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JP2023049807A - 感温感歪複合センサ - Google Patents

感温感歪複合センサ Download PDF

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JP2023049807A JP2021159782A JP2021159782A JP2023049807A JP 2023049807 A JP2023049807 A JP 2023049807A JP 2021159782 A JP2021159782 A JP 2021159782A JP 2021159782 A JP2021159782 A JP 2021159782A JP 2023049807 A JP2023049807 A JP 2023049807A
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Abstract

Figure 2023049807000001
【課題】-50℃以上450℃以下の温度範囲で使用可能な感温感歪複合センサを提供すること。
【解決手段】
本発明に係る感温感歪複合センサは、一般式Cr100-x-yAlで表され、x、yのそれぞれの組成領域が5<x≦50,0.1≦y≦20である感歪用抵抗膜と、
-50以上450℃以下の温度範囲における抵抗温度係数(TCR)の絶対値が、2000ppm/℃以上である感温用抵抗膜と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、感温用抵抗膜と感歪用抵抗膜とを含む感温感歪複合センサに関する。
特許文献1に示すように、流体などの測定対象物の温度と圧力とを同時に検出する感温感歪複合センサが知られている。特に、特許文献1では、Cr-N系合金からなる感歪用抵抗膜と、Fe-Pd合金からなる感温用抵抗膜と、を組み合わせることで、温度補償用のホイーストンブリッジ回路を必要とせずに、温度と圧力の同時検出が可能であることが報告されている。
ただし、特許文献1で使用しているCr-N系合金膜のゲージ率は、200℃以上の高温領域において極端に低下してしまう。つまり、200℃以上の高温領域では、圧力測定の精度が低下する。そのため、特許文献1の感温感歪複合センサの使用可能範囲は、200℃以下の範囲に限られていた。近年、-50℃の低温領域から450℃の高温領域までの範囲で、温度と圧力の同時検出を可能にすることが求められており、感温感歪複合センサのさらなる性能向上が期待されている。
特開2001-221696号公報
本発明は、このような実情を鑑みてなされ、その目的は、-50℃以上450℃以下の温度範囲で使用可能な感温感歪複合センサを提供することである。
上記の目的を達成するために、本発明に係る感温感歪複合センサは、
一般式Cr100-x-yAlで表され、x、yのそれぞれの組成領域が5<x≦50,0.1≦y≦20である感歪用抵抗膜と、
-50以上450℃以下の温度範囲における抵抗温度係数(TCR)の絶対値が、2000ppm/℃以上である感温用抵抗膜と、を有する。
一般式Cr100-x-yAlで表される感歪用抵抗膜は、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たすことで、200℃以下の領域のみならず、200℃~450℃の高温領域においても、安定して高いゲージ率を有する。そのため、当該感歪用抵抗膜を用いることで、圧力測定の精度が安定し、本発明の感温感歪複合センサは、-50℃以上450℃以下の温度範囲で、温度と圧力の同時検出が可能である。
好ましくは、-50以上450℃以下の温度範囲における前記感温用抵抗膜の感度温度係数(TCS)の絶対値が、500ppm/℃以下である。
また、好ましくは、前記感温用抵抗膜が、TCR≧(2.5×k×ε)を満たす。当該条件式において、TCRは、前記感温用抵抗膜の抵抗温度係数であり、kは、前記感温用抵抗膜のゲージ率であり、εは、前記感温用抵抗膜の設置個所に加わる最大の歪量である。
本発明の感温感歪複合センサが上記の特徴を有することで、-50℃以上450℃以下の範囲の温度測定において、1℃以下の分解能が得られる。
好ましくは、-50以上450℃以下の温度範囲における前記感歪用抵抗膜のゲージ率kが、4以上であり、
前記感温用抵抗膜が、TCR≧(10×k×ε)を満たす。
本発明の感温感歪複合センサが上記の特徴を有することで、-50℃以上450℃以下の範囲の圧力測定において、200με以下の分解能が得られる。
好ましくは、前記感歪用抵抗膜におけるx、yのそれぞれの組成領域が、25<x≦50,0.1≦y≦20である。
