を積分することにより、状態変数ベクトル^xeを演算する。状態変数ベクトル出力部89は、状態変数ベクトル^xeに基づいて、外乱トルク推定値^Tlc、操舵角推定値^θc,intおよび角速度推定値d^θc,int/dtを演算する。
一般的な外乱オブザーバは、前述の拡張状態オブザーバとは異なり、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される。プラントの運動方程式は、前述のように式(3)で表される。したがって、プラントの逆モデルは、次式(9)となる。
なお、外乱トルク推定部64として、プラントの逆モデルとローパスフィルタとから構成される一般的な外乱オブザーバを用いてもよい。
図8は、トルク制御部49の電気的構成を示すブロック図である。トルク制御部49は、モータ電流指令値演算部91と、電流偏差演算部92と、PI制御部93と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部94とを含む。
モータ電流指令値演算部91は、角度制御部48によって演算されたモータトルク指令値T*
m,intを電動モータ18のトルク定数Ktで除算することにより、モータ電流指令値I*
m,intを演算する。
電流偏差演算部92は、モータ電流指令値演算部91によって得られたモータ電流指令値I*
m,intと電流検出回路32によって検出されたモータ電流Im,intとの偏差ΔIm,int(=I*
m,int-Im,int)を演算する。
PI制御部93は、電流偏差演算部92によって演算された電流偏差ΔIm,intに対するPI演算(比例積分演算)を行うことにより、電動モータ18に流れるモータ電流Im,intをモータ電流指令値I*
m,intに導くための駆動指令値を生成する。PWM制御部94は、前記駆動指令値に対応するデューティ比のPWM制御信号を生成して、駆動回路31に供給する。これにより、駆動指令値に対応した電力が電動モータ18に供給されることになる。
次に、第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52の動作について詳しく説明する。第1不感帯幅設定部51は、第1不感帯幅W1を設定するための第1不感帯幅設定処理を行う。第2不感帯幅設定部52は、第2不感帯幅W2を設定するための第2不感帯幅設定処理を行う。
図9は、第1不感帯幅設定部51によって行われる第1不感帯幅設定処理の手順を示すフローチャートである。図9に示される第1不感帯幅設定処理は、所定の演算周期毎に繰り返し行われる。
第1不感帯幅設定部51は、モード信号Smodeに基づいて、運転モードが、通常モードであるか、自動駐車モードであるか、自動緊急回避モードであるか、車線維持支援モードであるかを判別する(ステップS1,S2,S3,S4)。
運転モードが、通常モードである場合には(ステップS1:YES)、第1不感帯幅設定部51は、第1不感帯幅W1を、予め設定された通常モード用の第1不感帯幅W1_standardに設定する(ステップS5)。そして、第1不感帯幅設定部51は、今回の演算周期の処理を終了する。
運転モードが、自動駐車モードである場合には(ステップS2:YES)、第1不感帯幅設定部51は、第1不感帯幅W1を、予め設定された自動駐車モード用の第1不感帯幅W1_parkに設定する(ステップS6)。そして、第1不感帯幅設定部51は、今回の演算周期の処理を終了する。
運転モードが、自動緊急回避モードである場合には(ステップS3:YES)、第1不感帯幅設定部51は、第1不感帯幅W1を、予め設定された自動緊急回避モード用の第1不感帯幅W1_emergencyに設定する(ステップS7)。そして、第1不感帯幅設定部51は、今回の演算周期の処理を終了する。
運転モードが、車線維持支援モードである場合には(ステップS4:YES)、第1不感帯幅設定部51は、第1不感帯幅W1を、予め設定された車線維持支援モード用の第1不感帯幅W1_laneに設定する(ステップS8)。そして、第1不感帯幅設定部51は、今回の演算周期の処理を終了する。
W1_park、W1_emergencyおよびW1_laneは、W1_park>W1_emergency>W1_laneの関係を満たすように設定されることが好ましい。
以下、この理由について説明する。第1不感帯幅W1を大きな値に設定すると、ドライバのハンドル操作に対する手動操舵角指令値θ*
c,mdは小さくなる。このため、目標走行経路に対する追従性がよくなる。その一方で、ドライバは、操舵介入を行いにくくなる。
自動駐車モード時には、追従性を高くすることが必要である。しかし、自動駐車モード時には、比較的早い速度でステアリングホイール2が回転されるので、ステアリングホイール2の急加速または急停止が発生しやすい。ステアリングホイール2の急加速または急停止が発生すると、ステアリングホイール2の慣性トルクにより、トーションバー10の捻じれが大きくなり、トルクセンサ12によって検出される操舵トルクTtbが大きくなる。そうすると、手放し状態であるにもかかわらず、手動操舵角指令値θ*
c,mdが大きくなり、目標走行経路に対する追従性が悪化する。そこで、手動操舵角指令値θ*
c,mdが大きくなるのを抑制するために、自動駐車モード時には、第1不感帯幅W1を大きな値に設定することが好ましい。このように、第1不感帯幅W1を大きな値に設定すると、操舵介入機能は低下するが、自動駐車モードでは手放し状態が前提であるため、操舵介入機能の必要性は低いので問題はない。
車線維持支援モード時における追従制御においては、ステアリングホイール2の急加速または急停止が発生しないので、ステアリングホイール2の慣性トルクに起因して手動操舵角指令値θ*