本発明の感温感歪複合センサでは、感歪用抵抗膜が上記の組成を満たすことで、感歪用抵抗膜の組成変化に伴う特性変化(感歪用抵抗膜のTCR変化)を抑制でき、良好な生産性が得られる。また、感歪用抵抗膜のTCR特性のばらつきが抑えられることにより、圧力測定の精度をさらに向上させることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る感温感歪複合センサの概略断面図である。 図2は、図1の感温感歪複合センサにおける抵抗体の配置を示す概念図である。 図3は、図2に示すIII-III線に沿う概略断面図である。 図4は、感歪用抵抗膜のゲージ率と温度との関係を表すグラフである。 図5は、感歪用抵抗膜のAl含有量とゲージ率との関係を表すグラフである。 図6は、感歪用抵抗膜のAl含有量とTCRとの関係を表すグラフである。 図7は、所定の条件式1と、設置個所の最大歪量εが加わった際の感温用抵抗膜の抵抗変化量と、の関係を表すグラフである。 図8は、所定の条件式2と、ΔRΔTと、の関係を表すグラフである。
本実施形態では、本発明に係る感温感歪センサの一例として、流体の温度と流体圧とを同時に検出する複合センサ10(図1)について説明する。
図1に示すように、複合センサ10は、流体圧に応じて変形するメンブレン22を有する。メンブレン22は、中空筒状のステム20のZ軸上端に形成してある端壁で構成してある。端壁であるメンブレン22は、側壁などのステム20における他の部分に比べて、肉薄になっている。なお、メンブレン22は、図1で示す様態に限定されず、Si基板などの平板状の基板で構成してもよい。ステム20のZ軸下端は、中空部の開放端となっており、ステム20の中空部は、接続部材12の流路12bに連通してある。
複合センサ10では、流路12bに導入される流体が、ステム20の中空部からメンブレン22の内面22aに導かれて、流体圧がメンブレン22に加わるようになっている。メンブレン22を有するステム20は、たとえば、ステンレスなどの金属で構成することができる。もしくは、ステム20は、エッチングにより中空筒状に加工したSi基板で構成してあってもよく、平板状のSi基板を他部材に接合することで構成してあってもよい。
ステム20の開放端の周囲には、フランジ部21がステム20の軸芯から外方に突出するように形成してある。フランジ部21は、接続部材12と抑え部材14との間に挟まれ、メンブレン22の内面22aへと至る流路12bが密封されるようになっている。
接続部材12は、複合センサ10を固定するためのねじ溝12aを有する。複合センサ10は、測定対象となる流体が封入してある圧力室などに対して、ねじ溝12aを介して固定されている。これにより、接続部材12の内部に形成されている流路12bおよびステム20におけるメンブレン22の内面22aは、測定対象となる流体が内部に存在する圧力室に対して、気密に連通する。
抑え部材14の上面には、回路基板70が取り付けてある。回路基板70の形状は、特に限定されず、たとえば、図1に示すように、ステム20の周囲を囲むリング状の形状とすることができる。回路基板70には、たとえば、メンブレン22で検出した温度および歪に関する信号が伝えられる回路などが内蔵してある。
図2に示すように、メンブレン22の外面22bには、歪測定部S1および温度測定部S2が設けられている。歪測定部S1および温度測定部S2は、ワイヤボンディングなどによる中間配線82を介して回路基板70に電気的に接続してあり、歪測定部S1および温度測定部S2の検出信号が、中間配線82を介して回路基板70に伝送される。
歪測定部S1は、4つの感歪抵抗体RD1~RD4と、配線W1と、電極部50と、を有する。歪測定部S1では、4つの感温抵抗体RD1~RD4によりホイーストンブリッジ回路が構成されている。ただし、歪測定部S1は、少なくとも1つの感歪抵抗体RDを有していればよく、感歪抵抗体RDの数は特に限定されない。たとえば、メンブレン22の界面22b上に2以上のホイーストンブリッジ回路が形成されていてもよい。歪測定部S1では、メンブレン22の変形に応じて感歪抵抗体RD1~RD4の抵抗値が変化する。そのため、ホイートストーンブリッジ回路の出力から、メンブレン22に生じる歪、すなわち、メンブレン22に作用する流体圧を検出することができる。
一方、温度測定部S2は、感温抵抗体RTと、配線W1と、電極部50とを有する。温度測定部S2では、感温抵抗体RTが、配線W2を介して電極部50と電気的に接続している。図2では、感温抵抗体RTが1つのみ図示してあるが、感温抵抗体RTの数は特に限定されず、温度測定部S2が複数の感温抵抗体RTを有していてもよい。温度測定部S2では、温度変化に応じて感温抵抗体RTの抵抗値が変化し、この抵抗変化に基づいて、メンブレン22の内面22aに導かれた流体の温度を検出する。
感温抵抗体RTおよび感歪抵抗体RD1~RD4は、いずれも、メンブレン22の外面22bにおける同一平面上に形成してある。感歪抵抗体RD1~RD4は、感歪用抵抗膜30を微細加工(パターニング)することで形成され、感温抵抗体RTは、感温用抵抗膜40を微細加工することで形成される。すなわち、感歪抵抗体RDは感歪用抵抗膜30であり、感温抵抗体RTは感温用抵抗膜40である。
図3に示すように、感歪用抵抗膜30および感温用抵抗膜40は、メンブレン22の外面22bにおいて、下地絶縁層60を介して設けられている。下地絶縁層60は、メンブレン22の外面22bのほぼ全体を覆うように形成してある。ただし、下地絶縁層60は、必ずしも外面22bの全面を覆っている必要はなく、外面22bの外縁には、下地絶縁層60で覆われない非被覆部が存在していてもよい。
下地絶縁層60は、絶縁性を有していればよく、下地絶縁層60の材質は特に限定されない。たとえば、下地絶縁層60は、SiOなどのシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物などで構成することができる。また、メンブレン22がSi基板である場合、下地絶縁層60は、Si基板を加熱して形成した熱酸化膜であってもよい。下地絶縁層60の厚みは、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは1~5μmである。なお、メンブレン22の外面22bが絶縁性を有する場合には、下地絶縁層60を形成することなく、抵抗膜30,40をメンブレン22の外面22bに直接に形成してもよい。
次に、感歪用抵抗膜30および感温用抵抗膜40の特徴について説明する。
なお、各抵抗膜30,40の説明において使用する抵抗温度係数(TCR:Temperature coefficient of Resistance、単位ppm/℃)とは、温度変化に伴う抵抗の変化率を意味し、TCR=A/R(25℃,0με)×10で定義される。Aは、-50℃~450℃の範囲における抵抗値変化の傾きであり、R(25℃,0με)は、温度25℃、歪0μεにおける抵抗値である。感歪用抵抗膜30の抵抗温度係数は、TCRと表記し、感温用抵抗膜40の抵抗温度係数は、TCRと表記する。
また、各抵抗膜30,40の説明において使用する感度温度係数(TCS:Temperature coefficient of sensitivity、単位ppm/℃)とは、温度変化に伴うゲージ率(単位:無次元数)の変化率であり、TCS=B/k25℃×10で定義される。Bは、-50℃~450℃の範囲におけるゲージ率変化の傾きであり、k25℃は、25℃におけるゲージ率である。感歪用抵抗膜30のゲージ率および感度温度係数を、k、TCSと表記し、感温用抵抗膜40のゲージ率および感度温度係数を、k、TCSと表記する。
(感歪用抵抗膜30)
感歪用抵抗膜30は、一般式Cr100-x-yAlで表され、x、yのそれぞれの組成領域が5<x≦50,0.1≦y≦20である。感歪用抵抗膜30をこのような組成とすることにより、-50℃以上450℃以下の温度範囲において、一般金属薄膜よりも高いゲージ率kが得られ、かつ、温度変化に伴うゲージ率kの変化を低減することができる。そのため、複合センサ10で上記組成の感歪用抵抗膜30を用いることで、-50℃以上450℃以下の温度範囲において、精度よく歪(圧力)を検出することができる。
上記のCrAlN系の感歪用抵抗膜30では、Al含有量が特に重要であり、xの組成領域は、25<x≦50であることが好ましく、25<x≦40であることがより好ましい。
Nの含有量を所定範囲に制御したうえで、Al含有量を25at%超過とすることにより、感歪用抵抗膜30の組成変化に伴う特性変化を抑制できる。より具体的に、Al含有量が25at%超過の場合、1at%のAl含有量の変動に対するTCRの変化率を、5%未満に抑制することができる。つまり、製造時の組成のばらつきを適切な範囲で許容でき、良好な生産性が得られる。また、TCRのばらつきを抑制できることにより、感歪用抵抗膜30による歪測定の精度をさらに向上させることができる。
また、Nの含有量を所定範囲に制御したうえで、Al含有量を50at%以下、より好ましくは40at%以下とすることで、感歪用抵抗膜30のゲージ率kをより高くすることができる。
感歪用抵抗膜30は、不可避不純物としてのОを、Cr、Al、N、Oの総量に対して10at%以下の量で含んでいてもよい。不可避不純物としてのOが10at%以下であることにより、-50℃以上450℃以下の温度範囲におけるゲージ率kをより高めることができる。
さらに、感歪用抵抗膜30は、CrおよびAl以外の金属や非金属元素を微量に含んでいてもよい。感歪用抵抗膜30に含まれるCrおよびAl以外の金属および非金属元素としては、たとえば、Ti、Nb、Ta、Ni、Zr、Hf、Si、Ge、C、P、Se、Te、Zn、Cu、Bi、Fe、Mo、W、As、Sn、Sb、Pb、B、Ge、In、Tl、Ru、Rh、Re、Os、Ir、Pt、Pd、Ag、Au、Co、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Mnおよび希土類元素が挙げられる。