c,mdが大きくなることはない。したがって、第1不感帯幅W1を大きくして、追従性を高くする必要性は低い。一方、車線維持支援モード時には、車線変更等を行うために操舵介入機能が重要となる。そこで、車線維持支援モード時においては、第1不感帯幅W1を小さな値に設定することが好ましい。
自動緊急回避モード時には、追従性および操舵介入機能の両方が要求されるため、第1不感帯幅W1は、自動駐車モード時の第1不感帯幅W1_parkと車線維持支援モード時の第1不感帯幅W1_laneとの中間値に設定されることが好ましい。
図10は、第1不感帯処理部43の入出力特性の具体例を示すグラフである。
折れ線L1は、第1不感帯幅W1がW1_laneに設定されている場合の第1不感帯処理部43の入出力特性を示している。折れ線L2は、第1不感帯幅W1がW1_emergencyに設定されている場合の第1不感帯処理部43の入出力特性を示している。折れ線L3は、第1不感帯幅W1がW1_parkに設定されている場合の第1不感帯処理部43の入出力特性を示している。通常モード時の第1不感帯幅W1_standardは、W1_lparkとW1_laneとの中間値に設定されることが好ましい。
第2不感帯幅設定部52によって行われる第2不感帯幅設定処理は、図9の第1不感帯幅設定処理と同様である。ただし、第2不感帯幅設定処理においては、図9のW1、W1_standard、W1_park、W1_emergencyおよびW1_laneは、それぞれ、W2、W2_standard、W2_park、W2_emergencyおよびW2_laneに置き換えられる。この場合においても、W2_park、W2_emergencyおよびW2_laneは、W2_park>W2_emergency>W2_laneの関係を満たすように設定されることが好ましい。
前述の実施形態では、第1不感帯幅W1および第2不感帯幅W2は、運転モードに応じて設定される。これにより、運転モードに応じた適切な協調制御を行えるようになる。
なお、図2に破線で示すように、第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52に、モード信号Smodeに加えて車速Vを入力させるようにしてもよい。第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52は、それぞれ、運転モードが車線維持支援モードである場合に、第1不感帯幅W1_laneおよび第2不感帯幅W2_laneを、車速Vに応じて設定してもよい。
図11は、第1不感帯幅設定部51による車速Vに対する第1不感帯幅W1_laneの設定例を示すグラフである。
車速Vが0~V1の低速域では、第1不感帯幅W1_laneは、第1所定値Aに設定される。車速VがV1~V2の中速域では、第1不感帯幅W1_laneは、車速Vが大きくなるにしたがって第1所定値A~第2所定値Bまで漸減する特性に従って設定される。車速VがV2~V3の高速域では、第1不感帯幅W1_laneは、第2所定値Bに設定される。
第2不感帯幅W2_laneについても、第1不感帯幅W1_laneと同様に設定される。
以下、第1不感帯幅W1_laneが、図11に示すように設定される理由について説明する。車速Vが大きい場合には、ステアリングホイール2を少し動かすだけで、車両挙動が大きくなる。車速Vが小さい場合には、ステアリングホイール2を大きく動かしても車両挙動はさほど大きくならない。このため、車速Vが小さい場合には、自動操舵角指令値θ*
c,adが大きく変化することが許可されているが、車速Vが大きい場合には、自動操舵角指令値θ*
c,adが大きく変化することが許可されていない。
したがって、自動操舵角指令値θ*
c,adが大きく変化する可能性がある低速時には、追従性を高めるために第1不感帯幅W1_laneが大きくされる。一方、自動操舵角指令値θ*
c,adが大きく変化しない高速時には、操舵介入機能を高めるために第1不感帯幅W1_laneが小さくされる。
なお、運転モードが自動駐車モードまたは自動緊急回避モードである場合においても、第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52は、それぞれ、第1不感帯幅W1_park,W1_emergencyおよび第2不感帯幅W2_park,W2_emergencyを車速Vに応じて設定してもよい。この場合、第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52は、それぞれ、車速Vが低いほど、第1不感帯幅W1_park,W1_emergencyおよび第2不感帯幅W2_park,W2_emergencyが大きくなるように設定してもよい。
前述の実施形態では、第1不感帯処理部43で用いられる第1不感帯幅W1および第2不感帯処理部45で用いられる第2不感帯幅W2の両方が、運転モードのみまたは運転モードおよび車速Vに基づいて制御されているが、第1不感帯幅W1および第2不感帯幅W2のうちのいずれか一方のみが運転モードのみまたは運転モードおよび車速Vに基づいて制御されてもよい。
[3]モータ制御用ECU202の変形例
図12は、モータ制御用ECU202の変形例の電気的構成を説明するためのブロック図である。図12において、前述の図2の各部と対応する部分には、図2と同じ符号を付して示す。
図12は、モータ制御用ECU202の変形例の電気的構成を説明するためのブロック図である。図12において、前述の図2の各部と対応する部分には、図2と同じ符号を付して示す。
図12の変形例では、マイクロコンピュータ40Aにおける機能処理部の構成が図2と異なっている。具体的には、図12の変形例では、図2の第1不感帯処理部43、第2不感帯処理部45、第1不感帯幅設定部51および第2不感帯幅設定部52に代えて、第3不感帯処理部53および第3不感帯幅設定部54が設けられている。