感歪用抵抗膜30は、-50℃以上450℃以下の温度範囲において、TCRの絶対値が、2000ppm/℃未満であり、1500ppm/℃以下であることが好ましい。感歪用抵抗膜30のTCRを上記範囲に制御することで、低温領域から高温領域までの広い範囲で、温度変化に伴う感歪用抵抗膜30の抵抗値変化を小さくすることができる。これにより、歪測定部S1における温度補正誤差を低減でき、高い精度で歪を検出することができる。
感歪用抵抗膜30は、-50℃以上450℃以下の温度範囲において、ゲージ率kが3以上であり、4以上であることが好ましい。感歪用抵抗膜30では、ゲージ率kが大きいほど、歪に対する抵抗値の変化量が大きくなる。そのため、感歪用抵抗膜30のゲージ率kを4以上とすることで、-50℃以上450℃以下の範囲における歪測定の分解能を向上させることができる。なお、ゲージ率kの上限値は特に限定されない。
また、感歪用抵抗膜30は、-50℃以上450℃以下の温度範囲において、TCSの絶対値が、2000ppm/℃以下であり、1000ppm/℃以下であることが好ましく、500ppm/℃以下であることがより好ましい。感歪用抵抗膜30のTCSを上記範囲に制御することで、低温領域から高温領域までの広い範囲で、温度変化に伴う感歪用抵抗膜30の感度変化を小さくすることができる。これにより、歪測定部S1における温度補正誤差を低減でき、高い精度で歪を検出することができる。
なお、TCR、k、およびTCSは、基本的に感歪用抵抗膜30の主成分組成に依存するが、感歪用抵抗膜30中の微量元素や、熱処理などの製造条件によっても変化する場合がある。
感歪用抵抗膜30の厚みは、特に限定されず、たとえば、1nm~1000nmとすることができ、50nm~500nm程度とすることが好ましい。
なお、メンブレン22の外面22bにおける感歪用抵抗膜30(RD)の配置は、特に限定されないが、なるべく外面22bの中心に近い位置に配置することが望ましい。図2の上図に示すように、メンブレン22では、外面22bの中心に近いほど大きな歪が発生し、ステム20の側壁と接する外面22bの外縁において歪がゼロになる。図2では、4つの感温用抵抗膜40のうちのRD1およびRD3を、所定の歪特性ε1が生じる第1円周24上に配置し、RD2およびRD4を、歪特性ε1とは異なる歪特性ε2が生じる第2円周26上に配置している。複数の感歪用抵抗膜30(RD)を形成する場合には、上記のように、複数の抵抗群に分けて感歪用抵抗膜30の配置を決定してもよいし、全ての感歪用抵抗膜30を同一円周上に配置してもよい。
(感温用抵抗膜40)
感温用抵抗膜40は、感歪用抵抗膜30とは異なる材質で構成され、-50℃以上450℃以下の温度範囲におけるTCRの絶対値が、2000ppm/℃以上である。感温用抵抗膜40では、TCRを2000ppm/℃以上とすることで、温度変化に対する抵抗値の変化量が大きくなる。そのため、2000ppm/℃≦TCRの感温用抵抗膜40を用いることで、-50℃以上450℃以下の範囲において、高い精度で流体の温度を検出することができる。上記のとおり、TCRが大きいほど、1℃の温度変化に対する抵抗変化量も大きくなるため、TCRの上限は特に限定されない。
2000ppm/℃以上のTCRを満たす感温用抵抗膜40の材料としては、遷移金属、1種以上の遷移金属を含む合金などが挙げられる。感温用抵抗膜40は、特に、Fe、Ni、Cu、Ptから選択される1種以上の元素を含む金属膜であることが好ましい。
感温用抵抗膜40の厚みは、特に限定されず、たとえば、1nm~1000nmとすることができ、50nm~500nm程度とすることが好ましい。
感温用抵抗膜40は、-50℃以上450℃以下の温度範囲におけるゲージ率kが、4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。なお、ゲージ率kの下限値は特に限定されず、0<kである。感温用抵抗膜40では、ゲージ率kを小さくすることで、低温領域から高温領域までの広い範囲で、歪による感温用抵抗膜40の抵抗値変化を小さくすることができ、温度測定の分解能が向上する。
また、感温用抵抗膜40は、-50℃以上450℃以下の温度範囲におけるTCSの絶対値が、500ppm/℃以下であることが好ましい。なお、TCR、k、およびTCSは、基本的に感温用抵抗膜40の主成分組成に依存するが、感温用抵抗膜40中の微量元素や、熱処理などの製造条件によっても変化する場合がある。
本実施形態において、感温用抵抗膜40の配置は、抵抗膜の諸特性を考慮して決定する必要がある。従来の圧力センサなどでは、メンブレンの外縁部分などの歪が加わらない位置に温度補償用の抵抗体を設置する技術が用いられてきた。しかしながら、歪が加わらない位置では、流体の温度も伝達され難く、実際の流体温度と検出温度との間に差が生じてしまう。そのため、流体の温度と圧力とを同時に検出する複合センサ10では、メンブレン22の外面22bにおいて、歪が発生する領域内に感温用抵抗膜40を配置する。
ただし、感温用抵抗膜40を歪発生領域に配置すると、感温用抵抗膜40の抵抗値が、温度だけでなく歪によっても変化し、温度測定の分解能や歪測定の分解能に影響を及ぼす。そのため、本実施形態の複合センサ10では、以下に示す条件式1または/および条件式2を満たすように、感温用抵抗膜40の特性(すなわち材質や製造条件)および設置個所を決定することが好ましい。
具体的に、感温用抵抗膜40が、条件式1:TCR≧(2.5×k×ε)を満たすことが好ましい。上記条件式1を変換すると、1≦{TCR/(2.5×k×ε)}となる。ここで、条件式1のεは、感温用抵抗膜40の設置個所に加わる最大の歪量である。このεは、各抵抗膜30,40や下地絶縁層60を有するメンブレン22の材質、寸法、形状などの情報を基に、シミュレーションすることで求めることができる。感温用抵抗膜40が、条件式1を満たすことで、-50℃以上450℃以下の範囲における温度測定の分解能を、1℃以下とすることができる。なお、温度測定の分解能とは、検出可能な最小の温度変化を意味し、数値が小さいほど分解能が良好であるといえる。
また、感歪用抵抗膜30のゲージ率kを4以上としたうえで、感温用抵抗膜40が、条件式2:TCR≧(10×k×ε)を満たすことが好ましい。条件式2を変換すると、1≦{TCR/(10×k×ε)}となる。ここで、歪の測定において、感温用抵抗膜40の測定誤差によりずれる抵抗変化量を、ΔRΔTとする。感歪用抵抗膜30のゲージ率kが4以上で、なおかつ、感温用抵抗膜40が条件式2を満たすことで、ΔRΔTを小さくすることができる。その結果、-50℃以上450℃以下の範囲における歪測定の分解能を、200με以下とすることができる。歪測定の分解能は、検出可能な最小の歪量を意味し、数値が小さいほど分解能が良好であるといえる。
次に、各抵抗膜30,40を有するメンブレン22(ステム20)の製造方法について説明する。まず、中空筒状のステム20は、ステンレス板などの金属板に対してプレスなどの機械加工を施すことで製造できる。この際、メンブレン22となるステム20の端壁が、他の部位よりも肉薄となるように、ステム20を加工する。そして、下地絶縁層60を、CVDなどの蒸着法により、メンブレン22の外面22bに形成する。
下地絶縁層60の形成後、下地絶縁層60の上に、感歪用抵抗膜30と、感温用抵抗膜40と、電極部50と、を形成する。まず、各抵抗膜30,40を、DCスパッタ装置やRFスパッタ装置を用いたスパッタリングや蒸着などの薄膜法により形成する。感歪用抵抗膜30と感温用抵抗膜40の成膜順序は、特に限定されず、それぞれの抵抗膜30,40の成膜後に、レーザー加工や、スクリーン印刷のような半導体加工技術による微細加工を施し、抵抗膜30,40の形成位置や平面形状を制御する。
なお、感歪用抵抗膜30の成膜に際しては、反応室から除去しきれずに残留したOやNが、感歪用抵抗膜30に取り込まれることがある。感歪用抵抗膜30の組成におけるOやNの含有量は、上記のように成膜時に取り込まれたOやNにより決定されていてもよい。もしくは、成膜時またはアニール時における雰囲気ガスとして酸素ガスや窒素ガスを使用して、これら酸素ガスや窒素ガスの導入量を意図的に制御することで、感歪用抵抗膜30の組成におけるOやNの含有量を制御してもよい。
また感歪用抵抗膜30の成膜後には、当該抵抗膜に対して熱処理を施すことが好ましい。その際の熱処理温度は、特に限定されず、たとえば、50℃~550℃とすることができ、350℃~550℃とすることが好ましい。
各抵抗膜30,40を所定のパターンで形成した後、電極部50を、各抵抗膜30,40と電気的に接続するように、図2に示すような位置に形成する。電極部50は、各抵抗膜30,40と同様にして、スパッタリングや蒸着などの薄膜法により形成することができる。電極部50の材質は、導電性の金属または合金とすることができ、たとえば、Cr、Ti、Ni、Mo、白金族元素、などが含まれることが好ましい。また、電極部50は、材質の異なる多層構造であってもよい。
上記の方法により、歪測定部S1および温度測定部S2を有するメンブレン22(ステム20)が得られる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。なお、下記に示す表において、※を付した試料番号が比較例である。
(実験1)