第3不感帯処理部53は、アシストトルク指令値設定部44および手動操舵指令値生成部46の両方に対する前段に配置されている。第3不感帯処理部53は、第3不感帯幅をW3とすると、操舵トルクTtbが-W3/2以上でW3/2以下の範囲(第3不感帯領域)内である場合には、零を、第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する。
操舵トルクTtbが-W3/2よりも小さい領域では、第3不感帯処理部53は、[Ttb+(W3/2)]を、第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する。操舵トルクTtbがW3/2よりも大きい領域では、第3不感帯処理部53は、[Ttb-(W3/2)]を、第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとして出力する。
第3不感帯幅W3は、第3不感帯幅設定部54によって設定される。第3不感帯幅設定部54は、モード信号Smode(運転モード)に基づいて、第3不感帯幅W3を設定する。第3不感帯幅設定部54は、第3不感帯幅W3を設定するための第3不感帯幅設定処理を行う。
第3不感帯幅設定部54によって行われる第3不感帯幅設定処理は、図9の第1不感帯幅設定処理と同様である。ただし、第3不感帯幅設定処理においては、図9のW1、W1_standard、W1_park、W1_emergencyおよびW1_laneは、それぞれ、W3、W3_standard、W3_park、W3_emergencyおよびW3_laneに置き換えられる。この場合においても、W3_park、W3_emergencyおよびW3_laneは、W3_park>W3_emergency>W3_laneの関係を満たすように設定されることが好ましい。
図12の変形例では、アシストトルク指令値設定部44は、第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deと車速Vとに基づいて、アシストトルク指令値T*
m,mdを設定する。手動操舵指令値生成部46は、アシストトルク指令値T*
m,mdと、第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deとに基づいて、手動操舵指令値θ*
c,mdを演算する。
具体的には、手動操舵指令値生成部46は、式(2)のTtb,deに第3不感帯処理後の操舵トルクTtb,deを代入し、式(2)のT*
m,md,deにアシストトルク指令値T*
m,mdを代入して、式(2)の微分方程式を解くことにより、ロアコラムの回転角θcを演算し、得られた回転角θcを実手動操舵角θc,mdとして設定する。
この変形例においても、第3不感帯幅W3は、運転モードに応じて設定されるので、運転モードに応じた適切な協調制御が行えるようになる。
なお、図12に破線で示すように、第3不感帯幅設定部54に、モード信号Smodeに加えて車速Vを入力させるようにしてもよい。第3不感帯幅設定部54は、運転モードが車線維持支援モードである場合に、第3不感帯幅W3_laneを、図11に示した第1不感帯幅W1_laneと同様に、車速Vに応じて設定してもよい。
また、運転モードが自動駐車モードまたは自動緊急回避モードである場合においても、第3不感帯幅W3_park,W3_emergencyを車速Vに応じて設定してもよい。この場合、第3不感帯幅設定部54は、車速Vが低いほど、第3不感帯幅W3_park,W3_emergencyが大きくなるように設定してもよい。
前述の実施形態および変形例において、運転モードが通常モードである場合には、アシストトルク指令値設定部44に設定されるアシストトルク指令値T*
m,mdのみに基づいて、電動モータ18を駆動制御するようにしてもよい。具体的には、通常モード時には、角度制御部48によって演算されるモータトルク指令値T*
m,intに代えて、アシストトルク指令値設定部44に設定されるアシストトルク指令値T*
m,mdを、トルク制御部49に入力するようにすればよい。
前述の実施形態では、この発明をコラムタイプEPSのモータ制御に適用した場合の例を示したが、この発明は、コラムタイプ以外のEPSのモータ制御にも適用することができる。
本発明の実施形態について詳細に説明してきたが、これらは本発明の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本発明はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
1…電動パワーステアリング装置、3…転舵輪、4…転舵機構、18…電動モータ、43…第1不感帯処理部、44…アシストトルク指令値設定部、45…第2不感帯処理部、46…手動操舵指令値生成部、47…統合角度指令値演算部、48…角度制御部、49…トルク制御部、50…ハンズオンオフ判定部、51…第1不感帯幅設定部、52…第2不感帯幅設定部、53…第3不感帯幅処理部、54…第3不感帯幅設定部、201…上位ECU201、202…モータ制御用ECU
Claims (3)
- 操舵トルクを検出するためのトルク検出部と、
前記操舵トルクを用いてアシストトルク指令値を設定するアシストトルク指令値設定部と、
前記操舵トルクと前記アシストトルク指令値とを用いて、手動操舵指令値を生成する手動操舵指令値生成部と、
自動操舵指令値に前記手動操舵指令値を加算して、統合角度指令値を演算する統合角度指令値演算部と、
前記統合角度指令値に基づいて、舵角制御用の電動モータを角度制御する制御部と、