実験1では、CrN系の感歪用抵抗膜を有する試料1と、CrAl系の感歪用抵抗膜を有する試料2と、CrAlN系の感歪用抵抗膜を有する試料3~4を作製した。そして、作製した各試料について、膜組成、抵抗温度係数(TCR)、ゲージ率k、および感度温度係数(TCS)を測定した。
試料作製
まず、Si基板を加熱して、基板表面に熱酸化膜であるSiO膜を形成した。その後、DCスパッタ装置を用いて、SiO膜の表面に感歪用抵抗膜を製膜した。さらに、成膜後の感歪用抵抗膜を350℃で熱処理したのち、微細加工によりホイーストンブリッジ回路を構成する感歪抵抗体(RD)を形成した。最後に、感歪用抵抗膜の表面に電子蒸着で電極部を形成し、感歪用抵抗膜の特性評価用の試料を得た。
なお、感歪用抵抗膜の成膜では、DCスパッタ装置に用いるCrターゲットとAlターゲットの数、および、各ターゲットの電位を調整することにより、Al含有量を制御した。また、成膜時の雰囲気ガスとして、Arガスと微量の窒素ガスを使用し、雰囲気ガス中の窒素ガスの割合により、N含有量を制御した。また、感歪用抵抗膜の膜厚は、いずれの試料においても、300nmとした。
組成分析
試料1~4における感歪用抵抗膜の組成は、XRF(蛍光X線)法により分析した。
抵抗温度係数の測定
各試料(試料1~4)において、測定環境の温度を-50℃から450℃まで変化させながら、抵抗値を測定し、温度変化に対する抵抗値の変化傾向を示すグラフを得た。そして、当該グラフの傾きAを、最小二乗法による直線近似により求め、その傾きAから、各試料のTCRを算出した。算出したTCRの基準温度は、25℃である。
ゲージ率および感度温度係数の測定
各試料(試料1~4)において、測定環境の温度を-50℃から450℃まで変化させながら、ゲージ率kを測定し、図4に示すような温度変化対するゲージ率kの変化傾向を示すグラフを得た。そして、当該グラフの傾きBを、最小二乗法による直線近似により求め、その傾きBから、各試料のTCSを算出した。算出したTCSの基準温度は、25℃である。
各試料の組成分析結果、TCR、ゲージ率k、TCSを、表1および図4に示す。
Figure 2023049807000002
表1および図4に示すように、CrN系合金膜の試料1は、-50℃から150℃の低温域では高いゲージ率が得られるが、200℃以上の高温域では、極端にゲージ率が低下してしまった。そのため、感歪用抵抗膜としてCrN系合金膜を用いた場合には、200℃以上の高温域において、圧力測定の精度が得られないことがわかった。試料2では、Alが含まれているが、Al含有率が5at%以下であり、200℃以上の高温域でゲージ率が低下し、安定したゲージ率を確保できなかった。
一方、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たすCrAlN合金膜を用いた試料3,4では、-50℃~450℃の範囲で高いゲージ率を安定して確保することができた。この結果から、所定の組成を満たすCrAlN合金膜を感歪用抵抗膜として用いることで、-50℃~450℃の範囲で高い精度で圧力測定が可能であることがわかった。
(実験2)
実験2では、一般式Cr100-x-yAlで表される感歪用抵抗膜30について、組成範囲とゲージ率との関係性を評価するために、Al含有量(xの値)が異なる9試料を作製した。そして、各試料の組成(Al含有量)と、25℃でのゲージ率kと、を測定した。実験2における各試料の作製方法およびゲージ率の測定方法は、実験1と同様とした。実験2の評価結果を図5に示す。図5では、Al含有量を横軸、感歪用抵抗膜30のゲージ率kを縦軸として、実験2の各試料の測定結果をプロットした。なお、図5では、Nの含有量を示していないが、実験2の全ての試料において、0.1≦y≦20であった。
図5に示すように、x≦50の試料については、一般的な金属のゲージ率である2.6に対して十分に大きなゲージ率が得られ、感歪用抵抗膜30として好適に用いることができることがわかった。特に、Al含有量をx≦40とすることで、ゲージ率kが4以上となり、圧力測定の感度が良好となることがわかった。
(実験3)
実験3では、一般式Cr100-x-yAlで表される感歪用抵抗膜30について、組成範囲とTCRとの関係性を評価するために、Al含有量(xの値)が異なる8試料を作製した。そして、各試料の組成(Al含有量)と、TCRと、を測定した。実験3における各試料の作製方法およびTCRの測定方法は、実験1と同様とした。実験3の評価結果を図6に示す。図6では、Al含有量を横軸、TCRを縦軸として、実験3の各試料の測定結果をプロットした。なお、図6では、Nの含有量を示していないが、実験3の全ての試料において、0.1≦y≦20であった。