前記手動操舵指令値生成部に入力する前記操舵トルク、前記手動操舵指令値生成部に入力する前記アシストトルク指令値および前記アシストトルク指令値演算部に入力する前記操舵トルクのうちの少なくとも1つに設けられた不感帯処理部と、
運転モードに応じて、前記不感帯処理部の少なくとも1つの不感帯処理部の不感帯幅を設定する不感帯幅設定部とを含む、モータ制御装置。 - 車速を検出する車速検出部をさらに含み、
前記不感帯幅設定部は、前記車速を考慮して、前記不感帯処理部の不感帯幅を設定するように構成されている、請求項1に記載のモータ制御装置。 - 前記運転モードは、車両が車線を逸脱するのを防止する車線維持支援モードと、他車両等との衝突を自動的に回避するための自動緊急回避モードと、車両を自動的に駐車させるための自動駐車モードとを含む、請求項1または2に記載のモータ制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021182118A JP2023069907A (ja) | 2021-11-08 | 2021-11-08 | モータ制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2021182118A JP2023069907A (ja) | 2021-11-08 | 2021-11-08 | モータ制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023069907A true JP2023069907A (ja) | 2023-05-18 |
Family
ID=86327536
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021182118A Pending JP2023069907A (ja) | 2021-11-08 | 2021-11-08 | モータ制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2023069907A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024257466A1 (ja) * | 2023-06-15 | 2024-12-19 | 株式会社ジェイテクト | モータ制御装置 |
-
2021
- 2021-11-08 JP JP2021182118A patent/JP2023069907A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024257466A1 (ja) * | 2023-06-15 | 2024-12-19 | 株式会社ジェイテクト | モータ制御装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP3608203B1 (en) | Motor control apparatus | |
JP7236038B2 (ja) | 車両用操舵装置 | |
EP3798099B1 (en) | Motor control device | |
JP7129004B2 (ja) | モータ制御装置 | |
EP3453592A1 (en) | Electric power steering device | |
WO2023286169A1 (ja) | モータ制御装置 | |
JP2019098817A (ja) | 車両用操舵装置 | |
JP7256958B2 (ja) | 電動パワーステアリング装置 | |
EP3626580B1 (en) | Motor control device and motor control method | |
US20240416991A1 (en) | Motor control device | |
JP2023048867A (ja) | モータ制御装置 | |
EP4470877A1 (en) | Motor control device | |
EP3939861A1 (en) | Steering device | |
JP2023069907A (ja) | モータ制御装置 | |
JP7695632B2 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2023079764A1 (ja) | モータ制御装置 | |
EP4417489A1 (en) | Motor control device | |
WO2024252630A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2024224627A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2024261947A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2024257466A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2024261946A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2023032010A1 (ja) | 操舵装置 | |
WO2023139808A1 (ja) | モータ制御装置 | |
WO2023127149A1 (ja) | モータ制御装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20241011 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20250626 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20250626 |