図6に示すように、Al含有量が0≦x≦25である4つの試料では、Alの単位組成変化(横軸)に伴うTCRの傾きが大きく、各プロットを最小二乗法により直線近似して算出した傾きの絶対値は、105であった。これに対して、Al含有量が25<x≦50である4つの試料では、Alの単位組成変化(横軸)に伴うTCRの傾きが小さく、各プロットを最小二乗法により直線近似して算出した傾きの絶対値は、16であった。
すなわち、Al含有量が25<x≦50の試料では、1at%のAl含有量の変動に対するTCRの変化率を、5%未満に抑制することができ、組成変化に伴う特性変化を大幅に抑制できることがわかった。
(実験4)
実験4では、感歪用抵抗膜30と感温用抵抗膜40とを有する4つの試料(試料5~8)を作製した。
試料5
具体的に、試料5では、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たす感歪用抵抗膜30を、DCスパッタ装置を用いて、Si基板のSiO膜の表面に形成した。そして、感歪用抵抗膜30を350℃で熱処理したのち、当該感歪用抵抗膜30に対して微細加工を施し、ホイーストンブリッジ回路を形成した。また、感温用抵抗膜40を、最大の歪量εが200μεである位置に、形成した。試料5において、感温用抵抗膜40は、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たしており、感歪用抵抗膜30と同じ組成とした。最後に、電子蒸着で電極部を形成し、感温感歪複合センサとしての試料5を得た。
試料6
試料6では、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たす感歪用抵抗膜30と、Pt系合金薄膜からなる感温用抵抗膜40と、を形成した。試料6において、各抵抗膜の組成が試料5とは異なるが、組成以外の実験条件は試料5と同様とした。
試料7
試料7では、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たす感歪用抵抗膜30と、Cu系合金薄膜からなる感温用抵抗膜40と、を形成した。試料7において、各抵抗膜の組成が試料5とは異なるが、組成以外の実験条件は試料5と同様とした。
試料8
試料8では、一般式Cr100-x-yAlで表され、5<x≦50,0.1≦y≦20を満たす感歪用抵抗膜30と、Ni系合金薄膜からなる感温用抵抗膜40と、を形成した。試料8において、各抵抗膜の組成が試料5とは異なるが、組成以外の実験条件は試料5と同様とした。
実験4の各試料5~8について、各抵抗膜30,40の抵抗温度係数、ゲージ率、および、感度温度係数を、実験1と同様にして測定した。また、各試料について、-50℃~450℃の範囲における温度測定の分解能と、歪測定の分解能とを算出した。温度測定の分解能については、-50℃~450℃の温度域において常に1℃以下の分解能が得られた場合を、合格(G)と判断し、-50℃~450℃の温度域で分解能が1℃を超えた場合を、不合格(F)と判断した。実験4の評価結果を表2に示す。なお、表2に示すゲージ率(k、k)は、25℃における測定結果である。
Figure 2023049807000003
表2に示すように、感歪用抵抗膜30と感温用抵抗膜40とを同質材で構成した試料5では、温度測定の分解能が悪く、εが200μεの箇所に感温用抵抗膜40を配置すると、1℃の温度変化を正確に計測できなかった。また、試料5では、歪測定において、感温用抵抗膜40の測定誤差によりずれる抵抗変化量ΔRΔTが大きくなり、歪測定の分解能が400μεとなった。つまり、試料5では、400με未満の歪量の検出ができず、歪測定の精度が得られなかった。
一方、試料6~8では、感温用抵抗膜40として、感歪用抵抗膜30と異なる組成を有し、かつ、TCRが2000ppm/℃以上である金属膜を用いた。この試料6~8では、-50℃~450℃の温度域で、温度測定の分解能が常に1℃以下となり、十分な精度で温度測定が可能であった。また、歪測定の分解能は、200με以下であり、試料6~8では、試料5よりも歪測定の精度が向上した。
なお、試料6~8の評価結果を比較することで、感温用抵抗膜40のTCRが高くなるほど、温度測定の分解能および歪測定の分解能がさらに向上することがわかった。また、感温用抵抗膜40のゲージ率kが低くなるほど、温度測定の分解能および歪測定の分解能がさらに向上することがわかった。
(実験5)
実験5では、感温用抵抗膜40の材質および設置個所を変えた9つの試料を作製した。実験5における試料の製造方法は実験4と同様とした。そして、実験5の各試料について、設置個所の最大歪量εが加わった際の感温用抵抗膜40の抵抗変化量ΔR’’を測定した。各試料のΔR’’の測定は、環境温度:-50℃、25℃、450℃の条件で実施した。実験5の評価結果を図7に示す。
図7では、条件式1に該当するTCR/(2.5×k×ε)を横軸とし、ΔR’’を縦軸として、各試料の測定結果をプロットした。ΔR’’が小さいほど、温度測定の分解能が良好であるといえる。より具体的に、図7に示す基準線RL1は、1℃の温度変化により生じる感温用抵抗膜40の抵抗変化量ΔR’である。測定結果のプロットが基準線RL1を下回った場合(すなわち、ΔR’’<ΔR’の場合)、温度変化に伴う抵抗変化量が、最大歪量εによる抵抗変化量よりも大きく、1℃の温度変化が計測可能である。つまり、-50℃、25℃、450℃のプロットがいずれも基準線RL1を下回れば、-50℃~450℃の範囲において、温度測定の分解能が常に1℃以下になると判断できる。
図7に示すように、0.5≦{TCR/(2.5×k×ε)}<1.0の範囲では、-50℃のプロットおよび25℃のプロットが、基準線RL1を下回った。ただし、450℃のプロットが、基準線RL1を上回っており、450℃の高温域では、1℃以下の分解能が得られなかった。
一方、1.0≦{TCR/(2.5×k×ε)}の範囲では、-50℃~450℃の全てのプロットが、基準線RL1を下回り、-50℃~450℃の範囲で常に1℃以下の分解能が得られた。
(実験6)
実験6では、感温用抵抗膜40の材質および設置個所を変えた7つの試料を作製した。実験6における試料の製造方法は実験4と同様とした。そして、実験6の各試料について、感温用抵抗膜40の測定誤差によりずれる抵抗変化量ΔRΔTを算出した。実験6の評価結果を図8に示す。
図8では、条件式2に該当するTCR/(10×k×ε)を横軸とし、ΔRΔTを縦軸として、各試料の測定結果をプロットした。図8に示す基準線RL2は、k=4の感歪用抵抗膜30が、450℃で200μεの歪を受けた際に生じる抵抗変化量ΔR’’である。同様に、基準線RL3は、k=4の感歪用抵抗膜30が、-50℃で200μεの歪を受けた際に生じる抵抗変化量ΔR’’である。歪の測定では、感歪用抵抗膜30に所定の歪εが加わった際の抵抗変化量ΔR’’が、ΔRΔTよりも大きければ、所定の歪εを正確に検出できる。つまり、ΔRΔTのプロットが、基準線RL2およびRL3の両方を下回れば、-50℃~450℃の温度範囲で常に200μm以下の分解能が得られる。
図8に示すように、0.4≦{TCR/(10×k×ε)}<1.0の範囲では、ΔRΔTが、基準線RL3を下回るが、基準線RL2を上回った。つまり、0.4≦{TCR/(10×k×ε)}<1.0の場合、-50℃では200μεの歪を検出できるが、450℃では200μεの歪を検出できない。
一方、1.0≦{TCR/(10×k×ε)}の範囲では、ΔRΔTが、基準線RL2とRL3の両方を下回っており、-50℃~450℃の範囲で常に200με以下の分解能が得られることがわかった。
なお、図8に示す基準線RL4は、k=3の感歪用抵抗膜30が、450℃で200μεの歪を受けた際に生じる抵抗変化量ΔR’’である。ゲージ率が4未満であるk=3の感歪用抵抗膜30を使用する場合には、1.3≦{TCR/(10×k×ε)}を満たすことで、200με以上の分解能が得られることがわかった。
10 … 感温感歪複合センサ
12 … 接続部材
12a … ねじ溝
12b … 流路
14 … 抑え部材
70 … 回路基板
82 … 中間配線
20 … ステム
21 … フランジ部
22 … メンブレン
22a … 内面
22b … 外面
30 … 感歪用抵抗膜
40 … 感温用抵抗膜
50 … 電極部
60 … 下地絶縁層

Claims (5)

  1. 一般式Cr100-x-yAlで表され、x、yのそれぞれの組成領域が5<x≦50,0.1≦y≦20である感歪用抵抗膜と、
    -50以上450℃以下の温度範囲における抵抗温度係数(TCR)の絶対値が、2000ppm/℃以上である感温用抵抗膜と、を有する感温感歪複合センサ。
  2. -50以上450℃以下の温度範囲における前記感温用抵抗膜の感度温度係数(TCS)の絶対値が、500ppm/℃以下である請求項1に記載の感温感歪複合センサ。
  3. 前記感温用抵抗膜の抵抗温度係数をTCRとし、前記感温用抵抗膜のゲージ率をkとし、前記感温用抵抗膜の設置個所に加わる最大の歪量をεとして、
    TCR≧(2.5×k×ε)を満たす請求項1または2に記載の感温感歪複合センサ。
  4. -50以上450℃以下の温度範囲における前記感歪用抵抗膜のゲージ率kが、4以上であり、
    前記感温用抵抗膜の抵抗温度係数をTCRとし、前記感温用抵抗膜のゲージ率をkとし、前記感温用抵抗膜の設置個所に加わる最大の歪量をεとして、
    TCR≧(10×k×ε)を満たす請求項1~3のいずれかに記載の感温感歪複合センサ。
  5. 前記感歪用抵抗膜におけるx、yのそれぞれの組成領域が、25<x≦50,0.1≦y≦20である請求項1~4のいずれかに記載の感温感歪複合センサ。



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